反り検査装置および反り検査方法
【課題】平板状に形成される検査対象の反り方向を簡易な構成にて検査し得る反り検査装置および反り検査方法を提供を提供する。
【解決手段】アクチュエータ12により平面部11a上に載置された平板状のセラミック基板20の外縁部22が押圧されて、フォトセンサ13により上記押圧力の解除後におけるセラミック基板20の回転が検知される場合に、当該セラミック基板20の反り方向が、外縁部22に対して中央部21が平面部11a側に凸となる反り方向(下側に凸となる反り方向)であることが検知される。
【解決手段】アクチュエータ12により平面部11a上に載置された平板状のセラミック基板20の外縁部22が押圧されて、フォトセンサ13により上記押圧力の解除後におけるセラミック基板20の回転が検知される場合に、当該セラミック基板20の反り方向が、外縁部22に対して中央部21が平面部11a側に凸となる反り方向(下側に凸となる反り方向)であることが検知される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック基板等の平板状に形成される検査対象に生じる反りを検査する反り検査装置および反り検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平板状に形成される部材には、その製造過程等に応じて様々な反りが生じる場合がある。このようにそれぞれ異なる反りが生じた部材を単に使用すると、その部材の特性がばらついてしまうという問題がある。例えば、それぞれ異なる反りが生じている複数のセラミック基板に対して、それぞれ部品を実装する場合には、実装面までの距離がセラミック基板によってばらつくために、高精度の実装が困難になるという問題がある。
【0003】
この問題を解決するため、セラミック基板等の平板状に形成される検査対象に生じる反りを検査する反り検査装置として、下記特許文献1に開示される反り検査装置が知られている。この反り検査装置は、合成樹脂製のベース板上面に配置されたセラミック基板の反り量を、光学的変位検出手段としてレーザ変位計を用いて検出する装置である。当該反り検査装置は、CCDカメラ等を使用した画像処理によって特定されるセラミック基板の検査対象箇所に対して、レーザ変位計からレーザ光を照射して予め設定された基準面からの高さを測定することで、この高さに基づいてセラミック基板の反り量を正確に検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−317408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に開示されるような検査装置の構成では、CCDカメラやレーザー変位計等を用いているため、セラミック基板の反り量を正確に測定可能という長所がある一方で、複雑な制御が必要となるため、検査装置に関する製造コストが高くなるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、平板状に形成される検査対象の反り方向を簡易な構成にて検査し得る反り検査装置および反り検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の反り検査装置では、平板状に形成される検査対象の反り方向を検査する反り検査装置であって、前記検査対象が載置される平面部と、前記平面部上に載置された前記検査対象を、その中央部を基準として当該平面部に沿い回転させるために、その外縁部を押圧可能な押圧手段と、前記押圧手段により押圧された前記検査対象が、この押圧力の解除後も前記中央部を基準に回転したことを検知する回転検知手段と、前記回転検知手段により前記押圧力の解除後における前記検査対象の回転が検知される場合に、当該検査対象の反り方向が、前記外縁部に対して前記中央部が平面部側に凸となる反り方向であることを検知する反り方向検知手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の反り検査装置において、前記回転検知手段は、前記平面部上に配置されるフォトセンサを備え、当該フォトセンサ上を通過する前記検査対象を検知することで、当該検査対象の回転を検知することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の反り検査装置において、許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットと、前記スリットの通過の可否に基づいて、前記検査対象をその反り量に応じて選別する選別手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載の反り検査装置において、前記スリットは、前記押圧手段により押圧された前記検査対象のうち、前記許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能となるように、前記平面部上に形成されることを特徴とする。
【0011】
特許請求の範囲に記載の請求項5の反り検査方法では、平板状に形成される検査対象の反り方向を検査する反り検査方法であって、前記検査対象を平面部上に載置する第1工程と、前記平面部に載置された前記検査対象に対して、その中央部を基準として当該平面部に沿い回転させるために、その外縁部を押圧する第2工程と、前記第2工程により押圧された前記検査対象について、この押圧力の解除後も前記中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、前記外縁部に対して前記中央部が平面部側に凸となる反り方向であることを検知する第3工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5に記載の反り検査方法において、前記第3工程では、前記平面部上に配置されるフォトセンサにより当該フォトセンサ上を通過する前記検査対象を検知することで、当該検査対象の回転を検知することを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項5または6に記載の反り検査方法において、前記第3工程にて前記押圧力の解除後に前記中央部を基準に回転したことが検知されない前記検査対象について、前記第1工程にて前記平面部上に載置された側の面と異なる側の面にて接触するように前記平面部上に載置する第4工程と、前記第4工程により前記平面部に載置された前記検査対象に対して、その中央部を基準として当該平面部に沿い回転させるために、その外縁部を押圧する第5工程と、前記第5工程により押圧された前記検査対象について、この押圧力の解除後も前記中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、前記外縁部に対して前記中央部が平面部側に凸となる反り方向であることを検知する第6工程と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項5〜7のいずれか一項に記載の反り検査方法において、許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットの通過の可否に基づいて、前記検査対象をその反り量に応じて選別する選別工程を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項5〜7のいずれか一項に記載の反り検査方法において、前記第2工程により押圧された前記検査対象のうち、許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットが前記平面部上に形成され、前記第3工程は、前記第2工程により押圧された前記検査対象が、この押圧力の解除後も前記スリットを通過し前記中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、前記外縁部に対して前記中央部が平面部側に凸となる反り方向であることを検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明では、押圧手段により平面部上に載置された平板状の検査対象の外縁部が押圧されて、回転検知手段により押圧力の解除後における検査対象の回転が検知される場合に、当該検査対象の反り方向が、外縁部に対して中央部が平面部側に凸となる反り方向であることが反り方向検知手段により検知される。
【0017】
押圧手段により平面部上に載置された検査対象の外縁部が押圧されるとき、外縁部に対して中央部が平面部側に凸となる反り方向(以下、下側に凸となる反り方向という)の検査対象では、中央部のみ平面部に接触しているため、押圧力の解除後も中央部を基準に回転する。一方、中央部のみで平面部に接触しない検査対象、例えば、外縁部に対して中央部が反平面部側に凸となる反り方向の検査対象では、複数の箇所で平面部に接触しているため、押圧力の解除後に回転することはない。このため、上記押圧力の解除後における検査対象の回転が検知される場合に、当該検査対象の反り方向が、下側に凸となる反り方向であることを検知することができる。
したがって、平板状に形成される検査対象の反り方向を簡易な構成にて検査することができる。
【0018】
請求項2の発明では、回転検知手段は、平面部上に配置されるフォトセンサを備え、当該フォトセンサ上を通過する検査対象を検知することで、当該検査対象の回転を検知するため、簡易な構成にて平面部上に配置される検査対象の回転を検知することができる。
【0019】
請求項3の発明では、許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットの通過の可否に基づいて、選別手段により、検査対象がその反り量に応じて選別される。これにより、検査対象の反り方向を検知するだけでなく、その反り量を上記許容される反り量に基づいて選別することができる。
【0020】
請求項4の発明では、上記スリットは、押圧手段により押圧された検査対象のうち、許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能となるように、平面部上に形成されるため、検査対象に対する反り方向の検知と上記許容される反り量に基づく選別とを同時に実施でき、検査工程を短縮することができる。
【0021】
請求項5の発明では、第1工程により、検査対象が平面部上に載置される。そして、第2工程により、平面部に載置された検査対象に対して、その中央部を基準として当該平面部に沿い回転させるために、その外縁部が押圧される。そして、第3工程より、第2工程により押圧された検査対象について、この押圧力の解除後も中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、外縁部に対して中央部が平面部側に凸となる反り方向であることが検知される。
【0022】
このようにしても、上記請求項1に記載の発明のように、上記押圧力の解除後における検査対象の回転が検知される場合に、当該検査対象の反り方向が、下側に凸となる反り方向であることを検知することができる。
したがって、平板状に形成される検査対象の反り方向を簡易な構成にて検査することができる。
【0023】
請求項6の発明では、第3工程では、平面部上に配置されるフォトセンサにより当該フォトセンサ上を通過する検査対象を検知することで、当該検査対象の回転を検知するため、簡易な構成にて平面部上に配置される検査対象の回転を検知することができる。
【0024】
請求項7の発明では、第4工程により、第3工程にて押圧力の解除後に中央部を基準に回転したことが検知されない検査対象が、第1工程にて平面部上に載置された側の面と異なる側の面にて接触するように平面部上に載置される。そして、第5工程により、第4工程により平面部に載置された検査対象に対して、その中央部を基準として当該平面部に沿い回転させるために、その外縁部が押圧される。そして、第6工程により、第5工程により押圧された検査対象について、この押圧力の解除後も中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、外縁部に対して中央部が平面部側に凸となる反り方向であることが検知される。
【0025】
平板状に形成される検査対象の両平面を一側板面および他側板面とするとき、外縁部に対して中央部が一側板面側に凸となる反り方向の検査対象を、その一側板面にて接触するように平面部上に載置する場合、当該検査対象の反り方向は、外縁部に対して中央部が平面部側に凸となる反り方向となる。一方、上記検査対象を、その他側板面にて接触するように平面部上に載置する場合、当該検査対象の反り方向は、外縁部に対して中央部が反平面部側に凸となる反り方向となる。すなわち、一側板面および他側板面のいずれかを平面部に接触させるように載置したことに応じて、検査対象の平面部に対する反り方向が異なることとなる。
【0026】
そこで、一側板面および他側板面の区別する必要がない検査対象については、複数の検査対象のうち、一側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で上記第3工程にて回転が検知される検査対象と、一側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で上記第3工程にて回転が検知されない検査対象であって他側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で上記第6工程にて回転が検知される検査対象とを抽出する。これにより、反り方向が一致する検査対象をより多く抽出することができる。
【0027】
また、一側板面および他側板面の区別する必要がある検査対象についても、一側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で上記第3工程にて回転が検知される検査対象と、一側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で上記第3工程にて回転が検知されない検査対象であって他側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で上記第6工程にて回転が検知される検査対象とを区別して抽出することもできる。
【0028】
請求項8の発明では、選別工程により、許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットの通過の可否に基づいて、検査対象がその反り量に応じて選別される。これにより、検査対象の反り方向を検知するだけでなく、その反り量を上記許容される反り量に基づいて選別することができる。
【0029】
請求項9の発明では、第2工程により押圧された検査対象のうち、許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットが平面部上に形成される。そして、第3工程により、第2工程により押圧された検査対象が、この押圧力の解除後も上記スリットを通過し中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、下側に凸となる反り方向であることが検知される。これにより、検査対象に対する反り方向の検知と上記許容される反り量に基づく選別とを同時に実施でき、検査工程を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態に係る反り検査装置にセラミック基板を載置した状態を示す説明図であり、図1(A)は側面図であり、図1(B)は上面図である。
【図2】セラミック基板に生じる反り方向を説明するための側面図である。
【図3】第1実施形態に係る制御部において実施される選別処理の流れを例示するフローチャートである。
【図4】図4(A)は、セラミック基板が押圧部に押圧された状態で回転した状態を示す説明図であり、図4(B)は、セラミック基板がアクチュエータによる押圧力の解除後に回転した状態を示す説明図である。
【図5】図5(A)は、上側に凸となる反り方向のセラミック基板を平面部に載置した状態を示す側面図であり、図5(B)は、図5(A)に示すセラミック基板がアクチュエータによる押圧力の解除後の状態を示す説明図である。
【図6】第2実施形態に係る制御部において実施される選別処理の流れを例示するフローチャートである。
【図7】第3実施形態に係る反り検査装置にセラミック基板を載置した状態を示す説明図であり、図7(A)は側面図であり、図7(B)は上面図である。
【図8】図8(A)は、セラミック基板がスリットを通過して回転した状態を示す説明図であり、図8(B)は、セラミック基板がスリットを通過することなく移動が停止した状態を示す説明図である。
【図9】第1変形例に係る反り検査装置にセラミック基板を載置した状態を示す説明図である。
【図10】図10(A)は、下側に凸となる反り方向のセラミック基板の検査状態を示す説明図であり、図10(B)は、上側に凸となる反り方向のセラミック基板の検査状態を示す説明図である。
【図11】第2変形例に係る反り検査装置に下側に凸となる反り方向のセラミック基板を載置した状態を示す説明図であり、図11(A)は押さえ治具による押圧前の状態を示し、図11(B)は押さえ治具による押圧後の状態を示す。
【図12】第2変形例に係る反り検査装置に上側に凸となる反り方向のセラミック基板を載置した状態を示す説明図であり、図12(A)は押さえ治具による押圧前の状態を示し、図12(B)は押さえ治具による押圧後の状態を示す。
【図13】第3変形例に係る反り検査装置に下側に凸となる反り方向のセラミック基板を載置した状態を示す説明図であり、図13(A)は側面図であり、図13(B)は上面図である。
【図14】第3変形例に係る反り検査装置に上側に凸となる反り方向のセラミック基板を載置した状態を示す説明図であり、図14(A)は側面図であり、図14(B)は上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る反り検査装置および反り検査方法について、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る反り検査装置10にセラミック基板20を載置した状態を示す説明図であり、図1(A)は側面図であり、図1(B)は上面図である。
【0032】
図1に示す反り検査装置10は、セラミック基板等の平板状に形成される検査対象に生じる反りを検査する装置であって、当該反り検査装置10は、平面部11aが形成される治具11と、平面部11a上に配置されて当該平面部11a上に載置される検査対象を押圧可能なアクチュエータ12と、平面部11aに配置されるフォトセンサ13と、当該反り検査装置10を統括的に制御する制御部14とを備えている。
【0033】
アクチュエータ12は、制御部14から入力される押圧信号に応じて、平面部11a上に載置された検査対象を、当該平面部11aに沿い移動させるために、その外縁部を伸縮可能な押圧部12aにて押圧するように構成されている。なお、アクチュエータ12は、特許請求の範囲に記載の「押圧手段」の一例に相当し得る。
【0034】
フォトセンサ13は、アクチュエータ12により押圧された検査対象が、この押圧力の解除後もその中央部を基準に回転したことを検知する機能を有するもので、平面部11a上に配置されて、当該フォトセンサ13上を通過する検査対象を検知することで、回転検知信号を制御部14に出力する。なお、フォトセンサ13は、特許請求の範囲に記載の「回転検知手段」の一例に相当し得る。
【0035】
制御部14は、反り検査装置10全体を制御可能なマイコンで、CPUやメモリなどによって構成されており、後述する選別処理を実施することにより、検査対象の反り方向の検知が実施される。なお、制御部14は、特許請求の範囲に記載の「反り方向検知手段」の一例に相当し得る。
【0036】
次に、本実施形態に係る反り検査装置10の検査対象について、図2を用いて説明する。図2は、セラミック基板20に生じる反り方向を説明するための側面図であり、図2(A)は、下側に凸となる反り方向のセラミック基板20を示し、図2(B)は、上側に凸となる反り方向のセラミック基板20を示し、図2(C)は、波状の反りのセラミック基板20を示す。
【0037】
本実施形態では、検査対象として、平板状のセラミック基板20が採用されている。セラミック基板20のように焼結にて製造される基板には、焼結過程のばらつき等により、様々な反りが発生する。セラミック基板20に生じる反り方向としては、例えば、図2(A)に例示するように、載置される平面部11aを基準として、外縁部22に対して中央部21が平面部側に凸となる反り方向(以下、下側に凸となる反り方向という)がある。また、図2(B)に例示するように、外縁部22に対して中央部21が反平面部側に凸となる反り方向(以下、上側に凸となる反り方向という)の反りや、図2(C)に例示するように、波状の反りが、セラミック基板20に生じる場合がある。
【0038】
このように、それぞれ異なる反りが生じている複数のセラミック基板20に対して、それぞれ電子部品等を実装する場合には、実装面までの距離がセラミック基板20によってばらつくために、高精度の実装が困難になるという問題がある。
【0039】
そこで、本実施形態に係る反り検査装置10では、図2(A)に例示する下側に凸となる反り方向のセラミック基板20であれば、平面部11aに対して中央部21のみで接触するため、所定の押圧力を付与することで中央部21を中心に回転することを利用して、セラミック基板20について、その反り方向に応じた選別を可能としている。
【0040】
以下、反り検査装置10の制御部14にて実行される選別処理について図を用いて説明する。図3は、第1実施形態に係る制御部14において実施される選別処理の流れを例示するフローチャートである。図4(A)は、セラミック基板20が押圧部12aに押圧された状態で回転した状態を示す説明図であり、図4(B)は、セラミック基板20がアクチュエータ12による押圧力の解除後に回転した状態を示す説明図である。図5(A)は、上側に凸となる反り方向のセラミック基板20を平面部11aに載置した状態を示す側面図であり、図5(B)は、図5(A)に示すセラミック基板20がアクチュエータ12による押圧力の解除後の状態を示す説明図である。
【0041】
まず、ステップS101にて載置処理がなされ、検査対象であるセラミック基板20が制御部14により制御される搬送機(図示略)により平面部11a上に載置される。このとき、セラミック基板20は、図1(B)に示すように、アクチュエータ12に対して、伸長する押圧部12aが外縁部22を平面部11aに平行に押圧可能な位置であって、フォトセンサ13に対して、押圧部12aにて押圧された状態で移動するセラミック基板20が当該フォトセンサ13の上方を通過しない位置に載置される。なお、ステップS101における処理は、特許請求の範囲に記載の「第1工程」の一例に相当し得る。また、上述した載置処理では、上記搬送機を採用することなく、作業者自身がセラミック基板20を載置してもよい。
【0042】
このようにセラミック基板20が平面部11a上に載置されると、ステップS103にて押圧処理がなされ、アクチュエータ12に対して上記押圧信号が出力される。アクチュエータ12は、上記押圧信号が入力されると、平面部11a上に載置されたセラミック基板20を、その中央部21を基準として当該平面部11aに沿い回転させるために、その外縁部22を押圧部12aにて平面部11aに対して平行に押圧する。これにより、セラミック基板20は、図4(A)に示すように、アクチュエータ12の押圧部12aに押圧された状態で、当該平面部11aに沿い移動する。なお、ステップS103における処理は、特許請求の範囲に記載の「第2工程」の一例に相当し得る。
【0043】
このようにセラミック基板20がアクチュエータ12により押圧された状態で移動すると、ステップS105において、フォトセンサ13から回転検知信号の入力の有無に応じて、セラミック基板20の回転が検出されたか否かについて判定される。
【0044】
ここで、セラミック基板20は、その反り方向が下側に凸となる反り方向である場合には、平面部11aに対して中央部21のみで接触しているため、押圧部12aに押圧された状態で中央部21を中心に回転する。そして、セラミック基板20は、押圧部12aが伸長し終えて押圧力が解除された後も、慣性により中央部21を中心とする回転が維持される。そして、図4(B)に示すように、上述のように回転するセラミック基板20の一部がフォトセンサ13上を通過すると、フォトセンサ13から回転検知信号が入力され、セラミック基板20が回転しているとして、ステップS105にてYesと判定される。
【0045】
このようにセラミック基板20の回転が検出されると、ステップS107にて、平面部11a上に載置されるセラミック基板20の反り方向が、下側に凸となる反り方向であることが検知される。そして、このように反り方向が検知されたセラミック基板20は、他の反り方向のセラミック基板20と区別(選別)されて、所定の後工程に搬送される。なお、ステップS105,S107における処理は、特許請求の範囲に記載の「第3工程」の一例に相当し得る。
【0046】
一方、セラミック基板20は、その反り方向が下側に凸となる反り方向と異なる場合、例えば、図5(A)に示すように、その反り方向が上側に凸となる反り方向となる場合には、平面部11aに対して1箇所のみで接触せず複数の箇所で接触する。このため、セラミック基板20は、中央部21を中心に回転することなく、押圧部12aに押圧された状態で移動する。そして、セラミック基板20は、複数の箇所にて平面部11aに接触していることからその摩擦力が大きくなるため、押圧部12aが伸長し終えて押圧力が解除されると、その移動が停止する。このため、図5(B)に示すように、上述のように移動するセラミック基板20がフォトセンサ13上を通過することもないので、フォトセンサ13から回転検知信号が入力されることもなく、セラミック基板20が回転していないとして、ステップS105にてNoと判定される。
【0047】
このようにセラミック基板20の回転が検出されない場合には、ステップS109にて、平面部11a上に載置されるセラミック基板20の反り方向が、下側に凸となる反り方向と異なる方向であることが検知される。そして、このように反り方向が検知されたセラミック基板20は、下側に凸となる反り方向のセラミック基板20と区別(選別)されて、上記所定の後工程と異なる後工程に搬送される。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る反り検査装置10では、アクチュエータ12により平面部11a上に載置された平板状のセラミック基板20の外縁部22が押圧されて、フォトセンサ13により上記押圧力の解除後におけるセラミック基板20の回転が検知される場合に、当該セラミック基板20の反り方向が、外縁部22に対して中央部21が平面部11a側に凸となる反り方向(下側に凸となる反り方向)であることが検知される。
【0049】
また、本実施形態に係る反り検査装置10を用いた反り検査方法としては、ステップS101の載置処理により、セラミック基板20が平面部11a上に載置される。そして、ステップS103の押圧処理により、平面部11aに載置されたセラミック基板20に対して、その中央部21を基準として当該平面部11aに沿い回転させるために、その外縁部22が押圧される。そして、ステップS105,S107における処理より、押圧されたセラミック基板20について、この押圧力の解除後も中央部21を基準に回転したことを検知することで、当該セラミック基板20の反り方向が、外縁部22に対して中央部21が平面部側に凸となる反り方向(下側に凸となる反り方向)であることが検知される。
【0050】
このように、上記押圧力の解除後におけるセラミック基板20の回転が検知される場合に、当該セラミック基板20の反り方向が、下側に凸となる反り方向であることを検知することができるので、平板状に形成されるセラミック基板20の反り方向を簡易な構成にて検査することができる。
【0051】
また、ステップS105における判定処理では、平面部11a上に配置されるフォトセンサ13により当該フォトセンサ13上を通過するセラミック基板20を検知することで、当該セラミック基板20の回転を検知するため、簡易な構成にて平面部11a上に配置されるセラミック基板20の回転を検知することができる。
【0052】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る反り検査装置および反り検査方法について図6を参照して説明する。図6は、第2実施形態に係る制御部14において実施される選別処理の流れを例示するフローチャートである。
【0053】
本第2実施形態に係る反り検査装置および反り検査方法では、一側板面および他側板面の区別する必要がない検査対象を前提に、上述した選別処理について図3に示すフローチャートに代えて図6に示すフローチャートに基づいて処理している点が、上記第1実施形態に係る反り検査装置および反り検査方法と主に異なる。したがって、上述した第1実施形態の反り検査装置および反り検査方法と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0054】
平板状に形成される検査対象の両平面を一側板面および他側板面とするとき、外縁部に対して中央部が一側板面側に凸となる反り方向の検査対象を、その一側板面にて接触するように平面部上に載置する場合、当該検査対象の反り方向は、外縁部に対して中央部が平面部側に凸となる反り方向となる。一方、上記検査対象を、その他側板面にて接触するように平面部上に載置する場合、当該検査対象の反り方向は、外縁部に対して中央部が反平面部側に凸となる反り方向となる。すなわち、一側板面および他側板面のいずれかを平面部に接触させるように載置したことに応じて、検査対象の平面部に対する反り方向が異なることとなる。
【0055】
そこで、本実施形態では、一側板面および他側板面の区別する必要がない検査対象については、複数の検査対象のうち、一側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で回転が検知される検査対象と、一側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で回転が検知されない検査対象であって他側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で回転が検知される検査対象とを抽出する。これにより、反り方向が一致する検査対象をより多く抽出することができる。
【0056】
以下、本実施形態における選別処理について、平板状のセラミック基板20を検査対象として、図6のフローチャートを用いて説明する。
上記第1実施形態における選別処理と同様に、一側板面にて接触するように平面部11a上に載置されたセラミック基板20が、アクチュエータ12により押圧された状態で移動した後に、図6のステップS105にてセラミック基板20の回転が検知されると、ステップS107にて、平面部11a上に載置されるセラミック基板20の反り方向が、外縁部22に対して中央部21が一側板面側に凸となる反り方向、すなわち、下側に凸となる反り方向であることが検知される。
【0057】
一方、セラミック基板20の反り方向が下側に凸となる反り方向と異なる場合には、セラミック基板20の回転が検知されないため、ステップS105にてNoと判定されて、ステップS111にて反転処理がなされる。この処理では、セラミック基板20は、制御部14により制御される反転機(図示略)により、ステップS101にて平面部11a上に載置された一側板面と異なる側の面である他側板面にて接触するように、平面部11a上の所定の位置に反転されて載置される。なお、ステップS111における処理は、特許請求の範囲に記載の「第4工程」の一例に相当し得る。また、上述した反転処理では、上記反転機を採用することなく、作業者自身がセラミック基板20を反転してもよい。
【0058】
このようにセラミック基板20が他側板面にて接触するように平面部11a上に載置されると、ステップS113にて押圧処理がなされ、アクチュエータ12に対して上記押圧信号が出力されることで、セラミック基板20は、アクチュエータ12の押圧部12aに押圧された状態で、当該平面部11aに沿い移動する。なお、ステップS113における処理は、特許請求の範囲に記載の「第5工程」の一例に相当し得る。
【0059】
ここで、セラミック基板20の反り方向が、外縁部22に対して中央部21が他側板面側に凸となる反り方向である場合、すなわち、下側に凸となる反り方向である場合には、押圧部12aが伸長し終えて押圧力が解除された後も、慣性により中央部21を中心とする回転が維持され、その回転がフォトセンサ13にて検知される。これにより、ステップS115にてYesと判定されて、ステップS107にて、平面部11a上に載置されるセラミック基板20の反り方向が、下側に凸となる反り方向であることが検知される。そして、このように反り方向が検知されたセラミック基板20は、上記ステップS105にてYesと判定されたセラミック基板20と同じ反り方向であり、他の反り方向のセラミック基板20と区別(選別)されて、所定の後工程に搬送される。
【0060】
一方、セラミック基板20は、その反り方向が下側に凸となる反り方向と異なる場合、例えば、図2(C)に例示するような波状の反りとなる場合には、押圧部12aが伸長し終えて押圧力が解除されると、その移動が停止する。このため、フォトセンサ13から回転検知信号が入力されることもなく、セラミック基板20が回転していないとして、ステップS115にてNoと判定される。
【0061】
このようにセラミック基板20の回転が検出されない場合には、ステップS109にて、平面部11a上に載置されるセラミック基板20の反り方向が、下側に凸となる反り方向と異なる方向であることが検知される。そして、このように反り方向が検知されたセラミック基板20は、下側に凸となる反り方向のセラミック基板20と区別(選別)されて、上記所定の後工程と異なる後工程に搬送される。なお、ステップS115,S107における処理は、特許請求の範囲に記載の「第6工程」の一例に相当し得る。
【0062】
以上説明したように、本実施形態に係る反り検査方法では、ステップS105にて、押圧力の解除後に中央部21を基準に回転したことが検知されないセラミック基板20が、ステップS111にて、ステップS101にて平面部11a上に載置された側の面と異なる側の面にて接触するように平面部11a上に載置される。そして、ステップS113にて、その外縁部22が押圧され、ステップS115にて、上記押圧力の解除後も中央部21を基準に回転したことを検知することで、当該セラミック基板20の反り方向が、下側に凸となる反り方向であることが検知される。
【0063】
このため、一側板面および他側板面の区別する必要がないセラミック基板20については、複数のセラミック基板20のうち、一側板面にて接触するように平面部11a上に載置した状態で回転が検知されるセラミック基板20と、一側板面にて接触するように平面部11a上に載置した状態で回転が検知されず他側板面にて接触するように平面部11a上に載置した状態で回転が検知されるセラミック基板20とを抽出することで、反り方向が一致するセラミック基板20をより多く抽出することができる。
【0064】
なお、一側板面および他側板面の区別する必要があるセラミック基板20についても、一側板面にて接触するように平面部11a上に載置した状態で回転が検知されるセラミック基板20と、一側板面にて接触するように平面部11a上に載置した状態で回転が検知されず他側板面にて接触するように平面部11a上に載置した状態で回転が検知されるセラミック基板20とを区別して抽出することもできる。
【0065】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る反り検査装置および反り検査方法について図7および図8を参照して説明する。図7は、第3実施形態に係る反り検査装置10aにセラミック基板20を載置した状態を示す説明図であり、図7(A)は側面図であり、図7(B)は上面図である。図8(A)は、セラミック基板20がスリット15を通過して回転した状態を示す説明図であり、図8(B)は、セラミック基板20がスリット15を通過することなく移動が停止した状態を示す説明図である。
【0066】
本第3実施形態に係る反り検査装置10aおよび反り検査方法では、検査対象の反り方向を検知するだけでなく、その反り量を許容される反り量に基づいて選別するために、スリット15が新たに採用される点が、上記第1実施形態に係る反り検査装置および反り検査方法と主に異なる。したがって、上述した第1実施形態の反り検査装置および反り検査方法と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0067】
図7(A),(B)に示すように、治具11の平面部11a上には、所定のスリット幅のスリット15が設けられている。このスリット15は、アクチュエータ12の押圧部12aによる押圧状態でのセラミック基板20には干渉せず、押圧部12aによる押圧力が解除されて移動するセラミック基板20のうち上記所定のスリット幅を超える反り量のセラミック基板20の移動(回転)が当該スリット15により制限されてフォトセンサ13上を通過しないように、配置されている。
【0068】
上記所定のスリット幅は、許容される反り量以下のセラミック基板20が通過可能であって当該許容される反り量を超えるセラミック基板20が通過不能となるように設定されている。このため、セラミック基板20の反り方向が下側に凸となる反り方向であることから上記押圧力の解除後に慣性により回転する場合でも、その反り量が許容される反り量を超える場合にはフォトセンサ13にて検知されることはない。
【0069】
このように、上記スリット15の通過の可否に基づいて、セラミック基板20がその反り量に応じて選別されるので、セラミック基板20の反り方向を検知するだけでなく、その反り量を上記許容される反り量に基づいて選別することができる。なお、ステップS105,S107における処理は、特許請求の範囲に記載の「反り方向検知手段」、「選別手段」および「選別工程」の一例に相当し得る。
【0070】
特に、スリット15は、アクチュエータ12の押圧部12aにより押圧されたセラミック基板20のうち、許容される反り量以下のセラミック基板20が通過可能であって当該許容される反り量を超えるセラミック基板20が通過不能となるように、平面部11a上に形成されるため、セラミック基板20に対する反り方向の検知と上記許容される反り量に基づく選別とを同時に実施でき、検査工程を短縮することができる。
【0071】
なお、スリット15は、平面部11a上に配置されることに限らず、別工程に設けられてもよい。この場合、フォトセンサ13により回転が検知されたセラミック基板20について、上記別工程にてスリット15を通過するか否かに基づいて、反り量に応じた選別を実施することができる。
【0072】
[他の変形例]
図9は、第1変形例に係る反り検査装置10bにセラミック基板20を載置した状態を示す説明図であり、図9(A)は側面図であり、図9(B)は上面図である。図10(A)は、下側に凸となる反り方向のセラミック基板20の検査状態を示す説明図であり、図10(B)は、上側に凸となる反り方向のセラミック基板20の検査状態を示す説明図である。
【0073】
第1変形例に係る反り検査装置10bとして、図9(A),(B)に示すように、平面部11a上のうち、セラミック基板20の中央部21に接触可能な位置に接触センサ16aを設けるとともに、セラミック基板20の外縁部22に接触可能な位置に複数の接触センサ16b〜16eを設け、これらの接触センサによる検出結果に基づいて、セラミック基板20の反り方向を検査してもよい。
【0074】
図10(A)に示すように、セラミック基板20の反り方向が下側に凸となる反り方向であれば、中央部21のみが接触センサ16aに接触することとなる。また、図10(B)に示すように、セラミック基板20の反り方向が上側に凸となる反り方向であれば、外縁部22が接触センサ16b〜16eのうち少なくとも3箇所にて接触することとなる。
【0075】
このように、セラミック基板20の平面部11aに接触する位置を検知することで、当該セラミック基板20の反り方向を検査することができる。なお、各接触センサ16a〜16eは、検査対象の形状に応じて平面部11a上に複数箇所設けることができる。
【0076】
図11は、第2変形例に係る反り検査装置10cに下側に凸となる反り方向のセラミック基板20を載置した状態を示す説明図であり、図11(A)は押さえ治具17による押圧前の状態を示し、図11(B)は押さえ治具17による押圧後の状態を示す。図12は、第2変形例に係る反り検査装置10cに上側に凸となる反り方向のセラミック基板20を載置した状態を示す説明図であり、図12(A)は押さえ治具17による押圧前の状態を示し、図12(B)は押さえ治具17による押圧後の状態を示す。
【0077】
第2変形例に係る反り検査装置10cとして、図11(A)に示すように、平面部11a上に載置されたセラミック基板20の外縁部22の一部(以下、一側外縁部22aという)を平面部11a側に押圧する押さえ治具17と、外縁部22のうち押さえ治具17にて押圧される一側外縁部22aから離間する部位(以下、他側外縁部22b)の直上にて当該部位との間に所定の間隔が形成される接触センサ18とを設け、この接触センサ18による検出結果に基づいて、セラミック基板20の反り方向を検査してもよい。
【0078】
図11(A)に示すように、平面部11a上に載置されたセラミック基板20の反り方向が下側に凸となる反り方向であれば、セラミック基板20は、押さえ治具17による外縁部22の一側外縁部22aの押圧に応じて、図11(B)に示すように、一側外縁部22aが平面部11aに近づくように大きく傾くとともに他側外縁部22bが持ち上げられて接触センサ18に接触する。このため、押さえ治具17による押圧に応じて接触センサ18による接触が検出される場合には、当該セラミック基板20の反り方向は、下側に凸となる反り方向であると判断することができる。
【0079】
一方、図12(A)に示すように、平面部11a上に載置されたセラミック基板20の反り方向が上側に凸となる反り方向であれば、セラミック基板20は、押さえ治具17により外縁部22の一側外縁部22aが押圧されても大きく傾かず、他側外縁部22bが接触センサ18に接触することもない。また、波状の反り等、下側に凸となる反り方向と異なる反り方向であっても、同様に他側外縁部22bが接触センサ18に接触することもない。このため、押さえ治具17による押圧に応じて接触センサ18による接触が検出されない場合には、当該セラミック基板20の反り方向は、下側に凸となる反り方向ではないと判断することができる。
【0080】
図13は、第3変形例に係る反り検査装置10dに下側に凸となる反り方向のセラミック基板20を載置した状態を示す説明図であり、図13(A)は側面図であり、図13(B)は上面図である。図14は、第3変形例に係る反り検査装置10dに上側に凸となる反り方向のセラミック基板20を載置した状態を示す説明図であり、図14(A)は側面図であり、図14(B)は上面図である。
【0081】
第3変形例に係る反り検査装置10dとして、図13(A),(B)に示すように、治具11を下方から照射する光源19を設けるとともに、治具11に光源19からの照射光を上方に透過させる透過部11bを形成することで、平面部11aを上方から見たときのセラミック基板20の外縁部22から漏れる照射光の漏れ方に応じて、セラミック基板20の反り方向を検査してもよい。
【0082】
図13(A)に示すように、平面部11a上に載置されたセラミック基板20の反り方向が下側に凸となる反り方向であれば、透過部11bを透過した照明光は、セラミック基板20の一側板面23にて反射して、平面部11aと外縁部22との間の比較的大きく開いた隙間を介して外方の平面部11aに照射される。この場合、平面部11aに照射される照明光は、図13(B)の斜線部にて示すように、外縁部22のほぼ全周から漏れることとなる。このため、平面部11aに照射される照射光が外縁部22のほぼ全周から漏れる場合には、当該セラミック基板20の反り方向は、下側に凸となる反り方向であると判断することができる。
【0083】
一方、図14(A)に示すように、平面部11a上に載置されたセラミック基板20の反り方向が上側に凸となる反り方向であれば、平面部11aと外縁部22との隙間が比較的小さくなるため、セラミック基板20の一側板面23にて反射した反射光は、平面部11aと外縁部22との隙間を介して外方に照射されにくくなる。この場合、平面部11aには、図14(B)に例示するように照射光が漏れないか、照射光が漏れる場合でも外縁部22の一部のみから漏れることとなる。また、波状の反り等、下側に凸となる反り方向と異なる反り方向であっても、同様に、照射光が漏れないか、照射光が漏れる場合でも外縁部22の一部のみから漏れることとなる。このため、外縁部22を介して平面部11aに照射される照明光の漏れが少ない場合には、当該セラミック基板20の反り方向は、下側に凸となる反り方向ではないと判断することができる。
【0084】
なお、本発明は上記各実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明では、平板状のセラミック基板20を検査対象としているが、これに限らず、平板状に形成される部材、例えば、プリント基板、リードフレーム、モールドパッケージ、ウエハ、板ガラス、金属板、プラスチック板等を検査対象としてもよいし、クッキーやビスケット、板チョコレートなどの菓子類を検査対象としてもよい。また、部品等が組み付けられた完成品を検査対象としてもよいし、部品組み付け前の素材状態を検査対象としてもよい。また、上記各実施形態等では、矩形板状のセラミック基板20を検査対象としているが、これに限らず、例えば、円形板状や他の形状のセラミック基板20や円形板状や他の形状の部材を検査対象としてもよい。
【0085】
(2)平面部11a上に載置された検査対象を押圧する押圧手段として、アクチュエータ12が採用されることに限らず、制御部14により制御されて検査対象を所定の押圧力で押圧する押し治具等を採用してもよい。また、アクチュエータ12による押圧に代えて、作業者自身が検査対象を押圧してもよい。
【0086】
(3)アクチュエータ12により押圧された検査対象がこの押圧力の解除後も中央部21を基準に回転したことを検知する回転検知手段として、フォトセンサ13が採用されることに限らず、検査対象の回転(移動)を検知可能なセンサ等を採用してもよい。また、フォトセンサ13による検知に代えて、作業者自身が目視して検査対象の回転を視認してもよい。
【符号の説明】
【0087】
10,10a…反り検査装置
11…治具
11a…平面部
12…アクチュエータ(押圧手段)
12a…押圧部
13…フォトセンサ(回転検知手段)
14…制御部(反り方向検知手段,選別手段)
15…スリット
20…セラミック基板(検査対象)
21…中央部
22…外縁部
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック基板等の平板状に形成される検査対象に生じる反りを検査する反り検査装置および反り検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平板状に形成される部材には、その製造過程等に応じて様々な反りが生じる場合がある。このようにそれぞれ異なる反りが生じた部材を単に使用すると、その部材の特性がばらついてしまうという問題がある。例えば、それぞれ異なる反りが生じている複数のセラミック基板に対して、それぞれ部品を実装する場合には、実装面までの距離がセラミック基板によってばらつくために、高精度の実装が困難になるという問題がある。
【0003】
この問題を解決するため、セラミック基板等の平板状に形成される検査対象に生じる反りを検査する反り検査装置として、下記特許文献1に開示される反り検査装置が知られている。この反り検査装置は、合成樹脂製のベース板上面に配置されたセラミック基板の反り量を、光学的変位検出手段としてレーザ変位計を用いて検出する装置である。当該反り検査装置は、CCDカメラ等を使用した画像処理によって特定されるセラミック基板の検査対象箇所に対して、レーザ変位計からレーザ光を照射して予め設定された基準面からの高さを測定することで、この高さに基づいてセラミック基板の反り量を正確に検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−317408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に開示されるような検査装置の構成では、CCDカメラやレーザー変位計等を用いているため、セラミック基板の反り量を正確に測定可能という長所がある一方で、複雑な制御が必要となるため、検査装置に関する製造コストが高くなるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、平板状に形成される検査対象の反り方向を簡易な構成にて検査し得る反り検査装置および反り検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の反り検査装置では、平板状に形成される検査対象の反り方向を検査する反り検査装置であって、前記検査対象が載置される平面部と、前記平面部上に載置された前記検査対象を、その中央部を基準として当該平面部に沿い回転させるために、その外縁部を押圧可能な押圧手段と、前記押圧手段により押圧された前記検査対象が、この押圧力の解除後も前記中央部を基準に回転したことを検知する回転検知手段と、前記回転検知手段により前記押圧力の解除後における前記検査対象の回転が検知される場合に、当該検査対象の反り方向が、前記外縁部に対して前記中央部が平面部側に凸となる反り方向であることを検知する反り方向検知手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の反り検査装置において、前記回転検知手段は、前記平面部上に配置されるフォトセンサを備え、当該フォトセンサ上を通過する前記検査対象を検知することで、当該検査対象の回転を検知することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の反り検査装置において、許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットと、前記スリットの通過の可否に基づいて、前記検査対象をその反り量に応じて選別する選別手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載の反り検査装置において、前記スリットは、前記押圧手段により押圧された前記検査対象のうち、前記許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能となるように、前記平面部上に形成されることを特徴とする。
【0011】
特許請求の範囲に記載の請求項5の反り検査方法では、平板状に形成される検査対象の反り方向を検査する反り検査方法であって、前記検査対象を平面部上に載置する第1工程と、前記平面部に載置された前記検査対象に対して、その中央部を基準として当該平面部に沿い回転させるために、その外縁部を押圧する第2工程と、前記第2工程により押圧された前記検査対象について、この押圧力の解除後も前記中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、前記外縁部に対して前記中央部が平面部側に凸となる反り方向であることを検知する第3工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5に記載の反り検査方法において、前記第3工程では、前記平面部上に配置されるフォトセンサにより当該フォトセンサ上を通過する前記検査対象を検知することで、当該検査対象の回転を検知することを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項5または6に記載の反り検査方法において、前記第3工程にて前記押圧力の解除後に前記中央部を基準に回転したことが検知されない前記検査対象について、前記第1工程にて前記平面部上に載置された側の面と異なる側の面にて接触するように前記平面部上に載置する第4工程と、前記第4工程により前記平面部に載置された前記検査対象に対して、その中央部を基準として当該平面部に沿い回転させるために、その外縁部を押圧する第5工程と、前記第5工程により押圧された前記検査対象について、この押圧力の解除後も前記中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、前記外縁部に対して前記中央部が平面部側に凸となる反り方向であることを検知する第6工程と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項5〜7のいずれか一項に記載の反り検査方法において、許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットの通過の可否に基づいて、前記検査対象をその反り量に応じて選別する選別工程を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項5〜7のいずれか一項に記載の反り検査方法において、前記第2工程により押圧された前記検査対象のうち、許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットが前記平面部上に形成され、前記第3工程は、前記第2工程により押圧された前記検査対象が、この押圧力の解除後も前記スリットを通過し前記中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、前記外縁部に対して前記中央部が平面部側に凸となる反り方向であることを検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明では、押圧手段により平面部上に載置された平板状の検査対象の外縁部が押圧されて、回転検知手段により押圧力の解除後における検査対象の回転が検知される場合に、当該検査対象の反り方向が、外縁部に対して中央部が平面部側に凸となる反り方向であることが反り方向検知手段により検知される。
【0017】
押圧手段により平面部上に載置された検査対象の外縁部が押圧されるとき、外縁部に対して中央部が平面部側に凸となる反り方向(以下、下側に凸となる反り方向という)の検査対象では、中央部のみ平面部に接触しているため、押圧力の解除後も中央部を基準に回転する。一方、中央部のみで平面部に接触しない検査対象、例えば、外縁部に対して中央部が反平面部側に凸となる反り方向の検査対象では、複数の箇所で平面部に接触しているため、押圧力の解除後に回転することはない。このため、上記押圧力の解除後における検査対象の回転が検知される場合に、当該検査対象の反り方向が、下側に凸となる反り方向であることを検知することができる。
したがって、平板状に形成される検査対象の反り方向を簡易な構成にて検査することができる。
【0018】
請求項2の発明では、回転検知手段は、平面部上に配置されるフォトセンサを備え、当該フォトセンサ上を通過する検査対象を検知することで、当該検査対象の回転を検知するため、簡易な構成にて平面部上に配置される検査対象の回転を検知することができる。
【0019】
請求項3の発明では、許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットの通過の可否に基づいて、選別手段により、検査対象がその反り量に応じて選別される。これにより、検査対象の反り方向を検知するだけでなく、その反り量を上記許容される反り量に基づいて選別することができる。
【0020】
請求項4の発明では、上記スリットは、押圧手段により押圧された検査対象のうち、許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能となるように、平面部上に形成されるため、検査対象に対する反り方向の検知と上記許容される反り量に基づく選別とを同時に実施でき、検査工程を短縮することができる。
【0021】
請求項5の発明では、第1工程により、検査対象が平面部上に載置される。そして、第2工程により、平面部に載置された検査対象に対して、その中央部を基準として当該平面部に沿い回転させるために、その外縁部が押圧される。そして、第3工程より、第2工程により押圧された検査対象について、この押圧力の解除後も中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、外縁部に対して中央部が平面部側に凸となる反り方向であることが検知される。
【0022】
このようにしても、上記請求項1に記載の発明のように、上記押圧力の解除後における検査対象の回転が検知される場合に、当該検査対象の反り方向が、下側に凸となる反り方向であることを検知することができる。
したがって、平板状に形成される検査対象の反り方向を簡易な構成にて検査することができる。
【0023】
請求項6の発明では、第3工程では、平面部上に配置されるフォトセンサにより当該フォトセンサ上を通過する検査対象を検知することで、当該検査対象の回転を検知するため、簡易な構成にて平面部上に配置される検査対象の回転を検知することができる。
【0024】
請求項7の発明では、第4工程により、第3工程にて押圧力の解除後に中央部を基準に回転したことが検知されない検査対象が、第1工程にて平面部上に載置された側の面と異なる側の面にて接触するように平面部上に載置される。そして、第5工程により、第4工程により平面部に載置された検査対象に対して、その中央部を基準として当該平面部に沿い回転させるために、その外縁部が押圧される。そして、第6工程により、第5工程により押圧された検査対象について、この押圧力の解除後も中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、外縁部に対して中央部が平面部側に凸となる反り方向であることが検知される。
【0025】
平板状に形成される検査対象の両平面を一側板面および他側板面とするとき、外縁部に対して中央部が一側板面側に凸となる反り方向の検査対象を、その一側板面にて接触するように平面部上に載置する場合、当該検査対象の反り方向は、外縁部に対して中央部が平面部側に凸となる反り方向となる。一方、上記検査対象を、その他側板面にて接触するように平面部上に載置する場合、当該検査対象の反り方向は、外縁部に対して中央部が反平面部側に凸となる反り方向となる。すなわち、一側板面および他側板面のいずれかを平面部に接触させるように載置したことに応じて、検査対象の平面部に対する反り方向が異なることとなる。
【0026】
そこで、一側板面および他側板面の区別する必要がない検査対象については、複数の検査対象のうち、一側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で上記第3工程にて回転が検知される検査対象と、一側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で上記第3工程にて回転が検知されない検査対象であって他側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で上記第6工程にて回転が検知される検査対象とを抽出する。これにより、反り方向が一致する検査対象をより多く抽出することができる。
【0027】
また、一側板面および他側板面の区別する必要がある検査対象についても、一側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で上記第3工程にて回転が検知される検査対象と、一側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で上記第3工程にて回転が検知されない検査対象であって他側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で上記第6工程にて回転が検知される検査対象とを区別して抽出することもできる。
【0028】
請求項8の発明では、選別工程により、許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットの通過の可否に基づいて、検査対象がその反り量に応じて選別される。これにより、検査対象の反り方向を検知するだけでなく、その反り量を上記許容される反り量に基づいて選別することができる。
【0029】
請求項9の発明では、第2工程により押圧された検査対象のうち、許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットが平面部上に形成される。そして、第3工程により、第2工程により押圧された検査対象が、この押圧力の解除後も上記スリットを通過し中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、下側に凸となる反り方向であることが検知される。これにより、検査対象に対する反り方向の検知と上記許容される反り量に基づく選別とを同時に実施でき、検査工程を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態に係る反り検査装置にセラミック基板を載置した状態を示す説明図であり、図1(A)は側面図であり、図1(B)は上面図である。
【図2】セラミック基板に生じる反り方向を説明するための側面図である。
【図3】第1実施形態に係る制御部において実施される選別処理の流れを例示するフローチャートである。
【図4】図4(A)は、セラミック基板が押圧部に押圧された状態で回転した状態を示す説明図であり、図4(B)は、セラミック基板がアクチュエータによる押圧力の解除後に回転した状態を示す説明図である。
【図5】図5(A)は、上側に凸となる反り方向のセラミック基板を平面部に載置した状態を示す側面図であり、図5(B)は、図5(A)に示すセラミック基板がアクチュエータによる押圧力の解除後の状態を示す説明図である。
【図6】第2実施形態に係る制御部において実施される選別処理の流れを例示するフローチャートである。
【図7】第3実施形態に係る反り検査装置にセラミック基板を載置した状態を示す説明図であり、図7(A)は側面図であり、図7(B)は上面図である。
【図8】図8(A)は、セラミック基板がスリットを通過して回転した状態を示す説明図であり、図8(B)は、セラミック基板がスリットを通過することなく移動が停止した状態を示す説明図である。
【図9】第1変形例に係る反り検査装置にセラミック基板を載置した状態を示す説明図である。
【図10】図10(A)は、下側に凸となる反り方向のセラミック基板の検査状態を示す説明図であり、図10(B)は、上側に凸となる反り方向のセラミック基板の検査状態を示す説明図である。
【図11】第2変形例に係る反り検査装置に下側に凸となる反り方向のセラミック基板を載置した状態を示す説明図であり、図11(A)は押さえ治具による押圧前の状態を示し、図11(B)は押さえ治具による押圧後の状態を示す。
【図12】第2変形例に係る反り検査装置に上側に凸となる反り方向のセラミック基板を載置した状態を示す説明図であり、図12(A)は押さえ治具による押圧前の状態を示し、図12(B)は押さえ治具による押圧後の状態を示す。
【図13】第3変形例に係る反り検査装置に下側に凸となる反り方向のセラミック基板を載置した状態を示す説明図であり、図13(A)は側面図であり、図13(B)は上面図である。
【図14】第3変形例に係る反り検査装置に上側に凸となる反り方向のセラミック基板を載置した状態を示す説明図であり、図14(A)は側面図であり、図14(B)は上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る反り検査装置および反り検査方法について、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る反り検査装置10にセラミック基板20を載置した状態を示す説明図であり、図1(A)は側面図であり、図1(B)は上面図である。
【0032】
図1に示す反り検査装置10は、セラミック基板等の平板状に形成される検査対象に生じる反りを検査する装置であって、当該反り検査装置10は、平面部11aが形成される治具11と、平面部11a上に配置されて当該平面部11a上に載置される検査対象を押圧可能なアクチュエータ12と、平面部11aに配置されるフォトセンサ13と、当該反り検査装置10を統括的に制御する制御部14とを備えている。
【0033】
アクチュエータ12は、制御部14から入力される押圧信号に応じて、平面部11a上に載置された検査対象を、当該平面部11aに沿い移動させるために、その外縁部を伸縮可能な押圧部12aにて押圧するように構成されている。なお、アクチュエータ12は、特許請求の範囲に記載の「押圧手段」の一例に相当し得る。
【0034】
フォトセンサ13は、アクチュエータ12により押圧された検査対象が、この押圧力の解除後もその中央部を基準に回転したことを検知する機能を有するもので、平面部11a上に配置されて、当該フォトセンサ13上を通過する検査対象を検知することで、回転検知信号を制御部14に出力する。なお、フォトセンサ13は、特許請求の範囲に記載の「回転検知手段」の一例に相当し得る。
【0035】
制御部14は、反り検査装置10全体を制御可能なマイコンで、CPUやメモリなどによって構成されており、後述する選別処理を実施することにより、検査対象の反り方向の検知が実施される。なお、制御部14は、特許請求の範囲に記載の「反り方向検知手段」の一例に相当し得る。
【0036】
次に、本実施形態に係る反り検査装置10の検査対象について、図2を用いて説明する。図2は、セラミック基板20に生じる反り方向を説明するための側面図であり、図2(A)は、下側に凸となる反り方向のセラミック基板20を示し、図2(B)は、上側に凸となる反り方向のセラミック基板20を示し、図2(C)は、波状の反りのセラミック基板20を示す。
【0037】
本実施形態では、検査対象として、平板状のセラミック基板20が採用されている。セラミック基板20のように焼結にて製造される基板には、焼結過程のばらつき等により、様々な反りが発生する。セラミック基板20に生じる反り方向としては、例えば、図2(A)に例示するように、載置される平面部11aを基準として、外縁部22に対して中央部21が平面部側に凸となる反り方向(以下、下側に凸となる反り方向という)がある。また、図2(B)に例示するように、外縁部22に対して中央部21が反平面部側に凸となる反り方向(以下、上側に凸となる反り方向という)の反りや、図2(C)に例示するように、波状の反りが、セラミック基板20に生じる場合がある。
【0038】
このように、それぞれ異なる反りが生じている複数のセラミック基板20に対して、それぞれ電子部品等を実装する場合には、実装面までの距離がセラミック基板20によってばらつくために、高精度の実装が困難になるという問題がある。
【0039】
そこで、本実施形態に係る反り検査装置10では、図2(A)に例示する下側に凸となる反り方向のセラミック基板20であれば、平面部11aに対して中央部21のみで接触するため、所定の押圧力を付与することで中央部21を中心に回転することを利用して、セラミック基板20について、その反り方向に応じた選別を可能としている。
【0040】
以下、反り検査装置10の制御部14にて実行される選別処理について図を用いて説明する。図3は、第1実施形態に係る制御部14において実施される選別処理の流れを例示するフローチャートである。図4(A)は、セラミック基板20が押圧部12aに押圧された状態で回転した状態を示す説明図であり、図4(B)は、セラミック基板20がアクチュエータ12による押圧力の解除後に回転した状態を示す説明図である。図5(A)は、上側に凸となる反り方向のセラミック基板20を平面部11aに載置した状態を示す側面図であり、図5(B)は、図5(A)に示すセラミック基板20がアクチュエータ12による押圧力の解除後の状態を示す説明図である。
【0041】
まず、ステップS101にて載置処理がなされ、検査対象であるセラミック基板20が制御部14により制御される搬送機(図示略)により平面部11a上に載置される。このとき、セラミック基板20は、図1(B)に示すように、アクチュエータ12に対して、伸長する押圧部12aが外縁部22を平面部11aに平行に押圧可能な位置であって、フォトセンサ13に対して、押圧部12aにて押圧された状態で移動するセラミック基板20が当該フォトセンサ13の上方を通過しない位置に載置される。なお、ステップS101における処理は、特許請求の範囲に記載の「第1工程」の一例に相当し得る。また、上述した載置処理では、上記搬送機を採用することなく、作業者自身がセラミック基板20を載置してもよい。
【0042】
このようにセラミック基板20が平面部11a上に載置されると、ステップS103にて押圧処理がなされ、アクチュエータ12に対して上記押圧信号が出力される。アクチュエータ12は、上記押圧信号が入力されると、平面部11a上に載置されたセラミック基板20を、その中央部21を基準として当該平面部11aに沿い回転させるために、その外縁部22を押圧部12aにて平面部11aに対して平行に押圧する。これにより、セラミック基板20は、図4(A)に示すように、アクチュエータ12の押圧部12aに押圧された状態で、当該平面部11aに沿い移動する。なお、ステップS103における処理は、特許請求の範囲に記載の「第2工程」の一例に相当し得る。
【0043】
このようにセラミック基板20がアクチュエータ12により押圧された状態で移動すると、ステップS105において、フォトセンサ13から回転検知信号の入力の有無に応じて、セラミック基板20の回転が検出されたか否かについて判定される。
【0044】
ここで、セラミック基板20は、その反り方向が下側に凸となる反り方向である場合には、平面部11aに対して中央部21のみで接触しているため、押圧部12aに押圧された状態で中央部21を中心に回転する。そして、セラミック基板20は、押圧部12aが伸長し終えて押圧力が解除された後も、慣性により中央部21を中心とする回転が維持される。そして、図4(B)に示すように、上述のように回転するセラミック基板20の一部がフォトセンサ13上を通過すると、フォトセンサ13から回転検知信号が入力され、セラミック基板20が回転しているとして、ステップS105にてYesと判定される。
【0045】
このようにセラミック基板20の回転が検出されると、ステップS107にて、平面部11a上に載置されるセラミック基板20の反り方向が、下側に凸となる反り方向であることが検知される。そして、このように反り方向が検知されたセラミック基板20は、他の反り方向のセラミック基板20と区別(選別)されて、所定の後工程に搬送される。なお、ステップS105,S107における処理は、特許請求の範囲に記載の「第3工程」の一例に相当し得る。
【0046】
一方、セラミック基板20は、その反り方向が下側に凸となる反り方向と異なる場合、例えば、図5(A)に示すように、その反り方向が上側に凸となる反り方向となる場合には、平面部11aに対して1箇所のみで接触せず複数の箇所で接触する。このため、セラミック基板20は、中央部21を中心に回転することなく、押圧部12aに押圧された状態で移動する。そして、セラミック基板20は、複数の箇所にて平面部11aに接触していることからその摩擦力が大きくなるため、押圧部12aが伸長し終えて押圧力が解除されると、その移動が停止する。このため、図5(B)に示すように、上述のように移動するセラミック基板20がフォトセンサ13上を通過することもないので、フォトセンサ13から回転検知信号が入力されることもなく、セラミック基板20が回転していないとして、ステップS105にてNoと判定される。
【0047】
このようにセラミック基板20の回転が検出されない場合には、ステップS109にて、平面部11a上に載置されるセラミック基板20の反り方向が、下側に凸となる反り方向と異なる方向であることが検知される。そして、このように反り方向が検知されたセラミック基板20は、下側に凸となる反り方向のセラミック基板20と区別(選別)されて、上記所定の後工程と異なる後工程に搬送される。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る反り検査装置10では、アクチュエータ12により平面部11a上に載置された平板状のセラミック基板20の外縁部22が押圧されて、フォトセンサ13により上記押圧力の解除後におけるセラミック基板20の回転が検知される場合に、当該セラミック基板20の反り方向が、外縁部22に対して中央部21が平面部11a側に凸となる反り方向(下側に凸となる反り方向)であることが検知される。
【0049】
また、本実施形態に係る反り検査装置10を用いた反り検査方法としては、ステップS101の載置処理により、セラミック基板20が平面部11a上に載置される。そして、ステップS103の押圧処理により、平面部11aに載置されたセラミック基板20に対して、その中央部21を基準として当該平面部11aに沿い回転させるために、その外縁部22が押圧される。そして、ステップS105,S107における処理より、押圧されたセラミック基板20について、この押圧力の解除後も中央部21を基準に回転したことを検知することで、当該セラミック基板20の反り方向が、外縁部22に対して中央部21が平面部側に凸となる反り方向(下側に凸となる反り方向)であることが検知される。
【0050】
このように、上記押圧力の解除後におけるセラミック基板20の回転が検知される場合に、当該セラミック基板20の反り方向が、下側に凸となる反り方向であることを検知することができるので、平板状に形成されるセラミック基板20の反り方向を簡易な構成にて検査することができる。
【0051】
また、ステップS105における判定処理では、平面部11a上に配置されるフォトセンサ13により当該フォトセンサ13上を通過するセラミック基板20を検知することで、当該セラミック基板20の回転を検知するため、簡易な構成にて平面部11a上に配置されるセラミック基板20の回転を検知することができる。
【0052】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る反り検査装置および反り検査方法について図6を参照して説明する。図6は、第2実施形態に係る制御部14において実施される選別処理の流れを例示するフローチャートである。
【0053】
本第2実施形態に係る反り検査装置および反り検査方法では、一側板面および他側板面の区別する必要がない検査対象を前提に、上述した選別処理について図3に示すフローチャートに代えて図6に示すフローチャートに基づいて処理している点が、上記第1実施形態に係る反り検査装置および反り検査方法と主に異なる。したがって、上述した第1実施形態の反り検査装置および反り検査方法と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0054】
平板状に形成される検査対象の両平面を一側板面および他側板面とするとき、外縁部に対して中央部が一側板面側に凸となる反り方向の検査対象を、その一側板面にて接触するように平面部上に載置する場合、当該検査対象の反り方向は、外縁部に対して中央部が平面部側に凸となる反り方向となる。一方、上記検査対象を、その他側板面にて接触するように平面部上に載置する場合、当該検査対象の反り方向は、外縁部に対して中央部が反平面部側に凸となる反り方向となる。すなわち、一側板面および他側板面のいずれかを平面部に接触させるように載置したことに応じて、検査対象の平面部に対する反り方向が異なることとなる。
【0055】
そこで、本実施形態では、一側板面および他側板面の区別する必要がない検査対象については、複数の検査対象のうち、一側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で回転が検知される検査対象と、一側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で回転が検知されない検査対象であって他側板面にて接触するように平面部上に載置した状態で回転が検知される検査対象とを抽出する。これにより、反り方向が一致する検査対象をより多く抽出することができる。
【0056】
以下、本実施形態における選別処理について、平板状のセラミック基板20を検査対象として、図6のフローチャートを用いて説明する。
上記第1実施形態における選別処理と同様に、一側板面にて接触するように平面部11a上に載置されたセラミック基板20が、アクチュエータ12により押圧された状態で移動した後に、図6のステップS105にてセラミック基板20の回転が検知されると、ステップS107にて、平面部11a上に載置されるセラミック基板20の反り方向が、外縁部22に対して中央部21が一側板面側に凸となる反り方向、すなわち、下側に凸となる反り方向であることが検知される。
【0057】
一方、セラミック基板20の反り方向が下側に凸となる反り方向と異なる場合には、セラミック基板20の回転が検知されないため、ステップS105にてNoと判定されて、ステップS111にて反転処理がなされる。この処理では、セラミック基板20は、制御部14により制御される反転機(図示略)により、ステップS101にて平面部11a上に載置された一側板面と異なる側の面である他側板面にて接触するように、平面部11a上の所定の位置に反転されて載置される。なお、ステップS111における処理は、特許請求の範囲に記載の「第4工程」の一例に相当し得る。また、上述した反転処理では、上記反転機を採用することなく、作業者自身がセラミック基板20を反転してもよい。
【0058】
このようにセラミック基板20が他側板面にて接触するように平面部11a上に載置されると、ステップS113にて押圧処理がなされ、アクチュエータ12に対して上記押圧信号が出力されることで、セラミック基板20は、アクチュエータ12の押圧部12aに押圧された状態で、当該平面部11aに沿い移動する。なお、ステップS113における処理は、特許請求の範囲に記載の「第5工程」の一例に相当し得る。
【0059】
ここで、セラミック基板20の反り方向が、外縁部22に対して中央部21が他側板面側に凸となる反り方向である場合、すなわち、下側に凸となる反り方向である場合には、押圧部12aが伸長し終えて押圧力が解除された後も、慣性により中央部21を中心とする回転が維持され、その回転がフォトセンサ13にて検知される。これにより、ステップS115にてYesと判定されて、ステップS107にて、平面部11a上に載置されるセラミック基板20の反り方向が、下側に凸となる反り方向であることが検知される。そして、このように反り方向が検知されたセラミック基板20は、上記ステップS105にてYesと判定されたセラミック基板20と同じ反り方向であり、他の反り方向のセラミック基板20と区別(選別)されて、所定の後工程に搬送される。
【0060】
一方、セラミック基板20は、その反り方向が下側に凸となる反り方向と異なる場合、例えば、図2(C)に例示するような波状の反りとなる場合には、押圧部12aが伸長し終えて押圧力が解除されると、その移動が停止する。このため、フォトセンサ13から回転検知信号が入力されることもなく、セラミック基板20が回転していないとして、ステップS115にてNoと判定される。
【0061】
このようにセラミック基板20の回転が検出されない場合には、ステップS109にて、平面部11a上に載置されるセラミック基板20の反り方向が、下側に凸となる反り方向と異なる方向であることが検知される。そして、このように反り方向が検知されたセラミック基板20は、下側に凸となる反り方向のセラミック基板20と区別(選別)されて、上記所定の後工程と異なる後工程に搬送される。なお、ステップS115,S107における処理は、特許請求の範囲に記載の「第6工程」の一例に相当し得る。
【0062】
以上説明したように、本実施形態に係る反り検査方法では、ステップS105にて、押圧力の解除後に中央部21を基準に回転したことが検知されないセラミック基板20が、ステップS111にて、ステップS101にて平面部11a上に載置された側の面と異なる側の面にて接触するように平面部11a上に載置される。そして、ステップS113にて、その外縁部22が押圧され、ステップS115にて、上記押圧力の解除後も中央部21を基準に回転したことを検知することで、当該セラミック基板20の反り方向が、下側に凸となる反り方向であることが検知される。
【0063】
このため、一側板面および他側板面の区別する必要がないセラミック基板20については、複数のセラミック基板20のうち、一側板面にて接触するように平面部11a上に載置した状態で回転が検知されるセラミック基板20と、一側板面にて接触するように平面部11a上に載置した状態で回転が検知されず他側板面にて接触するように平面部11a上に載置した状態で回転が検知されるセラミック基板20とを抽出することで、反り方向が一致するセラミック基板20をより多く抽出することができる。
【0064】
なお、一側板面および他側板面の区別する必要があるセラミック基板20についても、一側板面にて接触するように平面部11a上に載置した状態で回転が検知されるセラミック基板20と、一側板面にて接触するように平面部11a上に載置した状態で回転が検知されず他側板面にて接触するように平面部11a上に載置した状態で回転が検知されるセラミック基板20とを区別して抽出することもできる。
【0065】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る反り検査装置および反り検査方法について図7および図8を参照して説明する。図7は、第3実施形態に係る反り検査装置10aにセラミック基板20を載置した状態を示す説明図であり、図7(A)は側面図であり、図7(B)は上面図である。図8(A)は、セラミック基板20がスリット15を通過して回転した状態を示す説明図であり、図8(B)は、セラミック基板20がスリット15を通過することなく移動が停止した状態を示す説明図である。
【0066】
本第3実施形態に係る反り検査装置10aおよび反り検査方法では、検査対象の反り方向を検知するだけでなく、その反り量を許容される反り量に基づいて選別するために、スリット15が新たに採用される点が、上記第1実施形態に係る反り検査装置および反り検査方法と主に異なる。したがって、上述した第1実施形態の反り検査装置および反り検査方法と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0067】
図7(A),(B)に示すように、治具11の平面部11a上には、所定のスリット幅のスリット15が設けられている。このスリット15は、アクチュエータ12の押圧部12aによる押圧状態でのセラミック基板20には干渉せず、押圧部12aによる押圧力が解除されて移動するセラミック基板20のうち上記所定のスリット幅を超える反り量のセラミック基板20の移動(回転)が当該スリット15により制限されてフォトセンサ13上を通過しないように、配置されている。
【0068】
上記所定のスリット幅は、許容される反り量以下のセラミック基板20が通過可能であって当該許容される反り量を超えるセラミック基板20が通過不能となるように設定されている。このため、セラミック基板20の反り方向が下側に凸となる反り方向であることから上記押圧力の解除後に慣性により回転する場合でも、その反り量が許容される反り量を超える場合にはフォトセンサ13にて検知されることはない。
【0069】
このように、上記スリット15の通過の可否に基づいて、セラミック基板20がその反り量に応じて選別されるので、セラミック基板20の反り方向を検知するだけでなく、その反り量を上記許容される反り量に基づいて選別することができる。なお、ステップS105,S107における処理は、特許請求の範囲に記載の「反り方向検知手段」、「選別手段」および「選別工程」の一例に相当し得る。
【0070】
特に、スリット15は、アクチュエータ12の押圧部12aにより押圧されたセラミック基板20のうち、許容される反り量以下のセラミック基板20が通過可能であって当該許容される反り量を超えるセラミック基板20が通過不能となるように、平面部11a上に形成されるため、セラミック基板20に対する反り方向の検知と上記許容される反り量に基づく選別とを同時に実施でき、検査工程を短縮することができる。
【0071】
なお、スリット15は、平面部11a上に配置されることに限らず、別工程に設けられてもよい。この場合、フォトセンサ13により回転が検知されたセラミック基板20について、上記別工程にてスリット15を通過するか否かに基づいて、反り量に応じた選別を実施することができる。
【0072】
[他の変形例]
図9は、第1変形例に係る反り検査装置10bにセラミック基板20を載置した状態を示す説明図であり、図9(A)は側面図であり、図9(B)は上面図である。図10(A)は、下側に凸となる反り方向のセラミック基板20の検査状態を示す説明図であり、図10(B)は、上側に凸となる反り方向のセラミック基板20の検査状態を示す説明図である。
【0073】
第1変形例に係る反り検査装置10bとして、図9(A),(B)に示すように、平面部11a上のうち、セラミック基板20の中央部21に接触可能な位置に接触センサ16aを設けるとともに、セラミック基板20の外縁部22に接触可能な位置に複数の接触センサ16b〜16eを設け、これらの接触センサによる検出結果に基づいて、セラミック基板20の反り方向を検査してもよい。
【0074】
図10(A)に示すように、セラミック基板20の反り方向が下側に凸となる反り方向であれば、中央部21のみが接触センサ16aに接触することとなる。また、図10(B)に示すように、セラミック基板20の反り方向が上側に凸となる反り方向であれば、外縁部22が接触センサ16b〜16eのうち少なくとも3箇所にて接触することとなる。
【0075】
このように、セラミック基板20の平面部11aに接触する位置を検知することで、当該セラミック基板20の反り方向を検査することができる。なお、各接触センサ16a〜16eは、検査対象の形状に応じて平面部11a上に複数箇所設けることができる。
【0076】
図11は、第2変形例に係る反り検査装置10cに下側に凸となる反り方向のセラミック基板20を載置した状態を示す説明図であり、図11(A)は押さえ治具17による押圧前の状態を示し、図11(B)は押さえ治具17による押圧後の状態を示す。図12は、第2変形例に係る反り検査装置10cに上側に凸となる反り方向のセラミック基板20を載置した状態を示す説明図であり、図12(A)は押さえ治具17による押圧前の状態を示し、図12(B)は押さえ治具17による押圧後の状態を示す。
【0077】
第2変形例に係る反り検査装置10cとして、図11(A)に示すように、平面部11a上に載置されたセラミック基板20の外縁部22の一部(以下、一側外縁部22aという)を平面部11a側に押圧する押さえ治具17と、外縁部22のうち押さえ治具17にて押圧される一側外縁部22aから離間する部位(以下、他側外縁部22b)の直上にて当該部位との間に所定の間隔が形成される接触センサ18とを設け、この接触センサ18による検出結果に基づいて、セラミック基板20の反り方向を検査してもよい。
【0078】
図11(A)に示すように、平面部11a上に載置されたセラミック基板20の反り方向が下側に凸となる反り方向であれば、セラミック基板20は、押さえ治具17による外縁部22の一側外縁部22aの押圧に応じて、図11(B)に示すように、一側外縁部22aが平面部11aに近づくように大きく傾くとともに他側外縁部22bが持ち上げられて接触センサ18に接触する。このため、押さえ治具17による押圧に応じて接触センサ18による接触が検出される場合には、当該セラミック基板20の反り方向は、下側に凸となる反り方向であると判断することができる。
【0079】
一方、図12(A)に示すように、平面部11a上に載置されたセラミック基板20の反り方向が上側に凸となる反り方向であれば、セラミック基板20は、押さえ治具17により外縁部22の一側外縁部22aが押圧されても大きく傾かず、他側外縁部22bが接触センサ18に接触することもない。また、波状の反り等、下側に凸となる反り方向と異なる反り方向であっても、同様に他側外縁部22bが接触センサ18に接触することもない。このため、押さえ治具17による押圧に応じて接触センサ18による接触が検出されない場合には、当該セラミック基板20の反り方向は、下側に凸となる反り方向ではないと判断することができる。
【0080】
図13は、第3変形例に係る反り検査装置10dに下側に凸となる反り方向のセラミック基板20を載置した状態を示す説明図であり、図13(A)は側面図であり、図13(B)は上面図である。図14は、第3変形例に係る反り検査装置10dに上側に凸となる反り方向のセラミック基板20を載置した状態を示す説明図であり、図14(A)は側面図であり、図14(B)は上面図である。
【0081】
第3変形例に係る反り検査装置10dとして、図13(A),(B)に示すように、治具11を下方から照射する光源19を設けるとともに、治具11に光源19からの照射光を上方に透過させる透過部11bを形成することで、平面部11aを上方から見たときのセラミック基板20の外縁部22から漏れる照射光の漏れ方に応じて、セラミック基板20の反り方向を検査してもよい。
【0082】
図13(A)に示すように、平面部11a上に載置されたセラミック基板20の反り方向が下側に凸となる反り方向であれば、透過部11bを透過した照明光は、セラミック基板20の一側板面23にて反射して、平面部11aと外縁部22との間の比較的大きく開いた隙間を介して外方の平面部11aに照射される。この場合、平面部11aに照射される照明光は、図13(B)の斜線部にて示すように、外縁部22のほぼ全周から漏れることとなる。このため、平面部11aに照射される照射光が外縁部22のほぼ全周から漏れる場合には、当該セラミック基板20の反り方向は、下側に凸となる反り方向であると判断することができる。
【0083】
一方、図14(A)に示すように、平面部11a上に載置されたセラミック基板20の反り方向が上側に凸となる反り方向であれば、平面部11aと外縁部22との隙間が比較的小さくなるため、セラミック基板20の一側板面23にて反射した反射光は、平面部11aと外縁部22との隙間を介して外方に照射されにくくなる。この場合、平面部11aには、図14(B)に例示するように照射光が漏れないか、照射光が漏れる場合でも外縁部22の一部のみから漏れることとなる。また、波状の反り等、下側に凸となる反り方向と異なる反り方向であっても、同様に、照射光が漏れないか、照射光が漏れる場合でも外縁部22の一部のみから漏れることとなる。このため、外縁部22を介して平面部11aに照射される照明光の漏れが少ない場合には、当該セラミック基板20の反り方向は、下側に凸となる反り方向ではないと判断することができる。
【0084】
なお、本発明は上記各実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明では、平板状のセラミック基板20を検査対象としているが、これに限らず、平板状に形成される部材、例えば、プリント基板、リードフレーム、モールドパッケージ、ウエハ、板ガラス、金属板、プラスチック板等を検査対象としてもよいし、クッキーやビスケット、板チョコレートなどの菓子類を検査対象としてもよい。また、部品等が組み付けられた完成品を検査対象としてもよいし、部品組み付け前の素材状態を検査対象としてもよい。また、上記各実施形態等では、矩形板状のセラミック基板20を検査対象としているが、これに限らず、例えば、円形板状や他の形状のセラミック基板20や円形板状や他の形状の部材を検査対象としてもよい。
【0085】
(2)平面部11a上に載置された検査対象を押圧する押圧手段として、アクチュエータ12が採用されることに限らず、制御部14により制御されて検査対象を所定の押圧力で押圧する押し治具等を採用してもよい。また、アクチュエータ12による押圧に代えて、作業者自身が検査対象を押圧してもよい。
【0086】
(3)アクチュエータ12により押圧された検査対象がこの押圧力の解除後も中央部21を基準に回転したことを検知する回転検知手段として、フォトセンサ13が採用されることに限らず、検査対象の回転(移動)を検知可能なセンサ等を採用してもよい。また、フォトセンサ13による検知に代えて、作業者自身が目視して検査対象の回転を視認してもよい。
【符号の説明】
【0087】
10,10a…反り検査装置
11…治具
11a…平面部
12…アクチュエータ(押圧手段)
12a…押圧部
13…フォトセンサ(回転検知手段)
14…制御部(反り方向検知手段,選別手段)
15…スリット
20…セラミック基板(検査対象)
21…中央部
22…外縁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状に形成される検査対象の反り方向を検査する反り検査装置であって、
前記検査対象が載置される平面部と、
前記平面部上に載置された前記検査対象を、その中央部を基準として当該平面部に沿い回転させるために、その外縁部を押圧可能な押圧手段と、
前記押圧手段により押圧された前記検査対象が、この押圧力の解除後も前記中央部を基準に回転したことを検知する回転検知手段と、
前記回転検知手段により前記押圧力の解除後における前記検査対象の回転が検知される場合に、当該検査対象の反り方向が、前記外縁部に対して前記中央部が平面部側に凸となる反り方向であることを検知する反り方向検知手段と、
を備えることを特徴とする反り検査装置。
【請求項2】
前記回転検知手段は、前記平面部上に配置されるフォトセンサを備え、当該フォトセンサ上を通過する前記検査対象を検知することで、当該検査対象の回転を検知することを特徴とする請求項1に記載の反り検査装置。
【請求項3】
許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットと、
前記スリットの通過の可否に基づいて、前記検査対象をその反り量に応じて選別する選別手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の反り検査装置。
【請求項4】
前記スリットは、前記押圧手段により押圧された前記検査対象のうち、前記許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能となるように、前記平面部上に形成されることを特徴とする請求項3に記載の反り検査装置。
【請求項5】
平板状に形成される検査対象の反り方向を検査する反り検査方法であって、
前記検査対象を平面部上に載置する第1工程と、
前記平面部に載置された前記検査対象に対して、その中央部を基準として当該平面部に沿い回転させるために、その外縁部を押圧する第2工程と、
前記第2工程により押圧された前記検査対象について、この押圧力の解除後も前記中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、前記外縁部に対して前記中央部が平面部側に凸となる反り方向であることを検知する第3工程と、
を備えることを特徴とする反り検査方法。
【請求項6】
前記第3工程では、前記平面部上に配置されるフォトセンサにより当該フォトセンサ上を通過する前記検査対象を検知することで、当該検査対象の回転を検知することを特徴とする請求項5に記載の反り検査方法。
【請求項7】
前記第3工程にて前記押圧力の解除後に前記中央部を基準に回転したことが検知されない前記検査対象について、前記第1工程にて前記平面部上に載置された側の面と異なる側の面にて接触するように前記平面部上に載置する第4工程と、
前記第4工程により前記平面部に載置された前記検査対象に対して、その中央部を基準として当該平面部に沿い回転させるために、その外縁部を押圧する第5工程と、
前記第5工程により押圧された前記検査対象について、この押圧力の解除後も前記中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、前記外縁部に対して前記中央部が平面部側に凸となる反り方向であることを検知する第6工程と、
を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の反り検査方法。
【請求項8】
許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットの通過の可否に基づいて、前記検査対象をその反り量に応じて選別する選別工程を備えることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の反り検査方法。
【請求項9】
前記第2工程により押圧された前記検査対象のうち、許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットが前記平面部上に形成され、
前記第3工程は、前記第2工程により押圧された前記検査対象が、この押圧力の解除後も前記スリットを通過し前記中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、前記外縁部に対して前記中央部が平面部側に凸となる反り方向であることを検知することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の反り検査方法。
【請求項1】
平板状に形成される検査対象の反り方向を検査する反り検査装置であって、
前記検査対象が載置される平面部と、
前記平面部上に載置された前記検査対象を、その中央部を基準として当該平面部に沿い回転させるために、その外縁部を押圧可能な押圧手段と、
前記押圧手段により押圧された前記検査対象が、この押圧力の解除後も前記中央部を基準に回転したことを検知する回転検知手段と、
前記回転検知手段により前記押圧力の解除後における前記検査対象の回転が検知される場合に、当該検査対象の反り方向が、前記外縁部に対して前記中央部が平面部側に凸となる反り方向であることを検知する反り方向検知手段と、
を備えることを特徴とする反り検査装置。
【請求項2】
前記回転検知手段は、前記平面部上に配置されるフォトセンサを備え、当該フォトセンサ上を通過する前記検査対象を検知することで、当該検査対象の回転を検知することを特徴とする請求項1に記載の反り検査装置。
【請求項3】
許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットと、
前記スリットの通過の可否に基づいて、前記検査対象をその反り量に応じて選別する選別手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の反り検査装置。
【請求項4】
前記スリットは、前記押圧手段により押圧された前記検査対象のうち、前記許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能となるように、前記平面部上に形成されることを特徴とする請求項3に記載の反り検査装置。
【請求項5】
平板状に形成される検査対象の反り方向を検査する反り検査方法であって、
前記検査対象を平面部上に載置する第1工程と、
前記平面部に載置された前記検査対象に対して、その中央部を基準として当該平面部に沿い回転させるために、その外縁部を押圧する第2工程と、
前記第2工程により押圧された前記検査対象について、この押圧力の解除後も前記中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、前記外縁部に対して前記中央部が平面部側に凸となる反り方向であることを検知する第3工程と、
を備えることを特徴とする反り検査方法。
【請求項6】
前記第3工程では、前記平面部上に配置されるフォトセンサにより当該フォトセンサ上を通過する前記検査対象を検知することで、当該検査対象の回転を検知することを特徴とする請求項5に記載の反り検査方法。
【請求項7】
前記第3工程にて前記押圧力の解除後に前記中央部を基準に回転したことが検知されない前記検査対象について、前記第1工程にて前記平面部上に載置された側の面と異なる側の面にて接触するように前記平面部上に載置する第4工程と、
前記第4工程により前記平面部に載置された前記検査対象に対して、その中央部を基準として当該平面部に沿い回転させるために、その外縁部を押圧する第5工程と、
前記第5工程により押圧された前記検査対象について、この押圧力の解除後も前記中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、前記外縁部に対して前記中央部が平面部側に凸となる反り方向であることを検知する第6工程と、
を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の反り検査方法。
【請求項8】
許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットの通過の可否に基づいて、前記検査対象をその反り量に応じて選別する選別工程を備えることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の反り検査方法。
【請求項9】
前記第2工程により押圧された前記検査対象のうち、許容される反り量以下の検査対象が通過可能であって当該許容される反り量を超える検査対象が通過不能なスリット幅のスリットが前記平面部上に形成され、
前記第3工程は、前記第2工程により押圧された前記検査対象が、この押圧力の解除後も前記スリットを通過し前記中央部を基準に回転したことを検知することで、当該検査対象の反り方向が、前記外縁部に対して前記中央部が平面部側に凸となる反り方向であることを検知することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の反り検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−193968(P2012−193968A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56183(P2011−56183)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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