説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】基板処理に要する時間を短縮させる基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、主としてステージ3と、リフトピンLPと、架橋構造4と、スリットノズル41と、ノズル昇降機構とを備える。基板処理装置では、搬送ロボット6と基板90の受け渡しを行う位置(搬送高さ位置L2)よりも上の、離間高さ位置L5までスリットノズル41を上昇させることができる。また、基板処理装置は、塗布処理後に退避位置へ向けて移動するスリットノズル41が基板90の上方にある間に、基板90を搬送高さ位置L2に配置するよう、リフトピン昇降機構およびノズル昇降機構の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶用ガラス角型基板、半導体ウエハ、フィルム液晶用フレキシブル基板、フォトマスク用基板、カラーフィルター用基板、光ディスク用基板等に処理を施す基板処理の技術に関するもので、特に、基板の搬送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基板の大型化に伴い、基板を保持しつつ、当該基板に対してローラ、ブレードまたはスリット状の吐出口を有するノズル等の処理ツールを、基板上で相対的に平行移動させることにより、基板に対して所定の処理液を均一に塗布する塗布処理方法(スリットコーティング)が知られている。このような塗布処理を行う基板処理装置(スリットコータ)は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
具体的に、特許文献1に記載されている基板処理装置では、ステージの上面から突出させた昇降自在である複数のリフトピンによって、基板処理装置と搬送装置(シャトルや搬送ロボット等)との間で基板の受け渡しを行っている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−87906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、従来の基板処理装置では、ノズルの上昇可能な高さ位置が、基板を外部(例えば搬送装置)に搬送する位置(搬送位置)の高さよりも低く設計される。そのため、塗布処理を終えた後において、搬出のために上昇させる基板とノズルとが干渉するのを防止するため、ノズルを所定の待機位置(基板の上方から外れた外方の位置)にまで移動させてから、リフトピンを上昇させて基板を上方移動させる。
【0006】
このように、従来の基板処理装置では、上記ノズルの戻り動作の間、基板の上昇移動を開始することができないため、基板処理に要するタクトタイムが長くなるという問題があった。また、基板の搬入時においても、ノズルを上記待機位置に退避させて基板を搬入し、その後、ステージに基板を載置してからノズルを基板の上方に移動させなければならず、基板処理に要するタクトタイムが長くなっていた。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板処理に要する時間を短縮させる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、支持手段によって水平に支持された基板の上面に所定の処理液を塗布し、塗布が終了した基板を外部に搬送する基板処理装置であって、前記支持手段によって支持された基板に対して前記所定の処理液を吐出するノズルと、前記支持手段によって支持された基板の上方から外れた外方の位置と、前記支持手段によって支持された基板の上方の位置との間で前記ノズルを移動させるノズル移動手段と、前記支持手段によって基板が支持される支持位置と、前記支持位置より上方であって、外部に搬送する搬送位置との間で基板を昇降させる基板昇降手段と、前記支持手段によって支持された基板に対して前記所定の処理液を吐出する吐出位置と、前記搬送位置よりもさらに上方の離間位置との間で、前記ノズルを昇降させるノズル昇降手段と、前記基板昇降手段と前記ノズル昇降手段とを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、基板が前記搬送位置にあるときに、前記ノズルの下端の位置が前記基板の上面よりも高い位置となるように前記基板昇降手段と前記ノズル昇降手段とを制御することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、支持手段によって水平に支持された基板の上面に所定の処理液を塗布し、塗布が終了した基板を外部に搬送する基板処理装置であって、前記支持手段によって支持された基板に対して前記所定の処理液を吐出するノズルと、前記支持手段によって支持された基板の上方から外れた外方の位置と、前記支持手段によって支持された基板の上方の位置との間で前記ノズルを移動させるノズル移動手段と、前記支持手段によって基板が支持される支持位置と、前記支持位置より上方であって、外部に搬送する搬送位置との間で基板を昇降させる基板昇降手段と、前記支持手段によって支持された基板に対して前記所定の処理液を吐出する吐出位置と、前記搬送位置よりもさらに上方の離間位置との間で、前記ノズルを昇降させるノズル昇降手段と、前記基板昇降手段と前記ノズル昇降手段とを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記支持手段によって支持された基板に対して前記ノズルから前記所定の処理液の吐出を終えた後において、前記ノズルが前記離間位置に向けて上方移動される間に、前記基板を前記搬送位置に向けて上方移動されるように、前記ノズル昇降手段と前記基板昇降手段とを制御することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明に係る基板処理装置であって、前記制御手段は、前記支持手段によって支持された基板に対して前記ノズルから前記所定の処理液の吐出を終えた後において、前記外方の位置へ向けて移動される前記ノズルが前記基板の上方にある間に、前記搬送位置に配置された基板を外部に搬送するように、前記基板昇降手段と前記ノズル昇降手段とを制御することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明に係る基板処理装置であって、前記支持手段の上方において基板を搬送する搬送手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明に係る基板処理装置であって、前記ノズルを支持するノズル支持部をさらに備え、前記ノズル支持部は、架橋構造を形成することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明に係る基板処理装置であって、前記ノズルは、前記ノズル移動手段によって移動される方向(第1の方向)と垂直に交わる方向(第2の方向)に長手方向を有するスリット状の吐出口から前記所定の処理液を吐出することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項6の発明に係る基板処理装置であって、基板の搬送方向は、前記第1の方向と略平行であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8の発明は、支持手段によって水平に支持された基板の上面に向けて、ノズルから所定の処理液を供給する基板処理方法であって、(a)前記ノズルを前記所定の処理液を吐出する吐出位置に配置する工程と、(b)前記吐出位置に配置させた前記ノズルを前記基板に対して相対的に移動させて、前記基板に対して前記ノズルから前記所定の処理液を吐出する工程と、(c)前記(b)工程における前記ノズルからの前記所定の処理液の吐出を終了した後、前記ノズルを前記吐出位置よりも上方の離間位置に向けて上方移動させる工程と、(d)前記(b)工程における前記ノズルからの前記所定の処理液の吐出を終了した後、前記ノズルを前記基板の上方から外れた外方の位置に向けて移動させる工程と、(e)前記(c)工程を開始した後であって、少なくとも前記(d)工程において移動する前記ノズルが、前記基板の上方にある間に、前記基板を外部に搬送する搬送位置まで上方移動させる行程とを有し、前記離間位置にあるノズルの下端の位置は、前記搬送位置にある基板の上面よりも高い位置であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項8の発明に係る基板処理法であって、(f)前記(d)工程において移動する前記ノズルが、少なくとも前記基板の上方にある間に、前記(e)工程により前記搬送位置に配置された前記基板を外部に搬送する工程、をさらに有することを特徴とする。
【0017】
また、請求項10の発明は、請求項8または9の発明に係る基板処理方法であって、前記(e)工程における前記搬送位置に向けた前記基板の上方移動は、前記(c)工程における前記離間位置に向けた前記ノズルの上方移動と略同時に開始されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1ないし7に記載の発明によれば、搬送位置にある基板よりもさらに上方の離間位置までノズルを上方移動させることで、ノズルが基板の上方にある状態でも、基板をノズルと干渉させることなく所定の搬送位置に配置させることができる。したがって、速やかに基板の搬送動作を実行することができ、基板処理に要する時間を短縮できる。
【0019】
また、請求項2に記載の発明によれば、ノズルが離間位置に向けて上方移動している間に、基板をノズルと干渉させることなく搬送位置に向けて上方移動させることができる。したがって、基板の搬出に要する時間をさらに短縮させることができ、基板処理に要する時間を短縮できる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明によれば、ノズルが基板の上方の位置にある間に、基板を搬送位置に配置することで、速やかに基板の搬出を実行できる。したがって、基板処理に要する時間をさらに短縮できる。
【0021】
また、請求項5に記載の発明によれば、ノズル支持部が架橋構造を形成するので、ノズルを安定して支持することができる。
【0022】
また、請求項8ないし10に記載の発明によれば、塗布処理後の基板の搬出時において、離間位置に位置するノズルの下端の位置が、搬送位置にある基板の上面よりもさらに上方であるため、ノズルが基板の上方に位置する間に、基板をノズルと干渉させることなく搬送位置にまで上方移動させることができる。したがって、速やかに基板の搬出を実行でき、基板処理に要する時間を短縮できる。
【0023】
また、請求項9に記載の発明によれば、塗布処理後において、ノズルが基板の上方に位置する間に、基板をノズルと干渉させることなく搬送位置にまで上方移動させて外部に搬送することができる。したがって、速やかに基板の搬出を実行でき、基板処理に要する時間をさらに短縮できる。
【0024】
また、請求項10に記載の発明によれば、塗布処理後において、ノズルの上方移動と基板の上方移動とを略同時に実行させることによって、速やかに基板を搬送位置へ配置できる。したがって、基板の搬出に要する時間をさらに短縮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0026】
<1. 第1の実施の形態>
<1.1.基板処理装置の構成および機能>
図1は、第1の実施の形態における基板処理装置1と搬送ロボット6の斜視図である。なお、図1において、図示および説明の都合上、Z軸方向が鉛直方向を表し、XY平面が水平面を表すものとして定義するが、それらは位置関係を把握するために便宜上定義するものであって、以下に説明する各方向を限定するものではない。以下の各図についても同様である。
【0027】
[概略構成]
基板処理装置1は、本体部2と制御部8とに大別され、液晶表示装置の画面パネルを製造するための角型ガラス基板を、被処理基板(以下、単に「基板」と称する。)90としている。また、基板処理装置1は、基板90の表面に形成された電極層などを選択的にエッチングするプロセスにおいて、基板90の表面に処理液としてのレジスト液(所定の処理液)を塗布する塗布処理装置として構成されている。
【0028】
なお、基板処理装置1は、液晶表示装置用のガラス基板だけでなく、一般に、フラットパネルディスプレイ用等の種々の基板に処理液を塗布する装置として変形利用することもできる。また角型ガラス基板に限らず、円形型(楕円型を含む。)や非円形の多角型基板の処理にも変形利用できる。
【0029】
[本体部2]
本体部2は、主としてステージ3、架橋構造4、ノズル支持部40、スリットノズル41、ノズル昇降機構43,44、リニアモータ50,51およびリニアエンコーダ52,53から構成される。
【0030】
本体部2は、載置された基板90を支持するとともに、付属する各機構の基台としても機能するステージ3を備える。ステージ3は直方体形状を有する例えば一体の石製であり、その上面および側面は平坦面に加工されている。
【0031】
ステージ3の上面は、水平面とされており、基板90の支持面30を形成する。支持面30には、図示しない多数の真空吸着口が設けられている。そして、真空吸着口は、本体部2において基板90を処理する間、基板90を吸着することにより、基板90を所定の水平位置に保持する。
【0032】
また、ステージ3は、複数のリフトピンLPを備えており、当該リフトピンLPは、リフトピン昇降機構31に接続されている。基板処理装置1は、リフトピン昇降機構31を駆動することによって、リフトピンLPをZ軸方向に進退させることができる。これにより、基板90を、支持面30に支持される位置(支持位置L1、図5参照)と、当該支持位置L1より上方の位置であって、搬送ロボット6と基板90の受け渡しを行う位置(搬送高さ位置L2、図8参照)との間で昇降させる。
【0033】
ここで、搬送高さ位置L2とは、基板処理装置1と搬送ロボット6との間で基板90の受け渡しをするときの、当該基板90上面の高さ位置をいう。したがって、搬送高さ位置L2は、少なくともリフトピンLPに支持された基板90と支持面30との隙間に、後述する搬送ロボット6のチャック613が進入可能なときの、基板90上面の高さ位置となる。
【0034】
ステージ3の上面のうち基板90の保持エリア(基板90が保持される領域)を挟んだ両端部には、略水平方向に平行に伸びる一対の走行レール32が固設される。走行レール32は、架橋構造4の両端部の最下方に固設される図示しない支持ブロックとともに、架橋構造4の移動を案内(移動方向を所定の方向に規定)し、架橋構造4を支持面30の上方に支持するリニアガイドを構成する。
【0035】
本体部2の支持面30において、保持エリアの(−X)側には、開口33が設けられている。開口33はスリットノズル41と同じくY軸方向に長手方向を有し、かつ該長手方向長さはスリットノズル41の長手方向の長さとほぼ同じである。
【0036】
図1においては図示を省略しているが、開口33の下方の本体部2の内部には、スリットノズル41の状態を正常化するための予備塗布機構や、待機中のスリットノズル41の乾燥を抑制するための待機ポッドなどが設けられている。当該待機ポットは、レジスト用ポンプ(図示せず)からレジスト液が排出される際にも使用される。
【0037】
ステージ3の上方には、このステージ3の両側部分から略水平に掛け渡された架橋構造4が設けられる。架橋構造4は、主として、例えばカーボンファイバ補強樹脂を骨材とするノズル支持部40およびその両端を支持するノズル昇降機構43,44から主に構成される。
【0038】
ノズル支持部40には、スリットノズル41が取り付けられる。なお、図1中、Y軸方向(第2の方向)に長手方向を有するスリットノズル41には、スリットノズル41へレジスト液を供給するレジスト供給機構(図示せず)が接続されている。
【0039】
スリットノズル41は、基板90の表面を走査しつつ、供給されたレジスト液を基板90表面の所定の領域(以下、「レジスト塗布領域」と称する。)に吐出することにより、基板90にレジスト液を塗布する。なお、レジスト塗布領域とは、基板90の表面のうち、レジスト液を塗布しようとする領域であって、一般的には、基板90の全面から端縁に沿った所定幅の領域を除いた領域をいう。
【0040】
ノズル昇降機構43,44は、スリットノズル41の両側に分かれて、ノズル支持部40によりスリットノズル41と連結されている。ノズル昇降機構43,44は主にACサーボモータ43a,44aおよび図示しないボールネジからなり、制御部8からの制御信号に基づいて、架橋構造4の昇降駆動力(Z軸方向の駆動力)を生成する。
【0041】
これにより、ノズル昇降機構43,44は、スリットノズル41を並進的に昇降させる。また、ノズル昇降機構43,44は、スリットノズル41のYZ平面内での姿勢を調整するためにも用いられる。
【0042】
なお、本実施の形態おいて、ノズル昇降機構43,44は、待機時のスリットノズル41の下端(離間高さ位置L5)が、搬送高さ位置L2にある基板90の上面よりも上方となるように、当該スリットノズル41を上昇移動させることができる(図8参照)。
【0043】
架橋構造4の両端部には、ステージ3の両側の縁側に沿って、それぞれ固定子(ステータ)50aと移動子50bおよび固定子51aと移動子51bを備える一対のACコアレスリニアモータ(以下、単に、「リニアモータ」と略する。)50,51が、それぞれ固設される。
【0044】
また、架橋構造4の両端部には、それぞれスケール部と検出子とを備えたリニアエンコーダ52,53が、それぞれ固設される。リニアエンコーダ52,53は、リニアモータ50,51の位置を検出して制御部8に伝達する。
【0045】
[制御部8]
図2は、制御部8と基板処理装置1の各部との接続を示したブロック図である。制御部8は、プログラムに従って各種データを処理する演算部80と、プログラムや各種データを保存する記憶部81とを内部に備える。また、前面には、オペレータが基板処理装置1に対して必要な指示を入力するための操作部82と、各種データを表示する表示部83とを備える。
【0046】
制御部8は、図1においては図示しないケーブルにより本体部2に付属する各機構と電気的に接続されている。制御部8の演算部80は、操作部82からの入力信号や、図示しない各種センサなどからの信号に基づいて、リフトピン昇降機構31によるリフトピンLPの昇降動作や、ノズル昇降機構43,44によるスリットノズル41の昇降動作、リニアモータ50,51によるスリットノズル41の走査動作等を制御する。なお、これら以外にも、制御部8は、例えば、スリットノズル41へのレジスト液の供給動作を制御する。
【0047】
なお、制御部8の構成のうち、記憶部81の具体的例としては、データを一時的に記憶するRAM、読み取り専用のROM、および磁気ディスク装置などが該当する。ただし、記憶部81は、可搬性の光磁気ディスクやメモリーカードなどの記憶媒体、およびそれらの読み取り装置により代用されてもよい。また、操作部82には、ボタンおよびスイッチ類(キーボードやマウスなどを含む。)などが該当するが、タッチパネルディスプレイのように表示部83の機能を兼ね備えたものであってもよい。表示部83には、液晶ディスプレイや各種ランプなどが該当する。
【0048】
[搬送ロボット6]
次に、図1に示すように、基板処理装置1に対して(+X)側に隣接して配置される搬送ロボット6について説明する。
【0049】
図3は、搬送ロボット6を側方から見た図である。搬送ロボット6は、ステージ3の上方に突出したリフトピンLPの上端に基板90を受け渡し、もしくはリフトピンLPの上端に保持された基板90を受け取って搬出する装置である。
【0050】
搬送ロボット6は、搬送ロボット6の各構成を固定するための基台60と、アーム部61と、昇降機構62と、回転機構63とを備える。
【0051】
アーム部61は、ロボットハンド610と、第1アーム部611と、第2アーム部612とを備える。また、ロボットハンド610は、4つのチャック613(図1参照)を備える。
【0052】
チャック613には、図示しない複数の支持ピンが立設されている。ロボットハンド610は、チャック613に立設された支持ピンの先端が基板90の裏面に当接することによって、基板90を下方から支持する。
【0053】
このように、ロボットハンド610が4つのチャック613を備えることによって、搬送ロボット6は、基板90の端部のみならず、中央部も支持することができる。したがって、支持された基板90の撓みを抑制できるので、基板90が大型化した場合にも基板90を破損させることなく搬送することができる。なお、チャックの数は、もちろんこれに限られるものではなく、適宜変更が可能である。
【0054】
第1アーム部611および第2アーム部612は、ロボットハンド610と連結されている。このような構造により、アーム部61は伸縮自在であり、ロボットハンド610は水平面内で進退可能である。なお、図1および図3に示す状態では、(−X)方向に進出し、(+X)方向に退出する。
【0055】
昇降機構62は、支持部材621および支柱部材622を備える。アーム部61が取り付けられる支持部材621は、図示しない直動機構によって、支柱部材622に沿ってZ軸方向に昇降可能に構成されている。すなわち、昇降機構62は、アーム部61をZ軸方向に所定の範囲内で昇降させる機能を有している。
【0056】
このように昇降機構62を備えることによって、搬送ロボット6は、ロボットハンド610に支持された基板90をZ軸方向(上下方向)に移動させることができる。
【0057】
回転機構63は、図示しない回転モータを備え、アーム部61および昇降機構62を、軸O中心に一体的に回転させる機構である。すなわち、回転機構63は、アーム部61の進退方向を調整する機能を備えている。
【0058】
なお、本実施の形態における搬送ロボット6は、1個のアーム部61を備えているが、アーム部61の数はこれに限られるものではなく、2以上備えられていてもよい。アーム部61の数を増やすことにより、基板90を基板処理装置1に連続的に供給できるため、基板処理のスループット向上の点で有効である。また、本実施の形態では制御部8が搬送ロボット6の制御を行うものとするが、これに限られるものではない。
【0059】
<1.2. 動作説明>
次に、塗布処理時および基板90の塗布処理後に関する基板処理装置1および搬送ロボット6の動作について説明する。
【0060】
図4は、基板処理装置1の動作手順を示す流れ図である。図5ないし図9は、基板処理装置1の動作手順を説明するための基板処理装置1の概略側面図である。なお、ここでは、既に基板90がステージ3の支持面30に吸着保持されているものとする。
【0061】
まず、基板処理装置1は、リニアモータ50,51を駆動することによって、保持した基板90の上方から外れた外方の位置にあるスリットノズル41を、スリットノズル41の吐出口がレジスト塗布領域の塗布が開始されるべき位置に沿うように、架橋構造4を移動させる(ステップS10)。すなわち、基板処理装置1は、図5中、実線で示す架橋構造4を、(+X)方向へ移動させて、二点鎖線で示す位置に配置させる。
【0062】
なお、以下において、図5中、実線で示す架橋構造4の位置を「退避位置」とも称する。また、図5中、二点鎖線で示す架橋構造4の位置を「塗布開始位置」とも称する。
【0063】
次に、基板処理装置1は、ノズル昇降機構43,44を駆動することによって、スリットノズル41下端の高さ位置を、図5に示すように、基板90の上方の離間高さ位置L5から塗布を実行する吐出位置L6になるように、スリットノズル41を下方移動させる(ステップS11)。
【0064】
ここで、離間高さ位置L5とは、搬送高さ位置L2に配置された基板90の上面よりも上方の位置であって、通常は、待機しているときのスリットノズル41の下端の高さ位置をいう。また、吐出高さ位置L6とは、後述するように基板90に対してレジスト液を吐出して塗布するときのスリットノズル41の下端の高さ位置をいう。
【0065】
なお、架橋構造の移動(ステップS10)およびスリットノズル41の吐出高さ位置L6への配置(ステップS11)が開始される順序は、上記の順に限られるものではなく、逆の順序であってもよい。また、ステップS10とステップS11とが、同時に開始されてもよい。
【0066】
次に、基板処理装置1は、レジスト供給部を駆動することによって、スリットノズル41にレジスト液を供給し、スリットノズル41からレジスト液を吐出させる。さらに、基板処理装置1は、リニアモータ50,51を駆動することによって、架橋構造4を(+X)方向(塗布方向、第1の方向と平行)へ移動させる(ステップS12)。このように、吐出位置L6に配置させたスリットノズル41を基板90に対して相対的に移動させるとともに、レジスト液を吐出させることによって、基板90の上面にレジスト液の薄膜が形成される。
【0067】
スリットノズル41の吐出口の位置が、レジスト塗布領域の塗布を終了すべき位置に到達すると、基板処理装置1は、架橋構造4の塗布方向への移動を停止させる(図6参照)。また、基板処理装置1は、レジスト供給部の動作を停止させて、スリットノズル41からのレジストの吐出を停止させる(ステップS13)。なお、図6において、実線で示す架橋構造4の位置を「塗布終了位置」と称する。
【0068】
上記のステップS12およびステップS13の動作により、基板処理装置1の基板90に対するレジスト液の塗布処理が終了する。
【0069】
次に、基板処理装置1は、ノズル昇降機構43,44を駆動することによって、スリットノズル41の、吐出高さ位置L6から離間高さ位置L5へ向けた上方移動を開始させる(ステップS14)。
【0070】
また、基板処理装置1は、リニアモータ50,51を駆動することによって、架橋構造4を、図6に示す塗布終了位置から、塗布方向と反対の方向((−X)方向)の退避位置への移動を開始させる(ステップS15)。
【0071】
なお、基板処理装置1が架橋構造4の移動を開始させるタイミング(ステップS15)は、スリットノズル41の上方移動を開始させるタイミング(ステップS14)と同時とする他、例えば、基板処理装置1がステップS14の動作を開始した後、もしくはステップS14の動作を完了してからのタイミングであってもよい。さらに、ステップS14とステップS15の開始の順序は、逆の順番であってもよい。なお、ステップS14のスリットノズル41を上昇させるタイミングが早ければ早いほど、後述するステップS16における基板90の上昇移動を速やかに実行することができる。
【0072】
次に、基板処理装置1は、ステージ3の支持面30に設けられている真空吸着口を大気開放することによって、基板90の吸着状態を解除する。さらに、基板処理装置1は、スリットノズル41を上方移動させる間(すなわち、ステップS14の実行中)に、リフトピン昇降機構31を駆動することによって、リフトピンLPを上昇させ、リフトピンLPの上端を基板90の裏面に当接させて基板90を搬送高さ位置L2へ向けた上方移動を開始させる(ステップS16)。
【0073】
なお、基板90の上方移動を開始させるタイミング(ステップS16)は、これに限られるものではなく、スリットノズル41の上方移動を開始させるタイミング(ステップS14)と同時であってもよい。これにより、速やかに基板の搬送動作(搬出)を実行できる。
【0074】
また、ステップS16における基板90の上方移動とは、単に基板90をステージ3の支持面30から引き剥がして、所定の間基板90の移動を停止させておくようなものではなく、基板90を支持面30から引き剥がした後、基板90を停止させることなく、搬送高さ位置L2に向けて上方移動させる動作をいう。
【0075】
また、基板90とスリットノズル41との干渉を防止するため、基板処理装置1では、ステップS14およびステップS16におけるリフトピンLPおよびスリットノズル41の上昇速度は、制御部8において制御される。すなわち、上方移動される基板90上面の高さ位置を、常に上方移動されるスリットノズル41の下端よりも下方とすることで、基板処理装置1は、基板90とスリットノズル41とが干渉するのを防止する。
【0076】
次に、基板処理装置1は、架橋構造4が退避位置に到達する前であって、スリットノズル41が基板90の上方に位置する間に、ステップS16にて上昇移動させている基板90を搬送高さ位置L2に配置させる(ステップS17、図7参照)。なお、架橋構造4の移動速度が十分に速く、基板90が搬送高さ位置L2に到達する前にスリットノズル41の一部が基板90の上方から外れる場合には、少なくとも当該基板90の上方にある(残っている)スリットノズル41の一部の下端よりも下方に基板90がある状態を維持することで、前述した基板90とスリットノズル41との干渉を防止できる。
【0077】
次に、搬送ロボット6は、チャック613を基板90と支持面30との隙間に進入させる(図8参照)。この進入させるタイミングについては、チャック613が当該隙間にアクセス可能な高さ位置にまで基板90が到達した後であれば、いつでもよい。
【0078】
そして、スリットノズル41が基板90の上方にある間に、基板処理装置1は、図8中、矢印で示すようにリフトピンLPを下降させることによって、基板90を搬送ロボット6に受け渡す(ステップS18)。なお、図8では、リフトピンLPと基板90を、基板90の受け渡し前については二点鎖線で、受け渡し後については実線で示している。
【0079】
次に、搬送ロボット6は、第1アーム部611および第2アーム部612を収縮させて、基板90をステージ3の上方から外部に向けて水平移動させつつ(例えば、図1中の(+X)側へ)搬出する。その後、搬送ロボット6は、保持した基板90を、図示しないコンベア等の搬送装置や熱処理装置等に受け渡す。
【0080】
ここで、搬送高さ位置L2は、搬送ロボット6が基板90を搬出するときの基板90表面の高さ(搬出高さ位置L3)よりも高い(図8参照)。したがって、スリットノズル41の下端が、少なくとも搬送高さ位置L2に位置する基板90の上面よりも高い位置にあれば、基板90とスリットノズル41とが干渉することなく、基板90を搬出することができる。
【0081】
なお、リフトピンLPからの基板90の受け渡し方法はこれに限られるものではなく、別の方法について、図9を参照しつつ説明する。図9では、搬送ロボットおよび基板90の位置について、受け渡し前の状態を実線で示しており、受け渡した後の状態を二点鎖線で示している。
【0082】
図9に示すように、まず、基板90上面が所定の高さ(搬送高さ位置L2a)となるよう、リフトピンLPが基板90を支持面30から押し上げる。そして、搬送ロボット6は、チャック613を支持面30と基板90の裏面との間の空間に進入させる。さらに搬送ロボット6は、昇降機構62を駆動させることによってチャック613を上昇させて、リフトピンLPに支持された基板90をすくい上げるように受け取る。そして、図示を省略するが、搬送ロボット6がアーム部61を収縮させることによって、基板90を外部へ搬送する。
【0083】
この場合には、搬送ロボット6が基板90をリフトピンLPから受け取った後、搬出するときの基板90の上面の高さ(搬出高さ位置L3a)は、搬送高さ位置L2aよりも上方となる。したがって、基板90とスリットノズル41との干渉を防止するために、受け渡し時点におけるスリットノズル41の下端が搬出高さ位置L3aにある基板90上面よりも高い位置となるように、制御部8においてスリットノズル41等の位置が制御される。
【0084】
また、上記の方法以外にも、リフトピンLPを下降させるとともにチャック613を上昇させることによって、リフトピンLP上端からチャック613上面へ基板90の受け渡しが実行されてもよい。
【0085】
再び図4に戻って、基板処理装置1は、ステップS14にて上方移動されるスリットノズル41が離間高さ位置L5に到達すると、スリットノズル41の移動動作を停止させる。また、基板処理装置1は、ステップS16にて移動する架橋構造4が退避位置に到達すると、架橋構造の移動を停止する。
【0086】
以上が、塗布処理時および基板90の塗布処理後に関する基板処理装置1および搬送ロボット6の動作についての説明である。
【0087】
<1.3.本実施の形態の効果>
本実施の形態における基板処理装置1では、搬送高さ位置L2(もしくは搬出高さ位置L3a)にある基板90の上面よりも上方の離間高さ位置L5にまでスリットノズル41の下端を移動させることができる。これにより、スリットノズル41が基板90の上方の位置にある状態であっても、基板90をスリットノズル41と干渉させることなく所定の搬送高さ位置L2にまで上方移動させることができる。
【0088】
また、スリットノズル41が退避位置に到達する前であって、スリットノズル41が基板90の上方にある間であっても、基板90を搬送高さ位置L2に配置して、搬送ロボット6による搬送動作(搬出)を実行できる。
【0089】
このように、基板処理装置1では、スリットノズル41を退避位置に戻す動作と、搬送ロボット6の動作とを並行して実行できるため、従来の基板処理装置で要していた余分な待機時間(例えば、架橋構造が退避位置まで戻るまでの時間)の発生を抑制でき、基板製造のスループットを向上できる。
【0090】
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、基板90がステージ3へ吸着保持された後の、基板処理装置の動作について説明した。しかし、基板90がステージ3へ吸着保持される前の基板処理装置1の動作を、以下に述べる手順で行うことによって、基板90の処理に要する時間の短縮を実現できる。
【0091】
図10は、第2の実施の形態における基板処理装置1の動作手順を示す流れ図である。また、図11および図12は、基板処理装置1の動作手順を説明するための基板処理装置1の概略側面図である。なお、本実施の形態における基板処理装置1の構成は、第1の実施の形態における基板処理装置1の構成と同様であるので、適宜同符号を付し、詳細は省略する。
【0092】
<2.1.動作説明>
まず、基板90の搬入に関する基板処理装置1および搬送ロボット6の動作について図10および図11を参照しつつ説明する。なお、ここでは搬送ロボット6のチャック613に保持された基板90を、リフトピンLPの上端に受け渡す際の動作について説明する。
【0093】
まず基板処理装置1は、リニアモータ50,51を駆動することによって、架橋構造4を、退避位置から吐出開始位置へ向けて移動させる(ステップS20)。このとき、スリットノズル41は、離間高さ位置L5に配置されている。
【0094】
なお、このステップS20の動作が完了する時点までに、基板処理装置1は、リフトピンLPの上端の高さ位置が、搬送ロボット6から基板90を受け取った後であって基板90が最も高い位置にあるときの、その上面の高さ(搬送高さ位置L2、図11参照)よりも下の位置となるように、あらかじめリフトピンLPを支持面30から突出させておく(図11中、実線で示す。)。そして、搬送ロボット6は、アーム部61を伸張させることによって、チャック613に保持した基板90を、ステージ3の上方(リフトピンLPの上方)に向けて水平移動させる(ステップS21)。
【0095】
次に、基板処理装置1は、リフトピン昇降機構31を駆動することによって、リフトピンLPを上昇させる。そして、基板処理装置1は、チャック613に保持した基板90を、リフトピンLPの上端にて受け取る(ステップS22)。図11において、基板90を受け取った後のリフトピンLPを二点鎖線で示しているが、このときの基板90上面の高さ位置が、搬送高さ位置L2となる。
【0096】
ここで、搬送高さ位置L2は、搬送ロボット6のチャック613に保持されていたときの基板90の高さ位置(搬入高さ位置L4)よりも高い。したがって、基板90とスリットノズル41との干渉を防止するために、基板90の搬送高さ位置L2がスリットノズル41の離間高さ位置L5よりも下にとなるように、制御部8において基板90搬入時のスリットノズル41の位置等が制御される。
【0097】
ここで、搬送ロボット6からの基板90の受け取り方法は、上述のものに限られるものではなく、別の方法について、図12を参照しつつ説明する。図12では、搬送ロボット6および基板90の位置について、搬入直後の状態を実線で示しており、リフトピンLPにて基板90を受け取った状態を二点鎖線で示している。
【0098】
図12に示すように、搬送ロボット6による基板90の搬入高さ位置L4aを、リフトピンLP上端の高さ位置よりも高くなるように設定する。そして、基板90を搬入した後、アーム部61を下降させる(図12、矢印参照)。これにより、基板90をリフトピンLP上端に受け渡すことが可能である。リフトピンLPにて受け取ったときの基板90上面の高さ位置が搬送高さ位置L2aとなる。
【0099】
この場合、搬入高さ位置L4aの方が、搬送高さ位置L2よりも高い。したがって、基板90とスリットノズル41との干渉を防止するために、搬入高さ位置L4aに配置された基板90の上面よりも離間高さ位置L5に配置されたスリットノズル41の下端が上方となるように、制御部8において搬入高さ位置L4aおよび離間高さ位置L5の位置が制御される。
【0100】
また、上記の方法以外にも、リフトピンLPを上昇させつつチャック613を下降させて、基板90の受け渡しが実行されてもよい。
【0101】
再び図10に戻って、ステップS22における基板90の受け渡しを終えた後、基板処理装置1は、リフトピン昇降機構31を駆動することによって、リフトピンLPを下降させ、基板90の下方移動を開始する(ステップS23)。さらに、基板処理装置1は、ノズル昇降機構43,44を駆動することによって、スリットノズル41の下方移動も開始する(ステップS24)。
【0102】
なお、基板90の下方移動(ステップS23)とスリットノズル41の下方移動(ステップS24)の動作順序は、もちろんこれに限られるものではなく、例えば、同時に実行されても良く、また逆の順番で開始されてもよい。ただし、基板90とスリットノズル41との干渉を防止するため、基板90の高さ位置が、常に、スリットノズル41の下端の高さ位置よりも下方にあるように、制御部8においてリフトピンLPおよびスリットノズル41の下降速度が制御される。
【0103】
次に、基板処理装置1は、リフトピンLPを下降させていくことによって、基板90を支持面30にて支持する。これにより、基板90が支持位置に配置されることとなる(ステップS25)。基板処理装置1は、リフトピンLPの上端が支持面30よりも下方の高さにまで到達すると、リフトピン昇降機構31の駆動を停止させ、リフトピンLPの下降動作を終了させる。
【0104】
そして、基板処理装置1は、ステップS24にて下方移動するスリットノズル41を、吐出高さ位置L6に配置させる(ステップS26)。すなわち、基板処理装置1は、スリットノズル41が吐出高さ位置L6に到達すると、ノズル昇降機構43,44を停止させ、スリットノズルの下方移動を終了させる。
【0105】
さらに、基板処理装置1は、図示しない排気機構(真空ポンプ)を駆動して、支持面30に設けられた真空吸着口を介して基板90を支持面30に吸着保持する(ステップS27)。なお、この動作は、基板90が支持位置へ配置された時点(ステップS25)で開始されてもよい。
【0106】
これ以降の基板処理装置1の動作(塗布処理等)は、第1の実施の形態における基板処理装置1の動作手順のうち、塗布処理に関する工程以降の動作(ステップS12以降、図4参照)と同様であるため、ここでは説明を省略する。以上が、本実施の形態における基板処理装置1の動作説明である。
【0107】
<2.2.本実施の形態の効果>
本実施の形態においては、搬送高さ位置L2(もしくは搬入高さ位置L4a)に配置された基板90の上面よりも、離間高さ位置L5に配置されたスリットノズル41の下端を上に配置することで、基板90の搬入時に、基板90とスリットノズル41とが干渉することなく、架橋構造を塗布開始位置にあらかじめ配置しておくことができる。また、基板90を支持位置L1に配置した時点で、スリットノズル41を吐出高さ位置L6に配置することもできる。
【0108】
これにより、ステージ3に吸着保持された基板90に対して速やかに基板90に対する塗布処理を開始できる。したがって、基板90の処理時間を短縮させることができるため、基板製造のスループットの向上を実現できる。
【0109】
<3. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0110】
例えば、上記の実施の形態では、スリットノズル41の支持部は架橋構造4としたが、支持機構はこれに限られるものではなく、例えば、スリットノズルの片側のみを支持する機構によって実現されていてもよい。または、スリットノズルの支持機構を、ステージ3の上方から吊り下げる機構としてもよい。
【0111】
また、上記実施の形態では、基板処理装置1に対して搬送ロボット6は、塗布方向((+X)方向)と平行する向きに基板90を搬出するように配置されているが、搬送方向はこれに限られるものではない。例えば、搬送ロボット6を基板処理装置1に対してY軸方向(水平面において塗布方向と垂直に交わる方向)に隣接配置し、基板90をY軸方向に平行となる向きに搬送するようにしてもよい。
【0112】
この場合には、例えば搬送ロボット6が搬出動作を開始する際に、チャック613と架橋構造4との衝突を避けるため、塗布処理後(ステップS14以降)に、搬送ロボット6は、架橋構造4が例えば退避位置に移動するまで待機する必要がある。しかし、このような場合であっても、架橋構造4が退避位置にまで移動するまでに基板90を搬送高さ位置L2へあらかじめ配置させておけるため、搬送動作を速やかに行うことができる。
【0113】
また、上記のように基板90の搬送方向をY軸方向に平行とした場合であっても、スリットノズル41の支持機構を、スリットノズル41の片側のみを支持する機構や、あるいはステージ3上方でスリットノズル41を吊って支持する機構とした場合には、搬送ロボット6を、ステージ3に対して自由にアクセスさせることが可能となる。したがって、スリットノズル41が所定の待機位置にまで戻るのを待たなくてもよいため、基板処理における余分な待機時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】第1の実施の形態における基板処理装置と搬送ロボットの斜視図である。
【図2】制御部と基板処理装置の各部との接続を示したブロック図である。
【図3】搬送ロボットを側方から見た図である。
【図4】基板処理装置の動作手順を示す流れ図である。
【図5】基板処理装置の動作手順を説明するための基板処理装置の概略側面図である。
【図6】基板処理装置の動作手順を説明するための基板処理装置の概略側面図である。
【図7】基板処理装置の動作手順を説明するための基板処理装置の概略側面図である。
【図8】基板処理装置の動作手順を説明するための基板処理装置の概略側面図である。
【図9】基板処理装置の動作手順を説明するための基板処理装置の概略側面図である。
【図10】第2の実施の形態における基板処理装置の動作手順を示す流れ図である。
【図11】基板処理装置の動作手順を説明するための基板処理装置の概略側面図である。
【図12】基板処理装置の動作手順を説明するための基板処理装置の概略側面図である。
【符号の説明】
【0115】
1 基板処理装置
3 ステージ
30 支持面
31 リフトピン昇降機構
4 架橋構造
40 ノズル支持部
41 スリットノズル
43,44 ノズル昇降機構
50,51 リニアモータ
6 搬送ロボット
610 ロボットハンド
8 制御部
90 基板
L1 支持位置
L2,L2a 搬送高さ位置
L3,L3a 搬出高さ位置
L4,L4a 搬入高さ位置
L5 離間高さ位置
L6 吐出高さ位置
LP リフトピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持手段によって水平に支持された基板の上面に所定の処理液を塗布し、塗布が終了した基板を外部に搬送する基板処理装置であって、
前記支持手段によって支持された基板に対して前記所定の処理液を吐出するノズルと、
前記支持手段によって支持された基板の上方から外れた外方の位置と、前記支持手段によって支持された基板の上方の位置との間で前記ノズルを移動させるノズル移動手段と、
前記支持手段によって基板が支持される支持位置と、前記支持位置より上方であって、外部に搬送する搬送位置との間で基板を昇降させる基板昇降手段と、
前記支持手段によって支持された基板に対して前記所定の処理液を吐出する吐出位置と、前記搬送位置よりもさらに上方の離間位置との間で、前記ノズルを昇降させるノズル昇降手段と、
前記基板昇降手段と前記ノズル昇降手段とを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
基板が前記搬送位置にあるときに、前記ノズルの下端の位置が前記基板の上面よりも高い位置となるように前記基板昇降手段と前記ノズル昇降手段とを制御することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
支持手段によって水平に支持された基板の上面に所定の処理液を塗布し、塗布が終了した基板を外部に搬送する基板処理装置であって、
前記支持手段によって支持された基板に対して前記所定の処理液を吐出するノズルと、
前記支持手段によって支持された基板の上方から外れた外方の位置と、前記支持手段によって支持された基板の上方の位置との間で前記ノズルを移動させるノズル移動手段と、
前記支持手段によって基板が支持される支持位置と、前記支持位置より上方であって、外部に搬送する搬送位置との間で基板を昇降させる基板昇降手段と、
前記支持手段によって支持された基板に対して前記所定の処理液を吐出する吐出位置と、前記搬送位置よりもさらに上方の離間位置との間で、前記ノズルを昇降させるノズル昇降手段と、
前記基板昇降手段と前記ノズル昇降手段とを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記支持手段によって支持された基板に対して前記ノズルから前記所定の処理液の吐出を終えた後において、前記ノズルが前記離間位置に向けて上方移動される間に、前記基板を前記搬送位置に向けて上方移動されるように、前記ノズル昇降手段と前記基板昇降手段とを制御することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置であって、
前記制御手段は、
前記支持手段によって支持された基板に対して前記ノズルから前記所定の処理液の吐出を終えた後において、前記外方の位置へ向けて移動される前記ノズルが前記基板の上方にある間に、前記搬送位置に配置された基板を外部に搬送するように、前記基板昇降手段と前記ノズル昇降手段とを制御することを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記支持手段の上方において基板を搬送する搬送手段、
をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記ノズルを支持するノズル支持部をさらに備え、
前記ノズル支持部は、架橋構造を形成することを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記ノズルは、前記ノズル移動手段によって移動される方向(第1の方向)と垂直に交わる方向(第2の方向)に長手方向を有するスリット状の吐出口から前記所定の処理液を吐出することを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の基板処理装置であって、
基板の搬送方向は、前記第1の方向と略平行であることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
支持手段によって水平に支持された基板の上面に向けて、ノズルから所定の処理液を供給する基板処理方法であって、
(a) 前記ノズルを前記所定の処理液を吐出する吐出位置に配置する工程と、
(b) 前記吐出位置に配置させた前記ノズルを前記基板に対して相対的に移動させて、前記基板に対して前記ノズルから前記所定の処理液を吐出する工程と、
(c) 前記(b)工程における前記ノズルからの前記所定の処理液の吐出を終了した後、前記ノズルを前記吐出位置よりも上方の離間位置に向けて上方移動させる工程と、
(d) 前記(b)工程における前記ノズルからの前記所定の処理液の吐出を終了した後、前記ノズルを前記基板の上方から外れた外方の位置に向けて移動させる工程と、
(e) 前記(c)工程を開始した後であって、少なくとも前記(d)工程において移動する前記ノズルが、前記基板の上方にある間に、前記基板を外部に搬送する搬送位置まで上方移動させる行程と、
を有し、
前記離間位置にあるノズルの下端の位置は、前記搬送位置にある基板の上面よりも高い位置であることを特徴とする基板処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の基板処理法であって、
(f) 前記(d)工程において移動する前記ノズルが、少なくとも前記基板の上方にある間に、前記(e)工程により前記搬送位置に配置された前記基板を外部に搬送する工程、
をさらに有することを特徴とする基板処理方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の基板処理方法であって、
前記(e)工程における前記搬送位置に向けた前記基板の上方移動は、
前記(c)工程における前記離間位置に向けた前記ノズルの上方移動と略同時に開始されることを特徴とする基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−165942(P2009−165942A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5815(P2008−5815)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】