説明

含フッ素重合体およびそれを用いた高分子固体電解質

【課題】優れたイオン伝導性を有する含フッ素共重合体を提供し、電気化学的にも熱的にも安定であり、加工性に優れた固体電解質を提供する。
【解決手段】繰り返し単位(a−1)および繰り返し単位(a−2)を少なくとも含む含フッ素重合体。


式中、R1はそれぞれ独立にパーフルオロアルキル基を表し、QおよびWは重合性二重結合基含有基の二重結合が開裂して形成した繰り返し単位を表す。M+は、水素カチオン、金属イオンまたは有機カチオンを表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素重合体に関し、それを用いた高分子固体電解質に関する。
【背景技術】
【0002】
電池、キャパシタなどの電気化学デバイスを構成する電解質として用いられるイオン伝導体は、従来イオン伝導性の問題から溶液またはペースト状のものが用いられてきた。しかし、これらのものは液漏れや発火などの安全性の問題から、容器の高度な封入技術を必要とし、デバイスの小型化、薄型、軽量化に対し限界があるなど課題となっていた。
【0003】
これに対し、無機系結晶性物質、無機ガラスなどの固体電解質が提案されている。しかしこれらの無機系の材料は300℃以上の高温でのみイオン伝導性を示すため、常温での動作を前提とした電池への適用不可となるなど、適用用途に制限がある。
【0004】
一方、有機系高分子物質は一般に加工性、成形性に優れ、得られる固体電解質が柔軟性、曲げ加工性を有し、応用されるデバイス設計の自由度が高くなることなどの点から、その開発が期待されている。現在、代表的な有機系の固体イオン伝導性高分子として、ポリエチレンオキシドと金属塩からなる複合体、特にナトリウム塩やリチウム塩を含む複合体では、ポリエチレンオキシドの融点付近(60℃以下)で高いイオン電動度を示すことが明らかになっている。しかしながら、これらの複合体は、経時的変化としてポリエチレンオキシドの結晶化が起こり、電動度が著しく低下することが知られており、実用的ではない。
【0005】
含フッ素高分子物質のイオン伝導性材料は、これまで主に側鎖末端に−SO3-、−COO-といったアニオン性の官能基をもつ高分子が検討されてきた。これらの含フッ素ポリマーは高分子アニオンとして作用し、カチオンだけを伝導させるシングルイオン伝導体として作用するため、燃料電池用電解質、イオン交換膜の用途で主に検討されてきた。
【0006】
また、ビストリフルオロスルホニル基を含む高分子固体電解質としてオレフィンモノマーCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2SO2C(Li)(SO2CF32とフッ化ビニリデンとの共重合体については特許文献1に記載されているが、ほぼパーフルオロ化合物であって、溶剤溶解性や基材表面への付着性、成膜性から加工性に課題があった。
【0007】
さらに、(CFSOC(K)CHCH=CHの合成方法については特許文献2に記載されているが、その重合体についての記載はない。
【特許文献1】特表2002−505356号公報
【特許文献2】米国特許第5463005号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、優れたイオン伝導性を有し、電気化学的にも熱的にも安定であり、かつ安全である固体電解質を提供することにある。さらには、溶媒に溶解可能であることから加工性に優れ、電池、キャパシタ、などの電気化学デバイスの薄型化、小型化、軽量化に対応可能な強度を有する高分子固体電解質を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発者らは鋭意検討の結果、高分子にアニオン性官能基として酸素を介在することなくトリフルオロスルホニル基を導入することで、その塗布膜および固体電解質が、優れたイオン伝導性を有し、耐酸化性に高く、電気化学的にも熱的にも安定であり、かつ強固となりえることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は次のとおりである。
[1]
繰り返し単位(a−1)および繰り返し単位(a−2)を少なくとも含む含フッ素重合体。
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、R1はそれぞれ独立にパーフルオロアルキル基を表し、QおよびWは重合性二重結合基含有基の二重結合が開裂して形成した繰り返し単位を表す。M+は、水素カチオン、金属イオンまたは有機カチオンを表す。)
[2]
Qが、一般式(2)
【0013】
【化2】

【0014】
(2)
(式中、R2、R3、R4は、互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜4のアルキル基であり、または互いに結合して環を形成した脂環式構造を表す。ここで、アルキル基、脂環式構造に含まれる水素原子の一部または全部は、フッ素原子またはシアノ基で置換されていてもよい。)で表される繰り返し単位である[1]に記載の含フッ素重合体。
[3]
Wが、一般式(3)
【0015】
【化3】

【0016】
(3)
(式中、R5、R6、R7、R8は、互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、直鎖状、分岐状の炭素数1〜4のアルキル基を表す。ここで、アルキル基に含まれる水素原子の一部または全部は、フッ素原子またはシアノ基で置換されていてもよい。)で表される繰り返し単位である[1]または[2]に記載の含フッ素重合体。
[4]
Qが、
【0017】
【化4】

【0018】
から選ばれるいずれかの重合性二重結合基含有基の重合性二重結合が開裂して得られる繰り返し単位である[1]〜[3]のいずれか1項に記載の含フッ素重合体。
[5]
[1]〜[4]のいずれか1項に記載の含フッ素重合体の溶液を塗布し、またはさらに乾燥させた塗布膜。
[6]
[1]〜[4]のいずれか1項に記載の含フッ素重合体を含む高分子固体電解質。
[7]
[6]に記載の塗布膜または高分子固体電解質を用いた二次電池および燃料電池。
[8]
Mが水素イオンである[1]に記載の含フッ素重合体。
【発明の効果】
【0019】
本発明の含フッ素重合体は、繰り返し単位(a−1)の側鎖末端の同一炭素上に2つのパーフルオロアルカンスルホニル基を有することを特徴とする。すなわち、同一炭素に2つのパーフルオロアルカンスルホニル基が直接結合することによって、該炭素と水素原子からなる酸の強度に顕著な増大をもたらすことができ、優れたイオン伝導性を示し、かつ電気化学的にも熱的にも安定である。さらに、本発明の含フッ素共重合体は、十分な機械的強度を持ち、一般的な有機溶媒に溶解させることができることから、固体電解質として利用する場合、加工性(成形性)にすぐれ、容易に大面積化に対応できるので、大型のバッテリーやキャパシタに適用するのに適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の含フッ素重合体は、繰り返し単位(a−1)および繰り返し単位(a−2)を少なくとも含む含フッ素重合体である。
【0021】
【化5】

【0022】
ここで、式中、R1はそれぞれ独立にパーフルオロアルキル基を表し、QおよびWは重合性二重結合基含有基の二重結合が開裂して形成した繰り返し単位を表す。M+は、水素カチオン、金属イオンまたは有機カチオンを表す。
【0023】
本発明の含フッ素重合体を高分子固体電解質として用いる場合、M+がH+である一般式(1)の含フッ素重合体であってもよいが、それに4級アンモニウム塩などの有機塩または金属塩とすることでより導電性を向上させることができる。このようにカチオンを添加した場合、一般式(1)で表される繰り返し単位を含む含フッ素重合体は、酸強度が著しく高いためカチオンはアニオンと固定された結合を形成せず、高分子化合物表面で弱い結合を形成していると考えられる。
【0024】
含フッ素重合体の重合性二重結合含有基Qに基づく構造は、一般式(2)
【0025】
【化6】

【0026】
(2)
で表される。式中、R2、R3、R4は、互いに独立して水素原子、ハロゲン原子、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜10個のアルキル基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基であり、または互いに結合して環を形成した脂環式構造である。ここで、アルキル基、脂環式構造もしくは脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子およびシアノ基で置換されていてもよい。
【0027】
アルキル基としては、置換もしくは非置換のいずれであってもよい、炭素数1〜10個のアルキル基であり、炭素数1〜4個アルキル基が好ましい。そのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
【0028】
また、これらのアルキル基のさらなる置換基としては、ハロゲン原子など、特にフッ素原子を挙げることができる。したがって、置換基を有するアルキル基をしては、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基を挙げることができる。
【0029】
脂環式構造または脂環式炭化水素基としては、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数3以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。これらは置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子など、特にフッ素原子を挙げることができる。
【0030】
脂環式構造または脂環式炭化水素基が単環式である場合、環炭素数3〜12のものが好ましく、環炭素数3〜7のものがさらに好ましい。例えば、好ましいものとしてシクロプロピレン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロドデカン、トリシクロデカン、tert-ブチルシクロヘキサンが挙げられ、脂環式炭化水素基のときはこれらの環から環炭素に結合する水素原子の1個を除いて得られる有機基を挙げることができる。また、多環式基である場合、環炭素数7〜15のアダマンタン、ノルアダマンタン、デカリン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、ノルボルナン、セドロールが挙げられ、脂環式炭化水素基のときはこれらの環から環炭素に結合する水素原子の1個を除いて得られる有機基を挙げることができる。
【0031】
ここで、置換基は、アルキル基としては低級アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が挙げられ、さらに好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基およびイソプロピル基よりなる群から選択されたアルキル基である。置換アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、特にフッ素原子を挙げることができる。
【0032】
一般式(1)で表される含フッ素単量体の重合性二重結合含有基Qとしては、次の有機基を挙げることができる。
【0033】
炭素数2〜10のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−1−ブテニル基、1−メチル−1−ペンテニル基、2−メチル−1−ペンテニル基、3−メチル−1ペンテニル基、4−メチル−1−ペンテニル基など、
炭素数2〜10の含フッ素アルケニル基、例えば、パーフルオロアリル基、3−トリフルオロメチル−2−プロペニル基、3−トリフルオロメチル−2−プロペニル基、1−パーフルオロブテニル基、1−パーフルオロペンテニル基、1−トリフルオロメチル−1−ブテニル基、2−トリフルオロメチル−1−ブテニル基、3−トリフルオロメチル−1−ブテニル基、4−トリフルオロメチル−1−ブテニル基など、置換または非置換フェニル基を置換基として有する炭素数2〜10のアルケニル基、例えば、1−フェニル−1−プロペニル基、2−フェニル−1−プロペニル基、3−フェニル−1−プロペニル基、1−フェニル−1−ブテニル基、3−フェニル−1−ブテニル基、4−フェニル−ブテニル基など、 炭素数2〜10のアルケニル基に置換基として脂環式炭化水素基、シクロエーテル基、ラクトン基、または、ノルボルネン骨格、ノルボルナン骨格、イソボルニル骨格、トリシクロデカン骨格、テトラシクロドデカン骨格、アダマンタン骨格などの脂環式炭化水素基を有するアルケニル基など。
好ましい重合性二重結合含有基Qを具体的に下に表すが、重合性二重結合含有基Qはこれらに限られるものではない。
【0034】
【化7】

【0035】
含フッ素重合体の重合性二重結合含有基Wに基づく構造は、一般式(3)
【0036】
【化8】

【0037】
(3)
で表される。式中、R5、R6、R7、R8は、互いに独立に、水素原子またはハロゲン原子、アルコキシ基である。R5、R6、R7、R8は、互いに結合して間を形成していてもよい。ハロゲン原子としてはフッ素が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメトキシ基、3,3,3−トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基などを挙げることができる。この構造は、オレフィン類から導くことができ、オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、シクロヘキセンなどが挙げられ、フルオロオレフィンとしては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテン、オクタフルオロシクロペンテンなどが例示できる。
【0038】
本発明の含フッ素重合体は、繰り返し単位(a−2)に基づく繰り返し単位の割合は、全繰り返し単位の合計に対して、70モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、30モル%以下がさらに好ましい。70モル%を超えるとメチド基に基づく酸性度が十分ではなくなり、上記範囲の下限値以上であることにより各種の効果が得られる。
[他の単量体]
本発明の含フッ素重合体は繰り返し単位(a−1)と繰り返し単位(a−2)が含まれていれば良く、必要に応じて一種類以上の「他の単量体」を共重合し三元以上の重合体にしてもよい。他の単量体の共重合比率は、共重合体の0.01モル%〜20モル%であり、0.01〜10モル%がより好ましい。
【0039】
例えば他の単量体としてスチレン化合物およびその類似化合物などが電解質の信頼性に対して有利であるが、特に限定されたものではない。
【0040】
本発明に使用できるスチレン系化合物としては、芳香族環にビニル基が結合した化合物であり、具体的には例えば、スチレン、m-又はp-ヒドロキシスチレン、m-又はp-メトキシスチレン、m-又はp-エトキシスチレン、m-又はp-プロポキシスチレン、m-又はp-イソプロポキシスチレン、m-又はp-ブトキシスチレン、m-又はp-tert-ブトキシスチレン、m-又はp-(1-エトキシエトキシ)スチレン、m-又はp-(1-エトキシプロポキシ)スチレン、m-又はp-(1-イソブトキシエトキシ)スチレン、m-又はp-(2-テトラヒドロピラニルオキシ)スチレン、m-又はp-tert-ブトキシカルボニルオキシスチレン、m-又はp-アセトキシスチレン、m-又はp-プロピオニルオキシスチレン、m-又はp-ピバロイルオキシスチレン、m-又はp-ベンゾイルオキシスチレン、m-又はp-メシルオキシスチレン、m-又はp-フェニルスルホニルオキシスチレン、m-又はp-トシルオキシスチレンなど、およびこれらのスチレン系化合物のα位にハロゲン、アルキル基、含フッ素アルキル基が結合したものが挙げられる。
【0041】
ヒドロキシスチレン系化合物の構造を本発明の含フッ素重合体に導入する場合、例えば、p-ブトキシカルボニルオキシスチレンを共重合させた後、ブトキシカルボニル部位をヒドロキシル基に変換することによって行うことができる。
【0042】
また、2−ヒドロキシ−1−ビニルナフタレン、3−ヒドロキシ−1−ビニルナフタレン、4−ヒドロキシ−1−ビニルナフタレン、5−ヒドロキシ−1−ビニルナフタレン、6−ヒドロキシ−1−ビニルナフタレン、7−ヒドロキシ−1−ビニルナフタレン、8−ヒドロキシ−1−ビニルナフタレン、2−ヒドロキシ−1−イソプロペニルナフタレン、3−ヒドロキシ−1−イソプロペニルナフタレン、4−ヒドロキシ−1−イソプロペニルナフタレン、5−ヒドロキシ−1−イソプロペニルナフタレン、6−ヒドロキシ−1−イソプロペニルナフタレン、7−ヒドロキシ−1−イソプロペニルナフタレン、8−ヒドロキシ−1−イソプロペニルナフタレン、2−カルボキシ−1−ビニルナフタレン、3−カルボキシ−1−ビニルナフタレン、4−カルボキシ−1−ビニルナフタレン、5−カルボキシ−1−ビニルナフタレン、6−カルボキシ−1−ビニルナフタレン、7−カルボキシ−1−ビニルナフタレン、8−カルボキシ−1−ビニルナフタレン等のビニルナフタレン誘導体あるいはイソプロペニルナフタレン誘導体などもスチレン類似化合物として使用できる。
【0043】
本発明の含フッ素重合体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定した重量平均分子量で1,000〜1,000,000であり、2,000〜500,000が好ましく、2,000〜100,000がさらに好ましい。重量平均分子量1,000未満では、塗布膜および固体電解質の強度が不十分であり、1,000,000を超えると溶媒への溶解性が低下し、平滑な塗膜を得るのが困難になり好ましくない。分散度(Mw/Mn)は、1.01〜5.00が好ましく、1.01〜4.00がより好ましく、1.01〜3.00が特に好ましく、1.10〜2.50が最も好ましい。
【0044】
<含フッ素重合体の製造法>
本発明にかかる含フッ素重合体の重合方法としては、一般的に使用される方法であれば特に制限されないが、ラジカル重合、イオン重合などが好ましく、場合により、配位アニオン重合、リビングアニオン重合、カチオン重合、開環メタセシス重合、ビニレン重合、ビニルアディションなどを使用することも可能である。
【0045】
ラジカル重合は、ラジカル重合開始剤あるいはラジカル開始源の存在下で、塊状重合、溶液重合、懸濁重合又は乳化重合などの公知の重合方法により、回分式、半連続式又は連続式のいずれかの操作で行えばよい。
【0046】
ラジカル重合開始剤としては特に限定されるものではないが、例としてアゾ系化合物、過酸化物系化合物、レドックス系化合物が挙げられ、とくにアゾビスイソブチロニトリル、tert-ブチルパーオキシピバレート、ジ−tert-ブチルパーオキシド、i−ブチリルパーオキシド、ラウロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキシド、ジシンナミルパーオキシド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、tert-ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、過硫酸アンモニウム等が好ましい。
【0047】
重合反応に用いる反応容器は特に限定されない。また、重合反応においては、重合溶媒を用いてもよい。重合溶媒としては、ラジカル重合を阻害しないものが好ましく、代表的なものとしては、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル系、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系、トルエン、シクロヘキサンなどの炭化水素系、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶剤などがある。また水、エーテル系、環状エーテル系、フロン系、芳香族系などの溶媒を使用することも可能である。これらの溶剤は単独でもあるいは2種類以上を混合しても使用できる。また、メルカプタンのような分子量調整剤を併用してもよい。共重合反応の反応温度はラジカル重合開始剤あるいはラジカル重合開始源により適宜変更され、通常は20〜200℃が好ましく、特に30〜140℃が好ましい。
【0048】
得られる含フッ素重合体の溶液又は分散液から有機溶媒又は水を除去する方法として、再沈殿、ろ過、減圧下での加熱留出などの方法が可能である。
【0049】
<塗布膜および高分子固体電解質>
本発明にかかる塗布膜および高分子固体電解質は有機溶媒に溶解し塗布、乾燥により作製される。使用する有機溶媒としては、本発明の含フッ素重合体が可溶であれば特に制限されないが、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2‐ヘプタノンなどのケトン類やエチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類、キシレン、トルエンなどの芳香族系溶媒、フロン、代替フロン、パーフルオロ化合物、ヘキサフルオロイソプロピルアルコールなどのフッ素系溶剤、塗布性を高める目的で高沸点弱溶剤であるターペン系の石油ナフサ溶媒やパラフィン系溶媒などが使用可能である。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。また得られた高分子溶液にナフィオン樹脂などのディスパージョンを添加してもよい。
また、塗布膜を形成する溶媒として電池溶媒を使用することもできる。本発明の高分子固体電解質である塗布膜を形成するのに好ましい電池溶媒としては、線状および環状カーボネート類、エステル類、ラクトン類、アミド類、スルホキシド類、スルホン類、スルホンアミド類、およびエーテル類などの双極性非プロトン性液体である。好ましくは、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピルおよびフルオロまたはクロロ置換された線状カーボネート類などの線状カーボネート類と、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ビニレン、γ−ブチロラクトン、フッ素または塩素置換された環状カーボネート類などの環状カーボネート類またはラクトン類の混合物である。特に好ましいものは、炭酸ジエチルおよび/または炭酸エチルメチルのような線状カーボネート類と、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、およびγ−ブチロラクトンの混合物である。さらに好ましいものは、炭酸エチレン:炭酸プロピレン(質量比)の50:50から80:20である、炭酸プロピレンと炭酸エチレンの混合物である。これらの電池溶媒は前記有機溶媒と併せて使用することができる。
【0050】
さたに、電池溶媒は、前記有機溶媒で形成された塗布膜を電池溶媒中への浸漬または溶媒蒸気への暴露により吸収させることもできる。さらに、電池を形成後添加してもよい。
【0051】
本発明の含フッ素重合体の溶液中の濃度は、均一な溶液を形成できるようにすればよいが、他の添加剤の種類、量により適宜調製することができる。通常0.01〜50質量%であり、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
【0052】
[カチオン]
本発明の高分子固体電解質に用いる含フッ素重合体は、M+がH+である含フッ素重合体であってもよいが、金属イオンまたは有機カチオンを共存させることで導電性を高めることができる。
【0053】
金属イオンを与える金属としては、固体電解質の溶媒に溶解するものが好ましく適宜選ぶことができるが、通常、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属が溶解性の点で好ましく、水酸化物、酸化物、硝酸塩、塩化物など、または酢酸塩、シュウ酸塩などの有機酸塩として用いることができる。
【0054】
有機カチオンとしては、下記の一般式(12)で示される4級アンモニウムカチオンなどを例示できるが、特に限定するものではない。
【0055】
【化9】

【0056】
(12)
(式中、R11〜R14はそれぞれ独立に置換基を有するかまたは有しない炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表す。)
11〜R14で表されるアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基であって、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−デシル、シクロペンチル、シクロへきしる、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などが挙げられる。
【0057】
置換基としては、例えばハロゲン(好ましくは、フッ素)、または置換若しくは非置換のフェニル基(置換基は、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基である。)等が挙げられる。
【0058】
上記化学式(12)で示されるカチオンとしては、R11〜R14の内の3つがメチル基であり、その他の1つが置換基を有していてもよい炭素数4〜20のアルキル基またはアリール基からなる4級アンモニウムカチオンが特に好ましい。このようなアンモニウムカチオンは電子供与性の強い3つのメチル基により窒素原子上の正電荷を安定化できるためである。
好ましい4級アンモニウムカチオンを例示すると、
アルキルトリメチルアンモニウム塩 RN+(CH33-
ジアルキルジメチルアンモニウム塩 RR'N+(CH32-
アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩 RN+(CH2Ph)(CH32-
などが挙げられる。ここで、Phはフェニル基を表し、R、R'は任意の前記アルキル基を表す。
【0059】
本発明の高分子固体電解質の調製において、これらの4級アンモニウムカチオンの対イオンとしては、ヒドロキシル基などが好ましい。4級アンモニウム塩を具体的に例示すると、テトラメチルアンモニウム ヒドロキシド、テトラエチルアンモニウム ヒドロキシド、テトラメチルアンモニウム ヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウム ヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウム ヒドロキシド、トリス(ハイドロキシエチル)メチルアンモニウム ヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム ヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウム ヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウム ヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウム ヒドロキシド、3-(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシドを挙げることができる。
【0060】
また、固体電解質としての使用では、塗膜形成用の有機溶媒または電池溶媒にリチウム塩類のなどの移動性塩を添加してもよい。リチウム塩類としては、LiPF6、LiPFxRfy[式中、RfはCF3、CF2CF3などのパーフルオロアルキル基である]、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiSO3Rf[式中、Rfは前記と同じ。]、LiN(SO2Rf)(SO2Rf)[式中、Rfはそれぞれ独立に前記と同じ。]、LiC(SO2Rf)(SO2Rf)(SO2Rf)[式中、Rfはそれぞれ独立に前記と同じ。]および前記の塩の混合物のようなものである。好ましいものは、LiPF6またはLiN(SO2CF2CF32である。
【0061】
本発明にかかる二次電池は、前記高分子電解質と正極と負極からなる。負極活性物質としては、グラファイトやグラファイトににリチウムがインターカレートされた炭素、Li2.6Co0.4Nのようなリチウム金属窒化物、リチウム金属、アルミニウムおよび亜鉛とリチウムの合金などのリチウム合金、スズ−鉄−炭素またはスズ−マンガン−炭素3元化合物のような不活性な金属性骨格とともにアノード化合物を形成する合金、酸化スズ、酸化鉄、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブまたは酸化タングステンのような金属酸化物またはリチウム金属酸化物、およびポリアニリンのようなアニオンまたはカチオンをドープする電子電導性ポリマーを含むが、これらに限定されるものではない。好ましい負極活性材料としては、グラファイト様のメソカーボンマイクロビーズを挙げることができる。
【0062】
また、有用な正極活性物質としては、スピネルのLiMn24、層状のLiMnO2、LiNiO2、LiCoO2、LiNixCoy2のような遷移金属酸化物、LiFeO2のような鉄酸化物、またはLiV25などのバナジウム酸化物、または欠陥を有するこれらの物質、またはFe2+、Ti2+、Zn2+、Ni2+、Co2+などの金属カチオンをドープされた前記化合物、金属硫化物、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリピロール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、またはそれらの共重合体のような電子電導性ポリマーまたはこれらの混合物であるが、これらに限定されるものではない。
好ましい正極電極活性材料としてはLiNixCo1-x2(0<x<1)を挙げることができる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0064】
樹脂組成物の分子量(数平均分子量Mn)と分子量分散(Mnと重量平均分子量Mwの比Mw/Mn)は、東ソー製HLC−8320GPCにおいて、東ソー製ALPHA−MカラムとALPHA−2500カラムを1本ずつ直列に繋ぎ、展開溶媒としてジメチルホルムアミド(臭化リチウムを0.03モル/L、リン酸を0.01モル/L含有するもの)を用いて測定した。検出器は屈折率差検出器を用いた。
【0065】
イオン伝導度は、横河ヒューレットパッカード製4329A抵抗計を用いて測定した。
【0066】
基板上に作成した塗膜の厚さはセンテック(Sentech)製FTP500干渉膜厚計を用いて測定した。
【0067】
[合成例1]
電磁撹拌機付きの内容量2リットルのステンレス鋼製オートクレーブに2−ブタノン520g、4,4−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)−1−ブテン(BTSB)を100.0g(0.312モル)および過ピバル酸−tert−ブチル(製品名パーブチルPV、日本油脂(株)製、シェルゾール(シェルケミカル社製品名)中71質量%溶液)を2.0g仕込み、窒素ガスで脱気置換を3回繰り返し脱気した後、テトラフルオロエチレン28.4g(0.284モル)を仕込み、60℃にて16時間の反応を行った。反応終了後の溶液を2kgのn−ヘプタンに滴下し、白色の沈殿を得た。この沈殿を濾別し、75℃にて減圧乾燥を行い102.4gの白色固体を得た。GPC測定結果は、Mn=19,000、Mw/Mn=2.0であった。
【0068】
[合成例2]
同様に、電磁撹拌機付きの内容量2リットルのステンレス鋼製オートクレーブに2−ブタノン520g、BTSBを100.0g(0.312モル)および過ピバル酸−tert−ブチル(製品名パーブチルPV、日本油脂(株)製、シェルゾール(シェルケミカル社製品名)中71質量%溶液)を2.0g仕込み、窒素ガスで脱気置換を3回繰り返し脱気した後、トリフルオロエチレン27.3g(0.284モル)を仕込み、60℃にて16時間の反応を行った。反応終了後の溶液を2kgのn−ヘプタンに滴下し、白色の沈殿を得た。この沈殿を濾別し、75℃にて減圧乾燥を行い91.4gの白色固体を得た。GPC測定結果は、Mn=16,000、Mw/Mn=1.9であった。
【0069】
[合成例3]
同様に、電磁撹拌機付きの内容量2リットルのステンレス鋼製オートクレーブに2−ブタノン520g、BTSBを100.0g(0.312モル)および過ピバル酸−tert−ブチル(製品名パーブチルPV、日本油脂(株)製、シェルゾール(シェルケミカル社製品名)中71質量%溶液)を2.0g仕込み、窒素ガスで脱気置換を3回繰り返し脱気した後、クロロトリフルオロエチレン36.9g(0.284モル)を仕込み、60℃にて16時間の反応を行った。反応終了後の溶液を2kgのn−ヘプタンに滴下し、白色の沈殿を得た。この沈殿を濾別し、75℃にて減圧乾燥を行い104.4gの白色固体を得た。GPC測定結果は、Mn=17,000、Mw/Mn=1.9であった。
【0070】
[合成例4]
同様に、電磁撹拌機付きの内容量2リットルのステンレス鋼製オートクレーブに2−ブタノン520g、BTSBを100.0g(0.312モル)および過ピバル酸−tert−ブチル(製品名パーブチルPV、日本油脂(株)製、シェルゾール(シェルケミカル社製品名)中71質量%溶液)を2.0g仕込み、窒素ガスで脱気置換を3回繰り返し脱気した後、トリフルオロエチレン13.7g(0.142モル)およびテトラフルオロエチレン14.2g(0.142モル)を仕込み、60℃にて16時間の反応を行った。反応終了後の溶液を2kgのn−ヘプタンに滴下し、白色の沈殿を得た。この沈殿を濾別し、75℃にて減圧乾燥を行い98.4gの白色固体を得た。GPC測定結果は、Mn=20,000、Mw/Mn=2.1であった。
[実施例1]合成例1で得た白色固体0.050gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)2.00gに溶解し、水酸化テトラエチルアンモニウム5水和物0.008gを加えて攪拌し、均一溶液を得た。これを自然酸化膜付きシリコン基板(<100>面切断、厚さ525μm)上に、スピンコーター(ミカサ製スピンコーター1H−360S)を用いて回転数1500rpmでスピンキャストし、次いで窒素気流下にて90℃で1分間乾燥して厚さ200nmの塗膜を得た。
【0071】
[実施例2]合成例2で得た白色固体0.050gをPGMEA2.00gに溶解し、水酸化テトラエチルアンモニウム5水和物0.008gを加えて撹拌し、均一溶液を得た。これを実施例1と同一の自然酸化膜付きシリコン基板上に、スピンコーターを用いて回転数1000rpmでスピンキャストし、次いで窒素気流下にて90℃で1分間乾燥して厚さ240nmの塗膜を得た。
【0072】
[実施例3]合成例3で得た白色固体0.050gをPGMEA2.00gに溶解し、水酸化テトラエチルアンモニウム5水和物0.018gを加えて撹拌し、均一溶液を得た。これを実施例1と同一の自然酸化膜付きシリコン基板上に、スピンコーターを用いて回転数1000rpmでスピンキャストし、次いで窒素気流下にて90℃で1分間乾燥して厚さ250nmの塗膜を得た。
【0073】
[実施例4]合成例4で得た白色固体0.050gをPGMEA2.00gに溶解し、水酸化テトラエチルアンモニウム5水和物0.012gを加えて撹拌し、均一溶液を得た。これを実施例1と同一の自然酸化膜付きシリコン基板上に、スピンコーターを用いて回転数1000rpmでスピンキャストし、次いで窒素気流下にて90℃で1分間乾燥して厚さ220nmの塗膜を得た。
【0074】
[比較例1]パーフルオロカーボンスルホン酸高分子の一つであるナフィオン117溶液(商品名:デュポン社製−固形分5質量%)のカチオンを水素イオンからテトラエチルアンモニウムカチオンに置換した溶液を実施例1と同一の自然酸化膜付きシリコン基板上に、スピンコーターを用いて回転数1000rpmでスピンキャストし、次いで窒素気流下にて90℃で1分間乾燥して厚さ240nmの塗膜を得た。
【0075】
実施例1〜4および比較例1について得られた塗布膜を基板から剥がした後、そのままの状態でステレンス板で挟み、LCRメータを用い交流印加してイオン伝導度測定を行った。
次にそれぞれの塗布膜を100℃、1分間、5MPaの圧力で加圧プレスした後にステレンス板で挟み、LCRメータを用い交流印加してイオン伝導度測定を行った。
さらにそれぞれの塗布膜を150℃、1ヶ月の耐熱試験を施した後にステレンス板で挟み、LCRメータを用い交流印加してイオン伝導度測定を行った。
以上のイオン伝導度の測定結果をまとめて表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
表1から明らかなように本発明の含フッ素重合体からなる高分子固体電解
質はプレス加工なしでも膜質のよく、しかも耐熱性の高い塗布膜が得られ、比
較例の樹脂と比べ著しく高い電気伝導度を示し、長期間それを維持することが
可能であり電気デバイス等の電解質として有用である。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り返し単位(a−1)および繰り返し単位(a−2)を少なくとも含む含フッ素重合体。
【化1】

(式中、R1はそれぞれ独立にパーフルオロアルキル基を表し、QおよびWは重合性二重結合基含有基の二重結合が開裂して形成した繰り返し単位を表す。M+は、水素カチオン、金属イオンまたは有機カチオンを表す。)
【請求項2】
Qが、一般式(2)
【化2】

(2)
(式中、R2、R3、R4は、互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜4のアルキル基であり、または互いに結合して環を形成した脂環式構造を表す。ここで、アルキル基、脂環式構造に含まれる水素原子の一部または全部は、フッ素原子またはシアノ基で置換されていてもよい。)で表される繰り返し単位である請求項1に記載の含フッ素重合体。
【請求項3】
Wが、一般式(3)
【化3】

(3)
(式中、R5、R6、R7、R8は、互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、直鎖状、分岐状の炭素数1〜4のアルキル基を表す。ここで、アルキル基に含まれる水素原子の一部または全部は、フッ素原子またはシアノ基で置換されていてもよい。)で表される繰り返し単位である請求項1または2に記載の含フッ素重合体。
【請求項4】
Qが、
【化4】

から選ばれるいずれかの重合性二重結合基含有基の重合性二重結合が開裂して得られる繰り返し単位である請求項1〜3のいずれか1項に記載の含フッ素重合体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の含フッ素重合体の溶液を塗布し、またはさらに乾燥させた塗布膜。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の含フッ素重合体を含む高分子固体電解質。
【請求項7】
請求項6に記載の塗布膜または高分子固体電解質を用いた二次電池および燃料電池。
【請求項8】
Mが水素イオンである請求項1に記載の含フッ素重合体。



【公開番号】特開2010−53257(P2010−53257A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220248(P2008−220248)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】