説明

基板処理方法及びその装置

【課題】化学機械研磨のような高負荷プロセスを経ることなく、均一かつ高精度な塗布膜の平坦化を図れるようにした基板処理方法及びその装置を提供すること。
【解決手段】表面に凹凸を有する被処理基板である半導体ウエハWに対して塗布液を供給し、ウエハの表面に塗布膜を成膜する基板処理方法において、スピンチャック10によって回転するウエハに対して塗布液供給ノズル30から塗布液を供給して、ウエハの表面に塗布膜を形成し、塗布膜が形成されたウエハを加熱して、塗布膜のエッチング条件を調整する。次に、回転するウエハに対して溶剤供給ノズル40からエッチング液例えば塗布液の溶剤を供給して、塗布膜をエッチングした後、ウエハに対して塗布液供給ノズルから塗布液を供給し、ウエハの表面に平坦状の塗布膜を形成する。そして、ウエハを加熱して塗布膜を硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板処理方法及び基板処理装置に関するもので、更に詳細には、例えば半導体ウエハやLCD基板等の基板に塗布液を塗布し、基板表面に塗布膜を成膜する基板処理方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体デバイスの高集積化に伴って基板上に多層配線する技術が採用されており、多層配線における配線すなわち回路パターン同士を絶縁する膜として、SOG(Spin On Glass)と称せられるシリコン酸化膜系ガラスが使用されている。
【0003】
上記SOG膜を成膜する方法は、一般にスピンコート法により、有機溶媒中に溶かされたガラス成分を基板上に塗布し、その後の乾燥,ベーク,キュア等の熱処理で焼成することで、ガラス成分を結合させて成膜する方法である。
【0004】
ところで、基板の表面には凹凸の回路パターンが形成されているため、通常のスピン塗布方法・熱乾燥を行うと、凹凸の段差形状に合わせた膜表面の形状不均一性が生じ、後の工程に支障をきたす。例えば、リソグラフィがあった場合には、焦点深度が異なることによる線幅(CD)の悪化や、膜の積み重ねに伴って段差が大きくなるなどの様々な不具合を生じさせるという問題があった。
【0005】
そのため、塗布膜を平坦化する必要がある。この塗布膜を平坦化する方法として、塗布膜を熱処理によって硬化させた後、研磨部材である研磨布の表面に機械的研磨粒子及び化学的研磨粒子を含む研磨液を滴下し、この研磨布の表面を基板の塗布膜に押し付けて、塗布膜の一部を除去する化学機械研磨{CMP(Chemical Mechanical Polishing)}技術が知られている。
【0006】
また、上記CMPのような高負荷プロセスを経ることのない別の平坦化方法として、凹凸面を有する基板表面に塗布液を供給し、塗布膜をスキャナプレートで基板の表面に薄く押し広げて塗布すると共に、スリット状ノズルからエア圧によって均等に押圧する塗布方法(装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、別の手段として、基板の表面に塗布液を供給した後に、溶剤蒸気を含む気体を供給して、塗布膜を薄く均一にする塗布方法(装置)が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平7−47324号公報(特許請求の範囲、図1,図2,図4)
【特許文献2】特開平11−329938号公報(段落番号0142、図8,図13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前者すなわち特開平7−47324号公報に記載の技術においては、塗布液に向かってエアを吹き付けるため、塗布液が揮発して硬化し、その結果、流動性が低下するので、塗布膜の均一化が十分に図れないという問題があった。
【0009】
また、後者すなわち特開平11−329938号公報に記載の技術においては、塗布液に溶剤蒸気を送るため、前者に比べて塗布液の揮発を抑制することができるが、処理部の周囲の環境の影響によって前者と同様に、塗布膜が揮発して硬化し、その結果、流動性が低下する。したがって、この技術においても塗布膜の均一化が十分に図れないという問題があった。
【0010】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、CMPのような高負荷プロセスを経ることなく、均一かつ高精度な塗布膜の平坦化を図れるようにした基板処理方法及びその装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、 表面に凹凸を有する被処理基板に対して塗布液を供給して、上記被処理基板の表面に塗布膜を形成する第1の塗布工程と、 上記塗布膜が形成された被処理基板を加熱して、上記塗布膜のエッチング条件を調整する第1の乾燥工程と、 上記被処理基板に形成された塗布膜をエッチングするエッチング液を供給して、上記塗布膜をエッチングするエッチング工程と、 上記被処理基板に対して塗布液を供給し、被処理基板の表面に平坦状の塗布膜を形成する第2の塗布工程と、 上記第2の塗布工程の後、上記被処理基板を加熱して塗布膜を硬化させる第2の乾燥工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
このように構成することにより、表面に凹凸を有する被処理基板の表面に塗布膜を形成した後、被処理基板を加熱して塗布膜のエッチング条件、例えばエッチング量,エッチング時間等を調整し、エッチング工程において、エッチング液により塗布膜をエッチングして余分な膜を除去し、その後、エッチングされた塗布膜に新たに塗布液を供給して平坦状の塗布膜を形成し、そして、被処理基板を加熱して塗布膜を硬化(焼成)させることができる。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の基板処理方法において、上記第2の乾燥工程の後、上記第2の塗布工程と第2の乾燥工程を繰り返し行うことを特徴とする。
【0014】
このように構成することにより、硬化された塗布膜を積層することができると共に、塗布膜の表面の段差を更に少なくすることができる。
【0015】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の基板処理方法において、上記第1の塗布工程、第1の乾燥工程、エッチング工程、第2の塗布工程及び第2の乾燥工程を繰り返し行うことを特徴とする。
【0016】
このように構成することにより、硬化された塗布膜を積層することができると共に、塗布膜の表面の段差を更に少なくすることができる。
【0017】
また、請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理方法において、上記第1の乾燥工程及び第2の乾燥工程の後、被処理基板を冷却する冷却工程を更に有することを特徴とする。
【0018】
このように構成することにより、第1の乾燥工程又は第2の乾燥工程において高温下におかれた被処理基板を次工程のエッチング工程に最適な温度まで迅速に降温させることができる。
【0019】
また、請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理方法において、上記第1の塗布工程、第1の乾燥工程、エッチング工程、第2の塗布工程及び第2の乾燥工程を繰り返し行う際に、1回目の処理が終了した複数の被処理基板を順次バッファユニット内に一時収納し、ロットの最後の被処理基板が最初に処理するユニットの処理の1回目の処理終了後に、上記バッファユニットから順次搬出された被処理基板の2回目の処理を行うことを特徴とする。
【0020】
このように構成することにより、複数の被処理基板を処理する際に、1回目の処理が終了した複数の被処理基板を一旦バッファユニットに収納し、ロットの最後の被処理基板が最初に処理するユニットの処理の1回目の処理が終了した後に、2回目の処理を連続して行うことができる。
【0021】
また、請求項6記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理方法において、上記第1及び第2の塗布工程において、被処理基板を水平方向に回転させ、被処理基板の表面に塗布液を供給し、上記エッチング工程において、被処理基板を水平方向に回転させ、被処理基板の表面にエッチング液を供給する、ことを特徴とする。
【0022】
このように構成することにより、第1の塗布工程において、被処理基板の表面全体に均一に塗布膜を形成し、エッチング工程において、上記塗布膜を水平方向及び深さ方向に均一にエッチングし、第2の塗布工程において、エッチングされた塗布膜の表面に均一に塗布膜を形成することができる。
【0023】
また、請求項7記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理方法において、上記第1の乾燥工程及び第2の乾燥工程において、被処理基板を水平方向に回転させると共に、被処理基板に対して乾燥ガスを供給することを特徴とする。
【0024】
このように構成することにより、被処理基板の回転による遠心力によって処理に供されたエッチング液を除去すると共に、乾燥ガスの供給によって除去することができる。
【0025】
この発明において、上記エッチング液の温度を所定温度(例えば、20℃〜50℃)に温度調整する方が好ましい(請求項8)。また、エッチング液の濃度を調整可能にする方がよい(請求項9)。更にまた、上記エッチング液は、塗布液の溶剤、フッ酸液、酸液又はアルカリ液のいずれかを使用することができる(請求項10)。
【0026】
また、請求項11記載の発明は、請求項1〜3,5〜10記載の基板処理方法を具現化するもので、 表面に凹凸を有する被処理基板に対して塗布液を供給し、上記被処理基板の表面に塗布膜を成膜する基板処理装置であって、 上記被処理基板を水平に回転可能に保持する保持手段と、 上記保持手段に保持された上記被処理基板に対して塗布液を供給する塗布液供給ノズルと、 上記保持手段に保持された上記被処理基板に形成された塗布膜をエッチングするエッチング液を供給するエッチング液供給ノズルと、 上記被処理基板を加熱する加熱手段と、 上記加熱手段の温度を調整する温度調整手段と、 上記保持手段の回転制御,上記塗布液供給ノズル及び溶剤供給ノズルの供給制御並びに上記温度調整手段の温度制御を行う制御手段と、を具備し、 上記制御手段は、上記保持手段により回転する被処理基板に対して塗布液を供給して、被処理基板の表面に塗布膜を形成した後、上記塗布膜が形成された上記被処理基板を加熱して、上記塗布膜のエッチング条件を調整し、上記被処理基板に対してエッチング液を供給して、上記塗布膜をエッチングした後、上記被処理基板に対して塗布液を供給し、被処理基板の表面に平坦状の塗布膜を形成し、その後、上記被処理基板を加熱して塗布膜を硬化させるように制御可能に形成してなる、ことを特徴とする。この場合、上記加熱手段を上記保持手段に内蔵してもよい(請求項12)。
【0027】
また、請求項13記載の発明は、請求項4記載の基板処理方法を具現化するもので、請求項11又は12記載の基板処理装置において、上記被処理基板を冷却する冷却手段を更に具備することを特徴とする。
【0028】
また、請求項14記載の発明は、請求項1〜6,8〜10記載の基板処理方法を具現化するもので、表面に凹凸を有する被処理基板に対して塗布液を供給し、上記被処理基板の表面に塗布膜を成膜する基板処理装置であって、 上記被処理基板の表面に塗布膜を形成する塗布ユニットと、 上記被処理基板に形成された塗布膜をエッチングするエッチングユニットと、 上記被処理基板を加熱する加熱手段を有する加熱ユニットと、 上記加熱手段の温度を調整する温度調整手段と、 上記被処理基板を冷却する冷却手段を有する冷却ユニットと、 上記塗布ユニット、エッチングユニット、加熱ユニット及び冷却ユニット間で上記被処理基板を搬入・搬出する搬送ユニットと、 上記各ユニット及び上記温度調整手段を制御する制御手段と、を具備し、 上記塗布ユニットは、上記被処理基板を水平に回転可能に保持する保持手段と、上記保持手段に保持された上記被処理基板に対して塗布液を供給する塗布液供給ノズルと、上記被処理基板に形成された塗布膜をエッチングするエッチング液を供給するエッチング液供給ノズルのうちの少なくとも保持手段と塗布液供給ノズルを具備し、 上記エッチングユニットは、上記被処理基板を水平に回転可能に保持する保持手段と、上記被処理基板に形成された塗布膜をエッチングするエッチング液を供給するエッチング液供給ノズルと、を具備し、 上記制御手段は、上記塗布ユニットの保持手段により回転する被処理基板に対して塗布液を供給して、被処理基板の表面に塗布膜を形成した後、上記塗布膜が形成された上記被処理基板を加熱して、上記塗布膜のエッチング条件を調整し、上記被処理基板に対してエッチング液を供給して、上記塗布膜をエッチングした後、上記被処理基板に対して塗布液を供給し、被処理基板の表面に平坦状の塗布膜を形成し、その後、上記被処理基板を加熱して塗布膜を硬化させるように制御可能に形成してなる、ことを特徴とする。この場合、上記エッチングユニットは、上記被処理基板に対してエッチングを抑制する洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルを更に具備する方が好ましい(請求項15)。
【0029】
また、請求項16記載の発明は、請求項5記載の基板処理方法を具現化するもので、請求項14又は15記載の基板処理装置において、上記搬送ユニットによって上記被処理基板の受け渡しが可能であって、複数の上記被処理基板が収納可能なバッファユニットを更に具備することを特徴とする。
【0030】
また、請求項17記載の発明は、請求項7記載の基板処理方法を具現化するもので、請求項14ないし16のいずれかに記載の基板処理装置において、上記エッチングユニットは、上記被処理基板に対して乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給ノズルを更に具備するころを特徴とする。
【0031】
また、請求項18記載の発明は、請求項14ないし17のいずれかに記載の基板処理装置において、上記エッチングユニットは、それぞれ互いに異なる種類のエッチング液が供給可能な複数のユニットからなり、塗布膜の膜厚等の条件に応じて選択されたエッチングユニットを使用可能に形成してなることを特徴とする基板処理装置。
【0032】
このように構成することにより、塗布膜の膜厚等の条件に応じた最適のエッチング液を使用して塗布膜をエッチングすることができる。
【0033】
また、請求項14〜18のいずれかに記載の基板処理装置において、上記エッチングユニットは、エッチング液供給源とエッチング液供給ノズルとを接続する供給管路に、エッチング液の温度を所定温度に調整する温度調整手段を具備する方が好ましい(請求項19)。
【0034】
また、上記エッチングユニットは、エッチング液の濃度を所定濃度に調整する濃度調整手段を具備する方が好ましい(請求項20)。更にまた、上記エッチング液は、塗布液の溶剤、フッ酸液、酸液又はアルカリ液のいずれかを使用することができる(請求項21)。
【発明の効果】
【0035】
この発明は、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0036】
(1)請求項1,8〜10,14,15,19〜21記載の発明によれば、表面に塗布膜が形成された被処理基板を加熱して塗布膜のエッチング条件、例えばエッチング量,エッチング時間等を調整した後に、エッチング液により塗布膜をエッチングして余分な膜を除去し、その後、エッチングされた塗布膜に塗布液を供給して塗布膜を形成し、その後、被処理基板を加熱して塗布膜を硬化(焼成)させるので、凹凸部による初期段差を許容できる範囲内の微細な段差の塗布膜を成膜することができ、均一かつ高精度な塗布膜の平坦化を図ることができる。
【0037】
(2)請求項2,3記載の発明によれば、第2の乾燥工程の後、第2の塗布工程と第2の乾燥工程を繰り返し行うか、あるいは、第1の塗布工程、第1の乾燥工程、エッチング工程、第2の塗布工程及び第2の乾燥工程を繰り返し行うことにより、硬化された塗布膜を積層することができると共に、塗布膜の表面の段差を更に微細にすることができるので、上記(1)に加えて、更に均一かつ高精度な塗布膜の平坦化を図ることができる。
【0038】
(3)請求項4,13記載の発明によれば、加熱手段によって被処理基板を加熱して塗布膜のエッチング条件{例えば、エッチング量,エッチング時間等}を調整した後に、被処理基板を次工程のエッチング工程に最適な温度{例えば、23℃}まで迅速に降温させることができるので、上記(1),(2)に加えて、更にスループットの向上が図れると共に、高精度な塗布膜の平坦化が図れる。
【0039】
(4)請求項6,14記載の発明によれば、第1の塗布工程において、被処理基板の表面全体に均一に塗布膜を形成し、エッチング工程において、上記塗布膜を水平方向及び深さ方向に均一にエッチングし、第2の塗布工程において、エッチングされた塗布膜の表面に均一に塗布膜を形成することができるので、上記(1)〜(3)に加えて、更に塗布膜の均一かつ高精度な塗布膜の平坦化を図ることができる。
【0040】
(5)請求項5,16記載の発明によれば、複数の被処理基板を連続して繰り返し処理することができるので、上記(1)〜(4)に加えて、更に処理効率の向上及びスループットの向上が図れる。
【0041】
(6)請求項7,17記載の発明によれば、被処理基板の回転による遠心力によって処理に供されたエッチング液を除去すると共に、乾燥ガスの供給によって除去することができるので、上記(1)〜(5)に加えて、更に乾燥時間の短縮が図れると共に、スループットの向上が図れる。
【0042】
(7)請求項18記載の発明によれば、塗布膜の膜厚等の条件に応じた最適のエッチング液を使用して塗布膜をエッチングすることができるので、上記(1)〜(6)に加えて、更にエッチング精度の向上が図れると共に、処理範囲の拡大が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下に、この発明の最良の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、この発明に係る基板処理方法を半導体ウエハにおけるSOGの成膜方法に適用した場合について説明する。
【0044】
図1は、発明に係る基板処理装置の第1実施形態を示す概略断面図である。
【0045】
上記基板処理装置は、凹凸面を有する被処理基板である半導体ウエハW(以下にウエハWという)を保持して水平に回転させる回転保持手段であるスピンチャック10と、ウエハWを所定温度に加熱する加熱手段20と、加熱手段20によって加熱されたウエハWを、冷却する冷却手段22と、ウエハWの表面に塗布液であるSOG液例えばポリシラザンを滴下(供給)する塗布液供給ノズル30と、ウエハWの表面にエッチング液としての塗布液(SOG)の溶剤例えばジブチルエーテルを滴下(供給)する溶剤供給ノズル40と、を具備している。
【0046】
上記スピンチャック10は、昇降可能な外カップ51と内カップ52とからなるカップ50内に収容されており、内カップ52の底部53を昇降可能に貫通する回転軸11を介してモータ12に連結されている。モータ12は制御手段例えば中央演算処理装置(CPU)により形成されたコントローラ60からの制御信号に基づいて所定の回転数で回転するようになっている。また、スピンチャック10は図示しない昇降手段によって昇降可能に形成されている。このスピンチャック10は、スピンチャック10の上方に移動される水平のX−Y方向,垂直のZ方向及び水平回転可能な搬送ユニットである搬送アーム(図示せず)からウエハWを受け取ってウエハWを吸着保持し、後述する塗布膜の処理が終了した後、上昇してスピンチャック10の上方に移動される搬送アームにウエハWを受け渡すように構成されている。なお、搬送アームはコントローラ60によって制御されている。
【0047】
上記加熱手段20は、スピンチャック10とカップ50を配設する塗布ユニット100の外部に配置された加熱ユニット200内に配設されるヒータ20aを内蔵するホットプレートによって形成されており、温度調整手段である温度調整器21に接続されている。加熱手段20は、上記コントローラ60からの制御信号に基づいて温度調整器21が制御されて、所定の温度すなわちエッチング条件を調整する温度例えば150℃と塗布膜を硬化(焼成)させる温度例えば160℃が設定されるようになっている。
【0048】
この場合、上記エッチング条件は、エッチング量と加熱時間(エッチング時間)の関係から適宜選択することができる。例えば、塗布液(SOG)の溶剤(ジブチルエーテル)をウエハWの中心位置に1cc/secで10sec吐出(滴下,供給)し、加熱温度150℃の条件の下で、エッチング量(nm)と加熱時間(sec)の関係を評価したところ、図5に示すような結果が得られた。この評価結果から判るように、加熱時間が長いとエッチングが進行しなくなり、また、逆に加熱時間が短いと全剥離が生じる。この評価結果に基づいて加熱時間を選択する。例えば加熱時間を120(sec)に選択すると、エッチング量は120(nm)となり、また、加熱時間を210(sec)に選択すると、エッチング量は約50(nm)となる。
【0049】
なお、エッチング量の制御は、加熱温度や加熱時間等の加熱条件によるもの、溶剤の吐出量(滴下量,供給量)や吐出時間等の溶剤条件によるもの、あるいは、加熱条件及び溶剤条件の双方を組み合わせたものによって行うことができる。
【0050】
上記冷却手段22は、上記加熱ユニット200の下方に配設される冷却ユニット300内に配設される冷媒配管22aを内蔵するクーリングプレートによって形成されており、冷却温度調整手段である冷却温度調整器23に接続されている。冷却手段22は、上記コントローラ60からの制御信号に基づいて冷却温度調節器23が制御されて、加熱手段20によって加熱されたウエハWを所定の温度例えば23℃に降温するように設定されている。なお、冷却手段22を加熱手段20の側方に設けてもよい。
【0051】
なお、上記塗布ユニット100,加熱ユニット200及び冷却ユニット300の側部には、それぞれウエハWの搬入出口400が設けられると共に、図示しない昇降機構によって昇降するシャッタ500によって開閉可能に形成されている。また、コントローラ60によって制御される図示しない搬送アームによって、これら塗布ユニット100、加熱ユニット200及び冷却ユニット300間でウエハWを受け渡し可能に形成されている。
【0052】
一方、上記塗布液供給ノズル30は、開閉弁V1を介設した塗布液供給管路31を介して塗布液供給源32に接続されている。また、溶剤供給ノズル40は、塗布液供給ノズル30に隣接して配設されており、開閉弁V2を介設した溶剤液供給管路41を介して溶剤供給源42に接続されている。なお、塗布液供給管路31及び溶剤供給管路41には、塗布液及び溶剤を所定温度例えば20℃〜50℃に温度調整する温度調整手段である温度調整器80が設けられている。これら塗布液供給ノズル30及び溶剤供給ノズル40は、ノズル移動機構70によってスピンチャック10の中心位置とカップ50の外方の待機位置とに移動可能に形成されている。この場合、ノズル移動機構70は、コントローラ60からの制御信号に基づいて塗布液供給ノズル30及び溶剤供給ノズル40をスピンチャック10の中心位置とカップ50の外方の待機位置とに移動する。
【0053】
次に、上記のように構成されるこの発明に係る基板処理装置の動作態様について、図1、図2、図3及び図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0054】
まず、未処理のウエハWを図示しない搬送アームによって塗布ユニット100内に搬入してスピンチャック10にウエハWを受け渡す。その後、搬送アームは後退し、外カップ51が上昇する。この状態で、コントローラ60からの制御信号に基づいて塗布液供給管路31に介設された開閉弁V1が開放すると共に、スピンチャック10のモータ12が駆動する。これにより、図3(a)に示すように、スピンチャック10の回転に伴って回転するウエハWの表面に対して塗布液供給ノズル30から塗布液が滴下(供給)され、ウエハWの表面に段差Hの塗布液の塗布膜Tを形成する(図2(a)参照){第1の塗布工程:ステップ4−1}。塗布膜を形成した後、コントローラ60からの制御信号に基づいて開閉弁V1は閉じ、モータ12は停止する。
【0055】
次に、搬送アームによってスピンチャック10上のウエハWを受け取って加熱ユニット200内の加熱手段であるホットプレート20上に受け渡す。そして、コントローラ60からの制御信号に基づいて温度調整器21が作動して加熱手段20のヒータ20aの温度を例えば150℃に昇温し、ウエハWを図5により予め選択された加熱時間で加熱して、エッチング条件を調整する。これにより、図3(b)に示すように、塗布膜T中の液分の一部が蒸発して塗布膜Tの段差が若干小さくなる{第1の乾燥工程:ステップ4−2}。
【0056】
次に、搬送アームによってホットプレート20上のウエハWを受け取って冷却ユニット300内の冷却手段であるクーリングプレート22上に受け渡す。そして、コントローラ60からの制御信号に基づいて冷却温度調節器23が作動して冷却手段22の冷媒温度を例えば23℃にし、図3(c)に示すように、ウエハWを23℃まで降温する{冷却工程:ステップ4−3}。
【0057】
次に、搬送アームによってクーリングプレート22上のウエハWを受け取って塗布ユニット100内のスピンチャック10にウエハWを受け渡す。次に、コントローラ60からの制御信号に基づいて溶剤供給ノズル40がウエハWの中心部上方に移動し、溶剤供給管路41に介設された開閉弁V2が開放すると共に、スピンチャック10のモータ12が駆動する。これにより、図3(d)に示すように、スピンチャック10の回転に伴って回転するウエハWの表面に対して溶剤供給ノズル40から溶剤が滴下(供給)され、塗布膜Tを等方向的にエッチングする(図2(b)参照){エッチング工程:ステップ4−4}。この溶剤による等方向エッチングの後に、溶剤(エッチング液)の振り切りを行う。
【0058】
エッチング処理を行った後、コントローラ60からの制御信号に基づいて開閉弁V2は閉じる一方、ウエハWの中心上方位置に再び塗布液供給ノズル30が移動する。この状態で、コントローラ60からの制御信号に基づいて開閉弁V1が開放し、図3(e)に示すように、スピンチャック10の回転に伴って回転するウエハWの表面に対して塗布液供給ノズル30から塗布液が滴下(供給)され、ウエハWの表面に許容範囲内の微細な段差hのほぼ平坦状の塗布膜Tを形成する(図2(c)参照){第2の塗布工程:ステップ4−5}。
【0059】
上記のようにして塗布膜を形成した後、コントローラ60からの制御信号に基づいて開閉弁V1は閉じ、モータ12は停止する。次に、搬送アームによってスピンチャック10上のウエハWを受け取って加熱ユニット200内のホットプレート20(加熱手段)上に受け渡す。そして、コントローラ60からの制御信号に基づいて温度調整器21が作動してヒータ20の温度を例えば160℃に昇温してウエハWを加熱して、図3(f)に示すように、塗布膜を硬化(焼成)する{第2の乾燥工程:ステップ4−6}。
【0060】
上記のようにして塗布膜Tの硬化(焼成)処理が行われた後、外カップ51が下降すると共に、スピンチャック10が上昇し、スピンチャック10の上方に移動する搬送アームにウエハWを受け渡し、搬送アームによってウエハWを基板処理装置から搬出する。
【0061】
上記実施形態では、第1の塗布工程,第1の乾燥工程,冷却工程,エッチング工程,第2の塗布工程及び第2の乾燥工程によって、凹凸を有するウエハWの表面に平坦状の塗布膜を成膜する場合について説明したが、塗布膜Tの段差を更に微細にするには、第2の塗布工程と第2の乾燥工程を繰り返し行うようにしてもよい。すなわち、図6に示すように、上記第1実施形態と同様に、第1の塗布工程(ステップ6−1),第1の乾燥工程(ステップ6−2),第1の冷却工程(ステップ6−3),エッチング工程(ステップ6−4),第2の塗布工程(ステップ6−5),第2の乾燥工程(ステップ6−6)及び第2の冷却工程(ステップ6−7)を行って、図7(c)に示すような初期塗布膜Tの段差Hより小さい段差hの塗布膜Tを成膜した後、2回目の第2の塗布工程(ステップ6−8)を行い、そして、2回目の第2の乾燥工程(ステップ6−9)を行うようにしてもよい。これにより、塗布膜Tを積層するこができると共に、段差hより微細な段差h0の塗布膜Tを成膜することができる。
【0062】
また、上記第2実施形態に代えて、第1の塗布工程,第1の乾燥工程,第1の冷却工程,エッチング工程,第2の塗布工程,第2の乾燥工程及び第2の冷却工程を複数回繰り返し行うようにしてもよい。例えば、図8に示すように、上記第1実施形態と同様に、第1の塗布工程(ステップ8−1,図9(a)参照),第1の乾燥工程(ステップ8−2),第1の冷却工程(ステップ8−3),エッチング工程(ステップ8−4,図9(b)参照),第2の塗布工程(ステップ8−5),第2の乾燥工程(ステップ8−6)及び第2の冷却工程(ステップ8−7)を行って、図9(c)に示すような初期塗布膜Tの段差Hより小さい段差h1の塗布膜Tを成膜した後、2回目の第1の塗布工程(ステップ8−8)を行って段差h1より小さな段差h2の塗布膜Tを形成した後(図9(d)参照)、2回目の第1の乾燥工程(ステップ8−9),2回目の第1の冷却工程(ステップ8−10),2回目のエッチング工程(ステップ8−11,図9(e)参照),2回目の第2の塗布工程(ステップ8−12)及び2回目の第2の乾燥工程(ステップ8−13)を行うようにしてもよい。これにより、塗布膜Tを積層するこができると共に、段差h2より更に微細な段差h3の塗布膜Tを成膜することができる(図9(f)参照)。
【0063】
なお、上記実施形態では、加熱手段20を塗布ユニット100の外部の加熱ユニット200内に配設した場合について説明したが、加熱手段を、図10に示すように、スピンチャック10に内蔵されるヒータ20aによって形成してもよい。なお、図10において、その他の部分は図1に示す実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0064】
上記のように構成される基板処理装置によれば、以下のようにしてウエハWに塗布膜を成膜することができる。
【0065】
すなわち、図11に示すように、まず、未処理のウエハWを図示しない搬送アームによってカップ50内に搬入してスピンチャック10にウエハWを受け渡す。その後、搬送アームは後退し、外カップ51が上昇する。この状態で、コントローラ60からの制御信号に基づいて塗布液供給管路31に介設された開閉弁V1が開放すると共に、スピンチャック10のモータ12が駆動する。これにより、図11(a)に示すように、スピンチャック10の回転に伴って回転するウエハWの表面に対して塗布液供給ノズル30から塗布液が滴下(供給)され、ウエハWの表面に段差Hの塗布液の塗布膜Tを形成する(図2(a)参照){第1の塗布工程}。
【0066】
塗布膜を形成した後、コントローラ60からの制御信号に基づいて開閉弁V1は閉じ、モータ12は停止する。次に、コントローラ60からの制御信号に基づいて温度調整器21が作動して加熱手段であるヒータ20の温度を例えば150℃に昇温し、ウエハWを、図5により予め選択された加熱時間で加熱して、エッチング条件を調整する。これにより、図11(b)に示すように、塗布膜T中の液分の一部が蒸発して塗布膜Tの段差が若干小さくなる{第1の乾燥工程}。第1の乾燥工程の後、ウエハWを例えば23℃まで冷却する{冷却工程}。
【0067】
次に、コントローラ60からの制御信号に基づいて溶剤供給ノズル40がウエハWの中心部上方に移動し、溶剤供給管路41に介設された開閉弁V2が開放すると共に、スピンチャック10のモータ12が駆動する。これにより、図11(c)に示すように、スピンチャック10の回転に伴って回転するウエハWの表面に対して溶剤供給ノズル40から溶剤が滴下(供給)され、塗布膜Tを等方向的にエッチングする(図2(b)参照){エッチング工程}。
【0068】
エッチング処理を行った後、コントローラ60からの制御信号に基づいて開閉弁V2は閉じる一方、ウエハWの中心上方位置に再び塗布液供給ノズル30が移動する。この状態で、コントローラ60からの制御信号に基づいて開閉弁V1が開放し、図11(d)に示すように、スピンチャック10の回転に伴って回転するウエハWの表面に対して塗布液供給ノズル30から塗布液が滴下(供給)され、ウエハWの表面に許容範囲内の微細な段差hのほぼ平坦状の塗布膜Tを形成する(図2(c)参照){第2の塗布工程}。
【0069】
上記のようにして塗布膜を形成した後、コントローラ60からの制御信号に基づいて開閉弁V1は閉じ、モータ12は停止する。次に、コントローラ60からの制御信号に基づいて温度調整器21が作動してヒータ20の温度を例えば160℃に昇温してウエハWを加熱して、図11(e)に示すように、塗布膜を硬化(焼成)する{第2の乾燥工程}。
【0070】
上記のようにして塗布膜Tの硬化(焼成)処理が行われた後、外カップ51が下降すると共に、スピンチャック10が上昇し、スピンチャック10の上方に移動する搬送アームにウエハWを受け渡し、搬送アームによってウエハWを基板処理装置から搬出する。
【0071】
上記実施形態では、第1の塗布工程,第1の乾燥工程,第1の冷却工程,エッチング工程,第2の塗布工程,第2の乾燥工程及び第2の冷却工程によって、凹凸を有するウエハWの表面に平坦状の塗布膜を成膜する場合について説明したが、塗布膜Tの段差を更に微細にするには、上述したと同様に第2の塗布工程と第2の乾燥工程を繰り返し行うようにしてもよい。また、第1の塗布工程,第1の乾燥工程,第1の冷却工程,エッチング工程,第2の塗布工程,第2の乾燥工程及び第2の冷却工程を複数回繰り返し行うようにしてもよい。
【0072】
上記実施形態では、塗布膜をエッチングするエッチング液がSOGの溶剤例えばジブチルエーテルである場合について説明したが、この発明においては、SOGの膜厚等の条件に応じてSOGの溶剤以外のエッチング液、例えばHF,BHF等のフッ酸液、塩酸,硫酸等の酸液あるいはNaOH,KOH等のアルカリ液等を使用することができる。
【0073】
次に、異なる種類のエッチング液により処理が可能な基板処理装置を適用した基板処理システムの一例について説明する。
【0074】
上記基板処理システムは、図12に示すように、ウエハWをウエハカセットCで複数枚例えば25枚単位で外部からシステムに搬入又はシステムから搬出したり、ウエハカセットCに対してウエハWを搬出・搬入したりするための搬入部及び搬出部として機能するカセットステーション1と、ウエハWに対して塗布膜Tの形成及びエッチング処理等を施す処理ステーション2と、カセットステーション1と処理ステーション2との間に設けられ、ウエハWを受け渡すためのインターフェース・ステーション3とで主要部が構成されている。
【0075】
上記インターフェース・ステーション3は、図12に示すように、カセット載置台1a上に複数個例えば4個までのウエハカセットCがそれぞれのウエハ出入口を処理ステーション2側に向けて水平のX方向に沿って一列に載置され、カセット配列方向(X方向)及びウエハカセットC内に垂直方向に沿って収容されたウエハWのウエハ配列方向(Z方向)に移動可能なウエハ搬送用ピンセット4が各ウエハカセットCに選択的に搬送するように構成されている。また、ウエハ搬送用ピンセット4は、θ方向に回転可能に構成されており、後述する処理ステーション2側の第1のユニット群G1の多段ユニット部に属する受け渡しユニット(TRS1,TRS2)に対してウエハWの受け渡しできるようになっている。
【0076】
上記処理ステーション2は、図12(a)に示すように、ウエハWにSOGの塗布膜を形成する2台の塗布ユニット100A,100Bと、フッ酸液エッチングユニット600A,酸液エッチングユニット600B,アルカリ液エッチングユニット600Cからなる3台のエッチングユニットと、処理ステーション2におけるインターフェース・ステーション3側に配設される第1のユニット群G1、処理ステーション2における略中央部に配設される第2のユニット群G2、塗布ユニット100A,100B,第1のユニット群G1,第2のユニット群G2及び後述するバッファユニット700の間に配設されて、塗布ユニット100A,100B,第1のユニット群G1,第2のユニット群G2及びバッファユニット700の間でウエハWを受け渡しする搬送ユニットである第1の搬送アーム5Aと、第2のユニット群G2とフッ酸液エッチングユニット600A,酸液エッチングユニット600B,アルカリ液エッチングユニット600Cとの間に配設され、第2のユニット群G2とフッ酸液エッチングユニット600A,酸液エッチングユニット600B,アルカリ液エッチングユニット600Cとの間でウエハWを受け渡しする搬送ユニットである第2の搬送アーム5Bを具備している。なお、バッファユニット700は、複数のウエハWが収納可能に形成されている。
【0077】
第1のユニット群G1は、図12(b)に示すように、上から下方に向かって順に第1ないし第4の加熱ユニット(HP1〜HP4),第1及び第2の受け渡しユニット(TRS1,TRS2)及び第1及び第2の冷却ユニット(COL1,COL2)が積層されている。
【0078】
また、第2のユニット群G2は、図12(c)に示すように、上から下方に向かって順に第5ないし第7の加熱ユニット(HP5〜HP7),第3及び第4の受け渡しユニット(TRS3,TRS4)及び第3及び第4の冷却ユニット(COL3,COL4)が積層されている。
【0079】
上記のように構成される基板処理システムにおいて、第1及び第2の塗布ユニット100A,100Bは、第1実施形態の塗布ユニット100と同様に構成されているので、ここでは説明は省略する。また、上記第1ないし第7の加熱ユニットHP1〜HP7と第1なし第4の冷却ユニットCOL1〜COL4も、それぞれ第1実施形態の加熱ユニット200と冷却ユニット300と同様に構成されている。
【0080】
一方、フッ酸液エッチングユニット600A,酸液エッチングユニット600B,アルカリ液エッチングユニット600Cは、エッチング液が異なる以外は同様に構成されている。以下に、フッ酸液エッチングユニット600Aを代表して説明する。
【0081】
フッ酸液エッチングユニット600Aは、図13に示すように、ウエハWを保持して水平に回転させる回転保持手段であるスピンチャック10Aと、ウエハWの表面にエッチング液であるフッ酸液を滴下(供給)するエッチング液供給ノズル6と、ウエハWに対してエッチングを抑制(停止)する洗浄液例えば純水を供給する洗浄液供給ノズル7と、ウエハWに対して乾燥ガス例えば窒素(N2)ガス或いは清浄空気を供給(噴射)する乾燥ガス供給ノズル8と、を具備している。
【0082】
上記スピンチャック10Aは、昇降可能な外カップ51Aと内カップ52Aとからなるカップ50A内に収容されており、内カップ52Aの底部53Aを昇降可能に貫通する回転軸11Aを介してモータ12Aに連結されている。モータ12Aは制御手段であるコントローラ60Aからの制御信号に基づいて所定の回転数で回転するようになっている。また、スピンチャック10Aは図示しない昇降手段によって昇降可能に形成されている。このスピンチャック10Aは、スピンチャック10Aの上方に移動される水平のX−Y方向,垂直のZ方向及び水平回転可能な搬送ユニットである第1の搬送アーム5AからウエハWを受け取ってウエハWを吸着保持し、後述する塗布膜の処理が終了した後、上昇してスピンチャック10Aの上方に移動される第1の搬送アーム5AにウエハWを受け渡すように構成されている。なお、第1の搬送アーム5A及び第2の搬送アーム5Bはコントローラ60Aによって制御されている。
【0083】
上記エッチング液供給ノズル6は、エッチング液供給管路6aを介してエッチング液供給源であるエッチング液(フッ酸液)を貯留するフッ酸液タンク6b(以下にフッ酸タンク6bという)に接続されている。また、洗浄液供給ノズル7は、純水供給管路7aを介してフッ酸液の希釈液を兼用する洗浄液の供給源である純水を貯留する純水タンク7bに接続されている。この場合、エッチング液供給管路6aには、フッ酸タンク6b側からポンプP1,流量制御弁FV1及び切換弁CVが介設されている。また、純水供給管路7aには、純水タンク7b側からポンプP2,流量制御弁FV2が介設されると共に、流量制御弁FV2の二次側から分岐された分岐管路7cが切換弁CVに接続されている。上記流量制御弁FV1,流量制御弁FV2及び切換弁CVによってフッ酸液の濃度調整手段90が形成されている。すなわち、流量制御弁FV1,流量制御弁FV2及び切換弁CVはコントローラ60Aによって制御されており、コントローラ60Aに予め記憶された制御信号に基づいて、流量制御弁FV1によって調整されたフッ酸液と、流量制御弁FV2によって調整された純水とを混合することで所定の濃度のフッ酸液が得られるようになっている。
【0084】
また、エッチング液供給管路6aには、エッチング液を所定の温度例えば20℃〜50℃に温度調整する温度調整手段である温度調整器80が介設されている。この温度調整器80はコントローラ60Aからの制御信号によって制御され、塗布膜Tの膜厚等の条件に応じてエッチング液を所定の温度例えば20℃〜50℃に温度調整する。
【0085】
また、乾燥ガス供給ノズル8は、開閉弁V3を介設した乾燥ガス供給管路8aを介して乾燥ガス供給源例えばN2ガス供給源8bが接続されている。
【0086】
上記エッチング液供給ノズル6と洗浄液供給ノズル7は、ノズル移動機構70Aによってスピンチャック10Aの中心位置とカップ50Aの外方の待機位置とに移動可能に形成されている。また、乾燥ガス供給ノズル8は、ノズル移動機構70Bによってスピンチャック10Aの中心位置とカップ50Aの外方の待機位置とに移動可能に形成されている。なお、乾燥ガス供給ノズル8は、ウエハWの中心から周縁側に向かってN2ガスを供給(噴射)するように傾斜させる方が好ましい。また、乾燥ガス供給ノズル8は、ウエハWの中心上方位置から周縁上方位置にスキャンさせながらN2ガスを供給(噴射)する方が好ましい。この場合、ノズル移動機構70A,70Bは、それぞれコントローラ60Aからの制御信号に基づいてエッチング液供給ノズル6,洗浄液供給ノズル7及び乾燥ガス供給ノズル8をスピンチャック10Aの中心位置とカップ50Aの外方の待機位置とに移動する。
【0087】
なお、酸液エッチングユニット600B及びアルカリ液エッチングユニット600Cにおいては、エッチング液が異なる以外、すなわちエッチング液供給ノズル6に接続するエッチング液タンクをフッ酸タンク6bに代えて酸液タンク又はアルカリ液タンクとする以外はフッ酸液エッチングユニット600Aと同様に構成される。
【0088】
次に、上記基板処理システムにおける塗布膜Tの成膜方法について、図2ないし図5、図12ないし図15を参照して説明する。
【0089】
<塗布膜の溶剤によるエッチングの場合>
まず、カセットステーション1において、ウエハ搬送用ピンセット4がカセット載置台1a上の未処理のウエハWを収容しているカセットCにアクセスして、そのカセットCから1枚のウエハWを取り出す(ステップ14−1)。ウエハ搬送用ピンセット4は、カセットCよりウエハWを取り出すと、処理ステーション2側の第1のユニット群G1内に配置されている第1の受け渡しユニットTRS1の載置台(図示せず)にウエハWを受け渡す(ステップ14−2)。その後、第1の搬送アーム5Aが第1の受け渡しユニットTRS1からウエハWを受け取って、第1のユニット群G1内に配置されている第1の冷却ユニットCOL1のクーリングプレート(図示せず)上に受け渡して、ウエハWを23℃まで降温する{処理前冷却工程:ステップ14−3}。
【0090】
次に、第1の搬送アーム5Aが第1の冷却ユニットCOL1のクーリングプレート上のウエハWを受け取って、第1の塗布ユニット100Aのスピンチャック10上にウエハWを受け渡す。その後、第1実施形態と同様に、図3(a)に示すように、スピンチャック10の回転に伴って回転するウエハWの表面に対して塗布液供給ノズル30から塗布液が滴下(供給)され、ウエハWの表面に段差Hの塗布液の塗布膜Tを形成する(図2(a)参照){第1の塗布工程:ステップ14−4}。
【0091】
次に、第1の搬送アーム5Aによってスピンチャック10上のウエハWを受け取って第1のユニット群G1の第1又は第2の加熱ユニットHP1,HP2のホットプレート(図示せず)上に受け渡す。そして、ウエハWを図5により予め選択された加熱時間で加熱して、エッチング条件を調整する。これにより、図3(b)に示すように、塗布膜T中の液分の一部が蒸発して塗布膜Tの段差が若干小さくなる{第1の乾燥工程:ステップ14−5}。
【0092】
次に、第1の搬送アーム5Aによって第1又は第2の加熱ユニットHP1,HP2のホットプレート上のウエハWを受け取って、第1のユニット群G1に配置されている第1又は第2の冷却ユニットCOL1,COL2のクーリングプレート上に受け渡して、ウエハWを23℃まで降温する{第1の冷却工程:ステップ14−6}。
【0093】
次に、第1の搬送アーム5Aが第1又は第2の冷却ユニットCOL1,COL2のクーリングプレート上のウエハWを受け取って、第2の塗布ユニット100B内のスピンチャック10にウエハWを受け渡す。その後、第1実施形態と同様に、図3(d)に示すように、スピンチャック10の回転に伴って回転するウエハWの表面に対して溶剤供給ノズル40から溶剤が滴下(供給)され、塗布膜Tを等方向的にエッチングする(図2(b)参照){エッチング工程:ステップ14−7}。この溶剤による等方向エッチングの後に、溶剤(エッチング液)の振り切りを行う。
【0094】
エッチング処理を行った後、第1実施形態と同様に、図3(e)に示すように、スピンチャック10の回転に伴って回転するウエハWの表面に対して塗布液供給ノズル30から塗布液が滴下(供給)され、ウエハWの表面に許容範囲内の微細な段差hのほぼ平坦状の塗布膜Tを形成する(図2(c)参照){第2の塗布工程:ステップ14−8}。
【0095】
上記のようにして塗布膜を形成した後、第1の搬送アーム5Aによってスピンチャック10上のウエハWを受け取って第1のユニット群G1に配置された第3又は第4の加熱ユニットHP3,HP4内のホットプレート(図示せず)上に受け渡す。そして、図3(f)に示すように、塗布膜を硬化(焼成)する{第2の乾燥工程:ステップ14−9}。
【0096】
上記のようにして塗布膜Tの硬化(焼成)処理が行われた後、第1の搬送アーム5Aが第3又は第4の加熱ユニットHP3,HP4内のホットプレート上のウエハWを受け取って第2の冷却ユニットCOL2のクーリングプレート上にウエハWを受け渡して、ウエハWを23℃まで降温する{第2の冷却工程:ステップ14−10}。
【0097】
次に、第1の搬送アーム5Aによって第2の冷却ユニットCOL2のクーリングプレート上のウエハWを受け取って、第2の受け渡しユニットTRS2の載置台(図示せず)上に受け渡す(ステップ14−11)。その後、ウエハ搬送用ピンセット4が第2の受け渡しユニットTRS2の載置台上のウエハWを受け取って、カセット載置台1a上のカセットC内に収納(搬入)して、処理が終了する(ステップ14−12)。
【0098】
なお、上記説明では、第1の塗布工程,第1の乾燥工程,第1の冷却工程,エッチング工程,第2の塗布工程,第2の乾燥工程及び第2の冷却工程によって、凹凸を有するウエハWの表面に平坦状の塗布膜を成膜する場合について説明したが、塗布膜Tの段差を更に微細にするには、上述したと同様に第2の塗布工程と第2の乾燥工程を繰り返し行うようにしてもよい。また、第1の塗布工程,第1の乾燥工程,第1の冷却工程,エッチング工程,第2の塗布工程,第2の乾燥工程及び第2の冷却工程を複数回繰り返し行うようにしてもよい。
【0099】
また、第1の塗布工程,第1の乾燥工程,第1の冷却工程,エッチング工程,第2の塗布工程,第2の乾燥工程及び第2の冷却工程を複数回繰り返し行う場合は、1回目の処理が終了したウエハWをカセットステーション1に戻さずに、第1の搬送アーム5Aによって第2の受け渡しユニットTRS2の載置台上のウエハWを、順次バッファユニット700内に一時収納し、ロットの最後のウエハWの1回目の処理終了後に、第1の搬送アーム5Aによってバッファユニット700から順次搬出されたウエハWの2回目の処理を行う。
【0100】
また、上記実施形態では、1つの塗布ユニット100A,100B内にエッチング液である溶剤の供給ノズル40を配設して、1つの塗布ユニット100A,100B内で塗布膜Tの成膜処理とエッチング処理を行う場合について説明したが、溶剤供給ノズルを具備する専用のエッチングユニットを別途に設けて、塗布ユニット100A,100Bとは別にエッチング処理を行うようにしてもよい。
【0101】
<フッ酸によるエッチングの場合>
まず、カセットステーション1において、ウエハ搬送用ピンセット4がカセット載置台1a上の未処理のウエハWを収容しているカセットCにアクセスして、そのカセットCから1枚のウエハWを取り出す(ステップ15−1)。ウエハ搬送用ピンセット4は、カセットCよりウエハWを取り出すと、処理ステーション2側の第1のユニット群G1内に配置されている第1の受け渡しユニットTRS1の載置台(図示せず)にウエハWを受け渡す(ステップ15−2)。その後、第1の搬送アーム5Aが第1の受け渡しユニットTRS1からウエハWを受け取って、第1のユニット群G1内に配置されている第1の冷却ユニットCOL1のクーリングプレート(図示せず)上に受け渡して、ウエハWを23℃まで降温する{処理前冷却工程:ステップ15−3}。
【0102】
次に、第1の搬送アーム5Aが第1の冷却ユニットCOL1のクーリングプレート上のウエハWを受け取って、第1の塗布ユニット100Aのスピンチャック10上にウエハWを受け渡す。その後、第1実施形態と同様に、図3(a)に示すように、スピンチャック10の回転に伴って回転するウエハWの表面に対して塗布液供給ノズル30から塗布液が滴下(供給)され、ウエハWの表面に段差Hの塗布液の塗布膜Tを形成する(図2(a)参照){第1の塗布工程:ステップ15−4}。
【0103】
次に、第1の搬送アーム5Aによってスピンチャック10上のウエハWを受け取って第1のユニット群G1の第1,第2又は第3の加熱ユニットHP1,HP2,HP3のホットプレート(図示せず)上に受け渡す。そして、ウエハWを図5により予め選択された加熱時間で加熱して、エッチング条件を調整する。これにより、塗布膜T中の液分の一部が蒸発して塗布膜Tの段差が若干小さくなる{第1の乾燥工程:ステップ15−5}。
【0104】
次に、第2の搬送アーム5Bによって第1,第2又は第3の加熱ユニットHP1,HP2,HP3のホットプレート上のウエハWを受け取って、第1のユニット群G1に配置されている第2の冷却ユニットCOL2のクーリングプレート(図示せず)上にウエハWを受け渡して、ウエハWを23℃まで降温する{第1の冷却工程:ステップ15−6}。
【0105】
次に、第1の搬送アーム5Aによって第2の冷却ユニットCOL2のクーリングプレート上のウエハWを受け取って、第2のユニット群G2に配置されている第3の受け渡しユニットTRS3の載置台(図示せず)上にウエハWを受け渡す。その後、第2の搬送アーム5Bが第3の受け渡しユニットTRS3の載置台上のウエハWを受け取って、フッ酸液エッチングユニット600A内のスピンチャック10AにウエハWを受け渡す。その後、スピンチャック10Aの回転に伴って回転するウエハWの表面に対してエッチング液供給ノズル6からエッチング液であるフッ酸液が滴下(供給)され、塗布膜Tを等方向的にエッチングする(図2(b)参照){フッ酸液エッチング工程:ステップ15−7}。この際、洗浄液供給ノズル7からウエハWに対して純水を供給してエッチングを抑制(停止)させる。このフッ酸液による等方向エッチングの後に、フッ酸液(エッチング液)の振り切りを行う(振り切り乾燥工程:ステップ15−8)。この際、モータ12Aの駆動によるスピンチャック10A及びウエハWの回転による遠心力によってエッチングに供されたフッ酸液を除去すると共に、ウエハWの中心部の上方から側縁部に向かう水平方向にスキャンする乾燥ガス供給ノズル8から乾燥ガス例えばN2ガスをウエハWの表面に供給(噴射)して、エッチングに供されたフッ酸液を外部に飛散して除去する。
【0106】
エッチング処理を行った後、第2の搬送アーム5Bがフッ酸液エッチングユニット600A内のスピンチャック10A上のウエハWを受け取って、第2のユニット群G2に配置されている例えば第4の受け渡しユニットTRS4の載置台(図示せず)に受け渡す。その後、第2の搬送アーム5Bが第4の受け渡しユニットTRS4の載置台上のウエハWを受け取って、第2のユニット群G2に配置されている第3又は第4の冷却ユニットCOL3,COL4のクーリングプレート(図示せず)上にウエハWを受け渡して、次に塗布処理されるウエハWを23℃まで降温する{処理前冷却工程:ステップ15−9}。
【0107】
次に、第1の搬送アーム5Aが第3又は第4の冷却ユニットCOL3,COL4上のウエハWを受け取って、第2の塗布ユニット100Bのスピンチャック10上にウエハWを受け渡す。その後、スピンチャック10の回転に伴って回転するウエハWの表面に対して塗布液供給ノズル30から塗布液が滴下(供給)され、ウエハWの表面に許容範囲内の微細な段差hのほぼ平坦状の塗布膜Tを形成する(図2(c)参照){第2の塗布工程:ステップ15−10}。
【0108】
上記のようにして塗布膜を形成した後、第1の搬送アーム5Aによってスピンチャック10上のウエハWを受け取って第2のユニット群G2に配置された第5,第6又は第7の加熱ユニットHP5,HP6,HP7内のホットプレート(図示せず)上に受け渡す。そして、塗布膜を硬化(焼成)する{第2の乾燥工程:ステップ15−11}。
【0109】
上記のようにして塗布膜Tの硬化(焼成)処理が行われた後、第1の搬送アーム5Aが第5,第6又は第7の加熱ユニットHP5,HP6,HP7内のホットプレート上のウエハWを受け取って、第1のユニット群G1の第2の冷却ユニットCOL2のクーリングプレート(図示せず)上にウエハWを受け渡して、ウエハWを23℃まで降温する{第2の冷却工程:ステップ15−12}。
【0110】
次に、第1の搬送アーム5Aによって第2の冷却ユニットCOL2のクーリングプレート上のウエハWを受け取って、第2の受け渡しユニットTRS2の載置台(図示せず)上に受け渡す(ステップ15−13)。その後、ウエハ搬送用ピンセット4が第2の受け渡しユニットTRS2の載置台上のウエハWを受け取って、カセット載置台1a上のカセットC内に収納して、処理が終了する(ステップ15−14)。
【0111】
なお、上記説明では、第1の塗布工程,第1の乾燥工程,第1の冷却工程,フッ酸液エッチング工程,第2の塗布工程,第2の乾燥工程及び第2冷却工程によって、凹凸を有するウエハWの表面に平坦状の塗布膜を成膜する場合について説明したが、塗布膜Tの段差を更に微細にするには、上述したと同様に第2の塗布工程と第2の乾燥工程を繰り返し行うようにしてもよい。また、第1の塗布工程,第1の乾燥工程,第1の冷却工程,フッ酸液エッチング工程,第2の塗布工程,第2の乾燥工程及び第2冷却工程を複数回繰り返し行うようにしてもよい。
【0112】
また、第1の塗布工程,第1の乾燥工程,第1の冷却工程,フッ酸液エッチング工程,第2の塗布工程,第2の乾燥工程及び第2の冷却工程を複数回繰り返し行う場合は、1回目の処理が終了したウエハWをカセットステーション1に戻さずに、第1の搬送アーム5Aによって第2の受け渡しユニットTRS2の載置台上のウエハWを、順次バッファユニット700内に一時収納し、ロットの最後のウエハWが最初に処理するユニット例えば冷却ユニットの処理の1回目の処理終了後に、第1の搬送アーム5Aによってバッファユニット700から順次搬出されたウエハWの2回目の処理を行う。
【0113】
なお、上記説明では、エッチング液がフッ酸液である場合について説明したが、フッ酸液に代えて酸液あるいはアルカリ液によってエッチング処理する場合は、フッ酸液エッチングユニット600Aへの搬送フローに変えて酸液エッチングユニット600Bあるいはアルカリ液エッチングユニット600Cに塗布膜Tが形成されたウエハWを搬送すればよい。
【0114】
また、この発明によれば、複数回繰り返して処理を行う場合に、例えば1回目のエッチングはフッ酸液で行い、2回目のエッチングでは酸液もしくはアルカリ液で処理する場合や1回目はアルカリ液でエッチングし、2回目は酸液でエッチング処理する等、エッチング時間によるエッチング条件を変える場合以外にSOG膜厚の条件によってエッチング液を選択的に変えて処理することも可能である。
【0115】
なお、上記実施形態では、塗布液がSOG液である場合について説明したが、この発明に係る成膜技術は、SOG液以外の塗布液例えばレジストにも適用でき、また、ウエハW以外の被処理基板例えばLCD基板にも適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】この発明に係る基板処理装置の第1実施形態を示す第1のユニット群を示す概略側面図
【図2】この発明に係る基板処理方法の第1実施形態における塗布膜の成膜状態を示す要部拡大断面図である。
【図3】この発明における各工程を示す概略斜視図である。
【図4】この発明に係る基板処理方法の第1実施形態における塗布膜の成膜の手順を示すフローチャートである。
【図5】この発明における溶剤のエッチング量と加熱時間との関係を示すグラフである。
【図6】この発明に係る基板処理方法の第2実施形態における塗布膜の成膜の手順を示すフローチャートである。
【図7】この発明に係る基板処理方法の第2実施形態における塗布膜の成膜状態を示す要部拡大断面図である。
【図8】この発明に係る基板処理方法の第3実施形態における塗布膜の成膜の手順を示すフローチャートである。
【図9】この発明に係る基板処理方法の第3実施形態における塗布膜の成膜状態を示す要部拡大断面図である。
【図10】この発明に係る基板処理装置の第2実施形態を示す概略断面図である。
【図11】図10に示す基板処理装置を用いた場合の各工程を示す概略斜視図である。
【図12】この発明に係る基板処理装置を備えた基板処理システムの一例を示す概略平面図(a)、基板処理システムにおける第1のユニット群を示す概略側面図(b)及び第2のユニット群を示す概略側面図(c)である。
【図13】この発明におけるエッチングユニットの一例を示す概略断面図である。
【図14】この発明に係る基板処理方法の第4実施形態における塗布膜の成膜の手順を示すフローチャートである。
【図15】この発明に係る基板処理方法の第5実施形態における塗布膜の成膜の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0117】
5A,5B 第1,第2の搬送アーム(搬送ユニット)
6 エッチング液供給ノズル
7 洗浄液供給ノズル
8 乾燥ガス供給ノズル
10,10A スピンチャック(保持手段)
20 ホットプレート(加熱手段)
20a ヒータ
21 温度調整器(温度調整手段)
22 クーリングプレート(冷却手段)
22a 冷媒配管
23 冷却温度調整器
30 塗布液供給ノズル
40 溶剤供給ノズル
60,60A コントローラ(制御手段)
70,70A,70B ノズル移動機構
80 温度調整器(温度調整手段)
90 濃度調整手段
100,100A,100B塗布ユニット
600A フッ酸液エッチングユニット(エッチングユニット)
600B 酸液エッチングユニット(エッチングユニット)
600Cアルカリ液エッチングユニット(エッチングユニット)
700 バッファユニット
W 半導体ウエハ(被処理基板)
Wa 凹部
V1,V2,V3 開閉弁
T 塗布膜
G1,G2 第1,第2のユニット群
HP1〜HP7 第1〜第7の加熱ユニット
COL1〜COL4 第1〜第4の冷却ユニット
TRS1〜TRS4 第1〜第4の受け渡しユニット
CV 切換弁
FV1,FV2 流量制御弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸を有する被処理基板に対して塗布液を供給して、上記被処理基板の表面に塗布膜を形成する第1の塗布工程と、
上記塗布膜が形成された被処理基板を加熱して、上記塗布膜のエッチング条件を調整する第1の乾燥工程と、
上記被処理基板に形成された塗布膜をエッチングするエッチング液を供給して、上記塗布膜をエッチングするエッチング工程と、
上記被処理基板に対して塗布液を供給し、被処理基板の表面に平坦状の塗布膜を形成する第2の塗布工程と、
上記第2の塗布工程の後、上記被処理基板を加熱して塗布膜を硬化させる第2の乾燥工程と、
を有することを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の基板処理方法において、
上記第2の乾燥工程の後、上記第2の塗布工程と第2の乾燥工程を繰り返し行うことを特徴とする基板処理方法。
【請求項3】
請求項1記載の基板処理方法において、
上記第1の塗布工程、第1の乾燥工程、エッチング工程、第2の塗布工程及び第2の乾燥工程を繰り返し行うことを特徴とする基板処理方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理方法において、
上記第1の乾燥工程及び第2の乾燥工程の後、被処理基板を冷却する冷却工程を更に有することを特徴とする基板処理方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理方法において、
上記第1の塗布工程、第1の乾燥工程、エッチング工程、第2の塗布工程及び第2の乾燥工程を繰り返し行う際に、1回目の処理が終了した複数の被処理基板を順次バッファユニット内に一時収納し、ロットの最後の被処理基板が最初に処理するユニットの処理の1回目の処理終了後に、上記バッファユニットから順次搬出された被処理基板の2回目の処理を行うことを特徴とする基板処理方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理方法において、
上記第1及び第2の塗布工程において、被処理基板を水平方向に回転させ、被処理基板の表面に塗布液を供給し、上記エッチング工程において、被処理基板を水平方向に回転させ、被処理基板の表面にエッチング液を供給する、ことを特徴とする基板処理方法。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理方法において、
上記第1の乾燥工程及び第2の乾燥工程において、被処理基板を水平方向に回転させると共に、被処理基板に対して乾燥ガスを供給することを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれかに記載の基板処理方法において、
上記エッチング液は、所定の温度に温度調整されていることを特徴とする基板処理方法。
【請求項9】
請求項1ないし6又は8のいずれかに記載の基板処理方法において、
上記エッチング液は、所定の濃度に濃度調整されていることを特徴とする基板処理方法。
【請求項10】
請求項1ないし6,8又は9のいずれかに記載の基板処理方法において、
上記エッチング液は、塗布液の溶剤、フッ酸液、酸液又はアルカリ液のいずれかであることを特徴とする基板処理方法。
【請求項11】
表面に凹凸を有する被処理基板に対して塗布液を供給し、上記被処理基板の表面に塗布膜を成膜する基板処理装置であって、
上記被処理基板を水平に回転可能に保持する保持手段と、
上記保持手段に保持された上記被処理基板に対して塗布液を供給する塗布液供給ノズルと、
上記保持手段に保持された上記被処理基板に形成された塗布膜をエッチングするエッチング液を供給するエッチング液供給ノズルと、
上記被処理基板を加熱する加熱手段と、
上記加熱手段の温度を調整する温度調整手段と、
上記保持手段の回転制御,上記塗布液供給ノズル及びエッチング液供給ノズルの供給制御並びに上記温度調整手段の温度制御を行う制御手段と、を具備し、
上記制御手段は、上記保持手段により回転する被処理基板に対して塗布液を供給して、被処理基板の表面に塗布膜を形成した後、上記塗布膜が形成された上記被処理基板を加熱して、上記塗布膜のエッチング条件を調整し、上記被処理基板に対してエッチング液を供給して、上記塗布膜をエッチングした後、上記被処理基板に対して塗布液を供給し、被処理基板の表面に平坦状の塗布膜を形成し、その後、上記被処理基板を加熱して塗布膜を硬化させるように制御可能に形成してなる、ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項12】
請求項11記載の基板処理装置において、
上記加熱手段を上記保持手段に内蔵してなる、ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項13】
請求項11又は12記載の基板処理装置において、
上記被処理基板を冷却する冷却手段を更に具備する、ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項14】
表面に凹凸を有する被処理基板に対して塗布液を供給し、上記被処理基板の表面に塗布膜を成膜する基板処理装置であって、
上記被処理基板の表面に塗布膜を形成する塗布ユニットと、
上記被処理基板に形成された塗布膜をエッチングするエッチングユニットと、
上記被処理基板を加熱する加熱手段を有する加熱ユニットと、
上記加熱手段の温度を調整する温度調整手段と、
上記被処理基板を冷却する冷却手段を有する冷却ユニットと、
上記塗布ユニット、エッチングユニット、加熱ユニット及び冷却ユニット間で上記被処理基板を搬入・搬出する搬送ユニットと、
上記各ユニット及び上記温度調整手段を制御する制御手段と、を具備し、
上記塗布ユニットは、上記被処理基板を水平に回転可能に保持する保持手段と、上記保持手段に保持された上記被処理基板に対して塗布液を供給する塗布液供給ノズルと、上記被処理基板に形成された塗布膜をエッチングするエッチング液を供給するエッチング液供給ノズルのうちの少なくとも保持手段と塗布液供給ノズルを具備し、
上記エッチングユニットは、上記被処理基板を水平に回転可能に保持する保持手段と、上記被処理基板に形成された塗布膜をエッチングするエッチング液を供給するエッチング液供給ノズルと、を具備し、
上記制御手段は、上記塗布ユニットの保持手段により回転する被処理基板に対して塗布液を供給して、被処理基板の表面に塗布膜を形成した後、上記塗布膜が形成された上記被処理基板を加熱して、上記塗布膜のエッチング条件を調整し、上記被処理基板に対してエッチング液を供給して、上記塗布膜をエッチングした後、上記被処理基板に対して塗布液を供給し、被処理基板の表面に平坦状の塗布膜を形成し、その後、上記被処理基板を加熱して塗布膜を硬化させるように制御可能に形成してなる、ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項15】
請求項14記載の基板処理装置において、
上記エッチングユニットは、上記被処理基板に対してエッチングを抑制する洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルを更に具備することを特徴とする基板処理装置。
【請求項16】
請求項14又は15記載の基板処理装置において、
上記搬送ユニットによって上記被処理基板の受け渡しが可能であって、複数の上記被処理基板が収納可能なバッファユニットを更に具備することを特徴とする基板処理装置。
【請求項17】
請求項14ないし16のいずれかに記載の基板処理装置において、
上記エッチングユニットは、上記被処理基板に対して乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給ノズルを更に具備することを特徴とする基板処理装置。
【請求項18】
請求項14ないし17のいずれかに記載の基板処理装置において、
上記エッチングユニットは、それぞれ互いに異なる種類のエッチング液が供給可能な複数のユニットからなり、塗布膜の膜厚等の条件に応じて選択されたエッチングユニットを使用可能に形成してなることを特徴とする基板処理装置。
【請求項19】
請求項14ないし18のいずれかに記載の基板処理装置において、
上記エッチングユニットは、エッチング液供給源とエッチング液供給ノズルとを接続する供給管路に、エッチング液の温度を所定温度に調整する温度調整手段を具備してなることを特徴とする基板処理装置。
【請求項20】
請求項14ないし19のいずれかに記載の基板処理装置において、
上記エッチングユニットは、エッチング液の濃度を所定濃度に調整する濃度調整手段を具備してなることを特徴とする基板処理装置。
【請求項21】
請求項10ないし20のいずれかに記載の基板処理装置において、
上記エッチング液は、塗布液の溶剤、フッ酸液、酸液又はアルカリ液のいずれかであることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−173765(P2007−173765A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183981(P2006−183981)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】