説明

圧力式自動餃子焼機及び餃子調理方法

【課題】食材の芯まで加熱して、焼ムラがなく、美味しい焼き上がりを得ることができる操作の容易な圧力式自動餃子焼機及び餃子調理方法を提供する。
【解決手段】上部開口部2を有し、餃子を焼く鍋部3と、上部開口部2を気密に開閉自在の蓋部4と、鍋部3を加熱するヒーター部と、鍋部3内の圧力を第1所定圧に保持するための圧力逃がし弁6とを備えた圧力式自動餃子焼機1を提供する。そして、圧力式自動餃子焼機1は、鍋部3内に給水する給水部9、ヒーター部の制御を行なう制御部、給水部9の制御を行なう制御部、前記制御部の操作を行なう操作部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、餃子の芯まで加熱して、焼ムラがなく、美味しい焼き上がりを得ることができる操作の容易な圧力式自動餃子焼機及び餃子調理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、餃子を調理する場合、一般に、鍋を加熱しておき、その中に餃子を並べ、並べた餃子の高さの半分程度又はそれ以下の水または湯を入れ、蓋をして加熱し、水を沸騰させ、沸騰した湯を所定時間内に蒸発させ、又は、所定時間後、湯を捨てて、更に、蓋をした状態で所定時間加熱して、餃子の内部まで十分加熱し、餃子の底面に焼き目をつけて調理が完了する。
【0003】
このような、餃子の調理は、特に、大量に調理する場合等、その手間がかかるため、省力化を図るための自動餃子焼機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−243094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載の自動餃子焼き機は、餃子の調理の省力化を図ることができると共に、餃子調理中の焼き鍋内の湯の排水作業を自動的に行なうことにより、従来、湯の排水のために焼き鍋を傾斜させるように持ち上げていた危険な作業をなくして、安全性を図ったものである。
然しながら、自動餃子焼き機に於いては、更に、餃子の調理の省力化及び容易化を図ると共に、餃子を更に美味しく調理することが望まれている。
【0006】
以上の現状に鑑み、本発明は、餃子の芯まで加熱して、焼ムラがなく、美味しい焼き上がりを得ることができる操作の容易な圧力式自動餃子焼機及び餃子調理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、上部開口部を有し、餃子を焼く鍋部と、前記上部開口部を気密に開閉自在の蓋部と、前記鍋部を加熱するヒーター部と、前記鍋部内の圧力を第1所定圧に保持するための圧力逃がし弁とを備えたことを特徴とする圧力式自動餃子焼機を提供するものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記鍋部内に給水する給水部を備えたことを特徴とする請求項1記載の圧力式自動餃子焼機を提供するものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記ヒーター部の制御を行なう制御部を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の圧力式自動餃子焼機を提供するものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記給水部の制御を行なう制御部を備えたことを特徴とする請求項2又は3記載の圧力式自動餃子焼機を提供するものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、前記制御部の操作を行なう操作部を備えたことを特徴とする請求項3又は4記載の圧力式自動餃子焼機を提供するものである。
【0012】
請求項6記載の発明は、前記鍋部内の圧力が前記第1所定圧よりも高く設定した第2所定圧以上になった時、前記鍋部内の圧力を減圧する安全弁を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一に記載の圧力式自動餃子焼機を提供するものである。
【0013】
請求項7に係る発明は、前記第1所定圧は、0.035〜0.045MPaであることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一に記載の圧力式自動餃子焼機を提供するものである。
【0014】
請求項8に係る発明は、鍋部を第1所定温度に加熱する工程と、
第1所定温度に加熱された前記鍋部内に油を敷く工程と、
油を敷いた前記鍋部内に餃子を入れる工程と、
餃子を入れた前記鍋部の開口部に、圧力逃がし弁、安全弁及び蒸気噴出し口を備えた蓋をする工程と、
蓋をした前記鍋部内に第1所定時間後、所定量の水を供給する工程と、
水を供給した前記鍋部内を第2所定温度になるまで加熱する工程と、
加熱終了後、第2所定時間保温する工程と、
前記第2所定温度になるまで加熱する工程、及び保温する工程に於いて、前記鍋部内の蒸気を前記蒸気噴出し口によって逃がしながら、前記鍋部内を所定圧力まで上昇させた後、前記圧力逃がし弁によって、前記所定圧力以上の圧力を逃がす工程とを実行することを特徴とする餃子調理方法を提供するものである。
【0015】
請求項9に係る発明は、前記所定圧力は、0.035〜0.045MPaであることを特徴とする請求項8記載の餃子調理方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1記載の発明によれば、餃子の芯まで加熱して、焼ムラがなく、美味しい焼き上がりを得ることができる操作の容易な圧力式自動餃子焼機を提供することができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加え、鍋部内への給水の自動化が可能となる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明の効果に加え、制御部によってヒーター部の最適な制御を行なうことができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、請求項2又は3記載の発明の効果に加え、制御部によって給水部の最適な制御を行なうことができる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、請求項3又は4記載の発明の効果に加え、操作部によって制御部の最適な操作を行なうことができる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、請求項1乃至5のうちいずれか一に記載の発明の効果に加え、安全弁により、鍋部内の圧力が高くなり過ぎた時、減圧して安全を図ることができる。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、請求項1乃至6のうちいずれか一に記載の発明の効果に加え、最も美味しい焼き上がりの餃子を得ることができる。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、餃子の芯まで加熱して、焼ムラがなく、美味しい焼き上がりを得ることができる操作の容易な餃子調理方法を提供することができる。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、請求項7記載の発明の効果に加え、最も美味しい焼き上がりの餃子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)本発明の圧力式自動餃子焼機の正面図である。(b)本発明の圧力式自動餃子焼機の側面図である。(c)本発明の圧力式自動餃子焼機の平面図である。
【図2】本発明の圧力式自動餃子焼機の分解斜視図である。
【図3】本発明の圧力式自動餃子焼機の制御回路の概要図である。
【図4】本発明の餃子の調理法のフローチャートである。
【図5】本発明の餃子の調理法に於ける調理の時間経過の伴う鍋部の温度変化図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0027】
本発明の圧力式自動餃子焼機について説明する。
図1及び図2に於いて、1は、本発明の圧力式自動餃子焼機であり、圧力式自動餃子焼機1は、上部開口部2を有し、餃子を焼く鍋部3と、上部開口部2を開閉自在の蓋部4と、鍋部3を加熱する図3に示すヒーター部5と、鍋部3内の圧力を第1所定圧{例えば、0.04MPa(Mega Pascal)}に保持するための圧力逃がし弁6とを備えている。第1所定圧である圧力逃がし弁6の圧力を逃がす設定圧力は、餃子の芯まで加熱して、焼ムラがなく、最も美味しい焼き上がりを得るために0.04MPaが最適であるが、0.035〜0.045MPaに設定しても略同様な効果が期待できる。
【0028】
前記ヒーター部5は、鍋部3の底部の下方に設置され、底部の略全面を均一に加熱可能に配設されている。又、鍋部3には、鍋部3の温度を検知するサーミスタセンサー7が配設されている。
前記圧力逃がし弁6は、蓋部4を貫通して鍋部3内の圧力を逃がすことができるように配設されている。
又、蓋部4には、鍋部3内の圧力が第1所定圧よりも高く設定した第2所定圧(例えば、0.05MPa)以上になった時、鍋部3内の圧力を減圧する安全弁8と、鍋部3内に給水する給水部9と、蒸気噴出し口10とを備えている。
【0029】
尚、図1及び図2に於いて、11は、鍋部3が加温され調理可能温度になった時を知らせる調理可ランプ(緑)、12は調理開始スイッチ、13は操作パネル、14は、給水部9の給水回路中に配設されて、給水部9の給水量を制御する水用電磁弁、15は餃子焼機本体、16はカス受け、17は蓋部4の開閉を容易にするためのスプリングバランサーである。
【0030】
図3は、前記ヒーター部5と、給水部9を制御するための制御回路の概略図であり、ヒーター部5と、給水部9の水用電磁弁14とが、夫々制御部21に接続され、制御部21は操作部22に接続されている。操作部22による操作に基づき、制御部21はヒーター部5及び給水部9を夫々制御する。
【0031】
制御部21と、操作部22の各種設定数値は例えば次のように設定されている。
1.鍋部温度
鍋部温度を設定する。鍋部温度が設定された温度まで自動的に上がり、設定温度になるとその温度を保持する。95〜210℃の範囲で5℃間隔で設定できる。工場出荷時の設定温度は205℃である。
2.給水開始時間
調理開始より、給水が始まるまでの時間を設定する。0〜30秒の範囲で1秒間隔で設定できる。工場出荷時の設定時間は2秒である。
【0032】
3.給水量
鍋部3に入れる水の量を設定する。50〜990ccの範囲で5cc間隔で設定できる。工場出荷時の設定量は4人前で350cc、6人前で480ccである。
4.焼き上げ開始温度
ヒーター部5が切れる温度を設定する。80〜210℃の範囲で5℃間隔で設定できる。工場出荷時の設定温度は190℃である。
5.調理焼き上げ時間
調理開始より、調理終了までの時間を設定する。0〜9分00秒の範囲で1秒間隔で設定できる。工場出荷時の設定時間は4分50秒である。
【0033】
次に、図4に従い、前記圧力式自動餃子焼機1を用いた餃子の調理法について説明する。
(準備作業)
準備作業として、図示は省略するが、操作部22の設定を行なう。
例えば、前記鍋部温度を205℃、給水開始時間を2秒、給水量を餃子6人前として480cc、焼き上げ開始温度を190℃、調理焼き上げ時間を4分50秒に設定する。
(第1行程)
鍋部3内に何も入れない状態で鍋部3を第1所定温度に加熱する。この場合、蓋部4を閉めて加熱することが好ましい。第1所定温度は、前記操作部22の鍋部温度で設定した205℃である。鍋部3が第1所定温度に加熱されると、調理可ランプ(緑)11が点灯する。
【0034】
(第2行程)
第1所定温度に加熱された鍋部3内に油を敷く。
(第3行程)
油を敷いた鍋部3内に餃子(例えば、6人前)を並べて入れる。
(第4行程)
餃子を入れた鍋部3の上部開口部2に、圧力逃がし弁6、安全弁8及び蒸気噴出し口10を備えた蓋部4で蓋をする。
(第5行程)
蓋をした鍋部3内に第1所定時間後、給水部9から所定量の水を供給する。第1所定時間後とは、前記給水開始時間で設定した2秒である。
(第6行程)
水を供給して温度低下した鍋部3内を第2所定温度になるまで加熱する。即ち、第2所定温度になったらヒーター部5の電源をOFFにする。第2所定温度とは、前記焼き上げ開始温度で設定した190℃である。
【0035】
(第7行程)
加熱終了後、第2所定時間保温する。第2所定時間とは、前記調理時間で設定した4分50秒のうち、ヒーター部5の電源をOFFにした時点での残りの調理時間である。
(第8行程)
前記第6工程、及び、前記第7工程に於いて、前記蒸気噴出し口10によって、鍋部3内の蒸気を逃がしながら、鍋部3内を第1所定圧力まで上昇させた後、前記圧力逃がし弁6によって、第1所定圧力以上の圧力を逃がす。第1所定圧力とは、圧力逃がし弁6に設定された圧力であり、例えば、0.04MPaである。
(調理終了後の作業)
前記第7工程、及び、前記第8工程を終了したら、図示は省略するが、蓋部4を開けて、蓋部4の中の焼き上がった餃子を取り出す。
【0036】
図5は、本発明の餃子の調理法に於ける調理の時間経過の伴う鍋部3の温度変化を示している。
同図に示すように、鍋部3温度が設定した第1の所定温度になった時、鍋部3内に餃子を入れ、第1所定時間後に給水を開始すると、鍋部3の温度は急激に低下する。給水と同時にヒーター部5による加熱を開始すると、鍋部3の温度は次第に上昇し、鍋部3が第2所定温度になった時、ヒーター部5をOFFにすると、鍋部3温度はしばらく上昇を続けるが、その後一定温度になると、制御部21の制御により一定温度に維持される。
一方、ヒーター部5をOFFにした後、設定された調理時間が経過すると調理を終了し、鍋部3から焼き上がった餃子を取り出す。
【符号の説明】
【0037】
1 圧力式自動餃子焼機
2 上部開口部
3 鍋部
4 蓋部
5 ヒーター部
6 圧力逃がし弁
8 安全弁
9 給水部
10 蒸気噴出し口
21 制御部
22 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口部を有し、餃子を焼く鍋部と、前記上部開口部を気密に開閉自在の蓋部と、前記鍋部を加熱するヒーター部と、前記鍋部内の圧力を第1所定圧に保持するための圧力逃がし弁とを備えたことを特徴とする圧力式自動餃子焼機。
【請求項2】
前記鍋部内に給水する給水部を備えたことを特徴とする請求項1記載の圧力式自動餃子焼機。
【請求項3】
前記ヒーター部の制御を行なう制御部を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の圧力式自動餃子焼機。
【請求項4】
前記給水部の制御を行なう制御部を備えたことを特徴とする請求項2又は3記載の圧力式自動餃子焼機。
【請求項5】
前記制御部の操作を行なう操作部を備えたことを特徴とする請求項3又は4記載の圧力式自動餃子焼機。
【請求項6】
前記鍋部内の圧力が前記第1所定圧よりも高く設定した第2所定圧以上になった時、前記鍋部内の圧力を減圧する安全弁を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一に記載の圧力式自動餃子焼機。
【請求項7】
前記第1所定圧は、0.035〜0.045MPaであることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一に記載の圧力式自動餃子焼機。
【請求項8】
鍋部を第1所定温度に加熱する工程と、
第1所定温度に加熱された前記鍋部内に油を敷く工程と、
油を敷いた前記鍋部内に餃子を入れる工程と、
餃子を入れた前記鍋部の開口部に、圧力逃がし弁、安全弁及び蒸気噴出し口を備えた蓋をする工程と、
蓋をした前記鍋部内に第1所定時間後、所定量の水を供給する工程と、
水を供給した前記鍋部内を第2所定温度になるまで加熱する工程と、
加熱終了後、第2所定時間保温する工程と、
前記第2所定温度になるまで加熱する工程、及び保温する工程に於いて、前記鍋部内の蒸気を前記蒸気噴出し口によって逃がしながら、前記鍋部内を所定圧力まで上昇させた後、前記圧力逃がし弁によって、前記所定圧力以上の圧力を逃がす工程とを実行することを特徴とする餃子調理方法。
【請求項9】
前記所定圧力は、0.035〜0.045MPaであることを特徴とする請求項8記載の餃子調理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−165852(P2009−165852A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−103695(P2009−103695)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(509115904)株式会社MRサービス (1)
【Fターム(参考)】