垂直型集積回路スイッチ、設計構造体及びその製造方法
【課題】 従来の欠陥及び制限を克服する、垂直型集積MEMSスイッチ、設計構造体、及びそのような垂直型スイッチの製造方法を提供する。
【解決手段】 MEMSスイッチを製造する方法は、ウェハ内に少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することと、少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを金属で充填して少なくとも2つの垂直方向に延びるワイヤを形成することとを含む。この方法は、垂直方向に延びるワイヤの少なくとも1つがボイド内で移動可能であるように、下部側からウェハ内にボイドを開口することをさらに含む。
【解決手段】 MEMSスイッチを製造する方法は、ウェハ内に少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することと、少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを金属で充填して少なくとも2つの垂直方向に延びるワイヤを形成することとを含む。この方法は、垂直方向に延びるワイヤの少なくとも1つがボイド内で移動可能であるように、下部側からウェハ内にボイドを開口することをさらに含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直型集積回路スイッチ及び製造方法に関し、より具体的には、垂直型集積MEMSスイッチ、設計構造体及びそのような垂直型スイッチの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3D集積回路及び他の集積回路に用いられる集積回路スイッチは、ソリッドステート構造体(例えば、トランジスタ)又は受動ワイヤ(MEMS)から形成することができる。MEMSスイッチは、典型的には、これらが電力増幅器(PA)のモード切り替えのために用いられる無線通信用途のための重要な要件であるほぼ理想的なアイソレーション(isolation)、及び、10GHz以上の周波数における低い挿入損失(すなわち、抵抗)ゆえに用いられている。MEMSスイッチは、種々の用途、主としてアナログ信号及び混合信号の用途に用いることができる。1つのこのような例は、各ブロードキャスト・モードごとに調整された電力増幅器(PA)及び回路を含む携帯電話チップである。チップ上の集積スイッチは、PAを適切な回路に接続するので、モードごとに1つのPAを必要としなかった。
【0003】
MEMSは、多数の異なるツールを用いて多数の方法で製造することができる。しかしながら、一般に、そうした方法及びツールは、約5ミクロンの厚さ、100ミクロンの幅、及び200ミクロンの長さのスイッチ寸法をもつ、マイクロメータ・スケールの寸法を有する小型構造体を形成するのに用いられる。また、MEMSの製造に用いられる方法すなわち技術の多くは、集積回路(IC)技術から採り入れられたものである。例えば、ほとんど全てのMEMSは、ウェハ上に構築され、ウェハの上のフォトリソグラフィ・プロセスによってパターン形成された材料の薄膜内に実現される。より具体的には、MEMSの製造には、3つの基本的な構成要素、すなわち(i)基板上への材料の薄膜の堆積、(ii)フォトリソグラフィ・イメージングによる膜の上へのパターン形成されたマスクの適用、及び(iii)マスクに対する膜の選択的エッチング、が用いられる。これらの方法のいずれにおいても、スイッチは、ウェハ/チップの上に水平方向に製造される。
【0004】
特定の用途及びエンジニアリング基準によって、MEMS構造体は、多くの異なる形で提供することができる。例えば、MEMSは、例えば特許文献1に示されるような単一のカンチレバー構造体の形で実現することができる。このカンチレバー用途においては、電圧の印加により、単一のカンチレバー・アーム(吊り下げ電極(suspended electrode))が、固定電極に向けて引っ張られる。しかしながら、このようなカンチレバー構造体を製造するには、CMOS構造体自体の構築に加えて、幾つかの余分で費用のかかる処理ステップが必要である。例えば、一旦CMOS配線の全てが完了すると、MEMSスイッチを形成するために付加的なプロセス・ステップが必要であり、そのことは、構造体に相当な処理コストを付加する。
【0005】
また、このような用途において明瞭に示されるように、MEMSは、ウェハ/チップの上に製造された水平型のカンチレバー・スイッチである。これらの水平型カンチレバー・スイッチは、デバイスの製造に費用を加えるだけでなく、パッケージ相互作用の問題も加えることが知られている。さらに、多くの現在の用途においては、処理の際に閉じた状態でフリーズすること、及び、1ミクロンのオーダーである、スイッチに用いられる相対的に小さいコンタクト・ギャップ又は作動ギャップが原因で、水平型カンチレバー・スイッチがくっ付くこと、例えばスイッチが開かなくなることが知られている。これはスティックション(sticktion)として知られている。
【0006】
さらに、周知の用途においては、静電気力によって吊り下げ電極を固定電極まで引っ張るのに必要な電圧を高くすることができる。このことにより、スイッチを長期間使用し、最終的に故障した後に、絶縁体上に不必要な帯電がもたらされることが分かった。特定の用途においては、チャージ・ポンピング又は類似の方法を用いて、これを約1.5−5ボルトから30−100ボルトまで増大させなければならないため、例えば100ボルトなどの高電圧を達成することもまた困難である。スイッチングに必要な最小電圧は、プルイン電圧と呼ばれ、このプルイン電圧は、吊り下げ電極の長さ、吊り下げ電極と固定電極の間の間隔又はギャップ、及び吊り下げ電極のばね定数を含む、幾つかのパラメータによって決まり、材料とそれらの厚さの関数である。
【0007】
ばねは復元力をもたらし、スイッチング速度を決定するので、ギャップを減少させ、かつ、ばねを軟化させることなく、プルイン電圧を低減することが望ましい。特許文献2において、バイアス電圧を低下させる又は排除するために、一対の側部平行平板型静電アクチュエータが実装される。これらの付加的な静電アクチュエータを用いて、固定信号電極上に印加されるバイアス電極を低減又は排除する。実施において、側部平行平板型静電アクチュエータの固定電極を、固定信号電極より上方に持ち上げることができる。従って、より小さいギャップのために、吊り下げ電極を固定電極まで引っ張るのに必要なプルイン電圧を低下させることができる。しかしながら、特許文献2に示されるMEMSは気密封止されず、付加的な静電アクチュエータが製造費用を増加させる可能性がある。また、このMEMSは、ウェハ/チップの上に製造される水平型カンチレバー・スイッチである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,578,976号
【特許文献2】米国特許第7,265,429号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、上述の欠陥及び制限を克服する必要性が当技術分野において存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様において、スイッチを製造する方法が、ウェハ内に少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することと、少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを金属で充填して少なくとも2つの垂直方向に延びるワイヤを形成することと、垂直方向に延びるワイヤの少なくとも1つがボイド内で移動可能であるように、下部側からウェハ内にボイドを開口することとを含む。
【0011】
本発明の態様において、MEMSスイッチを製造する方法が、ウェハの上部側から少なくとも3つのビアをエッチングすることと、ビアを金属で充填して垂直方向に配置された上部側ワイヤを形成することと、ウェハの下部側に誘電体材料を堆積させることと、誘電体材料をエッチングして内部に開口部を形成することであって、誘電体材料の残りの部分はウェハの縁部を保護する、ことと、誘電体材料内の開口部を通ってウェハの下部側をエッチングし、垂直方向に配置された上部側ワイヤの少なくとも1つを露出させるボイドを形成することとを含む。
【0012】
本発明の態様において、MEMSスイッチは、ウェハ内に形成された少なくとも3つの垂直方向に延びる金属ワイヤと、少なくとも3つの垂直方向に延びる金属ワイヤの少なくとも1つを収容する、ウェハ内に形成されたボイドとを含む。少なくとも3つの垂直方向に延びる金属ワイヤの少なくとも1つは、電圧の印加時にボイド内で移動可能である。
【0013】
本発明の別の態様において、集積回路を設計し、製造し、又は試験するための、機械可読媒体内で具現化される設計構造体が提供される。設計構造体は、本発明の構造体及び/又は方法を含む。
【0014】
本発明は、本発明の例示的な実施形態の限定されない例として示される多数の図面を参照して、以下の詳細な説明において記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図2】本発明の第1の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図3】本発明の第1の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図4】本発明の第1の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図5】本発明の第1の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図6】本発明の第1の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図7】本発明の第1の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図8】本発明の第2の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図9】本発明の第2の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図10】本発明の第2の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図11】本発明の第2の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図12】本発明の第2の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図13】本発明の第2の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図14】本発明の第2の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図15】本発明の第2の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図16】本発明の第3の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図17】本発明の第4の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図18】本発明の第5の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図19】本発明の第5の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図20】本発明の第6の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図21】本発明の第6の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図22】本発明の第7の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図23】本発明の第8の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図24】本発明の第9の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図25】本発明の第10の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図26】本発明の第11の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図27】本発明による、60Vプルイン電圧におけるビームに関するビーム厚、ビーム長及び作動ギャップを示すアルミニウム・カンチレバー・ビームについてのデータ点のグラフである。
【図28】半導体設計、製造、及び/又は試験に用いられる設計プロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、垂直型集積回路スイッチ及び製造方法に関し、より具体的には、垂直型集積MEMSスイッチ、設計構造体、及びそのような垂直型スイッチを製造する方法に関する。実施において、本発明は、幾つかの新規なMEMSスイッチの方法及び構造体を含む。MEMSスイッチは、シリコン・キャリア型用途(すなわち、集積回路(IC)の下であるが同じ基板内)において、又は別個のチップに結合されたスタンドアロン・チップ(stand alone chip)として、シリコン基板内に垂直型スイッチを形成するように垂直方向に製造される。実施形態において、例えばMEMSスイッチなどの構造体は、例えば、(i)ウェハの前面にのみ形成されるがウェハの裏面において露出されるビア、又は(ii)ウェハの前面及び裏面の両方に形成されるがウェハの裏面において露出されるビアのいずれかを用いて、シリコンウェハ・ビアを垂直方向に通って形成される。有利なことに、本発明の垂直型MEMSスイッチは、処理の際に閉じた状態でフリーズすることが原因で、スイッチが開かなくなることをなくす。
【0017】
以下により詳細に説明されるように、MEMSコンタクト・スイッチの機能は、プルイン電圧及び作動電圧によって定められる。プルイン電圧は、ビームが曲がり、接触するのに必要な印加アクチュエータ電圧によって定められ、作働電圧は、MEMSスイッチ回路における印加電圧であり、定義上、プルイン電圧より大きいものである。この理解に基づいて、本発明の幾つかの態様の構造体は、作動ギャップ(AG)と、コンタクト・ギャップ(CG)とを含む(例えば、図26を参照されたい)。作動ギャップ(AG)は、アクチュエータと可動ビームとの間の離隔距離(separation)である。コンタクト・ギャップ(CG)は、可動ビームとコンタクトとの間の離隔距離である。MEMSスイッチのアーク放電及び潜在的破壊をもたらす短絡を回避するために、コンタクト・ギャップ(CG)は、一般に、作動ギャップ(AG)より小さい。
【0018】
本発明の第1の態様
図1−図7は、本発明の第1の態様による構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。より具体的には、図1は、ウェハの上部側に誘電体層12を有するウェハ10を含む開始構造体を示す。実施形態において、ウェハ10は、幾つかの例を挙げると、シリコン、非結晶バルク材料、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、SiGe、石英、サファイア、アルミナ、ガラス、又はヒ化ガリウムとすることができる。実施形態において、誘電体層12は、SiO2である。誘電体層12は、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)などの任意の周知の方法を用いて堆積させることができる。
【0019】
図1にさらに示されるように、通常のフォトリソグラフィ・プロセスを用いて、ウェハ10内にビア14が形成される。実施形態においては、本発明の第1の態様の垂直型スイッチを形成するために用いられる、4つのビア14が示される。実施形態において、ビア14は、約150ミクロンの深さ、約3ミクロンの幅、及び約20ミクロンの長さ(すなわち、数値で測定したとき)とすることができる。当業者であれば、スイッチの特定の用途に応じて、本発明により他の寸法も考慮されることを認識するであろう。例えば、ビアを短くすることにより、スイッチのばね定数が増大し、プルイン電圧が増大する。ビア14は、ウェハ10の前面内に形成される。
【0020】
一例として、最初に誘電体材料12上にレジストを堆積させることによって、ビア14が形成される。レジストの選択的部分が露出され、開口部を形成する。後のプロセスにおいて、ビア14を形成するために、例えば反応性イオンエッチング(RIE)などの通常のプロセスを用いて、誘電体材料12及びウェハ10がエッチングされる。パーフルオロカーボン・ベースのRIEプロセスを用いて、誘電体をエッチングすることができる。基板がシリコンである場合には、ボッシュRIEプロセスを用いて、シリコン内にほぼ垂直型のトレンチをエッチングすることができる。ダウンストリーム酸素プラズマ・プロセスなどの湿式又は乾式方法を用いて、レジストを剥離して除去することができる。
【0021】
図2において、ビアを周知の金属又は金属合金で充填し、ワイヤ16を形成する。実施形態において、ワイヤ16は、例えば、物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)、電気めっき堆積(ECP)、有機金属化学気相堆積(MOCVD)等のようなプロセスのいずれかの周知の組み合わせを用いてメタライズする(metallize)ことができる。1つの例示的な実施形態において、ワイヤは、どちらもCVDを用いて堆積されるのが好ましい、TiNライナを有するタングステンとすることができる。別の実施形態においては、ワイヤ16は、TaN/Ta、TaN/Ru等からなる高融点ライナを有する銅を用いて形成される。高融点ライナは、CVD又は物理気相堆積(PVD)を用いて堆積することができ、Cuは、例えば、PVD及びECPの組み合わせを用いて堆積することができる。別の実施形態において、ワイヤ16は、AlCu、或いは、Al又はCuの他の組み合わせである。実施形態において、ワイヤ16は、約150ミクロンの深さ、約3ミクロンの幅及び約20ミクロンの長さとすることができる(すなわち、点線で示されるように)。当業者であれば、ビアの特定の寸法に応じて、本発明により他の寸法も考慮されることを認識するであろう。金属の堆積後、化学機械研磨(CMP)、RIEエッチバック、又はこれらの組み合わせのような平坦化プロセスを用いて、ウェハ表面から余分な金属を除去し、ダマシン金属が充填されたトレンチを残す。トレンチがメタライズされた後、当技術分野において周知のような標準的なBEOLコンタクト、ビア、ワイヤ、受動素子、メモリ素子等を通して、ウェハの前面が随意的に処理される。
【0022】
図3において、接着剤18が、図2の構造体上に堆積される。より具体的には、プロセスの後半に除去することができる接着剤18が、誘電体材料12及びウェハの前面の露出部分の上に形成される。ガラス、シリコン、又はウェハに機械的支持を与えることができるいずれかの周知の材料からなるキャリア20が、接着剤18に取り付けられる。
【0023】
図3において、当業者であれば、構造体が、誘電体材料12の上にコンタクト、ワイヤ、ビア、及び/又はキャパシタのような受動素子を含み得ることを認識すべきである。また、本発明は、誘電体材料12の下の能動素子及び/又は受動素子なども考える。例えば受動デバイス及び能動デバイスなどの素子、ワイヤ等を用いて電圧を与え、MEMS、MEMのための入力及び/又は出力パッド、又は非MEMに関連した機能を作動させることができる。当業者であれば理解するはずであるように、ここに説明される本発明の態様の各々について、これらの異なる変形が考えられる。
【0024】
図3は、ワイヤの下部を露出させるための研削プロセスも示す。より具体的には、例えば化学機械研磨(CMP)プロセスのような通常の研削プロセスを用いて、ウェハ10の裏面を、例えば725ミクロンの開始厚から150ミクロンまで研削し、それにより、ウェハ10の裏面においてワイヤ16が露出される。実施形態において、結果として得られるウェハ10は、約100ミクロンから150ミクロンまでのものであるが、本発明により他の寸法も考慮される。実施形態のいずれにおいても、ウェハ10の裏面においてワイヤ16が露出される。誘電体材料22がウェハ10の裏面に堆積され、リソグラフィによりパターン形成され、エッチングされて開口部22aを形成する。誘電体材料22は、例えばSiO2とすることができる。開口部22aは、ウェハ10の裏面において内側ワイヤ16を露出させる。
【0025】
図4において、露出されたウェハ10がエッチングされ、開口ボイド24を形成する。実施形態において、ウェハ10は、例えば湿式エッチング・プロセス及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いてエッチングすることができる。実施形態において、基板ウェハ10はシリコンであり、開口ボイド24は、湿式加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液、XeF2非プラズマ・エッチング、又は非選択的ボッシュ・プラズマ・エッチングの1つ又は複数を用いてエッチングされる。実施形態において、外側ワイヤ16bの少なくとも一方の側はウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、内側ワイヤ16aは、その移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。
【0026】
図5において、随意的なウェハ・キャップ26が、ウェハ10の裏面に接合される。より具体的には、ウェハ・キャップ26が誘電体材料22に接合され、気密シールを生成する。ウェハ・キャップ26は、例えば、ガラス基板又はシリコン基板とすることができる。ウェハ・キャップ26は、接着剤を用いるものなど、任意の通常のボンディング・プロセスを用いて誘電体材料22に接合することができる。
【0027】
図6は、線A−Aに沿った、図5の構造体の断面図を示す。この図は、例えば約20ミクロンから100ミクロンまでのワイヤの長さをより明瞭に示す。この図はまた、外側ワイヤ16bの少なくとも一方の側は、ウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、内側ワイヤ16aは、その移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出されることを示す。当業者であれば、3ミクロン厚スイッチの可動電極は、約1ミクロンの作動ギャップを有することを認識するであろう。
【0028】
図7は、閉位置における本発明の第1の態様のスイッチを示す。この実施形態において、作動電圧Vaが固定ワイヤ16bに印加される。これにより、内側ワイヤ16aを押し付けて互いに接触させるクーロン反発力がもたらされる。このクーロン反発力は、スイッチを有効に閉じ、例えば、内側の自由に浮遊するワイヤ16aを移動させて接触させる。実施形態において、作動電圧は、プルイン電圧を克服する、例えばプルイン電圧より大きい電圧にする必要がある。実施形態に応じて、プルイン電圧は、例えば、20Vから60V(又は、マイナス20Vから60V)とすることができる。実施形態において、作動電圧Vaは、固定ワイヤ16bに印加される−100ボルトである。
【0029】
MEMSコンタクト・スイッチの場合、可動電極すなわち電極16aは、通常、dc接地に配線される。このdc接地接続(図示せず)は、単純な低抵抗ワイヤを用いる、dc接地又はrf接地のいずれかとすることができ、或いは、例えばdcにおいて低インピーダンスを有するがrf周波数において高インピーダンスを有するインダクタを用いる、dc接地及びrf開路とすることができる。可動電極又は電極16aがdc接地に配線されない場合、このような電極は、作動電圧から容量の充電を行ない、望ましくないプルイン電圧の変動をもたらすことがある。
【0030】
2つの作動電極16aが示されるが、1つの作動電極16aだけを必要とすることもさらに考えられる。例えば、作動電極16aのいずれかを図7(又は、本発明の他の態様)から除去することができる。このような実施形態において、作動電圧(Va)が印加されると、残りの作動電極が曲がり、最も近い固定ワイヤと接触する。
【0031】
当業者であれば、本発明の各々の態様において、接触するワイヤは、互いにある程度の垂直方向の重なりを有することを認識すべきである。このことにより、電圧の印加時に、自由に移動するワイヤが接触し、従って、スイッチを閉じることが確実になる。また、自由に浮遊する、移動する等のように、特に指定しない限り、ワイヤは、構造体内に固定されたままである。さらに、例えば、パターン形成、メタライゼーション、及び/又は堆積プロセスなどのここに説明されたプロセスへの何らかの修正及び/又は追加と併せて、図1−図7のプロセスを用いて、ここに説明される実施形態のいずれかを製造することもできる。実施形態の各々を説明した後、当業者にはこのような修正及び/又は追加が明らかになるはずであるが、本発明のより完全な理解のために、必要に応じて、付加的なプロセス及び/又は修正されたプロセスの幾らかのさらなる説明をここに述べる。
【0032】
本発明の第2の態様
図8−図15は、本発明の第2の態様による、構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。より具体的には、図8は、誘電体層12を有するウェハ10を含む開始構造体を示す。ウェハ及び誘電体層は、本発明の第1の態様において説明された。
【0033】
図8にさらに示されるように、通常のフォトリソグラフィ・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側から、ビア14a及び14bが形成される。実施形態において、本発明の第2の態様の垂直型スイッチを形成するために、3つのビア14a、14bが用いられる。ビア14bは、約5ミクロンの深さ、7ミクロンの幅及び約24ミクロンの長さ(すなわち、数値で測定される場合)の浅いビア(shallow via)であり、一方、ビア14aは、約140ミクロンの深さ、約3ミクロンの幅及び約20ミクロンの長さ(すなわち、数値で測定される場合)である。更に別の実施形態において、ビア14aの深さは、50ミクロンから180ミクロンに及ぶことができ、約50ミクロン、100ミクロン、又は180ミクロンの深さが好ましい。当業者であれば、スイッチの特定の用途に応じて、本発明により他の寸法も考慮されることを認識するであろう。ビア14a及び14bは、異なるエッチング(リソグラフィ)プロセス(図1を参照して説明されるような)で形成できることも理解すべきである。
【0034】
図9において、ウェハの上部側から、ビア14a、14bを周知の金属又は金属合金で充填し、それぞれワイヤ16a及びワイヤ部分16b1を形成する。実施形態において、上述した本発明の第1の態様に説明されるようなプロセスの任意の周知の組み合わせを用いて、ワイヤ16a及びワイヤ部分16b1をメタライズすることができる。
【0035】
ワイヤ部分16b1は、約5ミクロンの深さ、7ミクロンの幅及び約24ミクロンの長さ(すなわち、数値で測定される場合)であり、一方、ワイヤ16aは、約140ミクロンの深さ、約3ミクロンの幅及び約20ミクロンの長さ(すなわち、数値で測定される場合)である。更に別の実施形態において、ワイヤ16aは、50ミクロンから180ミクロンの深さに及ぶことができる。当業者であれば、スイッチの特定の用途に応じて、本発明により他の寸法も考慮されることを認識するであろう。
【0036】
図10において、上述の本発明の第1の態様に説明されるように、図9の構造体上に接着剤18が堆積され、キャリア20が取り付けられる。
【0037】
図10は、ビア15を形成するためのデュアル・ダマシン・プロセスをさらに示す。当業者には理解されるはずであるようなデュアル・ダマシン・プロセスは、異なる深さのトレンチを形成する。実施形態において、トレンチ15は、第1の寸法の下方に延びる脚部15aと、第2の寸法の水平方向に延びる脚部15bとを含む。水平方向に延びる脚部15bは、これらの間に空間を有した状態で、互いに向けて延びるように配置される。
【0038】
図11において、ウェハ10の裏面からトレンチ15を金属17で充填し、全体が参照番号16bで示される金属ワイヤを完成させる。実施形態において、金属17は、従来のCVD又はALDプロセスを用いて堆積されるTiN及びタングステンとすることができるが、本発明により他のプロセス及び金属又はそれらの組み合わせも考えられる。誘電体材料22は、ウェハ10の裏面上に堆積され、パターン形成されて、開口部22aを形成する。誘電体材料22は、例えばSiO2とすることができる。開口部22aは、ウェハ10の裏面においてワイヤ16bを露出する。
【0039】
図12において、例えば、湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いてウェハ10の裏面をエッチングし、上述したもののような方法を用いてボイド24を形成することができる。実施形態において、加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液を用いて、ウェハ10をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、誘電体材料22はウェハ10の外側部分を保護するが、本発明のこの態様において、外側ワイヤ16bは、その移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出される。
【0040】
図12において、上記の本発明の第1の態様に説明される方法を用いて、随意的なウェハ・キャップ26が、ウェハ10の下面に接合される。
【0041】
図13は、線B−Bに沿った、図12の構造体の断面図を示す。この図は、例えば約20ミクロンから100ミクロンまでの中間(middle)ワイヤ16aの長さをより明瞭に示す。この図はまた、外側ワイヤ16bが、その移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出されることを示す。
【0042】
図14は、線C−Cに沿った、図12の構造体の断面図を示す。この図は、ビア15b内に形成されたワイヤの部分が互いに向けて延びることをより明瞭に示す。ビア15b内に形成されたワイヤの部分間の間隔は、約2ミクロンから4ミクロンである。
【0043】
図15は、閉位置における本発明の第2の態様のスイッチを示す。この実施形態において、作動電圧Vaが中間ワイヤ16aに印加される。実施形態において、作動電圧Vaは、中間ワイヤ16aに印加される100ボルトである。可動電極はdc接地されている。これにより、外側ワイヤを引っ張って互いに接触させるクーロン力がもたらされる。このクーロン力は、スイッチを有効に閉じ、例えば外側ワイヤ16bが接触するのを可能にする。
【0044】
本発明の第3の態様
図16は、本発明の第3の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図16において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側からワイヤ部分16a1及びワイヤ16bが形成される。浅いビア(外側ワイヤ16bを形成するために用いられるビアより浅い)を用いて、内側ワイヤ16a1が形成される。浅いビアの深さは、特定の用途に応じて変わり得る。例えば、浅いビアは約10ミクロンの深さとすることができ、外側ワイヤ16bを形成するのに用いられるビアは約150ミクロンの深さとすることができるが、本発明により他の寸法も考慮される。当業者であれば、ワイヤ16a1及び16bを形成するために用いられるビアを別個のリソグラフィ・プロセスで形成できることも理解すべきである。ウェハの上部側から、例えば窒化チタン又はタングステンのような金属又は金属の組み合わせで、ビアを充填することができる。
【0045】
本発明の上述の態様に説明される方法を用いて、誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に、接着剤18及びキャリア20が形成される。
【0046】
ワイヤ16bの下部を露出させるための研削プロセスの後、ウェハの下面から通常のデュアル・ダマシン・プロセスを行なって、ワイヤ部分16a1に接続するメタライゼーション部16a2を形成することができる。本発明の上述の態様に説明されるように、例えば湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いて、ウェハ10の裏面をエッチングし、開口部24を形成することができる。実施形態において、外側ワイヤ16bの少なくとも一方の側は、ウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、内側ワイヤ16a1、16a2は、その移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合して、気密シールを生成することができる。
【0047】
図16に示されるように、作動電圧Vaが固定ワイヤ16bに印加され、可動電極16a1はdc接地されている。実施形態において、作動電圧Vaは、−100ボルトである。これにより、内側ワイヤ16a2を押し付けて互いに接触させるクーロン反発力がもたらされる。このクーロン反発力は、スイッチを有効に閉じ、例えば、内側の自由に浮遊するワイヤ16a2を移動させて接触させる。
【0048】
本発明の第4の態様
図17は、本発明の第4の態様による、別のMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図17において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側からワイヤ16a1及び16b形成される。ビア及び結果として得られる16a1、16bは、例えば、本発明の第1の態様に関して上述したような種々の寸法のものにすることができる。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、ウェハ10の上部側から、ビアを、例えばALD窒化チタン及びCVDタングステンのような金属又は金属の組み合わせで充填することができる。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に接着剤18が形成され、キャリア20が接着剤18に取り付けられる。
【0049】
ワイヤ16a1、16bの下部を露出するための研削プロセスの後、本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、ウェハ10の下面から通常のエッチング・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを行なって、ワイヤ部分16a1に接続する内側ワイヤ部分16a2を形成することができる。実施形態において、誘電体材料22は、外側ワイヤ16bの少なくとも一方の側がウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)のままであり、内側ワイヤ16a1、16a2は、その移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出される程度まで、ウェハ10の外側部分を保護する。
【0050】
本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合し、気密シールを生成することができる。
【0051】
図17において、作動電圧Vaが固定ワイヤ16bに印加され、可動電極16a2はdc接地されている。実施形態において、作動電圧Vaは、−100Vである。これにより、内側ワイヤ16a2を押し付けて互いに接触させるクーロン反発力がもたらされる。このクーロン反発力は、スイッチを有効に閉じ、例えば、内側の自由に浮遊するワイヤ16a2を移動させて接触させる。
【0052】
本発明の第5の態様
図18及び図19は、本発明の第5の態様による、別のMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図18において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側からワイヤ16aが形成される。ウェハの上部側からワイヤ16aを形成するのに用いられるビアは、約80ミクロンの深さとすることができるが、本発明により他の寸法も考慮される。ウェハ10の上部側から、ビアを、例えばALD窒化チタン窒化及びCVDタングステンのような金属又は金属の組み合わせで充填し、その後にCMPを行なうことができる。
【0053】
誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に、接着剤18が形成される。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、キャリア20が接着剤18に取り付けられる。
【0054】
ウェハの下面から、通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを行なって、外側ワイヤ16b1、16b2を形成する。次に、例えば、湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いて、ウェハ10の裏面をエッチングし、ボイド24を形成する。実施形態において、加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液を用いて、ウェハ10をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、少なくとも外側ワイヤ16b1は、ウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、内側ワイヤ16a及び外側ワイヤ16b2は、ワイヤ16aの移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合し、気密シールを生成することができる。
【0055】
図18(又は図19)に示されるように、作動電圧Vaが固定ワイヤ16b1に印加され、可動ワイヤ16a及び16bはdc接地されている。実施形態において、作動電圧Vaは、100ボルトである。これにより、ワイヤ16aを内側ワイヤ16b2に向けて押し付け、これと接触させるクーロン力がもたらされる。このクーロン力は、スイッチを有効に閉じ、例えば、ワイヤ16aを移動させてワイヤ16bと接触させる。
【0056】
本発明の第6の態様
図20及び図21は、本発明の第6の態様による、別のMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図20において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側から外側ワイヤ16bbが形成される。ウェハの上部側からワイヤ16bbを形成するのに用いられるビアは、約80ミクロンの深さとすることができるが、本発明により他の寸法も考慮される。ウェハ10の上部側から、ビアを、例えばALD窒化チタン及びCVDタングステンのような金属又は金属の組み合わせで充填し、その後にCMPを行なうことができる。
【0057】
誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に、接着剤18が形成される。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、キャリア20が接着剤18に取り付けられる。
【0058】
ウェハの下面から通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを行なって、外側ワイヤ16b1、16b2を形成する。外側ワイヤ16b1は、ワイヤ16bbと実質的に位置合わせされている。次に、前述のように、例えば湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いて、ウェハ10の裏面をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液を用いてウェハ10をエッチングし、ボイド24を形成することができる。
【0059】
実施形態において、外側ワイヤ16b1及び外側ワイヤ16bbの少なくとも一方の側はウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、他の外側ワイヤ16b2は、その移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合し、気密シールを生成することができる。ウェハ・キャップ26は、例えばガラスとすることができる。前述のように、いずれかの通常のボンディング・プロセスを用いて、ウェハ・キャップ26を誘電体材料22に接合することができる。
【0060】
図20(又は図21)において、作動電圧Vaが固定ワイヤ16b1に印加され、可動ワイヤ16a及び16bはdc接地されている。実施形態において、作動電圧Vaは、固定外側ワイヤ16b1に印加される100ボルトである。これにより、他の(浮遊する)外側ワイヤ16b2をワイヤ16bbに向けて押し付け、これと接触させるクーロン力がもたらされる。このクーロン力は、スイッチを有効に閉じる。
【0061】
図21は、本発明の構造体の例示的な寸法を示す。例えば、ボイド24の垂直方向の寸法は、約100ミクロンから約200ミクロンの範囲に及ぶことができる。ワイヤ16b1とワイヤ16b2との間の距離は、約1ミクロンである。実施形態において、可動ワイヤ16b2は、その両端においてウェハ10内に埋め込まれる。ワイヤが、例えば少なくともボイドの垂直方向距離を越える長さであるなど、非常に長い場合、電圧が固定ワイヤ16b1に印加されると、可動ワイヤの部分(例えば、固定ワイヤ16b1に近接する中間の部分)が、図21に矢印「A」で示されるように、固定ワイヤ16b1に向けて移動し、これと接触する。
【0062】
本発明の第7の態様
図22は、本発明の第7の態様による、別のMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図22において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側からワイヤ16b1、16b2が形成される。ウェハの上部側からワイヤ16b1、16b2を形成するのに用いられるビアは、約50ミクロンの深さとすることができるが、本発明により他の寸法も考慮される。ウェハ10の上部側から、ビアを、例えばALD窒化チタン及びCVDタングステンのような金属又は金属の組み合わせで充填し、その後にCMPを行なうことができる。
【0063】
誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に、接着剤18が形成される。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、キャリア20が接着剤18に取り付けられる。
【0064】
ウェハの下面から、通常のリソグラフィ・プロセスを行なって、内側ワイヤ16a(ワイヤ16b1、16b2からオフセットした)を形成する。次に、例えば湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いて、ウェハ10の裏面をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液を用いてウェハ10をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、一方の外側ワイヤ16b2の少なくとも一方の側は、ウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、内側ワイヤ16及び他方の外側ワイヤ16b1は、少なくとも外側ワイヤ16b1の移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。上述の方法を用いて、随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合し、気密シールを生成することができる。
【0065】
図22に示されるように、作動電圧Vaが固定外側ワイヤ16b2に印加され、可動電極16aはdc接地されている。実施形態において、作動電圧Vaは、100ボルトである。これにより、ワイヤ16b1を押し付けてワイヤ16aに接触させるクーロン力がもたらされる。このクーロン力は、スイッチを有効に閉じる。
【0066】
本発明の第8の態様
図23は、本発明の第8の態様による、別のMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図23において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側からワイヤ16a及び16bが形成される。実施形態において、内側ワイヤ16aを形成するのに用いられるビアの深さは、外側ワイヤ16bを形成するのに用いられるビアより深い。例えば、ワイヤ16aを形成するのに用いられるビアは、約100ミクロンの深さとすることができるが、本発明により他の寸法も考慮される。ウェハ10の上部側から、ビアを、例えばALD窒化チタン及びCVDタングステンのような金属又は金属の組み合わせで充填し、その後にCMPを行なうことができる。
【0067】
誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に、接着剤18が形成される。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、キャリア20が接着剤18に取り付けられる。
【0068】
ウェハの下面から通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを行なって、外側ワイヤ16bbを形成する。外側ワイヤ16bbは、ウェハ10の上部側から形成される外側ワイヤ16bの1つと位置合わせすることができる。次に、例えば湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いて、ウェハ10の裏面をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液を用いてウェハ10をエッチングし、ボイド24を形成することができる。
【0069】
実施形態において、一方の外側ワイヤ16b及び外側ワイヤ16bbの少なくとも一方の側はウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、内側ワイヤ16aは、その移動を可能にするためにボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。誘電体材料22の配置のために、外側固定ワイヤ16bをウェハ材料内に僅かに又は完全に埋め込むこともできる(外側固定ワイヤを有するあらゆる実施形態と同様に)。
【0070】
上述のように、随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合し、気密シーツを生成することができる。
【0071】
図23において、作動電圧Vaが固定ワイヤ16b(上記のワイヤ16bb)に印加され、マイナスのVaが他方の固定ワイヤ16bに印加される。可動電極16aはdc接地されている。実施形態において、作動電圧Vaは、固定ワイヤ16b(上記のワイヤ16bb)に印加される100ボルト及び他方の固定ワイヤ16bに印加される−100ボルトである。これにより、ワイヤ16aを外側ワイヤ16bbに向けて移動させ、これと接触させるクーロン力がもたらされる。このクーロン力は、スイッチを有効に閉じる。また、本発明のこの及び他の態様において、1つ又は複数の作動電極の使用も考慮される。
【0072】
本発明の第9の態様
図24は、本発明の第9の態様による、別のMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図24において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側からワイヤ16a及び16b形成される。実施形態において、内側ワイヤ16aを形成するのに用いられるビアの深さは、外側ワイヤ16bを形成するのに用いられるビアより深い。例えば、ワイヤ16aを形成するのに用いられるビアは、約80ミクロンの深さとすることができるが、本発明により他の寸法も考慮される。当業者であれば、適用可能な実施形態のいずれにおいても、異なる深さのビアが別個のリソグラフィ・プロセスで形成されることを認識すべきである。ウェハ10の上部側から、ビアを、例えばALD窒化チタン及びCVDタングステンのような金属又は金属の組み合わせで充填し、その後にCMPを行なうことができる。
【0073】
誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に、接着剤18が形成される。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、キャリア20が接着剤18が取り付けられる。
【0074】
ウェハの下面から通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを行なって、外側ワイヤ16bbを形成する。外側ワイヤ16bbは、ウェハ10の上部側から形成された外側ワイヤ16b及び内側ワイヤ16aからオフセットしていてもよい。次に、例えば湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いてウェハ10の裏面をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液を用いてウェハ10をエッチングし、ボイド24を形成することができる。
【0075】
実施形態において、一方の外側ワイヤの16b及び外側ワイヤ16bbの少なくとも一方の側はウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、内側ワイヤ16aは、その移動を可能にするようにボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。誘電体材料22の配置のために、外側固定ワイヤ16bをウェハ材料内に僅かに又は完全に埋め込むこともできる(外側固定ワイヤを有するあらゆる実施形態と同様に)。上述した方法を用いて、随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合し、気密シーツを生成することができる。
【0076】
図24において、作動電圧Vaが固定ワイヤ16b(最も近いワイヤ16bb)に印加され、マイナスのVaが他方の固定ワイヤ16bに印加される。可動電極16aはdc接地されている。実施形態において、作動電圧Vaは、固定ワイヤ16b(最も近いワイヤ16bb)に印加される100ボルト及び他方の固定ワイヤ16bに印加される−100ボルトである。これにより、ワイヤ16aを外側ワイヤ16bbに向けて移動させ、これと接触させるクーロン力がもたらされる。このクーロン力は、スイッチを有効に閉じる。
【0077】
本発明の第10の態様
図25は、本発明の第10の態様による、別のMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図25において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側からワイヤ16a及び16bが形成される。ウェハの上部側からワイヤ16aを形成するのに用いられるビアは、約150ミクロンの深さとすることができるが、本発明により他の寸法も考慮される。例えば、外側ワイヤ16bを形成するのに用いられるビアは、約10ミクロンの浅いビアとすることができる。ウェハ10の上部側から、ビアを、例えばALD窒化チタン及びCVDタングステンのような金属又は金属の組み合わせで充填し、その後にCMPを行なうことができる。
【0078】
誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に、接着剤18が形成される。上記の実施形態に説明される方法を用いて、キャリア20が接着剤18に取り付けられる。
【0079】
ワイヤ16aの下部を露出させるための研削プロセスの後、ウェハの下部側から、通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを行なって、外側ワイヤ16bbを形成する。外側ワイヤ16bbは、ウェハ10の上部側から形成された外側ワイヤ16b及び内側ワイヤ16aからオフセットしていてもよい。外側ワイヤ16bbも、ウェハ材料内に部分的に埋め込むことができる。次に、例えば湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いて、ウェハ10の裏面をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液を用いてウェハ10をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、外側ワイヤ16b及び16bbの少なくとも一方の側はウェハ10の材料に取り付けられ(固定された)ままであり、内側ワイヤ16aは、その移動を可能にするようにボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。
【0080】
上述の方法を用いて、随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合し、気密シーツを生成することができる。
【0081】
図25において、作動電圧Vaが固定ワイヤ16b(例えば、ワイヤ16bbの上の固定ワイヤ16b)に印加され、マイナスのVaが他方の外側ワイヤ16bに印加される。可動電極16aはdc接地されている。実施形態において、作動電圧Vaは、固定ワイヤ16b(例えば、ワイヤ16bbの上方の固定ワイヤ16b)の一方に印加される100ボルト及び他方の外側ワイヤ16bに印加される−100ボルトである。これにより、dc接地されている、自由に浮遊する内側ワイヤ16aを外側ワイヤ16bbに向けて移動させ、これと接触させるクーロン力がもたらされる。このクーロン力は、スイッチを有効に閉じる。
【0082】
本発明の第11の態様
図26は、本発明の第11の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図26において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側からワイヤ16b1、16b2が形成される。ボイド24内に露出された外側ワイヤ16b1のためのビアは、固定外側ワイヤ16b2のために形成された他のビアより深い。特定の用途に応じて、ビアの深さ及び結果として得られるワイヤは変わり得る。例えば、自由に浮遊するワイヤ16b1を形成するのに用いられるビアは、約150ミクロンの深さとすることができるが、本発明により他の寸法も考慮される。ウェハ10の上部側から、ビアを、例えばALD窒化チタン及びCVDタングステンのような金属又は金属の組み合わせで充填し、その後にCMPを行なうことができる。
【0083】
誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に、接着剤18が形成される。上記の実施形態において説明された方法を用いて、キャリア20が接着剤18に取り付けられる。
【0084】
研削プロセスの後、ウェハの下面から通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを行なって、ウェハ10の上部側から形成される外側ワイヤ16b1、16b2及び内側ワイヤ16aからオフセットし得る、外側ワイヤ16bbを形成する。ワイヤ16bbは、ウェハの材料内に部分的に埋め込むことができる。次に、例えば湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いてウェハ10の裏面をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液を用いてウェハ10をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、一方の外側ワイヤ16b2の少なくとも一方の側はウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、かつ、外側ワイヤ16bbはウェハ材料内に少なくとも部分的に埋め込まれたままであり、一方、外側ワイヤ16b1は、その移動を可能にするようにボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。上述の方法を用いて、随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合し、気密シールを生成することができる。
【0085】
MEMSコンタクト・スイッチの機能は、プルイン電圧及び作動電圧によって定められる。プルイン電圧は、ビームを曲げ、接触させるのに必要とされる印加アクチュエータ電圧によって定められ、作動電圧は、MEMSスイッチ回路における印加電圧であり、これ、定義上、プルイン電圧より大きいものである。この理解に基づいて、図26の構造体は、作動ギャップ(AG)と、コンタクト・ギャップ(CG)とを含む。作動ギャップ(AG)は、アクチュエータとビームとの間の離隔距離(例えば、16b1と16b2との間の離隔距離)である。コンタクト・ギャップ(CG)は、可動ビームとコンタクトとの間の離隔距離(例えば、ビーム16b1とビーム16bbとの間の離隔距離)である。当業者であれば、本発明の各々の態様が作動ギャップ(AG)及びコンタクト・ギャップ(CG)を含むことを理解すべきである。
【0086】
図26の例において、下記により詳細に説明されるように、dc接地をビーム16b1に印加し、dc作動電圧をアクチュエータ16bbに印加することによって、MEMビームを作動させるか又は接触させる。MEMSスイッチのアーク放電及び潜在的破壊をもたらすビーム16b1及びアクチュエータ16bbの短絡を回避するために、コンタクト・ギャップ(CG)は、一般に、作動ギャップ(AG)より小さい。
【0087】
より具体的には、図26において、作動電圧Vaが固定外側ワイヤ16b2に印加される。実施形態において、作動電圧Vaは、固定外側ワイヤ16b2に印加される100ボルトである。これにより、dc接地されている外側ワイヤ16b1を外側ワイヤ16bbに向けて押し付け、これと接触させるクーロン力がもたらされる。このクーロン力は、スイッチを有効に閉じる。
【0088】
データ点のグラフ
図27は、本発明による、60Vのプルイン電圧におけるビームについてのビーム厚、ビーム長、及び作動ギャップを示す、アルミニウム・カンチレバー・ビームに関する計算されたデータ点のグラフである。Osterberg及びSenturiaによる1997年の論文を用いて、データ点が計算された。図27のグラフにおけるデータ点は、例えば、120ミクロン、160ミクロン、200ミクロン及び250ミクロンの種々のビーム長についての種々のギャップ及びビーム厚を示す例証として与えられる。一般に、ビーム厚が増加するにつれて、プルイン電圧が増加し、作働ギャップ厚が増加するにつれて、
ビーム長が減少する。これらの計算は、例えば図26に記載される単一の垂直型カンチレバー・ビームにも適用される。勿論、これらの同じ又は類似したデータ点は、例えば、図17の二重カンチレバー・ビームを含む、本発明に記載される単一のカンチレバー・ビームのいずれにも質的に関連する。当業者であれば、本発明に記載される垂直型カンチレバー・ビームは、他の範囲のビーム厚、作動ギャップ厚、コンタクト・ギャップ厚、及びビーム長を有し、特定のプルイン電圧要件をターゲットにし得ることを理解するべきである。
【0089】
設計構造体
図28は、好ましくは設計プロセス910によって処理される入力設計構造体920を含む、複数のこのような設計構造体を例示する。設計構造体920は、設計プロセス910によって生成され、処理され、ハードウェア・デバイスの論理的に等価な機能的表現を生じる、論理シミュレーション設計構造体とすることができる。設計構造体920はさらに、或いは代替的に、設計プロセス910によって処理されたときに、ハードウェア・デバイスの物理的構造の機能的表現を生成するデータ及び/又はプログラム命令を含むことができる。機能的及び/又は構造的設計特徴のどちらを表現するのであれ、設計構造体920は、コア開発者/設計者によって実施されるような電子的コンピュータ支援設計(ECAD)を用いて生成することができる。機械可読データ伝送、ゲートアレイ、又はストレージ媒体上でコード化された場合、設計プロセス910内の1つ又は複数のハードウェア及び/又はソフトウェア・モジュールによって、設計構造体920にアクセスし、これを処理して、図1−図26に示されるもののような電子コンポーネント、回路、電子若しくは論理モジュール、装置、デバイス、又はシステムをシミュレーションするか、又は他の方法で機能的に表現することができる。そのため、設計構造体920は、設計又はシミュレーション・データ処理システムによって処理されたときに、回路又は他のレベルのハードウェア論理設計を機能的にシミュレーションするか、又は他の方法で表現する、人間及び/又は機械可読のソースコード、コンパイルされた構造体、及びコンピュータ実行可能コード構造体を含む、ファイル又は他のデータ構造体を含むことができる。このようなデータ構造体は、ハードウェア記述言語(HDL)設計エンティティ、又は、Verilog及びVHDLのような低レベルHDL設計言語、及び/又は、C若しくはC++のような高レベル設計言語に適合する及び/又はこれと互換性のある他のデータ構造体を含むことができる。
【0090】
設計プロセス910は、設計構造体920のような設計構造体を含むことができるネットリスト980を生成するために、好ましくは、図1−図26に示されるコンポーネント、回路、デバイス、又は論理構造体の設計/シミュレーションの機能的等価物を合成し、変換し、又は他の方法で処理するためのハードウェア及び/又はソフトウェア・モジュールを使用し、組み込む。ネットリスト980は、例えば、集積回路設計内の他の素子及び回路への接続を記述する配線、個別部品、論理ゲート、制御回路、I/Oデバイス、モデルなどのリストを表す、コンパイル又は他の方法で処理されたデータ構造体を含むことができる。ネットリスト980は繰り返しプロセスを用いて合成することができ、このプロセスにおいて、ネットリスト980は、デバイスの設計仕様及びパラメータに応じて1回又は複数回再合成される。ここで説明された他の設計構造体のタイプと同様に、ネットリスト980を機械可読データ・ストレージ媒体上に記録し、又はプログラマブル・ゲート・アレイにプログラムすることができる。媒体は、磁気又は光ディスクドライブのような不揮発性ストレージ媒体、プロブラマブル・ゲート・アレイ、コンパクトフラッシュ、又は他のフラッシュメモリとすることができる。それに加えて、又は代替的に、媒体は、インターネット又は他のネットワーキングに適した手段を介してデータパケットを伝送し、中間的に格納することができる、システム又はキャッシュメモリ、バッファ領域、又は電気的若しくは光学的に伝導性のデバイス及び材料とすることができる。
【0091】
設計プロセス910は、ネットリスト980を含む様々な入力データ構造のタイプを処理するためのハードウェア及びソフトウェア・モジュールを含むことができる。このようなデータ構造タイプは、例えば、ライブラリ要素930内に存在することができ、これは、所与の製造技術(例えば、異なる技術ノード、32nm、45nm、90nm等)についての、モデル、レイアウト、及び記号表記を含めた、一般的に用いられる素子、回路、及びデバイスのセットを含むことができる。データ構造タイプは、設計仕様940、特徴データ950、検証データ960、設計ルール970、並びに入力試験パターン、出力試験結果及び他の試験情報を含むことができる試験データ・ファイル985をさらに含むことができる。設計プロセス910は、例えば、応力分析、熱分析、機械事象シミュレーション、並びにキャスティング、モールディング、及びダイプレス成形のような操作についてのプロセス・シミュレーションといった標準的な機械的設計プロセスをさらに含むことができる。機械設計の当業者であれば、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、設計プロセス910において用いられる、可能な機械設計ツール及びアプリケーションの範囲を認識することができる。設計プロセス910はまた、タイミング解析、検証、設計ルールチェック、位置及び経路の操作などのような標準的な回路設計プロセスを実行するためのモジュールを含むことができる。
【0092】
設計プロセス910は、第2の設計構造体990を作成するために、HDLコンパイラ及びシミュレーションモデル構築ツールのような論理的及び物理的設計ツールを使用し、組み込んで、設計構造体920を、図示された支持データ構造体のうちの幾つか又は全てと共に、いずれかの付加的な機械設計又はデータ(適用可能な場合)と併せて処理する。設計構造体990は、機械的なデバイス及び構造体のデータの交換に用いられるデータ形式(例えば、IGES、DXF、Parasolid XT、JT、DRG又はこのような機械的設計構造体を格納又はレンダリングするのに適した他のいずれかの形式で格納される情報)でストレージ媒体又はプログラマブル・ゲート・アレイ上に存在する。設計構造体920と同様に、設計構造体990は、好ましくは、1つ又は複数のファイル、データ構造体、又は他のコンピュータコード化データ又は命令を含み、これは、伝送又はデータ・ストレージ媒体上に存在し、ECADシステムによって処理されたとき、図1−図26に示される1つ又は複数の本発明の実施形態の、論理的又はその他の方式で機能的に等価な形態を生成する。1つの実施形態において、設計構造体990は、図1−図26に示されるデバイスを機能的にシミュレーションする、コンパイルされた実行可能なHDLシミュレーションモデルを含むことができる。
【0093】
設計構造体990は、集積回路のレイアウト・データの交換に用いられるデータ形式及び/又は記号データ形式(例えば、GDSII(GDS2)、GL1、OASIS、マップファイル、又はこのような設計データ構造体を格納するための他のいずれかの適切な形式で格納される情報)も使用することができる。データ構造体990は、例えば、記号データ、マップファイル、試験データ・ファイル、設計コンテンツ・ファイル、製造データ、レイアウト・パラメータ、配線、金属のレベル、ビア、形状、製造ラインを通じた経路選択のためのデータ、並びに、上記で説明し、図1−図26に示されるようなデバイス又は構造体を製造するために製造者又は設計者/開発者によって要求される他のいずれかのデータといった情報を含むことができる。次に、設計構造体990はステージ995に進み、ここで、例えば、設計構造体990は、テープアウトされたり、製造に引き渡されたり、マスク会社に引き渡されたり、別の設計会社に送られたり、顧客に送り返されたりされる。
【0094】
上述したような方法は、集積回路チップの製造に用いられる。結果として得られる集積回路チップは、生ウェハの形態で(すなわち、複数のパッケージされていないチップを有する単一のウェハとして)、ベア・ダイとして、又はパッケージされた形態で、製造業者により流通させることができる。後者の場合、チップは、単一のチップ・パッケージ(マザーボード又は他のより高いレベルのキャリアに取り付けられたリード線を有するプラスチック製キャリアのような)、又は、マルチチップ・パッケージ(片面又は両面の相互接続部、或いは埋め込まれた相互接続部を有するセラミック製キャリアのような)の中にマウントされる。いずれにせよ、その後、チップは、他のチップ、別個の回路素子、及び/又は、(a)マザーボードなどの中間製品又は(b)最終製品のいずれかの部品のような他の信号処理デバイスと共に統合される。最終製品は、集積回路チップを含む何らかの製品とすることができる。
【0095】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定することを意図したものではない。本明細書で用いられる用語「含む」及び/又は「含んでいる」は、記述された構造部、完全体、ステップ、操作、要素、及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、1つ又は複数の他の構造部、完全体、ステップ、操作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループの存在又は付加を除外しないことが理解される。
【0096】
下記の特許請求の範囲における、対応する構造体、材料、動作、及び全ての手段又はステップ及び機能要素の等価物は、もしあれば、具体的に請求された他の請求要素と組み合わせてその機能を実施するためのあらゆる構造体、材料、又は動作を含むことが意図されている。本発明の説明は、例証及び説明のために示されたものであり、網羅的であること又は本発明を開示された形態に限定することを意図したものではない。当業者には、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなしに多くの修正及び改変が明白となるであろう。実施形態は、本発明の原理及びその実際的な用途を最も良く説明するため、及び、当業者が特定の企図された用途に適するように種々の修正を加えた種々の実施形態に関して本発明を理解することを可能にするために選択され、記述された。
【符号の説明】
【0097】
10:ウェハ
12、22:誘電体材料
14、14a、14b:ビア
15:トレンチ
15a、15b:トレンチ脚部
16、16a、16b:ワイヤ
16a1、16a2、16b1:ワイヤ部分
17:金属
18:接着剤
20:キャリア
22a:開口部
24:ボイド
26:ウェハ・キャップ
910:設計プロセス
920:設計構造体
930:ライブラリ要素
940:設計仕様
950:特徴データ
960:検証データ
970:設計ルール
980:ネットリスト
990:第2の設計構造体
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直型集積回路スイッチ及び製造方法に関し、より具体的には、垂直型集積MEMSスイッチ、設計構造体及びそのような垂直型スイッチの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3D集積回路及び他の集積回路に用いられる集積回路スイッチは、ソリッドステート構造体(例えば、トランジスタ)又は受動ワイヤ(MEMS)から形成することができる。MEMSスイッチは、典型的には、これらが電力増幅器(PA)のモード切り替えのために用いられる無線通信用途のための重要な要件であるほぼ理想的なアイソレーション(isolation)、及び、10GHz以上の周波数における低い挿入損失(すなわち、抵抗)ゆえに用いられている。MEMSスイッチは、種々の用途、主としてアナログ信号及び混合信号の用途に用いることができる。1つのこのような例は、各ブロードキャスト・モードごとに調整された電力増幅器(PA)及び回路を含む携帯電話チップである。チップ上の集積スイッチは、PAを適切な回路に接続するので、モードごとに1つのPAを必要としなかった。
【0003】
MEMSは、多数の異なるツールを用いて多数の方法で製造することができる。しかしながら、一般に、そうした方法及びツールは、約5ミクロンの厚さ、100ミクロンの幅、及び200ミクロンの長さのスイッチ寸法をもつ、マイクロメータ・スケールの寸法を有する小型構造体を形成するのに用いられる。また、MEMSの製造に用いられる方法すなわち技術の多くは、集積回路(IC)技術から採り入れられたものである。例えば、ほとんど全てのMEMSは、ウェハ上に構築され、ウェハの上のフォトリソグラフィ・プロセスによってパターン形成された材料の薄膜内に実現される。より具体的には、MEMSの製造には、3つの基本的な構成要素、すなわち(i)基板上への材料の薄膜の堆積、(ii)フォトリソグラフィ・イメージングによる膜の上へのパターン形成されたマスクの適用、及び(iii)マスクに対する膜の選択的エッチング、が用いられる。これらの方法のいずれにおいても、スイッチは、ウェハ/チップの上に水平方向に製造される。
【0004】
特定の用途及びエンジニアリング基準によって、MEMS構造体は、多くの異なる形で提供することができる。例えば、MEMSは、例えば特許文献1に示されるような単一のカンチレバー構造体の形で実現することができる。このカンチレバー用途においては、電圧の印加により、単一のカンチレバー・アーム(吊り下げ電極(suspended electrode))が、固定電極に向けて引っ張られる。しかしながら、このようなカンチレバー構造体を製造するには、CMOS構造体自体の構築に加えて、幾つかの余分で費用のかかる処理ステップが必要である。例えば、一旦CMOS配線の全てが完了すると、MEMSスイッチを形成するために付加的なプロセス・ステップが必要であり、そのことは、構造体に相当な処理コストを付加する。
【0005】
また、このような用途において明瞭に示されるように、MEMSは、ウェハ/チップの上に製造された水平型のカンチレバー・スイッチである。これらの水平型カンチレバー・スイッチは、デバイスの製造に費用を加えるだけでなく、パッケージ相互作用の問題も加えることが知られている。さらに、多くの現在の用途においては、処理の際に閉じた状態でフリーズすること、及び、1ミクロンのオーダーである、スイッチに用いられる相対的に小さいコンタクト・ギャップ又は作動ギャップが原因で、水平型カンチレバー・スイッチがくっ付くこと、例えばスイッチが開かなくなることが知られている。これはスティックション(sticktion)として知られている。
【0006】
さらに、周知の用途においては、静電気力によって吊り下げ電極を固定電極まで引っ張るのに必要な電圧を高くすることができる。このことにより、スイッチを長期間使用し、最終的に故障した後に、絶縁体上に不必要な帯電がもたらされることが分かった。特定の用途においては、チャージ・ポンピング又は類似の方法を用いて、これを約1.5−5ボルトから30−100ボルトまで増大させなければならないため、例えば100ボルトなどの高電圧を達成することもまた困難である。スイッチングに必要な最小電圧は、プルイン電圧と呼ばれ、このプルイン電圧は、吊り下げ電極の長さ、吊り下げ電極と固定電極の間の間隔又はギャップ、及び吊り下げ電極のばね定数を含む、幾つかのパラメータによって決まり、材料とそれらの厚さの関数である。
【0007】
ばねは復元力をもたらし、スイッチング速度を決定するので、ギャップを減少させ、かつ、ばねを軟化させることなく、プルイン電圧を低減することが望ましい。特許文献2において、バイアス電圧を低下させる又は排除するために、一対の側部平行平板型静電アクチュエータが実装される。これらの付加的な静電アクチュエータを用いて、固定信号電極上に印加されるバイアス電極を低減又は排除する。実施において、側部平行平板型静電アクチュエータの固定電極を、固定信号電極より上方に持ち上げることができる。従って、より小さいギャップのために、吊り下げ電極を固定電極まで引っ張るのに必要なプルイン電圧を低下させることができる。しかしながら、特許文献2に示されるMEMSは気密封止されず、付加的な静電アクチュエータが製造費用を増加させる可能性がある。また、このMEMSは、ウェハ/チップの上に製造される水平型カンチレバー・スイッチである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,578,976号
【特許文献2】米国特許第7,265,429号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、上述の欠陥及び制限を克服する必要性が当技術分野において存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様において、スイッチを製造する方法が、ウェハ内に少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することと、少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを金属で充填して少なくとも2つの垂直方向に延びるワイヤを形成することと、垂直方向に延びるワイヤの少なくとも1つがボイド内で移動可能であるように、下部側からウェハ内にボイドを開口することとを含む。
【0011】
本発明の態様において、MEMSスイッチを製造する方法が、ウェハの上部側から少なくとも3つのビアをエッチングすることと、ビアを金属で充填して垂直方向に配置された上部側ワイヤを形成することと、ウェハの下部側に誘電体材料を堆積させることと、誘電体材料をエッチングして内部に開口部を形成することであって、誘電体材料の残りの部分はウェハの縁部を保護する、ことと、誘電体材料内の開口部を通ってウェハの下部側をエッチングし、垂直方向に配置された上部側ワイヤの少なくとも1つを露出させるボイドを形成することとを含む。
【0012】
本発明の態様において、MEMSスイッチは、ウェハ内に形成された少なくとも3つの垂直方向に延びる金属ワイヤと、少なくとも3つの垂直方向に延びる金属ワイヤの少なくとも1つを収容する、ウェハ内に形成されたボイドとを含む。少なくとも3つの垂直方向に延びる金属ワイヤの少なくとも1つは、電圧の印加時にボイド内で移動可能である。
【0013】
本発明の別の態様において、集積回路を設計し、製造し、又は試験するための、機械可読媒体内で具現化される設計構造体が提供される。設計構造体は、本発明の構造体及び/又は方法を含む。
【0014】
本発明は、本発明の例示的な実施形態の限定されない例として示される多数の図面を参照して、以下の詳細な説明において記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図2】本発明の第1の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図3】本発明の第1の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図4】本発明の第1の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図5】本発明の第1の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図6】本発明の第1の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図7】本発明の第1の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図8】本発明の第2の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図9】本発明の第2の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図10】本発明の第2の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図11】本発明の第2の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図12】本発明の第2の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図13】本発明の第2の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図14】本発明の第2の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図15】本発明の第2の態様による、MEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図16】本発明の第3の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図17】本発明の第4の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図18】本発明の第5の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図19】本発明の第5の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図20】本発明の第6の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図21】本発明の第6の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図22】本発明の第7の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図23】本発明の第8の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図24】本発明の第9の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図25】本発明の第10の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図26】本発明の第11の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。
【図27】本発明による、60Vプルイン電圧におけるビームに関するビーム厚、ビーム長及び作動ギャップを示すアルミニウム・カンチレバー・ビームについてのデータ点のグラフである。
【図28】半導体設計、製造、及び/又は試験に用いられる設計プロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、垂直型集積回路スイッチ及び製造方法に関し、より具体的には、垂直型集積MEMSスイッチ、設計構造体、及びそのような垂直型スイッチを製造する方法に関する。実施において、本発明は、幾つかの新規なMEMSスイッチの方法及び構造体を含む。MEMSスイッチは、シリコン・キャリア型用途(すなわち、集積回路(IC)の下であるが同じ基板内)において、又は別個のチップに結合されたスタンドアロン・チップ(stand alone chip)として、シリコン基板内に垂直型スイッチを形成するように垂直方向に製造される。実施形態において、例えばMEMSスイッチなどの構造体は、例えば、(i)ウェハの前面にのみ形成されるがウェハの裏面において露出されるビア、又は(ii)ウェハの前面及び裏面の両方に形成されるがウェハの裏面において露出されるビアのいずれかを用いて、シリコンウェハ・ビアを垂直方向に通って形成される。有利なことに、本発明の垂直型MEMSスイッチは、処理の際に閉じた状態でフリーズすることが原因で、スイッチが開かなくなることをなくす。
【0017】
以下により詳細に説明されるように、MEMSコンタクト・スイッチの機能は、プルイン電圧及び作動電圧によって定められる。プルイン電圧は、ビームが曲がり、接触するのに必要な印加アクチュエータ電圧によって定められ、作働電圧は、MEMSスイッチ回路における印加電圧であり、定義上、プルイン電圧より大きいものである。この理解に基づいて、本発明の幾つかの態様の構造体は、作動ギャップ(AG)と、コンタクト・ギャップ(CG)とを含む(例えば、図26を参照されたい)。作動ギャップ(AG)は、アクチュエータと可動ビームとの間の離隔距離(separation)である。コンタクト・ギャップ(CG)は、可動ビームとコンタクトとの間の離隔距離である。MEMSスイッチのアーク放電及び潜在的破壊をもたらす短絡を回避するために、コンタクト・ギャップ(CG)は、一般に、作動ギャップ(AG)より小さい。
【0018】
本発明の第1の態様
図1−図7は、本発明の第1の態様による構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。より具体的には、図1は、ウェハの上部側に誘電体層12を有するウェハ10を含む開始構造体を示す。実施形態において、ウェハ10は、幾つかの例を挙げると、シリコン、非結晶バルク材料、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、SiGe、石英、サファイア、アルミナ、ガラス、又はヒ化ガリウムとすることができる。実施形態において、誘電体層12は、SiO2である。誘電体層12は、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)などの任意の周知の方法を用いて堆積させることができる。
【0019】
図1にさらに示されるように、通常のフォトリソグラフィ・プロセスを用いて、ウェハ10内にビア14が形成される。実施形態においては、本発明の第1の態様の垂直型スイッチを形成するために用いられる、4つのビア14が示される。実施形態において、ビア14は、約150ミクロンの深さ、約3ミクロンの幅、及び約20ミクロンの長さ(すなわち、数値で測定したとき)とすることができる。当業者であれば、スイッチの特定の用途に応じて、本発明により他の寸法も考慮されることを認識するであろう。例えば、ビアを短くすることにより、スイッチのばね定数が増大し、プルイン電圧が増大する。ビア14は、ウェハ10の前面内に形成される。
【0020】
一例として、最初に誘電体材料12上にレジストを堆積させることによって、ビア14が形成される。レジストの選択的部分が露出され、開口部を形成する。後のプロセスにおいて、ビア14を形成するために、例えば反応性イオンエッチング(RIE)などの通常のプロセスを用いて、誘電体材料12及びウェハ10がエッチングされる。パーフルオロカーボン・ベースのRIEプロセスを用いて、誘電体をエッチングすることができる。基板がシリコンである場合には、ボッシュRIEプロセスを用いて、シリコン内にほぼ垂直型のトレンチをエッチングすることができる。ダウンストリーム酸素プラズマ・プロセスなどの湿式又は乾式方法を用いて、レジストを剥離して除去することができる。
【0021】
図2において、ビアを周知の金属又は金属合金で充填し、ワイヤ16を形成する。実施形態において、ワイヤ16は、例えば、物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)、電気めっき堆積(ECP)、有機金属化学気相堆積(MOCVD)等のようなプロセスのいずれかの周知の組み合わせを用いてメタライズする(metallize)ことができる。1つの例示的な実施形態において、ワイヤは、どちらもCVDを用いて堆積されるのが好ましい、TiNライナを有するタングステンとすることができる。別の実施形態においては、ワイヤ16は、TaN/Ta、TaN/Ru等からなる高融点ライナを有する銅を用いて形成される。高融点ライナは、CVD又は物理気相堆積(PVD)を用いて堆積することができ、Cuは、例えば、PVD及びECPの組み合わせを用いて堆積することができる。別の実施形態において、ワイヤ16は、AlCu、或いは、Al又はCuの他の組み合わせである。実施形態において、ワイヤ16は、約150ミクロンの深さ、約3ミクロンの幅及び約20ミクロンの長さとすることができる(すなわち、点線で示されるように)。当業者であれば、ビアの特定の寸法に応じて、本発明により他の寸法も考慮されることを認識するであろう。金属の堆積後、化学機械研磨(CMP)、RIEエッチバック、又はこれらの組み合わせのような平坦化プロセスを用いて、ウェハ表面から余分な金属を除去し、ダマシン金属が充填されたトレンチを残す。トレンチがメタライズされた後、当技術分野において周知のような標準的なBEOLコンタクト、ビア、ワイヤ、受動素子、メモリ素子等を通して、ウェハの前面が随意的に処理される。
【0022】
図3において、接着剤18が、図2の構造体上に堆積される。より具体的には、プロセスの後半に除去することができる接着剤18が、誘電体材料12及びウェハの前面の露出部分の上に形成される。ガラス、シリコン、又はウェハに機械的支持を与えることができるいずれかの周知の材料からなるキャリア20が、接着剤18に取り付けられる。
【0023】
図3において、当業者であれば、構造体が、誘電体材料12の上にコンタクト、ワイヤ、ビア、及び/又はキャパシタのような受動素子を含み得ることを認識すべきである。また、本発明は、誘電体材料12の下の能動素子及び/又は受動素子なども考える。例えば受動デバイス及び能動デバイスなどの素子、ワイヤ等を用いて電圧を与え、MEMS、MEMのための入力及び/又は出力パッド、又は非MEMに関連した機能を作動させることができる。当業者であれば理解するはずであるように、ここに説明される本発明の態様の各々について、これらの異なる変形が考えられる。
【0024】
図3は、ワイヤの下部を露出させるための研削プロセスも示す。より具体的には、例えば化学機械研磨(CMP)プロセスのような通常の研削プロセスを用いて、ウェハ10の裏面を、例えば725ミクロンの開始厚から150ミクロンまで研削し、それにより、ウェハ10の裏面においてワイヤ16が露出される。実施形態において、結果として得られるウェハ10は、約100ミクロンから150ミクロンまでのものであるが、本発明により他の寸法も考慮される。実施形態のいずれにおいても、ウェハ10の裏面においてワイヤ16が露出される。誘電体材料22がウェハ10の裏面に堆積され、リソグラフィによりパターン形成され、エッチングされて開口部22aを形成する。誘電体材料22は、例えばSiO2とすることができる。開口部22aは、ウェハ10の裏面において内側ワイヤ16を露出させる。
【0025】
図4において、露出されたウェハ10がエッチングされ、開口ボイド24を形成する。実施形態において、ウェハ10は、例えば湿式エッチング・プロセス及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いてエッチングすることができる。実施形態において、基板ウェハ10はシリコンであり、開口ボイド24は、湿式加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液、XeF2非プラズマ・エッチング、又は非選択的ボッシュ・プラズマ・エッチングの1つ又は複数を用いてエッチングされる。実施形態において、外側ワイヤ16bの少なくとも一方の側はウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、内側ワイヤ16aは、その移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。
【0026】
図5において、随意的なウェハ・キャップ26が、ウェハ10の裏面に接合される。より具体的には、ウェハ・キャップ26が誘電体材料22に接合され、気密シールを生成する。ウェハ・キャップ26は、例えば、ガラス基板又はシリコン基板とすることができる。ウェハ・キャップ26は、接着剤を用いるものなど、任意の通常のボンディング・プロセスを用いて誘電体材料22に接合することができる。
【0027】
図6は、線A−Aに沿った、図5の構造体の断面図を示す。この図は、例えば約20ミクロンから100ミクロンまでのワイヤの長さをより明瞭に示す。この図はまた、外側ワイヤ16bの少なくとも一方の側は、ウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、内側ワイヤ16aは、その移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出されることを示す。当業者であれば、3ミクロン厚スイッチの可動電極は、約1ミクロンの作動ギャップを有することを認識するであろう。
【0028】
図7は、閉位置における本発明の第1の態様のスイッチを示す。この実施形態において、作動電圧Vaが固定ワイヤ16bに印加される。これにより、内側ワイヤ16aを押し付けて互いに接触させるクーロン反発力がもたらされる。このクーロン反発力は、スイッチを有効に閉じ、例えば、内側の自由に浮遊するワイヤ16aを移動させて接触させる。実施形態において、作動電圧は、プルイン電圧を克服する、例えばプルイン電圧より大きい電圧にする必要がある。実施形態に応じて、プルイン電圧は、例えば、20Vから60V(又は、マイナス20Vから60V)とすることができる。実施形態において、作動電圧Vaは、固定ワイヤ16bに印加される−100ボルトである。
【0029】
MEMSコンタクト・スイッチの場合、可動電極すなわち電極16aは、通常、dc接地に配線される。このdc接地接続(図示せず)は、単純な低抵抗ワイヤを用いる、dc接地又はrf接地のいずれかとすることができ、或いは、例えばdcにおいて低インピーダンスを有するがrf周波数において高インピーダンスを有するインダクタを用いる、dc接地及びrf開路とすることができる。可動電極又は電極16aがdc接地に配線されない場合、このような電極は、作動電圧から容量の充電を行ない、望ましくないプルイン電圧の変動をもたらすことがある。
【0030】
2つの作動電極16aが示されるが、1つの作動電極16aだけを必要とすることもさらに考えられる。例えば、作動電極16aのいずれかを図7(又は、本発明の他の態様)から除去することができる。このような実施形態において、作動電圧(Va)が印加されると、残りの作動電極が曲がり、最も近い固定ワイヤと接触する。
【0031】
当業者であれば、本発明の各々の態様において、接触するワイヤは、互いにある程度の垂直方向の重なりを有することを認識すべきである。このことにより、電圧の印加時に、自由に移動するワイヤが接触し、従って、スイッチを閉じることが確実になる。また、自由に浮遊する、移動する等のように、特に指定しない限り、ワイヤは、構造体内に固定されたままである。さらに、例えば、パターン形成、メタライゼーション、及び/又は堆積プロセスなどのここに説明されたプロセスへの何らかの修正及び/又は追加と併せて、図1−図7のプロセスを用いて、ここに説明される実施形態のいずれかを製造することもできる。実施形態の各々を説明した後、当業者にはこのような修正及び/又は追加が明らかになるはずであるが、本発明のより完全な理解のために、必要に応じて、付加的なプロセス及び/又は修正されたプロセスの幾らかのさらなる説明をここに述べる。
【0032】
本発明の第2の態様
図8−図15は、本発明の第2の態様による、構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。より具体的には、図8は、誘電体層12を有するウェハ10を含む開始構造体を示す。ウェハ及び誘電体層は、本発明の第1の態様において説明された。
【0033】
図8にさらに示されるように、通常のフォトリソグラフィ・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側から、ビア14a及び14bが形成される。実施形態において、本発明の第2の態様の垂直型スイッチを形成するために、3つのビア14a、14bが用いられる。ビア14bは、約5ミクロンの深さ、7ミクロンの幅及び約24ミクロンの長さ(すなわち、数値で測定される場合)の浅いビア(shallow via)であり、一方、ビア14aは、約140ミクロンの深さ、約3ミクロンの幅及び約20ミクロンの長さ(すなわち、数値で測定される場合)である。更に別の実施形態において、ビア14aの深さは、50ミクロンから180ミクロンに及ぶことができ、約50ミクロン、100ミクロン、又は180ミクロンの深さが好ましい。当業者であれば、スイッチの特定の用途に応じて、本発明により他の寸法も考慮されることを認識するであろう。ビア14a及び14bは、異なるエッチング(リソグラフィ)プロセス(図1を参照して説明されるような)で形成できることも理解すべきである。
【0034】
図9において、ウェハの上部側から、ビア14a、14bを周知の金属又は金属合金で充填し、それぞれワイヤ16a及びワイヤ部分16b1を形成する。実施形態において、上述した本発明の第1の態様に説明されるようなプロセスの任意の周知の組み合わせを用いて、ワイヤ16a及びワイヤ部分16b1をメタライズすることができる。
【0035】
ワイヤ部分16b1は、約5ミクロンの深さ、7ミクロンの幅及び約24ミクロンの長さ(すなわち、数値で測定される場合)であり、一方、ワイヤ16aは、約140ミクロンの深さ、約3ミクロンの幅及び約20ミクロンの長さ(すなわち、数値で測定される場合)である。更に別の実施形態において、ワイヤ16aは、50ミクロンから180ミクロンの深さに及ぶことができる。当業者であれば、スイッチの特定の用途に応じて、本発明により他の寸法も考慮されることを認識するであろう。
【0036】
図10において、上述の本発明の第1の態様に説明されるように、図9の構造体上に接着剤18が堆積され、キャリア20が取り付けられる。
【0037】
図10は、ビア15を形成するためのデュアル・ダマシン・プロセスをさらに示す。当業者には理解されるはずであるようなデュアル・ダマシン・プロセスは、異なる深さのトレンチを形成する。実施形態において、トレンチ15は、第1の寸法の下方に延びる脚部15aと、第2の寸法の水平方向に延びる脚部15bとを含む。水平方向に延びる脚部15bは、これらの間に空間を有した状態で、互いに向けて延びるように配置される。
【0038】
図11において、ウェハ10の裏面からトレンチ15を金属17で充填し、全体が参照番号16bで示される金属ワイヤを完成させる。実施形態において、金属17は、従来のCVD又はALDプロセスを用いて堆積されるTiN及びタングステンとすることができるが、本発明により他のプロセス及び金属又はそれらの組み合わせも考えられる。誘電体材料22は、ウェハ10の裏面上に堆積され、パターン形成されて、開口部22aを形成する。誘電体材料22は、例えばSiO2とすることができる。開口部22aは、ウェハ10の裏面においてワイヤ16bを露出する。
【0039】
図12において、例えば、湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いてウェハ10の裏面をエッチングし、上述したもののような方法を用いてボイド24を形成することができる。実施形態において、加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液を用いて、ウェハ10をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、誘電体材料22はウェハ10の外側部分を保護するが、本発明のこの態様において、外側ワイヤ16bは、その移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出される。
【0040】
図12において、上記の本発明の第1の態様に説明される方法を用いて、随意的なウェハ・キャップ26が、ウェハ10の下面に接合される。
【0041】
図13は、線B−Bに沿った、図12の構造体の断面図を示す。この図は、例えば約20ミクロンから100ミクロンまでの中間(middle)ワイヤ16aの長さをより明瞭に示す。この図はまた、外側ワイヤ16bが、その移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出されることを示す。
【0042】
図14は、線C−Cに沿った、図12の構造体の断面図を示す。この図は、ビア15b内に形成されたワイヤの部分が互いに向けて延びることをより明瞭に示す。ビア15b内に形成されたワイヤの部分間の間隔は、約2ミクロンから4ミクロンである。
【0043】
図15は、閉位置における本発明の第2の態様のスイッチを示す。この実施形態において、作動電圧Vaが中間ワイヤ16aに印加される。実施形態において、作動電圧Vaは、中間ワイヤ16aに印加される100ボルトである。可動電極はdc接地されている。これにより、外側ワイヤを引っ張って互いに接触させるクーロン力がもたらされる。このクーロン力は、スイッチを有効に閉じ、例えば外側ワイヤ16bが接触するのを可能にする。
【0044】
本発明の第3の態様
図16は、本発明の第3の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図16において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側からワイヤ部分16a1及びワイヤ16bが形成される。浅いビア(外側ワイヤ16bを形成するために用いられるビアより浅い)を用いて、内側ワイヤ16a1が形成される。浅いビアの深さは、特定の用途に応じて変わり得る。例えば、浅いビアは約10ミクロンの深さとすることができ、外側ワイヤ16bを形成するのに用いられるビアは約150ミクロンの深さとすることができるが、本発明により他の寸法も考慮される。当業者であれば、ワイヤ16a1及び16bを形成するために用いられるビアを別個のリソグラフィ・プロセスで形成できることも理解すべきである。ウェハの上部側から、例えば窒化チタン又はタングステンのような金属又は金属の組み合わせで、ビアを充填することができる。
【0045】
本発明の上述の態様に説明される方法を用いて、誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に、接着剤18及びキャリア20が形成される。
【0046】
ワイヤ16bの下部を露出させるための研削プロセスの後、ウェハの下面から通常のデュアル・ダマシン・プロセスを行なって、ワイヤ部分16a1に接続するメタライゼーション部16a2を形成することができる。本発明の上述の態様に説明されるように、例えば湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いて、ウェハ10の裏面をエッチングし、開口部24を形成することができる。実施形態において、外側ワイヤ16bの少なくとも一方の側は、ウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、内側ワイヤ16a1、16a2は、その移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合して、気密シールを生成することができる。
【0047】
図16に示されるように、作動電圧Vaが固定ワイヤ16bに印加され、可動電極16a1はdc接地されている。実施形態において、作動電圧Vaは、−100ボルトである。これにより、内側ワイヤ16a2を押し付けて互いに接触させるクーロン反発力がもたらされる。このクーロン反発力は、スイッチを有効に閉じ、例えば、内側の自由に浮遊するワイヤ16a2を移動させて接触させる。
【0048】
本発明の第4の態様
図17は、本発明の第4の態様による、別のMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図17において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側からワイヤ16a1及び16b形成される。ビア及び結果として得られる16a1、16bは、例えば、本発明の第1の態様に関して上述したような種々の寸法のものにすることができる。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、ウェハ10の上部側から、ビアを、例えばALD窒化チタン及びCVDタングステンのような金属又は金属の組み合わせで充填することができる。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に接着剤18が形成され、キャリア20が接着剤18に取り付けられる。
【0049】
ワイヤ16a1、16bの下部を露出するための研削プロセスの後、本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、ウェハ10の下面から通常のエッチング・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを行なって、ワイヤ部分16a1に接続する内側ワイヤ部分16a2を形成することができる。実施形態において、誘電体材料22は、外側ワイヤ16bの少なくとも一方の側がウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)のままであり、内側ワイヤ16a1、16a2は、その移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出される程度まで、ウェハ10の外側部分を保護する。
【0050】
本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合し、気密シールを生成することができる。
【0051】
図17において、作動電圧Vaが固定ワイヤ16bに印加され、可動電極16a2はdc接地されている。実施形態において、作動電圧Vaは、−100Vである。これにより、内側ワイヤ16a2を押し付けて互いに接触させるクーロン反発力がもたらされる。このクーロン反発力は、スイッチを有効に閉じ、例えば、内側の自由に浮遊するワイヤ16a2を移動させて接触させる。
【0052】
本発明の第5の態様
図18及び図19は、本発明の第5の態様による、別のMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図18において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側からワイヤ16aが形成される。ウェハの上部側からワイヤ16aを形成するのに用いられるビアは、約80ミクロンの深さとすることができるが、本発明により他の寸法も考慮される。ウェハ10の上部側から、ビアを、例えばALD窒化チタン窒化及びCVDタングステンのような金属又は金属の組み合わせで充填し、その後にCMPを行なうことができる。
【0053】
誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に、接着剤18が形成される。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、キャリア20が接着剤18に取り付けられる。
【0054】
ウェハの下面から、通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを行なって、外側ワイヤ16b1、16b2を形成する。次に、例えば、湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いて、ウェハ10の裏面をエッチングし、ボイド24を形成する。実施形態において、加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液を用いて、ウェハ10をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、少なくとも外側ワイヤ16b1は、ウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、内側ワイヤ16a及び外側ワイヤ16b2は、ワイヤ16aの移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合し、気密シールを生成することができる。
【0055】
図18(又は図19)に示されるように、作動電圧Vaが固定ワイヤ16b1に印加され、可動ワイヤ16a及び16bはdc接地されている。実施形態において、作動電圧Vaは、100ボルトである。これにより、ワイヤ16aを内側ワイヤ16b2に向けて押し付け、これと接触させるクーロン力がもたらされる。このクーロン力は、スイッチを有効に閉じ、例えば、ワイヤ16aを移動させてワイヤ16bと接触させる。
【0056】
本発明の第6の態様
図20及び図21は、本発明の第6の態様による、別のMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図20において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側から外側ワイヤ16bbが形成される。ウェハの上部側からワイヤ16bbを形成するのに用いられるビアは、約80ミクロンの深さとすることができるが、本発明により他の寸法も考慮される。ウェハ10の上部側から、ビアを、例えばALD窒化チタン及びCVDタングステンのような金属又は金属の組み合わせで充填し、その後にCMPを行なうことができる。
【0057】
誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に、接着剤18が形成される。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、キャリア20が接着剤18に取り付けられる。
【0058】
ウェハの下面から通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを行なって、外側ワイヤ16b1、16b2を形成する。外側ワイヤ16b1は、ワイヤ16bbと実質的に位置合わせされている。次に、前述のように、例えば湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いて、ウェハ10の裏面をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液を用いてウェハ10をエッチングし、ボイド24を形成することができる。
【0059】
実施形態において、外側ワイヤ16b1及び外側ワイヤ16bbの少なくとも一方の側はウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、他の外側ワイヤ16b2は、その移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合し、気密シールを生成することができる。ウェハ・キャップ26は、例えばガラスとすることができる。前述のように、いずれかの通常のボンディング・プロセスを用いて、ウェハ・キャップ26を誘電体材料22に接合することができる。
【0060】
図20(又は図21)において、作動電圧Vaが固定ワイヤ16b1に印加され、可動ワイヤ16a及び16bはdc接地されている。実施形態において、作動電圧Vaは、固定外側ワイヤ16b1に印加される100ボルトである。これにより、他の(浮遊する)外側ワイヤ16b2をワイヤ16bbに向けて押し付け、これと接触させるクーロン力がもたらされる。このクーロン力は、スイッチを有効に閉じる。
【0061】
図21は、本発明の構造体の例示的な寸法を示す。例えば、ボイド24の垂直方向の寸法は、約100ミクロンから約200ミクロンの範囲に及ぶことができる。ワイヤ16b1とワイヤ16b2との間の距離は、約1ミクロンである。実施形態において、可動ワイヤ16b2は、その両端においてウェハ10内に埋め込まれる。ワイヤが、例えば少なくともボイドの垂直方向距離を越える長さであるなど、非常に長い場合、電圧が固定ワイヤ16b1に印加されると、可動ワイヤの部分(例えば、固定ワイヤ16b1に近接する中間の部分)が、図21に矢印「A」で示されるように、固定ワイヤ16b1に向けて移動し、これと接触する。
【0062】
本発明の第7の態様
図22は、本発明の第7の態様による、別のMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図22において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側からワイヤ16b1、16b2が形成される。ウェハの上部側からワイヤ16b1、16b2を形成するのに用いられるビアは、約50ミクロンの深さとすることができるが、本発明により他の寸法も考慮される。ウェハ10の上部側から、ビアを、例えばALD窒化チタン及びCVDタングステンのような金属又は金属の組み合わせで充填し、その後にCMPを行なうことができる。
【0063】
誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に、接着剤18が形成される。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、キャリア20が接着剤18に取り付けられる。
【0064】
ウェハの下面から、通常のリソグラフィ・プロセスを行なって、内側ワイヤ16a(ワイヤ16b1、16b2からオフセットした)を形成する。次に、例えば湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いて、ウェハ10の裏面をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液を用いてウェハ10をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、一方の外側ワイヤ16b2の少なくとも一方の側は、ウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、内側ワイヤ16及び他方の外側ワイヤ16b1は、少なくとも外側ワイヤ16b1の移動を可能にするように実質的にボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。上述の方法を用いて、随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合し、気密シールを生成することができる。
【0065】
図22に示されるように、作動電圧Vaが固定外側ワイヤ16b2に印加され、可動電極16aはdc接地されている。実施形態において、作動電圧Vaは、100ボルトである。これにより、ワイヤ16b1を押し付けてワイヤ16aに接触させるクーロン力がもたらされる。このクーロン力は、スイッチを有効に閉じる。
【0066】
本発明の第8の態様
図23は、本発明の第8の態様による、別のMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図23において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側からワイヤ16a及び16bが形成される。実施形態において、内側ワイヤ16aを形成するのに用いられるビアの深さは、外側ワイヤ16bを形成するのに用いられるビアより深い。例えば、ワイヤ16aを形成するのに用いられるビアは、約100ミクロンの深さとすることができるが、本発明により他の寸法も考慮される。ウェハ10の上部側から、ビアを、例えばALD窒化チタン及びCVDタングステンのような金属又は金属の組み合わせで充填し、その後にCMPを行なうことができる。
【0067】
誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に、接着剤18が形成される。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、キャリア20が接着剤18に取り付けられる。
【0068】
ウェハの下面から通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを行なって、外側ワイヤ16bbを形成する。外側ワイヤ16bbは、ウェハ10の上部側から形成される外側ワイヤ16bの1つと位置合わせすることができる。次に、例えば湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いて、ウェハ10の裏面をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液を用いてウェハ10をエッチングし、ボイド24を形成することができる。
【0069】
実施形態において、一方の外側ワイヤ16b及び外側ワイヤ16bbの少なくとも一方の側はウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、内側ワイヤ16aは、その移動を可能にするためにボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。誘電体材料22の配置のために、外側固定ワイヤ16bをウェハ材料内に僅かに又は完全に埋め込むこともできる(外側固定ワイヤを有するあらゆる実施形態と同様に)。
【0070】
上述のように、随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合し、気密シーツを生成することができる。
【0071】
図23において、作動電圧Vaが固定ワイヤ16b(上記のワイヤ16bb)に印加され、マイナスのVaが他方の固定ワイヤ16bに印加される。可動電極16aはdc接地されている。実施形態において、作動電圧Vaは、固定ワイヤ16b(上記のワイヤ16bb)に印加される100ボルト及び他方の固定ワイヤ16bに印加される−100ボルトである。これにより、ワイヤ16aを外側ワイヤ16bbに向けて移動させ、これと接触させるクーロン力がもたらされる。このクーロン力は、スイッチを有効に閉じる。また、本発明のこの及び他の態様において、1つ又は複数の作動電極の使用も考慮される。
【0072】
本発明の第9の態様
図24は、本発明の第9の態様による、別のMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図24において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側からワイヤ16a及び16b形成される。実施形態において、内側ワイヤ16aを形成するのに用いられるビアの深さは、外側ワイヤ16bを形成するのに用いられるビアより深い。例えば、ワイヤ16aを形成するのに用いられるビアは、約80ミクロンの深さとすることができるが、本発明により他の寸法も考慮される。当業者であれば、適用可能な実施形態のいずれにおいても、異なる深さのビアが別個のリソグラフィ・プロセスで形成されることを認識すべきである。ウェハ10の上部側から、ビアを、例えばALD窒化チタン及びCVDタングステンのような金属又は金属の組み合わせで充填し、その後にCMPを行なうことができる。
【0073】
誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に、接着剤18が形成される。本発明の上記の態様に説明される方法を用いて、キャリア20が接着剤18が取り付けられる。
【0074】
ウェハの下面から通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを行なって、外側ワイヤ16bbを形成する。外側ワイヤ16bbは、ウェハ10の上部側から形成された外側ワイヤ16b及び内側ワイヤ16aからオフセットしていてもよい。次に、例えば湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いてウェハ10の裏面をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液を用いてウェハ10をエッチングし、ボイド24を形成することができる。
【0075】
実施形態において、一方の外側ワイヤの16b及び外側ワイヤ16bbの少なくとも一方の側はウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、内側ワイヤ16aは、その移動を可能にするようにボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。誘電体材料22の配置のために、外側固定ワイヤ16bをウェハ材料内に僅かに又は完全に埋め込むこともできる(外側固定ワイヤを有するあらゆる実施形態と同様に)。上述した方法を用いて、随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合し、気密シーツを生成することができる。
【0076】
図24において、作動電圧Vaが固定ワイヤ16b(最も近いワイヤ16bb)に印加され、マイナスのVaが他方の固定ワイヤ16bに印加される。可動電極16aはdc接地されている。実施形態において、作動電圧Vaは、固定ワイヤ16b(最も近いワイヤ16bb)に印加される100ボルト及び他方の固定ワイヤ16bに印加される−100ボルトである。これにより、ワイヤ16aを外側ワイヤ16bbに向けて移動させ、これと接触させるクーロン力がもたらされる。このクーロン力は、スイッチを有効に閉じる。
【0077】
本発明の第10の態様
図25は、本発明の第10の態様による、別のMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図25において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側からワイヤ16a及び16bが形成される。ウェハの上部側からワイヤ16aを形成するのに用いられるビアは、約150ミクロンの深さとすることができるが、本発明により他の寸法も考慮される。例えば、外側ワイヤ16bを形成するのに用いられるビアは、約10ミクロンの浅いビアとすることができる。ウェハ10の上部側から、ビアを、例えばALD窒化チタン及びCVDタングステンのような金属又は金属の組み合わせで充填し、その後にCMPを行なうことができる。
【0078】
誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に、接着剤18が形成される。上記の実施形態に説明される方法を用いて、キャリア20が接着剤18に取り付けられる。
【0079】
ワイヤ16aの下部を露出させるための研削プロセスの後、ウェハの下部側から、通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを行なって、外側ワイヤ16bbを形成する。外側ワイヤ16bbは、ウェハ10の上部側から形成された外側ワイヤ16b及び内側ワイヤ16aからオフセットしていてもよい。外側ワイヤ16bbも、ウェハ材料内に部分的に埋め込むことができる。次に、例えば湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いて、ウェハ10の裏面をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液を用いてウェハ10をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、外側ワイヤ16b及び16bbの少なくとも一方の側はウェハ10の材料に取り付けられ(固定された)ままであり、内側ワイヤ16aは、その移動を可能にするようにボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。
【0080】
上述の方法を用いて、随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合し、気密シーツを生成することができる。
【0081】
図25において、作動電圧Vaが固定ワイヤ16b(例えば、ワイヤ16bbの上の固定ワイヤ16b)に印加され、マイナスのVaが他方の外側ワイヤ16bに印加される。可動電極16aはdc接地されている。実施形態において、作動電圧Vaは、固定ワイヤ16b(例えば、ワイヤ16bbの上方の固定ワイヤ16b)の一方に印加される100ボルト及び他方の外側ワイヤ16bに印加される−100ボルトである。これにより、dc接地されている、自由に浮遊する内側ワイヤ16aを外側ワイヤ16bbに向けて移動させ、これと接触させるクーロン力がもたらされる。このクーロン力は、スイッチを有効に閉じる。
【0082】
本発明の第11の態様
図26は、本発明の第11の態様による、最終的なMEMS構造体及びそれぞれの処理ステップを示す。図26において、上述のような通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを用いて、ウェハ10の上部側からワイヤ16b1、16b2が形成される。ボイド24内に露出された外側ワイヤ16b1のためのビアは、固定外側ワイヤ16b2のために形成された他のビアより深い。特定の用途に応じて、ビアの深さ及び結果として得られるワイヤは変わり得る。例えば、自由に浮遊するワイヤ16b1を形成するのに用いられるビアは、約150ミクロンの深さとすることができるが、本発明により他の寸法も考慮される。ウェハ10の上部側から、ビアを、例えばALD窒化チタン及びCVDタングステンのような金属又は金属の組み合わせで充填し、その後にCMPを行なうことができる。
【0083】
誘電体材料12及びウェハの上部側のワイヤの露出部分の上に、接着剤18が形成される。上記の実施形態において説明された方法を用いて、キャリア20が接着剤18に取り付けられる。
【0084】
研削プロセスの後、ウェハの下面から通常のリソグラフィ・プロセス及びメタライゼーション・プロセスを行なって、ウェハ10の上部側から形成される外側ワイヤ16b1、16b2及び内側ワイヤ16aからオフセットし得る、外側ワイヤ16bbを形成する。ワイヤ16bbは、ウェハの材料内に部分的に埋め込むことができる。次に、例えば湿式及び乾式エッチング・プロセスの組み合わせを用いてウェハ10の裏面をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、加熱された水酸化カリウム(KOH)溶液を用いてウェハ10をエッチングし、ボイド24を形成することができる。実施形態において、一方の外側ワイヤ16b2の少なくとも一方の側はウェハ10の材料に取り付けられた(固定された)ままであり、かつ、外側ワイヤ16bbはウェハ材料内に少なくとも部分的に埋め込まれたままであり、一方、外側ワイヤ16b1は、その移動を可能にするようにボイド24内に露出される程度まで、誘電体材料22がウェハ10の外側部分を保護する。上述の方法を用いて、随意的なウェハ・キャップ26をウェハ10の下面に接合し、気密シールを生成することができる。
【0085】
MEMSコンタクト・スイッチの機能は、プルイン電圧及び作動電圧によって定められる。プルイン電圧は、ビームを曲げ、接触させるのに必要とされる印加アクチュエータ電圧によって定められ、作動電圧は、MEMSスイッチ回路における印加電圧であり、これ、定義上、プルイン電圧より大きいものである。この理解に基づいて、図26の構造体は、作動ギャップ(AG)と、コンタクト・ギャップ(CG)とを含む。作動ギャップ(AG)は、アクチュエータとビームとの間の離隔距離(例えば、16b1と16b2との間の離隔距離)である。コンタクト・ギャップ(CG)は、可動ビームとコンタクトとの間の離隔距離(例えば、ビーム16b1とビーム16bbとの間の離隔距離)である。当業者であれば、本発明の各々の態様が作動ギャップ(AG)及びコンタクト・ギャップ(CG)を含むことを理解すべきである。
【0086】
図26の例において、下記により詳細に説明されるように、dc接地をビーム16b1に印加し、dc作動電圧をアクチュエータ16bbに印加することによって、MEMビームを作動させるか又は接触させる。MEMSスイッチのアーク放電及び潜在的破壊をもたらすビーム16b1及びアクチュエータ16bbの短絡を回避するために、コンタクト・ギャップ(CG)は、一般に、作動ギャップ(AG)より小さい。
【0087】
より具体的には、図26において、作動電圧Vaが固定外側ワイヤ16b2に印加される。実施形態において、作動電圧Vaは、固定外側ワイヤ16b2に印加される100ボルトである。これにより、dc接地されている外側ワイヤ16b1を外側ワイヤ16bbに向けて押し付け、これと接触させるクーロン力がもたらされる。このクーロン力は、スイッチを有効に閉じる。
【0088】
データ点のグラフ
図27は、本発明による、60Vのプルイン電圧におけるビームについてのビーム厚、ビーム長、及び作動ギャップを示す、アルミニウム・カンチレバー・ビームに関する計算されたデータ点のグラフである。Osterberg及びSenturiaによる1997年の論文を用いて、データ点が計算された。図27のグラフにおけるデータ点は、例えば、120ミクロン、160ミクロン、200ミクロン及び250ミクロンの種々のビーム長についての種々のギャップ及びビーム厚を示す例証として与えられる。一般に、ビーム厚が増加するにつれて、プルイン電圧が増加し、作働ギャップ厚が増加するにつれて、
ビーム長が減少する。これらの計算は、例えば図26に記載される単一の垂直型カンチレバー・ビームにも適用される。勿論、これらの同じ又は類似したデータ点は、例えば、図17の二重カンチレバー・ビームを含む、本発明に記載される単一のカンチレバー・ビームのいずれにも質的に関連する。当業者であれば、本発明に記載される垂直型カンチレバー・ビームは、他の範囲のビーム厚、作動ギャップ厚、コンタクト・ギャップ厚、及びビーム長を有し、特定のプルイン電圧要件をターゲットにし得ることを理解するべきである。
【0089】
設計構造体
図28は、好ましくは設計プロセス910によって処理される入力設計構造体920を含む、複数のこのような設計構造体を例示する。設計構造体920は、設計プロセス910によって生成され、処理され、ハードウェア・デバイスの論理的に等価な機能的表現を生じる、論理シミュレーション設計構造体とすることができる。設計構造体920はさらに、或いは代替的に、設計プロセス910によって処理されたときに、ハードウェア・デバイスの物理的構造の機能的表現を生成するデータ及び/又はプログラム命令を含むことができる。機能的及び/又は構造的設計特徴のどちらを表現するのであれ、設計構造体920は、コア開発者/設計者によって実施されるような電子的コンピュータ支援設計(ECAD)を用いて生成することができる。機械可読データ伝送、ゲートアレイ、又はストレージ媒体上でコード化された場合、設計プロセス910内の1つ又は複数のハードウェア及び/又はソフトウェア・モジュールによって、設計構造体920にアクセスし、これを処理して、図1−図26に示されるもののような電子コンポーネント、回路、電子若しくは論理モジュール、装置、デバイス、又はシステムをシミュレーションするか、又は他の方法で機能的に表現することができる。そのため、設計構造体920は、設計又はシミュレーション・データ処理システムによって処理されたときに、回路又は他のレベルのハードウェア論理設計を機能的にシミュレーションするか、又は他の方法で表現する、人間及び/又は機械可読のソースコード、コンパイルされた構造体、及びコンピュータ実行可能コード構造体を含む、ファイル又は他のデータ構造体を含むことができる。このようなデータ構造体は、ハードウェア記述言語(HDL)設計エンティティ、又は、Verilog及びVHDLのような低レベルHDL設計言語、及び/又は、C若しくはC++のような高レベル設計言語に適合する及び/又はこれと互換性のある他のデータ構造体を含むことができる。
【0090】
設計プロセス910は、設計構造体920のような設計構造体を含むことができるネットリスト980を生成するために、好ましくは、図1−図26に示されるコンポーネント、回路、デバイス、又は論理構造体の設計/シミュレーションの機能的等価物を合成し、変換し、又は他の方法で処理するためのハードウェア及び/又はソフトウェア・モジュールを使用し、組み込む。ネットリスト980は、例えば、集積回路設計内の他の素子及び回路への接続を記述する配線、個別部品、論理ゲート、制御回路、I/Oデバイス、モデルなどのリストを表す、コンパイル又は他の方法で処理されたデータ構造体を含むことができる。ネットリスト980は繰り返しプロセスを用いて合成することができ、このプロセスにおいて、ネットリスト980は、デバイスの設計仕様及びパラメータに応じて1回又は複数回再合成される。ここで説明された他の設計構造体のタイプと同様に、ネットリスト980を機械可読データ・ストレージ媒体上に記録し、又はプログラマブル・ゲート・アレイにプログラムすることができる。媒体は、磁気又は光ディスクドライブのような不揮発性ストレージ媒体、プロブラマブル・ゲート・アレイ、コンパクトフラッシュ、又は他のフラッシュメモリとすることができる。それに加えて、又は代替的に、媒体は、インターネット又は他のネットワーキングに適した手段を介してデータパケットを伝送し、中間的に格納することができる、システム又はキャッシュメモリ、バッファ領域、又は電気的若しくは光学的に伝導性のデバイス及び材料とすることができる。
【0091】
設計プロセス910は、ネットリスト980を含む様々な入力データ構造のタイプを処理するためのハードウェア及びソフトウェア・モジュールを含むことができる。このようなデータ構造タイプは、例えば、ライブラリ要素930内に存在することができ、これは、所与の製造技術(例えば、異なる技術ノード、32nm、45nm、90nm等)についての、モデル、レイアウト、及び記号表記を含めた、一般的に用いられる素子、回路、及びデバイスのセットを含むことができる。データ構造タイプは、設計仕様940、特徴データ950、検証データ960、設計ルール970、並びに入力試験パターン、出力試験結果及び他の試験情報を含むことができる試験データ・ファイル985をさらに含むことができる。設計プロセス910は、例えば、応力分析、熱分析、機械事象シミュレーション、並びにキャスティング、モールディング、及びダイプレス成形のような操作についてのプロセス・シミュレーションといった標準的な機械的設計プロセスをさらに含むことができる。機械設計の当業者であれば、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、設計プロセス910において用いられる、可能な機械設計ツール及びアプリケーションの範囲を認識することができる。設計プロセス910はまた、タイミング解析、検証、設計ルールチェック、位置及び経路の操作などのような標準的な回路設計プロセスを実行するためのモジュールを含むことができる。
【0092】
設計プロセス910は、第2の設計構造体990を作成するために、HDLコンパイラ及びシミュレーションモデル構築ツールのような論理的及び物理的設計ツールを使用し、組み込んで、設計構造体920を、図示された支持データ構造体のうちの幾つか又は全てと共に、いずれかの付加的な機械設計又はデータ(適用可能な場合)と併せて処理する。設計構造体990は、機械的なデバイス及び構造体のデータの交換に用いられるデータ形式(例えば、IGES、DXF、Parasolid XT、JT、DRG又はこのような機械的設計構造体を格納又はレンダリングするのに適した他のいずれかの形式で格納される情報)でストレージ媒体又はプログラマブル・ゲート・アレイ上に存在する。設計構造体920と同様に、設計構造体990は、好ましくは、1つ又は複数のファイル、データ構造体、又は他のコンピュータコード化データ又は命令を含み、これは、伝送又はデータ・ストレージ媒体上に存在し、ECADシステムによって処理されたとき、図1−図26に示される1つ又は複数の本発明の実施形態の、論理的又はその他の方式で機能的に等価な形態を生成する。1つの実施形態において、設計構造体990は、図1−図26に示されるデバイスを機能的にシミュレーションする、コンパイルされた実行可能なHDLシミュレーションモデルを含むことができる。
【0093】
設計構造体990は、集積回路のレイアウト・データの交換に用いられるデータ形式及び/又は記号データ形式(例えば、GDSII(GDS2)、GL1、OASIS、マップファイル、又はこのような設計データ構造体を格納するための他のいずれかの適切な形式で格納される情報)も使用することができる。データ構造体990は、例えば、記号データ、マップファイル、試験データ・ファイル、設計コンテンツ・ファイル、製造データ、レイアウト・パラメータ、配線、金属のレベル、ビア、形状、製造ラインを通じた経路選択のためのデータ、並びに、上記で説明し、図1−図26に示されるようなデバイス又は構造体を製造するために製造者又は設計者/開発者によって要求される他のいずれかのデータといった情報を含むことができる。次に、設計構造体990はステージ995に進み、ここで、例えば、設計構造体990は、テープアウトされたり、製造に引き渡されたり、マスク会社に引き渡されたり、別の設計会社に送られたり、顧客に送り返されたりされる。
【0094】
上述したような方法は、集積回路チップの製造に用いられる。結果として得られる集積回路チップは、生ウェハの形態で(すなわち、複数のパッケージされていないチップを有する単一のウェハとして)、ベア・ダイとして、又はパッケージされた形態で、製造業者により流通させることができる。後者の場合、チップは、単一のチップ・パッケージ(マザーボード又は他のより高いレベルのキャリアに取り付けられたリード線を有するプラスチック製キャリアのような)、又は、マルチチップ・パッケージ(片面又は両面の相互接続部、或いは埋め込まれた相互接続部を有するセラミック製キャリアのような)の中にマウントされる。いずれにせよ、その後、チップは、他のチップ、別個の回路素子、及び/又は、(a)マザーボードなどの中間製品又は(b)最終製品のいずれかの部品のような他の信号処理デバイスと共に統合される。最終製品は、集積回路チップを含む何らかの製品とすることができる。
【0095】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定することを意図したものではない。本明細書で用いられる用語「含む」及び/又は「含んでいる」は、記述された構造部、完全体、ステップ、操作、要素、及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、1つ又は複数の他の構造部、完全体、ステップ、操作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループの存在又は付加を除外しないことが理解される。
【0096】
下記の特許請求の範囲における、対応する構造体、材料、動作、及び全ての手段又はステップ及び機能要素の等価物は、もしあれば、具体的に請求された他の請求要素と組み合わせてその機能を実施するためのあらゆる構造体、材料、又は動作を含むことが意図されている。本発明の説明は、例証及び説明のために示されたものであり、網羅的であること又は本発明を開示された形態に限定することを意図したものではない。当業者には、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなしに多くの修正及び改変が明白となるであろう。実施形態は、本発明の原理及びその実際的な用途を最も良く説明するため、及び、当業者が特定の企図された用途に適するように種々の修正を加えた種々の実施形態に関して本発明を理解することを可能にするために選択され、記述された。
【符号の説明】
【0097】
10:ウェハ
12、22:誘電体材料
14、14a、14b:ビア
15:トレンチ
15a、15b:トレンチ脚部
16、16a、16b:ワイヤ
16a1、16a2、16b1:ワイヤ部分
17:金属
18:接着剤
20:キャリア
22a:開口部
24:ボイド
26:ウェハ・キャップ
910:設計プロセス
920:設計構造体
930:ライブラリ要素
940:設計仕様
950:特徴データ
960:検証データ
970:設計ルール
980:ネットリスト
990:第2の設計構造体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MEMSスイッチを製造する方法であって、
ウェハ内に少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することと、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを金属で充填して、少なくとも2つの垂直方向に延びるワイヤを形成することと、
前記垂直方向に延びるワイヤの少なくとも1つがボイド内で移動可能であるように、下部側から前記ウェハ内にボイドを開口することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することは、前記ウェハの上部側から4つの垂直方向に延びるビアをエッチングすることを含み、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを前記金属で充填することは、前記ウェハの前記上部側から前記4つの垂直方向に延びるビアを充填して、4つの垂直方向に延びるワイヤを形成することを含み、
前記開口することは、前記4つの垂直方向に延びるワイヤの2つの内側ワイヤが、前記ボイド内で移動可能であり、互いに接触するように、前記下部側から前記ウェハをエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することは、前記ウェハの前記下部側からビアをエッチングすることをさらに含み、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを金属で充填することは、前記下部側から前記下部側ビアを金属で充填して、それぞれ前記4つの垂直方向に延びるワイヤの内側ワイヤと接触する2つのワイヤ延長部を形成することをさらに含み、
前記開口することは、前記2つのワイヤ延長部が前記ボイド内で移動可能であり、互いに接触するように、前記下部側から前記ウェハをエッチングすることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することは、
前記4つの垂直方向に延びるビアの内側のものが前記4つの垂直方向に延びるビアの外側のものより浅くなるように、前記ウェハの上部側から4つの垂直方向に延びるビアをエッチングすることと、
デュアル・ダマシン・プロセスを用いて、前記下部側から2つのビアをエッチングすることと、
を含み、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを前記金属で充填することは、
前記ウェハの前記上部側から前記4つの垂直方向に延びるビアを充填して、4つの垂直方向に延びるワイヤを形成することと、
前記ウェハの前記下部側から前記2つのビアを充填して、それぞれ前記4つの垂直方向に延びるワイヤの内側ワイヤと接触する2つの下部側ワイヤを形成することと、
を含み、
前記開口することは、前記2つの下部側ワイヤが前記ボイド内で移動可能であり、互いに接触するように、前記下部側から前記ウェハをエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ウェハ内に少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することは、
少なくとも3つの垂直方向に延びるビアの内側のものが前記少なくとも3つの垂直方向に延びるビアの外側のものより深くなるように、前記ウェハの上部側から少なくとも3つの垂直方向に延びるビアをエッチングすることと、
前記下部側から前記ウェハ内に少なくとも2つの垂直方向に延びるビアをエッチングすることと、
を含み、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを前記金属で充填することは、
前記ウェハの前記上部側から前記3つの垂直方向に延びるビアを金属で充填して、2つの部分的ワイヤ及び中間のより長いワイヤを形成することと、
前記下部側から前記ウェハ内の前記垂直方向に延びるビアを金属で充填して、下部側ワイヤを形成することであって、前記下部側ワイヤは前記2つの部分的ワイヤと接触し、かつ、前記中間のより長いワイヤの両側にある、ことを含み、
前記開口することは、前記上部側ワイヤ又は前記下部側ワイヤの中間のものが前記ボイド内で移動可能であるように、前記下部側から前記ウェハをエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ウェハ内に少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することは、
前記ウェハの上部側から前記ウェハ内に3つの垂直方向に延びるビアをエッチングすることであって、前記3つの垂直方向に延びるビアの中間のものは前記3つの垂直方向に延びるビアの外側のものより深い、ことと、
前記3つの垂直方向に延びるビアの前記中間のものからオフセットしている1つのビアを、前記ウェハの前記下部側から前記ウェハ内にエッチングすることと、
を含み、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを金属で充填することは、前記3つの垂直方向に延びるビア及び前記下部側ビアを前記金属で充填してワイヤを形成することを含み、
前記開口することは、前記3つの垂直方向に延びるワイヤの中間のものが、前記ボイド内で自由に移動可能であり、前記ウェハの前記下部側から形成された前記ワイヤと接触するように、前記下部側から前記ウェハをエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ウェハ内に少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することは、
前記ウェハの上部側から前記ウェハ内に2つの垂直方向に延びるビアを形成することと、
前記ウェハの下部側から前記ウェハ内に1つのビアを形成することと、
を含み、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを金属で充填することは、前記2つの垂直方向に延びるビア及び前記下部側ビアを前記金属で充填してワイヤを形成することを含み、
前記開口することは、前記2つの垂直方向に延びるワイヤの1つが前記ボイド内で自由に移動可能であり、前記ウェハの前記下部側から形成された前記ワイヤと接触するように、前記下部側から前記ウェハをエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ウェハ内に少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することは、
前記ウェハの上部側から前記ウェハ内に1つの垂直方向に延びるビアを形成することと、
前記ウェハの下部側から前記ウェハ内に1つのビアを形成することと、
を含み、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを金属で充填することは、前記1つの垂直方向に延びるビア及び前記下部側ビアを前記金属で充填してワイヤを形成することを含み、
前記開口することは、前記垂直方向に延びるワイヤが前記ボイド内で移動可能であるように、前記下部側から前記ウェハをエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ボイドを気密封止することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
2つの垂直方向に延びるワイヤの少なくとも一方に電圧を印加し、前記2つの垂直方向に延びるワイヤの他方を移動させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ウェハの前記下部側を研削して、前記少なくとも2つの垂直方向に延びるワイヤの少なくとも1つの部分を露出させることと、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるワイヤの少なくとも1つが前記ウェハに固定されるように、前記ボイドを形成する前に前記ウェハの前記下部側の部分を保護することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
MEMSスイッチを製造する方法であって、
ウェハの上部側から少なくとも3つのビアをエッチングすることと、
前記ビアを金属で充填して、垂直方向に配置された上部側ワイヤを形成することと、
前記ウェハの前記下部側に誘電体材料を堆積させることと、
前記誘電体材料をエッチングして内部に開口部を形成することであって、前記誘電体材料の残りの部分は前記ウェハの縁部を保護する、ことと、
前記誘電体材料内の前記開口部を通って前記ウェハの下部側をエッチングし、前記垂直方向に配置された上部側ワイヤの少なくとも1つを露出させるボイドを形成することと、
を含む方法。
【請求項13】
前記少なくとも3つのビアは、4つの垂直方向に配置された上部側ワイヤ内に形成された4つのビアであり、前記下部側をエッチングする前に、前記ウェハの前記下部側を研削して、前記4つの垂直方向に配置された上部側ワイヤの2つの内側のものの部分を露出させることをさらに含み、前記ボイドは内部で移動可能である前記2つの内側ワイヤを収容する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ウェハの前記下部側をエッチングして、前記4つの垂直方向に配置された上部側ワイヤの前記2つの内側のものと位置合わせする2つのビアを形成することと、
前記2つの下部側ビアを金属で充填して、前記4つの垂直方向に配置された上部側ワイヤの前記内側のものから互いに向けて延びる金属ワイヤ延長部を形成することであって、前記金属ワイヤ延長部は前記ボイド内で移動可能である、ことと、
をさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも3つのビアは、4つの垂直方向に配置された上部側ワイヤ内に形成された4つのビア、及び、2つの垂直方向に配置された下部側ワイヤ内に形成された2つのビアであり、前記下部側をエッチングする前に、前記ウェハの前記下部側を研削して前記4つの垂直方向に配置された上部側ワイヤの2つの外側のものの部分を露出させることをさらに含み、前記ボイドは、内部で移動可能である前記下部側ワイヤを収容する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
ウェハ内に形成された少なくとも2つの垂直方向に延びる金属ワイヤと、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びる金属ワイヤの少なくとも1つを収容する、前記ウェハ内に形成されたボイドと、
を含み、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びる金属ワイヤの前記少なくとも1つは、電圧の印加時に前記ボイド内で移動可能である、MEMSスイッチ。
【請求項17】
前記少なくとも2つの垂直方向に延びる金属ワイヤは4つのワイヤであり、前記少なくとも1つのワイヤは、前記電圧の印加時に前記ボイド内で移動可能である2つの内側ワイヤである、請求項16に記載のMEMSスイッチ。
【請求項18】
前記少なくともの2つの内側ワイヤは、前記ウェハの下部側から形成される、請求項17に記載のMEMSスイッチ。
【請求項19】
前記少なくとも2つの垂直方向に延びる金属ワイヤの前記少なくとも1つは、中間のワイヤが2つの外側ワイヤより長い、3つの垂直方向に延びる金属ワイヤである、請求項16に記載のMEMSスイッチ。
【請求項20】
前記少なくとも2つの垂直方向に延びる金属ワイヤは、2つが前記ウェハに固定され、かつ、前記ボイドに部分的に露出された、3つの垂直方向に延びる金属ワイヤである、請求項16に記載のMEMSスイッチ。
【請求項21】
前記ボイドは気密封止される、請求項16に記載のMEMSスイッチ。
【請求項1】
MEMSスイッチを製造する方法であって、
ウェハ内に少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することと、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを金属で充填して、少なくとも2つの垂直方向に延びるワイヤを形成することと、
前記垂直方向に延びるワイヤの少なくとも1つがボイド内で移動可能であるように、下部側から前記ウェハ内にボイドを開口することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することは、前記ウェハの上部側から4つの垂直方向に延びるビアをエッチングすることを含み、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを前記金属で充填することは、前記ウェハの前記上部側から前記4つの垂直方向に延びるビアを充填して、4つの垂直方向に延びるワイヤを形成することを含み、
前記開口することは、前記4つの垂直方向に延びるワイヤの2つの内側ワイヤが、前記ボイド内で移動可能であり、互いに接触するように、前記下部側から前記ウェハをエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することは、前記ウェハの前記下部側からビアをエッチングすることをさらに含み、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを金属で充填することは、前記下部側から前記下部側ビアを金属で充填して、それぞれ前記4つの垂直方向に延びるワイヤの内側ワイヤと接触する2つのワイヤ延長部を形成することをさらに含み、
前記開口することは、前記2つのワイヤ延長部が前記ボイド内で移動可能であり、互いに接触するように、前記下部側から前記ウェハをエッチングすることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することは、
前記4つの垂直方向に延びるビアの内側のものが前記4つの垂直方向に延びるビアの外側のものより浅くなるように、前記ウェハの上部側から4つの垂直方向に延びるビアをエッチングすることと、
デュアル・ダマシン・プロセスを用いて、前記下部側から2つのビアをエッチングすることと、
を含み、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを前記金属で充填することは、
前記ウェハの前記上部側から前記4つの垂直方向に延びるビアを充填して、4つの垂直方向に延びるワイヤを形成することと、
前記ウェハの前記下部側から前記2つのビアを充填して、それぞれ前記4つの垂直方向に延びるワイヤの内側ワイヤと接触する2つの下部側ワイヤを形成することと、
を含み、
前記開口することは、前記2つの下部側ワイヤが前記ボイド内で移動可能であり、互いに接触するように、前記下部側から前記ウェハをエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ウェハ内に少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することは、
少なくとも3つの垂直方向に延びるビアの内側のものが前記少なくとも3つの垂直方向に延びるビアの外側のものより深くなるように、前記ウェハの上部側から少なくとも3つの垂直方向に延びるビアをエッチングすることと、
前記下部側から前記ウェハ内に少なくとも2つの垂直方向に延びるビアをエッチングすることと、
を含み、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを前記金属で充填することは、
前記ウェハの前記上部側から前記3つの垂直方向に延びるビアを金属で充填して、2つの部分的ワイヤ及び中間のより長いワイヤを形成することと、
前記下部側から前記ウェハ内の前記垂直方向に延びるビアを金属で充填して、下部側ワイヤを形成することであって、前記下部側ワイヤは前記2つの部分的ワイヤと接触し、かつ、前記中間のより長いワイヤの両側にある、ことを含み、
前記開口することは、前記上部側ワイヤ又は前記下部側ワイヤの中間のものが前記ボイド内で移動可能であるように、前記下部側から前記ウェハをエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ウェハ内に少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することは、
前記ウェハの上部側から前記ウェハ内に3つの垂直方向に延びるビアをエッチングすることであって、前記3つの垂直方向に延びるビアの中間のものは前記3つの垂直方向に延びるビアの外側のものより深い、ことと、
前記3つの垂直方向に延びるビアの前記中間のものからオフセットしている1つのビアを、前記ウェハの前記下部側から前記ウェハ内にエッチングすることと、
を含み、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを金属で充填することは、前記3つの垂直方向に延びるビア及び前記下部側ビアを前記金属で充填してワイヤを形成することを含み、
前記開口することは、前記3つの垂直方向に延びるワイヤの中間のものが、前記ボイド内で自由に移動可能であり、前記ウェハの前記下部側から形成された前記ワイヤと接触するように、前記下部側から前記ウェハをエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ウェハ内に少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することは、
前記ウェハの上部側から前記ウェハ内に2つの垂直方向に延びるビアを形成することと、
前記ウェハの下部側から前記ウェハ内に1つのビアを形成することと、
を含み、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを金属で充填することは、前記2つの垂直方向に延びるビア及び前記下部側ビアを前記金属で充填してワイヤを形成することを含み、
前記開口することは、前記2つの垂直方向に延びるワイヤの1つが前記ボイド内で自由に移動可能であり、前記ウェハの前記下部側から形成された前記ワイヤと接触するように、前記下部側から前記ウェハをエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ウェハ内に少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを形成することは、
前記ウェハの上部側から前記ウェハ内に1つの垂直方向に延びるビアを形成することと、
前記ウェハの下部側から前記ウェハ内に1つのビアを形成することと、
を含み、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるビアを金属で充填することは、前記1つの垂直方向に延びるビア及び前記下部側ビアを前記金属で充填してワイヤを形成することを含み、
前記開口することは、前記垂直方向に延びるワイヤが前記ボイド内で移動可能であるように、前記下部側から前記ウェハをエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ボイドを気密封止することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
2つの垂直方向に延びるワイヤの少なくとも一方に電圧を印加し、前記2つの垂直方向に延びるワイヤの他方を移動させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ウェハの前記下部側を研削して、前記少なくとも2つの垂直方向に延びるワイヤの少なくとも1つの部分を露出させることと、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びるワイヤの少なくとも1つが前記ウェハに固定されるように、前記ボイドを形成する前に前記ウェハの前記下部側の部分を保護することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
MEMSスイッチを製造する方法であって、
ウェハの上部側から少なくとも3つのビアをエッチングすることと、
前記ビアを金属で充填して、垂直方向に配置された上部側ワイヤを形成することと、
前記ウェハの前記下部側に誘電体材料を堆積させることと、
前記誘電体材料をエッチングして内部に開口部を形成することであって、前記誘電体材料の残りの部分は前記ウェハの縁部を保護する、ことと、
前記誘電体材料内の前記開口部を通って前記ウェハの下部側をエッチングし、前記垂直方向に配置された上部側ワイヤの少なくとも1つを露出させるボイドを形成することと、
を含む方法。
【請求項13】
前記少なくとも3つのビアは、4つの垂直方向に配置された上部側ワイヤ内に形成された4つのビアであり、前記下部側をエッチングする前に、前記ウェハの前記下部側を研削して、前記4つの垂直方向に配置された上部側ワイヤの2つの内側のものの部分を露出させることをさらに含み、前記ボイドは内部で移動可能である前記2つの内側ワイヤを収容する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ウェハの前記下部側をエッチングして、前記4つの垂直方向に配置された上部側ワイヤの前記2つの内側のものと位置合わせする2つのビアを形成することと、
前記2つの下部側ビアを金属で充填して、前記4つの垂直方向に配置された上部側ワイヤの前記内側のものから互いに向けて延びる金属ワイヤ延長部を形成することであって、前記金属ワイヤ延長部は前記ボイド内で移動可能である、ことと、
をさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも3つのビアは、4つの垂直方向に配置された上部側ワイヤ内に形成された4つのビア、及び、2つの垂直方向に配置された下部側ワイヤ内に形成された2つのビアであり、前記下部側をエッチングする前に、前記ウェハの前記下部側を研削して前記4つの垂直方向に配置された上部側ワイヤの2つの外側のものの部分を露出させることをさらに含み、前記ボイドは、内部で移動可能である前記下部側ワイヤを収容する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
ウェハ内に形成された少なくとも2つの垂直方向に延びる金属ワイヤと、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びる金属ワイヤの少なくとも1つを収容する、前記ウェハ内に形成されたボイドと、
を含み、
前記少なくとも2つの垂直方向に延びる金属ワイヤの前記少なくとも1つは、電圧の印加時に前記ボイド内で移動可能である、MEMSスイッチ。
【請求項17】
前記少なくとも2つの垂直方向に延びる金属ワイヤは4つのワイヤであり、前記少なくとも1つのワイヤは、前記電圧の印加時に前記ボイド内で移動可能である2つの内側ワイヤである、請求項16に記載のMEMSスイッチ。
【請求項18】
前記少なくともの2つの内側ワイヤは、前記ウェハの下部側から形成される、請求項17に記載のMEMSスイッチ。
【請求項19】
前記少なくとも2つの垂直方向に延びる金属ワイヤの前記少なくとも1つは、中間のワイヤが2つの外側ワイヤより長い、3つの垂直方向に延びる金属ワイヤである、請求項16に記載のMEMSスイッチ。
【請求項20】
前記少なくとも2つの垂直方向に延びる金属ワイヤは、2つが前記ウェハに固定され、かつ、前記ボイドに部分的に露出された、3つの垂直方向に延びる金属ワイヤである、請求項16に記載のMEMSスイッチ。
【請求項21】
前記ボイドは気密封止される、請求項16に記載のMEMSスイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2010−251321(P2010−251321A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93002(P2010−93002)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.コンパクトフラッシュ
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.コンパクトフラッシュ
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]