説明

地図案内装置、地図案内方法及びコンピュータプログラム

【課題】ユーザに対し理解しやすい地図を提供すること。
【解決手段】地図案内装置であって、実際の測量に基づいた地図とは異なる地図の画像を記憶する地図画像記憶部と、前記地図の画像上における複数の点の画像上の位置を表すイメージ座標と、前記地図の画像上における各点が表す実空間における位置を表す空間座標とを対応付けて記憶する座標記憶部と、ユーザの現在位置を検出する現在位置検出部と、前記座標記憶部に記憶される複数の点のうち、前記現在位置に近い複数の空間座標を検出し、検出された各点の空間座標と現在位置との間の各距離に基づいて、現在位置に対応する前記地図の画像上の位置を判定する位置判定部と、前記地図の画像及び前記位置判定部によって判定された前記地図の画像上の位置を画像表示装置に表示させる表示画像生成部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図を表示して経路案内を行うための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車、自転車及び人間等の移動体に付帯され、この移動体の現在位置から目的地までの経路案内を行うナビゲーションシステムが提案されている。ナビゲーションシステムに関する技術の例として、例えば特許文献1に開示された技術がある。一般的に、ナビゲーションシステムは、平板測量や航空写真測量などによって正確に測定された地理的座標に基づく地図データを記憶している。地図データには、例えば道路や主要建物の地理的座標(緯度及び経度)、主要交差点や主要建物の名称などが含まれる。
【0003】
ナビゲーションシステムは、このような地図データに基づいて、ユーザに対し目的地までの案内を行う。具体的には、ナビゲーションシステムは、まず移動体の現在位置をGPS(Global Positioning System)等により検出する。次に、ナビゲーションシステムは、ユーザから目的地の指定を受け付け、指定された目的地までの経路(例えば最短経路)を地図データに基づいて抽出し案内する。このとき、ナビゲーションシステムは、移動体の現在位置の周辺地図を画面に表示し、目的地へ向かう経路をユーザに知らせる。ナビゲーションシステムによって表示される周辺地図は、地図データに基づいて、すなわち正確に測定された地理的座標に基づいて、その都度生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−263922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、人間の脳は、目的地までの経路や周辺の地図情報を認識する際に、正確な距離や位置関係に基づいて認識するのではなく、自身にとって認識しやすいいくつかの目標物に基づいてデフォルメーションされた情報として認識すると言われている。そのため、従来のように正確に測定された地理的座標に基づいて生成された地図の表示に基づく案内は、ユーザにとって必ずしも理解しやすい案内であるとは言えなかった。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、ユーザに対し理解しやすい地図を提供することを可能とする技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、地図案内装置であって、実際の測量に基づいた地図とは異なる地図の画像を記憶する地図画像記憶部と、前記地図の画像上における複数の点の画像上の位置を表すイメージ座標と、前記地図の画像上における各点が表す実空間における位置を表す空間座標とを対応付けて記憶する座標記憶部と、ユーザの現在位置を検出する現在位置検出部と、前記座標記憶部に記憶される複数の点のうち、前記現在位置に近い複数の空間座標を検出し、検出された各点の空間座標と現在位置との間の各距離に基づいて、現在位置に対応する前記地図の画像上の位置を判定する位置判定部と、前記地図の画像及び前記位置判定部によって判定された前記地図の画像上の位置を画像表示装置に表示させる表示画像生成部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様は、地図案内方法であって、実際の測量に基づいた地図とは異なる地図の画像を記憶する地図画像記憶部と、前記地図の画像上における複数の点の画像上の位置を表すイメージ座標と、前記地図の画像上における各点が表す実空間における位置を表す空間座標とを対応付けて記憶する座標記憶部と、を備える地図案内装置が、ユーザの現在位置を検出する現在位置検出ステップと、前記座標記憶部に記憶される複数の点のうち、前記現在位置に近い複数の空間座標を検出し、検出された各点の空間座標と現在位置との間の各距離に基づいて、現在位置に対応する前記地図の画像上の位置を判定する位置判定ステップと、前記地図の画像及び前記位置判定部によって判定された前記地図の画像上の位置を画像表示装置に表示させる表示画像生成ステップと、を実行する。
【0009】
本発明の一態様は、実際の測量に基づいた地図とは異なる地図の画像を記憶する地図画像記憶部と、前記地図の画像上における複数の点の画像上の位置を表すイメージ座標と、前記地図の画像上における各点が表す実空間における位置を表す空間座標とを対応付けて記憶する座標記憶部と、を備えるコンピュータに対し、ユーザの現在位置を検出する現在位置検出ステップと、前記座標記憶部に記憶される複数の点のうち、前記現在位置に近い複数の空間座標を検出し、検出された各点の空間座標と現在位置との間の各距離に基づいて、現在位置に対応する前記地図の画像上の位置を判定する位置判定ステップと、前記地図の画像及び前記位置判定部によって判定された前記地図の画像上の位置を画像表示装置に表示させる表示画像生成ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ユーザに対し理解しやすい地図を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】地図案内装置の機能構成を表す概略ブロック図である。
【図2】地図データ記憶部が記憶する地図データ情報の概略を表す図である。
【図3】地図画記憶部が記憶する絵地図画像の例を表す図である。
【図4】地名テーブルの概略を表す図である。
【図5】地名テーブルの地名が絵地図画像上に表示された場合の表示例を表す図である。
【図6】座標テーブルの概略を表す図である。
【図7】イメージ座標と空間座標との関係を表す概略図である。
【図8】地図案内装置の処理の流れを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、地図案内装置1の機能構成を表す概略ブロック図である。地図案内装置1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、地図案内プログラムを実行する。地図案内装置1は地図案内プログラムの実行により、地図データ記憶部101、地図画像記憶部102、地名記憶部103、座標記憶部104、目的地交差点検出部105、現在位置検出部106、経路抽出部107、絵地図画像上位置判定部108、高さ判定部109、表示画像生成部110を備える装置として機能する。なお、地図案内装置1の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。
【0013】
地図案内装置1には、入力装置や画像表示装置が接続される。ユーザは、入力装置を操作することによって、各種の指示や値を地図案内装置1へ入力する。各種の指示や値とは、例えば案内処理の開始指示や、目的地の指定などである。また、地図案内装置1は、表示画像生成部110によって生成した画像を画像表示装置に表示させる。入力装置や画像表示装置は、有線のケーブルによって地図案内装置1に直接的に接続されても良いし、インターネットなどの通信回線を経由して地図案内装置1と通信可能に接続されても良い。前者の場合は、例えば地図案内装置1が携帯電話機や携帯型パーソナルコンピュータやスマートフォンやカーナビゲーションシステムとして構成される。後者の場合は、例えば地図案内装置1がサーバ装置として構成され、入力装置や画像表示装置が携帯電話機や携帯型パーソナルコンピュータやスマートフォンやカーナビゲーションシステムとして構成される。
【0014】
地図データ記憶部101、地図画像記憶部102、地名記憶部103、座標記憶部104は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。地図データ記憶部101は、地図データ情報を記憶する。地図画像記憶部102は、地図画像データを記憶する。地図画像データは、予め人間によって描かれた地図の画像(以下、「絵地図画像」という。)が電子化されたデータである。地名記憶部103は、絵地図画像上に表示される地名と、絵地図画像上の位置を表す座標(以下、「イメージ座標」という。)と、を対応付けたテーブル(以下「地名テーブル」という。)を記憶する。座標記憶部104は、イメージ座標と、実際の測量に基づく緯度及び経度によって表される座標(以下、「空間座標」という。)と、を対応付けたテーブル(以下、「座標テーブル」という。)を記憶する。
【0015】
ここで、説明の便宜のために、各記憶部が記憶するデータの詳細について説明する。
図2は、地図データ記憶部101が記憶する地図データ情報の概略を表す図である。地図データ情報は、建物情報テーブルと及び道路ネットワーク情報テーブルを有している。建物情報テーブルは、地図案内装置1が案内可能な範囲に位置する各建物の情報を有している。道路ネットワーク情報テーブルは、地図案内装置1が案内可能な範囲に位置する各道路の情報を有している。
【0016】
ここで、建物情報テーブルは、建物ID、住所情報、建物座標、建物属性情報を建物毎に対応付けて有している。建物IDは、各建物を一意に識別するための識別情報である。住所情報は、建物の住所を表す情報である。建物座標は、建物の中心座標など代表点における空間座標及び標高を表す情報である。標高とは、各地点における標高を表す値であり、例えば海抜の高さを表す値であっても良いし、他の基準に基づいて表される値であっても良い。建物属性情報は、建物の名称、建物の面積、建物の高さ、建物に関連する電話番号、建物に関連する郵便番号などを表す情報である。
【0017】
道路ネットワーク情報テーブルは、道路ID、交差点座標、線分列通過点座標、道路属性情報を道路毎に有している。道路IDは、各道路を一意に識別するための識別情報である。交差点座標は、各道路上に位置する交差点の空間座標を表す情報である。線分列通過点座標は、各道路の中央線である道路中央線を構成する座標点の集合である。線分列通過点座標は、空間座標及び標高を表す情報である。道路属性情報は、道路の名称、道路の幅、車線の本数等を表す情報である。なお、一つの道路IDに対して、一つの交差点座標が対応付けられても良いし、複数の交差点座標が対応付けられても良い。
【0018】
図3は、地図画記憶部102が記憶する絵地図画像の例を表す図である。図3に示されるように、絵地図画像は、予め人間によって描かれた地図の絵である。地図案内装置1では、ユーザに対して道案内を行う際には、図3に示されたような絵地図画像の一部又は全部が画面上に表示される。
【0019】
図4は、地名テーブルの概略を表す図である。地名テーブルは、地名と、イメージ座標とを対応付けて有する。地名とは、例えば行政区画の名称(市町村名など)や、河川の名称や、建物の名称や、寺院や教会などの名称や、遺跡や公園などの名称などである。言い換えれば、地名とは、ユーザに対して道案内を行う際に目印や基準となりうる区分や不動産などの名称である。イメージ座標は、絵地図画像上の位置を表す座標である。表示画像生成部110によって、イメージ座標が表す位置に、対応する地名が表示される。図5は、地名テーブルの地名が絵地図画像上に表示された場合の表示例を表す図である。図4の地名テーブルにおける地名「○○の大仏」の文字列は、イメージ座標(x1,y1)の位置を基準として配置される。図4の地名テーブルにおける地名「△交差点」の文字列も同様に、イメージ座標(x2,y2)の位置を基準として配置される。
【0020】
このように、地名については絵地図画像そのものに予め記載されているのではなく、地名テーブルとして管理されて表示画像生成部110によって絵地図画像上に配置される。そのため、地名に変更が生じた場合であっても絵地図画像に対して修正を加える必要はなく、地名テーブルを更新することのみで容易に対応することが可能となる。
【0021】
図6は、座標テーブルの概略を表す図である。座標テーブルは、複数の点において、イメージ座標と、空間座標とを対応付けて有する。座標テーブルのイメージ座標によって表される絵地図画像上の実空間での経度及び緯度は、対応する空間座標によって表される緯度及び経度となる。さらに、座標テーブルにおける空間座標は、海抜の高さを表す値も有している。座標テーブルには、例えば、絵地図画像に表された道路の各交差点を表すイメージ座標や、絵地図画像の境界と絵地図画像に表された道路との接点などを表すイメージ座標が記録される。最も基本となるデータは、実空間の道路ネットワーク情報の交差点の空間座標と絵地図画像内の交差点のイメージ座標を関連付けたものである。
【0022】
図7は、イメージ座標と空間座標との関係を表す概略図である。図7において、絵地図画像に表される複数の基準点210のイメージ座標が、空間座標に対応付けて座標テーブルに記録されている。例えば、イメージ座標(x3,y3)に位置する基準点210の実際の空間座標は、(LNG1,LAT1,ASL1)である。また、イメージ座標(x4,y4)に位置する基準点210の実際の空間座標は、(LNG2,LAT2,ASL2)である。ただし、絵地図画像に表されている地形は必ずしも正確ではないため、x3−x4の値は、LNG1−LNG2の長さを正確に表してはいない。
【0023】
ここで、図1に戻って地図案内装置1の機能構成について説明を続ける。目的地交差点検出部105は、ユーザが指定した目的地に最も近い交差点(以下、「目的地交差点」という。)を、地図データ情報に基づいて検出する。ユーザによる目的地の指定は、様々な形でなされても良い。例えば、建物の名称によって目的地の指定がなされても良い。また、建物を特定するための属性情報(住所、電話番号、店の名称など)によって目的地の指定がなされても良い。また、ユーザが、図示しない入力装置において、目的地としたい建物や交差点を、画像表示装置の画面をタッチすることによって指定がなされても良い。
【0024】
目的地交差点検出部105は、指定された情報に基づいて地図データ情報を検索し、目的地となる建物の空間座標を特定する。そして、目的地交差点検出部105は、検索された空間座標に最も距離が近い交差点を目的地交差点として検出する。その他にも、交差点名や空間座標によって目的地の入力がなされても良い。
【0025】
現在位置検出部は106、ユーザの現在位置(以下、単に「現在位置」という。)の空間座標を取得する。例えば、地図案内装置1がユーザと一体的に移動している場合には、現在位置検出部106は、案内装置1に接続されたGPS(Global Positioning System;全地球測位システム)等の測位装置から現在位置の空間座標を取得する。また、地図案内装置1がユーザと離れて位置する場合には、現在位置検出部106は、ユーザに携帯された端末装置から通信回線を介してユーザの現在位置の空間座標を取得する。
【0026】
経路抽出部107は、目的地交差点を終点とし、現在位置を始点として、始点から終点までの案内用経路を抽出する。案内用経路とは、ユーザに対して案内する際に通行することを推奨する経路である。このとき、経路抽出部107は、どのような基準に基づいて始点から終点までの案内用経路を抽出しても良い。例えば、経路抽出部107は、最短距離となる経路を案内用経路として抽出しても良い。また、経路抽出部107は、通信手段によって渋滞情報などが取得される場合には、渋滞情報に基づいて、終点まで到着するのに要する時間が最も短くなる経路を案内用経路として抽出しても良い。その他、経路抽出部107が行う経路抽出処理には、既存のどのような技術が適用されても良い。
【0027】
経路抽出部107の経路抽出処理の具体例について説明する。経路抽出部107は、例えば最短距離となる経路を案内用経路として抽出する際には以下のように動作しても良い。まず、経路抽出部107は、目的地交差点と現在位置とを結ぶ道路ルート上の交差点間の距離を、線分により接続された交差点各々の座標値より求める。次に、経路抽出部107は、この求めた距離を案内用経路とされた道路ルートの全範囲にて、全ての道路ルート毎に加算する。そして経路抽出部107は、最も小さい距離となる道路ルートを案内用経路とする。例えば、このような経路抽出処理は、ダイクストラ法などの既知の手法を用いて実現することができる。
【0028】
また、経路抽出部107は、道路属性情報に記載されている交通規制、道路種別(高速道路、国道、県道、農道などの種別)、道路幅などから優先順位を定めて、経路の距離の短さ及び属性情報における条件付き優先にて案内用経路を求めるように構成されても良い。
【0029】
絵地図画像上位置判定部108は、絵地図画像上においてユーザが位置する現在位置に対応するイメージ座標を判定する。具体的には、絵地図画像上位置判定部108は、道路ネットワーク情報に基づいて、ユーザの進行方向側に位置する直近の交差点(以下、「次交差点」という。)と、ユーザの進行逆方向に位置する直近の交差点(以下、「前交差点」という。)と、を検出する。次に、絵地図画像上位置判定部108は、次交差点の空間座標に対応するイメージ座標を、次交差点イメージ座標として、座標テーブルから検索する。また、絵地図画像上位置判定部108は、前交差点の空間座標に対応するイメージ座標を、前交差点イメージ座標として、座標テーブルから検索する。絵地図画像上位置判定部108は、現在位置の空間座標に基づき、現在位置から次交差点までの距離と、現在位置から前交差点までの距離と、の比(以下、「交差点間距離比」という。)を算出する。そして、絵地図画像上位置判定部108は、絵地図画像上の前交差点イメージ座標と次交差点イメージ座標との間の位置であって、交差点間距離比に応じた位置を、絵地図画像上の現在位置(以下、「絵地図上現在位置」という。)として判定する。
【0030】
絵地図画像上位置判定部108の上記処理のうち、特に次交差点及び前交差点の検出方法について、具体例を説明する。絵地図画像上位置判定部108は、現在位置の空間座標及び地図データ情報の道路ネットワーク情報に基づき、道路ネットワーク情報に含まれる線分列通過点座標のうち、現在位置の空間座標に対して最も距離が近い線分列通過点座標を検出する。次に、検出された線分列通過点座標が属する道路の道路IDを、ユーザが現在位置する道路の道路IDとして検出する。次に、絵地図画像上位置判定部108は、検出された道路IDに含まれる交差点座標のうち、現在位置に最も近い二つの交差点座標を検出する。そして、絵地図画像上位置判定部108は、検出された二つの交差点座標のうち、一方を次交差点とし、他方を前交差点とする。このとき、絵地図画像上位置判定部108は、ユーザの進行方向が取得される場合には、進行方向側に位置する交差点を次交差点とし、進行方向逆側に位置する交差点を前交差点とする。
【0031】
高さ判定部109は、現在位置から所定範囲内に位置する各建物について、ユーザの視点から見えるか否かを判定する。具体的には、高さ判定部109は、まず現在位置の標高にユーザの視点高さを加算した値(以下、「ユーザ視点標高」という。)を算出する。次に、高さ判定部109は、現在位置から所定範囲内に位置する建物を、建物情報から検出する。なお、所定範囲内とは、予め設計者やユーザによって設定される範囲であり、例えば現在位置を中心として所定距離の半径を有する円や、現在位置から進行方向側に広がる所定距離の半径及び所定の中心角を有する扇形や、現在位置から進行方向側に広がる所定距離及び所定角の二等辺三角形などである。次に、高さ判定部109は、検出された各建物の標高を建物情報から取得する。そして、ユーザ視点標高及び各建物の標高に基づいて、現在位置におけるユーザの視界に各建物が入っているか否か判定する。この判定はどのように行われても良い。例えば、高さ判定部109は、各建物の標高とユーザ視点標高とを比較し、ユーザ視点標高の方が低い場合には、その建物はユーザの視界に入っていると判定しても良い。
【0032】
表示画像生成部110は、案内用地図の画像を生成し、画像表示装置に対して表示させる。例えば、表示画像生成部110は、絵地図画像と、絵地図上現在位置を表すマークとを表す画像を表示画像として生成する。このとき、表示画像生成部110は、目的地交差点へ至る案内用経路の道路を表す表示をさらに行っても良い。例えば、表示画像生成部110は、案内用経路の道路を、他の道路と異なる色で表示しても良い。また、このとき、表示画像生成部110は、絵地図画像の全体を表示するのではなく、絵地図上現在位置から所定の範囲内のみを拡大して表示しても良い。また、表示画像生成部110は、高さ判定部108によってユーザの視界に入っていると判定された建物を、他の建物と異なる態様で表示しても良い。例えば、表示画像生成部110は、ユーザの視界に入っていると判定された建物のみを表示しても良いし、ユーザの視界に入っていると判定された建物をハイライト表示しても良いし、ユーザの視界に入っていると判定された建物のみ名前を付けて表示しても良い。
【0033】
図8は、地図案内装置1の処理の流れを表すフローチャートである。まず、ユーザによって目的地の指定がなされる(ステップS101)。次に、目的地交差点検出部105が、ユーザによって指定された目的地に基づいて、目的地交差点を検出する(ステップS102)。次に、現在位置検出部106がユーザの現在位置を検出し、現在位置の空間座標を取得する(ステップS103)。次に、経路抽出部107が、目的地交差点と現在位置とに基づいて、案内用経路を抽出する(ステップS104)。次に、絵地図画像上位置判定部108が、前交差点及び次交差点を検出する(ステップS105)。次に、絵地図画像上位置判定部108が、ステップS105において検出された前交差点及び次交差点に基づいて、前交差点イメージ座標及び次交差点イメージ座標を検出し、絵地図上現在位置を判定する(ステップS106)。
【0034】
次に、表示画像生成部109が、表示画像を生成し、画像表示装置に対して表示させる(ステップS107)。次に、現在位置検出部106が、目的地交差点にユーザが到着したか否か判定する(ステップS108)。具体的には、現在位置検出部106は、例えば現在位置と目的地交差点との距離が所定距離内となった場合に、目的地交差点にユーザが到着したと判定する。所定距離とは、例えば1メートルや数メートルなどの値であり、ユーザが目的地交差点に到着したと同視しうる距離である。所定距離の値は、予めユーザや設計者などによって設定される。ユーザが目的地交差点に到着していない場合(ステップS108−NO)、地図案内装置1はステップS103以降の処理を繰り返し実行する。一方、ユーザが目的地交差点に到着した場合(ステップS108−YES)、表示画像生成部110は、目的地に到着したことを表す画像を生成し、画像表示装置に表示させる(ステップS109)。このとき、地図案内装置1は、不図示の音声出力装置に対して、目的地に到着したことを表す音声を出力させても良い。
【0035】
このように構成された地図案内装置1では、正確に測定された地理的座標に基づいて生成された地図ではなく、実際の座標や距離とはずれて描かれた絵地図画像が表示される。そして、絵地図画像上に、現在位置(絵地図上現在位置)などが表示されることによって、ユーザに対する案内が行われる。このような絵地図画像は、デフォルメーションされた情報として認識する人間の脳の理解により適した画像である。そのため、このような絵地図画像を用いて案内を行うことにより、ユーザは現在位置の周囲の状況や経路をより簡易且つ迅速に判断することが可能となる。
【0036】
また、絵地図画像のイメージ座標の座標系と、実際の空間における空間座標の座標系とを単純に対応させようとすると、座標に歪みが生じてしまう。すなわち、上述したように絵地図画像は実際の座標や距離とはずれて描かれているため、ある一点においてイメージ座標と空間座標とを対応させると、他の点において対応関係が崩れてしまう。しかしながら、地図案内装置1においては、絵地図画像上の全体においてイメージ座標と空間座標との対応関係を構築するのではない。すなわち、所定の複数の点(例えば絵地図画像に表された道路の各交差点や、絵地図画像の境界と絵地図画像に表された道路との接点)において、イメージ座標と空間座標との対応関係を座標テーブルとして構築し、その点と点との間については、座標の対応関係を構築しない。そして、座標の対応関係が構築された点と点との間については、絵地図画像上位置判定部108の処理によって、近似的に空間座標の現在位置と絵地図上現在位置との対応関係が判定される。そのため、歪みを生じさせることなく、絵地図画像上において、実際の空間で測定された現在位置を適切に表すことが可能となる。
【0037】
また、地図案内装置1では、高さ判定部109がユーザの視界に入っている高さを判定し、ユーザの視界に入っていると判定された建物が、他の建物と異なる態様で表示される。そのため、ユーザは、進行するに当たって目印になる建物の位置を容易に判断することが可能となる。
【0038】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1…地図案内装置, 101…地図データ記憶部, 102…地図画像記憶部, 103…地名記憶部, 104…座標記憶部, 105…目的地交差点検出部, 106…現在位置検出部, 107…経路抽出部, 108…絵地図画像上位置判定部(位置判定部), 109…高さ判定部, 110…表示画像生成部110, 210…基準点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実際の測量に基づいた地図とは異なる地図の画像を記憶する地図画像記憶部と、
前記地図の画像上における複数の点の画像上の位置を表すイメージ座標と、前記地図の画像上における各点が表す実空間における位置を表す空間座標とを対応付けて記憶する座標記憶部と、
ユーザの現在位置を検出する現在位置検出部と、
前記座標記憶部に記憶される複数の点のうち、前記現在位置に近い複数の空間座標を検出し、検出された各点の空間座標と現在位置との間の各距離に基づいて、現在位置に対応する前記地図の画像上の位置を判定する位置判定部と、
前記地図の画像及び前記位置判定部によって判定された前記地図の画像上の位置を画像表示装置に表示させる表示画像生成部と、
を備える地図案内装置。
【請求項2】
実際の測量に基づいた地図とは異なる地図の画像を記憶する地図画像記憶部と、
前記地図の画像上における複数の点の画像上の位置を表すイメージ座標と、前記地図の画像上における各点が表す実空間における位置を表す空間座標とを対応付けて記憶する座標記憶部と、
を備える地図案内装置が、
ユーザの現在位置を検出する現在位置検出ステップと、
前記座標記憶部に記憶される複数の点のうち、前記現在位置に近い複数の空間座標を検出し、検出された各点の空間座標と現在位置との間の各距離に基づいて、現在位置に対応する前記地図の画像上の位置を判定する位置判定ステップと、
前記地図の画像及び前記位置判定部によって判定された前記地図の画像上の位置を画像表示装置に表示させる表示画像生成ステップと、
を実行する地図案内方法。
【請求項3】
実際の測量に基づいた地図とは異なる地図の画像を記憶する地図画像記憶部と、前記地図の画像上における複数の点の画像上の位置を表すイメージ座標と、前記地図の画像上における各点が表す実空間における位置を表す空間座標とを対応付けて記憶する座標記憶部と、を備えるコンピュータに対し、
ユーザの現在位置を検出する現在位置検出ステップと、
前記座標記憶部に記憶される複数の点のうち、前記現在位置に近い複数の空間座標を検出し、検出された各点の空間座標と現在位置との間の各距離に基づいて、現在位置に対応する前記地図の画像上の位置を判定する位置判定ステップと、
前記地図の画像及び前記位置判定部によって判定された前記地図の画像上の位置を画像表示装置に表示させる表示画像生成ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−21835(P2012−21835A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158673(P2010−158673)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(596094692)株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー (5)
【Fターム(参考)】