説明

呼出通報装置

【課題】本発明は、誤呼出防止に効果があり、呼出ボタンの操作継続時間をもとに呼出ボタンを操作する人の緊急度を自動的に判断し、緊急度ごとに異なる警報信号を出せる呼出通報装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明による呼出通報装置は、ノンロック式の呼出ボタンを押し続けている間、一定の時間幅を有する呼出信号を間歇的に発生する呼出信号発生手段を有し、発生した呼出信号数に対応して一義的に定まる、複数段階の緊急度を定め、各緊急度に対応して、発生する警報音及び光が異なる警報信号を出力することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば病院や介護施設で使用されるナースコールインターホン等を含む呼出通報装置に係り、更に詳しくは、呼出ボタンを操作する患者や被介護者の緊急度を自動的に判定して、夫々の緊急度に対応して異なる警報信号で通報できる呼出通報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ナースコール子機の例として、患者自身が呼出の緊急度を判断し、緊急でない場合には通常の呼び出し用の呼出ボタン30を選択し、緊急の場合には緊急呼出ボタン31を選択できるようしたナースコール装置が記載されている。
【特許文献1】・・・・特開2000−224321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のナースコール装置においては、通常呼出用の呼出ボタンと緊急呼出用の緊急呼出ボタンの2種類のボタンを必要とし、かつ患者自身が状況により2種類のボタンを使い分けねばならず、使い勝手上の問題があった。また、操作ミスやいたずらによる誤呼出の問題も多く発生した。
【0004】
本発明は、誤呼出防止に効果があり、呼出ボタンの操作継続時間をもとに呼出ボタンを操作する人の緊急度を自動的に判断し、緊急度ごとに異なる警報信号を出せる呼出通報装置を提供することを課題とする。
【0005】
呼出通報装置を使用する患者、被介護者の身体状況、精神状況は千差万別である。手術直直前の人もいれば、手術直後の人も居る。あるいは、入院したばかり、長期療養中、退院間近という違いもある。子供から老人まで年齢も多様。
【0006】
本発明は、このような患者、被介護者の多様性に適合できるように、呼出ボタンを操作する側、および、これに応答する側の個々の状況や必要性により警報機能を適宜変更可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による呼出通報装置は、ノンロック式の呼出ボタンを押し続けている間、一定の時間幅を有する呼出信号を間歇的に発生する呼出信号発生手段を有し、発生した呼出信号数に対応して一義的に定まる、複数段階の緊急度を定め、各緊急度に対応して、発生する警報音及び光が異なる警報信号を出力することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明による呼出通報装置は、呼出信号数に対応する緊急度、および、各緊急度に対応する警報信号の種別を任意に設定できることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、呼出ボタンを操作した操作者の緊急度を自動的に判断し、緊急度に対応する種類の警報信号で報知するので、呼出操作者の状況把握に便利であり、迅速、的確な対応、処置が可能になる。
【0010】
また、緊急度や警報信号の種類は、任意に設定できるので、呼出ボタンの操作者やこれに応対する側の状況に応じてより適切な種類の警報信号を選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施例を説明する。
【0012】
図1は本発明の1実施例における呼出通報装置のブロック図であり、呼出通報子機1、呼出通報親機2および両者を接続する呼出線3で構成されている。
呼出通報子機1は、ノンロック式の呼出ボタン(図示せず)を押している間、間歇的な呼出信号を発生する呼出信号発生手段4と、呼出信号発生手段4から出力される間歇的な呼出信号をカウントする呼出信号計数手段5と、計数結果を出力する入出力インターフェース6とから構成されている。
【0013】
呼出通報親機2は、呼出通報子機1に接続される入出力インターフェース7と、入出力インターフェース7に接続される緊急度判定手段8と、緊急度判定手段8から出力される判定出力に対応して制御される警報機能設定手段9と、警報機能設定手段9の出力で駆動される警報出力手段10とから構成されている。
【0014】
緊急度判定手段8は、複数の緊急度判定手段すなわち、緊急度0判定手段8a、緊急度1判定手段8b、緊急度2判定手段8c、緊急度3判定手段8dを備えている。各緊急度判定手段8a、8b、8c、8dは、それぞれ閾値8p、閾値8q、閾値8r、閾値8sという基準手段に接続され、各閾値に対応して判定結果を出力する。
【0015】
警報機能設定手段9は内部に音データ11、表示データ12を備えている。音データは、複数の警報音データからなるもので、たとえば、メロデイー音、ブザー音、サイレン音データを含む。他方、表示データ12は、各種の点灯制御パターンを含むものとする。
【0016】
警報機能設定手段9は、緊急度判定手段8から出力される緊急度別の信号を縦軸とすれば、音データ11、表示データ12を横軸とするマトリックス状の選択回路を有し、この選択回路の働きで、緊急度判定手段8から出力される判定信号乃至緊急度別信号に対応した音データおよび表示データを出力する。この選択回路は、予め設定することが可能であり、いったん設定した後も、変更可能なものとする。
【0017】
図2は本発明の1実施例における呼出通報装置の緊急度判定テーブルを示したもので、呼出信号数により、緊急度を区別するようになっている。
すなわち、呼出信号数が1〜2の場合は、緊急度0(無視)、3〜5の場合は、緊急度1(低レベル)、6〜8の場合は、緊急度2(中レベル)、9以上の場合は緊急度3(高レベル)として区別される。
【0018】
図3は、警報機能設定手段9の選択回路で使用される警報パターンテーブルの例である。
緊急度0(無視)の警報信号が入力された場合は、警報音出力は無音とし、警報光として緑点灯信号を出力されることがわかる。
【0019】
緊急度1(低レベル)の警報信号が入力された場合は、警報音出力はメロディ音とし、警報光として緑点滅信号を出力する。
緊急度2(中レベル)の警報信号が入力された場合は、警報音出力はブザー音とし、警報光として赤点灯信号を出力する。
緊急度3(高レベル)の警報信号が入力された場合は、警報音出力はサイレン音とし、警報光として赤点滅信号を出力する。
【0020】
図4は、本発明の1実施例における呼出通報装置の呼出シーケンス図であり、本シーケンス図と前述の図1、図2、図3を参照して呼出通報装置の動作を説明する。
【0021】
図1において、呼出信号発生手段4における呼出ボタン(図示せず)を押すと、図4に示すように、押している時間に比例して呼出ボタン信号はONになる。
呼出信号発生手段5は例えばマルチバイブレータ回路など、発振回路(図示せず)を有し、図4に示すように、呼出ボタンがONの間、所定の時間幅を有する呼出信号を間歇的に発生する。図示の例では、方形波の1つ1つが呼出信号として構成されているが、正弦波の断続波であってもよい。
呼出信号計数手段5では、上記のようにして発生する呼出信号をカウントするが、図4で呼出信号数として示されている階段状の図形は、カウントの状況を模式的に示したものである。
【0022】
例えば、呼出信号数が「1」または「2」の場合には、緊急度0判定手段8aの閾値8pの規定値「C=1〜2」の範囲にあり、緊急度0判定手段8aから緊急度0信号として警報機能設定手段9に出力される。
【0023】
図4からわかるように、緊急度0は無視レベルとして規定され、かつ、待機状態とは区別される。なお、本実施例では、この緊急度0(無視)を誤報区分とし、図3に示すように、警報音は無音とし、警報光は緑点灯の警報パターンを設定してある。
呼出ボタンの誤タッチなどで発生する操作時間の短い呼出操作の大部分は、この誤報区分で処理される。
【0024】
さらに、呼出信号数が増えると、呼出信号数に対応して、緊急度判定手段8から緊急度1、緊急度2または緊急度3の信号が出力される。
【0025】
すなわち、図1および図4に示すように、呼出信号数が3〜5の場合は緊急度1、6〜8の場合は緊急度2、9以上の場合は、緊急度3の信号が警報機能設定手段9に出力される。
その結果、図1の機能設定手段9に入力される緊急度別の信号に対応して、図3の警報パターンテーブルに示す、警報音、警報光が選択出力されることになる。
【0026】
次に、図1において、13は警報信号を保持する保持手段であり、このような保持手段を設けることにより、より緊急度の高いレベルの警報信号が入力された場合には、警報入力の消失後も警報信号を継続させることができる。この場合には、たとえば、親機に強制復旧ボタンを設けたり、現場に復旧ボタンを設け、この復旧ボタンを操作して初めて警報出力を停止させるなどの処理が必要となる。
【0027】
そうすれば、緊急度のレベルにより、低位の場合は、警報信号の入れ切りに連動して警報出力をオン、オフし、高位の場合は、警報信号を警報入力が消失した後も警報出力を継続してオンさせるという、2種類の警報モードを選択的に切換えることができる。
【0028】
以上の実施例においては、1回線用の呼出専用の呼出通報装置について説明したが、本発明は、複数の呼出通報子機と呼出通報親機とから構成する多回線仕様の呼出通報装置に容易に適用することができる。
【0029】
また、以上の実施例においては、呼出通報子機に呼出信号計数手段を設けたが、呼出通報子機からは呼出ボタンの操作時間に比例する呼出信号のパルス列を送り出し、呼出通報親機で呼出信号数をカウントできるようにしても良い。
【0030】
また、本発明は、ナースコールインターホンなど通話機能を備えた呼出通報装置にも容易に適用することができるる。
【0031】
また、本発明は、呼出通報子機として、携帯型の無線呼出ボタンを使用する無線式の呼出通報装置に適用することも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の1実施例における呼出通報装置のブロック図。
【図2】本発明の1実施例における緊急度判定テーブル。
【図3】本発明の1実施例における警報パターンテーブル。
【図4】本発明の1実施例における呼出通報シーケンス。
【符号の説明】
【0033】
1 呼出通報子機
2 呼出通報親機
3 呼出線
4 呼出信号発生手段
5 呼出信号計数手段
6 入出力インターフェース
7 入出力インターフェース
8 緊急度判定手段
8a 緊急度0判定手段
8a 緊急度1判定手段
8a 緊急度2判定手段
8a 緊急度3判定手段
8p 閾値
8q 閾値
8r 閾値
8s 閾値
9 警報機能設定手段
10 警報出力手段
11 音データ
12 表示データ
13 保持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼出通報親機と呼出通報子機とを有する呼出通報装置において、呼出通報親機を呼出すためのノンロック式の呼出ボタンと、この呼出ボタンを押し続けている間、一定の時間間隔幅で、呼出信号を間歇的に発生する呼出信号発生手段と、発生した呼出信号を計数する呼出信号計数手段と、 呼出信号計数手段で計数された呼出信号数に対応して一義的に定まりかつ複数段階に区分された緊急度に対応する判定結果を出力する緊急度判定手段と、前記緊急度判定手段からの出力で制御される警報機能設定手段と、警報機能設定手段から出力される警報音、警報光の出力パターンに従って、警報信号を出力する警報出力手段とを有することを特徴とする呼出通報装置。
【請求項2】
複数段階に区分された緊急度のなかで低位の緊急度においては、警報音を無音に設定できることを特徴とする請求項1記載の呼出通報装置。
【請求項3】
複数段階に区分された緊急度のなかで高位の緊急度においては、呼出ボタンの操作終了後も呼出状態を保持させ、親機などで手動による強制復旧を行なわない限り前記警報信号を継続して発生させるようにするとともに、低位の緊急度においては、呼出ボタンの操作終了に同期して呼出状態を自動的に復帰させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の呼出通報装置。
【請求項4】
前記緊急度判定手段において呼出信号数に対応する緊急度の設定値を変更できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の呼出通報装置。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−67598(P2007−67598A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248621(P2005−248621)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】