説明

回路基板および電子装置

【課題】回路基板において搭載部材に搭載される電子部品の実装信頼性を向上させること。
【解決手段】回路基板10は、絶縁基板1と、絶縁基板1の上面に設けられたろう材層2と、ろう材層2によって絶縁基板1の上面に接合されており電子部品20が搭載される搭載部材3とを備えている。搭載部材3は、金属から成る第1の部材31と、第1の部材31よりも小さい熱膨張係数を有しているとともに平面視において第1の部材31の中心部を囲むように第1の部材内31に設けられた第2の部材32とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板およびそれを用いた電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パワーモジュールまたはスイッチングモジュール等の例えばIGBT(Insulated Gate
Bipolar Transistor)などの電子部品が搭載された電子装置に用いられる回路基板とし
て、絶縁基板の上面に例えば銅またはアルミニウム等から成る搭載部材および金属回路板が接合された回路基板が用いられる。電子装置において、電子部品は、金属板に搭載され、例えばボンディングワイヤによって金属回路板に電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-69672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パワーモジュールまたはスイッチングモジュール等の電子装置は、規定電流の増大化に関する開発が求められている。規定電流を増大させるためには、金属回路板および搭載部材を厚くする必要がある。電子部品が搭載される搭載部材を厚くする場合、熱による搭載部材の膨張または収縮の影響が大きくなり、電子装置における電子部品の実装に関する信頼性の低下につながる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様によれば、回路基板は、絶縁基板と、絶縁基板の上面に設けられたろう材層と、ろう材層によって絶縁基板の上面に接合されており電子部品が搭載される搭載部材とを備えている。搭載部材は、金属から成る第1の部材と、第1の部材よりも小さい熱膨張係数を有しているとともに平面視において第1の部材の中心部を囲むように第1の部材内に設けられた第2の部材とを含んでいる。
【0006】
本発明の他の態様によれば、電子装置は、上記構成の回路基板と、回路基板の金属板に搭載された電子部品とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、回路基板は、金属から成る第1の部材と、第1の部材よりも小さい熱膨張係数を有しているとともに平面視において第1の部材の中心部を囲むように第1の部材内に設けられた第2の部材とを含む搭載部材を備えといることによって、第1の部材に例えば銅またはアルミニウム等の比較的熱膨張係数の高い材料を用いた場合においても、第1の部材における熱的要因による膨張および収縮が制限され、搭載部材上に搭載される電子部品の実装信頼性に関して向上されている。
【0008】
本発明の他の態様によれば、電子装置は、上記構成の回路基板を備えていることによって、搭載部材3に搭載された電子部品20の実装信頼性に関して向上されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態における電子装置を示す平面図であり、(b)は(a)に示された電子装置のA−Aにおける縦断面図である。
【図2】(a)は図1(a)に示された電子装置における回路基板を示す平面図であり、(b)は(a)に示された回路基板のA−Aにおける縦断面図である。
【図3】図2(b)に示された回路基板において符号Bによって示された部分の拡大図である。
【図4】図3に示された部分の第1の他の例を示す縦断面図である。
【図5】図3に示された部分の第2の他の例を示す縦断面図である。
【図6】図3に示された部分の第3の他の例を示す縦断面図である。
【図7】図3に示された部分の第4の他の例を示す縦断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における回路基板を示す平面図である。
【図9】本発明の第1および第2の実施形態における電子装置の他の例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1〜図3に示されているように、本発明の第1の実施形態における電子装置は、回路基板10と、回路基板10に実装された電子部品20とを備えている。
【0012】
回路基板10は、絶縁基板1と、絶縁基板1の上面に設けられたろう材層2と、ろう材層2によって絶縁基板1の上面に接合された搭載部材3と、ろう材層2によって絶縁基板1の上面に接合された複数の金属回路板4とを備えている。回路基板10は、ろう材層2によって絶縁基板1の下面に接合された放熱板9をさらに備えている。
【0013】
絶縁基板1は、例えば実質的にセラミック材料からなる。セラミック材料は、例えば、酸化アルミニウム質セラミックス,ムライト質セラミックス,炭化ケイ素質セラミックス,窒化アルミニウム質セラミックス,または窒化ケイ素質セラミックス等である。これらセラミック材料において、放熱性に影響する熱伝導性に関して、炭化ケイ素質セラミックス,窒化アルミニウム質セラミックス,または窒化ケイ素質セラミックスが好ましく、強度に関して、窒化ケイ素質セラミックスまたは炭化ケイ素質セラミックスが好ましい。絶縁基板1が窒化ケイ素質セラミックスのように比較的強度の高いセラミック材料からなる場合、より厚みの大きい搭載部材3、金属回路板4および放熱板9を用いたとしても絶縁基板1にクラックが入る可能性が低減されるので、小型化を図りつつより大きな電流を流すことができる回路基板10を実現することができる。
【0014】
絶縁基板1の厚みが小さい方が、熱伝導性が向上される。絶縁基板1の厚みは、回路基板10の大きさまたは用いられる材料の熱伝導率または強度に応じて選択される。例示的な厚みは、0.1mm〜1mm程度である。
【0015】
絶縁基板1は、例えば窒化ケイ素質セラミックスから成る場合であれば、窒化ケイ素,酸化アルミニウム,酸化マグネシウム,および酸化イットリウム等の原料粉末に適当な有機バインダー,可塑剤,および溶剤を添加混合して泥漿物に従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法を採用することによってセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を形成し、次にこのセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施して所定形状となすとともに、必要に応じて複数枚を積層して成形体となし、しかる後、これを窒化雰囲気等の非酸化性雰囲気にて1,600〜2,000℃の温度で焼成することによって製作される。
【0016】
ろう材層2に用いられるろう材ペーストは、例えば搭載部材3、金属回路板4および放熱板9が銅を含む場合、銀および銅粉末,銀−銅合金粉末,またはこれらの混合粉末から成る銀ろう材(例えば、銀:72質量%−銅:28質量%)粉末に、チタン,ハフニウム,ジ
ルコニウムまたはその水素化物等の活性金属を銀ろう材に対して2〜5質量%添加混合し、適当なバインダーと有機溶剤および溶媒とを添加混合し、混練することによって製作される。接合温度またはろう材の硬度を低下させる目的でインジウム(In)またはスズ(Sn)を1〜10質量%程度添加しても良い。
【0017】
ろう材層2に用いられるろう材ペーストは、例えば搭載部材3、金属回路板4および放熱板9がアルミニウムを含む場合は、銀ろう材に替えてアルミニウムろう材(例えば、アルミニウム:88質量%−シリコン:12質量%)を用いればよい。この場合も同様にして活性金属入りろう材ペーストを作製して、同様にして接合すればよい。アルミニウムろう材を使用した場合には、銅より低温の約600℃で接合することができる。
【0018】
搭載部材3は、金属から成る第1の部材31と、第1の部材31よりも小さい熱膨張係数を有しているとともに平面視において第1の部材31の中心部311を囲むように第1の部材31
内に設けられた第2の部材32とを含んでいる。第2の部材32は、平面視において第1の部材31の中心部311を連続して囲んでいる。図2(a)において、中心部311は、破線によって示されている。
【0019】
搭載部材3の第1の部材31は、例えば実質的に銅(Cu)またはアルミニウム(Al)から成る。第2の部材32の材料例は、ニッケル(Ni),鉄(Fe),モリブデン(Mo),タングステン(W),クロム(Cr),チタン(Ti),またはそれらを含む合金等の金属である。第2の部材32が金属から成る場合は、第2の部材32は、金属板をプレスまたはエッチング等の従来周知の方法によって加工することで形成される。第2の部材32の他の材料例は、酸化アルミニウム質セラミックス,ムライト質セラミックス,炭化ケイ素質セラミックス,窒化アルミニウム質セラミックス,または窒化ケイ素質セラミックス等のセラミックスである。これらセラミック材料において、放熱性に影響のある熱伝導性に関して、炭化ケイ素質セラミックス,窒化アルミニウム質セラミックス,または窒化ケイ素質セラミックスが好ましく、強度に関して、窒化ケイ素質セラミックスまたは炭化ケイ素質セラミックスが好ましい。
【0020】
本実施形態における搭載部材3の第1の実施例について説明する。搭載部材3の第1の部材31は、例えば銅(熱膨張係数17×10-6/K、熱伝導率393W/m・K、ヤング率128GPa)が用いられる。搭載部材3の第2の部材32は、例えばスーパーインバー(Fe-32N
i−5Co、熱膨張係数0.5×10-6/K、熱伝導率14W/m・K、ヤング率136GPa)が用いられる。第2の部材32は、平面視において第1の部材31の中心部を囲むことができるように貫通孔を有している。この第2の部材32を搭載部材3より大きい寸法を有する平面状のめっき電極に貼り付け、電解めっきによって第2の部材32の厚みを超えるように銅めっきをかけ、めっき電極から外して第2の部材32が露出するまで研磨することによって、第1の部材31に第2の部材32が埋め込まれた搭載部材3が形成される。ここで、搭載部材3として、第1の部材31として銅を使い、その外寸を15mm×15mmとし、第2の部材32としてスーパーインバーを使い、その外寸を13mm×13mm、幅1.5mmの枠体と外寸7
mm×7mm、幅1mmの枠体とし、第1の部材31の中心311を囲むように第2の部材32
を配置した場合に、搭載部材3の熱膨張係数は約10×10-6/Kとなり、また搭載部材3の上下方向の熱伝導率は、約240W/m・Kとなり、同じ体積比率となるように銅、スーパ
ーインバー、銅を2.2:3.1:2.2と平面状にクラッドした場合の熱膨張係数はほぼ同じとな
るが、平面状にクラッドした上下方向の熱伝導率が32W/m・Kであることに比べ、大幅に熱伝導率を向上させることができる。これは、搭載部材3の上下方向には熱伝導率の高い第1の部材31が連続していることでなされるものである。これによって、第2の部材の熱伝導率が30W/m・K以下と小さかったとしても、高熱伝導率で低熱膨張の搭載部材3とすることができるようになる。なお、第2の部材32を第1の部材31の中心311を円形に
囲んで形成すると、矩形の場合に発生する辺中央部とコーナー部に加わる応力の違いが無
くなり、全ての方向に等しく応力が加わるようになるので、第1の部材31の熱膨張係数を最も効果的に抑えることができると共に搭載部材3の特に第1の部材31の中心311の見かけの熱膨張係数の部位による変化を小さくできるので好ましい。また、第1の部材31の中心部は平面視でその上面に接合する電子部品より大きいと、電子部品で発生する熱が全面で第1の部材31を介して下面に効率的に伝導され、部分的に温度が上昇したりすることがないので好ましい。
【0021】
本実施形態における搭載部材3の第2の実施例について説明する。第2の実施例の搭載部材3において、上述の第1の実施例の搭載部材3と異なる構成は、第2の部材32がセラミック材料から成ることである。その他の構成は、第1の実施例と同様である。第2の部材32は、絶縁基板1と同様にして作製することができる。セラミック材料から成る第2の部材32をチタン粒子が分散された水溶液に浸し第2の部材32の表面にチタン粒子を形成した後にこれを850℃程度で焼成し第2の部材32の表面にチタンを焼き付け、これに無電界
銅めっきを掛けることで第2の部材32の全面に銅を形成した後は、上記と同様にして電解銅めっきを厚く掛け、その後表面が平坦になるように研磨することで、搭載部材3を形成することができる。
【0022】
本実施形態における搭載部材3の第3の実施例について説明する。第3の実施例の搭載部材3において、上述の第2の実施例の搭載部材3と異なる構成は、第1の部材31が例えばアルミニウムのように比較的融点の低い材料から成ることである。その他の構成は、第2の実施例と同様である。第2の部材32を上記のようにして作製した後に、複合金属板を内部に形成できる大きさの金型内に第2の部32を配置し、その後溶融した第1の部材31を充填することで搭載部材3を形成することができる。この場合も第1の部材31と第2の部材32の密着性が向上するように第2の部材32の表面を粗化したり、部材が酸化しないように窒素中で充填したりすることが好ましい。なお、第1の部材31を溶融させて搭載部材3を作製する例としては、第2の部材32がセラミックス、鉄、タングステン等の比較的融点が高い材料から成る場合、第1の部材31として銅を用いることも可能である。
【0023】
再び図1および図2を参照して、金属回路板4および放熱板9は、銅またはアルミニウム等の金属から成り、例えば銅のインゴット(塊)に圧延加工法または打ち抜き加工法等の機械的加工、またはエッチング等の化学的加工のような金属加工法を施すことによって、例えば厚さが0.05〜1mmの平板状で所定パターンに形成される。金属回路板4および放熱板9は、絶縁基板1と同程度の大きさおよび形状の金属部材を絶縁基板1に接合した後にエッチングで所定パターン形状に加工すると、高精度で精細なパターンを形成できるようになる。
【0024】
金属回路板4および放熱板9が銅から成る場合は、無酸素銅によって形成されていることが好ましい。無酸素銅によって形成されていると、金属回路板4または放熱板9と絶縁基板1との接合を行なう際に、銅の表面が銅中に存在する酸素によって酸化されることが低減され、ろう材層2との濡れ性が良好となるので、金属回路板4または放熱板9と絶縁基板1との接合強度が向上される。
【0025】
金属回路板4または放熱板9となる金属部材と絶縁基板1との接合は、金属部材および絶縁基板1の少なくとも一方における接合面にスクリーン印刷等でろう材ペーストを例えば30〜50μmの厚さで所定パターンに印刷塗布して、所定の構造となるように金属部材によって絶縁基板1を挟んだ後、金属部材に5〜10kPaの荷重をかけながら真空中または非酸化性雰囲気中で780℃〜900℃、10〜120分間加熱し、ろう材ペーストの有機溶剤、溶
媒、および分散剤を気体に変えて発散させるとともにろう材層2を溶融させることによって行なわれる。
【0026】
金属部材を絶縁基板1に接合した後に、金属部材をエッチングによって金属回路板4および放熱板9の所定パターン形状に加工する場合は、例えば以下のようにする。絶縁基板1の上に接合された金属部材の表面にエッチングレジストインクをスクリーン印刷法等の技術を用いて所定パターン形状に印刷塗布してレジスト膜を形成した後、例えば金属部材が銅板である場合であれば、塩化第2鉄または塩化第2銅溶液等のエッチング液に浸漬したり、エッチング液を吹き付けたりして金属回路板4および放熱板9の所定パターン以外の部分を除去し、その後にレジスト膜を除去すればよい。金属部材がアルミニウムから成る場合、エッチング液の例は、塩化第2鉄および塩酸を含む混酸である。
【0027】
搭載部材3は、絶縁基板1に接合した後に、その表面に導電性が高くかつ耐蝕性およびろう材との濡れ性が良好な金属をめっき法により被着させておくと、搭載部材3に半導体素子等の電子部品20を半田等のダイボンド材7を介して強固に接着させることができるとともに、搭載部材3と外部電気回路との電気的接続を良好なものとすることができる。この場合は、内部に燐を8〜15質量%含有させてニッケル−燐のアモルファス合金としておくと、ニッケルから成るめっき層の表面酸化を抑制してろう材との濡れ性等を長く維持することができるので好ましい。ニッケルに対する燐の含有量が8質量%以上15質量%以下であると、ニッケル−燐のアモルファス合金を形成しやすくなってめっき層に対する半田の接着強度を向上させることができる。このニッケルから成るめっき層は、その厚みが1.5μm以上であると、搭載部材3の表面を被覆しやすく、搭載部材3の酸化腐蝕を抑制す
ることができる。また、10μm以下であると、特に絶縁基板1の厚さが300μm未満の薄
いものになった場合には、めっき層の内部に内在する内在応力を低減させることができ絶縁基板1に生じる反りまたは割れ等を抑制することができる。搭載部材3にニッケル金属層を形成することによって、接合材4および枠体5における酸化腐食を抑制することができる。金属回路板4または放熱板9にも同様のニッケル金属層を形成しておくと、例えば外部回路基板または冷却体への接合が良好になるのでよい。
【0028】
電子部品20は、ダイボンド材7によって搭載部材3に固定されており、複数のボンディングワイヤ8によって金属回路板4に電気的に接続されている。ダイボンド材7は、例えば、金属接合材または導電性樹脂から成る。金属接合材は、例えば、半田、金−スズ(Au−Sn)合金、またはスズ−銀−銅(Sn−Ag−Cu)合金等である。電子部品20は、例えば、トランジスタ、CPU(Central Processing Unit)用のLSI(Large Scale
Integrated circuit)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、またはMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor - Field Effect Transistor)等の半導体素子
である。
【0029】
本実施形態の回路基板10において、搭載部材3は、金属から成る第1の部材31と、第1の部材31よりも小さい熱膨張係数を有しているとともに平面視において第1の部材31の中心部311を囲むように第1の部材31内に設けられた第2の部材32とを含んでいることによ
って、本実施形態における回路基板10は、第1の部材31に例えば銅またはアルミニウム等の比較的熱膨張係数の高い材料を用いた場合においても、第1の部材31における熱的要因による膨張および収縮が制限され、搭載部材3上に搭載される電子部品20における実装信頼性に関して向上されている。
【0030】
本実施形態において電子装置は、上記構成の回路基板10と、回路基板10の搭載部材3に搭載された電子部品20とを備えていることによって、搭載部材3に搭載された電子部品20における実装信頼性に関して向上されている。
【0031】
本実施形態の回路基板10において、搭載部材3は、平面視において、金属から成る第1の部材31の中心部311を囲むように第1の部材31内に設けられた第2の部材32を含んでい
ることによって、比較的熱伝導率の高い第1の部材31が搭載部材3における熱伝導方向に
連続して形成されており、回路基板10は、例えば熱膨張率を調整することを目的に銅(Cu)とタングステン(W)とが混在された搭載部材に比べて放熱性に関して向上されている。搭載部材3における熱伝導方向とは下方向である。放熱性を向上させることを目的に、平面視において、第1の部材31における第2の部材32によって囲まれている領域は、電子部品20より大きい方が好ましい。
【0032】
図4を参照して、搭載部材3の第1の他の例について説明する。第2の部材32は、第1の部材31の内部に埋設されている。第2の部材32と第1の部材31との接合面積が増大されていることによって、回路基板10は、第2の部材32と第1の部材31との密着性に関して向上されている。搭載部材3の上面の全領域において比較的熱伝導率の高い第1の部材31が形成されていることによって、回路基板10は、電子部品20によって発生される熱の伝導性に関して向上されている。第2の部材32に関して、“第1の部材31内に設けられた”とは、図4に示されているように第2の部材32の上端および下端が第1の部材31内に位置するような構造と、図3に示されているように第2の部材32の上端および下端が第1の部材31から露出されている構造とを含むものである。
【0033】
図5を参照して、搭載部材3の第2の他の例について説明する。金属回路板4に比べて薄い搭載部材3とした場合には、熱膨張係数の小さな絶縁基板1の熱膨張係数の影響が搭載部材3の上面にも影響しやすくなるので、より電子部品20の破壊に影響の大きい搭載部材3の上側の膨張収縮を小さくすることができる様になる。この場合には、回路基板10の裏面に対しての熱伝導を考えた場合、搭載部材3の厚みが薄いほど熱抵抗は小さくなるため、回路基板10の放熱性が改善されるので、この点でも好ましい。
【0034】
図6を参照して、搭載部材3の第3の他の例について説明する。第2の部材32を縦断面が上に行くほど大きくなるように形成し、その内部および周囲に第1の部材31を形成した場合には、電子部品20の破壊に影響の大きい搭載部材3の上側の膨張または収縮を第2の部材32によって、より小さく抑えることができる様になるので好ましい。
【0035】
図7を参照して、搭載部材3の第4の他の例について説明する。第2の部材32を縦断面において下部が小さくなるような階段状に形成し、その内部および周囲に第1の部材31を形成した場合には、第1の部材31と第2の部材32の接合面積がより広くなることで、搭載部材3の上側の膨張または収縮を第2の部材32によってより小さく抑えることができる様になるので好ましい。
【0036】
(第2の実施形態)
図8を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態において第1の実施形態と異なる構成は、それぞれ第1の部材31の中心部311を囲んでいる複数の
第2の部材32が互いに結合されていることである。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。本実施形態における回路基板10は、搭載部材3において応力の偏りが低減されていることによって、電子部品20の実装信頼性に関して向上されている。
【0037】
図9に示されているように、上述の第1および第2の実施形態における構成は、絶縁基板1に形成されたメタライズ層11を有する電子装置においても適用が可能である。具体的には、電子装置は、絶縁基板1の上面および下面に形成された複数のメタライズ層11をさらに備えている。メタライズ層11は、焼成によって絶縁基板1と一体的に形成されている。
【0038】
搭載部材3および複数の金属回路板4のそれぞれは、絶縁基板1の上面に形成されたメタライズ層11にろう材層2によって接合されている。ろう材層2が絶縁基板1の上面に設けられている構造とは、図9に示されているように、ろう材層2がメタライズ層11を介し
て絶縁基板1の上面に設けられている構造を含むものである。
【0039】
放熱板9は、絶縁基板1の下面に形成されたメタライズ層11にろう材層2によって接合されている。ろう材層2が絶縁基板1の下面に設けられている構造とは、図6に示されているように、ろう材層2がメタライズ層11を介して絶縁基板1の下面に設けられている構造を含むものである。
【0040】
回路基板10がメタライズ層11を有する場合、ろう材層2は活性金属を含まないものであってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1・・・・・絶縁基板
2・・・・・ろう材層
3・・・・・搭載部材
31・・・・・第1の部材
32・・・・・第2の部材
4・・・・・金属回路板
7・・・・・ダイボンド材
8・・・・・ボンディングワイヤ
9・・・・・放熱板
10・・・・・回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
該絶縁基板の上面に設けられたろう材層と、
該ろう材層によって前記絶縁基板の前記上面に接合されており、電子部品が搭載される搭載部材とを備えており、
該搭載部材は、金属から成る第1の部材と、該第1の部材よりも小さい熱膨張係数を有しているとともに平面視において前記第1の部材の中心部を囲むように前記第1の部材内に設けられた第2の部材とを含んでいることを特徴とする回路基板。
【請求項2】
請求項1に記載された回路基板と、
該回路基板の前記搭載部材に搭載された電子部品とを備えたことを特徴とする電子装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−74591(P2012−74591A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219064(P2010−219064)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】