説明

圧電デバイス、及びこれを用いたセンサーデバイス

【課題】小型化を図った圧電デバイス、及びこれを用いた圧力センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー等のセンサーデバイスを提供することを目的としている。
【解決手段】本発明の圧電デバイス10は、圧電基板の振動部を励振させる励振電極12eと、当該励振電極12eに接続された接続電極と、を有する圧電振動素子と、前記振動部の周縁部の上に配置され、前記圧電基板よりも外形が小さな集積回路と、を備え、前記集積回路と、前記接続電極とをバンプを用いて電気的に接続させたことを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にIC(集積回路)を備えた圧電デバイス、及びこれを用いた圧力センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー等のセンサーデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器に用いられる圧電デバイスとして、特許文献1に記載されているような圧電デバイス(圧電振動素子)とIC(集積回路素子)と、をパッケージ内に収容した圧電デバイスが知られている。このような圧電デバイスは、携帯端末、基地局、測定機器等の各種電子機器に広く用いられ、更なる小型化、低背化が望まれている。
【0003】
一般に、圧電デバイスとICとの電気的な接続や、ICとパッケージの外部電極との電気的な接続は、ワイヤーボンディングやパターン電極などを用いて行われている。例えば、特許文献2には弾性表面波素子と駆動回路としてのICとを容器に実装してなる弾性表面波発振器が提案されている。
【0004】
更に、特許文献3に開示されている圧電振動ジャイロは、音叉型振動子と、ICと、パッケージと、リッドからなり、前記パッケージの内部空間に音叉型振動子とICを別々に実装している。そして、実装の際に実装面積や高さに関する小型化を図るため、ワイヤーボンディングによる実装は行わず、フリップチップ実装を採用している。
【0005】
また特許文献4には、感圧素子としての双音叉振動子の両端の一対の基部をダイアフラムで支持してなる圧力センサー素子と、前記感圧素子の駆動回路とを実装した回路基板を容器に搭載してなる圧力センサーモジュールが提案されている。
【0006】
特許文献5には、前記パッケージの内部空間に実装された大型のICチップの上部に圧電振動素子を搭載し、前記圧電振動素子の励振電極が延在された引出電極と電気的に接続させた電極パッドと、前記パッケージの内部に配置された電極端子とをワイヤーボンディングにて電気的に接続している構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−89102号公報
【特許文献2】特開2010−233203号公報
【特許文献3】特開2006−10625号公報
【特許文献4】特開2010−96654号公報
【特許文献5】特開2010−213280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、圧電デバイスと、これを駆動させる駆動回路であるICチップとをワイヤーボンディングによる電気的な接続で行うと、配線が長くなり、浮遊容量などの影響により高周波特性等の電気的特性が悪くなることがある。また、ワイヤーボンディングの加工精度のばらつきによって、結果的に電気特性にばらつきが生じる虞があった。また、パターン電極による電気的な接続は、貫通電極や引き回し配線などを製造するため製造工程が多段階となり、構成も複雑となる。従ってワイヤーボンディング又はパターン電極による電気的な接続は少ないほうが望ましい。さらに、特許文献1乃至5のようなICと振動片をパッケージ内に別々に収容スペースに実装したり、大型のICチップの上部に圧電振動素子を実装したりする構成は、パッケージ構成が大型化してしまい、パッケージのデッドスペースが生じることがあり、小型化が図れない。
【0009】
そこで本発明は、従来技術の問題点を解決するため、ICとの電気的接続の安定性を図った圧電デバイス、及びこれを用いた圧力センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー等のセンサーデバイスを提供することを目的としている。
【0010】
また、小型化を図った圧電デバイス、及びこれを用いた圧力センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー等のセンサーデバイスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]圧電基板の振動部を励振させる励振電極と、当該励振電極に接続された接続電極と、を有する圧電振動素子と、前記振動部の周縁部の上に配置され、前記圧電基板よりも外形が小さな集積回路と、を備え、前記集積回路と、前記接続電極とをバンプを用いて電気的に接続させたことを特徴とする圧電デバイス。
【0012】
上記構成によれば、集積回路との電気的接続を安定化させることができる。またデバイス全体の小型化を図ることができる。また組み立て工程の簡略化を図ることができると共に、デバイス構成の簡易化を図ることができる。IC又は振動素子の交換が容易で歩留りが良くなる。
【0013】
[適用例2]前記集積回路は、温度検出手段と、当該温度検出手段の検出値に基づいて、前記圧電振動素子の周波数温度特性を補償する温度補償回路と、を備えたことを特徴とする適用例1に記載の圧電デバイス。
上記構成によれば、温度変化に基づく圧電デバイスの発振周波数の測定誤差がなくなり、発振周波数を正確に測定することができる。
【0014】
[適用例3]前記圧電振動素子は、少なくとも一以上の柱状ビームからなる音叉型圧電振動素子であることを特徴とする適用例1又は2に記載の圧電デバイス。
上記構成によれば、適用例1又は2に記載の特徴を備えた双音叉型水晶振動子が得られる。
【0015】
[適用例4]前記圧電基板は、ATカット水晶基板であることを特徴とする適用例1又は2に記載の圧電デバイス。
上記構成によれば、適用例1又は2に記載の特徴を備えたATカット水晶振動子が得られる。
【0016】
[適用例5]前記励振電極は、前記圧電基板上に設けられたIDT電極であることを特徴とする適用例1又は適用例2に記載の圧電デバイス。
上記構成によれば、適用例1又は2に記載の特徴を備えたSAW共振子が得られる。
【0017】
[適用例6]前記圧電基板は、水晶基板であり、当該水晶基板は、オイラー角(−1.5°≦φ≦1.5°、0°≦θ≦180°、0°≦|ψ|≦90°)の水晶基板であることを特徴とする適用例5に記載の圧電デバイス。
上記構成によれば、弾性表面波装置の高周波数化を容易にすることができる。
【0018】
[適用例7]前記IDT電極は、ストップバンドの上端モードの弾性表面波を励振させることを特徴とする適用例5又は6に記載の圧電デバイス。
上記構成によれば、IDT電極を微細化することを軽減し、弾性表面波装置の高周波数化を容易にすることができる。
【0019】
[適用例8]前記圧電基板には、前記IDT電極の電極指の間に位置する部位に電極指間溝が設けられていることを特徴とする適用例5乃至7の何れか一例に記載の圧電デバイス。
上記構成によれば、従来の弾性表面波共振子よりも高いQ値を得ることができる。また広い範囲で良好な周波数温度特性を得ることができる。
【0020】
[適用例9]前記オイラー角は(−1.5°≦φ≦1.5°、117°≦θ≦142°、41.9°≦|ψ|≦49.57°)の水晶基板であることを特徴とする適用例8に記載の圧電デバイス。
上記構成によれば、弾性表面波装置の高周波数化を容易にすることができる。
【0021】
[適用例10]前記圧電振動素子は、基部と、前記基部から直線上に両側へ延出された1対の検出用振動腕と、前記基部から両側へ前記検出用振動腕に直交する方向に延出された1対の連結腕と、前記各連結腕の先端部からそれと直交して両側へ延出された各1対の駆動用振動腕と、を備えたことを特徴とする適用例1に記載の圧電デバイス。
上記構成によれば、適用例1又は2の特徴を備えた圧電デバイスが得られる。
【0022】
[適用例11]前記集積回路は、前記検出用振動腕の検出振動を検出する検出回路と、前記駆動用振動腕を振動させる振動回路と、を有することを特徴とする適用例10に記載の圧電デバイス。
上記構成によれば、適用例1又は2の特徴を備えた圧電デバイスが得られる。
【0023】
[適用例12]適用例3又は4に記載の圧電デバイスと、前記圧電振動素子の両端に配置された一対の基部を支持するダイアフラムと、を備えたことを特徴とするセンサーデバイス。
【0024】
上記構成によれば、集積回路との電気的接続を安定化させることができる。またデバイス全体の小型化を図ることができる。また組み立て工程の簡略化を図ることができると共に、デバイス構成の簡易化を図ることができる。IC又は振動子の交換が容易で歩留りが良くなるセンサーデバイスが得られる。
【0025】
[適用例13]適用例3又は4に記載の圧電デバイスと、前記圧電振動素子の両端に配置された一対の基部のうち何れか一方の基部と接続する支持部と、前記圧電振動素子の何れか他方の基部と接続し前記支持部にくびれ部を介して接続された錘部と、を備えたことを特徴とするセンサーデバイス。
【0026】
上記構成によれば、集積回路との電気的接続を安定化させることができる。またデバイス全体の小型化を図ることができる。また組み立て工程の簡略化を図ることができると共に、デバイス構成の簡易化を図ることができる。発振回路又は振動子の交換が容易で歩留りが良くなるセンサーデバイスが得られる。
【0027】
[適用例14]適用例10又は11に記載の圧電デバイスと、当該圧電デバイスが実装されるパッケージと、を備えたことを特徴とするセンサーデバイス。
上記構成によれば、集積回路との電気的接続を安定化させることができる。またデバイス全体の小型化を図ることができる。また組み立て工程の簡略化を図ることができると共に、素子構成の簡易化を図ることができる。IC又はジャイロ素子の交換が容易で歩留りが良くなるセンサーデバイスが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態に係る圧電デバイスの構成概略を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る圧電デバイスの平面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】第2実施形態に係る圧電デバイスの構成概略を示す斜視図である。
【図5】第2実施形態に係る圧電デバイスの平面図である。
【図6】図5のB−B断面図である。
【図7】第3実施形態に係る圧電デバイスの構成概略を示す斜視図である。
【図8】第3実施形態に係る圧電デバイスの平面図である。
【図9】図8のC−C断面図である。
【図10】第1実施形態に係る圧力センサーの構成概略を示す模式図である。
【図11】第2実施形態に係る圧力センサーの構成概略を示す分解斜視図である。
【図12】第1実施形態に係る加速度センサーの構成概略を示す平面図である。
【図13】第2実施形態に係る加速度センサーの構成概略を示す分解斜視図である。
【図14】第2実施形態に係る加速度センサーの作用の説明図である。
【図15】第3実施形態に係る加速度センサーの構成概略を示す分解斜視図である。
【図16】第3実施形態の加速度センサーの作用の説明図である。
【図17】第4実施形態に係る加速度センサーの構成概略を示す平面図である。
【図18】第1実施形態に係るジャイロ素子の構成概略を示す平面図である。
【図19】第1実施形態に係るジャイロセンサーの構成概略を示す断面図である。
【図20】2つの検出軸を備えたジャイロ素子片の概略斜視図である。
【図21】1つの検出軸を備えたジャイロ素子片の概略斜視図である。
【図22】1つのパッケージで構成した3軸ジャイロモジュールの断面図である。
【図23】3軸ジャイロモジュールの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の圧電デバイス、及びこれを用いた圧力センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー等のセンサーデバイスの実施形態を添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0030】
図1は第1実施形態に係る圧電デバイスの構成概略を示す斜視図である。図2は第1実施形態に係る圧電デバイスの平面図である。図3は図2のA−A断面図である。
【0031】
図示のように第1実施形態に係る圧電デバイス10は、圧電振動素子として音叉型圧電振動子を用いている。
第1実施形態に係る圧電デバイス10は、圧電振動片12と、IC14と、パッケージ16を主な基本構成としている。
【0032】
圧電振動片12は、圧電基板に一対の振動腕12a,12bとその端部に形成された基部12cを有し、水晶、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等の圧電材料により形成されている。圧電振動片12の一対の振動腕12a、12bにはそれぞれ励振電極12d,12eが形成され、励振電極12d,12eと電気的に接続する接続電極(不図示)を有する。圧電振動片12は、後述するIC14から供給される交流電圧により、固有の共振周波数で振動する。本実施形態においては振動腕として双音叉型振動子を適用することができる。また本実施形態においては2つの振動ビームを有する形態のみならず、一本の振動ビーム(シングルビーム)を適用することができる。
【0033】
集積回路となるIC14は、圧電振動片12を発振させるための発振回路を備えている。IC14は圧電振動片12の基部12cのIC実装領域に実装可能な大きさに形成され、具体的には基部12cよりも小さく形成されている。IC14の一方の主面14aには、圧電振動片12の接続電極と接続するためのバンプ15aを複数形成している。またIC14の他方の主面14bには、電極パッド17と接続するためのバンプ15bが複数形成されている。
【0034】
なお、IC14は、前述の発振回路のほかにも、温度センサーやサーミスタ等の温度検出手段と、温度補償回路を備えた構成とすることができる。このような構成のICは、温度検出手段による検出値が温度補償回路に出力されて、検出値に基づいて圧電デバイスの周波数温度特性を補償することができる。
【0035】
パッケージ16は、ベース基板16aと台座16bとリッド16cから構成されている。ベース基板16aは、圧電振動片12とIC14を収容可能な収容スペースを備え、底面に圧電振動片12を片持ち支持する台座16bが形成されている。リッド16cは、収容スペースの上部開口を封止するものである。台座16bには、パッケージ16の底面に形成された外部電極(不図示)と電気的に接続する電極パッド17が複数形成されている。なお、外部電極は、電圧供給端子、グランド端子、出力端子などから構成されている。
【0036】
上記構成による第1実施形態に係る圧電デバイス10は、パッケージ16の収容スペースの台座16bに圧電振動片12を取り付けている。そして、基部12c上に形成されたIC実装領域(周縁部)にIC14を実装させている。IC実装領域には、励振電極12d,12eと電気的に接続する接続電極が形成されている。IC14の一方の主面14aに設けられたバンプ15aと対応する接続電極とを半田によって接続している。IC14を実装した後、パッケージ16の電極パッド17と、IC14のバンプ15bとをボンディングワイヤー18により電気的に接続している。そして、パッケージ16は、リッド16cによりパッケージ16内部を真空あるいは不活性ガス雰囲気に保持して封止されている。
【0037】
このような第1実施形態の圧電デバイス10によれば、圧電振動片12とIC14との電気的接続を安定化させることができる。またデバイス全体の小型化を図ることができる。また組み立て工程の簡略化を図ることができると共に、デバイス構成の簡易化を図ることができる。IC又は振動片の交換が容易で歩留りが良くなる。
【0038】
次に第2実施形態に係る圧電デバイスについて説明する。
図4は第2実施形態に係る圧電デバイスの構成概略を示す斜視図である。図5は第2実施形態に係る圧電デバイスの平面図である。図6は図5のB−B断面図である。
【0039】
第2実施形態に係る圧電デバイスは、圧電振動素子にATカット水晶振動片20を用いている。その他の構成は第1実施形態に係る圧電デバイス10の構成と同一であり、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0040】
ATカット水晶振動片20は、水晶基板をX軸に平行でZ軸から35度15分付近の角度に切り出した所謂ATカット水晶チップからなる。このATカット水晶振動片20の両主面には一対の励振電極20d,20eが設けられている。ATカット水晶振動片20の基部20cのIC実装領域には、一方の主面20aの励振電極20dの接続電極と、他方の主面20bの励振電極20eから引き回された接続電極が形成されている。
なお、ATカット水晶振動片は、上記構成のほかにも、メサ型、逆メサ型であっても適用することができる。
【0041】
上記構成による第2実施形態に係る圧電デバイス10aは、パッケージ16の収容スペースの台座16bにATカット水晶振動片20を取り付けている。そして、基部20c上に形成されたIC実装領域(周縁部)にIC14を実装させている。IC実装領域には、励振電極20d,20eと電気的に接続する接続電極が形成されている。IC14の一方の主面14aに設けられたバンプ15aと対応する接続電極とを半田によって接続している。IC14を実装した後、パッケージ16の電極パッド17と、IC14のバンプ15bとをボンディングワイヤー18により電気的に接続している。そして、パッケージ16は、リッド16cによりパッケージ16内部を真空あるいは不活性ガス雰囲気に保持して封止されている。
【0042】
このような第2実施形態の圧電デバイス10aによれば、ATカット水晶振動片20とIC14との電気的接続を安定化させることができる。またデバイス全体の小型化を図ることができる。また組み立て工程の簡略化を図ることができると共に、デバイス構成の簡易化を図ることができる。IC又は振動片の交換が容易で歩留りが良くなる。
【0043】
次に第3実施形態に係る圧電デバイスについて説明する。
図7は第3実施形態に係る圧電デバイスの斜視図である。図8は第3実施形態に係る圧電デバイスの平面図である。図9は図8のC−C断面図である。
【0044】
第3実施形態に係る圧電デバイス10bは、SAW共振子30を用いている。その他の構成は第1実施形態に係る構成と同一であり、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0045】
SAW共振子30は、水晶基板31の表面に電極指32a,32bを備えるIDT電極32と、その両端に設けた反射器33a,33bから構成されている。IDT電極32はそれぞれの電極指32a,32bが噛み合うように配置されている。電極指32a,32bは厚さH、電極幅dにて形成され、電極指32aと電極指32bの間隔(ピッチ)Pは等間隔で連続して形成されている。また弾性表面波の1波長λ中に2本の電極指32a,32bが設けられている。一般に、このIDT電極32による構成のIDT電極32はシングル型IDT電極と呼ばれている。IDT電極32はAlにて形成され、お互いに逆相となるように駆動される。
【0046】
また水晶基板31は、オイラー角表示で(−1.5°≦φ≦1.5°,0°≦θ≦180°,0°<|ψ|<90°)の範囲となるように水晶から切り出されている。IDT電極は、ストップバンドの上端モードの弾性表面波を励振させている。これによりIDT電極を微細化することを軽減し、弾性表面波装置の高周波数化を容易にすることができる。
【0047】
また圧電基板には、前記IDT電極の電極指の間に位置する部位に電極指間溝が設けられている。
ここでオイラー角について説明する。オイラー角(0°,0°,0°)で表される基板は、Z軸に垂直な主面を有するZカット基板となる。ここで、オイラー(φ、θ、ψ)のφはZカット基板の第1の回転に関するものであり、Z軸を回転軸とし、+X軸から+Y軸側へ回転する方向を正の回転角度とした第1回転角度である。オイラー角のθはZカット基板の第1の回転後に行う第2の回転に関するものであり、第1の回転後のX軸を回転軸とし、第1の回転後の+Y軸から+Z軸へ回転する方向を正の回転角度とした第2の回転角度である。圧電基板のカット面は、第1回転角度φと第2回転角度θとで決定される。オイラー角のψはZカット基板の第2の回転後に行う第3の回転に関するものであり、第2の回転後のZ軸を回転軸とし、第2の回転後の+Xから第2の回転後の+Y軸側へ回転する方向を正の回転角度とした第3回転角度である。SAWの伝搬方向は第2の回転後のX軸に対する第3回転角度ψで表される。
【0048】
また水晶基板31上には、振動部となるIDT電極32と反射器33a,33bの外側のIC実装領域にIC14とIDT電極32を接続させるためのパターン電極34a,34bが引き伸ばし形成されている。
【0049】
このような構成のSAW共振子30において、IDT電極32で励振され外部に向かって伝搬する弾性表面波を、反射器33a,33bにより反射させ、IDT電極32と反射器33a,33bの部分に表面波エネルギーを閉じ込め、損失の少ない共振特性を得ている。
【0050】
上記構成による第3実施形態に係る圧電デバイス10bは、パッケージ16の収容スペースにSAW共振子30を固着している。そして、水晶基板31上にIDT電極32及び反射器33a,33bを備えたSAW共振子30上に形成されたIC実装領域(周縁部)にIC14を実装させている。IC14の実装領域には、IDT電極32と接続したパターン電極34a,34bが形成されている。IC14の一方の主面14aに設けられたバンプ15aと対応するパターン電極34a,34bとを半田によって接続している。またパッケージ16の電極パッド17と、IC14のバンプ15bとをボンディングワイヤー18により電気的に接続している。そして、パッケージ16は、リッド16cによりパッケージ内部を真空あるいは不活性ガス雰囲気に保持して封止されている。
【0051】
このような第3実施形態の圧電デバイスによれば、SAW共振子30とIC14との電気的接続を安定化させることができる。また素子全体の小型化を図ることができる。また組み立て工程の簡略化を図ることができると共に、素子構成の簡易化を図ることができる。IC又は振動片の交換が容易で歩留りが良くなる。
【0052】
またSAW共振子は、オイラー角(−1.5°≦φ≦1.5°,117°≦θ≦142°,41.9°≦|ψ|≦49.57°)の水晶基板上に設けられ、ストップバンド上端モードの弾性表面波を励振するIDTと、前記IDTを構成する電極指間に位置する基板を窪ませた電極指間溝を有する弾性表面波共振子であって、
前記弾性表面波の波長をλ、前記電極指間溝の深さをGとした場合に、
【数1】

を満たし、
かつ、前記IDTのライン占有率をηとした場合に、前記電極指間溝の深さGと前記ライン占有率ηとが
【数2】

の関係を満たす弾性表面波共振子を適用しても良い。
【0053】
次に上記構成による圧電デバイスを備えた各種センサーについて以下説明する。
図10は第1実施形態に係る圧力センサーの構成概略を示す模式図である。
【0054】
図10に示す圧力センサー101は、内部を真空とするとともに対向して配置された第1の圧力入力口102と第2の圧力入力口103とを有し、後述する各構成要素を収容するハウジング104を備える。第1の圧力入力口102の先端部には、測定対象の液体の圧力に応じて撓む第1のダイアフラム(受圧用ダイアフラム)105が取り付けられ、外部に露出している。第2の圧力入力口103の先端部には、大気圧に応じて撓む第2のダイアフラム(大気圧用ダイアフラム)106が取り付けられる。第1のダイアフラム105と第2のダイアフラム106との間には、力伝達手段としてシャフト107が取り付けられ、外部に露出している。シャフト107の所定の位置には可動部材109が取り付けられている。力の検出軸方向に配置された両端の支持部をそれぞれ可動部材109と第2のケース121の固定部110に接続支持することにより感圧素子111が固定されている。感圧素子111はその変位方向が、第1のダイアフラム105と第2のダイアフラム106の受圧部を連結するシャフト107の変位方向と同一方向となるよう、即ち力の検出軸方向に平行となるように配置されている。第1のケース120と第2のケース121との間には支持棒112a、112bが設けられており、支持棒112a、112bの断面の外形に倣った形状のダボ穴(不図示)が第1のケース120と第2のケース121の内部表面に形成され、当該ダボ穴にガイドシャフトとしての支持棒112a、112bを差し込んで接合し、組み立て時、及び製品使用時に感圧素子に不要な歪みがかからないように機能している。
【0055】
そして第2のケース121側の感圧素子111の基部にはIC実装領域にIC14を実装させている。IC14は、感圧素子111を発振させる発振回路と、感圧素子111の引張応力又は圧縮応力の大きさに応じて変化する共振周波数を検出する検出回路を備えている。
【0056】
上記構成による第1実施形態に係る圧力センサーによれば、基部の電極部とIC14との電気的接続を安定化させることができる。またセンサー全体の小型化を図ることができる。また組み立て工程の簡略化を図ることができると共に、センサー構成の簡易化を図ることができる。IC又は振動片の交換が容易で歩留りが良くなる。
【0057】
また、ICは、温度センサーと、前記温度センサーの検出値に基づいて、感圧素子の周波数温度特性を補償する温度補償回路と、を備える構成にすれば、温度変化に基づく圧電デバイスの発振周波数の測定誤差がなくなり、発振周波数を正確に測定することができる。
【0058】
図11は第2実施形態に係る圧力センサーの構成概略を示す分解斜視図である。図11に示す圧力センサー210は、ダイアフラム212と、ベース234、およびこのダイアフラム212とベース234によって挟持される枠付き振動片222と、IC14とを基本構成とする絶対圧計である。
【0059】
上記のような基本構成を有する圧力センサー210のうち、前記ダイアフラム212は、振動片226に対向する面とは反対側の面を受圧部とし、当該受圧部が外部からの圧力を受圧し、この圧力によって変形する(撓みを生じさせる)可撓部214と、この可撓部214の周囲に形成される枠部218とを基本構成とする。
【0060】
ダイアフラム212は、その平面形状を矩形とする。平面形状を矩形としたのは、ダイアフラムの平面形状を円形とする場合に比べ、ウエハからの切り取りに無駄が無く、ダイシングによる切り出しが容易となるからである。
【0061】
そしてダイアフラム212は可撓部214の一方の面、具体的には詳細を後述する枠付き振動片222と対向する面に、前記枠付き振動片222を載置、固定するための支持部216を有する。前記支持部216は詳細を後述する振動片226を2点で支持するために設けられるものであり、振動片226の振動部(感圧部)の両側に形成された一対の基部230を固定するために、対を成すように島部として突設されている。
【0062】
ベース234は、前述したダイアフラム212と同一な平面形状を有する平板の外縁部に枠部238を残し、振動片226に対向する側の面であって、枠部238の内側に凹部236を形成することで構成される。ここで枠部238の幅は、上述したダイアフラム212の枠部218と同等とすると良い。なお枠部はダイアフラム212、ベース234、および枠付き振動片222を接合するための部位であるため、接合時の気密性を確保できるだけの幅を持たせるようにする。
【0063】
枠付き振動片222は、上記ダイアフラム212の枠部218や、ベース234の枠部238により挟持、接合される枠部224と、感圧素子として機能する振動片226とより成る。枠部224の幅は、ダイアフラム212の枠部218やベース234の枠部238に合わせると良い。また、振動片226は、いわゆる双音叉型の圧電振動片である。双音叉型の振動片は、長手方向の両端部に基部230を有し、この2つの基部230の間に振動部となる一対のアーム228を有する。このような構成の双音叉型の振動片では、双音叉形状を成すアーム228に与える張力を変化させることで、その振動状態、すなわち共振周波数を変化させるという特性を持つ。具体的には、アーム228に引張の力が加えられた場合には周波数が高くなり、圧縮の力が加えられた場合には周波数が低くなるのである。
【0064】
このような構成の枠部224と振動片226とは、基部230に設けられた支持アーム232により互いに接続されており、図示しない励振電極等に接続された引出し電極は、当該支持アーム232を介して枠部224へと引き回される。
【0065】
本実施形態の圧力センサー210では、上記のような構成の枠付き振動片222を圧電部材、例えば水晶で構成し、感圧素子としての振動片226を圧電振動片(双音叉型圧電振動片)としている。そしてこのような構成の圧力センサー210では、双音叉型の振動片226の特性を利用して圧力の検出を行うことを可能としている。具体的には、上記のような特徴を有する振動片226の2つの基部230を、上記構成のダイアフラム212の可撓部214に形成した2つの支持部216の載置面220に固定する。このようにして振動片226をダイアフラム212に搭載して前記ダイアフラム212の可撓部214に撓みを生じさせた場合、前記支持部216の載置面220は可撓部214の変形状態に伴って傾くこととなる。図11において、図中上側から下側へ向けて負荷をかけられた場合には、前記支持部216の載置面220は可撓部214の中心に対して外側へ向けて傾くこととなる。このため、載置面220間の距離は実質的に増加することとなり、載置面220に固定された振動片226のアーム228には引張の力(張力)が負荷されることとなる。
【0066】
振動片226のいずれか一方の基部230であって、凹部236側のIC実装領域には、IC14を実装させている。IC14は、振動片226を発振させる発振回路と、振動片226の引張応力又は圧縮応力の大きさに応じて変化する共振周波数を検出する検出回路を備えている。
【0067】
上記構成による第2実施形態に係る圧力センサーによれば、アーム228に張力が負荷されると振動片226は上述したように、出力される発振信号、すなわち周波数が上昇する。そしてIC14ではこの周波数の変化を検出し、周波数の変化に基づく圧力の変化を導き出すことで、ダイアフラム212(実際には可撓部214)に負荷された圧力を検出することができる。
【0068】
また振動片226とIC14との電気的接続を安定化させることができる。またセンサー全体の小型化を図ることができる。また組み立て工程の簡略化を図ることができると共に、センサー構成の簡易化を図ることができる。IC又は振動片の交換が容易で歩留りが良くなる。
【0069】
また、IC14は、温度センサーと、前記温度センサーの検出値に基づいて、感圧素子の周波数温度特性を補償する温度補償回路と、を備える構成にすれば、温度変化に基づく圧電デバイスの発振周波数の測定誤差がなくなり、発振周波数を正確に測定することができる。
【0070】
図12は第1実施形態に係る加速度センサーの構成概略を示す平面図である。
図12に示す加速度センサー300は、感応素子として、双音叉圧電振動片312を有する。双音叉圧電振動片312は、平行に延長する一対の振動ビーム313,313と、それらの長手方向両端の基端部314,315とを有する。一方の基端部314は、前記振動ビーム313とは反対側に連結部316を介して支持部317に結合し、他方の基端部315は、前記振動ビームとは反対側の支持部318に直接結合している。前記各振動ビーム313はその表面に図示しない励振電極が所望のパターンに形成されており、それらに所定の電圧を印加すると、面内で接近又は離間する向きに屈曲振動する。
【0071】
連結部316には、その下面側に全幅に亘って溝を形成することにより、厚さ一定のくびれ部319が設けられている。連結部316を設けた側の基端部314には、双音叉圧電振動片312の幅方向両側に配置した概ね矩形の錘部320,320が一体に結合している。前記各錘部は、双音叉圧電振動片312を挟んで左右対称に形成され、基端部314から前記圧電振動片の長手方向に沿ってその全長及び支持部318の先端にまで亘って延長している。
【0072】
加速度センサー300は、水晶ウエハから公知のフォトエッチング技術等を用いて、容易に製造することができる。水晶以外にタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の公知の圧電材料を用いることができる。
【0073】
また加速度センサー300は、両支持部317,318をベース等のマウントに例えば接着材で固定し、前記圧電振動片を両端で2点支持する状態で使用される。この状態で、錘部320,320は、その主面の法線方向下向き又は上向きに加速度が作用すると、基端部314との連結部分を支点に下方又は上方へ弾性変形する。これにより、前記錘部の重心を力点とし、かつくびれ部319を作用点として、前記加速度の大きさ及び向きに対応した回転モーメントが発生する。これが基端部314及び振動ビーム313にその長手方向に沿って圧縮又は引張応力を作用させている。
【0074】
支持部317,318のいずれか一方には(図12では支持部317)、IC14を実装させている。IC14は、振動ビーム313を発振させる発振回路と、基端部314及び振動ビーム313にその長手方向に沿って圧縮又は引張応力の大きさに応じて変化する共振周波数を検出する検出回路を備えている。
【0075】
上記構成による第1実施形態の加速度センサーによれば、支持部の電極部とIC14との電気的接続を安定化させることができる。またセンサー全体の小型化を図ることができる。また組み立て工程の簡略化を図ることができると共に、センサー構成の簡易化を図ることができる。IC又は振動片の交換が容易で歩留りが良くなる。
【0076】
また、IC14は、温度センサーと、前記温度センサーの検出値に基づいて、感圧素子の周波数温度特性を補償する温度補償回路と、を備える構成にすれば、温度変化に基づく圧電デバイスの発振周波数の測定誤差がなくなり、発振周波数を正確に測定することができる。
【0077】
図13は第2実施形態に係る加速度センサーの構成概略を示す分解斜視図である。図13に示す加速度センサー410は、ベース420と感圧素子430を主な基本構成としている。
ベース420は、主に固定部422と、可動部(錘部)424と、くびれ部426、梁部470とから構成されている。
【0078】
固定部422は、加速度Gの印加によって変位せず、図示しない基板にベース420を固定する部材である。錘となる可動部424は、固定部422によって支持され、加速度Gが印加されると印加の方向(Z軸方向)へ変位(可動)する。固定部422及び可動部424は、ベース420の一方の主面427側に後述する感圧素子430を接着する際、感圧素子430の一対の基部を支持する載置部429a、429bを備えている。
【0079】
くびれ部426は固定部422と可動部424の間であって、平面矩形のベース420のX軸方向に端面形状が凹状となるように形成された薄肉部である。くびれ部426は、可動部424に加速度Gが印加され、感圧素子430に伸縮・圧縮応力が加わる場合に可動部424を加速度Gの印加方向と逆の方向(慣性力の方向)へ変位させるように構成されている。図1に示すくびれ部426はベース420の他方の主面428を端面形状が凹状に切削加工して形成した溝である。
【0080】
なお、くびれ部426は、可撓性を備えるようにベース420の一部を薄肉にした形状であれば、図示のようなベース420の他方の主面428に形成した凹状の溝以外にも、一方の主面427側に凹状の溝を形成する構成とすることもできる。また例えばベース420の表裏面を半円状に切削加工した形状に構成することができる。
【0081】
梁部470は、固定部422に接続する固定端472と、くびれ部426の方向と交差する方向であって固定部422側から可動部424側へ延出する自由端474から構成されている。梁部470は、固定部422と可動部424の間に設けたくびれ部426を形成していないため、ベース420に加速度Gが印加しても可動部424のように変位することがない。図13に示す梁部470は自由端474の先端が可動部424側の載置部429bの側面を挟むように所定間隔を開けて形成している。
【0082】
なお梁部470は破壊限界の際に後述する接触部436と接触して、可動部424の変位を止めるように構成できれば良く、従って図13に示すように梁部470は載置部429bを挟むように2本(複数)形成した構成のほか、いずれか1本であってもよい。
【0083】
また、ベース420を構成する固定部422、可動部424、くびれ部426、梁部470は、平面視矩形の金属材料を用いて、薄肉となるくびれ部426と、梁部470を切削加工して一体的に形成することができる。
【0084】
感圧素子430は、主に感圧部432と、一対の基部434、435と、接触部436とから構成されている。
感圧素子430は両端部に一対の基部434、435を配置し、一対の基部434、435間に振動領域を備えた感圧部432を連設して、振動領域上には図示しない励振電極を形成している。
【0085】
本実施例の感圧部432は一対の基部434、435の間に基部434、435と連結するように1本の振動腕を備えた構成である。また感圧部432は、加えられた力に対して周波数の変化が大きく、圧力を感度良く検出できる双音叉振動片を用いることもできる。すなわち双音叉振動片は、屈曲振動モードを有する振動片であって、2つの音叉型振動片の自由端側の端面どうしを対向させて結合させた構造を有しており、互いに並行にY軸方向に長手方向が延びる2本の振動腕と、この振動腕の長手方向の両端に接続され、振動腕と一列に並んだ2つの基部とを有する構成としても良い。
【0086】
振動腕はY軸方向に細長く、その表面に設けられた図示しない励振電極により駆動電圧を印加されて屈曲振動する部分であり、この部分にY軸方向に伸張及び/又は圧縮するようにストレス或いはテンションがかかると、周波数が変化する部分である。したがってその周波数変化を検知することで加速度を感知することができる。
【0087】
感圧素子430は、加速度の方向に垂直な力であって、当該力の検出方向を検出軸とするように一対の基部434、435をベース420上の載置面429a、429bに固定している。すなわち感圧素子430の検出軸はY軸方向となる。
また感圧素子430に対し、ベース420のくびれ部426は、一対の基部434、435の間に挟まれる領域であって、可動部424と固定部422の間に検出軸の方向と交差する方向に配置される関係となる。
【0088】
接触部436は、可動部424側の基部435に形成している。図13に示す接触部436は、基部435の側面に一対形成している。接触部436は、ベース420を平面視して梁470の自由端474と重なる位置に形成している。
なお接触部436は破壊限界の際に梁部470と接触して、可動部424の変位を止めるように構成できれば良く、従って図13に示すように接触部436は基部435の側面に2本(複数)形成した構成のほか、いずれか1本でもよい。
【0089】
感圧素子430は、圧電材料として例えば水晶をフォトリソグラフィ技術とエッチング技法によって基部434、435と感圧部432と接触部436を一体的に形成することができ、水晶以外にタンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等を用いることができる。
【0090】
このように形成した感圧素子430は、一対の基部434、435をベース420の一方の主面427の載置部429a、429bにベース420との間に所定間隔を開けて接着手段により接着して固定している。このとき接触部436はベース420と接着させることなく、ベース420を平面視して梁部470の自由端474と重なる位置に配置されている。
感圧素子430とベース420の間の隙間となる所定間隔は、感圧部432とベース420が干渉しない距離に設定している。
【0091】
一対の基部434,435のいずれか一方には(図13では基部434)、IC14を実装させている。IC14は、感圧部432を発振させる発振回路と、感圧部432にY軸方向に伸張及び/又は圧縮するようにストレス或いはテンションがかかると、周波数が変化し、その周波数変化を検出する検出回路を備えている。
【0092】
上記構成による第2実施形態の加速度センサーは次のように作用する。図14は実施例1の加速度検出器の作用の説明図である。
図示のように加速度センサー410のベース420にマイナスの加速度Gが作用すると、加速度Gの方向に垂直な力であって、力の検出方向を検出軸とする感圧素子430の感圧部432に伸長応力が加わる。感圧素子430はこの伸長応力によって周波数が変化して加速度Gを検出することができる。
【0093】
そして加速度センサー410に破壊応力を超える過剰な加速度Gが印加すると、可動部424の変位に応じて感圧素子430の感圧部432は伸長応力が加わる。一方梁部470は固定端472をベース420の固定部422に固定され、自由端474は固定されていないため、可動部424の伸長応力の影響を受けることがない。従って変位した可動部424と共に変位する感圧素子430の接触部436が梁部470の自由端474と接触して、可動部424の変位を止める働きをする。
【0094】
上記構成による第2実施形態の加速度センサーによれば、基部の電極部とIC14との電気的接続を安定化させることができる。またセンサー全体の小型化を図ることができる。また組み立て工程の簡略化を図ることができると共に、センサー構成の簡易化を図ることができる。IC又は振動片の交換が容易で歩留りが良くなる。
【0095】
また、IC14は、温度センサーと、前記温度センサーの検出値に基づいて、感圧素子の周波数温度特性を補償する温度補償回路と、を備える構成にすれば、温度変化に基づく圧電デバイスの発振周波数の測定誤差がなくなり、発振周波数を正確に測定することができる。
【0096】
図15は第3実施形態に係る加速度センサーの構成概略を示す分解斜視図である。図15に示す加速度センサー510は、ベース520と感圧素子530を主な基本構成としている。
ベース520は、主に固定部522と、可動部(錘部)524と、くびれ部526とから構成されている。
【0097】
固定部522は、加速度Gの印加によって変位せず、図示しない基板にベース520を固定する部材である。錘となる可動部524は、固定部522によって支持され、加速度Gが印加されると印加の方向(Z軸方向)へ変位(可動)する。固定部522及び可動部524は、ベース520の一方の主面527側に後述する感圧素子530を接着する際、感圧素子530の一対の基部を支持する載置部529a、529bを備えている。
【0098】
くびれ部526は固定部522と可動部524の間であって、平面矩形のベース520のX軸方向に端面形状が凹状となるように形成された薄肉部である。くびれ部526は、可動部524に加速度Gが印加され、感圧素子530に伸縮・圧縮応力が加わる場合に可動部524を加速度Gの印加方向と逆の方向(慣性力の方向)へ変位させるように構成されている。図15に示すくびれ部526はベース520の他方の主面528を端面形状が凹状に切削加工して形成した溝である。
【0099】
なお、くびれ部526は、可撓性を備えるようにベース520の一部を薄肉にした形状であれば、図示のようなベース520の他方の主面528に形成した凹状の溝以外にも、一方の主面527側に凹状の溝を形成する構成とすることもでき、また例えばベース520の表裏面を半円状に切削加工した形状に構成することができる。
【0100】
また、ベース520を構成する固定部522、可動部524、くびれ部526は、平面視矩形の金属材料を用いて、薄肉となるくびれ部526を切削加工して一体的に形成することができる。
【0101】
感圧素子530は、主に感圧部532と、一対の基部534、535と、梁部536とから構成されている。感圧素子530は両端部に一対の基部534、535を配置し、一対の基部534、535間に振動領域を備えた感圧部532を連設して、振動領域上には図示しない励振電極を形成している。
【0102】
本実施例の感圧部532は一対の基部534、535の間に基部534、535と連結するように1本の振動腕を備えた構成である。また感圧部532は、加えられた力に対して周波数の変化が大きく、圧力を感度良く検出できる双音叉振動片を用いることもできる。すなわち双音叉振動片は、屈曲振動モードを有する振動片であって、2つの音叉型振動片の自由端側の端面どうしを対向させて結合させた構造を有しており、互いに並行にY軸方向に長手方向が延びる2本の振動腕と、この振動腕の長手方向の両端に接続され、振動腕と一列に並んだ2つの基部とを有する構成としても良い。
【0103】
振動腕はY軸方向に細長く、その表面に設けられた図示しない励振電極により駆動電圧を印加されて屈曲振動する部分であり、この部分にY軸方向に伸張及び/又は圧縮するようにストレス或いはテンションがかかると、周波数が変化する部分である。したがってその周波数変化を検知することで加速度を感知することができる。
【0104】
感圧素子530は、加速度の方向に垂直な力であって、当該力の検出方向を検出軸とするように一対の基部534、535をベース520上の載置部529a、529bに固定している。すなわち感圧素子の検出軸はY軸方向となる。
また感圧素子530に対し、ベース520のくびれ部526は、一対の基部534、535の間に挟まれる領域であって、可動部524と固定部522の間に検出軸の方向と交差する方向に配置される関係となる。
【0105】
梁部536は、前記一対の基部534、535のいずれか一方の基部に接続する固定端537と、いずれか他方の基部へ伸びる自由端538から構成されている。図15に示す梁部536は、固定端537を固定部522側の基部535に接続させている。
【0106】
なお梁部536の長さは、予め定めた加速度センサー510の破壊限界に応じて固定端537と自由端538の間の長さを任意に設定変更する構成としている。加速度センサー510の破壊限界は、例えばベース520の可動部524に過度の加速度が印加して変位量が大きくなり、ベース520と接続した感圧素子530に伸縮応力が作用して素子が破壊されることをいう。具体的には、梁部536の長さを長くすると自由端538が変位した可動部524と接触し易くなり、可動部524の変位量を小さく(可動部524の変位範囲を狭く)することができる。一方、梁部536の長さを短くすると自由端538は可動部524が大きく変位しなければ接触しないため、可動部524の変位範囲の幅が広がることになる。
【0107】
なお梁部536は破壊限界の際に可動部524と接触して、可動部524の変位を止めるように構成できれば良く、図15に示す梁部536は感圧部532を挟むように2本(複数)形成した構成のほか、1本でもよい。
【0108】
感圧素子530は、圧電材料として例えば水晶をフォトリソグラフィ技術とエッチング技法によって基部534、535と感圧部532と梁部536を一体的に形成することができ、水晶以外にタンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等を用いることができる。
【0109】
このように形成した感圧素子530は、一対の基部534をベース520の一方の主面527の載置部529a、529bにベース520との間に所定間隔を開けて接着手段により接着して固定している。
感圧素子530とベース520の間の隙間となる所定間隔は、感圧部532とベース520が干渉しない距離に設定している。
【0110】
一対の基部534,535のいずれか一方には(図15では基部535)、IC14を実装させている。IC14は、感圧部532を発振させる発振回路と、感圧部532にY軸方向に伸張及び/又は圧縮するようにストレス或いはテンションがかかると、周波数が変化し、その周波数変化を検出する検出回路を備えている。
【0111】
上記構成による加速度センサー510は次のように作用する。図16は第3実施形態の加速度センサーの作用の説明図である。
加速度センサー510のベース520にプラスの加速度Gが作用すると、加速度Gの方向に垂直な力であって、力の検出方向を検出軸とする感圧素子530の感圧部532に圧縮応力が加わる。感圧素子530はこの圧縮応力によって周波数が変化して加速度Gを検出することができる。
【0112】
そして加速度センサー510に破壊応力を超える過剰な加速度Gが印加すると、可動部524の変位に応じて感圧素子530の感圧部532は圧縮応力が加わる。一方梁部536は固定端537を、基部535を解してベース520の固定部522に固定し、自由端538は固定されていないため、可動部524の圧縮応力の影響を受けることがない。従って変位した可動部524に梁部536の自由端538が接触して、可動部524の変位を止める働きをする。
【0113】
このような第3実施形態に係る加速度センサー510によれば、基部の電極部とIC14との電気的接続を安定化させることができる。またセンサー全体の小型化を図ることができる。また組み立て工程の簡略化を図ることができると共に、センサー構成の簡易化を図ることができる。IC又は振動片の交換が容易で歩留りが良くなる。
【0114】
また、IC14は、温度センサーと、前記温度センサーの検出値に基づいて、感圧素子の周波数温度特性を補償する温度補償回路と、を備える構成にすれば、温度変化に基づく圧電デバイスの発振周波数の測定誤差がなくなり、発振周波数を正確に測定することができる。
【0115】
図17は第4実施形態に係る加速度センサーの構成概略を示す平面図である。第4実施形態に係る加速度センサーは、多軸検出の加速度センサーである。
図17に示す多軸加速度センサー610は、支持部612と、前記支持部612にそれぞれヒンジ結合された一対のウエイト624、626と、各ウエイトと前記支持部612とをそれぞれ連結し、力の方向を検出軸とする一対の感圧素子628、630と、を有し、前記一対のウエイト624、626は、第1の加速度640が印加されて共に同一方向に回動し、かつ前記第1の加速度640に垂直な第2の加速度642が印加されて互いに反対方向に回動する位置でそれぞれヒンジ結合され、印加された加速度によりそれぞれ回動して前記一対の感圧素子628、630に前記力をそれぞれ印加するとともに、前記力から前記第1の加速度640及び前記第2の加速度642を検出可能とした構成である。
【0116】
また多軸加速度センサー610は、前記支持部612に薄肉部632を介して片持ち支持され前記第1の加速度640及び第2の加速度642に垂直な第3の加速度644を受けて前記第3の加速度644の方向に回動可能な第2のウエイト634と、前記支持部612とともに実装基板(不図示)に固定される固定部638と、前記固定部638と前記第2のウエイト634の自由端634bとを連結し、力の方向を検出軸とする第2の感圧素子636と、を有し、前記薄肉部(くびれ部)632は、前記第2のウエイト634の厚みの中心線から変位した位置で前記第2のウエイト634と接続し、前記第2のウエイトは634、前記第3の加速度644の方向に回動して前記力を前記第2の感圧素子636に印加して前記第3の加速度644を検出可能とした構成である。
【0117】
さらに、前記支持部612は、平行に配置した一対の柱部614、616と、前記一対の柱部614、616を連結する連結部618によりコの字型に形成され、前記一対のウエイト624、626は、前記一対の柱部614、616の先端でそれぞれ支持され、前記一対の感圧素子628、630は、前記連結部618にそれぞれ接続され、前記薄肉部632は、前記連結部618の前記柱部614、616が露出した側に接続された構成である。
【0118】
そして、前記一対の感圧素子628、630の検出軸を互いに平行に配置して多軸加速度センサー610の構成要素を同一平面上に形成し、前記多軸加速度センサー610の外形をウエハ(不図示)上にアレイ状に配置したのちエッチング及びサンドブラストにより個片化した構成を有し、ワンウエハ型の多軸加速度センサー610となっている。
【0119】
上記構成を用いた多軸加速度検出方法は、支持部612と、前記支持部612にそれぞれヒンジ結合された一対のウエイト624、626と、各ウエイトと前記支持部612とをそれぞれ連結し、力の方向を検出軸とする一対の感圧素子628、630と、を形成し、前記一対のウエイト624、626は、第1の加速度640が印加されて共に同一方向に回動し、かつ前記第1の加速度640に垂直な第2の加速度642が印加されて互いに反対方向に回動する位置でそれぞれヒンジ結合され、前記一対のウエイト624、626に加速度を印加して、各ウエイトを回動させて前記一対の感圧素子628、630に前記力をそれぞれ印加するとともに、前記力から前記第1の加速度640及び前記第2の加速度642を検出するものである。
【0120】
また、多軸加速度検出方法は、前記支持部612に薄肉部632を介して片持ち支持され前記第1の加速度640及び前記第2の加速度642に垂直な第3の加速度644を受けて前記第3の加速度644の方向に回動可能な第2のウエイト634と、前記支持部612とともに実装基板(不図示)に固定される固定部638と、前記固定部638と前記第2のウエイト634の自由端634bとを連結し、力の方向を検出軸とする第2の感圧素子636と、を形成し、前記薄肉部632は、前記第2のウエイト634の厚みの中心線636dから変位した位置で前記第2のウエイト634と接続し、前記第3の加速度644により前記第2のウエイト634を回動させ、前記回動による前記力を前記第2の感圧素子636に印加して前記第3の加速度644を検出するものである。
【0121】
支持部612には、IC14を実装させている。IC14は、感圧素子628,630、第2の感圧素子636を発振させる発振回路と、感圧素子628,630、第2の感圧素子636に伸張及び/又は圧縮するようにストレス或いはテンションがかかると、周波数が変化し、その周波数変化を検出する検出回路を備えている。
【0122】
このような第4実施形態に係る加速度センサーによれば、支持部の電極部とIC14との電気的接続を安定化させることができる。またセンサー全体の小型化を図ることができる。また組み立て工程の簡略化を図ることができると共に、センサー構成の簡易化を図ることができる。IC又は振動片の交換が容易で歩留りが良くなる。
【0123】
また、IC14は、温度センサーと、前記温度センサーの検出値に基づいて、感圧素子の周波数温度特性を補償する温度補償回路と、を備える構成にすれば、温度変化に基づく圧電デバイスの発振周波数の測定誤差がなくなり、発振周波数を正確に測定することができる。
【0124】
図18は第1実施形態に係るジャイロ素子の構成概略を示す平面図である。図19は第1実施形態に係るジャイロセンサーの構成概略を示す断面図である。
図18に示すジャイロ素子701は、圧電材料である水晶から形成されている。水晶には電気軸と呼ばれるX軸、機械軸と呼ばれるY軸および光学軸と呼ばれるZ軸を有している。そして、振動ジャイロ素子1はZ軸方向に所定の厚みを持ち、XY平面内に形成されている。
【0125】
ジャイロ素子701は、基部710から図中上下両側へ直線状に延出する1対の検出用振動腕711a,711bと、基部710から該検出用振動腕711a,711bと直交する向きに図中左右両側へ延出する1対の連結腕713a,713bと、各連結腕713a,713bの先端部から検出用振動腕711a,711bと平行に図中上下両側へ延出する左右各1対の駆動用振動腕714a,714b,715a,715bとを有している。
【0126】
また、検出用振動腕711a,711b表面には検出電極(図示せず)が形成され、駆動用振動腕714a,714b,715a,715b表面には駆動電極(図示せず)が形成されている。このように、検出用振動腕711a,711bにて角速度を検出する検出振動系を構成し、連結腕713a,713bと駆動用振動腕714a,714b,715a,715bにて振動ジャイロ素子を駆動する駆動振動系を構成している。
【0127】
また、検出用振動腕711a,711bのそれぞれの先端部には錘部712a,712bが形成され、駆動用振動腕714a,714b,715a,715bのそれぞれの先端部には錘部716a,716b,717a,717bが形成され、角速度の検出感度の向上が図られている。なお、ここで検出用振動腕711a,711bは錘部712a,712bをそれぞれ含み、駆動用振動腕714a,714b,715a,715bは錘部716a,716b,717a,717bをそれぞれ含んだ名称である。
また、検出用振動腕711a,711bは駆動用振動腕714a,714b,715a,715bに対して長さが短く形成されている。
【0128】
さらに、基部710から該検出用振動腕711aと直交する向きに図中左右両側へ延出し、途中で該検出用振動腕711aと平行に延出するL字状の1対の梁720a,720bが形成され、梁720a,720bの先端は共に支持部722aに連結されている。同様に、基部710から該検出用振動腕711bと直交する向きに図中左右両側へ延出し、途中で該検出用振動腕711bと平行に延出するL字状の1対の梁721a,721bが形成され、梁721a,721bの先端は共に支持部722bに連結されている。
【0129】
この1対の支持部722a,722bは、各検出用振動腕711a,711bの延出する方向であって検出用振動腕711a,711bの外側かつ駆動用振動腕714a,714b,715a,715bの間に配置されている。さらに、この1対の支持部722a,722bは、ジャイロ素子701の重心Gに対して回転対称な位置に配置されている。
【0130】
基部710には、IC14を実装させている。IC14は、ジャイロ素子701を駆動させる駆動回路と、角速度が加わった時にジャイロ素子701に生じる検出振動を検出する検出回路を備えている。
【0131】
次に、ジャイロ素子701を備えたジャイロセンサー780について、図19を用いて説明する。図19はジャイロセンサーを示す概略断面図であり、振動ジャイロ素子701を図18のA−A断線に沿う断面として表している。ジャイロセンサー780は、IC14を実装したジャイロ素子701、収容器781、蓋体786を備えている。ジャイロ素子701は、収容器781に形成された支持台782とジャイロ素子701の支持部722a,722bとを導電性接着剤などの固定部材783を介して、接着支持されている。
【0132】
また、支持台782表面には配線(図示せず)が形成され、IC14のバンプと接続する配線パターンと外部電極の導通が固定部材783を介してなされている。そして、収容器781の上部で収容器781内を真空雰囲気に保持され、蓋体786にて封止されている。
【0133】
上記構成による第1実施形態に係るジャイロセンサーによれば、支持台の電極部とIC14との電気的接続を安定化させることができる。またセンサー全体の小型化を図ることができる。また組み立て工程の簡略化を図ることができると共に、センサー構成の簡易化を図ることができる。IC又は振動片の交換が容易で歩留りが良くなる。
【0134】
また、IC14は、温度センサーと、前記温度センサーの検出値に基づいて、感圧素子の周波数温度特性を補償する温度補償回路と、を備える構成にすれば、温度変化に基づく圧電デバイスの発振周波数の測定誤差がなくなり、発振周波数を正確に測定することができる。
【0135】
次に第2実施形態に係るジャイロセンサーについて以下説明する。
第2実施形態に係るジャイロセンサーは3軸検出のジャイロセンサーである。
【0136】
第2実施形態に係るジャイロセンサーは、3軸のジャイロモジュールであり、3つのジャイロ素子片を有している。これらのジャイロ素子片のうち、第1ジャイロ素子片および第2ジャイロ素子片は、2つの検出軸(第1検出軸および第2検出軸)を有している。また第4ジャイロ素子片は、1つの検出軸(第1検出軸)を有している。
【0137】
各ジャイロ素子片は次のようになっている。図20は2つの検出軸を備えたジャイロ素子片の概略斜視図である。2つの検出軸を備えたジャイロ素子片(2軸ジャイロ素子片830)、すなわち第1ジャイロ素子片および第2ジャイロ素子片は、いわゆるダブルT型ジャイロセンサーとなっている。この2軸ジャイロ素子片830は水晶を用いており、水晶結晶のx軸(電気軸)およびy軸(機械軸)で形成されるxy平面で切り出されたZカット水晶基板から形成されている。この水晶基板の主面が、2軸ジャイロ素子片830の主面になっている。なおxy平面の垂直方向が水晶結晶のz軸(光学軸)になっている。
【0138】
そして2軸ジャイロ素子片830は、前記xy平面内において、矩形状の基部832を有している。この基部832には、xy平面内において、y軸に平行な各端辺の中央からx軸に平行な方向に延びた連結腕834が存在する。すなわち基部832には、基部832と一体に形成した+x方向(x軸矢印方向)に延びる連結腕834と、これとは逆の方向の−x方向に延びる連結腕834が存在する。また各連結腕834の先端付近からは、xy平面内において、y軸に平行な方向に延びた駆動腕836が存在する。すなわち各連結腕834の先端(x軸方向の先端)または中間(x軸方向の中間)には、連結腕834と一体に形成した+y方向(y軸矢印方向)に延びる駆動腕836と、連結腕834を中心にして+y方向に延びる駆動腕836と対称となるように−y方向に延びる駆動腕836が存在する。そして各駆動腕836の先端には、この駆動腕836よりもx軸方向の幅を広くした矩形状の錘部838が駆動腕836と一体に存在する。
【0139】
また基部832には、xy平面内において、x軸に平行な各端辺の中央からy軸に平行な方向に延びた検出腕840が存在する。すなわち基部832には、基部832と一体に形成した+y方向に延びる検出腕840と、−y方向に延びる検出腕840が存在する。そして各検出腕840の先端には、この検出腕840よりもx軸方向の幅を広くした矩形状の錘部842が検出腕840と一体に存在する。
【0140】
また駆動腕836および検出腕840のxy平面内に平行する両面には、x軸方向のそれぞれの幅の中央に溝844を設けている。この溝844の内面全体に駆動電極または検出電極用の金属膜を設けることにより、駆動腕836および検出腕840のzy平面に平行する面に形成した駆動電極または検出電極と溝844に設けた電極との間に効率良く電界を発生させることができるので、2軸ジャイロ素子片830の小型化を可能にしている。なお各駆動腕836に駆動電極(図示せず)が設けてあり、各検出腕840には検出電極(図示せず)が設けてある。前記駆動電極および前記検出電極は、基部832の裏面に設けた振動片側マウント電極と1対1に接続している。この振動片側マウント電極は、後述するIC14のパッドとの接続する箇所になる。
【0141】
図21は1つの検出軸を備えたジャイロ素子片の概略斜視図である。1つの検出軸を備えたジャイロ素子片(1軸ジャイロ素子片850)、すなわち第4ジャイロ素子片は、いわゆるダブルT型ジャイロセンサーとなっている。そして1軸ジャイロ素子片850は、2軸ジャイロ素子片830と同様の構成になっているが、検出腕852の先端に設けた錘部854のx軸方向の幅が異なっている。すなわち1軸ジャイロ素子片850の検出腕852に設けた錘部854の幅は、2軸ジャイロ素子片830の検出腕840に設けた錘部842の幅よりも狭くなっている。このように1軸ジャイロ素子片850の検出腕852に設けた錘部854の幅を狭く設定するのは、y軸回転系の角速度を検出しないように、検出腕852の捩れ振動を生じさせないためである。
【0142】
IC14は2軸ジャイロ素子片830及び1軸ジャイロ素子片850のそれぞれの基部に実装している。IC14は、各ジャイロ素子片を駆動させる駆動回路と、角速度が加わった時にジャイロ素子片に生じる検出振動を検出する検出回路を備えている。
【0143】
3軸ジャイロセンサーは、1つのパッケージで構成することができる。図22は1つのパッケージで構成した3軸ジャイロモジュールの断面図である。図23は3軸ジャイロモジュールの概略斜視図である。3つのジャイロ素子片は、図22に示すように、それぞれパッケージ880に収容してジャイロ素子870にすることができる。このときジャイロ素子片878は、中間基板872の上方に配設してあればよい。この中間基板872は、中央部にデバイスホール874を備えている。そして中間基板872の下面または中間層に複数のリード876(リード電極)が設けてあり、このリード876の先端側がデバイスホール874内に上方側の金属面を露出した状態となるよう凸出し、且つ、上方に折り曲げられている。このリード876の先端部に、外部電極と接続するIC14のバンプ15bが接合し、IC14を介してジャイロ素子片878を実装している。またパッケージ880は、パッケージベース882と、パッケージベース882の上面に接合して封止する蓋体884を備えている。また、パッケージベース882に設けた外部電極(不図示)とIC14との接続は、リード876を介して導通させている。
【0144】
このようなジャイロ素子870を用いた3軸ジャイロモジュール810の一例は、図23に示すようになっている。この3軸ジャイロモジュール810は絶縁基板886を有しており、第1ジャイロ素子片を収容したジャイロ素子870、第2ジャイロ素子片を収容したジャイロ素子870および第4ジャイロ素子片を収容したジャイロ素子870を絶縁基板886上に配設する。このとき各ジャイロ素子片の向きは、第1検出軸を揃えて配置している。また絶縁基板886の上面には、ジャイロ素子870の周囲を覆うよう樹脂モールド材888を設けている。これにより1つのパッケージで構成した3軸ジャイロモジュール810を得る。
【0145】
上記構成による第2実施形態のジャイロセンサーによれば、基部の電極部とIC14との電気的接続を安定化させることができる。またセンサー全体の小型化を図ることができる。また組み立て工程の簡略化を図ることができると共に、センサー構成の簡易化を図ることができる。IC又は振動片の交換が容易で歩留りが良くなる。
【0146】
また、IC14は、温度センサーと、前記温度センサーの検出値に基づいて、感圧素子の周波数温度特性を補償する温度補償回路と、を備える構成にすれば、温度変化に基づく圧電デバイスの発振周波数の測定誤差がなくなり、発振周波数を正確に測定することができる。
【符号の説明】
【0147】
10,10a,10b………圧電デバイス、12………圧電振動片、12a,12b………振動腕、12c………基部、12d,12e………励振電極、14………IC、15a,15b………バンプ、16………パッケージ、16a………ベース基板、16b………台座、16c………リッド、17………電極パッド、18………ボンディングワイヤー、20………ATカット水晶振動片、20c………基部、20d,20e………励振電極、30………SAW共振子、31………水晶基板、32………IDT電極、33a,33b………反射器、34a,34b………パターン電極、101………圧力センサー、102………第1の圧力入力口、103………第2の圧力入力口、104………ハウジング、105………第1のダイアフラム、106………第2のダイアフラム、107………シャフト、109………可動部材、110………固定部、111………感圧素子、112a,112b………支持棒、120………第1のケース、121………第2のケース121、210………圧力センサー、212………ダイアフラム、214………可撓部、216………支持部、218………枠部、220………載置面、222………枠付き振動片、224………枠部、226………振動片、228………アーム、230………基部、232………支持アーム、234………ベース、236………凹部、238………枠部、300………加速度センサー、312………双音叉圧電振動片、313………振動ビーム、314,315………基端部、316………連結部、317,318………支持部、319………くびれ部、320………錘部、410………加速度センサー、420………ベース、422………固定部、424………可動部、426………くびれ部、427………一方の主面、428………他方の主面、429………載置部、430………感圧素子、432………感圧部、434,435………基部、436………接触部、470………梁部、472………固定端、474………自由端、510………加速度センサー、520………ベース、522………固定部、524………可動部、526………くびれ部、527………一方の主面、528………他方の主面、529………載置部、530………感圧素子、532………感圧部、534、535………基部、536………梁、537………固定端、538………自由端、610………多軸加速度センサー、612………支持部、614………柱部、616………柱部、618………連結部、624………ウエイト、626………ウエイト、628………感圧素子、630………感圧素子、632………薄肉部、634………第2のウエイト、636………第2の感圧素子、638………固定部、640………第1の加速度、642………第2の加速度、644………第3の加速度、701………ジャイロ素子、710………基部、711a,711b………検出用振動腕、713a,713b………連結腕、714a,714b………駆動振動腕、715a,715b………駆動振動腕、720a,720b,721a,721b………梁、722a,722b………支持部、780………ジャイロセンサー、782………支持台、783………固定部材、830………2軸ジャイロ素子片、832………基部、834………連結腕、836………駆動腕、838………錘部、840………検出腕、842………錘部、844………溝、850………1軸ジャイロ素子片、852………検出腕、854………錘部、856………駆動腕、870………ジャイロ素子、872………中間基板、874………デバイスホール、876………リード、880………パッケージ、882………パッケージベース。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板の振動部を励振させる励振電極と、当該励振電極に接続された接続電極と、を有する圧電振動素子と、
前記振動部の周縁部の上に配置され、前記圧電基板よりも外形が小さな集積回路と、
を備え、
前記集積回路と、前記接続電極とをバンプを用いて電気的に接続させたことを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
前記集積回路は、
温度検出手段と、
当該温度検出手段の検出値に基づいて、前記圧電振動素子の周波数温度特性を補償する温度補償回路と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記圧電振動素子は、少なくとも一以上の柱状ビームからなる音叉型圧電振動素子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記圧電基板は、ATカット水晶基板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記励振電極は、
前記圧電基板上に設けられたIDT電極であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記圧電基板は、水晶基板であり、
当該水晶基板は、オイラー角(−1.5°≦φ≦1.5°、0°≦θ≦180°、0°≦|ψ|≦90°)の水晶基板であることを特徴とする請求項5に記載の圧電デバイス。
【請求項7】
前記IDT電極は、ストップバンドの上端モードの弾性表面波を励振させることを特徴とする請求項5又は6に記載の圧電デバイス。
【請求項8】
前記圧電基板には、前記IDT電極の電極指の間に位置する部位に電極指間溝が設けられていることを特徴とする請求項5乃至7の何れか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項9】
前記オイラー角は(−1.5°≦φ≦1.5°、117°≦θ≦142°、41.9°≦|ψ|≦49.57°)の水晶基板であることを特徴とする請求項8に記載の圧電デバイス。
【請求項10】
前記圧電振動素子は、
基部と、
前記基部から直線上に両側へ延出された1対の検出用振動腕と、
前記基部から両側へ前記検出用振動腕に直交する方向に延出された1対の連結腕と、
前記各連結腕の先端部からそれと直交して両側へ延出された各1対の駆動用振動腕と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項11】
前記集積回路は、
前記検出用振動腕の検出振動を検出する検出回路と、
前記駆動用振動腕を振動させる振動回路と、
を有することを特徴とする請求項10に記載の圧電デバイス。
【請求項12】
請求項3又は請求項4に記載の圧電デバイスと、
前記圧電振動素子の両端に配置された一対の基部を支持するダイアフラムと、
を備えたことを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項13】
請求項3又は請求項4に記載の圧電デバイスと、
前記圧電振動素子の両端に配置された一対の基部のうち何れか一方の基部と接続する支持部と、
前記圧電振動素子の何れか他方の基部と接続し前記支持部にくびれ部を介して接続された錘部と、
を備えたことを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項14】
請求項10又は11に記載の圧電デバイスと、
当該圧電デバイスが実装されるパッケージと、
を備えたことを特徴とするセンサーデバイス。

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図15】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図9】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2012−199696(P2012−199696A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61710(P2011−61710)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】