説明

反射防止膜材料

(i)式(PhSiO(3-x)/2(OH)xm(HSiO(3-x)/2(OH)xn(MeSiO(3-x)/2(OH)xp(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.99の値を有し、nは0.01〜0.99の値を有し、pは0.01〜0.99の値を有し、m+n+p≒1である)を有するシルセスキオキサン樹脂と、(ii)ポリエチレンオキシド流体と、(iii)溶媒とを含む反射防止膜、及び、電子デバイス上に当該反射防止膜を形成する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、193nmの光に対して反射防止膜特性を示すシルセスキオキサン樹脂に関する。これらの反射防止膜は除去段階で剥離することができ、シルセスキオキサン樹脂は保存の際に安定である。さらに、シルセスキオキサン樹脂中のヒドリド基の存在が、193nmのARC材料として、所望の硬化特性及び剥離性能のために不可欠である。
【0002】
[関連出願の相互参照]
該当なし。
【背景技術】
【0003】
半導体産業においてより小さい形状が要求され続けており、193mm光リソグラフィがごく最近、サブ100nmによってデバイスを製造する技術として浮上している。このようなより短波長の光の使用は、底部反射防止膜(BARC)を必要とする。このBARCは、基材上の反射を低減し、且つフォトレジストを通過した光を吸収することによってフォトレジストの振動による硬化を抑制する。市販の反射防止膜(ARC)は、有機材料及び無機材料の両方から成る。一般的には、良好な耐エッチング性を示す無機ARCは、CVDに基づき、極端な微細構造(topography:トポグラフィー)による集積の不利益を全て受けやすい。有機ARC材料は、スピンオンプロセスによって塗工され、優れた充填特性及び平坦化特性を有するが、有機フォトレジストに対するエッチング選択性が狭くなってしまう。結果として、無機ARC材料及び有機ARC材料を組み合わせた利点を提示する材料が至極望まれている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、電子デバイス上に反射防止膜を形成する方法に関し、当該方法は、
(A)電子デバイスに、
(i)式
(PhSiO(3-x)/2(OH)xm(HSiO(3-x)/2(OH)xn(MeSiO(3-x)/2(OH)xp
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.99の値を有し、nは0.01〜0.99の値を有し、pは0.01〜0.99の値を有し、m+n+p≒1である)
を有するシルセスキオキサン樹脂と、
(ii)ポリエチレンオキシド流体と、
(iii)溶媒と、
を含むARC組成物を塗工すること、及び
(B)溶媒を除去すると共に、シルセスキオキサン樹脂を硬化して、電子デバイス上に反射防止膜を形成すること、
を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
反射防止膜を形成するのに有用なシルセスキオキサン樹脂(i)は、式
(PhSiO(3-x)/2(OH)xm(HSiO(3-x)/2(OH)xn(MeSiO(3-x)/2(OH)xp
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.99の値を有し、nは0.01〜0.99の値を有し、pは0.01〜0.99の値を有し、m+n+p≒1である)
を有する。代替的には、mが0.05〜0.50の値を有し、nが0.10〜0.70の値を有し、pが0.10〜0.70の値を有する。
【0006】
反射防止膜を形成するのに有用なシルセスキオキサン樹脂(i)は、式
(PhSiO(3-x)/2(OH)xm(HSiO(3-x)/2(OH)xn(MeSiO(3-x)/2(OH)xp
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.99の値を有し、nは0.01〜0.99の値を有し、pは0.01〜0.99の値を有し、m+n+p≒1である)
を有する。代替的には、mが0.05〜0.95、或いは0.05〜0.50の値を有し、nが0.05〜0.95、或いは0.10〜0.70の値を有し、pが0.05〜0.95、或いは0.10〜0.70の値を有する。
【0007】
シルセスキオキサン樹脂は実質的に完全に縮合されていてもよく、又は部分的にのみ縮合されていてもよい。シルセスキオキサン樹脂が部分的に縮合されている場合、シルセスキオキサン樹脂中のユニットの40mol%未満が、Si−OH基を含有するものとする。これらのユニットの量が多いと、樹脂中で不安定となり、ゲルが形成される可能性がある。一般的に、シルセスキオキサン樹脂中のユニットの6〜38mol%が、Si−OH基を含有する。
【0008】
シルセスキオキサン樹脂は、500〜400000の範囲で、好ましくは500〜100000、或いは700〜10000の範囲で重量平均分子量(Mw)を有する。
【0009】
本明細書中で有用なシルセスキオキサン樹脂は、限定するものではないが、
(PhSiO3/20.05〜0.50(HSiO3/20.10〜0.70(MeSiO3/20.10〜0.70
(PhSiO3/2a(HSiO3/2b(MeSiO3/2c(RSiO2/2(OH))d(RSiO(OH)2e
(式中、Rは、Ph、H及びMeから選択され、0.05≦a+d+e≦0.50であり、0.10≦b+d+e≦0.70であり、0.10≦c+d+e≦0.70であり、0.06≦d+e≦0.4であり、a+b+c+d+e≒1である)
で例示され得る。
【0010】
シルセスキオキサン樹脂は、当該技術分野で既知の方法によって製造され得る。例えば、シルセスキオキサン樹脂は、フェニルトリアルコキシシランと、水素トリアルコキシシランと、メチルトリアルコキシシランとの混合物の加水分解及び縮合によって製造され得る。代替的には、フェニルトリクロロシラン、水素トリクロロシラン及びメチルトリクロロシランの加水分解及び縮合によって製造され得る。
【0011】
シルセスキオキサン樹脂は一般的に、溶媒の存在下で製造される。反応に関与する可能性のある官能基を含有しない任意の好適な有機溶媒又はシリコーン溶媒を、シルセスキオキサン樹脂を製造するのに使用することができる。溶媒は一般的に、溶媒及びシラン反応物質の総重量に基づき40〜98重量%、或いは70〜90重量%の量で使用される。反応は、二相系又は単相系で実施され得る。
【0012】
シルセスキオキサン樹脂を製造するのに有用な有機溶媒は、限定するものではないが、n−ペンタン、ヘキサン、n−へプタン及びイソオクタン等の飽和脂肪族化合物;シクロペンタン及びシクロヘキサン等の脂環族化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;メチルイソブチルケトン(MIBK)及びシクロヘキサノン等のケトン;トリクロロエタン等のハロゲン置換アルカン;ブロモベンゼン及びクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族化合物;イソブチルイソブチレート及びプロピルプロプロネート等のエステルで例示され得る。有用なシリコーン溶媒は、限定するものではないが、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シロキサンで例示され得る。1つの溶媒を使用してもよく、混合溶媒を使用してもよい。
【0013】
シルセスキオキサン樹脂を製造する反応は、シルセスキオキサン樹脂が著しいゲル化も、又は硬化もしない限り、任意の温度で実施され得る。一般的に、反応は、推奨される周囲温度を含む5℃〜150℃の範囲の温度で実施される。
【0014】
シルセスキオキサン樹脂を形成する時間は、温度、シラン反応物質の種類及び量、存在する場合には触媒の量等の多くの要因によって決定される。一般的に、反応時間は、数分から数時間までである。当業者は、反応を完了するのに必要な時間を容易に確定することができるであろう。
【0015】
反応の完了後、触媒を適宜除去してもよい。触媒を除去する方法は当該技術分野で既知であり、中和、ストリッピング若しくは水洗浄又はそれらの組み合わせが挙げられる。触媒が特に溶液中でのシリコーン樹脂の貯蔵寿命に悪影響を与えるおそれがあるため、触媒の除去が推奨される。
【0016】
シルセスキオキサン樹脂を製造する方法において、反応が完了した後、揮発性物質を減圧下でシルセスキオキサン樹脂溶液から除去してもよい。このような揮発性物質としては、アルコール副生成物、過剰な水、触媒、塩酸(クロロシラン経路)及び溶媒が挙げられる。揮発性物質を除去する方法は当該技術分野で既知であり、例えば蒸留が挙げられる。
【0017】
シルセスキオキサン樹脂を製造する反応後に、シルセスキオキサン樹脂を所望の形態で得るために多くの任意選択的な工程を実施してもよい。例えば、溶媒を除去することによって、シルセスキオキサン樹脂を固形で回収することができる。溶媒除去の方法は重要ではなく、多数の方法が当該技術分野において既知である(例えば、加熱及び/又は真空下における蒸留)。シルセスキオキサン樹脂を固形で回収すると、特定の使用のために樹脂を適宜同一溶媒又は別の溶媒に再溶解することができる。代替的には、反応に使用した溶媒以外の異なる溶媒が最終製品にとって望ましい場合には、例えば、第2の溶媒を添加し、且つ第1の溶媒を蒸留により除去することによって、溶媒の交換を行ってもよい。したがって、溶媒中の樹脂濃度は、溶媒をいくらか除去するか、又は追加量の溶媒を添加することによって調節することができる。
【0018】
ARC組成物は、ポリエチレンオキシド流体をさらに含む。ポリエチレンオキシド流体(「PEO流体」)は、一般式R1(CH2CH2O)Z2(式中、R1及びR2は、独立して、H、又は1〜3個の炭素原子を有する炭化水素基、不飽和炭化水素基、アセチル基(CH3CO−)、及び他の有機基から選択され、zは、PEO流体が典型的に50〜5000g/molの分子量を有するようなものである)を有する。R1又はR2は典型的に、アリル、H、メチル、エチル、又はアセチルである。PEO流体は、限定するものではないが、アリルヒドロキシルPEO流体(Mw 400)、及びアリルメトキシルPEO流体(Mw 350)等で例示され得る。
【0019】
ARC組成物は、シルセスキオキサン樹脂(i)及びPEO流体(ii)を溶媒(iii)と混合することによって製造される。その後、ARC組成物を電子デバイスに塗工し、溶媒を除去し、且つシルセスキオキサン樹脂を硬化して、反射防止膜を製造する。
【0020】
一般的に、電子デバイスは、半導体構成部品の製造に使用するように意図されるシリコン系デバイス及びガリウムヒ素系デバイス等の半導体デバイスである。一般的に、デバイスは、少なくとも1つの半導体層、及び様々な導電材料、半導体材料又は絶縁材料を含む複数の他の層を備える。
【0021】
本明細書中で有用な溶媒(iii)は、シルセスキオキサン樹脂の製造で使用される溶媒と同じであっても異なっていてもよい。有用な溶媒(iii)としては、限定するものではないが、とりわけ、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(PGMEA)及びシクロヘキサノンが挙げられる。ARC組成物は一般的に、ARC組成物の総重量に基づき約10重量%〜約99.9重量%、或いは80重量%〜95重量%の溶媒を含む。
【0022】
ARC組成物は、硬化触媒をさらに含み得る。好適な硬化触媒としては、無機酸、光酸発生剤及び熱酸発生剤が挙げられる。硬化触媒は、限定するものではないが、硫酸(H2SO4)、(4−エチルチオフェニル)メチルフェニルスルホニウムトリフレート及び2−ナフチルジフェニルスルホニウムトリフレートで例示され得る。一般的に、硬化触媒は、ARC組成物の総重量に基づき1000ppm、或いは500ppmの量で存在する。
【0023】
ARC組成物を電子デバイスに塗工する具体的な方法としては、限定するものではないが、スピンコーティング、浸漬コーティング、噴霧コーティング、フローコーティング及びスクリーン印刷等が挙げられる。好ましい塗工方法は、スピンコーティングである。一般的に、コーティングは、電子デバイスを約2000RPMで回転させること、及び回転中の電子デバイスの表面にARC組成物を付与することを伴う。
【0024】
溶媒を除去し、シルセスキオキサン樹脂を硬化して、電子デバイス上に反射防止膜を形成する。溶媒は、加熱等の既知の方法によって、又はスピニングによって塗工中に除去してもよい。
【0025】
硬化は一般的に、被膜した電子デバイスを十分な持続時間の間、十分な温度に加熱して、硬化させることを含む。例えば、被膜した電子デバイスは、80℃〜450℃で0.1〜60分間、或いは150℃〜275℃で0.5〜5分間、或いは200℃〜250℃で0.5〜2分間、加熱することができる。任意の加熱方法を、硬化工程中に使用することができる。例えば、被膜した電子デバイスを石英管炉、熱対流炉内に置いてもよく、ホットプレート上に放置してもよい。
【0026】
硬化中に酸素又は炭素による反応からシルセスキオキサン樹脂を保護するために、硬化工程を、不活性雰囲気下で行ってもよい。本明細書中で有用な不活性雰囲気としては、限定するものではないが、窒素及びアルゴンが挙げられる。「不活性」とは、環境が50ppm未満、好ましくは10ppm未満の酸素を含有していることを意味する。硬化工程及び除去工程を実施する際の圧力は重要ではない。硬化工程は一般的に大気圧で実施されるが、準大気圧又は超大気圧を作用させてもよい。
【0027】
硬化したら、反射防止膜を備える電子デバイスは、フォトリソグラフィ等のさらなる基材処理工程に使用することができる。フォトリソグラフィに使用する場合、レジスト画像が、反射防止膜全体に形成される。レジスト画像を形成する方法は、(a)反射防止膜の上にレジスト組成物の膜を形成すること、(b)放射線に対してレジスト膜を像様露光して、露光された膜を作製すること、及び(c)露光された膜を現像して、画像を形成することを含む。電子デバイス上の反射防止膜は、157nm〜365nmの波長を有する紫外線、或いは157nm又は193nmの波長を有する紫外線に対して像様露光されるレジスト組成物に特に有用である。画像をレジスト膜に形成したら、その後、パターンを反射防止膜にエッチングする。既知のエッチング材料を使用して、反射防止膜を除去することができる。さらなる工程、すなわちレジスト膜及び残存する反射防止膜の除去を用いて、所望の構造を有するデバイスを製造することができる。
【実施例】
【0028】
以下の実施例は、本発明の実施形態を示すために挙げられる。以下の実施例に開示の技法は、本発明の実施の際に良好に機能するために本発明者によって見出された技法を示し、本発明の実施に関する好ましい形態を構成すると考えられ得ることは当業者によって理解されるものとする。しかしながら、当業者は、本発明の開示に鑑みて、開示される詳細な実施形態において多くの変更を成し、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく依然として同様又は類似の結果を得ることができることを理解するものとする。全てのパーセンテージは重量%単位である。
【0029】
(実施例1)
T(Ph)0.10T(H)0.30T(Me)0.60
PGMEA(3400g)及び脱イオン(DI)水(120g)を、反応器内に充填し、一緒に混合した。プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA、450g)、フェニルトリクロロシラン(63.4g、0.30mol)、メチルトリクロロシラン(269.0g、1.80mol)、及びトリクロロシラン(121.9g、0.90mol)を別個のフラスコ内で混合した。この混合物を1時間10分かけてPGMEA/DI水混合物に添加した。DI水(洗浄1回当たり1000g)を添加することによって、反応器内の混合物を2回洗浄した。その後、EtOH(240g)を添加した後に溶液を揮散させて、透明なPGMEA溶液を得た。PGMEAをさらに添加することによって、溶液を10重量%にまで希釈した後、0.2mmのTeflonフィルタに通して濾過した。膜厚=2697Å。193nmにおいて:k=1.747、n=0.150。1分間のウェット除去率:NE−89(ATMIから入手可能)で100%。
【0030】
(実施例2)
アリルヒドロキシルPEO流体との実施例1の配合物
実施例1において生成される10gの樹脂(PGMEA中10.7%固形分、40.58%のSi)及び0.62gのアリルヒドロキシルPEO流体(SW400、Mw=400)を混合し、PGMEAをさらに添加することによって所望の濃度にまで希釈した。その後、この溶液を0.2ミクロンのTeflonフィルタに通して濾過し、スピンコーティングした。膜厚=1527Å。193nmにおいて:k=1.698、n=0.209。1分間のウェット除去率:NE−89で100%。
【0031】
(実施例3)
アリルメトキシルPEO流体との実施例1の配合物
実施例1において生成される10gの樹脂(PGMEA中10.7%固形分、40.58%のSi)及び0.62gのアリルメトキシルPEO流体(AM350、MW=350)を混合し、PGMEAをさらに添加することによって所望の濃度にまで希釈した。その後、この溶液を0.2ミクロンのTeflonフィルタに通して濾過し、4インチシリコンウエハ上にスピンコーティングした。250℃で1分間加熱して膜を硬化させ、その光学特性及び膜特性を測定した。膜厚=1459Å。193nmにおいて:k=1.684、n=0.201。1分間のウェット除去率:NE−89で100%。
【0032】
(実施例4)
T(Ph)0.075T(H)0.3T(Me)0.625
PGMEA(3400g)及びDI水(120g)を、反応器内に充填し、一緒に混合した。プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA、450g)、フェニルトリクロロシラン(63.4g、0.30mol)、メチルトリクロロシラン(269.0g、1.80mol)、及びトリクロロシラン(121.9g、0.90mol)を別個のフラスコ内で混合した。この混合物を1時間10分かけてPGMEA/DI水混合物に添加した。DI水(洗浄1回当たり1000g)を2回添加することによって、混合物を2回洗浄した。その後、EtOH(240g)を添加した後に溶液を揮散させて、透明なPGMEA溶液を得た。PGMEAをさらに添加することによって、溶液を10重量%にまで希釈した後、0.2mmのTeflonフィルタに通して濾過した。膜厚=2207Å。193nmにおいて:k=1.660、n=0.150。1分間のウェット除去率:NE−89で100%。
【0033】
(実施例5)
アリルメトキシルPEO流体との実施例4の配合物
実施例4において生成される200gの樹脂(PGMEA中10.0%固形分)及び7.67gのアリルメトキシルPEO流体(AM350、MW=350)を混合し、PGMEAをさらに添加することによって所望の濃度にまで希釈した。その後、この溶液を0.2ミクロンのTeflonフィルタに通して濾過し、4インチシリコンウエハ上にスピンコーティングした。250℃で1分間加熱して膜を硬化させ、その光学特性及び膜特性を測定した。膜厚=2510Å。193nmにおいて:k=1.654、n=0.148。1分間のウェット除去率:NE−89で100%。
【0034】
膜コーティング及び特性決定
ウエハ上の膜コーティングは、Karl SussのCT62スピンコーターによって塗工処理された。初めに、0.2ミクロンのTEFLONフィルタに通して、樹脂PGMEA溶液を濾過し、次に、片面を研磨加工した4インチの標準的な低抵抗率ウエハ、又は両面を研磨加工したFTIRウエハ上にスピンコーティングした(特に指示しない限り、回転速度=2000rpm;加速度=5000、時間=20秒)。窒素ガスをパージした急熱処理(RTP)オーブンを用いて表中に示されるような温度(200℃〜250℃)で60秒間膜を硬化させた。膜厚、屈折率及びk値をJ. A. Woollamの楕円偏光計を用いて測定した。記録される厚みの値は、9つの測定値の平均であった。硬化後の膜のPGMEA抵抗は、PGMEAでのリンス前後の膜厚変化を測定することによって決定された。ウェット除去率は、2つの市販のウェット剥離溶液NE89及びCC1を用いて評価された。接触角の測定は、液体として水及びヨウ化メチレンを用いて行われ、湿潤時の臨界表面張力は、Zismanのアプローチに基づき算出された。結果を表1にまとめる。
【0035】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイス上に反射防止膜を形成する方法であって、
(A)電子デバイスに、
(i)式
(PhSiO(3-x)/2(OH)xm(HSiO(3-x)/2(OH)xn(MeSiO(3-x)/2(OH)xp
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.99の値を有し、nは0.01〜0.99の値を有し、pは0.01〜0.99の値を有し、m+n+p≒1である)
を有するシルセスキオキサン樹脂と、
(ii)ポリエチレンオキシド流体と、
(iii)溶媒と、
を含むARC組成物を塗工すること、及び
(B)前記溶媒を除去すると共に、前記シルセスキオキサン樹脂を硬化して、前記電子デバイス上に反射防止膜を形成すること、
を含む、反射防止膜を形成する方法。
【請求項2】
mが0.05〜0.5の値を有し、nが0.1〜0.7の値を有し、pが0.1〜0.7の値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シルセスキオキサン樹脂中、前記ユニットの40mol%未満が、Si−OH基を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記シルセスキオキサン樹脂中、前記ユニットの6〜38mol%が、Si−OH基を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記溶媒(iii)が、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ARC組成物が、該ARC組成物の重量に基づく80〜95重量%の溶媒(iii)を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ARC組成物が、スピンコーティングによって塗工される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記シルセスキオキサン樹脂が、加熱することによって硬化される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記シルセスキオキサン樹脂が、150℃〜275℃の範囲の温度で加熱することによって硬化される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シルセスキオキサン樹脂が、200℃〜250℃の範囲の温度で加熱することによって硬化される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記シルセスキオキサン樹脂が、不活性雰囲気中で加熱することによって硬化される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
電子デバイス上に反射防止膜を形成する方法であって、
(A)電子デバイスに、
(i)式
(PhSiO(3-x)/2(OH)xm(HSiO(3-x)/2(OH)xn(MeSiO(3-x)/2(OH)xp
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.99の値を有し、nは0.01〜0.99の値を有し、pは0.01〜0.99の値を有し、m+n+p≒1である)
を有するシルセスキオキサン樹脂と、
(ii)ポリエチレンオキシド流体と、
(iii)溶媒と、
を含むARC組成物を塗工すること、
(B)前記溶媒を除去すると共に、前記シルセスキオキサン樹脂を硬化して、前記電子デバイス上に反射防止膜を形成すること、及び
(C)前記反射防止膜全体にレジスト画像を形成すること、
を含む、反射防止膜を形成する方法。
【請求項13】
前記レジスト画像が、
(a)前記反射防止膜の上にレジスト組成物の膜を形成すること、
(b)放射線に対して前記レジスト膜を像様露光して、露光された膜を作製すること、及び
(c)前記露光された膜を現像して、前記画像を形成すること、
によって形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
電子デバイス上に反射防止膜を形成する方法であって、
(A)電子デバイスに、
(i)式
(PhSiO(3-x)/2(OH)xm(HSiO(3-x)/2(OH)xn(MeSiO(3-x)/2(OH)xp
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.99の値を有し、nは0.01〜0.99の値を有し、pは0.01〜0.99の値を有し、m+n+p≒1である)
を有するシルセスキオキサン樹脂と、
(ii)ポリエチレンオキシド流体と、
(iii)溶媒と、
を含むARC組成物を塗工すること、
(B)前記溶媒を除去すると共に、前記シルセスキオキサン樹脂を硬化して、前記電子デバイス上に反射防止膜を形成すること、
(C)前記反射防止膜全体にレジスト画像を形成すること、及び
(D)前記反射防止膜のパターンをエッチングすること、
を含む、反射防止膜を形成する方法。
【請求項15】
電子デバイス上に反射防止膜を形成する方法であって、
(A)電子デバイスに、
(i)式
(PhSiO(3-x)/2(OH)xm(HSiO(3-x)/2(OH)xn(MeSiO(3-x)/2(OH)xp
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.99の値を有し、nは0.01〜0.99の値を有し、pは0.01〜0.99の値を有し、m+n+p≒1である)
を有するシルセスキオキサン樹脂と、
(ii)ポリエチレンオキシド流体と、
(iii)溶媒と、
を含むARC組成物を塗工すること、
(B)前記溶媒を除去すると共に、前記シルセスキオキサン樹脂を硬化して、前記電子デバイス上に反射防止膜を形成すること、
(C)前記反射防止膜全体にレジスト画像を形成すること、
(D)前記反射防止膜のパターンをエッチングすること、及び
(E)前記レジスト画像及び前記反射防止膜を除去すること、
を含む、反射防止膜を形成する方法。
【請求項16】
ARC組成物であって、
(i)式
(PhSiO(3-x)/2(OH)xm(HSiO(3-x)/2(OH)xn(MeSiO(3-x)/2(OH)xp
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.99の値を有し、nは0.01〜0.99の値を有し、pは0.01〜0.99の値を有し、m+n+p≒1である)
を有するシルセスキオキサン樹脂と、
(ii)ポリエチレンオキシド流体と、
(iii)溶媒と、
を含む、ARC組成物。
【請求項17】
mが0.05〜0.5の値を有し、nが0.1〜0.7の値を有し、pが0.1〜0.7の値を有する、請求項16に記載のARC組成物。
【請求項18】
前記シルセスキオキサン樹脂中、前記ユニットの40mol%未満が、Si−OH基を含有する、請求項16に記載のARC組成物。
【請求項19】
前記シルセスキオキサン樹脂中、前記ユニットの6〜38mol%が、Si−OH基を含有する、請求項16に記載のARC組成物。
【請求項20】
前記溶媒(ii)が、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートである、請求項16に記載のARC組成物。
【請求項21】
前記ARC組成物の重量に基づく80〜95重量%の溶媒を含有する、請求項16に記載のARC組成物。
【請求項22】
前記不飽和ポリエチレンオキシド流体が、一般式R1(CH2CH2O)Z2(式中、R1及びR2は、独立して、H、1〜3個の炭素原子を有する炭化水素基、不飽和炭化水素基、及びアセチル基(CH3CO−)から選択され、zは、PEO流体が典型的に50〜5000g/molの分子量を有するようなものである)を有する、請求項16に記載のARC組成物。
【請求項23】
1がアリルである、請求項22に記載のARC組成物。
【請求項24】
2がHである、請求項22に記載のARC組成物。
【請求項25】
2がメチルである、請求項22に記載のARC組成物。
【請求項26】
前記ポリエチレンオキシド流体が、アリルヒドロキシルPEO流体である、請求項16に記載のARC組成物。
【請求項27】
前記ポリエチレンオキシド流体が、アリルメトキシルPEO流体(Mw 350)等である、請求項16に記載のARC組成物。

【公表番号】特表2009−527021(P2009−527021A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555229(P2008−555229)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/046810
【国際公開番号】WO2007/094848
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】