説明

同調可能なループアンテナ

【課題】ワイヤレス通信回路を含む電子装置を提供する。
【解決手段】ワイヤレス通信回路は、高周波トランシーバ回路及びアンテナ構造体を備えている。導電性ベゼルの部分及び接地平面から並列フィードのループアンテナが形成される。アンテナは、複数の通信帯域で動作する。ベゼルは、電子装置の前面にマウントされるディスプレイの周囲部分を取り巻く。ベゼルは、ギャップを含む。アンテナのアンテナフィード端子は、ギャップの両側に配置される。可変キャパシタがギャップを橋絡する。誘導性素子がギャップ及びアンテナフィード端子を橋絡する。誘導性素子と並列に切り換え可能なインダクタが結合される。アンテナフィード端子の1つと、トランシーバ回路をアンテナに接続する同軸ケーブルの導体との間に同調可能なマッチング回路が結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、ワイヤレス通信回路に係り、より詳細には、ワイヤレス通信回路を有する電子装置に係る。
【0002】
本出願は、参考としてここにそのまま援用する2011年3月7日に出願された米国特許出願第13/041,934号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
ハンドヘルド電子装置のような電子装置が益々普及してきている。ハンドヘルド装置には、例えば、ハンドヘルドコンピュータ、セルラー電話、メディアプレーヤ、並びにこの形式の複数の装置の機能を含むハイブリッド装置が含まれる。
【0004】
これらの装置には、ワイヤレス通信能力がしばしば設けられる。例えば、電子装置は、850MHz、900MHz、1800MHz及び1900MHzのセルラー電話帯域を使用して通信するセルラー電話回路のような長距離ワイヤレス通信回路を使用することができる(例えば、移動通信用のメイングローバルシステム又はGSM(登録商標)セルラー電話帯域)。又、長距離ワイヤレス通信回路は、2100MHz帯域も取り扱う。電子装置は、短距離のワイヤレス通信リンクを使用して近傍の装置との通信を取り扱うこともできる。例えば、電子装置は、2.4GHz及び5GHzのWiFi(登録商標)(IEEE802.11)帯域、並びに2.4HGzのBluetooth(登録商標)帯域を使用して通信することができる。
【0005】
フォームファクタの小さいワイヤレス装置に対する消費者の需要を満足するため、製造者は、コンパクトな構造を使用するアンテナコンポーネントのようなワイヤレス通信回路を具現化するよう努力を続けている。しかしながら、従来のアンテナ構造を小さな装置に適合させることは困難である。例えば、小さな体積で構成されるアンテナは、しばしば、大きな体積で具現化されるアンテナより狭い動作帯域巾しか示さない。アンテナの帯域巾が小さ過ぎると、アンテナは、全ての当該通信帯域をカバーすることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のことから、電子装置用の改良されたワイヤレス回路を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
アンテナ構造体を含む電子装置が提供される。アンテナは、第1及び第2の通信帯域を動作するように構成される。電子装置は、伝送線を使用してアンテナに結合された高周波トランシーバ回路を備えている。伝送線は、正の導体及び接地導体を有する。アンテナは、正のアンテナフィード端子及び接地アンテナフィード端子を有し、それらには伝送線の正の導体及び接地導体が各々結合される。
【0008】
電子装置は、長方形の周囲を有する。電子装置の前面には、長方形のディスプレイがマウントされる。電子装置は、プラスチックのハウジング部材で形成された後面を有する。電子装置のハウジング及びディスプレイの周囲には、導電性の側壁構造体が延びている。この導電性の側壁構造体は、ディスプレイのためのベゼルとして働く。
【0009】
このベゼルは、少なくとも1つのギャップを含む。このギャップには、プラスチックのような内実の誘電体が埋められる。ギャップを含むベゼルの部分と、接地平面の部分とでアンテナが形成される。タッチ事象に対する過剰な感度を回避するために、アンテナは、ギャップ付近の電界集中を減少するフィード構成体を使用してフィードされる。
【0010】
アンテナフィード端子と並列に誘導性素子が形成される一方、アンテナフィード端子の1つと直列に容量性素子が形成される。誘導性素子は、アンテナフィード端子を橋絡する伝送線誘導性構造体から形成される。容量性素子は、アンテナのための正のフィード経路に挿入されたキャパシタから形成される。キャパシタは、例えば、伝送線の正の接地導体と、正のアンテナフィード端子との間に接続される。
【0011】
スイッチ可能なインダクタ回路が誘導性素子と並列に結合される。アンテナのために正のフィード経路に同調可能なマッチング回路も挿入される(例えば、この同調可能なマッチング回路は、容量性素子と直列に接続される)。可変キャパシタ回路がギャップを橋絡する。スイッチングインダクタ回路、同調可能なマッチング回路、及び可変キャパシタは、アンテナが異なる周波数帯域で共振するのを許すように使用できるアンテナ同調回路として働く。
【0012】
この構成を使用して形成されるワイヤレス装置は、第1及び第2のモードで動作することができる。第1のモードでは、スイッチ可能なインダクタ回路は、ワイヤレス装置のアンテナが第1の低帯域領域及び高帯域領域で動作できるようにターンオンされる。第2のモードでは、スイッチ可能なインダクタ回路は、ワイヤレス装置のアンテナが第2の低帯域領域及び高帯域領域で動作できるようにターンオフされる。第1及び第2の低帯域領域は、周波数が重畳してもしなくてもよい。
【0013】
同調可能なマッチング回路は、選択された帯域の領域内に希望のサブ帯域カバレージを与えるように構成される。可変キャパシタ回路は、ループアンテナの周波数特性を微同調するように調整される。
【0014】
本発明の更に別の特徴、その性質及び種々の効果は、添付図面及び好ましい実施形態の以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態によるワイヤレス通信回路を伴う例示的電子装置の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によるワイヤレス通信回路を伴う例示的電子装置の回路図である。
【図3】本発明の一実施形態によるワイヤレス通信回路を伴う例示的電子装置の断面端面図である。
【図4】本発明の一実施形態による例示的アンテナを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による電子装置に使用される例示的な直列フィードループアンテナを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態により複数の通信帯域におけるカバレージを示すためにどのように装置アンテナを構成するか示すグラフである。
【図7】本発明の一実施形態による電子装置に使用される例示的な並列フィードループアンテナを示す図である。
【図8】本発明の一実施形態によりループにインダクタンスが挿入された例示的な並列フィードループアンテナの図である。
【図9】本発明の一実施形態による誘導性伝送線構造体を有する例示的な並列フィードループアンテナの図である。
【図10】本発明の一実施形態による誘導性伝送線構造体及び直列接続容量性素子を有する例示的な並列フィードループアンテナの図である。
【図11】本発明の一実施形態による種々の電子装置ループアンテナの性能を示すスミスチャートである。
【図12】所与のアンテナ体積に対するアンテナ利得とアンテナ帯域巾との間のトレードオフを示す曲線である。
【図13】本発明の一実施形態による同調可能なアンテナ回路をもつ例示的な並列フィードループアンテナの図である。
【図14】本発明の一実施形態による図13のアンテナとの接続に使用される形式の例示的な同調可能なマッチング回路の回路図である。
【図15】本発明の一実施形態による図13のアンテナとの接続に使用される形式の例示的なスイッチ可能なインダクタ回路の回路図である。
【図16】本発明の一実施形態による図13のアンテナとの接続に使用される形式の例示的な可変キャパシタ回路の回路図である。
【図17】本発明の一実施形態による同調可能なアンテナ回路を使用して当該複数通信帯域をカバーするために図13のアンテナの低帯域部分をどのように使用するか示す曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
電子装置には、ワイヤレス通信回路が設けられる。このワイヤレス通信回路は、複数のワイヤレス通信帯域でのワイヤレス通信をサポートするのに使用される。ワイヤレス通信回路は、1つ以上のアンテナを含む。
【0017】
アンテナは、ループアンテナを含む。ループアンテナの導電性構造体は、もし要望があれば、導電性電子装置構造体で形成される。導電性電子装置構造体は、導電性ハウジング構造体を含む。ハウジング構造体は、導電性ベゼルを含む。導電性ベゼルにはギャップ構造体が形成される。アンテナは、ユーザの手又は他の外部物体との接触に対するアンテナの感度を最小にする上で助けとなる構成を使用して並列フィードされる。
【0018】
適当な電子装置に、ループアンテナ構造体を含むワイヤレス回路が設けられる。例えば、ループアンテナ構造体は、デスクトップコンピュータ、ゲームコンソール、ルーター、ラップトップコンピュータ、等の電子装置に使用される。1つの適当な構成では、ループアンテナ構造体は、ポータブル電子装置のように、内部スペースが比較的貴重である比較的コンパクトな電子装置に設けられる。
【0019】
本発明の一実施形態による例示的なポータブル電子装置が図1に示されている。この例示的なポータブル電子装置10のようなポータブル電子装置は、ラップトップコンピュータ又は小型ポータブルコンピュータ、例えば、ウルトラポータブルコンピュータ、ノートブックコンピュータ、及びタブレットコンピュータである。又、ポータブル電子装置は、若干小さな装置でもよい。小型のポータブル電子装置は、例えば、腕時計装置、ペンダント装置、ヘッドホン及びイヤホン装置、並びに他の着用可能な小型装置を含む。1つの適当な構成では、ポータブル電子装置は、セルラー電話のようなハンドヘルド電子装置である。
【0020】
ポータブル電子装置では、スペースが貴重である。又、導電性構造体も典型的に存在して、効率的なアンテナ動作の挑戦を果たすことができる。例えば、ポータブル電子装置のハウジングの周囲には、そのある部分又は全部に沿って、導電性ハウジング構造体が存在する。
【0021】
そのようなポータブル電子装置ハウジング構成体では、当該通信帯域をカバーするループ型アンテナ設計を使用することが特に好都合である。それ故、ここでは、ハンドヘルド装置のようなポータブル装置の使用を一例として時々述べるが、適当な電子装置に、必要に応じて、ループアンテナ構造体を設けることができる。
【0022】
ハンドヘルド装置は、例えば、セルラー電話、ワイヤレス通信能力をもつメディアプレーヤ、ハンドヘルドコンピュータ(パーソナルデジタルアシスタントとも称される)、リモートコントローラ、グローバルポジショニングシステム(GPS)装置、及びハンドヘルドゲーム装置である。ハンドヘルド装置及び他のポータブル装置は、必要であれば、複数の従来装置の機能を含むことができる。多機能装置は、例えば、メディアプレーヤの機能を含むセルラー電話、ワイヤレス通信機能を含むゲーム機、ゲーム及びe−メール機能を含むセルラー電話、並びにe−メールを受信し、移動電話コールをサポートし、そしてウェブブラウジングをサポートするハンドヘルド装置を含む。これらは、単なる例示に過ぎない。図1の装置10は、適当なポータブル装置又はハンドヘルド電子装置である。
【0023】
装置10は、ハウジング12を備え、そしてワイヤレス通信を取り扱う少なくとも1つのアンテナを備えている。時々、ケースとも称されるハウジング12は、プラスチック、ガラス、セラミック、複合物、金属、又は他の適当な材料、或いはそれら材料の組み合わせを含む適当な材料で形成される。ある状況において、ハウジング12の部品は、誘電体又は他の低導電率材料から形成され、ハウジング12内に配置された導電性アンテナ素子の動作が妨げられないようにしている。他の状況において、ハウジング12は、金属素子で形成されてもよい。
【0024】
装置10は、必要に応じて、ディスプレイ14のようなディスプレイを有する。ディスプレイ14は、例えば、容量性タッチ電極を組み込んだタッチスクリーンである。ディスプレイ14は、発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、プラズマセル、電子インク素子、液晶ディスプレイ(LCD)コンポーネント、又は他の適当な画像ピクセル構造体から形成される画像ピクセルを含む。カバーガラス部材がディスプレイ14の表面をカバーする。ボタン19のようなボタンがカバーガラスの開口を通過している。
【0025】
ハウジング12は、側壁構造体16のような側壁構造体を含む。この構造体16は、導電性材料を使用して具現化される。例えば、構造体16は、ディスプレイ14の長方形の周囲を実質的に取り巻く導電性リング部材を使用して具現化される。構造体16は、ステンレススチール、アルミニウム又は他の適当な材料のような金属で形成される。構造体16を形成するのに、1つ、2つ又は3つ以上の個別の構造体が使用されてもよい。構造体16は、ディスプレイ14を装置10の前面(頂面)に保持するベゼルとして働く。それ故、構造体16は、時々、ベゼル構造体16又はベゼル16とも称される。ベゼル16は、装置10及びディスプレイ14の長方形周囲に延びる。
【0026】
ベゼル16は、その厚み(寸法TT)が約0.1mmないし3mmである(一例として)。ベゼル16の側壁部分は、実質的に垂直である(垂直軸Vに平行)。軸Vに平行に、ベゼル16の寸法TZは、約1mmないし2cmである(一例として)。ベゼル16のアスペクト比R(即ち、TZ対TT)は、典型的に1より大きい(即ち、Rは、1以上であるか、2以上であるか、4以上であるか、10以上であるか、等々である)。
【0027】
ベゼル16が均一な断面を有する必要はない。例えば、ベゼル16の頂部は、必要があれば、ディスプレイ14を保持する上で助けとなる内方に突出するリップを有する。又、必要に応じて、ベゼル16の底部に拡大リップがあってもよい(例えば、装置10の後面の平面内に)。図1の例では、ベゼル16は、実質的にまっすぐな垂直側壁を有する。これは、単なる例示に過ぎない。ベゼル16の側壁は、カーブしてもよいし、又は他の適当な形状でもよい。
【0028】
ディスプレイ14は、容量性電極のアレイ、ピクセル素子をアドレスするための導電性ライン、ドライバ回路、等の導電性構造体を含む。これらの導電性構造体は、高周波信号を阻止する傾向がある。それ故、装置の平らな後面のある部分又は全部をプラスチックのような誘電体材料で形成することが望まれる。
【0029】
ベゼル16の一部分にギャップ構造体が設けられる。例えば、ベゼル16には、図1に示すように、ギャップ18のような1つ以上のギャップが設けられる。ギャップ18は、装置10のハウジング及びディスプレイ12の周囲に沿って延び、それ故、時々、周囲ギャップとも称される。ギャップ18は、ベゼル16を分割する(即ち、ギャップ18にはベゼル16の導電性部分が一般的に存在しない)。
【0030】
図1に示すように、ギャップ18は、誘電体で埋められる。例えば、ギャップ18には空気が充填される。装置10に中断のない滑らかな見掛けを与える上で助けとなりそしてベゼル16が審美的な見掛けであるよう確保するため、ギャップ18は、プラスチックのような内実の(空気でない)誘電体で埋められる。ベゼル16及びギャップ18のようなギャップ(及びそれに関連したプラスチック充填構造体)は、装置10における1つ以上のアンテナの一部分を形成する。例えば、ベゼル16の一部分及びギャップ18のようなギャップは、内部の導電性構造体に関連して、1つ以上のループアンテナを形成する。内部の導電性構造体は、プリント回路板構造体、フレーム部材又は他の指示構造体、或いは他の適当な導電性構造体を含む。
【0031】
典型的なシナリオでは、装置10は、上部及び下部アンテナを有する(一例として)。上部アンテナは、例えば、装置10の上端で領域22に形成される。下部アンテナは、例えば、装置10の下端で領域20に形成される。
【0032】
下部アンテナは、例えば、ギャップ18の付近でベゼル16の各部分から部分的に形成される。
【0033】
装置10のアンテナは、当該通信帯域をサポートするのに使用される。例えば、装置10は、ローカルエリアネットワーク通信、音声及びデータセルラー電話通信、グローバルポジショニングシステム(GPS)通信、Bluetooth(登録商標)通信、等をサポートするためのアンテナ構造体を備えている。例えば、装置10の領域20の下部アンテナは、1つ以上のセルラー電話帯域において音声及びデータ通信を取り扱うのに使用される。
【0034】
例示的な電子装置の回路図が図2に示されている。図2の装置10は、ポータブルタブレットコンピュータ、移動電話、メディアプレーヤ能力付きの移動電話、ハンドヘルドコンピュータ、リモートコントローラ、ゲームプレーヤ、グローバルポジショニングシステム(GPS)装置、そのような装置の組み合わせ、又は他の適当なポータブル電子装置、等のポータブルコンピュータである。
【0035】
図2に示すように、ハンドヘルド装置10は、記憶及び処理回路28を備えている。この記憶及び処理回路28は、ハードディスクドライブ記憶装置、不揮発性メモリ(例えば、ソリッドステートドライブを形成するように構成されたフラッシュメモリ又は他の電気的にプログラム可能なリードオンリメモリ)、揮発性メモリ(例えば、スタティック又はダイナミックランダムアクセスメモリ)、等の記憶装置を含む。記憶及び処理回路28の処理回路は、装置10の動作を制御するのに使用される。この処理回路は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、等に基づくものである。
【0036】
記憶及び処理回路28は、インターネットブラウジングアプリケーション、ボイスオーバーインターネットプロトコル(VOIP)電話コールアプリケーション、e−メールアプリケーション、メディア再生アプリケーション、オペレーティングシステム機能、等のソフトウェアを装置10上で実行するのに使用される。外部装置との対話をサポートするために、記憶及び処理回路28は、通信プロトコルを具現化するのにも使用される。記憶及び処理回路28を使用して具現化される通信プロトコルは、インターネットプロトコル、ワイヤレスローカルエリアネットワークプロトコル(例えば、IEEE802.11プロトコル、時々、WiFi(登録商標)とも称される)、他の短距離ワイヤレス通信リンクのためのプロトコル、例えば、Bluetooth(登録商標)プロトコル、セルラー電話プロトコル、等を含む。
【0037】
入力/出力回路30は、データを装置10へ供給できるようにすると共に、データを装置10から外部装置へ供給できるようにするために使用される。タッチスクリーン及び他のユーザ入力インターフェイスのような入力/出力装置32は、入力/出力回路32の一例である。又、入力/出力装置32は、ユーザ入力/出力装置、例えば、ボタン、ジョイスティック、クリックホイール、スクロールホイール、タッチパッド、キーパッド、キーボード、マイクロホン、カメラ、等も含む。ユーザは、そのようなユーザ入力装置を通してコマンドを供給することにより装置10の動作を制御することができる。視覚情報及び状態データを提示するディスプレイ14(図1)及び他のコンポーネントのようなディスプレイ及びオーディオ装置が装置32に含まれる。入力/出力装置32におけるディスプレイ及びオーディオコンポーネントは、音声を発生するスピーカ及び他の装置のようなオーディオ装置も含む。必要があれば、入力/出力装置32は、外部ヘッドホン及びモニタのためのジャック及び他のコネクタのようなオーディオ/ビデオインターフェイス装置を含んでもよい。
【0038】
ワイヤレス通信回路34は、1つ以上の集積回路で形成された高周波(RF)トランシーバ回路、電力増幅器回路、低ノイズ入力増幅器、受動的RFコンポーネント、1つ以上のアンテナ、及びRFワイヤレス信号を取り扱うための他の回路を備えている。又、ワイヤレス信号は、光を使用して(例えば、赤外線通信を使用して)送信することもできる。ワイヤレス通信回路34は、複数の高周波通信帯域を取り扱うための高周波トランシーバ回路を含む。ワイヤレス回路34及び装置10によってサポートされるセルラー電話規格は、例えば、移動通信用のグローバルシステム(GSM)“2G”セルラー電話規格、進化データ最適化(EVDO)セルラー電話規格、“3G”ユニバーサル移動テレコミュニケーションシステム(UMTS)セルラー電話規格、“3G”コード分割多重アクセス2000(CDMA2000)セルラー電話規格、及び3GPP長期進化(LTE)セルラー電話規格を含む。他のセルラー電話規格も、必要に応じて使用される。これらのセルラー電話規格は、単なる例示に過ぎない。
【0039】
ワイヤレス通信回路34は、必要に応じて、他の短距離及び長距離ワイヤレスリンクのための回路を含む。例えば、ワイヤレス通信回路34は、グローバルポジショニングシステム(GPS)受信装置、ラジオ及びテレビ信号を受信するためのワイヤレス回路、ページング回路、等を含む。WiFi(登録商標)及びBluetooth(登録商標)リンク並びに他の短距離ワイヤレスリンクでは、典型的に、数十又は数百フィートにわたってデータを搬送するためにワイヤレス信号が使用される。セルラーネットワークリンク及び他の長距離リンクでは、典型的に、数千フィーと又はマイルにわたってデータを搬送するためにワイヤレス信号が使用される。
【0040】
ワイヤレス通信回路34は、アンテナ40を備えている。アンテナ40は、適当なアンテナ形式を使用して形成される。例えば、アンテナ40は、ループアンテナ構造、パッチアンテナ構造、逆F字アンテナ構造、スロットアンテナ構造、平坦逆F字アンテナ構造、螺旋アンテナ構造、これら設計の混成、等で形成される共振素子を伴うアンテナを含む。異なる帯域及び帯域の組み合わせに対して異なる形式のアンテナが使用されてもよい。例えば、ローカルワイヤレスリンクアンテナを形成するのに1つの形式のアンテナが使用され、そしてリモートワイヤレスリンクを形成するのに別の形式のアンテナが使用される。
【0041】
ここで、時々、一例として述べる1つの適当な構成では、装置10の下部アンテナ(即ち、図1の装置10の領域20に配置されるアンテナ40)は、ループ型アンテナ設計を使用して形成される。ユーザが装置10を保持するとき、ユーザの指が装置10の外部に接触する。例えば、ユーザは、領域20において装置10にタッチする。アンテナの性能が、ユーザのタッチの有無又は他の外部物体の接触に過度に影響されないように保証するために、ループ型アンテナは、ギャップ18の付近に電界を過度に集中させない構成体を使用してフィードされる。
【0042】
図1の24−24線に沿って方向26に見た図1の装置10の断面側面図が図3に示されている。図3に示すように、ディスプレイ14は、ベゼル16を使用して装置10の前面にマウントされる。ハウジング12は、ベゼル16から形成される側壁と、平面後部ハウジング構造体42のような構造体から形成される1つ以上の後壁とを含む。構造体42は、プラスチックのような誘電体又は他の適当な材料から形成される。ベゼル16をディスプレイ14及びハウジング後壁構造体42に取り付けるのに、スナップ、クリップ、スクリュー、接着剤、及び他の構造体が使用される。
【0043】
装置10は、プリント回路板46のようなプリント回路板を備えている。装置10内のプリント回路板46及び他のプリント回路板は、堅牢なプリント回路板材料(例えば、ファイバーガラス充填エポキシ)、又はポリマーのような柔軟な材料シートで形成される。柔軟なプリント回路板(フレックス回路)は、例えば、ポリイミドの柔軟なシートから形成される。
【0044】
プリント回路板46は、相互接続部48のような相互接続部を含む。この相互接続部48は、導電性トレース(例えば、金メッキされた銅又は他の金属のトレース)から形成される。コネクタ50のようなコネクタが、半田又は導電性接着剤(一例として)を使用して相互接続部48に接続される。プリント回路板46には、集積回路や、抵抗器、キャパシタ及びインダクタのような個別コンポーネントや、他の電子的コンポーネントがマウントされる。
【0045】
アンテナ40は、アンテナフィード端子を有する。例えば、アンテナ40は、正のアンテナフィード端子58のような正のアンテナフィード端子と、接地アンテナフィード端子54のような接地アンテナフィード端子とを有する。図3に示す構成では、同軸ケーブル52のような伝送線経路が、端子58及び54から形成されたアンテナフィードと、コンポーネント44内のトランシーバ回路との間に、コネクタ50及び相互接続部48を経て結合される。コンポーネント44は、図2のトランシーバ回路36及び38を具現化する1つ以上の集積回路を含む。コネクタ50は、例えば、プリント回路板46に接続される同軸ケーブルコネクタである。ケーブル52は、同軸ケーブル又は他の伝送線である。端子58は、同軸ケーブルの中心導体56に結合される。端子54は、ケーブル52の接地導体(例えば、外側の導電性編組導体)に接続される。必要に応じて、装置10のトランシーバをアンテナ40へ結合するのに他の構成体が使用されてもよい。図3の構成体は、単なる例示に過ぎない。
【0046】
図3の断面図から明らかなように、ベゼル16により形成されるハウジング12の側壁は、比較的背の高いものである。同時に、装置10の下端の領域20にアンテナを形成するのに使用できる面積の量は、特に、コンパクトな装置では限度がある。アンテナを形成する望ましい形態のコンパクトサイズでは、望ましい通信帯域で共振するに充分なサイズのスロット型アンテナ形状を形成することが困難である。ベゼル16の形状は、従来の平坦逆F字アンテナの効率を減少する傾向がある。必要に応じて、アンテナ40にループ型設計を使用して、そのような挑戦に対処する。
【0047】
一例として、図4のアンテナ構成を考える。図4に示すように、アンテナ40は、装置10の領域20に形成される。領域20は、図1を参照して説明したように、装置10の下端に位置する。時々、接地平面又は接地平面素子とも称される導電性領域68は、1つ以上の導電性構造体(例えば、プリント回路板46上の平坦な導電性トレース、装置10の内部構造部材、基板46上の電気的コンポーネント44、基板46にマウントされた高周波シールドカン、等)から形成される。領域66における導電性領域68は、時々、アンテナ40の「接地領域」を形成するものと称される。図4の導電性構造体70は、ベゼル16によって形成される。領域70は、時々、接地平面延長部とも称される。この導電性ベゼル部分に(図1に示すように)ギャップ18が形成される。
【0048】
接地平面延長部70(即ち、ベゼル16の部分)、及び接地領域68の縁76に沿って存在する領域68の部分は、開口72の周りの導電性ループを形成する。開口72は、空気、プラスチック、及び他の内実の誘電体で形成される。必要であれば、開口72の輪郭は、カーブしてもよく、5つ以上の直線セグメントを有してもよく、及び/又は導電性コンポーネントの輪郭により画成されてもよい。図4における誘電体領域72の長方形は、単なる例示に過ぎない。
【0049】
図4の導電性構造体は、必要に応じて、接地アンテナフィード端子62と正のアンテナフィード端子64との間に高周波トランシーバ60を結合することによりフィードされる。図4に示すように、この形式の構成では、アンテナ40のフィードは、ギャップ18の付近には配置されない(即ち、フィード端子62及び64は、開口72の横方向に中心をおく分割線74の左側に位置され、一方、ギャップ18は、装置10の右側に沿って分割線74の右側に位置される)。この形式の構成体は、ある状況において満足であるが、図4の端子62及び64の位置にアンテナフィード端子を配置するアンテナフィード構成体は、ギャップ18の付近で高周波アンテナ信号の電界強度を強調する傾向がある。ユーザが指80のような外部物体を、方向78に指80を動かすことによりギャップ18の付近に置こうとする場合に(例えば、装置10をユーザの手で掴むとき)、ユーザの指の存在がアンテナ40の動作を妨げる。
【0050】
アンテナ40がタッチに対して過度に敏感にならないよう保証するために(即ち、装置10のユーザの手及び他の外部物体を伴うタッチ事象に対するアンテナ40の敏感さを低減するために)、アンテナ40は、ギャップ18の付近に配置されたアンテナフィード端子を使用してフィードされる(例えば、図4の例において正のアンテナフィード端子58及び接地アンテナフィード端子54により示された場所)。アンテナフィードが線74の右側に位置されたとき、より詳細には、アンテナフィードがギャップ18に接近して配置されたときには、ギャップ18に発生される電界が減少される傾向となる。これは、ユーザの手の存在に対するアンテナ40の敏感さを最少にして、ギャップ18の付近で外部物体が装置10に接触するかどうかに関わらず満足な動作を保証する上で助けとなる。
【0051】
図4の構成では、アンテナ40は、直列フィードされる。図4に示す形式の直列フィードループアンテナの回路図が図5に示されている。図5に示すように、直列フィードのループアンテナ82は、ループ84のようなループ形状の導電性経路を有する。正の伝送線導体86及び接地伝送線導体88より成る伝送線は、各々、アンテナフィード端子58及び54に結合される。
【0052】
図5に示した形式の直列フィードのフィード構成体を効率的に使用して、多帯域ループアンテナにフィードすることに挑戦する。例えば、850MHz及び900MHzのGSMサブ帯域をカバーする低周波数帯域と、1800MHz及び1900MHzのGSMサブ帯域並びに2100MHzのデータサブ帯域をカバーする高周波数帯域とにおいて、ループアンテナを動作することが望まれる。この形式の構成は、2帯域構成(例えば、第1帯域については850/900、そして第2帯域については1800/1900/2100)と考えてもよいし、又は5帯域(850、900、1800、1900及び2100)を有すると考えてもよい。これらの多帯域構成では、図5のループアンテナ82のような直列フィードアンテナは、低周波数通信帯域よりも高周波数通信帯域において実質的に良好なインピーダンスマッチングを示す。
【0053】
この作用を示す定在波比(SWR)対周波数曲線が図6に示されている。図6に示すように、SWR曲線90は、高帯域周波数f2(例えば、1800MHz、1900MHz及び2100MHzのサブ帯域をカバーする)において満足な共振ピーク(ピーク94)を示す。しかしながら、SWR曲線90は、アンテナ40が直列フィードされるときには周波数f1を中心とする低周波数帯域において比較的悪い性能を示す。例えば、図5の直列フィードループアンテナ82のSWR曲線90は、弱い共振ピーク96を特徴とする。この例が示すように、直列フィードループアンテナは、高周波数帯域f2では伝送線52(図3)に対して満足なインピーダンスマッチングを与えるが、低周波数帯域f1では伝送線52(図3)に対して満足なインピーダンスマッチングを与えない。
【0054】
適当なインピーダンスマッチング特徴を伴う並列フィードの構成体を使用してより満足な性能レベル(低帯域共振ピーク92で示す)を得ることができる。
【0055】
例示的な並列フィードループアンテナが図7に概略的に示されている。図7に示すように、並列フィードループアンテナ90は、ループ92のような導体のループを有する。図7の例では、ループ92が円として示されている。これは、単なる例示に過ぎない。ループ92は、必要に応じて他の形状を有してもよい(例えば、長方形、カーブした側部及びまっすぐな側部の両方をもつ形状、不規則な境界をもつ形状、等)。伝送線TLは、正の信号導体94及び接地信号導体96を含む。経路94及び96は、同軸ケーブル、フレックス回路及び堅牢なプリント回路板上のマイクロストリップ伝送線、等に含まれる。伝送線TLは、正のアンテナフィード端子58及び接地アンテナフィード端子54を使用してアンテナ90のフィードに結合される。電気的素子98は、端子58及び54を橋絡し、それにより、経路92により形成されるループを「閉じる」。このようにしてループが閉じると、ループ92を形成する導電性経路に素子98が挿入される。図7のループアンテナ90のような並列フィードループアンテナのインピーダンスは、素子98、及び必要であれば、他の回路(例えば、線94又は線96のようなフィード線の1つに挿入されるキャパシタ又は他の素子)の適切な選択により調整することができる。
【0056】
素子98は、1つ以上の電気的コンポーネントで形成される。素子98の全部又は一部分として使用されるコンポーネントは、抵抗器、インダクタ及びキャパシタを含む。素子98に対して望ましい抵抗、インダクタンス及びキャパシタンスは、集積回路を使用し、個別コンポーネントを使用し、及び/又は個別コンポーネントの一部分でも又は集積回路の一部分でもない誘電体及び導電性構造体を使用して、形成される。例えば、抵抗は、抵抗性金属合金の細い線を使用して形成することができ、キャパシタンスは、2つの導電性パッドを互いに接近離間して誘電体で分離することにより形成することができ、そしてインダクタンスは、プリント回路板上に導電性経路を生成することにより形成することができる。これらの形式の構造体は、抵抗器、キャパシタ及び/又はインダクタと称され、或いは容量性アンテナフィード構造体、抵抗性アンテナフィード構造体、及び/又は誘導性アンテナフィード構造体と称される。
【0057】
図7の概略図のコンポーネント98がインダクタを使用して具現化されたアンテナ40の例示的構成が図8に示されている。図8に示すように、ループ92(図7)は、導電性領域70と、開口72の縁76に沿って延びる領域68の導電性部分とを使用して具現化される。図8のアンテナ40は、正のアンテナフィード端子58及び接地アンテナフィード端子54を使用してフィードされる。端子54及び58は、ギャップ18の付近に配置されて、ギャップ18における電界集中を減少し、それにより、タッチ事象に対するアンテナ40の敏感さを低減させる。
【0058】
インダクタ98の存在は、伝送線52のインピーダンスをアンテナ40にマッチングさせる上で少なくとも一部分助けとなる。必要であれば、インダクタ98は、表面取り付け技術(SMT)インダクタのような個別コンポーネントを使用して形成される。又、インダクタ98のインダクタンスは、図9に示す形式の構成を使用して具現化することもできる。図9の構成では、並列フィードループアンテナ40のループ導体は、接地平面縁GEに平行に延びる誘導性セグメントSGを有する。このセグメントSGは、例えば、プリント回路板又は他の導電性部材上の導電性トレースである。誘電体開口DL(例えば、空気充填又はプラスチック充填開口)は、接地部68の縁部分GEを導電性ループ部分70のセグメントSGから分離する。セグメントSGは、長さLを有する。セグメントSG及びそれに関連した接地部GEは、関連インダクタンスを伴う伝送線を形成する(即ち、セグメントSG及び接地部GEは、インダクタ98を形成する)。インダクタ98のインダクタンスは、フィード端子54及び58に並列に接続され、それ故、図8に示す形式の並列誘導性同調素子を形成する。図9の誘導性素子98は、伝送線構造を使用して形成されるので、図9の誘導性素子98は、個別のインダクタを使用してフィード端子を橋絡する構成よりも僅かなロスしかアンテナ40に導入しない。例えば、伝送線誘導性素子98は、高帯域性能(図6に満足な共振ピーク94として示された)を保存するが、個別のインダクタは、高帯域性能を下げることがある。
【0059】
又、容量性同調を使用してアンテナ40のインピーダンスマッチングを改善することもできる。例えば、図10のキャパシタ100は、同軸ケーブル52の中心導体56と直列に接続されてもよく、或いは他の適当な構成を使用して直列キャパシタンスをアンテナフィードに導入してもよい。図10に示すように、キャパシタ100は、同軸ケーブルの中心導体56に挿入されてもよいし、又は伝送線52の端と正のアンテナフィード端子58との間に挿入された他の導電性構造体に挿入されてもよい。キャパシタ100は、1つ以上の個別コンポーネント(例えば、STMコンポーネント)、1つ以上の容量性構造体(例えば、誘電体により分離された重畳するプリント回路板トレース、等)、プリント回路板又は他の基板上の導電性トレース間の横方向ギャップ、等により形成される。
【0060】
図10のループアンテナ40の導電性ループは、導電性構造体70と、縁76に沿った接地導電性構造体66の導電性部分とによって形成される。電流路102で示すように、ループ電流は、接地平面68の他の部分を通過することができる。正のアンテナフィード端子58は、ループ経路の一端に接続され、そして接地アンテナフィード端子54は、ループ経路の他端に接続される。インダクタ98は、図10のアンテナ40の端子54及び58を橋絡し、従って、アンテナ40は、橋絡インダクタンス(及びキャパシタ100からの直列キャパシタンス)を伴う並列フィードのループアンテナを形成する。
【0061】
アンテナ40の動作中に、異なる長さの種々の電流経路102が接地平面68を通して形成される。これは、当該帯域においてアンテナ40の周波数応答を広げる上で助けとなる。並列インダクタンス98及び直列キャパシタンス100のような同調素子の存在は、アンテナ40を高い帯域及び低い帯域の両方で効率的に動作できるようにする(例えば、アンテナ40が図6の高帯域共振ピーク94及び図6の低帯域共振ピーク92を示すように)アンテナ40のための効率的なインピーダンスマッチング回路を形成する上で助けとなる。
【0062】
並列フィードループアンテナ40に対する図10のインダクタ98及びキャパシタ100のような同調素子の考えられる作用を示す簡単なスミスチャートが図11に示されている。このチャート104の中心点Yは、伝送線52のインピーダンスを表わす(アンテナ40がマッチングされる50オーム同軸ケーブルインピーダンス)。アンテナ40のインピーダンスが低帯域及び広帯域の両方において点Yに接近する構成は、満足な動作を示す。
【0063】
図10の並列フィードアンテナ40では、高帯域マッチングは、誘導性素子98及びキャパシタ100の有無に対してあまり敏感でない。しかしながら、これらのコンポーネントは、低帯域インピーダンスには著しく影響し得る。一例として、インダクタ98又はキャパシタ100をもたないアンテナ構成(即ち、図4に示す形式の並列フィードのループアンテナ)について考える。この形式の構成では、低帯域(例えば、図6の周波数f1の帯域)は、チャート104の点X1で示すインピーダンスにより特徴付けられる。図9の並列インダクタンス98のようなインダクタがアンテナに追加されると、低帯域におけるアンテナのインピーダンスは、チャート104の点X2により特徴付けられる。キャパシタ100のようなキャパシタがアンテナに追加されるときには、アンテナは、図10に示すように構成される。この形式の構成では、アンテナ40のインピーダンスは、チャート104の点X3により特徴付けられる。
【0064】
点X3において、アンテナ40は、高帯域(図6の周波数f2を中心とする周波数)及び低帯域(図6の周波数f1を中心とする周波数)の両方においてケーブル50のインピーダンスに良好にマッチングされる。これは、アンテナ40が、望ましい当該通信帯域をサポートできるようにする。例えば、このマッチング構成体は、図10のアンテナ40のようなアンテナが、850MHz及び900MHzの通信帯域(集合的に周波数f1の低帯域領域を形成する)、並びに1800MHz、1900MHz及び2100MHzの通信帯域(集合的に周波数f2の高帯域領域を形成する)のような帯域で動作できるようにする。
【0065】
更に、点X3の配置は、タッチ事象による離調を最小にするよう保証する上で助けとなる。ユーザがアンテナ40の付近で装置100のハウジング12にタッチするとき、又は他の外部物体がアンテナ40に接近するとき、それら外部物体は、アンテナのインピーダンスに影響する。特に、それらの外部物体は、アンテナインピーダンスに容量性インピーダンスの貢献を導入する傾向がある。アンテナインピーダンスに対するこの形式の貢献の作用は、図11のチャート104の線106で示すように、アンテナのインピーダンスを点X3から点X4へ移動させる傾向があることである。点X3がオリジナル位置であるために、点X4は、最適な点Yからそれほど遠くはならない。その結果、アンテナ40は、種々の条件のもとで(例えば、装置10がタッチされたとき、装置10がタッチされないとき、等々)満足な動作を示す。
【0066】
図11のグラフは、種々のアンテナ構成に対して点としてインピーダンスを示すが、アンテナインピーダンスは、典型的に、アンテナインピーダンスの周波数依存性のために、点の集合(例えば、チャート104のカーブした線セグメント)により表される。しかしながら、チャート104の全体的な振舞いは、当該周波数におけるアンテナの振舞いを表す。周波数依存アンテナインピーダンスを表すためのカーブした線セグメントの使用は、図面が過剰に複雑になるのを回避するために図11から省かれている。
【0067】
図10に関連して述べた形式のアンテナ40は、第1及び第2の高周波数帯域(例えば、図6を参照)においてワイヤレス通信をサポートすることができる。例えば、アンテナ40は、850MHz及び900MHzのGSMサブ帯域をカバーする低周波数帯域と、1800MHz及び1900MHzのGSMサブ帯域並びに2100MHzのデータサブ帯域をカバーする高周波数帯域とにおいて動作する。
【0068】
装置10が第1及び第2の帯域に加えて他のワイヤレス通信帯域をサポートできることが望ましい。例えば、アンテナ40が、1800MHz及び1900MHzのGSMサブ帯域並びに2100MHzのデータサブ帯域をカバーする高周波数帯域と、850MHz及び900MHzのGSMサブ帯域をカバーする第1の低周波数帯域と、700MHzのLTE帯域、710MHz及び750MHzのGSMサブ帯域、700MHzのUMTSサブ帯域、並びに他の望ましいワイヤレス通信帯域をカバーする第2の低周波数帯域とにおいて動作できるのが望ましい。
【0069】
図10を参照して述べた形式のアンテナ40の帯域カバレージは、ループアンテナ40の体積(例えば、導電性ループ70により画成される開口の体積)によって制限される。一般的に、所与の体積を有するループアンテナでは、高帯域のカバレージ(又は帯域巾)は、利得の低下を招く(例えば、最大利得と帯域巾の積は一定である)。
【0070】
図12は、アンテナ利得がアンテナ帯域巾の関数としてどのように変化するか示すグラフである。曲線200は、第1の体積を有する第1ループアンテナの利得/帯域巾特性を表し、一方、曲線202は、第1の体積より大きい第2の体積を有する第2ループアンテナの利得/帯域巾特性を表す。第1及び第2のループアンテナは、図10を参照して述べた形式のアンテナである。
【0071】
図12に示すように、第1ループアンテナは、帯域巾BW1を与えながら利得g0を示す(点204)。第1ループアンテナでより多くの帯域巾(即ち、帯域巾BW2)を与えるためには、第1ループアンテナの利得が利得g1に下げられる(点205)。より多くの帯域カバレージを与える1つの方法は、ループアンテナの体積を増加することである。例えば、第1ループアンテナの体積より大きな体積を有する第2ループアンテナは、帯域巾BW2を与えながらg0を示すことができる(点206)。しかしながら、小さなフォームファクタが望ましい場合には、ループアンテナの体積を増加することが、常に、実現可能ではない。
【0072】
別の適当な構成では、装置10のワイヤレス回路は、同調可能な(構成可能な)アンテナ回路を含む。同調可能なアンテナ回路は、アンテナ40が少なくとも3つのワイヤレス通信帯域で動作できるようにする(一例として)。同調可能なアンテナ回路は、回路210のようなスイッチ可能なインダクタ回路と、マッチング回路M1のような同調可能なマッチングネットワーク回路と、回路212のような可変キャパシタ回路と、他の適当な同調可能な回路(例えば、図13を参照)を含む。
【0073】
図13に示すように、並列フィードループアンテナ40のループ導体70は、接地平面縁GEと平行に延びる第1の誘導性セグメントSG及び第2の誘導性セグメントSG’を有する。これらのセグメントSG及びSG’は、例えば、プリント回路板又は他の導電性部材上の導電性トレースである。誘電体開口DL(例えば、空気充填又はプラスチック充填開口)は、接地部68の縁部分GEを導電性ループ部分70のセグメントSGから分離し、一方、誘電体開口DL’は、接地部68の縁部分GEを導電性ループ部分70のセグメントSG’から分離する。誘電体開口DL及びDL’は、異なる形状及びサイズを有してもよい。
【0074】
セグメントSG及びSG’は、接地平面縁GEに垂直に延びる導体70の一部分99を通して接続される。スイッチ可能なインダクタ回路(同調可能なインダクタ回路、構成可能なインダクタ回路、又は調整可能なインダクタ回路とも称される)210は、部分99と、接地平面縁GEの対応端子101との間に結合される。回路210が使用状態へとスイッチされると(例えば、回路210がターンオンされると)、セグメントSG及びそれに関連した接地部GEが、第1インダクタンスをもつ第1伝送線経路を形成する(即ち、セグメントSG及び接地部GEがインダクタ98を形成する)。回路210が非使用状態へスイッチされると(例えば、回路210がターンオフされると)、セグメントSG、部分99、セグメントSG’及び接地部GEが、集合的に、第2インダクタンスをもつ第2伝送線経路を形成する(即ち、セグメントSG’及び接地部GEが、インダクタ98と直列に結合されるインダクタ98’を形成する)。第2の伝送線経路は、時々、固定インダクタと称される。というのは、スイッチ可能なインダクタ210が使用されないときには第2の伝送線経路のインダクタンスが固定されるからである。スイッチ可能なインダクタ210は、第1インダクタンス値が第2インダクタンス値より低くなるように、第2伝送線経路をシャントする働きをする。
【0075】
セグメントSG及びSG’の大きさは、第1及び第2のインダクタンスの等価インダクタンス値が、各々、18nH及び20nHに等しくなるように選択される(一例として)。第1の伝送線経路(回路210がイネーブルされる場合)及び第2の伝送線経路(回路210がディスエイブルされる場合)は、フィード端子54及び58と並列に接続され、そしてアンテナ40のための並列誘導性同調素子として働く。それ故、第1及び第2の伝送線経路は、時々、可変インダクタと称される。第1及び第2のインダクタンスは、伝送線構造を使用して設けられるので、第1及び第2の伝送線経路は、高帯域性能(図6に満足な共振ピーク94として示す)を保存し、一方、個別のインダクタは、高帯域性能を下げることになる。
【0076】
インダクタ98の存在は、回路210がターンオンされたときに伝送線52のインピーダンスをアンテナ40にマッチングさせる上で少なくとも一部分助けとなり、一方、直列接続されたインダクタ98及び98’の存在は、回路210がターンオフされたときに伝送線52のインピーダンスをアンテナ40にマッチングさせる上で一部分助けとなる。必要であれば、インダクタ98及び98’は、表面取り付け技術(SMT)インダクタのような個別のコンポーネントを使用して形成される。インダクタ98及び98’は、望ましい帯域カバレージを与えるように入念に選択されるインダクタンス値を有する。
【0077】
別の適当な実施形態では、同調可能なマッチングネットワーク回路M1が同軸ケーブル52とキャパシタ100との間に結合される。例えば、同調可能な回路M1は、同軸ケーブルの中心導体に接続された第1端子132と、キャパシタ100に接続された第2端子122とを有する。インピーダンスマッチング回路M1は、関連キャパシタンス、抵抗、及びインダクタンス値をもつ導電性構造体、及び/又はトランシーバ回路38及びアンテナ40のインピーダンスにマッチングする回路を形成するインダクタ、キャパシタ及び抵抗器のような個別コンポーネントを使用して形成される。
【0078】
マッチング回路M1は、固定でも、調整可能でもよい。この形式の構成では、アンテナ同調回路220のような制御回路は、マッチング回路M1を構成するための信号SELECTのような制御信号を経路29に発生する。SELECTが第1の値を有するときには、マッチング回路M1は、第1の構成に入れられる。SELECTが第2の値を有するときには、マッチング回路M1は、第2の構成に入れられる。マッチング回路M1の状態は、アンテナ40により望ましい通信帯域がカバーされるようにアンテナ40を同調する働きをする。
【0079】
別の適当な実施形態において、可変キャパシタンス回路(時々、バラクタ回路、同調可能なキャパシタ回路、調整可能なキャパシタ回路、等と称される)212が導電性ベゼルギャップ18間に結合される。ベゼルギャップ18は、例えば、1pFの固有キャパシタンス(例えば、ギャップ18の平行導電性表面により形成される固有キャパシタンス値)を有する。コンポーネント212は、例えば、連続可変キャパシタ、又は半連続調整可能キャパシタであり、後者は、固有キャパシタンスに並列に結合できる2ないし4又はそれ以上の異なるキャパシタンス値を有するものである。必要に応じて、コンポーネント212は、連続可変インダクタ、或いは2ないし4又はそれ以上の異なるインダクタンス値を有する半連続調整可能インダクタでよい。コンポーネント212のキャパシタンス値は、希望の周波数で動作するためにアンテナ40を微同調するように働く。
【0080】
図13の同調可能なマッチング回路M1を具現化するのに使用される例示的な同調可能な回路が図14に示されている。図14に示すように、マッチング回路M1は、スイッチ134及び136のようなスイッチを有する。スイッチ134及び136は、複数の位置を有する(図14に例示的なA及びB位置で示された)。信号SELECTが第1の値を有するときには、スイッチ134及び136は、それらのA位置に入れられ、そしてマッチング回路MAが使用状態へ切り換えられる。信号SELECTが第2の値を有するときには、スイッチ134及び136は、それらのB位置に入れられ(図14に示すように)、従って、マッチング回路MBが経路132と122との間に接続される。
【0081】
図15は、スイッチ可能なインダクタ回路210の1つの適当な回路実施を示す。図15に示すように、回路210は、直列に結合されたスイッチSW及び誘導性素子98’を含む。スイッチSWは、p−i−nダイオード、ガリウムヒ素電界効果トランジスタ(FET)、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEM)スイッチ、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、擬似格子整合HEMT(PHEMT)、シリコンオンインスレータ(SOI)基板に形成されたトランジスタ、等を使用して実施される。
【0082】
誘導性素子98’は、1つ以上の電気的コンポーネントで形成される。素子98’の全部又は一部分として使用されるコンポーネントは、抵抗器、インダクタ及びキャパシタを含む。素子98’に対して望まれる抵抗、インダクタンス及びキャパシタンスは、集積回路を使用し、個別コンポーネント(例えば、表面取り付け技術のインダクタ)を使用し、及び/又は個別コンポーネント又は集積回路の部分でない誘電体及び導電性構造体を使用して形成される。例えば、抵抗は、抵抗性金属合金の細い線を使用して形成でき、キャパシタンスは、2つの導電性パッドを互いに接近離間して誘電体で分離することにより形成でき、そしてインダクタンスは、プリント回路板に導電性経路(例えば、伝送線)を生成することにより形成できる。
【0083】
図16は、バラクタ回路212がアンテナ同調回路220から制御電圧信号Vcをどのように受信するか示す。図16に示すように、バラクタ回路212は、ベゼルギャップ18の一端に接続された第1端子と、ベゼルギャップ18の他端に接続された第2端子と、制御信号Vcを受信する第3端子とを有する。アンテナ同調回路220は、バラクタ212のキャパシタンスを調整するためにVcを異なる電圧レベルにバイアスする。バラクタ212は、集積回路、1つ以上の個別コンポーネント(例えば、SMTコンポーネント)、等を使用して形成される。
【0084】
図13−16を参照して説明した形式のアンテナ同調スキームを使用することにより、アンテナ40は、そうでない場合に可能であるより広い範囲の通信周波数をカバーすることができる。図17は、図13を参照して説明した形式のアンテナ40に対する例示的なSWR曲線を示す。実線90は、誘導性回路220がイネーブルされたときのアンテナ40の第1モードに対応する。この第1モードでは、アンテナ40は、周波数f1の第1低帯域領域の帯域(例えば、850MHz及び900MHzのGSM帯域をカバーするための)、及び周波数f2の高帯域領域の帯域(例えば、1800MHz、1900MHz、及び2100MHzのGSM帯域をカバーするための)において動作することができる。
【0085】
点線90’は、誘導性回路220がディスエイブルされたときのアンテナ40の第2モードに対応する。この第2モードでは、アンテナ40は、周波数f1’の第2低帯域領域の帯域(例えば、700MHzのLTE帯域及び他の当該帯域をカバーするための)で動作する一方、周波数f2の高帯域領域のカバレージを保存することができる。同調可能なマッチング回路M1は、望ましいサブ帯域でのカバレージを与えるように構成される。
【0086】
バラクタ回路212は、アンテナ40が種々のワイヤレストラフィック及び環境的シナリオのもとで必要に応じて動作するように装置10の動作の前に又はリアルタイムでアンテナ40を微同調すると共に、プロセス、電圧及び温度の変動、並びに他のノイズ、干渉又は変動源を補償するのに使用される。
【0087】
一実施形態によれば、周囲を有する電子装置の並列フィードループアンテナにおいて、第1及び第2のアンテナフィード端子を含むアンテナフィードと、前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に結合された導電性ループであって、前記周囲に沿って配置される導電性構造体から少なくとも一部分形成される導電性ループと、前記第1及び第2のアンテナフィード端子を橋絡する可変インダクタと、を備えたループアンテナが提供される。
【0088】
別の実施形態によれば、前記可変インダクタは、前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に並列に結合された固定インダクタ及びスイッチ可能なインダクタを含む。
【0089】
別の実施形態によれば、前記スイッチ可能なインダクタは、前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に直列に接続されたインダクタ及びスイッチを含む。
【0090】
別の実施形態によれば、前記固定インダクタ及び前記インダクタは、誘導性伝送線構造体を含む。
【0091】
別の実施形態によれば、前記可変インダクタは、前記可変インダクタが第1及び第2のアンテナフィード端子間に第1インダクタンスを示す第1モードと、前記可変インダクタが第1及び第2のアンテナフィード端子間に第2インダクタンスを示す第2モードとにおいて動作するように選択的に構成され、前記第1インダクタンスは、前記第2インダクタンスとは異なる。
【0092】
別の実施形態によれば、前記導電性構造体は、少なくとも1つのギャップを含み、前記並列フィードループアンテナは、更に、前記少なくとも1つのギャップを橋絡する可変キャパシタ回路を含む。
【0093】
別の実施形態によれば、電子装置は、更に、ワイヤレストランシーバ回路、及びこのトランシーバ回路とアンテナフィードとの間に挿入された同調可能なインピーダンスマッチング回路を備えている。
【0094】
別の実施形態によれば、電子装置は、更に、ワイヤレストランシーバ回路、及びこのトランシーバ回路とアンテナフィードとの間に挿入された同調可能なインピーダンスマッチング回路を備えている。
【0095】
別の実施形態によれば、前記並列フィードループアンテナは、更に、伝送線と第1のアンテナフィード端子との間にアンテナ信号を搬送するアンテナフィード線、及びこのアンテナフィード線に挿入されるキャパシタを備えている。
【0096】
一実施形態によれば、第1及び第2のアンテナフィード端子を含むアンテナフィードと、前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に結合された導電性ループと、ワイヤレストランシーバ回路と、このワイヤレストランシーバ回路とアンテナフィードとの間に挿入された同調可能なインピーダンスマッチング回路とを備えたハンドヘルド電子装置が提供される。
【0097】
別の実施形態によれば、前記ハンドヘルド電子装置は、更に、周囲を有するハウジングと、前記周囲に沿って延び且つ前記周囲に少なくとも1つのギャップを有する導電性構造体とを備えている。
【0098】
別の実施形態によれば、前記ハンドヘルド電子装置は、更に、前記少なくとも1つのギャップを橋絡する可変キャパシタ回路を備えている。
【0099】
別の実施形態によれば、前記同調可能なインピーダンスマッチング回路は、少なくとも2つのインピーダンスマッチングネットワーク回路と、それら2つのインピーダンスマッチングネットワーク回路の選択された1つを使用するように切り換えるよう前記同調可能なインピーダンスマッチング回路を構成するスイッチング回路と、を含む。
【0100】
別の実施形態によれば、前記アンテナは、並列フィードループアンテナを含む。
【0101】
別の実施形態によれば、前記電子装置は、更に、正の導体及び接地導体を有する伝送線を備え、前記接地導体は、第2のアンテナフィード端子に結合され、前記正の導体は、第1のアンテナフィード端子に結合され、そして更に、前記伝送線の正の導体に挿入されたキャパシタを備えている。
【0102】
別の実施形態によれば、前記電子装置は、更に、前記第1及び第2のアンテナフィード端子を橋絡するインダクタ回路を備えている。
【0103】
一実施形態によれば、周囲を有するハウジングと、周囲に沿って延び且つ周囲に少なくとも1つのギャップを有する導電性構造体と、その導電性構造体から少なくとも一部分形成されたアンテナとを備え、前記アンテナは、第1の通信帯域及び該第1の通信帯域より周波数が高い第2の通信帯域で動作するようアンテナが構成される第1の動作モードと、前記第1の通信帯域及び第2の通信帯域より周波数が低い第3の通信帯域で動作するようアンテナが構成される第2の動作モードとで、アンテナを動作するよう構成するアンテナ同調回路を含むものであるワイヤレス電子装置が提供される。
【0104】
別の実施形態によれば、前記第1の通信帯域は、900MHzを中心とし、前記第2の通信帯域は、1850MHzを中心とし、前記第3の通信帯域は、700MHzを中心とするものである。
【0105】
別の実施形態によれば、前記アンテナ同調回路は、少なくとも1つのギャップを橋絡する可変キャパシタ回路を含む。
【0106】
別の実施形態によれば、前記アンテナは、正及び負のフィードを含み、前記アンテナ同調回路は、前記正及び負のアンテナフィード端子を橋絡する可変インダクタを含む。
【0107】
別の実施形態によれば、前記アンテナは、更に、アンテナフィードを含み、前記アンテナ同調回路は、同調可能なインピーダンスマッチング回路を含み、更に、無線トランシーバ回路を有し、前記同調可能なインピーダンスマッチング回路は、前記無線トランシーバ回路と前記アンテナフィードとの間に挿入される。
【0108】
以上の説明は、本発明の原理を単に例示するものに過ぎず、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、種々の変更が明らかであろう。前記実施形態は、個々に具現化されてもよいし、何らかの組み合わせで具現化されてもよい。
【符号の説明】
【0109】
10:電子装置
12:ハウジング
14:ディスプレイ
16:ベゼル
18:ギャップ
19:ボタン
20、22:領域
28:記憶及び処理回路
30:入力/出力回路
32:入力/出力装置
34:ワイヤレス通信回路
36:トランシーバ回路
38:セルラー電話トランシーバ回路
40:アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲を有する電子装置の並列フィードループアンテナにおいて、
第1及び第2のアンテナフィード端子を含むアンテナフィードと、
前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に結合された導電性ループであって、前記周囲に沿って配置される導電性構造体から少なくとも一部分形成される導電性ループと、
前記第1及び第2のアンテナフィード端子を橋絡する可変インダクタと、
を備えた並列フィードループアンテナ。
【請求項2】
前記可変インダクタは、前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に並列に結合された固定インダクタ及びスイッチ可能なインダクタを含む、請求項1に記載の並列フィードループアンテナ。
【請求項3】
前記スイッチ可能なインダクタは、前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に直列に接続されたインダクタ及びスイッチを含む、請求項2に記載の並列フィードループアンテナ。
【請求項4】
前記固定インダクタ及び前記インダクタは、誘導性伝送線構造体を含む、請求項3に記載の並列フィードループアンテナ。
【請求項5】
前記可変インダクタは、前記可変インダクタが第1及び第2のアンテナフィード端子間に第1インダクタンスを示す第1モードと、前記可変インダクタが第1及び第2のアンテナフィード端子間に第2インダクタンスを示す第2モードとにおいて動作するように選択的に構成され、前記第1インダクタンスは、前記第2インダクタンスとは異なる、請求項1に記載の並列フィードループアンテナ。
【請求項6】
前記導電性構造体は、少なくとも1つのギャップを含み、
更に、前記少なくとも1つのギャップを橋絡する可変キャパシタ回路を備えた、請求項1に記載の並列フィードループアンテナ。
【請求項7】
前記電子装置は、更に、ワイヤレストランシーバ回路、及び該トランシーバ回路と前記アンテナフィードとの間に挿入された同調可能なインピーダンスマッチング回路を備えた請求項6に記載の並列フィードループアンテナ。
【請求項8】
前記電子装置は、更に、
ワイヤレストランシーバ回路、及び
前記トランシーバ回路と前記アンテナフィードとの間に挿入された同調可能なインピーダンスマッチング回路、
を備えた請求項1に記載の並列フィードループアンテナ。
【請求項9】
伝送線と第1のアンテナフィード端子との間にアンテナ信号を搬送するアンテナフィード線、及び
前記アンテナフィード線に挿入されたキャパシタ、
を備えた請求項1に記載の並列フィードループアンテナ。
【請求項10】
第1及び第2のアンテナフィード端子を含むアンテナフィードと、
前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に結合された導電性ループと、
ワイヤレストランシーバ回路と、
前記ワイヤレストランシーバ回路と前記アンテナフィードとの間に挿入された同調可能なインピーダンスマッチング回路と、
を備えたハンドヘルド電子装置。
【請求項11】
周囲を有するハウジングと、
前記周囲に沿って延び且つ前記周囲に少なくとも1つのギャップを有する導電性構造体と、
を更に備えた請求項10に記載のハンドヘルド電子装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのギャップを橋絡する可変キャパシタ回路を更に備えた、請求項11に記載のハンドヘルド電子装置。
【請求項13】
前記同調可能なインピーダンスマッチング回路は、少なくとも2つのインピーダンスマッチングネットワーク回路と、それら2つのインピーダンスマッチングネットワーク回路の選択された1つを使用するように切り換えるよう前記同調可能なインピーダンスマッチング回路を構成するスイッチング回路と、を含む請求項11に記載のハンドヘルド電子装置。
【請求項14】
前記アンテナは、並列フィードループアンテナを含む、請求項11に記載の電子装置。
【請求項15】
正の導体及び接地導体を有する伝送線を更に備え、前記接地導体は、第2のアンテナフィード端子に結合され、前記正の導体は、第1のアンテナフィード端子に結合され、
更に、前記伝送線の正の導体に挿入されたキャパシタを備えた、請求項11に記載の電子装置。
【請求項16】
前記第1及び第2のアンテナフィード端子を橋絡するインダクタ回路を備えた、請求項11に記載の電子装置。
【請求項17】
周囲を有するハウジングと、
周囲に沿って延び且つ周囲に少なくとも1つのギャップを有する導電性構造体と、
前記導電性構造体から少なくとも一部分形成されたアンテナと、
を備え、前記アンテナは、
第1の通信帯域及び該第1の通信帯域より周波数が高い第2の通信帯域で動作するようアンテナが構成される第1の動作モードと、
前記第1の通信帯域及び第2の通信帯域より周波数が低い第3の通信帯域で動作するようアンテナが構成される第2の動作モードとで、
アンテナを動作するよう構成するアンテナ同調回路を含む、ワイヤレス電子装置。
【請求項18】
前記アンテナ同調回路は、少なくとも1つのギャップを橋絡する可変キャパシタ回路を含む、請求項17に記載のワイヤレス電子装置。
【請求項19】
前記アンテナは、正及び負のフィードを含み、前記アンテナ同調回路は、
前記正及び負のアンテナフィード端子を橋絡する可変インダクタ、
を含む請求項17に記載のワイヤレス電子装置。
【請求項20】
前記アンテナは、更に、アンテナフィードを含み、前記アンテナ同調回路は、同調可能なインピーダンスマッチング回路を含み、更に、
無線トランシーバ回路、
を有し、前記同調可能なインピーダンスマッチング回路は、前記無線トランシーバ回路と前記アンテナフィードとの間に挿入される、請求項17に記載のワイヤレス電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−186810(P2012−186810A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−62669(P2012−62669)
【出願日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】