説明

基板保持具及び基板搬送システム

【課題】外寸が同じ基板保持具に観察試料として異なるサイズの基板が搭載される場合であっても、搭載される基板の違いにかかわらず、基板の未搭載や異常搭載を正確にセンサに検出させる。
【解決手段】ホールダ50上の、ウェーハ2Sが正常に置かれる規定領域部分P以外の規定外領域部分Qに、異常搭載されたウェーハ2Sが乗り上げる傾き検出用ピン51を立設配置し、異常搭載されたウェーハ2Sの姿勢状態を、ホールダ50へのウェーハ2の異常搭載を検出するウェーハ傾きセンサ47が検出可能な姿勢状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子や集積回路の検査工程等で用いられる測長機能付きの走査型電子顕微鏡に適用され、検査対象の基板を保持して観察試料として試料室に搬送するための基板保持具及び基板搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子や集積回路の製造工程では、ウェーハ上に作成した半導体素子や集積回路の検査や評価を、ウェーハ上に形成した各種パターンの線幅等の寸法を測定することによって行う。通常、このような微小寸法の測定には、測長SEM或いはCD−SEM(critical dimension SEM)と呼ばれる測長機能付きの走査型電子顕微鏡(SEM;scanning electron microscope)が用いられる。
【0003】
測長SEMは、観察試料に電子線やイオンビーム等の荷電粒子線を照射することより得られる二次電子等の放出信号を画像化処理して観察試料像を取得し、その画像上の明暗の変化からパターンの形状を判別してパターン線幅等の寸法を導き出す。その際、観察試料としてのウェーハは、測長SEMに備えられた基板搬送システム(基板搬送システム)によって、真空状態に保持されている試料室に搬送され、試料室内の試料ステージに搭載されて荷電粒子線の照射を受ける。
【0004】
測長SEMを用いてウェーハの観察及び測長を行う場合、検査対象のウェーハは、ポッドと称する一又は複数枚のウェーハを収納可能なケースに予め格納されて観察準備される。観察及び測長を実施する際は、このポッドからウェーハが1枚ずつ取り出され、測長SEMのロードロック室と呼ばれる大気圧状態と真空状態との雰囲気変換室に一旦搬送されて雰囲気を真空状態に調整されてから、試料室に搬送され、上述した観察及び測長が実施される。観察及び測長が済んだウェーハは、試料室からロードロック室に一旦搬送されて雰囲気を大気圧状態に調整されてから、ロードロック室より取り出され、ポッドに搬送して戻される。
【0005】
測長SEMを用いたウェーハの検査や評価では、このような観察及び測長作業が、ウェーハ1枚毎、ポッドに収納されている検査対象のウェーハの枚数分だけ、繰り返し行われる。その際、ポッドと測長SEMのロードロック室との間のウェーハの搬送には、通常、ロボットが使用される。ロボットは、測長SEMによる観察及び測長を実施する都度、ポッドから取り出した検査対象のウェーハを、測長SEMのロードロック室に備えられているホールダと称すウェーハ保持具まで搬送し、ホールダ上の規定位置に搭載する。ホールダは、ロードロック室内で板バネによって保持されており、ロードロック室内に設けられたアームの作動に応動して、試料室内の試料ステージとの間で移動可能な構成になっている。ホールダの表面には、ウェーハを規定の位置に保持しておくための固定ピン及び可動ピンが、間隔を空けて立設されている。ホールダの規定の位置に搭載されたウェーハは、この可動ピンによって固定ピンに押し付けられて規定の位置に保持される。
【0006】
ロードロック室は、ポッドとの間でのウェーハ搬送のために大気圧状態になった雰囲気を試料室内と同じ真空状態にするため、バルブを介してドライポンプの吸込側と接続されている。測長SEMでは、ホールダの規定位置へのウェーハの搭載が完了すると、ロードロック室は密閉され、前述したバルブの開放によってドライポンプの吸込側と連通されて室内の真空引きが行われる。その後、ロードロック室は、規定の真空度に達すると、ロードロック室と試料室との間が開放状態となり、ウェーハは、ロードロック室からホールダごと試料室内に搬送され、試料室内で荷電粒子線の照射を受ける。
【0007】
また、ロードロック室には、ウェーハの有無やホールダへの異常搭載を検出するためのセンサが備えられている。測長SEMでは、ウェーハの未搭載や異常搭載が発生した場合は、ウェーハが搭載されるホールダの試料室への搬送を停止する等といったシステム化がはかられている。
【0008】
このような測長SEMの基板搬送システムとして、特許文献1には、ホールダに保持されたウェーハの上表面及び下表面それぞれに向けて光ビームを照射してウェーハの上表面及び下表面それぞれで反射させ、上表面及び下表面それぞれで反射された光ビームが受光器で受光されるか否かによって、ウェーハの保持状態が正常か否かを判断するウェーハ保持状態の確認システムを備えたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−64155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したような測長SEMを用いた半導体素子や集積回路の検査工程等では、測長SEMによる通常の観察仕様サイズのウェーハよりも小さなサイズのウェーハも、通常の観察仕様サイズのウェーハの観察,測長と同様にして、同じ装置で観察,測長したい、という要求がある。
【0011】
この要求に対応するためには、通常、ホールダの規定の位置にウェーハを保持しておくための固定ピン及び可動ピンのホールダ表面における配置位置を、測長SEMによる通常の観察仕様サイズよりも小さな所定のウェーハサイズに合せて変更したホールダを別途用意しておき、検査対象のウェーハのサイズが変わる場合には、ホールダごと交換して対応する場合が多い。
【0012】
この別途用意したホールダの場合、ホールダの規定の位置に保持しておくための固定ピン及び可動ピンは、測長SEMの観察仕様サイズよりも小さな所定のウェーハの外周に沿って、ホールダの表面上に配置される。しかし、この別途用意したホールダの外寸は、ロードロック室と試料室の試料ステージとの間でウェーハが搭載されているホールダごと搬送する基板搬送システムの構成自体は同じなので、観察仕様サイズのウェーハのホールダの外寸と変わらない。また、ロードロック室に備えられているウェーハの有無やホールダへの異常搭載を検出するためのセンサの構成や配置もそのままである。
【0013】
そのため、この測長SEMの通常の観察仕様サイズよりも小さな所定のウェーハサイズに合せて変更したホールダでは、ホールダの表面上における固定ピン及び可動ピンで規定されたウェーハ正常搭載エリア以外のエリアが、測長SEMの通常の観察仕様サイズに合ったホールダの場合よりも拡大する。
【0014】
反対に、ウェーハの有無やホールダへの異常搭載を検出するためのセンサの構成や配置は、検査対象のウェーハが小さくなり、ホールダの表面上におけるウェーハ正常搭載エリア(規定領域部分)が小さくなるため、観察仕様サイズのウェーハであればウェーハの有無やホールダへの異常搭載を検出できたのに、小さな所定のウェーハの場合は、ウェーハの有無やホールダへの異常搭載が検出できなくなる場合が生じる虞がある。
【0015】
このように検出される環境が変化し、特にウェーハ正常搭載エリア以外のエリア(規定外領域部分)が拡大するため、この拡大したウェーハ正常搭載エリア以外のエリアに位置するウェーハを、センサの配置等を変えることなく、同じセンサの出力に基づいて、異常搭載等を漏れなく検出できる仕組みが必要となる。
【0016】
本発明は、上述した問題点を鑑みなされたものであって、外寸が同じ基板保持具に観察試料として異なるサイズの基板が搭載される場合であっても、搭載される基板の違いにかかわらず、基板の未搭載や異常搭載を正確にセンサに検出させることができる基板保持具及び基板搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は上記した課題を解決するために、基板保持具としてのホールダ上の、基板が正常に置かれる規定領域部分以外の規定外領域部分に、異常搭載された基板が乗り上げるピンを立設配置し、異常搭載された基板の姿勢状態を、ホールダへの基板の異常搭載を検出するセンサが検出可能な姿勢状態にすることを特徴とする。
【0018】
また、ピンは、ホールダが配置されている空間の内壁から基板の大きさ以内の規定外領域部分のホールダ上に立設配置され、さらに規定領域部分の外周回りに沿って規定外領域部分に立設配置された隣り合うピン同士の間隔は、基板の大きさ以内になっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、通常搬送する観察仕様サイズの基板より小さい基板を搬送しても、試料としての基板の異常搭載を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態に係る基板保持具及び基板搬送システムが適用された測長SEMの一実施例を上方から眺めた概略構成図である。
【図2】ロードロック部の部分断面上面図である。
【図3】図2に示したロードロック部の部分側面断面図である。
【図4】ホールダにウェーハが異常搭載されている場合の、ロードロック部の部分断面上面図である。
【図5】図4に示したロードロック部の部分側面断面図である。
【図6】観察仕様サイズの試料よりも小さな試料の観察検査用のホールダが設けられたロードロック部の部分断面上面図である。
【図7】観察仕様サイズの試料よりも小さな試料の観察検査用のホールダにウェーハが異常搭載されている場合の、ロードロック部の部分断面上面図である。
【図8】図7に示したロードロック部の部分側面断面図である。
【図9】観察仕様サイズの試料よりも小さな試料の観察検査用のホールダが設けられたロードロック部の部分断面上面図である。
【図10】傾き検出用ピンの第1の配置例の説明図である。
【図11】傾き検出用ピンの第2の配置例の説明図である。
【図12】傾き検出用ピンの第3の配置例の説明図である。
【図13】傾き検出用ピンの第4の配置例の説明図である。
【図14】傾き検出用ピンの第4の配置例の別の説明図である。
【図15】本実施の形態に係るホールダ及びこれを用いた基板搬送システムにおけるウェーハの異常搭載状態のロードロック部の部分断面上面図である。
【図16】図15に示したロードロック部の部分側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る基板保持具及び基板搬送システムの一実施の形態について、図面に基づき説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る基板保持具及び基板搬送システムが適用された測長SEMの一実施例を上方から眺めた概略構成図である。
【0023】
測長SEM1は、ミニエンバイラメント方式の試料搬送装置10と、走査型電子顕微鏡本体20とを有する。ミニエンバイラメント方式とは、所定の清浄度を有する局所的な空間又は環境を備えるという意味である。測長SEM1は、試料搬送,試料観察,測定を含む諸動作を、図示省略した付設のコンピュータ装置によって制御される。オペレータは、コンピュータ装置のマウスやキーボード,表示器の画面上に表示されるOSD(On Screen Display)等のユーザーインターフェースを使用して、測長SEM1に実行させる試料搬送等の制御処理についての指示や設定入力等をコンピュータ装置に行う。
【0024】
試料搬送装置10は、図示の場合、2つのロードポート11(11a,11b)と、1台の試料搬送ロボット12とを備えた構成になっている。ロードポート11には、装置オペレータ又はAGV(Automatic Guided Vehicle)により、オープンカセット又はFOUP(Front-Opening Unified Pod)といったウェーハ2の搬送・保管用のウェーハ収納ケース13が搭載される。ロードポート11には、例えばFOUPのような、蓋又は扉によりケース内の気密を維持できるポッドの搭載に対しては、その蓋又は扉の開閉を制御する機構が備えられている。試料搬送ロボット12は、ロードポート11に搭載されているウェーハ収納ケース13からウェーハ2を取り出して走査型電子顕微鏡本体20の2つのロードロック室24の一方に搬送したり、この一方のロードロック室24からウェーハ2を取り出してウェーハ収納ケース13に収納して戻したりする。
【0025】
試料搬送装置10は、ウェーハ2が搬送される部分は局所的にクリーン度を高める必要があるため、装置全体がミニエンバイラメント方式試料搬送機構14で覆われている。ミニエンバイラメント方式試料搬送機構14には、FFU(Fan Filter Unit)が備えられている。機構内部へは、このFFUを通して、クリーン度の高い空気が機構外部の大気圧雰囲気よりも陽圧状態で供給されている。
【0026】
走査型電子顕微鏡本体20は、ロードロック部21と、ステージ部22と、鏡筒部23とを一体的に備えた構成になっている。ロードロック部21には、大気圧状態と真空状態との雰囲気変換室として一対のロードロック室24(24a,24b)が設けられている。ステージ部22には、ウェーハ2に荷電粒子線を照射するため真空状態に保持される試料室25が設けられ、試料室25内にはウェーハ2を搭載したホールダ26が搬送される試料ステージ29が備えられている。各ロードロック室24は、試料搬送ロボット12が配置されているミニエンバイラメント方式試料搬送機構14内と、両者間に介在させたロードドア34の開・閉に対応して連通・遮断され、ステージ部22の試料室25と、両者間に介在させたゲートバルブ35の開・閉に対応して連通・遮断される。各ロードロック室24は、ロードドア34及びゲートバルブ35の閉塞により、ミニエンバイラメント方式試料搬送機構14内及び試料室25それぞれに対して密閉される。
【0027】
鏡筒部23には、荷電粒子線を生成する荷電粒子源(図示省略)と、この荷電粒子源により生成された荷電粒子線を収束,偏向して試料室25内の試料ステージ29に搭載されたウェーハ2に照射する電子光学系(図示省略)とが設けられている。さらに、鏡筒部23又はステージ部22には、観察試料像を取得するため、荷電粒子線の照射により試料から放出される放出荷電粒子を検出する検出器(図示省略)が設けられている。また、ロードロック室24には、試料搬送装置との間の試料搬送で大気圧雰囲気に開放された室内をステージ部22の試料室25内と同じ真空状態にするため、図示せぬバルブを介してドライポンプの吸込側と接続されている。
【0028】
このように構成された測長SEM1において、装置オペレータ又はAGVによってロードポート11にウェーハ収納ケース13が搭載されると、ウェーハ収納ケース13に収納されている検査対象のウェーハ2は、試料搬送ロボット12によって取り出され、開放されたロードドア34を介してロードロック室24に搬送され、ロードロック室24に配置されているホールダ26の規定の位置に搭載される。このホールダ26へのウェーハ2の搭載が完了すると、ロードロック室24は、ロードドア34が閉じられ、試料搬送ロボット12によるウェーハ2の搬入に伴って開放された室内を外部に対して密閉し、ドライポンプとの間に設けられたバルブが開放され、室内のドライポンプによる真空引きが行われる。
【0029】
真空引きによってロードロック室24が規定の真空度に達すると、ドライポンプとの間のバルブが閉塞してドライポンプによる真空引きが停止され、ステージ部22の試料室25との間に設けられているゲートバルブ35を開放して、ウェーハ2をホールダ26ごと試料室25内に搬送し、ウェーハ2はホールダ26ごと試料ステージ29に搭載される。試料ステージ29に搭載されたウェーハ2は、荷電粒子線の照射を受け、観察及び測長が行われる。
【0030】
検査終了後は、試料室25内の試料ステージ29にホールダ26ごと搭載されたウェーハ2は、ロードロック室24との間の開放されたゲートバルブ35を介して、試料室25からロードロック室24内に搬送されて戻される。その後、試料室25との間のゲートバルブ35を閉じて試料室25に対してロードロック室24を閉塞した後、ロードロック室24は大気圧開放され、その真空度が下げられる。ロードロック室24が大気圧状態になると、ロードドア34が開放され、検査が終了したウェーハ2は、ロードロック室24からロードポート11上の当該ウェーハ2が取り出されたウェーハ収納ケース13へ試料搬送ロボット12により戻されて収納される。
【0031】
次に、ロードロック室24を備えたロードロック部21の詳細な構成と、ロードロック室24の配置されているホールダ26へのウェーハ2の搭載について、図2〜図4に基づき詳しく説明する。
【0032】
図2は、ロードロック部の部分断面上面図を、図3は、図2に示したロードロック部の部分側面断面図をそれぞれ示す。
【0033】
図示の例では、ロードロック部21は、直方体形状の中空の筐体31を備え、その中空部がロードロック室24を形成する。図中、Xは筐体31及びロードロック室24の幅方向を、Yは筐体31及びロードロック室24の長さ方向を、Zは筐体31及びロードロック室24の高さ方向をそれぞれ示す。ここで、この筐体31の長さ方向Yは、ステージ部22の試料室25に対してのロードロック室24に配置されたホールダ26の搬送方向と同方向で、その両端側には、ロードポート11とロードロック室24との間でウェーハ2を搬送する際にロードロック室24を開放するロードドア34、ロードロック室24と試料室25との間でウェーハ2を搬送する際にロードロック室24を試料室25に連通させるゲートバルブ35が設けられている。
【0034】
また、筐体31の内壁底面における幅方向X両側には、断面矩形状の柱状部材32R,32Lが筐体31の長さ方向Yに沿って延設され、ベース32を構成している。各ベース32(32R,32L)には、その長さ方向Yに沿ってホールダ26を移動可能に支持するためのレール33(33R,33L)が延設されている。各レール33(33R,33L)には、ホールダ26に回転可能に取り付けられているホイール27(27R,27L)が係合し、ホールダ26をロードロック室24の長さ方向Yに沿って移動可能に支持している。ホールダ26は、その天面が矩形状の平坦な載置面28となった盤状部材によって構成されている。そして、ホールダ26は、このロードロック室24内で図示省略した板バネによって保持されて、同じく図示省略したアームの作動に応動して、ホイール27をレール33上で転動させ、試料室25内の試料ステージ29との間で移動可能な構成になっている。
【0035】
一方、ウェーハ2は、ロードロック室24に配置されたホールダ26に対し、ホールダ26の載置面28に立設されている2本の固定ピン41(41a,41b)と1本の可動ピン42とによって、位置決め固定される。2本の固定ピン41と1本の可動ピン42は、それぞれの外周面が薄板円盤形状のウェーハ2に外接するように互い適宜間隔を設け、ホールダ26の載置面28上に配置されている。この2本の固定ピン41及び1本の可動ピン42によって規定される内方の載置面28の領域は、正常搭載されたウェーハ2が対向する載置面28の規定領域部分Pに該当する。載置面28の規定領域部分Pには、位置決め搭載されるウェーハ2を水平に支持するための、固定ピン41や可動ピン42よりも高さが低い複数の支持ピン43(43a〜43c)が立設されている。そして、載置面28の規定領域部分Pに搭載されたウェーハ2は、複数の支持ピン43によって水平に支持され、可動ピン42によって固定ピン41に押し付けられて保持される。
【0036】
ところで、図1,2に示したホールダ26の場合、その固定ピン41,可動ピン42,支持ピン43の配置は、測長SEMの観察仕様サイズに合った観察仕様サイズウェーハ、例えば12インチウェーハ2Lを検査対象として構成されたものである。また、このホールダ26自体の大きさ(幅や長さ)も、12インチウェーハ2Lがはみ出さない大きさになっており、これに伴い、ロードロック室24の大きさや、レール33(33R,33L)等も、このホールダ26の大きさに対応したものとなっている。
【0037】
その上で、ロードロック部21には、ホールダ26が測長SEM1の観察仕様サイズの12インチウェーハ2Lを観察検査用になっていることを前提に、ホールダ26上における12インチウェーハ2Lの有・無を検出するウェーハ有無センサ46と、そのホールダ26上での12インチウェーハ2Lの異常載置状態を検出する複数のウェーハ傾きセンサ47(47a,47b)とが備えられている。
【0038】
ウェーハ有無センサ46及びウェーハ傾きセンサ47は、試料搬送ロボット12によるロードロック室24に配置されたホールダ26の規定の位置への搬送精度、ホールダ26に設けられている可動ピン42の位置ずれ、又は試料搬送装置10自体の振動等が起因して、ウェーハ2Lがホールダ26の規定の位置に正常に載置されない場合があり、このような異常状態が生じたのをそれぞれのセンサ出力を基に検出する。
【0039】
各センサ46,47は、ロードロック部21の一対のレール33(33R,33L)の一方に取付台36a,37aを介して向き及び高さを調整されて設けられた光ビームの発光部46D,47D(47Da,47Db)と、一対のレール33(33R,33L)の他方にこの発光部46D,47Dから出射された光ビームを受光するように取付台36b,37bを介して向き及び高さを調整されて設けられた受光部46I,47I(47Ia,47Ib)とを有する。
【0040】
ウェーハ有無センサ46は、ホールダ26に対する搭載された12インチウェーハ2Lによってその光軸通路が途中で遮光されるように、発光部46D及び受光部46Iが配置されている。図示の例では、ウェーハ有無センサ46は、載置面28の規定領域の長さ方向Yの中央部分において、幅方向Xに沿って光軸通路が延びるように配置されている。
【0041】
これに対し、ウェーハ傾きセンサ47(47a,47b)は、12インチウェーハ2Lのホールダ26に対しての正常搭載状態(12インチウェーハ2Lが2本の固定ピン41と1本の可動ピン42とによって位置決め固定され、複数の支持ピン43のいずれによっても支持されている搭載状態)では、光軸通路が途中でウェーハ2Lによって遮光されないように、発光部47D(47Da,47Db)及び受光部47I(47Ia,47Ib)が配置されている。
【0042】
図示の例では、ウェーハ傾きセンサ47では、その発光部47D及び受光部47Iは、両者間の光軸通路が正常搭載されているウェーハ2Lの上面よりもやや高い高さ位置をその上面に沿って遮光されることなく延びるように配置されている。また、各ウェーハ傾きセンサ47a,47bは、ウェーハ有無センサ46の光軸通路を挟んで、それぞれの光軸通路がホールダ26の長さ方向Yに係り互いに反対側に位置するように配置されている。加えて、各ウェーハ傾きセンサ47a,47bの光軸通路は、それぞれの検出範囲の拡大をはかるために、その発光部47D(47Da,47Db)と受光部47I(47Ia,47Ib)の取付位置がホールダ26の長さ方向Yにずれ、各光軸通路が幅方向Xに対して傾斜しているようになっている。
【0043】
このように構成されたウェーハ有無センサ46及びウェーハ傾きセンサ47に係り、試料搬送装置10では、ウェーハ有無センサ46の光軸が遮光された場合には、ホールダ26にウェーハ2Lが搭載されていると判断し、遮光されなかった場合には、ホールダ26にウェーハ2Lは未搭載であると判断する。
【0044】
同様にして、試料搬送装置10では、いずれのウェーハ傾きセンサ47の光軸も遮光されていない場合には、ホールダ26にウェーハ2Lは正常搭載されていると判断し、いずれかのウェーハ傾きセンサ47の光軸が遮光されている場合には、ホールダ26にウェーハ2Lは異常搭載されていると判断する。
【0045】
図2,3は、ホールダ26にウェーハ2Lは正常搭載されている場合のロードロック部21の部分断面上面図,部分側面断面図にそれぞれ該当する。
【0046】
図2,3に示すように、2本の固定ピン41と1本の可動ピン42とによって位置決め固定され、かつ複数の支持ピン43のいずれによっても支持された状態のホールダ26に対してのウェーハ2Lの正常搭載時には、光軸が遮光されているウェーハ有無センサ46の出力を基に「ホールダ26上にウェーハ2Lが搭載されている」と判断され、どちらも遮光されていないウェーハ傾きセンサ47a,47bのそれぞれ出力を基に「ホールダ26上にウェーハ2Lは正常に搭載されている」と判断される。
【0047】
これに対し、図4,5に示すような、ホールダ26に対するウェーハ2Lの異常搭載時には、少なくとも1つの遮光されているウェーハ傾きセンサ47a,47bの出力を基に「ホールダ26上にウェーハ2Lは異常に搭載されている」と判断される。
【0048】
図4,5は、ホールダにウェーハが異常搭載されている場合の、ロードロック部の部分断面上面図,部分側面断面図を示したものである。
【0049】
図4,5に示した例では、ウェーハ2Lが可動ピン42の天面に乗り上げて支持ピン43cから離間してしまって支持されないため、ウェーハ2Lが2本の固定ピン41と1本の可動ピン42とによって位置決め固定されずに、ホールダ26に対して傾斜して搭載されてしまっている異常搭載状態を示している。
【0050】
図1に示した測長SEM1では、ロードポート11のウェーハ収納ケース13から取り出されたウェーハ2Lのロードロック室24への搬送において、ウェーハ2Lがロードロック室24に配置されたホールダ26の規定の位置に正常に搭載されたのが確認された場合にだけ、ロードロック室24の真空度の調整が行われ、ウェーハ2はホールダ26ごと走査型電子顕微鏡本体20の試料室25内に搬送されて試料ステージ29に搭載されるようになっている。また、検査終了後に、試料室25内の試料ステージ29にホールダ26ごと搭載されたウェーハ2がロードロック室24内に搬送されて戻されたときにも、同様にして、ウェーハ有無センサ46及びウェーハ傾きセンサ47により、ウェーハ2Lがホールダ26の規定の位置に正常に搭載された状態が保持続けられているかを確認できるようになっている。
【0051】
ところで、上述したような検査対象のウェーハ2の観察仕様サイズとして12インチウェーハ2Lに適応する測長SEM1において、観察仕様サイズの12インチウェーハ2Lよりも小さな例えば6インチウェーハ2Sについて、観察仕様サイズの12インチウェーハ2Lの観察,測長と同様にして、同じ装置で観察,測長する場合について述べる。
【0052】
この場合、ロードロック室24と試料室25との間で12インチウェーハ2Lを搭載して移送するホールダ26に代えて、6インチウェーハ2Sを搭載して移送するホールダ30がロードロック部21のレール33に装着される。
【0053】
図6は、観察仕様サイズの試料よりも小さな試料の観察検査用のホールダが設けられたロードロック部の部分断面上面図である。
【0054】
この場合、ホールダ30の載置面28における固定ピン41及び可動ピン42の配置位置は、ロードロック部21でのウェーハ有無センサ46及びウェーハ傾きセンサ47による検出等を考慮しながら2本の固定ピン41(41a,41b)と1本の可動ピン42のそれぞれの外周面が薄板円盤形状の6インチウェーハ2Sに外接するように、互い適宜間隔を設けて配置されている。そのため、この2本の固定ピン41及び1本の可動ピン42によって規定される内方の載置面28の領域は、正常搭載された6インチウェーハ2Sと対向する載置面28の規定領域部分Pに該当し、ウェーハ有無センサ46及びウェーハ傾きセンサ47それぞれの光軸通路がこの載置面28の規定領域部分Pを通過する構成になっている。載置面28の規定領域部分Pには、位置決め搭載される6インチウェーハ2Sを水平に支持するための、固定ピン41(41a,41b)や可動ピン42よりも高さが低い複数の支持ピン43(43a〜43c)が同様に立設されている。そして、載置面28の規定領域部分Pに搭載されたウェーハ2は、複数の支持ピン43によって水平に支持され、可動ピン42によって固定ピン41に押し付けられて保持される。
【0055】
この場合、ホールダ30は、その載置面28を含む盤状部材の大きさ自体は12インチウェーハ2Lの場合と変わりないので、載置面28の規定領域部分Pが小さくなった分だけ反対にロードロック室24内において、この規定領域部分Pを除いた、この規定領域部分Pの外方のロードロック室24内の規定外領域部分Qが拡大することになる。
【0056】
図7,8は、観察仕様サイズの試料よりも小さな試料の観察検査用のホールダにウェーハが異常搭載されている場合の、ロードロック部の部分断面上面図,部分側面断面図を示したものである。
【0057】
この結果、図7及び図8に示すように、6インチウェーハ2Sが載置面28の規定領域部分Pから外れ、その外方の規定外領域部分Qにおいてホールダ30の載置面28に直接載置されてしまっている異常搭載状態にあっては、ウェーハ傾きセンサ47(47a,47b)はそれぞれの光軸通路がウェーハ2Sにより遮光されない。そのため、試料搬送装置10では、このウェーハ傾きセンサ47(47a,47b)の出力を基に「ホールダ30上にウェーハ2Sは正常に搭載されている」と判断されることになる。また、この異常状態においては、この異常搭載状態のウェーハ2Sは、ウェーハ有無センサ46の光軸通路も遮光することができない。そのため、試料搬送装置10では、このウェーハ有無センサ46の出力を基に「ホールダ30上にはウェーハ2Sは未搭載である」と判断されることになる。
【0058】
また、図7において、二点鎖線で示すように、ウェーハ2Sが可動ピン42の天面にのみ乗り上げて、ウェーハ2Sが2本の固定ピン41(41a,41b)及び複数の支持ピン43(43a〜43c)のいずれにも当接することなく、ロードロック室24内の規定外領域部分Qに外れて搭載されている場合は、ウェーハ傾きセンサ47(47a,47b)のそれぞれ光軸通路はウェーハ2Sにより遮光されない点は同じであるのに対し、ウェーハ有無センサ46の光軸通路はロードロック室24の長さ方向Yに傾倒したウェーハ2Sによって遮光されることがある。この場合、試料搬送装置10では、ウェーハ有無センサ46の出力を基に「ホールダ30上にウェーハ2Sが搭載されている」と判断され、どちらも遮光されていないウェーハ傾きセンサ47a,47bのそれぞれ出力を基に「ホールダ30上にウェーハ2Sは正常に搭載されている」と判断されることになる。この結果、試料搬送装置10は、ホールダ30を走査型電子顕微鏡本体20の試料室25に搬送することになるので、その際のホールダ30の移動によって異常搭載状態のウェーハ2Lが破損してしまう。
【0059】
そこで、図9に示した観察仕様サイズの試料(例えば、12インチウェーハ2L)
よりも小さな試料(例えば、6インチウェーハ2S)の観察検査用のホールダ50にあって、ホールダ50の載置面28の規定外領域部分Qに、ウェーハ傾きセンサ47a,47bの出力を基に「ホールダ50上にウェーハ2Sは正常に搭載されている」と試料搬送装置10に判断させないように、この規定外領域部分Qに異常搭載されたウェーハ2Sの姿勢を保持する傾き検出用のピン51が配置されている。
【0060】
この傾き検出用ピン51が配置されているホールダ50の実施例について、図面に基づき説明する。なお、説明にあたって、上述したホールダ26,30の場合と同一又は同様な構成部分について、同一符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0061】
図9は、この傾き検出用ピンを備えた、観察仕様サイズの試料よりも小さな試料の観察検査用のホールダが設けられたロードロック部の部分断面上面図を示す。
【0062】
図9において、ホールダ50は、観察仕様サイズのウェーハ2(例えば、12インチウェーハ2L)よりも小さなウェーハ2(例えば、6インチウェーハ2S)の観察検査用のものである。ホールダ50において、載置面28を含む盤状部材の大きさ自体は12インチウェーハ2Lの場合と変わりないので、載置面28の規定領域部分Pが小さくなった分だけ反対にロードロック室24内において、この規定領域部分Pを除いた、規定領域部分P外方のロードロック室24内の規定外領域部分Qが拡大している。
【0063】
このロードロック室24内の規定外領域部分Qに含まれるホールダ50の載置面28には、6インチウェーハ2Sがロードロック室24内の規定外領域部分Qに外れて異常搭載された場合に、ウェーハ2Sを必ずウェーハ傾きセンサ47(47a,47b)の光軸通路を遮光する載置状態にするための傾き検出用ピン51が立設されている。
【0064】
傾き検出用ピン51は、その高さが支持ピン43(43a〜43c)の高さ以上の、6インチウェーハ2Sがその頂部に乗り上げることによりウェーハ2Sを載置面28上で傾倒させて、その傾倒部分でウェーハ傾きセンサ47(47a,47b)の光軸通路を遮光する構成になっている。
【0065】
次に、ロードロック室24内の規定外領域部分Qに該当するホールダ50の載置面28への傾き検出用ピン51の配置について説明する。
【0066】
図10は、傾き検出用ピンの第1の配置例の説明図である。
まず、前提条件として、傾き検出用ピン51は、ロードロック室24内の規定外領域部分Qに6インチウェーハ2Sが異常搭載されそうになる場合に、このウェーハ2Sが乗り上げてウェーハ傾きセンサ47a,47bのいずれかの光軸通路と交差するように、規定外領域部分Qに配置されている。
【0067】
具体的には、
1) 傾き検出用ピン51は、ロードロック室24の内壁に接する小口径ウェーハ2Sの直径円内の、かつ、ロードロック室24の内壁から小口径ウェーハ2Sの半径以上離れているロードロック室24内の規定外領域部分Q(図10中の網掛け部分)に、ウェーハ傾きセンサ47(47a,47b)の光軸通路をそれ自体が遮光しないように立設配置されている、
2) 一の傾き検出用ピン51に対して規定領域部分Pの外周回りに沿って隣り合う別の傾き検出用ピン51は、一の傾き検出用ピン51に接した状態の小口径ウェーハ2Sの直径円内の規定外領域部分Qに、ウェーハ傾きセンサ47(47a,47b)の光軸通路をそれ自体が遮光しないように立設配置されている、
3) 傾き検出用ピン51は、規定外領域部分Qの一部が、ロードロック室24内の載置面28の小口径ウェーハ2Sを搭載する規定領域部分Pと接する若しくは重なる場合には、規定領域部分Pと外接するように配置され、ウェーハ2Sを規定領域部分Pに対して位置決め固定するための、固定ピン41(41a,41b)又は可動ピン42を兼ねる、
ようになっている。
【0068】
図10に示した例では、傾き検出用ピン51は、ピン51a〜51fからなり、その中の傾き検出用ピン51b,51fは固定ピン41a,41bを兼ね、傾き検出用ピン51cは、可動ピン42を兼ねるようになっている。
【0069】
図11は、傾き検出用ピンの第2の配置例の説明図である。
図11に示すように、図10に示した傾き検出用ピンの第1の配置例では、ピン51a,51c,51d,51eは、ロードロック室24の内壁の隣り合う二辺に接する小口径ウェーハ2Sの直径円内の、かつ、ロードロック室24のこの隣り合う内壁それぞれから小口径ウェーハ2Sの半径以上離れているロードロック室24内の規定外領域部分Qt(図11中の、網掛け部分)に、規定領域部分P及びウェーハ傾きセンサ47(47a,47b)の光軸通路を避けて配置されている。
【0070】
このようなロードロック室24の隅部に対応した規定外領域部分Qtに配置されるピン51a,51c,51d,51eについては、ロードロック室24の内壁の一辺のみに接する小口径ウェーハ2Sの直径円内の、かつ、その接する内壁から小口径ウェーハ2Sの半径以上離れているロードロック室24内の規定外領域部分Qu(図11中の、網掛け部分)に配置される傾き検出用ピン51を兼ねることもできる。
【0071】
この場合、ロードロック室24の内壁の隣り合う二辺それぞれについて、ロードロック室24の内壁の対応する辺のみに接する小口径ウェーハ2Sの直径円R1,R2同士を、互いに接して配置した、図11に示すような状態を考える。
【0072】
その状態で、傾き検出用ピン51d,51eのように、規定外領域部分Qtと隣り合う一方の規定外領域部分Quとのいずれにも位置する傾き検出用ピン51であれば、ロードロック室24の内壁の隣り合う二辺に接するウェーハ2Sの異常搭載状態から、隣り合う一方側にロードロック室24の内壁に沿って所定距離範囲内でずれた異常搭載状態まで、ウェーハ傾きセンサ51によりその異常搭載状態を検出させることができる。
【0073】
さらに、傾き検出用ピン51a,51cのように、規定外領域部分Qtだけに位置する傾き検出用ピン51であっても、傾き検出用ピン51a’,51c’ のように、規定外領域部分Qtと隣り合う両方の規定外領域部分Quとに共に位置する傾き検出用ピン51にすることによって、ロードロック室24の内壁の隣り合う二辺に接するウェーハ2Sの異常搭載状態から、隣り合う一方又は他方側にロードロック室24の内壁に沿って所定距離範囲内でずれた異常搭載状態まで、ウェーハ傾きセンサ51によりその異常搭載状態を検出させることができる。
【0074】
その上で、規定領域部分Pの外周回りに沿って並んだ傾き検出用ピン51a(51a’),51b,51c(51c’),51d,51e,51fにおいて、一の傾き検出用ピン51(例えば、51a(51a’))に対して規定領域部分Pの外周回りに沿って隣り合う別の傾き検出用ピン51(例えば、51b又は51f)は、一の傾き検出用ピン51(例えば、51a(51a’))に接した状態の小口径ウェーハ2Sの直径円内の規定外領域部分Qに位置するようになっている。
【0075】
図12は、傾き検出用ピンの第3の配置例の説明図である。
図12に示した例では、さらに規定外領域部分Qtと隣り合う両方の規定外領域部分Quとにも位置する傾き検出用ピン51a,51b,51c,51dの中、ピン51a,51bはそれぞれ固定ピン41を、ピン51cは可動ピン42を兼ねる構成としたものである。
【0076】
さらに、図12に示すように、ロードロック室24の内壁の隣り合う二辺それぞれについて、ロードロック室24の内壁の対応する辺のみに接する小口径ウェーハ2Sの直径円R1,R2同士を、互いに接して配置した場合において、その直径円R1,R2それぞれが、ロードロック室24の内壁の別の隣り合う二辺それぞれの直径円R1,R2にもなる場合は、傾き検出用ピン51は、固定ピン41及び可動ピン42を兼ねた上で、4本の傾き検出用ピン51a〜51dだけで済ますことも可能である。
【0077】
この場合も、規定領域部分Pの外周回りに沿って並んだ傾き検出用ピン51a〜51dにおいて、一の傾き検出用ピン51(例えば、51a)に対して規定領域部分Pの外周回りに沿って隣り合う別の傾き検出用ピン51(例えば、51b又は51d)は、一の傾き検出用ピン51(例えば、51a)に接した状態の小口径ウェーハ2Sの直径円内の規定外領域部分Qに位置するようになっている。
【0078】
図13は、傾き検出用ピンの第4の配置例の説明図である。
図13に示した例では、一の異常搭載状態のウェーハ2Sの直径円R3と、別の異常搭載状態のウェーハ2Sの直径円R4とが離間し、その間に規定外領域部分Qvが介在する場合の傾き検出用ピン51の配置例に関する。
【0079】
この場合、一の異常搭載状態のウェーハ2Sの直径円R3に対しては、図示の例では直径円R3自体がロードロック室24の内壁の隣り合う二辺に接するウェーハ2Sの異常搭載状態に該当するものなので、ロードロック室24の内壁の隣り合う二辺に接する小口径ウェーハ2Sの直径円内の、かつ、ロードロック室24のこの隣り合う内壁それぞれから小口径ウェーハ2Sの半径以上離れているロードロック室24内の規定外領域部分Qtに、傾き検出用ピン51(51e)は立設配置されている。
【0080】
その上で、離間した別の異常搭載状態のウェーハ2Sの直径円R4との間の規定外領域部分Qvにウェーハ2Sが異常搭載された場合のための傾き検出用ピン51gを次のようにして立設配置する。その配置に当たっては、一の異常搭載状態のウェーハ2Sの直径円R3の中心r3と離間した別の異常搭載状態のウェーハ2Sの直径円R4の中心r4と結ぶ線分上に中心r5を有し、傾き検出用ピン51eに接するさらに別の異常搭載状態のウェーハ2Sの直径円R5を考慮する。そして、このさらに別の異常搭載状態のウェーハ2Sの直径円R5内の、かつ、ロードロック室24の内壁から小口径ウェーハ2Sの半径以上離れているロードロック室24内の規定外領域部分に、規定領域部分P及びウェーハ傾きセンサ47(47a)の光軸通路を避けて、傾き検出用ピン51gを立設配置する。そして、このさらに別の異常搭載状態のウェーハ2Sの直径円R5と別の異常搭載状態のウェーハ2Sの直径円R4とが離間し、その間に未だ規定外領域部分Qvが残って介在している場合には、同様な方法で、新たな別の傾き検出用ピン51gの立設配置を行う。
【0081】
なお、図示の例の場合は、新たに立設配置された傾き検出用ピン51gは1つで済み、その傾き検出用ピン51gが離間した直径円R4のウェーハ2Sの異常搭載状態のための傾き検出用ピン51dを兼ね、さらに可動ピン42を兼ねた構成になっている。
【0082】
図14は、傾き検出用ピンの第4の配置例の別の説明図である。
図14に示した例では、上述した第3の配置例にしたがって、傾き検出用ピン51aから順番に、ロードロック室24の内壁に沿って異常搭載状態のウェーハ2Sの直径円Rの中心rを図中の一点鎖線で示した矩形状の軌跡上を変化させて、傾き検出用ピン51gまで立設配置した構成を示したものである。なお、図示の例では、傾き検出用ピン51bは可動ピン42を兼ね、傾き検出用ピン51e,51gはそれぞれ固定ピン41を兼ねるようになっている。
【0083】
図15,16は、本実施の形態に係るホールダ及びこれを用いた基板搬送システムにおけるウェーハの異常搭載状態のロードロック部の部分断面上面図,部分側面断面図を示したものである。
【0084】
図示のように、ロードロック室24内の規定外領域部分Qにはみ出してウェーハ2Sを搭載してしまった場合であっても、ウェーハ2Sはいずれかの傾き検出用ピン51に乗り上げて、ウェーハ傾きセンサ47(47a,47b)の光軸通路がウェーハ2Sにより遮光されるので、試料搬送装置10にウェーハ2Sの異常搭載状態を確実に検出させることができる。
【0085】
このように、本実施の形態に係るホールダ50、及びこれを用いた基板搬送システムによれば、前述した、
1) 傾き検出用ピン51は、ロードロック室24の内壁に接する小口径ウェーハ2Sの直径円内の、かつ、ロードロック室24の内壁から小口径ウェーハ2Sの半径以上離れているロードロック室24内の規定外領域部分Q(図10中の網掛け部分)に、ウェーハ傾きセンサ47(47a,47b)の光軸通路を避けて配置されている、
2) 一の傾き検出用ピン51に対して規定領域部分Pの外周回りに隣り合う別の傾き検出用ピン51は、一の傾き検出用ピン51に接した状態の小口径ウェーハ2Sの直径円内の規定外領域部分Qに、ウェーハ傾きセンサ47(47a,47b)の光軸通路をそれ自体が遮光しないように立設配置されている、
3) 傾き検出用ピン51は、規定外領域部分Qの一部が、ロードロック室24内の載置面28の小口径ウェーハ2Sを搭載する規定領域部分Pと接する若しくは重なる場合には、規定領域部分Pと外接するように配置され、ウェーハ2Sを規定領域部分Pに対して位置決め固定するための、固定ピン41(41a,41b)又は可動ピン42を兼ねる、
との前提条件を基に、上述した第1〜第3の配置例を適宜組み合わせて観察仕様サイズの試料よりも小さな試料の観察検査用のホールダ50を作成することができ、通常搬送する観察仕様サイズの試料(ウェーハ2L)より小さい試料(ウェーハ2S)を搬送しても、試料(ウェーハ2S)の異常搭載を確実に検出することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 測長SEM、 2 ウェーハ、 2L 観察仕様サイズウェーハ、
2S 小口径ウェーハ、 10 試料搬送装置、 11 ロードポート、
12 試料搬送ロボット、 13 ウェーハ収納ケース、
14 ミニエンバイラメント方式試料搬送機構、 20 走査型電子顕微鏡本体、
21 ロードロック部、 22 ステージ部、 23 鏡筒部、
24 ロードロック室、 25 試料室、 26 ホールダ、 27 ホイール、
28 載置面、 29 試料ステージ、 30 ホールダ、 31 筐体、
32 ベース部、 33 レール、 34 ロードドア、 35 ゲートバルブ、
36,37 取付台、 41 固定ピン、 42 可動ピン、 43 支持ピン、
46 ウェーハ有無センサ、 47 ウェーハ傾きセンサ、 50 ホールダ、
51 傾き検出用ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面上に通常の観察仕様サイズの基板よりも小さなサイズの基板が対象基板として搭載され、通常の観察仕様サイズの基板を搭載するものと同様な外寸を有する前記対象基板の基板保持具であって、
前記載置面上に正常搭載された前記対象基板が対向する前記載置面上の規定領域以外の、基板搭載のために配置される室の内壁から前記対象基板の2分の1の大きさ以上離れた前記載置面上の規定外領域に、前記対象基板が乗り上げる傾き検出用ピンを立設配置し、 前記対象基板を、前記室に設けられた通常の観察仕様サイズの基板の異常搭載を検出するセンサが検出可能な姿勢状態にする
ことを特徴とする基板保持具。
【請求項2】
請求項1記載の基板保持具であって、
前記傾き検出用ピンは、前記規定領域部分の外周回りに複数立設配置され、
一の傾き検出用ピンに対して前記規定領域部分の外周回りに隣り合う別の傾き検出用ピンは、一の傾き検出用ピンに接した状態の前記対象基板の大きさの範囲内の前記規定外領域部分に立設配置されている
ことを特徴とする基板保持具。
【請求項3】
請求項1記載の基板保持具を、
ウェーハの異常搭載を検出するセンサが備えられたロードロック室において、通常の観察仕様サイズのウェーハよりも小さなサイズの対象ウェーハを搭載するためのホールダとして用い、
当該ホールダごと前記対象ウェーハを前記ロードロック室から荷電粒子線が照射される真空状態の試料室に搬送する
ことを特徴とする測長SEMの基板搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−33594(P2012−33594A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170194(P2010−170194)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】