説明

回転体の通電機構、像担持体ユニット、プロセスカートリッジ、ベルトユニット、定着ユニット、シート搬送ユニット、画像形成装置および回転体の通電方法ならびに導電性部材

【課題】金属同士が摺動することにより発生する異常音や、金属の酸化による導通不良、あるいは圧接による高負荷が発生するという諸問題を解決すると共に導電性潤滑剤を廃止した構成が簡単かつ安価で環境に配慮した、電子写真方式等の画像形成装置に用いられる回転体の通電(アース)機構、像担持体ユニット、プロセスカートリッジ、ベルトユニット、定着ユニット、シート搬送ユニット、画像形成装置および導電性部材を提供する。
【解決手段】アース板5と導電布6および押圧部材7とがフランジ2に固定され、フランジ2を像担持体1の内側にはめ込み・圧入することで、導電性基材1Aとアース板5とが、またアース板5と導電布6とが、また導電布6とシャフト4とがそれぞれ接触することで、導電性基材1Aとシャフト4とが最終的に導通するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式および磁気記録方式による画像形成装置の何れか一つに用いられる回転体の通電機構(例えばアース機構)、この回転体の通電機構を用いた、像担持体ユニット、プロセスカートリッジ、ベルトユニット、定着ユニット、シート搬送ユニット、画像形成装置および回転体の通電方法(例えばアース方法)ならびに導電性部材に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ等またはそれら複数の機能を備えた複合機等の電子写真方式の画像形成装置内に用いられる回転体の通電機構、例えばアース機構において、導電性かつ可撓性を備えた導電布もしくは除電布あるいは導電性シートを使用して通電、例えばアースを取る技術が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特許文献1には、シート搬送装置に用いられる導電性の回転軸用アース装置において、弾性材により形成された芯材と、この芯材の周囲に導電材(布製であり、以下「導電布」ともいう)とを設けて構成されたアース手段を備え、このアース手段の導電面を回転する導電軸表面に付勢し、さらに該アース手段の他の導電面を装置本体のフレームグラウンドに導通している導電部材に接触させて接地した技術が開示されている。
特許文献2には、転写部近傍に配設されて記録媒体の除電を行う除電部材が、シート状の形態をした導電性繊維を基材とする除電布(導電布)を用いて、これを別部材に貼り付け、かつ、別部材との連動によって圧接させアースを取る技術が開示されている。
【0003】
特許文献3には、その図4、図20〜図24等に示されているように、感光ドラム7(円筒部材)を回転可能に支持する導通軸(42b)に当接するドラムアース板70の軸接点バネ75(第一の板バネ)と、感光ドラム7の内壁(7i)に当接する少なくとも二つ以上のシリンダーバネ77a,77bのアースバネ接点部73,73b(第2の板バネ)とを設けることで、導通軸(42b)と感光ドラム7の内壁(7i)とを導通させる構成が開示されている。
【0004】
特許文献4には、その図2、図3、図6等に、用紙搬送用のローラを保持する回転軸の端部を支持部材により回転自在に支持してなり、前記ローラと用紙間の摩擦帯電により生じる静電気をアースする用紙搬送装置における除電装置において、金属製の回転軸における周面の一部(外周面や端面を含む)に除電布を介してアース用導電部材を接触させ、除電布における金属製の回転軸の面に導電性を有する潤滑剤を塗布し、アース用導電部材における除電布の付着面側の面に、該アース用導電部材が金属製の回転軸の周面に接触しない露出対向面を設けた技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、導電軸を備えた搬送ローラの自重を利用して、その導電軸を鉛直上方向から導電布に押し当てて通電、例えばアースを取る構成であり、導電布の可撓性を積極的に利用しているものではない。
特許文献2記載の技術では、除電布を別部材に貼り付け、かつ、別部材との連動によって圧接させているため、特許文献1と同様に、導電布の可撓性を積極的に利用しているものではない。
【0006】
特許文献3記載の技術では、導電布を用いておらず、金属製の導通軸と金属部材である第一の板バネとが摺動することにより、互いの部材もしくは片方の部材が磨耗することで発生する異常音や、金属の酸化による導通不良、あるいは圧接による高負荷が掛かる問題がある。これら金属同士の摺動対策として導電性潤滑剤を適用し上記問題の対策を行う方法もあるが、導電性潤滑剤は金属部材同士の接触点では、摺動時間が増加するに従い掻き取られるので、摺動初期には大変有効ではあるが、根本的な解決には至らない。
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置である事務機器は、室内で使用されるため、特に異常音等の騒音は皆無にすることが望まれている。
【0007】
特許文献4記載の技術でも、特許文献1〜3と同様に、導電布の可撓性を積極的に利用しているものではない。
【0008】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、金属同士が摺動することにより発生する上記問題を解決すると共に導電性潤滑剤を廃止した構成が簡単かつ安価で環境に配慮した、電子写真方式、静電記録方式および磁気記録方式による画像形成装置の何れか一つに用いられる回転体の通電(アース)機構、この回転体の通電機構を用いた、像担持体ユニット、プロセスカートリッジ、ベルトユニット、定着ユニット、シート搬送ユニット、画像形成装置および回転体の通電(アース)方法ならびに導電性部材(例えば導電布)を実現し提供することを、主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決すると共に上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という)を採っている。
請求項1記載の発明は、画像形成装置に用いられる回転体の通電機構であって、布状もしくはシート状の導電性部材の一部を通電対象物側に当接させ、前記導電性部材の他部を、前記回転体、該回転体と共に回転する回転シャフトおよび前記回転体を回転可能に支持するシャフトのうちの何れか一つの被当接部材に面で当接させることにより、前記導電性部材を介して前記通電対象物と前記被当接部材とを通電することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の回転体の通電機構において、前記導電性部材は、前記被当接部材に撓んで当接することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の回転体の通電機構において、前記導電性部材に対する前記被当接部材の当接方向が、該導電性部材の撓み方向と同一方向であることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか一つに記載の回転体の通電機構において、前記導電性部材は、前記被当接部材を貫通可能とし、かつ、前記被当接部材が貫通したときに前記導電性部材を撓ませて前記被当接部材に当接させる切り込みを有することを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の回転体の通電機構において、前記切り込みは、前記被当接部材が貫通したときに前記被当接部材と複数箇所で当接可能に複数形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の回転体の通電機構において、前記複数の切り込みの長さが、前記被当接部材貫通時の該被当接部材の外形形状に倣うように調整されていて、前記被当接部材の断面中心から前記外形形状に近づくに従い短く形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の回転体の通電機構において、前記切り込みが、前記導電性部材のほぼ中央から放射状に延びた複数の第1の放射状の切り込みからなることを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の回転体の通電機構において、第1の放射状の切り込みの長さよりも短く、かつ、前記中央の周りに第1の放射状の切り込みと位相を変えて前記中央から放射状に延びた複数の第2の放射状の切り込みを有することを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の回転体の通電機構において、前記第2の放射状の切り込みの中央は、前記導電性部材のほぼ中央から偏倚した位置にあることを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の発明は、請求項7ないし9の何れか一つに記載の回転体の通電機構において、第1または第2の放射状の切り込みが、第1または第2の放射状の切り込みの中央の周りに互いに隣る切り込みと等間隔で配置されていることを特徴とする。
【0018】
請求項11記載の発明は、請求項1ないし3の何れか一つに記載の回転体の通電機構において、前記導電性部材は、前記被当接部材を貫通可能とし、かつ、前記被当接部材が貫通したときに前記導電性部材を撓ませて前記被当接部材に当接させる切り抜き部を有し、前記切り抜き部は、前記被当接部材貫通時における前記導電性部材との当接状態をしてほぼ線接触とさせる部位を含む形状であることを特徴とする。
【0019】
請求項12記載の発明は、請求項11記載の回転体の通電機構において、前記導電性部材は、前記切り抜き部のほぼ中央から放射状に延びた複数の放射状切り込みを有することを特徴とする。
【0020】
請求項13記載の発明は、請求項1ないし3の何れか一つに記載の回転体の通電機構において、前記導電性部材は、前記被当接部材を貫通可能とし、かつ、前記被当接部材が貫通したときに前記導電性部材を撓ませて前記被当接部材に当接させる切り抜き部を有し、前記切り抜き部は、前記被当接部材貫通時における前記導電性部材との当接状態が前記被当接部材の断面中心に向かうに従い当接面積を減少させる形状であることを特徴とする。
【0021】
請求項14記載の発明は、請求項4ないし13の何れか一つに記載の回転体の通電機構において、前記導電性部材は、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維およびポリエステル繊維の少なくとも1つの繊維とニッケルおよび銅とを織り込んだ布状材からなる導電布であることを特徴とする。
【0022】
請求項15記載の発明は、請求項4ないし14の何れか一つに記載の回転体の通電機構を有し、前記回転体が、円筒状の導電性基材上に電子写真感光体層、静電記録誘電体層および磁気記録磁性体層の何れか一つを備えた像担持体からなり、前記像担持体の少なくとも一端部に固定されたフランジ部材を備え、前記被当接部材が、前記フランジ部材の中心部を貫通することにより前記像担持体を回転可能に支持する前記シャフトからなり、前記シャフトが、前記導電性部材を貫通したときに該導電性部材を撓ませて該シャフトに当接させ、その基端部が前記導電性部材と接触すると共に前記フランジ部材に取り付けられ、先端部が前記導電性基材の内壁に固定される金属製導電性部材を具備し、前記導電性基材と前記シャフトとを、前記金属製導電性部材と前記導電性部材との接触を介して導通することを特徴とする像担持体ユニットである。
【0023】
請求項16記載の発明は、請求項15記載の像担持体ユニットにおいて、前記金属製導電性部材に対して前記導電性部材を押し付ける押圧部材を有することを特徴とする。
【0024】
請求項17記載の発明は、請求項16記載の像担持体ユニットにおいて、前記押圧部材は、ゴム、スポンジを含む非金属弾性体であることを特徴とする。
【0025】
請求項18記載の発明は、像担持体と、帯電手段、クリーニング手段および現像手段より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に対して着脱自在に構成されたプロセスカートリッジにおいて、請求項15ないし17の何れか一つに記載の像担持体ユニットを有することを特徴とする。
【0026】
請求項19記載の発明は、請求項15ないし17の何れか一つに記載の像担持体ユニットまたは請求項18記載のプロセスカートリッジを具備することを特徴とする画像形成装置である。
【0027】
請求項20記載の発明は、転写画像または可転写画像を担持・搬送する無端状のベルトと、該ベルトを巻き掛ける複数の回転部材とを具備し、前記複数の回転部材のうちの少なくとも一つは、駆動回転部材であり、前記駆動回転部材を駆動する駆動手段と、該駆動回転部材と共に前記ベルトを支持する従動回転部材とを備えたベルト装置において、前記駆動回転部材および前記従動回転部材の少なくとも一方が、円筒状の導電性基材を備えた中空回転部材であり、請求項4ないし14の何れか一つに記載の回転体の通電機構を有し、前記回転体が、前記中空回転部材からなり、前記中空回転部材の少なくとも一端部に固定されたフランジ部材を備え、前記被当接部材が、前記フランジ部材の中心部を貫通することにより前記中空回転部材を回転可能に支持する前記シャフトからなり、前記シャフトが、前記導電性部材を貫通したときに該導電性部材を撓ませて該シャフトに当接させ、その基端部が前記導電性部材と接触すると共に前記フランジ部材に取り付けられ、先端部が前記導電性基材の内壁に固定される金属製導電性部材を具備し、前記導電性基材と前記シャフトとを、前記金属製導電性部材と前記導電性部材との接触を介して導通することを特徴とするベルトユニットである。
【0028】
請求項21記載の発明は、請求項20記載のベルトユニットにおいて、前記金属製導電性部材に対して前記導電性部材を押し付ける押圧部材を有することを特徴とする。
【0029】
請求項22記載の発明は、請求項21記載のベルトユニットにおいて、前記押圧部材は、ゴム、スポンジを含む非金属弾性体であることを特徴とする。
【0030】
請求項23記載の発明は、転写画像または可転写画像を担持・搬送する無端状のベルトと、該ベルトを巻き掛ける複数の回転部材とを具備し、前記複数の回転部材のうちの少なくとも一つは、駆動回転部材であり、前記駆動回転部材を駆動する駆動手段と、該駆動回転部材と共に前記ベルトを支持する従動回転部材とを備えたベルト装置において、請求項4ないし14の何れか一つに記載の回転体の通電機構を有し、前記被当接部材が、前記駆動回転部材および前記従動回転部材の少なくとも一つからなり、前記駆動回転部材および前記従動回転部材の少なくとも一つが、前記導電性部材を貫通したときに該導電性部材を撓ませて前記駆動回転部材および前記従動回転部材の少なくとも一つに当接させ、前記駆動回転部材および前記従動回転部材の少なくとも一つと前記通電対象物とを前記導電性部材を介して導通することを特徴とするベルトユニットである。
【0031】
請求項24記載の発明は、請求項23記載のベルトユニットにおいて、前記ベルトが、中間転写体としての中間転写ベルト、電子写真感光体層、静電記録誘電体層および磁気記録磁性体層の何れか一つを備えた像担持体ベルトおよび転写搬送体としての転写搬送ベルトの何れか一つであることを特徴とする。
【0032】
請求項25記載の発明は、熱源と弾性層とを備えた加熱部材と、該加熱部材に圧接してニップ部を形成する加圧部材とを有し、未定着の転写画像が形成されたシート状記録媒体を搬送して前記ニップ部を通過させ、シート状記録媒体上の未定着転写画像を定着する定着装置において、請求項4ないし14の何れか一つに記載の回転体の通電機構を有し、前記回転シャフトは、前記加熱部材および前記加圧部材の少なくとも一つに配設されており、前記被当接部材が、前記加熱部材および前記加圧部材の少なくとも一つに配設された前記回転シャフトからなり、前記加熱部材および前記加圧部材の少なくとも一つの前記回転シャフトが、前記導電性部材を貫通したときに該導電性部材を撓ませて前記回転シャフトに当接させ、該回転シャフトと前記通電対象物とを前記導電性部材を介して導通することを特徴とする定着ユニットである。
【0033】
請求項26記載の発明は、無端状の定着ベルトと、熱源を内蔵する加熱部材と、該加熱部材と共に前記定着ベルトが掛け渡される定着部材と、該定着部材を介して前記定着ベルトに圧接してニップ部を形成する加圧部材とを有し、未定着の転写画像が形成されたシート状記録媒体を搬送して前記ニップ部を通過させ、シート状記録媒体上の未定着転写画像を定着する定着装置において、請求項4ないし14の何れか一つに記載の回転体の通電機構を有し、前記回転体は、前記加熱部材、前記定着部材および前記加圧部材の少なくとも一つに配設されており、前記被当接部材が、前記加熱部材、前記定着部材および前記加圧部材の少なくとも一つに配設された前記回転体からなり、前記加熱部材、前記定着部材および前記加圧部材の少なくとも一つが、前記導電性部材を貫通したときに該導電性部材を撓ませて前記加熱部材、前記定着部材および前記加圧部材の少なくとも一つに当接させ、前記加熱部材、前記定着部材および前記加圧部材の少なくとも一つと前記通電対象物とを前記導電性部材を介して導通することを特徴とする定着ユニットである。
【0034】
請求項27記載の発明は、請求項25または26記載の定着ユニットにおいて、前記通電対象物側に対して前記導電性部材を押し付ける押圧部材を有することを特徴とする。
【0035】
請求項28記載の発明は、請求項27記載の定着ユニットにおいて、前記押圧部材は、ゴム、スポンジを含む非金属弾性体であることを特徴とする。
【0036】
請求項29記載の発明は、シート状記録媒体搬送用の搬送部材に配設された回転軸を支持する支持部材により回転自在に支持し、前記搬送部材とシート状記録媒体間の摩擦帯電により生じる静電気を通電するシート搬送装置において、請求項4ないし14の何れか一つに記載の回転体の通電機構を有し、前記回転シャフトは、前記搬送部材に配設された導電性の回転軸からなり、前記被当接部材が、前記回転軸からなり、前記回転軸が、前記導電性部材を貫通したときに該導電性部材を撓ませて前記回転軸に当接させ、該回転軸と前記通電対象物とを前記導電性部材を介して導通することを特徴とするシート搬送ユニットである。
【0037】
請求項30記載の発明は、請求項29記載のシート搬送ユニットにおいて、前記通電対象物側に対して前記導電性部材を押し付ける押圧部材を有することを特徴とする。
【0038】
請求項31記載の発明は、請求項30記載のシート搬送ユニットにおいて、前記押圧部材は、ゴム、スポンジを含む非金属弾性体であることを特徴とする。
【0039】
請求項32記載の発明は、請求項20ないし24の何れか一つに記載のベルトユニット、請求項25ないし28の何れか一つに記載の定着ユニット、および請求項29ないし31の何れか一つに記載のシート搬送ユニットの少なくとも一つのユニットを具備することを特徴とする画像形成装置である。
【0040】
請求項33記載の発明では、画像形成装置に用いられる、布状もしくはシート状の導電性部材を使用した回転体の通電方法であって、前記回転体、該回転体と共に回転する回転シャフトおよび前記回転体を回転可能に支持するシャフトのうちの何れか一つの被当接部材と通電対象物とを、前記導電性部材を介して電気的に導通する際に、前記被当接部材の長手方向と直交する該被当接部材の端面を前記導電性部材に突き当てることにより、前記導電性部材を介して前記通電対象物と前記被当接部材とを通電することを特徴とする。
【0041】
請求項34記載の発明では、画像形成装置に用いられる、布状もしくはシート状の導電性部材を使用した回転体の通電方法であって、前記回転体、該回転体と共に回転する回転シャフトおよび前記回転体を回転可能に支持するシャフトのうちの何れか一つの被当接部材と通電対象物とを、前記導電性部材を介して電気的に導通する際に、前記被当接部材の長手方向と直交する該被当接部材の端部を貫通可能とし、かつ、前記端部が貫通したときに前記導電性部材を撓ませて前記被当接部材に当接させるための切り込みおよび切り抜き部の少なくとも一方の貫通当接部を予め形成しておき、その後、前記被当接部材を前記貫通当接部に貫通することにより、前記導電性部材を介して前記通電対象物と前記被当接部材とを通電することを特徴とする。
【0042】
請求項35記載の発明は、被当接部材に面で当接させる布状もしくはシート状の導電性部材である。
請求項36記載の発明は、請求項35記載の導電性部材において、前記導電性部材は、前記被当接部材に撓んで当接することを特徴とする。
請求項37記載の発明は、請求項36記載の導電性部材において、前記導電性部材は、前記被当接部材を貫通可能とし、かつ、該被当接部材が貫通したときに前記導電性部材を撓ませて前記被当接部材に当接させる切り込みを有することを特徴とする。
【0043】
請求項38記載の発明は、請求項37記載の導電性部材において、前記切り込みは、前記被当接部材が貫通したときに前記被当接部材と複数箇所で当接可能に複数形成されていることを特徴とする。
【0044】
請求項39記載の発明は、請求項38記載の導電性部材において、前記切り込みが、前記導電性部材のほぼ中央から放射状に延びた複数の第1の放射状の切り込みからなることを特徴とする。
【0045】
請求項40記載の発明は、請求項39記載の導電性部材において、前記導電性部材の前記被当接部材が当接する部分と異なる箇所に、該被当接部材に前記導電性部材を押し付ける押圧部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、上記課題を解決して新規な回転体の通電機構、この回転体の通電機構を用いた、像担持体ユニット、プロセスカートリッジ、ベルトユニット、定着ユニット、シート搬送ユニット、画像形成装置および回転体の通電方法ならびに導電性部材を実現し提供することができる。主な請求項ごとの効果を挙げれば、以下のとおりである。
請求項1ないし3記載の発明によれば、上記構成により、金属同士の摺動を廃止することができることによって、異音の発生の抑制、酸化の抑制による導通不良を防止することができ、さらには導電性潤滑剤も不要となるため、環境に配慮した安価で小型の安定した回転体の通電機構を提供することができる。
【0047】
請求項4ないし10記載の発明によれば、布状もしくはシート状の導電性部材が切り込みを有するという簡単な構成により、請求項1ないし3記載の発明の効果に加えて、さらに安定した導通を確保した回転体の通電機構を提供することができる。また、除去クズやゴミを発生しないという効果も奏する。
【0048】
請求項11および13記載の発明によれば、布状もしくはシート状の導電性部材が切り抜き部を有するという簡単な構成により、請求項1ないし3記載の発明の効果に加えて、さらに安定した導通を確保することができると共に、切り抜き部の形状を工夫するだけで、被当接部材との接触・当接範囲および当接圧が高精度に調整可能となる。
【0049】
請求項12記載の発明によれば、上記構成により、請求項4ないし10記載の発明の効果に加えて、被当接部材との接触・当接範囲および当接圧も高精度に調整可能となる。
【0050】
請求項14記載の発明によれば、上記構成により、安定した導通を確保することができる。
【0051】
請求項15記載の発明によれば、上記構成により、請求項4ないし14の少なくとも一つ以上の効果を奏する像担持体ユニットを実現し提供することができる。
【0052】
請求項16、17記載の発明によれば、請求項15記載の発明の効果に加えて、像担持体ユニットにおいて、押圧部材で布状もしくはシート状の導電性部材(例えば導電布)を押さえ込むことができることにより、導通が経時に亘り安定して確保することができる。
【0053】
請求項18記載の発明によれば、プロセスカートリッジにおいて、請求項15ないし17の記載の発明の効果を少なくとも一つ以上奏する。
【0054】
請求項19記載の発明によれば、画像形成装置において、請求項15ないし17の記載の発明の効果、または請求項18記載の発明の効果を奏することで、ひいては安定した画像品質を提供することが可能になる。
【0055】
請求項20、23記載の発明によれば、ベルト装置においても、請求項4ないし14の記載の発明の効果を少なくとも一つ以上奏する。
【0056】
請求項21、22記載の発明によれば、請求項20、23記載の発明の効果に加えて、ベルト装置において、押圧部材で布状もしくはシート状の導電性部材(例えば導電布)を押さえ込むことができることにより、導通が経時に亘り安定して確保することができる。
請求項24記載の発明によれば、中間転写体としての中間転写ベルト、電子写真感光体層、静電記録誘電体層および磁気記録磁性体層の何れか一つを備えた像担持体ベルトおよび転写搬送体としての転写搬送ベルトの何れか一つを有するベルト装置で、請求項4ないし14の記載の発明の効果を少なくとも一つ以上奏する。
【0057】
請求項25、26記載の発明によれば、定着装置においても、請求項4ないし14の記載の発明の効果を少なくとも一つ以上奏する。
【0058】
請求項27、28記載の発明によれば、請求項25、26記載の発明の効果に加えて、定着装置において、押圧部材で布状もしくはシート状の導電性部材(例えば導電布)を押さえ込むことができることにより、導通が経時に亘り安定して確保することができる。
【0059】
請求項29記載の発明によれば、シート搬送装置においても、請求項4ないし14の記載の発明の効果を少なくとも一つ以上奏する。
請求項30、31記載の発明によれば、請求項29記載の発明の効果に加えて、シート搬送装置において、押圧部材で布状もしくはシート状の導電性部材(例えば導電布)を押さえ込むことができることにより、導通が経時に亘り安定して確保することができる。
【0060】
請求項32記載の発明によれば、画像形成装置において、請求項20ないし24の何れか一つに記載のベルトユニットの効果、請求項25ないし28の何れか一つに記載の定着ユニットの効果、および請求項29ないし31の何れか一つに記載のシート搬送ユニットの効果の少なくとも一つ以上を奏する。
【0061】
請求項33記載の発明によれば、金属同士の摺動を廃止することができることによって、異音の発生の抑制、酸化の抑制による導通不良を防止することができ、さらには導電性潤滑剤も不要となるため、環境に配慮した安価で小型の安定した回転体の通電方法を提供することができる。
請求項34記載の発明によれば、請求項33記載の発明よりも、さらに安定した導通を確保した回転体の通電方法を提供することができる。
【0062】
請求項35および36記載の発明によれば、請求項1ないし3記載の発明の効果を奏する導電性部材を実現し提供することができる。
【0063】
請求項37ないし39記載の発明によれば、請求項4ないし10記載の発明の効果を奏する導電性部材を実現し提供することができる。
【0064】
請求項40記載の発明によれば、請求項16,17,21,22,27,28,30,31記載の発明の効果を奏する導電性部材を実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施形態1等を適用したカラー画像形成装置全体の簡略的な構成図である。
【図2】実施形態1等を適用したプロセスカートリッジの要部の断面図である。
【図3】本発明の実施形態1等の像担持体ユニットの外観斜視図である。
【図4】実施形態1等における像担持体ユニットの両端部を長手(軸)方向で断面にした要部の断面図である。
【図5】実施形態1におけるアース板、導電布等の形状・取り付け状態を示す図であって、シャフトが導電布を貫通する前の状態を示す斜視図である。
【図6】シャフトが導電布に押し当たり、その切り込みを開きつつある導電布貫通中の状態を示す斜視図である。
【図7】シャフトが導電布を貫通した後の状態を示す斜視図である。
【図8】実施形態1等における像担持体ユニットの一端部を長手(軸)方向で断面にした断面図である。
【図9】(a)、(b)は、導電布自体の顕微鏡拡大写真(30倍、100倍)である。
【図10】導電布自体の模式図(100倍)である。
【図11】比較例における像担持体ユニットの一端部を長手(軸)方向で断面にした断面図である。
【図12】比較例における像担持体ユニットのフランジ、アース板周りの外観斜視図である。
【図13】変形例1の導電布を示す正面図である。
【図14】変形例1の別の導電布を示す正面図である。
【図15】変形例1における比較例の導電布を示す正面図である。
【図16】変形例2の導電布を示す正面図である。
【図17】変形例3の導電布を示す正面図である。
【図18】変形例4の導電布を示す正面図である。
【図19】実施例1の導電布を示す正面図である。
【図20】実施例1におけるフランジアッシーの構成を説明する分解斜視図である。
【図21】実施例1における導電布アッシーの構成を説明する図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は下面図、(d)は右側面図である。
【図22】実施例1における導電布アッシーの構成を説明する図であって、(a)は側面図、(b)は背面図である。
【図23】実施例1における押圧部材の形状を説明する図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図24】実施例1における導電布アッシーの加工工程を説明する図である。
【図25】(a)は、実施例1において導電布をフランジに取り付ける際の位置決め構成を説明する斜視図、(b)は同正面図である。
【図26】(a)は、実施例1においてアース板のフランジへの取り付けを説明する斜視図、(b)は同正面図、(c)は同側面図である。
【図27】導電布の機能と押圧部材の貫通孔との関係について説明する斜視図である。
【図28】フランジへの導電布、押圧部材およびアース板の取り付け状態の特徴について説明する要部の写真である。
【図29】実施例1の導電布の別の例の形状を示す正面図である。
【図30】変形例5の導電布を示す正面図である。
【図31】変形例6の導電布を示す正面図である。
【図32】変形例6の像担持体ユニットの一端部を長手(軸)方向で断面にした断面図である。
【図33】(a)、(b)は、変形例6のシャフトの外径の大小と導電布との重合状態を説明する要部の拡大斜視図である。
【図34】変形例7の導電布を示す正面図である。
【図35】変形例8の導電布を示す正面図である。
【図36】変形例8の別の導電布を示す正面図である。
【図37】変形例9の導電布を示す正面図である。
【図38】変形例10の導電布を示す正面図である。
【図39】(a)、(b)は、変形例8および10の導電布とシャフトとの接触状態を説明する要部の拡大斜視図である。
【図40】変形例11の導電布を示す正面図である。
【図41】変形例12の導電布を示す正面図である。
【図42】変形例13における像担持体ユニットのシャフトとステーとの導通を導電布を介して取るアース構造を説明するための、像担持体ユニットの一端部を長手(軸)方向で断面にした断面図である。
【図43】変形例14における像担持体ユニットのシャフトとフレームとの導通を導電布を介して取るアース構造を説明するための、像担持体ユニットの一端部を長手(軸)方向で断面にした断面図である。
【図44】変形例15における像担持体ユニットのシャフトとフレームとの導通を切り込み等の無い導電布を介して取るアース構造を説明するための、像担持体ユニットの一端部を長手(軸)方向で断面にした断面図である。
【図45】実施形態2の中間転写ベルト装置を示す簡略的な正面図である
【図46】実施形態2の中間転写ベルトユニットの一端部を長手(軸)方向で断面にした断面図である。
【図47】変形例16の中間転写ベルトユニットの一端部を長手(軸)方向で断面にした断面図である。
【図48】実施形態3の定着装置を示す簡略的な正面図である。
【図49】実施形態3の定着ユニットの一端部を長手(軸)方向で断面にした断面図である。
【図50】変形例17の定着装置を示す簡略的な正面図である。
【図51】変形例17の定着ユニットの一端部を長手(軸)方向で断面にした断面図である。
【図52】(a)は、実施形態4のシート搬送ユニットの要部の斜視図、(b)は、同ユニットの一端部を長手(軸)方向で断面にした断面図である。
【図53】実施形態5のシート搬送ユニットの一端部を長手(軸)方向で断面にした断面図である。
【図54】(a)は、実施例1のフランジアッシーにおけるアース板の圧着接点部(ツメ部分)と、フランジのボスとの位置関係について説明するための正面図、(b)は、フランジアッシーを感光体の内部に圧入する際にアース板の圧着接点部(ツメ部分)が受ける荷重を説明するための要部の分解斜視図である。
【図55】(a)は、実施例1のフランジアッシーの感光体の内部への圧入前の状態を示す断面図、(b)は、同フランジアッシーの感光体の内部への圧入後の状態を示す断面図である。
【図56】(a)は、金属ブラシの正面図、(b)は、金属ブラシの側面図である。
【図57】(a)は、回転する軸に対して金属ブラシを平行に当てる方法を説明する要部の正面図、(b)は、(a)の側面図である。
【図58】(a)は、回転する軸に対して金属ブラシを直交するように当てる方法を説明する要部の正面図、(b)は、(a)の側面図である。
【図59】(a)は、金属ブラシをフランジに組み付ける構成を説明する分解斜視図、(b)は、(a)の正面図である。
【図60A】金属ブラシにおける金属繊維部分の接触位置・箇所を説明するための200倍の顕微鏡拡大写真である。
【図60B】(a)は、全ての金属繊維が同じ方向のときの接触位置・箇所を説明するための模式的な図、(b)は、1本の金属繊維が傾いたときの接触位置・箇所を説明するための模式的な図である。
【図61】(a)は、導電布が接触する被当接部材の横方向の接触位置・箇所について説明するための50倍の顕微鏡写真、(b)は、(a)の拡大顕微鏡写真(200倍)である。
【図62】(a)は、金属ブラシと接触する被当接部材の縦方向の接点について説明する顕微鏡写真、(b)は、(a)を拡大した顕微鏡写真、(c)は、本発明で用いる導電布と接触する被当接部材の縦方向の接点について説明する顕微鏡写真、(d)は、(c)を拡大した顕微鏡写真である。
【図63A】導電布の拡大顕微鏡写真である。
【図63B】図63Aの各断面イメージを示す模式的な断面図である。
【図64】(a)は、金属ブラシが軸と接触する範囲および部位を示す説明図、(b)は、導電布が軸と接触する範囲および部位を示す説明図である。
【図65】(a)は、実施例2におけるフランジアッシーの構成を説明する分解斜視図、(b)は、実施例2におけるフランジアッシーの構成を説明する図であって、アース板を取り付ける前の状態を示す正面図である。
【図66】(a)、(b)、(c)は、実施例2におけるフランジアッシーの組み付け推移状態をフランジの一部を破断して斜視図的に示した写真である。
【図67】(a)は、導電布のみ、厚みを2種類に変えたPETシート付導電布の3種類の試験片(測定品)の形状・寸法を示す図、(b)は、同試験片(測定品)の押し付け荷重の測定状態を説明する図である。
【図68】3種類の試験片(測定品)の押し付け荷重の測定結果をまとめた図表である。
【図69】3種類の試験片(測定品)の押し付け荷重の測定結果をまとめたグラフである。
【図70】試験片(測定品)の押し付け荷重の測定状態を説明する簡略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、混同の虞がない限り同一符号を付すこととする。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。
【0067】
(実施形態1)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態1を適用した電子写真方式のカラー画像形成装置50の全体構成と共に動作を説明する。図1は、カラー画像形成装置50の内部構成を示す概略的な断面図である。
同図に示すように、カラー画像形成装置50は、装置本体としての機枠体をなす本体フレーム51のほぼ中央部に、画像形成部を構成するプロセスカートリッジとして右から左に向けて順に4つのプロセスカートリッジ58K,58C,58M,58Yを並設しており、プロセスカートリッジ58K,58C,58M,58Yの上側には、それぞれの像担持体1K,1C,1M,1Yに潜像を形成するための潜像形成手段・露光手段としての露光装置57を配置している。図示した例では、各像担持体1K,1C,1M,1Yは、感光体からなり、感光体の表面に、ブラックトナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像およびイエロートナー像がそれぞれ形成される。
以下、プロセスカートリッジ58K,58C,58M,58Yでは、現像剤として使用されるトナーの色および形成されるトナー像が異なるだけで同様の構成であるため、これらを総括的に説明する際にはその色を表す符号を削除したプロセスカートリッジ58で説明する。同様に、像担持体1K,1C,1M,1Yを総括的に説明する際にはその色を表す符号を削除した像担持体1で説明する。
【0068】
プロセスカートリッジ58は、図1および図2に詳しく示すように、後述するように像担持体1等を有して構成された像担持体ユニット10と、帯電手段としての帯電装置を構成する帯電ローラ11と、クリーニング手段としてのクリーニング装置を構成するクリーニングブレード13と、現像手段としての現像装置を構成する現像ローラ12とを一体に支持する筺体状の支持部材としてのフレーム14を有する。プロセスカートリッジ58は、フレーム14を介して、カラー画像形成装置50の本体フレーム51に対して着脱自在に構成されている。フレーム14は、図2において紙面の手前側および奥側に一対配設された支持側板(図示せず)を有している。
【0069】
帯電ローラ11は、像担持体1の外周表面に圧接されており、像担持体1の回転により従動回転しながら図示しない高圧電源によってDCあるいはDCにACが重畳されたバイアスが印加されることで、像担持体1は一様な表面電位(例えば−200〜−1000V)に帯電されている。
現像ローラ12等を備えた現像装置は、1成分接触現像器であり、図示しない高圧電源から供給される所定の現像バイアスによって、像担持体1に形成された静電潜像をトナー像として顕像化する。
【0070】
プロセスカートリッジ58の下側には、転写画像としてのトナー像を担持・搬送する中間転写体としての無端状の中間転写ベルト53が設置されている。中間転写ベルト53は、複数の回転部材としての、2次転写対向ローラを兼ねる駆動ローラ55、金属製のクリーニング対向ローラ59、1次転写ローラ54、テンションローラを兼ねる従動ローラ56にて張架されており、図示しないギヤやベルト等の駆動力伝達手段を介して駆動ローラ55に連結された駆動手段としての駆動モータ(図示せず)により、駆動ローラ55を介して図中矢印方向に回転駆動される。上記複数の回転部材のうち、駆動ローラ55は駆動回転部材であり、従動ローラ56は従動回転部材である。
なお、中間転写ベルト53に付与するベルト張力として、従動ローラ56の両側の軸受部にてばね(図示せず)により加圧している。中間転写ベルト53を張架している上記各ローラは、図示しない一対の中間転写ベルトユニット側板によって中間転写ベルト53の両側より支持されている。
中間転写ベルト53の材質としては、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、TPE(熱可塑性エラストマー)等にカーボンブラック等の導電性材料を分散させ樹脂フィルム状のエンドレスベルトとしたものが用いられる。
【0071】
プロセスカートリッジ58の像担持体1が中間転写ベルト53と接する下方位置には、1次転写装置を構成する1次転写ローラ54がそれぞれ設置されている。1次転写ローラ54としては、導電ブレードや導電スポンジローラ、金属ローラ等が使用可能であるが、本実施形態例では金属ローラを用い、像担持体1に対して中間転写ベルト53の移動方向と、垂直上方向にオフセット配置させた。像担持体1に対して1次転写ローラ54に図示しない単独の高圧電源により所定の転写バイアス(例えば+500〜+1000V)を共通に印加させることで中間転写ベルト53を介して転写電界を形成し、像担持体1と中間転写ベルト53に電位差が生じることで像担持体1表面に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト53に転写される。
各プロセスカートリッジ58にてこれら色毎のトナー像が順次中間転写ベルト53に転写され、中間転写ベルト53上に単色トナー像を重ね合わせた複数色のカラートナー像が形成される。
【0072】
中間転写ベルト53の下側には、給紙装置を構成する、用紙やOHPシート等の転写材・シート状記録媒体(以下、「シート」という)Sを積載・収容する給紙カセット60が配置されている。給紙装置を構成する給紙ローラ61および図示しないシート分離手段によって1枚ずつ分離して給紙されたシートSは、駆動ローラ55を介して中間転写ベルト53と2次転写装置としての2次転写ローラ63との間を通り、定着装置64へ導かれてシートSにトナー像が熱と圧力とで定着される。
【0073】
給紙ローラ61から給送されたシートSは、レジスト手段としてのレジストローラ62で一時停止され斜めずれなどを矯正された後、中間転写ベルト53表面に形成されている単色あるいはカラートナー像先端部が2次転写位置に到達するタイミングに合わせて2次転写ローラ63に供給され、中間転写ベルト53の表面に形成されている単色あるいはカラートナー像は、2次転写ローラ63において高電位が印加され、中間転写ベルト53と2次転写ローラ63との間に電位差が生じることで、中間転写ベルト53表面に形成されたトナー像がシートS上に転写される。
なお、2次転写ローラ63としては、例えば直径6mmのSUS等の金属芯金上に、導電性材料によって弾性体を被覆することで構成されているもの、例えばEPDM製の導電性ローラや電子導電タイプのローラ等が用いられる。
【0074】
未定着のトナー像が転写されたシートSは、縦型給紙パスにおける駆動ローラ(2次転写対向ローラ)55の曲率によって中間転写ベルト53から剥離され、定着装置64によってトナー像がシートSに溶融定着された後、排紙装置を構成する排紙ローラ65により本体フレーム51の上面に配置された排紙トレイ68に排出・排紙される。
【0075】
シートSへトナー像を転写した後の中間転写ベルト53の表面に残っている余剰トナーは、中間転写体清掃装置66のクリーニングブレード66aにより掻き取り清掃され、図示しないトナー搬送経路を通りトナー回収装置67に回収される。清掃された中間転写ベルト53は、次のトナー像の転写に備える。
なお、クリーニングブレード66aの材質としては、例えばウレタンゴムを使用し、中間転写ベルト53に対してカウンタ当接させている。中間転写ベルト53のクリーニングニップ部に該当する部分およびクリーニングブレード66aのエッジ部の少なくとも一方は、組み付け時に潤滑剤を塗布し、クリーニングニップ部におけるブレード捲れ上がりを防止すると共に、クリーニングニップ部にダム層を形成しクリーニング性能を高めることが好ましい。
【0076】
図1に示すように、カラー画像形成装置50は、シートSの給紙から排紙までのシート搬送経路をできる限り簡略化し、そのシート搬送経路の曲率半径を大きくすることにより、搬送途中での紙詰まりを防止し、信頼性を向上させることができる。また、紙詰まり発生時の解消処理操作も簡単に行うことができ、さらに、厚紙等も使用する多種記録媒体方式のカラー電子写真装置にも対応することもできるよう構成されている。
【0077】
この実施形態では、シート搬送経路を略円弧状に形成し、中間転写ベルト53とプロセスカートリッジ58と露光装置57とを、シート搬送経路の内側に配置することにより、本体フレーム51内の空間を有効利用して小型化すると共に、シート搬送経路を簡略化し、画像面を下向きにしてシートSを排出する構成とした。
【0078】
上記構成により、シート搬送経路を簡略化することができ、かつ、殆どの構成ユニットをシート搬送経路よりも内側に配置したことによって、シート搬送経路が外側の本体フレーム51に近くなり、シート搬送経路を開放し易くなるために、紙詰まり発生時の解消処理操作も簡単になる。また、シートSが画像面を下向きにして本体フレーム51上面の排紙トレイ68上に排出されることにより、排紙トレイ68上に積み重なったシートSは、画像面側が上を向くように取り出すと、上側から下側に印刷順に並ぶように積み重なる利点がある。
また、図1での右側が正面となるよう構成すると共に、シート搬送経路のほぼ中央で分割してその右側を開閉自在なカバーユニット(図示せず)とし、このカバーユニットを開放してシート搬送経路を露出させることができる構成であるため、紙詰まり発生時の解消処理操作もより簡単になる。
【0079】
次に、電子写真画像形成プロセスについて説明する。図2はプロセスカートリッジ58の断面図である。
図1および図2において、像担持体1は、円筒状をなし、本体フレーム51に設置された図示しない駆動装置により図中矢印方向に回転駆動され、その表面の感光層1Bが帯電ローラ11によって一様な高電位に帯電される。一様に帯電された感光層1Bは、潜像形成手段である露光装置57からの画像情報に基づく光線(例えばレーザ光)Lにより露光される。この露光により電位の減衰した低電位部と初期化による高電位部とからなる静電潜像が感光層1Bに形成される。次いで、当該静電潜像の低電位部(または高電位部)が像担持体1と現像ローラ12との対向位置に至ると、その表面にトナー薄層を担持した現像ローラ12からトナーが像担持体1に移され、像担持体1の表面に可転写画像としてのトナー像(可視像)が形成される。像担持体1の回転が進むと、上記トナー像は図1に示した1次転写ローラ54によって中間転写ベルト53に転写される。このとき、像担持体1上には、中間転写ベルト53に転写されずに残った転写残トナーが存在するが、この転写残トナーはクリーニングブレード13によって像担持体1から除去される。このクリーニングブレード13よりも像担持体1の回転方向下流側には、図示しない除電装置が設けられている。この除電装置では、像担持体1の表面の残留電荷が除去される。除電装置における像担持体1の回転方向下流側には上記帯電ローラ11が設けられており、像担持体1は再び帯電ローラ11によって一様な高電位に帯電される。
【0080】
図3〜図10を参照して、本実施形態のプロセスカートリッジ58を構成する像担持体ユニット10およびその構成部品等について、図11および図12に示す比較例である従来の像担持体ユニット500と比較しながら説明する。本実施形態では、図3〜図8において、像担持体ユニット10の2つの構成部品である像担持体(感光体)1の導電性基材1Aとシャフト4とを導電布を用いて通電、例えばアース的に導通させた例で説明する。先ず、本実施形態の像担持体ユニット10について説明する。
【0081】
図3は、像担持体ユニット10の外観斜視図であり、図4は、像担持体ユニット10の両端部をその長手方向(軸方向)で断面にした図であり、像担持体ユニット10以外の像担持体1の周辺部品も同時に表したものであるが、アース板5、導電布6および押圧部材7の図示を省略している。図5〜図7は、アース板5および導電布6の形状と導電布6へのシャフト4の挿入前後の状態とを示す斜視図である。図8は、像担持体ユニット10の一端部をその長手方向(軸方向)で断面にした図であり、像担持体1、フランジ2、アース板5、導電布6および押圧部材7の形状・配置状態を示している。図9(a)、図9(b)は、導電布6自体の顕微鏡拡大写真(30倍、100倍)である。図10は、導電布6自体の模式図(100倍)である。
【0082】
図3〜図8に示すように、像担持体ユニット10は、円筒状をなす導電性基材1Aの表面に感光層1Bを備えた感光体からなる像担持体1と、像担持体1の一端部に取り付け・固定されたフランジ部材としてのフランジ2と、像担持体1の他端部に取り付け・固定されたギヤ3と、フランジ2およびギヤ3の中心部を貫通することにより像担持体1を回転可能に支持する被当接部材としてのシャフト4と、シャフト4を挿入・貫通可能とし、かつ、シャフト4が貫通したときに自身を撓ませてシャフト4に当接させる切り込み6aおよび可撓性を備えた布状の導電性部材としての導電布6と、その基端部が導電布6と接触すると共にフランジ2に取り付けられ、先端部が導電性基材1Aの内壁に固定される金属製導電性部材・通電(アース)部材としてのアース板5と、アース板5に対して導電布6を押し付ける押圧部材7とから主に構成されている。
図4に示すように、像担持体ユニット10の周りには、像担持体ユニット10のシャフト4の両端部を支持するフレーム14と、シャフト4を電気的に通電、例えばアース・接地する後述する導通手段とが配設されている。
【0083】
図4および図8に示すように、像担持体1は、フランジ2の中心部に形成された孔2aと、ギヤ3の中心部に形成された孔3aとを貫通するシャフト4によって回転可能に支持されている。シャフト4は、例えば導電性の特殊鋼等の金属で形成され、あるいは導電性のメッキ処理を施されていて、図2に示したプロセスカートリッジ58のフレーム14によってその両端部を支持され、止め輪等の回転防止部材9によってシャフト4は回転することを抑制されると共に、図4において左側への抜け止めがなされている。また、シャフト4は、回転防止部材9と反対側の端部において、図示しない別部材で軸方向に対する完全な抜け止めがなされている。
【0084】
図1および図2のプロセスカートリッジ58をカラー画像形成装置50の本体フレーム51に装着したときに、図3および図4において、本体フレーム51に取り付けられ電気的に接地された例えばステンレススチール製の板金(図示せず)と、導電性のシャフト4の端部とが接触することにより、シャフト4が接地されるようになっている。上記のとおり、本体フレーム51に取り付けられ電気的に接地された板金(図示せず)は、シャフト4を電気的に接地する導通手段を構成している。
【0085】
像担持体1は、図2および図8に示すように、アルミ等で形成された導電性基材1Aの表面にセレン等からなる感光層1Bを設けた構成である。像担持体1は、図2において、感光層1Bに対してその周囲に配置している帯電装置の帯電ローラ11、現像装置の現像ローラ12、1次転写装置の1次転写ローラ54(図2には図示せず、図1参照)により、帯電・現像・トナー像の転写等の動作を順次繰り返して行い、中間転写ベルト53を介してトナー像を最終的に用紙等のシートSに転写して画像形成されたシートを作成するものである。本実施形態では、像担持体1の導電性基材1Aが通電(アース)対象物に相当する(以下同じ)。
【0086】
像担持体1においては、繰り返して帯電動作が行われ、その帯電電圧が高いものであるため、回転駆動される像担持体1とシャフト4との間の導通を確保し、静電気を容易に逃がすと共に振動を低減して異音の発生や金属同士の摺動による酸化を防止するために、本実施形態では導電布6、金属製のバネ材で形成されたアース板5および押圧部材7を、上述および以下のように形成し配置することで、画像の異常発生、異音の発生および金属製部材の酸化等を防いでいる。
【0087】
フランジ2は、図3、図4および図8等に示すように、シャフト4を挿通・支持する上記孔2aと、その内側に設けられ、像担持体1の回転軸線であるシャフト4の中心軸線と直交する面に沿って平行な上記取付面2bと、取付面2bに突出形成された2箇所のボス(図12のフランジ2のボス2c参照)とを有しており、これらが熱カシメ可能な電気絶縁性の樹脂で一体的に形成されている。フランジ2は、導電性基材1Aの内壁1Aaに圧入嵌合された際、適宜の固定手段によって像担持体1の一端部に強固に固定される。この適宜の固定手段には、アース板5の後述する一対の圧着接点部5bによって導電性基材1Aに対して圧着固定されることも含まれる。なお、フランジ2は、図4および図8に詳しい形状を示すが、本発明の特徴的な構成に支障がない限り、図の簡明化を図るため上記以外の図では簡略的に示す。
【0088】
アース板5は、図5〜図7に示すように、4隅が丸みを帯びたほぼ正方形状をなしていて、貫通孔5a、複数の圧着接点部5b、複数のボス固定爪5cおよび平板部5pを有し、りん青銅あるいはステンレススチール等の薄板、例えば板厚が0.1〜0.2mmのバネ材で一体形成されている。アース板5は、シャフト4と非接触にするための貫通孔5aと、基端部が導電布6と接触すると共に導電布6および押圧部材7を介して、フランジ2の取付面2bに後述するように少なくとも2箇所で取り付けられる被取付部としての平板部5pと、その一部が平板部5pから導電性基材1Aの径方向に延びて導電性基材1Aの内壁1Aaに食い込むような状態で、かつ、バネの弾性力によって圧着固定(実質的に固定)される複数(本実施形態例では2つ)の圧着接点部5bと、フランジ2に形成された複数のボス(本実施形態例では2つであり、図示を省略、図12のフランジ2のボス2c参照)に弾撥的に係合して取り付け・固定されるボス固定爪5cとを有する。アース板5に開けられた貫通孔5aの直径は、シャフト4と非接触にするために、シャフト4の外径よりも大きく形成されている。
【0089】
圧着接点部5bは、その先端部が導電性基材1Aの内壁1Aa(図8等参照)に食い込むような状態で圧着固定可能とする三角形状に尖った形状に形成されている。2つのボス固定爪5cは、アース板5を二次元方向に位置決めするための基準ともなる。これらボス固定爪5cおよび平板部5pにより、アース板5は、フランジ2に対して3次元方向に位置決めされて像担持体1の内部に配置される。
なお、各ボス固定爪5cに各ボス(図12のフランジ2のボス2c参照)が弾撥的に係合・固定後に、各ボス2cの先端部(頭部)を加熱溶着する熱カシメで固定・保持する加工を追加しても良い。
【0090】
導電布について説明する。導電布とは、除電布とも呼ばれ、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維およびポリエステル繊維の少なくとも1つの繊維とニッケルおよび銅とを織り込んだ布状材(導電性の繊維)からなり、導電性と共に適度な潤滑性も有していて、摺動対象物と接触しても異常音の発生や、酸化することなく、安定した導通を確保できる。また金属同士を摺動させる際に、摺動抵抗の低減を目的とした導電性の潤滑材の塗布を廃止することができ環境への負荷も軽減できるものである。
本実施形態で実際に用いた導電布自体の拡大顕微鏡写真を図9(a):30倍、図9(b):100倍に示す。また、図10は、実際に用いた導電布自体の模式図(100倍)を示す。両図から分かるように、導電布は、導電性の繊維が縄状に編まれて繊維束をなし、さらに繊維束が格子状に組まれている。この導電布は、抵抗値が0.01Ω未満で、厚みが0.25mmのものである。
【0091】
本実施形態の導電布6は、シャフト4が貫通する切り込み6aを有しており、アース板5と導電布6とは、切り込み6a以外の部分で接触している。ちなみに、本実施形態例では図5〜図8におけるアース板5の裏側において、導電布6の外周輪郭形状が貫通孔5aよりも大きく形成されていて、このアース板5の平板部5pと重なり合っている領域で接している。これにより、アース板5と導電布6は導通する構成となる。
本実施形態の導電布6には、図5および図6に仮想線で示すように、シャフト4貫通時の断面外形形状としての外径形状4a(以下、「シャフト外径形状4a」という)を中心として交わるように複数の切り込み6aが十字状ないし放射状に形成されている。シャフト外径形状4aが導電布6と重なる部位にあると、シャフト4が導電布6と接触・当接することを示している(後述の各変形例、実施例1等でも同じ)。各切り込み6aの端部は、シャフト4の貫通を容易にすべくシャフト外径形状4aの外側近傍に延びて形成されている(後述の各変形例、実施例1等でも同じ)。なお、図8においては、実施形態1の導電布6と共に後述する変形例1〜12および実施例1の導電布6A〜6D1〜6M(以下、「6A〜6M」と記述する)が適用可能であることを併記している。
【0092】
本発明においては、上述した課題を解決するために、導電布の可撓性を積極的に利用して、導電布に形成する「切り込み」や「切り抜き部」を含む形状を主要なテーマとしているため、可撓性の程度を表す弾性復元性や厚さ等の実施例的事項については適用する回転体の通電、例えばアース機構の個々の具体例に合わせて設定する設計事項と考えて、その詳細説明を省略することとする。
導電布が有する可撓性を今までに実施されていない状態で積極的に利用すべく、本実施形態例のような除去クズ・ゴミの発生しない「切り込み」だけのもの、除去クズ・ゴミの発生する「切り抜き部」(切り欠きや打ち抜き等を含む)、極端な場合として「切り込み」や「切り抜き部」を形成せずに構成したもの、これらを適宜組み合わせたものなど種々の形態・変形例を創作したが、これらについてはまとめて後述する。
【0093】
押圧部材7は、ゴム、スポンジを含む非金属弾性体からなり、例えば発泡ウレタンゴムなどが用いられる。
上記のとおり、アース板5の圧着接点部5bが導電性基材1Aの内壁1Aaに固定されることで導電性基材1Aに導通することとなるから、アース板5の平板部5p(基端部)が、通電(アース)対象物側に相当する。従って、本実施形態では、導電布6の一部を通電(アース)対象物側であるアース板5の平板部5pに当接させ、導電布6の他部をシャフト4に撓ませて当接させている構成となる。
【0094】
図5〜図8を参照して、像担持体ユニット10の組み付け方法の一例を説明する。先ず、フランジ2の取付面2bに対して押圧部材7および導電布6を挟んだ状態(実施例1として後述するように、押圧部材7および導電布6は予め組体(導電布アッシー)として構成される)で、フランジ2の各ボス(図示せず、図12のボス2c参照)をアース板5の各ボス固定爪5cに弾撥的に係合・固定することにより、アース板5がフランジ2に固定保持されるが、この際、アース板5の圧着固定部5bの位置とはその位相を約90度となるような位置で固定されている。この後、押圧部材7および導電布6を挟んだ状態(導電布アッシー)でアース板5の固定されたフランジ2の組体(フランジアッシー)は、像担持体1の一端部に固定すべく、図示しないフランジ押し込み治具(工具)などによって導電性基材1Aの内壁1Aaに圧入嵌合される。この際、アース板5の圧着接点部5bの外周端の直径(外接円の直径)が導電性基材1Aの内壁1Aaの直径(内径)よりも適度に大きく形成されていることにより、圧着接点部5bの先端が導電性基材1Aの内壁1Aaに食い込むように弾性変形しつつ圧着されることで、像担持体1の内部に強固に固定される。
【0095】
次いで、図5〜図7において、像担持体1の内部に固定されたフランジ2の組体(フランジアッシー)に対して、図5において仮想線で示すシャフト4がフランジ2の外側から当接方向8に挿入されると、図8に示すようにフランジ2の孔2aを貫通した後、シャフト4の先端が図6に示すように導電布6に押し当たることにより、切り込み6aが開かれ、さらにシャフト4が当接方向8に挿入されると、図7に示すように、導電布6に形成された切り込み6aを押し広げるように貫通し、この際、導電布6における切り込み6aの交点部分がシャフト4の当接方向8(以下、「挿入方向8」ともいう)と同一方向に撓んだ状態でシャフト4と複数箇所で接触・当接することとなる。
上述したようにアース板5と導電布6および押圧部材7とがフランジ2に固定され、フランジ2を像担持体1の内側にはめ込み・圧入することで、導電性基材1Aとアース板5とが、またアース板5と導電布6とが、また導電布6とシャフト4とがそれぞれ接触することで、導電性基材1Aとシャフト4とが最終的に導通することが可能となる。この際、アース板5と導電布6の接触方法としては、フランジ2と導電布6との間に押圧部材7を配置し、さらにアース板5で導電布6と押圧部材7とを押さえ込むことで、押圧部材7が弾性的に圧縮変形し、導電布6がアース板5と安定して当接することが可能になる。これにより導通が経時に亘り安定して確保されることとなる。
【0096】
像担持体1は、図3および図4において、図示しない駆動装置に連結されたギヤ列等の駆動力伝達部材と噛み合っているギヤ3に上記駆動装置の回転駆動力が伝達されることにより、図1および図2中矢印方向に回転駆動されることによって、フランジ2、導電布6および押圧部材7と共にアース板5も図1および図2中矢印方向に回転することとなり、導電布6の撓んだ部分がシャフト4の外周面上を摺動・接触しながら回転する。この際、導電布6は導電性と共に適度な潤滑性を有しているので、摺動対象物であるシャフト4と接触しても異常音の発生や、酸化することもなく、安定した導通を経時に亘り確保できる。また、金属同士を摺動させる際に、摺動抵抗の低減を目的とした導電性の潤滑剤(例えば、後述する比較例で用いる導電性グリースなど)塗布を廃止することができるから、環境への負荷も軽減できて環境にも優しい像担持体ユニット10、プロセスカートリッジ58および図1のカラー画像形成装置50を実現し提供することができる。
【0097】
導電布6とシャフト4との接触については、導電布6自体が撓むことでシャフト4との適度の接触圧を得ることができ、かつ、その形状は導電布6に切り込み6aを入れただけの非常に簡単な加工による単純な形状で上記性能を得ることができる。導電布6は金属が含有されてはいるが、それが主材ではないので、従来の問題である異常音や酸化による導通不良は発生しない。
また、上記構成および特に図7に示した導電布6の切り込み6a部分とシャフト4との接触状態により、導電布6の切り込み6aにおけるシャフト4との接触部位が適度な剛性を得ることができ、シャフト4との接触方向とは逆方向に倒れにくくなり、またシャフト中心4cにいくに従いシャフト4との接触部位の幅が小さくなることにより接触圧が低減するので、低負荷の通電、例えばアース構成を得ることができる。このように接触部位の形状が根元が広く先端部にいくに従い細くなっていることで、先端部はシャフト4と柔らかく接触するが、腰は強く折れにくいという利点がある。
【0098】
なお、アース板、導電布、押圧部材の形状・取り付け、それらの組み付け(サブアッシー)状態は、後述の実施例1でより詳しく補説する。後述の実施例1は、本実施形態と比較して、本実施形態例の導電布6の切り込み6aの数のみ異なる導電布6D1を用いるものであり、当然に本実施形態にも適用可能である。本実施形態例の導電布6との混同を避けるため、後述の実施例1でも説明することとした。
【0099】
像担持体ユニット10は、これに限らず、押圧部材7を配置したことによる利点・効果をそれ程望まなくても良いのであれば、像担持体ユニット10から押圧部材7を除去しても良い。すなわち、図8を借りて説明すると、同図から押圧部材7を除去して、フランジ2の取付面2bに対して導電布6だけを挟んだ状態でアース板5を固定保持しても良い。
【0100】
(実施形態1の比較例)
次に、図11および図12を参照して、実施形態1の比較例として従来の像担持体ユニット500を説明する。図11は、像担持体ユニット500の両端部をその長手方向(軸方向)で断面にした図であり、像担持体1、フランジ2、アース板5Xの形状・配置状態を示している。図12は、熱カシメ前にアース板5Xをフランジ2に装着セットした状態を表す斜視図を示している。
本比較例では、図11および図12において、像担持体ユニット500の2つの構成部品である像担持体(感光体)1の導電性基材1Aとシャフト4とを金属製の従来のアース板で導通させる金属接点を用いた構成例で説明する。
【0101】
図11および図12に示すように、従来の像担持体ユニット500は、実施形態1の像担持体ユニット10と比較して、導電布6および押圧部材7を除去した点、およびアース板5に代えたアース板5Xを用いる点が主に相違する。この相違点以外は、像担持体ユニット500は像担持体ユニット10と同様の構成である。
アース板5Xは、図11および図12に示すように、アース板5と同様の2つの圧着接点部5b,5bを有するが、アース板5には無い、平板部5Xpに形成された2つの孔5Xa(図12において上側の孔5Xaのみを示し、下側の長孔は隠れていて見えない)、折り曲げ部5Xc,5Xc、接触部5Xd,5Xdを有していて、アース板5と同様のバネ材で一体形成されている。
アース板5Xは、アース板5と比較して、フランジ2の取付面2bに後述するように2箇所で直接的に固定される平板部5Xpを備え、平板部5Xpからシャフト4の長さ方向に沿って折り曲げられた折り曲げ部5Xc,5Xcの先端部に形成され、シャフト4の外周面に接触・摺動する突起状の接触部5Xd,5Xdを備えていることにより、像担持体1の導電性基材1Aとシャフト4とを電気的に導通する形状を有している。上記相違点以外は、アース板5Xは、実施形態1のアース板5と同様である。
【0102】
アース板5Xは、フランジ2の取付面2bに植設された2つのボス2c(図12において上側のボス2cのみ示し、下側のボスは隠れていて見えない)が、2つの孔5Xa(図8において上側の真円状の孔5Xaのみ示し、下側の長孔は隠れていて見えない)に嵌入された後、例えばその先端頭部が熱カシメされることで、フランジ2の取付面2bに3次元方向に位置決めされて、固定保持される。
【0103】
像担持体1は、実施形態1と同様に、図11において、図示しない駆動装置に連結されたギヤ列等の駆動力伝達部材と噛み合っているギヤ3に上記駆動装置の回転駆動力が伝達されることにより、実施形態1と同様に図1および図2中矢印方向に回転駆動されることによって、フランジ2と共にアース板5Xも図2中矢印方向に回転することとなり、対向する2箇所の折り曲げ部5Xc,5Xcがバネ材による弾性によって撓みながら接触部5Xd,5Xdがシャフト4の外周面に塗布された導電性潤滑剤(図示せず)上を摺動・接触しながら回転することで、像担持体1の導電性基材1Aとシャフト4との導通を確保している。導電性潤滑剤としては、例えば導電性グリースなどが用いられる。
【0104】
上述のとおり、シャフト4は固定されており、像担持体1は回転しているので常にシャフト4に対してアース板5Xが回転摺動している。このように金属同士による摺動のために、異音の発生や金属の酸化による導通不良が発生する場合がある。その防止策として、アース板5Xとシャフト4の接触部位に導電性潤滑剤(例えば導電性グリース)を塗布する方法があるが、金属部材同士の圧接点では摺動時間が増加するに従い導電性潤滑剤が掻き取られるので摺動初期には大変有効ではあるが、根本的な解決には至らないという問題点があった。
これに対して、実施形態1では、導電布の撓み性能を積極的に利用した導電布の新しい使用方法によって、すなわち導電布6に切り込み6aを形成するという非常に簡単な加工だけを行って用いることで、上記問題点を根本的に解決することができるものである。
なお、本比較例によれば、アース板5Xはフランジ2に熱カシメ二点でのみ固定される状態であるが、この熱カシメ後のアース板5Xおよびフランジ2(以下、「熱カシメ後のフランジ2」という)を像担持体1に組み込むことで、圧着接点部5bが熱カシメ後のフランジ2を像担持体1の一端部に固定する役割を担うこととなる。そのため、特許文献3記載の技術と比較して、熱カシメ後のフランジ2の安定した固定を、アース板5の少ない熱カシメ点と像担持体1内壁への圧着固定点とで得られるため、アース板5Xが像担持体1内壁と圧着固定する点の増加や、熱カシメの点数を増やすことが不要となる。そのため像担持体1の一端部への熱カシメ後のフランジ2圧入時の負荷を低減することができ、部品の歪み、破損を防ぐことができる利点はある。
以下、導電布の「切り込み」パターン・形状に係る実施形態1の各種変形例を説明する。
【0105】
(変形例1)
図13〜図15を参照して、変形例1を説明する。変形例1の導電布6Aは、実施形態1の導電布6と比較して、図13、図14に示すように、切り込み6aがシャフト外径形状4aを複数回横切るような波線もしくは折れ線といった形状にした点のみ相違する。なお、切り込み6aの端部および折り返し部は、シャフトの貫通を容易にすべくシャフト外径形状4aの外側近傍に延びている。
変形例1の導電布6Aによれば、図15に示すような単純な1つの切り込み6aを有する導電布6Xと比べて、シャフト貫通時に複数箇所で当接可能であるため、すなわちより多数の接触点を得られるため、安定した導通を確保することができる。また、実施形態1の導電布6と同様に、切り込み6aだけで接触部を持つことができるので、導電布6A加工の際に除去クズ・ゴミを出さないという利点もある。
【0106】
(変形例2)
図16を参照して、変形例2を説明する。変形例2の導電布6Bは、実施形態1の導電布6と比較して、図16に示すように、同図における水平方向の1つの切り込み6a1に対して鉛直・縦方向に配置された複数の平行な切り込み6a2を有する形状にした点のみ相違する。切り込み6a1は、シャフト中心4cを通り、その端部がシャフト外径形状4aの外側近傍に延びている。切り込み6a2は、長さが同じであり、その端部がシャフト外径形状4aの外側近傍に延びている。
変形例2の導電布6Bによれば、シャフトとの接触点がより多点となり、さらなる安定した導通を確保することができる。
【0107】
(変形例3)
図17を参照して、変形例3を説明する。変形例3の導電布6Cは、変形例2の導電布6Bと比較して、図17に示すように、縦方向に配置された複数の平行な切り込み6a2の長さが、シャフト外径形状4aに倣うように調整されていて、シャフト中心4cからシャフト外径形状4aに近づく従い短く形成されている点のみ相違する。
変形例3の導電布6Cによれば、切り込み6a2をシャフト外径形状4aに倣って順次短くすることで、図16の導電布6Bと比べ、導電布の外形から切り込み6a2端部までの距離を確保することで剛性を向上させ、かつ、導電布のサイズを小さくすることが可能となり、装置の省スペース化にもつながる。なお、切り込み6a2間の間隔と設置向きは任意の形状を選択できる。
【0108】
(変形例4)
図18を参照して、変形例4を説明する。変形例4の導電布6Dは、導電布6Dのほぼ中央の1点(以下、「中央点」もしくは「中心」ともいう)6cからシャフト外径形状4aの半径方向に放射状に延びた複数(本変形例では6箇所)の第1の放射状の切り込み6bを有し、図示しないシャフトが中央点6cを中心として挿入されることを特徴としている。導電布6Dの中央点6cは、6箇所の切り込み6bの交点でもあり、また同時にシャフト中心4cと同一でもある。6箇所の切り込み6bの端部は、シャフト外径形状4aの外側近傍に延びている。
変形例4の導電布6Dによれば、複数の切り込み6bを設け、シャフトとの接触点数を増やしたことで導通の安定性が向上した。また、例えば図8において導電布6Dを採用した場合で説明すると、導電布6Dの折り曲げ根元部位(押圧部材7の内周端部とアース板5の貫通孔5aの内周端部で挟持された部分)が倒れることなく、シャフト4との接触圧は低い状態で、安定した導通を得ることができる。本変形例では、隣り合う切り込み6bの角度は等間隔で配置しているが、任意の間隔でも同じ効果を得ることができる。
また、上記構成により、導電布6Dの切り込み6bにおけるシャフト4との接触部位が適度な剛性を得ることができ、シャフト4との接触方向とは逆方向に倒れにくくなり、さらに、シャフト中心4cにいくに従い切り込み6bにおけるシャフト4との接触部位幅が小さくなることにより接触圧が低減するので、低負荷の通電、例えばアース構成を得ることができる。このように接触部位の形状が根元が広く先端部にいくに従い細くなっていることで、先端部はシャフト4と柔らかく接触するが、腰は強く折れにくいという利点がある。
【実施例1】
【0109】
図19を参照して、実施例1の導電布6D1を説明する。実施例1の導電布6D1は、変形例4の導電布6Dと比較して、図19に示すように、切り込み6bの数を図において横・水平方向に2箇所追加した点のみ相違する。すなわち、実施例1の導電布6D1は、導電布6D1の中央点6cからシャフト外径形状4aの半径方向に放射状に延びた8箇所の第1の放射状の切り込み6bを有し、図示しないシャフトが中央点6cを中心として挿入されることを特徴としている。
実施例1の導電布6D1によれば、変形例4の導電布6Dと比べて、より多い切り込み6bを設け、シャフトとの接触点数をより増やしたことで導通の安定性がさらに向上した。また、例えば図8において導電布6D1を採用した場合で説明すると、導電布6D1の折り曲げ根元部位(押圧部材7の内周端部とアース板5の貫通孔5aの内周端部で挟持された部分)が倒れることなく、シャフト4との接触圧は低い状態で、安定した導通を得ることができる。また、シャフト4との接触方向とは逆方向に倒れにくくなり、シャフト中心4cにいくに従い接触圧が低減する等の利点が得られる。
【0110】
図20〜図28を参照して、フランジ組体(フランジアッシー)、導電布組体(導電布アッシー)の一例を説明する。図20は、像担持体ユニットを構成すべく感光体に組み込むための、フランジ2と後述する構成部品等との組体(以下、「フランジアッシー」という)32の組み付け構成を示している。フランジアッシー32は、図20に示すように、フランジ2と、導電布6D1と押圧部材7との組体(以下、「導電布アッシー」という)33と、アース板5とから構成されている。
【0111】
導電布アッシー33は、図20〜図22に示すように、図示しない両面テープを介して、導電布6D1と押圧部材7とが貼着された構成である。導電布6D1には、シャフトを貫通させるための上記8箇所の切り込み6aと、フランジ2の2本のボス2cを貫通させるボス用孔6mとが形成されている。押圧部材7には、図23に示すように、シャフトを貫通させるシャフト外径よりも大きな貫通孔7aと、フランジ2の2本のボス2cを貫通させるボス用孔7bとが形成されている。
図20〜図22、図24〜図27等では、導電布6D1の切り込み6bを分かりやすくするために隙間を持たせて誇張拡大して示しており、実際には切り込み6bの隙間が見えるようになっていないことを付記しておく。
【0112】
図24を参照して、導電布アッシー33の加工方法を説明する。先ず、第1工程として図24(a)に示すように、押圧部材7への両面テープ34貼り付けを行う。所定の厚みを備えた未加工の押圧部材7の表面に剥離紙34a付きの両面テープ34を貼り付ける。次いで、第2工程として図24(b)に示すように、押圧部材7の中央の孔抜き工程を行う。この工程では押圧部材7の貫通孔7aを形成すべく(ここでは2つの導電布アッシー33を作製するため)破線で示すパンチ35で、剥離紙34a付きの両面テープ34ごと押圧部材7を打ち抜き、貫通孔7aを2つ形成する。
次いで、第3工程として図24(c)に示すように、未加工の導電布6D0と、両面テープ34が貼着されると共に貫通孔7aの形成された押圧部材7との貼り付け工程を行う。切り込み6bが未加工の導電布6D0と、貫通孔7aが形成され両面テープ34付きの押圧部材7とを、剥離紙34aを剥して貼り付ける。最後に第4工程として図24(d)に示すように、両面テープ34を介して貼着された導電布6D0と押圧部材7との貼着体の型抜きを行う。ここでは、例えば破線で示すプレス成形型36を用いて、導電布6D0側からの型抜きを行い、導電布6D1を形成するための8本の放射状の切り込み6b、2箇所のボス用孔6mおよび外形形状の加工と、押圧部材7の貫通孔7a、2箇所のボス用孔7bおよび外形形状の加工とを同時に行う。以上の工程により、図24(e)に示す導電布アッシー33を得ることができる。
【0113】
図20および図24において、押圧部材7は、アース板5に導電布6D1を確実に接触させて、導通を確保する目的で使用している。一方、導電布6D1と押圧部材7とは、感光体の組立性向上のため、両面テープ34で貼り合わせている。要は導電布6D1とアース板5とが導通すれば良いので、導電布6D1と押圧部材7とを貼り合わせる両面テープ34には、導通性を持たせる必要はない。
【0114】
フランジアッシー32の組み付け方法は、図20において、先ず、導電布アッシー33における押圧部材7の表面を、フランジ2の取付面2b側に対向させて、導電布アッシー33の各ボス用孔7b、6mにフランジ2の各ボス2cを嵌入させる。次いで、導電布アッシー33の各ボス用孔7b、6mから突出したフランジ2の各ボス2cに対して、アース板5の各ボス固定爪5cを係合させると、図26(a)〜図26(c)に示すように、各ボス固定爪5cのバネ作用によってフランジ2の各ボス2cに弾撥的に係合・固定することにより、アース板5がフランジ2に固定保持される。
【0115】
導電布6D1をフランジ2に取り付ける際には、上述したように、フランジ2の2本のボス2cを各ボス用孔6mに嵌入させる。ボス2cの外径に対して、導電布6D1のボス用孔6mの内径の方が大きく設定している。これは、導電布6D1の切り込み6bの中央点6cがシャフト4の中心でなくても構わないからである。仮に、導電布6D1の中央点6cとシャフト4の中心とがれた場合であっても、切り込み6bによって開いた導電布6D1の先端はシャフト4と接触する。従って、互いの中心を厳密に合わせなくても良いので、導電布6D1の寸法公差を緩くすることができて、コストダウンにも寄与することとなる。それ故に、フランジ2の2本のボス2cは、あくまでも導電布6D1をフランジ2に取り付ける際のガイド的な役割を果たすものである。実際には、以下に記載するフランジ2の凹部溝2dと導電布6D1の耳部6nとの係合により、フランジ2に対する導電布6D1の位置が略決まると言える。
【0116】
図25を参照して、導電布6D1をフランジ2に取り付ける際の位置決め構成を補説する。フランジ2の2本のボス2cに導電布6D1のボス用孔6mを嵌め込むことにより導電布6D1の位置決めを行うためには、導電布6D1のボス用孔6mの周辺の厚みを十分確保する必要があり、そのため、フランジ2の凹部溝2dに対して導電布6D1の耳部6nがずれることなく、できるだけガタが少なくなるような嵌合寸法に設定している。これによって、フランジ2の各ボス2cをガイド代わりにして導電布6D1を装着して、最後にフランジ2の凹部溝2dに導電布6D1の耳部6nを嵌入させて、フランジ2に対する導電布6D1の位置を略決まるようにしている。
【0117】
図27を参照して、導電布6D1の機能と押圧部材7の貫通孔7aとの関係について補説する。第1の実施形態と同様に本実施例1においても、図示しないシャフトの導電布6D1への当接方向8は、導電布アッシー33の押圧部材7側から挿入する設定である。そのため、導電布アッシー33の押圧部材7を貼り付ける側が、図示しないシャフトとの接触側となるので、図示しないシャフトと接触する周辺、すなわち導電布6D1に設けた切り込み6b部分である図中破線で示す押圧部材装着禁止部位7cには、押圧部材7が無い状態にする必要がある。従って、押圧部材7の中央部に貫通孔7aを形成した構成となっている。
また、例えば図4において、ギヤ3側からシャフト4を挿入する構成であるならば、導電布6D1の切り込み6b部分にも押圧部材7がある構成も採りうる。このような構成を採ることで、押圧部材7の弾性により導電布6D1がより強くシャフト4に当てることができるという利点も生じる。
【0118】
図28を参照して、フランジ2への導電布6D1、押圧部材7およびアース板5の取り付け状態の特徴について補説する。図28に示すように、フランジ2には、放射状に8個のリブ2e1,2e2があり、これらのリブ2e1,2e2上に導電布6D1が載置される構成である。これらのリブ2e1,2e2の中で、例えば図8で説明すると、感光体1の内壁1Aaと接触するアース板5の2箇所の圧着接点部(ツメ部分)5bに対応する箇所はリブの高さを変えている。このリブの段差によって、押圧部材7の圧縮状態が以下のようになっている。
すなわち、2箇所の圧着接点部5bに対応する2箇所は高いリブ2e1となっており、押圧部材7が高いリブ2e1に突き当たるまでアース板5によって押し込まれるので、例えば発泡ウレタンゴムのスポンジからなる押圧部材7は完全圧縮の状態になる。2箇所の圧着接点部5b以外の6箇所の低いリブ2e2に対応する押圧部材7を圧縮して使用している。高いリブ2e1と低いリブ2e2との間には、特に下方に支持する物がないので、隣にあるリブの影響で若干接触がある程度である。このように、アース板5と導電布6D1との導通はリブのある所を中心にして確保する構成となっている。アース板5の2箇所の圧着接点部(ツメ部分)5bは、上述したとおり、例えば図8で説明すると感光体1の内壁1Aaに対して圧着接点部(ツメ部分)5bが突き刺さるようにしてアース板5が感光体1に圧着取り付け・固定されることで導通を確保している。そのため、フランジアッシー32を感光体1に組み込むときには、アース板5の2箇所の圧着接点部(ツメ部分)5bが安定して変形するように圧着接点部(ツメ部分)5bの根元部分に高いリブ2e1を設けて、この高いリブ2e1の端部を支点に変形するような構成にしている。
【0119】
上述した内容から、導電布6D1の成形形状としては、図29に示すような形状でもよい。同図において、上下のU字溝6sは、フランジ2の各ボス2cによりガイドされる機能に着目して、図20等に示した導電布6D1のボス用孔6mよりも加工がより簡単になることを狙ったものである。
【0120】
(変形例5)
図30を参照して、変形例5の導電布6Eを説明する。変形例5の導電布6Eは、図18の導電布6Dと比較して、第1の放射状の切り込み6bの長さよりも短く、かつ、中央点6cの周りに切り込み6bと位相を変えて中央点6cからシャフト外径形状4aの半径方向に放射状に延びた複数(本変形例では6箇所)の第2の放射状の切り込み6dを有する点のみ相違する。切り込み6dの長さは、切り込み6bのそれよりも短く、導電布6Eの中央点6cからシャフト外径形状4aの半径方向の内側に形成されている。導電布6Eの中央点6cは、複数の切り込み6bと複数の切り込み6dとの交点、すなわち複数の切り込み6bの中心6bcでもある。
変形例5の導電布6Eによれば、例えば図7において導電布6Eを採用した場合で説明すると、シャフト4との接点をさらに複数増やすことが可能となり、安定した導通を確保することができる。また、変形例4と同様に、隣り合う切り込み6dの角度は等間隔で配置しているが、任意の間隔でも同じ効果を得ることができる。また、切り込み長さも、切り込み6b、6dで各々均一でなくても同じ効果を得ることができる。
また、上記構成により、導電布6Eの切り込み6b,6dにおけるシャフト4との接触部位が適度な剛性を得ることができ、シャフト4との接触方向とは逆方向に倒れにくくなり、またシャフト中心4cにいくに従い接触幅が小さくなることにより接触圧が低減するので、低負荷の通電、例えばアース構成を得ることができる。このように切り込み6b,6dにおけるシャフト4との接触部位の形状が根元が広く先端部にいくに従い細くなっていることで、先端部はシャフト4と柔らかく接触するが、腰は強く折れにくいという利点がある。
【0121】
(変形例6)
図31〜図33を参照して、変形例6の導電布6Fを説明する。図31は、変形例6の導電布6Fの切り込み・形状を示す正面図であり、図32は、変形例6における像担持体ユニットの一端部を長手(軸)方向で断面にした、シャフト4と導電布6Fの先端部との接触状態を示す断面図である。
変形例6の導電布6Fは、図18の導電布6Dと比較して、複数の切り込み6bの中心6bcを、導電布6Fの中央点6cからシャフト外径形状4a範囲内の任意の位置に偏倚させた点が主に相違する。複数の切り込み6bの中心6bcは、6箇所の切り込み6bの交点位置でもある。
【0122】
本変形例6の導電布6Fによれば、シャフト4との接点数が複数あることによる導通の安定性向上、接触圧の低減に加えて、図31および図32に示すように複数の切り込み6bの中心6bcを、これを貫通するシャフト4のシャフト中心4cおよび導電布6Fの中央点6cとずらして配置しているので、シャフト4と導電布6Fの先端部(複数の切り込み6bの中心6bc付近を示す)とにおける接触部分の長さが図32に接触位置のずれαで示すように互いに異なることで、導電布6Fの先端部とシャフト4との接触位置が長手方向で異なる位置で接触することとなる。これにより、シャフト4との接触範囲の拡大が図られることで、さらなる導通の安定性が見込める。
【0123】
また、上記構成により、導電布6Fの切り込み6bにおけるシャフト4との接触部位が適度な剛性を得ることができ、シャフト4との接触方向とは逆方向に倒れにくくなり、またシャフト中心4cにいくに従い接触幅が小さくなることにより接触圧が低減するので、低負荷の通電、例えばアース構成を得ることができる。このように切り込み6bにおけるシャフト4との接触部位の形状が根元が広く先端部にいくに従い細くなっていることで、先端部はシャフト4と柔らかく接触するが、腰は強く折れにくいという利点がある。
また、複数の切り込み6bの中心6bcとシャフト中心4cとの位置がずれていることにより、種々の外径のシャフト4に対して適用が可能となるため対応幅が広く、外径のみが異なる同一シリーズの部品(シャフト)を使うことによるコスト低減にもつながる。具体例としては、図33(a)はシャフト4の外径が相対的に大きい場合、図33(b)はシャフト4の外径が相対的に小さい場合の、導電布6Fの先端部とシャフト4との接触範囲を示している。なお、図33(a)、(b)では、シャフト4および導電布6F以外の構成要素の図示は省略している。
図33(a)ではシャフト4の外径が相対的に大きいため、同図の上部側で示す接触状態では導電布6の折り曲げ根元近傍で接触するものがある一方、下部側で示す接触状態では、狙いとする適性な位置で接している。図33(b)ではシャフト4の外径が相対的に小さいため、同図の下部側では極端な例で示せば、導電布6Fの先端部とシャフト4との接触はない。しかし、同図の上部側では狙いとする適性な位置で接している。
【0124】
(変形例7)
図34を参照して、変形例7の導電布6Gを説明する。変形例7の導電布6Gは、図30の導電布6Eと比較して、上述した変形例6と同様の技術思想の下に、複数の切り込み6bおよび複数の切り込み6dの中心6bcを、導電布6Gの中央点6cからシャフト外径形状4a範囲内の任意の位置に偏倚させた点が主に相違する。複数の切り込み6bおよび複数の切り込み6dの中心6bcは、計12箇所の切り込み6b、6dの交点位置でもある。
本変形例7の導電布6Gによれば、上述した変形例6と同様の利点・効果を奏すると共に、変形例6の導電布Fよりもさらにシャフト4との接点数増加が可能となり、導通の安定性をさらに向上できる。
また、上記構成により、導電布6Gの切り込み6b,6dにおけるシャフト4との接触部位が適度な剛性を得ることができ、シャフト4との接触方向とは逆方向に倒れにくくなり、またシャフト中心4cにいくに従い接触幅が小さくなることにより接触圧が低減するので、低負荷の通電、例えばアース構成を得ることができる。このように切り込み6b,6dにおけるシャフト4との接触部位の形状が根元が広く先端部にいくに従い細くなっていることで、先端部はシャフト4と柔らかく接触するが、腰は強く折れにくいという利点がある。
【0125】
次に、導電布の「切り抜き部」、「切り抜き部」と「切り込み」との組み合わせパターン・形状に係る実施形態1の各種変形例を説明する。
【0126】
(変形例8)
図35および図36を参照して、変形例8の導電布6H,6Iを説明する。変形例8は、図5〜図7に示したように複数の切り込み6aを有する導電布6と比較して、図35に示すように、シャフト4を挿入・貫通可能とし、かつ、シャフト4が貫通したときに導電布6Hを撓ませてシャフト4に接触・当接させる接触部位6fを備えた切り抜き部6eを有する導電布6Hを用いる点が主に相違する。接触部位6fは、単純な矩形状をなし、切り抜き部6eの上部から垂れ下がるように導電布6Hに一体形成されている。
本変形例の導電布6Hを始めとして、各種「切り抜き部」を有する導電布では、実施形態1、実施例1、変形例1〜7の導電布6,6A〜6Gと比較して、「切り抜き部」の形状を工夫することにより、シャフト4との接触・当接範囲および当接圧が高精度に調整可能になる点で優れている。
本変形例によれば、例えば図5〜図7において、導電布6Hの切り抜き部6eとシャフト4との接触部位6f以外の領域が、シャフト4とアース板5の平板部5pと接触することにより、導電布6Hを介してシャフト4とアース板5との導通を確保することができる。
また、図36に示す導電布6Iのように、導電布の外周形状は円形状に限定されず、多角形、曲線形状など任意の形状を選択することが可能であり、取り付け部位・箇所に合わせた形状、加工しやすい形状など好ましい形状を選択することが可能である。
【0127】
(変形例9)
図37を参照して、変形例9の導電布6Jを説明する。変形例9の導電布6Jは、図35の導電布6Hと比較して、図37に示すように、接触部位6fより接触面積の小さい接触部位6f1を複数箇所(本変形例では2箇所)備え、切り抜き部6eの別の部位、すなわち同図例では切り抜き部6eの上部から垂れ下がるように配設された接触部位6f1に加えて、切り抜き部6eの下部から立ち上がるように配設され、シャフト中心4cを通る中心線4bに関して線対称な接触部位6f1を備えていることのみ相違する。
本変形例によれば、シャフト4と導電布6Jとの接触点数を増やしたことで、安定した導通確保が可能になる。なお、同図例では各接触部位6f1を中心線4bに関して線対称な位置に設けているが、設置箇所は任意でも良い。
【0128】
(変形例10)
図38および図39を参照して、変形例10の導電布6Kを説明する。変形例10の導電布6Kは、図35の導電布6Hと比較して、接触部位6fに代えて、図38および図39(b)に示すように、シャフト4貫通時における導電布6Kの先端部との当接状態をしてほぼ線接触とさせる線接触部位6gを含む形状を有する点のみ相違する。
線接触部位6gは、図38および図39(b)に示すように、シャフト4が導電布6Kを貫通してシャフト4の外形・外周形状と当接する際に、線接触部位6gがシャフト4の外形・外周形状に倣う態様で重なり合って線接触する形状である。これにより、本変形例では、図39(a)に示す場合と比較して、シャフト4と線接触部位6gとの線接触によって接触範囲が拡大して、安定した導通を確保することができる。
一方、図35の導電布6Hを用いた場合では、導電布6Hの接触部位6fの形状が単純な直線状であるため、図39(a)に示すように、シャフト4が導電布6Hを貫通してシャフト4の外形・外周形状と当接する際に、点接触状態となり、変形例10の導電布6K程の接触範囲の拡大は望めない。
【0129】
(変形例11)
図40を参照して、変形例11の導電布6Lを説明する。変形例11の導電布6Lは、図18に示した変形例4の導電布6Dと、図38に示した変形例10の導電布6Kとを組み合わせたものに相当する。すなわち、導電布6Lは、線接触部位6gがほぼ全内周部に形成された切り抜き部6eを有すると共に、導電布6Lの中央点6cからシャフト外径形状4aの外側に放射状に延びた複数の切り込み6bを有することを特徴としている。
本変形例によれば、図38の導電布6Kと比較して、さらに複数の線接触部位6gと複数の放射状の切り込み6bとを併用することにより、線接触位置の範囲をさらに拡大することができる。切り抜き部6eおよびその線接触部位6gの形状は、切り込み6bの数により形状が決定し、本変形例では4本としているが任意の本数を設定することが可能である。
【0130】
(変形例12)
図41を参照して、変形例12の導電布6Mを説明する。変形例12の導電布6Mは、図38の導電布6Kと比較して、線接触部位6gを備えた切り抜き部6eに代えて、例えば図8において導電布6Mを採用した場合で説明すると、シャフト4貫通時におけるシャフト外径形状4aとの当接状態がシャフト中心4cに向かうに従い当接面積を減少させる形状である接触部位6jを備えた切り抜き部6hを有する点が主に相違する。
接触部位6jおよび切り抜き部6hは、シャフト中心4cおよび導電布6Mの中央点6cを通る中心線に関して線対象となるように導電布6Mに形成されている。接触部位6jは、例えば図8において導電布6Mを採用した場合で説明すると、導電布6Mの折り曲げ位置から導電布6Mの先端部がシャフト中心4cに沿って幅6kが漸次短くなっている三角形状をなしている。換言すれば、接触部位6jは、切り抜き部6hの内周部からシャフト中心4cおよび導電布6Mの中央点6cに向かうにつれて幅6kが漸次短くなっている三角形状をなしている。
本変形例によれば、上記構成により、導電布6Mの接触部位6jが適度な剛性を得ることができ、シャフト4との接触方向とは逆方向に倒れにくくなり、またシャフト中心4cにいくに従い幅6kが小さくなることにより接触圧が低減するので、低負荷の通電、例えばアース構成を得ることができる。このように接触部位6jの形状が根元が広く先端部にいくに従い細くなっていることで、先端部はシャフト4と柔らかく接触するが、腰は強く折れにくいという利点がある。
【0131】
(変形例13)
図42を参照して、変形例13を説明する。変形例13は、上述した導電布6,6A〜6Mを、例えば図2に示した像担持体ユニット10のシャフト4とプロセスカートリッジ58の枠体であるフレーム14との通電、例えばアース構造に用いるものである。
プロセスカートリッジ58は、図1および図2を参照して上述したように、像担持体1等を有して構成された像担持体ユニット10と、帯電装置を構成する帯電ローラ11と、クリーニング装置を構成するクリーニングブレード13と、現像装置を構成する現像ローラ12とを一体に支持する筺体状の支持部材としてのフレーム14を有する。プロセスカートリッジ58は、フレーム14を介して、カラー画像形成装置50の本体フレーム51に対して着脱自在に構成されている。
【0132】
図42において、像担持体ユニット10がプロセスカートリッジ58のフレーム14に装着支持されるとき、シャフト4の一端部(図において右端部)がフレーム14に支持されるようになっている。像担持体ユニット10のシャフト4の一端部(図において右端部)が、導電布6を貫通したときに導電布6を撓ませてシャフト4外周面に当接させ、シャフト4と通電(アース)対象物側としてのステー28とを導電布6を介して導通することを特徴としている。
【0133】
シャフト4の一端部(図において右端部側)および他端部(図において左端部側)は、例えばすべり軸受等からなる軸受29を介して支持される。各軸受29は、同図の本体フレーム51側に着脱自在に装着されるプロセスカートリッジ58のフレーム14に取り付け・固定されている。各軸受29は、従来のシャフト4の通電、例えばアース機構に採用されているような導電性グリースを封入したり、導電性を得るよう特別に構成されておらず、一般的・汎用的な軸受を用いることができる。ステー28は、導電性良好な材料、例えば鋼板等の板金で形成されている。
導電布6は、シャフト4を貫通可能とする切り込みを有しており、ステー28と導電布6とは、切り込み以外の部分で接触している。
【0134】
ステー28と導電布6との接触方法としては、フレーム14と導電布6との間に押圧部材7を配置し、さらにステー28で導電布6と押圧部材7とを押さえ込むことで押圧部材7の弾性材料が圧縮されるので、導電布6がステー28と安定して接触することが可能になる。これにより導通が経時に亘り安定して確保されることとなる。図42において、左から右に向けてこの順に軸受29、ステー28、導電布6、押圧部材7、フレーム14が図のとおり組み付けされてプロセスカートリッジ58の一部を構成している。図42のアース構造において、ステー28と導電布6とは、導電布6の切り込み以外の図における重合領域で接していて、これによりステー28と導電布6とは導通する構成となる。
【0135】
図42に示すように、像担持体ユニット10のシャフト4の一端部が挿入方向8から挿入されると、フレーム14における導電布6に設けた切り込みをシャフト4の一端部が貫通し、導電布6が撓んだ状態でシャフト4と接触する。この際、ステー28と導電布6とは、軸受29とフレーム14とに挟まれて固定されていて、シャフト4と導電布6とステー28とが接触することで、シャフト4とステー28とが導通することが可能となる。プロセスカートリッジ58が同図の本体フレーム51側に装着されると、本体フレーム51の導通部(図示せず)と接することで導通関係を維持することとなる。上記のとおり、シャフト4の表面と本体フレーム51の上記導通部とが導通関係となり、本体フレーム51は通電・アースされているので、シャフト4を介しての感光体1のアース・接地が可能となる。
導電布6とシャフト4との接触については、導電布6自体が撓むことでシャフト4との適度の接触圧を得ることができ、かつ、その形状は導電布6に切り込みを入れただけの非常に簡単な加工による単純な形状で上記性能を得ることができる。導電布6は金属が含有されてはいるが、それが主材ではないので、従来の問題である異常音や酸化による導通不良は発生しない。
【0136】
変形例13は、これに限らず、押圧部材7を配置したことによる利点・効果をそれ程望まなくても良いのであれば、実施形態1と同様に押圧部材7を除去しても良い。また、変形例13は、実施形態2と同様の導電布6を用いた例に限定されず、図29に導電布6と共に併記した導電布6A〜6Mの何れか一つを適用しても良く、その際に上述した利点・効果を奏することは無論である。
【0137】
(変形例14)
図43を参照して、変形例14を説明する。変形例14は、上述した導電布6,6A〜6Mを、例えば図2に示した像担持体ユニット10のシャフト4とプロセスカートリッジ58の枠体であるフレーム14との通電、例えばアース構造に用いるものである。変形例14は、図42に示した変形例13と比較して、左から右に向けてこの順に軸受30、押圧部材7、導電布6、フレーム14が図のとおり組み付けされてプロセスカートリッジ58の一部を構成している点が主に相違する。
【0138】
図43において、像担持体ユニット10がプロセスカートリッジ58のフレーム14に装着支持されるとき、シャフト4の一端部(図において右端部)がフレーム14に支持されるようになっている。像担持体ユニット10のシャフト4の一端部(図において右端部)が、導電布6を貫通したときに導電布6を撓ませてシャフト4外周面に当接させ、シャフト4と通電(アース)対象物側としてのフレーム14とを導電布6を介して導通することを特徴としている。
【0139】
シャフト4の一端部(図において右端部側)および他端部(図において左端部側)は、軸受30を介して支持される。各軸受30は、同図の本体フレーム51側に着脱自在に装着されるフレーム14に取り付け・固定されている。フレーム14は、導電性良好な材料、例えば鋼板等の板金で形成されている。各軸受30は、従来の通電、例えばアース機構に採用されているような導電性グリースを封入したり、導電性を得るよう特別に構成されておらず、一般的・汎用的な軸受を用いることができる。
導電布6は、シャフト4を貫通可能とする切り込みを有しており、フレーム14と導電布6とは、切り込み以外の部分で接触している。
【0140】
フレーム14と導電布6との接触方法としては、軸受30と導電布6との間に押圧部材7を配置し、さらにフレーム14で導電布6と押圧部材7とを押さえ込むことで押圧部材7の弾性材料が圧縮されるので、導電布6がフレーム14と安定して接触することが可能になる。これにより導通が経時に亘り安定して確保されることとなる。図43において、左から右に向けてこの順に軸受30、押圧部材7、導電布6、フレーム14が図のとおり組み付けされてプロセスカートリッジ58の一部を構成している。フレーム14と導電布6とは、導電布6の切り込み以外の図における重合領域で接していて、これによりフレーム14と導電布6とは導通する構成となる。
【0141】
図43に示すように、像担持体ユニット10のシャフト4の一端部が挿入方向8から挿入されると、導電布6に設けた切り込みをシャフト4が貫通し、導電布6が撓んだ状態でシャフト4と接触する。この際、フレーム14と導電布6とは、軸受30とフレーム14とに挟まれて固定されていて、シャフト4と導電布6とフレーム14とが接触することで、シャフト4とフレーム14とが導通することが可能となり、プロセスカートリッジ58の一部が構成される。プロセスカートリッジ58が同図の本体フレーム51側に装着されると、フレーム14が本体フレーム51の導通部(図示せず)と接することで導通関係を維持することとなる。上記のとおり、シャフト4の表面と本体フレーム51の上記導通部とが導通関係となり、本体フレーム51は通電・アースされているので、シャフト4のアース・接地が可能となる。
【0142】
(変形例15)
図44を参照して、変形例15を説明する。変形例15は、上述した導電布6,6A〜6Mを、例えば図2に示した像担持体ユニット10のシャフト4とプロセスカートリッジ58の枠体であるフレーム14との通電、例えばアース構造に用いるものである。
変形例15は、図43の変形例14と比較して、導電布6または導電布6,6A〜6Mに代えて、切り込みや切り抜き部(貫通当接部)の無い導電布6Zを用いた点、および押圧部材7を除去した点が主に相違する。
【0143】
同図において、左から右に向けてこの順に軸受31、導電布6Z、フレーム14が図のとおり組み付けされることにより、プロセスカートリッジ58が構成される。この際、挿入方向8から像担持体ユニット10のシャフト4の一端部の端面4dを貫通当接部の無い導電布6Zに押し当て撓ませることで、導電布6Zを介してシャフト4とフレーム14とが導通する。プロセスカートリッジ58が同図の本体フレーム51側に装着されると、フレーム14が本体フレーム51の導通部(図示せず)と接することで導通関係を維持することとなる。上記のとおり、シャフト4の表面と本体フレーム51の上記導通部とが導通関係となり、本体フレーム51は通電・アースされているので、シャフト4のアース・接地が可能となる。
【0144】
(実施形態2)
図45および図46を参照して、ベルトユニットに係る実施形態2を説明する。まず、図45を参照して、実施形態2を理解しやすくするために、図1の中間転写ベルト53等を備えて構成された中間転写ベルトユニット15の構成・動作を補説する。図45は、図1における転写ベルト装置に本実施形態を適用した要部の拡大正面図である。
一部上述したように、図45において、図示しない駆動モータにより同図中矢印方向に回転駆動される駆動ローラ55の回転に伴って、中間転写ベルト53は同図中矢印方向に搬送される。シートSは、一点鎖線で示すように中間転写ベルト53上に形成されたトナー像先端部が2次転写位置に到達するタイミングに合わせて給送され、2次転写ローラ63に転写バイアスを印加することでトナー像をシートSに転移・転写させる。図45において、17は中間転写ベルト53の裏面に転動・接触してクリーニングするベルト裏面清掃ローラを示す。
駆動ローラ55は、中間転写ベルト53への搬送力を高めるために、円筒状の導電性基材55A(図46参照)として導電性金属ローラを用い、この導電性金属ローラの表面をグリップ性のあるゴム材でコーティングされている。2次転写ローラ63に印加したバイアスにより生じる2次転写電流の一部は、シートS、中間転写ベルト53を通り、駆動ローラ55から接地側・グランドに流れ込む。2次転写ローラ63からの流れ込む電流を上記経路を伝ってグランドに流すために、駆動ローラ55のコーティング層55B(図46参照)に、カーボンや、チタン等を混ぜて、その体積抵抗率を1.0×10〜10Ωcmとなるようにコントロールしている。
上記のとおり、駆動ローラ55は、該ローラ表面の一部が金属ローラの素管材料と異なる導電性材料でコーティングされている。
【0145】
しかし、中間転写ベルトユニット15の耐久寿命末期になると、中間転写ベルト53の成分や、ベルト内部に混入した異物、トナーなどにより、駆動ローラ55の表面にフィルミングが生じ、抵抗値が上昇することがある。このような状態下で、2次転写バイアスが繰り返して印加されると駆動ローラ55のコーティング層55Bが帯電し、経時的に異常放電を起こして、画像に放電痕を残すことがある。また、放電時の電流が、2次転写ローラ63の高圧電源側に逆流し、高圧基盤に異常をきたすことがある。このような異常放電の問題は、2次転写ローラ63にプラスのバイアスとマイナスのバイアスを交互にかけ、2次転写ローラ63表面に付着したトナーを中間転写ベルト53側へ吐き出す公知の制御を行うときに、顕著に発生する傾向がある。
そこで、駆動ローラ55において、本発明の回転体の通電(アース)機構に係る請求項14を適用した図46の中間転写ベルトユニット15を採用することにより、上記の問題を解決するようにした。除電布を用いること以外に、導電性シートを用いることも可能である。除電布の体積抵抗率は、1.0×10Ωcm以下の材料を選定すると、前述のプラスとマイナスのバイアスを交互に2次転写ローラ63に印加しても、高圧基盤への逆流電流が発生せず、高圧基盤異常が発生しないことが実験等により分かっている。
【0146】
実施形態2は、実施形態1と比較して、図2等の像担持体ユニット10に加えて、図45および図46に示す中間転写ベルトユニット15を用いている点が主に相違する。この相違点以外は、実施形態2は実施形態1のカラー画像形成装置50と同様である。なお、図46の中間転写ベルトユニット15および後述の図29に示す中間転写ベルトユニット15Aにおいては、図示の簡明化のため、中間転写ベルト53等の図示を省略し要部のみを示している。以下、実施形態2に特有の構成等について上記相違点を中心に説明する。
本実施形態を適用する図45の中間転写ベルトユニット15において、駆動ローラ55および従動ローラ56のうち少なくとも駆動ローラ55は、円筒状の導電性基材55A上にコーティング層55Bを備えた中空回転部材である。本実施形態においては、駆動ローラ55および従動ローラ56共に中空回転部材であっても良いが、説明の簡明化のため駆動ローラ55を代表して説明する。
【0147】
中間転写ベルトユニット15は、図45および図46に詳しく示すように、中空回転部材としての駆動ローラ55と、駆動ローラ55の少なくとも一端部に固定されたフランジ2と、フランジ2の中心部の孔2aを貫通することにより駆動ローラ55を回転可能に支持する金属製導電性のシャフト16と、実施形態1と同様の導電布6および押圧部材7とを備え、シャフト16が、挿入方向8から導電布6を貫通したときに導電布6を挿入方向8に撓ませてシャフト16に当接させ、その平板部5pが導電布6と接触すると共にフランジ2に取り付けられ、一対の圧着接点部5bが駆動ローラ55の導電性基材55Aに圧着・固定されるアース板5とを具備し、駆動ローラ55の導電性基材55Aとシャフト16とを、アース板5と導電布6との接触を介して導通することを特徴としている。
上記のとおり、アース板5の圧着接点部5bが駆動ローラ55の導電性基材55Aの内壁55Aaに固定されることで導電性基材55Aに導通し、また導電布6の一部をアース板5の平板部5pに当接させて導通しているから、アース板5の平板部5p(基端部)が通電対象物側に、駆動ローラ55のコーティング層55Bが通電対象物に相当する。従って、本実施形態では、導電布6の一部を通電対象物側であるアース板5の平板部5pに当接させ、導電布6の他部を被当接部材としてのシャフト16に撓ませて当接させている構成である。
【0148】
駆動ローラ55の他端部(図において左端部側)には、図3および図4に示した像担持体ユニット10と類似構成の、図示しない駆動モータからの回転駆動力が伝達されるギヤ(図示せず)が固設されていて、駆動ローラ55はシャフト16の回りを回転駆動される。シャフト16は、中間転写ベルト53の両側に配設された一対の中間転写ベルトユニット側板(図示せず)によって支持されている。この中間転写ベルトユニット側板は、図1に示す本体フレーム51に取り付けられ電気的に接地された例えばステンレススチール製の板金(図示せず)に固着されていることにより、導電性のシャフト16の端部が上記中間転写ベルトユニット側板と導通し、シャフト16が接地されるようになっている。上記のとおり、本体フレーム51に取り付けられ電気的に接地された板金(図示せず)と導通する上記中間転写ベルトユニット側板は、シャフト16を電気的に接地する導通手段を構成している。
【0149】
本実施形態の導電布6は、実施形態1のシャフト4に代えたシャフト16が貫通する切り込みを有しており、アース板5と導電布6とは、切り込み以外の部分で接触している。ちなみに、本実施形態例では、図46に示すように導電布6の外周輪郭形状が貫通孔5aよりも大きく形成されていて、このアース板5の平板部5pと重なり合っている領域で接している。これにより、アース板5と導電布6は導通する構成となる。
図46において、中間転写ベルトユニット15を構成する駆動ローラユニットの組み付け方法については、実施形態1における「像担持体1」を「駆動ローラ55」に、「導電性基材1Aの内壁1Aa」を「導電性基材55Aの内壁55Aa」に、「シャフト4」を「シャフト16」に、それぞれ読み替えれば、容易に理解して実施できるからその説明を一部省略する。
そして、アース板5と導電布6および押圧部材7とがフランジ2に固定され、フランジ2を駆動ローラ55の内側にはめ込み・圧入することで、導電性基材55Aとアース板5とが、またアース板5と導電布6とが、また導電布6とシャフト16とがそれぞれ接触することで、導電性基材55Aとシャフト16とが最終的に導通することが可能となる。この際、アース板5と導電布6の接触方法としては、フランジ2と導電布6との間に押圧部材7を配置し、さらにアース板5で導電布6と押圧部材7とを押さえ込むことで、押圧部材7が弾性的に圧縮変形し、導電布6がアース板5と安定して当接することが可能になる。これにより導通が経時に亘り安定して確保されることとなる。
【0150】
駆動ローラ55は、図45において、図示しない駆動モータに連結されたギヤ列等の駆動力伝達部材と噛み合っているギヤ(図示せず)に上記駆動モータの回転駆動力が伝達されることにより、図45中矢印方向に回転駆動されることによって、フランジ2、導電布6および押圧部材7と共にアース板5も図45中矢印方向に回転することとなり、導電布6の撓んだ部分がシャフト16の外周面上を摺動・接触しながら回転する。この際、導電布6は導電性と共に適度な潤滑性を有しているので、摺動対象物であるシャフト16と接触しても異常音の発生や、酸化することもなく、安定した導通を経時に亘り確保できる。また、金属同士を摺動させる際に、摺動抵抗の低減を目的とした導電性の潤滑剤(例えば導電性グリースなど)塗布を廃止することができるから、環境への負荷も軽減できて環境にも優しい中間転写ベルトユニット15および図1のカラー画像形成装置50を実現し提供することができる。
【0151】
導電布6とシャフト4との接触については、導電布6自体が撓むことでシャフト4との適度の接触圧を得ることができ、かつ、その形状は導電布6に切り込みを入れただけの非常に簡単な加工による単純な形状で上記性能を得ることができる。導電布6は金属が含有されてはいるが、それが主材ではないので、従来の問題である異常音や酸化による導通不良は発生しない。
【0152】
中間転写ベルトユニット15は、これに限らず、押圧部材7を配置したことによる利点・効果をそれ程望まなくても良いのであれば、中間転写ベルトユニット15から押圧部材7を除去しても良い。すなわち、図46を借りて説明すると、同図から押圧部材7を除去して、フランジ2の取付面2bに対して導電布6だけを挟んだ状態でアース板5を固定保持しても良い。
また、実施形態2は、導電布6を用いた例に限定されず、図46に導電布6と共に併記した導電布6A〜6Mの何れか一つを適用しても良く、その際に上述した利点・効果を奏することは無論である。
【0153】
(実施形態2の変形例16)
図47を参照して、実施形態2の変形例16を説明する。変形例16は、図45および図46に示した実施形態2と比較して、図46の中間転写ベルトユニット15に代えて、図47に示す中間転写ベルトユニット15Aを用いている点が主に相違する。この相違点以外は、変形例16は実施形態2と同様である。
【0154】
中間転写ベルトユニット15Aは、図45および図47に詳しく示すように、駆動回転部材としての駆動ローラ55および従動回転部材としての従動ローラ56の少なくとも一つとして(以下、実施形態2と同様に「中空回転部材である駆動ローラ55」を代表して説明する)の駆動ローラ55が、導電布6を貫通したときに導電布6を撓ませて駆動ローラ55表面に当接させ、駆動ローラ55と通電(アース)対象物側としてのステー18とを導電布6を介して導通することを特徴としている。
【0155】
駆動ローラ55の一端部(図において右端部側)および他端部(図において左端部側)は、例えば転がり軸受等からなる軸受19を介して回転自在に支持される。各軸受19は、同図の本体フレーム51側に着脱自在に装着されるユニットフレーム20に取り付け・固定されている。各軸受19は、従来の回転体の通電、例えばアース機構に採用されているような導電性グリースを封入したり、導電性を得るよう特別に構成されておらず、一般的・汎用的な軸受を用いることができる。ステー18は、導電性良好な材料、例えば鋼板等の板金で形成されている。
導電布6は、実施形態2のシャフト16に代えて、駆動ローラ55を貫通可能とする切り込みを有しており、ステー18と導電布6とは、切り込み以外の部分で接触している。
【0156】
ステー18と導電布6との接触方法としては、ユニットフレーム20と導電布6との間に押圧部材7を配置し、さらにステー18で導電布6と押圧部材7とを押さえ込むことで押圧部材7の弾性材料が圧縮されるので、導電布6がステー18と安定して接触することが可能になる。これにより導通が経時に亘り安定して確保されることとなる。図47において、左から右に向けてこの順に軸受19、ステー18、導電布6、押圧部材7、ユニットフレーム20が図のとおり組み付けされて中間転写ベルトユニット15Aのサブユニット(サブアッシィ)を構成している。中間転写ベルトユニット15Aのサブユニットにおいて、ステー18と導電布6とは、導電布6の切り込み以外の図における重合領域で接していて、これによりステー18と導電布6とは導通する構成となる。
【0157】
図47に示すように、駆動ローラ55が挿入方向8から挿入されると、中間転写ベルトユニット15Aのサブユニットにおける導電布6に設けた切り込みを駆動ローラ55が貫通し、導電布6が撓んだ状態で駆動ローラ55と接触する。この際、ステー18と導電布6とは、軸受19とユニットフレーム20とに挟まれて固定されていて、駆動ローラ55と導電布6とステー18とが接触することで、駆動ローラ55とステー18とが導通することが可能となり、中間転写ベルトユニット15Aが構成される。中間転写ベルトユニット15Aが同図の本体フレーム51側に装着されると、本体フレーム51の導通部(図示せず)と接することで導通関係を維持することとなる。上記のとおり、駆動ローラ55の表面と本体フレーム51の上記導通部とが導通関係となり、本体フレーム51は通電・アースされているので、駆動ローラ55のアース・接地が可能となる。
【0158】
駆動ローラ55の他端部(図において左端部側)には、図3および図4に示した像担持体ユニット10と類似構成の、図示しない駆動モータからの回転駆動力が伝達されるギヤ(図示せず)が固設されていて、駆動ローラ55は各軸受19に支持されて回転駆動される。
駆動ローラ55は、図47において、図示しない駆動モータに連結されたギヤ列等の駆動力伝達部材と噛み合っている上記ギヤに上記駆動モータの回転駆動力が伝達されることにより、図45中矢印方向に回転することとなり、導電布6の撓んだ部分が駆動ローラ55の外周面上を摺動・接触しながら回転する。この際、導電布6は導電性と共に適度な潤滑性を有しているので、摺動対象物である駆動ローラ55と接触しても異常音の発生や、酸化することもなく、安定した導通を経時に亘り確保できる。また、金属同士を摺動させる際に、摺動抵抗の低減を目的とした導電性の潤滑剤(例えば導電性グリースなど)塗布を廃止することができるから、環境への負荷も軽減できて環境にも優しい中間転写ベルトユニット15Aおよび図1のカラー画像形成装置50を実現し提供することができる。
【0159】
導電布6と駆動ローラ55との接触については、導電布6自体が撓むことで駆動ローラ55との適度の接触圧を得ることができ、かつ、その形状は導電布6に切り込みを入れただけの非常に簡単な加工による単純な形状で上記性能を得ることができる。導電布6は金属が含有されてはいるが、それが主材ではないので、従来の問題である異常音や酸化による導通不良は発生しない。
【0160】
中間転写ベルトユニット15Aは、これに限らず、押圧部材7を配置したことによる利点・効果をそれ程望まなくても良いのであれば、実施形態2と同様に中間転写ベルトユニット15Aから押圧部材7を除去しても良い。また、変形例16は、実施形態2と同様の導電布6を用いた例に限定されず、図47に導電布6と共に併記した導電布6A〜6Mの何れか一つを適用しても良く、その際に上述した利点・効果を奏することは無論である。
【0161】
実施形態2および変形例16では、ベルトユニットが、中間転写体としての中間転写ベルトを有する中間転写ベルト装置に配設される中間転写ベルトユニット15,15Aを例示して説明したが、これに限定されず、電子写真感光体層、静電記録誘電体層および磁気記録磁性体層等の何れか一つを備えた像担持体ベルト(例えば、電子写真感光体層を備えた感光体ベルト)を有する像担持体ベルト装置、および転写搬送体としての転写搬送ベルトを有する転写搬送ベルト装置の何れか一つに配設されるベルトユニット、またはそれらの何れか一つを有する画像形成装置であってもよいことは無論である(請求項24,32)。
【0162】
(実施形態3)
図48および図49を参照して、定着ユニットに係る実施形態3を説明する。まず、図48を参照して、図1の定着装置64を補説する。図48は、図1における定着装置64に本実施形態を適用した要部の拡大正面図である。
図48において、定着装置64は、熱源としてのヒータ69と弾性層としてのゴム層70aとを備えた加熱部材としての加熱ローラ70と、加熱ローラ70に圧接してニップ部を形成する加圧部材としての加圧ローラ72とを有し、未定着のトナー像が形成されたシートSを搬送して前記ニップ部を通過させ、シートS上の未定着トナー像を定着する公知の構成を有する。
加圧ローラ72は、回転シャフトとしての金属製導電性の芯金シャフト73の外周部に、弾性層としてのゴム層72aが形成されている。通常、加熱ローラ70側が図示しない駆動手段により回転駆動される駆動回転部材であり、加圧ローラ72側が加熱ローラ70に圧接して従動回転される従動回転部材である。
【0163】
実施形態3は、実施形態1と比較して、図2等の像担持体ユニット10に加えて、図48および図49に示す定着ユニット21を用いている点が主に相違する。この相違点以外は、実施形態3は実施形態1のカラー画像形成装置50と同様である。
図49に示すように、本実施形態に係る定着ユニット21は、加熱ローラ70および加圧ローラ72の少なくとも一つとして(以下、「加圧ローラ72」を代表して説明する)加圧ローラ72の芯金シャフト73が、導電布6を貫通したときに導電布6を撓ませて芯金シャフト73に当接させ、芯金シャフト73と通電対象物側としての支持フレーム23を導電布6を介して導通することを特徴としている。
【0164】
加熱ローラ72の芯金シャフト73の一端部(図において右端部側)および他端部(図において左端部側)は、軸受22を介して回転自在に支持される。各軸受22は、同図の本体フレーム51側に着脱自在に装着される支持フレーム23に取り付け・固定されている。支持フレーム23は、導電性良好な材料、例えば鋼板等の板金で形成されている。各軸受22は、従来の回転体の通電、例えばアース機構に採用されているような導電性グリースを封入したり、導電性を得るよう特別に構成されておらず、一般的・汎用的な軸受を用いることができる。
導電布6は、実施形態1のシャフト4に代えて、加熱ローラ72の芯金シャフト73を貫通可能とする切り込みを有しており、支持フレーム23と導電布6とは、切り込み以外の部分で接触している。
【0165】
支持フレーム23と導電布6との接触方法としては、軸受22と導電布6との間に押圧部材7を配置し、さらに支持フレーム23で導電布6と押圧部材7とを押さえ込むことで押圧部材7の弾性材料が圧縮されるので、導電布6が支持フレーム23と安定して接触することが可能になる。これにより導通が経時に亘り安定して確保されることとなる。図49において、左から右に向けてこの順に軸受22、押圧部材7、導電布6、支持フレーム23が図のとおり組み付けされて定着ユニット21のサブユニット(サブアッシィ)を構成している。定着ユニット21のサブユニットにおいて、支持フレーム23と導電布6とは、導電布6の切り込み以外の図における重合領域で接していて、これにより支持フレーム23と導電布6とは導通する構成となる。
【0166】
図49に示すように、加熱ローラ72の芯金シャフト73が挿入方向8から挿入されると、定着ユニット21のサブユニットにおける導電布6に設けた切り込みを芯金シャフト73が貫通し、導電布6が撓んだ状態で加熱ローラ72の芯金シャフト73と接触する。この際、支持フレーム23と導電布6とは、軸受22と支持フレーム23とに挟まれて固定されていて、芯金シャフト73と導電布6と支持フレーム23とが接触することで、芯金シャフト73と支持フレーム23とが導通することが可能となり、定着ユニット21が構成される。定着ユニット21が同図の本体フレーム51側に装着されると、支持フレーム23が本体フレーム51の導通部(図示せず)と接することで導通関係を維持することとなる。上記のとおり、加熱ローラ72の芯金シャフト73の表面と本体フレーム51の上記導通部とが導通関係となり、本体フレーム51は通電・アースされているので、加熱ローラ72の芯金シャフト73のアース・接地が可能となる。
【0167】
加熱ローラ72の芯金シャフト73の他端部(図において左端部側)には、図3および図4に示した像担持体ユニット10と類似構成の、図示しない駆動手段からの回転駆動力が伝達されるギヤ(図示せず)が固設されていて、加熱ローラ72の芯金シャフト73は各軸受22に支持されて回転駆動される。加熱ローラ72の芯金シャフト73は、図48中矢印方向に回転することとなり、導電布6の撓んだ部分が加熱ローラ72の芯金シャフト73の外周面上を摺動・接触しながら回転する。この際、導電布6は導電性と共に適度な潤滑性を有しているので、摺動対象物である芯金シャフト73と接触しても異常音の発生や、酸化することもなく、安定した導通を経時に亘り確保できる。また、金属同士を摺動させる際に、摺動抵抗の低減を目的とした導電性の潤滑剤(例えば導電性グリースなど)塗布を廃止することができるから、環境への負荷も軽減できて環境にも優しい定着ユニット21および図1のカラー画像形成装置50を実現し提供することができる。
【0168】
導電布6と芯金シャフト73との接触については、導電布6自体が撓むことで芯金シャフト73との適度の接触圧を得ることができ、かつ、その形状は導電布6に切り込みを入れただけの非常に簡単な加工による単純な形状で上記性能を得ることができる。導電布6は金属が含有されてはいるが、それが主材ではないので、従来の問題である異常音や酸化による導通不良は発生しない。
【0169】
定着ユニット21は、これに限らず、押圧部材7を配置したことによる利点・効果をそれ程望まなくても良いのであれば、実施形態2と同様に定着ユニット21から押圧部材7を除去しても良い。また、実施形態2と同様の導電布6を用いた例に限定されず、図49に導電布6と共に併記した導電布6A〜6Mの何れか一つを適用しても良く、その際に上述した利点・効果を奏することは無論である。
【0170】
(実施形態3の変形例17)
図50および図51を参照して、定着ユニットに係る実施形態3の変形例17を説明する。図50は、定着ベルトを用いた定着装置64Aの正面図、図51は、定着装置64Aに本実施形態を適用した要部の拡大断面図である。
実施形態3の変形例17は、図48および図49の実施形態3と比較して、図50および図51に示すように、定着装置64に代えた定着装置64Aを用いている点、および定着ユニット21に代えた定着ユニット21Aを用いている点が主に相違する。
【0171】
図50において、定着装置64Aは、無端状の定着ベルト74と、熱源としてのヒータ75を内蔵する加熱部材としての加熱ローラ76と、加熱ローラ76と共に定着ベルト74が掛け渡される定着部材としての定着ローラ77と、定着ローラ77を介して定着ベルト74に圧接してニップ部を形成する加圧部材としての加圧ローラ78と、定着ベルト74に圧接して所定の張力を付与するテンションローラ79とを有し、未定着のトナー像が形成されたシートSを搬送して前記ニップ部を通過させ、シートS上の未定着トナー像を定着する公知の構成を有する。本実施形態例では、定着ローラ77は、導電性の金属で形成された中空回転部材としての中空ローラをなす。
【0172】
図51に示すように、定着ユニット21Aは、加熱ローラ76、定着ローラ77および加圧ローラ78の少なくとも一つとして(以下、「定着ローラ77」を代表して説明する)中空ローラとしての定着ローラ77が、導電布6を貫通したときに導電布6を撓ませて定着ローラ77に当接させ、定着ローラ77と通電対象物側としての支持フレーム23を導電布6を介して導通することを特徴としている。
定着ローラ77の一端部(図において右端部側)および他端部(図において左端部側)は、実施形態3と同様に軸受22を介して回転自在に支持される。導電布6は、実施形態3の芯金シャフト73に代えて、定着ローラ77を貫通可能とする切り込みを有しており、支持フレーム23と導電布6とは、切り込み以外の部分で接触している。
【0173】
支持フレーム23と導電布6との接触方法は、実施形態3と同様であり、支持フレーム23で導電布6と押圧部材7とを押さえ込むことで押圧部材7の弾性材料が圧縮されるので、導電布6が支持フレーム23と安定して接触することが可能になる。これにより導通が経時に亘り安定して確保されることとなる。図51において、左から右に向けてこの順に軸受22、押圧部材7、導電布6、支持フレーム23が図のとおり組み付けされて定着ユニット21Aのサブユニット(サブアッシィ)を構成している。定着ユニット21Aのサブユニットにおいて、支持フレーム23と導電布6とは、導電布6の切り込み以外の図における重合領域で接していて、これにより支持フレーム23と導電布6とは導通する構成となる。
【0174】
図51に示すように、定着ローラ77が挿入方向8から挿入されると、定着ユニット21Aのサブユニットにおける導電布6に設けた切り込みを定着ローラ77が貫通し、導電布6が撓んだ状態で定着ローラ77と接触する。この際、支持フレーム23と導電布6とは、軸受22と支持フレーム23とに挟まれて固定されていて、定着ローラ77と導電布6と支持フレーム23とが接触することで、定着ローラ77と支持フレーム23とが導通することが可能となり、定着ユニット21Aが構成される。定着ユニット21Aが同図の本体フレーム51側に装着されると、支持フレーム23が本体フレーム51の導通部(図示せず)と接することで導通関係を維持することとなる。上記のとおり、定着ローラ77の表面と本体フレーム51の上記導通部とが導通関係となり、本体フレーム51は通電・アースされているので、定着ローラ77のアース・接地が可能となる。
【0175】
定着ローラ77の他端部(図において左端部側)は、図示しない駆動手段からの回転駆動力が伝達されるように構成されていて、定着ローラ77は各軸受22に支持されて回転駆動される。定着ローラ77は、図50中矢印方向に回転することとなり、導電布6の撓んだ部分が定着ローラ77の外周面上を摺動・接触しながら回転する。この際、導電布6は導電性と共に適度な潤滑性を有しているので、摺動対象物である定着ローラ77と接触しても異常音の発生や、酸化することもなく、安定した導通を経時に亘り確保できる。また、金属同士を摺動させる際に、摺動抵抗の低減を目的とした導電性の潤滑剤(例えば導電性グリースなど)塗布を廃止することができるから、環境への負荷も軽減できて環境にも優しい定着ユニット21Aおよび図1のカラー画像形成装置50を実現し提供することができる。
【0176】
導電布6と定着ローラ77との接触については、導電布6自体が撓むことで定着ローラ77との適度の接触圧を得ることができ、かつ、その形状は導電布6に切り込みを入れただけの非常に簡単な加工による単純な形状で上記性能を得ることができる。導電布6は金属が含有されてはいるが、それが主材ではないので、従来の問題である異常音や酸化による導通不良は発生しない。
【0177】
定着ユニット21Aは、これに限らず、押圧部材7を配置したことによる利点・効果をそれ程望まなくても良いのであれば、実施形態3と同様に定着ユニット21Aから押圧部材7を除去しても良い。また、実施形態3と同様の導電布6を用いた例に限定されず、図51に導電布6と共に併記した導電布6A〜6Mの何れか一つを適用しても良く、その際に上述した利点・効果を奏することは無論である。
【0178】
(実施形態4)
図52を参照して、シート搬送ユニットに係る実施形態4を説明する。図52(a)は、図1における給紙ローラ61から排紙ローラ65に至るシート搬送路に適宜配設されるシート搬送部材としての例えばレジストローラ62配置部の斜視図を示し、図52(a)は、レジストローラ62配置部に本実施形態を適用した要部の拡大正面図である。
図52(a)において、レジストローラ62は、例えば導電性の金属で形成された回転シャフトとしての回転軸80の周りに、シートに対して高摩擦係数の材料であるゴム等で形成された串刺し状をなす。レジストローラ62の回転軸80の両端部は、支持部材としての軸受25で回転自在に支持されている。
【0179】
実施形態4は、実施形態1と比較して、図2等の像担持体ユニット10に加えて、図52(b)に示すシート搬送ユニット24を用いている点が主に相違する。この相違点以外は、実施形態4は実施形態1のカラー画像形成装置50と同様である。
図52(b)に示すように、本実施形態に係るシート搬送ユニット24は、レジストローラ62の回転軸80を回転自在に支持する例えば転がり軸受け等からなる軸受25により回転自在に支持し、レジストローラ62とシート間の摩擦帯電により生じる静電気を通電、例えばアースするものであって、回転軸80が、導電布6を貫通したときに導電布6を撓ませて回転軸80に当接させ、回転軸80と通電対象物側としての支持フレーム26を導電布6を介して導通することを特徴としている。
【0180】
レジストローラ62の回転軸80の一端部(図において右端部側)および他端部(図において左端部側)は、軸受25を介して回転自在に支持される。各軸受25は、同図の本体フレーム51側に着脱自在に装着される支持フレーム26に取り付け・固定されている。支持フレーム26は、導電性良好な材料、例えば鋼板等の板金で形成されている。各軸受25は、従来の回転体の通電、例えばアース機構に採用されているような導電性グリースを封入したり、導電性を得るよう特別に構成されておらず、一般的・汎用的な軸受を用いることができる。
導電布6は、実施形態1のシャフト4に代えて、レジストローラ62の回転軸80を貫通可能とする切り込みを有しており、支持フレーム26と導電布6とは、切り込み以外の部分で接触している。
【0181】
支持フレーム26と導電布6との接触方法としては、軸受25と導電布6との間に押圧部材7を配置し、さらに支持フレーム26で導電布6と押圧部材7とを押さえ込むことで押圧部材7の弾性材料が圧縮されるので、導電布6が支持フレーム26と安定して接触することが可能になる。これにより導通が経時に亘り安定して確保されることとなる。図52(a)において、左から右に向けてこの順に軸受25、押圧部材7、導電布6、支持フレーム26が図のとおり組み付けされてシート搬送ユニット24のサブユニット(サブアッシィ)を構成している。シート搬送ユニット24のサブユニットにおいて、支持フレーム26と導電布6とは、導電布6の切り込み以外の図における重合領域で接していて、これにより支持フレーム26と導電布6とは導通する構成となる。
【0182】
図52(b)に示すように、レジストローラ62の回転軸80が挿入方向8から挿入されると、シート搬送ユニット24のサブユニットにおける導電布6に設けた切り込みを回転軸80が貫通し、導電布6が撓んだ状態でレジストローラ62の回転軸80と接触する。この際、導電布6と押圧部材7とは、軸受25と支持フレーム26とに挟まれて固定されていて、回転軸80と導電布6と支持フレーム26とが接触することで、回転軸80と支持フレーム26とが導通することが可能となり、シート搬送ユニット24が構成される。シート搬送ユニット24が同図の本体フレーム51側に装着されると、支持フレーム26が本体フレーム51の導通部(図示せず)と接することで導通関係を維持することとなる。上記のとおり、レジストローラ62の回転軸80の表面と本体フレーム51の上記導通部とが導通関係となり、本体フレーム51は通電・アースされているので、レジストローラ62の回転軸80のアース・接地が可能となる。
【0183】
レジストローラ62の回転軸80の他端部(図において左端部側)には、図3および図4に示した像担持体ユニット10と類似構成の、図示しない駆動手段からの回転駆動力が伝達されるギヤ(図示せず)が固設されていて、レジストローラ62の回転軸80は各軸受25に支持されて回転することとなり、導電布6の撓んだ部分がレジストローラ62の回転軸80の外周面上を摺動・接触しながら回転する。この際、導電布6は導電性と共に適度な潤滑性を有しているので、摺動対象物である回転軸80と接触しても異常音の発生や、酸化することもなく、安定した導通を経時に亘り確保できる。また、金属同士を摺動させる際に、摺動抵抗の低減を目的とした導電性の潤滑剤(例えば導電性グリースなど)塗布を廃止することができるから、環境への負荷も軽減できて環境にも優しいシート搬送ユニット24および図1のカラー画像形成装置50を実現し提供することができる。
【0184】
導電布6と回転軸80との接触については、導電布6自体が撓むことで回転軸80との適度の接触圧を得ることができ、かつ、その形状は導電布6に切り込みを入れただけの非常に簡単な加工による単純な形状で上記性能を得ることができる。導電布6は金属が含有されてはいるが、それが主材ではないので、従来の問題である異常音や酸化による導通不良は発生しない。
【0185】
シート搬送ユニット24は、これに限らず、押圧部材7を配置したことによる利点・効果をそれ程望まなくても良いのであれば、シート搬送ユニット24から押圧部材7を除去しても良い。また、実施形態1と同様の導電布6を用いた例に限定されず、図52(b)に導電布6と共に併記した導電布6A〜6Mの何れか一つを適用しても良く、その際に上述した利点・効果を奏することは無論である。
【0186】
(実施形態5)
図53を参照して、シート搬送ユニットに係る実施形態5を説明する。同図に示す実施形態5のシート搬送ユニット24Zは、本発明の原理的な実施形態例である(請求項1ないし3、請求項33)。
実施形態5のシート搬送ユニット24Zは、図52のシート搬送ユニット24と比較して、導電布6または導電布6,6A〜6Mに代えて、切り込みや切り抜き部(貫通当接部)の無い導電布6Zを用いた点、および押圧部材7を除去した点が主に相違する。
【0187】
同図において、左から右に向けてこの順に軸受25、導電布6Z、支持フレーム26が図のとおり組み付けされることにより、シート搬送ユニット24Zのサブユニット(サブアッシィ)が構成される。この際、挿入方向8から回転軸80の一端部の端面80aを貫通当接部の無い導電布6Zに押し当て撓ませることでシート搬送ユニット24Zが構成できる。
本実施形態では、上述のとおりであるから、本発明の回転体の通電方法、例えばアース方法が使用されていたと言える(請求項33)。
なお、回転軸80の一端部の端面80aを挿入方向8から貫通当接部の無い導電布6Zに押し当て撓ませることで、シート搬送ユニット24Zを構成するのに代えて、図53において、回転軸80を移動せずに停止させた状態で、シート搬送ユニット24Zのサブユニット(サブアッシィ)を、同図において右側から左側に向けて移動させることでも上記と同様のシート搬送ユニット24Zを構成できる。すなわち、挿入方向8は、相対的なものである(上記各実施形態および各変形例でも同様)。
【0188】
上記各実施形態および各変形例では、布状の導電性部材である導電布を用いた例で説明したが、可撓性を備えたシート状の導電性部材である導電性シートを使用することも可能である。導電性シートとしては、その体積抵抗率が1.0×10Ωcm以下の材料を選定することが好ましい。
【0189】
上記各実施形態1〜4、実施例1および上記各変形例1〜14では、上述のとおりであるから、本発明の回転体の通電方法、例えばアース方法が使用されていたと言える(請求項34)。
すなわち、電子写真方式、静電記録方式および磁気記録方式による画像形成装置の何れか一つに用いられる、可撓性を備えた布状もしくはシート状の導電性部材を使用した回転体の通電(アース)方法であって、前記回転体、該回転体と共に回転する回転シャフトおよび前記回転体を回転可能に支持するシャフトのうちの何れか一つの被当接部材と通電(アース)対象物とを、前記導電性部材を介して電気的に導通する際に、前記被当接部材の長手方向と直交する該被当接部材の端部を挿入・貫通可能とし、かつ、前記端部が貫通したときに前記導電性部材を撓ませて前記被当接部材に当接させるための切り込みおよび切り抜き部の少なくとも一方の貫通当接部を予め形成しておき、その後、前記被当接部材を前記貫通当接部に挿入・貫通することにより、前記導電性部材を介して前記通電(アース)対象物と前記被当接部材とを通電・アースすることを特徴とする回転体の通電(アース)方法を使用したものであった。
なお、前記端部が貫通したときに前記導電性部材を撓ませて前記被当接部材に当接させるための切り込みおよび切り抜き部の少なくとも一方の貫通当接部を予め前記導電性部材に形成することに代えて、切り込みおよび切り抜き部の少なくとも一方の貫通当接部を形成可能な刃状の工具等を被当接部材の端部に着脱自在に設けるようなことは、本発明から容易に導き出せる技術事項に過ぎない。
【0190】
図54および図55を参照して、アース板5に設けた三角突起状の圧着接点部(ツメ部分)5bと、導電布6D1を押さえ込んでフランジ2に締結・固定するフランジ2のボス2cとの位置関係について補説する。図54(a)は、実施例1のフランジアッシー32におけるアース板5の圧着接点部(ツメ部分)5bと、フランジ2のボス2cとの位置関係について説明するための正面図、図54(b)は、同フランジアッシー32を感光体1の内部に圧入する際にアース板5の圧着接点部(ツメ部分)5b周辺が受ける荷重を説明するための要部の分解斜視図である。図55(a)は、フランジアッシー32の感光体1の内部への圧入前の状態を示す断面図、図55(b)は、同フランジアッシー32の感光体1の内部への圧入後の状態を示す断面図である。
図54および図55においては、図8に示した第1の実施形態の像担持体ユニット10を構成する導電布6に代えて、図19および図20等に示した実施例1の導電布6D1を用いた例で示している。なお、図55において、図の簡明化のため、導電布6D1および押圧部材7の図示を省略している。
【0191】
第1の実施形態や実施例1で上述したように、また図55(b)に示すように、フランジアッシー32を感光体1の素管である導電性基材1Aの内壁1Aaに圧入する際に、アース板5の圧着接点部(ツメ部分)5bが押し込まれることで、アース板5全体が湾曲する。これは、フランジ2のボス2cの位置(アース板5のかえし部分であるボス固定爪5cの中心位置でもある)をアース板5の圧着接点部(ツメ部分)5bに対して位相角を約90度にすることで、圧着接点部5b部分が変形し、アース板5自体が湾曲した状態でも湾曲変形部を結ぶ直線と直交する直線上に位置するボス2c部分ではほとんど変位しないので、ボス2cとアース板5のボス固定爪5cでの緩みを防止することが可能となり、アース板5の固定状態を強固に保つことができる。
【0192】
以下、前記内容を詳述する。図54および図55に示すように、フランジアッシー32を構成するアース板5の2箇所の圧着接点部(ツメ部分)5bは、感光体1の素管である導電性基材1Aの内壁1Aaに対して圧着接点部(ツメ部分)5bが食い込み・突き刺さるようにしてアース板5が感光体1に圧着取り付け・固定されることで、アース板5と感光体1の導電性基材1Aとの導通を確保している。図55(a)に示すように、圧着接点部5bの先端は、フランジ2の圧入部の外周面よりも外側に張り出させることで、導電布6D1を組み付けたフランジアッシー32を圧入したときに感光体1の導電性基材1Aの内壁1Aaに食い込む。そのため、図54(b)に示すように、フランジアッシー32を感光体1に圧入するときには、アース板5の圧着接点部5bは同図に示す矢印方向に荷重Fを受ける。圧着接点部5bが荷重Fを受けるので、アース板5は矢印方向の荷重Fを受けることとなり、図55(b)に示すように、アース板5自体が湾曲を起こす。
【0193】
図54(a)において、アース板5をフランジ2に固定しアース板5と導電布6D1とを密着させるための抜き止めとなるボス2cの位置を2箇所とし、感光体1の中心を通る中心線(直線)に対して3点(ボス2c−感光体1の中心−ボス2c)を通る直線SL1が一直線上になるように配置し、かつ、圧着接点部5bの位置をボス2cの位置に対して位相(角度)θが約90度の位置に設定している。ここで、感光体1の中心というのは、フランジ2の中心と同じ意味である。すなわち、ボス2c−感光体1の中心−ボス2cの直線SL1に対して、圧着接点部5b−感光体1の中心−圧着接点部5bを通る直線SL2が直角に交差(直交)するように設定している。また、アース板5は、直線SL1(感光体1の中心)からアース板5の左右の圧着接点部5bの先端までの距離(位置)Rを、それぞれ均等に設定している。
【0194】
フランジアッシー32を感光体1の導電性基材1Aに圧入したときのアース板5の状態を図55(b)に示す。アース板5の圧着接点部5bの配置位置を感光体1の中心(=フランジ2の中心)に対して対極に配置した形状を取ることで、フランジアッシー32を感光体1の導電性基材1Aに圧入したときに、アース板5の圧着接点部5bが導電性基材1Aの内壁1Aaに食い込み、圧着接点部5bが荷重Fを受けて、圧着接点部5b−感光体1の中心−圧着接点部5bを通る直線SL2に直交する位置を中心にアース板5自体が湾曲する。さらに、アース板5の2箇所の圧着接点部5bの位置を感光体1の中心(=フランジ2の中心)に対して同じにし、かつ、アース板5自体の形状を概略左右対称の形状とすることで、図55(b)に示すアース板5の中心5dの位置が湾曲の中心となる。そのため、フランジアッシー32を感光体1の導電性基材1Aに圧入した際の両端にあるアース板5の圧着接点部5bの変位量を同じにし、かつ、アース板5の湾曲も中心5dを通る直線SL2に直交する直線に対して左右対称にすることができるとともに、アース板5の湾曲の中心5dをアース板5の中心位置、すなわち感光体1の中心と一致させることができる。
【0195】
このようにアース板5が上記形状(アース板5の圧着接点部5bの配置位置を感光体1の中心(=フランジ2の中心)に対して対極に配置、アース板5自体の形状を概略左右対称の形状、圧着接点部5bとボス2cとの角度が90度)を有することで、アース板5はボス2c−感光体1の中心−ボス2cの直線SL1を中心としてアース板5は湾曲する形状となる。そのため、アース板5の湾曲の中心である直線SL1上の中心5dではほとんどアース板5の変位は無く、そこから離れるに従って、すなわち圧着接点部5bに近い方が変位量が大きくなる。このようにアース板5を固定するボス2cの位置を湾曲の中心5dを通る直線SL1と一致させているので、アース板5を固定するボス2cでのアース板5の変形量を低く抑えることができる。従って、ボス2cとアース板5のボス固定爪(かえし部分)5c部分での緩みを防止することが可能になるとともに、アース板5の固定を強固に保つことができる。
【0196】
図56〜図64を参照して、比較例としての金属ブラシと比較して本発明で用いる導電布の方が導通の安定化に関して有利である点について補説する。図56(a)は、金属ブラシ81の正面図、図56(b)は、金属ブラシ81の側面図である。
金属ブラシは、金属繊維を束ねてまとめたものであり、一見すると被当接部材との沢山の接触点を持つように見える。しかしながら、金属ブラシでは、束ねた金属繊維の中で導通をとるために役立っているのは表面のごく一部であり、しかも、各一本の金属繊維に対して感光体のシャフト(被当接部材)と接触する部位は1箇所である。それに対して、導電布の場合は導電性の繊維を編み込んだ形状であり、その表面が凸凹しているので、感光体のシャフトと接触する箇所を複数持つことが可能である。導電布を用いることで、感光体のシャフトとの接点数を金属ブラシのそれと同等以上に持つことが可能になり導通の安定化が増すことになる。以下、前記内容を詳述する。
【0197】
まず、金属ブラシを使う方法について説明する。
図56(a)、図56(b)に示すように、金属ブラシ81は、例えばステンレススチール(以下、「SUS」と略記する)等の金属でできた金属繊維82を筆やブラシのように束ねた物である。具体的には、金属繊維82を同一方向にまとめてその端部を固定板金83でカシメる。固定板金83は、SUSでも通常の金属でもよいが、一般的にはカシメのやり易さとカシメを行った際の金属繊維82との密着性を上げるために、金属として柔らかく、かつ、錆を生じないことからアルミが用いられる。これによって、ブラシ状の金属繊維82とそれを保持する固定板金83とは、電気的導通が取れることになる。
【0198】
金属ブラシの被当接部材との接触方法には、大別して2つの方法がある。
(1)図57に示すように、被当接部材であり回転する軸85に対して金属ブラシ81を平行に当てる方法である。これは、金属ブラシ81の幅の全域を使う方法であり、軸85に対して接触させる際に、金属ブラシ81の先端部を撓ませるように配置する。これによって軸85に対して金属ブラシ81による押圧力が加わるので接触状態が安定する。
(2)図58に示すように、回転する軸85に対して金属ブラシ81Aを直交するように当てる方法である。これは、金属ブラシ81Aの厚みを使う方法であり、軸85に対して金属ブラシ81Aの中央を分けるように当てるものである。上記(1)よりは接触させる幅は狭くなるので、金属ブラシ81Aの接触面積が減少する。
図56〜図58において、符号84は、金属ブラシ81,81Aをフランジ2に組み付けて後述するフランジアッシーを作製する際に、フランジ2のボス2cを嵌入するための取付孔である。
【0199】
図59を参照して、金属ブラシを搭載したフランジアッシーの具体的構成について説明する。例えば図58に示した金属ブラシ81Aをフランジ2に組み付けたフランジアッシー320(感光体へ圧入するための仮組みフランジ)は、図59(a)に示すように、先ずフランジ2の2箇所のボス2cの何れか一方にゴムリング86を嵌入させた後、その上から金属ブラシ81Aを取り付ける。さらにその上からアース板5を組み込むことで作製される。アース板5には上記したようにボス固定爪(かえし部分)5cがあるので、フランジのボス2cに嵌め込むと抜けないようになる。また、ゴムリング86の圧縮によって、金属ブラシ81Aの金属繊維82をカシメている固定板金83とアース板5とが接触する構成となる。この方法は、上記(2)「回転する軸85に対して直交させる当て方」の構成である。上記(2)の構成は全て軸方向からの取り付けになっており、部品の実装配置を簡単にできる構成となるので、一般的に使用されている。
【0200】
図60A、図60Bを参照して、金属ブラシの接触位置・箇所について考察する。図60Aは、金属ブラシ81Aにおける金属繊維82部分の接触位置・箇所を説明するための200倍の顕微鏡拡大写真、図60B(a)は、金属ブラシ81Aにおける全ての金属繊維82が同じ方向のときの接触位置・箇所を説明するための模式的な図、図60B(b)は、金属ブラシ81Aにおける1本の金属繊維82が傾いたときの接触位置・箇所を説明するための模式的な図である。
金属ブラシと接触する被当接部材の横方向の接点について、例えば図58の金属ブラシ81Aの例で説明すると、束ねた金属繊維82の中で実際に被当接部材(軸85)と接触して導通の役割を果たしているのは、被当接部材(軸85)と接触する側の表面にある金属繊維82だけである。つまり、図60Aの写真において、導通をとるために有効なのは束ねた金属繊維82の中で、金属ブラシ81Aの一番外側のある金属繊維82だけに限られる。さらにブラシ状の金属繊維82は全体的には一方向に向いているが、実際にはそれぞれの一本一本の金属繊維82は向きが違っていたり重なったりしてしまう。すると向きが違ったそれぞれの金属繊維82は交差し重なることで凹凸を作ってしまい、被当接部材と接触する部分が減少してしまう。
【0201】
図60B(a)、図60B(b)で説明すると、本来同じ方向に金属繊維82が向いていれば、図60B(a)のように接触箇所は6点ある。しかし、図60B(b)のように、一本の金属繊維82の向きが違っているだけで接触点は減少し、4点となる。実際の金属ブラシ81Aにおいても図60Aの写真のように、同図の写真の実線は約0.45mmの長さであり、金属繊維82の径は約0.015mmである。金属繊維82が全て同じ方向に束ねられているならば、任意の場所に接触した場合の接点数は0.45mm/0.015mm=30箇所となる。しかしながら、図60Aの写真に示すように金属繊維82のそれぞれは一本一本方向が違っているので、その接点数は同じ幅の場所であっても、4箇所であったり、7箇所であったりと、大きく減少してしまう。
【0202】
図61(a)、図61(b)を参照して、本発明で用いる導電布と接触する被当接部材(軸85)との横方向の接点について、例えば図9(a)の導電布の例で説明する。導電布は上記したとおり導電性の繊維を編み込んだ構成であり、編み込んだ状態は均一ではないので、横方向における接触する箇所としては等間隔の接触位置とはならない。実際には図61(a)、図61(b)の顕微鏡写真のようにその接点数は同じ幅の場所において、5箇所であったり、6箇所であったりする。このように横方向の接点数としては上記の金属ブラシと同等程度の接点数を持つ。
【0203】
図62(a)、図62(b)を参照して、金属ブラシと接触する被当接部材の縦方向の接点について説明する。図62(a)、図62(b)の写真は、被当接部材が平面の場合の写真である。金属ブラシを被当接部材に接触させると、ブラシ部(金属繊維)は図62(a)の写真のように撓んで被当接部材に接触する。図62(b)の写真のように、被当接部材と接触するのは金属ブラシの束の中でも、一番外側の金属繊維である。被当接部材と接触する金属繊維一本一本で考えれば、それぞれの金属繊維で接触する箇所は1点である。
【0204】
次に、図62(c)、図62(d)を参照して、本発明で用いる導電布と接触する被当接部材の縦方向の接点について説明する。図62(c)、図62(d)の写真は、被当接部材が平面の場合の写真である。導電布は被当接部材に接触させると、図62(c)の写真のように撓んで被当接部材に接触する。図62(c)の写真のように、たわんで接触する。導電布は導電性の繊維が網目状に編んであるので表面に凸凹が存在する。導電布を被当接部材に接触させると凸の部分が接触するので、接触する箇所は複数存在する(写真では4箇所)。
さらに、導電布の断面については、図63Aの顕微鏡写真を見て凸凹しているのが分かる。導電布の各断面(B−B,A−A)のイメージとしては、図63Bに示すようである。
【0205】
以上説明した内容から、図64において、仮に金属ブラシと導電布とを円柱の軸40の被当接部材に同じような接触をさせた場合、図64(a)に示すように、金属ブラシが軸40と接触する範囲および部位は、軸40の軸方向に対して一直線上であり、かつ、まだらな点状となる。
導電布が軸40と接触する範囲および部位は、図64(b)に示すように、軸40の軸方向に対して幅を持ち、かつ、まだらな点状となる。このように同じ被当接部材としての軸40に接触させる場合においても導電布は金属ブラシに対して同等以上の接触点を持つことが可能になる。
【実施例2】
【0206】
図65〜図69を参照して、導電布の裏側に弾性体(PETシート)を挟んで強く当てることで接点の安定化を図る実施例2を説明する。図65(a)は、実施例2におけるフランジアッシーの構成を説明する分解斜視図、図65(b)は、実施例2におけるフランジアッシーの構成を説明する図であって、アース板5を取り付ける前の状態を示す正面図である。図66(a)、図66(b)、図66(c)は、実施例2におけるフランジアッシーの組み付け推移状態を、フランジ2の一部を破断して斜視図的に示した写真である。
上述した第1の実施形態や実施例1のように、導電布に切り込みを入れただけでは被当接部材に接触する際の押圧力が弱く、高温放置等によっては接触が不安定になる場合がある。そこで、実施例2では、導電布とは別の弾性体を追加することで、被当接部材に対する押圧力を上げて被当接部材との接触を安定化させる。具体的には、アース板と導電布との間で必ず直接接触する部分を残した状態でポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略記する)シートをアース板と導電布との間に挟むものである。
【0207】
導電布だけでの問題点、懸念事項について補説する。導電布に切り込みを入れて湾曲・撓ませて被当接部材に接触させる方法の場合、被当接部材への接触圧は導電布の撓みによる押圧によるのみである。導電布自身の可撓性・弾性復元力による押圧力は小さく、高温下での放置などにおいては、癖(クセ)付きが発生する場合もある。導電布がこのような状態になると、被当接部材との接触が不安定になり導通が取れなくなる場合も予測される。そこで、本実施例では、実施例1よりもさらに導通を安定化させるために、押圧力を上げる手段を以下のように設けた。
【0208】
実施例2の基本構成は、図65(a)に示すように、フランジ2に、実施例1で説明してきた導電布アッシー33(図20等に示す導電布アッシー33参照)を取り付け、その上に弾性体としてのPETシート37を取り付ける。さらに、PETシート37の上からアース板5を押し込み、フランジ2とアース板5との間に導電布6D1とPETシート37を挟み込むという構成である。
【0209】
図65(b)および図66(a)に示すように、PETシート37は、本実施例では透明なものを用いており、外周形状は正方形に近い長方形をなし、導電布6D1およびアース板5の各外周形状(特にボス用孔6m、ボス固定爪5c周囲近傍)よりも小さい外周部を有する。すなわち、PETシート37の外周形状の特徴は、導電布6D1のボス用孔6mおよびアース板5のボス固定爪5c周辺に及ばないように小さく形成されている点にある。これにより、アース板5をフランジ2に取り付けるとき、アース板5のボス固定爪5cがフランジ2の各ボス2cに噛み合うように係合する際に、アース板5のボス固定爪5cによる固定箇所に最も近い部分で導電布6D1とアース板5とを接触させることができるので、導電布6D1とアース板5とが確実に密着して、導通が安定する。PETシート37の中央には、導電布6D1における切り込み6bの形状とほぼ同様の切り込み37aが形成されている。
【0210】
図65(a)に示すように、PETシート37をフランジ2に取り付ける際に、図65(b)、図66(b)および図66(c)に示すように、上述したように導電布6D1とアース板5とが直接接触するような部位を設けている。これによって、PETシート37を導電布6D1とアース板5との間に挟んでも、導電布6D1とアース板5とは直接接触して導通することとなる。図66(c)は、フランジアッシー32Aに対してシャフト4を貫通させた状態を示している。図66(c)から、シャフト4と導電布6D1とがPETシート37の押圧を受けながら接触している状態が分かるとともに、PETシート37が導電布6D1を押し付ける機能を有していることも分かる。
なお、PETシート37は、導電布6D1とアース板5との間にシャフト4を貫通可能な状態で存在すればよく、PETシート37を導電布6D1やアース板5に固定する必要はない。但し、PETシート37の切り込み37aと導電布6D1の切り込み6bとがずれないように位相を合わせたり、金型、加工工程の簡素化を図るために、例えば図24に示した導電布アッシー33の加工工程の一部にPETシート37の作製工程を組み込むことや、エンボス等の適宜の位置決め手段を配設したりすることも可能である。
【0211】
図68に示す図表および図69に示すグラフには、導電布のみ、PETシートの厚みを0.075mmおよび0.125mmの2種類に変えたPETシート付導電布の合計3種類の試験片(測定品)について、押し付け荷重の測定試験を行った試験結果が示されている。
試験条件を列記する。図67(a)、図67(b)、図70に示すように、試験片(測定品)の形状は、導電布の形状が幅4mmで、ハッチを施して示す端部からの高さが5mmの三角形の突起状先端を持つもので、その端部を固定(保持固定部)した状態で、図67(b)に示すように、隙間が0.6mmとなる位置になるまで変形させたときの押し付け荷重(押圧力)をデジタルフォースゲージを用いて測定した。PETシート付導電布の場合は、PETシートを導電布の形状と同じにし、図67(b)に示すようにそれぞれを配置し、導電布と重ねた状態でその端部を試験台38に固定(保持固定部)して測定した。但し、PETシートと導電布とは、重ねただけで接着はしない状態である。
図67(b)に示した隙間:0.6mmとは、押し付け荷重の測定状態を表わす図70において、図示を省略した保持固定部の右側面(図67(b)に示すブロック状の保持固定部の右側面に相当)と、デジタルフォースゲージの測定アタッチメントの左側面との間の距離を指す。デジタルフォースゲージは、一般に市販されているもので、定格容量2.0N、表示分解能0.001Nの仕様のものを用いた。
【0212】
このように、PETシートのような薄板状の弾性体を挟むことで、安定した押圧力を導電布に掛けることが可能になる。
高温放置での接触状態の安定化においては、導電布のみの場合は導通が不安定になる場合があったが、厚みが0.075mmと0.125mmとのPETシートを挟んだフランジアッシーは、どちらにおいても導通は安定しており、不安定な状態は何も確認されず、導電布のみの場合との有意差が認められた。
上述した試験結果等を踏まえ、シャフト4に対する導電布6D1の安定した接触状態を保つためには、PETシート37等の薄板状の弾性体を押圧力を上げるように挟むことが有効であり、PETシート37の厚みが0.075mmと0.125mmとの物で、少なくとも十分な機能を果たすことを試験で確認済みである。
【0213】
以上述べたとおり、本発明を特定の実施例を含む実施形態等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した実施形態等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および目的・用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
上記各実施形態および各変形例では、電子写真方式の画像形成装置に用いられる特定の回転体の通電機構、例えばアース機構について例示したが、これに限らず、本発明は、電子写真方式の画像形成装置や、静電記録方式の画像形成装置、あるいは磁気記録方式等の画像形成装置において、通電、例えばアースが必要な回転体に準用できることは無論である。ここで、「電子写真方式、静電記録方式および磁気記録方式による画像形成装置」とは、電子写真感光体、静電記録誘電体、磁気記録磁性体等の像担持体に、電子写真プロセス、静電記録プロセス、磁気記録プロセス等の作像プロセスにより目的の画像情報に応じたトナー画像等の可転写画像を形成・担持させ、その可転写画像を転写バイアスを印加した転写ローラやコロナ放電器等の適宜の転写手段により転写材等のシート状記録媒体側に転写する転写方式の、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ等またはそれら複数の機能を備えた複合機等の画像形成装置を意味する。
【符号の説明】
【0214】
1 感光体(像担持体)
2 フランジ(フランジ部材)
3 ギヤ
4、16 シャフト(被当接部材)
5 アース板(金属製導電性部材)
5p 平板部(被取付部)
6、6A〜6M、6Z 導電布(布状の導電性部材)
6a,6b 切り込み
6e,6g,6h 切り抜き部
7 押圧部材
8 当接方向・挿入方向
10 像担持体ユニット
11 帯電ローラ(帯電手段を構成)
12 現像ローラ(現像手段を構成)
13 クリーニングブレード(クリーニング手段を構成)
14 フレーム
15、15A 中間転写ベルトユニット(ベルトユニット)
18 ステー
19、22、25 軸受
21、21A 定着ユニット
23、26 支持フレーム
24、24Z シート搬送ユニット
32,32A フランジアッシー
33 導電布アッシー
37 PETシート(弾性体)
50 カラー画像形成装置(画像形成装置)
51 本体フレーム(画像形成装置の装置本体)
53 中間転写ベルト(中間転写体)
55 駆動ローラ(駆動回転部材)
56 従動ローラ(従動回転部材)
58 プロセスカートリッジ
62 レジストローラ
64,64A 定着装置
70、76 加熱ローラ(加熱部材)
72、78 加圧ローラ(加圧部材)
73 芯金シャフト(回転シャフト)
74 定着ベルト
80 回転軸(回転シャフト)
S シート・シート状記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0215】
【特許文献1】特開2000−48873号公報
【特許文献2】特開2007−57945号公報
【特許文献3】特開平11−249495号公報
【特許文献4】特許第3950635号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に用いられる回転体の通電機構であって、
布状もしくはシート状の導電性部材の一部を通電対象物側に当接させ、前記導電性部材の他部を、前記回転体、該回転体と共に回転する回転シャフトおよび前記回転体を回転可能に支持するシャフトのうちの何れか一つの被当接部材に面で当接させることにより、前記導電性部材を介して前記通電対象物と前記被当接部材とを通電することを特徴とする回転体の通電機構。
【請求項2】
請求項1記載の回転体の通電機構において、
前記導電性部材は、前記被当接部材に撓んで当接することを特徴とする回転体の通電機構。
【請求項3】
請求項2記載の回転体の通電機構において、
前記導電性部材に対する前記被当接部材の当接方向が、該導電性部材の撓み方向と同一方向であることを特徴とする回転体の通電機構。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一つに記載の回転体の通電機構において、
前記導電性部材は、前記被当接部材を貫通可能とし、かつ、前記被当接部材が貫通したときに前記導電性部材を撓ませて前記被当接部材に当接させる切り込みを有することを特徴とする回転体の通電機構。
【請求項5】
請求項4記載の回転体の通電機構において、
前記切り込みは、前記被当接部材が貫通したときに前記被当接部材と複数箇所で当接可能に複数形成されていることを特徴とする回転体の通電機構。
【請求項6】
請求項5記載の回転体の通電機構において、
前記複数の切り込みの長さが、前記被当接部材貫通時の該被当接部材の外形形状に倣うように調整されていて、前記被当接部材の断面中心から前記外形形状に近づくに従い短く形成されていることを特徴とする回転体の通電機構。
【請求項7】
請求項5記載の回転体の通電機構において、
前記切り込みが、前記導電性部材のほぼ中央から放射状に延びた複数の第1の放射状の切り込みからなることを特徴とする回転体の通電機構。
【請求項8】
請求項7記載の回転体の通電機構において、
第1の放射状の切り込みの長さよりも短く、かつ、前記中央の周りに第1の放射状の切り込みと位相を変えて前記中央から放射状に延びた複数の第2の放射状の切り込みを有することを特徴とする回転体の通電機構。
【請求項9】
請求項8記載の回転体の通電機構において、
前記第2の放射状の切り込みの中央は、前記導電性部材のほぼ中央から偏倚した位置にあることを特徴とする回転体の通電機構。
【請求項10】
請求項7ないし9の何れか一つに記載の回転体の通電機構において、
第1または第2の放射状の切り込みが、第1または第2の放射状の切り込みの中央の周りに互いに隣る切り込みと等間隔で配置されていることを特徴とする通電機構。
【請求項11】
請求項1ないし3の何れか一つに記載の回転体の通電機構において、
前記導電性部材は、前記被当接部材を貫通可能とし、かつ、前記被当接部材が貫通したときに前記導電性部材を撓ませて前記被当接部材に当接させる切り抜き部を有し、
前記切り抜き部は、前記被当接部材貫通時における前記導電性部材との当接状態をしてほぼ線接触とさせる部位を含む形状であることを特徴とする回転体の通電機構。
【請求項12】
請求項11記載の回転体の通電機構において、
前記導電性部材は、前記切り抜き部のほぼ中央から放射状に延びた複数の放射状切り込みを有することを特徴とする回転体の通電機構。
【請求項13】
請求項1ないし3の何れか一つに記載の回転体の通電機構において、
前記導電性部材は、前記被当接部材を貫通可能とし、かつ、前記被当接部材が貫通したときに前記導電性部材を撓ませて前記被当接部材に当接させる切り抜き部を有し、
前記切り抜き部は、前記被当接部材貫通時における前記導電性部材との当接状態が前記被当接部材の断面中心に向かうに従い当接面積を減少させる形状であることを特徴とする回転体の通電機構。
【請求項14】
請求項4ないし13の何れか一つに記載の回転体の通電機構において、
前記導電性部材は、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維およびポリエステル繊維の少なくとも1つの繊維とニッケルおよび銅とを織り込んだ布状材からなる導電布であることを特徴とする回転体の通電機構。
【請求項15】
請求項4ないし14の何れか一つに記載の回転体の通電機構を有し、
前記回転体が、円筒状の導電性基材上に電子写真感光体層、静電記録誘電体層および磁気記録磁性体層の何れか一つを備えた像担持体からなり、
前記像担持体の少なくとも一端部に固定されたフランジ部材を備え、
前記被当接部材が、前記フランジ部材の中心部を貫通することにより前記像担持体を回転可能に支持する前記シャフトからなり、
前記シャフトが、前記導電性部材を貫通したときに該導電性部材を撓ませて該シャフトに当接させ、
その基端部が前記導電性部材と接触すると共に前記フランジ部材に取り付けられ、先端部が前記導電性基材の内壁に固定される金属製導電性部材を具備し、
前記導電性基材と前記シャフトとを、前記金属製導電性部材と前記導電性部材との接触を介して導通することを特徴とする像担持体ユニット。
【請求項16】
請求項15記載の像担持体ユニットにおいて、
前記金属製導電性部材に対して前記導電性部材を押し付ける押圧部材を有することを特徴とする像担持体ユニット。
【請求項17】
請求項16記載の像担持体ユニットにおいて、
前記押圧部材は、ゴム、スポンジを含む非金属弾性体であることを特徴とする像担持体ユニット。
【請求項18】
像担持体と、帯電手段、クリーニング手段および現像手段より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に対して着脱自在に構成されたプロセスカートリッジにおいて、
請求項15ないし17の何れか一つに記載の像担持体ユニットを有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項19】
請求項15ないし17の何れか一つに記載の像担持体ユニットまたは請求項18記載のプロセスカートリッジを具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項20】
転写画像または可転写画像を担持・搬送する無端状のベルトと、該ベルトを巻き掛ける複数の回転部材とを具備し、前記複数の回転部材のうちの少なくとも一つは、駆動回転部材であり、前記駆動回転部材を駆動する駆動手段と、該駆動回転部材と共に前記ベルトを支持する従動回転部材とを備えたベルト装置において、
前記駆動回転部材および前記従動回転部材の少なくとも一方が、円筒状の導電性基材を備えた中空回転部材であり、
請求項4ないし14の何れか一つに記載の回転体の通電機構を有し、
前記回転体が、前記中空回転部材からなり、
前記中空回転部材の少なくとも一端部に固定されたフランジ部材を備え、
前記被当接部材が、前記フランジ部材の中心部を貫通することにより前記中空回転部材を回転可能に支持する前記シャフトからなり、
前記シャフトが、前記導電性部材を貫通したときに該導電性部材を撓ませて該シャフトに当接させ、
その基端部が前記導電性部材と接触すると共に前記フランジ部材に取り付けられ、先端部が前記導電性基材の内壁に固定される金属製導電性部材を具備し、
前記導電性基材と前記シャフトとを、前記金属製導電性部材と前記導電性部材との接触を介して導通することを特徴とするベルトユニット。
【請求項21】
請求項20記載のベルトユニットにおいて、
前記金属製導電性部材に対して前記導電性部材を押し付ける押圧部材を有することを特徴とするベルトユニット。
【請求項22】
請求項21記載のベルトユニットにおいて、
前記押圧部材は、ゴム、スポンジを含む非金属弾性体であることを特徴とするベルトユニット。
【請求項23】
転写画像または可転写画像を担持・搬送する無端状のベルトと、該ベルトを巻き掛ける複数の回転部材とを具備し、前記複数の回転部材のうちの少なくとも一つは、駆動回転部材であり、前記駆動回転部材を駆動する駆動手段と、該駆動回転部材と共に前記ベルトを支持する従動回転部材とを備えたベルト装置において、
請求項4ないし14の何れか一つに記載の回転体の通電機構を有し、
前記被当接部材が、前記駆動回転部材および前記従動回転部材の少なくとも一つからなり、
前記駆動回転部材および前記従動回転部材の少なくとも一つが、前記導電性部材を貫通したときに該導電性部材を撓ませて前記駆動回転部材および前記従動回転部材の少なくとも一つに当接させ、前記駆動回転部材および前記従動回転部材の少なくとも一つと前記通電対象物とを前記導電性部材を介して導通することを特徴とするベルトユニット。
【請求項24】
請求項23記載のベルトユニットにおいて、
前記ベルトが、中間転写体としての中間転写ベルト、電子写真感光体層、静電記録誘電体層および磁気記録磁性体層の何れか一つを備えた像担持体ベルトおよび転写搬送体としての転写搬送ベルトの何れか一つであることを特徴とするベルトユニット。
【請求項25】
熱源と弾性層とを備えた加熱部材と、該加熱部材に圧接してニップ部を形成する加圧部材とを有し、未定着の転写画像が形成されたシート状記録媒体を搬送して前記ニップ部を通過させ、シート状記録媒体上の未定着転写画像を定着する定着装置において、
請求項4ないし14の何れか一つに記載の回転体の通電機構を有し、
前記回転シャフトは、前記加熱部材および前記加圧部材の少なくとも一つに配設されており、
前記被当接部材が、前記加熱部材および前記加圧部材の少なくとも一つに配設された前記回転シャフトからなり、
前記加熱部材および前記加圧部材の少なくとも一つの前記回転シャフトが、前記導電性部材を貫通したときに該導電性部材を撓ませて前記回転シャフトに当接させ、該回転シャフトと前記通電対象物とを前記導電性部材を介して導通することを特徴とする定着ユニット。
【請求項26】
無端状の定着ベルトと、熱源を内蔵する加熱部材と、該加熱部材と共に前記定着ベルトが掛け渡される定着部材と、該定着部材を介して前記定着ベルトに圧接してニップ部を形成する加圧部材とを有し、未定着の転写画像が形成されたシート状記録媒体を搬送して前記ニップ部を通過させ、シート状記録媒体上の未定着転写画像を定着する定着装置において、
請求項4ないし14の何れか一つに記載の回転体の通電機構を有し、
前記回転体は、前記加熱部材、前記定着部材および前記加圧部材の少なくとも一つに配設されており、
前記被当接部材が、前記加熱部材、前記定着部材および前記加圧部材の少なくとも一つに配設された前記回転体からなり、
前記加熱部材、前記定着部材および前記加圧部材の少なくとも一つが、前記導電性部材を貫通したときに該導電性部材を撓ませて前記加熱部材、前記定着部材および前記加圧部材の少なくとも一つに当接させ、前記加熱部材、前記定着部材および前記加圧部材の少なくとも一つと前記通電対象物とを前記導電性部材を介して導通することを特徴とする定着ユニット。
【請求項27】
請求項25または26記載の定着ユニットにおいて、
前記通電対象物側に対して前記導電性部材を押し付ける押圧部材を有することを特徴とする定着ユニット。
【請求項28】
請求項27記載の定着ユニットにおいて、
前記押圧部材は、ゴム、スポンジを含む非金属弾性体であることを特徴とする定着ユニット。
【請求項29】
シート状記録媒体搬送用の搬送部材に配設された回転軸を支持する支持部材により回転自在に支持し、前記搬送部材とシート状記録媒体間の摩擦帯電により生じる静電気を通電するシート搬送装置において、
請求項4ないし14の何れか一つに記載の回転体の通電機構を有し、
前記回転シャフトは、前記搬送部材に配設された導電性の回転軸からなり、
前記被当接部材が、前記回転軸からなり、
前記回転軸が、前記導電性部材を貫通したときに該導電性部材を撓ませて前記回転軸に当接させ、該回転軸と前記通電対象物とを前記導電性部材を介して導通することを特徴とするシート搬送ユニット。
【請求項30】
請求項29記載のシート搬送ユニットにおいて、
前記通電対象物側に対して前記導電性部材を押し付ける押圧部材を有することを特徴とするシート搬送ユニット。
【請求項31】
請求項30記載のシート搬送ユニットにおいて、
前記押圧部材は、ゴム、スポンジを含む非金属弾性体であることを特徴とするシート搬送ユニット。
【請求項32】
請求項20ないし24の何れか一つに記載のベルトユニット、請求項25ないし28の何れか一つに記載の定着ユニット、および請求項29ないし31の何れか一つに記載のシート搬送ユニットの少なくとも一つのユニットを具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項33】
画像形成装置に用いられる、布状もしくはシート状の導電性部材を使用した回転体の通電方法であって、
前記回転体、該回転体と共に回転する回転シャフトおよび前記回転体を回転可能に支持するシャフトのうちの何れか一つの被当接部材と通電対象物とを、前記導電性部材を介して電気的に導通する際に、前記被当接部材の長手方向と直交する該被当接部材の端面を前記導電性部材に突き当てることにより、前記導電性部材を介して前記通電対象物と前記被当接部材とを通電することを特徴とする回転体の通電方法。
【請求項34】
画像形成装置に用いられる、布状もしくはシート状の導電性部材を使用した回転体の通電方法であって、
前記回転体、該回転体と共に回転する回転シャフトおよび前記回転体を回転可能に支持するシャフトのうちの何れか一つの被当接部材と通電対象物とを、前記導電性部材を介して電気的に導通する際に、前記被当接部材の長手方向と直交する該被当接部材の端部を貫通可能とし、かつ、前記端部が貫通したときに前記導電性部材を撓ませて前記被当接部材に当接させるための切り込みおよび切り抜き部の少なくとも一方の貫通当接部を予め形成しておき、その後、前記被当接部材を前記貫通当接部に貫通することにより、前記導電性部材を介して前記通電対象物と前記被当接部材とを通電することを特徴とする回転体の通電方法。
【請求項35】
被当接部材に面で当接させる布状もしくはシート状の導電性部材。
【請求項36】
請求項35記載の導電性部材において、
前記導電性部材は、前記被当接部材に撓んで当接することを特徴とする導電性部材。
【請求項37】
請求項36記載の導電性部材において、
前記導電性部材は、前記被当接部材を貫通可能とし、かつ、該被当接部材が貫通したときに前記導電性部材を撓ませて前記被当接部材に当接させる切り込みを有することを特徴とする導電性部材。
【請求項38】
請求項37記載の導電性部材において、
前記切り込みは、前記被当接部材が貫通したときに前記被当接部材と複数箇所で当接可能に複数形成されていることを特徴とする導電性部材。
【請求項39】
請求項38記載の導電性部材において、
前記切り込みが、前記導電性部材のほぼ中央から放射状に延びた複数の第1の放射状の切り込みからなることを特徴とする導電性部材。
【請求項40】
請求項39記載の導電性部材において、
前記導電性部材の前記被当接部材が当接する部分と異なる箇所に、該被当接部材に前記導電性部材を押し付ける押圧部材を有することを特徴とする導電性部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60A】
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【図60B】
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【図61】
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【図62】
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【図63A】
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【図63B】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【公開番号】特開2012−83505(P2012−83505A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229137(P2010−229137)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】