説明

四角形鋼管の製造設備

【課題】折り曲げが不安定で、直角状折曲げ部が鈍角または鋭角のいずれに折り曲げられているときでも、遊端部分を上下から正確に突き合わせできる四角形鋼管の製造設備を提供する。
【解決手段】四箇所を直角状に折り曲げて、三辺を定寸平板部4とし一辺を一対の半寸平板部5でその遊端部分2を突き合わせることで四角形状鋼管7としたのち、仮付け溶接8を施工し、駆動ローラコンベヤ32により形成した仮付け溶接ライン31上で突き合わせ部を横向きとして、仮付け作業部50に、外面矯正装置51と仮付け溶接機95を設け、外面矯正装置は、左右一対で相対的に接近離間自在な側部押え体55と、昇降自在な上部押え体67からなる。四角形状鋼管内において移動自在で、仮付け作業部の部分に停止自在な内面矯正装置100を設け、内面矯正装置は、本体101の前後方向の複数箇所にそれぞれ左右一対の内加圧体118を相対的に接近離間自在に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幅方向における四箇所を直角状に折り曲げて成形することで、三辺を定寸平板部とし一辺を一対の半寸平板部でその遊端部分を突き合わせることで四角形状鋼管としたのち、この突き合わせ部に対して仮付け溶接を施工する四角形鋼管の製造設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の設備としては、次のような構成が提供されている。すなわち、帯状の鋼板を長さ方向に搬送して幅方向における両側縁に開先を加工する。そして成形プレス装置によって、鋼板の幅方向における開先寄りの二箇所を直角状(90度またはほぼ90度)に折り曲げて、直角状折曲げ部(隅部)を成形し、次いで、直角状折曲げ部の内側の二箇所を鈍角(約105度)に折り曲げて、鈍角折曲げ部を成形する。これにより、鈍角折曲げ部間が中間平板部、この中間平板部に連なる部分が一対の側平板部、直角状折曲げ部の外側が端平板部の近似四角形状鋼管を形成する。そして、各平板部(四辺)をロール装置のロール群により外側から加圧することにより、鈍角折曲げ部を直角状折曲げ部に成形しながら開先どうしを突き合わせして四角形状鋼管とし得、この突き合わせ部に対して仮付け溶接を施工する。このように、突き合わせ部に対して仮付け溶接機により仮付け溶接を施工した後に、溶接手段によって内面溶接と外面溶接とを施工することで、平板部(一辺)に突き合わせ溶接部(シーム溶接部)を有する四角形鋼管(製品)を製造する。
【0003】
その際にロール装置は、スタンド本体と、このスタンド本体に定置された下部ロールと、この下部ロールに上方から対向されてスタンド本体に昇降自在に設けられた上部ロールと、左右一対の側部ロールとを有し、各側部ロールはそれぞれ支持体に回転自在に設けられるとともに、各支持体は、スタンド本体に対して横方向から抜き差し自在にかつ差し込み位置を固定自在に構成されている。そしてロール装置のロール群を中にして、幅用ピンチロールと高さ用ピンチロールとが、いずれかを上手として、上手と下手に振り分けて設けられている。
【0004】
したがって、直角状折曲げ部が直角に折り曲げられているときには、開先の部分を上下から正確に突き合わせることができて、左右一対の側部ロールにより形状を維持しながら突き合わせ部に対する仮付け溶接を好適に行える。また折り曲げが不安定で、直角状折曲げ部が鈍角(90度以上)に折り曲げられているときには、左右一対の側部ロールによる加圧矯正によって開先の部分を上下から正確に突き合わせることができて、突き合わせ部に対する仮付け溶接を好適に行える(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−188462号公報(第7頁、図12−図18)
【特許文献2】特開平10−235432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし上記した従来構成によると、折り曲げが不安定で、直角状折曲げ部が鋭角(90度以内)に折り曲げられているときには、開先の部分(遊端部分)を上下から正確に突き合わせることができず、しかも、この鋭角に折り曲げられている半寸平板部に側部ロールが作用しないことから矯正もできず、したがって好適な仮付け溶接(シーム溶接)を行うことができない。
【0007】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、折り曲げが不安定で、直角状折曲げ部が鈍角(90度以上)または鋭角(90度以内)のいずれに折り曲げられているときでも、遊端部分を上下から正確に突き合わせ得る四角形鋼管の製造設備を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の四角形鋼管の製造設備は、幅方向における四箇所を直角状に折り曲げて成形することで、三辺を定寸平板部とし一辺を一対の半寸平板部でその遊端部分を突き合わせることで四角形状鋼管としたのち、この突き合わせ部に対して仮付け溶接を施工する四角形鋼管の製造設備であって、駆動ローラコンベヤにより仮付け溶接ラインが形成されるとともに、この仮付け溶接ライン上で突き合わせ部を横向きとして長さ方向に搬送される四角形状鋼管の幅ガイド手段が設けられ、前記仮付け溶接ライン中には仮付け作業部が設けられ、この仮付け作業部には外面矯正装置と仮付け溶接機とが設けられ、前記外面矯正装置は、左右一対で相対的に接近離間自在な側部押え体と、昇降自在な上部押え体とからなり、前記四角形状鋼管内において移動自在で、前記仮付け作業部の部分に停止自在な内面矯正装置が設けられ、この内面矯正装置には、その本体の前後方向の複数箇所にそれぞれ左右一対の内加圧体が相対的に接近離間自在に設けられていることを特徴としたものである。
【0009】
したがって請求項1の発明によると、仮付け溶接を施工する前において、内面矯正装置は左右一対の内加圧体を相対的に接近させ、そして外面矯正装置は、上部押え体を上昇させるとともに、側部押え体を外側に離間移動させている。この状態で、まず駆動ローラコンベヤ上の四角形状鋼管に対して幅ガイド手段により幅決めを行い、そして、仮付け溶接ライン上に幅決めして位置させた四角形状鋼管内で内面矯正装置を移動させて、その前端近くに停止させる。次いで、内面矯正装置を作動させ、両内加圧体を四角形状鋼管の内面に当接させる。これにより、四角形状鋼管と内面矯正装置とを一体状として移動し得、この移動は、四角形状鋼管の前部が仮付け作業部の外面矯正装置に対向したときに停止させる。そして、両内加圧体を四角形状鋼管の内面から離間させ、以て四角形状鋼管から内面矯正装置を別体化させる。この状態で、内面矯正装置のみを前進移動させ、内加圧体が四角形状鋼管の前端に対向したときに停止させる。
【0010】
次いで両内加圧体を四角形状鋼管の内面に当接させることにより、鋭角(90度以内)に折り曲げられている平板部を内側から加圧矯正して、両半寸平板部の遊端部分を上下から正確に突き合わせ状態とした四角形状鋼管とし得る。そして仮付け溶接機を溶接作動させ、その仮付け溶接を、四角形状鋼管の突き合わせ部における先端部分に行う。また、外面が不揃いのときには外面矯正装置を作動させる。すなわち、上部押え体を下降して四角形状鋼管の上面に当接させることで、この四角形状鋼管の上部を外側から加圧矯正し得、そして側部押え体を内側に移動させて両半寸平板部に当接させることで、この四角形状鋼管の突き合わせ部の上下において半寸平板部を外側から加圧矯正し得、この後に仮付け溶接機を溶接作動させる。
【0011】
上述したように仮付け溶接機によって、突き合わせ部における先端部分の仮付け溶接を行ったのち、まず内面矯正装置を逆作動させて内加圧体をC型鋼材の内面間から離間させ、外面矯正装置を逆作動させて側部押え体や上部押え体を四角形状鋼管の外面から離間させる。この状態で駆動ローラコンベヤを送り作動させて、四角形状鋼管を仮付け溶接ライン上で設定距離だけ前進移動させ、このとき内面矯正装置は外面矯正装置に対向する位置で停止状態にある。そして、四角形状鋼管を設定距離だけ前進移動させて停止させたのち、上述したように内面矯正装置を作動させ、必要に応じて外面矯正装置も作動させて、仮付け溶接機による溶接作動を設定距離だけ移動させて行う。以上の動作を繰り返して、四角形状鋼管を内側、または内外から加圧矯正しながら設定距離分の仮付け溶接を複数回行うことで、四角形状鋼管における突き合わせ部の全長に対して、仮付け溶接機により仮付け溶接を施工し得る。
【0012】
また本発明の請求項2記載の四角形鋼管の製造設備は、上記した請求項1記載の構成において、外面矯正装置には、内面矯正装置による内面矯正状態において一対の半寸平板部の外側面の幅方向での位置ずれを検出する検出部が設けられ、この検出部が良検出のときに仮付け溶接機が溶接作動され、不良検出のときに内面矯正装置と外面矯正装置との少なくとも一方が加圧作動されるように構成されていることを特徴としたものである。
【0013】
したがって請求項2の発明によると、仮付け溶接を施工する前において、検出部は非検出状態にあり、仮付け溶接機は非溶接位置に後退している。まず、検出部を検出作動させ、内面矯正装置による内位置決め状態において四角形状鋼管の外側面の幅方向での位置ずれが許容範囲内の良検出のときには、仮付け溶接機を溶接作動させて、四角形状鋼管の突き合わせ部に仮付け溶接を行う。また、検出部が許容範囲外の不良検出のときには、内面矯正装置を再度作動させて、内加圧体を上下の半寸平板部の内面間により強く当接させて加圧矯正を行い、そして再び検出し、検出部が良検出のときには仮付け溶接機を溶接作動させる。また、検出部が再び不良検出のときには、外面が不揃いとして外面矯正装置を作動させ、四角形状鋼管の上部を外側から加圧矯正するとともに、突き合わせ部の上下を外側から加圧矯正する。この後に再び検出し、検出部が良検出のときには仮付け溶接機を溶接作動させる。
【0014】
そして本発明の請求項3記載の四角形鋼管の製造設備は、上記した請求項1または2記載の構成において、内面矯正装置は、本体に対して、内加圧体の上下作用位置が調整自在に構成されていることを特徴としたものである。
【0015】
したがって請求項3の発明によると、内加圧体の上下作用位置を調整することで、複数種の径(寸法)の四角形状鋼管に対応し得る。
【発明の効果】
【0016】
上記した本発明の請求項1によると、幅ガイド手段により幅決めを行っている四角形状鋼管の前部を仮付け作業部の外面矯正装置に対向させ、内加圧体を四角形状鋼管の前端に対向させた状態で、両内加圧体を四角形状鋼管の内面に当接させることにより、鋭角(90度以内)に折り曲げられている平板部を内側から加圧矯正して、両半寸平板部の遊端部分を上下から正確に突き合わせ状態とした四角形状鋼管にできる。そして仮付け溶接機を溶接作動させ、その仮付け溶接を、四角形状鋼管の突き合わせ部における先端部分に行うことができる。また外面が不揃いのときには、外面矯正装置の上部押え体を下降して四角形状鋼管の上面に当接させることで、この四角形状鋼管の上部を外側から加圧矯正でき、そして側部押え体を内側に移動させて両半寸平板部に当接させることで、この四角形状鋼管の突き合わせ部の上下において半寸平板部を外側から加圧矯正でき、この後に仮付け溶接機を溶接作動できる。
【0017】
したがって、折り曲げが不安定で、直角状折曲げ部が鈍角(90度以上)または鋭角(90度以内)のいずれに折り曲げられているときでも、遊端部分を上下から正確に突き合わせて仮付け溶接した四角形状鋼管を得ることができる。その際に内加圧体による加圧矯正を、四角形状鋼管の長さ方向(前後方向)における複数箇所で行うことによって、この加圧矯正による遊端部分の突き合わせを、より正確に行うことができ、より精度の高い仮付け溶接を行うことができる。
【0018】
また上記した本発明の請求項2によると、仮付け溶接を施工する前において、検出部は非検出状態にあり、仮付け溶接機は非溶接位置に後退している。まず、検出部を検出作動させ、内面矯正装置による内位置決め状態において両半寸平板部の外側面の幅方向での位置ずれが許容範囲内の良検出のときには、仮付け溶接機を溶接作動させて、四角形状鋼管の突き合わせ部に仮付け溶接を行うことができる。また、検出部が許容範囲外の不良検出のときには、内面矯正装置を再度作動させて、内加圧体を上下の半寸平板部の内面間により強く当接させて加圧矯正を行うことができ、そして再び検出し、検出部が良検出のときには仮付け溶接機を溶接作動できる。また、検出部が再び不良検出のときには、外面が不揃いとして外面矯正装置を作動させ、四角形状鋼管の上部を外側から加圧矯正できるとともに、突き合わせ部の上下を外側から加圧矯正でき、この後に再び検出し、検出部が良検出のときには仮付け溶接機を溶接作動できる。
【0019】
そして上記した本発明の請求項3によると、内加圧体の上下作用位置を調整することで、複数種の径(寸法)の四角形状鋼管に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1を示し、四角形鋼管の製造設備の仮付け作業部における要部の一部切り欠き背面図である。
【図2】同四角形鋼管の製造設備で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】同幅ガイド手段部分の縦断背面図である。
【図4】同幅ガイド手段の作用を示す概略平面図である。
【図5】同仮付け作業部の一部切り欠き背面図である。
【図6】同仮付け作業部の側面図である。
【図7】同内面矯正装置の側面図である。
【図8】同内面矯正装置の平面図である。
【図9】同内面矯正装置の別体時における一部切り欠き背面図である。
【図10】同内面矯正装置の内面矯正時における一部切り欠き背面図である。
【図11】同検出時における一部切り欠き背面図である。
【図12】同矯正、溶接の作用を示す概略背面図である。
【図13】同四角形状鋼管の製造過程などの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[実施の形態1]
以下に、本発明の実施の形態1を図に基づいて説明する。
まず、四角形状鋼管の製造を説明する。すなわち図13(a)に示すように、たとえば厚さ12〜40mmで帯状の鋼板1は、帯鋼板を長さ方向に搬送し、トリミング開先加工機に通して幅方向Wにおける両側縁に開先2を加工し、この前後に所定長さに切断して形成する。そして鋼板1を成形プレス装置に入れて、下金型に対する上金型の昇降動により、図13(b)に示すように、鋼板1の幅方向における開先寄りの二箇所を直角状(90度またはほぼ90度)に折り曲げて、直角状折曲げ部(隅部)3を成形し、次いで、直角状折曲げ部3の内側の二箇所を鈍角(約105度)に折り曲げて、鈍角折曲げ部3aを成形する。これにより、鈍角折曲げ部3a間や、鈍角折曲げ部3aと直角状折曲げ部3との間が定寸平板部4、直角状折曲げ部3の外側に連なる部分が一対の半寸平板部5の近似四角形状鋼管6を成形する。
【0022】
そして、近似四角形状鋼管6の各平板部(四辺)をロール装置のロール群により外側から加圧することにより、図13(c)に示すように、鈍角折曲げ部3aを直角状折曲げ部3に成形しながら開先(遊端部分)2どうしを突き合わせして四角形状鋼管7とし得る。すなわち、幅方向Wにおける四箇所を直角状(90度またはほぼ90度)に折り曲げて成形することで、三辺を定寸平板部4とし一辺を一対の半寸平板部5でその遊端部分を突き合わせ部7Xとした四角形状鋼管7とし得る。
【0023】
そして四角形状鋼管7は、図2に示すように、仮付け溶接ライン31における上手部分の側方に配設された鋼材供給台11上に並列状で供給される。その際に鋼材供給台11上への供給は、突き合わせ部7Xを仮付け溶接ライン31とは反対側に横向きとした状態で行われる。
【0024】
図2、図5、図6に示すように、前記仮付け溶接ライン31は駆動ローラコンベヤ32により形成され、ここで駆動ローラコンベヤ32は、コンベヤフレーム33と、このコンベヤフレーム33の複数箇所に軸受け部34を介して回転自在に設けられた送りローラ35と、この送りローラ35に連動したローラ駆動装置36などにより構成されている。前記仮付け溶接ライン31の方向における2箇所(1箇所または複数箇所)には、鋼材供給台11の側方部分から送りローラ35の前後方部分とに亘って同期して往復走行自在な供給側移載台車12が設けられ、この供給側移載台車12には昇降自在な受け部13が設けられている。
【0025】
したがって、鋼材供給台11上の四角形状鋼管7は、上昇される受け部13により持ち上げられ、そして供給側移載台車12の往走行によって、駆動ローラコンベヤ32の送りローラ35群の上方に位置されたのち、受け部13の下降により送りローラ35群の上に降ろされることになる。これにより、鋼材供給台11上の四角形状鋼管7を、供給側移載台車12によって駆動ローラコンベヤ32上に供給可能に構成されている。
【0026】
図2〜図4に示すように、前記仮付け溶接ライン31の部分には、この仮付け溶接ライン31上で長さ方向に搬送される四角形状鋼管7の幅ガイド手段41が設けられる。すなわち幅ガイド手段41は、鋼材供給台11とは反対側で仮付け溶接ライン31の方向における複数箇所に設けられた定置ローラ42群と、鋼材供給台11側で仮付け溶接ライン31の方向における複数箇所に設けられた可動ローラ44群とにより構成されている。ここで定置ローラ42は、設備枠体30側からの固定支持部材43に対して縦軸心の回りに遊転自在に設けられている。また仮付け溶接ライン31を挟んで固定支持部材43に対向状の位置には、設備枠体30に対して縦軸心の回りで横方向に揺動自在な横可動部材45と、この横可動部材45に対して横軸心の回りで起立横倒自在な縦可動部材46とが設けられ、この縦可動部材46に、起立時に縦軸心の回りに遊転自在として前記可動ローラ44が設けられている。
【0027】
そして、図3の実線、図4(a)に示すように、縦可動部材46を横倒させるとともに横可動部材45を横外方に揺動させることで、横倒した可動ローラ44の上面が、仮付け溶接ライン31の外で駆動ローラコンベヤ32の送りローラ35の上面と同様なレベルに位置され、また図3の仮想線イ、図4(b)の実線に示すように、縦可動部材46を起立させるとともに、図3の仮想線ロ、図4(b)の仮想線に示すように、横可動部材45を横内方に揺動させることで、起立した可動ローラ44が、仮付け溶接ライン31の内で定置ローラ42に対して接近されるように構成されている。なお、横可動部材45の揺動駆動装置47や縦可動部材46の起立横倒装置48が設けられている。そして、前記供給側移載台車12による四角形状鋼管7の駆動ローラコンベヤ32の送りローラ35群の上方への供給は、図3に示すように、定寸平板部4が定置ローラ42に当接して行われるように構成されている。以上の42〜48などにより、幅ガイド手段31の一例が構成される。
【0028】
このように、仮付け溶接ライン31上に四角形状鋼管7を供給した状態で前記幅ガイド手段41を作動させることで、四角形状鋼管7の幅決めが行われるように構成されている。すなわち図3の仮想線ロに示すように、縦可動部材46を起立させるとともに横可動部材45を横内方に揺動させて、起立した可動ローラ44を定置ローラ42に対して接近させることで、この可動ローラ44を両半寸平板部5に当接させて、四角形状鋼管7を送りローラ35群上で定置ローラ42側に横移動させ、そして定寸平板部4を定置ローラ42に当接させることで、四角形状鋼管7の幅決めが行われる。
【0029】
図1、図2、図5、図6、図11に示すように、前記仮付け溶接ライン31中には仮付け作業部50が設けられ、この仮付け作業部50には外面矯正装置51と仮付け溶接機95とが設けられている。前記外面矯正装置51は、左右一対で相対的に接近離間自在な側部押え体55と、昇降自在な上部押え体67などからなる。すなわち仮付け溶接ライン31の両側には、設備枠体30側に設けられたガイド部52に案内される側部昇降体53が設けられ、これら側部昇降体53には、側部シリンダー装置(側部加圧手段)54が左右方向(仮付け溶接ライン31の方向に対して直交状の横方向)に設けられるとともに、内向きのピストンロッドに前記側部押え体55が設けられている。
【0030】
また仮付け溶接ライン31の上方には、設備枠体30側に設けられたガイド部60に案内される上部昇降体61が設けられ、この上部昇降体61は、設備枠体30側との間に設けられたシリンダー装置62によって上下位置を調整自在に構成されている。前記上部昇降体61の下面にはプレート状の保持体63が設けられ、この保持体63の下面側には左右方向のガイド体64が設けられるとともに、このガイド体64に支持案内されて左右方向に移動自在な一対の横移動体65が設けられている。そして両横移動体65にはそれぞれ、上部シリンダー装置(上部加圧手段)66が上下方向に設けられるとともに、下向きのピストンロッドに前記上部押え体67が設けられている。
【0031】
さらに保持体63の下面側には、軸受け体68により回転自在に支持された左右方向の軸体69が横移動体65を貫通する状態で設けられるとともに、その右ねじ部69aに螺合するナット体70が一方の横移動体65に、左ねじ部69bに螺合するナット体70が他方の横移動体65に設けられている。なお軸体69は、ハンドル71によって回転操作され、この回転操作によって横移動体65、すなわち両上部押え体67を相対的に接近離間動して、種類(品種)に応じた四角形状鋼管7の幅の変化に対処し得る。
【0032】
前記上部昇降体61の昇降は、横移動体65側に設けられた高さ検知器72によって四角形状鋼管7の上面を検知することにより制御される。また側部昇降体53の昇降は、前記上部昇降体61の昇降に連動して自動的に行われる。すなわち側部昇降体53の上部には、昇降受動用の輪体(スプロケットなど)56が遊転自在に設けられている。そして輪体56に下側から掛けられた索状体(チェーンなど)57の一方の遊端が連結具58を介して設備枠体20側に連結されるとともに、他方の遊端が連結具59を介して保持体63側に連結されている。なおガイド部60側で左右方向の中央部分には、四角形状鋼管7の上面(高さ)の変化を検知することにより種類(品種)を確認するための検知器73が設けられている。
【0033】
したがって、シリンダー装置62の伸縮動により上部昇降体61を昇降させることで、保持体63などを介して上部押え体67を昇降し得、この上部押え体67の昇降に索状体57などを介して連動して側部押え体55を昇降し得る。そして検知器73の検知に基づいてシリンダー装置62の伸展動により上部昇降体61を下降させることで、上部押え体67を四角形状鋼管7の上面に対向させ得る。次いで上部押え体67を、上部シリンダー装置66の伸展動により下降させて上面に当接させることで、上部押え体67により四角形状鋼管7の上部を外側から加圧矯正し得る。また四角形状鋼管7の両側面に対向させた側部押え体55を、側部シリンダー装置54の伸展動により内側に移動させて側面に当接させることで、側部押え体55により四角形状鋼管7の側部、すなわち一側部においては、突き合わせ部7Xの上下において半寸平板部5を外側から加圧矯正し得る。以上の52〜73などにより、外面矯正装置51の一例が構成される。
【0034】
前記外面矯正装置51の一側部には、内面矯正装置(後述する。)100による内位置決め状態において、四角形状鋼管7における両半寸平板部5の外側面の幅方向(左右方向)での位置ずれを検出する検出部80が設けられている。すなわち、前記側部昇降体53に一体化された昇降枠部81が設けられるとともに、この昇降枠部81側に設けられたシリンダー装置82の作動により左右方向に移動自在な移動枠部83が設けられている。この移動枠部83は、後面側に連結された上下一対のガイドロッド84が側部昇降体53側に設けられたガイド部85に支持案内されている。前記移動枠部83の内面(前面)には当接体86が設けられ、この当接体86は前記側部押え体55と同様のレベル(高さ位置)とすることで、突き合わせ部7Xの上下において半寸平板部5の外面に当接自在とされている。前記移動枠部83の下手側面には検出器87が設けられ、この検出器87は、移動枠部83に設けられたシリンダー装置88の作動によって、上位の半寸平板部5に対向する位置と、下位の半寸平板部5に対向する位置とに亘って昇降自在に構成されている。
【0035】
したがって図11に示すように、シリンダー装置82の作動により移動枠部83を介して当接体86を内側へ移動させ、その前面86aを突き合わせ部7Xの上下において半寸平板部5の外面(両外面または一方の外面)に当接させて移動を停止させる。この状態で図11の点線に示すように、下位の半寸平板部5に対向している検出器87によって、下位の半寸平板部5の外面までの距離(寸法)を検出したのち、図11の仮想線に示すように、シリンダー装置88の作動により検出器87を上昇させて上位の半寸平板部5に対向させて、上位の半寸平板部5の外面までの距離(寸法)を検出する。その際に距離の検出位置は、たとえば突き合わせ部7Xの中心に対して上下に20〜30mm変位した2箇所であり、そして、たとえば両位置の検出値に0.3mm以上の差が生じたとき不良検出と判断されるように構成されている。この検出部80が良検出のときに、外面矯正装置51の一側部に設けられた前記仮付け溶接機95が溶接作動され、不良検出のときに内面矯正装置100と外面矯正装置51との少なくとも一方が加圧作動(後述する。)されるように構成されている。以上の81〜88などにより、検出部80の一例が構成される。
【0036】
図1、図2、図5〜図11に示すように、前記外面矯正装置51の部分にも前記送りローラ35が配設され、そして、この送りローラ35や前記検出部80の下手部分に、その長さ方向を左右方向とした上面規制ローラ91が配設されている。すなわち、設備枠体30側に案内されて昇降自在な昇降体92が設けられるとともに、その昇降駆動部93が設備枠体30側に設けられ、そして昇降体92に前記上面規制ローラ91が遊転自在に設けられている。さらに外面矯正装置51と上面規制ローラ91との間にはロボット形式の前記仮付け溶接機95が設けられ、ここで仮付け溶接機95は、一方側の突き合わせ部7Xに対して外側から仮付け溶接8を行うように構成されている。
【0037】
前記四角形状鋼管7の内面に支持案内されて、この四角形状鋼管7内を移動自在で、前記仮付け作業部50の部分に停止自在な内面矯正装置100が設けられている。すなわち、内面矯正装置100の本体101は台車形式であって、前後に遊転車輪102を有する下位本体部101Aと、この下位本体部101Aに対して上下位置を調整自在な上位本体部101Bとから構成される。
【0038】
前記下位本体部101Aの前端部分には、摺接ガイド部103などを介して下位本体部101A側に支持案内されることで左右方向に移動自在な下部摺動体104と、摺接ガイド部105などを介して下部摺動体104側に支持案内されることで左右方向に移動自在な上部摺動体106とが設けられている。そして両摺動体104,106の前端には、それそれ縦軸107を介してサイドガイドローラ108が遊転自在に設けられている。したがって、両摺動体104,106を摺動させたのち連結体を差し込むことなどによって、両サイドガイドローラ108を、位置(ガイド幅)を調整して下位本体部101A側に定着し得る。
【0039】
前記下位本体部101Aにおける中間部分の前後方向2箇所で上面には、それぞれ左右方向のガイドレール111が設けられ、これらガイドレール111に摺接部材112を介して支持案内される可動部材113が設けられている。両可動部材113の左右方向の両端からはそれぞれガイドピン114が立設され、これらガイドピン114にはそれぞれスペーサ115が着脱自在に外嵌されている。前記上位本体部101Bの前後端部にはそれぞれ左右一対の貫通孔116が形成され、これら貫通孔116を介して上位本体部101Bがガイドピン114に外嵌される。そして上位本体部101Bは、スペーサ115に当接することで下位本体部101Aに対する上下位置が規制され、その際に上下高さの異なるスペーサ115を選択することで、下位本体部101Aに対して上下位置を調整自在に構成される。なおガイドレール111側と可動部材113側との間には、この可動部材113を下位本体部101Aに対して左右方向の中間位置とするための付勢体(スプリングなど)117が設けられている。
【0040】
前記内面矯正装置100には、その本体101の前後方向の複数箇所にそれぞれ左右一対の内加圧体118が相対的に接近離間自在に設けられている。すなわち、前記上位本体部101Bの前後方向の二箇所それぞれには、その伸縮方向を横方向としたシリンダー装置119が設けられ、これらシリンダー装置119は、上位本体部101Bに固定されるシリンダー本体120と、ピストンロッド121などから構成される。そしてシリンダー本体120の閉塞側端部とピストンロッド121の露出側端部とに円盤状の内加圧体118が固定されている。なお内加圧体118の外面には凸円弧状面118aが形成され、さらに上下方向の中央部分には前後方向の凹入溝部118bが形成されている。
【0041】
ここで凹入溝部118bは、四角形状鋼管7における突合せ部7Xに対向されるものであり、その際に四角形状鋼管7の径変化(寸法変化)に対しては、前述したように上下高さの異なるスペーサ115を選択して、下位本体部101Aに対して上位本体部101Bの上下位置、すなわち内加圧体118の上下作用位置を調整することで対処し得る。またシリンダー装置119を伸展動させたとき、まずシリンダー本体120に対してピストンロッド121が一方側に突出動して内加圧体118の凸円弧状面118aを四角形状鋼管7の内面に当接し得、そして当接反力により、ピストンロッド121に対してシリンダー本体120が他方側に外側移動して内加圧体118の凸円弧状面118aを四角形状鋼管7の内面に当接し得る。その際にシリンダー本体120の外側移動は、可動部材113、すなわち上位本体部101Bが下位本体部101Aに対して、付勢体117に抗して移動することで円滑に行われる。以上の101〜121などにより、内面矯正装置100の一例が構成される。
【0042】
図1、図2、図7、図8に示すように前記内面矯正装置100を、鋼材供給台11の部分よりも上手となる待機位置Yと、前記仮付け作業部50の部分である作用位置Zとに亘って往復移動させる駆動手段130が設けられる。すなわち、下位本体部101Aの後端に前端を連結した四角筒状のブーム体131が設けられ、このブーム体131は長尺であって、下位本体部101Aとの一体移動は、設備枠体20側に設けられた支持ローラ132群とサイドローラ133群とによる支持案内によって安定して行われる。そして、待機位置Yの近くで設備枠体30側には、ブーム体131の上面に圧接される状態で駆動ローラ134が設けられるとともに、この駆動ローラ134に連動連結した正逆駆動部135が設けられている。前記ブーム体131の後端にはタンクを含む各種機器136が設けられ、これら各種機器136と前記内面矯正装置100のシリンダー装置119などが、ブーム体131内に収めた配管や配線により接続されている。
【0043】
前記待機位置Yには、前記遊転車輪102を支持案内する待機部レール体137が設けられている。そして待機位置Yに隣接した下手位置には、前記遊転車輪102を支持案内する中継レール体138が設けられるとともに、この中継レール体138の前後に、下位本体部101Aに対して下方から当接自在な昇降ローラ139が設けられている。
【0044】
したがって、正逆駆動部135により駆動ローラ134を正逆駆動してブーム体131を長さ方向に押し引き移動させることで、内面矯正装置100を、待機位置Yと作用位置Zとに亘って往復移動し得る。その際に、待機位置Yからの内面矯正装置100を中継レール体138上で一旦停止させたのち、昇降ローラ139を下位本体部101Aに対して下方から当接させて内面矯正装置100を上昇させることで、四角形状鋼管7における定寸平板部4の板厚変化に対処し得る。以上の131〜139などにより、駆動手段130の一例が構成される。
【0045】
前記仮付け作業部50で仮付け溶接8された四角形状鋼管7は、仮付け溶接ライン31における下手部分の側方に配設された置き台21上に並列状で払出される。すなわち、前記仮付け溶接ライン31の方向における2箇所(1箇所または複数箇所)には、置き台21の側方部分から送りローラ35の前後方部分とに亘って同期して往復走行自在な払出側移載台車22が設けられ、この払出側移載台車22には昇降自在な受け部23が設けられている。したがって、駆動ローラコンベヤ32の送りローラ35群上の仮付け溶接8された四角形状鋼管7は、上昇される受け部23により持ち上げられ、そして払出側移載台車22の復走行によって置き台21の上方に位置されたのち、受け部23の下降により置き台21上に降ろされることになる。
【0046】
以下に、上記した実施の形態1における作用を説明する。
仮付け溶接8を施工する前において、図2に示すように内面矯正装置100は待機位置Yにあり、そして左右一対の内加圧体118はシリンダー装置119の収縮動により相対的に接近している。さらに左右一対のサイドガイドローラ108を、仮付け溶接8を施工しようとする四角形状鋼管7の径変化(寸法変化)に対して好ましい位置(ガイド幅)に調整して下位本体部101A側に定着している。
【0047】
そして外面矯正装置51においては、シリンダー装置62の収縮動により上部昇降体61を上昇させることで、保持体63などを介して上部押え体67を上昇させるとともに、索状体57などを介して側部押え体55を上昇させている。その際に上部押え体67は、ハンドル71の回転操作によって相対的に接近離間動して、仮付け溶接8を施工しようとする四角形状鋼管7の径変化(寸法変化)に対して好ましい位置にし得るとともに、上部シリンダー装置66の収縮動により上昇させている。また側部押え体55は、側部シリンダー装置54の収縮動により外側に離間移動させている。さらに検出部80においては、シリンダー装置82の収縮動により移動枠部83を介して当接体86を外側へ移動させるとともに、シリンダー装置88の伸展動により検出器87を下降させている。また、上面規制ローラ91を昇降駆動部93により上昇させ、そして仮付け溶接機95を非溶接位置に後退させている。
【0048】
この状態で、まず、鋼材供給台11上の四角形状鋼管7を、供給側移載台車12によって送りローラ35群の上に供給し、その際に図3に示すように、他方側に向いている定寸平板部4を定置ローラ42に当接させる。次いで、図3の仮想線イ、図4(b)の実線に示すように、可動ローラ44を起立させたのち、定置ローラ42に接近させることで、図3の仮想線ロに示すように、可動ローラ44と定置ローラ42とによって四角形状鋼管7を挟持して幅決めを行う。
【0049】
上述したように仮付け溶接ライン21上に幅決めして位置させた四角形状鋼管7内に、待機位置Yにある内面矯正装置100を移動させる。すなわち、駆動手段130によってブーム体131を長さ方向に押し移動させることで、遊転車輪102を待機部レール体137により支持案内しながら内面矯正装置100を前進移動し得る。そして、四角形状鋼管7における定寸平板部4の板厚が薄くて、下位の定寸平板部4の上向き内面(移動用内面)が中継レール体138と同様のレベルであるときには、遊転車輪102を、待機部レール体137から中継レール体138を介して上向き内面へと支持案内して、内面矯正装置100を引き続いて前進移動させる。
【0050】
また、四角形状鋼管7における定寸平板部4の板厚が厚くて、下位の定寸平板部4の上向き内面が中継レール体138よりも高いレベルであるときには、図7に示すように、遊転車輪102が中継レール体138上に位置したときに前進移動を一旦停止させる。そして昇降ローラ139を上昇させ、その円状上面を中継レール体138よりも上方に位置させたのち、再び内面矯正装置100を前進移動させる。これにより内面矯正装置100は、遊転車輪102が昇降ローラ139により支持案内されたのち上向き内面に支持案内されて四角形状鋼管7内に入り、さらにサイドガイドローラ108が両内側面に案内されながら四角形状鋼管7内を前進移動し得る。この前進移動は、内面矯正装置100が四角形状鋼管7の前端近くに達することで停止される。
【0051】
次いで内面矯正装置100を作動させ、内加圧体118を四角形状鋼管7の内面間に当接させる。すなわち、シリンダー装置119を伸展動させることで、まずピストンロッド121側の内加圧体118の凸円弧状面118aを四角形状鋼管7の内面に当接させ、そして当接反力により、シリンダー本体120側の内加圧体118の凸円弧状面118aを四角形状鋼管7の内面に当接させる。これにより、四角形状鋼管7と内面矯正装置100とを一体状とし得る。
【0052】
この状態で、駆動ローラコンベヤ32と駆動手段130とを作動させることで、四角形状鋼管7を仮付け溶接ライン31上で前進移動させるとともに、内面矯正装置100を一体的に追従移動させる。このような移動は、四角形状鋼管7の前部が仮付け作業部50の外面矯正装置51に対向したときに停止させる。そして図9に示すように、シリンダー装置119を収縮動させることで、両内加圧体118を四角形状鋼管7の内面から離間させ、以て四角形状鋼管7から内面矯正装置100を別体化させる。この状態で、駆動手段130のみ作動させて内面矯正装置100を前進移動させ、内加圧体118が四角形状鋼管7の前端に対向したとき、すなわち図6に示すように、前部の内加圧体118が側部押え体55に対向したときに停止させる。
【0053】
次いでシリンダー装置119を伸展動させることで、前述したように両内加圧体118の凸円弧状面118aを四角形状鋼管7の内面に当接させる。これにより図10に示すように、直角状折曲げ部3が鋭角(90度以内)に折り曲げられている半寸平板部5を内側から加圧矯正して、下位の開先2の上面と上位の開先2の下面とを上下から正確に突き合わせ状態とした四角形状鋼管7とし得る。この前後に、検知器73の検知に基づいてシリンダー装置62を伸展動させ、上部昇降体61を下降させて上部押え体67を四角形状鋼管7の上面に接近対向させるとともに、索状体57などを介して側部昇降体53を下降させる。この側部昇降体53の下降によって、一方側では側部押え体55や当接体86を四角形状鋼管7の突き合わせ部7Xに対向させ、また他方側では側部押え体55を四角形状鋼管7の外面に対向させる。
【0054】
次いで検出部80を作動させて、内面矯正装置100による内位置決め状態において、一対の半寸平板部5における外側面の幅方向での位置ずれを検出する。すなわち、シリンダー装置82の伸展作動により当接体86を前進させ、図11に示すように、その前面86aを突き合わせ部7Xの上下において半寸平板部5の外側面(両外側面または一方の外側面)に当接させる。この状態で図11の点線に示すように、検出器87によって下位の半寸平板部5の外面までの距離(寸法)を検出したのち、図11の仮想線に示すように、検出器87を上昇させて上位の半寸平板部5に対向させて、この半寸平板部5の外面までの距離(寸法)を検出する。
【0055】
そして四角形状鋼管7の一方側外方において、たとえば上下の両位置の検出値の差が0.3mm以下で段差が許容範囲内であり、かつ四角形状鋼管7の上面高さが検出器73により許容範囲内と検出されたときには、検出部80は良検出と判断して仮付け溶接機95を溶接作動させる。この仮付け溶接機95による仮付け溶接8は、四角形状鋼管7の突き合わせ部7Xにおける先端部分にのみ行われる。
【0056】
また四角形状鋼管7の両側外方において、たとえば上下の両位置の検出値の差が0.3mm以上の差が生じたときや、四角形状鋼管7の上面高さが許容範囲外であったときには、検出部80は不良検出と判断する。これにより内面矯正装置100を再度作動させて、内加圧体118を上下の半寸平板部5の内面間により強く当接させて加圧矯正を行う。そして再度、検出器87によって距離(寸法)を検出し、段差や上面高さが許容範囲内であったときには、検出部80は良検出と判断して仮付け溶接機95を溶接作動させる。
【0057】
また、検出部80が2回目も不良検出と判断したときには、外面が不揃いとして外面矯正装置51を作動させる。すなわち図1、図5に示すように、上部シリンダー装置66の伸展動により上部押え体67を下降して四角形状鋼管7の上面に当接させることで、この四角形状鋼管7の上部を外側から加圧矯正し得る。そして、側部シリンダー装置54の伸展動により側部押え体55を内側に移動させて、一方側では突き合わせ部7Xの上下の半寸平板部5に当接させ、他方側では四角形状鋼管7の外面に当接させることで、この四角形状鋼管7の突き合わせ部7Xの上下において半寸平板部5を外側から加圧矯正し得る。したがって、この加圧矯正状態を維持しながら、再び検出器87によって距離(寸法)を検出し、段差や上面高さが許容範囲内であったときには、検出部80は良検出と判断して仮付け溶接機95を溶接作動させる。なお、検出部80が3回目も不良検出と判断することは殆どないが、もし不良検出と判断したときには、四角形状鋼管7を仮付け溶接ライン31上から撤去させる。
【0058】
上述したように仮付け溶接機95によって、突き合わせ部7Xにおける先端部分のみの仮付け溶接8を行ったのち、図12(a)に示すように、まず内面矯正装置100を逆作動させて内加圧体118を四角形状鋼管7の内面間から離間させ、外面矯正装置51を逆作動させて側部押え体55や上部押え体67を四角形状鋼管7の外面から離間させるとともに、検出部80を逆作動させて、当接体86を半寸平板部5の外側面から離間させる。この状態で駆動ローラコンベヤ32や、下降して四角形状鋼管7の上面に当接させた上面規制ローラ91を送り作動させることによって、四角形状鋼管7を仮付け溶接ライン31上で設定距離だけ前進移動させ、このとき内面矯正装置100は外面矯正装置51に対向された位置で停止状態にある。
【0059】
そして、四角形状鋼管7を設定距離だけ前進移動させて停止させたのち、上述した図11に示すように、内面矯正装置100を作動させて検出部80により良検出か不良検出を判断し、さらには図12(b)に示すように、外面矯正装置51も作動させて検出部80により良検出か不良検出を判断する。また良検出に基づいての仮付け溶接機95による溶接作動は、この仮付け溶接機95のホームポジションと上述した先端部分の仮付け溶接8の部分との間で設定距離だけ移動させて行われる。以上の動作を繰り返して、四角形状鋼管7を内側、または内外から加圧矯正しながら設定距離分の仮付け溶接8を複数回行うことで、四角形状鋼管7における突き合わせ部7Xの全長に対して、図12(c)に示すように、仮付け溶接機95により仮付け溶接8を施工し得る。
【0060】
したがって、折り曲げが不安定で、直角状折曲げ部3が鈍角(90度以上)または鋭角(90度以内)のいずれに折り曲げられているときでも、開先2の部分(遊端部分)を上下から正確に突き合わせて仮付け溶接8した四角形状鋼管7を得ることができる。その際に内加圧体118による加圧矯正を、四角形状鋼管7の長さ方向(前後方向)における2箇所(複数箇所)で行うことで、この加圧矯正による開先2の部分(遊端部分)の突き合わせを、より正確に行うことができ、より精度の高い仮付け溶接8を行うことができる。
【0061】
このようにして四角形状鋼管7の全長に亘って仮付け溶接8を行ったのち、外面矯正装置51を逆作動させて側部押え体55や上部押え体67を四角形状鋼管7の外面から離間させるとともに、検出部80を逆作動させて、当接体86を半寸平板部5の外側面から離間させ、このとき内面矯正装置100は加圧矯正姿勢にある。この状態で、駆動ローラコンベヤ32と駆動手段130とを逆作動させることで、四角形状鋼管7を仮付け溶接ライン31上で後退移動させるとともに、内面矯正装置100を一体的に移動させる。このような移動は、四角形状鋼管7の後端が昇降ローラ139に接近したときに一旦停止させる。そして、内面矯正装置100を逆作動させて内加圧体118を四角形状鋼管7の内面から離間させたのち、駆動手段130を再び逆作動させることで、内面矯正装置100を四角形状鋼管7から抜出させ、中継レール体138から待機部レール体137へと移動させて、待機位置Yに戻し得る。
【0062】
また、内面矯正装置100を抜出させた四角形状鋼管7は、駆動ローラコンベヤ32を作動させることで仮付け溶接ライン31上で前進移動し、そして仮付け作業部50を通過したのち仮付け溶接ライン31上に停止させる。次いで、この仮付け溶接8を行った四角形状鋼管7は、図2に示すように、払出側移載台車22によって置き台21上に並列状で払出される。その後に置き台21上の四角形状鋼管7に対して、内面溶接機に移して内面溶接を施工したのち、外面溶接機に移して外面溶接を施工することで、平板部(一辺)に突き合わせ溶接部(シーム溶接部)を有する四角形鋼管(製品)を製造し得る。
【0063】
上記した実施の形態1では、外面矯正装置51に検出部80が設けられた形式が示されているが、これは位置ずれを検出することなく、常に内面矯正装置100と外面矯正装置51との両方を加圧作動させる形式などであってもよい。
【0064】
上記した実施の形態1では、内面矯正装置100として、本体101に対して内加圧体118の上下作用位置を調整自在として、複数種の径(寸法)に対応できる形式が示されているが、これは本体101に対して内加圧体118の上下作用位置を定置状態として、一種の径(寸法)にのみ対応できる形式などであってもよい。
【0065】
上記した実施の形態1では、内面矯正装置100として、駆動手段130により正逆移動される形式が示されているが、これは自走台車形式などであってもよい。
上記した実施の形態1では、鋼材供給台11上の四角形状鋼管7を、その他方側に向いている定寸平板部4を定置ローラ42に当接させて送りローラ35群の上に供給する形式が示されているが、これは鋼材供給台11上に四角形状鋼管7を、その突き合わせ部7Xを他方側に向けて位置させ、そして、突き合わせ部7Xを定置ローラ42に当接させて送りローラ35群の上に供給する形式などであってもよい。この場合、検出部80や仮付け溶接機95は他方側に配設される。
【0066】
上記した実施の形態1では、小径で薄肉の四角形鋼管(製品)を製造しているが、これは大径で厚肉の四角形鋼管、大径で薄肉の四角形鋼管、小径で厚肉の四角形鋼管などの製造であってもよい。
【0067】
上記した実施の形態1では、正方形状の四角形鋼管(四角形状鋼管7)を製造しているが、これは左右方向が長い長方形状の四角形鋼管(四角形状鋼管)や、上下方向が長い長方形状の四角形鋼管(四角形状鋼管)などの製造であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 鋼板
2 開先(遊端部分)
3 直角状折曲げ部(隅部)
4 定寸平板部
5 半寸平板部
7 四角形状鋼管
7X 突き合わせ部
8 仮付け溶接
11 鋼材供給台
12 供給側移載台車
21 置き台
22 払出側移載台車
30 設備枠体
31 仮付け溶接ライン
32 駆動ローラコンベヤ
35 送りローラ
36 ローラ駆動装置
41 幅ガイド手段
42 定置ローラ
44 可動ローラ
50 仮付け作業部
51 外面矯正装置
52 ガイド部
53 側部昇降体
54 側部シリンダー装置(側部加圧手段)
55 側部押え体
57 索状体
61 上部昇降体
62 シリンダー装置
66 上部シリンダー装置(上部加圧手段)
67 上部押え体
72 高さ検知器
73 検知器
80 検出部
81 昇降枠部
82 シリンダー装置
86 当接体
87 検出器
88 シリンダー装置
91 上面規制ローラ
95 仮付け溶接機
100 内面矯正装置
101 本体
101A 下位本体部
101B 上位本体部
102 遊転車輪
108 サイドガイドローラ
111 ガイドレール
112 摺接部材
113 可動部材
114 ガイドピン
115 スペーサ
116 貫通孔
117 付勢体
118 内加圧体
119 シリンダー装置
120 シリンダー本体
121 ピストンロッド
130 駆動手段
131 ブーム体
134 駆動ローラ
135 正逆駆動部
137 待機部レール体
138 中継レール体
139 昇降ローラ
W 幅方向
Y 待機位置
Z 作用位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向における四箇所を直角状に折り曲げて成形することで、三辺を定寸平板部とし一辺を一対の半寸平板部でその遊端部分を突き合わせることで四角形状鋼管としたのち、この突き合わせ部に対して仮付け溶接を施工する四角形鋼管の製造設備であって、駆動ローラコンベヤにより仮付け溶接ラインが形成されるとともに、この仮付け溶接ライン上で突き合わせ部を横向きとして長さ方向に搬送される四角形状鋼管の幅ガイド手段が設けられ、前記仮付け溶接ライン中には仮付け作業部が設けられ、この仮付け作業部には外面矯正装置と仮付け溶接機とが設けられ、前記外面矯正装置は、左右一対で相対的に接近離間自在な側部押え体と、昇降自在な上部押え体とからなり、前記四角形状鋼管内において移動自在で、前記仮付け作業部の部分に停止自在な内面矯正装置が設けられ、この内面矯正装置には、その本体の前後方向の複数箇所にそれぞれ左右一対の内加圧体が相対的に接近離間自在に設けられていることを特徴とする四角形鋼管の製造設備。
【請求項2】
外面矯正装置には、内面矯正装置による内面矯正状態において一対の半寸平板部の外側面の幅方向での位置ずれを検出する検出部が設けられ、この検出部が良検出のときに仮付け溶接機が溶接作動され、不良検出のときに内面矯正装置と外面矯正装置との少なくとも一方が加圧作動されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の四角形鋼管の製造設備。
【請求項3】
内面矯正装置は、本体に対して、内加圧体の上下作用位置が調整自在に構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の四角形鋼管の製造設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−260088(P2010−260088A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114080(P2009−114080)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000110446)ナカジマ鋼管株式会社 (37)
【Fターム(参考)】