説明

地図表示装置

【課題】重なり合っていた施設アイコンの一部を非表示にすることなく、施設アイコンの視認性を良好にすることができる地図表示装置を提供する。
【解決手段】地図20に重ねて表示されている施設アイコン21a〜21iのうち、施設アイコン21a〜21dは、相互に重なっており、施設アイコン21a〜21dの視認性が悪い。このような場合、ユーザは、施設アイコン21a〜21d同士が重なっている部分を押圧する。その結果、地図20の縮尺が、施設アイコン21a〜21d同士が重ならない縮尺に変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図上に施設アイコンを表示する地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地図上に表示されたアイコンが互いに重なる場合、表示優先度の高いアイコンのみを表示する自動車用ナビゲーション装置が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−10091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような従来のナビゲーション装置では、アイコン同士が重なる場合、表示優先度の低いアイコンは表示されない。したがって、表示されないアイコンに対応する施設が、アイコン同士の重なっている場所にないものと誤認する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)請求項1の発明の地図表示装置は、地物に対応したアイコンを、地図上の地物の位置に対応させて表示モニタに表示させる表示制御手段と、表示モニタ上の任意の場所を選択するモニタ位置選択手段と、モニタ位置選択手段により選択された表示モニタ上の位置の周辺に存在する複数のアイコンが重なっているかどうかを判断する重なり判断手段と、重なり判断手段によって複数のアイコンが重なっていると判断された場合、重なりあったアイコンが表示モニタ上で重ならずに表示される縮尺を判断する縮尺判断手段と、を備え、表示制御手段は、縮尺判断手段により判断されたアイコン同士が重ならない縮尺で地図およびアイコンを表示させることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1記載の地図表示装置において、表示制御手段は、複数のアイコンが重なりあっている地図の代わりに、複数のアイコンが重ならない縮尺の地図を表示モニタに表示することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1記載の地図表示装置において、表示制御手段は、複数のアイコンが重なりあっている地図に、複数のアイコンが重ならない縮尺の地図の一部もしくは全部を重ねて表示モニタに表示することを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項1記載の地図表示装置において、表示制御手段は、複数のアイコンが重なりあっている地図を表示モニタの第1の領域に表示し、複数のアイコンが重ならない縮尺の地図を第1の領域とは異なる表示モニタの第2の領域に表示することを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、地図上に建造物を表示する表示手段と、建造物に設けられた施設に対応する施設アイコンを記憶する施設アイコン記憶手段と、表示手段に表示された建造物を選択する選択手段と、選択手段によって選択された建造物に関わる施設アイコンを表示手段に表示する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項5記載の地図表示装置において、表示制御手段は、建造物の表示領域とは異なる領域に施設アイコンを表示するアイコン表示領域を生成するアイコン表示領域生成手段と、アイコン表示領域に施設アイコンを表示するアイコン表示位置制御手段と、を備えることを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項6記載の地図表示装置において、施設アイコン記憶手段は、複数の施設アイコンを記憶し、アイコン表示位置制御手段は、アイコン表示領域に複数の施設アイコンが互いに重ならないように表示することを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項1から4、または7に記載の地図表示装置において、複数の施設アイコンが重ならずに表示されているとき、施設アイコンのいずれかを選択する施設アイコン選択手段と、施設アイコンと対応した施設に関する施設情報を記憶する施設情報記憶手段と、施設アイコン選択手段によって施設アイコンが選択されたとき、当該施設アイコンに対応する施設情報を表示する施設情報表示手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、表示モニタに表示する施設アイコン同士が重ならないような地図の縮尺を選択し、選択した地図の縮尺の地図を表示するようにした。したがって、重なり合っていた施設アイコンの一部を非表示にすることなく、施設アイコンの視認性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における施設アイコンの表示処理を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態における施設アイコンの表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】施設アイコンの重ならない地図の縮尺の判定方法を説明するための図である。
【図5】施設アイコン同士が重ならない縮尺の拡大図を説明するための図である。
【図6】吹き出しによる施設アイコンの表示処理を説明するための図である。
【図7】施設アイコンを円として認識した場合の実施例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の実施形態によるナビゲーション装置1を示す。ナビゲーション装置1は、表示モニタ16に表示される地図上に複数の施設アイコンが重なって表示される場合、これらが重ならない縮尺に切り替えることができる。
【0009】
ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18、タッチパネル19、タッチパネルコントロール部110およびディスクドライブ111を有している。ディスクドライブ111には、地図データが記憶されたDVD−ROM112等の記憶メディアが装填されている。地図データを記憶する記憶メディアは、DVD−ROM112だけでなく、CD−ROMやハードディスクなどでもよい。
【0010】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。制御回路11は、DVD−ROM112に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索(後述)処理を行う。そして、その処理結果を推奨経路(後述)として表示モニタ16に表示する。
【0011】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置である。現在地検出装置14は、振動ジャイロ14a、車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)センサ14cなどからなる。振動ジャイロ14aは車両の進行方向を検出し、車速センサ14bは車速を検出し、GPSセンサ14cはGPS衛星からのGPS信号を検出する。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索の開始点などを決定する。また、現在地検出装置14により検出された車両の現在地が自車位置マークとして地図上に表示される。
【0012】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはDVD−ROM112に記憶された地図データに基づいて、制御回路11において適宜生成される。
【0013】
ディスクドライブ111は、DVD−ROM112から地図データを読み出す。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データ、施設データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データには、地図データに格納されている道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。施設データには、各種施設の位置、名称、種別、そのほか住所や営業時間などの詳細情報が含まれる。この施設の種別の情報に基づいて、施設を表示する施設アイコンが決定される。
【0014】
地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。
【0015】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の道路地図などの各種情報をユーザに対して表示する。スピーカ17は、各種入力操作をユーザに指示したり、経路誘導したりするための音声を出力する。入力装置18は、ユーザが各種コマンドの設定などのために操作される操作キーを有し、操作パネル上のボタンスイッチやパネル周囲のハードスイッチなどによって実現される。
【0016】
タッチパネル19は、表示モニタ16の表面に積層される透明のタッチスイッチであり、表示モニタ16に表示される画像はタッチパネル19を透過して表示される。したがって、ユーザが表示モニタ16に表示された各種ボタンや表示メニューを指で押圧するとタッチパネル19が操作される。タッチパネル19は、タッチパネル19上の操作位置に応じた信号をタッチパネルコントロール部110に送出し、タッチパネルコントロール部110はタッチパネル19の操作位置を算出する。その結果、表示モニタ16に表示された各種ボタンや表示メニューに定義された処理が実行される。
【0017】
ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示やスピーカ17からの音声指示にしたがって入力装置18やタッチパネル19を操作することにより、目的地を設定する。
【0018】
目的地がユーザによって設定されると、制御回路11は、ROM12に格納された制御プログラムに従って、目的地を経路探索の終了点に設定する。そして、経路探索用データを用いて経路探索の開始点から終了点までの経路演算を行う。このようにして求められた経路(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して表示モニタ16に表示される。これにより、ユーザは道路地図上の推奨経路を表示モニタ16上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路にしたがって車両が走行できるように、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、経路誘導する。
【0019】
次に、図2を参照して本発明の実施形態における施設アイコンの表示処理について説明する。図2(a)は、表示モニタ16の表示を説明するための図である。表示モニタ16には、地図20が表示され、地図20上に施設アイコン21a〜21iが表示されている。施設アイコンは、施設の種別ごとに予め設定されている。表示されている施設アイコンのうち、施設アイコン21a,21eはスーパーマーケットを表し、施設アイコン21b,21fはガソリンスタンドを表す。また、施設アイコン21c,21g,21iはコンビニエンスストアを表し、施設アイコン21d,21hはレストランを表す。ユーザは、表示モニタ16に施設アイコンとして表示する施設の種別を所定の操作により変更することができる。
【0020】
地図20上に表示されている施設アイコン21a〜21iのうち、施設アイコン21a〜21dは、相互に重なっており、施設アイコン21a〜21dの視認性が悪い。このような場合、図2(b)に示すように、施設アイコン21a〜21d同士が重なっている部分をユーザが押圧することにより、図2(c)に示すように、施設アイコン21a〜21d同士が重ならない縮尺の地図20に表示が変更される。
【0021】
次に、本発明の実施形態における施設アイコンの表示処理について、図3のフローチャートを参照して説明する。ここでは、説明を簡略化するために、ナビゲーション装置1はノースアップで地図を表示しているものとし、東西を画面のx軸、南北を画面のy軸と呼ぶことにする。また、施設アイコンの大きさは地図の縮尺によらず同じとする。図3の処理は、施設アイコンが地図上に表示されている時にユーザがタッチパネル19に触れることによってスタートする施設アイコンの表示処理で、タッチパネル19の押圧位置を入力として制御回路11において実行される。
【0022】
ステップS301では、タッチパネル19が押圧された時に表示モニタ16に表示している地図の中から、押圧位置より所定の距離だけ離れた範囲を特定する。ステップS302では、特定された地図の範囲内に存在する施設を地図データの中から検索し、検索結果から範囲内にある施設の施設データを取得する。施設が検出されなかった場合、ステップ303にて処理すべき施設がないと判定され、施設アイコンの表示処理を終了させる。施設が検出されている場合はステップS304に進む。
【0023】
ステップS304では、ステップS302にて取得した施設データと、表示している地図20の縮尺とに基づいて地図20上での各施設間の距離を算出する。地図20上での施設間の距離はx軸成分とy軸成分とにわけて算出する。ステップS305では、算出された施設間の距離を表示モニタ16の画面解像度等に基づいて画素数に変換し、表示モニタ16上での施設アイコン間の距離とする。施設アイコン間の距離も施設間の距離と同様にx軸成分とy軸成分とにわけて算出され、それぞれDドット,Dドットとする。ステップS306では、施設アイコンの大きさと施設アイコン間の距離とに基づいて、全ての施設アイコンの組合せについて各アイコン同士が重なっているかどうかを判定する。図4(a)はその判定処理を説明したものである。41aと41bは施設アイコンであり、共に大きさはIドット×Iドットとする。施設アイコン41aと41bとは、それぞれの中心同士がx軸方向にDドット、y軸方向にDドット離れている。アイコン同士の重なりを判定するために、施設アイコン間の距離と施設アイコンの大きさを比較する。図4(a)の例では、施設アイコン間の距離D,DはそれぞれI,Iより小さい値となっている。そのため、施設アイコン同士が領域43の部分で重なっている。このように、施設アイコン間の距離と施設アイコンの大きさとの比較の結果、「D<IかつD<I」が成立した場合、アイコン同士は重なっていると判定される。施設アイコンの中心が領域42の中にある施設アイコンは施設アイコン41aと重なる。判定の結果、重なっている施設アイコンが存在しなかった場合は施設アイコンの表示処理を終了する。
【0024】
ステップS307では、ステップS306で重なっていると判断された施設アイコン間の画素数を比較し、x軸成分とy軸成分の両方を含めた施設アイコン間の画素数の中で最も小さい画素数と、画素数が最小となる組合せの施設データとを抽出する。ステップ308では、抽出された施設アイコン間の画素数に基づいて、施設アイコンが重ならないように表示可能で、最も広域を表示可能な地図の縮尺を選択する。縮尺の選択方法の詳細に関しては後述する。ステップ309では、押圧位置を中心として、選択された縮尺の地図を施設アイコンと共に表示する。
【0025】
図4を参照して、ステップS308における施設アイコンが互いに重ならない地図の縮尺の判定方法を説明する。ステップS308では、この判定方法で、施設アイコン同士が重ならない地図の縮尺を選択し、さらにその地図の縮尺の中から、最も広域を表示する地図の縮尺を選択することになる。
【0026】
前述したとおり、二つの施設アイコンが重なるのは「D<IかつD<I」が成立した時である。逆に「D≧I」または「D≧I」のいずれかが成立すれば、施設アイコンは重ならない。ステップS307で抽出した施設アイコン間の画素数の中で最も小さい画素数をDminとし、この画素数がx軸成分のものだったとする。施設の位置から計算される施設間の距離のx軸成分をLとし、地図20の縮尺を1/Tとしたとき、地図20上の施設間の距離のx軸成分はL/Tとなる。L,L/T,Dの関係を図4(b)に示す。また、表示モニタ16での単位距離あたりの画素数、すなわち画面解像度をrとすると、施設間の画素数はそれぞれrL/Tとなる。よって、rL/T=DminとなるようなLをLminとすると、Dminの値はDmin=rLmin/Tと表すことができる。Dminの値が施設アイコンの大きさ以上であれば、他の施設アイコン間の距離も施設アイコンの大きさ以上となる。よって、Dmin=rLmin/Tと施設アイコンが重ならない条件Dmin≧Iとから、施設アイコンが重ならない地図の縮尺に関する条件式「1/T≧I/(rLmin)」が導出できる。
【0027】
ステップS307で抽出した施設データは、施設の位置に関する情報を含んでいるため、Lminの値を計算できる。また、アイコンの大きさIと表示モニタの画面解像度rは予め決まった値であるため、I/(rLmin)の値はステップS308で計算できる。そして、計算して得られたI/(rLmin)の値以上で、最も小さい縮尺1/Tを選べば、施設アイコン同士が重ならない縮尺の地図の中で最も広域を表示する地図を選択することができる。
【0028】
上記の例では、最小となる施設アイコン間の画素数をx軸成分と仮定したが、y軸成分の場合においても同様の処理を行うことができる。
【0029】
以上の実施形態によるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
(1)施設アイコン同士が重なっている場合、ユーザの指示により、施設アイコン同士が重ならない縮尺に地図の縮尺を変更するようにした。したがって、重なり合っていた施設アイコンの一部を非表示にすることなく、施設アイコンの視認性を良好にすることができる。
【0030】
(2)施設アイコン同士が重なって表示されている部分を押圧することにより、施設アイコン同士の重なりを解消する施設アイコンを指示できるようにした。したがって、ユーザが確認したい施設アイコンを指定することができ、ナビゲーション装置1の利便性が向上する。
【0031】
以上の実施形態のナビゲーション装置1を次のように変形することができる。
【0032】
(1)上記の実施形態では、表示モニタ上の任意の場所を選択する手段としてタッチパネル19を使用したが、他の手段を用いてもよい。例えば、他のモニタ位置選択手段としては、リモコン、ジョイスティック、ボタン等を用いたものが考えられる。
【0033】
(2)上記の実施形態では、施設アイコン同士が重なっている場合、ユーザの指示により施設アイコン同士が重ならない縮尺に、地図の縮尺を変更するようにしたが、施設アイコン同士が重ならない縮尺の拡大図を分割画面として表示するようにしてもよい。
【0034】
(3)図2(b)において、施設アイコン21a〜21d同士が重なっている箇所を押圧した場合、図5に示すように、施設アイコン21a〜21d同士が重ならない縮尺の拡大図50をウィンドウ画面として表示するようにしてもよい。拡大図50には、閉じるボタン51が表示され、閉じるボタン51が押圧されると、拡大図50は消去される。図5の変形例では、押圧した位置から離れている施設アイコン21e,21g,21iも表示されているので、便利である。
【0035】
(4)以上の実施形態及び変形例により、施設アイコン同士の重ならない縮尺の地図を表示した後に、施設アイコンを押圧すると、押圧された施設アイコンに対応する施設の名称や住所などの施設の情報がポップアップ画面で表示されるようにしてもよい。施設アイコンの押圧の際に、施設アイコン同士が重ならない縮尺に地図の縮尺が変更されているので、施設アイコンの押圧がしやすくなり、操作性が向上する。
【0036】
(5)図6に示すように、1つの建造物内に複数の施設が設けられている場合、この建造物がユーザに選択されたときに建造物に設けられた施設の施設アイコンが建造物からの吹き出しで表示されるようにしてもよい。
【0037】
図6を参照して、吹き出しによる施設アイコンの表示処理について説明する。図6(a)は、表示モニタ16に表示される表示画面を説明するための図である。表示画面には、地図60が表示され、地図60に建造物61が表示される。建造物61には複数の施設が設けられているので、他の建造物に比べて強調表示されている。
【0038】
建造物61に設けられている施設の施設アイコンを表示モニタ16に表示させる場合、図6(b)に示すように、ユーザは、建造物61を押圧する。その結果、図6(c)に示すように、建造物61から吹き出し70で、建造物61に設けられた施設の施設アイコン71a〜71cが表示される。吹き出し70には、閉じるボタン72が表示され、閉じるボタン72が押圧されると、吹き出し70が消去される。
【0039】
表示モニタ16に表示された建造物61を押圧することにより、施設アイコン71a〜71cを表示させる建造物61を指定できるので、施設アイコン71a〜71cを表示させたい建造物61をすぐに指定することができ、便利である。これにより、建造物内に設けられた施設の施設アイコンについても視認性が良好になる。建造物の異なる階に複数の施設が存在している場合、地図の縮尺を変更しても施設アイコンの重なりを解消することができない恐れがあるが、この変更例によれば施設アイコンを重なることなく表示する効果が向上する。
【0040】
また、吹き出し70に表示された施設アイコン71a〜71cが押圧されると、押圧された施設アイコン71a〜71cに係る施設の施設情報が表示されるようにしてもよい。
【0041】
以上の実施の形態のアイコン重なり処理を以下のように変形して実施することができる。
【0042】
(1)上記の実施形態では、施設アイコン41aと41bが互いに完全に重ならないようにしたが、ユーザの視認性や操作性に問題がない範囲で施設アイコン同士が重なるようにしてもよい。例えば、重なり判定を行うときに、施設アイコンを実際より小さい値に補正して認識してもよい。
【0043】
(2)上記の実施形態では、施設アイコンが重ならない場合は縮尺変更の処理を行わなかったが、密集している等によって視認性が悪い場合等を考え、アイコンの重なり判定の条件式をより厳しいものにしてもよい。例えば、重なり判定を行うときに、アイコンの大きさを実際より大きい値に補正して認識してもよい。
【0044】
(3)上記の実施形態では、施設間の距離や施設アイコンの大きさ等を画面のx軸成分と画面のy軸成分にわけて処理したが、処理を簡略化するためにアイコンを直径Rの円として認識することにしてもよい。例えば、図7のように円の直径Rを正方形状の施設アイコンの対角線の長さに合わせ、円の中心を正方形の重心に合わせることなどが考えられる。このとき、最小の施設間距離をLとすると、1/T≧R/Lとなるように地図の縮尺1/Tを選べば、アイコン同志が重ならない地図を表示できる。また、直径Rを施設アイコンの一辺の長さに合わせる方法も考えられる。
【0045】
(4)上記の実施形態では、施設アイコン間の画素数と施設アイコンを表現する画素数とを比較することによって重なりの有無を判定したが、表示モニタ16上のすべての画素について複数の施設アイコンが重なっているかどうかを走査してもよい。
【0046】
本発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。たとえば、地図表示装置であれば、ナビゲーション装置1に限定されず、地図を表示することができる携帯電話等でもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
12 ROM
13 RAM
14 現在地検出装置
14a 振動ジャイロ
14b 車速センサ
14c GPSセンサ
15 画像メモリ
16 表示モニタ
17 スピーカ
18 入力装置
19 タッチパネル
20,60 地図
21a〜21i,41a,41b,71a〜71c 施設アイコン
42 施設アイコンの重なり条件境界線
43 施設アイコン重なり領域
50 拡大図
51,72 閉じるボタン
61 建造物
70 吹き出し表示領域
110 タッチパネルコントロール部
111 ディスクドライブ
112 DVD−ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地物に対応したアイコンを、地図上の前記地物の位置に対応させて表示モニタに表示させる表示制御手段と、
前記表示モニタ上の任意の場所を選択するモニタ位置選択手段と、
前記モニタ位置選択手段により選択された表示モニタ上の位置の周辺に存在する複数のアイコンが重なっているかどうかを判断する重なり判断手段と、
前記重なり判断手段によって前記複数のアイコンが重なっていると判断された場合、重なりあった前記複数のアイコンが前記表示モニタ上で重ならずに表示される縮尺を判断する縮尺判断手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記縮尺判断手段により判断された前記アイコン同士が重ならない縮尺で前記地図および前記アイコンを表示させることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の地図表示装置において、
前記表示制御手段は、複数のアイコンが重なりあっている地図の代わりに、前記複数のアイコンが重ならない縮尺の地図を前記表示モニタに表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項3】
請求項1記載の地図表示装置において、
前記表示制御手段は、複数のアイコンが重なりあっている地図に、前記複数のアイコンが重ならない縮尺の地図の一部もしくは全部を重ねて前記表示モニタに表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項4】
請求項1記載の地図表示装置において、
前記表示制御手段は、複数のアイコンが重なりあっている地図を前記表示モニタの第1の領域に表示し、前記複数のアイコンが重ならない縮尺の地図を前記第1の領域とは異なる前記表示モニタの第2の領域に表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項5】
地図上に建造物を表示する表示手段と、
前記建造物に設けられた施設に対応する施設アイコンを記憶する施設アイコン記憶手段と、
前記表示手段に表示された前記建造物を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された前記建造物に関わる施設アイコンを前記表示手段に表示する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項6】
請求項5記載の地図表示装置において、
前記表示制御手段は、
前記建造物の表示領域とは異なる領域に前記施設アイコンを表示するアイコン表示領域を生成するアイコン表示領域生成手段と、
前記アイコン表示領域に前記施設アイコンを表示するアイコン表示位置制御手段と、
を備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項7】
請求項6記載の地図表示装置において、
前記施設アイコン記憶手段は、複数の施設アイコンを記憶し、
前記アイコン表示位置制御手段は、前記アイコン表示領域に前記複数の施設アイコンが互いに重ならないように表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項8】
請求項1から4、または7のいずれかに記載の地図表示装置において、
前記複数の施設アイコンが重ならずに表示されているとき、前記施設アイコンのいずれかを選択する施設アイコン選択手段と、
前記施設アイコンと対応した施設に関する施設情報を記憶する施設情報記憶手段と、
前記施設アイコン選択手段によって施設アイコンが選択されたとき、当該施設アイコンに対応する前記施設情報を表示する施設情報表示手段と、
を備えることを特徴とする地図表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−169621(P2011−169621A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31188(P2010−31188)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】