説明

基板処理装置

【課題】複数枚の基板を基板保持手段により保持し処理槽内の処理液中に浸漬させて処理する装置において、基板表面からパーティクルや残留薬液を除去して効率良く処理槽外へ排出することができ、処理時間の短縮と処理液の使用量の低減を図ることができる装置を提供する。
【解決手段】処理液を貯留する処理槽10と、鉛直姿勢で水平方向に配列された複数の基板Wの最下端部および両側の各下端部をそれぞれ保持する第1保持部34および第2保持部36a、第3保持部36bを有し処理槽10の内方位置と上方位置との間で上下方向へ移動する基板保持具12と、処理槽10の底部近傍に設けられた吐出口から処理液を吐出する一対の吐出管18と、基板保持具12を処理槽10内において、第2保持部36a、第3保持部36bが吐出管18の吐出口からの処理液に当たる位置と当たらない位置とに移動させる移動制御手段とを備えて装置を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ(PDP)用ガラス基板、磁気/光ディスク用のガラス/セラミック基板、電子デバイス基板等の各種の基板を処理液に浸漬させて洗浄、エッチング等の処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処理槽内に貯留された処理液中に半導体デバイス等の基板を浸漬させて洗浄、エッチング等の処理を行う基板処理装置においては、基板保持具によって複数枚の基板を保持し、その基板保持具を処理槽の内部と処理槽の上方位置との間で上下方向へ移動させて、複数枚の基板を保持した状態で基板保持具を処理槽内へ上面開口を通し挿入することにより、処理槽内の処理液中に基板を浸漬させて処理する。基板保持具は、複数枚の基板をそれぞれ鉛直姿勢で保持することができるように、水平方向に延びる第1保持部と、その第1保持部に対して左右両側にそれぞれ設けられ第1保持部と平行に水平方向に延びる第2保持部および第3保持部を有している。各保持部には、基板の周縁部と係合する複数の基板保持溝がそれぞれ形設されている。そして、第1保持部で各基板の最下端部がそれぞれ支持され、第2保持部および第3保持部で各基板の、最下端部に対して左右両側の各下端部がそれぞれ支持されて、複数枚の基板が互いに平行に僅かな間隔をあけて水平方向に配列され保持される。
【0003】
処理槽の底部近傍には左右両側に、基板保持具に保持される複数の基板の配列方向に沿って延びるように一対の吐出管が配設されている。吐出管には、その軸線方向に沿って複数のスリット状の吐出口が直線上に配列して形成されている。吐出管の吐出口は、処理槽の内部中央方向にかつ斜め下方に向いて開口している。吐出管は、処理液供給管を通して純水や薬液の処理液供給源に流路接続されている。そして、処理液供給源から吐出管へ処理液が連続して供給されると、吐出管の吐出口から処理槽内へ処理液が吐出され、処理槽内が処理液で満たされて、処理槽の上端口から処理液が溢れ出る状態となる。例えば、基板を水洗する場合には、処理槽の内部に純水を満たして処理槽の上端口から処理液が溢れ出る状態とし、複数枚の基板を保持した基板保持具を処理槽内へ挿入して処理槽内の純水中に基板を浸漬させる。このとき、一対の左・右の吐出管の各吐出口から処理槽内部の中央方向に向いて斜め下向きにそれぞれ吐出された純水は、処理槽の底部中央付近でぶつかり合って上向きに流れの方向を変え、上昇流となって処理槽内を流動し、処理槽の上端口からオーバーフローする。このような純水の上昇流および溢流に伴って、基板表面のパーティクル等の不要物や残留薬液が処理槽外へ排出されることとなる(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−114217号公報(第4−5頁、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した基板処理装置において、基板の表面から残留薬液やパーティクルなどを除去するためには、比較的大きな流速で基板と基板との隙間に純水を流す必要があった。このため、従来の処理装置では、処理槽内で渦流等が発生して処理槽内の純水の流れが常に乱流状態となっており、処理槽外へのパーティクル等の排出が効率良く行われないことがあった。また、処理槽内が常に乱流状態であるため、処理槽内の純水の液面が波立って、その液面を通し空気中の二酸化炭素が純水中に取り込まれ易くなり、処理槽内の純水度の目安となる比抵抗値の回復が遅れることがあった。この結果、処理時間が長くかかり、純水の使用量が増える、といった問題点があった。
【0005】
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、複数枚の基板を基板保持手段により保持し処理槽内の処理液中に浸漬させて基板の処理を行う基板処理装置において、基板の表面からパーティクル等の不要物や残留薬液などを除去して効率良く処理槽外へ排出することができ、また、処理槽内の処理液中への空気中の二酸化炭素の取り込みを抑えることができて、処理時間の短縮と処理液の使用量の低減を図ることができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、基板に対して処理液により処理を行う基板処理装置において、上面が開口し処理液を貯留する処理槽と、それぞれ鉛直姿勢で互いに平行にかつ水平方向に配列された複数の基板の最下端部を保持する第1保持部、ならびに、前記複数の基板の、最下端部に対して両側の各下端部をそれぞれ保持する第2保持部および第3保持部を有し、複数の基板を前記各保持部でそれぞれ保持した状態で前記処理槽の内方位置と前記処理槽の上方位置との間で上下方向へ移動する基板保持手段と、前記基板保持手段に保持される複数の基板の配列方向に沿ってそれぞれ配設され、前記処理槽の底部近傍にそれぞれ設けられた各吐出口から前記処理槽の内部に向けてそれぞれ処理液を吐出する一対の処理液供給手段と、複数の基板を保持した前記基板保持手段を前記処理槽内において、前記第2保持部および前記第3保持部が前記一対の処理液供給手段の各吐出口からの処理液に当たる位置と当たらない位置とに移動させる移動制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の基板処理装置において、前記移動制御手段が、前記第2保持部および前記第3保持部が前記一対の処理液供給手段の各吐出口からの処理液に当たる位置と当たらない位置とを交互に繰り返すように前記基板保持手段を移動させることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の基板処理装置において、前記処理槽に貯留された処理液の比抵抗値を測定する比抵抗値測定手段をさらに備え、前記移動制御手段は、前記比抵抗値測定手段によって測定される処理液の比抵抗値が所定の値に上昇するまで、前記第2保持部および前記第3保持部が前記一対の処理液供給手段の各吐出口からの処理液に当たる位置と当たらない位置とを交互に繰り返すように前記基板保持手段を移動させ、処理液の比抵抗値が所定の値以上となると、前記第2保持部および前記第3保持部が前記一対の処理液供給手段の各吐出口からの処理液に当たる位置に前記基板保持手段を停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明の基板処理装置においては、移動制御手段により、複数の基板を保持した基板保持手段が、その第2保持部および第3保持部が一対の処理液供給手段の各吐出口からの処理液に当たる位置と当たらない位置とに移動させられるので、第2保持部および第3保持部が処理液に当たらない位置に基板保持手段があるときは、従来の装置と同様に、処理液供給手段の各吐出口から吐出された処理液は、比較的大きな流速で基板と基板との隙間を通って流動する。このため、基板の表面から残留薬液やパーティクルなどが確実に除去される。一方、第2保持部および第3保持部が処理液に当たる位置に基板保持手段があるときには、処理液供給手段の各吐出口から吐出された処理液は、第2保持部および第3保持部に当たり流れが拡散して流速が弱められ、比較的小さな流速で基板と基板との隙間を通って上向きに流れる。このため、処理液は、基板と基板との隙間を乱流状態とはならないで、処理槽の上部に向かって比較的緩やかに流れ、処理槽の上端口から溢れ出る。そして、処理槽内の処理液中に存在するパーティクル等は、上昇流および溢流によって効率良く処理槽外へ排出される。また、処理槽内の処理液の流れが乱流状態とはならないので、処理槽内の処理液の液面が波立って空気中の二酸化炭素が処理液中に取り込まれる、といったことが抑えられる。
したがって、請求項1に係る発明の基板処理装置を使用すると、処理時間の短縮と処理液の使用量の低減を図ることができる。
【0010】
請求項2に係る発明の基板処理装置では、移動制御手段により、第2保持部および第3保持部が一対の処理液供給手段の各吐出口からの処理液に当たる位置と当たらない位置とを交互に繰り返すように基板保持手段が移動させられるので、基板と基板との隙間において処理液の速い流れと遅い流れとが交互に繰り返される。したがって、請求項1に係る発明の上記効果がより確実に得られる。
【0011】
請求項3に係る発明の基板処理装置では、移動制御手段により、比抵抗値測定手段によって測定される処理液の比抵抗値が所定の値に上昇するまで第2保持部および第3保持部が処理液供給手段の各吐出口からの処理液に当たる位置と当たらない位置とを交互に繰り返すように基板保持手段が移動させられるので、請求項2に係る発明の上記効果が確実に得られる。そして、処理液の比抵抗値が所定の値以上となると、すなわち、例えば処理液が純水であれば処理槽内の純水度が回復すると、第2保持部および第3保持部が処理液供給手段の各吐出口からの処理液に当たる位置に基板保持手段が停止させられるので、以後は、処理槽外へのパーティクル等の排出が促進され、また、処理槽内の処理液の液面が波立って空気中の二酸化炭素が処理液中に取り込まれる、といったことが抑えられる。したがって、基板表面からのパーティクル等の除去のために処理液の流速を大きくする、といった状態を必要以上に繰り返すことが無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の最良の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1および図2は、この発明の実施形態の1例を示し、基板処理装置の概略構成を示す模式的断面図である。
【0013】
この基板処理装置は、上面が開口し処理液を貯留する処理槽10、および、複数枚の半導体ウエハ等の基板Wを保持する基板保持具(リフタ)12を備える。基板保持具12は、処理槽10の内部へ基板Wを挿入して処理槽10内の処理液中に基板Wを浸漬させ、また、処理槽10内の処理液中から基板Wを引き上げて処理槽10の上方位置へ基板Wを排出する。
【0014】
処理槽10の上部外周には、処理槽10の上端口から溢れ出た処理液が流入する液受け部14が設けられており、液受け部14の底部に形設された排液口に排液管16が連通している。処理槽10の下部には、左右両側に一対の吐出管18、18が設けられている。各吐出管18は、基板保持具12に保持される複数枚の基板Wの配列方向に沿って(紙面に対して垂直方向に)延びるようにそれぞれ配設されている。吐出管18には、処理槽10の底部近傍に吐出口が設けられている。吐出口は、吐出管18の軸線方向に沿って形成されており、例えば複数のスリット状の吐出口が直線上に配列して形成されている。そして、吐出管18の吐出口は、処理槽10の内部中央方向にかつ斜め下方に向いて開口している。
【0015】
各吐出管18には、処理液供給管20がそれぞれ連通して接続されている。処理液供給管20は、ミキシングバルブ22の出口側に接続されている。ミキシングバルブ22の流入口には、純水の供給源に流路接続された純水供給管24が接続されており、純水供給管24に開閉制御弁26が介挿されている。また、ミキシングバルブ22には、薬液、例えばフッ酸(HF)の供給源に流路接続された薬液供給管28が接続されており、薬液供給管28に開閉制御弁30が介挿されている。そして、純水供給管24に設けられた開閉制御弁26が開かれ、薬液供給管28に設けられた開閉制御弁30が閉じられた状態では、ミキシングバルブ22の出口から処理液供給管20を通して吐出管18に純水が供給され、吐出管18の吐出口から処理槽10の内部の中央方向に向いて斜め下向きに純水が吐出される。また、両方の開閉制御弁26、30が開かれた状態では、ミキシングバルブ22で純水中にフッ酸が混合されて所定濃度に希釈調整されたフッ酸が、ミキシングバルブ22の出口から処理液供給管20を通して吐出管18に供給され、吐出管18の吐出口から処理槽10の内部の中央方向に向いて斜め下向きにフッ酸が吐出される。
【0016】
基板保持具12は、鉛直方向に配設されたリフタ部32、ならびに、このリフタ部32の下端部分にそれぞれ取着されて互いに平行にかつ水平方向に配設された3つの保持部、すなわち、リフタ部32の下端部分の中央に取着された第1保持部34、および、リフタ部32の下端部分の左・右にそれぞれ取着された第2保持部36aおよび第3保持部36bを有している。各保持部34、36a、36bには、基板Wの周縁部と係合する複数の基板保持溝(図示せず)がそれぞれ形設されている。そして、複数枚の基板Wは、その各最下端部を第1保持部34でそれぞれ支持されるとともに、最下端部に対して両側の各下端部を第2保持部36aおよび第3保持部36bでそれぞれ支持されて、基板保持具12に鉛直姿勢で互いに平行に僅かな間隔をあけて水平方向に配列され保持される。
【0017】
基板保持具12は、そのリフタ部32が支持機構(図示せず)により支持され、リフタ駆動装置38(詳細を図示せず)により処理槽10の内部と処理槽10の上方位置との間で上下方向へ往復移動させられる。リフタ駆動装置38による基板保持具12の昇降動作は、コントローラ40によって制御される。また、コントローラ40でリフタ駆動装置38を制御することにより、複数枚の基板Wを保持した基板保持具12が、処理槽10内において上下方向へ所定距離だけ往復移動させられる。すなわち、図1に示すように一対の吐出管18、18の各吐出口から吐出される処理液に第2保持部36aおよび第3保持部36bが当たらない位置と、図2に示すように一対の吐出管18、18の各吐出口から吐出される処理液に第2保持部36aおよび第3保持部36bが当たる位置とに、リフタ駆動装置38により基板保持具12が移動させられる。
【0018】
また、処理槽10の内部には、処理槽10内に貯留された処理液、例えば純水の比抵抗値を測定する比抵抗計のセンサー42が設置されており、センサー42はモニター44に接続されている。そして、比抵抗計モニター44は、コントローラ40に接続されており、モニター44からコントローラ40へ送られる比抵抗値の検出信号に基づいて、コントローラ40からリフタ駆動装置38へ制御信号が送られ、処理槽10内での基板保持具12の上下方向への移動動作が制御される。
【0019】
次に、上記した構成の基板処理装置を使用した基板の処理の1例について説明する。
まず、処理槽10内へ吐出管18の吐出口から純水が連続して吐出され、処理槽10内が純水で満たされて、処理槽10の上端口から液受け部14へ純水が溢れ出る状態とされる。この状態で、複数枚の基板Wを保持した基板保持具12が処理槽10の上方位置から下降して、図1に示したように、基板保持具12に保持された複数枚の基板Wが処理槽10内へ挿入されて処理槽10内の純水中に浸漬させられ、基板Wが純水で水洗される。水洗後に、ミキシングバルブ22で純水中にフッ酸を混合させて所定濃度に調整されたフッ酸が、処理槽10内へ吐出管18の吐出口から連続して吐出される。このフッ酸により処理槽10の上端口から純水が押し出されて、処理槽10の内部がフッ酸で置換され、処理槽10の内部にフッ酸が満たされ処理槽10の上端口から液受け部14へフッ酸が溢れ出る状態とされる。そして、処理槽10内に満たされたフッ酸により基板Wが洗浄もしくはエッチングされる。このとき、処理槽10内へフッ酸を所定時間だけ注入した後、処理槽10内へのフッ酸の供給を止め、この状態を所定時間保持して、処理槽10内のフッ酸中に基板Wを浸漬させるようにしてもよい。
【0020】
フッ酸による処理が終了すると、再び処理槽10内へ吐出管18の吐出口から純水が連続して吐出される。この純水により処理槽10の上端口からフッ酸が押し出されて、処理槽10の内部が純水で置換される。そして、処理槽10の内部に純水が満たされ、処理槽10の上端口から液受け部14へ純水が溢れ出る状態とされて、基板Wが水洗される。このとき、所定時間後に、複数枚の基板Wを保持した基板保持具12を、図1に示した位置から下方向へ移動させ、図2に示した位置に静止させて基板Wの水洗を継続する。
【0021】
上記したように基板保持具12の上下位置を変えて基板Wの水洗を行うことにより、図1に示したように第2保持部36aおよび第3保持部36bが一対の吐出管18、18の各吐出口から吐出された純水に当たらない位置に基板保持具12があるときに、一対の吐出管18、18の各吐出口から吐出された純水は、比較的大きな流速で基板Wと基板Wとの隙間を通って流動する。このため、基板Wの表面から残留フッ酸やパーティクルなどが確実に除去されることとなる。一方、図2に示したように第2保持部36aおよび第3保持部36bが一対の吐出管18、18の各吐出口からの純水に当たる位置に基板保持具12があるときに、一対の吐出管18、18の各吐出口から吐出された純水は、第2保持部36aおよび第3保持部36bに当たり流れが拡散して流速が弱められ、比較的小さな流速で基板Wと基板Wとの隙間を通って上向きに流れる。このため、純水は、基板Wと基板Wとの隙間を乱流状態とはならないで、処理槽10の上部に向かって比較的緩やかに流れ、処理槽10の上端口から溢れ出る。そして、処理槽10内の純水中に存在するパーティクル等は、上昇流および溢流によって効率良く処理槽10外へ排出されることとなる。また、処理槽10内の純水の流れが乱流状態とはならないので、処理槽10内の純水の液面が波立って空気中の二酸化炭素が純水中に取り込まれる、といったことが抑えられる。
【0022】
また、第2保持部36aおよび第3保持部36bが一対の吐出管18、18の各吐出口からの純水に当たる位置(図2に示した位置)と当たらない位置(図1に示した位置)とを交互に所定時間ごと、例えば8秒ごとに繰り返すように基板保持具12を移動させるようにしてもよい。そして、この場合に、処理槽10に貯留された純水の比抵抗値を比抵抗計42、44で測定し、その測定された純水の比抵抗値に基づいてコントローラ40によりリフタ駆動装置38を制御して、比抵抗の測定値が所定の値に上昇するまで、すなわち処理槽10内の純水度が回復するまで、例えば処理槽10内の純水の比抵抗値が5MΩ・cmになるまで、第2保持部36aおよび第3保持部36bが一対の吐出管18、18の各吐出口からの純水に当たる位置と当たらない位置とを交互に繰り返すように基板保持具12を移動させ、処理槽10内の純水の比抵抗値が所定の値以上となると、第2保持部36aおよび第3保持部36bが一対の吐出管18、18の各吐出口からの純水に当たる位置に基板保持具12を停止させるようにするとよい。図3の(a)に、基板保持具12の上下方向への移動動作のタイムチャートの1例を示し、図3の(b)に、そのときの純水の比抵抗値の時間的変化の1例を示す。基板Wの水洗が終了すると、基板保持具12が上昇して基板Wが処理槽10内から排出され、基板Wが乾燥処理される。
【0023】
なお、上記した実施形態では、最終の水洗処理の際にだけ基板保持具12を処理槽10内で上下方向へ移動させるようにしたが、最初の水洗処理時やフッ酸による洗浄(もしくはエッチング)処理時にも基板保持具12を処理槽10内で上下方向へ移動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施形態の1例を示し、基板処理装置の概略構成を示す模式的断面図である。
【図2】図1に示した基板処理装置において、その構成要素である基板保持具が図1に示した状態から下方へ移動した状態を示す模式的断面図である。
【図3】図1および図2に示した基板処理装置を使用した基板の処理の1例について説明するための図であって、(a)は、基板保持具の上下方向への移動動作のタイムチャートを示し、(b)は、純水の比抵抗値の時間的変化を示す。
【符号の説明】
【0025】
10 処理槽
12 基板保持具
14 液受け部
18 吐出管
20 処理液供給管
22 ミキシングバルブ
24 純水供給管
26、30 開閉制御弁
28 薬液供給管
32 基板保持具のリフタ部
34 第1保持部
36a、36b 第2保持部および第3保持部
38 リフタ駆動装置
40 コントローラ
42 比抵抗計のセンサー
44 比抵抗計のモニター
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して処理液により処理を行う基板処理装置において、
上面が開口し処理液を貯留する処理槽と、
それぞれ鉛直姿勢で互いに平行にかつ水平方向に配列された複数の基板の最下端部を保持する第1保持部、ならびに、前記複数の基板の、最下端部に対して両側の各下端部をそれぞれ保持する第2保持部および第3保持部を有し、複数の基板を前記各保持部でそれぞれ保持した状態で前記処理槽の内方位置と前記処理槽の上方位置との間で上下方向へ移動する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持される複数の基板の配列方向に沿ってそれぞれ配設され、前記処理槽の底部近傍にそれぞれ設けられた各吐出口から前記処理槽の内部に向けてそれぞれ処理液を吐出する一対の処理液供給手段と、
複数の基板を保持した前記基板保持手段を前記処理槽内において、前記第2保持部および前記第3保持部が前記一対の処理液供給手段の各吐出口からの処理液に当たる位置と当たらない位置とに移動させる移動制御手段と、
を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記移動制御手段は、前記第2保持部および前記第3保持部が前記一対の処理液供給手段の各吐出口からの処理液に当たる位置と当たらない位置とを交互に繰り返すように前記基板保持手段を移動させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置において、
前記処理槽に貯留された処理液の比抵抗値を測定する比抵抗値測定手段をさらに備え、
前記移動制御手段は、前記比抵抗値測定手段によって測定される処理液の比抵抗値が所定の値に上昇するまで、前記第2保持部および前記第3保持部が前記一対の処理液供給手段の各吐出口からの処理液に当たる位置と当たらない位置とを交互に繰り返すように前記基板保持手段を移動させ、処理液の比抵抗値が所定の値以上となると、前記第2保持部および前記第3保持部が前記一対の処理液供給手段の各吐出口からの処理液に当たる位置に前記基板保持手段を停止させることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−231665(P2009−231665A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77188(P2008−77188)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】