説明

反応器、反応器収納用容器および反応装置

【課題】反応部で発生する熱が隣り合う反応部へ伝達することを抑制し、高い反応効率を有するとともに消費電力が小さい反応器、反応器収納用容器および反応装置を提供すること。
【解決手段】複数の反応部7を備えた反応器6において、反応部7間に少なくとも一つの放射熱防止板10を設けた。また、複数の反応部7を備えた反応器6’を収納するための収納容器Aを具備する反応器収納用容器12であって、収納容器Aの内面に反応部7間に配置される放射熱防止板10’を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばマイクロ化学システムに用いられる反応器、および反応器を収納するための反応器収納用容器、ならびにこの反応器収納用容器を用いた反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、精密加工技術の進歩発展により、マイクロテクノロジーとよばれる新しい概念が登場してきた。特に、微小空間を活用して、液体や気体を高速、高精度で制御し反応させるマイクロ化学システムは、反応・分析の効率化・高速化のための革新的な技術としてだけでなく、新反応系の場としても注目を集めている。
【0003】
このマイクロ化学システム(プラント)は、マイクロ加工技術によってつくられた幅数μmから数百μmのマイクロ流路を基本に、各種のマイクロ反応器(マイクロリアクター等)の機能デバイスから構成されるシステムである。そして、このマイクロ化学システムは熱移動や物質移動速度が格段に大きく、化学反応の効率を飛躍的に増大させる可能性が指摘されているとともに、化学反応を効率良く維持させるためには、反応部の温度を適切な状態で保持することが重要となる。
【0004】
このマイクロ化学システムを、一つの反応だけに利用することはまれであり、一つのマイクロ化学システム内で段階的に複数の反応を経由することによって反応生成物を形成することや、あるいは複数の異なる反応によって、複数の反応生成物を得ることが多く行われている。これらの各反応を効率よく進め、目的とする反応生成物を高い収率で得る為には、各反応が起きる反応部を適切な温度でコントロールが求められる。
【特許文献1】特開2003−526359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、隣り合う反応部で必要とされる反応温度が異なる場合、各反応部温度は隣り合う反応部の反応温度に大きく影響を受ける。例えば、ある反応部で必要とされる反応温度よりも隣り合う反応部の温度が高い場合、伝導や輻射により隣り合う反応部からの熱の伝達が行われ、ある反応部で必要とされる反応温度を大きく超えてしまい、結果、目的とする化学反応の効率を低下させてしまう恐れがある。
【0006】
また逆に、ある反応部で必要とされる反応温度よりも隣り合う反応部の温度が低い場合、伝導や輻射により隣り合う反応部へ熱の伝達が行われ、ある反応部で必要とされる反応温度に達することができず、結果、目的とする化学反応の効率を低下させてしまう恐れがある。この場合、反応部を目的の反応温度に上昇させるために形成されたヒーターへ通電処理をおこない、発熱させることによって目的の反応温度を得ることは可能だが、通電処理による電気的損失が発生し、結果、マイクロ化学システム全体の効率を低下させてしまう恐れがある。
【0007】
各反応部間の距離を大きくすることや、反応部間に空隙を設けることは、反応部間の伝導による熱の伝達を抑えることに効果はあるが、輻射や対流による熱の伝達には効果がなく、目的とする化学反応の効率を高めることができない恐れがある。
【0008】
本発明は上記従来の技術における問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、反応部で発生する熱が隣り合う反応部へ伝達することを抑制し、高い反応効率を有するとともに消費電力が小さい反応器、反応器収納用容器および反応装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の反応器は、複数の反応部を備えた反応器であって、前記反応部間に少なくとも一つの放射熱防止板を設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明の反応器において好ましくは、前記放射熱防止板が、前記反応部の表面よりも高い熱反射率を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の反応器において好ましくは、前記放射熱防止板の表面にめっき処理が施されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の反応器において好ましくは、前記放射熱防止板の表面に電解研磨処理が施されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の反応器において好ましくは、前記反応部は、ヒーターによる加熱もしくは反応熱により発熱することを特徴とする。
【0014】
本発明の反応器収納用容器は、複数の反応部を備えた反応器を収納するための収納容器を具備する反応器収納用容器であって、前記収納容器の内面に前記反応部間に配置される放射熱防止板を設けたことを特徴とする。
【0015】
本発明の反応装置は、上記本発明の反応器を収納容器に気密に収納したことを特徴とする。
【0016】
本発明の反応装置は、上記本発明の反応器収納用容器に、複数の反応部を備えた反応器を、前記反応部間に前記放射熱防止板が位置するように収納したことを特徴とする。
【0017】
本発明の反応装置において好ましくは、前記収納容器の内部の圧力を10Pa以下としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、各反応部で発生する放射熱が隣接する反応部へ伝達されるのを放射熱防止板で有効に抑制することができる。その結果、各反応部での必要とされる適切な温度を良好に保つことができ、高い反応効率を有するとともに消費電力が小さい反応器、反応器収納用容器および反応装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の反応器、反応器収納用容器および反応装置を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の実施形態1の反応器およびこの反応器を用いた反応装置の実施の形態の一例を示す断面図である。7は反応部、8は反応部蓋体、9は流路、10は放射熱防止板、3はヒーターであり、主にこれらで本発明の反応器6が構成されている。
【0021】
また、Aは収納容器、1は基体、2は蓋体、4aは物質を供給する供給路としての供給管、4bは反応後の物質を排出する排出路としての排出管、5はリード端子であり、主にこれらで上記反応器6を収容することにより、本発明の反応装置11が構成される。
【0022】
本発明における基体1および蓋体2は、ともに反応器6を収納する収納容器Aを構成する。それらは、例えば、SUS、Fe−Ni−Co合金、Fe−Ni合金等のFe系合金や、無酸素銅等の金属材料、酸化アルミニウム(Al)質焼結体、ムライト(3Al・2SiO)質焼結体、炭化珪素(SiC)質焼結体、窒化アルミニウム(AlN)質焼結体、窒化珪素(Si)質焼結体、ガラスセラミックス等のセラミック材料、ポリイミド等の高耐熱の樹脂材料等で形成されている。
【0023】
基体1および蓋体2に適用可能なガラスセラミックスとしては、ガラス成分とフィラー成分とが挙げられる。
【0024】
ガラス成分としては、例えばSiO−B系、SiO−B−Al系、SiO−B−Al−MO系(但し、MはCa、Sr、Mg、BaまたはZnを示す)、SiO−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは同一または異なってCa、Sr、Mg、BaまたはZnを示す)、SiO−B−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは前記と同じである)、SiO−B−MO系(但し、MはLi、NaまたはKを示す)、SiO−B−Al−MO系(但し、Mは前記と同じである)、Pb系ガラス、Bi系ガラス等が挙げられる。
【0025】
また、フィラー成分としては、例えばAl、SiO、ZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、AlおよびSiOから選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル、ムライト、コージェライト)等が挙げられる。
【0026】
基体1および蓋体2は、基体1および蓋体2で形成される空域部(不図示)に反応器6を収納できればよく、例えば図1に示したように、上側に凹部を有する基体1と板状の蓋体2のほか、板状の基体1と下側に凹部を有する蓋体2であってもよい。
【0027】
この場合、基体1と蓋体2は、内部を気密に封止するため、はんだや金属ロウ材等で接合する方法や、基体1が凹部を有する場合には、凹部の上面に鉄合金等で作製されたシールリング等を接合して、シームウェルド、エレクトロンビームやレーザー等の方法にて接合してもよい。
【0028】
例えば、Au−Snロウ材により接合する場合は、蓋体2に予めAu−Snロウ材を溶着させておくか、あるいは金型等を用いて打ち抜き加工等で枠状に形成したAu−Snロウ材を基体1と蓋体2との間に載置した後、封止炉あるいはシームウェルダーで蓋体2を基体1に接合する。
【0029】
また、基体1および蓋体2は、反応装置11の小型化、低背化を可能とするために、厚さを薄くするのが好ましいが、基体1および蓋体2の強度を維持すべく、機械的強度である曲げ強度は200MPa以上とするのが好ましい。例えば、曲げ強度が200MPa以下の場合には、基体1および蓋体2の機械的強度が不足し、荷重が加わった際に変形が生じる可能性がある。
【0030】
また、基体1および蓋体2が、相対密度が95%以上の緻密質の酸化アルミニウム質焼結体で形成される場合、以下のようにして作製される。
【0031】
まず酸化アルミニウム粉末に、希土類酸化物粉末や酸化アルミニウム粉末等の焼結助剤を添加、混合して、酸化アルミニウム質焼結体の原料粉末を調製する。次いで、この原料粉末に有機バインダおよび分散媒を添加、混合してペースト化し、このペーストをドクターブレード法によって、あるいは原料粉末に有機バインダを加え、プレス成形、圧延成形等によって、所定の厚みのグリーンシートを作製する。その後、所定枚数のシート状成形体を位置合わせして積層圧着した後、この積層体を、例えば非酸化性雰囲気中、焼成最高温度が1200〜1500℃の温度で焼成して、目的とするセラミック製の基体1および蓋体2を得る。なお、基体1および蓋体2の成形は粉末成形プレス法であっても良い。
【0032】
一方、基体1および蓋体2が金属材料から成る場合は、切削法、プレス法、MIM(Metal Injection Mold)法等により所定の形状に形成される。
【0033】
さらに、基体1および蓋体2が金属材料から成る場合には、腐食を防止するためにその表面は、例えばAu、Niのめっき処理や、ポリイミド等の樹脂コーティング等の被覆コーティング処理が行なわれることが望ましい。例えばAuめっき処理の場合であれば、その厚さは0.1〜5μm程度であることが望ましい。
【0034】
また、基体1および蓋体2で構成される収納容器Aの少なくとも内側表面をAuやAlのめっき処理膜で覆うことにより、収容された反応器6で発生する輻射熱を効率良く反射させることができ、収納容器Aの昇温を抑制することが可能となる。
【0035】
容器(基体)1および容器(蓋体)2で形成される空域部(不図示)に、反応器6が収納される。
【0036】
本発明の反応装置11に用いられる反応器6は、反応器6に接合される供給管4aから供給された物質を、反応部7において他の物質(反応生成物)に変化させ、排出管4bより排出するための装置である。
【0037】
反応器6は、供給管4aから供給された物質を反応部7へ供給、または反応部7において生成された反応生成物を排出管4bより排出するためにその内部または表面部に流路9を有する。
【0038】
反応器6は、特に限定されるものではなく、例えば、シリコン等の半導体、石英、ガラス、金属、セラミックス等の無機材料の基材に、切削法、エッチング法、ブラスト法等により細い溝を形成して流路9を作製するとともに、操作中の物質の蒸発防止等を目的として、ガラス板、金属、セラミック等のカバーを陽極接合、ロウ付け、溶接、拡散接合等により表面に密着することにより形成される。反応器6がセラミックの場合、例えばグリーンシートの状態で流路9を形成し、グリーンシートを積層、焼成することによっても流路9を有する反応器6を形成することができる。
【0039】
反応器6はその形状を特に限定されるものではなく、例えば四角形状等があげられる。
【0040】
ことができる。
【0041】
反応器6は、基体1に収納され、蓋体2が金属ロウ材やガラス材による接合やシームウェルド法等により基体1の凹部を覆って取着されることによって、収納容器A内に収納される。
【0042】
例えば、Au−Snロウ材により接合する場合は、蓋体2に予めAu−Snロウ材を溶着させておくか、あるいは金型等を用いて打ち抜き加工等で形成したAu−Snロウ材を基体1と蓋体2との間に載置した後、封止炉あるいはシームウェルダーで蓋体2を基体1に取着することにより、収納容器Aの内部に反応器6を封止する。
【0043】
反応器6は、反応部7での化学反応の効率を高めるためにヒーター3を有してもよい。ヒーター3は、反応部7の温度調節機能のために反応器6の内部や表面部に、薄膜や厚膜また、金属細線を埋め込むことによって形成される。ヒーター3は、反応部7の近傍に配置されることにより、ヒーター3から発生する熱を効率的に化学反応に用いることができる。
【0044】
またヒーター3は、発熱時の抵抗値を測定することよって、反応部7の温度を知るセンサーとしての機能を持たせることもできる。
【0045】
リード端子5は、このヒーター3を発熱させるために反応器6と収納容器Aの外部とを電気的に接続させる機能を有する。このリード端子5へ電力を供給し、ヒーター3を発熱させることによって、反応部7を必要な温度条件に調整することで、供給管4aから供給される原料を反応させ、得られる反応生成物排出管4bから排出する。
【0046】
リード端子5は、基体1および蓋体2や反応器6の熱膨張係数と同一または近似した金属を用いるのが好ましく、温度変化に対する熱歪の発生を防止する上で、さらにはリード端子5と基体1との良好な封着性を有し、実装時に必要な強度と良好なはんだ付性や溶接性を確保できる上で、例えば、Fe−Ni合金、Fe−Ni−Co合金、SUS等を用いることが好ましい。
【0047】
放射熱防止板10は、反応部7で発生する放射熱が隣接する反応部7へ伝達されるのを有効に抑制し、各反応部7での必要とされる適切な温度を良好に保つことができる。放射熱防止板10は、特に限定されるものではなく、例えば、金属、セラミックス等の無機材料や高温耐熱を有する有機材料を基材に、切削法、エッチング法、プレス法等により形成される。
【0048】
放射熱防止板10は、反応器6における、反応部7と隣り合う別の反応部7との間の部位に接合されて載置される。接合は、ロウ付け、連続や単発の溶接、拡散接合、高温耐熱を有する有機接合材等により行われる。
【0049】
好ましくは、反応器6が図1に示すように反応部7同士の間において、間隙を形成するようにくびれており、このくびれた部位に反射熱防止板10が接合されているのがよい。これにより、隣接する反応部7同士の間で、反射熱防止板10によって放射熱の伝導を抑制するだけでなく、くびれた部位によって反応器6自身を伝って伝道する熱をも有効に抑制できる。
【0050】
放射熱防止板10の表面は、反応部7で発生する放射熱を効果的に反射し、隣り合う別の反応部への熱の伝達を防止するために、反応部7の表面よりも高い熱反射率を有することが望ましい。このような構成により、隣接する反応部7同士の間で、反射熱防止板10によって放射熱の伝導を抑制するとともに、反射熱防止板10から反射された熱は再度、発生もとの反応部7にもどりやすくなり、反応部7の熱損失を低減できる。
【0051】
このように放射熱防止板10の表面の熱反射率を高くするには、放射熱防止板10の材質を熱反射率の高いFe-Ni系、Fe−Ni−Co系、SUS等の金属材料等を用いればよい。あるいは、放射熱防止板10の表面に熱反射率の高い金属等の被膜を形成してもよい。また、放射熱防止板10の表面を鏡面状に加工してもよい。
【0052】
好ましくは、熱反射率を高めるとともに容易に熱反射率の高い表面を形成するという観点からは、放射熱防止板10の表面にめっき処理や研磨処理が施されていることが好ましい。めっき処理は、Auめっき、Niめっき等、研磨処理は電解研磨処理等が好ましい。
【0053】
供給管4aおよび排出管4bは、例えば、Fe−Ni系,Fe−Ni−Co系,SUS等の金属材料や、Al質焼結体,3Al・2SiO質焼結体,SiC質焼結体,AlN質焼結体,Si質焼結体,ガラスセラミック焼結体等のセラミック材料や、ポリイミド等の高耐熱の樹脂材料で形成されている。
【0054】
そして、これらの供給管4aおよび排出管4bは、基体1に形成した貫通孔(不図示)に挿通して接合される。この接合方法として、供給管4aおよび排出管4bと基体1を構成する材料により、超音波接合や熱溶着、圧着、樹脂接着剤による接着、Au−SiやAg−Cu等のロウ材による接合、硼珪酸ガラス等のガラスによる接合、同時焼結等の各種方法が適宜用いられる。
【0055】
また、供給管4aおよび排出管4bの内径はφ0.1mm以上として流体の圧力損失を抑えることが好ましい。
【0056】
供給管4aおよび排出管4bの接合部分の断面形状としては、通常は円形とすればよいが、これに限定されない。すなわち、円形の他には、楕円形や、流体の流れ方向にその辺部を合わせることができる角状のもの、例えば、正方形,長方形が挙げられる。また、肉厚は物質供給や反応物質排出の圧力で変形しない厚みが必要であり、上記の材料から成る場合には、携帯機器等に使用するものでは通常は0.1mm以上であれば良い。また、流れ方向の長さは、反応器8で発生する熱を発電セルに伝えにくくするためには長い程よいが、反応装置システム全体の大きさを考慮した長さにすべきである。
【0057】
次に、本発明の実施形態2について説明する。図2は本発明の実施形態2の反応器収納用容器およびこの反応器収納用容器を用いた反応装置の実施の形態の一例を示す断面図である。
【0058】
実施形態2において、実施形態1と同じ部位については図1と同じ符号を示しており、具体的な説明は実施形態1で説明したものと同じであるので省略する。Aは収納容器、1は基体、2は蓋体、4aは物質を供給する供給路としての供給管、4bは反応後の物質を排出する排出路としての排出管、5はリード端子、10’は放射熱防止板であり、主にこれらで本発明の反応器収納用容器12が構成される。
【0059】
また、上記反応器収納用容器12に反応器6’を、反応部7間に放射熱防止板10’が位置するように収容することにより、本発明の反応装置11’が構成される。
【0060】
実施形態2の実施形態1と異なる点は、実施形態1では、放射熱防止板10が反応器6に接合されているのに対し、実施形態2では、放射熱防止板10’が反応器収納用容器12に接合されている。よって、実施形態2では、収納する反応器6’は、複数の反応部を有する反応器を用いてもよく、実施形態1の放射熱防止板10が接合された本発明の反応器6を用いてもよい。
【0061】
そして、本発明の反応器収納用容器12に接合された反射熱防止板10’は、基体1に接合されていてもよく、蓋体2に接合されていてもよい。また、基体1と蓋体2の両方に接合されていてもよい。反応器収納用容器12には、反応部7同士の間に反射熱防止板10’が位置するように反応器6’が収納される。このような構成により、各反応部7で発生する放射熱が隣接する反応部7へ伝達されるのを放射熱防止板10’で有効に抑制することができる。その結果、各反応部7での必要とされる適切な温度を良好に保つことができ、高い反応効率を有するとともに消費電力が小さい反応器収納用容器12および反応装置11’を提供することができる。
【0062】
また、本発明の反応装置11,11’において、収納容器Aの内部の圧力を10Pa以下とすることが好ましい。これにより、反応器6,6’からの放射熱によって基体1や蓋体2に熱が伝わるのを有効に防止することができる。収納容器Aの内圧を10Pa以下にするために、反応器6,6’を封止する際、真空炉でのロウ材による封止や真空チャンバー内でのシームウェルド法で行なえば良い。また、ガス吸着材等(不図示)を用いて収納容器Aの内圧を低減してもよい。
【0063】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。例えば、図1,2に示した例においては、供給管4aおよび排出管4bは反応器6,6’の側面に接合されているが、これらは反応器6,6’の仕様に応じて上面や下面に接合しても良い。また、リード端子5は反応器6,6’の下面に接合されているが、これらは反応器6,6’の仕様に応じて側面や上面に接合しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の反応器およびそれを用いた反応装置について実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の反応器収納用容器およびそれを用いた反応装置について実施の形態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0065】
A・・・・・・・・・収納容器
6,6’・・・・・・反応器
7・・・・・・・・・反応部
10,10’・・・・・放射熱防止板
11,11’・・・・反応装置
12・・・・・・・・反応器収納用容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の反応部を備えた反応器であって、前記反応部間に少なくとも一つの放射熱防止板を設けたことを特徴とする反応器。
【請求項2】
前記放射熱防止板が、前記反応部の表面よりも高い熱反射率を有することを特徴とする請求項1記載の反応器。
【請求項3】
前記放射熱防止板の表面にめっき処理が施されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の反応器。
【請求項4】
前記放射熱防止板の表面に電解研磨処理が施されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の反応器。
【請求項5】
前記反応部は、ヒーターによる加熱もしくは反応熱により発熱することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の反応器。
【請求項6】
複数の反応部を備えた反応器を収納するための収納容器を具備する反応器収納用容器であって、前記収納容器の内面に前記反応部間に配置される放射熱防止板を設けたことを特徴とする反応器収納用容器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の反応器を収納容器に気密に収納したことを特徴とする反応装置。
【請求項8】
請求項6記載の反応器収納用容器に、複数の反応部を備えた反応器を、前記反応部間に前記放射熱防止板が位置するように収納したことを特徴とする反応装置。
【請求項9】
前記収納容器の内部の圧力を10Pa以下としたことを特徴とする請求項7または請求項8記載の反応装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−238085(P2008−238085A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83938(P2007−83938)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】