説明

圧電デバイス、およびその製造方法

【課題】封止材を溶融させて封止孔を封止する際に、溶融した封止材が封止孔の内壁面に濡れ広がりやすくするとともに望まない部位への濡れ広がりを抑制して、安定した振動特性を有し、高信頼性を備えた圧電デバイスを提供する。
【解決手段】水晶振動子は、振動片基板の上下に連通する開口部T1を、リッド基板およびベース基板とで塞ぐように接合して形成されている。リッド基板の封止孔40は、封止孔40は、その内壁部を、外部側からリッド基板の中間部までの外部側内壁部41と、前記中間部から内部空間側の開口部42bまでの内部空間側内壁部42とに分けて見たとき、封止孔40の断面が前記中間部を屈曲部とした2段のテーパー形状を有し、また、外部側内壁部41と内部空間側内壁部42との成す角のうち封止孔40の内側の角が180°より大きく形成されている。外部側内壁部41には金属膜43が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片を気密に収容した圧電デバイス、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種情報・通信機器やOA機器、また、民生機器等の電子機器には、水晶振動子などの圧電デバイスが使用されている。特に最近は、これら電子機器等の高機能化と共に小型化、薄型化の進展が著しく、これに伴って、圧電デバイスへの小型化、薄型化の要求も高まり、回路基板への実装に適した表面実装型の圧電デバイスが多用されている。一般に表面実装型の圧電デバイスは、セラミックなどの絶縁材料によるパッケージ内に圧電振動片を接合し、パッケージ上にリッドを接合することにより、パッケージとリッドにより形成されるキャビティ内に圧電振動片を封止する構造が広く採用されている。しかし、従来のパッケージ構造では、低融点ガラスの溶融やシーム溶接などでパッケージとリッドとを接合するため、その接合における高温や発生するアウタガス等の影響で、圧電振動片の周波数特性を低下させたり劣化させたりする虞がある。
【0003】
このような問題を解決する圧電デバイスとして、枠体に水晶振動片を一体形成した振動片基板(水晶片)と、水晶やガラスなどからなり振動片基板を挟んだ上下に配置される一対の蓋体(リッド基板とベース基板)とを直接接合(表面活性化接合)により接合した水晶振動子が提案されている(例えば特許文献1)。表面活性化接合は、例えば珪素(Si)を主成分とした水晶やガラスなどの接合対応面である接合領域を鏡面研磨してから当接し、加圧することによって当接面の珪素結合(原子間的結合)によって直接接合する接合法であり、ほとんど加熱しなくても接合することが可能である。
また、例えば特許文献2には、表面活性化接合の他の直接接合法である陽極接合を用いて圧電デバイスを製造する方法が、紹介されている。
【0004】
また、特許文献3には、圧電振動片が形成された振動片基板を、リッド基板およびベース基板(水晶振動子容器)により上下方向から挟むようにして直接接合した後に、真空チャンバー内で、リッド基板またはベース基板のいずれか一方に形成された封止孔(貫通孔)に、球状の熱溶解する封止材を落とし込み、その封止材を熱溶解させることにより、リッド基板およびベース基板により形成される内部空間内に、圧電振動片を気密に封止する圧電デバイスの製造方法が示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−269775号公報
【特許文献2】特開2004−254238号公報
【特許文献3】特開2007−180924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献3に記載の圧電デバイスの製造方法において、封止孔を閉鎖する封止材としては、圧電デバイスを実装する際に印加される加熱温度よりも高い温度を融点とする封止材を用いることが好ましい。そのような封止材としては、例えば、金と錫(Sn)との合金、あるいは、金とゲルマニウム(Ge)との合金などを用いることができる。この場合、封止孔には、金属からなる封止材との接合強度を確保するために、スパッタリングや蒸着などの気相堆積法を用いて金属膜を形成することが望ましい。
【0007】
しかしながら、特許文献3に記載の圧電デバイスでは、リッド基板またはベース基板に形成された封止孔の内壁が、圧電デバイスの外部側から内部空間側にかけて垂直に、もしくは、垂直に近く内部空間側に狭まる断面テーパー形状を有している。そのため、気相堆積法により封止孔内に金属膜を形成したときに、封止孔の内部空間側にいくほど金属膜が堆積され難くなるため、金属膜の厚みが不均一になったり、内部空間側の側壁部にほとんど金属膜が形成されない虞がある。このように、封止孔内の金属膜が不均一に形成されていると、封止材が封止孔内に十分濡れ広がらないことにより孔封止の気密性の確保が難しくなり、封止不良による圧電振動片の動作不良や、外部要因による影響を受けやすくなることによって信頼性が低下する虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
〔適用例1〕本適用例にかかる圧電デバイスは、圧電振動片が形成された振動片基板と、前記振動片基板を間に挟んだ上下に配置される2つの基板と、を備え、2つの前記基板に挟まれた内部空間に前記圧電振動片が収容され、2つの前記基板の少なくとも一方に形成された前記内部空間と外部とを連通する封止孔を封止材にて塞いだ構成を有する圧電デバイスであって、前記封止孔の内壁部が、前記外部側から前記基板の中間部までの外部側内壁部と、前記中間部から前記内部空間側の開口までの内部空間側内壁部と、を有し、少なくとも前記外部側内壁部に金属膜が形成され、前記外部側内壁部と前記内部空間側内壁部との成す角のうち前記封止孔内側の角が180°より大きいことを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、封止孔を外部側から平面視したときに視認される内壁部において、外部側内壁部の領域が、内部空間側内壁部の領域よりも広く視認される。このため、スパッタリングや蒸着などの気相堆積法によって封止孔の内壁部に金属膜を形成する際には、平面視で広く視認される外部側内壁部に金属膜が均一に形成されやすく、内部空間側内壁部には金属膜が形成され難くなるので、金属膜を外部側内壁部に選択的に形成することができる。
これにより、封止材によって封止孔を孔封止する際に、溶融した封止材の内部空間側内壁部への望まない濡れ広がりが抑えられ、外部側内壁部の金属膜と封止材との安定した接合が可能となる。したがって、内部空間を確実に気密封止する封止構造が実現できるので、安定した動作および高信頼性を有する圧電デバイスを提供することができる。
【0011】
〔適用例2〕上記適用例にかかる圧電デバイスにおいて、前記封止孔の中間部における開口よりも前記内部空間側の開口部の方が大きく形成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、封止孔の中間部における開口よりも内部空間側の開口部が大きく形成されていることにより、孔封止工程において真空引きがされやすくなるので、真空引き時間を短縮させて製造効率を向上させることができる。
【0013】
〔適用例3〕上記適用例にかかる圧電デバイスにおいて、前記封止孔の中間部における開口の形状が平面視で楕円形状を有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、封止孔に溶融前の球状の封止材を配置させた際に、外部側内壁部と内部空間側内壁部とを連通する中間部における開口において、封止孔の中間部における開口の形状が平面視で円形状である場合に比して、封止材と封止孔の内壁との間に隙間が大きく確保されるので、孔封止工程における真空引き時間がより短縮する。
【0015】
〔適用例4〕上記適用例にかかる圧電デバイスにおいて、前記封止孔の断面を平面視したときの前記外部側内壁部の仮想の中心点と、前記内部空間側内壁部の仮想の中心点とがそれぞれ異なる位置になるように配置されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、封止孔に溶融前の球状の封止材を配置させた際に、外部側内壁部と内部空間側内壁部とを連通する中間部における開口が球状の封止材の側面側に配置されることにより、封止孔の内壁と封止材との間に隙間が確保されやすくなるので、孔封止工程における真空引き時間の短縮に効果を奏する。
【0017】
〔適用例5〕本適用例にかかる圧電デバイスの製造方法は、圧電振動片が形成された振動片基板と、前記振動片基板を間に挟んだ上下に配置される2つの基板と、を備え、2つの前記基板に挟まれた内部空間に前記圧電振動片が収容され、2つの前記基板の少なくとも一方に形成された前記内部空間と外部とを連通する封止孔を封止材にて塞いだ構成を備え、前記封止孔の内壁部が、前記外部側から前記基板の中間部までの外部側内壁部と、前記中間部から前記内部空間側の開口までの内部空間側内壁部と、を有し、少なくとも前記外部側内壁部に金属膜が形成され、前記外部側内壁部と前記内部空間側内壁部との成す角のうち前記封止孔内側の角が180°より大きい構成を有する圧電デバイスの製造方法であって、前記基板の少なくとも一方に前記外部側内壁部または前記内部空間側内壁部を形成するステップと、前記外部側内壁部または前記内部空間側内壁部のうち残る一方を形成するステップと、少なくとも前記外部側内壁部に前記金属膜を形成するステップと、2つの前記基板の間に前記圧電振動片を収容するステップと、真空中で前記封止孔に前記封止材を配置し、該封止材を溶融させて前記封止孔を塞ぐことにより孔封止するステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、封止孔を外部側から平面視したときに視認される内壁部において、外部側内壁部の領域が、内部空間側内壁部の領域よりも広く視認される封止孔を形成することができる。これにより、金属膜を形成するステップで、例えばスパッタリングや蒸着などの気相堆積法により金属膜を形成する際に、平面視で広く視認される外部側内壁部に金属膜が均一に形成されやすく、内部空間側内壁部には金属膜が形成され難くなるので、金属膜を外部側内壁部に選択的に形成することができる。
これにより、封止材によって封止孔を孔封止する際に、溶融した封止材の内部空間側内壁部への望まない濡れ広がりが抑えられ、外部側内壁部の金属膜と封止材との安定した接合が可能となり、内部空間を確実に気密封止する封止構造が実現されるので、安定した動作および高信頼性を有する圧電デバイスを製造することができる。
【0019】
〔適用例6〕上記適用例にかかる圧電デバイスの製造方法において、少なくとも前記外部側内壁部を形成するステップで、ドライエッチング加工法を用いて前記外部側内壁部を形成することを特徴とする。
【0020】
ドライエッチング加工法によれば、ウェットエッチングやドライエッチングなどのエッチング加工法のように被加工材の異方性に依存することなく、所望の形状に制御してエッチング加工することができる。これにより、上記のように、平面視で視認される領域が広い外部側内壁部、すなわち、断面が緩やかな傾斜のテーパー形状を呈する外部側内壁部の形成が可能になる。
【0021】
〔適用例7〕上記適用例にかかる圧電デバイスの製造方法において、前記外部側内壁部および前記内部空間側内壁部を形成するステップで、前記基板の主面側から前記基板の中間部に向かって前記外部側内壁部および前記内部空間側内壁部を形成することを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、内部空間側内壁部の基板の中間部における開口よりも、内部空間側の開口の方を大きく形成することができる。これにより、孔封止工程において、封止孔からの封止材の落下を防止しながら、封止孔の内部空間側の開口が大きく形成されていることにより、孔封止工程における真空引きがされやすくなるので、真空引き時間を短縮させて効率よく圧電デバイスを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、圧電デバイスの一実施形態について図面に従って説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1〜4は、圧電デバイスを水晶振動子に具現化した実施形態を説明するものであり、図1は水晶振動子を模式的に示す分解斜視図である。また、図2は図1の水晶振動子の振動片基板を模式的に説明するものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は底面図である。また、図3は、水晶振動子の断面構造、および接合方法としての直接接合法の一例である陽極酸化をしている状態を模式的に説明する断面図であり、図1の分解斜視図に示す水晶振動子を図2のA−A線の位置で切断したときと同じ断面を示している。また、図4は、図1および図3に示すリッド基板10の封止孔近傍を拡大して説明するものであり、(a)は部分拡大平面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
【0025】
図1において、水晶振動子1は、振動片基板20の上下に連通する開口部T1を、2つの基板としてのリッド基板10およびベース基板30とで塞ぐように固定して形成されている。
なお、本実施形態の振動片基板20は水晶からなる。また、リッド基板10およびベース基板30は、ガラスやシリコン、あるいは振動片基板20と同じ水晶などからなる。
【0026】
リッド基板10は、少なくとも振動片基板20の開口部T1を塞ぎ、且つ、水晶振動片25を覆うことができる大きさを有し、本実施形態では、振動片基板20の外形が矩形であることから、リッド基板10の外形も矩形の形状とされている。
同様に、ベース基板30は、少なくとも振動片基板20の開口部T1を塞ぎ、且つ、水晶振動片25を覆うことができる大きさを有し、本実施形態では、振動片基板20の外形が矩形であることから、ベース基板30の外形も矩形の形状とされている。
【0027】
また、リッド基板10の振動片基板20と接合される側(内部空間側面13)には凹部12が設けられている。同様に、ベース基板30の振動片基板20と接合される側(内部空間側面33)には凹部32が設けられている。そして、リッド基板10とベース基板30とは、それぞれの凹部12と凹部32とを互いに向かい合わせにして、間に振動片基板20を挟んで固定されるようになっている。これにより、凹部12および凹部32は、振動片基板20の内側の空間となる開口部T1と一体になって、振動片基板20の圧電振動片としての水晶振動片25を収容する内部空間S1(図3を参照)が形成されるようになっている。
【0028】
振動片基板20は、この振動片基板20の矩形の外形を形成する枠部21と、枠部21の内側に形成された基部23、およびその基部23から平行に突設された振動腕25A,25Bからなる水晶振動片25とが一体に形成されている。このような振動片基板20の形状は、本実施形態の場合、水晶の薄板をフォトリソグラフィを用いてエッチングすることにより形成することができる。
【0029】
ここで、振動片基板20について詳細に説明する。
図2において、振動片基板20の水晶振動片25は、枠部21の一端部の内側と一体とされている基部23と、その基部23を基端として、図中右方向に向けて、二股に分かれて平行に延びる一対の振動腕25A,25Bが突設されている。すなわち、水晶振動片25は、音叉のような形状を有した、所謂、音叉型水晶振動片である。
【0030】
図2(a)に示すように、振動片基板20の枠部21の上端面21aには第1の電極28が設けられている。
この第1の電極28は、枠部21の上端面21aに引き回された第1の接合用電極28aと、その第1の接合用電極28aと接続されて水晶振動片25の基部23を通り振動腕25Aの両側面および振動腕25Bの上面と下面とに設けられた第1の励振電極26Bとを有している。
【0031】
また、図2(c)に示すように、振動片基板20の枠部21の下端面21bには第2の電極29が設けられている。
この第2の電極29は、枠部21の下端面21bに引き回された第2の接合用電極29aと、その第2の接合用電極29aと接続されて水晶振動片25の基部23を通り振動腕25Bの両側面および振動腕25Aの上面と下面とに設けられた第2の励振電極26Aとを有している。
【0032】
これらの電極は、本実施形態の水晶振動子1において、次のような構成上の特徴を有している。
すなわち、第1の接合用電極28aは、振動片基板20とリッド基板10とを陽極接合により直接接合するのに用いられる。また、第2の接合用電極29aは、振動片基板20とベース基板30とを陽極接合するのに用いられる。
また、第1の励振電極26Bおよび第2の励振電極26Aは、水晶振動片25を駆動するのに用いられる。
これらの第1の接合用電極28aおよび第2の接合用電極29aと、第1の励振電極26Bおよび第2の励振電極26Aとは、水晶材料をフォトリソグラフィを用いてエッチングすることにより形成された振動片基板20の原形の表面に、例えばスパッタリングにより、クロム(Cr)層を下地として形成し、その上に金(Au)層を積層させて設けた共通の構造にて形成されている。
【0033】
さらに、第1の接合用電極28aおよび第2の接合用電極29aの部分には、上記の金層の上に、陽極酸化のための金属被覆層として、例えば、アルミニウム(Al)層や、それに代わる、例えば、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、あるいはシリコン(Si)などが積層されて形成されている。
【0034】
また、図3に示すように、第1の接合用電極28aは、図中左側の側面に引き回された側面電極35aを介して、ベース基板30の底面に設けられた実装用電極35と接続されている。同様に、第2の接合用電極29aは、図中右側の側面に引き回された側面電極36aを介して、ベース基板30の底面に設けられた実装用電極36と接続されている。
【0035】
また、特に重要な構成として、図3に示すように、本実施形態では、リッド基板10の中央付近には、水晶振動子1の内部空間S1と外部とを連通する貫通孔としての封止孔40が設けられている。封止孔40は、水晶振動子1の外部側面11に開口する外部側内壁部41と、内部空間S1側の内部空間側面13に開口する内部空間側内壁部42とが連通されてなる。
なお、図3に示す水晶振動子1は、封止孔40に、詳細を後述する封止材45が充填されて封止された状態を示している。
【0036】
また、図3は、振動片基板20の上下にリッド基板10およびベース基板30を陽極接合している状態を図示している。すなわち、ガラス製のリッド基板10およびベース基板30には、これらの軟化点よりも低い温度を加えた状態で、リッド基板10およびベース基板30と、これらを振動片基板20に対して接合するための接合膜である第1の接合用電極28aおよび第2の接合用電極29aとの間で、これら第1の接合用電極28aおよび第2の接合用電極29aが陽極になるようにして、直流電源49から直流電圧を印加する。
【0037】
すると、ガラス製であるリッド基板10とベース基板30とには、印加された直流電圧の作用によって、イオンが移動し、これら第1の接合用電極28aおよび第2の接合用電極29aとのギャップおよび、その近傍に形成された空間電荷層に、継続して印加された電圧がかかるようになる。そうすると、リッド基板10およびベース基板30と、振動片基板20の第1の接合用電極28aおよび第2の接合用電極29aとの間に静電引力が発生し、互いに密着し、強電界によりガラス側から各電極側へのイオンの移動が進み、界面で電極側の原子と共有結合を生じて結合が行われると考えられる。なお、この過程は、逆電圧を利用して可逆的に進行させることもできる。
【0038】
以上の陽極接合の作用により、リッド基板10とベース基板30との間に振動片基板20を挟んで接合された水晶振動子1において、水晶振動片25が収容された内部空間S1は、リッド基板10とベース基板30とにより気密状態で封止されている。
【0039】
〔封止孔〕
ここで、本実施形態で重要であるリッド基板10の封止孔40について詳細に説明する。
図4に示すように、本実施形態の封止孔40は、リッド基板10の外部側に大きく開口した外部側開口部41aを有する外部側内壁部41と、内部空間(S1)側に開口部42bを有する内部空間側内壁部42とが連通されてなる。さらに詳しくは、C−C線断面において、封止孔40の内壁部を、外部側からリッド基板10の中間部までの外部側内壁部41と、前記中間部から内部空間(S1)側の開口部42bまでの内部空間側内壁部42とに分けて見たとき、封止孔40の断面が前記中間部を屈曲部とした2段のテーパー形状を有し、また、外部側内壁部41と内部空間側内壁部42との成す角のうち封止孔40の内側の角が180°より大きい構成を有するものである。例えば、図4において、封止孔40の外部側内壁部41と内部空間側内壁部42とは、封止孔40を水晶振動子1の外部側から平面視したときに視認される外部側内壁部41の領域が、内部空間側内壁部42の領域よりも広く視認されるように形成されている。
【0040】
封止孔40の外部側内壁部41の内壁を含む領域には金属膜43が形成されている。この金属膜43は、金属からなる封止材45aを溶融させた溶融金属が濡れ広がって、水晶振動子1の内部空間S1(図3を参照)を確実気密に封止させるために設けられているものである。この金属膜43は、後述するように、スパッタリングや蒸着などにより順次積層されたクロム、金と、その金の上に、無電解メッキにより順次積層されたニッケル、パラジウム、金により形成される(図示せず)。
【0041】
図4(b)に示すように、金属膜43は、封止孔40の内壁のうち、内部空間側内壁部42の内壁にはほとんど形成されずに、外部側内壁部41の内壁にのみ選択的に形成されている。これは、封止孔40を水晶振動子1の外部側から平面視したときに視認される外部側内壁部41の領域が、内部空間側内壁部42の領域よりも広くなるように形成されていることによる。すなわち、金属膜43の下地層であるクロム、金をスパッタリングや蒸着などによりこの順に積層させる際に、クロムや金は、金属粒子が向かう面が金属粒子の進行方向に対して直交方向に広がった面であるほど付着し易いので、上記に説明した図4に示す封止孔40の構成の場合では、平面視で広く視認される外部側内壁部41の内壁に堆積されやすく、内壁が略鉛直方向に形成された内部空間側内壁部42には堆積され難いことによる。
【0042】
また、後述するように、封止孔40が設けられた部分において、リッド基板10の材料であるガラス基板と金属膜43との密着性を確保するために、封止孔40の内壁を含む金属膜43形成領域の表面粗さが所定の粗さを有する所謂マット面に加工されていることが望ましい。本実施形態では、封止孔40のうち、少なくとも封止材45を溶融することによる孔封止に供する外部側内壁部41の内壁がマット面に加工されている(図示せず)。
【0043】
上記実施形態の水晶振動子1によれば、リッド基板10に形成された封止孔40が、外部側内壁部41と内部空間側内壁部42とが連通されてなり、封止孔40の内壁部を、外部側からリッド基板10の中間部までの外部側内壁部41と、先の中間部から内部空間(S1)側の開口部42bまでの内部空間側内壁部42とに分けて見たときに、外部側内壁部41と内部空間側内壁部42との成す角のうち封止孔40の内側の角が180°より大きい構成を有するものである。これにより、封止孔40を水晶振動子1の外部側から平面視したときに視認される外部側内壁部41の領域が、内部空間側内壁部42の領域よりも広く視認されるように形成されているので、スパッタリングや蒸着などにより封止孔40の内壁に金属膜を形成する際に、平面視で広く視認される外部側内壁部41に金属膜が均一に形成されやすく、内部空間側内壁部42には金属膜が形成されることがない。
したがって、封止孔40の孔封止工程において、溶融した封止材45の内部空間側内壁部42への望まない濡れ広がりが抑えられ、外部側内壁部41の金属膜43と封止材金属(封止材45)との安定した接合が可能となるので、内部空間S1を確実に気密封止する封止構造を実現でき、安定した動作、および高信頼性を有する水晶振動子1を提供することができる。
【0044】
また、上記実施形態の水晶振動子1では、封止孔40の外部側内壁部41を含む領域に設ける金属膜43として、クロム、金を下地層として、その下地層の金の上に、ニッケル、パラジウム、金がこの順に積層されてなる積層膜を用いる構成とした。
この構成の金属膜43によれば、後述する孔封止工程において、下地金属の拡散が抑えられるとともに、溶融した封止材45の濡れ性が良好となり確実な封止ができることを発明者は確認した。
【0045】
〔水晶振動子の製造方法〕
次に、上記のように構成された水晶振動子1の製造方法について図面に沿って説明する。
図5は、本実施形態の水晶振動子1の製造方法を説明するフローチャートである。また、図6は、本実施形態の水晶振動子1の製造方法のうちの孔封止工程において、封止孔40が封止される状態を説明する部分断面図である。
【0046】
図5においては、リッド基板10の製造工程がステップS1−1からステップS1−5までに示され、振動片基板20の製造工程がステップS2−1からステップS2−4までに示され、ベース基板30の製造工程がステップS3−1からステップS3−3までに示されている。まず、これら前工程について説明する。
【0047】
上述した陽極接合などの直接接合による水晶振動子1の製造においては、振動片基板20、リッド基板10、ベース基板30それぞれを大判のウェハに複数並べて形成し、それら各基板ウェハを積層させて直接接合してウェハ積層体を形成した後に、ダイシングあるいは折り取りなどにより個片の水晶振動子1に切断して複数個の水晶振動子1を得る方法がとられる。
【0048】
まず、リッド基板10は、所定の大きさのガラス基板(ウェハ)を用いて、このガラス基板に単数または複数のリッド基板10の外形をフォトリソグラフィを用いてエッチングすることにより形成する。
なお、本実施形態のリッド基板10および後述するベース基板30の形成材料として用いるガラス材料は、陽極接合を可能とするため、あるいは、陽極接合を容易にするために、イオンの拡散のしやすいガラス材料を選択する。例えば、アルカリ金属を含有するもので、エッチング加工に適するものを選定するとよく、例えば、ソーダガラスなどが適している。
【0049】
リッド基板10の外形形成では、まず、ガラス基板の両主面の全面に、エッチングマスクとなる例えばクロム(Cr)および金(Au)からなる耐蝕膜をスパッタなどにより形成し、その耐蝕膜上にフォトレジストを塗布する。そして、そのフォトレジストにリッド基板10の外形パターニング用のマスクを配置して露光した後、フォトレジストの感光した部分を現像して除去してからエッチング液に浸し、感光したフォトレジストを除去した部分の耐蝕膜をエッチングして、ガラス基板上に、耐蝕膜からなるリッド基板10の外形形成用のエッチングマスクを形成する(ステップS1−1)。
【0050】
次に、耐蝕膜からなるリッド基板10の外形形成用のエッチングマスクを形成したガラス基板を、例えばフッ化水素溶液からなるエッチング液に浸漬して、リッド基板10の外形に対応した部分が貫通するまでエッチングすることにより、リッド基板10の外形を形成する(ステップS1−2)。
なお、本実施形態のリッド基板10の外形形成工程には、凹部12(図1、図3を参照)の形成も含む。凹部12は、上記外形形成用の耐蝕膜からなるエッチングマスクを用いてガラス材料をハーフエッチングすることにより形成することができる。
また、リッド基板10の外形は、例えば、ウェハから完全に切り離されないようにミシン目状の折り取り部によりガラス基板につなげるようにしている。これにより、以降の工程をガラス基板のウェハ状態にて効率的に流動することができる。
【0051】
次に、封止孔40の形成を行う。
外部側内壁部41と内部空間側内壁部42とが連通されてなる本実施形態の封止孔40の形成では、まず、封止孔40を外部側から平面視したときに視認される領域が内部空間側内壁部42より広く視認される外部側内壁部41の形成から行う(ステップS1−3)。外部側内壁部41は、平面視したときに視認される領域がなるべく広くなるように緩やかな角度の断面テーパー形状となることが望ましく、このため、サンドブラスト加工法を用いることが好ましい。サンドブラスト加工法は、被加工材料の加工部分に微細砥粒を定量的に噴射することにより、所望の形状の穴あけや凹部形成などをおこなう所謂ドライエッチング加工法の一つであり、ウェットエッチングなどの化学エッチング法のように被加工材の異方性に依存することなくエッチング形状の制御性に優れているので、上記した緩やかなテーパー角度の断面テーパー形状の外部側内壁部41の形成が可能である。
【0052】
サンドブラスト加工法による外部側内壁部41形成では、まず、リッド基板10の外形を形成したガラス基板上に感光性のマスキングフィルムを貼り合せてから、そのマスキングフィルムに封止孔40の開口形状のパターニング用マスクを配置して露光した後、マスキングフィルムの感光した部分を現像して除去しサンドブラスト加工用のマスクを形成し、それをマスクとしてサンドブラスト加工装置の噴射ノズルから砥粒を噴射させ、マスクされていない部分のガラス基板を物理的にエッチングする。このとき、噴射ノズルからの砥粒の噴射位置を移動させながら、砥粒の吐出圧力、吐出時間などを調整することにより、緩やかな断面テーパー形状の外部側内壁部41を形成する。
【0053】
ここで、重要なのは、外部側内壁部41を含む封止孔40形成後に、後述する金属膜43形成を行う際に、外部側内壁部41のガラス基板材料上における金属膜43の密着性を確保するために、外部側内壁部41を含む金属膜43形成領域の表面粗さを所定の粗さのマット面とすることである。本実施形態では、封止孔40のうち、少なくとも、封止材を溶融することによる孔封止に供する外部側内壁部41の内壁を所定の表面粗さに仕上げればよい。
このように、外部側内壁部41の内壁を所定の表面粗さとするには、上記サンドブラスト加工法による封止孔形成時の砥粒の種類や粗さなどを選定、あるいは調整する。
【0054】
次に、ステップS1−4に示すように、外部側内壁部41と連通する内部空間側内壁部42を形成して封止孔40を完成させる。内部空間側内壁部42の形成は、ステップS1−3の外部側内壁部41形成と同様の手順によりサンドブラスト加工法を用いて形成することもできるが、これに限らず、フォトリソグラフィを用いてウェットエッチングすることによって形成するようにしてもよい。このような内部空間側内壁部42の形成方法の選定にあたっては、例えば、封止孔40を平面視したときに視認される内部空間側内壁部42の領域が、外部側内壁部41の領域よりも小さくなるように、すなわち、例えば内部空間側面13に対して内部空間側内壁部42の傾斜角が外部側内壁部41の傾斜角よりも垂直に近くなるように、エッチングレートが良好なエッチング方法を選定する。
【0055】
ステップS1−4にて内部空間側内壁部42を形成することにより、その内部空間側内壁部42と外部側内壁部41とが連通されてなる封止孔40を形成した後で、次に、ステップS1−5に示すように、リッド基板10に金属膜43を形成する(図4を参照)。本実施形態では、スパッタリングや蒸着などの気相堆積法と、無電解メッキとを併用して金属膜43を形成する。
【0056】
金属膜43形成では、まず、スパッタリングや蒸着などにより、クロム、金をこの順に積層させる。次に、このクロムと金が積層された金属膜をフォトリソグラフィによりパターニングすることによって、金属膜43パターンを形成する。このとき、封止孔40の内壁としての外部側内壁部41および内部空間側内壁部42のうち、封止孔40を平面視したときに視認される領域が広い外部側内壁部41には金属膜が堆積されやすく、垂直に近い角度で形成され封止孔40を平面視したときに視認される領域が狭い内部空間側内壁部42には金属膜がほとんど堆積されない。
【0057】
そして、その金属膜43パターン上に、無電解メッキにより、ニッケル、パラジウム、金をこの順に積層させることにより、金属膜43が形成される。これにより、封止孔40の内壁部のうち、内部空間側内壁部42には金属膜43がほとんど形成されずに、外部側内壁部41に選択的に、且つ、均一な厚みの金属膜43を形成することができる。
【0058】
また、ステップS1−3のサンドブラスト加工による外部側内壁部41形成において、上記したように外部側内壁部41を含む金属膜43形成領域の表面が、所定の表面粗さのマット面に仕上げられている。これにより、リッド基板10の材料であるガラス基板の金属膜43形成領域と金属膜43との密着強度が十分に確保される。
以上により、リッド基板10が完成する。
【0059】
次に、振動片基板20の製造方法について説明する。
振動片基板20の製造においては、まず、結晶軸に対して所定のカット角で切り出され、所望の厚さおよび表面状態になるように研磨加工された大判の水晶基板(水晶ウェハ)を準備する。そして、ステップS2−1に示すように、フォトリソグラフィを用いたウェットエッチングにより、水晶基板に複数の振動片基板20の外形を形成する。
【0060】
詳述すると、まず、ステップS2−1に示すように、水晶基板のウェハの両主面全体に、エッチングマスクとなる例えばクロムおよび金からなる耐蝕膜をスパッタなどにより形成してからフォトレジストを塗布して、そのフォトレジスト上に振動片基板20の外形パターニング用のマスクを配置する。
そして、露光した後、フォトレジストの感光した部分を現像して除去してからエッチング液に浸し、感光したフォトレジストを除去した部分の耐蝕膜をエッチングして、水晶基板上に、耐蝕膜からなる振動片基板20の外形形成用のエッチングマスクを形成する。
【0061】
次に、ステップS2−2に示すように、振動片基板20の外形形成用のエッチングマスクを形成した水晶基板を、例えばフッ化水素溶液およびフッ化アンモニウム溶液からなるエッチング液に浸漬して、振動片基板20の外形に対応した部分が貫通するまでエッチングする。
なお、振動片基板20の外形は、水晶基板から完全に切り離されないようにミシン目状の折り取り部などにより水晶基板につなげ、以降の工程を水晶基板(ウェハ)状態にて効率的に流動するようにしている。
【0062】
次に、ステップS2−3に示すように、耐蝕膜からなる振動片基板20形成用のエッチングマスクを剥離する。
【0063】
次に、ステップS2−4に示すように、スパッタリングや蒸着などにより、第1の接合用電極28aや第1の励振電極26Bなどからなる第1の電極28と、第2の接合用電極29a、第2の励振電極26Aなどからなる第2の電極29などの電極形成を行う。
電極形成は、振動片基板20の外形が形成された水晶基板の表面に、スパッタリングや蒸着により、クロム層を下地として形成し、その上に金層を積層させて形成される。
さらに、第1の接合用電極28aおよび第2の接合用電極29aの部分の上記金層の上に、スパタリングや蒸着により、陽極酸化のための金属被覆層である例えばアルミニウム層や、それに代わる、例えば、タングステン、ニッケル、チタン、あるいはシリコンなどを積層させて形成する。
以上により、振動片基板20が完成する。
【0064】
次に、ベース基板30の製造方法について説明する。
ベース基板30は、上記リッド基板10と同じガラス材料により、概ね同じ方法により形成することができる。
まず、例えばソーダガラスなどからなるガラス基板の両主面全体に、エッチングマスクとなる例えばクロムおよび金からなる耐蝕膜をスパッタなどにより形成し、フォトリソグラフィを用いてエッチングすることにより、ガラス基板上に、耐蝕膜からなるベース基板30の外形形成用のエッチングマスクを形成する(ステップS3−1)。
【0065】
次に、ステップS3−2に示すように、耐蝕膜からなるベース基板30の外形形成用のエッチングマスクを形成したガラス基板を、例えばフッ化水素溶液からなるエッチング液に浸漬してベース基板30の外形に対応した部分が貫通するまでエッチングすることにより、ベース基板30の外形を形成する。
【0066】
なお、本実施形態のベース基板30の外形形成工程には、凹部32(図1、図3を参照)の形成も含む。凹部32は、上記外形形成用の耐蝕膜からなるエッチングマスクを用いてガラス材料をハーフエッチングすることにより形成することができる。
また、ベース基板30の外形形成でも、リッド基板10の外形形成と同様に、ウェハから完全に切り離されないようにミシン目状の折り取り部によりガラス基板につなげるようにすることにより、以降の工程をガラス基板のウェハ状態にて効率的に流動することができる。
【0067】
次に、ステップS3−3に示すように、ベース基板30に、スパッタリングや蒸着などにより、クロム、金をこの順に積層させ、これをフォトリソグラフィによりパターニングすることによって、実装用電極35,36や引き回し配線としての側面電極35a,36bなどの電極形成を行う。
以上により、ベース基板30が完成し、リッド基板10、および振動片基板20の形成と合わせた前工程が終了する。
【0068】
次に、後工程について説明する。
図3を用いて上記に説明したように、リッド基板10およびベース基板30と、これらを振動片基板20に対して接合するための接合膜である第1の接合用電極28aおよび第2の接合用電極29aとの間で、これら第1の接合用電極28aおよび第2の接合用電極29aが陽極になるようにして、直流電源49から直流電圧を印加することにより、振動片基板20を、リッド基板10およびベース基板30に対して陽極接合する(ステップS6)。
この陽極接合による工程は、従来の接合工程のように、内部空間S1からのガス出しを行う必要がなく、大気圧で行うことができる。
【0069】
このように陽極接合により接合された状態の基板(ウェハ)積層体は、次に、ステップS7に示すように、孔封止が施される。
本実施形態の孔封止工程では、まず、図6(a)に示すように、基板積層体のリッド基板10の封止孔40に溶融前の球状の封止材45aを配置した状態で、基板積層体を真空チャンバー内に入れて所定の真空度まで減圧させることにより、水晶振動片25やリッド基板10およびベース基板30の内側から出るガスを封止孔40から排出させる。
【0070】
このとき、球状の封止材45aは、リッド基板10の封止孔40のうち、外部側に広く開口した外部側内壁部41の金属膜43上に受容される。
なお、溶融前の球状の封止材45aは、完成した水晶振動子1を外部実装基板に実装する際のリフロー温度よりも高い温度を融点として有した金属であることが望ましく、例えば、金と錫(Sn)との合金、あるいは、金とゲルマニウム(Ge)との合金などが用いられる。
【0071】
そして、図6(b)に示すように、封止孔40に封止材45を溶融させて充填することによる孔封止を完了させる。この孔封止は、球状の封止材45aにレーザ光を照射して溶解したり、その他、オーブンやハロゲン光などの加熱手段を使って溶解させ、溶解した封止材45を封止孔40の外部側内壁部41上を含む領域に形成された金属膜43の表面に濡れ広がらせ、その後、真空チャンバー内にて、封止材45が完全に固化するまで温度を下降させることにより完了する。
そして、孔封止が完了した基板(ウェハ)積層体は、真空チャンバーから取り出される。
【0072】
次に、ステップS8に示すように、孔封止された基板(ウェハ)積層体をダイシングすることなどにより、個片の水晶振動子1を得る個片化が行われた後、必要な検査等を行なって水晶振動子1が完成する(ステップS9)。
【0073】
上記の水晶振動子1の製造方法では、外部側内壁部41および内部空間側内壁部42からなる封止孔40のうち、少なくとも外部側内壁部41を、サンドブラスト加工法により形成する構成とした。
サンドブラスト加工法などのドライエッチング加工法は、ウェットエッチングなどの化学エッチング法のように、被加工材の異方性に依存することなく、所望の形状に制御してエッチング加工することができる。このため、外部側内壁部41および内部空間側内壁部42が連通されてなる封止孔40において、この封止孔40を平面視したときに視認される領域がなるべく広くなるように、緩やかなテーパー角度の断面テーパー形状を有する外部側内壁部41を形成することができる。
これにより、封止孔40において封止材45による孔封止に供する金属膜43を、外部側内壁部41に選択的に、且つ、均一な厚みにて形成することができるので、封止材45の内部空間側内壁部42への濡れ広がりや内部空間S1側への落下が防止され、安定した孔封止が可能となることにより、水晶振動片25が確実に気密封止され、安定した動作と、高い信頼性を有する水晶振動子1を製造することができる。
【0074】
また、上記の水晶振動子1の製造方法では、サンドブラスト加工法による封止孔40形成時の砥粒の種類や粗さなどを選定、あるいは調整することにより、少なくとも金属膜43形成領域となる外部側内壁部41の表面粗さを所定の粗さのマット面に加工する構成とした。
これにより、外部側内壁部41と金属膜43との密着性を向上させることができるので、封止材45による封止孔40の孔封止が確実に行えることにより、水晶振動子1の信頼性の向上を図ることができる。
【0075】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下の変形例を実施することもできる。
【0076】
(変形例1)
上記実施形態では、封止孔40において、外部側内壁部41および内部空間側内壁部42ともに、水晶振動子1の外部側からサンドブラスト加工することにより、同一方向に傾斜する断面テーパー形状にて形成した。これに限らず、内部空間側内壁部42の断面テーパー形状を、外部側内壁部41とは逆テーパーにて形成してもよい。
図7は、リッド基板の封止孔の変形例1を模式的に説明するものであり、(a)はリッド基板を外部側からみた部分平面図、(b)は(a)のD−D線部分断面図である。
【0077】
図7において、ガラスなどからなるリッド基板100の略中央には、外部側面111に大きく開口した外部側内壁部141と、内部空間側面113に大きく開口した内部空間側開口部142bを有する内部空間側内壁部142とが連通されてなる封止孔140が形成されている。
【0078】
さらに詳しくは、封止孔140において、外部側内壁部141は、外部側面111に大きく開口し、内部空間側面113側の中間開口部142aに向かって狭まる断面テーパー形状を有している。また、内部空間側内壁部142は、中間開口部142aから内部空間側面113の内部空間側開口部142bに向かって広がる断面テーパー形状を有している。すなわち、内部空間側内壁部142の断面テーパー形状は、外部側内壁部141とは逆テーパーとなっている。
【0079】
また、封止孔140においても、封止孔140の内壁部を、外部側からリッド基板100の中間部までの外部側内壁部141と、先の中間部から内部空間(S1)側の内部空間側開口部142bまでの内部空間側内壁部142とに分けて見たとき、外部側内壁部141と内部空間側内壁部142との成す角のうち封止孔内側の角が180°より大きく構成したものである。本変形例のリッド基板100の封止孔140の場合、内部空間側内壁部142は、封止孔140を外部側から平面視したときに、外部側内壁部141の下方に隠れて視認できないように形成されている。
【0080】
封止孔140の外部側内壁部141を含む領域には、例えば、スパッタリングや蒸着などにより順次積層されたクロム、金と、その金の上に、無電解メッキにより順次積層されたニッケル、パラジウム、金からなる金属膜143が形成されている。
【0081】
上記変形例1のリッド基板100の構成によれば、封止孔140を平面視したときに、外部側内壁部141の下方に隠れて視認できない内部空間側内壁部142には、金属膜143がさらに形成され難くなるので、外部側内壁部141のみに選択的に金属膜143を形成することができる。
これにより、封止孔140の封止材による孔封止工程において、溶融した封止材45が内部空間側内壁部142へ濡れ広がることなく、外部側内壁部141の金属膜143と封止材45金属との安定した接合が可能になるので、信頼性の高い孔封止が実現できる。
【0082】
また、上記変形例1のリッド基板100では、封止孔140において、内部空間側内壁部142の外部側内壁部141と連通する側の中間開口部142aよりも、内部空間側面113側の内部空間側開口部142bの方が大きく形成されている。
これにより、封止孔140から内部空間S1側への封止材の落下を防止しながら、封止孔140の内部空間側面113側の内部空間側開口部142bが大きく形成されていることにより、孔封止工程における真空引きの際に内部空間内の気体が封止孔140内へスムーズに流入するので、真空引き時間を短縮させて製造効率を向上させることができる。
【0083】
(変形例2)
上記実施形態および変形例1のリッド基板10,100の封止孔40,140では、平面視で略円形の上側および下側開口部を有する二つの切頭円錐形状の外部側内壁部41,141および内部空間側内壁部42,142が連通してなる構成とした。これに限らず、内部空間側内壁部の上側および下側開口部の平面視の形状を楕円形状にすることにより、孔封止工程における真空引きの効率化を図ることが可能になる。
図8は、リッド基板の封止孔の変形例2を模式的に説明するものであり、(a)はリッド基板を外部側からみた部分平面図、(b)は(a)のE−E線部分断面図である。なお、図8においては、本変形例の効果を説明する便宜上、溶融前の球状の封止材45aを封止孔60に載置した状態を図示している。
【0084】
図8において、ガラスなどからなるリッド基板50の略中央には、外部側面51に大きく開口した外部側内壁部61と、内部空間側面53に大きく開口した内部空間側開口部62bを有する内部空間側内壁部62とが連通されてなる封止孔60が形成されている。
【0085】
封止孔60において、外部側内壁部61は、外部側面51に大きく開口し、内部空間側面53側に向かって狭まる断面テーパー形状を有している。ここで、外部側内壁部61は、平面視で略円形状の上側および下側開口を有する切頭円錐形状を呈している。
また、内部空間側内壁部62は、外部側内壁部61との連通孔となる中間開口部62aから内部空間側面53の内部空間側開口部62bに向かって広がる断面テーパー形状を有している。ここで、内部空間側内壁部62の中間開口部62aおよび内部空間側開口部62bは、平面視で楕円形状を呈している。
また、封止孔60の外部側内壁部61を含む領域には金属膜63が形成されている。
【0086】
上記変形例2のリッド基板50の構成によれば、封止孔60を平面視したときに、外部側内壁部61の下方に隠れて視認できない内部空間側内壁部62には、金属膜63がほとんど形成されないことにより、外部側内壁部61のみに選択的に金属膜63を形成することができる。これにより、封止孔60の封止材45aによる孔封止工程において、溶融した封止材45aが内部空間側内壁部62へ濡れ広がることなく、外部側内壁部61の金属膜63と封止材金属(封止材45a)との安定した接合が可能になる。
【0087】
また、上記変形例2のリッド基板50では、封止孔60において、内部空間側内壁部62の外部側内壁部61と連通する側の中間開口部62aよりも、内部空間側面53側の内部空間側開口部62bの方が大きく形成されているとともに、内部空間側内壁部62の上側および下側の開口部である中間開口部62aおよび内部空間側開口部62bが平面視で略楕円形状を呈している。
これにより、封止孔60の孔封止工程において、封止孔60の外部側内壁部61に球状の封止材45aを載置したときに、外部側内壁部61の底面に設けられた平面視で略楕円形状の中間開口部62aにより封止材45aと封止孔60の内壁との間に比較的大きな隙間が確保される。また、内部空間側内壁部62は、中間開口部62aよりも内部空間側開口部62bの方が大きく形成されている。したがって、孔封止工程における真空引きがより一層されやすくなるので、真空引き時間をより短縮させて製造効率を顕著に向上させる効果を奏する。
【0088】
(変形例3)
上記実施形態、変形例1、および変形例2のリッド基板10,100,50の封止孔40,140,60では、外部側内壁部41,141,61および内部空間側内壁部42,142,62それぞれの平面視で円形もしくは楕円形の中心点を重ねるように縦配置して封止孔40,140,60を構成した。これに限らず、外部側内壁部と内部空間側内壁部それぞれの平面視したときの形状の中心点をずらして配置した構成の封止孔とすることにより、孔封止工程における真空引きの効率化を図ることが可能になる。
図9は、リッド基板の封止孔の変形例3を模式的に説明するものであり、(a)はリッド基板を外部側からみた部分平面図、(b)は(a)のF−F線部分断面図である。なお、図9においては、本変形例の効果を説明する便宜上、溶融前の球状の封止材45aを封止孔80に載置した状態を図示している。
【0089】
図9において、ガラスなどからなるリッド基板70の略中央には、外部側面71に大きく開口した外部側内壁部81と、内部空間側面73に大きく開口した内部空間側開口部82bを有する内部空間側内壁部82とが連通されてなる封止孔80が形成されている。
【0090】
封止孔80において、外部側内壁部81は、外部側面71に大きく開口し、内部空間側面73側に向かって狭まる断面テーパー形状を有している。
また、内部空間側内壁部82は、外部側内壁部81との連通孔となる中間開口部82aから内部空間側面73の内部空間側開口部82bに向かって広がる断面テーパー形状を有している。ここで、図中、F−F線および中心線P1の交点で示す内部空間側内壁部82の平面視で円形状の円の中心点と、F−F線および中心点P2の交点で示す外部側内壁部81の中心点とが異なる位置に配置されている。
また、封止孔80の外部側内壁部81を含む領域には金属膜83が形成されている。
【0091】
上記変形例3のリッド基板70の構成によれば、封止孔80を平面視したときに、外部側内壁部81の下方に隠れて視認できない内部空間側内壁部82には、金属膜83がほとんど形成されないことにより、外部側内壁部81のみに選択的に金属膜83を形成することができる。これにより、封止孔80の封止材45aによる孔封止工程において、溶融した封止材45aが内部空間側内壁部82へ濡れ広がることなく、外部側内壁部81の金属膜83と封止材金属(封止材45a)との安定した接合が可能になる。
【0092】
また、上記変形例3のリッド基板70では、封止孔80に溶融前の球状の封止材45aを配置させた際に、外部側内壁部81と内部空間側内壁部82との連通孔となる中間開口部82aが球状の封止材45aの側面に配置され、封止孔80の内壁と封止材45aとの間に比較的大きく隙間が確保されることにより、孔封止工程における真空引き時間がより短縮できるという効果を奏する。
【0093】
以上、発明者によってなされた本発明の実施の形態およびその変形例について具体的に説明したが、本発明は上記した実施の形態およびその変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0094】
例えば、上記実施形態では、振動片基板20に設けられた圧電振動片として、音叉型の水晶振動片25を用いた一例について説明した。これに限らず、例えばATカット水晶振動片などの他の外形を有する水晶振動片、あるいは、他のカット角の水晶振動片であってもよい。
また、水晶からなる水晶振動片に限らず、水晶以外の他の圧電材料からなる圧電振動片、例えば、タンタル酸リチウム基板、ニオブ酸リチウム基板などを用いることもできる。
また、上記実施形態では、リッド基板10やベース基板30の材料として、青いガラスなどのガラス基板を用いたが、シリコン、あるいは振動片基板20と同じ水晶などの、直接接合が可能な他の材料を用いることも可能である。
【0095】
また、上記実施形態および変形例1〜3では、外部側内壁部41,61,81,141が平面視で円形状に形成された例を説明した。これに限らず、外部側内壁部は平面視で多角形状に形成してもよい。このとき、上記実施形態および変形例のように、溶融前の形状が球状の封止材45aを用いる場合は、孔封止する工程で封止材45aの均一な溶融を促すように外部側内壁部の平面視の形状は正多角形であることが好ましい。
【0096】
また、上記実施形態では、振動片基板20に、ベース基板30およびリッド基板10を陽極接合により接合したが、これに限らず、他の接合方法により接合してもよい。
例えば、珪素(Si)を主成分とした水晶やガラスなどの接合対応面である接合領域を鏡面研磨してから当接し、加圧することによって当接面の珪素結合(原子間的結合)によって直接接合する接合法(表面活性化接合ともいう)を用いる構成としてもよい。
また、低融点ガラスやハンダなどの金属ロウ材を介して加熱および加圧する接合方法を用いてもよい。
また、被接合材料を清浄化処理した後、真空雰囲気中で水分子を吹き付けて、被接合材料の表面に水分子と水酸基(OH基)とを吸着させて活性化させ、その後、プラズマ照射により表面の水分子を除去して、被接合材料の表面どうしを密着させ、一方の被接合材料の表面の水酸基と他方の被接合材料の表面の酸素原子との間で、直接水素結合させるという接合方法を用いることもできる。この水素結合による直接接合によれば、被接合材料どうしを当接させるだけで直接接合される。
【0097】
また、上記実施形態では、孔封止工程を真空チャンバー内で行い、水晶振動子1の内部空間S1を真空にして封止する構成とした。これに限らず、内部空間に、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを封入してから封止する構成としてもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、封止孔40に形成する金属膜43として、封止材45を溶融させて充填する際に、封止材の濡れ性が特に良好な好適なものとして、クロム、金を下地層として、その下地層の金の上に、ニッケル、パラジウム、金をこの順に積層させる構成を説明した。これに限らず、良好な濡れ性などが確保できれば、上記のうちの一部の金属のみによる合金層あるいは単一の金属層であってもよく、また、他の金属を用いた構成の金属膜であってもよい。
さらに上記実施形態では、封止孔40をリッド基板10側に形成したが、ベース基板30側に設けても良く、あるいは必要であればリッド基板10とベース基板30の両方に設けても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】圧電デバイスとしての水晶振動子の一実施形態を模式的に説明する分解斜視図。
【図2】(a)は、振動片基板を模式的に説明する平面図、(b)は、(a)のA−A線断面図、(c)は底面図。
【図3】水晶振動子の断面構造および直接接合方法としての陽極酸化をしている状態を模式的に説明する断面図。
【図4】(a)は、リッド基板の封止孔近傍を拡大して説明する部分拡大平面図、(b)は、(a)のC−C線断面図。
【図5】水晶振動子の製造方法を説明するフローチャート。
【図6】(a)、(b)は、水晶振動子の製造方法のうちの孔封止工程において、封止材により封止孔を孔封止する過程を説明する部分断面図。
【図7】(a)は、リッド基板の封止孔の変形例1を模式的に説明する平面図、(b)は、(a)のD−D線断面図。
【図8】(a)は、リッド基板の封止孔の変形例2を模式的に説明する平面図、(b)は、(a)のE−E線断面図。
【図9】(a)は、リッド基板の封止孔の変形例3を模式的に説明する平面図、(b)は、(a)のF−F線断面図。
【符号の説明】
【0100】
1…圧電デバイスとしての水晶振動子、10,50,70,100…リッド基板、11,51,71,111…外部側面、13,53,73,113…内部空間側面、20…振動片基板、23…基部、25…圧電振動片としての水晶振動片、25A,25B…振動腕、26A…第2の励振電極、26B…第1の励振電極、28…第1の電極、28a…第1の接合用電極、29…第2の電極、29a…第2の接合用電極、30…ベース基板、35,36…実装用電極、35a,36a…引き回し配線としての側面電極、40,60,80,140…封止孔、41,61,81,141…外部側内壁部、41a…外部側開口部、42,62,82,142…内部空間側内壁部、43,63,83,143…金属膜、45…封止材、45a…(溶融前の球状の)封止材、62a,82a,142a…中間開口部、62b,82b,142b…内部空間側開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動片が形成された振動片基板と、
前記振動片基板を間に挟んだ上下に配置される2つの基板と、を備え、
2つの前記基板に挟まれた内部空間に前記圧電振動片が収容され、
2つの前記基板の少なくとも一方に形成された前記内部空間と外部とを連通する封止孔を封止材にて塞いだ構成を有する圧電デバイスであって、
前記封止孔の内壁部が、前記外部側から前記基板の中間部までの外部側内壁部と、前記中間部から前記内部空間側の開口までの内部空間側内壁部と、を有し、
少なくとも前記外部側内壁部に金属膜が形成され、
前記外部側内壁部と前記内部空間側内壁部との成す角のうち前記封止孔内側の角が180°より大きい構成を有することを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電デバイスにおいて、
前記封止孔の中間部における開口部よりも前記内部空間側の開口部の方が大きく形成されていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の圧電デバイスにおいて、前記封止孔の中間部における開口形状が平面視で楕円形状を有することを特徴とする圧電デバイス。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧電デバイスにおいて、
前記封止孔の断面を平面視したときの前記外部側内壁部の仮想の中心点と、前記内部空間側内壁部の仮想の中心点とがそれぞれ異なる位置になるように配置されていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項5】
圧電振動片が形成された振動片基板と、前記振動片基板を間に挟んだ上下に配置される2つの基板と、を備え、2つの前記基板に挟まれた内部空間に前記圧電振動片が収容され、2つの前記基板の少なくとも一方に形成された前記内部空間と外部とを連通する封止孔を封止材にて塞いだ構成を備え、前記封止孔の内壁部が、前記外部側から前記基板の中間部までの外部側内壁部と、前記中間部から前記内部空間側の開口までの内部空間側内壁部と、を有し、少なくとも前記外部側内壁部に金属膜が形成され、前記外部側内壁部と前記内部空間側内壁部との成す角のうち前記封止孔内側の角が180°より大きい構成を有する圧電デバイスの製造方法であって、
前記基板の少なくとも一方に前記外部側内壁部または前記内部空間側内壁部を形成するステップと、
前記外部側内壁部または前記内部空間側内壁部のうち残る一方を形成するステップと、
少なくとも前記外部側内壁部に前記金属膜を形成するステップと、
2つの前記基板の間に前記圧電振動片を収容するステップと、
真空中で前記封止孔に前記封止材を配置し、該封止材を溶融させて前記封止孔を塞ぐことにより孔封止するステップと、を含むことを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の圧電デバイスの製造方法において、
少なくとも前記外部側内壁部を形成するステップで、ドライエッチング加工法を用いて前記外部側内壁部を形成することを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の圧電デバイスの製造方法において、
前記外部側内壁部および前記内部空間側内壁部を形成するステップで、前記基板の主面側から前記基板の中間部に向かって前記外部側内壁部および前記内部空間側内壁部を形成することを特徴とする圧電デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−153976(P2010−153976A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327067(P2008−327067)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】