説明

地図表示装置

【課題】特定地域の地図データを読み出すことが可能な状態で地図表示装置が特定地域外へ持ち出されることを未然に防止できるようにする。
【解決手段】現在位置が特定地域の境界付近にあるか否かを判定し(S100)、現在位置が特定地域の境界付近にあると判定された場合、記憶装置11に記憶された地図データの読み出しを不能にするか否かをユーザに確認する確認画面を表示させ(S102)、ユーザ操作に応じて地図データの読み出しを不能にすることが許可されたことを判定した場合(S104でYESと判定)、記憶装置11に記憶された地図データの読み出しを不能にするための処理を実施する(S108)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶媒体から地図データを読み出して地図表示を行う地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような地図表示装置として、最新の地図データを記録した地図データベースを有するセンタから地図データを取得して記憶部に記憶する際に、取得した地図データとともに取得地図の領域、取得日時、取得容量などを取得単位情報として記憶部に記録しておき、地図を消去する際に、取得単位情報のリストを表示し、利用者はリストの中から不要な地図を選択して削除できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−345235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、記憶媒体から地図データを読み出して地図表示を行う地図表示装置を使用する際に、地図表示装置に格納されている地図データの取り扱いに注意を払う必要のある地域がある。例えば、中国等では地図表示装置に格納されている地図データの国外への持ち出しが禁止されており、地図表示装置を搭載した車両が国外へ移動する際には、中国国内の地図データを用いた地図表示を行うことができないようにする必要がある。
【0004】
しかしながら、このような特定地域の地図データの持ち出しが禁止されていることをユーザが知らないで、特定地域の地図データを読み出すことが可能な状態で地図表示装置が特定地域外へ持ち出されてしまったり、特定地域の地図データを読み出すことが可能な状態であることにユーザが気付かないまま地図表示装置が特定地域外へ持ち出されてしまったりする等、誤って特定地域の地図データを読み出すことが可能な状態で地図表示装置が特定地域外へ持ち出されてしまうといった問題がある。
【0005】
上記した特許文献1に記載の装置は、このように誤って特定地域の地図データを読み出すことが可能な状態で地図表示装置が特定地域外へ持ち出されてしまうことを防止することはできない。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みたもので、特定地域の地図データを読み出すことが可能な状態で地図表示装置が特定地域外へ持ち出されることを未然に防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴は、記憶媒体から地図データを読み出して地図表示を行う地図表示装置であって、現在位置を特定する現在位置特定手段と、現在位置特定手段により特定された現在位置が特定地域の境界付近にあるか否かを判定する第1の現在位置判定手段と、第1の現在位置判定手段により現在位置が特定地域の境界付近にあると判定された場合、記憶媒体に記憶された地図データの読み出しを不能にするか否かをユーザに確認する確認画面を表示する確認画面表示手段と、ユーザ操作に応じて地図データの読み出しを不能にすることが許可されたか否かを判定する許可判定手段と、許可判定手段により地図データの読み出しを不能にすることが許可されたと判定された場合、記憶媒体に記憶された地図データの読み出しを不能にするための処理を実施する地図データ読出不能処理手段と、を備えたことである。
【0008】
このような構成では、現在位置が特定地域の境界付近にあると判定された場合、記憶媒体に記憶された地図データの読み出しを不能にするか否かをユーザに確認する確認画面が表示され、ユーザ操作に応じて地図データの読み出しを不能にすることが許可されたと判定された場合、記憶媒体に記憶された地図データの読み出しを不能にするための処理が実施される。すなわち、ユーザの操作に応じて記憶媒体に記憶された地図データの読み出しを不能にするための処理が実施され、特定地域の地図データを読み出すことが可能な状態で地図表示装置が特定地域外へ持ち出されることを未然に防止することが可能である。
【0009】
また、本発明の第2の特徴は、確認画面表示手段が、許可判定手段により地図データの読み出しを不能にすることが許可されないと判定された場合、確認画面を非表示とし、予め定められた時間が経過した後に、再度、確認画面を表示することである。
【0010】
このような構成では、地図データの読み出しを不能にすることが許可されないと判定された場合であっても、予め定められた時間が経過した後に、再度、確認画面が表示されるので、ユーザは確認画面に従って再度、地図データの読み出しを不能にすることを許可することができる。
【0011】
また、本発明の第3の特徴は、記憶媒体から地図データを読み出して地図表示を行う地図表示装置であって、現在位置を特定する現在位置特定手段と、現在位置特定手段により特定された現在位置が特定地域内から特定地域外へ移動したか否かを判定する第1の境界移動判定手段と、第1の境界移動判定手段により現在位置が特定地域内から特定地域外へ移動したと判定された場合、記憶媒体に記憶された地図データの読み出しを不能にするための処理を実施する地図データ読出不能処理手段と、を備えたことである。
【0012】
このような構成では、現在位置が特定地域内から特定地域外へ移動したと判定された場合、記憶媒体に記憶された地図データの読み出しを不能にするための処理が実施されるので、特定地域の地図データを読み出すことが可能な状態で地図表示装置が特定地域外へ持ち出されることを防止することができる。
【0013】
また、本発明の第4の特徴は、地図データ読出不能処理手段は、地図データの読み出しを不能にするための処理として、地図データを暗号化する暗号化処理を実施することである。
【0014】
このように、地図データの読み出しを不能にするための処理として、地図データを暗号化する暗号化処理を実施することができる。
【0015】
また、本発明の第5の特徴は、記憶媒体には、特定地域の境界を表す情報が記憶されており、現在位置特定手段により特定された現在位置および記憶手段に記憶された特定地域の境界を表す情報に基づいて現在位置が特定地域内に位置するか否かを判定する第2の現在位置判定手段と、地図データ読出不能処理手段により地図データが読み出しを不能となっているかを判定する地図データ判定手段と、を備え、第2の現在位置判定手段により現在位置が特定地域内に位置すると判定され、かつ、地図データ判定手段により地図データが読み出しを不能となっていると判定された場合、地図データの読み出しを可能にするための処理を実施する地図データ読出可能処理手段と、を備えたことである。
【0016】
このような構成では、現在位置が特定地域内に位置すると判定され、かつ、地図データが読み出しを不能となっていると判定された場合、地図データの読み出しを可能にするための処理が実施されるので、特定地域内に戻った後、地図データの読み出しが可能となり、地図データに基づく地図表示を行うことが可能である。
【0017】
また、本発明の第6の特徴は、特定地域の境界を表す情報は、特定地域を含む周辺領域を一定の大きさの矩形領域に分割し、矩形領域毎に特定地域か否かを識別するための識別情報を付与した情報として構成されており、第2の現在位置判定手段は、現在位置特定手段により特定された現在位置を含む矩形領域に付与された識別情報に基づいて現在位置が特定地域内に位置するか否かを判定することである。
【0018】
このように、特定地域の境界を表す情報を、特定地域を含む周辺領域を一定の大きさの矩形領域に分割し、矩形領域毎に特定地域か否かを識別するための識別情報を付与した情報として構成し、現在位置を含む矩形領域に付与された識別情報に基づいて特定地域内に位置するか否かを判定することができる。
【0019】
また、本発明の第7の特徴は、記憶媒体には、特定地域の境界を表す情報が記憶されており、現在位置特定手段により特定された現在位置および記憶媒体に記憶された特定地域の境界を表す情報に基づいて現在位置が特定地域外から特定地域内へ移動したか否かを判定する第2の境界移動判定手段と、第2の境界移動判定手段により特定地域外から特定地域内へ移動したと判定された場合、地図データの読み出しを可能にする処理を実施する地図データ読出可能処理手段と、を備えたことである。
【0020】
このような構成では、特定地域外から特定地域内へ移動したと判定された場合、地図データの読み出しを可能にする処理が実施されるので、特定地域内に戻った後、地図データの読み出しが可能となり、地図データに基づく地図表示を行うことが可能である。
【0021】
また、本発明の第8の特徴は、特定地域の境界を表す情報には、境界を挟んで境界を出入りするための道路上の特定地域内側に設けられた第1の通過地点と特定地域外側に設けられた第2の通過地点を表す情報が含まれており、記憶媒体には、第1、第2の通過地点のうち最後に通過した通過地点を識別するための情報が記憶されるようになっており、第2の境界移動判定手段は、記憶媒体に記憶された最後に通過した通過地点を識別するための情報に基づいて特定地域外から特定地域内へ移動したか否かを判定することである。
【0022】
このように、境界を挟んで境界を出入りするための道路上の特定地域内側に設けられた第1の通過地点と特定地域外側に設けられた第2の通過地点のうち最後に通過した通過地点を識別するための情報を記憶媒体に記憶するように構成し、記憶媒体に記憶された最後に通過した通過地点を識別するための情報に基づいて特定地域外から特定地域内へ移動したか否かを判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る地図表示装置の構成を図1に示す。本地図表示装置は、車載ナビゲーション装置1として構成されている。ナビゲーション装置1は、位置検出器10、記憶装置11、入力装置12、表示部13、スピーカ14および制御部15を備えている。
【0024】
位置検出器10は、GPS受信機、車速センサ、ジャイロスコープ、地磁気センサ等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置や向きを特定するための情報を制御部に出力する。
【0025】
記憶装置11は、ハードディスクドライブ(HDD)等の不揮発性の記憶媒体およびこの記憶媒体に対してデータの読み出しおよび書き込みを行う装置から成る。当該記憶媒体には、制御部15が実行するプログラム、地図データ等が記憶されている。
【0026】
地図データは、道路データおよび背景データを有している。道路データは、リンクの位置情報、種別情報、ノードの位置情報、種別情報、ノードとリンクとの接続関係を表す情報等を含んでいる。背景データは、川、湖、海、鉄道、施設などの位置、形状、名称を表す情報等を含んでいる。また、地図データには、信号、建物、歩道橋などのランドマークやレストラン、駐車場、観光情報などのサービス情報をデータベース化したものも含まれている。
【0027】
入力装置12は、表示部13のディスプレイの周囲に設けられたメカニカルスイッチ、表示部13のディスプレイに重ねて設けられたタッチスイッチ、遠隔操作を行うためのリモコンに設けられた各種スイッチからなり、ユーザのスイッチ操作に応じた信号を制御部15へ出力する。
【0028】
表示部13は、液晶等のディスプレイを有し、制御部15から入力される映像信号に応じた映像をディスプレイに表示させる。スピーカ14は、制御部15から入力される音声信号に応じた音声を出力する。
【0029】
制御部15は、CPU、メモリ、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUは、記憶装置11の記憶媒体からプログラムを読み出して各種処理を実施する。
【0030】
制御部15の処理としては、位置検出器10から入力される情報に基づいて自車の現在位置や向きを特定する現在位置特定処理、記憶装置11から地図データを読み出して自車位置周辺の地図上に自車位置マークを表示させる地図表示処理、出発地から目的地までの最適な案内経路を探索する経路探索処理、案内経路に従って経路案内を行う経路案内処理等がある。
【0031】
また、本ナビゲーション装置1は、現在位置特定処理によって特定された現在位置および記憶装置11に記憶された地図データに基づいて自車位置が特定地域の境界付近にあることを判定すると、記憶装置11に記憶された地図データの読み出しを不能にするか否かをユーザに確認する確認画面を表示させ、ユーザ操作に応じて地図データの読み出しを不能にすることが許可されたことを判定した場合、地図データを無効にする地図データ無効化処理を実施する。この地図データ無効化処理により、誤って特定地域の地図データを特定地域外(例えば、国外)へ持ち出してしまうことを未然に防止するようになっている。
【0032】
また、本ナビゲーション装置1は、自車が特定地域外から特定地域内へ戻ったときに、地図データを有効にする地図データ有効化処理を実施する。
【0033】
本実施形態における地図データ格納部11の記憶媒体には、特定地域の境界を表す情報としての境界判定用メッシュデータが地図データと区別して記憶されている。制御部15は、この境界判定用メッシュデータを用いて自車が特定地域内に位置するか否かを判定できるようになっている。
【0034】
図2を参照して、この境界判定用メッシュデータについて説明する。境界判定用メッシュデータは、図に示される第1の地点(x1、y1)と第2の地点(x2、y2)により特定される地図区画を一定の大きさの矩形領域で分割し、矩形領域毎に特定地域か否かを識別するための識別情報を付与したデータとして構成されている。具体的には、特定地域のみが含まれる矩形領域には識別情報として1を付与し、特定地域以外の領域が一部でも含まれる矩形領域には識別情報として0を付与したデータとして構成されている。
【0035】
制御部15は、この境界判定用メッシュデータを用いて、自車が識別情報として1が付与された矩形領域に位置する場合に自車が特定地域内に位置すると判定し、自車が識別情報として0が付与された矩形領域に位置する場合に自車が特定地域外に位置すると判定することができる。
【0036】
次に、図3に従って、制御部15による地図データ無効化処理について説明する。車両のイグニッションスイッチがオン状態になると、ナビゲーション装置1は動作状態となり、制御部15は、現在位置特定処理、地図表示処理等を開始する。これにより、表示部13には、自車位置周辺の地図上に自車位置マークが重ねて表示される。制御部15は、ナビゲーション装置1は動作状態になると、これらの現在位置特定処理、地図表示処理等と並行して図3に示す処理を開始する。
【0037】
まず、自車位置が境界付近にあるか否かを判定する(S100)。具体的には、現在位置特定処理によって特定された現在位置および記憶装置11に記憶された地図データに基づいて自車と特定地域の境界との距離が一定距離(例えば、1キロメートル)未満であるか否かを判定する。なお、上記した一定距離については、ユーザの操作に応じて変更することが可能となっている。
【0038】
自車と特定地域の境界との距離が一定距離以上の場合、S100の判定はNOとなり、S100の判定を繰り返す。
【0039】
また、自車と特定地域の境界との距離が一定距離未満になると、S100の判定はYESとなり、次に、地図データの読み出しを不能にすることをユーザに確認する画面を表示させる(S102)。
【0040】
図4に、この確認画面の表示例を示す。図に示すように、「国外への地図データの持ち出しは禁止されています。HDD内にある地図データを一時的に読めなくしてもよいですか。」といったメッセージとともに、「はい」および「いいえ」を表す画像を選択可能に表示する。
【0041】
次に、地図データを無効化するか否かを判定する(S104)。具体的には、表示画面に従って「はい」と「いいえ」のどちらが選択されたかに基づいて地図データを無効化するか否かを判定する。
【0042】
ここで、表示画面に従って「いいえ」が選択された場合、S104の判定はNOとなり、次に、元の画面表示に戻り一定期間(T秒)待った後、S100へ戻る。なお、元の画面は、地図表示画面である。
【0043】
一定期間(T秒)が経過した後、自車と特定地域の境界との距離が一定距離未満となっている場合、再度、S100の判定はYESとなり、図4に示した確認画面が表示される。
【0044】
また、図4に示した表示画面に従って「はい」が選択された場合、S104の判定はYESとなり、地図データの無効化処理を実施する(S108)。本実施形態では、地図データの無効化処理として、記憶装置11の記憶媒体に記憶された地図データを暗号化する暗号化処理を実施する。具体的には、予め定められた暗号方式を用いて記憶装置11の記憶媒体に記憶された地図データの暗号化処理を開始するとともに、地図データの無効化処理中であることを表す画面を表示させる。
【0045】
図5に、この画面の表示例を示す。図に示すように、「HDD内にある地図データを無効にしています。処理が終わるまで、電源を切らないでください。」といったメッセージとともに、地図データの暗号化処理の進捗状況を表す画像を表示させる。そして、地図データの暗号化処理が完了すると、本処理を終了する。
【0046】
このように、地図データの暗号化処理が完了すると、記憶装置11から地図表示を読み出すことができなくなり、地図が表示されなくなる。
【0047】
次に、図6に従って、制御部15による地図データ読出可能処理について説明する。車両のイグニッションスイッチがオン状態になると、ナビゲーション装置1は動作状態となり、制御部15は、図3に示した地図データ無効化処理と並行して図6に示す処理を開始する。
【0048】
まず、自車位置が特定地域内にあるか否かを判定する(S200)。現在位置特定処理によって特定された現在位置および記憶装置11に記憶された境界判定用メッシュデータに基づいて自車が特定地域内に位置するか否かを判定する。
【0049】
自車位置が特定地域外にある場合、S200の判定はNOとなり、S200の判定を繰り返す。
【0050】
また、自車が特定地域外から特定地域内に戻り、自車位置が特定地域内となった場合、S200の判定はYESとなり、次に、地図データが無効であるか否かを判定する(S202)。具体的には、地図データが暗号化され記憶装置11から読み出すことが不能となっているか否かに基づいて地図データが無効であるか否かを判定する。
【0051】
地図データが暗号化され記憶装置11から読み出すことが不能となっている場合、S202の判定はYESとなり、次に、地図データの有効化処理を実施する(S204)。具体的には、記憶装置11に暗号化して記憶されている地図データを復号化する復号化処理を開始するとともに、地図データの有効化処理中であることを表す画面を表示させる。
【0052】
図7に、この画面の表示例を示す。図に示すように、「HDD内にある地図データを有効にしています。処理が終わるまで、電源を切らないでください。」といったメッセージとともに、地図データの復号化処理の進捗状況を表す画像を表示させる。そして、地図データの有効化処理が完了すると、本処理を終了する。
【0053】
また、地図データが復号化され記憶装置11から読み出すことが可能となっている場合には、S202の判定はNOとなり、S204の有効化処理を実施することなく、本処理を終了する。
【0054】
このように、地図データの復号化処理が完了すると、記憶装置11から地図表示を読み出すことが可能となり、表示画面に地図が表示される。
【0055】
上記した構成によれば、現在位置が特定地域の境界付近にあると判定された場合、記憶装置11に記憶された地図データの読み出しを不能にするか否かをユーザに確認する確認画面が表示され、ユーザ操作に応じて地図データの読み出しを不能にすることが許可されたと判定された場合、記憶装置11に記憶された地図データの読み出しを不能にするための処理が実施される。すなわち、ユーザの操作に応じて記憶媒体に記憶された地図データの読み出しを不能にするための処理が実施され、特定地域の地図データを読み出すことが可能な状態で地図表示装置が特定地域外へ持ち出されることを未然に防止することが可能である。
【0056】
また、地図データの読み出しを不能にすることが許可されないと判定された場合であっても、予め定められた時間が経過した後に、再度、確認画面が表示されるので、ユーザは確認画面に従って再度、地図データの読み出しを不能にすることを許可することができる。
【0057】
また、現在位置が特定地域内に位置すると判定され、かつ、地図データが読み出しを不能となっていると判定された場合、地図データの読み出しを可能にするための処理が実施されるので、特定地域内に戻った後、地図データの読み出しが可能となり、地図データに基づく地図表示を行うことが可能である。
【0058】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、自車位置が特定地域の境界付近に位置することを判定すると、記憶装置11に記憶された地図データの読み出しを不能にするか否かをユーザに確認する確認画面を表示させ、ユーザ操作に応じて地図データの読み出しを不能にすることが許可されたことを判定した場合、地図データを無効にする地図データ無効化処理を実施する例を示したが、本実施形態では、現在位置が特定地域内から特定地域外へ移動したことを判定すると、強制的に地図データを無効にする地図データ無効化処理を実施する。以下、上記実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0059】
本実施形態における地図データ無効化処理のフローチャートを図8に示す。この地図データ無効化処理では、まず、自車が特定地域内から特定地域外へ移動したか否かを判定する(S300)。具体的には、現在位置特定処理によって特定された現在位置および記憶装置11に記憶された地図データに基づいて自車が特定地域内から特定地域外へ移動したか否かを判定する。
【0060】
ここで、自車が特定地域内にある場合、S300の判定はNOとなり、S300の判定を繰り返す。
【0061】
また、自車が特定地域内から特定地域外へ移動すると、S300の判定はYESとなり、地図データの無効化処理を実施し(S108)、本処理を終了する。
【0062】
このように、現在位置が特定地域内から特定地域外へ移動したと判定された場合、記憶媒体に記憶された地図データの読み出しを不能にするための処理が実施されるので、特定地域の地図データを読み出すことが可能な状態で地図表示装置が特定地域外へ持ち出されることを防止することができる。
【0063】
なお、本実施形態と第1実施形態とを組み合わせて実施することも可能である。例えば、自車位置が特定地域の境界付近に位置することを判定した場合には、ユーザの操作に応じて地図データ無効化処理を実施し、自車位置が特定地域内から特定地域外へ移動したことを判定した場合には、強制的に地図データ無効化処理を実施してもよい。
【0064】
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、図2に示した境界判定用メッシュデータを用いて自車が特定地域内に位置するか否かを判定する例を示したが、本実施形態では、図9に示すような境界判定フラグデータを用いて自車が特定地域外から特定地域内に移動したか否かを判定する。制御部15は、地図データ読出可能処理において、この境界判定フラグデータを用いて自車が特定地域外から特定地域内に移動したか否かを判定して、地図データの読み出しを可能にする処理を実施する。
【0065】
図9に示すように、境界判定フラグデータには、境界を挟んでこの境界を出入りするための道路上の特定地域内側に設けられた第1の通過地点と特定地域外側に設けられた第2の通過地点を表す情報が含まれている。なお、図中には、境界を出入りする1つの道路に対して第1、第2の通過地点が設けられている様子が示されているが、実際には、境界を出入りするための全ての道路上に第1、第2の通過地点が設けられている。
【0066】
記憶装置11には、全ての道路に対する第1、第2の通過地点に対応する境界判定フラグが用意されている。各境界判定フラグの初期値は0となっており、制御部15は、各道路に設けられた通過地点に到達すると、その通過地点に対応する境界判定フラグのみを1に設定し、それ以外の全ての境界判定フラグを0に設定するようになっている。
【0067】
例えば、図9に示される道路上を走行して特定地域外から特定地域内へ向かう場合、特定地域外側に設けられた第2の通過地点に到達すると、この第2の通過地点に対応する境界判定フラグを1に設定し、それ以外の全ての境界判定フラグを0に設定する。そして、境界を越えて、特定地域内側に設けられた第1の通過地点に到達すると、この第1の通過地点に対応する境界判定フラグを1に設定し、それ以外の全ての境界判定フラグを0に設定する。
【0068】
制御部15は、これらの境界判定フラグの変化から自車が特定地域外から特定地域内に移動したか否かを判定するようになっている。
【0069】
図10に、本実施形態に係る制御部15による地図データ読出可能処理のフローチャートを示す。
【0070】
この地図データ読出可能処理では、まず、自車が特定地域内に戻ったか否かを判定する(S400)。具体的には、境界判定フラグの変化から自車が特定地域外から特定地域内へ移動したか否かを判定する。
【0071】
自車が特定地域外から特定地域内へ移動した場合、S300の判定はYESとなり、次に、地図データの有効化処理を実施し(S204)、この地図データの有効化処理が完了すると、本処理を終了する。
【0072】
また、自車が特定地域外から特定地域内へ移動していない場合、S300の判定はNOとなり、S300の判定を繰り返す。
【0073】
このように、特定地域外から特定地域内へ移動したと判定された場合、地図データの読み出しを可能にする処理が実施されるので、特定地域内に戻った後、地図データの読み出しが可能となり、地図データに基づく地図表示を行うことが可能となる。
【0074】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、本地図表示装置を車載ナビゲーション装置に適用した例について説明したが、車載ナビゲーション装置に限定されるものではなく、例えば、ポータブルタイプのナビゲーション装置や携帯情報端末(PDA)等に適用してもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、記憶媒体に記憶された地図データを暗号化する暗号化処理を実施して地図データの読み出しを不能にする例を示したが、例えば、暗号化処理以外の手法を用いて地図データの読み出しを不能にしたり、記憶媒体に記憶された地図データを消去したりして地図データの読み出しを不能にしてもよい。
【0076】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、位置検出器10から入力される情報に基づいて自車の現在位置や向きを特定する現在位置特定処理が現在位置特定手段に相当し、S100が第1の現在位置判定手段に相当し、S102、S106が確認画面表示手段に相当し、S104が許可判定手段に相当し、S108が地図データ読出不能処理手段に相当し、S300が第1の境界移動判定手段に相当し、S200が第2の現在位置判定手段に相当し、S202が地図データ判定手段に相当し、S204が地図データ読出可能処理手段に相当し、S400が第2の境界移動判定手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1実施形態に係る地図表示装置の構成を示す図である。
【図2】境界判定用メッシュデータについて説明するための図である。
【図3】地図データ無効化処理のフローチャートである。
【図4】確認画面の表示例を示す図である。
【図5】無効化処理中であることを表す画面の表示例である。
【図6】第1実施形態に係る地図データ読出可能処理のフローチャートである。
【図7】有効化処理中であることを表す画面の表示例である。
【図8】第2実施形態に係る地図データ無効化処理のフローチャートである。
【図9】境界判定フラグデータについて説明するための図である。
【図10】第3実施形態に係る地図データ読出可能処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1…ナビゲーション装置、10…位置検出器、11…記憶装置、12…入力装置、
13…表示部、14…スピーカ、15…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体から地図データを読み出して地図表示を行う地図表示装置であって、
現在位置を特定する現在位置特定手段と、
前記現在位置特定手段により特定された現在位置が特定地域の境界付近にあるか否かを判定する第1の現在位置判定手段と、
前記第1の現在位置判定手段により現在位置が前記特定地域の境界付近にあると判定された場合、前記記憶媒体に記憶された前記地図データの読み出しを不能にするか否かをユーザに確認する確認画面を表示する確認画面表示手段と、
ユーザ操作に応じて前記地図データの読み出しを不能にすることが許可されたか否かを判定する許可判定手段と、
前記許可判定手段により前記地図データの読み出しを不能にすることが許可されたと判定された場合、前記記憶媒体に記憶された前記地図データの読み出しを不能にするための処理を実施する地図データ読出不能処理手段と、を備えたことを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記確認画面表示手段は、前記許可判定手段により前記地図データの読み出しを不能にすることが許可されないと判定された場合、前記確認画面を非表示とし、予め定められた時間が経過した後に、再度、前記確認画面を表示することを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
記憶媒体から地図データを読み出して地図表示を行う地図表示装置であって、
現在位置を特定する現在位置特定手段と、
前記現在位置特定手段により特定された現在位置が特定地域内から前記特定地域外へ移動したか否かを判定する第1の境界移動判定手段と、
前記第1の境界移動判定手段により現在位置が前記特定地域内から前記特定地域外へ移動したと判定された場合、前記記憶媒体に記憶された前記地図データの読み出しを不能にするための処理を実施する地図データ読出不能処理手段と、を備えたことを特徴とする地図表示装置。
【請求項4】
前記地図データ読出不能処理手段は、前記地図データの読み出しを不能にするための処理として、前記地図データを暗号化する暗号化処理を実施することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記記憶媒体には、前記特定地域の境界を表す情報が記憶されており、
前記現在位置特定手段により特定された現在位置および前記記憶手段に記憶された前記特定地域の境界を表す情報に基づいて現在位置が前記特定地域内に位置するか否かを判定する第2の現在位置判定手段と、
前記地図データ読出不能処理手段により前記地図データの読み出しが不能となっているかを判定する地図データ判定手段と、を備え、
前記第2の現在位置判定手段により現在位置が前記特定地域内に位置すると判定され、かつ、前記地図データ判定手段により前記地図データの読み出しが不能となっていると判定された場合、前記地図データの読み出しを可能にするための処理を実施する地図データ読出可能処理手段と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の地図表示装置。
【請求項6】
前記特定地域の境界を表す情報は、前記特定地域を含む周辺領域を一定の大きさの矩形領域に分割し、矩形領域毎に前記特定地域か否かを識別するための識別情報を付与した情報として構成されており、
前記第2の現在位置判定手段は、前記現在位置特定手段により特定された現在位置を含む矩形領域に付与された識別情報に基づいて現在位置が前記特定地域内に位置するか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の地図表示装置。
【請求項7】
前記記憶媒体には、前記特定地域の境界を表す情報が記憶されており、
前記現在位置特定手段により特定された現在位置および前記記憶媒体に記憶された前記特定地域の境界を表す情報に基づいて現在位置が前記特定地域外から前記特定地域内へ移動したか否かを判定する第2の境界移動判定手段と、
前記第2の境界移動判定手段により前記特定地域外から前記特定地域内へ移動したと判定された場合、前記地図データの読み出しを可能にする処理を実施する地図データ読出可能処理手段と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の地図表示装置。
【請求項8】
前記特定地域の境界を表す情報には、前記境界を挟んで前記境界を出入りするための道路上の前記特定地域内側に設けられた第1の通過地点と前記特定地域外側に設けられた第2の通過地点を表す情報が含まれており、
前記記憶媒体には、前記第1、第2の通過地点のうち最後に通過した通過地点を識別するための情報が記憶されるようになっており、
前記第2の境界移動判定手段は、前記記憶媒体に記憶された前記最後に通過した通過地点を識別するための情報に基づいて前記特定地域外から前記特定地域内へ移動したか否かを判定することを特徴とする請求項7に記載の地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−53222(P2009−53222A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216900(P2007−216900)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】