説明

基板保管庫

【課題】次処理工程に応じて基板を仕分けるのに要する作業時間を短縮する。
【解決手段】複数の基板Wを収容するカセット80が多段に配置される多段棚5,5と、上記基板Wを複数載置可能な入出部6と、上記多段棚5,5及び上記入出部6の正面5a側に移動可能に配置されるとともに上記多段棚5,5と上記入出部6との間において上記基板Wの受け渡しを行う移載装置20とを備え、上記基板Wをクリーン環境下において移動する基板保管庫であって、上記移載装置20は、複数の上記基板Wを一時的に留め置くことが可能なバッファ領域28と、上記バッファ領域28と上記多段棚5,5との間において任意の基板Wを枚葉搬送する枚葉搬送手段26とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板保管庫に関するものであり、特に、基板をクリーン環境下において移動する基板保管庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやFPD(フラットパネルディスプレイ)が製造されるクリーンルームでは、半導体ウエハやガラスプレート等の基板を複数枚ずつカセットに収容して、カセット毎に搬送したり基板保管庫に収容したりする技術が知られている。例えば、半導体ウエハの場合には、FOUP(Front-Opening Unified Pod)と呼ばれる規格化されたカセットが用いられている。
【0003】
複数枚の基板をカセットに収容して搬送する方法は、少品種大量生産には好都合である。しかし、一つのカセットに同一の処理を行う基板だけを収容しなければならないことから、基板毎に異なる処理を施すような多品種少量生産の場合には、基板が数枚しか収容されていなカセットが増加して、各種処理装置における処理効率や搬送装置の搬送効率、基板保管庫の収容効率等が低下してしまうという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、特許文献1及び特許文献2に開示されるように、基板保管庫においてカセットに収容された基板を仕分けることによって、各種処理装置の処理効率や基板保管庫の収容効率を向上させる技術(いわゆるロット編成機)が提案されている。
【特許文献1】特開2001−31212号公報
【特許文献2】特開平6−156614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1においては、仕分作業の際に、基板を枚葉搬送しているため、一枚の基板の移動が完了してから次の基板の移動を行うこととなり、全ての基板の仕分けが完了するまでに多くの作業時間を要する。
また、特許文献2においては、基板を詰めて保管することによって収容効率を向上させることができるものの、基板の順序自体が入れ替わるものではなく、互いに離れた複数箇所に分散して保管されている。このため、同一の次処理工程を行う基板をまとめて搬出する場合には、保管庫に保管された基板を搬出する際に仕分ける必要が生じる。このため、次処理工程に移行するまでに多くの作業時間を要する。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、次処理工程に応じて基板を仕分けるのに要する作業時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の基板を収容するカセットが多段に配置される多段棚と、上記基板を複数載置可能な入出部と、上記多段棚及び上記入出部の正面側に移動可能に配置されるとともに上記多段棚と上記入出部との間において上記基板の受け渡しを行う移載装置とを備え、上記基板をクリーン環境下において移動する基板保管庫であって、上記移載装置が、複数の上記基板を一時的に留め置くことが可能なバッファ領域と、上記バッファ領域と上記多段棚との間において任意の基板を枚葉搬送する枚葉搬送手段とを備える。
【0008】
このような特徴を有する本発明によれば、枚葉搬送手段によって、任意の基板がバッファ領域と多段棚との間にて枚葉搬送可能とされる。また、バッファ領域に複数の基板を留め置いた状態にて移載装置が移動可能とされる。
【0009】
また、本発明においては、少なくとも上記入出部と上記バッファ領域との間において、複数の上記基板を一度に受け渡しが可能な受渡手段を備えるという構成を採用することができる。
【0010】
また、本発明においては、少なくとも上記入出部と上記バッファ領域との間において、上記入出部あるいは上記バッファ領域に載置される複数の上記基板を一括して受け渡しが可能な受渡手段を備えるという構成を採用することもできる。
【0011】
また、本発明においては、複数の上記基板が単一のカセットに収納されている場合に、上記受渡手段は、上記カセットごと受け渡すことによって、上記基板を一括して受け渡すという構成を採用することができる。
【0012】
また、本発明においては、上記受渡手段が、上記移載装置に設置されるという構成を採用することができる。
【0013】
また、本発明においては、上記受渡手段が、上記入出部に設置されるという構成を採用することもできる。
【0014】
また、本発明においては、上記カセットに扉が設置されている場合に、上記扉を開放可能な扉開放手段が、上記多段棚の正面側に移動可能に配置される移動手段、上記移載装置あるいは上記多段棚に設置され、上記扉を閉鎖可能な扉閉鎖手段が、上記多段棚の正面側に移動可能に配置される移動手段、上記移載装置あるいは上記多段棚に設置されるという構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、枚葉搬送手段によって、任意の基板がバッファ領域と多段棚との間にて枚葉搬送可能とされる。よって、次処理工程に応じて基板を仕分けることができる。また、バッファ領域に複数の基板を留め置いた状態にて移載装置が移動可能とされる。このため、基板一枚の移動ごとに移載装置が多段棚と入出部との間を行き来する必要がなくなる。よって、仕分け作業を短縮することができる。
したがって、本発明によれば、次処理工程に応じて基板を仕分けるのに要する作業時間を短縮することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る基板保管庫の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るウエハ用保管庫1(基板保管庫)の概略構成を示す上面図である。
図2は、ウエハ用保管庫1の正面図である。
なお、図1及び図2においては、後述する多段棚5,5及び該多段棚5,5に設置されるウエハ収容カセット80の図示を一部省略している。また、図2においては、後述する制御部50の図示を省略している。
【0018】
ウエハ用保管庫1は、所定の間隔を空けて平行に対向配置された2つの多段棚5,5と、一方の多段棚5の略中央部に設置される入出庫6と、2つの多段棚5,5の間に配置されるウエハ搬送部20(移載装置)と、これらを統括的に制御する制御部50等を備えている。
【0019】
2つの多段棚5,5は、後述するウエハ収容カセット80が多段に配置されるものであって、ウエハ収容カセット80を載置するカセット載置位置5cが水平方向及び垂直方向に一定間隔で並ぶように、升目状に区画されている。
そして、2つの多段棚5,5は、所定の間隔を空けて、平行に対向配置されている。
【0020】
入出庫6は、ウエハW(基板)が収容されたウエハ収容カセット80あるいは空のウエハ収容カセットを載置可能なものであり、一方の多段棚5の略中央部に2つ設置されている。そして、これらの入出庫6を介して、ウエハ収容カセット80に収容されたウエハWが、内部がクリーン環境に保たれた保管庫本体2に対して出し入れされる。なお、入出庫6の内側開口には、該内側開口を閉塞可能なシャッター18が設置されており、入出庫6にウエハ収容カセット80が収容されていない場合には、シャッター18によって内側開口が閉塞されることによって、保管庫本体2の内外が隔離される。
【0021】
図3は、ウエハ収容カセット80を示す斜視図である。
ウエハ収容カセット80は、複数枚のウエハWを一定間隔を空けて重畳して収容する容器であって、ウエハWを出し入れする正面開口82が形成された容器本体81と、正面開口82を閉塞する気密蓋83(扉)を有している。例えば、直径200mmや300mmのウエハWを水平な状態で複数毎収容することができる。そして、その内部空間は、空気清浄度(クリーン度)が高く維持される。具体的には、クラス1程度の空気清浄度に維持されている。
ウエハ収容カセット80としては、SEMI規格に規定されているFOUP(Front-Opening Unified Pod)が用いることができる。
また、各ウエハ収容カセット80は、正面開口82(気密蓋83)がウエハ搬送部20側(多段棚5,5の正面5a,5a)を向くように、多段棚5,5に載置される。
【0022】
図1及び図2に戻り、ウエハ搬送部20は、多段棚5,5の間の床面に、多段棚5,5に沿って敷設された2本のレール21上を走行する走行部22と、走行部22に立設される一対のマスト23と、該マスト23間を上下方向に移動可能なケージ24と、ケージ24に連結された一括搬送用ウエハローダ25(受渡手段)と、枚葉搬送用ウエハローダ26(枚葉搬送手段)と、オープナー27(扉開放手段及び扉閉鎖手段)とを備えている。
そして,ケージ24上には、一括搬送用ウエハローダ25と枚葉搬送用ウエハローダ26との間に、複数枚のウエハWを一定間隔を空けて重畳して収容可能なバッファ部28が設置されている。
このような、ウエハ搬送部20は、走行部22とケージ24の位置制御によって、一括搬送用ウエハローダ25、枚葉搬送用ウエハローダ26及びオープナー27を、多段棚5,5の正面5a,5aに沿って、二次元方向に移動させることができる。すなわち、ウエハ搬送部20は、多段棚5,5及び入出庫6の正面に移動可能に配置されている。
【0023】
一括搬送用ウエハローダ25は、水平多関節型ロボットであって、ウエハ収容カセット80に収容可能なウエハWの枚数分だけ、ウエハWを保持可能なハンドを多段に備えている。そして、この一括搬送用ウエハローダ25によって、入出庫6に収容された複数のウエハWが一括してバッファ部28に受け渡される。また、一括搬送用ウエハローダ25は、多段棚5,5に設置されるウエハ収容カセット80に収容された複数のウエハWを一括してバッファ部28に受け渡すこともできる。
このように、本実施形態のウエハ用保管庫1においては、入出庫6とバッファ部28との間にてウエハWを一括して受け渡す受渡手段である一括搬送用ウエハローダ25が、移載装置であるウエハ搬送部20に設置されている。
枚葉搬送用ウエハローダ26は、同じく水平関節型ロボットであって、ウエハWを保持可能なハンドを備えている。この枚葉搬送用ウエハローダ26は、ハンドを上下動可能とされており、この枚葉搬送用ウエハローダ26によって、バッファ部28と多段棚5,5との間において任意のウエハWが枚葉搬送される。
【0024】
オープナー27は、ウエハ収容カセット80の気密蓋83の開閉を行うものであって、気密蓋83を吸着又は挾持して水平移動可能とされている。
そして、オープナー27は、ケージ24の2つの側面、すなわち多段棚5,5に対向する2つの面にそれぞれ設けられる。つまり、各多段棚5に対して、1つのオープナー27が対向するように配置される。
そして、各オープナー27が、それぞれ対向する多段棚5に載置されたウエハ収容カセット80の気密蓋83の開閉を行うようになっている。
このように、本実施形態のウエハ用保管庫1においては、気密蓋83を開放可能な扉開放手段としての機能と気密蓋83を閉鎖可能な扉閉鎖手段としての機能を併せ持つオープナー27が、移載装置であるウエハ搬送部20に設置されている。
【0025】
制御部50は、各ウエハWや各ウエハ収容カセット80に関する情報が入力される入力部51と、入力されたウエハ情報を記憶するウエハ情報記憶部52と、入力されたウエハ収容カセット情報を記憶するカセット情報記憶部53と、ウエハ搬送部20の動作指示情報を求める演算処理部54と、演算処理部54で決定したウエハ搬送部20の動作指示情報を記憶する制御情報記憶部55と、制御情報記憶部55から読み出された動作指示情報をウエハ搬送部20等に出力したり、ウエハ搬送部20等からの情報が入力される入出力部56とを備えている。
【0026】
ウエハ情報としては、ID番号や各ウエハWに施される各種処理情報や既に施された処理履歴情報等がある。また、カセット情報としては、ID番号やウエハ収容カセット80が載置されたカセット載置位置5cの位置情報やウエハ収容状況等がある。
そして、演算処理部54では、入力部51で入力された情報等から、入出庫6に載置されたウエハ収容カセット80に収容されたウエハWの仕分け先を決定する。なお、本実施形態のウエハ用保管庫1においては、演算処理部54は、ウエハ用保管庫1から搬出された次に行われる処理工程(次処理工程)の種類に応じて、ウエハWの仕分け先が決定される。具体的には、同一の次処理工程が施されるウエハWが、多段棚5,5に設置された複数のウエハ収容カセット80うち、同一のウエハ収容カセット80に収容されるように、ウエハWの仕分け先が決定される。
【0027】
次に、ウエハ用保管庫1の保管制御方法について説明する。
【0028】
まず、ウエハWが複数収納されたウエハ収容カセット80と、空のウエハ収容カセット80とが入出庫6に設置されると、これらのウエハ収容カセット80及びウエハWに関する情報が、制御部50の入力部51を介して演算処理部54に入力される。
【0029】
続いて制御部50は、入出庫6に設置されたウエハ収容カセット80に収容されるウエハWに関する情報と多段棚5,5に設置されたウエハ収容カセット80に関する情報をウエハ情報記憶部52及びカセット情報記憶部53から読み出し、演算処理部54にて、これらの情報に基づいて入出庫6に設置されたウエハ収容カセット80に収容された複数のウエハWの各仕分け先を決定する。
【0030】
そして、制御部50は、決定された仕分け先に基づいてウエハ搬送部20への動作指示情報を求め、これを記憶すると共に入出力部56を介してウエハ搬送部20に対して出力する。
【0031】
ウエハ搬送部20は、制御部50からの指令に基づいて仕分け作業を開始する。まず、入出庫6に設置された、複数のウエハWを収容するウエハ収容カセット80に向けて移動する。そして、ウエハ搬送部20は、走行部22及びケージ24を制御して、オープナー27が対象のウエハ収容カセット80に対向するように移動させる。
【0032】
なお、ウエハ収容カセット80は、入出庫6に設置される際に、容器本体81が入出庫6の内側開口の内周縁に密着固定される。これにより、外部のエアが保管庫本体2内に侵入することが防止される。また、この際、制御部50は、入出庫6のシャッター18を開放する。
次いで、ウエハ搬送部20は、制御部50からの指令により、オープナー27を移動させてウエハ収容カセット80の気密蓋83に密着、把持(又は吸着)させる。そして、再度オープナー27が移動されることによって、気密蓋83を外す。
【0033】
次に、ウエハ搬送部20は、一括搬送用ウエハローダ25、走行部22及びケージ24を制御して、一括搬送用ウエハローダ25を気密蓋83が取り外されたウエハ収容カセット80に向けて移動させる。そして、ウエハ収容カセット80の正面開口82から容器本体81内にハンドを進入させて、収容された複数のウエハWを一括して把持し、ケージ24上に設置されたバッファ部28に収容する。すなわち、入出庫6とバッファ部28との間において、ウエハWが一括して受け渡される。
その後、ウエハ搬送部20は、再度、オープナー27をウエハ収容カセット80に向けて移動させる。そして、オープナー27が把持している気密蓋83を容器本体81に押し当てて、気密蓋83を容器本体81に取り付ける。
そして、オープナー27がウエハ収容カセット80から退避されると、シャッター18により入出庫6の内側開口が閉塞される。
【0034】
そして、ウエハ搬送部20は、バッファ部28に一括して受け渡されたウエハWを、次処理工程に応じて決定された仕分け先すなわちウエハ収容カセット80に順次収容する。
具体的には、制御部50からの指令により、ウエハ搬送部20は、オープナー27によってウエハ収容カセット80の気密蓋83を外した後、枚葉搬送用ウエハローダ26によって、所定のウエハWを容器本体81内に受け渡す。その後、気密蓋83を閉鎖する。
このような作業を繰り返すことによって、バッファ部28に一時的に留め置かれた複数のウエハWが、次処理工程の種類ごとに各ウエハ収容カセット80に収容される。
ここで、本実施形態のウエハ用保管庫1においては、枚葉搬送用ウエハローダ26がバッファ部28に収容される複数のウエハWのうち、任意のウエハWを枚葉搬送可能とされている。このため、バッファ部28に重畳して留め置かれているウエハWの順序に関係なくウエハWを多段棚5,5に設置されたウエハ収容カセット80に受け渡すことができる。したがって、全てのウエハWを仕分けるにあたって、多段棚5,5に設置されたウエハ収容カセット80のうち、ウエハ搬送部20に近いウエハ収容カセット80から遠いウエハ収容カセット80の順に移動しながら、ウエハWを受け渡していくことができる。よって、ウエハ搬送部20の走行を最小限に抑えることができる。
【0035】
次に、多段棚5,5に設置されたウエハ収容カセット80をウエハ用保管庫1から搬出する場合には、ウエハ搬送部20は、制御部50からの指令により、多段棚5,5に設置された所定のウエハ収容カセット80にオープナー27を対向させるように移動する。そして、オープナー27によって、多段棚5,5の所定のウエハ収容カセット80の気密蓋83を外す。その後、ウエハ搬送部20は、一括搬送用ウエハローダ25を容器本体81に対向させ、一括搬送用ウエハローダ25よって容器本体81内に収容された複数のウエハWを一括してバッファ部28に受け渡す。そして、オープナー27によって、気密蓋83を容器本体81に取り付ける。
【0036】
続いて、ウエハ搬送部20は、入出庫6に設置された空のウエハ収容カセット80にオープナー27が対向するように移動する。そして、オープナー27によってウエハ収容カセット80の気密蓋83を外した後、一括搬送用ウエハローダ25によって、バッファ部28に収容された複数のウエハWを一括して、容器本体81に受け渡す。そして、オープナー27によって、気密蓋83を容器本体81に取り付ける。
これによって、同一の次処理工程が行われるウエハWのみが収容されたウエハ収容カセット80が搬出可能となる。
【0037】
このような本実施形態のウエハ用保管庫1によれば、枚葉搬送用ウエハローダ26によって、任意のウエハWがバッファ部28と多段棚5,5との間にて枚葉搬送可能とされている。よって、次処理工程に応じてウエハWを容易に仕分けることができる。また、バッファ部28に複数のウエハWを留め置いた状態にてウエハ搬送部20が移動可能とされる。このため、ウエハW一枚の受け渡しごとにウエハ搬送部20が多段棚5,5と入出庫6との間を行き来する必要がなくなる。よって、仕分け作業を短縮することができる。
したがって、本実施形態のウエハ用保管庫1によれば、次処理工程に応じてウエハWを仕分けるのに要する作業時間を短縮することが可能となる。
【0038】
なお、シャッター18が気密蓋83を保持する機構を有し、シャッター18を開けると同時にウエハ収容カセット80の気密蓋83が開けられる構成としても良い。このような構成の入出庫6及びシャッター18としては、市販のFOUPオープナーを用いることができる。このようなFOUPオープナーを用いることによって、入出庫6に設置されたウエハ収容カセット80の気密蓋83を、シャッター18の動作によって開閉することができる。このため、ウエハ搬送部20が備えるオープナー27によって開閉する必要がなくなり、動作時間をさらに短縮することが出来る。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0040】
図4は、本発明の第2実施形態に係るウエハ用保管庫100(基板保管庫)の概略構成を示す上面図である。
図5は、ウエハ用保管庫100の正面図である。
なお、図4及び図5においては、多段棚5,5及び該多段棚5,5に設置されるウエハ収容カセット80の図示を一部省略するとともに、制御部50の図示を省略している。
【0041】
この図に示すように、本実施形態のウエハ用保管庫100においては、一括搬送用ウエハローダ25の替わりにカセット搬送ローダ110が設置され、バッファ部28の替わりにバッファ領域Aが形成されている。また、バッファ領域Aに向かって第2のオープナー120が設置されている。
カセット搬送ローダ110は、入出庫6あるいは多段棚5,5とウエハ搬送部20のバッファ領域Aとの間にてウエハ収容カセット80を受け渡すものである。
また、バッファ領域Aは、ウエハ収容カセット80を載置可能な領域である。
また、第2のオープナー120は、バッファ領域Aに載置されたウエハ収容カセット80の気密蓋83を自らに対して上下左右のいずれかの方向に開閉可能なものである。
【0042】
このような構成を有する本実施形態のウエハ用保管庫1によれば、カセット搬送ローダ110によってウエハ収容カセット80ごと複数のウエハWが一括して、入出庫6からウエハ搬送部20のバッファ領域Aに受け渡される。そして、第2のオープナー120によってバッファ領域Aに載置されたウエハ収容カセット80の気密蓋83が外され、この状態にて、ウエハ搬送部20が多段棚5,5に設置されたウエハ収容カセット80に移動して、枚葉搬送用ウエハローダ26によってウエハWが仕分けられる。すなわち、本実施形態においては、ウエハ収容カセット80が受け渡されることによって、複数のウエハWが一括搬送される。
【0043】
なお、ウエハWをウエハ用保管庫100から搬出する場合には、多段棚5,5から複数のウエハWが収容されたウエハ収容カセット80を、カセット搬送ローダ110によってバッファ領域Aに受け渡した後に入出庫6近傍まで搬送し、再度、カセット搬送ローダ110によって入出庫6に受け渡すことによって可能となる。
なお、ウエハ収容カセット80は、保管庫本体2の外部から搬送されてくるため、外側が汚染されている虞がある。このため、例えば、入出庫6に洗浄機能を持たせ、ウエハ収容カセット80を洗浄した後に保管庫本体2の内部に取り込むことが好ましい。
【0044】
このような本実施形態のウエハ用保管庫100においても、入出庫6に設置されたウエハWが一括してウエハ搬送部20に受け渡されるため、上記第1実施形態のウエハ用保管庫1と同様の効果を奏することができる。
【0045】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲においてプロセス条件や設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0046】
例えば、上記第1実施形態においては、ウエハ収容カセット80に収容されたウエハWを一括して受け渡す場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、ウエハ収容カセット80に収容されたウエハWのうち何枚か(複数)のウエハWのみを入出庫6あるいは多段棚5,5とウエハ搬送部20との間で一度に受け渡す構成であっても良い。このような場合であっても、バッファ部28には、少なくとも複数枚のウエハWが載置されるため、従来のウエハ一枚ごとに搬送していたウエハ用保管庫と比較すれば、次処理工程に応じてウエハWを仕分けるのに要する作業時間を短縮することが可能となる。
【0047】
また、上記実施形態においては、一括搬送用ウエハローダ25あるいはカセット搬送ローダ110とがウエハ搬送部20に設置されている構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、一括搬送用ウエハローダ25あるいはカセット搬送ローダ110とが入出庫6に設置されていても良い。このような場合には、ウエハ搬送部20の走行方向の長さを短くすることができるため、ウエハ用保管庫内におけるデットスペースを削減し、ウエハ用保管庫の収容効率を向上させることができる。
【0048】
また、上記実施形態においては、ウエハ収容カセット80が気密蓋83(扉)を備える構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、保管庫本体2内外部のクリーン度が、ウエハ収容カセット80と同程度以上に保たれている場合には、ウエハ収容カセット80は、気密蓋を必要としない。
【0049】
また、上記実施形態においては、オープナーをウエハ搬送部20に設置する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図6に示すように、多段棚5,5の正面5a側に移動可能とされる台車200を別途設置し、該台車にオープナー27を設置しても良い。このような構成を採用することによって、気密蓋83を開閉する作業と、ウエハ収容カセット80とウエハ搬送部20との間におけるウエハWの受け渡し作業とを並行に行うことができ、より仕分け作業時間の短縮を図ることが可能となる。
また、オープナー27を台車200に設置することによって、ウエハ搬送部20を小型化することができる。
また、台車200に洗浄機能を持たせることによって、多段棚5,5の汚れた箇所を局所的に清掃することが可能となり、多段棚5,5の一部が汚れた場合にウエハ用保管庫1全体の稼動を停止して清掃を行う必要がなくなる。よって、ランニングコストを低減させることができる。
また、オープナー27が有する扉開放手段としての機能と、扉閉鎖手段としての機能とを、ウエハ搬送部20と台車200と多段棚5,5とに分割して設置しても良い。
【0050】
また、例えば、保管庫本体2の背面隔壁に開口を形成するとともに、該開口を閉塞可能なシャッターを設置することによって、多段棚5,5に対してウエハ収容カセット80を直接出し入れすることが可能となる。
このような構成を採用する場合には、多段棚5,5を入出庫6の替わりに用いることで、入出庫6を設置しない構成を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施形態に係るウエハ用保管庫の概略構成を示す上面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るウエハ用保管庫の概略構成を示す正面図である。
【図3】ウエハ収容カセットを示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るウエハ用保管庫の概略構成を示す上面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るウエハ用保管庫の概略構成を示す正面図である。
【図6】本発明のウエハ用保管庫の変形例を示す一部上面図である。
【符号の説明】
【0052】
1,100……ウエハ用保管庫(基板保管庫)、5……多段棚、5a……正面、6……入出庫(入出部)、20……ウエハ搬送部(移載装置)、25……一括搬送用ウエハローダ(受渡手段)、26……枚葉搬送用ウエハローダ(枚葉搬送手段)、27……オープナー(扉開放手段,扉閉鎖手段)、28……バッファ部(バッファ領域)、80……ウエハ収容カセット(カセット)、83……気密蓋(扉)、110……カセット搬送ローダ(受渡手段)、200……台車(移動手段)、A……バッファ領域、W……ウエハ(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を収容するカセットが多段に配置される多段棚と、前記基板を複数載置可能な入出部と、前記多段棚及び前記入出部の正面側に移動可能に配置されるとともに前記多段棚と前記入出部との間において前記基板の受け渡しを行う移載装置とを備え、前記基板をクリーン環境下において移動する基板保管庫であって、
前記移載装置は、複数の前記基板を一時的に留め置くことが可能なバッファ領域と、前記バッファ領域と前記多段棚との間において任意の基板を枚葉搬送する枚葉搬送手段とを備えることを特徴とする基板保管庫。
【請求項2】
少なくとも前記入出部と前記バッファ領域との間において、複数の前記基板を一度に受け渡しが可能な受渡手段を備えることを特徴とする請求項1記載の基板保管庫。
【請求項3】
少なくとも前記入出部と前記バッファ領域との間において、前記入出部あるいは前記バッファ領域に載置される複数の前記基板を一括して受け渡しが可能な受渡手段を備えることを特徴とする請求項1記載の基板保管庫。
【請求項4】
複数の前記基板が単一のカセットに収納されている場合に、前記受渡手段は、前記カセットごと前記基板を受け渡すことによって、前記基板を一括して受け渡すことを特徴とする請求項3記載の基板保管庫。
【請求項5】
前記受渡手段は、前記移載装置に設置されることを特徴とする請求項2〜4いずれかに記載の基板保管庫。
【請求項6】
前記受渡手段は、前記入出部に設置されることを特徴とする請求項2〜4いずれかに記載の基板保管庫。
【請求項7】
前記カセットに扉が設置されている場合に、
前記扉を開放可能な扉開放手段が、前記多段棚の正面側に移動可能に配置される移動手段、前記移載装置あるいは前記多段棚に設置され、
前記扉を閉鎖可能な扉閉鎖手段が、前記多段棚の正面側に移動可能に配置される移動手段、前記移載装置あるいは前記多段棚に設置される
ことを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の基板保管庫。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−100801(P2008−100801A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284024(P2006−284024)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(000115005)ユースエンジニアリング株式会社 (4)
【Fターム(参考)】