説明

地図表示装置、地図表示方法及びコンピュータプログラム

【課題】表示装置に表示された地図画像上の特定ポイントや特定エリアをタッチパネルへのタッチ操作により正確に指定させることを可能とした地図表示装置、地図表示方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】液晶ディスプレイ15に対して車両周辺の地図画像61を表示し、タッチパネル14において1点のタッチ座標を検出する状態においては、該タッチ座標の変位に基づいて地図画像61のスクロール処理等を行い、一方、タッチパネル14において2点以上のタッチ座標を検出する状態においては、地図画像61の表示対象領域を液晶ディスプレイ15において固定するとともに、少なくとも1点の該タッチ座標の変位に基づいて地図画像61に重畳して表示された対象物に対する編集処理を実行するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図画像を表示装置に表示する地図表示装置、地図表示方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車載用のナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話機などの携帯情報機器、パーソナルコンピュータ等では、地図データとして一般道路及び高速道路等の道路や施設名称等を各種記憶デバイスに記憶するか、又はサーバ等からダウンロードすることにより、利用者に対して所望のエリアの地図画像を表示装置に対して表示することが可能となっている。また、上記ナビゲーション装置等ではユーザの操作を受け付ける手段として表示装置の前面に配置されたタッチパネルが用いられている。
【0003】
ここで、ユーザが車両周辺の道路形状や施設情報を把握する場合には、適切な領域の地図画像を表示装置に表示することが必要である。そこで、例えば特開2000−163031号公報には、表示装置に地図画像を表示するとともに、表示装置の前面にタッチパネルを配置し、タッチパネル対するユーザのタッチ操作に基づいて、地図画像の回転、拡大、縮小、スクロール表示を行う技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−163031号公報(第6頁、第7頁、図5〜図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記ナビゲーション装置等では、上述した地図画像の回転、拡大、縮小、スクロール表示以外に、地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理を行う場合がある。例えば、地図画像上に表示されている施設(駐車場、ガソリンスタンド、レストラン、コンビニエンスストア等)の位置やジャンルを特定するPOIアイコン(地点を示すマークや名称等)を消去する処理等を行う場合がある。ここで、上記POIアイコン等の対象物に対する編集処理を行う場合には、ユーザにおいて複雑な設定操作を行う必要があった。例えば、POIアイコンを消去する場合には、設定画面を呼び出して、消去対象となるPOIアイコンのジャンルや位置を別途指定する操作を行う必要があった。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理を地図画像上で容易に行わせることを可能とした地図表示装置、地図表示方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る地図表示装置(1)は、地図画像(61)を表示装置(15)に対して表示する地図画像表示手段(52)と、前記地図画像に重畳して前記表示装置に対象物を表示する対象物表示手段(56)と、前記表示装置の表示領域に配置され、ユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネル(14)と、前記タッチパネルに前記ユーザがタッチした状態にある場合に、前記ユーザがタッチした地点の座標であるタッチ座標を取得する座標取得手段(53)と、前記座標取得手段によって1点の前記タッチ座標を取得する状態において、該タッチ座標の変位に基づいて前記地図画像を前記表示装置においてスクロール表示するスクロール表示手段(54)と、前記座標取得手段によって2点以上の前記タッチ座標を取得する状態において、前記地図画像の表示対象領域を前記表示装置において固定するとともに、少なくとも1点の該タッチ座標の変位に基づいて、前記地図画像に重畳して表示された前記対象物に対する編集処理を実行する地図画像処理手段(55)と、を有することを特徴とする。
また、「対象物に対する編集処理」としては、地図画像上から対象物を消去すること、地図画像を固定して対象物の表示位置を移動させること、対象物を新たに描画すること等を含む。
【0008】
また、請求項2に係る地図表示装置(1)は、請求項1に記載の地図表示装置であって、前記地図画像処理手段(55)は、前記座標取得手段(53)によって取得した少なくとも2点の前記タッチ座標に基づいて処理対象領域(71)を設定し、当該処理対象領域内の前記対象物を前記地図画像上から消去することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る地図表示装置(1)は、請求項1又は請求項2に記載の地図表示装置であって、前記対象物(65)は、地図画像(61)上において施設の位置を示すPOIアイコン(65)であり、前記地図画像処理手段(55)は、前記座標取得手段(53)によって取得した少なくとも1点の前記タッチ座標の変位に基づいて、前記地図画像に重畳して表示された前記POIアイコンを前記地図画像上から選択的に消去することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る地図表示装置(1)は、請求項3に記載の地図表示装置であって、前記地図画像処理手段(55)は、前記座標取得手段(53)によって取得した少なくとも1点の前記タッチ座標の変位に基づいて、前記地図画像(61)に重畳して表示された前記POIアイコン(65)を前記地図画像上から選択的に消去するとともに、消去された該POIアイコンと同一ジャンルに属する施設の位置を示す前記POIアイコンを前記地図画像上から消去することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る地図表示装置(1)は、請求項3又は請求項4に記載の地図表示装置であって、前記地図画像(61)に重畳して出発地から目的地までの経路を表示する経路表示手段(57)を有し、前記地図画像処理手段(55)は、前記タッチ座標の変位に基づいて前記地図画像に重畳して表示された前記POIアイコンの内、前記経路沿いに表示される前記POIアイコンを選択的に消去することを特徴とする。
尚、「経路沿いに表示されるPOIアイコン」は、経路に重複して表示されるPOIアイコンでも良いし、経路から所定距離以内に表示されるPOIアイコンでも良い。
【0012】
また、請求項6に係る地図表示方法は、地図画像(61)を表示装置(15)に対して表示する地図画像表示ステップと、前記地図画像に重畳して前記表示装置に対象物を表示する対象物表示ステップと、前記表示装置の表示領域に配置され、ユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネル(14)に前記ユーザがタッチした状態にある場合に、前記ユーザがタッチした地点の座標であるタッチ座標を取得する座標取得ステップと、前記座標取得ステップによって1点の前記タッチ座標を取得する状態において、該タッチ座標の変位に基づいて前記地図画像を前記表示装置においてスクロール表示するスクロール表示ステップと、前記座標取得ステップによって2点以上の前記タッチ座標を取得する状態において、前記地図画像の表示対象領域を前記表示装置において固定するとともに、少なくとも1点の該タッチ座標の変位に基づいて、前記地図画像に重畳して表示された前記対象物に対する編集処理を実行する地図画像処理ステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
更に、請求項7に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、地図画像(61)を表示装置(15)に対して表示する地図画像表示機能と、前記地図画像に重畳して前記表示装置に対象物を表示する対象物表示機能と、前記表示装置の表示領域に配置され、ユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネル(14)に前記ユーザがタッチした状態にある場合に、前記ユーザがタッチした地点の座標であるタッチ座標を取得する座標取得機能と、前記座標取得機能によって1点の前記タッチ座標を取得する状態において、該タッチ座標の変位に基づいて前記地図画像を前記表示装置においてスクロール表示するスクロール表示機能と、前記座標取得機能によって2点以上の前記タッチ座標を取得する状態において、前記地図画像の表示対象領域を前記表示装置において固定するとともに、少なくとも1点の該タッチ座標の変位に基づいて、前記地図画像に重畳して表示された前記対象物に対する編集処理を実行する地図画像処理機能と、をプロセッサに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
前記構成を有する請求項1に記載の地図表示装置によれば、地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理を地図画像上で容易に行わせることが可能となる。また、地図画像の表示対象領域を表示装置において固定するとともに、地図画像の表示対象領域を表示装置において固定した状態で、地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理を実行することが可能となる。従って、地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理を行うに際して、表示装置に表示された地図画像上の対象物の内、編集対象とする対象物をユーザのタッチパネルへのタッチ操作により正確に指定させることが可能となる。従って、複数の対象物が近接されて表示されている場合であっても、任意の対象物に対する編集処理を容易に行わせることが可能となる。
【0015】
また、請求項2に記載の地図表示装置によれば、地図画像に重畳して表示された対象物を消去する編集処理を行うに際して、表示装置に表示された地図画像上の対象物の内、消去対象とする対象物をユーザのタッチパネルへのタッチ操作により正確に指定させることが可能となる。従って、複数の対象物が近接されて表示されている場合であっても、任意の対象物に対する消去処理を容易に行わせることが可能となる。
【0016】
また、請求項3に記載の地図表示装置によれば、地図画像に重畳して表示されたPOIアイコンを消去する編集処理を行うに際して、表示装置に表示された地図画像上のPOIアイコンの内、消去対象とするPOIアイコンをユーザのタッチパネルへのタッチ操作により正確に指定させることが可能となる。従って、複数のPOIアイコンが近接されて表示されている場合であっても、任意のPOIアイコンに対する消去処理を容易に行わせることが可能となる。その結果、表示装置に表示された地図画像をユーザに見易く編集することが可能となる。
【0017】
また、請求項4に記載の地図表示装置によれば、地図画像に重畳して表示されたPOIアイコンを消去する編集処理を行うに際して、表示装置に表示された地図画像上のPOIアイコンの内、同一ジャンルの施設を示すPOIアイコンを選択的に消去させることが可能となる。従って、複数のジャンルの施設を示すPOIアイコンが近接されて表示されている場合であっても、任意のジャンルの施設を示すPOIアイコンに対する選択的な消去処理を容易に行わせることが可能となる。その結果、表示装置に表示された地図画像をユーザに見易く編集することが可能となる。
【0018】
また、請求項5に記載の地図表示装置によれば、地図画像に重畳して表示されたPOIアイコンを消去する編集処理を行うに際して、表示装置に表示された地図画像上のPOIアイコンの内、目的地までの経路沿いにあるPOIアイコンを選択的に消去させることが可能となる。従って、経路沿いに複数のPOIアイコンが表示されている場合であっても、経路沿いにあるPOIアイコンに対する選択的な消去処理を容易に行わせることが可能となる。その結果、表示装置に表示された目的地までの経路をユーザに見易く編集することが可能となる。
【0019】
また、請求項6に記載の地図表示方法によれば、地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理を地図画像上で容易に行わせることが可能となる。また、地図画像の表示対象領域を表示装置において固定するとともに、地図画像の表示対象領域を表示装置において固定した状態で、地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理を実行することが可能となる。従って、地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理を行うに際して、表示装置に表示された地図画像上の対象物の内、編集対象とする対象物をユーザのタッチパネルへのタッチ操作により正確に指定させることが可能となる。従って、複数の対象物が近接されて表示されている場合であっても、任意の対象物に対する編集処理を容易に行わせることが可能となる。
【0020】
更に、請求項7に記載のコンピュータプログラムによれば、地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理を地図画像上で容易に行わせることが可能となる。また、地図画像の表示対象領域を表示装置において固定させるとともに、地図画像の表示対象領域を表示装置において固定させた状態で、地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理を実行させることが可能となる。従って、地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理を行うに際して、表示装置に表示された地図画像上の対象物の内、編集対象とする対象物をユーザのタッチパネルへのタッチ操作により正確に指定させることが可能となる。従って、複数の対象物が近接されて表示されている場合であっても、任意の対象物に対する編集処理を容易に行わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】ナビゲーションECUが構成する各種手段を示した図である。
【図3】車両の走行中において液晶ディスプレイに表示される走行案内画面の一例を示した図である。
【図4】本実施形態に係るタッチ座標取得処理プログラムのフローチャートである。
【図5】タッチ座標履歴キューの模式図を示した図である。
【図6】本実施形態に係る地図画像編集処理プログラムのフローチャートである。
【図7】タッチ座標の検出態様を示した図である。
【図8】矩形領域の特定態様について示した図である。
【図9】ステップ17における地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理の具体例を示した図である。
【図10】ステップ17における地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理の具体例を示した図である。
【図11】ステップ17における地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理の具体例を示した図である。
【図12】ステップ17における地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理の具体例を示した図である。
【図13】ステップ17における地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理の具体例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る制御装置をナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0023】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付けるタッチパネル14と、ユーザに対して車両周辺の地図等を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、プローブセンタやVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、から構成されている。
【0024】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0025】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部12をハードディスクの代わりにメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。
【0026】
ここで、地図情報DB31は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ32、ノード点に関するノードデータ33、施設等の地点に関する地点データ34、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0027】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述のタッチ座標取得処理プログラム(図4参照)や地図画像編集処理プログラム(図6参照)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU13は、図2に示す処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、案内経路設定手段51は、出発地から目的地までの案内経路を設定する。地図画像表示手段52は、地図画像を液晶ディスプレイ15に対して表示する。座標取得手段53は、タッチパネル14にユーザがタッチした状態にある場合に、ユーザがタッチした地点の座標であるタッチ座標を取得する。スクロール表示手段54は、座標取得手段53によって1点のタッチ座標を取得する状態において、該タッチ座標の変位に基づいて地図画像を液晶ディスプレイ15においてスクロール表示する。地図画像処理手段55は、座標取得手段53によって2点以上のタッチ座標を取得する状態において、地図画像の表示対象領域を液晶ディスプレイ15において固定するとともに、少なくとも1点の該タッチ座標の変位に基づいて、地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理を実行する。対象物表示手段56は、地図画像に重畳して液晶ディスプレイ15にPOIアイコン等の対象物を表示し、経路表示手段57は、地図画像に重畳して案内経路設定手段51により設定された出発地から目的地までの案内経路を表示する。
【0028】
タッチパネル14は、液晶ディスプレイ15の表示領域の前面に配置され、や地図画像のスクロール表示を行う場合や表示領域に配置されたボタンを選択する場合等に操作される。また、特に本実施形態に係るナビゲーション装置1では、地図画像に重畳して表示された対象物に対する編集処理を行う場合にも操作される。そして、ナビゲーションECU13は、タッチパネル14の操作によりタッチパネル14から出力される検出信号に基づき、タッチパネル14にユーザがタッチしていない状態からタッチした状態へと移行する“タッチオン”や、タッチパネル14にユーザがタッチした状態からタッチしていない状態へと移行する“タッチオフ”を検出する。また、ユーザがタッチした地点の座標であるタッチ座標や、地図画像や交差点拡大図やボタン等の選択対象物の選択を行っている状態でタッチする位置を移動させる操作(即ちドラッグ操作やフリック操作)を受け付けた場合のタッチ座標の変位についても検出する。そして、ナビゲーションECU13は、検出したタッチ操作やタッチ座標等に対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。
【0029】
また、液晶ディスプレイ15には、道路網を含む地図画像、POIアイコン、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在位置から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。ここで、図3は車両の走行中において液晶ディスプレイ15に表示される走行案内画面60の一例を示した図である。
【0030】
図3に示すように液晶ディスプレイ15に表示される走行案内画面60には、車両の現在位置周辺の地図画像61と、地図上にマッチングされた車両の現在位置を示す自車位置マーク62と、地図の表示エリアの中央位置を特定する中央カーソル63と、ナビゲーション装置1に設定されている案内経路(案内経路が設定されている場合にのみ表示される)64と、施設(駐車場、ガソリンスタンド、レストラン、コンビニエンスストア等)の位置やジャンルを示すPOIアイコン65と、ナビゲーション装置1で所定機能を実行させる為に選択される為の各種ボタン66〜70とが表示される。また、POIアイコン65は、駐車場、ガソリンスタンド、レストラン、コンビニエンスストア等の地点を示すマークから形成され、該地点が位置する座標に表示される。そして、ユーザは走行案内画面60を参照することによって、現在の車両周辺の施設情報や道路形状(案内経路が設定されている場合には案内経路を含む)等を把握することが可能となる。また、詳細ボタン66をタッチオンして選択すると、地図の縮尺をより大きい縮尺に変更することが可能である。また、表示変更ボタン67をタッチオンして選択すると、地図画像61の表示態様(鳥瞰図、平面図、ノーズアップ、ノースアップ等)を変更することが可能である。また、目的地セットボタン68をタッチオンして選択すると、中央カーソル63の示す地点を目的地に設定することが可能である。また、地点登録ボタン69をタッチオンして選択すると、中央カーソル63の示す地点を登録地点としてナビゲーション装置1に登録することが可能である。また、広域ボタン70をタッチオンして選択すると、地図の縮尺をより小さい縮尺に変更することが可能である。
【0031】
また、走行案内画面60が表示されている場合に、ユーザが走行案内画面60に表示されているエリア外の施設や道路形状を把握することを希望する場合がある。その場合には、地図の縮尺をより小さな縮尺に変更することも可能であるが、地図画像をスクロール表示することも可能である。ここで、地図画像のスクロール表示を行わせる処理には、地図画像を選択して所定方向にドラッグする操作やフリックする操作を受け付けた場合に、受け付けたドラッグ操作やフリック操作に応じて地図画像をスクロールさせる処理がある。また、ユーザにタッチされたタッチ座標が中心となるように地図画像をスクロールさせるワンタッチスクロール処理や、ユーザがタッチパネル14の所定エリアを所定時間以上タッチした場合にタッチされたエリアに基づく方位と速度で地図画像を連続してスクロールさせる連続スクロール処理等もある。そして、ユーザは上述した地図画像61の縮尺変更操作、スクロール表示操作の他、画像回転操作等を行うことによって、地図画像61の表示対象領域を変更することが可能となる。
【0032】
また、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、走行案内画面60が表示されている場合に、ユーザがタッチパネル14を用いた所定の操作を行うことによって、後述のように地図画像61に重畳して表示された対象物に対する編集処理を行うことが可能となる。ここで、地図画像61に重畳して表示された対象物に対する編集処理としては、具体的に、POIアイコン65の選択的な消去、ナビゲーション装置1に設定されている案内経路の変更、地図画像61への線の描画等が該当する。
【0033】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。また、施設検索を行った場合に検索された施設に関する情報を出力する際にも用いられる。
【0034】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB31の更新等が行われる。
【0035】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0036】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてナビゲーションECU13が実行するタッチ座標取得処理プログラムについて図4に基づき説明する。図4は本実施形態に係るタッチ座標取得処理プログラムのフローチャートである。ここで、タッチ座標取得処理プログラムは、車両のACCがオンされた後に所定間隔(例えば200ms毎)で繰り返し実行され、タッチパネル14にユーザがタッチした状態にある場合に、タッチした地点の座標であるタッチ座標を取得するプログラムである。尚、以下の図4及び図6にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0037】
先ず、タッチ座標取得処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41はタッチパネル14から送信される検出信号に基づいて、ユーザがタッチパネル14をタッチした地点の座標であるタッチ座標を取得する。例えば、タッチパネル14が抵抗膜方式や静電容量方式である場合には、ユーザがタッチした地点の圧力や静電容量の変化に基づいて流れた電流の位置を検出することによって、タッチ座標を検出する。
【0038】
次に、S2においてCPU41は、前記S1の処理でタッチ座標を取得できたか否か判定する。尚、ユーザがタッチパネル14にタッチしている状態(特に抵抗膜方式では所定値以上の圧力でタッチしている場合)において、前記S1でタッチ座標が取得される。
【0039】
そして、前記S1の処理でタッチ座標を取得できたと判定された場合(S2:YES)には、S3へと移行する。それに対して、前記S1の処理でタッチ座標を取得できなかったと判定された場合(S2:NO)には、タッチ座標を記憶することなく当該タッチ座標取得処理プログラムを終了する。
【0040】
S3においてCPU41は、前記S1の処理で取得したタッチ座標を、RAM42に設けられたタッチ座標履歴キューに記憶する。尚、タッチ座標履歴キューには、直前の所定回数(例えば4回)分のタッチ座標のデータが記憶されるように構成されている。ここで、図5はタッチ座標履歴キューの模式図を示した図である。図5に示すように直前の4回分のタッチ座標のデータとして、古いデータから順にタッチ座標A、B、C、Dのデータがタッチ座標履歴キューに記憶されている状態において、新たにタッチ座標Eが取得された場合には、最も古いタイミングで取得されたタッチ座標Aのデータが削除され、タッチ座標Eのデータが新たにタッチ座標履歴キューに記憶されることとなる。また、タッチ座標履歴キューは、タッチオフが確定した場合や、タッチオンに基づいて新たな選択対象物が選択された場合には初期化される。その後、当該タッチ座標取得処理プログラムを終了する。
【0041】
そして、CPU41は、S3でタッチ座標履歴キューに記憶されたタッチ座標に基づいて、各種処理を実行する。例えば、液晶ディスプレイ15に表示された各種ボタン66〜70の選択処理、地図画像61のスクロール処理、地図画像61の縮尺変更処理、地図画像61に重畳して表示された対象物に対する編集処理を行う地図画像編集処理(図6)等を行う。
【0042】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてナビゲーションECU13が実行する地図画像編集処理プログラムについて図6に基づき説明する。図6は本実施形態に係る地図画像編集処理プログラムのフローチャートである。ここで、地図画像編集処理プログラムは、車両のACCがオンされた後に実行され、地図画像を含む走行案内画面60を液晶ディスプレイ15に表示するとともに、タッチパネル14の操作に基づいて、地図画像61に重畳して表示された対象物に対する編集処理を行うプログラムである。尚、以下の図6にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0043】
先ず、地図画像編集処理プログラムではS11においてCPU41は、液晶ディスプレイ15に対して走行案内画面60(図3)を表示する。尚、走行案内画面60には、前記したように車両の現在位置周辺の地図画像61に加えて、地図画像61に重畳してPOIアイコン65についても表示される。具体的に、前記S11においてCPU41は、現在位置検出部11により検出した車両の現在位置、方位とナビゲーション装置1で設定されている地図の縮尺とに基づいて、表示対象となる領域(以下、表示対象領域という)の地図データを地図情報DB31から読み出し、読み出した地図データに基づく地図画像61を液晶ディスプレイ15に対して描画する。同様に、表示対象領域内に含まれる地点データ34を地図情報DB31から読み出して、読み出した地点データ34に基づいてPOIアイコン65を描画する。また、車両の現在位置が変化した場合には、車両の位置の変化に伴って、描画される地図データの表示対象領域も変更される。
【0044】
次に、S12においてCPU41は、タッチパネル14から送信される検出信号に基づいて、タッチパネル14において少なくとも1点のタッチ座標を検出したか否か、即ち、タッチパネル14の少なくとも1点にユーザがタッチしているか否か判定する。具合的には、図7に示すように前述した所定間隔で実行される座標取得処理プログラム(図4)において、前回実施されたプログラム中の処理で座標が取得でき、タッチ座標履歴キューにタッチ座標が記憶された(S3)場合には、少なくとも1点のタッチ座標を検出したと判定する。
【0045】
そして、タッチパネル14において少なくとも1点のタッチ座標を検出したと判定された場合(S12:YES)、即ち、タッチパネル14の少なくとも1点にユーザがタッチしていると判定された場合には、S13へと移行する。それに対して、タッチパネル14において1点もタッチ座標を検出していないと判定された場合(S12:NO)、即ち、タッチパネル14にユーザがタッチしていないと判定された場合には、当該地図画像編集処理プログラムを終了する。
【0046】
S13においてCPU41は、タッチパネル14から送信される検出信号に基づいて、タッチパネル14において2点以上のタッチ座標を検出したか否か、即ち、タッチパネル14の少なくとも2点にユーザが同時にタッチしているか否か判定する。
【0047】
そして、タッチパネル14において2点以上のタッチ座標を検出したと判定された場合(S13:YES)、即ち、タッチパネル14の少なくとも2点にユーザが同時にタッチしていると判定された場合には、S15へと移行する。それに対して、タッチパネル14において2点以上のタッチ座標を検出していないと判定された場合(S13:NO)、即ち、タッチパネル14にユーザが1点のみタッチしていると判定された場合には、S14へと移行する。
【0048】
S14においてCPU41は、検出された1点のタッチ座標及びタッチ座標の変位に基づいてスクロール処理等の各種処理を行う。例えば、詳細ボタン66上でタッチ座標を検出した場合には、地図の縮尺をより大きい縮尺に変更する処理を行う。また、表示変更ボタン67上でタッチ座標を検出した場合には、地図画像61の表示態様(鳥瞰図、平面図、ノーズアップ、ノースアップ等)を変更する処理を行う。また、目的地セットボタン68上でタッチ座標を検出した場合には、中央カーソル63の示す地点を目的地に設定する処理を行う。また、地点登録ボタン69上でタッチ座標を検出した場合には、中央カーソル63の示す地点を登録地点としてナビゲーション装置1に登録する処理を行う。また、広域ボタン70上でタッチ座標を検出した場合には、地図の縮尺をより小さい縮尺に変更する処理を行う。また、地図画像61上でタッチ座標を検出した場合には、検出された1点のタッチ座標に基づいてワンタッチスクロール処理や連続スクロール処理などを行う。また、地図画像61上でタッチ座標を検出し、且つ検出された1点のタッチ座標の変位に基づいてフリック操作又はドラッグ操作を受け付けたと判定した場合には、受け付けたドラッグ操作やフリック操作に応じて地図画像をスクロールさせる処理を行う。
【0049】
S15においてCPU41は、地図画像61の表示対象領域を液晶ディスプレイ15において固定する。具体的に、CPU41は、地図画像61のスクロール処理(車両の現在位置の変化に基づくスクロール処理を含む)、縮尺変更処理、画像回転処理等の地図画像61の表示対象領域を変更する処理が行われていた場合には、各処理を停止する。また、その後に少なくとも2点のタッチ座標を検出していないと判定されるまで、その間の車両の現在位置の変化や受け付けたユーザ操作に関わらず、地図画像61の表示対象領域を変更する各処理が行われないように制御する。
【0050】
次に、S16においてCPU41は、検出した少なくとも2点タッチ座標に基づいて、処理対象領域となる矩形領域を特定する。具体的には、図8に示すようにユーザがタッチパネル14上の地点Aと地点Bの2点をそれぞれ人差し指81と中指82で同時にタッチした状態にある場合には、地点Aと地点Bを結ぶ直線を対角線とする長方形領域が、処理対象領域となる矩形領域71となる。尚、地点Aの座標が(X1、Y1)であって、地点Bの座標が(X2、Y2)の場合には、地点Cは地点Aと同一のY座標で地点Bと同一のX座標を有する点となり、地点Cの座標は(X2、Y1)となる。一方、地点Dは地点Aと同一のX座標で地点Bと同一のY座標を有する点となり、地点Dの座標は(X1、Y2)となる。
尚、矩形領域71の特定方法は上記例に限定されることは無い。例えば、3点以上のタッチ座標が検出されている場合には、検出された各点のタッチ座標で囲まれる多角形領域を矩形領域71としても良い。
【0051】
次に、S17においてCPU41は、前記S16で特定された矩形領域71及びその後の少なくとも1点のタッチ座標の変位に基づいて、地図画像61に重畳して表示された対象物に対する編集処理を行う。
【0052】
以下に、前記S17における地図画像61に重畳して表示された対象物に対する編集処理について具体例(1)〜(5)を挙げて説明する。
(1)POIアイコン65の基本消去処理
図9に示すように、CPU41は矩形領域71内に位置するPOIアイコン65を選択的に消去する。また、ユーザが例えば矢印83に示すように人差し指81と中指82を移動させ、人差し指81と中指82に基づくタッチ位置を変更させると、それに伴って人差し指81と中指82のタッチ座標に基づいて特定される矩形領域71の位置も変更することとなるので、地図画像61上に表示された任意の位置にあるPOIアイコン65を消去することが可能となる。その結果、不要なPOIアイコン65を消去することができ、地図画像61をユーザに見易く表示することが可能となる。
(2)POIアイコン65のジャンル別消去処理
図10に示すように、CPU41は、人差し指81と中指82のタッチ座標に基づいて特定される矩形領域71内に位置するPOIアイコン65を選択的に消去する。また、CPU41は消去された同一のジャンルに属するPOIアイコン65についても消去する。例えば、図10に示す例では、「レストラン」と「銀行」のPOIアイコン65が消去されているので、地図画像61に表示されたPOIアイコン65の内、「レストラン」と「銀行」のPOIアイコン65については全て消去する。その結果、不要なジャンルのPOIアイコン65を消去することができ、地図画像61をユーザに見易く表示することが可能となる。尚、(2)の編集処理は少なくとも3点以上のタッチ座標を検出している場合、即ち、タッチパネル14の少なくとも3点にユーザが同時にタッチしている場合のみに実行しても良い。
(3)POIアイコン65のルート上消去処理
図11に示すように、CPU41は、人差し指81と中指82のタッチ座標に基づいて特定される矩形領域71内に位置するPOIアイコン65を選択的に消去する。また、消去されたPOIアイコン65がナビゲーション装置1で設定されている案内経路沿いにある場合には、CPU41は案内経路沿いに位置する他のPOIアイコン65についても消去する。例えば、図11に示す例では、案内経路64沿いにある「駐車場」のPOIアイコン65が消去されているので、地図画像61に表示されたPOIアイコン65の内、案内経路64沿いにある他のPOIアイコン65については全て消去する。その結果、案内経路沿いにあるPOIアイコン65を消去することができ、案内経路をユーザに見易く編集することが可能となる。尚、(3)の処理は、矩形領域71内に案内経路が位置すると判定された場合に実行することとしても良い。また、案内経路沿いに位置するPOIアイコン65とは、案内経路に重複して表示されるPOIアイコン65でも良いし、案内経路から所定距離以内(例えば500m以内)に表示されるPOIアイコン65でも良い。
(4)線の描画処理
図12に示すように、CPU41は、人差し指81と中指82のタッチ座標に基づいて特定される矩形領域71の左上角(図6の地点C)が移動した座標に沿って線72を地図画像61に重畳して描画する。また、ユーザがタッチ位置を変更させると、それに伴って矩形領域71の左上角の位置も変更することとなるので、地図画像61上に任意の記号、文字、図形等を描画することが可能となる。例えば、図12に示す例では、線72を用いて矢印を地図画像61上に描画する。その結果、地図画像61上にユーザの目印やメモを自由に残すことができ、地図画像61をユーザに分かり易く表示することが可能となる。尚、線72の描画位置は矩形領域71の左上角以外の位置にしても良い。例えば、矩形領域71の中心位置としても良い。
(5)ルートの変更処理
図13に示すように、CPU41は、人差し指81と中指82のタッチ座標に基づいて特定される矩形領域71が案内経路上に位置すると、その後の矩形領域71の移動方向に伴って案内経路64を変更する。例えば、図13に示す例では、矩形領域71内に案内経路64を位置させた後に、矩形領域71を右方向に移動させる。その結果、案内経路64が、従来設定されていた経路よりも右側に位置するリンクを走行する経路へと変更される。その結果、地図画像61上でのタッチ操作でナビゲーション装置1に設定されている案内経路を、ユーザの希望する経路へと容易に変更することが可能となる。
【0053】
このような編集処理では、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像61上の特定ポイントや特定エリアを正確に指定することが重要である。しかしながら、従来においては、タッチパネル14にユーザがタッチすることによって、液晶ディスプレイ15に表示される地図画像61の表示対象領域が変更されることとすると、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像上の特定ポイントや特定エリアをタッチパネルへのタッチ操作により正確に指定することが困難である。また、ナビゲーション装置1では、車両やユーザの現在位置が変化すると、液晶ディスプレイ15に表示される地図画像61の表示対象領域についても変更されることとなる。その結果、同様に液晶ディスプレイ15に表示された地図画像61上の特定ポイントや特定エリアをタッチパネル14へのタッチ操作により正確に指定することが困難になる問題があった。
本願発明では地図画像61の表示対象領域を液晶ディスプレイ15において固定することにより、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像61上の特定ポイントや特定エリアをタッチパネル14へのタッチ操作により正確に指定させることを可能とする。
【0054】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1による地図表示方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、液晶ディスプレイ15に対して車両周辺の地図画像61を表示し(S11)、タッチパネル14において1点のタッチ座標を検出する状態においては、該タッチ座標の変位に基づいて地図画像61のスクロール処理等を行い(S14)、一方、タッチパネル14において2点以上のタッチ座標を検出する状態においては、地図画像61の表示対象領域を液晶ディスプレイ15において固定する(S15)とともに、少なくとも1点の該タッチ座標の変位に基づいて、地図画像61に重畳して表示された対象物に対する編集処理を実行する(S17)ので、地図画像61に重畳して表示された対象物に対する編集処理を地図画像61上で容易に行わせることが可能となる。また、地図画像61の表示対象領域を液晶ディスプレイ15において固定した状態で、地図画像61に重畳して表示された対象物に対する編集処理を実行することが可能となる。従って、地図画像61に重畳して表示された対象物に対する編集処理を行うに際して、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像61上の対象物の内、編集対象とする対象物をユーザのタッチパネル14へのタッチ操作により正確に指定させることが可能となる。従って、複数の対象物が近接されて表示されている場合であっても、任意の対象物に対する編集処理を容易に行わせることが可能となる。
また、タッチパネル14において検出したタッチ座標に基づいて処理対象領域である矩形領域71を特定し(S15)、地図画像61の表示内容に関する編集処理を行うに際しては、特定された矩形領域71内に位置するPOIアイコン65等の対象物を消去する処理を行うので、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像上の対象物の内、消去対象とするPOIアイコン65等の対象物をユーザのタッチパネルへのタッチ操作により正確に指定させることが可能となる。従って、複数のPOIアイコン65等の対象物が近接されて表示されている場合であっても、任意のPOIアイコン65等の対象物に対する消去処理を容易に行わせることが可能となる。その結果、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像61をユーザに見易く表示することが可能となる。
また、POIアイコン65が消去された場合に、消去されたPOIアイコン65と同一ジャンルに属する施設の位置を示す他のPOIアイコン65についても地図画像61上から選択的に消去することも可能である。従って、複数のジャンルの施設を示すPOIアイコン65が近接されて表示されている場合であっても、任意のジャンルの施設を示すPOIアイコン65に対する選択的な消去処理を容易に行わせることが可能となる。その結果、表示装置に表示された地図画像をユーザに見易く編集することが可能となる。
また、案内経路沿いにあるPOIアイコン65が消去された場合には、案内経路沿いにある他のPOIアイコン65を地図画像61上から選択的に消去することも可能である。従って、案内経路沿いに複数のPOIアイコン65が表示されている場合であっても、案内経路沿いにあるPOIアイコン65に対する選択的な消去処理を容易に行わせることが可能となる。その結果、液晶ディスプレイ15に表示された目的地までの経路をユーザに見易く編集することが可能となる。
【0055】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、編集処理を行う対象となる対象物として、地図画像61に重畳して表示されるPOIアイコン65、線72、案内経路64を例に挙げて説明したが、上記例に限られるものでは無い。例えば、地図画像上に表示された文字、目的地マーク、自車位置マーク等を対象物としても良い。
【0056】
また、本実施形態の対象物に対する編集処理としては、対象物を消去する処理、対象物を移動する処理、対象物を新たに描画する処理を例に挙げて説明したが、上記例に限られるものでは無い。例えば、対象物の表示色を変更したり、対象物のサイズを変更する処理でも良い。
【0057】
また、本実施形態では、タッチパネル14において2点以上のタッチ座標を検出したと判定された場合(S13:YES)に、地図画像の表示対象領域を固定することとしているが、3点又は3点以上のタッチ座標を検出することを条件としても良い。
【0058】
また、本実施形態では、検出した2点タッチ座標を結ぶ直線を対角線とする長方形領域を、処理対象領域である矩形領域71としているが、矩形領域71の形状は他の形状としても良い。また、矩形領域71を領域ではなく線で定義しても良い。
【0059】
また、本発明はナビゲーション装置以外に、地図画像を表示する装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機等の携帯端末、パーソナルコンピュータ、携帯型音楽プレイヤ等に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 ナビゲーション装置
13 ナビゲーションECU
14 タッチパネル
15 液晶ディスプレイ
41 CPU
42 RAM
43 ROM
60 走行案内画面
61 地図画像
64 案内経路
65 POIアイコン
71 矩形領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図画像を表示装置に対して表示する地図画像表示手段と、
前記地図画像に重畳して前記表示装置に対象物を表示する対象物表示手段と、
前記表示装置の表示領域に配置され、ユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネルと、
前記タッチパネルに前記ユーザがタッチした状態にある場合に、前記ユーザがタッチした地点の座標であるタッチ座標を取得する座標取得手段と、
前記座標取得手段によって1点の前記タッチ座標を取得する状態において、該タッチ座標の変位に基づいて前記地図画像を前記表示装置においてスクロール表示するスクロール表示手段と、
前記座標取得手段によって2点以上の前記タッチ座標を取得する状態において、前記地図画像の表示対象領域を前記表示装置において固定するとともに、少なくとも1点の該タッチ座標の変位に基づいて、前記地図画像に重畳して表示された前記対象物に対する編集処理を実行する地図画像処理手段と、を有することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記地図画像処理手段は、
前記座標取得手段によって取得した少なくとも2点の前記タッチ座標に基づいて処理対象領域を設定し、
当該処理対象領域内の前記対象物を前記地図画像上から消去することを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記対象物は、地図画像上において施設の位置を示すPOIアイコンであり、
前記地図画像処理手段は、前記座標取得手段によって取得した少なくとも1点の前記タッチ座標の変位に基づいて、前記地図画像に重畳して表示された前記POIアイコンを前記地図画像上から選択的に消去することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記地図画像処理手段は、前記座標取得手段によって取得した少なくとも1点の前記タッチ座標の変位に基づいて、前記地図画像に重畳して表示された前記POIアイコンを前記地図画像上から選択的に消去するとともに、消去された該POIアイコンと同一ジャンルに属する施設の位置を示す前記POIアイコンを前記地図画像上から消去することを特徴とする請求項3に記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記地図画像に重畳して出発地から目的地までの経路を表示する経路表示手段を有し、
前記地図画像処理手段は、前記タッチ座標の変位に基づいて前記地図画像に重畳して表示された前記POIアイコンの内、前記経路沿いに表示される前記POIアイコンを選択的に消去することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の地図表示装置。
【請求項6】
地図画像を表示装置に対して表示する地図画像表示ステップと、
前記地図画像に重畳して前記表示装置に対象物を表示する対象物表示ステップと、
前記表示装置の表示領域に配置され、ユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネルに前記ユーザがタッチした状態にある場合に、前記ユーザがタッチした地点の座標であるタッチ座標を取得する座標取得ステップと、
前記座標取得ステップによって1点の前記タッチ座標を取得する状態において、該タッチ座標の変位に基づいて前記地図画像を前記表示装置においてスクロール表示するスクロール表示ステップと、
前記座標取得ステップによって2点以上の前記タッチ座標を取得する状態において、前記地図画像の表示対象領域を前記表示装置において固定するとともに、少なくとも1点の該タッチ座標の変位に基づいて、前記地図画像に重畳して表示された前記対象物に対する編集処理を実行する地図画像処理ステップと、を有することを特徴とする地図表示方法。
【請求項7】
コンピュータに搭載され、
地図画像を表示装置に対して表示する地図画像表示機能と、
前記地図画像に重畳して前記表示装置に対象物を表示する対象物表示機能と、
前記表示装置の表示領域に配置され、ユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネルに前記ユーザがタッチした状態にある場合に、前記ユーザがタッチした地点の座標であるタッチ座標を取得する座標取得機能と、
前記座標取得機能によって1点の前記タッチ座標を取得する状態において、該タッチ座標の変位に基づいて前記地図画像を前記表示装置においてスクロール表示するスクロール表示機能と、
前記座標取得機能によって2点以上の前記タッチ座標を取得する状態において、前記地図画像の表示対象領域を前記表示装置において固定するとともに、少なくとも1点の該タッチ座標の変位に基づいて、前記地図画像に重畳して表示された前記対象物に対する編集処理を実行する地図画像処理機能と、
をプロセッサに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−113096(P2012−113096A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261251(P2010−261251)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】