説明

基板処理装置,基板脱離方法,プログラム

【課題】基板の割損やずれを発生させずに,静電吸着力が残留しているか否かの判定を容易にする。
【解決手段】載置台200の表面に設けられ,直流電圧を印加して発生した静電吸着力で載置台の表面に載置された基板を保持する静電チャック212と,載置台の表面から突没自在に設けられ,載置台の表面から基板を持ち上げて脱離させるリフトピン232と,リフトピンを昇降させるリフタ230と,リフトピンを上昇させる前に,リフトピンで基板を持ち上げるときのリフト推力を基板重量と同等の力に設定し,静電吸着用の直流電圧を止めて基板の電荷を除去する除電処理を実行し,リフタを駆動させて設定したリフト推力でリフトピンを上昇させる制御部300とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,基板を載置台に吸着保持して処理し,処理後は載置台から脱離する基板処理装置,基板脱離方法,プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハやガラス基板等の基板に対してエッチング,成膜等の所定の処理を行う基板処理装置では,例えば基板を処理室内に搬送アームなどにより搬入し,載置台上に載置して吸着保持させた状態でエッチング等の処理を実行し,処理が終了すると,例えば昇降自在に設けられたリフトピンを押上げて基板を載置台から脱離し,搬送アームなどにより搬出するようになっている。
【0003】
このとき,載置台に基板を吸着保持するための治具としては,例えば誘電部材内に埋設された電極板に直流電圧を印加して基板をクーロン力等の静電力によって吸着保持する静電チャックが多用されている。ところが,このような静電チャックで基板を吸着した場合には,処理後に静電チャックに印加した電圧をオフにしても基板に電荷が残留し,吸着保持力が残存して過吸着状態が発生している場合がある。従って,このような状態で例えばリフトピンによって基板を載置台から脱離させようとすると,基板の割損やずれが発生する可能性がある。
【0004】
また,リフトピンが静電チャックの上面から突出しても,基板が載置台から脱離しないと基板に撓みが発生する。基板に撓みが発生すると,基板上に形成された薄膜の特性(例えば物理的強度など)によってはその薄膜自体が破損してしまう虞もある。例えば基板に形成される低誘電率膜(low−k膜)は膜中に空隙があるなどのため物理的強度が弱いので,基板の撓みによって膜自体が破損し易い。
【0005】
このため,基板を脱離させる前に静電チャックに逆電圧を印加したり,プラズマを生起したりして基板から静電気を除去する除電処理を実行することで静電吸着力を弱めるものがある(例えば特許文献1,2参照)。また,基板をリフトピンで押し上げてみて,そのときリフトピンにかかる負荷を検出することで,基板にかかる静電吸着力を測定するものもある(例えば特許文献3,4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−64021号公報
【特許文献2】特開平11−274141号公報
【特許文献3】特開平5−129421号公報
【特許文献4】特開2004−228488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら,特許文献1,2のように除電処理を行うものでは,基板にかかる静電吸着力を測定しているわけではないので,除電処理が不十分で静電吸着力が残留する場合もある。この場合に無理に基板をリフトピンで持ち上げると基板の割損やずれが発生する虞がある。
【0008】
また,特許文献3,4のようにリフトピンにかかる負荷を検出するものでは,基板の重量よりも大きな力(基板の重量にさらに静電吸着力も加えた力に抗して基板を持ち上げられるだけの力)で,実際に基板をリフトピンで押し上げてみないと,静電吸着力を測定できない。このため,静電吸着力を測定する際に,基板の割損やずれが発生する虞がある。
【0009】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,基板の割損やずれを発生させることなく,基板が過吸着状態であるか否かを容易に判定できる基板処理装置,基板脱離方法,プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,基板載置台に吸着保持された基板に所定の処理を施す基板処理装置において前記基板載置台から前記基板を脱離させる方法であって,前記基板処理装置は,前記基板載置台の表面に設けられ,直流電圧を印加して発生した静電吸着力で前記基板載置台の表面に載置された前記基板を保持する静電チャックと,前記基板載置台の表面から突没自在に設けられ,前記基板載置台の表面から前記基板を持ち上げて脱離させるリフトピンと,前記リフトピンを昇降させるリフタと,を備え,前記リフトピンを上昇させる前に,前記リフトピンで前記基板を持ち上げるときのリフト推力を前記基板重量と同等の力に設定する工程と,前記静電吸着用の直流電圧を止めて前記基板の電荷を除去する除電処理を実行し,前記リフタを駆動させて前記リフト推力で前記リフトピンを上昇させる工程と,を有することを特徴とする基板脱離方法が提供される。
【0011】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,基板載置台に吸着保持された基板に所定の処理を施す基板処理装置であって,前記基板載置台の表面に設けられ,直流電圧を印加して発生した静電吸着力で前記基板載置台の表面に載置された前記基板を保持する静電チャックと,前記基板載置台の表面から突没自在に設けられ,前記基板載置台の表面から前記基板を持ち上げて脱離させるリフトピンと,前記リフトピンを昇降させるリフタと,基板処理条件とこれに関連づけられた基板重量とを記憶する記憶部と,前記リフトピンを上昇させる前に,その基板に実行された基板処理条件に関連づけられた基板重量を前記記憶部から取得し,前記リフトピンで前記基板を持ち上げるときのリフト推力を前記記憶部から取得した基板重量と同等の力に設定し,前記静電吸着用の直流電圧を止めて前記基板の電荷を除去する除電処理を実行し,前記リフタを駆動させて前記リフト推力で前記リフトピンを上昇させる制御部と,を備えることを特徴とする基板処理装置が提供される。
【0012】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,基板載置台に吸着保持された基板に所定の処理を施す基板処理装置において前記基板載置台から前記基板を脱離させる方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって,前記基板処理装置は,前記基板載置台の表面に設けられ,直流電圧を印加して発生した静電吸着力で前記基板載置台の表面に載置された前記基板を保持する静電チャックと,前記基板載置台の表面から突没自在に設けられ,前記基板載置台の表面から前記基板を持ち上げて脱離させるリフトピンと,前記リフトピンを昇降させるリフタと,を備え,前記基板脱離方法は,前記リフトピンを上昇させる前に,前記リフトピンで前記基板を持ち上げるときのリフト推力を前記基板重量と同等の力に設定するステップと,前記静電吸着用の直流電圧を止めて前記基板の電荷を除去する除電処理を実行し,前記リフタを駆動させて前記リフト推力で前記リフトピンを上昇させるステップと,を有することを特徴とするプログラムが提供される。
【0013】
このような本発明にかかる装置,方法,プログラムによれば,リフトピンで基板を持ち上げるときのリフト推力を,基板を持ち上げるのに必要最小限の基板重量と同等の力に設定してリフトピンを上昇させる。これによれば,基板が過吸着状態であっても,基板に無理な力がかからないようにすることができるので,基板の割損やずれを防止できる。
【0014】
しかも,基板が過吸着状態の場合にはリフトピンで基板を持ち上げられずにリフタが動かなくなるので,リフタの状態を監視して途中で動かなくなったか否かを検出するだけで基板が過吸着状態か否かを容易に判定できる。
【0015】
例えば上記リフタの状態を検出するリフタセンサを設け,前記リフタセンサの出力を監視し,前記リフトピンが前記基板に接触してからも前記リフタが動いているか否かによって前記基板が過吸着状態か否かを判定する。これによれば,基板に無理な力をかけることなく過吸着状態か否かを容易に判定できる。
【0016】
この場合,上記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるアクチュエータとを備え,前記リフタセンサは,前記ベースの上昇位置を検出する位置センサで構成することができる。これによれば,前記判定工程では前記位置センサの出力を監視し,前記リフトピンが前記基板に接触してから一定時間内に,前記上昇位置が変化している場合には前記基板が過吸着状態でないと判定し,前記上昇位置が変化していない場合には前記基板が過吸着状態であると判定することができる。
【0017】
上記リフタセンサは,例えば前記アクチュエータの駆動振動を検出する振動センサで構成する。これによれば,前記判定工程は,前記振動センサの出力を監視し,前記リフトピンが前記基板に接触してから一定時間内に,前記アクチュエータ駆動振動が検出された場合には前記基板が過吸着状態でないと判定し,前記アクチュエータ駆動振動が検出されない場合には前記基板が過吸着状態であると判定することができる。
【0018】
また,上記リフタセンサは,前記アクチュエータの駆動音を検出する音センサで構成してもよい。これによれば,前記判定工程は,前記音センサの出力を監視し,前記リフトピンが前記基板に接触してから一定時間内に,前記アクチュエータ駆動音が検出された場合には前記基板が過吸着状態でないと判定し,前記アクチュエータ駆動音が検出されない場合には前記基板が過吸着状態であると判定することができる。
【0019】
また,上記リフタセンサは,前記アクチュエータの温度を検出する温度センサで構成してもよい。前記判定工程は,前記温度センサの出力を監視し,前記リフトピンが前記基板に接触してから一定時間内に,前記アクチュエータ温度に所定以上の温度上昇がない場合には前記基板が過吸着状態でないと判定し,前記アクチュエータ温度に所定以上の温度上昇がある場合には前記基板が過吸着状態であると判定することができる。
【0020】
また,上記基板が過吸着状態であると判定した場合には,リフタを停止してエラー処理(エラー表示,エラー報知など)を行うようにしてもよい。また上記基板が過吸着状態であると判定した場合には,前記リフタを停止せずに再度の除電処理を開始することができる。このようにしても,ウエハ重量と同等の力程度の極めて小さい力にリフト推力を設定しているので,基板がずれたり跳ね上がったりすることはない。
【0021】
また,上記基板処理装置は,複数の基板処理条件と,これら各基板処理条件のそれぞれに関連づけられた基板重量とを記憶する記憶部を備え,前記リフト推力を設定する工程は,前記載置台から脱離しようとする基板に実行された基板処理条件に関連づけられた基板重量を前記記憶部から取得し,その基板重量を用いて前記リフト推力を設定するようにしてもよい。これによれば,基板処理条件が異なる場合(同種の基板処理で処理条件が異なる場合と異種の基板処理で処理条件が異なる場合を含む)に基板を持ち上げるときの基板重量が異なっていても,基板処理条件に応じて基板に無理な力をかけずに持ち上げられる適切な基板重量をリフト推力に設定できる。
【0022】
また,上記リフト推力の設定に用いる基板重量は,処理後の基板重量と処理前の基板重量のいずれかを基板処理条件に応じて選択的に用いるようにしてもよい。例えばエッチング処理のように処理後の基板重量の方が処理前の基板重量よりも軽くなる場合は処理後の基板重量と処理前の基板重量のどちらを用いることもできる。これに対して,成膜処理のように処理後の基板重量の方が処理前の基板重量よりも重くなる場合は重い方の処理後(成膜後)の基板重量を用いることが好ましい。これによれば,基板処理の種類によっては基板重量が処理前と処理後で異なる場合でも,基板に無理な力をかけずに持ち上げられる適切な基板重量をリフト推力に設定できる。
【0023】
また,上記リフト推力の設定に用いる基板重量は,前記基板処理が正常に終了した場合には処理後の基板重量を用い,前記基板処理が正常に終了しなかった場合には処理前の基板重量と処理後の基板重量のいずれかを基板処理条件に応じて選択的に用いるようにしてもよい。例えばエッチング処理のように処理後の基板重量の方が処理前の基板重量よりも軽くなる場合は基板処理が正常に終了した場合には処理後の基板重量を用い,基板処理が正常に終了しなかった場合(エッチングで削る量が予定より少なかった場合)には重い方の処理前の基板重量を用いることが好ましい。これに対して,成膜処理のように処理後の基板重量の方が処理前の基板重量よりも重くなる場合は基板処理が正常に終了した場合と正常に終了しなかった場合ともに重い方の処理後(成膜後)の基板重量を用いることが好ましい。これによれば,基板処理が正常に終了したか否かに応じて,基板に無理な力をかけずに持ち上げられる適切な基板重量をリフト推力に設定できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば,リフトピンで基板を持ち上げる際のリフト推力を基板重量に設定することで,基板の割損やずれを発生させることなく,基板が過吸着状態であるか否かを容易に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態にかかる基板処理装置の構成例を示す断面図である。
【図2A】ウエハが過吸着状態でない場合のリフタの動作を説明するための図面である。
【図2B】ウエハが過吸着状態である場合のリフタの動作を説明するための図面である。
【図3】リフタを駆動するモータの速度制御の具体例を示す図である。
【図4】図1に示すリフタセンサを位置センサで構成した場合の具体例を示す図である。
【図5】図1に示すリフタセンサをエンコーダで構成した場合の具体例を示す図である。
【図6】図1に示すリフタセンサをモータセンサで構成した場合の具体例を示す図である。
【図7】ウエハ重量情報のデータテーブルを示す図である。
【図8】他のウエハ重量情報のデータテーブルを示す図である。
【図9】同実施形態におけるウエハ脱離処理のメインルーチンのフローチャートである。
【図10】図9に示すリフト推力の設定についてのサブルーチンのフローチャートであって,図7のウエハ重量情報を用いる場合である。
【図11】図9に示すリフト推力の設定についてのサブルーチンのフローチャートであって,図8のウエハ重量情報を用いる場合である。
【図12】同実施形態における他のウエハ脱離処理のメインルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0027】
(基板処理装置)
先ず,本発明にかかる基板処理装置の構成例を図面を参照しながら説明する。図1は,本実施形態にかかる基板処理装置の構成例を示す断面図である。基板処理装置100は,半導体ウエハ(以下,単に「ウエハ」とも称する)Wに対してエッチング,成膜などのプラズマ処理を施すプラズマ処理装置を例に挙げて説明する。図1は,本実施形態にかかるプラズマ処理装置の概略構成を示す縦断面図である。
【0028】
図1に示すように,基板処理装置100は,アルミニウム等の導電性材料からなる処理室(チャンバ)102を備える。処理室102は例えば上部に開口部を有する円筒状の容器本体103と,この容器本体103の開口部を開閉可能に閉塞する円板状の天井部(蓋部)105とを備える処理容器から構成される。天井部105は容器本体103にボルトなどの締結部材により脱着自在に気密に取付けられる。処理室102はグランドに接地されている。
【0029】
また,天井部105と容器本体103の間にはOリングなどのシール部材114が介在されている。これにより,天井部105と容器本体103との間はより高い気密性が確保される。なお,処理室102の形状は円筒状に限られるものではない。例えば角筒状(例えば箱状)であってもよい。
【0030】
処理室102内には,ウエハWを載置する載置台200を構成する円柱状の下部電極(サセプタ)210と,この下部電極210に対向して配設され,処理ガスやパージガスなどを導入するシャワーヘッドを構成する上部電極110とを備える。
【0031】
下部電極210は,例えばアルミニウムからなり,絶縁性の筒状保持部220を介して処理室102の底部に設けられる。下部電極210は,ウエハWの外径に合わせて円柱状に形成される。なお,下部電極210の形状についても円柱状に限られるものではない。例えば角柱状(例えば多角柱状)であってもよい。
【0032】
下部電極210には第1高周波電源150が整合器152を介して接続され,上部電極110には上記第1高周波電源150より周波数の高い第2高周波電源160が整合器162を介して接続されている。なお,図1に示すように整合器152と下部電極210との間には第2高周波電源160から下部電極210に流入する高周波電流を濾過するハイパスフィルタ(HPF)154が介在することが好ましい。また,整合器162と上部電極110との間には第1高周波電源150から上部電極110に流入する高周波電流を濾過するローパスフィルタ(LPF)164が介在することが好ましい。
【0033】
上部電極110は,その周縁部を被覆するシールドリング112を介して処理室102の天井部105に取り付けられている。上部電極110は,内部に拡散室116を有するとともに,載置台200と対向する下面には処理ガスを吐出する多数の吐出孔118が形成されている。
【0034】
上部電極110には処理室102内での処理に必要なガスを供給する処理ガス供給部122がガス導入口121に接続されている。処理ガス供給部122は,例えば処理室102内でのウエハのプロセス処理や処理室102内のクリーニング処理などに必要な処理ガスやパージガスなどを供給するガス供給源,ガス供給源からのガスの導入を制御するバルブ及びマスフローコントローラ(MFC)を有するガスラインから構成される。
【0035】
このような処理ガス供給部122によれば,ガス供給源からの処理ガスがマスフローコントローラにより所定の流量に制御されて,ガス導入口121から上部電極110に供給される。そして,処理ガスは上部電極110の拡散室116内で拡散して各吐出孔118から処理室102内に供給される。
【0036】
なお,処理ガス供給部122のガスラインは単一であってもよく,また複数であってもよい。この場合,複数のガスラインはそれぞれ異なる種類の処理ガスを供給するように構成してもよく,また同じ種類の処理ガスを供給するように構成してもよい。
【0037】
このような処理ガス供給部122により処理室102内に供給する処理ガスとしては,例えばエッチングでは,F,Clなどを含むハロゲン系ガスが用いられる。具体的にはSiO膜などのシリコン酸化膜をエッチングする場合には,CHFガスなどが処理ガスとして用いられる。また,HfO,HfSiO,ZrO,ZrSiOなどの高誘電体薄膜をエッチングする場合には,BClガスを処理ガスとしたり,BClガスとOガスとの混合ガスを処理ガスとして用いられる。
【0038】
載置台200の表面には,直流電圧を印加して発生した静電吸着力で載置台200の表面に載置されたウエハを保持する静電チャック212が設けられている。具体的には静電チャック212は,下部電極210の上面に設けられ,例えば2枚の高分子ポリイミドフィルム間やセラミック間に銅箔などの導電膜からなる静電チャック電極214を絶縁状態で挟み込むことにより構成される。
【0039】
静電チャック電極214には電圧の出力を正電圧,負電圧,グランド(接地)に切換え可能な直流電源回路216が接続されている。直流電源回路216はさらに,正電圧,負電圧の電圧レベルを調整可能に構成されている。このような直流電源回路216から静電チャック電極214に高電圧を印加することによって,静電チャック212の上面にウエハWをクーロン力により吸着保持することができる。
【0040】
下部電極210には,ウエハWをリフトピン(リフタピン,支持ピン)232で持ち上げて静電チャック212の上面から脱離させるリフタ230を備える。リフタ230は,複数(例えば3本)のリフトピン232を起立した状態で支持するベース234と,ベース234をロッド236に取り付けて昇降させるアクチュエータ238とで構成される。例えばアクチュエータ238はボールネジなどのロッド236を昇降させるモータで構成する。なお,リフタ230の構成はこれに限られるものではなく,リフタ230を例えばエアシリンダやリニアモータを用いた昇降機構で構成してもよい。
【0041】
リフトピン232は,下部電極210の下方から鉛直上方に延びて静電チャック212の上面から突没自在に設けられる。具体的には各リフトピン232は,下部電極210と静電チャック212とを貫通して形成される孔部にそれぞれ挿入され,ベース234の昇降動作に応じて静電チャック212の上面から突没するようになっている。ベース234は例えば円板状又は環状に形成され,その上部にリフトピン232が等間隔に並ぶように取り付けられる。なお,これらリフトピン232の数は3本に限られるものではない。
【0042】
このように構成されたリフタ230によれば,リフトピン232をベース234で一斉に上昇させることでウエハWを静電チャック212から平行に持ち上げて静電チャック212から脱離させることができる。このようなリフタ230の動作についての詳細は後述する。
【0043】
なお,図示はしないが,載置台200には,ヒータや冷媒流路などの温度調整機構,静電チャック212の上面とウエハWの裏面との間に熱伝達促進用の伝達ガス(Heガスなど)を供給する伝熱ガス供給機構等,必要に応じて様々な機能を設けることができる。また,筒状保持部220の上面には,ウエハWを環状に囲む例えば石英やシリコンからなる図示しないフォーカスリングを配置してもよい。
【0044】
処理室102の側壁には基板搬入出口104を開閉するためのゲートバルブ106が設けられている。また,処理室102の側壁の下方には排気口が設けられ,排気口には排気管108を介して真空ポンプ(図示せず)を含む排気部109が接続される。この排気部109により処理室102の室内を排気することによって,プラズマ処理中に処理室102内を所定の真空雰囲気に維持することができる。
【0045】
基板処理装置100には,制御部(全体制御装置)300が接続されており,この制御部300によって基板処理装置100の各部が制御されるようになっている。また,制御部300には,オペレータが基板処理装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや,基板処理装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなる操作部310が接続されている。
【0046】
さらに,制御部300には,基板処理装置100で実行される各種処理を制御部300の制御にて実現するためのプログラムやプログラムを実行するために必要な処理条件(レシピ)などが記憶された記憶部320が接続されている。
【0047】
記憶部320には,例えばウエハWのプロセス処理を実行させるための複数の処理条件X,Y・・・(プロセス処理レシピ)が記憶されている。これらの処理条件は,基板処理装置100の各部を制御する制御パラメータ,設定パラメータなどの複数のパラメータ値をまとめたものである。各処理条件は例えば処理ガスの流量比,処理室内圧力,高周波電力などのパラメータ値を有する。また,本実施形態では,処理条件ごとにウエハ重量が関連づけられて記憶されている。このウエハ重量はリフトピン232でウエハを持ち上げるときのリフト推力を設定する際に用いられる。これらウエハ重量やリフト推力の設定の詳細は後述する。
【0048】
なお,これらのプログラムや処理条件はハードディスクや半導体メモリに記憶されていてもよく,またCD−ROM,DVD等の可搬性のコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に収容された状態で記憶部320の所定位置にセットするようになっていてもよい。
【0049】
制御部300は,操作部310からの指示等に基づいて所望のプログラム,処理条件を記憶部320から読み出して各部を制御することで,基板処理装置100での所望の処理を実行する。また,操作部310からの操作により処理条件を編集できるようになっている。
【0050】
このような構成の基板処理装置100では,ウエハ処理として例えばエッチング処理を実行する場合,図示しない搬送アームなどによりウエハWを処理室102内へ搬入し,載置台を兼ねる下部電極210上に載置させて,静電チャック212によりウエハWを静電吸着する。そして,処理ガス供給部122により処理室102内に所定の処理ガスを導入し,排気部109により処理室102内を排気することにより,処理室102内を所定の真空圧力に減圧する。
【0051】
このように所定の真空圧力を維持した状態で,第1高周波電源150から下部電極210に例えば2MHzの第1高周波電力を印加するとともに,第2高周波電源160から上部電極110に例えば60MHzの第2高周波電力を印加することにより,第2高周波電力の働きで下部電極210と上部電極110との間に処理ガスのプラズマが発生するとともに,第1高周波電力の働きで下部電極210にセルフバイアス電位が発生する。
【0052】
これにより,下部電極210上のウエハWに対して例えば反応性イオンエッチング等のプロセス処理を実行することができる。プロセス処理が終了すると,静電チャック212の印加電圧をオフにして,リフタ230を駆動してリフトピン232でウエハWを押し上げて静電チャック212から脱離する。
【0053】
(リフタの動作)
ここで,このようなリフタ230の動作について図面を参照しながら説明する。図2A,図2Bはリフタの動作を説明するための図である。図2AはウエハWが過吸着状態でない場合,図2BはウエハWが過吸着状態である場合である。ここでは,アクチュエータ238をボールネジからなるロッド236を昇降させるモータで構成した場合を例に挙げる。
【0054】
このようなリフタ230によれば,静電チャック212からウエハWを脱離する場合,静電チャック212の印加電圧をオフにしてウエハWの電荷を除去する除電処理を行ってから,モータ238を駆動してベース234とともに各リフトピン232を上昇させる。すると,リフトピン232の先端がウエハWの裏面に接触する。
【0055】
このとき,ウエハWに電荷が残留してなければ静電吸着力も残留しないので,ウエハWは過吸着状態にならない。この場合は,図2Aに示すようにウエハWに下向きに作用するのはウエハ重量Jだけなので,そのウエハ重量Jと同等のリフト推力Fでもリフトピン232でウエハWを持ち上げられる。
【0056】
これに対して,除電処理が不十分でウエハWに電荷が残留していれば静電吸着力が残留するので,ウエハWは過吸着状態になる。この場合は,図2Bに示すようにウエハWに下向きに作用する力はウエハ重量Jと残留静電吸着力fcである。従って,この場合にウエハWを持ち上げるためには,ウエハ重量Jと残留静電吸着力fcを加えた力以上のリフト推力Fでリフトピン232を押し上げる必要がある。ところが,ウエハ重量Jよりも大きなリフト推力FでウエハWを持ち上げると,ウエハWに無理な力がかかるので,ウエハWの割損やずれが発生する可能性がある。しかも,この場合にはリフトピン232が静電チャック212の上面から突き出てウエハWが撓む可能性もある。
【0057】
そこで,本実施形態では,ウエハWを持ち上げるのに必要最小限の小さな力,すなわちウエハ重量Jと同等の力をリフト推力Fに設定してリフトピン232を上昇させる。これによれば,ウエハWが過吸着状態であっても,ウエハWに無理な力がかからないようにすることができるので,ウエハWの割損やずれを防止できる。
【0058】
また,ウエハ重量Jと同等の力でリフトピン232を上昇させるので,ウエハWが過吸着状態の場合はリフトピン232の先端がウエハWの裏面に接触したところで動かなくなる。すなわち,リフトピン232の先端は静電チャック212の上面から突き出ることなく動かなくなるので,ウエハWに撓みが発生しないで済む。
【0059】
このように,ウエハWが過吸着状態の場合にはリフトピン232でウエハWを持ち上げられずにリフタ230が動かなくなるので,リフタ230の状態を監視して途中で動かなくなったか否かを検出するだけでウエハWが過吸着状態か否かを判定できる。これによれば,ウエハWに無理な力をかけることなく過吸着状態か否かを容易に判定できる。
【0060】
具体的には例えば予め処理室で処理されるウエハWのウエハ重量を測定して記憶部320に記憶しておき,リフトピン232を上昇させる前に記憶部320からウエハ重量を読み出してリフト推力を設定し,その設定したリフト推力に基づいてモータ238のトルクを制御してリフトピン232を上昇させる。
【0061】
なお,このようなリフタ230に用いるモータ238としては,トルクの調整を回転速度の調整とは独立して行うことができるものを用いることが好ましい。リフト推力を所定値に設定して適切なトルクに調整しても,リフトピン232の上昇速度が高速すぎると,ウエハWにリフトピン232が接触するときの衝撃も強くなるので,ウエハWの跳ね上がり,位置ずれが生じる虞がある。このような位置ずれが発生すると,それ以降のウエハWの搬送が正常に行われなかったり,リフトピン232からウエハWが脱落したりという不具合が生じてしまう。逆に,リフトピン232の上昇速度が低速すぎると,ウエハWの脱離にかかる時間が長くなり,スループットが低下してしまう。
【0062】
そこで,モータ238のトルクは,リフト推力がウエハ重量と同等の力になるように設定した上で,モータ238の回転速度は図3に示すようにリフトピン232がウエハWに接触する時点(t)の前後の区間T(=t〜t)では一定かつ低速になるように調整する。このとき,ウエハWに接触する区間Tまでの時間(tstart〜t)と区間Tの後の時間(t〜tend)はそれぞれ,上昇速度を上げるため,S字制御になるようにモータ238の回転速度を調整する。これにより,ウエハWが持ち上げられるときの区間Tでのリフト推力は設定されたウエハ重量と同等の力となり,区間TでウエハWにリフトピン232が接触するときの衝撃を抑えつつ,スループットを向上させることができる。
【0063】
(過吸着状態の検出)
次に,本実施形態におけるウエハWの過吸着状態の検出について詳細に説明する。上述したようにリフト推力Fをウエハ重量Jと同等の力に設定すると,ウエハWが過吸着状態でない場合(図2A)は,リフタ230はリフトピン232がウエハWに接触した後はそれを持ち上げることができる。このため,リフタ230はウエハWにリフトピン232が接触した後もそれを持ち上げて上昇が終了するまで動いている。これに対して,ウエハWが過吸着状態である場合(図2B)は,リフトピン232はウエハWに接触した後はそれを持ち上げられない。このため,リフタ230はウエハWにリフトピン232が接触した後はそのまま動かなくなる。
【0064】
そこで,本実施形態ではリフタ230の状態(ベース位置,モータ駆動振動,モータ駆動音,モータ温度など)を検出するリフタセンサ240を設け,このリフタセンサ240の出力に基づいて,リフトピン232がウエハWに接触した後もリフタ230が動いているか否かを検知することで,ウエハWが過吸着状態であるか否かを判定する。すなわち,リフタ230が動いていればウエハWが過吸着状態でないと判定し,リフタ230が動いていなければウエハWが過吸着状態であると判定する。
【0065】
ここで,リフタセンサ240の具体例について図面を参照しながら説明する。先ず,リフタセンサ240を位置センサ242で構成した場合を図4に示す。ここでは位置センサ242によってベース234の上昇位置を直接検出する。このような位置センサ242として例えば光センサや磁気センサを用いることができる。位置センサ242は,ウエハWが持ち上げられたときのベース234の上昇位置でオンするように配置する。
【0066】
制御部300は,位置センサ242の出力を監視し,リフトピン232がウエハWに接触してから一定時間内に,位置センサ242がオンになればリフタ230が動いているのでウエハWが過吸着状態でないと判定し,位置センサ242がオフのままであればリフタ230が動いていていないのでウエハWが過吸着状態であると判定する。なお,図4はベース234の上昇位置を検出する場合を説明したが,これに限られるものではない。例えばリフトピン232の位置,ロッド236の位置などを検出してもよい。
【0067】
また,位置センサ242としては図4に示すようにベース234の上昇位置を直接的に検出する場合に限られるものではない。例えば図5に示すようにモータ238に位置センサとしてエンコーダ244を設け,このエンコーダ244によってベース234(リフトピン232,ロッド236)の上昇位置を間接的に検出してもよい。エンコーダ244の出力はベース234の上昇位置と比例するので,例えばウエハWが持ち上げられたときのベース234の上昇位置に相当するエンコーダ244の出力を閾値として予め検出して記憶部320に記憶しておく。
【0068】
制御部300はエンコーダ244の出力を監視し,リフトピン232がウエハWに接触してから一定時間内に,エンコーダ244の出力が上記閾値以上であればリフタ230が動いているのでウエハWが過吸着状態でないと判定し,エンコーダ244の出力が上記閾値に達していなければリフタ230が動いていていないのでウエハWが過吸着状態であると判定する。
【0069】
また,上述したリフタ230の状態は,図4,図5に示すベース234の上昇位置に限られるものではない。例えば図6に示すようにモータ238の状態(駆動振動,駆動音,温度など)をモータセンサ246で検出することでも,リフタ230が動いているか否かを検知できる。すなわち,リフタ230が動いていないときはモータ238も動いていないので,モータ238には駆動振動や駆動音は発生せず,所定以上の温度上昇が発生する。これに対して,リフタ230が動いているときはモータ238も動いているので,モータ238には駆動振動や駆動音が発生し,所定以上の温度上昇は発生しない。
【0070】
そこで,モータセンサ246として例えば振動センサ,音センサ,温度センサなどを用いて,モータ238が動いているか否かを検知する。例えばモータセンサ246を振動センサで構成した場合,制御部300は振動センサの出力を監視し,リフトピン232がウエハWに接触してから一定時間内に,モータ238の駆動振動を検出すればモータ238が動いているのでウエハWが過吸着状態でないと判定し,モータ238の駆動振動を検出しなければモータ238が動いていないのでウエハWが過吸着状態であると判定する。
【0071】
また,モータセンサ246を音センサで構成した場合,制御部300は音センサの出力を監視し,リフトピン232がウエハWに接触してから一定時間内に,モータ238の駆動音を検出すればモータ238が動いているのでウエハWが過吸着状態でないと判定し,モータ238の駆動音を検出しなければモータ238が動いていないのでウエハWが過吸着状態であると判定する。
【0072】
また,モータセンサ246を温度センサで構成した場合,制御部300は温度センサの出力を監視し,リフトピン232がウエハWに接触してから一定時間内に,モータ238の温度に所定以上の温度上昇がなければモータ238が動いているのでウエハWが過吸着状態でないと判定し,モータ238の温度に所定以上の温度上昇があればモータ238が動いていないのでウエハWが過吸着状態であると判定する。
【0073】
なお,上述したようにウエハWの過吸着状態を判定する時間(リフトピン232がウエハWに接触してからカウントする一定時間)は,リフトピン232がウエハWに接触した時点からウエハWを持ち上げ終わった時点までの間で設定することが好ましい。例えば図3に示すようにモータ238を制御する場合は,リフトピン232がウエハWに接触した時点(t)からウエハWが静電チャック212から完全に離間した時点(t)までを過吸着状態判定時間とすることができる。
【0074】
このように,本実施形態ではリフト推力をウエハ重量と同等の力に設定することでウエハWに無理な力をかけることなくウエハWが過吸着状態であるか否かを容易に判断できる。
【0075】
(ウエハ重量)
ここで,リフト推力を設定する際に用いるウエハ重量についてより詳細に説明する。ウエハWを持ち上げるのはウエハ処理終了後なので,リフト推力の設定には基本的には処理後のウエハ重量を用いることが好ましい。この場合は,処理後のウエハ重量を予め測定して記憶部320に記憶しておく。
【0076】
また,ウエハ処理の条件(例えば処理室内圧力,処理ガスの種類や流量など)が異なれば,処理後のウエハ重量も異なるので,複数処理条件でウエハ処理を行う場合には,各処理条件に対応する処理後のウエハ重量を用いるようにしてもよい。この場合には,例えば図7に示すように各処理条件(X,Y,・・・)ごとに測定した処理後のウエハ重量(J,J,・・・)を関連づけた基板重量情報を記憶部320に記憶しておく。そして,リフトピン232を上昇させる前にそのウエハWの処理条件に対応するウエハ重量を記憶部320から読み出してリフト推力を設定する。
【0077】
さらに,ウエハ処理の種類(例えばエッチング,成膜など)が異なればそのウエハ処理前後のウエハ重量も変わるので,その場合にはウエハ処理が途中で止まってしまう場合も考えて,リフト推力の設定にはウエハ処理の種類に応じて処理後のウエハ重量と処理前のウエハ重量のいずれかを選択的に用いることが好ましい。この場合も,ウエハ処理の種類ごとに処理条件も異なるので,上述したのと同様に処理条件ごとにリフト推力の設定に用いるウエハ重量を関連づけて記憶部320に記憶しておけばよい。
【0078】
例えば成膜処理ではウエハWの表面に薄膜を形成するので,ウエハ重量は処理前よりも処理後の方が重くなる。従って,この場合には最も重くなる処理後のウエハ重量でリフト推力を設定しておくことで,ウエハWが過吸着状態でなければ,ウエハ処理が正常に終了した場合のみならず,ウエハ処理が途中で止まってしまった場合でもウエハWを持ち上げることができる。
【0079】
また,エッチング処理ではウエハWの表面を削り取るので,ウエハ重量は処理前よりも処理後の方が軽くなる。従って,もし処理後のウエハ重量を用いてリフト推力を設定したとすれば,ウエハ処理が正常終了した場合には問題なくても,ウエハ処理が途中で止まってしまった場合にはウエハWを持ち上げることができなくなる可能性もある。
【0080】
そこで,この場合には最も重くなる処理前のウエハ重量でリフト推力を設定しておく。これにより,ウエハWが過吸着状態でなければ,ウエハ処理が正常に終了した場合のみならず,ウエハ処理が途中で止まってしまった場合でもウエハWを持ち上げることができる。
【0081】
なお,このようにウエハ処理によってその処理前後のウエハ重量が変わる場合は,ウエハ処理が正常終了した場合と正常終了しなかった場合とで,リフト推力の設定に用いるウエハ重量を変えるようにしてもよい。例えばエッチング処理の場合はウエハWの重量はウエハ処理が正常終了の場合よりも異常終了した方が重くなるので,ウエハ処理が正常終了の場合には処理後のウエハ重量を用い,ウエハ処理が異常終了の場合には処理前のウエハ重量を用いるようにしてもよい。
【0082】
なお,この場合,ウエハ処理が正常終了した場合には,処理後のウエハ重量を用い,ウエハ処理が正常終了しなかった場合には,処理後のウエハ重量と処理前のウエハ重量のいずれかをウエハ処理条件(例えばウエハ処理の種類)に応じて選択的に用いるようにしてもよい。例えば上述したエッチング処理のように処理後のウエハ重量の方が処理前のウエハ重量よりも軽くなる場合はウエハ処理が正常に終了した場合には処理後のウエハ重量を用い,ウエハ処理が正常に終了しなかった場合(エッチングで削る量が予定より少なかった場合)には重い方の処理前のウエハ重量を用いることが好ましい。これに対して,成膜処理のように処理後のウエハ重量の方が処理前のウエハ重量よりも重くなる場合はウエハ処理が正常に終了した場合と正常に終了しなかった場合ともに重い方の処理後(成膜後)のウエハ重量を用いることが好ましい。これにより,どのようなウエハ処理の種類の場合でも適用でき,過吸着状態でない場合にはウエハWを持ち上げることができる。
【0083】
この場合には,例えば図8に示すように各処理条件(X,Y,・・・)ごとに測定した処理前のウエハ重量(JX(bef),JY(bef),・・・)と処理後のウエハ重量(JX(aft),JY(aft),・・・)を関連づけた基板重量情報を記憶部320に記憶しておく。そして,リフトピン232を上昇させる前にそのウエハWの処理条件に対応する処理前のウエハ重量又は処理後のウエハ重量を記憶部320から読み出してリフト推力を設定する。
【0084】
(ウエハ脱離処理の具体例)
次に,静電チャック212からウエハWを脱離する際に制御部300によって実行されるウエハ脱離処理の具体例について図面を参照しながら説明する。図9は本実施形態におけるウエハ脱離処理の概略を示すメインルーチンのフローチャートである。図10は,図7に示すウエハ重量情報に基づいてリフト推力を設定する場合のサブルーチンのフローチャートである。図11は,図8に示すウエハ重量情報に基づいてリフト推力を設定する場合のサブルーチンのフローチャートである。なお,ウエハ脱離処理は記憶部320に記憶されたプログラムに基づいて実行される。
【0085】
ウエハ脱離処理は,図9に示すように,先ずステップS110にてウエハWを持ち上げる際のリフト推力の設定を行う。ここで,図7に示すウエハ重量情報に基づいてリフト推力を設定する場合には,図10に示すサブルーチンのフローチャートに基づいてリフト推力が設定される。
【0086】
図10に示すリフト推力の設定では,先ずステップS210にてウエハWに実行された処理条件に関連づけられたウエハ重量を図7に示すウエハ重量情報に基づいて取得する。続いてステップS220にてそのウエハ重量と同等の力をリフト推力として設定して図9に示すメインルーチンに戻る。
【0087】
また,図8に示すウエハ重量情報に基づいてリフト推力を設定する場合には,図11に示すサブルーチンのフローチャートに基づいてリフト推力が設定される。図11に示すリフト推力の設定では,先ずステップS310にてウエハ処理が正常に終了したか否かを判断する。例えばウエハ処理の実行中に異常や断電があって途中で処理が止まってしまった場合などは正常に終了しなかったと判断する。
【0088】
ステップS310にてウエハ処理が正常に終了したと判断した場合は,ステップS320にてウエハWに実行された処理条件に関連づけられた処理後のウエハ重量を図8に示すウエハ重量情報に基づいて取得する。これに対して,ステップS310にてウエハ処理が正常に終了しなかったと判断した場合は,ステップS330にてウエハWに実行された処理条件に関連づけられた処理前のウエハ重量を図8に示すウエハ重量情報に基づいて取得する。続いてステップS340にてそのウエハ重量と同等の力をリフト推力として設定して図9に示すメインルーチンに戻る。
【0089】
次に,図9に示すステップS120にて静電チャック212に印加する電圧をオフにして,ウエハWの電荷を除去する除電処理を行う。除電処理は例えば次のように実行される。先ず処理ガス供給部122から処理ガス例えばNガスを所定のガス流量で処理室102内へ導入しながら,排気部109により真空引きを行って,処理室102内を所定の圧力まで減圧する。そして,直流電源回路216から例えば静電吸着時とは逆極性の電圧(逆印加電圧)を静電チャック212に印加させる。この状態で所定時間が経過すると,静電チャック212への逆印加電圧をオフするとともに,処理ガスの導入をオフして,処理室102内の圧力制御を停止する。なお,除電処理のときに直流電源回路216から静電チャック212へ印加する電圧は逆極性に限られるものではなく,極性反転を複数回繰返すようにしてもよい。
【0090】
このような除電処理が終了すると,ステップS130にて図3に示す速度制御でモータ238の駆動をしてリフトピン232の上昇を開始する。そしてステップS140にてリフトピン232がウエハWに接触したか否かを判断する。具体的には例えば図3に示すモータ238の駆動開始時(tstart)からリフトピン232がウエハWに接触する時点(t)までの時間のカウントが終了したか否かで判断する。
【0091】
続いてステップS150にて一定時間だけリフタセンサ240の出力を監視して,ウエハWが過吸着状態の有無を判定する。具体的には上述したようにリフタセンサ240の出力からリフタ230が動いているか否かを判定する。リフタ230が動いている場合はウエハWが過吸着状態でないと判定し,リフタ230が動いていない場合はウエハWが過吸着状態であると判定する。
【0092】
ステップS160にてウエハWが過吸着状態であると判定した場合はステップS170にてエラー処理を実行する。エラー処理としては,モータ238を停止してリフタ230を停止し,ディスプレイにエラー表示を行ったり,エラーの報知をしたりする。
【0093】
また,ステップS160にてウエハWが過吸着状態でないと判定した場合はステップS180にてリフトピン232の上昇が終了したか否かを,例えばモータ238の速度制御が終了したか否かで判断する。そして,ステップS180にてリフトピン232の上昇が終了したと判断した場合は一連のウエハ脱離処理を終了する。
【0094】
このように本実施形態によれば,ウエハWを持ち上げる際のリフト推力をウエハ重量と同等の力に設定することで,ウエハWに無理な力をかけることなく過吸着状態か否かを容易に判断できる。これにより,ウエハWが割損したり,ずれたりすることなく,ウエハWを搬送アームなどにより搬出させたり,取除いたりすることができる。
【0095】
なお,図9に示すウエハ脱離処理においては,ステップS160にてウエハWが過吸着状態であると判断した場合は,ステップS170にてエラー処理を行う場合を例に挙げたが,これに限定されるものではない。例えばステップS160にてウエハWが過吸着状態であると判断した場合にウエハWの電荷を除去する除電処理を再度実行するようにしてもよい。この場合,リフタ230を停止せずに再度の除電処理を開始するようにしてもよい。本実施形態では,ウエハWを持ち上げる際のリフト推力をウエハ重量と同等の力程度の極めて小さい力に設定するので,リフタ230を停止せずに除電処理を開始してもウエハWがずれたり跳ね上がったりすることはないからである。なお,再度の除電処理は複数回実行するようにしてもよい。
【0096】
ここで,再度の除電処理を実行するウエハ脱離処理のフローチャートの具体例を図12を参照しながら説明する。なお,図12において図9と同じステップは同様の処理を行うのでその詳細な説明を省略する。図12に示すウエハ脱離処理ではステップS160にてウエハWが過吸着状態であると判定した場合は,ステップS172にて再度の除電処理が所定回数実行されたか否かを判断する。
【0097】
ステップS172にて再度の除電処理が所定回数実行されていないと判断した場合はステップS174にて再度の除電処理を実行する。再度の除電処理としては,ステップS120の除電処理と同様の処理を行うようにしてもよく,また異なる処理を行うようにしてもよい。
【0098】
除電処理が終了すると,ステップS150の処理に戻って過吸着状態を判定する。もしウエハWの除電が十分であれば残留静電吸着力がなくなるので,リフトピン232が再び動き出してウエハWを持ち上げることができる。従って,この場合はステップS160にてウエハWが過吸着状態でないと判定される。
【0099】
これに対して,ウエハWの除電が不十分であれば残留静電吸着力がなくならないので,リフトピン232もウエハWに接触したままである。この場合はステップS160にてウエハWが過吸着状態であると判定され,ステップS172にて再度の除電処理は所定回数に達するまで繰り返し行われる。そして,ステップS172にて再度の除電処理が所定回数に達しても未だウエハWが過吸着状態である場合にはステップS170にてエラー処理を実行する。
【0100】
また,上述した実施形態の機能(例えばウエハ処理機能,ウエハ脱離処理機能,除電処理機能)を実現するソフトウェアのプログラムを記憶した記憶媒体等の媒体をシステム或いは装置に供給し,そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体等の媒体に格納されたプログラムを読み出して実行することによっても,本発明が達成されることは言うまでもない。
【0101】
この場合,記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり,そのプログラムを記憶した記憶媒体等の媒体は本発明を構成することになる。プログラムを供給するための記憶媒体等の媒体としては,例えば,フロッピー(登録商標)ディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,CD−RW,DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−RW,DVD+RW,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROM,或いはネットワークを介したダウンロードなどを用いることができる。
【0102】
なお,コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより,上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく,そのプログラムの指示に基づき,コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い,その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も,本発明に含まれる。
【0103】
さらに,記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラムが,コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後,そのプログラムの指示に基づき,その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い,その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も,本発明に含まれる。
【0104】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は,基板を載置台に吸着保持して処理し,処理後は載置台から脱離する基板処理装置,基板脱離方法,プログラムに適用可能である。
【符号の説明】
【0106】
100 基板処理装置
102 処理室
103 容器本体
104 基板搬入出口
105 天井部
106 ゲートバルブ
108 排気管
109 排気部
110 上部電極
112 シールドリング
114 シール部材
116 拡散室
118 吐出孔
121 ガス導入口
122 処理ガス供給部
150 第1高周波電源
154 ハイパスフィルタ(HPF)
160 第2高周波電源
164 ローパスフィルタ(LPF)
152 整合器
162 整合器
200 載置台(基板載置台)
210 下部電極
212 静電チャック
214 静電チャック電極
216 直流電源回路
220 筒状保持部
230 リフタ
232 リフトピン
234 ベース
236 ロッド
238 アクチュエータ(モータ)
240 リフタセンサ
242 位置センサ
244 エンコーダ
246 モータセンサ
300 制御部
310 操作部
320 記憶部
W ウエハ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板載置台に吸着保持された基板に所定の処理を施す基板処理装置において前記基板載置台から前記基板を脱離させる方法であって,
前記基板処理装置は,
前記基板載置台の表面に設けられ,直流電圧を印加して発生した静電吸着力で前記基板載置台の表面に載置された前記基板を保持する静電チャックと,
前記基板載置台の表面から突没自在に設けられ,前記基板載置台の表面から前記基板を持ち上げて脱離させるリフトピンと,
前記リフトピンを昇降させるリフタと,を備え,
前記リフトピンを上昇させる前に,前記リフトピンで前記基板を持ち上げるときのリフト推力を前記基板重量と同等の力に設定する工程と,
前記静電吸着用の直流電圧を止めて前記基板の電荷を除去する除電処理を実行し,前記リフタを駆動させて前記リフト推力で前記リフトピンを上昇させる工程と,
を有することを特徴とする基板脱離方法。
【請求項2】
前記リフタの状態を検出するリフタセンサを設け,
前記リフタセンサの出力を監視し,前記リフトピンが前記基板に接触してからも前記リフタが動いているか否かによって前記基板が過吸着状態か否かを判定する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の基板脱離方法。
【請求項3】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるアクチュエータとを備え,
前記リフタセンサは,前記ベースの上昇位置を検出する位置センサであり,
前記判定工程は,前記位置センサの出力を監視し,前記リフトピンが前記基板に接触してから一定時間内に,前記上昇位置が変化している場合には前記基板が過吸着状態でないと判定し,前記上昇位置が変化していない場合には前記基板が過吸着状態であると判定することを特徴とする請求項2に記載の基板脱離方法。
【請求項4】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるアクチュエータとを備え,
前記リフタセンサは,前記アクチュエータの駆動振動を検出する振動センサであり,
前記判定工程は,前記振動センサの出力を監視し,前記リフトピンが前記基板に接触してから一定時間内に,前記アクチュエータ駆動振動が検出された場合には前記基板が過吸着状態でないと判定し,前記アクチュエータ駆動振動が検出されない場合には前記基板が過吸着状態であると判定することを特徴とする請求項2に記載の基板脱離方法。
【請求項5】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるアクチュエータとを備え,
前記リフタセンサは,前記アクチュエータの駆動音を検出する音センサであり,
前記判定工程は,前記音センサの出力を監視し,前記リフトピンが前記基板に接触してから一定時間内に,前記アクチュエータ駆動音が検出された場合には前記基板が過吸着状態でないと判定し,前記アクチュエータ駆動音が検出されない場合には前記基板が過吸着状態であると判定することを特徴とする請求項2に記載の基板脱離方法。
【請求項6】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるアクチュエータとを備え,
前記リフタセンサは,前記アクチュエータの温度を検出する温度センサであり,
前記判定工程は,前記温度センサの出力を監視し,前記リフトピンが前記基板に接触してから一定時間内に,前記アクチュエータ温度に所定以上の温度上昇がない場合には前記基板が過吸着状態でないと判定し,前記アクチュエータ温度に所定以上の温度上昇がある場合には前記基板が過吸着状態であると判定することを特徴とする請求項2に記載の基板脱離方法。
【請求項7】
前記判定工程で前記基板が過吸着状態であると判定した場合には,前記リフタを停止してエラー処理を行う工程を有することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の基板脱離方法。
【請求項8】
前記判定工程で前記基板が過吸着状態であると判定した場合には,前記リフタを停止せずに再度の除電処理を開始する工程を有することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の基板脱離方法。
【請求項9】
前記基板処理装置は,複数の基板処理条件と,これら各基板処理条件のそれぞれに関連づけられた基板重量とを記憶する記憶部を備え,
前記リフト推力を設定する工程は,前記載置台から脱離しようとする基板に実行された基板処理条件に関連づけられた基板重量を前記記憶部から取得し,その基板重量を用いて前記リフト推力を設定することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の基板脱離方法。
【請求項10】
前記リフト推力の設定に用いる基板重量は,処理後の基板重量と処理前の基板重量のいずれかを基板処理条件に応じて選択的に用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の基板脱離方法。
【請求項11】
前記リフト推力の設定に用いる基板重量は,前記基板処理が正常に終了した場合には処理後の基板重量を用い,前記基板処理が正常に終了しなかった場合には処理前の基板重量と処理後の基板重量のいずれかを基板処理条件に応じて選択的に用いることを特徴とする請求項10に記載の基板脱離方法。
【請求項12】
基板載置台に吸着保持された基板に所定の処理を施す基板処理装置であって,
前記基板載置台の表面に設けられ,直流電圧を印加して発生した静電吸着力で前記基板載置台の表面に載置された前記基板を保持する静電チャックと,
前記基板載置台の表面から突没自在に設けられ,前記基板載置台の表面から前記基板を持ち上げて脱離させるリフトピンと,
前記リフトピンを昇降させるリフタと,
基板処理条件とこれに関連づけられた基板重量とを記憶する記憶部と,
前記リフトピンを上昇させる前に,その基板に実行された基板処理条件に関連づけられた基板重量を前記記憶部から取得し,前記リフトピンで前記基板を持ち上げるときのリフト推力を前記記憶部から取得した基板重量と同等の力に設定し,前記静電吸着用の直流電圧を止めて前記基板の電荷を除去する除電処理を実行し,前記リフタを駆動させて前記リフト推力で前記リフトピンを上昇させる制御部と,
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項13】
前記リフタの状態を検出するリフタセンサを設け,
前記制御部は,前記リフタセンサの出力を監視し,前記リフトピンが前記基板に接触してからも前記リフタが動いているか否かによって前記基板が過吸着状態か否かを判定することを特徴とする請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるアクチュエータとを備え,
前記リフタセンサは,前記ベースの上昇位置を検出する位置センサであることを特徴とする請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるアクチュエータとを備え,
前記リフタセンサは,前記アクチュエータの駆動振動を検出する振動センサであることを特徴とする請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるアクチュエータとを備え,
前記リフタセンサは,前記アクチュエータの駆動音を検出する音センサであることを特徴とする請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるアクチュエータとを備え,
前記リフタセンサは,前記アクチュエータの温度を検出する温度センサであることを特徴とする請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項18】
基板載置台に吸着保持された基板に所定の処理を施す基板処理装置において前記基板載置台から前記基板を脱離させる方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって,
前記基板処理装置は,
前記基板載置台の表面に設けられ,直流電圧を印加して発生した静電吸着力で前記基板載置台の表面に載置された前記基板を保持する静電チャックと,
前記基板載置台の表面から突没自在に設けられ,前記基板載置台の表面から前記基板を持ち上げて脱離させるリフトピンと,
前記リフトピンを昇降させるリフタと,を備え,
前記基板脱離方法は,
前記リフトピンを上昇させる前に,前記リフトピンで前記基板を持ち上げるときのリフト推力を前記基板重量と同等の力に設定するステップと,
前記静電吸着用の直流電圧を止めて前記基板の電荷を除去する除電処理を実行し,前記リフタを駆動させて前記リフト推力で前記リフトピンを上昇させるステップと,
を有することを特徴とするプログラム。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−272709(P2010−272709A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123673(P2009−123673)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】