説明

回転式の現像装置および画像形成装置

【課題】本発明は、現像器から排出される現像剤の排出量の精度を向上させることを技術的課題とする。
【解決手段】現像器(GY,GM,GC,GK)は、現像容器(1)と、現像容器(1)に支持された排出部(26)であって、前記第1の排出口(21)から排出された現像剤が収容される第1の排出部(27)と、前記第1の排出部(27)に隣接して配置され内部に現像剤が収容される第2の排出部(29)と、第1の排出部(27)と第2の排出部(29)とを仕切る仕切り壁(31)と、を有する排出部(26)と、仕切り壁(31)を貫通して配置され第1の排出部(27)から第2の排出部(29)に現像剤を搬送する搬送部材(41)であって、現像器(GY,GM,GC,GK)が回転位置(P1)に移動した場合に駆動が伝達される搬送部材(41)とを備えたことを特徴とする回転式の現像装置(G)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式の現像装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置において、消費された現像剤を補給しながら劣化した現像剤を少しずつ排出する現像器に関して、以下の特許文献1〜4に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1としての特許第4323755号には、4つの現像器(11Y,11M,11C,11K)が円筒状の回動軸(104b)を中心に回動して、感光体ドラム(101)に対向する現像位置(P1)に順に移動する回転式の現像装置(104)において、現像器(11Y,11M,11C,11K)の上壁に形成され溢れた現像剤が排出される排出口(1)と、回転軸(3b)を中心に自重で現像器(11Y,11M,11C,11K)の内側に回動して排出口(1)を開閉するシャッター部材(3)と、排出口(1)と回動軸(104b)に内蔵された回収剤搬送パイプ(5)とを接続する排出通路(4)と、が設けられた構成が記載されている。
【0004】
特許文献1記載の発明において、現像位置(P1)の現像器(11Y,11M,11C,11K)では、自重によりシャッター部材(3)が水平状態から下方に回転して排出口(1)が開放され、排出口(1)から溢れた現像剤が斜め下方に傾斜する排出通路(4)を自重で落下、搬送されて回収材搬送パイプ(5)に回収される。そして、現像器(11Y,11M,11C,11K)が現像位置(P1)から回転すると、シャッター部材(3)は自重や現像器(11Y,11M,11C,11K)に収容された現像剤により押されて回転して排出口(1)を塞ぎ、排出口(1)からの現像剤の排出が防止される。
【0005】
特許文献2としての特許第4012041号には、3つの現像装置(200Y,200M,200C)を現像位置(P1)に順に移動させる回動式のロータリ現像装置(101)において、現像容器(11)の現像剤を撹拌する第2現像剤循環スクリュー(7b)と、現像容器(11)の上壁に形成されて現像剤を排出する現像剤排出口(1)と、現像容器(11)の内壁に設けられた回転軸を中心に自重で現像剤排出口(1)が形成された現像容器(11)の壁と第2現像剤循環スクリュー(7b)との間で回動して現像剤排出口(1)を開閉するシャッター部材(2)と、現像剤排出口(1)とロータリ現像装置(101)の回動軸に内蔵された回収材搬送パイプ(5)とを接続する回収路(3)と、が設けられた構成が記載されている。
【0006】
特許文献2記載の発明において、現像位置(P1)の現像装置(200Y,200M,200C)では、シャッター部材(2)が自重で回転して、現像剤排出口(1)が開放され、第2現像剤循環スクリュー(7b)の回転に伴って片寄った現像剤の上面が現像剤排出口(1)まで上昇して、溢れた現像剤が現像剤排出口(1)から回収路(3)に排出される。そして、現像装置(200Y,200M,200C)が現像位置(P1)から回転すると、回収路(3)が傾斜して、回収路(3)内の現像剤が自重により回収路(3)に沿って落下、搬送され回収材搬送パイプ(5)に回収される。このとき、シャッター部材(2)は自重や現像容器(11)に収容された現像剤により押されて回転して現像剤排出口(1)を塞ぎ、現像剤排出口(1)からの現像剤の排出が防止される。
【0007】
特許文献3としての特開2007−86311号公報には、回転式現像装置(10)において、現像器(12Y,12M,12C,12K)の側壁面に形成された排出口(64)に対向して配置された平板状の排出促進羽根(48)が、現像器(12Y,12M,12C,12K)の内部の現像剤を排出口(64)から現像器(12Y,12M,12C,12K)の側方の貯留室(62)に排出すると共に、排出口(64)と第二撹拌オーガ(40)との間でシャッター(60)が回動して排出口(64)を開閉する構成が記載されている。
特許文献3記載の発明において、現像位置(P1)では、自重によりシャッター(60)が下方に回転して、排出口(64)が開放され、現像剤が排出口(64)から貯留室(62)に排出される。そして、現像器(12Y,12M,12C,12K)が現像位置(P1)から90°上方に回転すると、自重等によりシャッター(60)が排出口(64)を塞ぐと共に、貯留室(62)の現像剤が自重により、貯留室(62)の斜め下方の現像剤カートリッジ(80)の回収室(84)に搬送される。
【0008】
特許文献4としての特開2000−112229号公報には、ロータリ式の現像ユニット(D)において、現像器(Dy,Dm,Dc,Dk)の上壁に形成された現像剤廃出口(68)に対向する位置に、上流側の通常搬送部(R2c)よりも径が小さい螺旋状の低搬送部(R2d)を設けて、現像剤の搬送力を低下させて、滞留した現像剤を現像剤排出口(68)から溢れさせて、現像ユニット(D)の回転軸に内蔵された現像剤排出筒(51)まで延びる連通路形成部材(72)に排出すると共に、現像器(Dy,Dm,Dc,Dk)の上壁に沿ってスライド移動可能に支持されたシャッター(W)が現像剤廃出口(68)を開閉する構成が記載されている。
【0009】
特許文献4記載の発明において、現像位置(P1)では、現像剤が現像剤排出口(68)から連通路形成部材(72)に排出され、現像器(Dy,Dm,Dc,Dk)が現像位置(P1)から90°上方の第2停止位置(P2)に回転する際に、自重によりシャッター(60)が現像器(Dy,Dm,Dc,Dk)の上壁面に沿ってスライド移動して現像剤排出口(68)を塞ぐと共に、連通路形成部材(72)に排出された現像剤が自重により、連通路形成部材(72)の斜め下方の現像剤排出筒(51)に搬送される。なお、シャッター(60)は、第2停止位置(P2)からさらに180°回転した第4停止位置(P4)で自重により開放され、シャッター(60)が開放された状態で90°回転して、現像位置(P1)に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4323755号(「0033」、「0034」、「0043」〜「0045」、「0052」、「0053」、「0061」〜「0072」、図1〜図5)
【特許文献2】特許第4012041号(「0051」、「0052」、「0056」〜「0061」、「0070」〜「0073」、「0080」〜「0088」、「0119」〜「0125」、図1〜図9)
【特許文献3】特開2007−86311号公報(「0043」〜「0052」、「0058」〜「0061」、「0068」〜「0071」、「0074」〜「0081」、「0084」〜「0089」、図1〜図8、図13)
【特許文献4】特開2000−112229号公報(「0023」、「0029」、「0034」、「0037」、「0041」、「0044」、「0045」、「0071」〜「0080」、図1〜図15、図18、図19)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、現像器から排出される現像剤の排出量の精度を向上させることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の回転式の現像装置は、
像保持体の表面に形成された潜像を可視像に現像する現像器を複数有し、回転軸を中心として、前記像保持体に対向する現像位置に各現像器を順に移動させる回転式の現像装置であって、
前記現像器は、
内部に現像剤が収容される現像容器と、
前記現像容器に形成され且つ現像剤が排出される第1の排出口と、
前記現像容器に支持された排出部であって、前記第1の排出口から排出された現像剤が収容される第1の排出部と、前記第1の排出部に隣接して配置され内部に現像剤が収容される第2の排出部と、前記第1の排出部と前記第2の排出部とを仕切る仕切り部と、前記第2の排出部に形成され且つ前記第2の排出部から現像剤が排出される第2の排出口と、を有する前記排出部と、
前記仕切り部を貫通して配置され前記第1の排出部から前記第2の排出部に現像剤を搬送する搬送部材であって、前記回転軸を中心として回転する前記現像器が予め設定された回転位置に移動した場合に駆動が伝達される前記搬送部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転式の現像装置において、
前記現像器が前記予め設定された回転位置としての前記現像位置に移動した場合に駆動が伝達される前記搬送部材、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の回転式の現像装置において、
前記第1の排出部から前記第2の排出部に現像剤を排出する現像剤の排出方向に沿って延びる軸部と、前記軸部に支持された搬送羽根と、を有する前記搬送部材と、
前記排出部に対して、前記軸部の軸方向にずれた位置に配置され且つ前記現像容器に補給される現像剤が収容される補給部と、
前記排出部および前記補給部を貫通して延びる前記軸部と、
前記排出部の内部に配置され且つ前記軸部の回転に伴って前記第1の排出部の現像剤を前記第2の排出部に搬送する第1の搬送羽根と、前記補給部の内部に配置され且つ前記軸部の回転に伴って前記補給部の現像剤を前記現像容器に向けて搬送する第2の搬送羽根と、を有する前記搬送羽根と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の回転式の現像装置において、
前記第1の排出部から前記第2の排出部に現像剤を排出する現像剤の排出方向に沿って延びる軸部と、前記軸部に支持され且つ前記仕切り部の内部に収容された螺旋状の搬送羽根であって、前記軸部が1回転した場合に前記現像剤の排出方向に現像剤が搬送される距離であるピッチについて、前記搬送羽根の1ピッチが、前記仕切り部の前記現像剤の排出方向に沿った長さよりも短く設定された前記搬送羽根と、を有する前記搬送部材、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の回転式の現像装置において、
前記第1の排出部の内部に配置され且つ前記第1の排出口の側方に配置されて、磁性を有する現像剤を保持する磁石部材と、
前記磁石部材に対応して配置され且つ前記磁石部材に保持された現像剤を掻き取る掻き取り部を有する前記搬送部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
前記技術的課題を解決するために、請求項6に記載の発明の画像形成装置は、
回転する像保持体と、
前記像保持体の表面に形成された潜像を可視像に現像する請求項1ないし5のいずれかに記載の回転式の現像装置と、
前記像保持体の表面の可視像を媒体に転写する転写装置と、
前記媒体に転写された可視像を定着する定着装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1、6に記載の発明によれば、仕切り部で仕切られた第1の排出部から第2の排出部に搬送部材が現像剤を搬送しない構成に比べて、現像器から排出される現像剤の排出量の精度を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、現像動作が行われる現像位置において現像剤の排出を実行できる。
請求項3に記載の発明によれば、軸部に第1の搬送羽根と第2の搬送羽根とが支持された1つの搬送部材で現像剤の排出と供給とを行うことができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、仕切り部の内部に収容される搬送羽根が1ピッチ未満の構成に比べて、搬送部材が停止した場合における第1の排出部から第2の排出部への現像剤の移動を低減できる。
請求項5に記載の発明によれば、磁性を有する磁石部材を有しない構成に比べて、第1の排出部への現像剤の過剰な排出を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は本発明の現像装置の実施例1の第1の排出口に対応する部分の要部の拡大断面図である。
【図3】図3は本発明の現像装置の実施例1の仕切り部に対応する部分の要部の拡大断面図である。
【図4】図4は本発明の現像装置の実施例1の第2の排出口に対応する部分の要部の拡大断面図である。
【図5】図5は本発明の現像装置の実施例1の補給口に対応する部分の要部の拡大断面図である。
【図6】図6は実施例1の現像器の斜視図で、図6Aは前記現像器からトナーカートリッジが取り外されている状態を示す図、図6Bは前記現像器にトナーカートリッジが装着されている状態を示す図である。
【図7】図7は前記図2のVII−VII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0022】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、実施例1の画像形成装置の一例としてのプリンタUは、画像形成装置本体の一例としてのプリンタ本体U1を有し、プリンタ本体U1の上面に第1の積載部の一例であって、第1の排出部の一例としての排紙トレイTRhが設けられている。プリンタ本体U1の下部には画像が記録される媒体の一例としての記録シートSが収容される給紙容器の一例としての給紙トレイTR1が収容される。また、プリンタ本体U1の前面中央部には、内部の交換可能な部材の交換時に開閉される開閉部材の一例としてのサイドカバーU2が図示しない回転中心を中心として回転可能に支持されている。
【0023】
また、実施例1の前記プリンタ本体U1は、使用者であるユーザが入力操作する操作部UI、制御部C、および、前記制御部Cにより制御される潜像書込装置駆動回路の一例としてのレーザ駆動回路DLや、画像処理部GS、電源回路E等を有している。なお、実施例1の制御部Cは、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行う入出力信号調節部の一例としてのI/O:入出力インターフェース、必要な処理を実行するためのプログラムおよびデータ等が記憶されたROM:リードオンリーメモリ、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリ、ROMに記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置ならびにクロック発振器等を有する計算機の一例としてのコンピュータにより構成されており、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0024】
前記画像処理部GSは、外部の情報処理装置等から入力された画像情報、いわゆる、画像データを書込用の画像データに変換して一時的に記憶し、前記画像データを予め設定された時期、いわゆる、タイミングで潜像形成用の画像データとしてレーザ駆動回路DLに出力する。前記レーザ駆動回路DLは、入力された画像データに応じてレーザ駆動信号を潜像形成装置ROSに出力する。前記潜像形成装置ROSは、レーザ駆動信号に応じて画像書き込み用の画像書込光、いわゆる、レーザビームLを照射する。なお、操作部UI、画像処理部GSおよびレーザ駆動回路DLと、後述する現像ロールGRy〜GRk、転写ロールT1,T2bに電圧を印加する電源回路E等の動作は制御部Cにより制御される。
【0025】
前記潜像形成装置ROSの上方に配置された回転駆動する像保持体の一例としての感光体PRは、その表面が帯電器の一例としての帯電ロールCRにより一様に帯電された後、潜像書込位置Q1において前記潜像形成装置ROSのレーザビームLにより露光走査されて静電潜像が形成される。フルカラー画像を形成する場合は、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の4色の画像に対応した静電潜像が順次形成され、モノクロ画像の場合はK:黒の画像に対応した静電潜像のみが形成される。
前記静電潜像が形成された感光体PR表面は回転移動して現像領域Q2、1次転写領域Q3を順次通過する。
【0026】
前記潜像形成装置ROSの上方には、回転式、いわゆるロータリ式の現像装置Gが配置されている。前記現像装置Gは、回転軸Gaの回転に伴って前記現像領域Q2に順次回転移動するY:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の4色の現像器GY,GM,GC,GKを有している。前記各色の現像器GY〜GKは、前記現像領域Q2に現像剤を搬送する現像剤保持体の一例としての現像ロールGRy,GRm,GRc,GRkを有しており、現像領域Q2を通過する感光体PR上の静電潜像を可視像の一例としてのトナー像に現像する。前記各現像器GY〜GKの現像器本体にはそれぞれ現像剤補給容器の一例としてのトナーカートリッジTCy,TCm,TCc,TCkから各色の現像剤、すなわち、トナーが補給されるように構成されている。
【0027】
前記感光体PRの上方には、中間転写体の一例としての無端状の中間転写ベルトBが配置されている。前記中間転写ベルトBは、回転駆動するための駆動部材の一例としての駆動ロールRdと、1次転写電圧が印加される1次転写器の一例としての1次転写ロールT1と、中間転写ベルトBに張力を発生させる張力発生部材の一例としてのテンションロールRtと、対向部材の一例としてのバックアップロールT2aと、中間転写ベルトBを支持する支持部材の一例としてのフリーロールRfとにより支持されている。前記各ロールRd,T1,Rf,Rt,T2aにより中間転写体支持部材の一例としてのベルト支持部材Rd,T1,Rf,Rt,T2aが構成されている。そして、前記中間転写ベルトBは前記駆動ロールRdにより回転移動可能に支持されており、画像形成動作時には矢印Yb方向に回転する。
【0028】
多色画像、すなわち、フルカラー画像を形成する場合、潜像書込位置Q1において第1色目の静電潜像が形成され、現像領域Q2において1色目のトナー像が形成される。このトナー像は、1次転写領域Q3を通過する際に、1次転写ロールT1によって中間転写ベルトB上に静電的に1次転写される。その後同様にして、第1色目のトナー像を保持した中間転写ベルトB上に、第2色目、第3色目、第4色目のトナー像が順次重ねて1次転写され、最終的にフルカラーの多重トナー像が中間転写ベルトB上に形成される。
単色のモノカラー画像を形成する場合には1個の現像器のみを使用し、単色トナー像が中間転写ベルトB上に1次転写される。
1次転写後、感光体PR表面は、像保持体清掃器の一例としての像保持体クリーナCL1により清掃、すなわち、クリーニングされる。前記像保持体クリーナCL1により表面に付着した残留トナーが回収された感光体PRは、前記帯電ロールCRにより再帯電される。
【0029】
前記バックアップロールT2aに対向する位置には、2次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bが前記バックアップロールT2aに対して離隔した位置と接触した位置との間で移動可能に配置されている。前記バックアップロールT2aおよび2次転写ロールT2bにより2次転写器T2が構成されている。また、前記バックアップロールT2aおよび2次転写ロールT2bの接触領域により2次転写領域Q4が形成されている。
前記2次転写ロールT2bには、現像装置Gで使用するトナーの帯電極性と逆極性の2次転写電圧が電源回路Eから供給される。
前記1次転写ロールT1と、前記2次転写器T2と、前記中間転写ベルトB等とによって実施例1の転写装置T1+T2+Bが構成されている。
【0030】
前記給紙トレイTR1は、前記2次転写領域Q4に搬送するための記録シートSを収容しており、その左右両側に前後方向に沿って配置された一対の案内部材の一例としてのレールに沿って移動可能に支持されている。前記給紙トレイTR1の給紙側上部に支持された取り出し部材の一例としてのピックアップロールRpは、予め設定された給紙時期、すなわち、給紙タイミングに合わせて前記給紙トレイTR1に積載された記録シートSを取り出す。前記記録シートSは、捌き用の搬送部材の一例としてのフィードロールRs1および捌き用の押し当て部材の一例としてのリタードロールRs2を有する捌き部材の一例としてのさばきロールRsの圧接領域で1枚づつ分離されて、給紙路SH1に搬送される。給紙路SH1上の記録シートSは、複数の媒体搬送部材の一例としてのシート搬送ロールRaにより、調節搬送部材の一例としてのレジロールRrに搬送される。レジロールRrは、記録シートSを前記給紙路SH1の下流側の搬送路の一例としての主搬送路SH2に搬送し、前記2次転写領域Q4に予め設定された時期に搬送する。
前記ピックアップロールRp、前記さばきロールRs等により、実施例1の給紙装置Rp+Rsが構成されている。
【0031】
また、手差し給紙部の一例としての手差トレイTR0から給紙された記録シートSも、手差し用の媒体搬送路の一例としての手差しシート搬送路SH0から手差し用の搬送部材の一例としての手差シート搬送ロールRp0によりプリンタ本体U1内に搬送され、前記シート搬送路SHに沿って配置されたシート搬送ロールRa、レジロールRrにより前記2次転写領域Q4に搬送される。
2次転写領域Q4を通過する記録シートSには、2次転写器T2により、中間転写ベルトB上のトナー像が2次転写される。2次転写後の中間転写ベルトBの表面に残留したトナーは、中間転写体清掃部材の一例としてのベルトクリーナCLBにより回収され、クリーニングされる。また、前記2次転写ロールT2bは、2次転写器清掃器の一例としての2次転写ロールクリーナCLtにより付着した紙粉等が除去される。
【0032】
前記2次転写領域Q4において未定着のトナー像が転写された記録シートSは、トナー像が未定着の状態で定着装置Fに搬送される。前記定着装置Fは、加熱部材の一例としての加熱ロールFhと加圧部材の一例としての加圧ロールFpとが接触する定着領域Q5でトナー像を加熱・加圧し、定着する。
前記感光体PR、現像装置G、転写装置T1+T2+B、定着装置F等により、実施例1の画像記録装置PR+G+T1+T2+B+Fが構成されている。
【0033】
また、前記定着装置Fの搬送方向下流側である上方には、記録シートSを排紙トレイTRhに搬送する場合に第1の媒体排出路の一例としての排紙路SH3と、反転や画像記録面を上側にして排出される記録シートSが搬送される分岐搬送路の一例としての上方接続路SH4が配置されている。前記排紙路SH3と上方接続路SH4とが接続されている分岐部B1には、記録シートSの搬送先に応じて搬送路を切り替える搬送路切り替え部材の一例としての第1ゲートGT1が配置されている。したがって、排紙トレイTRhに排出される場合には、定着された記録シートSが排紙路SH3を搬送され、第1の排出部材の一例としての排紙ロールRhにより排紙トレイTRhに排出される。
【0034】
図1において、前記定着装置Fの上方には、追加搬送装置の一例としてのオプション排出ユニットU3が支持されており、前記オプション排出ユニットU3は、前記排紙トレイTRhの上方に配置され、排紙トレイTRhと同様に画像記録面が下側になる状態で積載される第2の積載部の一例であって、第2の排出部の一例としてのフェイスダウントレイTRh2と、画像記録面が上側になる状態で積載される第3の積載部の一例であって、第3の排出部の一例としてのフェイスアップトレイTRh3とを有する。
【0035】
前記オプション排出ユニットU3内部には、前記上側接続路SH4に接続される搬送路の一例としての反転・排出の共通路SH5と、前記反転・排出の共通路SH5に接続され且つフェイスダウントレイTRh2に記録シートSを送る第2の媒体排出路の一例としてのフェイスダウン排出路SH6と、前記反転・排出共通路SH5に接続され且つフェイスアップトレイTRh3に記録シートSを送る第3の媒体排出路の一例としてのフェイスアップ排出路SH7とを有する。前記フェイスダウン排出路SH6には、第2の排出部材の一例であって、媒体反転部材の一例としての正逆回転可能な反転ロールRh2が配置されており、前記フェイスアップ排出路SH7には、第3の排出部材の一例としてのフェイスアップ排紙ロールRh3が配置され、各排出路SH6,SH7の記録シートSを搬送する。
【0036】
前記反転・排出共通路SH5、フェイスダウン排出路SH6およびフェイスアップ排出路SH7の分岐部B2には、記録シートSの搬送路を切り替える搬送路切り替え部材の一例としての第2ゲートGT2が配置されている。前記第2ゲートGT2は、記録シートSがフェイスダウントレイTRh2に排出される場合と両面印刷のために反転される場合にフェイスダウン排出路SH6に搬送路を切り替え、記録シートSがフェイスアップトレイTRh3に排出される場合にはフェイスアップ排出路SH7に搬送路を切り替える。
ここで、前記上方接続路SH4、反転・排出共通路SH5及びフェイスダウン排出路SH6により、実施例1の第2の排紙路SH4+SH5+SH6が構成されている。
また、前記上方接続路SH4、反転・排出共通路SH5及びフェイスアップ排出路SH7により、実施例1の第3の排紙路SH4+SH5+SH7が構成されている。
【0037】
また、図1において、前記プリンタ本体U1の左側部には、追加ユニットの一例としての反転ユニットU4が設置されている。前記反転ユニットU4には、反転・排出共通路SH5の下端部に接続され、両面印刷時に記録シートSが搬送される搬送路の一例としての反転路SH8が設けられている。前記反転路SH8は、重力方向に沿って直線上に延びる主反転路SH8aと、前記主反転路SH8aと反転・排出共通路SH5とを接続する上流側反転路SH8bと、前記主反転路SH8aとレジロールRrとを接続する下流側反転路SH8cとを有する。前記上流側反転路SH8bと反転・排出共通路SH5との接続部B3には、記録シートSが反転時に上方接続路SH4に搬送されないよう搬送路を切り替える搬送路切り替え部材の一例としての第3ゲートGT3が配置されている。前記反転・排出共通路SH5やフェイスダウン排出路SH6の搬送方向下流側の搬送路である反転路SH8には、反転路SH8内の記録シートSを搬送する反転路搬送部材の一例としての反転路搬送ロールRa2が配置されている。
【0038】
したがって、両面印刷がされる記録シートSは、前記反転・排出共通路SH5を搬送されて、反転ロールRh2により記録シートSの後端部が挟まれた状態になるまでフェイスダウントレイTRh2に排出された後、反転ロールRh2が逆回転し、記録シートSが反転路SH8に搬送される。すなわち、記録シートSが反転ロールRh2において、いわゆるスイッチバックがされて反転路SH8に搬送される。前記反転路SH8を搬送された記録シートSは、反転路搬送ロールRa2により搬送され、表裏が反転した状態で、レジロールRrに搬送される。
各符号SH1〜SH8,Rp,Rp0,Rs,Ra,Ra2,Rr,Rh〜Rh3等の部材により、実施例1の媒体搬送装置BHSが構成されている。
【0039】
(回転式の現像装置の説明)
図2は本発明の現像装置の実施例1の第1の排出口に対応する部分の要部の拡大断面図である。
図3は本発明の現像装置の実施例1の仕切り部に対応する部分の要部の拡大断面図である。
図4は本発明の現像装置の実施例1の第2の排出口に対応する部分の要部の拡大断面図である。
図5は本発明の現像装置の実施例1の補給口に対応する部分の要部の拡大断面図である。
図1〜図5において、前記現像装置Gは、前後方向に延びる回転軸Gaと、回転軸Gaに支持されたY,M,C,Kの4色の現像器GY,GM,GC,GKとを有する。
図2〜図5において、各現像器GY〜GKは、回転軸Gaの回転に伴って回転移動し、順次、第1の回転位置の一例であり現像位置の一例としての第1停止位置P1、第2の回転位置の一例としての第2停止位置P2、第3の回転位置の一例としての第3停止位置P3、および第4の回転位置の一例としての第4停止位置P4に停止するように構成されている。
本実施例1では、前記第1停止位置P1は、感光体PRの表面の潜像を可視像に現像する現像位置であると同時に、現像剤の排出が行われる排出位置と、現像剤の補給が行われる補給位置を兼ねており、この第1停止位置で各現像器GY〜GKの現像動作が行われる。
【0040】
図6は実施例1の現像器の斜視図で、図6Aは前記現像器からトナーカートリッジが取り外されている状態を示す図、図6Bは前記現像器にトナーカートリッジが装着されている状態を示す図である。
図7は前記図2のVII−VII線断面図である。
次に、実施例1の現像器GY〜GKの説明を行うが、4つの現像器GY〜GKは同様に構成されているため、K色の現像器GKについてのみ説明し、その他の現像器GY,GM,GCについては詳細な説明は省略する。
図2〜図7において、実施例1の現像器GKは、内部に現像剤が収容される現像容器1を有する。なお、実施例1では、現像容器1は、現像剤の一例として、負極性に帯電されるトナーおよび正極性に帯電される磁性キャリアから成る2成分現像剤を収容している。
【0041】
現像容器1は、下部の容器本体2と、容器本体2の上面を塞ぐ蓋部材の一例としての現像容器カバー3とを有する。
前記容器本体2は、その内側に、現像部材の一例としての現像ロールGRkを収容する現像部材の収容部の一例としての現像ロール収容室6と、前記現像ロール収容室6に隣接して第1の撹拌部の一例としての供給室7と、第2の撹拌部の一例として、供給室7に隣接する撹拌室8とを有している。前記現像ロール収容室6の下部には、層厚規制部材の一例として、現像ロールGRkに対向して配置されて、現像ロールGRkの表面に保持された現像剤の層厚を規制するためのトリマー9が支持されている。
【0042】
図2〜図5、図7において、前記現像ロールGRkは、磁石ロールの外側にスリーブを設けた従来公知のものである。そして、前記供給室7の現像剤は、磁石ロールの磁力によって現像ロールGRkの表面上に吸着され、トリマー9で層厚が規制された後、現像領域Q2に搬送される。
図7において、供給室7と撹拌室8との間には、循環室の仕切り部の一例として、前後方向の両端以外の部分に循環室の仕切り壁11が形成されており、供給室7と撹拌室8とは、前後方向の両端部の接続部E1,E2で接続されている。
また、前記供給室7および撹拌室8には、現像剤の搬送部材の一例として、現像剤を攪拌しながら搬送するサプライオーガR1およびアドミクスオーガR2が配置されている。
図7において、サプライオーガR1は、現像剤の搬送方向に延びる回転軸R1aと、前記回転軸R1aの外周に支持された螺旋状の供給用の搬送羽根R1bとを有している。また、アドミクスオーガR2も同様に、回転軸R2aおよび撹拌用の搬送羽根R2bを有している。
【0043】
現像ロールGRkの後端には、回転伝達部材の一例としてのギアG0が支持されている。サプライオーガR1の回転軸R1aの後端には、回転伝達部材の一例として、現像ロールGRkのギアG0に噛み合うギアG1が支持されており、アドミクスオーガR2の回転軸R2aの後端には、回転伝達部材の一例として、サプライオーガR1のギアG1に噛み合うギアG2が支持されている。前記ギアG0は、第1停止位置P1に移動した場合に、プリンタ本体U1に支持された図示しない駆動歯車に噛み合って駆動が伝達される。
したがって、各ギアG0〜G2が回転すると、現像ロールGRkおよびオーガR1,R2が回転し、オーガR1,R2により、供給室7および撹拌室8の現像剤が互いに逆方向に撹拌されながら搬送される。したがって、容器本体2内の現像剤は、オーガR1,R2により循環する。前記供給室7および撹拌室8により循環室7+8が構成され、オーガR1,R2により循環搬送部材R1+R2が構成されている。
【0044】
前記現像容器カバー3の上面には、トナーカートリッジTCkが着脱可能に支持されている。なお、トナーカートリッジTCkの着脱構造や、着脱時に開閉されるシャッター等に関しては、例えば、特開2008−64186号公報や特開2008−83639号公報等に記載されており、従来公知の種々の構成を採用可能であるため、図示および詳細な説明は省略する。
図6Bにおいて、実施例1のトナーカートリッジTCkは、前部に配置され且つ排出された現像剤を収容する廃棄収容部12と、中央部から後部に配置され且つ現像器GKに補給される新規の現像剤を収容する補給収容部13とを有する。廃棄収容部12の底部には、流入部の一例として、廃棄される現像剤が流入する廃棄流入口12aが形成されており、補給収容部13の底部には、流出部の一例として、補給される現像剤が流出する補給流出口13aが形成されている。前記補給収容部13には、補給用の搬送部材の一例として、内部の現像剤を補給流出口13aに向けて搬送するアジテータ14が回転可能に支持されている。アジテータ14の後端には、補給用歯車の一例としてのカートリッジギア14aが支持されている。
【0045】
図4において、前記廃棄流入口12aの内側には、開閉部材の一例として、流入シャッター15が配置されている。実施例1の流入シャッター15は、下端部に配置された略左右方向に延びる回転中心を中心として回転可能に支持されている。
したがって、実施例1の流入シャッター15は、図4に示すように、第1停止位置P1および第2停止位置P2では、自重により廃棄流入口12aを閉塞し、第3停止位置P3および第4停止位置P4では、自重により廃棄流入口12aを開放する。
【0046】
図2〜図6において、前記容器本体2の右側壁20の前部には、左上方から右下方に向けて斜めに傾斜した状態で貫通する第1の排出口21が形成されている。第1の排出口21の内側には、排出口の開閉部材の一例として、排出口シャッター22が支持されている。実施例1の排出口シャッター22は、現像容器カバー3上端部の第1の排出口21に対応する位置に設けられた前後方向に延びる開閉回転中心22aを中心にして回転可能に支持されている。したがって、実施例1の排出口シャッター22は、図2に示すように、第1停止位置P1では、自重により第1の排出口21を開放し、第2停止位置P2および第3停止位置P3では、自重により第1の排出口21を閉塞して、第4停止位置P4では、自重により排出口シャッター22を再び開放する。
【0047】
前記容器本体2の右前方には、排出部の一例として、前後方向に延びる排出室26が支持されている。実施例1の排出室26内側の前部には、第1の排出部の一例として、第1の排出口21から現像剤が排出される第1の排出室27が配置されている。第1の排出室27の内部には、第1の排出口21の縁に、磁石部材の一例として、第1の排出口21から排出される現像剤を吸着する磁力を有するマグネットシール28が支持されている。
【0048】
図4、図7において、第1の排出室27の後方には、第2の排出部の一例として、前記排出流入口12aに対応して第2の排出室29が配置されている。図3、図7において、第1の排出室27と第2の排出室29との間には、仕切り部の一例として、排出部の仕切り壁31が配置されている。排出部の仕切り壁31には、第1の排出室27と第2の排出室29とを接続する孔状の第1の貫通孔32が形成されている。第2の排出室29の上面には、前記トナーカートリッジTCkの廃棄流入口12aに接続される第2の排出口33が形成されている。
【0049】
図5、図7において、第2の排出室29の後方には、補給部の一例として、前後方向に延びる補給室34が配置されている。図7において、第2の排出室29と補給室34との間には、第2の排出室29と補給室34とを仕切る第2の仕切り壁36が配置されている。また、補給室34の前端部の上面には、トナーカートリッジTCkの補給流出口13aに接続されて、トナーカートリッジTCkからの現像剤が流入して補給される補給口37が形成されている。補給室34の後端部には、前記撹拌室8の後端部に接続される補給接続部38が形成されている。
【0050】
図2〜図5、図7において、前記排出室26と前記補給室34との間には、搬送部材の一例としての搬送オーガ41が配置されている。搬送オーガ41は、軸部の一例として、前後方向に延び且つ第1の排出室27の前壁、第2の仕切り壁36、補給室34の後壁により回転可能に支持された搬送回転軸42を有する。図2、図7において、搬送回転軸42の前部の外周面には、掻き取り部の一例として、前記第1の排出口21に対向する位置に、搬送回転軸42の軸方向に沿って延びる板状の掻き取りパドル43が支持されている。図3、図4、図7において、搬送回転軸42の外周面上には、第1の搬送部材の一例として、搬送回転軸42に沿って掻き取りパドル43の後端部から前記第1の貫通孔32を貫通して、前記第2の排出口33に対向する位置に向けて延びる螺旋状の排出羽根44が支持されている。ここで、実施例1の排出羽根44の一回転で現像剤が移動する距離、すなわち、搬送回転軸42の軸方向に隣接する羽根どうしの間隔、いわゆる、ピッチは、排出部の仕切り壁31における搬送回転軸42の軸方向の幅よりも狭く設定されている。すなわち、排出部の仕切り壁31内には、排出羽根44が1ピッチ以上収容されている。
【0051】
図5、図7において、搬送回転軸42の外周面上には、第2の搬送羽根の一例として、搬送回転軸42に沿って前記補給口37に対向する位置から前記補給接続部38に向けて延びる螺旋状の補給羽根46が支持されている。なお、実施例1の補給羽根46は、排出羽根44と同じ向きの螺旋形状に構成されており、排出羽根44と補給羽根46とにより搬送羽根47が構成されている。
【0052】
また、搬送回転軸42の後端には、回転伝達部材の一例としての排出ギアG3が支持されている。実施例1の排出ギアG3および前記カートリッジギア14aには、第1停止位置P1に対応する位置に配置されたプリンタ本体U1に支持された駆動源の一例としてのモータM1から駆動が伝達可能に構成されている。
そして、第1停止位置P1に移動した現像器GY〜GKで現像が行われて現像剤が消費されると、消費量に応じてモータM1が駆動されて、アジテータ14に駆動が伝達され、補給収容部13に収容された現像剤が補給流出口13aに向けて搬送され、補給口37から補給室34に現像剤が補給される。
また、モータM1が駆動されると、搬送回転軸42が回転し、補給室34の現像剤が補給羽根46により補給接続部38に向けて搬送され、前記撹拌室8に供給される。このとき、マグネットシール28に吸着された現像剤が掻き取りパドル43により掻き取られると共に、第1の排出室27内の現像剤が排出羽根44により第2の排出室29に向けて搬送される。
【0053】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1のプリンタUでは、画像形成動作が開始されると画像記録装置PR+G+T1+T2+B+Fで記録シートSに画像が記録され、利用者の設定に応じて、各排出トレイTRh〜TRh3に搬送される。
実施例1のロータリ式の現像装置Gでは、画像形成動作時に、感光体PRの表面に現像される色に応じて、現像装置Gが回転して、対応する色の現像器GY〜GKが第1停止位置P1に移動する。
【0054】
第1停止位置P1に移動した状態の現像器GY〜GKでは、画像形成動作に伴って現像が行われ、トナーが消費される。トナーが消費された場合に、プリンタ本体U1に支持されたモータM1が回転し、図示しない駆動歯車を介して、アジテータ14と搬送回転軸42とに駆動が伝達される。
そして、アジテータ14の回転により、トナーカートリッジTCy〜TCkの補給収容部13から負極性に帯電されるトナーと正極性に帯電される磁性キャリアとを含む現像剤が補給室34に補給され、搬送回転軸42に支持された補給羽根46の回転により、補給室34の現像剤が搬送室8に補給される。
また、現像器GY〜GKでは、劣化したトナーやキャリアを含む現像剤は、第1の排出口21から溢れる形で第1の排出室27に排出されて、第1の排出室27内に堆積する。そして、堆積した現像剤は、搬送回転軸42の排出羽根44の回転に伴って排出部の仕切り壁31に形成された第1の貫通孔32を通じて、第2の排出室29に搬送される。
【0055】
すなわち、実施例1の現像装置Gでは、第1停止位置P1に移動した現像器GY〜GKに対して、現像剤の補給と排出とが共に実行されており、停止位置P1〜P4における2箇所の停止位置のうち一方に補給用の駆動伝達歯車等を設け、他方に排出用の駆動伝達歯車等を設けて、現像剤の補給と排出とが別々に実行される構成に比べ、構成が簡略化されており、部品点数が削減されて、プリンタU全体の製造費用が削減される。
【0056】
図4において、第1停止位置P1から第2停止位置P2に現像器GY〜GKが移動すると、第2の排出室29に排出された現像剤は、第2の排出室29の内面に沿って、重力の作用で下方に移動する。そして、第3停止位置P3に現像器GY〜GKに移動すると、流入シャッター15が回転して廃棄流入口12aが開放されると共に、第2の排出室29の現像剤は、下方になった第2の排出口33および廃棄流入口12aを通じて、トナーカートリッジTCy〜TCkの廃棄収容部12に収容され、回収される。
【0057】
ここで、現像装置Gの構成では、現像器GY〜GKが第1停止位置P1から第2停止位置P2に移動する間に、排出口シャッター22が現像装置Gの回転に伴って自重で回転して、第1の排出口21を閉塞する。このとき、排出口シャッター22が完全に閉まるまでに、第1の排出口21から排出室内に現像剤が流出、漏出することがある。
ここで、排出室26の内側に排出部の仕切り壁31を設けない従来の現像装置の構成では、第2停止位置P2から第3停止位置P3に現像器GY〜GKが移動する際に、漏出した現像剤も排出流入口12aを通じて廃棄収容部12に回収される恐れがある。このとき、廃棄収容部12に排出される現像剤の流出量は、制御や測定が困難である。したがって、現像器GY〜GK内の現像剤の実際の量が、潜像形成装置ROSの書込画素数や図示しない画像濃度センサでの検出に基づいて管理している量に対して誤差が大きくなって、管理、制御が困難なり、現像される濃度が過剰になったり、不足したり等の現像不良の問題が発生する恐れがあった。
【0058】
これに対して、実施例1の現像装置Gでは、排出室26の第1の排出室27と第2の排出室29とが排出部の仕切り壁31に仕切られており、搬送オーガ41が停止した状態では、第1の排出室27から第2の排出室29への現像剤の移動が制限される。よって、現像器GY〜GKが第1停止位置P1から第2停止位置P2に移動する間に、第1の排出口21から流出した現像剤は、第1の排出室27に収容されて、第1の排出室27から第2の排出室29への流出は低減される。
【0059】
よって、実施例1の現像装置Gでは、第1停止位置P1から第2停止位置P2に移動する間に、漏出した現像剤は、第1の排出室27内に堆積することとなる。第1の排出室27に堆積した現像剤の嵩が漏出量に対応して増し、第1の排出口21よりも高くなると、次回、現像器GY〜GKが第1停止位置P1に移動した際に、現像容器1からの現像剤の排出が制限されたり、搬送室8に現像剤が戻される場合もある。よって、搬送室8から第1の排出室27への過剰な現像剤の排出が抑制される。
【0060】
特に、実施例1の現像装置Gでは、第1の排出口21の縁に、マグネットシール28が支持されており、第1の排出口21から排出された現像剤がマグネットシール28の磁界に吸着される。したがって、第1の排出口21の縁に吸着した現像剤が第1の排出口21の開口面積を狭くし、現像容器1からの現像剤の排出が制限される。よって、搬送室8から第1の排出室27への過剰な現像剤の排出が抑制されると共に、現像器GY〜GKが第1停止位置P1から第2停止位置P2に移動する間の現像剤の漏出も低減されている。
【0061】
なお、実施例1の前記搬送部材41の回転時に、パドル43は、マグネットシール28に吸着された第1の排出口21の縁の現像剤を、掻き取って第1の排出室27の内部に回収する。そして、現像剤が掻き取られた第1の排出口21を通じて、搬送室8から現像剤が流入可能となり、流入した現像剤がマグネットシール28に吸着される。すなわち、搬送室8から第1の搬送室27に現像剤が排出される。
【0062】
また、第1の排出室27に堆積した現像剤は、排出羽根44の回転に伴い、排出部の仕切り壁31を通じて第2の排出室29に排出される。すなわち、排出羽根44の回転数に応じた排出量の現像剤が第1の排出室27から第2の排出室29に排出される。したがって、実施例1の現像装置Gでは、排出羽根44が第1の排出室27から第2の排出室29に現像剤を排出しない現像装置の構成に比べて、廃棄収容部12に排出される現像剤の排出量がより正確に制御される。
【0063】
実施例1の現像装置Gでは、第1の貫通孔32内には、搬送回転軸42および排出羽根44が収容されており、第1の貫通孔32内に搬送オーガ41が配置されていない場合に比べ、第1の貫通孔32の開口面積が狭くなっている。よって、現像器GY〜GKが各停止位置P1〜P4の間で回転する際に、排出室26内に収容された現像剤が流動しても、第1の貫通孔32を通じた現像剤の移動が低減される。
特に、実施例1の排出羽根44は、第1の貫通孔32内に1ピッチ以上収容されており、第1の貫通孔32の内部には、排出羽根44が回転方向に沿って1周分以上存在する。したがって、搬送オーガ41が停止した状態で第1の貫通孔32の内部を搬送回転軸42の軸方向に沿って現像剤を移動しようとしても、排出羽根44に遮られて軸方向の移動が制限される。よって、排出部の仕切り壁31内に収容された搬送羽根が1ピッチ未満の構成に比べ、第1の貫通孔32を通じた現像剤の移動が低減される。
【0064】
また、実施例1の現像装置Gでは、搬送回転軸42の外周面には、排出羽根44と補給羽根46とが支持されており、搬送回転軸42に駆動が伝達されると、補給収容部13から補給された現像剤を補給羽根46が搬送室8に補給すると共に、第1の排出室27に堆積した現像剤を排出羽根44が第2の排出室29に排出する。したがって、実施例1では、補給系と排出系の軸が共通化されており、異なる2本の軸に排出羽根と補給羽根とを設けたり駆動伝達用の歯車等を設ける構成に比べて、構成が簡略化されており、部品点数が削減されて、プリンタU全体の製造費用が削減される。
【0065】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H011)を下記に例示する。
(H01)前記各実施例において、画像形成装置の一例としてプリンタUを例示したが、これに限定されず、複写機、FAX、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。また、4つの現像器GY〜GKを有する現像装置Gを例示したが、これに限定されず、3つ以下や5つ以上の複数の現像器を有する現像装置に適用可能である。すなわち、停止位置P1〜P4の数も、4つに限定されず、3つ以下または5つ以上とすることも可能である。
(H02)前記実施例において、現像器GY〜GKに隣接して支持されたトナーカートリッジTCy〜TCkに排出された現像剤を収容する構成を例示したが、これに限定されず、第2の排出口33から、特許文献1,2,4に記載されているような回転軸Gaに設けられた回収パイプに向けて、パイプを延ばして、回収パイプで回収する構成とすることも可能である。
【0066】
(H03)前記実施例において、補給羽根46と排出羽根44とを搬送回転軸42に設け、補給系と排出系の軸を共通化する構成が望ましいが、これに限定されず、現像装置GやプリンタUの設計や仕様に応じて、搬送オーガの軸方向の長さを任意の長さに設定したり、補給羽根46と排出羽根44とを別々の回転軸に設ける構成も可能である。
(H04)前記実施例において、補給流出口13aを補給羽根46に対向する位置に設け、補給収容部13に収容された現像剤を補給羽根46に搬送させて搬送室8に補給する構成を例示したが、これに限定させず、補給室34および補給羽根46等を省略し且つ補給流出口をアドミクスオーガR2に対向する位置に設けて、補給収容部13に収容された現像剤を搬送室8に補給する構成も可能である。
【0067】
(H05)前記実施例において、第1停止位置P1において、現像剤の補給と排出とを共に実行する現像装置Gの構成が望ましいが、現像装置GやプリンタUの設計や仕様に応じて、停止位置P2〜P4のうち任意の停止位置P2〜P4において、現像剤の排出を実行する構成とすることも可能である。
(H06)前記各実施例において、第1の貫通孔32の内部に排出羽根44が1ピッチ以上収容される構成が望ましいが、第1の貫通孔32の内部に収容される排出羽根が1ピッチ未満の構成とすることも可能である。
【0068】
(H07)前記実施例において、搬送部材の一例としての搬送オーガ41を配置した構成を例示したが、これに限定されず、搬送オーガ41に替えて、線材を螺旋形状に巻いたコイルスプリング状の排出ばね等の任意の形状の搬送部材とすることも可能である。
(H08)前記実施例において、掻き取り部の一例として、板状の掻き取りパドル43を例示したが、これに限定されず、掻き取りパドル43に替えて、薄膜状の可撓性を有する弾性材料の一例としてのフィルム材を用いて構成された可撓部材を第1の排出室27の内壁に接触させて配置し、搬送回転軸42の回転に伴い、第1の排出室27の内壁に付着した現像剤を可撓部材が掻き取る構成も可能である。
【0069】
(H09)前記実施例において、第1の排出口21の縁に磁石部材の一例としてのマグネットシール28が支持された構成を例示したが、現像器GY〜GKの設計や仕様に応じて、任意の個数および形状のマグネットシールを設けることが可能である。また、マグネットシール28に替えて、線材を螺旋形状に巻いて構成された電磁コイルに電源を接続し、電源から電力を供給された電磁コイルに磁力を発生させる電磁石部を設ける等任意の構成の磁石部材とすることも可能である。なお、磁石部材を設ける構成が望ましいが、マグネットシール28を省略する構成も可能である。
(H010)前記実施例において、シャッター15,22の構成は実施例に例示したように、自重で開閉する構成とすることが望ましいが、モータやソレノイド等の作動部材を使用して、開閉させる構成等、任意の構成を採用可能である。
(H011)前記各実施例において、第1の排出口21や第2の排出口33等は、水平に対して傾斜する構成としたが、現像容器1の設計や仕様等に応じて、傾斜角度や前後方向の位置や上下方向の位置は、任意の位置に変更可能である。
【符号の説明】
【0070】
1…現像容器、21…第1の排出口、26…排出部、27…第1の排出部、28…磁石部材、29…第2の排出部、31…仕切り部、33…第2の排出口、34…補給部、41…搬送部材、42…軸部、43…掻き取り部、44…第1の搬送羽根、46…第2の搬送羽根、47…搬送羽根、F…定着装置、G…現像装置、Ga…回転軸、GY,GM,GC,GK…現像器、P1…現像位置、P1〜P4…回転位置、PR…像保持体、S…媒体、T1+T2+B…転写装置、U…画像形成装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体の表面に形成された潜像を可視像に現像する現像器を複数有し、回転軸を中心として、前記像保持体に対向する現像位置に各現像器を順に移動させる回転式の現像装置であって、
前記現像器は、
内部に現像剤が収容される現像容器と、
前記現像容器に形成され且つ現像剤が排出される第1の排出口と、
前記現像容器に支持された排出部であって、前記第1の排出口から排出された現像剤が収容される第1の排出部と、前記第1の排出部に隣接して配置され内部に現像剤が収容される第2の排出部と、前記第1の排出部と前記第2の排出部とを仕切る仕切り部と、前記第2の排出部に形成され且つ前記第2の排出部から現像剤が排出される第2の排出口と、を有する前記排出部と、
前記仕切り部を貫通して配置され前記第1の排出部から前記第2の排出部に現像剤を搬送する搬送部材であって、前記回転軸を中心として回転する前記現像器が予め設定された回転位置に移動した場合に駆動が伝達される前記搬送部材と、
を備えたことを特徴とする回転式の現像装置。
【請求項2】
前記現像器が前記予め設定された回転位置としての前記現像位置に移動した場合に駆動が伝達される前記搬送部材、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の回転式の現像装置。
【請求項3】
前記第1の排出部から前記第2の排出部に現像剤を排出する現像剤の排出方向に沿って延びる軸部と、前記軸部に支持された搬送羽根と、を有する前記搬送部材と、
前記排出部に対して、前記軸部の軸方向にずれた位置に配置され且つ前記現像容器に補給される現像剤が収容される補給部と、
前記排出部および前記補給部を貫通して延びる前記軸部と、
前記排出部の内部に配置され且つ前記軸部の回転に伴って前記第1の排出部の現像剤を前記第2の排出部に搬送する第1の搬送羽根と、前記補給部の内部に配置され且つ前記軸部の回転に伴って前記補給部の現像剤を前記現像容器に向けて搬送する第2の搬送羽根と、を有する前記搬送羽根と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の回転式の現像装置。
【請求項4】
前記第1の排出部から前記第2の排出部に現像剤を排出する現像剤の排出方向に沿って延びる軸部と、前記軸部に支持され且つ前記仕切り部の内部に収容された螺旋状の搬送羽根であって、前記軸部が1回転した場合に前記現像剤の排出方向に現像剤が搬送される距離であるピッチについて、前記搬送羽根の1ピッチが、前記仕切り部の前記現像剤の排出方向に沿った長さよりも短く設定された前記搬送羽根と、を有する前記搬送部材、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の回転式の現像装置。
【請求項5】
前記第1の排出部の内部に配置され且つ前記第1の排出口の側方に配置されて、磁性を有する現像剤を保持する磁石部材と、
前記磁石部材に対応して配置され且つ前記磁石部材に保持された現像剤を掻き取る掻き取り部を有する前記搬送部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の回転式の現像装置。
【請求項6】
回転する像保持体と、
前記像保持体の表面に形成された潜像を可視像に現像する請求項1ないし5のいずれかに記載の回転式の現像装置と、
前記像保持体の表面の可視像を媒体に転写する転写装置と、
前記媒体に転写された可視像を定着する定着装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−141466(P2012−141466A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294505(P2010−294505)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】