説明

回路シミュレータおよび半導体装置の設計方法

【課題】インパクトイオン化電流の算出精度を向上させる。
【解決手段】飽和ソース−ドレイン電圧Vdsatがソース−ゲート電圧Vgsおよびソース−ドレイン電圧Vdsの関数にて与えられたドレイン横方向電界Eの計算式に基づいて電界効果トランジスタのインパクトイオン化電流Iiiを計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回路シミュレータおよび半導体装置の設計方法に関し、特に、トランジスタのインパクトイオン化電流の算出方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体集積回路を構成するトランジスタの微細化に伴って、ホットキャリアによるトランジスタの駆動力の劣化が著しくなってきている。そのため、集積回路の設計においては、このホットキャリアによる劣化を予め考慮した設計を行うのが必須である。ホットキャリアによる劣化の大きさに対する指標としては、インパクトイオン化によって発生するトランジスタの基板電流の成分(以降、インパクトイオン化電流と呼ぶ)が適当であることが古くから知られている。
【0003】
一般的に知られているホットキャリア劣化モデルにおいては、ホットキャリアによるドレイン電流等の駆動にかかわる特性の劣化量とインパクトイオン化電流の間には、一定の関係があることが示されており、インパクトイオン化電流の増減に応じたホットキャリア劣化量を計算することができる。このことから、集積回路の動作時におけるトランジスタの駆動特性の劣化を見積るために、回路シミュレーションにて回路動作に合わせてインパクトイオン化電流を精度良く算出することが要求される。インパクトイオン化電流の計算式の定式化は、以下の(1)式のような定式化が古くからなされており、BSIM(Berkeley Short−channel IGFET Model)などのトランジスタモデルに組み込まれている。
【0004】
【数1】

ただし、
Iii:インパクトイオン化電流
:ドレイン横方向電界
ds:ソース−ドレイン電圧
dsat:飽和ソース−ドレイン電圧
Ids:ドレイン電流
α、β:定数係数
λ :ドレイン横方向電界の特性長
(1)式からも判るように、ソース−ゲート電圧Vgsが高くなると、インパクトイオン化電流Iiiは増大した後に減少する傾向を持つが、この初期の定式化では、ゲート長が短くなった場合に、ソース−ゲート電圧Vgsが大きい領域では、実測値に対してインパクトイオン化電流Iiiが次第に小さくなるほうに外れることが知られている。
【0005】
これは、トランジスタのゲート長が短くなるにつれて、ソース−ドレイン電圧Vdsが印加された状態では、ソース−ゲート電圧Vgsを上げても、ドレイン付近の横方向電界が下がりにくくなるためである。それを補正するための改良を加えたモデルがいくつか提案されている。それらは、ドレイン横方向電界の特性長λを、定数からソース−ゲート電圧Vgsやソース−ドレイン電圧Vdsの関数にしたり(特許文献1)、PSP(Pennsylvania State University−Philips)、HiSIM(Hiroshima−university STARC IGFET Model)などのトランジスタモデルのように、飽和ドレイン電圧を定数倍だけ変更するための因子として追加したりすることで、合わせ込み精度を改善しようとしている。
【0006】
しかしながら、トランジスタのゲート長が0.1um以下に微細化されると、ソース−ゲート電圧Vgsが大きくなっても、インパクトイオン化電流Iiiが下がらずに単調増大する現象が顕著になっている。このため、初期の定式化に対して上述した改良を加えたインパクトイオン化電流モデルでも、ソース−ゲート電圧Vgsとソース−ドレイン電圧Vdsの様々な組み合わせに対して、インパクトイオン化電流Iiiを広い範囲で精度よく再現することが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−259778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、インパクトイオン化電流の算出精度を向上させることが可能な回路シミュレータおよび半導体装置の設計方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、飽和ソース−ドレイン電圧がソース−ゲート電圧およびソース−ドレイン電圧の関数にて与えられたドレイン横方向電界の計算式に基づいて電界効果トランジスタのインパクトイオン化電流を計算することを特徴とする回路シミュレータを提供する。
【0010】
本発明の一態様によれば、飽和ソース−ドレイン電圧がソース−ゲート電圧およびソース−ドレイン電圧の関数にて与えられたドレイン横方向電界の計算式に基づいて電界効果トランジスタのインパクトイオン化電流を計算するステップと、前記インパクトイオン化電流の計算結果に基づいて前記電界効果トランジスタのレイアウトの修正を行うステップとを備えることを特徴とする半導体装置の設計方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、インパクトイオン化電流の算出精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る回路シミュレータの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の第2実施形態に係るインパクトイオン化電流の算出に用いられる関数のフィッティングパラメータの調整方法を示す図である。
【図3】図3は、ソース−ドレイン電圧Vdsをパラメータとした時の図1の回路シミュレータで算出したインパクトイオン化電流Iiiとソース−ゲート電圧Vgsとの関係を実測値と比較して示す図である。
【図4】図4は、本発明の第3実施形態に係る回路設計方法を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る回路シミュレータおよび半導体装置の設計方法について図面を参照しながら説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る回路シミュレータの概略構成を示すブロック図である。
図1において、回路シミュレータには、CPUなどを含むプロセッサ1、固定的なデータを記憶するROM2、プロセッサ1に対してワークエリアなどを提供するRAM3、人間とコンピュータとの間の仲介を行うヒューマンインターフェース4、外部との通信手段を提供する通信インターフェース5、プロセッサ1を動作させるためのプログラムや各種データを記憶する外部記憶装置6を設けることができ、プロセッサ1、ROM2、RAM3、ヒューマンインターフェース4、通信インターフェース5および外部記憶装置6、バス7を介して接続されている。
【0015】
なお、外部記憶装置6としては、例えば、ハードディスクなどの磁気ディスク、DVDなどの光ディスク、USBメモリやメモリカードなどの可搬性半導体記憶装置などを用いることができる。また、ヒューマンインターフェース4としては、例えば、入力インターフェースとしてキーボードやマウス、出力インターフェースとしてディスプレイやプリンタなどを用いることができる。また、通信インターフェース5としては、例えば、インターネットやLANなどに接続するためのLANカードやモデムやルータなどを用いることができる。
【0016】
ここで、外部記憶装置6には、電界効果トランジスタのインパクトイオン化電流Iiiを算出させるインパクトイオン化電流計算プログラム6aがインストールされている。そして、インパクトイオン化電流計算プログラム6aには、ドレイン横方向電界設定関数6bが組み込まれている。このドレイン横方向電界設定関数6bでは、ドレイン横方向電界Eの計算に用いられる飽和ソース−ドレイン電圧Vdsatがソース−ゲート電圧Vgsおよびソース−ドレイン電圧Vdsの関数にて与えられている。また、ドレイン横方向電界設定関数6bでは、ドレイン横方向電界の特性長λをソース−ゲート電圧Vgsおよびソース−ドレイン電圧Vdsの関数にて与えることができる。
【0017】
具体的には、G(Vgs,Vds)、F(Vgs,Vds)、λ(Vgs,Vds)およびλ(Vgs,Vds)がVgsとVdsの関数であるとすると、インパクトイオン化電流Iiiは、以下の式で与えことができる。なお、以下の(2)式において、αおよびβはフィッティングパラメータとした。
【数2】

【0018】
なお、以上の(2)式において、G(Vgs,Vds)≡F(Vgs,Vds)のようにならなければならないが、合わせ込みに柔軟性を持たせるために、G(Vgs,Vds)とF(Vgs,Vds)とが異なることも許容される関数とした。また、ソース−ドレイン電圧Vdsが低い領域またはソース−ゲート電圧Vgsが高い領域でのドレイン横方向電界Eの複雑な変化を再現するために、(1)式の初期の定式化ではソース−ゲート電圧Vgsのみの関数になるはずのG(Vgs,Vds)とF(Vgs,Vds)をソース−ゲート電圧Vgsとソース−ドレイン電圧Vdsの両方を変数とする関数とした。
【0019】
そして、インパクトイオン化電流計算プログラム6aがプロセッサ1にて実行されると、上式に従ってインパクトイオン化電流Iiiが算出され、ヒューマンインターフェース4を介して人間に提示される。
【0020】
なお、プロセッサ1に実行させるインパクトイオン化電流計算プログラム6aは、外部記憶装置6に格納しておき、プログラムの実行時にRAM3に読み込むようにしてもよいし、インパクトイオン化電流計算プログラム6aをROM2に予め格納しておくようにしてもよいし、通信インターフェース5を介してインパクトイオン化電流計算プログラム6aを取得するようにしてもよい。
【0021】
ここで、電界効果トランジスタの飽和ソース−ドレイン電圧Vdsatは、ソース-ゲート電圧Vgsの増大とともに徐々に増大し、Vgs−Vth>Vdsの領域では定数に近づく。ただし、Vthは電界効果トランジスタのしきい値電圧である。
【0022】
このため、ドレイン横方向電界Eの計算に用いられる飽和ソース−ドレイン電圧Vdsatをソース−ゲート電圧Vgsおよびソース−ドレイン電圧Vdsの関数にて与えることにより、ソース−ドレイン電圧が低い場合に、ソース−ゲート電圧Vgsが高くなった場合においても、ドレイン横方向電界Eが小さくなり過ぎるのを防止することができる。
【0023】
この結果、トランジスタのゲート長が0.1um以下に微細化された場合において、ソース−ゲート電圧Vgsが大きくなっても、インパクトイオン化電流Iiiが下がらずに単調増大する現象に対応させることができ、ソース−ゲート電圧Vgsとソース−ドレイン電圧Vdsの様々な組み合わせに対して、インパクトイオン化電流Iiiを広い範囲で精度よく再現させることができる。
【0024】
なお、上述した(1)式の初期の定式化からのソース−ゲート電圧Vgsが高い領域でのドレイン横方向電界Eの過小見積りを補正するという観点から、G(Vgs,Vds)とF(Vgs,Vds)は以下の(3)式および(4)式にて与えることが好ましい。
【0025】
【数3】

【0026】
ただし、ξおよびηはフィッティングパラメータである。また、f(Vgs,Vds)とg(Vgs,Vds)は双方ともVgsに対して単調に増加し、Vdsに対して単調に減少する関数とした。この関数形と、その中のパラメータを状況に応じて調整することで、必要とする任意の範囲でインパクトイオン化電流Iiiを精度よく再現することが可能である。
【0027】
なお、パラメータの調整を容易化するために、f(Vgs,Vds)およびg(Vgs,Vds)としては、例えば、以下の(5)式および(6)式のような多項式を使用し、λ(Vgs,Vds)およびλ(Vgs,Vds)は定数とすることが好ましい。
【数4】

【数5】

【0028】
以上のような関数を回路シミュレーション用のトランジスタモデルあるいは信頼性回路シミュレーション装置にインパクトイオン化電流計算式として組み込むことで、実測値を精度よく再現するインパクトイオン化電流を回路シミュレーションによって計算することが可能となり、ホットキャリアによるトランジスタの駆動力の劣化を精度よく見積もることができる。
【0029】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態に係るインパクトイオン化電流の算出に用いられる関数のフィッティングパラメータの調整方法を示す図である。なお、図2の例では、Iii/Ids×1/{(Vds−Vdsat)+f(Vgs,Vds)}対1/{(Vds−Vdsat)+f(Vgs,Vds)}の対数プロットを示した。
図2において、計算を簡易化するために、以下の(7)式に示すように、(5)式および(6)式を3次の多項式で表したものとする。
【0030】
【数6】

ただし、a(a≧0)、b(b≧0)およびc(c≧0)はフィッティングパラメータである。
【0031】
そして、この多項式をつかって、Iii/Ids×1/{(Vds−Vdsat)+f(Vgs,Vds)}対1/{(Vds−Vdsat)+f(Vgs,Vds)}がほぼ一直線上に並ぶように、フィッティングパラメータa、b、c1、c2、c3、Bを調整することができる。
【0032】
例えば、図2に示すように、ξ=1、η=1、a=1.5、b=2.7、c1=0.04、c2=0.01、c3=0.008、B=17とすることにより、Iii/Ids×1/{(Vds−Vdsat)+f(Vgs,Vds)}対1/{(Vds−Vdsat)+f(Vgs,Vds)}をほぼ一直線上に並べることができる。
【0033】
なお、ドレイン電流Idsおよびインパクトイオン化電流Iiiは実測値を用いることができる。ただし、ドレイン電流Idsは、実測値を再現可能なシミュレーションにて求めるようにしてもよい。この時、ドレイン電流Idsは、インパクトイオン化電流Iiiが再現される所望のソース−ゲート電圧Vgsとソース−ドレイン電圧Vdsの領域に渡って求められる。
【0034】
次に、これらのフィッティングパラメータa、b、c1、c2、c3、Bを使ってインパクトイオン化電流Iiiを再現するために、インパクトイオン化電流Iii対ソース−ゲート電圧Vgsをソース−ドレイン電圧Vdsごとにプロットし、さらに実測値と計算値とを重ね書きする。
【0035】
次に、モデル全体のフィッティングパラメータAを調整する。例えば、Vgs=2.0V、Vds=2.7Vの時のインパクトイオン化電流Iii(A/um)が実測値とモデル計算値とで一致するように調整すると、A=0.0732となる。
【0036】
図3は、ソース−ドレイン電圧Vdsをパラメータとした時の図1の回路シミュレータで算出したインパクトイオン化電流Iiiとソース−ゲート電圧Vgsとの関係を実測値と比較して示す図である。
図3において、本発明の実施形態では、Vgsが高くVdsが比較的低い領域でのインパクトイオン化電流Iiiの計算値が精度よく再現されている。
【0037】
これに対して、(1)式でインパクトイオン化電流Iiiを計算すると、ソース−ゲート電圧Vgsが大きい領域では、実測値に対してインパクトイオン化電流Iiiが次第に小さくなる方に外れることが判る。
【0038】
(第3実施形態)
図4は、本発明の第3実施形態に係る回路設計方法を示すフローチャートである。
図4において、合わせ込みを行う(Vgs,Vds)領域のインパクトイオン化電流Iiiのテーブルを作成する(ステップS1)。また、単体トランジスタのスパイスシミュレーションを行うことで、合わせ込みを行うソース−ドレイン電圧Vdsごとにドレイン電流Idsとソース−ゲート電圧Vgsとの関係を計算する(ステップS2)。そして、ステップS1、S2で得られた結果からインパクトイオン化電流Iiiの合わせ込みを行う(ステップS3)。
【0039】
次に、劣化を見積る動作可能な回路でスパイスシミュレーションを行うことで、ソース−ゲート電圧Vgs、ソース−ドレイン電圧Vdsおよびドレイン電流Idsの波形を求める(ステップS4)。
【0040】
次に、ソース−ゲート電圧Vgs、ソース−ドレイン電圧Vdsおよびドレイン電流Idsの波形に対してインパクトイオン化電流Iiiの波形を決定する(ステップS5)。
【0041】
次に、インパクトイオン化電流Iiiの波形とトランジスタ劣化モデルに基づいてドレイン電流Idsおよびしきい値電圧Vthの劣化を計算する(ステップS6)。
【0042】
次に、劣化後のドレイン電流Idsおよびしきい値電圧Vthを再現するようにスパイスパラメータを調整する(ステップS7)。
【0043】
次に、劣化計算後の回路シミュレーションを実施し、動作しない場合は、回路レイアウトを修正する(ステップS8〜S10)。そして、ステップS4〜S10の処理をステップS9で回路が動作するようになるまで繰り返す。
【0044】
これにより、半導体集積回路を構成する電界効果トランジスタの微細化が進んだ場合においても、ホットキャリアによる電界効果トランジスタの駆動力の劣化を精度よく見積もることができ、このホットキャリアによる劣化を予め考慮した設計の適正化を図ることできる。
【0045】
(第4実施形態)
図5は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
図5において、回路シミュレータ11には、図1のインパクトイオン化電流計算プログラム6aに従ってインパクトイオン化電流Iiiを計算するインパクトイオン化電流算出部11aが設けられている。また、回路シミュレータ11には、インパクトイオン化電流Iiiに基づいて電界効果トランジスタの劣化を検証する劣化検証部11bを設けるようにしてもよいし、電界効果トランジスタが正常に動作するかどうかを検証する動作検証部11cを設けるようにしてもよい。
【0046】
そして、CADシステム12において、半導体集積回路の設計レイアウトデータ14が作成され、回路シミュレータ11に送られる。ここで、設計レイアウトデータ14は、例えば、半導体集積回路のアクティブ領域パターン16やゲート電極パターン15のレイアウトを指定することができる。そして、インパクトイオン化電流算出部11aにおいて、この設計レイアウトデータ14にて指定される電界トランジスタのインパクトイオン化電流Iiiが計算される。
【0047】
そして、劣化検証部11bにおいて、インパクトイオン化電流算出部11aにて計算されたインパクトイオン化電流Iiiに基づいて電界効果トランジスタの劣化が検証される。さらに、動作検証部11cにおいて、電界効果トランジスタの劣化後に電界効果トランジスタが正常に動作するかどうかが検証される。
【0048】
そして、電界効果トランジスタの劣化後に電界効果トランジスタが正常に動作しない場合、CADシステム12において、電界効果トランジスタの劣化後に電界効果トランジスタが正常に動作するように設計レイアウトデータ14が修正される。
【0049】
そして、マスクデータ作成部13において、修正後の設計レイアウトデータ14で指定されるレイアウトパターンに対応したマスクデータが作成される。そして、フォトマスクMには、マスクデータ作成部13にて作成されたマスクデータで特定されるマスクパターンが遮光膜Hにて形成される。
【0050】
一方、半導体基板K上にはゲート絶縁膜Zを介して多結晶シリコン層Tが形成され、多結晶シリコン層T上にはレジスト膜Rが塗布されている。そして、フォトマスクMを介してレジスト膜Rの露光が行われた後、レジスト膜Rが現像されることで、レジストパターンPが多結晶シリコン層T上に形成される。
【0051】
そして、レジストパターンPをマスクとして多結晶シリコン層Tのエッチングが行われることで、修正後の設計レイアウトデータ14の中で指定されるゲート電極パターン15に対応したゲート電極Bが半導体基板K上に形成される。そして、アッシングなどの方法でゲート電極B上からレジストパターンPが除去された後、ゲート電極Bをマスクとして半導体基板Kに不純物が注入されることで不純物拡散層Fが形成され、電界効果トランジスタが半導体基板K上に形成される。
【0052】
ここで、インパクトイオン化電流Iiiに基づいて電界効果トランジスタの劣化を検証し、電界効果トランジスタの劣化後に電界効果トランジスタが正常に動作するように設計レイアウトデータ14を修正することにより、電界効果トランジスタの信頼性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 プロセッサ、2 ROM、3 RAM、4 ヒューマンインターフェース、5 通信インターフェース、6 外部記憶装置、6a インパクトイオン化電流計算プログラム、6b ドレイン横方向電界設定関数、7 バス、11 回路シミュレータ、11a インパクトイオン化電流算出部、11b 劣化検証部、11c 動作検証部、12 CADシステム、13 マスクデータ作成部、14 設計レイアウトデータ、15 ゲート電極パターン、16 アクティブ領域パターン、K 半導体基板、Z ゲート絶縁膜、T 多結晶シリコン層、R レジスト膜、M フォトマスク、H 遮光膜、P レジストパターン、B ゲート電極、F 不純物拡散層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飽和ソース−ドレイン電圧がソース−ゲート電圧およびソース−ドレイン電圧の関数にて与えられたドレイン横方向電界の計算式に基づいて電界効果トランジスタのインパクトイオン化電流を計算することを特徴とする回路シミュレータ。
【請求項2】
前記インパクトイオン化電流がIii、αおよびβがフィッティングパラメータ、Idsが前記電界効果トランジスタのドレイン電流、Vgsがソース−ゲート電圧、Vdsがソース−ドレイン電圧、G(Vgs,Vds)、F(Vgs,Vds)、λ(Vgs,Vds)およびλ(Vgs,Vds)がVgsとVdsの関数であるとすると、インパクトイオン化電流Iiiが、
【数1】

という式で与えられることを特徴とする請求項1に記載の回路シミュレータ。
【請求項3】
dsatが飽和ソース−ドレイン電圧、ξおよびηがフィッティングパラメータ、g(Vgs,Vds)およびf(Vgs,Vds)がVgsとVdsの関数であるとすると、前記G(Vgs,Vds)およびF(Vgs,Vds)は、
【数2】

という式で与えられることを特徴とする請求項2に記載の回路シミュレータ。
【請求項4】
a(a≧0)、b(b≧0)およびc(c≧0)がフィッティングパラメータであるとすると、前記g(Vgs,Vds)およびf(Vgs,Vds)は、
【数3】

という式で与えられることを特徴とする請求項3に記載の回路シミュレータ。
【請求項5】
AおよびBがフィッティングパラメータであるとすると、前記g(Vgs,Vds)およびf(Vgs,Vds)は、
【数4】

という関係を満たすことを特徴とする請求項4に記載の回路シミュレータ。
【請求項6】
飽和ソース−ドレイン電圧がソース−ゲート電圧およびソース−ドレイン電圧の関数にて与えられたドレイン横方向電界の計算式に基づいて電界効果トランジスタのインパクトイオン化電流を計算するステップと、
前記インパクトイオン化電流の計算結果に基づいて前記電界効果トランジスタのレイアウトの修正を行うステップとを備えることを特徴とする半導体装置の設計方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−198948(P2011−198948A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63021(P2010−63021)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】