説明

含フッ素環状構造を有するケイ素化合物及びシリコーン樹脂、それを用いたレジスト組成物、及びパターン形成方法

【解決手段】 下記一般式(1)で表される含フッ素環状構造を有するケイ素化合物。
【化1】


(式中、X1、X2、X3は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)を表す。Yは単結合又は二価の有機基を表す。Zは三価の有機基を表す。)
【効果】 本発明は、膨潤によるパターン崩壊を極力抑制して微細パターン形成を可能とする適度な酸性を有し、かつ、有機膜へのパターン転写の際のエッチング条件に対し、優れたエッチング耐性を実現するためにより少ない数のフッ素置換に、この適度な酸性を実現するケイ素化合物とシリコーン樹脂を提供し、このため、特にArF露光における二層レジストの原料として好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子などの製造工程における微細加工に用いられる化学増幅ポジ型レジスト材料のベース樹脂の原料となるケイ素化合物及びシリコーン樹脂に関し、より具体的には、遠紫外線等の光リソグラフィー、X線、又は電子ビームによるリソグラフィー用のレジスト組成物、特に二層レジスト法に好適なポジ型レジスト組成物の原料として有用なケイ素化合物及びシリコーン樹脂、更にこのシリコーン樹脂を用いたレジスト組成物、並びにこのレジスト組成物を用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターン寸法の微細化が急速に進んでいる。リソグラフィー技術は、この微細化に併せ、光源の短波長化とそれに対するレジスト組成物の適切な選択により、微細パターンの形成を達成してきた。その中心となったのは、単層で使用するポジ型レジスト組成物である。この単層ポジ型レジスト組成物は、塩素系あるいはフッ素系のガスプラズマによるエッチングに対し、エッチング耐性を持つ骨格をレジスト樹脂中に持たせ、かつ露光部が溶解するようなレジスト機構を持たせることによって、露光部を溶解させてパターンを形成し、残存したレジストパターンをエッチングマスクとしてレジスト組成物を塗布した被加工基板をエッチング加工するものである。
【0003】
ところが、使用するレジスト膜の膜厚をそのままで微細化、即ちパターン幅をより小さくした場合、レジスト膜の解像性能が低下し、また現像液により、レジスト膜をパターン現像しようとすると、いわゆるアスペクト比が大きくなりすぎ、結果としてパターン崩壊が起こってしまう。このため微細化に伴い、レジスト膜厚は薄膜化されてきた。一方、露光波長の短波長化により、レジスト組成物に使用する樹脂は、露光波長における光吸収の小さな樹脂が求められたため、i線、KrF、ArFへの変化に対し、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、アクリル系樹脂と変化してきており、現実的には上記エッチング条件に対するエッチング速度は速いものになってきてしまっている。このことから、より薄く、よりエッチング耐性の弱いレジスト膜で被加工基板をエッチングしなければならないことになり、レジスト膜のエッチング耐性の確保は急務になってきている。
【0004】
一方、被加工基板を加工するエッチング条件に対しては、エッチング耐性が弱いが、微細パターンが形成できるレジスト膜と、被加工基板を加工するためのエッチング耐性を持ち、かつレジスト膜が耐性を持つ条件でパターン形成可能な中間膜を使用して、レジストパターンを一旦中間膜に転写し、更にパターン転写された中間膜をエッチングマスクとして被加工基板をエッチング加工する方法、いわゆる多層レジスト法が以前より開発されてきている。代表的な方法としては、レジスト組成物にケイ素が含有されている樹脂を使用し、中間膜に芳香族系の樹脂を使う方法があり、この方法によれば、ケイ素を含有する樹脂のパターンを形成した後、酸素−反応性イオンエッチングを行うと、ケイ素樹脂は酸素プラズマにエッチング耐性の高い酸化ケイ素となり、同時に芳香族系の樹脂は酸化ケイ素のエッチングマスクがない所では、容易にエッチング除去されて、ケイ素樹脂のパターンが芳香族系の樹脂層に転写される。この芳香族系樹脂は、単層レジスト膜の場合と異なり、光の透過性は全く求められないため、フッ素系あるいは塩素系ガスプラズマにエッチング耐性の高いものが広く使用できる。更に、この芳香族系樹脂をエッチングマスクとすることによって、被加工基板をフッ素系あるいは塩素系ガスプラズマにより、エッチング加工ができることになる。
【0005】
この二層レジスト法は、芳香族系の樹脂が使えなくなったArF(193nm)エキシマレーザー、及びより短波長の光による露光について、特に活発に検討されてきており、すでにいくつかの報告がある。例えば、特許文献1(特開平10−324748号公報)及び特許文献2(特開平11−302382号公報)には、カルボキシル基を有する非芳香族系の単環式もしくは多環式炭化水素基又は有橋環式炭化水素基を側鎖に有し、かつカルボキシル基の少なくとも一部が酸不安定基で置換されたシロキサン系ポリマー、例えば5−位にt−ブトキシカルボニル基を有するノルボルニル基がケイ素原子に結合したシロキサン系ポリマー等、及び該ポリマーを用いたレジスト組成物が開示されており、このレジスト組成物はKrF(248nm)エキシマレーザーあるいはArFエキシマレーザーの吸収が小さく、パターン形状が良好であり、また感度、解像度、ドライエッチング耐性等にも優れているとされている。また、特許文献3(特開2002−055346号公報)及び特許文献4(特開2002−268227号公報)には、フッ素化されたアルコールを導入したシリコーン含有ポリマーが、特にF2(157nm)レーザーの露光波長での吸収が小さく、感度、解像度、及びプラズマエッチング耐性に優れていると報告されている。このように、露光光源の短波長化による解像性向上を目指した工程用に、特にF2レーザーの露光波長での吸収が小さい含フッ素シロキサン系ポリマーを用いた組成物が種々報告されている。例えば、特許文献5(特開2002−220471号公報)には、特定の酸脱離性基が2つ以上のノルボルナン環を介してケイ素原子に結合したポリシロキサンを用いた感放射線性樹脂組成物がドライエッチング耐性に優れ、F2レーザーの放射線に対して透明性が高く有用であることが報告されている。一方、材料の薄膜化による解像性の向上の手法としては、特許文献6(特開2001−215714号公報)に、特定の粘度範囲を有するケイ素含有高分子化合物がレジスト皮膜の面内均一性を保ちつつ、更に薄膜化を図ることが可能であると報告されている。
【0006】
一方、最近単層レジスト膜に関する研究で、微細パターンの形成を試みた際、パターンが崩壊する原因として、現像中にポリマーが溶解直前に大きな膨潤を起こし、これによって微細パターンの形成が妨害されることが報告されており、これを防止するには、近接位がフッ素置換されることによってフェノール様の酸性度を示す水酸基を含有するユニットを樹脂中に極性基として導入し、樹脂に適度なアルカリ可溶性を付与することが有効であることが示されている(非特許文献1:H. Itoら, Journal of Photopolymer Science and Technology, Vol.15, Number4, (2002) 591−602)。このパターン崩壊については、シリコーン樹脂をベースポリマーとするケイ素含有レジスト組成物においても共通の問題であり、上述のポリシロキサンポリマーの高解像性もこの効果が表れている可能性がある。
【0007】
しかしながら、現実的には、フッ素を多量に含む樹脂をエッチングマスクとして芳香族系有機膜へのパターン転写を実施すると、酸素−反応性エッチングに対するエッチング耐性は完全に期待したものではなく、この条件に対するエッチング耐性に改善が必要であることが明らかとなった。
【0008】
【特許文献1】特開平10−324748号公報
【特許文献2】特開平11−302382号公報
【特許文献3】特開2002−055346号公報
【特許文献4】特開2002−268227号公報
【特許文献5】特開2002−220471号公報
【特許文献6】特開2001−215714号公報
【特許文献7】特開2002−278073号公報
【特許文献8】特開2003−20335号公報
【特許文献9】特開2003−173027号公報
【非特許文献1】H. Itoら, Journal of Photopolymer Science and Technology, Vol.15, Number4, (2002) 591−602
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、特にシリコーン樹脂を含有する二層用レジスト組成物において、膨潤によるパターン崩壊を極力抑制して微細パターン形成を可能とする適度な酸性を有し、かつ、有機膜へのパターン転写の際のエッチング条件に対し優れたエッチング耐性を実現するために、より少ない数のフッ素置換によって、この適度な酸性を実現するケイ素化合物及びシリコーン樹脂を提供する。また、これらのケイ素化合物やシリコーン樹脂を原料として用いたレジスト組成物、並びにこのレジスト組成物を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1),(2),(3)又は(4)で表されるフェノール様の適度な酸性を有する含フッ素環構造を有するケイ素化合物と、下記一般式(1a),(2a),(3a)又は(4a)で表される部分構造を有する含フッ素環状構造を有するシリコーン樹脂が入手可能な原料から製造され、また、これらを用いれば、波長300nm以下での透明性に優れ、かつ現像特性に優れた感放射線レジスト材料が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0011】
即ち、本発明は、
[1] 下記一般式(1)で表される含フッ素環状構造を有するケイ素化合物を提供する。
【化1】

(式中、X1、X2、X3は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)を表す。Yは単結合又は二価の有機基を表す。Zは三価の有機基を表す。)
また、本発明は、
[2] 下記一般式(2),(3)又は(4)で表される含フッ素環状構造を有するケイ素化合物を提供する。
【化2】

[式中、R1、R2、R3、R4のうち少なくとも一つは下記一般式
【化3】

(式中、X1、X2、X3は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)を表す。Yは単結合又は二価の有機基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R1、R2、R3、R4は任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。R5、R6、R7、R8、R9、R10のうち少なくとも一つは下記一般式
【化4】

(式中、X1、X2、X3は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)を表す。Yは単結合又は二価の有機基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R5、R6、R7、R8、R9、R10は任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。R11、R12、R13、R14のうち少なくとも一つは下記一般式
【化5】

(式中、X1、X2、X3は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)を表す。Yは単結合又は二価の有機基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R11、R12、R13、R14は任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。]
本発明は、更に、
[3] 一般式(1)〜(4)において、Yが脂環を含む二価の有機基である[1]又は[2]記載の含フッ素環状構造を有するケイ素化合物、
及び
[4] 一般式(1)〜(4)において、Yが下記一般式
【化6】

(式中、p、qはそれぞれ独立に1又は0を表す。)
で表される二価の有機基である[3]記載の含フッ素環状構造を有するケイ素化合物を提供する。
また、本発明は、
[5] 下記一般式(1a),(2a),(3a)又は(4a)で表される部分構造を有することを特徴とする含フッ素環状構造を有するシリコーン樹脂を提供する。
【化7】

[式中、Yは単結合又は二価の有機基を表す。Zは三価の有機基を表す。X1a、X2a、X3aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。R1a、R2a、R3a、R4aのうち少なくとも一つは下記一般式
【化8】

(式中、X1a、X2a、X3aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R1a、R2a、R3a、R4aは任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。R5a、R6a、R7a、R8a、R9a、R10aのうち少なくとも一つは下記一般式
【化9】

(式中、X1a、X2a、X3aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R5a、R6a、R7a、R8a、R9a、R10aは任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。R11a、R12a、R13a、R14aのうち少なくとも一つは下記一般式
【化10】

(式中、X1a、X2a、X3aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R11a、R12a、R13a、R14aは任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。)
また、本発明は、
[6] (A)[5]記載のシリコーン樹脂、
(B)酸発生剤、
(C)溶剤
を含有してなるレジスト組成物を提供する。
更に、本発明は、
[7] (1)[6]記載のフォトレジスト組成物を基板上に塗布する工程と、
(2)次いで加熱処理後、フォトマスクを介して波長300nm以下の高エネルギー線もしくは電子線で露光する工程と、
(3)必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程と
を含むことを特徴とするパターン形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、膨潤によるパターン崩壊を極力抑制して微細パターン形成を可能とする適度な酸性を有し、かつ、有機膜へのパターン転写の際のエッチング条件に対し、優れたエッチング耐性を実現するためにより少ない数のフッ素置換によって、この適度な酸性を実現することを可能とするケイ素化合物及びシリコーン樹脂を提供するもので、これは特にArF露光における二層レジストの原料として好適であり、本発明のシリコーン樹脂を用いたレジスト組成物は、膨潤によるパターン崩壊が抑制され、かつ酸素系ガスプラズマに対する耐エッチング性能に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の含フッ素環状構造を有するケイ素化合物は、下記一般式(1)で表される含フッ素ヘミアセタール構造を有するものである。
【化11】

(式中、X1、X2、X3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)を表す。Yは単結合又は二価の有機基を表す。Zは三価の有機基を表す。)
【0014】
安定性・製造容易性の点から、形成されるヘミアセタール構造としては、五員環ヘミアセタール構造又は六員環ヘミアセタール構造が好ましい。特に、オキソランヘミアセタール構造、オキサンヘミアセタール構造又はジオキサンヘミアセタール構造を有するもの、即ち、下記一般式(2),(3)又は(4)で表される構造を好ましく例示できる。
【0015】
【化12】

[式中、R1、R2、R3、R4のうち少なくとも一つ、好ましくは一つは下記一般式
【化13】

(式中、X1、X2、X3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)を表す。Yは単結合又は二価の有機基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R1、R2、R3、R4は任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。R5、R6、R7、R8、R9、R10のうち少なくとも一つ、好ましくは一つは下記一般式
【化14】

(式中、X1、X2、X3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)を表す。Yは単結合又は二価の有機基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R5、R6、R7、R8、R9、R10は任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。R11、R12、R13、R14のうち少なくとも一つ、好ましくは一つは下記一般式
【化15】

(式中、X1、X2、X3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)を表す。Yは単結合又は二価の有機基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R11、R12、R13、R14は任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。]
【0016】
一般に、ヘミアセタール構造(HA)は鎖状ケトアルコール化合物(KA)との平衡が存在すると考えられる。この際、五員環又は六員環の場合は、平衡がヘミアセタール側によっており、安定性が高いといわれている。更に、本発明の下記一般式(2),(3)又は(4)で表されるヘミアセタール構造(HA)を有する化合物では、対応する下記一般式(2’),(3’)又は(4’)で表される鎖状ケトアルコール構造(KA)におけるカルボニル基に隣接する炭素原子(α−炭素及びα’−炭素)上に五つのフッ素原子置換があり、これらのフッ素原子の強い電子吸引効果のために、このカルボニル基の炭素が通常のカルボニル基に比べ、より求核剤の攻撃を受けやすくなっていると考えられる。このため、鎖状ケトアルコール化合物(KA)の水酸基が分子内で求核的に攻撃して、安定なヘミアセタール構造(HA)をとりやすいと考えられる。特に式(4)で表されるジオキサンヘミアセタール構造の場合、鎖状ケトアルコール化合物(4’)においては不安定な鎖状ヘミアセタール構造をとっており、この構造では安定に存在し得ないと考えられる。逆にいえば、環化して環状ヘミアセタール構造をとることにより、このアセタール構造とヘミアセタール構造が分子内に共存した化合物(4)が安定に存在すると考えられる。
【0017】
【化16】

【0018】
これらのヘミアセタール構造中の水酸基は、この水酸基が結合する炭素原子に更に結合する炭素原子上に五つのフッ素原子が結合しており、これらのフッ素原子の強い電子吸引性のために水酸基の酸素上の電子密度が低くなっており、フッ素置換がない通常のヘミアセタールの水酸基に比べ、酸性が高まっており、樹脂に適度なアルカリ可溶性を付与できると考えることができる。
【0019】
ここで、R1、R2、R3、R4のうち少なくとも一つは下記一般式
【化17】

(式中、X1、X2、X3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、又は炭素数1〜20、好ましくは1〜8の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)を表す。Yは単結合又は二価の有機基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表す。
【0020】
残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20、好ましくは1〜8の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表すが、この場合、これら残りの基において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、メチルシクロヘキシルメチル基、エチルシクロヘキシルメチル基、エチルシクロヘキシルエチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルエチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルブチル基、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルエチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルメチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルエチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルブチル基、メチルビシクロ[2.2.2]オクチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.2]オクチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.2]オクチルエチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルエチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルブチル基、メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメチル基、エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメチル基、エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルエチル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、アダマンチルエチル基、アダマンチルブチル基、メチルアダマンチルメチル基、エチルアダマンチルメチル基、エチルアダマンチルエチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルエチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルブチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメチル基、エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメチル基、エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルエチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、フェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基等のアリール基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基等の一価の炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基等のアシロキシ基を挙げることができ、また、これらの基中の水素原子の一部がハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基等に置換されていてもよく、これらの基中のメチレン基が酸素原子に置換されていてもよい。これらのうち、R1、R2、R3、R4としては水素原子、水酸基、フッ素原子、メチル基、エチル基、パーフルオロアルキル基(好ましくは炭素数1〜8のもの)は特に好ましい。
【0021】
1、R2、R3、R4は任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。この場合、形成される環としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、アダマンタン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン等の炭素数3〜12の脂環式炭化水素が例示でき、これらを含む縮合環でもよい。また、これらの脂環式炭化水素の水素原子の一部がハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基等に置換されていてもよく、これらの基中のメチレン基が酸素原子に置換されていてもよい。
【0022】
5、R6、R7、R8、R9、R10とR11、R12、R13、R14は、それぞれ、R1、R2、R3、R4と同様のものを例示できる。
【0023】
Yは単結合又は二価の有機基である。二価の有機基として、より具体的には、炭素数1〜20、好ましくは1〜12の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ二価の有機基を例示できる。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、メチルシクロヘキシルメチル基、エチルシクロヘキシルメチル基、エチルシクロヘキシルエチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルエチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルブチル基、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルエチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルメチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルエチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルブチル基、メチルビシクロ[2.2.2]オクチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.2]オクチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.2]オクチルエチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルエチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルブチル基、メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメチル基、エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメチル基、エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルエチル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、アダマンチルエチル基、アダマンチルブチル基、メチルアダマンチルメチル基、エチルアダマンチルメチル基、エチルアダマンチルエチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルエチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルブチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメチル基、エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメチル基、エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルエチル基等の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つアルキル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基等のアリール基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基等の一価の炭化水素基の水素原子の一つを単結合に置き換えた二価の有機基である。また、これらの基中の水素原子の一部がハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基等に置換されていてもよく、これらの基中のメチレン基が酸素原子に置換されていてもよい。
【0024】
これらの二価の有機基のうち、脂環を含有するものが特に好ましい。含まれる脂環としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナン)、ビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン(テトラシクロドデカン)が挙げられ、このうち、[2.2.1]ヘプタン又はテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカンを有するものが特に好ましい。
更に、[2.2.1]ヘプタン又はテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカンを有するもののうち、下記一般式で表される二価の有機基が特に好ましい。
【0025】
【化18】

(式中、p、qはそれぞれ独立に1又は0を表す。なお、本式は、
【化19】

の二つのいずれか又は両方を代表して表す。)
【0026】
1、X2、X3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)を表す。この場合、ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子が好ましい。炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトシキ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等が挙げられる。炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、メチルシクロヘキシルメチル基、エチルシクロヘキシルメチル基、エチルシクロヘキシルエチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルエチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルブチル基、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルエチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルメチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルエチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルブチル基、メチルビシクロ[2.2.2]オクチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.2]オクチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.2]オクチルエチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルエチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルブチル基、メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメチル基、エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメチル基、エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルエチル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、アダマンチルエチル基、アダマンチルブチル基、メチルアダマンチルメチル基、エチルアダマンチルメチル基、エチルアダマンチルエチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルエチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルブチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメチル基、エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメチル基、エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルエチル基等の直鎖状、分岐状環状又は多環状のアルキル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基等のアリール基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基等の一価の有機基である。また、これらの基中の水素原子の一部がハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基等に置換されていてもよく、これらの基中のメチレン基が酸素原子に置換されていてもよい。
【0027】
1、X2、X3が水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基(以下、これらを加水分解性置換基という)のいずれかである場合、これらの含フッ素環状構造を有するケイ素化合物は、後述するシリコーン樹脂の製造の際、共加水分解・縮合反応における反応基質となり、シランモノマーとして用いられる。加水分解性置換基を1個有するシランモノマー(以下、これを一官能性シランモノマーという)、加水分解性置換基を二個有するシランモノマー(以下、これを二官能性シランモノマーという)、加水分解性置換基を三個有するシランモノマー(以下、これを三官能性シランモノマーという)があり、中でも本発明のシリコーン樹脂の製造の目的には、二官能性シランモノマーと三官能性シランモノマーが特に好ましい。この際、シランモノマー一分子中の加水分解性置換基は、1種類だけ選択されてもよいし、異なる加水分解性基を複数種有していてもよい。更に、加水分解性置換基としては、アルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。一官能性シランモノマー又は二官能性シランモノマーを使用する際にケイ素上に存在する加水分解性置換基以外の残り二つ又は残り一つの置換基は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基であるが、蒸留等による精製が容易な炭素数6以下の一価の有機基が好ましく、更に炭素数6以下のアルキル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、フェニル基が特に好ましい。
【0028】
本発明の含フッ素環状構造を有する一般式(1),(2),(3)又は(4)で示されるケイ素化合物において、X1、X2、X3、Y、Z、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14で表される基の種類、組み合わせによっては、分子を構成する炭素原子が不斉炭素となる場合があり、エナンチオ異性体(Enantiomer)やジアステレオ異性体(Diastereomer)が存在し得るが、一般式(1),(2),(3)又は(4)は、これらの立体異性体のすべてを代表して表す。これらの立体異性体は、単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0029】
本発明の一般式(1),(2),(3)又は(4)で表される含フッ素環状構造を有するケイ素化合物として、更に具体的には以下のものを例示できるが、これらのものに限定されない。なお、図中、下記一般式
【化20】

で表される部分構造は、ケイ素原子から伸びる結合がそれによって跨れる結合の右側の炭素原子、あるいは左側の炭素原子に結合した部分構造、即ち、下記一般式
【化21】

で表される二つの部分構造のいずれか又は両方を代表して表す(以下、同様)。
【0030】
【化22】

【0031】
【化23】

【0032】
【化24】

【0033】
本発明の含フッ素環状構造を有するケイ素化合物は、既知の種々の炭素−ケイ素結合形成反応を適用して合成できるが、中でも不飽和結合を有するフルオロヘミアセタール誘導体とSiH基含有シラン化合物とのヒドロシリル化反応は好適な方法である。不飽和結合、特に好ましい二重結合を有するフルオロヘミアセタール誘導体は、本発明者らが先に出願した特願2004−313762号に詳しく述べられている方法等により製造することができる。
【0034】
ヒドロシリル化反応は、通常、白金、パラジウム、イリジウム等の遷移金属触媒の存在下、反応基質を加熱することにより行う。反応は無溶媒で行うが、反応基質が固体である場合等には、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類等から選択した1種又は2種以上の溶媒を補助的に用いることもできる。
【0035】
ここで、この特願2004−313762号に示す方法は、下記一般式(i),(ii),(iii),(iv)で表される環状構造を有するフッ素単量体を得るものである。
【0036】
【化25】

(式中、Zは重合性不飽和基を含む二価の有機基を表す。)
【0037】
【化26】

(式中、R01、R02、R03、R04はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基を表し、これらのうち少なくとも一つは重合性不飽和基を含む一価の有機基を表す。R01、R02、R03、R04は任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。R05、R06、R07、R08、R09、R010はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基を表し、これらのうち少なくとも一つは重合性不飽和基を含む一価の有機基を表す。R05、R06、R07、R08、R09、R010は任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。R011、R012、R013、R014はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基を表し、これらのうち少なくとも一つは重合性不飽和基を含む一価の有機基を表す。R011、R012、R013、R014は任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。)
【0038】
上記一般式(i),(ii),(iii),(iv)で表される環状構造を有する含フッ素単量体の製造における鍵反応は、ヘミアセタール環の形成反応である、即ち、下記一般式(v),(vi),(vii)又は(viii)で表される鎖状ケトアルコール化合物が環化し、下記一般式(ix),(x),(xi)又は(xii)で表されるヘミアセタール化合物が得られる工程である。
【0039】
【化27】

(式中、Y0は重合性不飽和基を含む二価の有機基又は重合性不飽和基に変換可能な官能基を有する二価の有機基を表す。Q1、Q2、Q3、Q4はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基を表し、これらのうち少なくとも一つは重合性不飽和基を含む一価の有機基又は重合性不飽和基に変換可能な官能基を有する一価の有機基を表す。Q1、Q2、Q3、Q4は任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。Q5、Q6、Q7、Q8、Q9、Q10はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基を表し、これらのうち少なくとも一つは重合性不飽和基を含む一価の有機基又は重合性不飽和基に変換可能な官能基を有する一価の有機基を表す。Q5、Q6、Q7、Q8、Q9、Q10は任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。Q11、Q12、Q13、Q14はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基を表し、これらのうち少なくとも一つは重合性不飽和基を含む一価の有機基又は重合性不飽和基に変換可能な官能基を有する一価の有機基を表す。Q11、Q12、Q13、Q14は任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。)
【0040】
ヘミアセタール環化反応は、反応基質の構造により種々異なるが、通常、溶媒中で行い、塩基性条件又は酸性条件で行うのが好ましい。塩基としては、ケトアルコール化合物がアルコキシドを生成する条件が好ましい。塩基として、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N、N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の無機塩基類、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、塩化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム等のアルキル金属類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルコキシド類を用いることができる。この場合、単離したケトアルコール化合物をこれらの塩基で処理することによって環化を進行させてもよいが、ケトアルコール化合物自身の合成の過程で生じるアルコキシドをそのまま用い、環化させるのが好ましい。酸として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸類、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルフォン酸、ベンゼンスルフォン酸、p−トルエンスルフォン酸等の有機酸類、三塩化アルミニウム、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、四塩化錫、四臭化錫、二塩化ジブチル錫、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫オキシド、四塩化チタン、四臭化チタン、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、酸化チタン(IV)等のルイス酸類を用いることができる。単離したケトアルコール化合物をこれらの酸で処理することによって環化を進行させてもよいが、ケトアルコール化合物自身の合成における後処理の酸処理によってそのまま環化させるのが好ましい。用いる溶媒としてはジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒類が例示でき、これらを単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。反応温度は−50℃から溶媒の沸点程度が好ましく、−20℃〜100℃が更に好ましい。反応時間は、収率向上のため薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等により反応の進行を追跡して決定することが好ましいが、通常0.1〜250時間程度である。
【0041】
上記一般式(v),(vi),(vii)又は(viii)で表される環化前駆体ケトアルコール化合物の製造方法は、構造により種々異なるが、α,α,α,α’,α’−ペンタフルオロカルボニル基部分の導入方法として、カルボニル化合物と1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−プロペニルオキシドの反応(T.Nakaiら、Tetrahedron Letters、Vol.29、P.4119、1988年、及び、T.Nakaiら、Organic Syntheses、Vol.76、P.151、1998年参照)や求電子的フッ素化試薬によるα,α,α−トリフルオロケトンのα’,α’−位のgem−フッ素化反応(例えば、T.Hiyama、Organofluorine Compounds Chemistry and Applications、P.39、2000年参照)を例示できる。特に、カルボニル化合物と1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−プロペニルオキシドの反応は、必要な五フッ素置換部分構造を一挙に導入できるため好ましい。
【0042】
本発明の含フッ素環状構造を有するシリコーン樹脂は、下記一般式(1a),(2a),(3a)又は(4a)で表される部分構造を有するものである。
【0043】
【化28】

[式中、Yは単結合又は二価の有機基を表す。Zは三価の有機基を表す。X1a、X2a、X3aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。R1a、R2a、R3a、R4aのうち少なくとも一つ、好ましくは一つは下記一般式
【化29】

(式中、X1a、X2a、X3aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。Yは単結合又は二価の有機基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R1a、R2a、R3a、R4aは任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。R5a、R6a、R7a、R8a、R9a、R10aのうち少なくとも一つ、好ましくは一つは下記一般式
【化30】

(式中、X1a、X2a、X3aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。Yは単結合又は二価の有機基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R5a、R6a、R7a、R8a、R9a、R10aは任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。R11a、R12a、R13a、R14aのうち少なくとも一つ、好ましくは一つは下記一般式
【化31】

(式中、X1a、X2a、X3aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。Yは単結合又は二価の有機基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R11a、R12a、R13a、R14aは任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。)
【0044】
上記一般式で表される含フッ素環状構造を有するシリコーン樹脂において、X1a、X2a、X3aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、その酸素原子を介して、更に別のケイ素原子と結合してシロキサン結合(Si−O−Si)が、更にポリシロキサン鎖が形成される。
【0045】
1a、R2a、R3a、R4aのうち少なくとも一つは上記の含ケイ素置換基であるが、残りの置換基は本発明の含フッ素環状構造を有するケイ素化合物のR1、R2、R3、R4で述べたものと同様のものを例示できる。同様に、R5a、R6a、R7a、R8a、R9a、R10aのうち少なくとも一つは上記の含ケイ素置換基であるが、残りの置換基は本発明の含フッ素環状構造を有するケイ素化合物のR5、R6、R7、R8、R9、R10で述べたものと同様のものを例示できる。R11a、R12a、R13a、R14aのうち少なくとも一つは上記の含ケイ素置換基であるが、残りの置換基は本発明の含フッ素環状構造を有するケイ素化合物のR11、R12、R13、R14で述べたものと同様のものを例示できる。また、Y、Zは本発明の含フッ素環状構造を有するケイ素化合物のY、Zと同様のものを例示できる。
【0046】
本発明の含フッ素環状構造を有するシリコーン樹脂(1a),(2a),(3a),(4a)において、X1a、X2a、X3a、Y、Z、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R9a、R10a、R11a、R12a、R13a、R14aで表される基の種類、組み合わせによっては、分子を構成する炭素原子が不斉炭素となる場合があり、エナンチオ異性体(Enantiomer)やジアステレオ異性体(Diastereomer)が存在し得るが、一般式(1a),(2a),(3a),(4a)は、これらの立体異性体のすべてを代表して表す。これらの立体異性体は、単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0047】
ここで、上記式(1a)、及び式(2a)〜(4a)がX1a2a3aSi−Y−を一つ有する場合(例えばR1a、R5a、R11aがX1a2a3aSi−Y−であり、他が上記した原子又は基のうちX1a2a3aSi−Y−以外の原子又は基である場合)において、X1a、X2a、X3aのうち一つのみが酸素原子の場合はいわゆるM単位:R3SiO1/2単位であり、X1a、X2a、X3aのうち二つが酸素原子の場合はD単位:R2SiO2/2単位であり、X1a、X2a、X3aの全てが酸素原子の場合はT単位:RSiO3/2単位である。但し、Rのうち一つは
【化32】

である(又は、例えばR1a、R5a、R11aがX1a2a3aSi−Y−である場合、それぞれ
【化33】

である)。また、残りのRは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は感情のアルコキシ基である。
【0048】
本発明の含フッ素環状構造を有するシリコーン樹脂の第一の製造方法は、一般式(1),(2),(3)又は(4)で表される本発明の含フッ素環状構造を有するケイ素化合物をシランモノマーとし、好ましくは他のシランモノマーをコモノマーとして用いて、これらの混合物の共加水分解・縮合反応による方法である。
【0049】
本発明の含フッ素環状構造を有するケイ素化合物と共に共加水分解・縮合に用いられるコモノマーとして、下記一般式(5),(6),(7)で表されるケイ素化合物を例示できる。
【0050】
【化34】

(式中、R15は、官能基として無保護又は酸分解性保護基で保護されたカルボキシル基を持ち、そのカルボキシル基の他にハロゲン原子、酸素又はイオウ原子を含んでいてもよい炭素数3〜20の直鎖、分岐もしくは環状又は多環状骨格を持った有機基を表す。R16は、官能基としてラクトン環又はカルボン酸無水物を有し、そのラクトン環又はカルボン酸無水物の他にハロゲン原子、酸素又はイオウ原子を含んでいてもよい炭素数4〜16の有機基を表す。R17は、官能基としてヒドロキシ基を持ち、ハロゲン原子、酸素原子又はイオウ原子を含んでいてもよい炭素数3〜20の直鎖、分岐もしくは環状又は多環状骨格を持った有機基を表す。X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)を表す。)
【0051】
これらのコモノマーは共加水分解・縮合により、下記一般式(5a),(6a),(7a)で表される部分構造を有する単位として、本発明の含フッ素環状構造を有するシリコーン樹脂を形成する。
【0052】
【化35】

(式中、R15、R16、R17は前記と同様である。X4a、X5a、X6aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。X7a、X8a、X9aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。X10a、X11a、X12aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。)
【0053】
この場合も、X4a〜X6a、X7a〜X9a、X10a〜X12aのそれぞれにおいて、その一つのみが酸素原子であれば、M単位:R’3SiO1/2単位、二つが酸素原子であればD単位:R’2SiO2/2単位、三つ(全て)が酸素原子であればT単位:R’SiO3/2単位である。但し、R’の一つはR15、R16又はR17であり、残りR’は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ有機基(但し、アルコキシ基を除く)、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基である。
【0054】
4、X5、X6とX7、X8、X9とX10、X11、X12は、本発明の含フッ素環状構造を有するケイ素化合物のX1、X2、X3と同様のものが例示できる。また、X4a、X5a、X6aとX7a、X8a、X9aとX10a、X11a、X12aは、本発明の含フッ素環状構造を有するシリコーン樹脂のX1a、X2a、X3aと同様のものが例示できる。
【0055】
一般式(5)で表されるケイ素化合物において、R15の酸不安定基で保護されたカルボン酸(酸分解性保護基で保護されたカルボキシル基)を有する置換基は、露光部と未露光部の溶解性差、即ち、コントラストを実現する機能を有すると考えられる。酸不安定基はすでにレジスト関連技術において一般的技術用語となっているが、これは、露光により光酸発生剤から発生した強酸が存在すると、これを触媒として保護していた官能基との間の結合が切断されるものであり、ここではカルボン酸が形成される。R15は、3〜20の炭素原子を持ち、ハロゲン原子、酸素又はイオウ原子を含んでいてもよい直鎖、分岐あるいは環状、更には多環状構造を持つ有機基である。R15として種々の構造のものを用いることができるが、ケイ素及び保護カルボキシル基が環状炭化水素基に直接結合しているものが特に好ましい。環状炭化水素基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナン)、ビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン(テトラシクロドデカン)等が挙げられ、このうち、[2.2.1]ヘプタン又はテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカンを有するものが特に好ましい。
【0056】
一般式(5)で表されるケイ素化合物の好ましい例として、具体的には以下のものを挙げられるが、これらのものに限定されない。
【0057】
【化36】

(式中、R15aは水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を表し、R15bは水素原子又は酸不安定基を表し、rは0又は1を表す。X4、X5、X6は前記と同様である。)
【0058】
15bで表される酸不安定基として種々用いることができるが、具体的には下記一般式(L1),(L2),(L3),(L4)で示される基、炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等を挙げることができる。
【0059】
【化37】

【0060】
ここで、破線は結合手を示す(以下、同様)。式中、RL01、RL02は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等が例示できる。RL03は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい一価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0061】
【化38】

【0062】
L01とRL02、RL01とRL03、RL02とRL03とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはRL01、RL02、RL03はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
【0063】
L04は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(L1)で示される基を示し、三級アルキル基としては、具体的にはtert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、2−シクロペンチルプロパン−2−イル基、2−シクロヘキシルプロパン−2−イル基、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)プロパン−2−イル基、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等が例示でき、トリアルキルシリル基としては、具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が例示でき、オキソアルキル基としては、具体的には3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が例示できる。yは0〜6の整数である。
【0064】
L05は炭素数1〜8の一価の炭化水素基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、一価の炭化水素基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示でき、置換されていてもよいアリール基としては、具体的にはフェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基等が例示できる。式(L3)において、mは0又は1、nは0,1,2,3のいずれかであり、2m+n=2又は3を満足する数である。
【0065】
L06は炭素数1〜8の一価の炭化水素基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、具体的にはRL05と同様のもの等が例示できる。RL07〜RL16は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15の一価の炭化水素基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示できる。RL07〜RL16は互いに結合して環を形成していてもよく(例えば、RL07とRL08、RL07とRL09、RL08とRL10、RL09とRL10、RL11とRL12、RL13とRL14等)、その場合には炭素数1〜15の二価の炭化水素基を示し、具体的には上記一価の炭化水素基で例示したものから水素原子を1個除いたもの等が例示できる。また、RL07〜RL16は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい(例えば、RL07とRL09、RL09とRL15、RL13とRL15等)。
【0066】
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち直鎖状又は分岐状のものとしては、具体的には下記の基が例示できる。
【0067】
【化39】

【0068】
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち環状のものとしては、具体的にはテトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が例示できる。
【0069】
上記式(L2)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0070】
上記式(L3)の酸不安定基としては、具体的には1−メチルシクロペンチル、1−エチルシクロペンチル、1−n−プロピルシクロペンチル、1−イソプロピルシクロペンチル、1−n−ブチルシクロペンチル、1−sec−ブチルシクロペンチル、1−シクロヘキシルシクロペンチル、1−(4−メトキシ−n−ブチル)シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−エチルシクロヘキシル、3−メチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−エチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−メチル−1−シクロヘキセン−3−イル、3−エチル−1−シクロヘキセン−3−イル等が例示できる。
【0071】
また、炭素数4〜20の三級アルキル基、各アルキル基が、それぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基としては、具体的にはRL04で挙げたものと同様のもの等が例示できる。
【0072】
一般式(6)で表されるケイ素化合物において、R16は、官能基としてラクトン環又はカルボン酸無水物を有し、そのラクトン環又はカルボン酸無水物の他にハロゲン原子、酸素又はイオウ原子を含んでいてもよい炭素数4〜16の有機基である。官能基としてのラクトン環又はカルボン酸無水物は、基板密着等のための極性の確保と高解像性を実現する機能を有すると考えられる。R16として種々の構造のものを用いることができるが、環状炭化水素基を有するものが特に好ましい。環状炭化水素基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナン)、ビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン(テトラシクロドデカン)等が挙げられ、このうち、[2.2.1]ヘプタン又はテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカンを有するものが特に好ましい。ラクトン環又はカルボン酸無水物としては五員環構造を有するものが特に好ましい。
【0073】
一般式(6)で表されるケイ素化合物の好ましい例として、具体的には以下のものを挙げられるが、これらのものに限定されない。
【0074】
【化40】

(式中、sは0又は1を表す。X7、X8、X9は前記と同様である。)
【0075】
一般式(7)で表されるケイ素化合物において、R17は、官能基として水酸基を持ち、ハロゲン原子、酸素原子又はイオウ原子を含んでいてもよい炭素数3〜20の直鎖、分岐もしくは環状又は多環状骨格を持った有機基である。官能基としての水酸基は、基板に対する密着性や溶解性の制御等のための極性基として導入されるものである。R17として種々の構造のものを用いることができるが、環状炭化水素基を有するものが特に好ましい。環状炭化水素基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナン)、ビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン(テトラシクロドデカン)等が挙げられ、このうち、[2.2.1]ヘプタン又はテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカンを有するものが特に好ましい。
【0076】
一般式(7)で表されるケイ素化合物の好ましい例として、具体的には以下のものを挙げられるが、これらのものに限定されない。
【0077】
【化41】

(式中、R17a、R17bは炭素数1〜8のアルキル基又はパーフルオロアルキル基を表し、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。R17c、R17dは炭素数1〜8のアルキル基又はパーフルオロアルキル基を表し、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。R17e、R17fは炭素数1〜8のアルキル基又はパーフルオロアルキル基を表し、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。tは0又は1を表す。X10、X11、X12は前記と同様である。)
【0078】
一般式(5),(6),(7)で表されるケイ素化合物は、ケイ素上の加水分解性置換基の個数により、一官能性シランモノマー、二官能性シランモノマー、あるいは三官能性シランモノマーとして機能し、これらは本発明の含フッ素環状構造を有するケイ素化合物とともに共加水分解・縮合に用いられる。この際、シランモノマー一分子中の加水分解性置換基は、1種類だけ選択されてもよいし、異なる加水分解性基を複数種有していてもよい。加水分解性置換基としては、アルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。一官能性シランモノマー又は二官能性シランモノマーを使用する際にケイ素上に存在する加水分解性置換基以外の残り二つ又は残り一つの置換基は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基であるが、蒸留等による精製が容易な炭素数6以下の一価の有機基が好ましく、更に炭素数6以下のアルキル基、パーフルオロアルキル基、フェニル基が特に好ましい。これらのシランモノマーは、それぞれに属するものを単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
【0079】
共加水分解・縮合による本発明の含フッ素環状構造を有するシリコーン樹脂の製造において、一官能性モノマーはM単位としてシリコーン樹脂の末端(シロキサンポリマーのシラノール末端等)の封止に用いられ、シリコーン樹脂(ポリシロキサンポリマー)の製造には、二官能性モノマー(D単位として主に鎖状又は環状ポリシロキサンポリマーを与える)、三官能性モノマー(T単位として主にラダー型やかご型のシルセスキオキサンポリマーを与える)のいずれかを、又は、両者を混合して用いる。この際、縮合に供される全てのモノマーに対し、二官能性モノマーが50モル%以上である場合、縮合により得られたシリコーン樹脂が固形化しにくくなる傾向となり、精製等が困難になる場合があるので、三官能性モノマーを全体の50モル%を超えて使用することが好ましい。
【0080】
共加水分解を行う際の反応液のモノマー混合比について述べる。一般式(5)で示されるシランモノマーの全シランモノマーに対する割合は、レジスト膜が持つ露光部と未露光部のおよそのコントラストを決めるものであり、保護基の分子量等にも依存するが、5〜80モル%であることが好ましく、より好ましくは10〜50モル%である。本発明の含フッ素環状構造を有するシランモノマーと、一般式(6)で示されるシランモノマーと一般式(7)で示されるモノマーの合計、即ち、極性基を有するシランモノマーの全シランモノマーに対する割合は、20〜95モル%であることが好ましく、より好ましくは50〜90モル%である。これらの割合が不足すると現像時のパターン剥がれ、膨潤によるパターン崩壊が起こり、逆に多すぎる場合にはレジスト膜のコントラストが低下し、解像度が低下する。また、個々の極性基を有するシランモノマーの極性基を有するシランモノマー全体に対する割合は、そのモノマーの持つ機能を実現するために5〜95モル%であることが好ましい。
【0081】
更に、共加水分解の際、全モノマーに対し30モル%以下であれば、加水分解性置換基を二個以上有する加水分解性シランモノマーを更に1種以上加えることができる。例えば、下記一般式(8),(9),(10)で表されるシランモノマーを例示できる。
【0082】
【化42】

(式中、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X21は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。R18、R19、R20は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つアルキル基又はパーフルオロアルキル基を表す。)
【0083】
これらのシランモノマーは下記一般式(8a),(9a),(10a)で表される部分構造を有する単位として本発明の含フッ素環状構造を有するシリコーン樹脂を形成する。
【0084】
【化43】

(式中、R18、R19、R20は前記と同様である。X13a、X14a、X15a、X16aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。X17a、X18a、X19aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。X20a、X21aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。)
【0085】
この場合も、X13〜X16、X17〜X19、X20〜X21のそれぞれにおいて、その一つのみが酸素原子であればM単位:R”3SiO1/2単位、二つが酸素原子であればD単位:R”2SiO2/2単位、三つが酸素原子であればT単位:R”SiO3/2単位、四つが酸素電子であればQ単位:SiO4/2単位である。但し、R”は式(8)の場合、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基であり、式(9)の場合、R”の一つはR18、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基であり、式(10)の場合、R”の二つはR19とR20、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基である。
【0086】
13、X14、X15、X16とX17、X18、X19とX20、X21は、本発明の含フッ素環状構造を有するケイ素化合物のX1、X2、X3と同様のものが例示できる。また、X13a、X14a、X15a、X16aとX17a、X18a、X19aとX20a、X21aは、本発明の含フッ素環状構造を有するシリコーン樹脂のX1a、X2a、X3aと同様のものが例示できる。
【0087】
例えば、シランモノマーがいずれもバルキーな側鎖を有する際には、縮合条件の調整だけでは、分子量が低いものしか得られない場合がある。このような場合、ケイ素原子に結合した置換基が加水分解性基以外は炭素数4以下のアルキル基のみであるモノマーを加えてやると、分子量の高いシリコーン樹脂を得ることができる。また、より短波長の露光光、例えば157nmの光に対し透明性を上げる場合には、樹脂が有する単位質量あたりのフッ素原子の数自体を増加させてやることが効果的であることが知られているが、このような透明性の付与ためには、フルオロアルキル基が導入されたハロシラン又はアルコキシシランの添加が有効である。
【0088】
共加水分解・縮合反応は常法に従って得ることがでる。通常、シランモノマーの混合物を十分量の水と接触させることにより合成される。その際、酸触媒あるいは塩基触媒の存在下で反応を行うことができる。また、この反応は有機溶媒中で行うこともできる。用いられる酸触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、過塩素酸、リン酸等の無機酸類、酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、クエン酸等の有機酸類を例示できる。塩基触媒としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、コリン、ジエチルヒドロキシルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)等の有機塩基類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム等の水酸化物塩類などを使用することができる。有機溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの極性溶媒や、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素溶媒より選択することが好ましく、これらは単独あるいは混合して使用される。
【0089】
本発明の含フッ素環状構造を有するシリコーン樹脂の第二の製造方法は、反応性のシリコーン樹脂とフルオロヘミアセタール誘導体との種々の炭素−ケイ素結合形成反応による方法である。中でも不飽和結合、特に二重結合を有するフルオロヘミアセタール誘導体とSiH基含有シリコーン樹脂(例えば、MQ系かご状オリゴシロキサンでM末端にSiH基を持つもの等)とのヒドロシリル化反応は好適な方法である。反応に用いられる不飽和結合を有するフルオロヘミアセタール誘導体は、上記シランモノマーの製造の原料として説明したものと同様のものを使用できる。第二の方法で製造する場合でも、第一の方法(共加水分解・縮合反応)においてコモノマーとして説明したものに対応する不飽和結合を有する誘導体を使用して、不飽和結合フルオロヘミアセタール誘導体と同時にヒドロシリル化反応等の炭素−ケイ素結合形成反応を実施して、第一の方法と同様な組成を有する含フッ素環状構造を有するシリコーン樹脂を製造することができる。
【0090】
本発明の含フッ素環状構造を有するシリコーン樹脂の重量平均分子量(GPCポリスチレン換算)は1,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜30,000、更に好ましくは1,500〜20,000である。分子量が100,000を超えた場合、精製が困難となる場合があり、また、30,000を超えたものについては、モノマーの組み合わせにもよるが、レジスト組成物に用いた場合、解像性が低下する傾向がある。また、1,500より小さな場合には、パターン形成後の形状が悪化する傾向があり、1,000未満で顕著なものになるおそれがある。
【0091】
本発明の含フッ素環状構造を有するシリコーン樹脂は、波長500nm以下、特に波長300nm以下の放射線に対する透明性に優れ、かつ適度な酸性水酸基を有するため現像特性の良好な感放射線レジスト組成物のベース樹脂として好適に用いられる。上記波長300nm以下の放射線としては、例えば、ArFレーザー光(193nm)、F2レーザー光(157nm)、Ar2レーザー光(126nm)、極端紫外線(EUV:13nm)等が挙げられ、露光方式としては、通常のドライ露光及び液浸(Immersion)露光のいずれにも適用し得る。液浸に用いられる液体としては、屈折率が高く、かつ高透明性の液体が求められ、波長193nmにおける屈折率1.44の水を例示できる。また、更に解像性の向上のために屈折率が1.6以上のリン酸、エチレングリコール、トリアルコキシアルミニウム等を用いてもよい。
【0092】
本発明のレジスト組成物は、
(A)ベース樹脂として上記シリコーン樹脂、
(B)酸発生剤、
(C)有機溶剤
を含有する。
更に、(D)含窒素有機化合物
を含有するものが好ましい。
【0093】
ここで、本発明で使用される(B)成分の酸発生剤は、300nm以下の高エネルギー線又は電子線の照射により酸を発生する酸発生剤であり、かつこの酸発生剤と先に示した本発明の重合体と有機溶剤とからなるレジスト材料が均一溶液で、均一な塗布、成膜が可能であれば、いかなる酸発生剤でもよい。
【0094】
本発明で使用可能な酸発生剤の具体例としては、
i.下記一般式(P1a−1),(P1a−2)又は(P1b)のオニウム塩、
ii.下記一般式(P2)のジアゾメタン誘導体、
iii.下記一般式(P3)のグリオキシム誘導体、
iv.下記一般式(P4)のビススルホン誘導体、
v.下記一般式(P5)のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル、
vi.β−ケトスルホン酸誘導体、
vii.ジスルホン誘導体、
viii.ニトロベンジルスルホネート誘導体、
ix.スルホン酸エステル誘導体、
x.オキシムスルホン酸エステル
等が挙げられる。
【0095】
【化44】

(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基等によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。K-は非求核性対向イオンを表す。)
【0096】
上記式のR101a、R101b、R101cは互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的にはアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等が挙げられ、2−オキソプロピル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。K-の非求核性対向イオンとしては塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネートが挙げられる。
【0097】
【化45】

(式中、R102a、R102bはそれぞれ炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R103は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R104a、R104bはそれぞれ炭素数3〜7の2−オキソアルキル基を示す。K-は非求核性対向イオンを表す。)
【0098】
上記R102a、R102bとして具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。R103としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,2−シクロへキシレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロオクチレン基、1,4−シクロヘキサンジメチレン基等が挙げられる。R104a、R104bとしては、2−オキソプロピル基、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソシクロヘプチル基等が挙げられる。K-は式(P1a−1)及び(P1a−2)で説明したものと同様のものを挙げることができる。
【0099】
【化46】

(式中、R105、R106は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。)
【0100】
105、R106のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。ハロゲン化アリール基としては、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0101】
【化47】

(式中、R107、R108、R109は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。R108、R109は互いに結合して環状構造を形成してもよく、環状構造を形成する場合、R108、R109はそれぞれ炭素数1〜6の直鎖状、分岐状のアルキレン基を示す。)
【0102】
107、R108、R109のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アラルキル基としては、R105、R106で説明したものと同様の基が挙げられる。なお、R108、R109のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0103】
【化48】

(上記式中、R101a、R101bは上記と同様である。)
【0104】
【化49】

(式中、R110は炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数2〜6のアルケニレン基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は、更に炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルコキシ基、ニトロ基、アセチル基又はフェニル基で置換されていてもよい。R111は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は置換のアルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、フェニル基又はナフチル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は、更に炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基、炭素数3〜5のヘテロ芳香族基又は塩素原子、フッ素原子で置換されていてもよい。)
【0105】
ここで、R110のアリーレン基としては、1,2−フェニレン基、1,8−ナフチレン基等が、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、フェニルエチレン基、ノルボルナン−2,3−ジイル基等が、アルケニレン基としては、1,2−ビニレン基、1−フェニル−1,2−ビニレン基、5−ノルボルネン−2,3−ジイル基等が挙げられる。R111のアルキル基としては、R101a〜R101cと同様のものが挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプレニル基、1−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、ジメチルアリル基、1−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基等が、アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチロキシメチル基、ヘキシロキシメチル基、ヘプチロキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチロキシエチル基、ヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシブチル基、プロポキシブチル基、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基等が挙げられる。
【0106】
なお、更に置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、トリル基、p−tert−ブトキシフェニル基、p−アセチルフェニル基、p−ニトロフェニル基等が、炭素数3〜5のヘテロ芳香族基としては、ピリジル基、フリル基等が挙げられる。
【0107】
具体的には、例えばトリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、エチレンビス[メチル(2−オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート]、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩。
【0108】
ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体。
【0109】
ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体。
【0110】
ビスナフチルスルホニルメタン、ビストリフルオロメチルスルホニルメタン、ビスメチルスルホニルメタン、ビスエチルスルホニルメタン、ビスプロピルスルホニルメタン、ビスイソプロピルスルホニルメタン、ビス−p−トルエンスルホニルメタン、ビスベンゼンスルホニルメタン等のビススルホン誘導体。
【0111】
2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等のβ−ケトスルホン誘導体。
p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジルスルホネート誘導体。
1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル誘導体。
【0112】
N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−オクタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−クロロエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド−2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドp−トルエンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体等が挙げられるが、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、ビスナフチルスルホニルメタン等のビススルホン誘導体、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体が好ましく用いられる。
【0113】
また、オキシムスルホン酸エステルとしては、米国特許第6004724号明細書記載のオキシムスルホネート、特に(5−(4−トルエンスルホニル)オキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)フェニルアセトニトリル、(5−(10−カンファースルホニル)オキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)フェニルアセトニトリル、(5−n−オクタンスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)フェニルアセトニトリル、(5−(4−トルエンスルホニル)オキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−(10−カンファースルホニル)オキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−n−オクタンスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)(2−メチルフェニル)アセトニトリル等が挙げられる。
【0114】
また、米国特許第6261738号明細書、特開2000−314956号公報記載のオキシムスルホネート、特に、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−(4−メトキシフェニルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−(1−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−(2−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(メチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4−ジメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4−ジメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(1−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4−ジメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(1−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルチオフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−フェニル−ブタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−10−カンホリルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−(4−メトキシフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−(1−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−(2,4,6−トリメチルフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4−ジメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(1−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4−ジメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(1−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−(4−メチルフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−(4−メトキシフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−(4−ドデシルフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−オクチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(4−メトキシフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(4−ドデシルフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−オクチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−フェニルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−クロロフェニル)−エタノンオキシム−O−フェニルスルホナート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−(フェニル)−ブタノンオキシム−O−(10−カンホリル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−ナフチル−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−2−ナフチル−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−ベンジルフェニル]−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(フェニル−1,4−ジオキサ−ブト−1−イル)フェニル]−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−ナフチル−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−2−ナフチル−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−ベンジルフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−メチルスルホニルフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、1,3−ビス[1−(4−フェノキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノンオキシム−O−スルホニル]フェニル、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−メチルスルホニルオキシフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−メチルカルボニルオキシフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[6H,7H−5,8−ジオキソナフト−2−イル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−メトキシカルボニルメトキシフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(メトキシカルボニル)−(4−アミノ−1−オキサ−ペンタ−1−イル)−フェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[3,5−ジメチル−4−エトキシフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−ベンジルオキシフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[2−チオフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート及び2,2,2−トリフルオロ−1−[1−ジオキサ−チオフェン−2−イル)]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナートである。
【0115】
更に、特開平9−95479号公報、特開平9−230588号公報あるいは明細書中の従来技術として記載のオキシムスルホネートα−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2−チエニルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−[(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−3−チエニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル等が挙げられる。
【0116】
また、ビスオキシムスルホネートとして特開平9−208554号公報記載の化合物、特にビス(α−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(ベンゼンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(メタンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリルビス(α−(ブタンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(10−カンファースルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(4−メトキシベンゼンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(ベンゼンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(メタンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリルビス(α−(ブタンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(10−カンファースルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(4−メトキシベンゼンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル等が挙げられる。
【0117】
なお、上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。オニウム塩は矩形性向上効果に優れ、ジアゾメタン誘導体及びグリオキシム誘導体は定在波低減効果に優れるため、両者を組み合わせることによりプロファイルの微調整を行うことが可能である。
【0118】
酸発生剤の添加量は、ベース樹脂100部(質量部、以下同様)に対して好ましくは0.1〜50部、より好ましくは0.5〜40部である。0.1部より少ないと露光時の酸発生量が少なく、感度及び解像力が劣る場合があり、50部を超えるとレジストの透過率が低下し、解像力が劣る場合がある。
【0119】
本発明で使用される(C)成分の有機溶剤としては、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチルイソペンチルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0120】
有機溶剤の使用量は、ベース樹脂100部に対して200〜1,000部、特に400〜800部が好適である。
【0121】
更に、本発明のレジスト材料には、(D)含窒素有機化合物を1種又は2種以上配合することができる。
【0122】
含窒素有機化合物としては、酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適している。含窒素有機化合物の配合により、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができる。
【0123】
このような含窒素有機化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が挙げられる。
【0124】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0125】
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、4−ピロリジノピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0126】
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド類としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、1−シクロヘキシルピロリドン等が例示される。イミド類としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。カーバメート類としては、N−t−ブトキシカルボニル−N,N−ジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、オキサゾリジノン等が例示される。
【0127】
更に、下記一般式(B)−1で示される含窒素有機化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加することもできる。
N(X)n(Y)3-n (B)−1
【0128】
【化50】

(式中、n=1,2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、上記一般式(X)−1〜(X)−3で表すことができる。側鎖Yは同一又は異種の、水素原子もしくは直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成してもよい。ここでR300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。R303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。)
【0129】
上記一般式(B)−1で表される化合物として具体的には、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンが例示される。
【0130】
更に下記一般式(B)−2に示される環状構造を持つ含窒素有機化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加することもできる。
【化51】

(式中、Xは前述の通り、R307は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基又はスルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
【0131】
上記一般式(B)−2で表される化合物として具体的には、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピロリジン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、酢酸2−ピペリジノエチル、酢酸2−モルホリノエチル、ギ酸2−(1−ピロリジニル)エチル、プロピオン酸2−ピペリジノエチル、アセトキシ酢酸2−モルホリノエチル、メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(2−メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノプロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸メチル、3−(チオモルホリノ)プロピオン酸メチル、2−メチル−3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸エチル、3−ピペリジノプロピオン酸メトキシカルボニルメチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、3−モルホリノプロピオン酸2−アセトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、3−モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、3−ピペリジノプロピオン酸グリシジル、3−モルホリノプロピオン酸2−メトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、3−モルホリノプロピオン酸ブチル、3−ピペリジノプロピオン酸シクロヘキシル、α−(1−ピロリジニル)メチル−γ−ブチロラクトン、β−ピペリジノ−γ−ブチロラクトン、β−モルホリノ−δ−バレロラクトン、1−ピロリジニル酢酸メチル、ピペリジノ酢酸メチル、モルホリノ酢酸メチル、チオモルホリノ酢酸メチル、1−ピロリジニル酢酸エチル、モルホリノ酢酸2−メトキシエチルが例示される。
【0132】
更に、下記一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む含窒素有機化合物を添加することもできる。
【0133】
【化52】

(式中、X、R307、nは前述の通り、R308、R309は同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
【0134】
上記一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む含窒素有機化合物として具体的には、3−(ジエチルアミノ)プロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−エチル−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−テトラヒドロフルフリル−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−シアノメチル−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−(シアノメチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(シアノメチル)アミノアセトニトリル、1−ピロリジンプロピオノニトリル、1−ピペリジンプロピオノニトリル、4−モルホリンプロピオノニトリル、1−ピロリジンアセトニトリル、1−ピペリジンアセトニトリル、4−モルホリンアセトニトリル、3−ジエチルアミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、3−ジエチルアミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピロリジンプロピオン酸シアノメチル、1−ピペリジンプロピオン酸シアノメチル、4−モルホリンプロピオン酸シアノメチル、1−ピロリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピペリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、4−モルホリンプロピオン酸(2−シアノエチル)が例示される。
【0135】
更に、下記一般式(B)−7で表されるイミダゾール骨格及び極性官能基を有する含窒素有機化合物が例示される。
【0136】
【化53】

(式中、R310は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としては水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基、シアノ基又はアセタール基を1個あるいは複数個含む。R311、R312、R313は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。)
【0137】
更に、下記一般式(B)−8で示されるベンズイミダゾール骨格及び極性官能基を有する含窒素有機化合物が例示される。
【0138】
【化54】

(式中、R314は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。R315は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としてエステル基、アセタール基又はシアノ基を一つ以上含み、その他に水酸基、カルボニル基、エーテル基、スルフィド基又はカーボネート基を一つ以上含んでいてもよい。)
【0139】
更に、下記一般式(B)−9及び(B)−10で示される極性官能基を有する含窒素複素環化合物が例示される。
【化55】

(式中、Aは窒素原子又は≡C−R322である。Bは窒素原子又は≡C−R323である。R316は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としては水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基、シアノ基又はアセタール基を一つ以上含む。R317、R318、R319、R320は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基であるか、又はR317とR318、R319とR320はそれぞれ結合してベンゼン環、ナフタレン環あるいはピリジン環を形成してもよい。R321は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基である。R322、R323は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基である。R321とR323は結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成してもよい。)
【0140】
更に、下記一般式(B)−11,12,13及び14で示される芳香族カルボン酸エステル構造を有する含窒素有機化合物が例示される。
【0141】
【化56】

(式中、R324は炭素数6〜20のアリール基又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族基であって、水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、又は、炭素数1〜10のアルキルチオ基で置換されていてもよい。R325はCO2326、OR327又はシアノ基である。R326は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。R327は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基又はアシル基である。R328は単結合、メチレン基、エチレン基、硫黄原子又は−O(CH2CH2O)n−基である。n=0,1,2,3又は4である。R329は水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基である。Xは窒素原子又はCR330である。Yは窒素原子又はCR331である。Zは窒素原子又はCR332である。R330、R331、R332はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はフェニル基であるか、あるいはR330とR331又はR331とR332が結合して、炭素数6〜20の芳香環又は炭素数2〜20のヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0142】
更に、下記一般式(B)−15で示される7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸エステル構造を有する含窒素有機化合物が例示される。
【0143】
【化57】

(式中、R333は水素又は炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基である。R334及びR335はそれぞれ独立に、エーテル、カルボニル、エステル、アルコール、スルフィド、ニトリル、アミン、イミン、アミド等の極性官能基を一つ又は複数含んでいてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であって、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。R334とR335は互いに結合して、炭素数2〜20のヘテロ環又はヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0144】
なお、含窒素有機化合物の配合量は、全ベース樹脂100部に対して0.001〜2部、特に0.01〜1部が好適である。配合量が0.001部より少ないと配合効果がなく、2部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0145】
本発明のレジスト材料の基本的構成成分は、上記のベース樹脂、酸発生剤、有機溶剤、好ましくは含窒素有機化合物であるが、必要に応じて、更に、溶解阻止剤、酸性化合物、安定剤、色素、界面活性剤等の他の成分を添加してもよい。
【0146】
本発明のレジスト材料を使用してパターンを形成するには、公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができ、例えば、シリコンウエハー等の基板上にスピンコーティング等の手法で膜厚が0.3〜2.0μmとなるように塗布し、これをホットプレート上で60〜150℃、1〜10分間、好ましくは80〜130℃、1〜5分間プリベークする。次いで目的のパターンを形成するためのマスクを上記のレジスト膜上にかざし、遠紫外線、エキシマレーザー、X線等の高エネルギー線又は電子線を露光量1〜200mJ/cm2、好ましくは10〜100mJ/cm2となるように照射した後、ホットプレート上で、60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜130℃、1〜3分間ポストエクスポウジャーベーク(PEB)する。更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像して、基板上に目的のパターンが形成される。なお、本発明のレジスト材料は、特に高エネルギー線の中でも248〜157nmの遠紫外線又はエキシマレーザー、X線及び電子線による微細パターニングに最適であり、ドライの露光のみならず、液浸法による露光にも使用可能である。
【0147】
二層レジストとして、基板加工を行う工程の概要は次の通りである。被加工基板は通常無機基板であるが、これに後述する下層膜(有機膜)を成膜し、該膜上に本発明のレジスト組成物を塗布し、レジスト膜を形成する。なお、必要に応じ、レジスト組成物と下層膜の間に反射防止膜を形成してもよい。レジスト膜を上記方法によりパターン形成を行った後、レジストパターンをエッチングマスクとしてパターンを下層膜に転写する。酸素ガスエッチングは酸素ガスを主成分とした反応性プラズマエッチングであり、この方法によると、レジストパターンからは酸素ガスエッチングに高い耐性を有する酸化ケイ素が形成されるため、高いアスペクト比で下地の有機膜を加工することができる。酸素ガスの他にオーバーエッチングによるT−トップ形状を防止するために、側壁保護を目的とするSO2、CO2、CO、NH3、N2ガスを添加してもよい。また、現像後のレジスト膜のスカムを除去し、ラインエッジを滑らかにしてラフネスを防止するために、酸素ガスエッチングを行う前に、短時間フロン系ガスでエッチングすることも可能である。
【0148】
次に、被加工膜のドライエッチング加工である。被加工膜がSiO2やSi34であれば、フロン系のガスを主成分としたエッチングを行う。フロン系ガスはCF4、CHF3、CH22、C26、C38、C410、C512などが挙げられる。このときは被加工膜のドライエッチングと同時に、ケイ素含有レジスト膜を剥離することが可能である。被加工膜がポリシリコン、タングステンシリサイド、TiN/Alなどの場合は、塩素、臭素ガスを主成分としたエッチングを行う。
【0149】
上記二層レジストとして使用する際の下層膜である有機膜材料は、公知のものが多数あり、これらはいずれも使用できる。有機膜について若干の説明を加えると、基本的には芳香族系の樹脂が好ましく、また、本発明のレジスト組成物を塗布、成膜する際にインターミキシングが起こらないよう、成膜時に架橋されるものが好ましい。
【0150】
芳香族系の樹脂としては、ノボラック樹脂、ポリヒドロスチレン系の樹脂等があり、この有機膜にパターン転写した後に基板をエッチング加工する際のエッチング耐性を上げるため、フルオレン骨格や、インデン骨格を含有するものを有効に使用することができる。また、この有機膜上に反射防止膜を形成し、その上に本発明のレジスト膜を形成してもよいが、有機膜が反射防止機能を有していれば、工程をより簡便にすることができ、好ましい。この反射防止機能を与えるためにアントラセン骨格やナフタレン骨格、また共役不飽和結合を有するベンゼン骨格を持った樹脂を使用することが好ましい。
【0151】
架橋の形成は、熱硬化性樹脂や、ネガ型レジスト組成物で使用される架橋法により形成することができ、フェノールやアルコキシフェニル、アルコールあるいはカルボン酸等の官能基を有する樹脂に対し、熱で分解して酸を発生する物質と、ヘキサアルコキシメチルメラミンを初めとする上記官能基と酸触媒により架橋を形成する架橋剤を加えた組成物溶液を被加工基板上に塗布し、加熱によって酸を発生させ、架橋形成をさせる方法が一般的である。
【実施例】
【0152】
以下、参考例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0153】
[参考例1]5,5−ジフルオロ−6−(5−ノルボルネン−2−イル)−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オールの合成(ジオキサンヘミアセタール型単量体の合成)
【化58】

【0154】
[7−1]1−(5−ノルボルネン−2−イル)−2,2,4,4,4−ペンタフルオロブタン−1,3,3−トリオールの合成
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール168g、テトラヒドロフラン1200gの混合物に、窒素雰囲気下、−70℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液1.6Mを1,290ml加えた。徐々に0℃に昇温し、その温度で30分撹拌した。次に0℃で5−ノルボルネン−2−カルバルデヒド134gを加えた。1時間撹拌後、希塩酸を加えて反応を停止すると共に中和を行った。通常の水系後処理(aqueous work−up)の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、1−(5−ノルボルネン−2−イル)−2,2,4,4,4−ペンタフルオロブタン−1,3,3−トリオール230g(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールより収率80%)を得た。
【0155】
1−(5−ノルボルネン−2−イル)−2,2,4,4,4−ペンタフルオロブタン−1,3,3−トリオール
無色固体
IR (KBr): ν =3409、3288、3062、2979、2946、2923、2879、1486、1454、1423、1338、1311、1255、1241、1207、1172、1153、1112、1076、1025、900、842、711cm-1
1H−NMR(300MHz in DMSO−δ6、主要なジアステレオ異性体):
δ=0.72(1H、m)、1.18(1H、br.d、J=8.0Hz)、1.29(1H、br.d、J=8.0Hz)、1.74(1H、ddd、J=12.0、9.0、3.7Hz)、2.44(1H、m)、2.77(1H、m)、3.02(1H、m)、3.52(1H、ddd、J=22.0、10.6、7.4Hz)、6.02(1H、dd、J=5.7、2.8Hz)、6.19(1H、dd、J=5.7、3.0Hz)、、6.29(1H、d、J=7.4Hz)、7.37(1H、s)、7.96(1H、d、J=1.9Hz)ppm。
19F−NMR(283MHz in CDCl3、主要なジアステレオ異性体):
δ=−130.0(1F)、−120.6(1F)、−82.0(3F)ppm。
【0156】
[7−2] 5,5−ジフルオロ−6−(5−ノルボルネン−2−イル)−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オールの合成
[7−1]で得たケトアルコール化合物等価体のトリオール化合物40.0g、陽イオン交換樹脂(スルホン酸型)3.4g、s−トリオキサン15.0g、トルエン200gの混合物を、60℃で24時間撹拌した。陽イオン交換樹脂をろ別後の反応液を直接カラムクロマトグラフィーにより精製し、5,5−ジフルオロ−6−(5−ノルボルネン−2−イル)−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オール32.1gを得た(収率76%)
【0157】
5,5−ジフルオロ−6−(5−ノルボルネン−2−イル)−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オール
無色固体
IR (KBr): ν=3396、3061、3034、3001、2978、2954、2931、2902、2881、1351、1340、1330、1245、1222、1209、1178、1141、1103、1072、1062、1041、993、914、844、835、732、719、690、671、649cm-1
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6、主要なジアステレオ異性体): δ=0.75(1H、ddd、J=11.6、6.9、3.8Hz)、1.19(1H、d、J=8.2Hz)、1.29(1H、dd、J=8.2、1.4Hz)、1.78(1H、ddd、J=11.6、9.3、3.8Hz)、2.43(1H、dddd、J=10.7、9.3、3.8、3.7Hz)、2.81(1H、m)、2.96(1H、m)、3.38(1H、dd、J=22.7、10.7Hz)、5.02(2H、s)、5.97(1H、dd、J=5.5、2.8Hz)、6.23(1H、dd、J=5.5、3.1Hz)、8.94(1H、d、J=3.1Hz)ppm。
13C−NMR(150MHz in DMSO−d6、主要なジアステレオ異性体): δ=28.16(d、J=5Hz)、35.62、41.84、43.37、47.35、77.66(dd、J=25、22Hz)、85.96、91.77(dquint様、J=23、31Hz)、113.68(dd、J=261、255Hz)、121.17(q、J=287Hz)、132.00、138.06ppm。
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6、主要なジアステレオ異性体): δ=−131.21(1F、ddq、J=247、24、14Hz)、−122.51(1F、dm、J=247Hz)、−80.40(3F、dd、J=14、7Hz)ppm。
【0158】
[参考例2]5−ノルボルネン−2−カルボン酸(4,4−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルテトラヒドロフラン−3−イル)の合成
【化59】

1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール21.7g、テトラヒドロフラン120gの混合物に、窒素雰囲気下、5℃でn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)100mlを加え、5℃で1時間撹拌した。次に5℃でテトラヒドロフラン30gで希釈した5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−オキソプロピル22.8gを加えた。15時間撹拌後、希塩酸を加えて反応を停止すると共に中和を行った。通常の水系後処理(aqueous workup)の後、ヘキサンから再結晶精製を行い、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−メチル−3,3,5,5,5−ペンタフルオロ−2,4,4−トリヒドロキシペンチル24.6g(収率58%)を得た。得られた5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−メチル−3,3,5,5,5−ペンタフルオロ−2,4,4−トリヒドロキシペンチル10.1g、トリエチルアミン3.3g、トルエン30gの混合物を、窒素雰囲気下、40℃で12時間撹拌、更に80℃で6時間加熱後、希塩酸を加えて反応を停止すると共に中和を行った。通常の水系後処理(aqueous work−up)の後、蒸留精製を行い、5−ノルボルネン−2−カルボン酸(4,4−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルテトラヒドロフラン−3−イル)7.4gを得た(5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−メチル−3,3,5,5,5−ペンタフルオロ−2,4,4−トリヒドロキシペンチルより収率75%)。
【0159】
5−ノルボルネン−2−カルボン酸(4,4−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルテトラヒドロフラニル)
黄色液体
沸点110℃(40Pa)
IR (KBr): ν =3399、3064、2981、2906、2879、1741、1627、1571、1452、1386、1336、1274、1201、1168、1130、1110、1097、1066、1024、995、908、862、838、815、777、740、715、694、653、619、538cm-1
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6、4種のジアステレオ異性体の混合物):
δ=1.20−2.25(7H,m)、2.85−2.95(1H,m)、2.95−3.20(2H,m)、4.05−4.40(2H,m)、5.80−6.20(2H,m)、8.75(1H,br.s)ppm。
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6、4種のジアステレオ異性体の混合物):
δ=−125.2−−122.3(1F)、−123.1−−118.6(1F)、−80.8−−80.5(3F)ppm。
【0160】
[実施例1] 5,5−ジフルオロ−6−[5−(トリメトキシシリル)ノルボルナン−2−イル]−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オールと5,5−ジフルオロ−6−[6−(トリメトキシシリル)ノルボルナン−2−イル]−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オールの混合物(シランモノマー1)の合成
【化60】

5,5−ジフルオロ−6−(5−ノルボルネン−2−イル)−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オール 50.0g、塩化白金酸5%イソプロピルアルコール溶液2.0g、トリメトキシシラン22.4gの混合物を窒素雰囲気下、80℃で加熱撹拌した。反応終了後、低沸成分を減圧留去、続いて薄膜蒸留を行うことにより、目的物50.6gを得た(収率72%)。
5,5−ジフルオロ−6−[5−(トリメトキシシリル)ノルボルナン−2−イル]−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オールと5,5−ジフルオロ−6−[6−(トリメトキシシリル)ノルボルナン−2−イル]−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オールの混合物
GC−MS(EI):(m/z)+=31,66,9,1,121,141,187,215,277,360,390,422[M+]。
GC−MS(CI、メタン):(m/z)+=79,121,141,159,187,215,235,253,373,393,423[(M+H)+]。
【0161】
[実施例2] 5,5−ジフルオロ−6−[5−(トリエトキシシリル)ノルボルナン−2−イル]−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オールと5,5−ジフルオロ−6−[6−(トリエトキシシリル)ノルボルナン−2−イル]−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オールの混合物(シランモノマー2)の合成
【化61】

5,5−ジフルオロ−6−(5−ノルボルネン−2−イル)−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オール50.0g、塩化白金酸5%イソプロピルアルコール溶液2.0g、トリエトキシシラン30.1gの混合物を窒素雰囲気下、80℃で加熱撹拌した。反応終了後、低沸成分を減圧留去、続いて薄膜蒸留を行うことにより、目的物57.3gを得た(収率74%)。
5,5−ジフルオロ−6−[5−(トリエトキシシリル)ノルボルナン−2−イル]−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オールと5,5−ジフルオロ−6−[6−(トリエトキシシリル)ノルボルナン−2−イル]−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オールの混合物
GC−MS(EI):(m/z)+=29,55,79,119,163,193,229,388,418,464[M+]。
GC−MS(CI、メタン):(m/z)+=79,107,129,163,183,217,237,257,287,343,389,435,465[(M+H)+]。
【0162】
[実施例3] 5−トリメトキシリルノルボルナン−2−カルボン酸(4,4−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルテトラヒドロフラニル)と6−トリメトキシリルノルボルナン−2−カルボン酸(4,4−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルテトラヒドロフラニル)の混合物(シランモノマー3)の合成
【化62】

5−ノルボルネン−2−カルボン酸(4,4−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルテトラヒドロフラニル)57.0g、塩化白金酸5%イソプロピルアルコール溶液2.0g、トリメトキシシラン22.4gの混合物を窒素雰囲気下、80℃で加熱撹拌した。反応終了後、低沸成分を減圧留去、続いて薄膜蒸留を行うことにより、目的物51.9gを得た(収率67%)。
【0163】
[実施例4] 5−トリエトキシリルノルボルナン−2−カルボン酸(4,4−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルテトラヒドロフラニル)と6−トリエトキシリルノルボルナン−2−カルボン酸(4,4−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルテトラヒドロフラニル)の混合物(シランモノマー4)の合成
【化63】

5−ノルボルネン−2−カルボン酸(4,4−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルテトラヒドロフラニル)57.0g、塩化白金酸5%イソプロピルアルコール溶液2.0g、トリエトキシシラン30.1gの混合物を窒素雰囲気下、80℃で加熱撹拌した。反応終了後、低沸成分を減圧留去、続いて薄膜蒸留を行うことにより、目的物58.3gを得た(収率69%)。
【0164】
[実施例5] ポリマー−1の合成
撹拌機、還流器、滴下ロート、温度計を備えた200mlの四つ口フラスコに酢酸0.2g、水20g、エタノール20gを仕込んで30℃に保ち、ここにシランモノマー2 9.3g(20mmol)、シランモノマー5 10.8g(30mmol)、シランモノマー8 16.4g(50mmol)をエタノール40gに溶解させた溶液を3時間かけて滴下した。引き続き30℃で20時間熟成させた後、この反応混合物をメチルイソブチルケトンで希釈し、有機層が中性となるまで水洗を繰り返した後に濃縮することによってオリゴマー28.2gを得た。
これをトルエン50gを用いて撹拌機、還流器、温度計を備えた100mlの三つ口フラスコに洗い込み、ここに水酸化カリウム56mgを加えて20時間、加熱還流した。冷却後、反応液をメチルイソブチルケトンで希釈し、有機層が中性となるまで水洗を繰り返した後に濃縮することによってポリマー25.1gを得た。
NMRとGPC分析の結果、このものは下記式で示される重量平均分子量3,100のポリマー−1であることが確認された。
【0165】
【化64】

【0166】
[実施例6〜18、比較例1〜2]
表1に示したシランモノマーの組み合わせにより、実施例5と同様の実験操作によりポリシロキサン化合物 ポリマー−2〜16を得た。
【0167】
【表1】

【0168】
【化65】

(但し、Meはメチル基、Etはエチル基を示す。)
【0169】
[評価例] レジスト調製例
実施例5〜18及び比較例1,2で得られたポリシロキサン、表2に示す酸発生剤、塩基性化合物、界面活性剤をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解した後、孔径0.2μmのフィルターを用いてろ過し、ポジ型レジスト膜形成用塗布液を調製した。次に、得られたレジスト溶液をスピンコーターで日産化学社製DUV−30J(55nm)を成膜したシリコンウエハーに塗布し、110℃で90秒間ベークして膜厚200nmのレジスト膜を形成した。これをArFエキシマレーザーステッパー((株)ニコン製、NSR−S305B、NA=0.68、σ=0.85)を用いて露光し、90℃で90秒間ベークを行った後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で60秒間現像を行うことによって、ポジ型パターンが得られた。
【0170】
得られたレジストパターンを次のように評価した。評価方法:0.18μmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量を最適露光量(Eop)として、この露光量において分離しているラインアンドスペースの最小線幅を評価レジストの解像度とした。結果は表2に示す通りであり、本発明の感放射線性樹脂組成物は、ArFエキシマレーザーに対して高い解像性能を示すことが明らかとなった。
【0171】
【表2】

【0172】
なお、表2における酸発生剤、溶剤は下記の通りである。
PAG−1:トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
PAG−2:ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
【0173】
表1,2の結果より、本発明のケイ素化合物を含有する高分子化合物を用いたレジスト材料は、膨潤によるパターン崩壊を抑止することにより限界解像度を大幅に向上させることがわかった。更にVUV領域での透過率が非常に高く、F2リソグラフィー、あるいはArFリソグラフィーにおいても有望な材料であることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される含フッ素環状構造を有するケイ素化合物。
【化1】

(式中、X1、X2、X3は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)を表す。Yは単結合又は二価の有機基を表す。Zは三価の有機基を表す。)
【請求項2】
下記一般式(2),(3)又は(4)で表される含フッ素環状構造を有するケイ素化合物。
【化2】

[式中、R1、R2、R3、R4のうち少なくとも一つは下記一般式
【化3】

(式中、X1、X2、X3は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)を表す。Yは単結合又は二価の有機基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R1、R2、R3、R4は任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。R5、R6、R7、R8、R9、R10のうち少なくとも一つは下記一般式
【化4】

(式中、X1、X2、X3は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)を表す。Yは単結合又は二価の有機基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R5、R6、R7、R8、R9、R10は任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。R11、R12、R13、R14のうち少なくとも一つは下記一般式
【化5】

(式中、X1、X2、X3は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)を表す。Yは単結合又は二価の有機基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R11、R12、R13、R14は任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。]
【請求項3】
一般式(1)〜(4)において、Yが脂環を含む二価の有機基である請求項1又は2記載の含フッ素環状構造を有するケイ素化合物。
【請求項4】
一般式(1)〜(4)において、Yが下記一般式
【化6】

(式中、p、qはそれぞれ独立に1又は0を表す。)
で表される二価の有機基である請求項1,2又は3記載の含フッ素環状構造を有するケイ素化合物。
【請求項5】
下記一般式(1a),(2a),(3a)又は(4a)で表される部分構造を有することを特徴とする含フッ素環状構造を有するシリコーン樹脂。
【化7】

[式中、Yは単結合又は二価の有機基を表す。Zは三価の有機基を表す。X1a、X2a、X3aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。R1a、R2a、R3a、R4aのうち少なくとも一つは下記一般式
【化8】

(式中、X1a、X2a、X3aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R1a、R2a、R3a、R4aは任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。R5a、R6a、R7a、R8a、R9a、R10aのうち少なくとも一つは下記一般式
【化9】

(式中、X1a、X2a、X3aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R5a、R6a、R7a、R8a、R9a、R10aは任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。R11a、R12a、R13a、R14aのうち少なくとも一つは下記一般式
【化10】

(式中、X1a、X2a、X3aのうち少なくとも一つは酸素原子を表し、残りは水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基(但し、アルコキシ基を除く)、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基を表す。)
で表される含ケイ素置換基を表し、残りはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状又は多環状骨格を持つ一価の有機基を表す。R11a、R12a、R13a、R14aは任意の組み合わせで互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。)
【請求項6】
(A)請求項5記載のシリコーン樹脂、
(B)酸発生剤、
(C)溶剤
を含有してなるレジスト組成物。
【請求項7】
(1)請求項6記載のフォトレジスト組成物を基板上に塗布する工程と、
(2)次いで加熱処理後、フォトマスクを介して波長300nm以下の高エネルギー線もしくは電子線で露光する工程と、
(3)必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程と
を含むことを特徴とするパターン形成方法。

【公開番号】特開2007−15974(P2007−15974A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198609(P2005−198609)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】