説明

反応容器処理装置

【課題】
反応容器を自動的に処理する反応容器処理装置を簡略化し、小型で安価に実現できるようにする。
【解決手段】
好ましい形態では、タイピング反応温度制御部を構成する上下のヒートブロック62,60はプローブ配置部に対応する位置にのみ開口150,152をもつ。ヒートブロック62上にはカバー154が被せられており、カバー154にも開口150の位置にのみ開口156が開けられている。開口150,156を介してノズル28で反応容器41のプローブ配置部へ反応液を分注する。蛍光検出部64は反応容器41の下面側からヒートブロック60の開口152を介してプローブ配置部からの蛍光を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学反応を初め、医療現場において各種自動解析、例えば遺伝子解析の研究や臨床を行なうのに適する反応容器を用いて人間を初めとする動物や植物のゲノムDNAの多型、特にSNP(一塩基多型)を検出するための反応容器処理装置に関する。検出された遺伝子多型検出結果を用いて病気罹患率の診断や、投与薬剤の種類と効果及び副作用との関係などの診断を行なうことができる。
【背景技術】
【0002】
遺伝子多型を利用して病気の罹りやすさなどを予測する方法又は装置として、下記のようなものが提案されている。
患者が敗血症に罹りやすいか否か及び/又は敗血症に急速に進行しやすいか否かを決定するために、患者から核酸サンプルを採取し、該サンプル中におけるパターン2対立遺伝子、又はパターン2対立遺伝子と連鎖不平衡であるマーカー遺伝子を検出し、パターン2対立遺伝子又はパターン2対立遺伝子と連鎖不平衡であるマーカー遺伝子が検出されれば該患者が敗血症に罹りやすいと判定する(特許文献1参照。)。
【0003】
ヒトのflt−1遺伝子中の1又はそれ以上の単一ヌクレオチド多型性の診断のために、ヒトの核酸の1又はそれ以上の位置:1953、3453、3888(各々EMBL受理番号X51602中の位置に従う)、519、786、1422、1429(各々EMBL受理番号D64016中の位置に従う)、454(配列番号3に従う)及び696(配列番号5に従う)の配列を決定し、flt−1遺伝子中の多型性を参照することにより、そのヒトの体質を決定する(特許文献2参照。)。
【0004】
SNP部位の塩基を判別する、いわゆるタイピングについては多くの手法が報告されている。そのうちの代表的なものは次の方法である。
比較的に少量のゲノムDNAを用いて数十万箇所に及ぶSNP部位についてタイピングを行なうために、少なくとも一つの一塩基多型部位を含む複数の塩基配列を、ゲノムDNA及び複数対のプライマーを用いて同時に増幅し、増幅した複数の塩基配列を用いて、当該塩基配列に含まれる一塩基多型部位の塩基をタイピング工程により判別する。そのタイピング工程として、インベーダ法又はタックマンPCR法を用いる(特許文献3参照。)。
【特許文献1】特表2002−533096号公報
【特許文献2】特開2001−299366号公報
【特許文献3】特開2002−300894号公報
【特許文献4】特許第3452717号公報
【非特許文献1】Hsu T. M., Law S. M, Duan S, Neri B. P., Kwok P. Y., "Genotyping single-nucleotide polymorphisms by the invader assay with dual-color fluorescence polarization detection", Clin. Chem., 2001 Aug;47(8):1373-7
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、化学反応の測定や遺伝子多型を自動的に検出することを目的として、化学反応の測定や遺伝子多型検出を自動化するのに適する反応容器を提案している。
その反応容器は、複数の反応領域を含む反応部を少なくとも備え、それらが平板状基板に形成されたものである。その反応部には分注部のノズルにより反応液が分注され、反応を起こさせるために所定の温度に維持される。
【0006】
そのような反応容器を使用して測定を自動化しようとすると、そのための反応容器処理装置は反応容器を装着する反応容器装着部と、吸引及び吐出のためのノズルを備えて反応容器の液の移送を行なう分注部と、反応部の温度を所定の温度に制御する反応温度制御部と、分注部の分注動作及び反応温度制御部の温度制御を行なう制御部とを少なくとも備えたものとなる。
【0007】
通常は、反応容器装着部、分注部及び反応温度制御部はそれぞれ独立した機構として構成され、反応容器がそれらの機構間を移動することにより処理が進められることになる。
しかしながら、反応容器装着部、分注部及び反応温度制御部が独立して構成されている場合には、反応容器処理装置全体として構造が複雑化し、また大型化し、高価にもなる。
そこで、本発明は上記のような反応容器を自動的に処理する反応容器処理装置を簡略化し、小型で安価に実現できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の反応容器処理装置は、複数の反応領域を含む反応部を少なくとも備え、それらが平板状基板に形成された反応容器を装着する反応容器装着部を備え、さらに図1に示されるように、吸引及び吐出のためのノズル28を備えて反応容器の液の移送を行なう分注部112と、前記反応部の温度を所定の温度に制御する反応温度制御部110と、分注部112の分注動作及び反応温度制御部110の温度制御を行なう制御部118とを少なくとも備え、反応温度制御部110は反応容器装着部に装着された反応容器の前記反応部の上部に温度制御用の温度調節部材を備え、その温度調節部材には前記反応領域に対応する位置にのみ開口をもち、分注部112のノズル28はそれらの開口を介して前記反応領域に反応液を分注する。
【0009】
この反応容器処理装置を遺伝子多型検出装置として使用する場合には、反応容器装着部に装着される反応容器の反応部における反応領域は複数の多型部位のそれぞれに対応して蛍光を発するプローブを個別に保持したプローブ配置部となる。その場合、反応温度制御部110はプローブ配置部の温度をサンプルとタイピング試薬との反応液をプローブと反応させる温度に制御するタイピング反応温度制御部となる。
タイピング反応としてインベーダ反応を使用する場合は、タイピング反応温度制御部110はインベーダ反応のための温調部となる。
【0010】
反応容器の反応領域における反応を光学的に検出する場合には、この反応容器処理装置は光を照射して反応を光学的に検出する光学的検出部64をさらに備え、反応温度制御部110は反応容器装着部に装着された反応容器の反応部の下部にも温度制御用の温度調節部材を備え、その温度調節部材には反応領域に対応する位置にのみ開口をもち、光学的検出部64はそれらの開口を介して反応領域の反応を検出する。このとき、制御部118は光学的検出部64の検出動作の制御も行なうものとなる。
光学的検出部64は反応領域に励起光を照射して蛍光を検出する蛍光検出部とすることができる。
【0011】
反応容器はタイピング試薬を収容したタイピング試薬収容部、及び反応液よりも比重の低い不揮発性液体を収容した不揮発性液体収容部も反応部が形成されている平板状基板に一体として備えたものとすることができる。
また、反応容器内で遺伝子増幅反応も行なわせる場合には反応容器は複数の多型部位それぞれをはさんで結合する複数のプライマーを含む遺伝子増幅試薬を収容した遺伝子増幅試薬収容部と、その遺伝子増幅試薬とサンプルとの混合液に対して遺伝子増幅反応を行なわせる増幅反応部も反応部が形成されている平板状基板に一体として備えたものとすることができる。その場合、この反応容器処理装置はその増幅反応部の温度をサンプルと遺伝子増幅試薬との反応液内でDNAを増幅させる遺伝子増幅のための温度に制御する増幅反応温度制御部120をさらに備え、制御部118は増幅反応温度制御部120の温度制御も行なうものとなる。
制御部118を外部から操作したり検査結果を表示したりするために、制御部118にパーソナルコンピュータ(PC)122を接続してもよい。
【0012】
ここで、多型部位とプライマーの関係を示すと、1つの多型部位を増幅するためにはその多型部位をはさんで結合する一対のプライマーが必要になる。対象となる生体サンプルには複数種類の多型部位が存在するので、それらの多型部位が互いに離れた位置に存在する場合には多型部位の種類の数の2倍の種類のプライマーが必要になる。しかし、2つの多型部位が接近している場合には、それらの多型部位それぞれをはさんでプライマーを結合させて増幅することも、またそれらの2つの多型部位の間にはプライマーを結合させず、2つの多型部位の配列の両側にのみプライマーを結合させて増幅することもできる。したがって、必要なプライマーの種類は必ずしも多型部位の種類の数の2倍になるわけではない。本発明における「複数の多型部位それぞれをはさんで結合する複数のプライマー」とは一対のプライマーが1つの多型部位をはさんで結合する場合だけでなく、2又はそれ以上の多型部位をはさんで結合する場合も含めて、複数の多型部位を増幅するのに必要な種類のプライマーという意味で使用している。
多型には変異、欠失、重複、転移等が含まれる。多型の代表的なものはSNPである。
生体サンプルは血液、唾液、ゲノムDNAなどである。
遺伝子増幅試薬の一例はPCR反応試薬である。
【0013】
SNPのタイピングには増幅工程に入る段階でゲノムDNAの調整が必須であり、そこに手間とコストがかかる。DNAを増幅するPCR法だけに着目すれば、前処理なしで血液などのサンプルから直接PCR反応を行なわせる方法も提案されている。そこでは、遺伝子を含むサンプル中の目的とする遺伝子を増幅する核酸合成法において、遺伝子を含むサンプル中の遺伝子包含体もしくは遺伝子を含むサンプルそのものを遺伝子増幅反応液に添加して、添加後の該反応液のpHが8.5−9.5(25℃)で遺伝子を含むサンプル中の目的とする遺伝子を増幅する(特許文献4参照。)。
【0014】
既に構築されているタイピングシステムは、タイピングしようとする複数のSNP領域をPCR法で増幅するために、最初に採取するDNA量は少なくてすむが、PCR法で増幅する前に予め生体サンプルからDNAを抽出しておくという前処理が必要である。そのためにその前処理に時間と手間がかかる。
【0015】
直接PCR法とタイピング方法を結びつけたときに、タイピングを目的とする複数のSNP部位について同時に増幅を行なうような自動化システムはこれまで構築されていなかった。
タイピング工程はインベーダ法やタックマンPCR法を使用することができる。その場合、タイピング試薬はインベーダ試薬又はタックマンPCR試薬である。
【0016】
図13は本発明の反応容器を遺伝子多型診断用試薬キットとして使用して遺伝子多型を検出する際の検出方法を概略的に示したものである。ここでは、増幅工程にはPCR法、タイピング工程にはインベーダ法を使用するものとして説明する。
PCR工程では血液などの生体サンプル2にPCR反応試薬4を添加するか、逆にPCR反応試薬4に生体サンプル2を添加する。
【0017】
PCR反応試薬4は予め調整されたものであり、測定しようとするSNP部位のための複数のプライマーを含み、それにpHを調整するためのpH緩衝液、4種類のデオキシリボヌクレオチド類、熱安定性合成酵素、及びMgCl2、KCl等の塩類などの必要な試薬が添加されている。その他に、界面活性剤や蛋白などの物質を必要に応じて添加することができる。本発明で用いることのある増幅工程のPCR法は、目的とする複数のSNP部位を同時に増幅させるものである。生体サンプルは核酸抽出操作を施しているものであってもよく、核酸抽出操作を施していないものであってもよい。核酸抽出操作を施していない生体サンプルから直接PCR法によりそれらのSNP部位を含む複数のゲノムDNAを増幅させる場合には、それらのSNP部位のための複数のプライマーを含む遺伝子増幅反応試薬を生体サンプルに作用させ、サンプル2と混合したときに25℃でのpHが8.5−9.5となる条件下でPCR反応を起こさせる。
【0018】
pH緩衝液は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンと塩酸、硝酸、硫酸等の鉱酸の組合せのほか、種々のpH緩衝液を使用することができる。pH調整された緩衝液は、PCR反応試薬の中で10mMから100mMの間の濃度で使用するのが好ましい。
プライマーはPCR反応によるDNA合成の開始点として働くオリゴヌクレオチドをいう。プライマーは合成したものであってもよく、生物界から単離したものであってもよい。
【0019】
合成酵素はプライマー付加によるDNA合成用の酵素であり、化学合成系も含む。適切な合成酵素としては、E.coliのDNAポリメラーゼI、E.coliのDNAポリメラーゼのクレノーフラグメント、T4DNAポリメラーゼ、TaqDNAポリメラーゼ、T.litoralis DNAポリメラーゼ、TthDNAポリメラーゼ、PfuDNAポリメラーゼ、Hot Start Taq ポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、EX TaqDNAポリメラーゼ、逆転写酵素などがあるが、これらに限定されるものではない。「熱安定性」は、高温下、好ましくは65−95℃でもその活性を保持する化合物の性質を意味する。
【0020】
PCR工程では、生体サンプル2とPCR反応試薬4との混合液を所定の温度サイクルに従ってPCR反応を行なわせる。PCR温度サイクルは、変性、プライマー付着(アニーリング)及びプライマー伸長の3工程を含み、そのサイクルを繰り返すことによりDNAを増幅させる。各工程の一例は、変性工程が94℃で1分間、プライマー付着工程が55℃で1分間、プライマー伸長が72℃で1分間である。生体サンプルはゲノム抽出操作を施したものであってもよいが、ここではゲノム抽出操作を施していないものを使用する。ゲノム抽出操作を施していない生体サンプルであっても、PCR温度サイクルの高温下でDNAが血球や細胞から遊離し、PCR反応に必要な試薬がDNAに接触して反応が進む。
【0021】
PCR反応終了後、タイピング試薬としてインベーダ試薬6が添加される。インベーダ試薬6には蛍光を発するフレット(FRET)プローブ及びクリベース(Cleavase:構造特異的DNA分解酵素)が含まれている。フレットプローブはゲノムDNAと全く無関係な配列をもつ蛍光標識オリゴであり、SNPの種類によらず配列は共通であることが多い。
【0022】
次に、インベーダ試薬6が添加された反応液を複数のプローブ配置部8に添加して反応をさせる。各プローブ配置部8には、複数のSNP部位のそれぞれに対応してインベーダプローブとレポータープローブが個別に保持されており、反応液がインベーダプローブと反応し、そのレポータープローブに対応するSNPが存在すれば蛍光を発する。
【0023】
インベーダ法については、特許文献3の段落[0032]から[0034]に詳しく記載されている。
各レポータープローブはそれに対応したSNPの塩基に応じて2種類のものを用意すれば、そのSNPがホモ接合体であるかヘテロ接合体であるかを判別することができる。
【0024】
タイピング工程で使用するインベーダ法は、アレル特異的オリゴとタイピング対象のSNPを含むDNAとをハイブリダイゼーションすることによりSNP部位をタイピングする方法であり、タイピング対象のSNPを含むDNAと、タイピング対象のSNPのそれぞれのアレルに特異的な2種類のレポータープローブ及び1種類のインベーダプローブと、DNAの構造を認識して切断するという特殊なエンドヌクレアーゼ活性を有する酵素とを用いる方法である(特許文献3参照。)。
【発明の効果】
【0025】
本発明の反応容器処理装置では、反応温度制御部は反応容器装着部に装着された反応容器の反応部の上部に温度制御用の温度調節部材を備え、その温度調節部材には反応領域に対応する位置にのみ開口をもち、分注部のノズルはそれらの開口を介して前記反応領域に反応液を分注するようにしたので、反応容器を反応容器装着部、分注部及び反応温度制御部の間で移送するための搬送部が不要になって構成が簡略化し、安価に実現することができる。
また、温度調節部材に設ける開口は反応領域に対応する位置にのみであるため、精度よく温調することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図2は反応容器の第1の実施例である。(A)は正面図、(B)は平面図である。
平板状の基板10の同じ側に試薬収容部14及び反応液よりも比重の低い不揮発性液体を収容した不揮発性液体収容部16が凹部として形成されている。
反応液よりも比重の低い不揮発性液体としては、ミネラルオイル(鉱油)、植物油、動物油、シリコーンオイル又はジフェニルエーテルなどを用いることができる。ミネラルオイルはペトロラタムから蒸留により得られる液体の炭化水素混合物であり、流動パラフィン、流動ペトロラタム、ホワイト油などとも呼ばれ、低比重の軽油も含む。動物油としてはタラの肝油、オヒョウ油、ニシン油、オレンジラフィー油又はサメの肝油などを用いることができる。また、植物油としてはカノーラ油、扁桃油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、ピーナツ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油などを用いることができる。
【0027】
実施例では、不揮発性液体としてはミネラルオイルを使用し、以後、不揮発性液体収容部をミネラルオイル収容部と称す。基板10の同じ側にはさらに、反応部18も形成されている。
試薬収容部14とミネラルオイル収容部16はフィルム20で封止されており、試薬とミネラルオイルをノズルで吸入して他の場所に移送する際には、そのフィルム20を取り除いてノズルで吸入するか、又はそのフィルム20をノズルで貫通可能なものとしておいてノズルを貫通させてノズルで吸入する。そのようなフィルム20は、例えばアルミニウム箔、アルミニウムとPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどの樹脂フィルムとの積層膜などであり、容易に剥がれないように融着や接着により貼りつけられている。
基板10の表面は、フィルム20上から、試薬収容部14、ミネラルオイル収容部16及び反応部18を被う大きさの剥離可能なシール材22で被われている。
【0028】
この反応容器の具体的な用途の一例は、PCR反応によりDNAを増幅させたサンプル反応液を注入し、インベーダ反応によりSNPを検出する遺伝子多型診断用試薬キットとなったものである。図2を参照して、その遺伝子多型診断用試薬キットとしての実施例を詳細に説明する。
平板状の基板10の同じ側にサンプル注入部12、タイピング試薬収容部14、及びミネラルオイル収容部16が凹部として形成されている。基板10の同じ側にはさらに、複数のプローブ配置部18も形成されている。
【0029】
サンプル注入部12はPCR反応によりDNAを増幅させた生体サンプル反応液が注入されるものであるが、使用前の状態ではまだサンプルが注入されない空の状態で提供される。タイピング試薬収容部14は複数の多型部位に対応して調製されたタイピング試薬を10〜300μL収容しており、ミネラルオイル収容部16は反応液の蒸発を防ぐためのミネラルオイルを20〜300μL収容しており、これらのタイピング試薬収容部14とミネラルオイル収容部16はノズルで貫通可能なフィルム20で封止されている。
【0030】
各プローブ配置部18は複数の多型部位のそれぞれに対応して蛍光を発するプローブを個別に保持しており、ミネラルオイル収容部16からのミネラルオイルが分注されたときにそのミネラルオイルを保持できる凹部となっている。各プローブ配置部18の凹部の大きさは、例えば直径が100μm〜2mm、深さが50μm〜1.5mmの円形である。
【0031】
基板10の表面は、フィルム20上から、サンプル注入部12、タイピング試薬収容部14、ミネラルオイル収容部16及びプローブ配置部18を被う大きさの剥離可能なシール材22で被われている。このシール材22もアルミニウム箔、アルミニウムと樹脂との積層膜などであるが、貼りつけ強度はフィルム20よりは弱く、粘着剤などにより剥離可能な程度に貼りつけられている。
【0032】
基板10は底面側から蛍光を測定するために、低自蛍光性(それ自身からの蛍光発生が少ない性質のこと)で光透過性の樹脂、例えばポリカーボネートなどの素材で形成されている。基板10の厚さは0.3〜4mm、好ましくは1〜2mmである。低自蛍光性の観点から基板10の厚さは薄い方が好ましい。
【0033】
この実施例の反応容器の使用方法を示す。
図3に示されるように、使用時にシール材22が剥がされる。タイピング試薬収容部14とミネラルオイル収容部16を封止しているフィルム20は剥がされないでそのまま残っている。
サンプル注入部12に外部でPCR反応によりDNAが増幅されたサンプル反応液24がピペット26などにより2〜20μL注入される。その後、この反応容器が検出装置に装着される。
【0034】
検出装置において、図4に示されるように、ノズル28がフィルム20を貫通してタイピング試薬収容部14に挿入されてタイピング試薬が吸入され、タイピング試薬はそのノズル28によりサンプル注入部12に移送される。サンプル注入部12ではノズル28による吸入と吐出が繰り返されることにより、サンプル反応液とタイピング試薬が混合される。
【0035】
その後、サンプル反応液とタイピング試薬との反応液がノズル28により各プローブ配置部18へ0.5〜4μLずつ分注される。各プローブ配置部18にはノズル28によりミネラルオイル収容部16からミネラルオイルが0.5〜10μLずつ分注される。プローブ配置部18へのミネラルオイルの分注は、プローブ配置部18への反応液の分注前であってもよい。各プローブ配置部18ではミネラルオイルが0.5〜4μLずつ分注されて、そのミネラルオイルが反応液の表面を被い、検出装置のタイピング反応温度制御部での加熱を伴なうタイピング反応時間中の反応液の蒸発を防止する。
各プローブ配置部18では反応液がプローブと反応して所定のSNPがあればそのプローブから蛍光が発せられる。蛍光は基板10の裏面側から励起光を照射することにより検出する。
【0036】
図5は反応容器の第2の実施例である。(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は(B)のX−X線位置での拡大断面図である。
この反応容器は核酸抽出操作を施していない生体サンプルをサンプルとして注入し、PCR反応によるDNAの増幅と、インベーダ反応によるSNP検出を共に行なうものである。ただし、核酸抽出操作を施している生体サンプルを注入してもよい。
【0037】
平板状の基板10aの同じ側に、図2の実施例と同じサンプル注入部12、タイピング試薬収容部14、ミネラルオイル収容部16、及び複数のプローブ配置部18が形成されている。この反応容器では、さらに遺伝子増幅試薬収容部30、PCR終了液注入部31、及び増幅反応部32が基板10aの同じ側に形成されている。
【0038】
遺伝子増幅試薬収容部30も基板10aに凹部として形成され、複数の多型部位それぞれを挟んで結合する複数のプライマーを含む遺伝子増幅試薬を収容している。遺伝子増幅試薬収容部30はタイピング試薬収容部14及びミネラルオイル収容部16とともに、ノズルで貫通可能なフィルム20で封止されている。遺伝子増幅試薬収容部30にはPCR反応試薬が2〜300μL収容されている。タイピング試薬収容部14には図2の実施例と同様に、タイピング試薬が10〜300μL収容されており、ミネラルオイル収容部16には20〜300μLのミネラルオイルが収容されている。
【0039】
PCR終了液注入部31は増幅反応部32でPCR反応を終了した反応液とタイピング試薬とを混合するためのもので、基板10aに凹部として形成され、使用前の状態では空の状態で提供される。
増幅反応部32はPCR反応試薬とサンプルとの混合液に対して遺伝子増幅反応を行なわせるものである。
【0040】
増幅反応部32の部分の断面を拡大して図6に示す。図6は図5のY−Y線位置での断面図である。図6に示されるように、増幅反応部32の液分注用ポート34a,34bはノズル28の先端形状に対応した形状の開口36a,36bをもち、ノズル28の先端に密着できるようにPDMS(ポリジメチルシロキサン)やシリコーンゴムなどの弾性素材で構成されている。
【0041】
増幅反応部32は熱伝導率をよくするためにその部分の基板10aの下面側が、図5(C)、図6に示されるように肉厚が薄くなっている。その部分の肉厚は、例えば0.2〜0.3mmである。
サンプル注入部12は、この実施例では核酸抽出操作を施していない生体サンプルが注入されるが、使用前の状態ではまだサンプルが注入されない空の状態で提供される。
【0042】
図2の実施例と同じく、タイピング試薬収容部14は複数の多型部位に対応して調製されたタイピング試薬を収容しており、ミネラルオイル収容部16は反応液の蒸発を防ぐためのミネラルオイルを収容している。
各プローブ配置部18も図2の実施例と同じく、複数の多型部位のそれぞれに対応して蛍光を発するプローブを個別に保持しており、ミネラルオイル収容部16からのミネラルオイルが分注されたときにそのミネラルオイルを保持できる凹部となっている。
【0043】
基板10aの表面は、フィルム20上から、サンプル注入部12、PCR終了液注入部31、タイピング試薬収容部14、ミネラルオイル収容部16、遺伝子増幅試薬収容部30、増幅反応部32及びプローブ配置部18を被う大きさの剥離可能なシール材22で被われている。フィルム20とシール材22の材質及びその貼りつけ方法は図2の実施例と同じである。
基板10aも底面側から蛍光を測定するために、低自蛍光性で光透過性の樹脂、例えばポリカーボネートなどの素材で形成されている。基板10の厚さは1〜2mmである。
【0044】
この実施例の反応容器の使用方法を示す。
図7に示されるように、使用時にシール材22が剥がされる。タイピング試薬収容部14、ミネラルオイル収容部16及び遺伝子増幅試薬収容部30を封止しているフィルム20は剥がされないでそのまま残っている。
サンプル注入部12にサンプル25がピペット26などにより注入される。図2の実施例では、注入されるサンプルは外部でPCR反応によりDNAが増幅されたサンプル反応液であるが、この実施例で注入されるサンプルは核酸抽出操作を施していない生体サンプル、例えば血液である。その後、この反応容器が検出装置に装着される。
【0045】
検出装置において、図8に示されるように、ノズル28がフィルム20を貫通して遺伝子増幅試薬収容部30に挿入されてPCR反応試薬が吸入され、PCR反応試薬はそのノズル28によりサンプル注入部12に移送される。サンプル注入部12ではノズル28による吸入と吐出が繰り返されることにより、サンプル反応液とPCR反応試薬が混合されてPCR反応液となる。
【0046】
次に、図6(A)に示されるように、そのPCR反応液がノズル28により増幅反応部32へ注入される。すなわち、ノズル28が増幅反応部32の一方のポート34aに挿入されてそのPCR反応液38が注入され、続いて増幅反応部32での反応中にPCR反応液38が蒸発するのを防ぐために、ポート34a,34bにノズル28によりミネラルオイル40が注入されてポート34a,34bでのPCR反応液38の表面がミネラルオイル40で被われる。
【0047】
PCR反応終了後、PCR反応液がノズル28により回収されるが、このとき回収を容易にするために、図6(B)に示されるように、増幅反応部32の一方のポート34aからミネラルオイル40が注入される。反応終了後のPCR反応液38aは他方のポート34bに押しやられる。そこで、そのノズル28が挿入され、PCR反応液38aがノズル28に吸入される。ポート34a,34bはその開口36a,36bの形状がノズル28の形状に合わせて形成され、かつ弾性素材で形成されているので、ノズル28がポート34a,34bに密着して液漏れを防ぎ、PCR反応液の注入と回収の操作が容易である。
ノズル28により増幅反応部32から回収された反応終了後のPCR反応液38aはPCR終了液注入部31に移送されて注入される。
【0048】
次に、ノズル28がフィルム20を貫通してタイピング試薬収容部14に挿入されてタイピング試薬が吸入され、タイピング試薬はそのノズル28によりPCR終了液注入部31に移送されて注入される。PCR終了液注入部31ではノズル28による吸入と吐出が繰り返されることにより、PCR反応液とタイピング試薬が混合される。
【0049】
その後、PCR反応液とタイピング試薬との反応液がノズル28により各プローブ配置部18へ0.5〜4μLずつ分注される。各プローブ配置部18にはノズル28によりミネラルオイル収容部16からミネラルオイルが0.5〜10μLずつ分注される。プローブ配置部18へのミネラルオイルの分注は、プローブ配置部18への反応液の分注前であってもよい。各プローブ配置部18ではミネラルオイルが反応液の表面を被い、検出装置のタイピング反応温度制御部での加熱を伴なうタイピング反応時間中の反応液の蒸発を防止する。
各プローブ配置部18では反応液がプローブと反応して所定のSNPがあればそのプローブから蛍光が発せられる。蛍光は基板10の裏面側から励起光を照射することにより検出する。
【0050】
以下、各反応試薬の組成を示して、本発明を詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
PCR反応試薬は既知のものであり、例えば特許文献3の段落[0046]に記載されているような、プライマー、DNAポリメラーゼ及びTaqStart (CLONTECH Laboratories社製)を含む反応試薬を使用することができる。また、PCR反応試薬にはAmpDirect(島津製作所製)が混入されていてもよい。プライマーは、例えば、特許文献3の表1に記載されているSNP ID1〜20、配列番号を1〜40などを使用することができる。
【0051】
タイピング試薬としてインベーダ試薬を使用する。そのインベーダ試薬としては、インベーダーアッセイキット(Third Wave Technology社製)を使用する。例えば、シグナルバッファー、フレットプローブ、構造特異的DNA分解酵素及びアレル特異的プローブを特許文献3の段落[0046]に記載されているような濃度に調製されたものである。
【0052】
図9は上記の反応容器を試薬キットとして用い、生体サンプルのSNPを検出するための簡易型反応容器処理装置に本発明を適用した一実施例を示したものである。
装置内に温度調節部材として上下に一対のヒートブロック60と62が配置されて反応容器装着部を構成しており、本発明の反応容器41にサンプルが注入されたものが5枚平行に下側ヒートブロック60上に並べて設置される。これらのヒートブロック60,62は、矢印で示されるY方向に移動することができる。
【0053】
反応容器装着部の1つの反応容器に関する部分を図10に示す。(A)は平面図、(B)は斜視図である。下側ヒートブロック60上に反応容器41をスライドさせて所定の位置に位置決めする案内溝が設けられ、その案内溝は反応容器41を摺動させて移動させる案内面140と、反応容器41の一辺と当接して反応容器41を案内面140に押し付けながら所定の位置に導くとともに、反応容器41を付勢した状態で所定位置に固定するガイド機構142を備えている。案内溝は奥に当接面141を備えており、反応容器41が案内面140と当接面141に押し付けられたが固定のための所定の位置である。案内溝の上部には反応容器41が上方向に外れるのを防ぐカバー140aが設けられている。
【0054】
ガイド機構142は装着される反応容器41の当接面に直交する方向に延びる溝142aと、その溝142a内に配置され、反応容器41を案内面140に押す方向に付勢されたガイドピン142bとを備えている。
ガイドピン142bと当接する反応容器41の当接面には、反応容器41が所定の位置にきたときにガイドピン142bと当接する位置にV型の切欠き41aが設けられている。
【0055】
反応容器41を案内面140に沿って押し込むと、ガイド機構142のガイドピン142bによって反応容器41は案内面140の方向に押されながら所定の位置に向かってスライドしていく。反応容器41が所定の位置まで押し込まれると、ガイドピン142bが切欠き41aに入って切欠き41aの奥側の辺と当接し、ガイドピン142bからは図中に矢印で示されるように、反応容器41を案内面140方向と当接面141方向に押す力が作用して、反応容器41を所定の位置に位置決めする。
【0056】
下側のヒートブロック60は遺伝子増幅反応部32の温度を所定の温度サイクルになるように制御する増幅反応温度制御部を構成している。また、両ヒートブロック60,62によりプローブ配置部18の温度をDNAとプローブとを反応させる温度に制御するタイピング反応温度制御部を備えている。増幅反応温度制御部とタイピング反応温度制御部は、図1ではそれぞれ符号120,110で示されている。増幅反応温度制御部の温度は、例えば94℃、55℃及び72℃の3段階にその順に変化させられ、そのサイクルが繰り返されるように設定されている。タイピング反応温度制御部の温度は、例えば63℃に設定されている。
【0057】
図11に示されるように、タイピング反応温度制御部を構成する上側のヒートブロック62はプローブ配置部に対応する位置にのみ開口150をもち、下側のヒートブロック60でタイピング反応温度制御部を構成する部分もプローブ配置部に対応する位置にのみ開口152をもっている。ヒートブロック62上にはタイピング反応温度制御部カバー154が被せられており、そのカバー154にもヒートブロック62の開口150の位置にのみ開口156が開けられている。開口150,156を介してノズル28で反応容器41のプローブ配置部へ反応液を分注する。
【0058】
ヒートブロック60の下部には蛍光検出を行なう蛍光検出部64が配置されており、蛍光検出部64は反応容器41の下面側からヒートブロック60の開口152を介してプローブ配置部に励起光を照射し、反応容器41の下面側でヒートブロック60の開口152を介してプローブ配置部からの蛍光を検出する。蛍光検出部64は図9の矢印X方向に移動してブローブ配置部18からの蛍光を検出する。反応容器装着部によるプローブ配置部18のY方向移動と、蛍光検出部64のX方向移動により各ブローブでの蛍光検出を行なう。
【0059】
図9に戻って説明すると、ノズル28による液の移送や吸入、吐出を行なうために、分注部としてX方向、Y方向及びZ方向に移動する送液アーム66が設けられており、送液アーム66はノズル28を備えている。ノズル28はその先端に使い捨て可能なチップ70が着脱可能に装着される。分注部は図1では符号112で示されている。
分注部のノズル28は、図11に示されるように、カバー154の開口156とヒートブロック62の開口150を介してプローブ配置部に反応液を分注する。
【0060】
図9に戻って説明すると、ヒートブロック60,62、蛍光検出部64及び送液アーム66の動作を制御するために、それらの近くに制御部118が配置されている。制御部118はCPUを備えて、動作のためのプログラムを保持している。制御部118はヒートブロック60,62により実現されるタイピング反応温度制御部110や増幅反応温度制御部120の温度制御、蛍光検出部64の検出動作、及び分注部112の送液アーム66の分注動作を制御する。
反応容器41として図2の反応容器のように遺伝子増幅反応部を備えていないものを使用する場合には、遺伝子増幅反応部の温度を制御する増幅反応温度制御部は必要ではなく、制御部118も増幅反応温度制御部の温度制御のための機能を備える必要がない。
【0061】
図12は蛍光検出部64を詳細に示したものである。蛍光検出部64は励起光源として473nmのレーザ光を発するレーザダイオード(LD)や発光ダイオード(LED)92を備え、そのレーザ光を反応容器41のプローブ配置部の底面に集光して照射する一対のレンズ94,96を備えている。レンズ94はレーザダイオード92からのレーザ光を集光して平行光にするものであり、レンズ96は平行にされたレーザ光を反応容器41の底面に収束させて照射する対物レンズである。対物レンズ96はまた、反応容器41から発生する蛍光を集光するレンズとしても作用する。一対のレンズ94,96の間にはダイクロイックミラー98が設けられており、ダイクロイックミラー98は励起光を透過させ、蛍光を反射させるように波長特性が設定されている。ダイクロイックミラー98の反射光(蛍光)の光路上にはさらにダイクロイックミラー100が配置されている。ダイクロイックミラー100は525nmの光を反射し605nmの光を透過するように波長特性が設定されている。ダイクロイックミラー100による反射光の光路上には525nmの蛍光を検出するようにレンズ102と光検出器104が配置され、ダイクロイックミラー100による透過光の光路上には605nmの蛍光を検出するようにレンズ106と光検出器108が配置されている。この2つの光検出器104,108による2種類の蛍光検出により、各プローブ配置位置に固定されたインベーダプローブに対応したSNPの有無と、そのSNPがホモ接合体であるかヘテロ接合体であるかが検知される。標識蛍光体としては、例えばFAM、ROX、VIC、TAMRA、Redmond Redなどを使用することができる。
【0062】
図12の検出器64は1光源による励起光で励起し、2波長の蛍光を測定するように構成されているが、検出器64としては2波長の蛍光測定のために異なる励起波長で励起できるように2光源を使用するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は種々の化学反応の測定のほか、例えば遺伝子解析の研究や臨床分野において、種々の自動分析に利用することができ、例えば、人間を初めとして、動物や植物のゲノムDNAの多型、特にSNP(一塩基多型)を検出することができ、さらにその結果を用いて病気罹患率の診断や、投与薬剤の種類と効果及び副作用との関係などの診断のほか、動物や植物の品種判定、感染症診断(感染菌の型判定)などを行なうのにも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明を概略的に示すブロック図である。
【図2】反応容器の第1の例を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図3】同反応容器を使用したSNP検出方法の工程の前半部を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図4】同反応容器を使用したSNP検出方法の工程の後半部を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図5】反応容器の第2の例を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は(B)のX−X線位置での断面図である。
【図6】同反応容器における遺伝子増幅反応部を図5(B)のY−Y線位置での断面図として示す図であり、(A)は反応液が注入された状態、(B)は反応液を回収するため状態である。
【図7】同反応容器を使用したSNP検出方法の工程の前半部を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図8】同反応容器を使用したSNP検出方法の工程の後半部を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図9】本発明の反応容器処理装置の一実施例を示す概略斜視図である。
【図10】同実施例における反応容器装着部を示す一部分解斜視図である。
【図11】同実施例におけるタイピング反応温度制御部を示す断面図である。
【図12】同実施例における蛍光検出部を示す概略構成図である。
【図13】本発明が関係することのあるSNP検出方法を概略的に示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0065】
2 サンプル
4 PCR反応試薬
6 インベーダ試薬
8 プローブ配置部
10,10a 基板
12 サンプル注入部
14 タイピング試薬収容部
16 ミネラルオイル収容部
18 プローブ配置部
20 フィルム
22 シール材
28 ノズル
30 遺伝子増幅試薬収容部
31 PCR終了液注入部
32 遺伝子増幅反応部
41 反応容器
60,62 ヒートブロック
64 蛍光検出部
66 送液アーム
70 チップ
110 タイピング反応温度制御部
112 分注部112
116 チップ位置センサ部
118 制御部
142 ガイド機構
142a ガイド機構の溝
142b ガイドピン
150,152 ヒートブロックの開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の反応領域を含む反応部を少なくとも備え、それらが平板状基板に形成された反応容器を装着する反応容器装着部と、
吸引及び吐出のためのノズルを備えて前記反応容器の液の移送を行なう分注部と、
前記反応部の温度を所定の温度に制御する反応温度制御部と、
前記分注部の分注動作及び前記反応温度制御部の温度制御を行なう制御部とを少なくとも備えた反応容器処理装置であって、
前記反応温度制御部は前記反応容器装着部に装着された反応容器の前記反応部の上部に温度制御用の温度調節部材を備え、その温度調節部材には前記反応領域に対応する位置にのみ開口をもち、前記分注部のノズルはそれらの開口を介して前記反応領域に反応液を分注することを特徴とする反応容器処理装置。
【請求項2】
前記反応部における反応領域は複数の多型部位のそれぞれに対応して蛍光を発するプローブを個別に保持したプローブ配置部であり、
前記反応温度制御部は前記プローブ配置部の温度をサンプルとタイピング試薬との反応液を前記プローブと反応させる温度に制御するタイピング反応温度制御部である請求項1に記載の反応容器処理装置。
【請求項3】
前記反応領域に光を照射して反応を光学的に検出する光学的検出部をさらに備え、
前記反応温度制御部は前記反応容器装着部に装着された反応容器の前記反応部の下部にも温度制御用の温度調節部材を備え、その温度調節部材には前記反応領域に対応する位置にのみ開口をもち、前記光学的検出部はそれらの開口を介して前記反応領域の反応を検出するものであり、
前記制御部は前記光学的検出部の検出動作の制御も行なうものである請求項1又は2に記載の反応容器処理装置。
【請求項4】
前記光学的検出部は前記反応領域に励起光を照射して蛍光を検出する蛍光検出部である請求項2に記載の反応容器処理装置。
【請求項5】
前記反応容器はタイピング試薬を収容したタイピング試薬収容部、及び反応液よりも比重の低い不揮発性液体を収容した不揮発性液体収容部も前記平板状基板に一体として備えたものである請求項2又は4に記載の反応容器処理装置。
【請求項6】
前記反応容器は複数の多型部位それぞれをはさんで結合する複数のプライマーを含む遺伝子増幅試薬を収容した遺伝子増幅試薬収容部と、前記遺伝子増幅試薬とサンプルとの混合液に対して遺伝子増幅反応を行なわせる増幅反応部も前記平板状基板に一体として備えたものであり、
該反応容器処理装置は前記増幅反応部の温度を前記サンプルと遺伝子増幅試薬との反応液内でDNAを増幅させる遺伝子増幅のための温度に制御する増幅反応温度制御部をさらに備え、
前記制御部は前記増幅反応温度制御部の温度制御も行なう請求項2,4又は5に記載の反応容器処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−271349(P2006−271349A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100255(P2005−100255)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】