説明

回路基板およびその製造方法

【課題】アルミニウム箔を配線層とすることにより、回路基板の任意の場所・形状にコンデンサを形成することができる回路基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】電気絶縁性基材1と、前記電気絶縁性基材1に形成され少なくとも一層をアルミニウム箔4とする複数の配線層と、前記アルミニウム箔からなる配線層3の一部に形成した固体アルミ電解コンデンサ5と、前記電気絶縁性基材1に形成され前記固体アルミ電解コンデンサ5と前記配線層及び/または前記配線層同士を電気的に接続するビア6を有する回路基板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の任意の場所にコンデンサを内蔵したものであって、回路基板およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器に用いられるLSIは高速化・低電圧化が進んでいる。LSIが高速動作すると電源電圧の変動が起きやすくなり、配線の抵抗や寄生インダクタンス等の影響で電圧降下が生じ、半導体が誤動作しやすくなる。そのため、一般的にLSIの電源とグランド間には安定した電源の供給と半導体からの高周波ノイズの除去を目的とし、コンデンサが接続されている。
【0003】
また、電子機器の多機能化により、LSIにおいては複数の電源を必要とするものが増加している。例えば、ディジタル回路とアナログ回路とが混載されるようになっている。このようなLSIは、ディジタル回路用の電源とアナログ回路用の電源を分離し、回路ごとに複数の電源を外部から供給することによって、アナログ回路がディジタル回路から受けるノイズの影響を低減している。このようなLSIの変化に伴い、LSIを実装する回路基板の設計も電源層を電圧の異なる複数の電源に分離されたレイアウトが行われている。そのため、回路基板の電源およびグランド層も配線層と同様に複雑な形状が形成できることが求められている。
【0004】
このような背景から、現在では電子機器の軽薄短小化の要求に伴い、回路基板にコンデンサを内蔵した構造のものも開発されている(特許文献1参照)。この特許では、アルミニウム等の金属板からなるコア基材をドリル等を用いて加工し、アルミ板が陽極となり陰極となる導体層との間にコンデンサを形成・内蔵する印刷配線板の提案がなされている。
【特許文献1】特開2004−31641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した導体層とアルミ板の間にコンデンサを形成する方法では、陽極となるアルミ板を分割できないためアルミ板全体が同じ電位となる。そのため、一つの電源とGND間のみにしかコンデンサを形成できず、複数の電源を有するLSIに対応できないという課題がある。
【0006】
本発明は、このような課題のもとで考え出されたものであって、アルミニウム箔をエッチングによりパターニングすることにより、任意の場所・形状にコンデンサを形成し、電圧の異なるそれぞれの電源とグランド間にコンデンサを形成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材に形成され複数の配線パターンからなり少なくとも一層をアルミニウム箔とする配線層と、前記アルミニウム箔の一部に形成した固体アルミ電解コンデンサと、前記電気絶縁性基材に形成され前記固体アルミ電解コンデンサと前記配線パターン及び/または前記配線パターン同士を電気接続するビアを有する回路基板であり、アルミニウム箔を配線層とすることにより、回路基板の任意の場所・形状にコンデンサを形成することができる。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明の回路基板は、アルミニウム箔をエッチングによりパターニングすることで、任意の位置・形状にコンデンサを内蔵した回路基板が得られるという効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1に記載の発明について図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態1における回路基板の断面図である。図1において回路基板は電気絶縁性基材1と、電気絶縁性基材1に形成された複数の配線パターン2からなり、少なくとも一層はアルミニウムからなる配線層3と、アルミニウムからなる配線層3の一部に形成した固体アルミ電解コンデンサ5と、電気絶縁性基材1に形成され固体アルミ電解コンデンサ5と配線パターン2間および配線パターン間を電気的に接続するビア6からなる。
【0011】
本発明において、電気絶縁性基材1は、絶縁性樹脂及びフィラと絶縁性樹脂の混合物等を用いることができる。また、ガラスクロス等の補強材があってもよい。絶縁性樹脂としては、熱硬化性樹脂や、熱可塑樹脂、光硬化性樹脂等を用いることができ、耐熱性の高いエポキシ樹脂やフェノール樹脂、イソシアネート樹脂を用いることにより、電気絶縁性基材1の耐熱性をあげることができる。また、誘電正接の低いフッ素樹脂例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE樹脂)、PPO(ポリフェニレンオキサイド)樹脂(PPE(ポリフェニレンエーテル)樹脂ともいう)、液晶ポリマーを含むもしくはそれらの樹脂を変性させた樹脂を用いることにより、電気絶縁性基材1の高周波特性が向上する。
【0012】
電気絶縁性基材1として、フィラと絶縁性樹脂の混合物を用いた場合、フィラ及び絶縁性樹脂を選択することによって、電気絶縁性基材1の弾性率、熱膨張係数、熱伝導度、誘電率などを容易に制御することができる。たとえばフィラとしてアルミナ、マグネシア、窒化ホウ素、窒化アルミ、窒化珪素、ポリテトラフルオロエチレン及び、シリカなどを用いることができる。アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミを用いることにより、従来のガラス−エポキシ基板より熱伝導度の高い基板が製作可能となり、複合配線基板の放熱特性を向上させることができる。また、アルミナはコストが安いという利点もある。シリカを用いた場合、誘電率が低い電気絶縁性基材1が得られ、比重も軽いため、携帯電話などの高周波用途として好ましい。窒化珪素やポリテトラフルオロエチレン、例えば「テフロン(登録商標)」を用いても誘電率の低い電気絶縁層を形成できる。また、窒化ホウ素を用いることにより熱膨張係数を低減できる。弾性率は、フィラ含有量により調整することができ、これにより、回路基板の反りを制御することができる。
【0013】
電気絶縁性基材1はさらに、分散剤、カップリング剤を含んでいてもよい。分散剤によって、絶縁性樹脂中のフィラを均一性よく分散させることができる。カップリング剤によって、絶縁性樹脂とフィラとの接着強度を高くすることができるため、電気絶縁性基材の絶縁性を向上できる。
【0014】
また、電気絶縁性基材1の厚みを制御することによって固体アルミ電解コンデンサの形状を安定・制御させることができる。固体電解コンデンサを厚み精度よく形成することで、基板に内蔵しやすくなる。
【0015】
配線パターン2は、電気伝導性を有する物質からなり、例えば金属箔や導電性樹脂組成物、金属板を加工したリードフレームを用いることができる。金属箔やリードフレームを用いることにより、エッチング等により微細な配線パターンの作成が容易となる。
【0016】
また、配線パターン2は導電性樹脂組成物を用いることにより、スクリーン印刷等による、配線パターンの製作が可能となる。リードフレームを用いることにより、電気抵抗の低い、厚みのある金属を使用できる。また、エッチングによる微細パターン化や打ち抜き加工等の簡易な製造法が使える。また、これらの配線パターン2は表面にメッキ処理をする事により、耐食性や電気伝導性を向上させることができる。また、配線パターン2の電気絶縁性基材1との接触面を粗化することで、電気絶縁性基材1との接着性を向上させることができる。粗化の処理は、反応性ガスを用いたドライエッチング加工、サンドブラストによる機械加工、および電解エッチング加工が挙げられる。
【0017】
アルミニウムからなる配線層3は、表面を酸などによってエッチングすることによって多孔質部を形成することができる。多孔質部を形成することで、固体アルミ電解コンデンサとして機能する面積を拡大し、大きな静電容量が得られる。
【0018】
また、アルミニウム箔の表面を酸化することにより、誘電体膜として酸化アルミニウムを形成することができる。酸化皮膜を用いることで、薄くて誘電率が高い誘電体膜が形成できる。これにより、コンデンサとして機能する電極間距離が短く、電極間に介在する誘電体膜の誘電率が高くなることで、静電容量を大きくすることができる。
【0019】
また、ビアと接続する表面を金、銀、銅、ニッケル、半田、スズをメッキ等により形成しておくことで、ビアとの接続抵抗が安定する。
【0020】
アルミニウム箔の一部に形成した固体アルミ電解コンデンサ5は、アルミニウム箔を陽極とし、アルミニウムの酸化皮膜からなる誘電体膜を介して、その表面に導電性高分子からなる固体電解質層を陰極として形成している。この固体電解質層はポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等の機能性高分子層を化学重合や電解重合によって形成したり、硝酸マンガン溶液を含浸させて熱分解したりすることによって二酸化マンガン層を形成することで得ることができる。高い誘電率を持つので固体電解コンデンサとして有用である。また、固体電解質層の表面には、例えばカーボン、銀ペーストまたは、金属箔等を形成することができる。これによりコンデンサからの電極取り出しを容易にしている。
【0021】
ビア6は、めっきによるフィルドビアを用いることができ、金、銀、銅、半田、ニッケル、スズから選ばれる一つ以上の材料から形成されることが好ましい。また、ビアホールにめっき層を形成し、さらに樹脂が充填されていてもよく、また、ビルドアップビアで形成されていても良い。
【0022】
またビア6は、図4に示すように金属粉末と熱硬化性樹脂とを含む導電性ペースト7が充填されているビアを用いることができる。金属粉末としては、金、銀、銅又はニッケルなどを用いることができる。金、銀、銅又はニッケルは導電性が高いため好ましく、銅は導電性が高くマイグレーションも少ないため特に好ましい。銅を銀で被覆した金属粒子を用いても、マイグレーションの少なさと導電性の高さ、両方の特性を満たすことができる。熱硬化性樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂又はイソシアネート樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂は、耐熱性が高いため特に好ましい。
【0023】
ビアホールの形成は、レーザ加工によって形成する。レーザ加工の光源には、炭酸ガスレーザやYAGレーザ、エキシマレーザが用いられる。レーザ加工では、小径の貫通穴を短時間で形成することができ、生産性に優れた加工を実現できる。また図1においてはインナービアを例に挙げているが、スルーホールによって層間接続を行ってもよい。例えば、貫通孔を形成後、金、銀、銅またはニッケルなどを用いためっきによって形成されたスルーホールでもよい。貫通孔の形成は、パンチ加工、ドリル加工を用いてもよく、ドリル加工やパンチング加工を用いる場合、汎用性のある既存の設備での形成が可能である。
【0024】
以上のように、本実施の形態によれば、アルミニウム箔を用いることで、基板に任意の位置・形状でコンデンサを形成することができ、基板の厚みを厚くすることなく大容量のコンデンサを内蔵した回路基板を提供することができる。
【0025】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項2に記載の発明について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態1と同一の構造については、同一番号を付与してその説明を省略する。
【0026】
図2は、本実施の形態2における回路基板の断面図である。図2において、回路基板は電気絶縁性基材1と、電気絶縁性基材1に形成され複数の配線パターン2からなり、少なくとも一層はアルミニウム箔4と金属箔10とが電気的に接続している積層箔からなる配線層14と、アルミニウム箔4の一部に形成した固体アルミ電解コンデンサ5と、電気絶縁性基材1に形成され前記固体アルミ電解コンデンサ5と前記配線パターン2及び/または前記配線パターン2同士を電気接続するビア6からなる。
【0027】
本発明において、アルミニウム箔4と金属箔10とが電気的に接続している積層箔からなる配線層14は、アルミニウムと銅の組み合わせによる積層箔を用いることができる。これにより、それぞれを選択的にエッチングで除去することができ、ビアと接続する部分には銅を残し、より安定したビア接続抵抗が得られる。
【0028】
また、積層箔を用いる場合、アルミニウムと銅の間にエッチングストップ層を設けてもよい。エッチングストップ層を構成する材料は、エッチング液の種類に応じて適宜選択される。
【0029】
また、金属箔10においては、離型フィルムを用いた転写等による配線パターンの形成も可能となる。特に銅箔はコストも安く、電気伝導性も高いため好ましい。また、離型フィルム上に配線パターンを形成することにより、配線パターンが取り扱いやすくなる。
【0030】
なお、本実施の形態において、ビア6の形状はフィルドビアであってもビルドアップビアであっても良く、ペースト充填によってビアを形成しても良い。
【0031】
以上のように、本実施の形態によれば、アルミニウム箔と金属が電気的に接続している積層箔を用いることで、安定したビア接続と、基板の任意の位置・形状にコンデンサを形成した回路基板を提供することができる。
【0032】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項3に記載の発明について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態1と同一の構造については、同一番号を付与してその説明を省略する。
【0033】
図3は、本実施の形態3における回路基板の断面図である。図3において、回路基板は電気絶縁性基材1と、電気絶縁性基材1に形成された複数の配線パターン2と、アルミニウムからなる配線層3と、配線パターン2の少なくとも一箇所以上と接続された固体アルミ電解コンデンサ5と、電気絶縁性基材1に形成され前記固体アルミ電解コンデンサ5と前記配線パターン2及び/または前記配線パターン2同士を電気接続するビア6からなる。
【0034】
本発明において、配線パターン2と接続された固体アルミ電解コンデンサ5は、実施の形態1に示した固体アルミ電解コンデンサを用いることができる。固体アルミ電解コンデンサ5上の配線パターン2は、めっきにより形成することができる。また、配線パターン2が銅などの金属の場合、離型フィルムを用いた転写等による配線パターンを形成できる。離型フィルム上に配線パターン2を形成することにより、配線パターン2が取り扱いやすくなる。また、導電性樹脂組成物を用いることにより、スクリーン印刷等による、配線パターンの製作が可能となる。また、これらの配線パターン2は表面にメッキ処理をする事により、耐食性や電気伝導性を向上させることができる。配線パターン2は、表層側に半導体及び/または電子部品を実装することも可能である。
【0035】
なお、本実施の形態では両面基板について説明したが、さらに電気絶縁性基材を積層することにより、図1、図2等に示したような構成の多層基板を形成することも可能である。
【0036】
この構成により、表層にコンデンサを形成することができ、半導体を実装する場合、半導体の直下にコンデンサを配置することができ、コンデンサまでの配線長を最短にすることができる回路基板が得られる。
【0037】
(実施の形態4)
以下、実施の形態4を用いて、本発明の特に請求項11、12に記載の発明について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態1〜3と同一の構造については、同一番号を付与してその説明を省略する。
【0038】
図5(a)〜(h)は、本実施の形態4における回路基板の製造工程を示す断面図である。
【0039】
まず図5(a)に示すように、未硬化の電気絶縁性基材1を準備する。
【0040】
次に、図5(b)に示すように、電気絶縁性基材1に貫通孔8を設ける。貫通孔8の形成は、ドリル加工や、レーザ加工、パンチング加工といった方法を用いることができる。
【0041】
次に、図5(c)に示すように、電気絶縁性基材1に設けた貫通孔8にビア6を形成する。形成方法として、導電性ペースト7をスクリーン印刷法により充填することで、容易にビア6を形成することができる。また、めっきによるフィルドビア、ビルドアップビアを形成することもできる。
【0042】
次に、図5(d)に示すように、電気絶縁性基材の少なくとも片面に配線層となるアルミニウム箔4を積層し、反対側の面にも配線層となる金属箔10を位置合わせして積層する。この時、配線層としてアルミニウムと金属が電気的に接続している積層箔を用いることもできる。なお、本工程において、アルミニウム箔4を電気絶縁性基材1の片面に形成しているが、両面に形成しても良い。
【0043】
次に、図5(e)に示すように、アルミニウム箔4、金属箔10を選択的に除去し、配線パターン2、アルミニウムからなる配線層3を形成する。形成方法としては一般的なエッチング法によって行うことができる。具体的には、レジスト形成−露光−現像−エッチングの工程を利用することができる。アルミニウムと金属が電気的に接続している積層箔を用いる場合、それぞれをエッチングにより選択的に除去してもよい。これにより、固体アルミ電解コンデンサを形成する箇所のみ、銅箔を除去し、アルミニウムを露出させることができる。アルミニウムと銅による積層箔を用いた場合、ビアと接続する部分は銅によって配線パターンが形成できるため、ビアとの接続が安定する。
【0044】
次に、図5(f)に示すように、アルミニウム箔からなる配線層3の少なくとも一部に固体アルミ電解コンデンサ5を形成する。アルミニウム箔からなる配線層3上に固体アルミ電解コンデンサ5となる箇所以外を覆ってマスキングすることで、所望の位置に固体アルミ電解コンデンサ5を形成することができる。固体アルミ電解コンデンサ5は、アルミニウムを陽極とし、アルミニウムの酸化皮膜からなる誘電体膜を介して、その表面に導電性高分子からなる固体電解質層を陰極とする。この固体電解質層はポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等の機能性高分子層を化学重合や電解重合によって形成することができる。この方法によれば、アルミニウム箔に形成された多孔質部の深部まで固体電解質層を形成することができるため、静電容量を大きくすることができる。固体電解質層には、カーボンを薄く塗布して乾燥し、スクリーン印刷によってAgペーストを塗布し硬化することができる。
【0045】
次に、図5(g)に示すように、ビア6と固体アルミ電解コンデンサ5および、ビア6とビアのパッドとなる配線パターン2が接触するように、ビア6が形成された電気絶縁性基材1と配線層13を積層する。その後、外部から熱を加えて電気絶縁性基材1とビア6を硬化する。この時、真空熱プレス、オーブン、真空ラミネータを用いて硬化を行ってもよい。
【0046】
次に、図5(h)に示すように、最表層の配線層13を選択的に除去し、配線パターン2を形成する。
【0047】
以上のように、本実施の形態によれば、回路基板の作製工程においてコンデンサを形成することができるため、低コスト化が実現できる。また、回路基板の任意の位置・形状にコンデンサを形成することができ、設計自由度を損なうことなくコンデンサを内蔵した回路基板を提供することができる。
【0048】
(実施の形態5)
以下、実施の形態5を用いて、本発明の特に請求項13に記載の発明について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態1〜4と同一の構造については、同一番号を付与してその説明を省略する。
【0049】
図6(a)〜(h)は、本実施の形態5における回路基板の製造工程を示す断面図である。
【0050】
図6(a)に示すように、未硬化の電気絶縁性基材1を準備する。
【0051】
次に、図6(b)に示すように、電気絶縁性基材1の少なくとも片面に配線層となるアルミニウム箔4を積層し、反対側の面にも配線層となる金属箔を位置合わせして積層する。ここで、この金属箔は、アルミニウム箔であっても他の金属箔であっても良い。本実施の形態では、反対側の面にもアルミニウム箔を形成している。
【0052】
この時、外部から熱を加えて電気絶縁性基材1を硬化する。この時、真空熱プレス、オーブン、真空ラミネータを用いて硬化を行ってもよい。
【0053】
次に、図6(c)に示すように、アルミニウム箔4を選択的に除去し、アルミニウムからなる配線層3を形成する。形成方法としては一般的なエッチング法によって行うことができる。具体的には、レジスト形成−露光−現像−エッチングの工程を利用することができる。
【0054】
次に、図6(d)に示すように、アルミニウムからなる配線層3の少なくとも一部に固体アルミ電解コンデンサ5を形成する。アルミニウム箔からなる配線層3上にコンデンサとなる箇所以外を覆ってマスキングすることで、所望の位置にコンデンサを形成することができる。
【0055】
次に、図6(e)に示すように、固体アルミ電解コンデンサ5と前記電気絶縁性基材1上にアルミニウム箔とは異なる金属層を位置合わせして積層し、配線層13を形成する。なお、配線層13は、金、銀、銅またはニッケルなどを用いためっきによって、形成してもよい。
【0056】
次に、図6(f)に示すように、電気絶縁性基材1と金属箔に貫通孔8を設ける。貫通孔8の形成は、ドリル加工や、レーザ加工、パンチング加工といった方法を用いることができる。
【0057】
次に、図6(g)に示すように、貫通孔8と配線層13に、金、銀、銅またはニッケルなどを用いためっきによってめっき層11を形成することによりスルーホール9を形成する。
【0058】
次に、図6(h)に示すように、配線層13を選択的に除去し、配線パターン2を形成する。
【0059】
なお、本実施の形態において、さらに電気絶縁性基材を繰り返し積層して多層基板を形成しても良い。
【0060】
以上のように、本実施の形態によれば、回路基板の作製工程においてコンデンサを表層に形成することができる。これにより、LSI等を実装して用いる場合、LSIの直下にコンデンサを配置することができ、コンデンサまでの配線長を最短にすることができる回路基板が得られる。
【0061】
(実施の形態6)
以下、実施の形態6を用いて、本発明の特に請求項14、15に記載の発明について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態1〜5と同一の構造については、同一番号を付与してその説明を省略する。
【0062】
図7(a)〜(i)は、本実施の形態6における回路基板の製造工程を示す断面図である。
【0063】
図7(a)に示すように、未硬化の電気絶縁性基材1を準備する。
【0064】
次に、図7(b)に示すように、電気絶縁性基材1に貫通孔8を設ける。貫通孔8の形成は、ドリル加工や、レーザ加工、パンチング加工といった方法を用いることができる。
【0065】
次に、図7(c)に示すように、電気絶縁性基材1に設けた貫通孔8にビア6を形成する。形成方法として、導電性ペーストをスクリーン印刷法により充填することで、容易にビアを形成することができる。また、めっきによるフィルドビア、ビルドアップビアを形成することもできる。
【0066】
次に、図7(d)に示すように、電気絶縁性基材の少なくとも片面に配線層となるアルミニウム箔4を積層し、反対側の面にも配線層となる金属箔10を位置合わせして積層する。この時、外部から熱を加えて電気絶縁性基材1を硬化する。この時、真空熱プレス、オーブン、真空ラミネータを用いて硬化を行ってもよい。なお、本工程において、アルミニウム箔4を電気絶縁性基材1の片面に形成しているが、両面に形成しても良い。
【0067】
次に、図7(e)に示すように、アルミニウム箔4、金属箔10を選択的に除去し、配線パターン2、アルミニウム箔からなる配線層3を形成する。形成方法としては一般的なエッチング法によって行うことができる。具体的には、レジスト形成−露光−現像−エッチングの工程を利用することができる。
【0068】
次に、図7(f)に示すように、アルミニウム箔からなる配線層3の少なくとも一部に固体アルミ電解コンデンサ5を形成する。アルミニウム箔上にコンデンサとなる箇所以外を覆ってマスキングすることで、所望の位置にコンデンサを形成することができる。
【0069】
次に、図7(g)に示すように、配線パターンを形成した配線層に電気絶縁性基材1を位置合わせして積層し、電気絶縁性基材1を貫通する孔12を形成する。この時、孔12の孔底には配線パターン2が露出した状態になる。孔12の形成は、炭酸ガスレーザ・YAGレーザ・エキシマレーザ等のレーザ加工を用いれば、孔底の配線パターンを露出させて孔加工を実現することができる。これは、有機材料と金属のレーザ加工レートの違いから実現されるものであるが、適切なレーザ加工の条件を選択することで露出した配線にダメージを与えることなく孔の形成を行うことができる。孔底に樹脂成分が残存した場合には、デスミア処理等によって除去しておくことが好ましい。これにより、ビアと配線パターンの合致精度が向上する。
【0070】
さらに電気絶縁性基材は、あらかじめパンチャー加工やレーザ加工により貫通孔が形成されたものを積層することもできる。
【0071】
また、この後、外部から熱を加えて電気絶縁性基材1を硬化する。硬化は、真空熱プレス、オーブン、真空ラミネータを用いて行うことができる。
【0072】
次に、図7(h)に示すように、貫通孔と電気絶縁性基材上にめっきにより配線層13を形成する。めっきは、金、銀、銅またはニッケルなどを用いることができる。この時、貫通孔はめっきによるフィルドビアおよびビルドアップビアを形成することもできる。ビルドアップビアの場合、内部を樹脂により埋めてもよい。
【0073】
次に、図7(i)に示すように、めっきにより形成された配線層13をエッチングにより配線パターン2を形成する。また、めっきされた孔の内部を樹脂により充填してもよい。
【0074】
以上のように、本実施の形態によれば、回路基板の作製工程においてコンデンサを形成することができ、配線パターンおよびコンデンサを位置精度よくビアと電気的に接続することができ、より高密度な回路基板を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の回路基板は、大容量のコンデンサを回路基板の任意の位置・場所に形成することができ、ノイズ対策を有する回路基板として有用である。また、高速動作によるスイッチングノイズを発生するLSIや、複数の電源からなるLSIに対応したコンデンサ内蔵基板として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態1における回路基板の断面図
【図2】本発明の実施の形態2における回路基板の断面図
【図3】本発明の実施の形態3における回路基板の断面図
【図4】本発明の実施の形態1における回路基板の断面図
【図5】(a)〜(h)は本発明の実施の形態4における回路基板の製造方法を示す工程断面図
【図6】(a)〜(h)は本発明の実施の形態5における回路基板の製造方法を示す工程断面図
【図7】(a)〜(i)は本発明の実施の形態6における回路基板の製造方法を示す工程断面図
【符号の説明】
【0077】
1 電気絶縁性基材
2 配線パターン
3 アルミニウムからなる配線層
4 アルミニウム箔
5 固体アルミ電解コンデンサ
6 ビア
7 導電性ペースト
8 貫通孔
9 スルーホール
10 金属箔
11 めっき層
12 孔
13 配線層
14 積層箔からなる配線層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性基材と、
前記電気絶縁性基材に形成され少なくとも一層をアルミニウム箔とする複数の配線層と、
前記アルミニウム箔からなる配線層の一部に形成した固体アルミ電解コンデンサと、
前記電気絶縁性基材に形成され前記固体アルミ電解コンデンサと前記配線層及び/または前記配線層同士を電気的に接続するビアを有する回路基板。
【請求項2】
電気絶縁性基材と、
前記電気絶縁性基材に形成され少なくとも一層をアルミニウムと金属が電気的に接続している積層箔とする複数の配線層と、
前記アルミニウム箔の一部に形成した固体アルミ電解コンデンサと、
前記電気絶縁性基材に形成され前記固体アルミ電解コンデンサと前記配線層及び/または前記配線層同士を電気接続するビアを有する回路基板。
【請求項3】
電気絶縁性基材と、
前記電気絶縁性基材に形成されたアルミニウム箔からなる固体アルミ電解コンデンサと、
前記固体アルミ電解コンデンサと電気的に接続し、かつ、前記電気絶縁性基材上に形成された配線層と、
前記電気絶縁性基材に形成され前記固体アルミ電解コンデンサと前記配線層及び/または前記配線層同士を電気接続するビアを有する回路基板。
【請求項4】
前記配線層は、エッチングにより選択的に除去可能な金属からなることを特徴とする請求項1〜3に記載の回路基板。
【請求項5】
前記配線層は、アルミニウム箔のエッチング液と異なるエッチング液で除去可能な金属であることを特徴とする請求項1〜3に記載の回路基板。
【請求項6】
前記ビアは、金属粉末と熱硬化性樹脂とを含む導電性ペーストが充填されていることを特徴とする請求項1〜3に記載の回路基板。
【請求項7】
前記導電性ペーストは、銅、銀、ニッケルからなる金属粉末の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1〜3に記載の回路基板。
【請求項8】
前記アルミニウム箔の少なくとも片面の一部に多孔質部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3に記載の回路基板。
【請求項9】
前記アルミニウム箔の多孔質部に、アルミニウムの酸化皮膜よりなる誘電体膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜3に記載の回路基板。
【請求項10】
前記固体アルミ電解コンデンサは、前記誘電体膜の表面に導電性高分子からなる固体電解質層が形成されていることを特徴とする請求項1〜3に記載の回路基板。
【請求項11】
電気絶縁性基材に貫通孔を設ける工程と、
前記電気絶縁性基材にビアを形成する工程と、
前記電気絶縁性基材の一方の面にアルミニウム箔を積層し、他方の面にアルミニウム箔とは異なる金属箔により配線層を形成する工程と、
前記配線層を選択的に除去し、配線パターンを形成する工程と、
前記アルミニウム箔の少なくとも一部に固体アルミ電解コンデンサを形成する工程と、
前記固体アルミ電解コンデンサにビアが形成された電気絶縁性基材を介し配線層となる金属箔を積層する工程と、
前記電気絶縁性基材を硬化する工程と、
前記金属箔をエッチングにより配線パターンを形成する工程と
を備えた請求項1〜3に記載の回路基板の製造方法。
【請求項12】
電気絶縁性基材に貫通孔を設ける工程と、
前記電気絶縁性基材にビアを形成する工程と、
前記電気絶縁性基材の両面にアルミニウム箔を積層することにより配線層を形成する工程と、
前記配線層を選択的に除去し、配線パターンを形成する工程と、
前記アルミニウム箔の少なくとも一部に固体アルミ電解コンデンサを形成する工程と、
前記固体アルミ電解コンデンサにビアが形成された電気絶縁性基材を介し配線層となる金属箔を積層する工程と、
前記電気絶縁性基材を硬化する工程と、
前記金属箔をエッチングにより配線パターンを形成する工程と
を備えた請求項1〜3に記載の回路基板の製造方法。
【請求項13】
電気絶縁性基材の少なくとも片面にアルミニウム箔からなる配線層を積層する工程と、
前記電気絶縁性基材を硬化する工程と、
前記アルミニウム箔をエッチングにより選択的に除去する工程と、
前記アルミニウム箔の少なくとも一部に固体アルミ電解コンデンサを形成する工程と、
前記固体アルミ電解コンデンサと前記電気絶縁性基材上にアルミニウム箔とは異なる金属箔により配線層を形成する工程と、
前記電気絶縁性基材に貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔と配線層にめっきを形成する工程と、
前記配線層をエッチングにより配線パターンを形成する工程と
を備えた請求項1〜3に記載の回路基板の製造方法。
【請求項14】
電気絶縁性基材に貫通孔を設ける工程と、
前記電気絶縁性基材にビアを形成する工程と、
前記電気絶縁性基材の一方の面にアルミニウム箔を積層し、他方の面にアルミニウム箔とは異なる金属により配線層を形成する工程と、
前記配線層を選択的に除去し、配線パターンを形成する工程と、
前記アルミニウム箔に固体アルミ電解コンデンサを形成する工程と、
前記配線パターンを形成した配線層に電気絶縁性基材を積層する工程と、
積層した前記電気絶縁性基材に孔を形成する工程と、
前記電気絶縁性基材を硬化する工程と、
前記孔と前記電気絶縁性基材上にめっきにより配線層を形成する工程と、
めっきにより形成された配線層をエッチングにより配線パターンを形成する工程と、
を備えた請求項1〜3に記載の回路基板の製造方法。
【請求項15】
電気絶縁性基材に貫通孔を設ける工程と、
前記電気絶縁性基材にビアを形成する工程と、
前記電気絶縁性基材の両面にアルミニウム箔を積層することにより配線層を形成する工程と、
前記配線層を選択的に除去し、配線パターンを形成する工程と、
前記アルミニウム箔に固体アルミ電解コンデンサを形成する工程と、
前記配線パターンを形成した配線層に電気絶縁性基材を積層する工程と、
積層した前記電気絶縁性基材に孔を形成する工程と、
前記電気絶縁性基材を硬化する工程と、
前記孔と前記電気絶縁性基材上にめっきにより配線層を形成する工程と、
めっきにより形成された配線層をエッチングにより配線パターンを形成する工程と、
を備えた請求項1〜3に記載の回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−130870(P2008−130870A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315218(P2006−315218)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】