呼吸状態監視装置及び呼吸状態監視システム
【課題】 装置を小型化でき、操作が簡単で、コストも低減できる呼吸状態監視装置及び呼吸状態監視システムを提供すること。
【解決手段】 呼吸センサ1が呼吸状態監視装置3に装着されると、充電池69と内電源回路71とを結ぶ回路が閉じて呼吸状態監視装置3がオンの状態となり、呼吸センサ1が取り外されると、充電池69と電源回路71とを結ぶ回路が開いて呼吸状態監視装置3がオフの状態となる。特に、呼吸状態監視装置3をベース装置42に装着して充電するが、測定が終了し呼吸センサ1が取り外された場合には、充電池69と電源回路71との間の回路は開いている。よって、別途電源スイッチを設けた場合と比べて、電源スイッチの切り忘れが生じ難く、電子制御装置27が破損することを効果的に防止できる。
【解決手段】 呼吸センサ1が呼吸状態監視装置3に装着されると、充電池69と内電源回路71とを結ぶ回路が閉じて呼吸状態監視装置3がオンの状態となり、呼吸センサ1が取り外されると、充電池69と電源回路71とを結ぶ回路が開いて呼吸状態監視装置3がオフの状態となる。特に、呼吸状態監視装置3をベース装置42に装着して充電するが、測定が終了し呼吸センサ1が取り外された場合には、充電池69と電源回路71との間の回路は開いている。よって、別途電源スイッチを設けた場合と比べて、電源スイッチの切り忘れが生じ難く、電子制御装置27が破損することを効果的に防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電フィルム等を用いて、例えば睡眠時などの呼吸の正常・異常やいびきなどの呼吸状態を調べることができる呼吸状態監視装置及び呼吸状態監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人の呼吸の状態を調べる技術として、口元にサーミスタを貼り付ける技術が知られている(特許文献1参照)
また、体の動きを圧電素子で検出し、その検出結果から呼吸の状態を調べる技術も知られている(特許文献2参照)。
【0003】
更に、近年では、口にPVDF(ポリフッ化ビニリデン)フィルムを貼り付け、その検出信号から呼吸を検出する技術も開示されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特許第2794196号公報 (第2頁 第2図)
【特許文献2】特許第2803374号公報 (第1頁 図2)
【特許文献3】米国特許第5311875号明細書 (第1頁 第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した引用文献の技術では、呼吸状態を検出するセンサを測定装置に接続して使用するが、その測定装置は大型であり、スクリーニングには使用し難いという問題があった。
【0005】
つまり、多くの人にそれぞれ測定装置を取り付けて、各個人の呼吸の異常等を簡単に検出するためには、装置の小型化や操作性の向上などが必要であるが、従来は、そのための対策が十分では無いという問題があった。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、装置を小型化でき、操作が簡単で、コストも低減できる呼吸状態監視装置及び呼吸状態監視システムを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1の発明は、生体の呼吸状態(例えば呼吸の有無やいびき)に対応した信号を出力する呼吸センサが着脱可能に装着され、前記呼吸センサからの信号に基づいて前記呼吸状態の測定(特にそのデータの記録)が行われる呼吸状態監視装置に関するものであり、本発明では、呼吸センサのコネクタの着脱によって、呼吸状態監視装置の電池と内部回路(呼吸状態監視装置を作動させる回路)との電気的導通がオン・オフされる構造を備えている。
【0008】
本発明では、呼吸センサが呼吸状態監視装置に装着されると、電池と内部回路とを結ぶ回路が閉じて呼吸状態監視装置がオンの状態(装置の電源が入った状態)となる。一方、呼吸センサが呼吸状態監視装置から取り外されると、電池と内部回路とを結ぶ回路が開いて呼吸状態監視装置がオフの状態(装置の電源が切られた状態)となる。
【0009】
従って、呼吸センサの着脱によって呼吸状態監視装置のオンオフを自動的に行えるので、装置を簡易化でき、小型化も可能である。また、操作が確実で操作性も優れており、コストも低減できるという利点がある。
【0010】
特に、呼吸状態監視装置を例えばベース装置に装着して充電するような場合には、充電中に電池(充電池)と内部回路とが接続されていると、内部回路に高電圧が印加されて、内部回路等が破損する恐れがある。
【0011】
それに対して、本発明では、呼吸状態の測定が終了し呼吸センサが取り外された場合には、電池と内部回路に到る回路は開いているので、高電圧を充電を行っても、内部回路等の破損を効果的に防止できるという利点がある。また、別途電源スイッチを設けた場合と比べても、電源スイッチの切り忘れという問題が無く、より安全である。
【0012】
(2)請求項2の発明では、呼吸センサを呼吸状態監視装置に装着した場合に、呼吸センサの使用状態に対応した報知を行う報知装置を備えている。
本発明では、呼吸センサを呼吸状態監視装置に装着した状態にて、例えば測定開始スイッチがオンされた場合には、呼吸センサの使用状態に応じて、例えばLEDの点滅等により動作状況が報知される。
【0013】
従って、測定の開始時に呼吸センサや呼吸状態監視装置の異常の有無等を把握できるので、例えば故障した機器を使って一晩測定する様な無駄な測定を回避できるという利点がある。
【0014】
(3)請求項3の発明では、生体の息の呼気動作及び吸気動作に応じて、報知装置の報知内容を変更する。
例えば息の呼気動作及び吸気動作に応じてLED等を点滅するようにすれば、機器の故障を容易に把握できる。
【0015】
(4)請求項4の発明では、報知装置による報知を、呼吸状態監視装置の測定開始後、所定の初期時間が経過すると停止する。
例えばLEDが点滅すると睡眠の妨げになるので、例えば測定(監視)を開始してから3分間まで報知するようにする。
【0016】
(5)請求項5の発明では、所定の初期時間の経過後に、測定結果のメモリへの記憶を開始する。
本発明は、メモリへの記憶のタイミングを例示したものである。
【0017】
(6)請求項6の発明では、呼吸センサからの信号の状態に応じて、信号の増幅を行うアンプの倍率を自動調整する。
例えばアンプの倍率(信号の増幅率)の異なるアンプを、信号の状態(センサ出力の大きさ)に応じて切り替えて使用する。これによって、制御に使用するマイコンとして処理能力の低い低コストのマイコンを使用した場合でも、必要な信号処理の精度を確保することが可能になる。
【0018】
(7)請求項7の発明では、呼吸センサを呼吸状態監視装置に装着して、生体の呼吸状態を測定した場合に、測定の開始時間を記録する。
これにより、測定の開始時間を正確に把握することができる。
【0019】
(8)請求項8の発明では、呼吸センサを前記呼吸状態監視装置に装着して、生体の呼吸状態を測定した場合に、所定の測定時間が経過するとその測定を終了する。
生体の呼吸状態を正確に把握するには、一定の時間(例えば4時間〜10時間)にわたり測定を行うことが必要とされるが、過度の測定時間は不要である。よって、必要な時間測定を行った後は、その測定を終了するのである。
【0020】
(9)請求項9の発明では、更に、呼吸状態監視装置を収容するケースと、ケースを生体に取り付ける取付部材(例えばベルト)とを備えている。
従って、ケースに呼吸状態監視装置を収容し、そのケースを例えば腕に取り付けることにより、睡眠中や途中で目覚めて移動した場合などに好適に呼吸状態の測定が可能である。
【0021】
(10)請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれかの呼吸状態監視装置に呼吸センサを装着した呼吸状態監視システムである。
つまり、呼吸状態監視装置に呼吸センサを装着した呼吸状態監視システムを用いることにより、呼吸状態を好適に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための最良の形態の例(実施例)について説明する。
【実施例1】
【0023】
本実施例の呼吸状態監視システムは、多くの被験者に対して、その呼吸の異常を抽出(スクリーニング)するために用いられるものである。
a)まず、本実施例の呼吸状態監視システムを、図1〜図4を用いて説明する。
【0024】
図1及び図2に示す様に、本実施例の呼吸状態監視システム(睡眠時無呼吸スクリーナ)は、呼吸状態、詳しくは睡眠時の呼吸の有無を検出するためのシステムであり、被験者に取り付けられる呼吸センサ1と、呼吸センサ1が着脱可能に取り付けられて、呼吸センサ1からの信号を記録する呼吸状態監視装置3とから構成されている。
【0025】
前記呼吸センサ1は、図3に示す様に、略T字形状のセンサ本体5と、センサ本体5の左右の下端を連結する連結部7と、センサ本体5から伸びる一対のリード線9、11と、リード線9、11の先端に取り付けられたセンサ側コネクタ13(図2参照)とから構成されている。
【0026】
このうち、センサ本体5は、中央部(センサ本体5の線対称の対称軸:山の稜線部分)にて山形に折り曲げられた薄肉のフィルム状の部材であり、口及び鼻からの息を検出するための呼吸検出部15と、呼吸検出部15の後端側(同図左下方)の左右の両端から突出する一対の脚部17、19とから構成されている。
【0027】
このセンサ本体5は、略T字状の例えばポリエステルからなるフィルム状の基材21と、基材21の山形の斜面の内側(同図下方:生体側)に貼り付けられた長方形の圧電素子(例えばピエゾ素子)23とからなる。
【0028】
また、呼吸検出部15は、上方が凸の山形となるように折り曲げられたものであり、口からの息が当たってその流れが遮られるように口からの息のかかる方向(矢印A方向)に対向するとともに、鼻からの息が流れる方向(矢印B方向)と並行となるように配置されている。
【0029】
一方、前記呼吸状態監視装置3は、腕等に装着可能なような軽量な装置であり、図4に示す様に、略直方体のプラスチック製の筐体25と、その内部に収容された電子制御装置27(図5参照)とを備えている。
【0030】
この呼吸状態監視装置3の上面には、センサ側コネクタ13が嵌め込まれる装置側上コネクタ(モジュラージャック)29が設けられ、後述する第1〜第4LED31〜37が半透明のカバー39に覆われて配置されている。
【0031】
また、呼吸状態監視装置3の左側面には、呼吸状態の測定(監視)の開始や終了のオン・オフを行う測定開始スイッチ41が配置されている。
更に、呼吸状態監視装置3の下面には、呼吸状態監視装置3をベース装置43(図6参照)に接続するために、装置側下コネクタ(D−SUBコネクタ)45が配置されている。
【0032】
尚、呼吸状態監視装置3の裏面には、呼吸状態監視装置3自身のID番号を示すバーコードのシール47が貼り付けられている。
b)次に呼吸状態監視装置3の構造について、図5〜図7を用いて説明する。
【0033】
・図5に示す様に、呼吸状態監視装置3の電子制御装置27として、周知のA/D内蔵マイコン49、リチウム電池でバックアップされたリアルタイムクロック51、不揮発性メモリ53、フラッシュメモリ55、シリアル通信回線57を備えるとともに、チャージアンプ(AMP)59、ゲイン1倍AMP61、ゲイン2倍AMP63を備えている。
【0034】
このうち、チャージAMP59は、通常、圧電素子23からの信号を増幅するために用いられるものであり、ゲイン1倍AMP61は、チャージAMP59からの出力のゲインを1倍にするためのものであり、ゲイン2倍AMP63は、チャージAMP59からの出力のゲインを2倍にするためのものである。
【0035】
そして、前記A/D内蔵マイコン49は、バッテリ切れ表示器65の第1LED31、呼吸フロー表示器67の第2〜第4LED33〜37に接続されている。
この第1LED31は、バッテリ(充電池)69の電圧が低下すると点灯するLEDである。また、第2〜第4LED33〜37は、呼吸状態に応じて点滅するものであり、第3LED35は、呼吸センサ1が呼吸状態監視装置3に接続されると点灯し、第2LED33は、息が吸われると点灯し、第4LED37は、息が吐かれると点灯する。
【0036】
特に、本実施例では、前記装置側下コネクタ(D−SUBコネクタ)45は、充電池69を介して、装置側上コネクタ29に接続され、更に、装置側上コネクタ29は、電子制御装置27に電力を供給する電源回路(内部回路)71に接続されている。
【0037】
つまり、呼吸状態監視装置3は、図6に示す様に、ベース装置43に装着されることによって、ベース装置43のベース側コネクタ105から、装置側下コネクタ45の専用の充電端子(図示せず)を介して、充電池69に充電される構成になっているが、充電池69から電源回路71への回路は、装置側上コネクタ29によって、常時は、開かれた構造となっている。
【0038】
詳しくは、図7に模式的に示す様に、装置側上コネクタ29には、充電池69に接続された第1装置側電源端子73と電源回路71に接続された第2装置側電源端子75とは、並列に設けられている。また、チャージAMP59に接続された1対の装置側信号端子77、79も、並列に設けられている。
【0039】
一方、センサ側コネクタ13には、装置側信号端子77、79に対応して、リード線9、11に接続された一対のセンサ側信号端子81、83が並列に設けられている。また、第1、第2装置側電源端子73、75に対応して、第1、第2センサ側電源端子85、87が設けられており、この第1、第2センサ側電源端子85、87は電気的に接続されている。
【0040】
従って、センサ側コネクタ13を装置側上コネクタ29に嵌め込んだ場合には、センサ側信号端子81、83と装置側信号端子77、79とがそれぞれ接続されて、呼吸センサ1から呼吸状態監視装置3への信号の取り込みが可能となる。
【0041】
同時に、第1装置側電源端子73と第1センサ側電源端子85とが接続されるとともに、第2装置側電源端子75と第2センサ側電源端子87とが接続され、これによって、充電池69から電源回路71への回路が閉じ、電子制御装置27に電力が供給されている状態となる。
【0042】
・また、本実施例では、使用するアンプを切り替える制御を行っている。
具体的には、呼吸センサ1が呼吸状態監視装置3に装着されると、呼吸センサ1からの信号がチャージAMP59に入力され、その信号は、ゲイン1倍AMP61及びゲイン2倍AMP63を介して、それぞれA/D内蔵マイコン49に入力される。
【0043】
そして、通常は、ゲイン2倍AMP63からの信号を処理して、呼吸状態の信号としてフラッシュメモリ55に記憶されるが、その信号がA/D変換取り込み最大値の80%を超えた場合には、ゲイン1倍AMP61からの信号を処理するように切り替えられる。
【0044】
これによって、信号がA/D変換取り込み最大値の上限に達することを防止して、常に、呼吸に対応した信号の変化を検出できるようになっている。
c)次に呼吸状態監視装置3の装着方法について、図8及び図9を用いて説明する。
【0045】
図8に示す様に、本実施例では、呼吸状態監視装置3は、例えば略直方体のケース89に収容されて使用される。
このケース89は、その上部に開閉可能なカバー91を備えており、ケース89の一方の側面(紙面裏側)には、ケース89を腕等に装着するためのベルト93が取り付けられている。このベルト93の一端にはリング95が配置され、他端側の中程には面ファスナ(オス側)97が取り付けられるとともに、同他端側の先端にも面ファスナ(メス側)99が取り付けられている。
【0046】
従って、この呼吸状態監視装置3を収容したケース89を腕に取り付ける場合には、図9に示す様に、ベルト93を腕94に巻き付け、その一端側をリング95に通して折り返し、面ファスナ97、99同士を接触させて固定する。
【0047】
d)次に呼吸状態監視装置3の使用方法について、図10及び図11を用いて説明する。
(1)呼吸状態の測定方法
・図10に示す様に、個々の被験者に対してその呼吸状態を測定する場合には、呼吸状態監視装置3を収容したケース89を、ベルト93によって、各被験者の腕に取り付ける。このとき、呼吸センサ1は、呼吸状態監視装置3に予め装着しておいてもよいが、呼吸状態監視装置3を腕に取り付けた後に装着してもよい。
【0048】
また、呼吸センサ1のセンサ本体5を、口と鼻との間に両面テープで取り付ける。具体的には、連結部7の接着面を口と鼻との間に貼り付ける。
尚、センサ本体5の貼り付け、呼吸状態監視装置3の腕への取り付け、呼吸センサ1の呼吸状態監視装置3への装着の順番は、適宜選択することが可能である。
【0049】
・そして、センサ側コネクタ13を装置側上コネクタ29に装着すると、充電池69から電源回路71に到る回路が閉じて、電子制御装置27に電極が供給される状態となる。
このとき、充電池69の電圧が低いと、バッテリ切れ表示器65の第1LED31が点灯する。
【0050】
・次に、測定開始スイッチ41が「入(オン)」に操作されると、呼吸センサ1からの信号の処理が開始される。具体的には、呼吸フロー表示器67の第3LED35が点灯するとともに、息が吸われると第2LEDが点灯し、息が吐かれると第4LED37が点灯する。
【0051】
また、測定開始スイッチ41が「入」に操作されてから3分間経過すると、第2〜第4LED33〜37は消灯する。同時に、その時間(3分間経過時の時間)をリアルタイムクロック51から読み出して、フラッシュメモリ55に記憶し、また、呼吸センサ1からの信号をフラッシュメモリ1に記憶する動作を開始する。
【0052】
従って、呼吸状態を示すデータの蓄積は、測定開始スイッチ41のオンから3分間経過後であるので、実質的な測定の開始は、この3分経過後ということができる。
・その後、測定開始スイッチ41から10時間経過すると、呼吸状態を示す信号の記憶を終了し、呼吸状態の測定を終了する。
【0053】
これによって、被験者の呼吸状態をチェックするために必要なデータが、フラッシュメモリ55に蓄積されたことになる。
・測定が終了すると、センサ本体5が顔から外されるとともに、呼吸センサ1が呼吸状態監視装置3から外されることになる。この呼吸センサ1の取り外し動作によって、充電池69から電源回路71に到る回路が開くことになる。
【0054】
(2)スクリーニングの処理方法
図11に示す様に、呼吸センサ1が外された各呼吸状態監視装置3は、ベース装置43に装着されて、下記の様にして、スクリーニングのためにデータを収集する処理が行われる。
【0055】
・具体的には、パソコン101に、ベース装置43とバーコードリーダ103と接続したシステムを構築し、まず、バーコードリーダ103を用いて、各呼吸状態監視装置3のバーコードを読み取る。即ち、呼吸状態監視装置3自身を示すIDをパソコン101に読み込む処理を行う。
【0056】
・次に、読み取ったIDに応じて、ベース装置43の予定位置に、呼吸状態監視装置3を装着するように案内するために、例えば装着位置のランプ(図示せず)を点灯する。
・そのランプを見て、作業者が、前記図6に示す様に、呼吸状態監視装置3の装置側下コネクタ(メス側)45をベース側コネクタ(オス側)105に嵌めこみ、呼吸状態監視装置3をベース装置43に装着する。
【0057】
この装着によって、前記図5に示す様に、ベース装置43の充電回路(図示せず)と充電池69とが接続され、充電が可能な状態となる。また、この充電のための回路とは別に、ベース装置43の通信回路(図示せず)とシリアル通信回路57とが接続され、呼吸状態監視装置3とベース装置43との通信が可能な状態となる。
【0058】
・従って、この装着後に、パソコン101からの指令によって、充電が開始される。また、呼吸状態監視装置3からは、そのIDと呼吸状態の測定結果を示す信号がパソコンに入力される。
【0059】
また、データの送信が終了した場合には、パソコン101からの指令によって、呼吸状態監視装置3が初期状態に設定される。具体的には、フラッシュメモリ55がクリアされ、リアルタイムクロックの時間合わせが行われる。
【0060】
尚、呼吸状態の測定を行う場合には、この初期状態に設定された呼吸状態監視装置3が用いられる。
e)次に、本実施例の効果を説明する。
【0061】
・本実施例では、呼吸センサ1が呼吸状態監視装置3に装着されると、充電池69と内電源回路71とを結ぶ回路が閉じて呼吸状態監視装置3がオンの状態となり、呼吸センサ1が取り外されると、充電池69と電源回路71とを結ぶ回路が開いて呼吸状態監視装置3がオフの状態となる。
【0062】
従って、呼吸センサ1の着脱によって呼吸状態監視装置3のオンオフを自動的に行えるので、装置を簡易化でき、小型化も可能である。また、操作が確実で操作性も優れており、コストも低減できるという利点がある。
【0063】
特に、本実施例では、呼吸状態監視装置3をベース装置43に装着して充電するが、測定が終了し呼吸センサ1が取り外された場合には、充電池69と電源回路71との間の回路は開いている。よって、別途電源スイッチを設けた場合と比べて、電源スイッチの切り忘れが生じるということは無く、電子制御装置27が破損することを効果的に防止できるという利点がある。
【0064】
従って、本実施例では、多数の被験者に対して、上述した軽量でシンプルな構造の呼吸状態監視システムを用いることにより、呼吸状態の異常等を抽出するスクリーニングの作業を大きく簡易できるという顕著な効果を奏する。
【0065】
・本実施例では、呼吸センサ1を呼吸状態監視装置3に装着した状態にて、測定開始スイッチ41がオンされた場合には、呼吸センサ1の使用状態に応じて、第2〜第4LED33〜37の点滅等により動作状況が報知される。従って、測定の開始時に、呼吸センサ1や呼吸状態監視装置3の異常の有無等を把握できるので、例えば故障した機器を使って一晩測定する様な無駄な測定を回避できるという利点がある。
【0066】
しかも、前記第2〜第4LED33〜37は、測定開始スイッチ41のオンから3分後に消灯するので、睡眠の妨げになることはない。
・本実施例では、センサ信号の大きさに応じて、使用するアンプを切り替えているので、必要な信号処理の精度を確保するとともに、制御に使用するマイコンとして処理能力の低い低コストのマイコンを使用することが可能になる。
【0067】
・本実施例では、測定開始から10時間経過すると、その測定を終了するので、必要十分なデータを得ることができる。
・本実施例では、ケース89に呼吸状態監視装置3を収容し、そのケース89をベルト93によって腕に取り付けることにより、睡眠中や途中で目覚めて移動した場合などに好適に呼吸状態の測定ができる。
【0068】
尚、本発明は前記実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、種々の態様で実施できることはいうまでもない。
(1)例えば、圧電素子以外に、熱電対等の温度検知素子など、各種の検出素子を用いることができる。
【0069】
(2)呼吸状態監視装置は、腕だけなく、腹等の他の位置に取り付けるようにしてもよく、或いは、取り付けるのではなく、枕元などに配置するようにしてもよい。
(3)本実施例では、呼吸を検出する例を挙げたが、呼吸だけでなく、いびきを検出することもできる。その場合には、例えばローパスフィルタやハイパスフィルタを用いればよい。
【0070】
つまり、通常の呼吸動作(いびき無しの場合)では、呼吸センサの出力信号の周波数は低く、逆に、いびきの場合には、呼吸センサの出力信号の周波数は高くなる。従って、ローパスフィルタやハイパスフィルタを用いて、呼吸センサの出力信号の周波数の大きさを識別することにより、いびきを検出することが可能となる。
【0071】
(4)また、チャージAMPの代わりに、差動アンプを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施例の呼吸状態監視システムを示す説明図である。
【図2】呼吸センサの呼吸状態監視装置への装着状態を示す説明図である。
【図3】呼吸センサを示す斜視図である。
【図4】呼吸状態監視装置を示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は背面図である。
【図5】呼吸状態監視装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】呼吸状態監視装置のベース装置への装着状態を示す説明図である。
【図7】センサ側コネクタと装置上コネクタとを模式的に示す説明図である。
【図8】ケース及びベルトを示す説明図である。
【図9】ケースの腕への取付状態を示す説明図である。
【図10】呼吸状態監視システムの使用方法示す説明図である。
【図11】呼吸状態監視装置からベース装置へのデータの送信方法及び充電方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0073】
1・・・呼吸センサ
3・・・呼吸状態監視装置
5・・・センサ本体
13・・・センサ側コネクタ
29・・・装置側上コネクタ
23・・・圧電素子
31、33、35、37・・・LED
41・・・測定開始スイッチ
45・・・装置側下コネクタ
49・・・A/D内蔵マイコン
69・・・充電池
71・・・電源回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電フィルム等を用いて、例えば睡眠時などの呼吸の正常・異常やいびきなどの呼吸状態を調べることができる呼吸状態監視装置及び呼吸状態監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人の呼吸の状態を調べる技術として、口元にサーミスタを貼り付ける技術が知られている(特許文献1参照)
また、体の動きを圧電素子で検出し、その検出結果から呼吸の状態を調べる技術も知られている(特許文献2参照)。
【0003】
更に、近年では、口にPVDF(ポリフッ化ビニリデン)フィルムを貼り付け、その検出信号から呼吸を検出する技術も開示されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特許第2794196号公報 (第2頁 第2図)
【特許文献2】特許第2803374号公報 (第1頁 図2)
【特許文献3】米国特許第5311875号明細書 (第1頁 第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した引用文献の技術では、呼吸状態を検出するセンサを測定装置に接続して使用するが、その測定装置は大型であり、スクリーニングには使用し難いという問題があった。
【0005】
つまり、多くの人にそれぞれ測定装置を取り付けて、各個人の呼吸の異常等を簡単に検出するためには、装置の小型化や操作性の向上などが必要であるが、従来は、そのための対策が十分では無いという問題があった。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、装置を小型化でき、操作が簡単で、コストも低減できる呼吸状態監視装置及び呼吸状態監視システムを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1の発明は、生体の呼吸状態(例えば呼吸の有無やいびき)に対応した信号を出力する呼吸センサが着脱可能に装着され、前記呼吸センサからの信号に基づいて前記呼吸状態の測定(特にそのデータの記録)が行われる呼吸状態監視装置に関するものであり、本発明では、呼吸センサのコネクタの着脱によって、呼吸状態監視装置の電池と内部回路(呼吸状態監視装置を作動させる回路)との電気的導通がオン・オフされる構造を備えている。
【0008】
本発明では、呼吸センサが呼吸状態監視装置に装着されると、電池と内部回路とを結ぶ回路が閉じて呼吸状態監視装置がオンの状態(装置の電源が入った状態)となる。一方、呼吸センサが呼吸状態監視装置から取り外されると、電池と内部回路とを結ぶ回路が開いて呼吸状態監視装置がオフの状態(装置の電源が切られた状態)となる。
【0009】
従って、呼吸センサの着脱によって呼吸状態監視装置のオンオフを自動的に行えるので、装置を簡易化でき、小型化も可能である。また、操作が確実で操作性も優れており、コストも低減できるという利点がある。
【0010】
特に、呼吸状態監視装置を例えばベース装置に装着して充電するような場合には、充電中に電池(充電池)と内部回路とが接続されていると、内部回路に高電圧が印加されて、内部回路等が破損する恐れがある。
【0011】
それに対して、本発明では、呼吸状態の測定が終了し呼吸センサが取り外された場合には、電池と内部回路に到る回路は開いているので、高電圧を充電を行っても、内部回路等の破損を効果的に防止できるという利点がある。また、別途電源スイッチを設けた場合と比べても、電源スイッチの切り忘れという問題が無く、より安全である。
【0012】
(2)請求項2の発明では、呼吸センサを呼吸状態監視装置に装着した場合に、呼吸センサの使用状態に対応した報知を行う報知装置を備えている。
本発明では、呼吸センサを呼吸状態監視装置に装着した状態にて、例えば測定開始スイッチがオンされた場合には、呼吸センサの使用状態に応じて、例えばLEDの点滅等により動作状況が報知される。
【0013】
従って、測定の開始時に呼吸センサや呼吸状態監視装置の異常の有無等を把握できるので、例えば故障した機器を使って一晩測定する様な無駄な測定を回避できるという利点がある。
【0014】
(3)請求項3の発明では、生体の息の呼気動作及び吸気動作に応じて、報知装置の報知内容を変更する。
例えば息の呼気動作及び吸気動作に応じてLED等を点滅するようにすれば、機器の故障を容易に把握できる。
【0015】
(4)請求項4の発明では、報知装置による報知を、呼吸状態監視装置の測定開始後、所定の初期時間が経過すると停止する。
例えばLEDが点滅すると睡眠の妨げになるので、例えば測定(監視)を開始してから3分間まで報知するようにする。
【0016】
(5)請求項5の発明では、所定の初期時間の経過後に、測定結果のメモリへの記憶を開始する。
本発明は、メモリへの記憶のタイミングを例示したものである。
【0017】
(6)請求項6の発明では、呼吸センサからの信号の状態に応じて、信号の増幅を行うアンプの倍率を自動調整する。
例えばアンプの倍率(信号の増幅率)の異なるアンプを、信号の状態(センサ出力の大きさ)に応じて切り替えて使用する。これによって、制御に使用するマイコンとして処理能力の低い低コストのマイコンを使用した場合でも、必要な信号処理の精度を確保することが可能になる。
【0018】
(7)請求項7の発明では、呼吸センサを呼吸状態監視装置に装着して、生体の呼吸状態を測定した場合に、測定の開始時間を記録する。
これにより、測定の開始時間を正確に把握することができる。
【0019】
(8)請求項8の発明では、呼吸センサを前記呼吸状態監視装置に装着して、生体の呼吸状態を測定した場合に、所定の測定時間が経過するとその測定を終了する。
生体の呼吸状態を正確に把握するには、一定の時間(例えば4時間〜10時間)にわたり測定を行うことが必要とされるが、過度の測定時間は不要である。よって、必要な時間測定を行った後は、その測定を終了するのである。
【0020】
(9)請求項9の発明では、更に、呼吸状態監視装置を収容するケースと、ケースを生体に取り付ける取付部材(例えばベルト)とを備えている。
従って、ケースに呼吸状態監視装置を収容し、そのケースを例えば腕に取り付けることにより、睡眠中や途中で目覚めて移動した場合などに好適に呼吸状態の測定が可能である。
【0021】
(10)請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれかの呼吸状態監視装置に呼吸センサを装着した呼吸状態監視システムである。
つまり、呼吸状態監視装置に呼吸センサを装着した呼吸状態監視システムを用いることにより、呼吸状態を好適に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための最良の形態の例(実施例)について説明する。
【実施例1】
【0023】
本実施例の呼吸状態監視システムは、多くの被験者に対して、その呼吸の異常を抽出(スクリーニング)するために用いられるものである。
a)まず、本実施例の呼吸状態監視システムを、図1〜図4を用いて説明する。
【0024】
図1及び図2に示す様に、本実施例の呼吸状態監視システム(睡眠時無呼吸スクリーナ)は、呼吸状態、詳しくは睡眠時の呼吸の有無を検出するためのシステムであり、被験者に取り付けられる呼吸センサ1と、呼吸センサ1が着脱可能に取り付けられて、呼吸センサ1からの信号を記録する呼吸状態監視装置3とから構成されている。
【0025】
前記呼吸センサ1は、図3に示す様に、略T字形状のセンサ本体5と、センサ本体5の左右の下端を連結する連結部7と、センサ本体5から伸びる一対のリード線9、11と、リード線9、11の先端に取り付けられたセンサ側コネクタ13(図2参照)とから構成されている。
【0026】
このうち、センサ本体5は、中央部(センサ本体5の線対称の対称軸:山の稜線部分)にて山形に折り曲げられた薄肉のフィルム状の部材であり、口及び鼻からの息を検出するための呼吸検出部15と、呼吸検出部15の後端側(同図左下方)の左右の両端から突出する一対の脚部17、19とから構成されている。
【0027】
このセンサ本体5は、略T字状の例えばポリエステルからなるフィルム状の基材21と、基材21の山形の斜面の内側(同図下方:生体側)に貼り付けられた長方形の圧電素子(例えばピエゾ素子)23とからなる。
【0028】
また、呼吸検出部15は、上方が凸の山形となるように折り曲げられたものであり、口からの息が当たってその流れが遮られるように口からの息のかかる方向(矢印A方向)に対向するとともに、鼻からの息が流れる方向(矢印B方向)と並行となるように配置されている。
【0029】
一方、前記呼吸状態監視装置3は、腕等に装着可能なような軽量な装置であり、図4に示す様に、略直方体のプラスチック製の筐体25と、その内部に収容された電子制御装置27(図5参照)とを備えている。
【0030】
この呼吸状態監視装置3の上面には、センサ側コネクタ13が嵌め込まれる装置側上コネクタ(モジュラージャック)29が設けられ、後述する第1〜第4LED31〜37が半透明のカバー39に覆われて配置されている。
【0031】
また、呼吸状態監視装置3の左側面には、呼吸状態の測定(監視)の開始や終了のオン・オフを行う測定開始スイッチ41が配置されている。
更に、呼吸状態監視装置3の下面には、呼吸状態監視装置3をベース装置43(図6参照)に接続するために、装置側下コネクタ(D−SUBコネクタ)45が配置されている。
【0032】
尚、呼吸状態監視装置3の裏面には、呼吸状態監視装置3自身のID番号を示すバーコードのシール47が貼り付けられている。
b)次に呼吸状態監視装置3の構造について、図5〜図7を用いて説明する。
【0033】
・図5に示す様に、呼吸状態監視装置3の電子制御装置27として、周知のA/D内蔵マイコン49、リチウム電池でバックアップされたリアルタイムクロック51、不揮発性メモリ53、フラッシュメモリ55、シリアル通信回線57を備えるとともに、チャージアンプ(AMP)59、ゲイン1倍AMP61、ゲイン2倍AMP63を備えている。
【0034】
このうち、チャージAMP59は、通常、圧電素子23からの信号を増幅するために用いられるものであり、ゲイン1倍AMP61は、チャージAMP59からの出力のゲインを1倍にするためのものであり、ゲイン2倍AMP63は、チャージAMP59からの出力のゲインを2倍にするためのものである。
【0035】
そして、前記A/D内蔵マイコン49は、バッテリ切れ表示器65の第1LED31、呼吸フロー表示器67の第2〜第4LED33〜37に接続されている。
この第1LED31は、バッテリ(充電池)69の電圧が低下すると点灯するLEDである。また、第2〜第4LED33〜37は、呼吸状態に応じて点滅するものであり、第3LED35は、呼吸センサ1が呼吸状態監視装置3に接続されると点灯し、第2LED33は、息が吸われると点灯し、第4LED37は、息が吐かれると点灯する。
【0036】
特に、本実施例では、前記装置側下コネクタ(D−SUBコネクタ)45は、充電池69を介して、装置側上コネクタ29に接続され、更に、装置側上コネクタ29は、電子制御装置27に電力を供給する電源回路(内部回路)71に接続されている。
【0037】
つまり、呼吸状態監視装置3は、図6に示す様に、ベース装置43に装着されることによって、ベース装置43のベース側コネクタ105から、装置側下コネクタ45の専用の充電端子(図示せず)を介して、充電池69に充電される構成になっているが、充電池69から電源回路71への回路は、装置側上コネクタ29によって、常時は、開かれた構造となっている。
【0038】
詳しくは、図7に模式的に示す様に、装置側上コネクタ29には、充電池69に接続された第1装置側電源端子73と電源回路71に接続された第2装置側電源端子75とは、並列に設けられている。また、チャージAMP59に接続された1対の装置側信号端子77、79も、並列に設けられている。
【0039】
一方、センサ側コネクタ13には、装置側信号端子77、79に対応して、リード線9、11に接続された一対のセンサ側信号端子81、83が並列に設けられている。また、第1、第2装置側電源端子73、75に対応して、第1、第2センサ側電源端子85、87が設けられており、この第1、第2センサ側電源端子85、87は電気的に接続されている。
【0040】
従って、センサ側コネクタ13を装置側上コネクタ29に嵌め込んだ場合には、センサ側信号端子81、83と装置側信号端子77、79とがそれぞれ接続されて、呼吸センサ1から呼吸状態監視装置3への信号の取り込みが可能となる。
【0041】
同時に、第1装置側電源端子73と第1センサ側電源端子85とが接続されるとともに、第2装置側電源端子75と第2センサ側電源端子87とが接続され、これによって、充電池69から電源回路71への回路が閉じ、電子制御装置27に電力が供給されている状態となる。
【0042】
・また、本実施例では、使用するアンプを切り替える制御を行っている。
具体的には、呼吸センサ1が呼吸状態監視装置3に装着されると、呼吸センサ1からの信号がチャージAMP59に入力され、その信号は、ゲイン1倍AMP61及びゲイン2倍AMP63を介して、それぞれA/D内蔵マイコン49に入力される。
【0043】
そして、通常は、ゲイン2倍AMP63からの信号を処理して、呼吸状態の信号としてフラッシュメモリ55に記憶されるが、その信号がA/D変換取り込み最大値の80%を超えた場合には、ゲイン1倍AMP61からの信号を処理するように切り替えられる。
【0044】
これによって、信号がA/D変換取り込み最大値の上限に達することを防止して、常に、呼吸に対応した信号の変化を検出できるようになっている。
c)次に呼吸状態監視装置3の装着方法について、図8及び図9を用いて説明する。
【0045】
図8に示す様に、本実施例では、呼吸状態監視装置3は、例えば略直方体のケース89に収容されて使用される。
このケース89は、その上部に開閉可能なカバー91を備えており、ケース89の一方の側面(紙面裏側)には、ケース89を腕等に装着するためのベルト93が取り付けられている。このベルト93の一端にはリング95が配置され、他端側の中程には面ファスナ(オス側)97が取り付けられるとともに、同他端側の先端にも面ファスナ(メス側)99が取り付けられている。
【0046】
従って、この呼吸状態監視装置3を収容したケース89を腕に取り付ける場合には、図9に示す様に、ベルト93を腕94に巻き付け、その一端側をリング95に通して折り返し、面ファスナ97、99同士を接触させて固定する。
【0047】
d)次に呼吸状態監視装置3の使用方法について、図10及び図11を用いて説明する。
(1)呼吸状態の測定方法
・図10に示す様に、個々の被験者に対してその呼吸状態を測定する場合には、呼吸状態監視装置3を収容したケース89を、ベルト93によって、各被験者の腕に取り付ける。このとき、呼吸センサ1は、呼吸状態監視装置3に予め装着しておいてもよいが、呼吸状態監視装置3を腕に取り付けた後に装着してもよい。
【0048】
また、呼吸センサ1のセンサ本体5を、口と鼻との間に両面テープで取り付ける。具体的には、連結部7の接着面を口と鼻との間に貼り付ける。
尚、センサ本体5の貼り付け、呼吸状態監視装置3の腕への取り付け、呼吸センサ1の呼吸状態監視装置3への装着の順番は、適宜選択することが可能である。
【0049】
・そして、センサ側コネクタ13を装置側上コネクタ29に装着すると、充電池69から電源回路71に到る回路が閉じて、電子制御装置27に電極が供給される状態となる。
このとき、充電池69の電圧が低いと、バッテリ切れ表示器65の第1LED31が点灯する。
【0050】
・次に、測定開始スイッチ41が「入(オン)」に操作されると、呼吸センサ1からの信号の処理が開始される。具体的には、呼吸フロー表示器67の第3LED35が点灯するとともに、息が吸われると第2LEDが点灯し、息が吐かれると第4LED37が点灯する。
【0051】
また、測定開始スイッチ41が「入」に操作されてから3分間経過すると、第2〜第4LED33〜37は消灯する。同時に、その時間(3分間経過時の時間)をリアルタイムクロック51から読み出して、フラッシュメモリ55に記憶し、また、呼吸センサ1からの信号をフラッシュメモリ1に記憶する動作を開始する。
【0052】
従って、呼吸状態を示すデータの蓄積は、測定開始スイッチ41のオンから3分間経過後であるので、実質的な測定の開始は、この3分経過後ということができる。
・その後、測定開始スイッチ41から10時間経過すると、呼吸状態を示す信号の記憶を終了し、呼吸状態の測定を終了する。
【0053】
これによって、被験者の呼吸状態をチェックするために必要なデータが、フラッシュメモリ55に蓄積されたことになる。
・測定が終了すると、センサ本体5が顔から外されるとともに、呼吸センサ1が呼吸状態監視装置3から外されることになる。この呼吸センサ1の取り外し動作によって、充電池69から電源回路71に到る回路が開くことになる。
【0054】
(2)スクリーニングの処理方法
図11に示す様に、呼吸センサ1が外された各呼吸状態監視装置3は、ベース装置43に装着されて、下記の様にして、スクリーニングのためにデータを収集する処理が行われる。
【0055】
・具体的には、パソコン101に、ベース装置43とバーコードリーダ103と接続したシステムを構築し、まず、バーコードリーダ103を用いて、各呼吸状態監視装置3のバーコードを読み取る。即ち、呼吸状態監視装置3自身を示すIDをパソコン101に読み込む処理を行う。
【0056】
・次に、読み取ったIDに応じて、ベース装置43の予定位置に、呼吸状態監視装置3を装着するように案内するために、例えば装着位置のランプ(図示せず)を点灯する。
・そのランプを見て、作業者が、前記図6に示す様に、呼吸状態監視装置3の装置側下コネクタ(メス側)45をベース側コネクタ(オス側)105に嵌めこみ、呼吸状態監視装置3をベース装置43に装着する。
【0057】
この装着によって、前記図5に示す様に、ベース装置43の充電回路(図示せず)と充電池69とが接続され、充電が可能な状態となる。また、この充電のための回路とは別に、ベース装置43の通信回路(図示せず)とシリアル通信回路57とが接続され、呼吸状態監視装置3とベース装置43との通信が可能な状態となる。
【0058】
・従って、この装着後に、パソコン101からの指令によって、充電が開始される。また、呼吸状態監視装置3からは、そのIDと呼吸状態の測定結果を示す信号がパソコンに入力される。
【0059】
また、データの送信が終了した場合には、パソコン101からの指令によって、呼吸状態監視装置3が初期状態に設定される。具体的には、フラッシュメモリ55がクリアされ、リアルタイムクロックの時間合わせが行われる。
【0060】
尚、呼吸状態の測定を行う場合には、この初期状態に設定された呼吸状態監視装置3が用いられる。
e)次に、本実施例の効果を説明する。
【0061】
・本実施例では、呼吸センサ1が呼吸状態監視装置3に装着されると、充電池69と内電源回路71とを結ぶ回路が閉じて呼吸状態監視装置3がオンの状態となり、呼吸センサ1が取り外されると、充電池69と電源回路71とを結ぶ回路が開いて呼吸状態監視装置3がオフの状態となる。
【0062】
従って、呼吸センサ1の着脱によって呼吸状態監視装置3のオンオフを自動的に行えるので、装置を簡易化でき、小型化も可能である。また、操作が確実で操作性も優れており、コストも低減できるという利点がある。
【0063】
特に、本実施例では、呼吸状態監視装置3をベース装置43に装着して充電するが、測定が終了し呼吸センサ1が取り外された場合には、充電池69と電源回路71との間の回路は開いている。よって、別途電源スイッチを設けた場合と比べて、電源スイッチの切り忘れが生じるということは無く、電子制御装置27が破損することを効果的に防止できるという利点がある。
【0064】
従って、本実施例では、多数の被験者に対して、上述した軽量でシンプルな構造の呼吸状態監視システムを用いることにより、呼吸状態の異常等を抽出するスクリーニングの作業を大きく簡易できるという顕著な効果を奏する。
【0065】
・本実施例では、呼吸センサ1を呼吸状態監視装置3に装着した状態にて、測定開始スイッチ41がオンされた場合には、呼吸センサ1の使用状態に応じて、第2〜第4LED33〜37の点滅等により動作状況が報知される。従って、測定の開始時に、呼吸センサ1や呼吸状態監視装置3の異常の有無等を把握できるので、例えば故障した機器を使って一晩測定する様な無駄な測定を回避できるという利点がある。
【0066】
しかも、前記第2〜第4LED33〜37は、測定開始スイッチ41のオンから3分後に消灯するので、睡眠の妨げになることはない。
・本実施例では、センサ信号の大きさに応じて、使用するアンプを切り替えているので、必要な信号処理の精度を確保するとともに、制御に使用するマイコンとして処理能力の低い低コストのマイコンを使用することが可能になる。
【0067】
・本実施例では、測定開始から10時間経過すると、その測定を終了するので、必要十分なデータを得ることができる。
・本実施例では、ケース89に呼吸状態監視装置3を収容し、そのケース89をベルト93によって腕に取り付けることにより、睡眠中や途中で目覚めて移動した場合などに好適に呼吸状態の測定ができる。
【0068】
尚、本発明は前記実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、種々の態様で実施できることはいうまでもない。
(1)例えば、圧電素子以外に、熱電対等の温度検知素子など、各種の検出素子を用いることができる。
【0069】
(2)呼吸状態監視装置は、腕だけなく、腹等の他の位置に取り付けるようにしてもよく、或いは、取り付けるのではなく、枕元などに配置するようにしてもよい。
(3)本実施例では、呼吸を検出する例を挙げたが、呼吸だけでなく、いびきを検出することもできる。その場合には、例えばローパスフィルタやハイパスフィルタを用いればよい。
【0070】
つまり、通常の呼吸動作(いびき無しの場合)では、呼吸センサの出力信号の周波数は低く、逆に、いびきの場合には、呼吸センサの出力信号の周波数は高くなる。従って、ローパスフィルタやハイパスフィルタを用いて、呼吸センサの出力信号の周波数の大きさを識別することにより、いびきを検出することが可能となる。
【0071】
(4)また、チャージAMPの代わりに、差動アンプを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施例の呼吸状態監視システムを示す説明図である。
【図2】呼吸センサの呼吸状態監視装置への装着状態を示す説明図である。
【図3】呼吸センサを示す斜視図である。
【図4】呼吸状態監視装置を示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は背面図である。
【図5】呼吸状態監視装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】呼吸状態監視装置のベース装置への装着状態を示す説明図である。
【図7】センサ側コネクタと装置上コネクタとを模式的に示す説明図である。
【図8】ケース及びベルトを示す説明図である。
【図9】ケースの腕への取付状態を示す説明図である。
【図10】呼吸状態監視システムの使用方法示す説明図である。
【図11】呼吸状態監視装置からベース装置へのデータの送信方法及び充電方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0073】
1・・・呼吸センサ
3・・・呼吸状態監視装置
5・・・センサ本体
13・・・センサ側コネクタ
29・・・装置側上コネクタ
23・・・圧電素子
31、33、35、37・・・LED
41・・・測定開始スイッチ
45・・・装置側下コネクタ
49・・・A/D内蔵マイコン
69・・・充電池
71・・・電源回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の呼吸状態に対応した信号を出力する呼吸センサが着脱可能に装着され、前記呼吸センサからの信号に基づいて前記呼吸状態の測定が行われる呼吸状態監視装置であって、
前記呼吸センサのコネクタの着脱によって、前記呼吸状態監視装置の電池と内部回路との電気的導通がオン・オフされる構造を備えたことを特徴とする呼吸状態監視装置。
【請求項2】
前記呼吸センサを前記呼吸状態監視装置に装着した場合に、前記呼吸センサの使用状態に対応した報知を行う報知装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸状態監視装置。
【請求項3】
前記生体の息の呼気動作及び吸気動作に応じて、前記報知装置の報知内容を変更することを特徴とする請求項2に記載の呼吸状態監視装置。
【請求項4】
前記報知装置による報知を、前記呼吸状態監視装置の測定開始後、所定の初期時間の経過後に停止することを特徴とする請求項4に記載の呼吸状態監視装置。
【請求項5】
前記所定の初期時間の経過後に、前記測定結果のメモリへの記憶を開始することを特徴とする請求項4に記載の呼吸状態監視装置。
【請求項6】
前記呼吸センサからの信号の状態に応じて、前記信号の増幅を行うアンプの倍率を自動調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の呼吸状態監視装置。
【請求項7】
前記呼吸センサを前記呼吸状態監視装置に装着して、前記生体の呼吸状態を測定した場合に、前記測定の開始時間を記録することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の呼吸状態監視装置。
【請求項8】
前記呼吸センサを前記呼吸状態監視装置に装着して、前記生体の呼吸状態を測定した場合に、所定の測定時間が経過すると前記測定を終了することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の呼吸状態監視装置。
【請求項9】
更に、前記呼吸状態監視装置を収容するケースと、該ケースを前記生体に取り付ける取付部材とを備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の呼吸状態監視装置。
【請求項10】
前記請求項1〜9のいずれかの呼吸状態監視装置に前記呼吸センサを装着したことを特徴とする呼吸状態監視システム。
【請求項1】
生体の呼吸状態に対応した信号を出力する呼吸センサが着脱可能に装着され、前記呼吸センサからの信号に基づいて前記呼吸状態の測定が行われる呼吸状態監視装置であって、
前記呼吸センサのコネクタの着脱によって、前記呼吸状態監視装置の電池と内部回路との電気的導通がオン・オフされる構造を備えたことを特徴とする呼吸状態監視装置。
【請求項2】
前記呼吸センサを前記呼吸状態監視装置に装着した場合に、前記呼吸センサの使用状態に対応した報知を行う報知装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸状態監視装置。
【請求項3】
前記生体の息の呼気動作及び吸気動作に応じて、前記報知装置の報知内容を変更することを特徴とする請求項2に記載の呼吸状態監視装置。
【請求項4】
前記報知装置による報知を、前記呼吸状態監視装置の測定開始後、所定の初期時間の経過後に停止することを特徴とする請求項4に記載の呼吸状態監視装置。
【請求項5】
前記所定の初期時間の経過後に、前記測定結果のメモリへの記憶を開始することを特徴とする請求項4に記載の呼吸状態監視装置。
【請求項6】
前記呼吸センサからの信号の状態に応じて、前記信号の増幅を行うアンプの倍率を自動調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の呼吸状態監視装置。
【請求項7】
前記呼吸センサを前記呼吸状態監視装置に装着して、前記生体の呼吸状態を測定した場合に、前記測定の開始時間を記録することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の呼吸状態監視装置。
【請求項8】
前記呼吸センサを前記呼吸状態監視装置に装着して、前記生体の呼吸状態を測定した場合に、所定の測定時間が経過すると前記測定を終了することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の呼吸状態監視装置。
【請求項9】
更に、前記呼吸状態監視装置を収容するケースと、該ケースを前記生体に取り付ける取付部材とを備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の呼吸状態監視装置。
【請求項10】
前記請求項1〜9のいずれかの呼吸状態監視装置に前記呼吸センサを装着したことを特徴とする呼吸状態監視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−445(P2007−445A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−185413(P2005−185413)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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