説明

呼吸器疾患を治療するためのフェネタノールアミン誘導体

本発明は、式(I)の新規化合物、それらの製造プロセス、それらを含む医薬組成物、ならびに治療におけるそれらの使用、特に呼吸器疾患の予防および治療におけるそれらの使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェネタノールアミン誘導体、それらの調製方法、それらを含む組成物、ならびに医学、特に呼吸器疾患の予防および治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のフェネタノールアミン化合物が、β2-アドレナリン受容体での選択的刺激作用を有し、従って気管支喘息および関連障害の治療における有用性を有するものとして当業界で公知である。従って、GB 2 140 800は、現在、そのような医学的症状の治療において臨床的に用いられている4-ヒドロキシ-α1-[[[6-(4-フェニルブトキシ)ヘキシル]アミノ]メチル]-1,3-ベンゼンジメタノール1-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシレート(サルメテロールキシナフォエート)等のフェネタノールアミン化合物を記載している。
【0003】
サルメテロールおよび他の市販のβ2-アドレナリン受容体アゴニストは有効な気管支拡張剤であるが、最大作用期間は12時間であり、従って1日2回の投与がしばしば必要となる。従って、β2-アドレナリン受容体に対して強力かつ選択的な刺激作用を有し、有利な作用プロフィールを有する化合物の臨床的な必要性が存在する。
【発明の開示】
【0004】
本発明によれば、式(I):
【化1】

【0005】
(式中、mは2〜8の整数であり;
nは3〜11、好ましくは3〜7の整数であり;
但し、m + nは5〜19、好ましくは5〜12であり;
R1はSR6、SOR6またはSO2R6であり、
ここでR6はC3-7シクロアルキルまたはC3-7シクロアルケニル基であり;
R2およびR3は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロ、フェニルおよびC1-6ハロアルキルから独立に選択され;
R4およびR5は、水素およびC1-4アルキルから独立に選択されるが、但し、R4およびR5中の炭素原子の総数は4以下であり;
Arは
【化2】

【0006】
(ここで、R8は水素、ハロゲン、-(CH2)qOR11、-NR11C(O)R12、-NR11SO2R12、-SO2NR11R12、-NR11R12、-OC(O)R13もしくはOC(O)NR11R12であり、
およびR7は水素、ハロゲンもしくはC1-4アルキルを表し;
またはR8は-NHR14であり、R7は-NHR14と一緒になって5-または6員ヘテロ環を形成し;
R9は、水素、ハロゲン、-OR11または-NR11R12を表し;
R10は、水素、ハロゲン、ハロC1-4アルキル、-OR11、-NR11R12、-OC(O)R13またはOC(O)NR11R12を表し;
R11およびR12は各々独立に、水素もしくはC1-4アルキルを表すか、または-NR11R12、-SO2NR11R12および-OC(O)NR11R12の基において、R11およびR12は独立に、水素もしくはC1-4アルキルを表すか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、5-、6-もしくは7員窒素含有環を形成し、
R13は、非置換であるか、またはハロゲン、C1-4アルキル、ヒドロキシ、C1-4アルコキシもしくはハロC1-4アルキルから選択される1個以上の置換基により置換されていてもよいアリール(例えば、フェニルもしくはナフチル)基であり;および
qは、0または1〜4の整数である)
から選択される基である。)
の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体が提供される。
【0007】
特定の実施形態では、本発明は、R8が水素を表さないこと以外は式(I)が上述したように定義される、式(I)の化合物、ならびにそれらの塩、溶媒和物および生理学的に機能的な誘導体を提供する。
【0008】
式(I)の化合物において、R1基は-O-(CH2)n-結合に関してメタ位に結合されていることが好ましい。
【0009】
R1は、SOR6またはSO2R6を表すことが好ましく、SO2R6を表すことが最も好ましい。
【0010】
R6は、C3-7シクロアルキルを表すことが好ましく、シクロペンチルを表すことが最も好ましい。
【0011】
R4およびR5は、水素およびメチルから独立に選択されることが好ましく、R4およびR5は両方とも水素であることが最も好ましい。
【0012】
mは好適には4、5、または6であり、nは好適には3、4、5または6である。m + nが8、9または10、好ましくは9であるように、mは5または6、nは3または4であることが好ましい。
【0013】
式(I)の化合物において、Ar基は、上記基(a)および(b)から選択されることが好ましい。これらの基(a)および(b)において、R8がハロゲンを表す場合、これは塩素またはフッ素であることが好ましい。R11およびR12は各々独立に水素またはメチルを表すことが好ましい。R13は置換フェニルを表すことが好ましい。整数qは、0または1を表すことが好ましい。従って、例えば-(CH2)qOR11は、OHまたは-CH2OHを表すことが好ましく;
NR11C(O)R12は、-NHC(O)Hを表すことが好ましく;
-SO2NR11R12は、-SO2NH2またはSO2NHCH3を表すことが好ましく;
NR11R12は、-NH2を表すことが好ましく;
-OC(O)R13は、置換ベンゾイルオキシ、例えば、OC(O)-C6H4-(p-CH3)を表すことが好ましく;
-OC(O)NR11R12は、OC(O)N(CH3)2を表すことが好ましい。
【0014】
R8がNHR14を表し、R7と一緒になって5-または6員ヘテロ環を形成する場合、-NHR14-R7-は以下の基:
-NH-CO-R15-(ここで、R15はアルキル、アルケニルまたはアルキルオキシ部分である);
-NH-SO2R16-(ここで、R16はアルキルオキシ部分である);
COOR18(ここで、R18はC1-4アルキル)で任意に置換された-NH-R17-(ここで、R17はアルキルまたはアルケニル部分である);または
-NH-CO-S-;
を表すことが好ましく、ここで、該アルキルおよびアルケニルの基および部分は1または2個の炭素原子を含む。
【0015】
特に好ましい基(a)および(b)は、以下の基(i)〜(xxi):
【化3】



【0016】
(式中、(xvi)および(xix)中の点線は場合によって二重結合を表す)
から選択され得る。
【0017】
Arは基(i)を表すことが最も好ましい。
【0018】
特に好適な実施形態では、本発明は、式(Ia):
【化4】

【0019】
(式中、mは2〜8の整数であり;
nは3〜11、好ましくは3〜7の整数であり;
但し、m + nは5〜19、好ましくは5〜12であり;
R1はSR6、SOR6、またはSO2R6であり(ここで、R6はC3-7シクロアルキルまたはC3-7シクロアルケニル基である);
R2およびR3は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロ、フェニルおよびC1-6ハロアルキルから独立に選択され;ならびに
R4およびR5は、水素およびC1-4アルキルから独立に選択され、但し、R4およびR5中の炭素原子の総数は4以下である)
の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体を提供する。
【0020】
式(Ia)の化合物において、R1基は-O-(CH2)n-結合に関してメタ位に結合されていることが好ましい。
【0021】
R1は、SOR6またはSO2R6を表すことが好ましく、SO2R6を表すことが最も好ましい。
【0022】
R6は、C3-7シクロアルキルを表すことが好ましく、シクロペンチルを表すことが最も好ましい。
【0023】
R4およびR5は、水素およびメチルから独立に選択されることが好ましく、R4およびR5は両方とも水素であることがより好ましい。
【0024】
mは好適には4、5または6であり、nは好適には2、3、4、5または6である。m + nが8、9または10、好ましくは9であるように、mは5または6であり、nは3または4であることが好ましい。
【0025】
式(I)および(Ia)の好ましい化合物としては:
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール(異性体1);
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール(異性体2);
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[4-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-((1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロヘキシルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-((1R)-2-{[6-({4-[3-(3-シクロペンテン-1-イルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-((1R)-2-{[6-({5-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ペンチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-((1R)-2-{[7-({3-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]プロピル}オキシ)ヘプチル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-((1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)-5-メチルフェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
N-[5-((1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシフェニル]メタンスルホンアミド;
4-((1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノール;
6-{2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オール;
5-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-8-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロキノリン-2(1H)-オン;
5-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニルホルムアミド;
ならびにその塩、溶媒和物および生理学的に機能的な誘導体が挙げられる。
【0026】
式(I)の特に好ましい化合物は:
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
ならびにその塩、溶媒和物および生理学的に機能的な誘導体である。
【0027】
式(I)および(Ia)の化合物は、2つの非対称中心、すなわち、基:
【化5】

【0028】
の炭素原子、およびR1がSOR6である場合のスルホキシド基の硫黄原子を含むことが理解されよう。したがって、本発明の化合物は、4つの異なる異性体で存在し得る。本発明は、実質的に純粋な形態または任意の比率で混合された形態で、両方のキラル中心にて(S)および(R)鏡像異性体の両方を含む。
【0029】
同様に、R4およびR5が異なる基である場合、それらが結合している炭素原子は非対称中心であり、本発明は実質的に純粋な形態または任意の比率で混合された形態において、この中心での(S)および(R)鏡像異性体の両方を含む。
【0030】
従って、式(I)および(Ia)の化合物は、すべての鏡像異性体およびジアステレオマーならびに任意の比率でのその混合物を含む。
【0031】
医学における使用に好適な式(I)および(Ia)の化合物の塩および溶媒和物は、対イオンまたは会合溶媒が製薬上許容されるものである。しかしながら、製薬上許容されない対イオンまたは会合溶媒を有する塩および溶媒和物は、例えば、式(I)の他の化合物ならびにその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、および生理学的に機能的な誘導体の製造における中間体としての使用に関して、本発明の範囲内にある。
【0032】
用語「生理学的に機能的な誘導体」とは、例えば、体内で変換可能であることにより、式(I)または(Ia)の親化合物と同じ生理学的機能を有する式(I)または(Ia)の化学的誘導体を意味する。本発明に従えば、生理学的に機能的な誘導体の例としてはエステルが挙げられる。
【0033】
本発明に従う好適な塩としては、有機および無機の酸または塩基と共に形成されるものが挙げられる。製薬上許容し得る酸付加塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、コハク酸、オキサロ酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アリールスルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸、m-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、4-ブロモベンゼンスルホン酸、4-フェニルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸またはナフタレンジスルホン酸)、サリチル酸、グルタル酸、グルコン酸、トリカルバリン酸(tricarballic)、桂皮酸、置換桂皮酸(例えば、フェニル、メチル、シアノ、メトキシまたはハロ置換桂皮酸、例えば、4-メチルおよび4-メトキシ桂皮酸)、アスコルビン酸、オレイン酸、ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸(例えば、1-または3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸)、ナフタレンアクリル酸(例えば、ナフタレン-2-アクリル酸)、安息香酸、4-メトキシ安息香酸、2-または4-ヒドロキシ安息香酸、4-クロロ安息香酸、4-フェニル安息香酸、ベンゼンアクリル酸(例えば、1,4-ベンゼンジアクリル酸)およびイセチオン酸から形成されるものが挙げられる。製薬上許容し得る塩基塩としては、アンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウムのものなどのアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウムのものなどのアルカリ土類金属塩ならびにジシクロヘキシルおよびN-メチル-D-グルカミンなどの有機塩基との塩が挙げられる。
【0034】
有利には、4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノールなどの本発明の好ましい化合物は、例えば下記の実験セクションで例示したものから選択される、結晶塩の形態で提供される。特に好ましい塩は、p-トルエンスルホン酸塩、m-トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、4-クロロベンゼンスルホン酸塩、4-ブロモベンゼンスルホン酸塩、4-フェニルベンゼンスルホン酸塩、およびナフタレン-2-スルホン酸塩などのベンゼンスルホネート誘導体が上げられる。
【0035】
式(I)および(Ia)の化合物の製薬上許容し得るエステルはC1-6アルキル、アリール、アリールC1-6アルキル、またはアミノ酸エステルに変換されたヒドロキシル基を有してもよい。
【0036】
上述のように、式(I)および(Ia)の化合物は、以下に記載のヒトβ-アドレナリン受容体を用いてトランスフェクトした細胞系またはこれらの細胞由来の膜から読み出される機能的遺伝子またはリポーター遺伝子を用いて証明されるように、選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストである。本発明による化合物はまた、迅速な作用開始と長い効果期間とを組み合わせる能力をも有する。さらに、特定の化合物(例えば、上記に示された特に好ましい化合物)は、現存する長時間作用β2-アゴニスト気管支拡張剤と比較して、動物モデルにおいて肺の保持力の改善および経口吸収の低下をもたらす薬物動態特性を示した。そのようなものとして、本発明の化合物は1日1回の投与に好適である。本発明の好ましい化合物は、ラットにおいても、経口投与後に比較的低い吸収を示す。本発明の化合物は原則として吸入投与が意図されるが、投与量の一定割合(80%もの量であり得る)を患者が嚥下してもよい(ただし望ましくない全身作用の可能性がある)。よって、経口吸収が低いことは、本発明の化合物にとって望ましい特性である。
【0037】
従って、式(I)および(Ia)の化合物並びにその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、および生理学的に機能的な誘導体は、選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる臨床症状の予防および治療において有用である。そのような症状としては、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(例えば、慢性および呼吸困難性気管支炎、肺気腫)、気道感染および上気道疾患(例えば、季節性およびアレルギー性鼻炎などの鼻炎)などの可逆性気道閉塞に関連する疾患が挙げられる。
【0038】
治療し得る他の症状としては、早産、抑鬱症、鬱血性心疾患、皮膚疾患(例えば、炎症性、アレルギー性、乾癬性、および増殖性皮膚疾患)、ペプシン酸度の低下が望ましい症状(例えば、消化性潰瘍および胃潰瘍)ならびに筋肉消耗性疾患が挙げられる。
【0039】
従って、本発明は、選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる、ヒトなどの哺乳動物における臨床症状の予防または治療のための方法であって、治療上有効量の式(I)または(Ia)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体の投与を含む前記方法を提供する。特に、本発明は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気道感染もしくは上気道疾患などの可逆性気道閉塞に関連する疾患の予防または治療のためのそのような方法を提供する。さらなる態様において、本発明は早産、抑鬱症、鬱血性心疾患、皮膚疾患(例えば、炎症性、アレルギー性、乾癬性、および増殖性皮膚疾患)、ペプシン酸度の低下が望ましい症状(例えば、消化性潰瘍および胃潰瘍)もしくは筋肉消耗性疾患から選択される臨床症状の予防または治療のためのそのような方法を提供する。
【0040】
また、医学的治療における使用、特に、選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる、ヒトなどの哺乳動物における臨床症状の予防または治療における使用のための式(I)または(Ia)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体も提供される。特に、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気道感染もしくは上気道疾患などの可逆性気道閉塞に関連する疾患の予防または治療のための式(I)または(Ia)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体が提供される。さらなる態様において、早産、抑鬱症、鬱血性心疾患、皮膚疾患(例えば、炎症性、アレルギー性、乾癬性、および増殖性皮膚疾患)、ペプシン酸度の低下が望ましい症状(例えば、消化性潰瘍および胃潰瘍)もしくは筋肉消耗性疾患から選択される臨床症状の予防または治療のための式(I)または(Ia)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体が提供される。
【0041】
本発明はまた、選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる臨床症状、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気道感染もしくは上気道疾患などの可逆性気道閉塞に関連する疾患の予防または治療のための薬剤の製造における、式(I)または(Ia)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体の使用も提供する。さらなる態様においては、早産、抑鬱症、鬱血性心疾患、皮膚疾患(例えば、炎症性、アレルギー性、乾癬性、および増殖性皮膚疾患)、ペプシン酸度の低下が望ましい症状(例えば、消化性潰瘍および胃潰瘍)もしくは筋肉消耗性疾患から選択される臨床症状の予防または治療のための薬剤の製造における、式(I)または(Ia)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体が提供される。
【0042】
治療効果を達成するのに必要とされる式(I)または(Ia)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体の量は勿論、特定の化合物、投与経路、治療下の被験体、および治療しようとする特定の障害または疾患に応じて変化するであろう。本発明の化合物を、0.0005 mg〜10 mg、好ましくは0.005 mg〜0.5 mg、例えば0.05mg〜0.5mgの用量での吸入により投与することができる。成人のヒトのための用量範囲は、一般的には1日あたり0.0005 mg〜10 mg、好ましくは1日あたり0.01 mg〜1 mgであり、最も好ましくは0.05mg〜0.5mgである。
【0043】
式(I)または(Ia)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体を単独で投与することも可能であるが、医薬製剤としてそれを存在させるのが好ましい。
【0044】
従って、本発明はさらに、式(I)または(Ia)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体、および製薬上許容し得る担体もしくは賦形剤、および必要に応じて1種以上の他の治療成分を含む医薬製剤を提供する。
【0045】
本明細書においては以後、用語「活性成分」とは式(I)または(Ia)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体を意味するものとする。
【0046】
前記製剤としては、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内および関節内など)、吸入(様々な型の定量圧式エアロゾル、ネブライザーもしくはインサフレーターの手段により作製することができる微粒子の粉末または霧)、直腸および局所(真皮、頬、舌下および眼内など)投与に好適なものが挙げられるが、最も好適な経路は、例えば、レシピエントの症状および障害に依存する。前記製剤は、単位投与剤形中で提供することが都合がよく、製薬業界で公知の任意の方法により製造することができる。全ての方法は前記活性成分を、1種以上の補助成分を構成する担体と結合させる工程を含む。一般的には、前記製剤を、前記活性成分と液体担体もしくは微細に分割した固体担体またはその両方とを均一かつ密接に結合させた後、必要に応じて、生成物を所望の製剤に形状化することにより製造する。
【0047】
経口投与に好適な本発明の製剤を、各々所定量の活性成分を含有するカプセル剤、カシェ剤または錠剤などの別々の単位;粉末または顆粒;水性液体もしくは非水性液体中での溶液または懸濁液;または水中油液体乳濁液もしくは油中水液体乳濁液として提供することができる。前記活性成分をボーラス剤、舐剤またはペースト剤として提供することもできる。
【0048】
錠剤は、必要に応じて1種以上の補助成分と共に圧縮または成型することにより作製することができる。圧縮錠剤は、好適な機械中で、粉末または顆粒などの自由流動形態の活性成分と、必要に応じて結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、潤滑化剤、界面活性剤または分散剤とを混合して圧縮することにより製造することができる。成型錠剤は、好適な機械中で、不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末化化合物の混合物を成型することにより作製することができる。錠剤は、必要に応じて被覆するか、または切り目を入れてもよく、活性成分のゆっくりした、または制御された放出を提供するように製剤化することができる。
【0049】
非経口投与のための製剤としては、酸化防止剤、バッファー、静菌剤、および製剤を意図されるレシピエントの血液と等張性にさせる溶質を含んでもよい水性および非水性滅菌注入溶液;ならびに懸濁剤および増ちょう剤を含んでもよい水性および非水性滅菌懸濁液が挙げられる。この製剤を、例えば、密封されたアンプルおよびバイアルなどの単回投与または複数回投与用容器中で提供し、使用直前に、例えば、生理食塩水または注入用水などの滅菌液体担体の添加のみを要する凍結乾燥状態で保存することができる。即席注入溶液および懸濁液を、先に記載された種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から製造することができる。
【0050】
吸入による肺への局所送達のための乾燥粉末組成物は、吸入器または絶縁体における使用のために、例えば、ゼラチンのカプセルおよびカートリッジ、または、例えば、薄層化アルミニウムホイルのブリスター中で提供することができる。粉末ブレンド製剤は、一般的には本発明の化合物の吸入のための粉末混合物および単糖、二糖もしくは多糖(例えばラクトースまたはスターチ)などの好適な粉末基剤(担体/希釈剤/賦形剤物質)を含む。ラクトースの使用が好ましい。
【0051】
各カプセルまたはカートリッジは、一般的には、別の治療上の活性成分と組合せてもよい20μg〜10 mgの式(I)または(Ia)の化合物を含んでもよい。あるいは、本発明の化合物を、賦形剤を用いずに提供することができる。製剤の包装は、単回投与または複数回投与送達に好適なものであってよい。複数回投与送達の場合、製剤を予め定量する(例えば、Diskus、GB2242134、米国特許第6,632,666号、5,860,419号、5,873,360号および5,590,645号もしくはDiskhaler、GB2178965、2129691および2169265、米国特許第4,778,054号、4,811,731号、5,035,237号を参照。その開示内容は参照により本明細書に組み入れられる)か、または使用時に定量する(例えば、Turbuhaler、EP69715または米国特許第6,321,747号に記載されたデバイスを参照。これらの開示内容は参照により本明細書に組み入れられる)ことができる。単回投与用デバイスの例はRotahaler(GB 2064336および米国特許第4,353,656号を参照。これらの開示内容は参照により本明細書に組み入れられる)である。Diskusの吸入デバイスは、その長さに沿って配置された複数の凹部を有する基部シートおよび複数の容器を規定する気密的であるが剥がれるように密封された蓋シートから形成された長いストリップを含み、各容器はその中に、好ましくはラクトースと混合された式(I)または(Ia)の化合物を含む吸入可能製剤を有する。このストリップはロールに巻き取れるように十分に可撓性であるのが好ましい。蓋シートおよび基本シートは、好ましくは互いに密封されていない先導末端部分を有し、該先導末端部分の少なくとも一方は巻き取り手段に取り付けられるように構築される。また、基本シートと蓋シートの間の気密シートはその全体の幅に渡って伸びているのが好ましい。蓋シートは、前記基本シートの最初の末端から長軸方向に基本シートから剥がすことができるのが好ましい。
【0052】
吸入による肺への局所送達のためのスプレー組成物を、例えば、定量噴霧式吸入器などの加圧した包装から送達される水性溶液もしくは懸濁液として、またはエアロゾルとして、好適な液体推進剤を用いて製剤化することができる。吸入に好適なエアロゾル組成物は懸濁液であっても溶液であってもよく、一般的には、必要に応じて別の治療上の活性成分およびフルオロカーボンもしくは水素含有クロロフルオロカーボンまたはその混合物、特に、ヒドロフルオロアルカン、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、特に1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパンまたはその混合物などの好適な推進剤と組合せた式(I)または(Ia)の化合物を含む。二酸化炭素または他の好適な気体を推進剤として用いることもできる。エアロゾル組成物は賦形剤を含まなくてもよく、必要に応じてオレイン酸またはレシチンなどの界面活性剤およびエタノールなどの共溶媒などの当業界で公知のさらなる製剤賦形剤を含んでもよい。加圧製剤は一般的には、バルブ(例えば、定量用バルブ)を用いて閉じられ、マウスピースを備えた作動装置中に固定されたキャニスター(例えば、アルミニウムキャニスター)中で保持することができる。
【0053】
吸入による投与のための薬剤は制御された粒子径を有するのが望ましい。気管支系への吸入のための最適な粒子径は通常1〜10μm、好ましくは2〜5μmである。20μmを超える径を有する粒子は、吸入された場合には小さい気道に到達するには一般的には大きすぎる。これらの粒子径を達成するために、製造する活性成分の粒子を、例えば微粉状化などの従来の手段により径を減少させることができる。所望の画分を、空気分類または篩により分離することができる。この粒子は結晶であるのが好ましい。ラクトースなどの賦形剤を用いる場合、一般的には、賦形剤の粒子径は本発明内の吸入される薬剤よりも大きいであろう。賦形剤がラクトースである場合、それは典型的には粉砕されたラクトースとして存在し、85%を超えるラクトース粒子が60〜90μmのMNDを有し、15%未満が15μm未満のMNDを有するであろう。
【0054】
経鼻スプレーは、増ちょう剤、pHを調整するためのバッファー塩もしくは酸もしくはアルカリ、等張性調整剤または酸化防止剤などの薬剤を添加した水性または非水性ビヒクルを用いて製剤化することができる。
【0055】
噴霧による吸入のための溶液は、酸もしくはアルカリ、バッファー塩、等張性調整剤または抗微生物剤などの薬剤を添加した水性ビヒクルを用いて製剤化することができる。これらを、濾過もしくはオートクレーブ中での加熱により滅菌するか、または非滅菌製品として提供することができる。
【0056】
直腸投与のための製剤は、ココアバターまたはポリエチレングリコールなどの通常の担体を含む坐剤として提供することができる。
【0057】
例えば、頬または舌下などの口中での局所投与のための製剤としては、スクロースおよびアカシアもしくはトラガカントなどの香料基剤中に活性成分を含むロゼンジ剤、ならびにゼラチンおよびグリセリンもしくはスクロースおよびアカシアなどの基剤中に活性成分を含むトローチ剤が挙げられる。
【0058】
好ましい単位投与製剤は、前記の有効量、またはその好適な画分の活性成分を含むものである。
【0059】
特に上記した成分に加えて、本発明の製剤は目的の製剤のタイプに応じて当業界で従来的な他の薬剤を含んでもよく、例えば、経口投与に好適なものは香料を含んでもよいことを理解すべきである。
【0060】
本発明による化合物および医薬製剤を1種以上の他の治療剤、例えば、抗炎症剤、抗コリン剤(特にM1、M2、M1/M2もしくはM3受容体アンタゴニスト)、他のβ2-アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染剤(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤)、または抗ヒスタミン剤と組合せて用いるか、またはこれを含んでもよい。かくして、本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物または製薬上許容し得るその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、1種以上の他の治療的に活性な薬剤、例えば、抗炎症剤(例えば、コルチコステロイドもしくはNSAID)、抗コリン剤、別のβ2-アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染剤(例えば、抗生物質もしくは抗ウイルス剤)、または抗ヒスタミン剤とを含む組合せ物を提供する。好ましいものは、式(I)の化合物または製薬上許容し得るその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、コルチコステロイド、および/または抗コリン剤、および/またはPDE-4阻害剤とを含む組合せ物である。好ましい組合せ物は1または2種の他の治療剤を含むものである。
【0061】
当業者にとっては、好適には、他の治療成分を、塩(例えば、アルカリ金属もしくはアミン塩として、または酸付加塩として)、またはプロドラッグの形態で、またはエステル(例えば、低級アルキルエステル)として、または溶媒和物(例えば、水和物)として用いて、該治療成分の活性および/または安定性および/または物理的特徴(例えば、溶解性)を最適化することができることが明らかであろう。また、好適には、前記治療成分を光学的に純粋な形態で用いることができることも明らかであろう。
【0062】
好適な抗炎症剤としてはコルチコステロイドおよびNSAIDが挙げられる。本発明の化合物と組み合わせて用いることができる好適なコルチコステロイドは、経口用および吸入用コルチコステロイドならびに抗炎症活性を有するそのプロドラッグである。例としては、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3S-イル)エステル、ベクロメタゾンエステル(例えば、17-プロピオン酸エステルまたは17,21-ジプロピオン酸エステル)、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル(例えば、フロエートエステル)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド、プロピオン酸ブチキソコート、RPR-106541、およびST-126が挙げられる。好ましいコルチコステロイドとしては、プロピオン酸フルチカゾン、および6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルが挙げられるが、より好ましくは、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルである。
【0063】
好適なNSAIDとしては、クロモグリケートナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(例えば、テオフィリン、PDE4阻害剤もしくは混合PDE3/PDE4阻害剤)、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエン合成の阻害剤、iNOS阻害剤、トリプターゼおよびエラスターゼ阻害剤、β-2インテグリンアンタゴニストおよびアデノシン受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えば、アデノシン2aアゴニスト)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、ケモカインアンタゴニスト)またはサイトカイン合成の阻害剤が挙げられる。好適な他のβ2-アドレナリン受容体アゴニストとしては、サルメテロール(例えば、キシナフォエートとして)、サルブタモール(例えば、硫酸塩もしくは遊離塩基として)、ホルモテロール(例えば、フマル酸塩として)、フェノテロールまたはテルブタリンおよびその塩が挙げられる。
【0064】
特に興味深いのは、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤または混合PDE3/PDE4阻害剤と組合せた式(I)または(Ia)の化合物の使用である。本発明のこの態様において有用なPDE4-特異的阻害剤は、PDE4酵素を阻害することが知られているか、またはPDE4阻害剤として作用することが発見されており、PDEファミリーの他のメンバーを阻害する化合物ではなく、PDE4阻害剤のみである任意の化合物ならびにPDE4であってよい。一般的には、高い親和性でロリプラムに結合するPDE4触媒形態のIC50を低い親和性でロリプラムに結合する形態のIC50で割ったものとみなされる、約0.1以上のIC50比を有するPDE4阻害剤を使用するのが好ましい。本発明の開示のために、低い親和性でRおよびSロリプラムに結合するcAMP触媒部位を「低親和性」結合部位(LPDE4)と命名し、高い親和性でロリプラムに結合するこの触媒部位の他の形態を「高親和性」結合部位(HPDE4)を命名する。この用語「HPDE4」を、ヒトPDE4を指すのに用いる「hPDE4」と混同してはならない。
【0065】
IC50比を決定するための方法は参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,998,428号に説明されている。また、前記アッセイの別の記載についてはPCT出願WO 00/51599を参照されたい。
【0066】
本発明における使用の好ましいPDE4阻害剤は、有益な治療比を有する化合物、すなわち、酵素が低い親和性でロリプラムに結合する形態にあり、それによって高い親和性でロリプラムに結合する形態の阻害に関連することが明らかである副作用を低減する、cAMP触媒活性を優先的に阻害する化合物である。これを記述する別の方法は、好ましい化合物は高い親和性でロリプラムに結合するPDE4触媒形態のIC50を低い親和性でロリプラムに結合する形態のIC50で割ったものとみなされる、約0.1以上のIC50比を有するであろうということである。
【0067】
この基準のさらなる改良版(refinement)は、PDE4阻害剤は約0.1以上のIC50比を有し;該比は、基質として1μM[3H]-cAMPを用いて低い親和性でロリプラムに結合する形態のPDE4触媒活性を阻害するIC50値に対する、高い親和性でロリプラムに結合するPDE4の形態への1 nMの[3H]R-ロリプラムの結合と競合するIC50値の比である。
【0068】
最も好ましいものは、0.5を超えるIC50比を有するPDE4阻害剤、および特に1.0を超える比を有する化合物である。好ましい化合物はシス4-シアノ-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、2-カルボメトキシ-4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オンおよびシス-[4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オール]であり;これらは低親和性結合部位に優先的に結合し、0.1以上のIC50比を有する化合物の例である。
【0069】
目的の他の化合物としては、
1996年9月3日発行の米国特許第5,552,438号に記載の化合物が挙げられ、この特許および化合物は参照によりその開示全体が本明細書に組み入れられるものとする。米国特許第5,552,438号に開示されている、特定の目的の化合物は、シス-4-シアノ-4-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]シクロヘキサン-1-カルボン酸(シロマラストとしても知られる)およびその塩、エステル、プロドラッグまたは物理的形態;
elbionからのAWD-12-281(Hofgen, N.ら、15版 EFMC Int Symp Med Chem (Sept 6-10, Edinburgh) 1998, Abst P.98; CAS参照番号247584020-9);NCS-613と命名された9-ベンジルアデニン誘導体(INSERM);ChiroscienceおよびSchering-PloughからのD-4418;CI-1018(PD-168787)として同定され、Pfizerに属するベンゾジアゼピンPDE4阻害剤;WO99/16766中でKyowa Hakkoにより開示されたベンゾジオキソール誘導体;Kyowa HakkoからのK-34;NappからのV-11294A (Landells, L.J.ら、Eur Resp J [Annu Cong Eur Resp Soc (Sept 19-23, Geneva) 1998] 1998, 12 (Suppl. 28): Abst P2393);Byk-Guldenからのロフルミラスト(CAS参照番号162401-32-3)およびフタラジノン(WO99/47505、その開示は参照により本明細書に組み入れられるものとする);Byk-Gulden、現在はAltanaにより製造および公開された混合PDE3/PDE4阻害剤であるプマフェントリン、(-)-p-[(4aR*,10bS*)-9-エトキシ-1,2,3,4,4a,10b-ヘキサヒドロ-8-メトキシ-2-メチルベンゾ[c][1,6]ナフチリジン-6-イル]-N,N-ジイソプロピルベンズアミド;Almirall-Prodesfarmaにより開発中のアロフィリン;VernalisからのVM554/UM565;またはT-440(Tanabe Seiyaku; Fuji, K.ら、J Pharmacol Exp Ther,1998, 284(1): 162)およびT2585である。
【0070】
他の可能性のあるPDE-4および混合PDE3/PDE4阻害剤としては、WO01/13953に列挙されたものが挙げられ、その開示は参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0071】
好適な抗コリン剤は、ムスカリン受容体に対するアンタゴニストとして働く化合物、特にM1およびM2受容体のアンタゴニストである化合物である。例示的な化合物としては、アトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、ヒヨスチアミンなどにより示されるベラドンナ植物のアルカロイドが挙げられる;これらの化合物は通常は4級アミンである塩として投与される。これらの薬剤、特にその塩形態は、いくつかの市販の起源から容易に入手可能であり、または文献データ、すなわち、アトロピン-CAS-51-55-8もしくはCAS-51-48-1(無水形態)、硫酸アトロピン-CAS-5908-99-6;酸化アトロピン-CAS-4438-22-6もしくはそのHCl塩-CAS-4574-60-1および硝酸メチルアトロピン-CAS-52-88-0、ホマトロピン-CAS-87-00-3、臭化水素塩-CAS-51-56-9、臭化メチル塩-CAS-80-49-9、ヒヨスチアミン(d,l)-CAS-101-31-5、臭化水素塩-CAS-306-03-6および硫酸塩-CAS-6835-16-1、スコピラミン-CAS-51-34-3、臭化水素塩-CAS-6533-68-2、臭化メチル塩-CAS-155-41-9から製造もしくは調製することができる。
【0072】
好ましい抗コリン剤としては、Atroventの名で販売されているイプラトロピウム(例えば、臭化物として)、オキシトロピウム(例えば、臭化物として)およびチオトロピウム(例えば、臭化物として)(CAS-139404-48-1)が挙げられる。また興味深いのは、メタンテリン(CAS-53-46-3)、臭化プロパンテリン(CAS-50-34-9)、アニソトロピンメチルブロミドまたはValpin 50 (CAS-80-50-2)、臭化クリジニウム(Quarzan, CAS-3485-62-9)、コピロレート (Robinul)、ヨウ化イソプロパミド (CAS-71-81-8)、臭化メペンゾレート(米国特許第2,918,408号)、塩化トリジヘキセチル(Pathilオン, CAS-4310-35-4)、およびヘキソシクリウムメチルサルフェート(Tral, CAS-115-63-9)である。また、塩酸シクロペントレート(CAS-5870-29-1)、トロピカミド(CAS-1508-75-4)、塩酸トリヘキシフェニジル(CAS-144-11-6)、ピペンゼピン(CAS-29868-97-1)、テレンゼピン(CAS-80880-90-9)、AF-DX 116、またはメトクトラミン、およびWO01/04118に開示された化合物(この開示は参照により本明細書に組み入れられるものとする)も参照されたい。
【0073】
好適な抗ヒスタミン剤(H1-受容体アンタゴニストとも呼ばれる)としては、H1-受容体を阻害し、ヒトへの使用にとって安全であることが知られている任意の1種以上のアンタゴニストが挙げられる。全てはH1-受容体とヒスタミンとの相互作用の可逆的、競合的な阻害剤である。これらの阻害剤の大部分、ほとんど第1世代のアンタゴニストは、下記式:
【化6】

【0074】
により表されるコア構造を有する。
【0075】
この一般化された構造は、一般的に利用可能な、エタノールアミン、エチレンジアミン、およびアルキルアミンの3つの型の抗ヒスタミン剤を表す。さらに、他の第1世代の抗ヒスタミン剤としては、ピペリジンおよびフェノチアジンに基づくものとして特徴付けることができるものが挙げられる。非鎮静性である第2世代のアンタゴニストは、それらがコアエチレン基(アルキルアミン)を保持し、ピペラジンまたはピペリジンを有する第3アミン基を模倣するという点で類似した構造活性相関を有する。例示的なアンタゴニストとしては以下のもの:
エタノールアミン:マレイン酸カルビノキサミン、フマル酸クレマスチン、塩酸ジフェニルヒドラミン、およびジメンヒドリネート、エチレンジアミン:ピリルアミンアムレエート、トリペレナミンHCl、およびクエン酸トリペレナミン、アルキルアミン:クロロフェニラミンおよびマレイン酸塩などのその塩、ならびにアクリバスタチン、ピペラジン:ヒドロキシジンHCl、パモ酸ヒドロキシジン、シクリジンHCl、乳酸シクリジン、メクリジンHCl、およびセトリジンHCl、ピペリジン:アステミゾール、レボカバスチンHCl、ロラタジンまたはそのデスカルボエトキシ類似体、ならびに塩酸テルフェナジンおよび塩酸フェキソフェナジンまたは別の製薬上許容し得る塩、
が挙げられる。
【0076】
塩酸アゼラスチンは、PDE4阻害剤と組み合わせて用いることができるさらに別のH1受容体アンタゴニストである。
【0077】
好ましい抗ヒスタミン剤の例としては、メタピリレンおよびロラタジンが挙げられる。
【0078】
従って、本発明は、さらなる態様において、式(I)もしくは(Ia)の化合物、またはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、PDE4阻害剤とを含む組み合わせを提供する。本発明は、式(Ia)の化合物、またはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、上記した好ましいPDE4阻害剤(例えば、シス-4-シアノ-4-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]シクロヘキサン-1-カルボン酸)とを含む組み合わせを含むことが好ましい。
【0079】
従って、本発明は、さらなる態様において、式(I)もしくは(Ia)の化合物、またはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、コルチコステロイドとを含む組み合わせを提供する。本発明は、式(Ia)の化合物、またはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物または生理学的に機能的な誘導体と、上記した好ましいコルチコステロイド(例えば、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルおよび6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル)とを含む組み合わせを提供することが好ましい。
【0080】
従って、本発明は、さらなる態様において、式(I)もしくは(Ia)の化合物、またはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導と、抗コリン剤とを含む組み合わせを提供する。本発明は、式(Ia)の化合物、またはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、上記した好ましい抗コリン剤(例えば、イプラトロピウム、オキシトロピウムまたはチオトロピウム)を含む組み合わせを提供することが好ましい。
【0081】
従って、本発明は、さらなる態様において、式(I)もしくは(Ia)の化合物、またはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、抗ヒスタミン剤とを含む組み合わせを提供する。本発明は、式(Ia)の化合物、またはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、上記した好ましい抗ヒスタミン剤を含む組み合わせを提供することが好ましい。
【0082】
従って、本発明は、さらなる態様において、式(I)もしくは(Ia)の化合物、またはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、PDE4 阻害剤およびコルチコステロイドとを含む組み合わせを提供する。本発明は、式(Ia)の化合物、またはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、上記した好ましい抗ヒスタミン剤および好ましいコルチコステロイドとを含む組み合わせを提供することが好ましい。
【0083】
従って、本発明は、さらなる態様において、式(I)もしくは(Ia)の化合物、またはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、抗コリン剤およびPDE-4阻害剤とを含む組み合わせを提供する。本発明は、式(Ia)の化合物、またはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、上記した好ましいPDE4阻害剤および好ましい抗コリン剤とを含む組み合わせを提供することが好ましい。
【0084】
上記言及した組み合わせは、医薬製剤の形態で、使用のために都合よく提供されることができ、従って、上記定義した組み合わせと、生理学的に許容可能な希釈剤または担体とを含む医薬製剤は、本発明のさらなる態様を表す。
【0085】
このような組み合わせの個々の化合物は、個別のまたは組み合わせられた医薬製剤として、連続的にまたは同時に投与され得る。既知の治療薬の適切な用量は当業者であれば容易に理解できるであろう。
【0086】
本発明のさらなる態様によれば、式(I)もしくは(Ia)の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体を調製する方法であって、以下に定義するプロセスの後、任意の順序で以下のステップ:
(i)任意の保護基を必要に応じて除去するステップ;
(ii)鏡像異性体の混合物から鏡像異性体を必要に応じて分離するステップ;
(iii)式(I)の1つの化合物から式(I)の異なる化合物に必要に応じて変換するステップ(例えば、R1 がSR6である化合物から、R1がSOR6もしくはSO2R6である化合物への変換、またはR1がSOR6である化合物から、R1がSO2R6である化合物への変換);
(iv)R6がシクロアルケニルを表す化合物から、R6がシクロアルキルを表す化合物に(例えば、水素化によって)必要に応じて変換するステップ;
(v)生成物の、対応するその塩、溶媒和物または生理学的に機能的な誘導体に必要に応じて変換するステップ
を含む方法が提供される。
【0087】
1つの一般的なプロセス(a)では、式(I)または(Ia)の化合物は、例えば式(II):
【化7】

【0088】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、mおよびnは、式(I)または(Ia)の化合物について定義した通りであり、R19は任意に保護された形態のArであり;R20およびR21は各々独立に水素または保護基のいずれかであるが、但し式(II)の化合物は少なくとも1個の保護基を含む)
で表される保護された中間体、またはその塩もしくは溶媒和物を脱保護することにより得ることができる。
【0089】
好ましい基Arの任意に保護された形態は:
【化8】



【0090】
(式中、R22およびR23は各々独立に、水素または保護基のいずれかであるが、但しR22およびR23の少なくとも1つが保護基であり、(xvia)および(xixa)中の点線は任意的な二重結合を表す)から選択され得る。
【0091】
本プロセスおよび本明細書に記載する他のプロセスにおける式(Ia)の化合物を得るために、R19は上記構造(ia)を表すことが理解されよう。
【0092】
適切な保護基は、Theodora W GreeneおよびPeter G M Wutsによる"Protective Groups in Organic Synthesis"、第3版(John Wiley and Sons、1999)に記載されるもののような任意の従来保護基であり得る。R22およびR23で表される適切なヒドロキシル保護基の例は、酢酸エステル等のエステル、ベンジル、ジフェニルメチルまたはトリフェニルメチル等のアラルキル基、およびテトラヒドロピラニルである。R20で表される適切なアミノ保護基の例としては、ベンジル、α-メチルベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、およびトリクロロアセチルまたはトリフルオロアセチル等のアシル基が挙げられる。
【0093】
当業者には理解されるように、そのような保護基の使用は、別の基の存在下での一方の基の選択的除去を容易にし、従って単一のアミノまたはヒドロキシル基の選択的な官能化を可能にする、式(II)の化合物中の基の直行的な保護を含み得る。例えば、-CH(OH)基を、例えば、トリエチルシリル等のトリアルキルシリル基を使用して、-CHOR21として直行的に保護することができる。当業者であればまた、Theodora W Greene(上掲)に記載されるように従来の手段により利用可能な他の直行的な保護戦略も理解できるであろう。
【0094】
式(I)または(Ia)の化合物を得るための脱保護は、従来技術を用いて行うことができる。従って、例えば、R22、R23および/またはR20がアラルキル基である場合、これを、金属触媒(例えば、活性炭上のパラジウム)の存在下での水素添加により切断することができる。
【0095】
R23および/またはR24がテトラヒドロピラニルである場合、これを、酸性条件下での加水分解により切断できる。R20で表されるアシル基を、例えば、水酸化ナトリウム等の塩基を用いる加水分解により除去することができるか、またはトリクロロエトキシカルボニル等の基を、例えば、亜鉛および酢酸を用いる還元により除去することができる。他の脱保護方法はTheodora W Greene(上掲)から知ることができる。
【0096】
プロセス(a)の特定の実施形態において、(例えば、式(Ia)のように)Arが構造(i)の基を表す場合、R22およびR23は一緒になって、式(III):
【化9】

【0097】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R20、R21、mおよびnは式(II)の化合物について定義された通りであり、R24およびR25は水素、C1-6アルキルもしくはアリールから独立に選択されるか、またはR24およびR25は一緒になって、C3-7アルキル基を形成する)
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物中におけるような保護基を表してもよい。好適な態様では、R24およびR25は両方ともメチルである。
【0098】
式(III)の化合物を、好適な溶媒に入った酢酸もしくは塩酸等の希釈水性酸を用いる加水分解により、または、通常もしくは上昇した温度で、酸(例えば、トルエンスルホン酸)もしく塩(ピリジニウムトシラートなど)等の触媒の存在下にてエタノール等のアルコール中でのトランスケタール化により、式(I)の化合物に変換することができる。
【0099】
式(III)に示される保護基R22、R23、R20およびR21(R22およびR23により形成される環化保護基を含む)を、単一の工程で、または連続的に除去することができることが理解されるであろう。保護基を除去する正確な順序は、部分的には前記基の性質に依存し、当業者に容易に理解されるであろう。好ましくは、R22およびR23が一緒になって式(III)のような保護基を形成する場合、この保護基を、CH(OH)部分上の任意の保護基と共に除去した後、R20を除去する。
【0100】
R20およびR21が水素を表す式(II)および(III)の化合物を、式(IV):
【化10】

【0101】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R19、mおよびnは式(II)または(III)の化合物について定義した通りである)
の対応する化合物またはその塩もしくは溶媒和物から製造することができる。
【0102】
式(IV)の化合物から式(II)または(III)の化合物への変換を、テトラヒドロフラン等の好適な溶媒に入った塩基(例えば、トリメチルシラノール酸カリウム(potassium trimethylsilanolate)等の非水性塩基、または水性水酸化ナトリウム等の水性塩基)で処理することにより行うことができる。
【0103】
R1が基SR6を表す式(IV)の化合物を、式(V):
【化11】

【0104】
(式中、R2、R3、R4、R5、R19、mおよびnは式(II)について定義した通りであり、Lは例えばハロ基(好ましくはヨード)等の脱離基である)の対応する化合物から;
1,1ビス-(ジフェニルホスフィン)フェロセン、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジ-パラジウム、 N-メチルピロリジノン、およびトリエチルアミン等の有機塩基の存在下での化合物R6SHとの反応により、調製することができる。この反応から最初に得られるスルフィド生成物は所望であれば酸化させて、式(IV)の対応する化合物(式中、R1は基SOR6を表す)を得てもよい。酸化は、適切な溶剤(例えばエタノール等のアルコール、または過酸)に入った従来の酸化剤(例えば過ヨウ素酸ナトリウム)、例えば、ジクロロメタン等の適切な溶剤に入ったメタクロロ過安息香酸、または酢酸等の適切な溶剤に入った過酸化水素、を使用して実行できる。
【0105】
R1がSOR6を表す場合、生成物は、最初、ジアステレオ異性体の混合体として得ることができる。これらは、従来方法により、例えばキラルHPLC等のキラルクロマトグラフィーを使用することにより分離できる。あるいはまた、キラル酸化剤を使用して、選択的にジアステレオマー形態の1つとして、スルホキシドを調製できる。
【0106】
R1がSO2R6を表す式(IV)の化合物は、R1がSOR6またはSR6を表す式(IV)の対応する化合物を、過酸(例えば メタクロロ過安息香酸)との反応により酸化させることにより調製され得る。硫化物(すなわち、R1はSR6を表す)を出発材料として採用する場合、過酸を過剰に使用して完全な酸化を確実にしなければならない。スルホキシド出発材料は、ジアステレオ異性体の混合体として都合よく採用され得る。
【0107】
式(V)の化合物を、化合物R6SH(式中、R6はシクロアルキルまたはシクロアルケニル基のいずれかを表す)と反応させることが可能である一方、化合物(IV)(式中、R6はシクロアルケニル基を表す)に対するその後の任意の酸化ステップも、該シクロアルケニル基の酸化をもたらすことが当業者には理解できるであろう。しかし、化合物(IV)(式中、R1はSOR6またはSO2R6を表す(R6はシクロアルケニル基)は、以下に記載するプロセス(b)の方法論により調製され得る。
【0108】
式(IV)の化合物は、以下のプロセス(c)および(d)と同様の方法によっても(例えば、式(VI)の化合物を、式(XVII)の化合物と以下に定義するように反応させることにより)調製され得る。
【0109】
式(V)の化合物は、式(VI):
【化12】

【0110】
(式中、R19は式(V)の化合物について定義した通りである)
の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物と、
式(VII):
【化13】

【0111】
(式中、R4、R5、L、mおよびnは式(V)の化合物について定義した通りであり、L1は脱離基(例えばハロ基(典型的に、ブロモもしくはヨード)、またはアルキルスルホネート(典型的に、メタンスルホネート)、アリールスルホネート(典型的に、トルエンスルホネート)もしくはハロアルキルスルホネート(典型的に、トリフルオロメタンスルホネート)等のスルホネート)である)
の化合物とをカップリングさせることにより調製され得る。
【0112】
式(VI)の化合物と式(VII)の化合物とのカップリングは、非プロトン性溶剤(例えば、N,N-ジメチルホルムアミドもしくはテトラヒドロフラン)に入った、金属水素化物等の塩基(例えば、水素化ナトリウム)、または炭酸セシウム等の無機塩基の存在下で行うことができる。
【0113】
式(VI)の化合物は、例えば、WO 02/066422に記載されるように調製され得る。
【0114】
式(VII)の化合物は、式(VIII):
【化14】

【0115】
(式中、R4、R5およびmは、式(I)の化合物について定義した通りであり、L1はそれぞれハロ、典型的にブロモを表す)
の対応するジハロアルカンから;
式(IX):
【化15】

【0116】
(式中、R2、R3、Lおよびn は、式(VII)の化合物について定義した通り)
のアルコールとの反応により調製され得る。
【0117】
式(VII)の化合物中の基Lがブロモを表す場合、所望であれば、これを、テトラヒドロフラン等の溶剤中、n-ブチルリチウム等のアルキルリチウムの存在下でのヨウ素との反応によりヨード置換基について置換してもよいことが理解されよう。
【0118】
化合物(VIII)および(IX)のカップリングは、テトラアルキルアンモニウムブロミド等のアンモニウム塩の存在下、相転位条件下で、水性水酸化ナトリウム等の無機塩基の存在下で行われ得る。
【0119】
式(VIII)および(IX)の化合物は、公知であるか、または標準的な方法により製造され得る。
式(I)、(II)または(III)の化合物はまた、以下のプロセス(b)〜(e)に記載されるように調製され得る。
【0120】
従って、その先のプロセス(b)では、R1が基SO2R6を表し、R6がシクロアルケニル基を表す式(I)、(II)または(III)の化合物は、式(X):
【化16】

【0121】
(式中、R2、R3、R4、R5、mおよびnは式(I)について定義した通りであり、R19はArの任意に保護された形態であり、R20およびR21は各々独立に水素または保護基を表し、R26は各々独立に水素またはC1-4アルキルを表し、xおよびyは各々0、1または2を表す)の化合物から;
閉環させて、シクロアルケニル基を形成することにより調製され得る。
【0122】
閉環は、オレフィンメタセシス化学反応により生じさせることができる。この方法では、式(X)の化合物を、ベンジリデン-ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)-ジクロロルテニウム等のルテニウム触媒(グラブス(Grubbs)触媒)またはモリブデン(シュロック(Schrock))触媒と反応させて、所望のシクロアルケン部分を形成させ、エチレンまたは置換エチレンを好ましくは気体として同時に生成させる。R26は好ましくは小部分(例えば、水素またはメチル)、最も好ましくは水素である。ルテニウム触媒を採用することが好ましい。所望であれば、触媒はポリマー担持(polymer-supported)であり得る。メタセシス化学反応および触媒の概説が、S J ConnonおよびS Blechert、Angew. Chem. Int. Ed. 2003、42、1900に記載されている。
【0123】
式(X)の化合物は、式(XI):
【化17】

【0124】
(式中、R4、R5、R19、R20、R21、mおよびnは、式(X)の化合物について上記定義した通りである)
の化合物を、
式(XII):
【化18】

【0125】
(式中、R2、R3、R26、xおよびyは、式(X)について定義された通りであり、L2はハロ(例えば、ブロモ)である)
の化合物と反応させることにより調製され得る。
【0126】
この方法では、式(XI)の化合物を最初に立体障害ボラン化合物(例えば、9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、テキシルボラン(thexylborane)、カテコールボランまたはジシアミルボラン)等の環式ボラン誘導体と反応させ、その後、酢酸パラジウム、PdCl2、Pd(PPh3)4またはPd2(dba)3等の触媒;ならびにトリフェニルホスフィン、(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィンまたはトリ-tert-ブチルホスフィン等のホスフィン;および水性リン酸カリウムもしくはナトリウム、炭酸カリウムもしくはナトリウム、または酢酸ナトリウム等の塩基の存在下で化合物(XII)とカップリングさせる。
【0127】
式(XI)の化合物は、例えば、式(XIII):
【化19】

【0128】
(式中、R19、R20およびR21は上記定義された通りである)
の化合物を;
式(XIV):
【化20】

【0129】
(式中、L1、R4、R5、mおよびnは、式(VII)について定義した通りである)の化合物と反応させることにより調製され得る。
【0130】
式(XIII)の化合物は、当該分野で公知であるか(例えば、EP-A 0947498もしくはWO 02/070490)、または当業者により容易に調製され得る。
【0131】
R19が基(v)である化合物(XIII)の調製に関するこれ以上の詳細はDE3524990で;R19が基(ii)、(viii)および(xvi)である化合物(XIII)の調製に関してはEP-A-162576で;R19が基(iv)である化合物(XIII)の調製に関してはEP-A-220054で;R19が基(xi)である化合物(XIII)の調製に関してはGB2165542で、ならびにR19が基(c)である化合物(XIII)の調製に関してはGB2230523で知ることができる。
【0132】
式(XIV)の化合物は、標準的な方法により、例えば、対応するジハロアルカンおよびヒドロキシアルケンから、従来の化学反応により、典型的には、水性水酸化ナトリウム等の無機塩基の存在下、相転位条件下で、テトラアルキルアンモニウムブロミド等のアンモニウム塩の存在下で調製され得る。
【0133】
式(XII)の化合物は、式(XV):
【化21】

【0134】
の化合物を、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド等の塩基と、テトラヒドロフラン等の溶剤中で反応させ、その後、式:
【化22】

【0135】
のアルケニルハロゲン化物と反応させるか、または、式(XII)中のxおよびy が各々異なる値を有する場合、L2(CH2)xCH=CHR26およびL2(CH2)yCH=CHR26のぞれぞれとの段階的に反応させることにより調製され得る。
【0136】
あるいはまた、xおよび/またはyがゼロを表す場合、-SO2CH(CH=CHR26)2または-SO2CH2CH=CHR26部分を従来方法により芳香環と直接カップリングしてもよい。
【0137】
式(XV)の化合物は、例えば、Tet. Letts. 1994、35、9063に記載されるように標準的な方法で調製され得る。
【0138】
R1が-SO2R6を表し、R6がシクロアルケニルを表す式(IV)の化合物が、式(XVI):
【化23】

【0139】
(式中、R4、R5、R19、mおよびnは式(II)の化合物について定義した通りであり、これは式(VI)の化合物と式(XIV)の化合物とを、化合物(XIII)と化合物(XIV)との反応と同様に反応させることにより調製され得る)
の化合物を使用して、プロセス(b)の方法によっても調製され得ることが理解されよう。
【0140】
シクロアルケニル基R6を形成するステップは、反応の任意の都合のよい段階において実行され得ることがさらに理解されよう。しかし、シクロアルケニル部分を保持するためには、このステップは水素化、ヒドロホウ素化または酸化反応を伴う任意の段階の後に実行するべきである。
【0141】
さらなるプロセス(c)では、式(I)、(II)または(III)の化合物は、式(XIII):
【化24】

【0142】
(式中、R19はArの任意に保護された形態を表し、R20およびR21は各々独立に水素または保護基のいずれかである、例えば式(II)について定義した通り)のアミンと;
式(XVII):
【化25】

【0143】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、mおよびnは式(I)の化合物について定義した通りであり、L1はハロ(典型的に、ブロモ)等の脱離基またはスルホネート(例えば、ハロアルキルスルホネート(典型的に、トリフルオロメタンスルホネート))の化合物とのアルキル化;その後、上記従来の方法により存在する保護基を除去して式(II)の化合物を脱保護することにより得ることができる。
【0144】
式(XIII)の化合物と、式(XVII)の化合物との反応は、トリアルキルアミン、例えば、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基の存在下にて、例えばジメチルホルムアミド等の適切な溶剤中で任意に行う。
【0145】
式(XVII)の化合物は、式(XIV):
【化26】

【0146】
(式中、L1、R4、R5、mおよびnは式(XI)について定義した通りである)のオレフィンを、
式(XVIII):
【化27】

【0147】
(式中、R1、R2およびR3は式(I)について上記定義した通りであり、L2はハロ(例えば、ブロモ)である)の化合物と;
プロセス(b)において上述した化合物(XI)と化合物(XII)との反応と同様に反応させることにより;
または化合物(XIV)を式(XII)の化合物と反応させて、その後上記プロセス(b)に記載したようなメタセシス反応を行うことにより、調製される。
【0148】
R1がSR6、SOR6またはSO2R6であり、R6がシクロアルキル基を表す式(XVIII)の化合物は、市販されているか、または当業者に周知の方法により調製され得る。
式(XVII)の化合物はまた、以下に定義するように式(XX)の化合物の還元によっても調製され得る。
【0149】
さらに先のプロセス(d)では、式(I)、(II)または(III)の化合物は、式(XIX):
【化28】

【0150】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、mおよびnは式(I)について定義した通りであり、R19はArの任意に保護された形態を表し、R20およびR21は各々独立に上記定義したように水素または保護基である)
の化合物の還元により得ることができる。
【0151】
還元は、触媒(例えば、パラジウム/活性炭または酸化白金)の存在下における水素化等の任意の適切な方法により行うことができる。
【0152】
R1がシクロアルケニル部分を含む場合、これを対応するシクロアルキル部分に水素添加できることが当業者に理解されよう。従って、この方法は、R1がシクロアルケニル基を含む生成物を得ることが望ましい場合には適切ではない。
【0153】
R19がArを表し、R20およびR21が各々水素を表す場合、還元により式(I)の化合物ができるが、R19、R20およびR21の1つ以上が保護基を含むかまたは表す場合、還元により式(II)または(III)の化合物ができ、これをその後脱保護して式(I)の化合物を得てもよいことが理解されよう。
【0154】
式(XIX)の化合物は、上記定義した式(XIII):
【化29】

【0155】
の化合物を、式(XX):
【化30】

【0156】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、mおよびnは式(I)の化合物について定義した通りであり、L1は上記式(VII)の化合物について定義した通りである)の化合物と反応させることにより調製され得る。
【0157】
式(XIII)の化合物と式(XX)の化合物との反応は、トリアルキルアミン、例えば、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基の存在下にて、適切な溶剤(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド)中で任意に行うことができる。
【0158】
式(XX)の化合物は、上記定義した式(XVIII):
【化31】

【0159】
の化合物を、式(XXI):
【化32】

【0160】
(式中、L1、R4、R5、mおよびnは式(XV)の化合物について上記定義した通りである)
の化合物とカップリングさせることにより調製され得る。
【0161】
あるいはまた、式(XIX)の化合物は、上記定義した式(XVIII)の化合物を、式(XXII):
【化33】

【0162】
(式中、R4、R5、m、nおよびR19は式(XIX)の化合物について定義した通りである)
の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物と反応させ、その後、プロセス(a)に記載したようにオキサゾリジノン環を開く(opening)ことにより調製され得る。
【0163】
式(XVIII)の化合物と式(XXI)または(XXII)の化合物とのカップリングは、ビス(トリフェニルホスフィン)二塩化パラジウム等の触媒系の存在下、および銅触媒(例えば、ヨウ化第一銅(cuprous iodide))の存在下にて、トリアルキルアミン、例えば、トリエチルアミン等の有機塩基と共に、例えばアセトニトリルまたはジメチルホルムアミド等の適切な溶剤中において都合よく生じる。
【0164】
式(XXII)の化合物は、上記定義した式(VI)の化合物を、上記定義した式(XXI)の化合物とカップリングすることにより調製され得る。
【0165】
式(VI)の化合物と、式(XXI)の化合物とのカップリングは、金属水素化物等の塩基(例えば、水素化ナトリウム)、または炭酸セシウム等の無機塩基の存在下、非プロトン性溶剤(例えば ジメチルホルムアミド)中にて生じさせることができる。
【0166】
式(XXI)の化合物は、対応するジハロアルカンおよびヒドロキシアルキンから、従来の化学反応により、典型的に水性水酸化ナトリウム等の無機塩基の存在下、相転位条件下で、テトラアルキルアンモニウムブロミド等のアンモニウム塩の存在下にて調製され得る。
【0167】
さらに先のプロセス(e)では、式(l)、(II)または(III)の化合物は、式(XXIII):
【化34】

【0168】
(式中、R19は上記定義した通りであり、L3はL1もしくはL2について上記定義したような脱離基である)
の化合物、または式(XXIV):
【化35】

【0169】
(式中、R19は上記定義した通りである)
の化合物を、
式(XXV):
【化36】

【0170】
のアミンと反応させ、その後、式(II)の化合物の脱保護について上述した従来方法により存在する保護基を除去することにより調製され得る。
【0171】
このような置換反応のための従来の条件を採用することにより反応を生じさせることができる。
【0172】
式(XXIII)および(XXIV)の化合物は、当該分野で公知の方法により調製され得る。
【0173】
式(XXV)の化合物は、式(XVII)の化合物をアミンR20NH2と反応させることにより調製され得る。
【0174】
さらに先のプロセス(f)では、式(I)、(II)または(III)の化合物が、式(IIa):
【化37】

【0175】
(式中、R1〜R5、mおよびnは式(I)について定義した通りであり、R19はArの任意に保護された形態を表し、R21は水素または保護基を表し、R27はキラル補助基を表す)
の化合物からキラル補助基を除去することにより調製され得る。
【0176】
「キラル補助基」は、分子に導入されて、形成する生成物の立体化学(stereochemistry)に影響を及ぼし、後に全体的または部分的に除去される部分である。キラル補助基は、保護基としても同時に作用し得る。
【0177】
多くのキラル補助基は市販されており、当業者は、所望の特性(すなわち、望ましい絶対立体化学および使用するプロセスとの適合性)に応じて選択するであろう。このプロセスにおいて使用するのに適したキラル補助基としては、フェニルグリシノールのS-異性体および/またはR-異性体、ならびにそれらの置換誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0178】
キラル補助基は、式:
【化38】

【0179】
(式中、R28はC1-6アルキルまたは任意に置換されたフェニルもしくはベンジルを表し、ここで任意の置換はC1-6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルコキシまたはニトロ(例えば、パラ-ヒドロキシフェニル)から独立に選択される1つ以上)
の部分、またはその単一の鏡像異性体であることが好ましい。
【0180】
キラル補助基は部分:
【化39】

【0181】
(式中、R28は上記定義した通りである)
であることがより好ましい。あるいはまた、式:
【化40】

【0182】
(式中、R28は上記定義した通りである)
の部分であり得る。
【0183】
R28は、上述したように任意に置換したフェニルを表す。R28は非置換フェニルを表すことが最も好ましい。
【0184】
このプロセスにおけるキラル補助基は、典型的に、例えば炭素触媒上のパラジウムを使用するか、または好ましくは水酸化パラジウム(パールマン(Pearlman's)触媒)を使用する水素添加により除去され得る。有利には、パールマン触媒を使用する場合にキラル補助基の除去が最も効率的である。この除去方法は、R18がフェニル、または置換フェニルである場合に特に適切である。あるいはまた、補助基が付着する窒素を、酸化条件下で誘導化して、加熱による除去の前にN-オキシドを形成して二次アミンを得てもよい。
【0185】
式(IIa)の化合物は、上述した、例えばプロセス(c)と同様の方法により調製され得る。 ルート(e)と同様のプロセスの詳細な説明は、国際特許出願第WO/0196278号から知ることができる。
【0186】
上述したいずれのルートにおいても、様々な基および部分が分子に導入される合成ステップの厳密な順序は変化し得ることが理解されよう。プロセスの一段階において導入される基または部分がその後の形質転換および反応により影響を受けないことを確実にすること、およびそれに応じて合成ステップの順序を選択することは当業者の範囲内である。従って、例えば、上記したように、最終生成物中のR6がシクロアルケニル部分を表すことが望ましい場合、これは水素化、ヒドロホウ素化または酸化反応のいずれかの後に導入しなければならない。
【0187】
本発明の鏡像異性体化合物は、(i)例えば、キラルクロマトグラフィーカラムの使用、酵素的分解方法、もしくは適切なジアステレオ異性体を調製および分離することによって対応するラセミ混合物の成分を分離することにより、(ii)上述した方法により適切なキラル中間体から直接合成することにより、または(iii)硫黄原子を鏡像選択的に酸化させることにより、得ることができる。
【0188】
式(I)または(Ia)の化合物から、対応する塩への任意の変換は、適切な酸または塩基との反応により都合よく行われ得る。式(I)または(Ia)の化合物から、対応する溶媒和物または生理学的に機能的な誘導体への任意の変換は、当業者に公知の方法により行われ得る。
【0189】
好適な実施形態では、上述したいずれのプロセスでも、最終生成物が式(Ia)の化合物であるように、R19は基(ia):
【化41】

【0190】
を表す。
【0191】
さらなる態様によれば、本発明は、式(I)および/または(Ia)の化合物、例えば:上記定義したかもしくは以下の具体的な実施例において挙げられる式(II)、(III)、(IV)、(X)もしくは(XIX)、またはその光学異性体、塩もしくは保護された誘導体を、調製するための新規中間体を提供する。
実施例
【0192】
本発明をより良く理解するために、以下の実施例を例示として挙げる。
【0193】
合成例
実施例を通して、以下の略語を使用する:
LC:液体クロマトグラフィー
LCMS:液体クロマトグラフィー質量スペクトル法
RT:保持時間
THF:テトラヒドロフラン(tetrahydofuran)
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
MeCN:アセトニトリル
PPh3:トリフェニルホスフィン
AcOH:氷酢酸
EtOAc:酢酸エチル
PE:石油エーテル
EtOH:エタノール
bp:沸点
ca:約
h:時間
min:分
温度は全て摂氏で示す。
【0194】
シリカゲルは、Merckシリカゲル60商品番号7734を指す。
【0195】
フラッシュシリカゲルは、Merckシリカゲル60商品番号9385を指す。
【0196】
Biotageは、フラッシュ12iクロマトグラフィーモジュール上で動くKP-Silを含む、パック済みシリカゲルカートリッジを指す。
【0197】
SPE Bond Elutは、通常は減圧下での平行精製において用いられるパック済みカートリッジである。これらはVarianから商業的に入手可能である。
【0198】
NMR実験は、(特に明記しない限り)400MHzで行った。
【0199】
LCMSは、Supelcosil LCABZ+PLUSカラム(3.3 cm×4.6 mm ID)上で、水に入った0.1% HCO2Hおよび0.01 M酢酸アンモニウム(溶媒A)、ならびにアセトニトリルに入った0.05% HCO2Hおよび5%の水(溶媒B)で溶出させ、以下の溶出勾配:0〜0.7分 0% B、0.7〜4.2分 100% B、4.2〜5.3分 100% B、5.3〜5.5分 0% Bを3 ml/分の流速で用いて行った。質量スペクトルを、電子スプレーポジティブおよびネガティブモード(ES+veおよびES-ve)を用いて、Fisons VGプラットホーム質量分析装置上で記録した。
【0200】
図中に示すXRPD分析は、X'Celerator検出器を用いて、Phillips X'pert Pro粉末回折計であるモデルPW3040/60、シリアル番号DY1379上で行った。本方法は、2〜40度の2θにて、0.0167度の2θの刻み幅(step size)、および各刻みにおいて31.75秒間の回収時間で行った。
【実施例1】
【0201】
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート
i)6-ブロモヘキシル4-(3-ブロモフェニル)ブチルエーテル
4-(3-ブロモフェニル)ブタン-1-オール(18 g)(EP 0 995 752A1)、1,6ジブロモヘキサン(48 ml)、テトラブチルアンモニウムブロミド(1.5 g)および50%水性水酸化ナトリウム溶液(500 ml)の攪拌混合物を、周囲温度にて二日間攪拌した。混合物を、水(1000 ml)に注ぎ、酢酸エチル中に抽出した。組み合わせた抽出物を水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させた。残渣油を、軽質石油(40〜60℃)で、次いで軽質石油(40〜60℃)-エーテル(9:1)で溶出して、biotage上で精製した。適切な画分を蒸発させて、表題の化合物(18 g)を得た。LCMS RT=4.34分。
【0202】
ii)6-ブロモヘキシル 4-(3-ヨードフェニル)ブチルエーテル
ヘキサンに入ったn-ブチルリチウムの溶液(1.6 M;50 ml)を、-85℃にて、窒素下で、乾燥THF(150 ml)に入った6-ブロモフェニル4-(3-ブロモフェニル)ブチルエーテル(21 g)の攪拌溶液に添加した。15分後、THF(100 ml)に入ったヨウ素(19.8 g)の溶液を、20分間にわたり滴下した。次いで、溶液を0℃まで温め、水性重亜硫酸ナトリウムを添加した。混合物を水に注ぎ、エーテルに抽出した。組み合わせた抽出物を乾燥(Na2SO4)させ、蒸発させた。残渣を、シクロヘキサン-エーテル(9:1)で溶出して、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1 kg)により精製した。適切な画分を蒸発させて、表題の化合物(17 g)を得た。LCMS RT=4.41分。
【0203】
iii)ジ(tert-ブチル)2-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-2-オキソエチルイミドジカーボネート
炭酸セシウム(70.4g)を、窒素下で、アセトニトリル(600ml)に入った2-ブロモ-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノン(Glaxo、DE 3513885、1985)(61.8g)およびジ-t-ブチルイミノジカルボン酸(butyliminodicarboxylate)(47.15g)の攪拌懸濁液に添加した。21℃にて24時間の激しい攪拌の後、混合物を水(約800 ml)で希釈し、ジエチルエーテル(1リットル、次いで200ml)で生成物を抽出した。組み合わせた有機層を塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、約400mlまで濃縮させた。白色結晶を濾過により回収し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて表題の化合物(24.4g)を得た。δ(CDCl3) 7.78(1H、dd、J 8、2Hz)、7.65(1H、brs)、6.87(1H、d、J 8Hz)、4.97(2H、s)、4.88(2H、s)、1.56(6H、s)および1.48(18H、s)。母液をさらに濃縮させて追加生成物(13.8g)を得た。シリカゲル上で母液をクロマトグラフィーにかけ、適切な溶出液を蒸発させ、ジエチルエーテルで粉砕することにより、第3の収穫(third crop)(7.1g)を得た。
【0204】
iv)tert-ブチル2-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-2-オキソエチルカルバメート
トリフルオロ酢酸(92ml)を、ジクロロメタン(3.6リットル)に入ったジ(tert-ブチル)2-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-2-オキソエチルイミドジカーボネート(352.55 g)の攪拌溶液に21℃で添加し、反応液を1.5時間攪拌させた。水性NaOH溶液(1.75リットル)を添加し、10分後に相を分離させた。有機相を水で洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、油まで蒸発させた。これを、高真空下で一晩保存し、その後ヘキサン:エーテル(3:1)で粉砕して、粗生成物(226.61g)を得た。これを、ジエチルエーテルからの再結晶化により精製して、表題の化合物(122.78g)を得た。さらなる生成物(61.5g)を、母液から、蒸発、およびヘキサンに入った15%酢酸エチルを用いたBiotage上でのクロマトグラフィーにより得た。LCMS RT=3.37分。
【0205】
v)tert-ブチル(2R)-2-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-2-ヒドロキシエチルカルバメート
THF(28ml)に入ったボラン-硫化ジメチルの2M溶液を、トルエン(56ml)に入った(R)-テトラヒドロ-1-メチル-3,3-ジフェニル-1H,3H-ピロロ[1,2-c][1,3,2]オキサザボロール(oxazaborole)の1M溶液に、0℃にて窒素下で、ゆっくりと添加した。THF(1.3リットル)に入ったtert-ブチル2-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-2-オキソエチルカルバメート(108.2g)の溶液を、その後、THF(252ml)に入ったボラン-硫化ジメチルの2M溶液を、温度を5℃未満に維持して、50分にわたりゆっくり添加した。1時間後、2M HCl(170ml)を冷却しながら添加し、混合物を酢酸エチルと水との間で分離させた。有機相を飽和NaHCO3溶液および塩水で洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶液を濃縮し、ヘキサン:酢酸エチル(4:1、次いで3:1)で連続的に溶出させながらフラッシュシリカゲル(800 g)上でのクロマトグラフィーにより生成物を精製して、表題の化合物(93.3g)を得た。LCMS RT=3.31分。
【0206】
vi)(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン
DMF(600ml)に入ったtert-ブチル(2R)-2-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-2-ヒドロキシエチルカルバメート(86.37g)を、DMF(160ml)に入った水素化ナトリウム(油中60%の分散、11.9g)の攪拌懸濁液に、冷却して内部温度を0℃のままにしながら、窒素下で滴下した。混合物を21℃にて2時間攪拌した。混合物を、0℃まで再度冷却し、2M HCl(134ml)を添加した。混合物を水で希釈し、生成物を酢酸エチルで2回抽出した。溶液を塩水で2回洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させて表題の化合物(63.55g)を得た。LCMS RT=2.66分。
【0207】
vii)(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-3-{6-[4-(3-ヨードフェニル)ブトキシ]ヘキシル}-1,3-オキサゾリジン-2-オン
水素化ナトリウム(油中60%の分散、1.26 g)を、乾燥DMF(50 ml)に入った(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-2-オキサゾリジノン(5.47 g)の攪拌冷却(氷浴)溶液に、窒素下で添加し、混合物を5℃にて15分間攪拌した。次いで、DMF(30 ml)に入った6-ブロモヘキシル4-(3-ヨードフェニル)ブチルエーテル(10.7 g)の溶液を、10分にわたり滴下した。混合物を周囲温度にて2時間攪拌した後、塩化アンモニウムの水性溶液に注いで、酢酸エチルに抽出させた。組み合わせた抽出物を水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、エーテル-ヘキサン(3:2)で溶出しながらbiotage(90 gカートリッジ)上で精製して、表題の化合物(9.8 g)を得た。LCMS RT=4.20分。
【0208】
viii)(5R)-3-(6-{4-[3-(シクロペンチルチオ)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン
(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-3-{6-[4-(3-ヨードフェニル)ブトキシ]ヘキシル}-1,3-オキサゾリジン-2-オン(1.8g)、1,1ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(86 mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(180mg)の攪拌溶液を、1-メチル-2-ピロリジノン(10ml)およびトリエチルアミン(2ml)中で、室温にて窒素下で10分間攪拌させた。シクロペンチルメルカプタン(0.63ml)を添加し、混合物を60℃にて1時間加熱した。混合物を冷却し、水に注ぎ、ジクロロメタンに抽出した。抽出物を乾燥(Na2SO4)および蒸発させた。残渣油を、エーテル-ヘキサン(3:2)をエーテルに変えて溶出液として用いて、biotageカートリッジ(90g)上で精製した。適切な画分を蒸発させて、表題の化合物(1.07g)を得た。LCMS RT=4.31分。
【0209】
ix)(5R)-3-(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン
過ヨウ素酸ナトリウム(1.5g)を、エタノール(20ml)および水(10ml)に入った(5R)-3-(6-{4-[3-(シクロペンチルチオ)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(1.0g)の攪拌溶液に室温にて添加した。2時間後、溶液を真空下で濃縮し(約50%容量)、水で希釈し、ジクロロメタンに抽出した。抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、蒸発乾燥させた。残渣油を、酢酸エチルを溶出液として使用してbiotageカートリッジ(40g)上で精製させた。適切な画分を蒸発させて、表題の化合物(0.68g)を得た。LCMS RT=3.66分。
【0210】
x)(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール
テトラヒドロフラン(10ml)に入った(5R)-3-(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(0.14g)およびトリメチルシラノレートカリウム(potassium trimethyl silanolate)(0.45g)の攪拌混合物を、還流するまで2時間加熱した。混合物を、リン酸緩衝液(pH 5、50ml)に注ぎ、酢酸エチルに抽出した。抽出物を、水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させた。残渣油を、ジクロロメタン-エタノール-0.88アンモニア(100:8:1)を溶出液として用いて、biotageカートリッジ(8g)上で精製した。適切な画分を蒸発させて、表題の化合物(0.11g)を得た。LCMS RT=2.89分。
【0211】
xi)4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート
氷酢酸(5ml)および水(0.2ml)に入った(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール(0.1g)の攪拌溶液を、82℃にて40分間加熱した。溶液を乾燥するまで蒸発させて、表題の化合物を透明な油(0.075g)として得た。LCMS=2.61分、ES+ve 532(MH+)。
【実施例2】
【0212】
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート(異性体1)
i)(5R)-3-(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(異性体 1)
実施例1(ix)に記載の方法と同様の方法を用いて調製した。
【0213】
Chiracel ODカラム(5 cm×20 cm)を使用し、ヘプタン-エタノール(4:1)を溶出液として用いて、ジアステレオ異性体を分離した。表題の化合物を透明な油(0.198g)として得た。LCMS RT=3.69分。
【0214】
ii)(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール(異性体1)
実施例1(x)に記載の方法と同様の方法を用いて調製した。LCMS RT=2.90分。
【0215】
iii)4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート(異性体 1)
実施例1(xi)に記載の方法と同様の方法を用いて調製した。LCMS RT=2.60分、ES+ve 532(MH+)。
【実施例3】
【0216】
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート(異性体2)
i)(5R)-3-(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(異性体2)
実施例1(ix)に記載の方法と同様の方法を用いて調製した。LCMS RT=3.68分。
【0217】
ii)(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール(異性体2)
実施例1(x)に記載の方法と同様の方法を用いて調製した。LCMS RT=2.89分。
【0218】
iii)4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート(異性体2)
実施例1(xi)に記載の方法と同様の方法を用いて調製した。LCMS RT=2.60分、ES+ve 532(MH+)。
【実施例4】
【0219】
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート
i)(5R)-3-(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン
3-クロロペルオキシ安息香酸(0.088g)を、DCM(10ml)に入った(5R)-3-(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(0.097g)の攪拌冷却(氷浴)溶液に添加した。溶液を室温にて0.5時間攪拌した。溶液をDCMで希釈し、2N NaOH溶液、水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させて表題の化合物(0.085g)を得た。LCMS RT=3.78分。
【0220】
ii)(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール
THF(6ml)に入った(5R)-3-(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オンおよびトリメチルシラノレートカリウム(240mg)の攪拌混合物を、還流するまで1.5時間加熱した。混合物をリン酸緩衝液(pH 5)に注ぎ、DCMに抽出した。抽出物を水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させて表題の化合物(120mg)を得た。LCMS RT = 2.93分。
【0221】
iii)4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート
氷AcOH(5ml)および水(0.3ml)に入った(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール(110mg)の攪拌溶液を、85℃にて40分間加熱した。溶液を乾燥するまで蒸発させ、残渣を、DCM-EtOH-アンモニア(50:8:1)を溶出液として用いてシリカ上のBiotageTMカラムクロマトグラフィーにより精製した。残渣をMeOH中で溶解させ、氷AcOHで処理し、溶剤を除去して表題の化合物(76mg)を得た。LCMS RT=2.6分 ES+ve 548。
【実施例5】
【0222】
4-{(1R)-2-[(6-{4-[4-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート
i)1-{4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]ブタ-1-イニル}-4-(シクロペンチルスルホニル)ベンゼン
DMF(15ml)に入った4-ブロモフェニルシクロペンチルスルホン(EP683172 A1)(0.5 g)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.33ml)の攪拌溶液を、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(50mg)およびヨウ化銅(13.68 mg)で処理した。溶液を70℃まで窒素下で加熱し、DMF(5ml)に入った4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]ブタ-1-イニル(DE 3513885 A1)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.66ml)の溶液を滴下した。混合物を70℃にて19時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。抽出物を乾燥させ(MgSO4)、真空下で蒸発させた。残渣油を、シクロヘキサンに入った0%〜30%の勾配のジエチルエーテル(GradmasterTM)を用いて、シリカSPE bond elutカートリッジ(100g)上で精製した。適切な画分を蒸発させて、表題の化合物(280mg)を得た。LCMS RT=3.93分。
【0223】
ii)(1R)-2-{[6-({4-[4-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブタ-3-イニル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール
DMF(10ml)に入った1-{4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]ブタ-1-イニル}-4-(シクロペンチルスルホニル)ベンゼン(280mg)の攪拌溶液に、(1R)-2-アミノ-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール(WO 0266422 A1)(170mg)およびジイソプロピルエチルアミン(165μl)を添加した。混合物を、50℃にて22時間加熱してから、室温まで冷却させた。混合物をEtOACに溶解し、塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、乾燥するまで蒸発させた。残渣油を、DCM(GradmasterTM)中0%〜30%の勾配の[MeOH-水性アンモニア(10:1)]でシリカbond elut SPEカートリッジ(10g)上で精製した。適切な画分を蒸発させて表題の化合物(127mg)を得た。LCMS RT=2.87分。
【0224】
iii)(1R)-2-[(6-{4-[4-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール
EtOAc(10ml)に入った(1R)-2-{[6-({4-[4-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブタ-3-イニル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール(127mg)の溶液を、炭素触媒上のパラジウム(50重量%水、6.35mg)の存在下で19時間水素添加した。触媒を濾過により除去し、濾過液を乾燥するまで蒸発させた。残渣油を、DCM(GradmasterTM)中0%〜20 %の勾配の[MeOH-水性アンモニア(10:1)]でシリカbond elut SPEカートリッジ(5g)上で精製した。適切な画分を蒸発させて、表題の化合物(65mg)を得た。LCMS RT=2.85分。
【0225】
iv)4-{(1R)-2-[(6-{4-[4-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート
実施例1(xi)に記載の方法を用いて調製した。LCMS RT=2.60分、ES+ve 548(MH)+
【実施例6】
【0226】
4-((1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロヘキシルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート
i)3-ブロモフェニルシクロヘキシルスルフィド
DMF(100ml)に入った3-ブロモベンゼンチオール(5.00g)の攪拌溶液に、シクロヘキシルブロミド(4.31g)および炭酸カリウム(7.31g)を添加した。混合物を、室温にて窒素下で18時間攪拌した。反応混合物を、2N HClとEtOACとの間で分離させた。有機相を塩水で洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶剤の濾過および減圧下での除去により表題の化合物(3.89g)を得た。Tlc(シリカ)(4:1シクロヘキサン-ジエチルエーテル) Rf=0.90。
【0227】
ii)3-ブロモフェニルシクロヘキシルスルホン
窒素下にあるDCM(200ml)に入った3-ブロモフェニルシクロヘキシルスルフィド(3.89g)の攪拌溶液を、メタ-クロロ過安息香酸(純度57%、8.69g)で処理し、室温にて1.5時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、過酸が無くなるまで水性亜硫酸ナトリウムで洗浄した。有機相を塩水で洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶剤の濾過および減圧下での除去により表題の化合物(3.63g)を得た。LCMS RT=3.33分。
【0228】
iii)1-{4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]-1-ブチン-1-イル}-3-(シクロヘキシルスルホニル)ベンゼン
実施例5(i)に記載の方法を用いて調製した。LCMS RT=3.98分。
【0229】
iv)(1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロヘキシルスルホニル)フェニル]-3-ブチン-1-イル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール
実施例5(ii)に記載の方法を用いて調製した。LCMS RT=2.92分。
【0230】
v)(1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロヘキシルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール
実施例5(iii)に記載の方法を用いて調製した。LCMS RT=2.94分。
【0231】
vi)4-((1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロヘキシルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート
実施例1(xi)に記載の方法を用いて調製した。LCMS RT=2.69分、ES+ve 561(MH)+
【実施例7】
【0232】
4-((1R)-2-{[6-({4-[3-(3-シクロペンテン-1-イルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート
i)1-[(1-アリルブタ-3-エニル)スルホニル]-3-ブロモベンゼン
-78℃にて窒素下にあるTHF(200ml)に入った3-ブロモフェニルメチルスルホン(Tet. Lett. 1994、35、9063;4.74g)の攪拌溶液に、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドの溶液(19ml、THF中1.06M)を滴下した。混合物を25分間攪拌してから、THF(10ml)に入ったアリルブロミド(2.44g)の溶液を添加した。混合物を-78℃にて1.5時間攪拌し、その後塩化アンモニウムの水性溶液で停止した。生成物をEtOAcで抽出し、有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、乾燥するまで蒸発させた。残渣油を、シクロヘキサン(GradmasterTM)中5%〜40%の勾配のジエチルエーテルを用いてシリカSPE bond elutカートリッジ(100g)上で精製した。適切な画分を蒸発させて表題の化合物(1.66g)を得た。LCMS RT=3.40分。
【0233】
ii)4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]-1-ブテン
1,6-ジブロモヘキサン(18.30g)、3-ブテン-1-オール(2.15ml)およびテトラブチルアンモニウムブロミド(0.81g)の混合物を、10N NaOH(25ml)と共に室温にて窒素下で18時間激しく攪拌した。反応混合物を、水とEtOAcとの間で分離した。有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発乾燥させた。残渣油を、シリカSPE bond elutカートリッジ(100g)上で精製した。過剰な1,6-ジブロモヘキサンを、シクロヘキサンで溶出した。シクロヘキサンに入った5%ジエチルエーテルでの溶出、および減圧下での溶剤の除去により、表題の化合物(4.52g)を得た。Tlc-シリカ(シクロヘキサンに入った5%ジエチルエーテル) Rf=0.44。
【0234】
iii)(5R)-3-[6-(3-ブテン-1-イルオキシ)ヘキシル]-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン
窒素下にあるDMF(25ml)に入った(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(WO 0266422)(2.00g)の溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散、0.38g)を添加し、混合物を室温にて15分間攪拌した。DMF(5ml)に入った4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]-1-ブテン(2.07g)の溶液を滴下し、混合物を3時間攪拌した。反応を水で停止し、水とEtOAcとの間で分離させた。有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、乾燥するまで蒸発させた。残渣油を、シクロヘキサン(GradmasterTM)中10%〜30%の勾配のEtOAcを用いてシリカSPE bond elutカートリッジ(50g)上で精製した。適切な画分を蒸発させて、表題の化合物(2.66g)を得た。LCMS RT=3.47分。
【0235】
iv)(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-3-(6-{[4-(3-{[1-(2-プロペン-1-イル)-3-ブテン-1-イル]スルホニル}フェニル)ブチル]オキシ}ヘキシル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン
THF(2ml)に入った(5R)-3-[6-(3-ブテン-1-イルオキシ)ヘキシル]-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(1.00g)の溶液に、THF(6ml)に入った9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-BBN)の0.5M溶液を添加した。溶液を室温にて窒素下で2時間攪拌した。水(1.5ml)に入ったリン酸三カリウム(1.05g)を添加した後、1-[(1-アリルブタ-3-エニル)スルホニル]-3-ブロモベンゼン(0.78g)、酢酸パラジウム(6mg)、およびPPh3(13mg)を添加した。混合物を60℃にて激しく攪拌しながら22時間加熱した。混合物を室温まで戻した後、水とEtOAcとの間で分離させた。有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発乾燥させた。残渣油を、シクロヘキサン(GradmasterTM)中30%〜50%の勾配のEtOAcを用いてシリカSPE bond elutカートリッジ(50g)上で精製した。適切な画分を蒸発させて表題の化合物(1.20g)を得た。LCMS RT=3.91分。
【0236】
v)(5R)-3-[6-({4-[3-(3-シクロペンテン-1-イルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン
DCM(25ml)に入った(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-3-(6-{[4-(3-{[1-(2-プロペン-1-イル)-3-ブテン-1-イル]スルホニル}フェニル)ブチル]オキシ}ヘキシル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(0.5g)の溶液を5分間脱酸素化した。ベンジリデン-ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)-ジクロロルテニウム(32mg)を添加し、混合物を還流するまで窒素下で55分間加熱した。反応物を冷却させ、残渣をシリカSPE bond elutカートリッジ(10g)に適用した。EtOAc-シクロヘキサン(2:3)を使用した溶出により、表題の化合物(0.38g)を得た。LCMS RT=3.70分。
【0237】
vi)(1R)-2-{[6-({4-[3-(3-シクロペンテン-1-イルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール
THF(12ml)に入った(5R)-3-[6-({4-[3-(3-シクロペンテン-1-イルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(360mg)の攪拌溶液に、トリメチルシラノレートカリウム(0.11g)を添加し、混合物を70℃にて2時間攪拌した。さらにトリメチルシラノレートカリウムを添加し(0.05g)、4時間後に再度添加した。6時間後、混合物を冷却させ、EtOAcと水との間で分離させた。有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発乾燥させた。残渣油を、DCM(GradmasterTM)に入ったMeOHの勾配(0〜7%)を用いてシリカSPE bond elutカートリッジ(10g)上で精製した。適切な画分を蒸発させて、表題の化合物(120mg)を得た。LCMS RT=2.79分。
【0238】
vii)4-((1R)-2-{[6-({4-[3-(3-シクロペンテン-1-イルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート
実施例1(xi)に記載の方法を用いて調製した。(PG 4979I) LCMS RT=2.53分、ES+ve 545(MH)+
【実施例8】
【0239】
4-((1R)-2-{[6-({5-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ペンチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート
i)1-ブロモ-3-(シクロペンチルチオ)ベンゼン
ヨードシクロペンタン(3.93ml)を、アセトン(50ml)に入った3-ブロモベンゼンチオールおよび炭酸カリウム(5.4g)の混合物に添加し、反応物を窒素下で1.5時間攪拌した。さらなる割合のヨードシクロペンタン(2ml)を添加し、混合物を1時間攪拌した。溶剤を蒸発させ、残渣を水とEtOAcとの間で分離させた。組み合わせた有機抽出物をNaOH(2N)、塩水で洗浄し、乾燥させた(Na2SO4)。得られた油を、シクロヘキサンを溶出液として用いるシリカ上でのbiotageTMクロマトグラフィーを採用して精製して、表題の化合物(3.6g)を得た。LCMS RT=4.1分。
【0240】
ii)1-(シクロペンチルチオ)-3-ヨードベンゼン
-60℃で窒素下にある乾燥THF(40ml)に入った1-(シクロペンチルチオ)-3-ブロモベンゼン(3.6g)の溶液に、n-ブチルリチウム(10ml、ヘキサン中1.6M)を添加した。15分間攪拌した後、乾燥THF(30ml)に入ったヨウ素(4.3g)の溶液を滴下し、溶液を0℃まで温めた。湿潤THFを茶色い溶液に添加した後、水性亜硫酸ナトリウムを添加した。得られた無色の溶液を、ジエチルエーテルで抽出し、組み合わせた有機抽出物を水、塩水で洗浄し、乾燥させた(Na2SO4)。溶剤を蒸発させ、残渣を、シクロヘキサンを溶出液として用いたシリカ上でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。これにより表題の化合物(1.8g)を得た。LCMS RT=4.1分。
【0241】
iii)1-(シクロペンチルスルホニル)-3-ヨードベンゼン
0℃のDCM(40ml)に入った1-(シクロペンチルチオ)-3-ヨードベンゼン(1.8g)の溶液に、m-クロロ過安息香酸(4.3g)を分割添加した。混合物を室温にて2時間攪拌し、溶液を水性亜硫酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機相を、アルミナのパッドに適用し、シクロヘキサン-EtOAc(1:1)を用いて溶出した。これにより、表題の化合物を淡い黄色の発泡体(1.7g)として得た。LCMS RT=3.3分。
【0242】
iv)(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-3-[6-(4-ペンチン-1-イルオキシ)ヘキシル]-1,3-オキサゾリジン-2-オン
0℃にて窒素下にあるDMF(15ml)に入った(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(実施例1(vi))(500mg)の溶液を、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散、96mg)で処理し、混合物を20℃にて10分間攪拌した。DMF(1ml)に入った6-ブロモヘキシル4-ペンチン-1-イルエーテル(WO 02/066422)(545mg)の溶液を添加し、混合物を20℃にて18時間攪拌した。リン酸緩衝溶液(pH 6.5)および水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。抽出物を水で洗浄し、乾燥させた(Na2SO4)。真空下での溶剤蒸発により残渣を得て、これをシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。EtOAc-PE(2:3)での溶出により、表題の化合物(700mg)を得た。LCMS RT=3.48分。
【0243】
v)(5R)-3-[6-({5-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]-4-ペンチン-1-イル}オキシ)ヘキシル]-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン
MeCN(8ml)およびトリエチルアミン(4ml)に入った(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-3-[6-(4-ペンチン-1-イルオキシ)ヘキシル]-1,3-オキサゾリジン-2-オン(207mg)および1-(シクロペンチルスルホニル)-3-ヨードベンゼン(実施例8(iii))(202mg)の溶液を、窒素の流れを10分間泡立たせることによりことにより脱酸素化した。ヨウ化銅(I)(10mg)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(18mg)を添加し、混合物を20℃にて4時間攪拌した。溶剤を真空下にて蒸発させ、残渣をSPEシリカbond elutカートリッジ(10g、シリカ)を用いて精製した。DCM(1容量)、EtOAc-シクロヘキサン(1:4)(3容量)、(1:3)(1容量)、そして(1:1)(3容量)での溶出により、表題の化合物(243mg)を得た。LCMS RT=3.79分。
【0244】
vi)(5R)-3-[6-({5-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ペンチル}オキシ)ヘキシル]-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン
EtOAc(10ml)およびEtOH(10ml)に入った(5R)-3-[6-({5-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]-4-ペンチン-1-イル}オキシ)ヘキシル]-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(215mg)の溶液を、酸化白金(30mg)の存在下で水素添加した。水素摂取が終わったら、混合物をセライトを介して濾過し、溶剤を真空下で蒸発させて、表題の化合物(200mg)を得た。LCMS RT=3.83分。
【0245】
vii)(1R)-2-{[6-({5-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ペンチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール
実施例1(x)に記載の方法と同様の方法を用いて調製した。LCMS RT=2.93分。
【0246】
viii)4-((1R)-2-{[6-({5-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ペンチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート
実施例1(xi)に記載の方法と同様の方法を用いて調製した。LCMS RT=2.67分 ES +ve 562(MH)+
【実施例9】
【0247】
4-((1R)-2-{[7-({3-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]プロピル}オキシ)ヘプチル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート
i)(5R)-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-3-[7-(2-プロピン-1-イルオキシ)ヘプチル]-1,3-オキサゾリジン-2-オン
実施例8(iv)に記載の方法と同様の方法を用いて調製した。LCMS RT=3.44分。
【0248】
ii)(5R)-3-[7-({3-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]-2-プロピン-1-イル}オキシ)ヘプチル]-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン
実施例8(v)に記載の方法と同様の方法を用いて調製した。LCMS RT=3.75分。
【0249】
iii)(5R)-3-[7-({3-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]プロピル}オキシ)ヘプチル]-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン
実施例8(vi)に記載の方法と同様の方法を用いて調製した。LCMS RT=3.76分。
【0250】
iv)(1R)-2-{[7-({3-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]プロピル}オキシ)ヘプチル]アミノ}-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール
実施例1(x)に記載の方法と同様の方法を用いて調製した。LCMS RT=2.86分。
【0251】
v)4-((1R)-2-{[7-({3-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]プロピル}オキシ)ヘプチル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート
実施例1(xi)に記載の方法と同様の方法を用いて調製した。LCMS RT=2.59分 ES +ve 548(MH)+
【実施例10】
【0252】
4-((1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)-5-メチルフェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート
i)1-(シクロペンチルチオ)-3-ヨード-5-メチルベンゼン
1,3-ジヨード-5-メチルベンゼン(2.00g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(20mg)、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(22mg)、トリエチルアミン(1.5ml)および1-メチル-2-ピロリジノン(3ml)の混合物を、20℃で窒素下にて1時間攪拌した。シクロペンタンチオール(0.15ml)を添加し、混合物を60℃まで18時間加熱した。混合物を20℃まで冷却し、リン酸緩衝溶液(pH 6.5)および水で処理した。混合物をEtOAcで抽出し、抽出物を乾燥させた(Na2SO4)。真空下での溶剤蒸発により残渣を得て、これをFlashmasterTMクロマトグラフィー(シリカ、70g)により精製した。シクロヘキサンでの溶出により、表題の化合物(444mg)を得た。LCMS RT=4.21分。
【0253】
ii)1-(シクロペンチルスルホニル)-3-ヨード-5-メチルベンゼン
20℃にて窒素下にあるDCM(20ml)に入った1-(シクロペンチルチオ)-3-ヨード-5-メチルベンゼン(440mg)の溶液を、3-クロロペルオキシ安息香酸(1.046g、57〜86%の純度)で処理し、混合物を20℃にて2時間攪拌した。0.5M水性メタ重亜硫酸ナトリウム(sodium metabisulphite)溶液を添加し、混合物を20℃にて18時間激しく攪拌した。層を分離し、有機相を0.5M水性メタ重亜硫酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、溶剤を真空下で蒸発させた。残渣を、SPE bond elutカートリッジ(2×10g、シリカ)を用いて精製した。DCM(5容量)での溶出により、表題の化合物(425mg)を得た。LCMS RT=3.36分。
【0254】
iii)(5R)-3-[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)-5-メチルフェニル]-3-ブチン-1-イル}オキシ)ヘキシル]-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン
実施例8(v)に記載の方法と同様の方法を使用し、(5R)-3-[6-(ブタ-3-イニルオキシ)ヘキシル]-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(WO0266422)を用いて調製した。LCMS RT=3.81分。
【0255】
iv)(5R)-3-[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)-5-メチルフェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]-5-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン
実施例8(vi)に記載の方法と同様の方法を用いて調製した。LCMS RT=3.86分。
【0256】
v)(1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)-5-メチルフェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール
実施例1(x)に記載の方法と同様の方法を用いて調製した。LCMS RT=2.91分。
【0257】
vi)4-((1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)-5-メチルフェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート(塩)
実施例1(xi)に記載の方法と同様の方法を用いて調製した。LCMS RT=2.66分 ES +ve 562(MH)+
【実施例11】
【0258】
N-[5-((1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシフェニル]メタンスルホンアミド
i)1-{4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]-1-ブチン-1-イル}-3-(シクロペンチルスルホニル)ベンゼン
MeCN(20 ml)およびトリエチルアミン(345μl)に入った4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]-1-ブチンe(DE 3513885 A1)(288.9 mg)および1-(シクロペンチルスルホニル)-3-ヨードベンゼン(500 mg)の溶液を、ヨウ化銅(11.78 mg)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(43.4 mg)で処理し、室温にて3時間攪拌した。反応混合物をEtOAcと水との間で分離させ、有機相を乾燥させ(MgSO4)、真空下で濃縮させた。混合物をカラムクロマトグラフィー(SPE bond elut、シクロヘキサン中0〜40%勾配のジエチルエーテル)により精製して、表題の化合物を得た。LCMS RT=3.83分 441(M+NH4)+
【0259】
ii)1-{4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]ブチル}-3-(シクロペンチルスルホニル)ベンゼン
炭素上のパラジウム[50重量%水](43 mg)の入った空にしたフラスコに、EtOAc(10 ml)に入った1-{4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]-1-ブチン-1-イル}-3-(シクロペンチルスルホニル)ベンゼン(304 mg)の溶液を添加した。混合物を19時間水素添加した。触媒を濾過して除去し、濾過液を真空下で濃縮して表題の化合物を得た。LCMS RT=3.92分。
【0260】
iii)N-{5-(ブロモアセチル)-2-[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}-N-(フェニルメチル)メタンスルホンアミド
THF(50 ml)に入ったN-{5-アセチル-2-[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}-N-(フェニルメチル)メタンスルホンアミド(J. Med Chem 1977、20、687-92)(1.18 g)の溶液をフェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド(1.08 g)で<10℃にて処理し、6時間攪拌した。反応混合物を冷水で停止させた後、濾過した。濾過液をジエチルエーテルと水との間で分離させ、有機相を乾燥させ(MgSO<SUB>4)、溶剤を真空下で除去した。混合物を、シリカ(SPE bond elut、0 〜45%の勾配のEtOAc-シクロヘキサン)上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物を得た。LCMS RT=3.48分。
【0261】
iv)N-{5-((1R)-1-ヒドロキシ-2-{[(1S)-2-ヒドロキシ-1-フェニルエチル]アミノ}エチル)-2-[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}-N-(フェニルメチル)メタンスルホンアミド
THF(15 ml)に入ったN-{5-(ブロモアセチル)-2-[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}-N-(フェニルメチル)メタンスルホンアミド(570 mg)の溶液を、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.41 ml)および(S)-(+)-2-フェニルグリシノール(191.8 mg)で処理した。混合物を、室温にて5時間攪拌した。溶剤を真空下で除去し、得られた固体を乾燥MeOH(15 ml)に懸濁させた。得られた懸濁液を0℃まで冷却し、炭酸カルシウム(359 mg)で処理し、0.5時間攪拌した。反応混合物をNaBH4(88.8 mg)で0℃にて分割的に処理した後、室温まで温め、64時間攪拌した。混合物を真空下で濃縮し、残渣をEtOAcと水との間で分離させた。有機相を乾燥させ(MgSO4)、真空下で濃縮させた。混合物をカラムクロマトグラフィー(SPE、DCM中0〜15%の勾配の[MeOH-アンモニア(10:1)])により精製して、表題の化合物(360mg)を得た。LCMS RT 2.75分。
【0262】
v)N-{5-[(1R)-2-アミノ-1-ヒドロキシエチル]-2-ヒドロキシフェニル}メタンスルホンアミド
水酸化パラジウム(70.8 mg)および炭素上のパラジウム[50重量%水](70.8 mg)を含む空フラスコに、EtOH(15 ml)およびAcOH(3 ml)に入ったN-{5-((1R)-1-ヒドロキシ-2-{[(1S)-2-ヒドロキシ-1-フェニルエチル]アミノ}エチル)-2-[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}-N-(フェニルメチル)メタンスルホンアミド(354 mg)の溶液を添加した。混合物に19時間水素添加した。触媒を濾過除去し、濾過液を真空下で濃縮させた。混合物をカラムクロマトグラフィー(Oasisカートリッジ、水中0〜50%MeOH)により精製して、表題の化合物を得た。LCMS RT=0.35分。
【0263】
vi)N-[5-((1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシフェニル]メタンスルホンアミド
N-{5-[(1R)-2-アミノ-1-ヒドロキシエチル]-2-ヒドロキシフェニル}メタンスルホンアミド(33.2 mg)を、DMF(5 ml)に入った1-{4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]ブチル}-3-(シクロペンチルスルホニル)ベンゼン(実施例1(v))(50 mg)の溶液に添加した。反応混合物をN,N-ジイソプロピルエチルアミン(29.3μl)で処理し、室温にて113時間攪拌した。反応混合物をEtOAcと水との間で分離させ、有機抽出物を塩化アンモニウムで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空下で濃縮した。残渣をカラムDCMで精製して、表題の化合物を得た。LCMS RT=2.73分610(M+H)+
【実施例12】
【0264】
4-((1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノール
i)2-アジド-1-[4-(ベンジルオキシ)-3-フルオロフェニル]エタノン
乾燥DMF(2.5mL)に入った2-ブロモ-1-[4-(ベンジルオキシ)-3-フルオロフェニル]エタノン(J. Med. Chem. 1980、23、738-744)(1g)の溶液を、15℃まで冷却し、アジ化ナトリウム(220mg)で分割的に処理した。添加終了後、反応混合物をさらに1時間攪拌した。反応混合物を、EtOAcと水との間で分離させた。有機相を水で洗浄し、組み合わせた水相をEtOAcで逆抽出した。組み合わせた有機相をsat. NaHCO3(aq)で3回洗浄し、組み合わせた洗浄物をEtOAcで逆抽出した。組み合わせた有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空下で濃縮した。残渣を、ヘキサン-EtOAc(4:1および2:1)で溶出するシリカ上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物(810mg)を得た。LCMS RT=3.61分。
【0265】
ii)(1R)-2-アジド-1-[4-(ベンジルオキシ)-3-フルオロフェニル]エタノール
THF(2M、0.03 mL)に入ったボラン-硫化ジメチル溶液を、トルエン(1M、0.06mL)に入った(R)-2-メチル-CBS-オキサザボロリジン(oxazaborolidine)の溶液に0℃にて攪拌しながら添加した。反応混合物を15分間攪拌した後に、THFに入った2-アジド-1-[4-(ベンジルオキシ)-3-フルオロフェニル]エタノン(100mg)の溶液を滴下した。THF(2M、0.03mL)に入ったボラン-硫化ジメチルをさらに滴下し、反応混合物を0℃にて2時間攪拌した。2M HCl(aq)(2mL)を滴下し、反応混合物を10分間攪拌した後に、反応混合物をジエチルエーテルと水との間で分離させた。有機相を2M HCl(aq)で2回、sat. NaHCO3(aq)、水、および塩水で3回洗浄した。有機相を乾燥させ、真空下で濃縮させた。残渣を、DCMで溶出するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物(470mg)を得た。LCMS RT=3.36分。
【0266】
iii)(1R)-2-アミノ-1-[4-(ベンジルオキシ)-3-フルオロフェニル]エタノール
THF(8mL)および水(2mL)に入った(1R)-2-アジド-1-[4-(ベンジルオキシ)-3-フルオロフェニル]エタノール(410mg)の溶液をPPh3(410mg)で処理し、1時間攪拌した後に、PPh3(220mg)をさらに添加した。さらに4時間攪拌した後、反応混合物を真空下で濃縮し、残渣をEtOAcと水との間で分離させた。有機相を5%NaHCO3(aq)で3回洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空下で濃縮した。残渣を、DCM、DCM中1%MeOH、DCM中2%MeOH、DCM中0.5%Et3Nを含む5%MeOH、そして最後にDCM中1%Et3Nを含む20%MeOHで溶出するシリカゲル上でのクロマトグラフィーで精製して、表題の化合物(260mg)を得た。LCMS RT=2.16分。
【0267】
iv)(1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-{3-フルオロ-4-[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}エタノール
(1R)-2-アミノ-1-[4-(ベンジルオキシ)-3-フルオロフェニル]エタノールから実施例11(vi)と同様に調製して表題の化合物を得た。LCMS RT=3.15分。
【0268】
v)4-((1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノール
炭素上のパラジウム[50重量%水]を含む空フラスコに、EtOAc(8 ml)およびAcOH(2 ml)に入った(1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-{3-フルオロ-4-[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}エタノール(37 mg)の溶液を添加した。反応混合物を4時間水素添加した。触媒を濾過除去し、濾過液を真空下で濃縮して、表題の化合物を得た。LCMS RT=2.60分 535(M+H)+
【実施例13】
【0269】
6-{2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オールアセテート
i)2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-(2-フェニル-4H-[1,3]ジオキシノ(dioxino)[5,4-b]ピリジン-6-イル)エタノール
2-アミノ-1-(2-フェニル-4H-[1,3]ジオキシノ[5,4-b]ピリジン-6-イル)エタノール(EP220054A2)を用いて、実施例11(vi)に記載したのと同様の方法を用いて調製して、表題の化合物を得た。LCMS RT=2.95分。
【0270】
ii)6-{2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オール
水(5 ml)および氷酢酸(5 ml)に入った2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-(2-フェニル-4H-[1,3]ジオキシノ[5,4-b]ピリジン-6-イル)エタノール(61 mg)の溶液を、還流下で0.5時間加熱した。反応混合物を真空下で濃縮して、表題の化合物を得た。LCMS RT=2.63分 548(M+H)+
【実施例14】
【0271】
5-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-8-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロキノリン-2(1H)-オンアセテート
i)5-[(1R)-2-(ベンジルアミノ)-1-ヒドロキシエチル]-8-(ベンジルオキシ)キノリン-2(1H)-オン
8-(ベンジルオキシ)-5-[(2R)-オキシラン-2-イル]キノリン-2(1H)-オン(0.102g)(WO 9525104)を、ベンジルアミン(0.5ml)に溶解し、電子レンジにて150℃にて15分間加熱した。過剰なベンジルアミンを回転蒸発器上での蒸発により除去し、残渣をMeOH/DCM-0.880アンモニア混合物を用いるシリカSPE bond elutカートリッジ上で精製して、表題の化合物(106mg)を得た。LCMS RT=2.30分。
【0272】
ii)5-{(1R)-2-[[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル](フェニルメチル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-8-[(フェニルメチル)オキシ]-2(1H)-キノリノン
5-[(1R)-2-(ベンジルアミノ)-1-ヒドロキシエチル]-8-(ベンジルオキシ)キノリン-2(1H)-オン(40mg)をMeCN(2ml)に溶解した。N,N,-ジイソプロピルエチルアミン(0.03ml)および1-{4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]ブチル}-3-(シクロペンチルスルホニル)ベンゼン(実施例1(v))(30mg)を添加し、反応混合物を80℃にて窒素下で48時間加熱した。次いで、混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機相を組み合わせ、乾燥させ(MgSO4)、真空下で蒸発させた。残渣を、EtOAc-シクロヘキサン混合物で溶出してシリカSPE bond elutカートリッジ上で精製して、表題の化合物(13mg)を得た。LCMS RT=3.1分。
【0273】
iii)5-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-8-ヒドロキシキノリン-2(1H)-オンアセテート
5-{(1R)-2-[[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル](フェニルメチル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-8-[(フェニルメチル)オキシ]-2(1H)-キノリノン(13mg)をEtOH(10ml)に溶解し、氷酢酸(0.5ml)を添加した。溶液を、炭素上の10%パラジウム(50重量%水、4 mg)および炭素上の20%水酸化パラジウム(4mg)を用いて20時間水素添加した。触媒を濾過により除去し、濾過液を真空下で蒸発させた。残渣を、MeOH-DCM混合物で溶出してisoluteアミノプロピルカートリッジ(2g)上で精製した。AcOHでの適切な画分の蒸発により、表題の化合物の混合物(4mg)(LCMS RT=2.52分 ES+ve 585(MH)+)、および5-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-8-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロキノリン-2(1H)-オンアセテート(LCMS RT=2.52分、ES+ve 587 (MH)+)を得た。
【実施例15】
【0274】
5-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニルホルムアミドアセテート
i)N-ベンジル-6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキサン-1-アミン
1-{4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]ブチル}-3-(シクロペンチルスルホニル)ベンゼン(実施例11(ii))(50mg)を、ベンジルアミン(0.5ml)に溶解し、電子レンジにおいて150℃にて10分間加熱した。過剰なベンジルアミンは真空下で除去し、残渣を、EtOAc-シクロヘキサン混合物で溶出してシリカSPE bond elutカートリッジ上で精製して、表題の化合物(40mg)を得た。LCMS RT=2.74分。
【0275】
ii)5-{(1R)-2-[ベンジル(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ベンジルオキシ)フェニルホルムアミド
N-ベンジル-6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキサン-1-アミン(40mg)を乾燥THF(0.25ml)に溶解し、{5-[(2R)-2-オキシラニル]-2-[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}ホルムアミド(23mg)(Organic Process Research and Development 1998、2、96-99)を添加した。反応混合物を、電子レンジにおいて150℃にて3時間加熱した。溶剤を除去し、残渣を、EtOAc-シクロヘキサン混合物で溶出してシリカSPE bond elutカートリッジ上で精製して、表題の化合物(17mg)を得た。LCMS RT=3.1分。
【0276】
iii)5-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニルホルムアミドアセテート
5-{(1R)-2-[ベンジル(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ベンジルオキシ)フェニルホルムアミド(17mg)をEtOH(10ml)に溶解し、氷酢酸(1ml)を添加した。溶液を、炭素上の10%パラジウム(50重量%水、7 mg)および炭素上の20%水酸化パラジウム(7mg)を用いて20時間水素添加した。触媒を濾過により除去し、濾過液を真空下で蒸発させた。残渣を、MeOH-DCM混合物で溶出してisoluteアミノプロピルカートリッジ(2g)上で精製した。適切な画分をAcOHで蒸発させて、表題の化合物(5mg)を得た。LCMS RT=2.53分、ES+ve 561(MH)+
【実施例16】
【0277】
i)4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート(3.19g)(実施例4(iii)を、DCM-MeOH-0.880アンモニア(100:8:1の後、90:10:1)を用いるシリカのbiotageTMカラム上でのクロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物(1.6g)を得た。LCMS RT=2.6分。
【実施例17】
【0278】
実施例16の化合物の以下の塩を、以下に記載するように調製した:
L-アスパラギン酸塩:水(250ml)に入ったL-アスパラギン酸(2.55g)の熱い溶液を、エタノール(100ml)に入った遊離塩基(10g)の溶液に添加した。得られた溶液を油まで蒸発させ、水で再度2回蒸発させエタノールを確実に除去して、表題の塩をゴムとして得た。
【0279】
1H NMR(DMSO、400 MHz)δppm 1.27(m、4H)、1.42-1.66(m、12H)、1.71-1.88(m、4H)、2.29(dd、J=6.7、16.0 Hz、1H)、2.55(dd、J=7.5、16.0 Hz、1H)、2.76(m、6H)、3.31(t、J=6.4 Hz、2H)、3.34(t、J=6.4 Hz、2H)、3.50(t、J=7.1 Hz、1H)、3.75(m、1H)、4.46(s、2H)、4.68(dd、J=3.4、9.5 Hz、1H)、6.73(d、J=8.2 Hz、1H)、7.01(dd、J=2.0、8.2 Hz、1H)、7.29(d、J=2.0 Hz、1H)、7.56(m、2H)、7.69(m、2H)。
【0280】
スルファミン酸塩:水(50ml)に入ったスルファミン酸(1.86g)の溶液を、エタノール(100ml)に入った遊離塩基(10g)の溶液に添加した。得られた溶液を、油まで蒸発させ、水で再度2回蒸発させエタノールを確実に除去して、表題の塩をゴムとして得た。
【0281】
1H NMR(DMSO、400 MHz)δppm 1.28(m、4H)、1.43-1.67(m、12H)、1.71-1.89(m、4H)、2.71(t、J=7.3 Hz、2H)、2.92(m、3H)、3.03(dd、J=2.7、12.5 Hz、1H)、3.32(t、J=6.4 Hz、2H)、3.35(t、J=6.4 Hz、2H)、3.76(m、1H)、4.48(d、J=4.8 Hz、2H)、4.56(s、br、2H)、4.79(d、br J=10.1 Hz、1H)、5.03(t、J=5.3 Hz、1H)、5.97(s、br、1H)、6.75(d、J=8.2 Hz、1H)、7.05(dd、J=2.1、8.2 Hz、1H)、7.33(d、J=2.1 Hz、1H)、7.56(m、2H)、7.69(m、2H)、8.44(s、br、2H)、9.43(s、1H)。
【0282】
ナフタレン-2-スルホン酸塩:プロパン-2-オール(0.5ml)に入った遊離塩基(55mg)の溶液を、予め計ってバイアルに入れておいたナフタレン-2-スルホン酸水和物(27mg)に添加した。混合物を温めて溶液を得た後、冷却し、室温にて2時間攪拌させた。得られた固体を濾過により単離し、少量のプロパン-2-オールで洗浄し、50℃にて真空下で乾燥させて、表題の化合物の結晶を得た。
【0283】
1H NMR(DMSO、400 MHz)δppm 1.27(m、4H)、1.43-1.66(m、12H)、1.71-1.89 (m、4H)、2.71(t、J=7.6 Hz、2H)、2.91(m、3H)、3.03(m、1H)、3.31(t、J=6.6 Hz、2H)、3.35(t、J=6.6 Hz、2H)、3.76(m、1H)、4.48(s、2H)、4.76(dd、J=2.5、10.5 Hz、1H)、5.98(s、br、1H)、6.75(d、J=8.2 Hz、1H)、7.05(dd、J=2.2、8.2 Hz、1H)、7.33(d、J=2.2 Hz、1H)、7.52(m、2H)、7.56(m、2H)、7.69(m、2H)、7.72(d、J=1.8 Hz、1H)、7.86(d、J=8.7 Hz、1H)、7.90(m、1H)、7.97(m、1H)、8.14(s、1H)、8.42(s、br、2H)、9.42(s、1H)。
【0284】
この生成物のXRPD パターンを図3に示す。
【実施例18】
【0285】
実施例16の化合物の以下の塩を、以下に記載するように調製した。
【0286】
i)4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール4-メチルベンゼンスルホネート
MeOH(0.45ml)に入った4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール(約25mg)の溶液を、p-トルエンスルホン酸(9.5mg)に添加し、得られた溶剤を除去した。EtOAc(0.45ml)を添加し、得られた混合物を、ミニリアクターシェーカーブロック(mini-reactor shaker block)にて交互に加熱および冷却しながら4日間にわたりかき混ぜた。沈降物を回収して表題の化合物の結晶を得た。δ(CD3OD) 7.74-7.67(4H、m)、7.58-7.50(2H、m)、7.34(1H、d)、7.22(2H、0.5AA'BB')、7.15(1H、dd)、6.78(1H、d)、4.85(1H、dd)、4.63(2H、s)、3.66(1H、m)、3.47-3.37(4H、2xt)、3.14-2.97(4H、2xm)、2.75(2H、t)、2.35(3H、s) 2.03-1.35(20H、5xm)。
【0287】
(ii)4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール4-クロロベンゼンスルホネート
4-クロロベンゼンスルホン酸(19mg)を、プロパン-2-オール(0.5ml)に入った4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール(55mg)(緩やかに暖めて溶解)の溶液に21℃にて添加した。数分後、結晶を析出した。これらを回収し、プロパン-2-オールで濯ぎ、表題の化合物の結晶を得た。δ(DMSO-d6) 9.40(1H,s)、8.42(2H、br s)、7.72-7.67(2H、m)、7.62-7.55(4H、m)、7.38(2H、m)、7.32(1H、d、J 2Hz)、7.05(1H、dd、J 2,8 Hz)、6.75(1H、d、J 8Hz)、5.97(1H、br s)、5.00(1H、v br s)、4.76(1H、br d、J 9 Hz)、4.49(2H、s)、3.75(1H m)、3.32(4H、部分的に不明瞭なt)、3.10-2.87(4H、2m)、2.71(2H、t、J 7Hz)、1.90-1.25(20H、m)。
【0288】
この生成物のXRPDパターンを図1に示す。
【0289】
(iii)4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール4-ブロモベンゼンスルホネート
これは上記実施例18(ii)と同様に調製して、表題の化合物の結晶を得た。δ(DMSO-d6) 9.40(1H、brs)、8.35(2H、v br s)、7.72-7.68(2H、m)、7.59-7.55(2H、m)、7.52(4H、m)、7.33(1H、d、J 2Hz)、7.05(1H、dd、J 2,8 Hz)、6.75(1H、d、J 8Hz)、5.95(1H、br s)、5.01(1H、t、J 5Hz))、4.75(1H、br d、J 10 Hz)、4.48(2H、d、J 5Hz)、3.75(1H m)、3.38-3.28(4H、部分的に不明瞭な2t)、3.05-2.87(4H、2m)、2.71(2H、t、J 7Hz)、1.90-1.25(20H、m)。
【0290】
この生成物のXRPDパターンを図4に示す。
【0291】
(iv)4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール 3-トルエンスルホネート
これは上記実施例18(ii)と同様に調製して、表題の化合物の結晶を得た。δ(DMSO-d6) 9.40(1H、br s)、8.35(2H、v br s)、7.72-7.67(2H、m)、7.58-7.55(2H、m)、7.42(1H、br s)、 7.38(1H、br d、J 7Hz)、7.33(1H、d、J 2Hz)、7.18(1H、t、J 7 Hz)、7.10(1H、br d、J 7 Hz)、7.04(1H、dd、J 2,8 Hz)、6.75(1H、d、J 8Hz)、5.95(1H、br s)、5.02(1H、t、J 5Hz))、4.76(1H、br d、J 10 Hz)、4.48(2H、d、J 5Hz)、3.75(1H、m)、3.38-3.28(4H、部分的に不明瞭な2t)、3.06-2.88(4H、2m)、2.70(2H、t、J 7Hz)、2.29(3H、s) 1.90-1.27(20H、m)。
【0292】
この生成物のXRPDパターンを図5に示す。
【0293】
(v)4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール4-ビフェニルスルホネート
これは上記実施例18(ii)と同様に調製して、表題の化合物の結晶を得た。δ(DMSO-d6) 9.31(1H、br s)、7.72-7.64(6H、m)、7.61(2H、m)、7.58-7.54(2H、m)、7.46(2H、br t、J 7Hz)、7.36(1H、tt、J 1,7Hz)、7.30(1H、d、J 1 Hz)、7.03(1H、dd、J 1,8 Hz)、6.73(1H、d、J 8Hz)、5.70(1H、br s)、4.97(1H、t、J 5Hz))、4.75(1H、m)、4.48(2H、d、J 5Hz)、3.78(1H m)、3.40-3.20(4H、部分的に不明瞭な2t)、2.98-2.80(4H、2m)、2.70(2H、t、J 7Hz)、1.90-1.22(20H、m)。
【0294】
この生成物のXRPDパターンを図2に示す。
【0295】
生物学的活性
ヒトβ1、2および3受容体に対する化合物の効力および固有活性のin vitro測定
方法1
実施例1〜4の化合物の効力を、ヒトβ2アドレナリン受容体でトランスフェクトしたカエルメラニン細胞(melanophore)を用いて決定した。細胞をメラトニンとインキュベートして、色素凝集を誘発した。ヒトβ2アドレナリン受容体に作用する化合物により色素分散を誘発した。テスト化合物のβ2アゴニスト活性を、メラニン色素単層にわたる光透過における変化(色素分散の結果)を誘発する能力により評価した。ヒトβ2アドレナリン受容体に対して、これらの実施例の化合物は1μM未満のIC50値を有していた。
【0296】
方法2
ヒトβ2、1および3受容体に対する本発明の化合物の効力も、リポーター遺伝子と共にヒト受容体を同時発現しているチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて決定した。これらの細胞から誘導した全細胞または膜のいずれかを使用して調査した。
【0297】
3つのβ-受容体を、Gs G-タンパク質を介して結合させ、アデニル酸シクラーゼを刺激して、細胞中のcAMPレベルを高める。直接的なcAMP測定のために、膜または冷凍細胞のいずれかをHitHunter酵素断片補完キット(DiscoveRx)またはFP2蛍光偏光キット(Perkin Elmer)のいずれかと用いて、存在するcAMPのレベルを定量した。これらのアッセイにより、様々な受容体に対する化合物のアゴニスト効力および固有活性の測定値が得られる。
【0298】
細胞中のリポーター遺伝子も、β1および3受容体に対する効力を定量するために使用した。これは、ホタルルシフェラーゼ遺伝子の上流にあるcAMP応答エレメントを用いたcAMPレベルのリポーターである。アゴニストでの受容体の刺激の後、ルシフェラーゼレベルの増加を、細胞中のcAMPのレベルの定量として測定する。
【0299】
このアッセイでは、ヒトβ-2受容体に対する化合物の効力は、pEC50値として表す。実施例2〜9および11〜15の化合物は、pEC50が>6であった。
【0300】
本明細書および請求の範囲が構成する本出願は、あらゆる後続出願についての優先権の基礎として使用できる。このような後続出願の請求の範囲は、本明細書に記載するいずれの特徴または特徴の組み合わせにも関しうる。これらは、製品、組成物、プロセスまたは使用クレームの形態を取ることができ、限定しない例示として、本出願の請求の範囲を含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0301】
【図1】4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール4-クロロベンゼンスルホネートのX線粉末回折パターンを示す。
【図2】4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール4-ビフェニルスルホネートのX線粉末回折パターンを示す。
【図3】4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノールのナフタレン-2-スルホネート塩のX線粉末回折パターンを示す。
【図4】4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール4-ブロモベンゼンスルホネートのX線粉末回折パターンを示す。
【図5】4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール3-トルエンスルホネートのX線粉末回折パターンを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、mは2〜8の整数であり;
nは3〜11の整数であり;
但し、m + nは5〜19であり;
R1はSR6、SOR6またはSO2R6であり、
ここでR6はC3-7シクロアルキルまたはC3-7シクロアルケニル基であり;
R2およびR3は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロ、フェニルおよびC1-6ハロアルキルから独立に選択され;
R4およびR5は、水素およびC1-4アルキルから独立に選択されるが、但し、R4およびR5中の炭素原子の総数は4以下であり;
Arは
【化2】

(ここで、R8は水素、ハロゲン、-(CH2)qOR11、-NR11C(O)R12、-NR11SO2R12、-SO2NR11R12、-NR11R12、-OC(O)R13またはOC(O)NR11R12であり、
R7は水素、ハロゲン、またはC1-4アルキルを表し;
またはR8は-NHR14を表し、R7は-NHR14と一緒になって5または6員ヘテロ環を形成し;
R9は、水素、ハロゲン、-OR11または-NR11R12を表し;
R10は、水素、ハロゲン、ハロC1-4アルキル、-OR11、-NR11R12、-OC(O)R13またはOC(O)NR11R12を表し;
R11およびR12は各々独立に、水素もしくはC1-4アルキルを表すか、あるいは-NR11R12、-SO2NR11R12および-OC(O)NR11R12の基においては、R11およびR12は独立に、水素もしくはC1-4アルキルを表すかまたはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、5-、6-もしくは7員窒素含有環を形成し、
R13は、非置換であるか、またはハロゲン、C1-4アルキル、ヒドロキシ、C1-4アルコキシもしくはハロC1-4アルキルから選択される1個以上の置換基により置換されていてもよいアリール(例えば、フェニルもしくはナフチル)基であり;および
qは、0または1〜4の整数である)
から選択される基である。)
の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体。
【請求項2】
R8が水素ではない以外は請求項1に定義した通りである、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体。
【請求項3】
R1が-SO2R6を表す、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R6がC3-7シクロアルキル基を表す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R2およびR3がそれぞれ水素を表す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R4およびR5が、水素およびメチルから独立に選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Arが基(a)または(b):
【化3】

から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
式(Ia):
【化4】

(式中、mは2〜8の整数であり;
nは3〜11の整数であり;
但し、m + nは5〜19であり;
R1はSR6、SOR6、またはSO2R6であり(ここで、R6はC3-7シクロアルキルまたはC3-7シクロアルケニル基である);
R2およびR3は水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロ、フェニル、およびC1-6ハロアルキルから独立に選択され;ならびに
R4およびR5は、水素およびC1-4アルキルから独立に選択され、但し、R4およびR5中の炭素原子の総数は4以下である)
の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体。
【請求項9】
mが5または6であり、nが3または4である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール(異性体1);
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルフィニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール(異性体2);
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[4-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-((1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロヘキシルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-((1R)-2-{[6-({4-[3-(3-シクロペンテン-1-イルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-((1R)-2-{[6-({5-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ペンチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-((1R)-2-{[7-({3-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]プロピル}オキシ)ヘプチル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-((1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)-5-メチルフェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
N-[5-((1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシフェニル]メタンスルホンアミド;
4-((1R)-2-{[6-({4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブチル}オキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノール;
6-{2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オール;
5-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-8-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロキノリン-2(1H)-オン;
5-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニルホルムアミド;
ならびにその塩、溶媒和物および生理学的に機能的な誘導体、から選択される式(I)または(Ia)の化合物。
【請求項11】
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
またはその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体である、式(I)または(Ia)の化合物。
【請求項12】
アリールスルホン酸で形成される塩の形態の、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール4-メチルベンゼンスルホネート;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール4-ブロモベンゼンスルホネート;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール4-クロロベンゼンスルホネート;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール3-トルエンスルホネート;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール4-ビフェニルスルホネート;および
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール,ナフタレン-2-スルホネート
から選択される、請求項8、9または12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
前記塩が結晶形態である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる、ヒト等の哺乳動物における臨床症状の予防または治療のための方法であって、治療上有効量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体を投与することを含む、方法。
【請求項16】
医学的治療において使用するための、請求項1〜14のいずれか一項に記載の式(I)もしくは(Ia)の化合物、またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の式(I)もしくは(Ia)の化合物、またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、製薬上許容し得る担体または賦形剤と、任意に1種以上の他の治療成分とを含む医薬製剤。
【請求項18】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の式(I)もしくは(Ia)の化合物、またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、1つ以上の他の治療的成分との組合せ。
【請求項19】
選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる臨床症状を予防または治療するための医薬の製造における、請求項1〜14のいずれか一項に記載の式(I)もしくは(Ia)の化合物、またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体の使用。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の式(I)もしくは(Ia)の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体を調製するための方法であって、
(a)例えば、式(II):
【化5】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、mおよびnは、式(I)の化合物について定義した通りであり、R19は場合によって保護された形態のArであり;R20およびR21は各々独立に水素または保護基のいずれかであるが、但し式(II)の化合物は少なくとも1個の保護基を含む)
で表される保護された中間体、またはその塩もしくは溶媒和物を脱保護するステップ;
(b)式(X):
【化6】

(式中、R2、R3、R4、R5、R19、R20、R21、mおよびnは式(II)について定義した通りであり、R26は各々独立に水素またはC1-4アルキルを表し、xおよびyは各々0、1または2を表す)
で表される化合物を反応させて、閉環を生じさせるステップ;
(c)式(XIII):
【化7】

(式中、R22、R23、R20およびR21は各々独立に水素または保護基のいずれかである)
で表されるアミンを、式(XVII):
【化8】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、mおよびnは式(I)の化合物について定義した通りであり、L1は脱離基である)
で表される化合物でアルキル化するステップ;
(d)式(XIX):
【化9】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、mおよびnは式(I)について定義した通りであり、R19は場合によって保護された形態のArを表し、R20およびR21は各々独立に上記定義したように水素または保護基である)
で表される化合物を還元するステップ;
(e)式(XXIII):
【化10】

(式中、R19は上記定義した通りであり、L3はL1またはL2について上記定義したような脱離基である)
で表される化合物、または式(XXIV):
【化11】

(式中、R19は上記定義した通りである)
で表される化合物を、
式(XXV):
【化12】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R20、mおよびnは式(II)について定義した通りである)
で表されるアミンと反応させるステップ;
(f)式(IIa):
【化13】

(式中、R1〜R5、mおよびnは式(I)について定義した通りであり、R19は場合によって保護された形態のArを表し、R21は水素または保護基を表し、R27はキラル補助基を表す)
で表される化合物からキラル補助基を除去するステップ、
を含み、その後、以下のステップ:
(i)任意の保護基を必要に応じて除去するステップ;
(ii)鏡像異性体の混合物から鏡像異性体を必要に応じて分離するステップ;
(iii)式(I)の1つの化合物を、式(I)の異なる化合物に必要に応じて変換するステップ(例えば、R1がSR6である化合物を、R1がSOR6もしくはSO2R6である化合物に変換するか、またはR1がSOR6である化合物を、R1がSO2R6である化合物に変換するステップ);
(iv)R6がシクロアルケニルを表す化合物を、R6がシクロアルキルを表す化合物に(例えば、水素化によって)必要に応じて変換するステップ;
(v)生成物を、対応するその塩、溶媒和物または生理学的に機能的な誘導体に必要に応じて変換するステップ
を任意の順序で含む、方法。
【請求項21】
上記定義した式(II)、(III)、(IV)、(X)および(XIX)の化合物から選択される中間体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−503888(P2006−503888A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546022(P2004−546022)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012035
【国際公開番号】WO2004/037773
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】