説明

印刷装置

【課題】フェイスダウン排紙口とフェイスアップダウン排紙口とを印刷途中で切り替えた場合であっても、印刷のページ順序を変更することなく、印刷後のページ並べ替え作業が不要な印刷装置を提供する。
【解決手段】フェイスアップ排紙口と、フェイスアップ排紙台と、フェイスダウン排紙口と、フェイスダウン排紙台とを備えた印刷装置であって、循環反転経路と、排紙台に積載された用紙が所定の量に達したことを検出する排紙量検出手段と、排紙口の指定を含む印刷データに基づく印刷処理を制御する印刷制御手段とを備え、印刷制御手段は、指定された排紙口に排紙を行なう印刷を開始後に、指定された排紙口に対応する排紙台に積載された用紙が所定の量に達したことが検出されると、印刷後の印刷用紙を、循環反転経路を搬送させた後、指定された排紙口と別の排紙口から排紙させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェイスアップ排紙口およびフェイスダウン排紙口を備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に印刷装置は、給紙機構から給紙した印刷用紙に対して印刷を施して排紙口から排紙する。排紙口には、印刷用紙の印刷面が上向きに排出されるフェイスアップ排紙口と、印刷用紙の印刷面が下向きに排出されるフェイスダウン排紙口とがある。印刷装置によってはフェイスアップ排紙口とフェイスダウン排紙口の両方を備えたものがあり、このような印刷装置では任意の排紙口から排紙させることができる。
【0003】
複数ページの印刷を行なう場合、フェイスアップ排紙口では、印刷面が上向きの状態で排紙台に次々に印刷済の用紙が積み重ねられる。このため、ページ順の印刷結果を得るためにはページの逆順に印刷を行なう必要がある。一方、フェイスダウン排紙口では、印刷面が下向きの状態で排紙台に次々に印刷済の用紙が積み重ねられる。このため、ページ順の印刷結果を得るためにはページ順に印刷を行なう必要がある。このように、排紙口に応じてページの印刷順序を変更する必要があり、印刷装置に接続されたホストコンピュータは、排紙口に応じたページ順で印刷データを印刷装置に送信する。
【0004】
ところで、フェイスアップ排紙口の排紙台、フェイスダウン排紙口の排紙台とも、その構造上、印刷用紙の最大積載量が定められており、最大積載量を超えて排紙を行なうと不具合が生じるおそれがある。この不具合を防ぐために、印刷途中で一方の排紙台の最大積載量を超えると、排紙口を切り替えて他方の排紙台に印刷済の用紙を積載させる技術が知られている。
【0005】
しかしながら、排紙口を切り替えると印刷用紙の上下面が切り替え前と逆になるため、印刷終了後にユーザが切り替え後の印刷物のページを逆順に並び替えなければならないという問題があった。この問題を解決するため、特許文献1には、一方の排紙台の最大積載量を超えると、排紙口を他方に切り替えるとともに、ページの印刷順を反転させることで、印刷後のページ並べ替え作業を不要とする技術が記載されている。
【特許文献1】特開平11−157746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術は、排紙口を切り替える際に、ホストコンピュータから送られてきたページ順と逆の順序で印刷を行なうため、印刷データをストックしなければならず、その分の記憶容量を用意しておかなければならない。
【0007】
例えば、「1」「2」「3」…「7」「8」の順序で印刷データが送られて、この順序で印刷を行なっているときには、最低限1ページ分の印刷データをストックできれば足りるのに対し、「4」の排紙後に排紙台の最大積載量を超えた場合には、排紙口を切り替えて、「8」「7」「6」「5」の順序、すなわち、送られてくる印刷データのページ順とは逆順で印刷を行なうようにするため、「5」〜「8」までのページ分の印刷データを印刷装置側でストックしなければならない。仮に、ストックする分の記憶容量を確保できない場合には、未印刷のページについてページ順を逆にした印刷データをホストコンピュータから再送信してもらわなければならない。このため、排紙口を切り替えた場合でも、印刷のページ順は変更しないことが望ましい。
【0008】
本発明はこのような状況を鑑みてなされたものであり、フェイスダウン排紙口とフェイスアップダウン排紙口とを印刷途中で切り替えた場合であっても、印刷のページ順序を変更することなく、印刷後のページ並べ替え作業が不要な印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明による印刷装置は、印刷面を上にして排紙を行なうフェイスアップ排紙口と、前記フェイスアップ排紙口から排出された用紙を積載するフェイスアップ排紙台と、印刷面を下にして排紙を行なうフェイスダウン排紙口と、前記フェイスダウン排紙口から排出された用紙を積載するフェイスダウン排紙台とを備えた印刷装置であって、印刷用紙の表裏を反転させる循環反転経路と、前記フェイスアップ排紙台に積載された用紙が所定の量に達したことを検出するフェイスアップ排紙量検出手段と、前記フェイスダウン排紙台に積載された用紙が所定の量に達したことを検出するフェイスダウン排紙量検出手段と、排紙口の指定を含む印刷データに基づく印刷処理を制御する印刷制御手段とを備え、前記印刷制御手段は、指定された排紙口に排紙を行なう印刷を開始後に、前記指定された排紙口に対応する排紙台に積載された用紙が所定の量に達したことが検出されると、印刷後の印刷用紙を、前記循環反転経路を搬送させた後、前記指定された排紙口と別の排紙口から排紙させることを特徴とする。
【0010】
すなわち、切り替えられた排紙口から排紙すると、印刷用紙は、循環反転経路により表裏が反転しているため、フェイスアップ排紙口から排紙された場合でもフェイスダウンの状態で排紙される。また、フェイスダウン排紙口から排紙された場合でもフェイスアップの状態で排紙される。すなわち、切り替え前の排紙口からの排紙と同じ状態で排紙されることになる。このとき、ページの印刷順序を変更する必要がない。
【0011】
また、表示手段をさらに備え、前記印刷制御手段は、前記指定された排紙口と別の排紙口から排紙させた印刷の終了後に、前記指定された排紙口に対応する排紙台に積載された用紙と、前記指定された排紙口に対応する排紙台とは別の排紙台に積載された用紙とを重ねる処理についてのガイドを前記表示手段に表示させることが望ましい。
【0012】
具体的には、前記ガイドは、前記指定された排紙口がフェイスアップ排紙口であった場合は、フェイスダウン排紙台の印刷物を、印刷面を上にしてフェイスアップ排紙台の印刷物に重ねる旨の内容とし、前記指定された排紙口がフェイスダウン排紙口であった場合は、フェイスアップ排紙台の印刷物を、印刷面を下にしてフェイスダウン排紙台の印刷物に重ねる旨の内容とする。
【0013】
このようにすることにより、ユーザは、表示手段に表示されたガイドにしたがって、それぞれの排紙台に積載された2つの印刷物の束を重ね合わせることで、ページ順に並んだ印刷結果を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る用紙反転機構付循環搬送路を備えた印刷装置10の概要を示す図である。本図では特に印刷用紙搬送経路を詳細に示している。本図に示すように印刷装置10は、印刷用紙の供給を行なう給紙機構として、筐体側面の外部に露出したサイド給紙台320と、筐体内部に設けられた複数の給紙トレイ(330a、330b、330c、330d)とを備えている。また、印刷済の印刷用紙を排出する排紙機構としてフェイスダウン排紙口340とフェイスアップ排紙口360とを備えている。フェイスダウン排紙口340から排紙された用紙は、フェイスダウン排紙台350に積載され、フェイスアップ排紙口360から排紙された用紙は、フェイスアップ排紙台362に積載される。
【0015】
印刷装置10は、印字機構として、用紙搬送方向に直交する方向に伸び、多数のノズルが形成された印字ヘッドを含むヘッドユニット310を複数本備え、それぞれの印字ヘッドから黒またはカラーインクを吐出してライン単位で印刷を行なうインクジェット方式のラインカラープリンタである。ただし、ライン方向に走査して画像形成を行なうシリアルカラープリンタとしてもよい。また、他の印字方式、例えば、レーザ方式等を採用してもよい。
【0016】
サイド給紙台320および給紙トレイ330のいずれかの給紙機構から1枚ずつ給紙された印刷用紙は、ローラ等の駆動機構によって筐体内の給紙系搬送路(図中の黒太線で示される経路)に沿って搬送され、レジスト部Rgに導かれる。ここでレジスト部Rgは、印刷用紙の先端の位置あわせと斜行修正を行なうために設けられており、1対のレジストローラを備えて構成される。給紙された印刷用紙はレジスト部Rgで一時停止し、所定のタイミングで印字機構方向に搬送される。
【0017】
レジスト部Rgのさらに搬送方向側には、複数本のヘッドユニット310が設けられている。印刷用紙は、ヘッドユニット310の対向面に設けられた環状の搬送ベルト352によって印刷条件により定められる速度で搬送されながら、各ヘッドユニット310に備えられた印字ヘッドから吐出されたインクによりライン単位で画像形成される。
【0018】
上面に印刷を施された印刷用紙は、フェイスアップ排紙口360から排紙される場合は、切替機構372によりフェイスアップ排紙口360方向に搬送され、そのまま印刷面を上にして排紙されてフェイスアップ排紙台362に積載されていく。フェイスダウン排紙口340から排紙される場合、切替機構372とローラ等の駆動機構によってさらに筐体内を搬送される。そして、切替機構370によりフェイスダウン排紙口340に導かれて排紙され、フェイスダウン排紙口340の受台として設けられたフェイスダウン排紙台350に印刷面を下にして積載されていく。
【0019】
フェイスダウン排紙台350およびフェイスアップ排紙台362は、筐体から突出したトレイ形状をしており、ある程度の厚みを有している。フェイスダウン排紙台350およびフェイスアップ排紙台362は傾斜しており、傾斜の下位置に形成された壁により、フェイスダウン排紙口340、フェイスアップ排紙口360から排紙され、傾斜に沿って滑落する印刷用紙が自然に整えられて重なっていくようになっている。
【0020】
フェイスダウン排紙台350およびフェイスアップ排紙台362とも印刷用紙の最大積載量が定められており、印刷用紙の積載量が最大積載量に達したことを検出するフェイスダウン排紙台用紙積載量センサ381、フェイスアップ排紙台用紙積載量センサ382がそれぞれ設けられている。
【0021】
印刷用紙の両面に印刷を行なう両面印刷の場合は、表面(最初に印刷される面を「表面」、次に印刷される面を「裏面」とする)印刷終了時にはフェイスダウン排紙台350およびフェイスアップ排紙台362に導かれずに、切替機構370により、さらに筐体内を搬送される。そして、スイッチバック経路SRに引き込まれ、スイッチバックを行ない、搬送路に対して表裏が反転する。表裏反転後に、ローラ等の駆動機構によって再度レジスト部Rgに導かれ、一時停止する。その後、所定のタイミングで印字機構方向に搬送され、表面と同様の手順によって裏面の印刷が行なわれる。裏面の印刷が行なわれ、両面に画像が形成された印刷用紙は、印刷条件に含まれる排紙口の指定にしたがって、フェイスダウン排紙口340あるいはフェイスアップ排紙口360に導かれて排紙され、フェイスダウン排紙台350あるいはフェイスアップ排紙台362に積載されていく。
【0022】
印刷装置10では、両面印刷時におけるスイッチバックを、フェイスダウン排紙台350内に設けられた空間を利用して行なうようにしている。フェイスダウン排紙台350内に設けられた空間は、スイッチバック時に印刷用紙が外部から取り出せないように覆われた構成となっている。これにより、利用者が誤ってスイッチバック動作中の印刷用紙を引き抜いてしまうことを防ぐことができる。また、フェイスダウン排紙台350は、本来印刷装置10に備えられているものであり、フェイスダウン排紙台350内の空間を利用してスイッチバックを行なうことにより、印刷装置10内に、別途スイッチバック用の空間を設ける必要がなくなる。したがって、筐体のサイズが増大してしまうことを防ぐことができる。さらには、フェイスダウン排紙口340とスイッチバック経路とを共用しないため、スイッチバック処理と他の用紙の排紙とを並行して行なうことができる。
【0023】
図2は、印刷装置10の機能構成を示すブロック図である。印刷装置10は、CPU、メモリ等から構成されるメイン制御部100を備えており、CPUがメモリに格納されたプログラムにしたがって動作すること等で印刷制御部101、駆動制御部102が構成される。また、メモリの一部は印刷データ格納部103として機能する。
【0024】
また、印刷装置10は、操作パネル等を介して、印刷条件の設定等を受け付ける操作受付部110、印刷装置に関する情報を表示する表示部120、コンピュータネットワーク等に接続するための通信処理部130を備えている。
【0025】
印刷制御部101は、通信処理部130を介して図示しないホストコンピュータから受信した印刷データにしたがって、画像データを生成し、印字ヘッド等の印刷機構で構成される印刷実行部140における印刷処理を制御する。駆動制御部102は、印刷制御部101の制御の下で搬送駆動部150を動作させる。搬送駆動部150は、駆動ローラ、搬送ベルト352、切替機構370、切替機構372等で構成され印刷用紙の搬送を行なう。
【0026】
次に、本実施形態における排紙制御処理について図3のフローチャートを参照して説明する。本処理は、ホストコンピュータから印刷データを受信することで開始される(S101)。ホストコンピュータから送られる印刷データには、印刷条件として排紙口を指定する情報が含まれている。排紙口としてフェイスアップ排紙口360が指定されている場合は、ページの逆順に印刷データが送られ、排紙口としてフェイスダウン排紙口340が指定されている場合は、ページの順に印刷データが送られてきている。これらの排紙口の指定および印刷データのページ順の管理は、従来と同様に、ホストコンピュータにインストールされた印刷装置10に対応したプリンタドライバにより行なわれる。
【0027】
印刷データを受信すると、印刷制御部101は、印刷データ格納部103にページ単位の印刷データを一時的に格納するとともに、印刷データに含まれている排紙口指定情報に基づいて排紙口の設定を行なう(S102)。すなわち、フェイスダウン排紙口340が指定されている場合は、切替機構372、370によりフェイスダウン排紙口340に印刷済の印刷用紙が搬送されるようにし、フェイスアップ排紙口360が指定されている場合は、切替機構372によりフェイスアップ排紙口360に印刷済の印刷用紙が搬送されるようにする。
【0028】
そして、印刷データの順にしたがって1ページずつ印刷を行なう(S103)。印刷が施された印刷用紙は、設定された排紙口、すなわち、フェイスアップ排紙口360あるいはフェイスダウン排紙口340のいずれかから排紙する(S104)。用紙が排紙口から排紙されると、排紙台に積載されている印刷済の用紙が、その排紙台の最大積載量を超えたかどうかを判定する(S105)。印刷済の用紙が、その排紙台の最大積載量を超えたかどうかは、フェイスダウン排紙台350に配置されたフェイスダウン排紙台用紙積載量センサ381あるいはフェイスアップ排紙台162に配置されたフェイスアップ排紙台用紙積載量センサ382の検出結果に基づいて判定することができる。ただし、フェイスダウン排紙台用紙積載量センサ381、およびフェイスアップ排紙台用紙積載量センサ382を設けずに、排紙台に排出された印刷用紙の枚数をカウントすることにより排紙台の最大積載量を超えたかどうかを判定するようにしてもよい。また、最大積載量は物理的な最大積載量である必要はなく、便宜的に最大積載量として扱う目安の値であってよい。
【0029】
この結果、最大積載量を超えていない場合(S105:No)は、全ページの印刷が終了するまで上述の印刷処理(S103)、排紙処理(S104)、最大積載量判定処理(S105)を繰り返し(S106:No)、全ページの印刷が終了すると(S106:Yes)、本処理を終了する。
【0030】
一方、いずれかの排紙台に積載された印刷済の用紙が、その排紙台の最大積載量を超えた場合(S105:Yes)は、排紙口の切替えを行なう(S107)。すなわち、フェイスダウン排紙口340が指定されていた場合は、フェイスアップ排紙口360に排紙口を切り替える。また、フェイスアップ排紙口360が指定されていた場合は、フェイスダウン排紙口340に排紙口を切り替える。
【0031】
そして、引き続き印刷データの順にしたがって1ページずつ印刷を行なう(S108)。印刷が施された印刷用紙は、切り替えられた排紙口からすぐには排紙せずに、両面印刷時と同様に循環搬送路を搬送させ、スイッチバック経路SRでスイッチバックさせて反転し、再度レジスト部Rgに搬送する。すなわち、切り替えられた排紙口からそのまま排紙すると、ページ順が、それまでと逆順に積み重ねられることになるため、スイッチバックを行なうことで上面下面を反転させて排紙して、それまでのページ順を継続できるようにしている。
【0032】
その後、裏面印刷は行なわず、切り替えられた排紙口から排紙する(S110)。切り替えられた排紙口から排紙すると、印刷用紙は、スイッチバックにより表裏が反転しているため、フェイスアップ排紙口360から排紙された場合でもフェイスダウンの状態で排紙される。また、フェイスダウン排紙口340から排紙された場合でもフェイスアップの状態で排紙される。すなわち、切り替え前の排紙口からの排紙と同じ状態で排紙されることになる。このとき、ページの印刷順序を変更する必要がない。
【0033】
駆動制御部102には、このような搬送を行なえるように、搬送駆動部150の切替機構370、372の動作を動的に制御する。以上の印刷処理(S108)、循環・用紙反転処理(S109)、排紙処理(S110)を全ページの印刷が終了するまで繰り返す(S111)。
【0034】
この場合、全ページの印刷終了後には、印刷物は2箇所の排紙台に分割されて載置されている。このため、ページ順に並んだ印刷結果を得るためには、2つの印刷物の束を適切に重ね合わせなければならない。そこで、表示部120に、印刷物の取り扱いについてのガイド表示を行なって(S112)、本処理を終了する。ユーザは、表示部120に表示されたガイドにしたがって2つの印刷物の束を重ね合わせることで、ページ順に並んだ印刷結果を得ることができる。
【0035】
次に、具体的な例を用いて上記の処理をさらに詳しく説明する。まず、フェイスアップ排紙口360が排紙口として指定されている場合について、図4、図5、図6を用いて説明する。ここでは、分かりやすくするために8ページの印刷物を例とし、フェイスアップ排紙台362の最大積載量は4枚であるとする。
【0036】
フェイスアップ排紙口360が排紙口として指定されている場合には、図4(a)に示すように印刷順序はページの逆順となる。すなわち、「8」「7」…「2」「1」の順で印刷データがホストコンピュータから送られてくる。なお「N」はNページ目を示している。このようなページ順で印刷を行なって、フェイスアップ排紙口360から排紙を行なうと、図4(b)に示すように、印刷面を上にして、上から「1」「2」…「7」「8」の順で重なった印刷物を得ることができる。
【0037】
このとき、印刷用紙の搬送経路は、図5(a)に示すようになる。すなわち、ヘッドユニット310により印刷された印刷用紙は、印刷面を上にしてそのままフェイスアップ排紙口360に導かれ排紙される。このとき、切替機構372は、常に印刷用紙をフェイスアップ排紙口360側に導くように機能すればよい。
【0038】
印刷が開始され、5ページ目を印刷後にフェイスアップ排紙台362の最大積載量に達すると、排紙口がフェイスダウン排紙口340に切り替えられる。ただし、印刷用紙は、即座に排紙はされずに、循環搬送路を搬送されてスイッチバックにより反転されて、フェイスダウン排紙口340から排紙される。このため、4ページ目から1ページ目までの印刷用紙は、図5(b)に示すような経路を搬送される。このとき、切替機構372は、常に印刷用紙を筐体内の循環搬送経路側に導くように機能させ、切替機構370は、スイッチバック前の印刷用紙はスイッチバック経路SR側に導き、スイッチバック後の印刷用紙はフェイスダウン排紙口340側に導くように機能させる。
【0039】
この結果、図4(c)に示すように、5ページ目から8ページ目までは、フェイスアップ排紙台362に、印刷面を上にして上から「5」「6」「7」「8」のページ順で積み重ねられる。また、1ページ目から4ページ目までは、フェイスダウン排紙台350に、印刷面を上にして上から「1」「2」「3」「4」のページ順で積み重ねられる。
【0040】
したがって、図4(b)に示したような印刷面を上にして上から「1」「2」…「7」「8」のページ順で積み重ねられた印刷結果を得るためには、フェイスダウン排紙台350の印刷物を、印刷面を上にしてフェイスアップ排紙台362の印刷物に重ねればよいことになる。このため、本実施形態では、図6に示すような、フェイスダウン排紙台の印刷物を、印刷面を上にしてフェイスアップ排紙台の印刷物に重ねることを文字および視覚的に示すガイドを表示部120に表示するようにしている。
【0041】
次に、フェイスダウン排紙口340が排紙口として指定されている場合について、図7、図8、図9を用いて説明する。ここでは、分かりやすくするために8ページの印刷物を例とし、フェイスダウン排紙台350の最大積載量は4枚であるとする。
【0042】
フェイスダウン排紙口340が排紙口として指定されている場合には、図7(a)に示すように印刷順序はページ順となる。すなわち、「1」「2」…「7」「8」の順で印刷データがホストコンピュータから送られてくる。このようなページ順で印刷を行なって、フェイスダウン排紙口340から排紙を行なうと、図7(b)に示すように、印刷面を下にして、下から「1」「2」…「7」「8」の順で重なった印刷物を得ることができる。なお、図中の反転した数字は、下面に印刷されていることを示している。
【0043】
このとき、印刷用紙の搬送経路は、図8(a)に示すようなる。すなわち、ヘッドユニット310により印刷された印刷用紙は、フェイスダウン排紙口340に導かれ印刷面を下にして排紙される。このとき、切替機構372は、常に印刷用紙を筐体内の循環搬送経路側に導くように機能させ、切替機構370は、常に印刷用紙フェイスダウン排紙口340側に導くように機能させればよい。
【0044】
印刷が開始され、4ページ目を印刷後にフェイスダウン排紙台350の最大積載量に達すると、排紙口がフェイスアップ排紙口360に切り替えられる。ただし、印刷用紙は、即座に排紙はされずに、循環搬送路を搬送されてスイッチバックにより反転されて、フェイスアップ排紙口360から排紙される。このため、5ページ目から8ページ目までの印刷用紙は、図8(b)に示すような経路を搬送される。このとき、切替機構370は、常に印刷用紙をスイッチバック経路SR側に導くように機能させ、切替機構372は、スイッチバック前の印刷用紙は筐体内の循環搬送経路側に導き、スイッチバック後の印刷用紙はフェイスアップ排紙口360側に導くように機能させる。
【0045】
この結果、図7(c)に示すように、1ページ目から4ページ目までは、フェイスダウン排紙台350に、印刷面を下にして下から「1」「2」「3」「4」のページ順で積み重ねられる。また、5ページ目から8ページ目までは、フェイスアップ排紙台362に、印刷面を下にして下から「5」「6」「7」「8」のページ順で積み重ねられる。
【0046】
したがって、図7(b)に示したような印刷面を下にして下から「1」「2」…「7」「8」のページ順で積み重ねられた印刷結果を得るためには、フェイスアップ排紙台362の印刷物を、印刷面を下にしてフェイスダウン排紙台350の印刷物に重ねればよいことになる。このため、本実施形態では、図9に示すような、フェイスアップ排紙台の印刷物を、印刷面を下にしてフェイスダウン排紙台の印刷物に重ねることを文字および視覚的に示すガイドを表示部120に表示するようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】用紙反転機構付循環搬送路を備えた印刷装置の概要を示す図である。
【図2】印刷装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】印刷装置における排紙制御処理について説明するためのフローチャートである。
【図4】フェイスアップ排紙口が指定された場合のページ印刷順を示す図である。
【図5】フェイスアップ排紙口が指定された場合の用紙搬送経路を示す図である。
【図6】フェイスアップ排紙口が指定された場合のガイド表示を示す図である。
【図7】フェイスダウン排紙口が指定された場合のページ印刷順を示す図である。
【図8】フェイスダウン排紙口が指定された場合の用紙搬送経路を示す図である。
【図9】フェイスダウン排紙口が指定された場合のガイド表示を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10…印刷装置、100…メイン制御部、101…印刷制御部、102…駆動制御部、103…印刷データ格納部、110…操作受付部、120…表示部、130…通信処理部、140…印刷実行部、150…搬送駆動部、162…フェイスアップ排紙台、310…ヘッドユニット、320…サイド給紙台、330…給紙トレイ、340…フェイスダウン排紙口、350…フェイスダウン排紙台、352…搬送ベルト、360…フェイスアップ排紙口、362…フェイスアップ排紙台、370…切替機構、372…切替機構、381…フェイスダウン排紙台用紙積載量センサ、382…フェイスアップ排紙台用紙積載量センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷面を上にして排紙を行なうフェイスアップ排紙口と、前記フェイスアップ排紙口から排出された用紙を積載するフェイスアップ排紙台と、
印刷面を下にして排紙を行なうフェイスダウン排紙口と、前記フェイスダウン排紙口から排出された用紙を積載するフェイスダウン排紙台とを備えた印刷装置であって、
印刷用紙の表裏を反転させる循環反転経路と、
前記フェイスアップ排紙台に積載された用紙が所定の量に達したことを検出するフェイスアップ排紙量検出手段と、前記フェイスダウン排紙台に積載された用紙が所定の量に達したことを検出するフェイスダウン排紙量検出手段と、
排紙口の指定を含む印刷データに基づく印刷処理を制御する印刷制御手段とを備え、
前記印刷制御手段は、指定された排紙口に排紙を行なう印刷を開始後に、前記指定された排紙口に対応する排紙台に積載された用紙が所定の量に達したことが検出されると、印刷後の印刷用紙を、前記循環反転経路を搬送させた後、前記指定された排紙口と別の排紙口から排紙させることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
表示手段をさらに備え、
前記印刷制御手段は、前記指定された排紙口と別の排紙口から排紙させた印刷の終了後に、前記指定された排紙口に対応する排紙台に積載された用紙と、前記指定された排紙口に対応する排紙台とは別の排紙台に積載された用紙とを重ねる処理についてのガイドを前記表示手段に表示させることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置であって、
前記ガイドは、前記指定された排紙口がフェイスアップ排紙口であった場合は、フェイスダウン排紙台の印刷物を、印刷面を上にしてフェイスアップ排紙台の印刷物に重ねる旨の内容であり、前記指定された排紙口がフェイスダウン排紙口であった場合は、フェイスアップ排紙台の印刷物を、印刷面を下にしてフェイスダウン排紙台の印刷物に重ねる旨の内容であることを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−241293(P2009−241293A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88075(P2008−88075)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】