説明

基板処理装置

【課題】複数の処理槽のそれぞれに複数の基板を良好に一括搬送することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、搬送ロボット10と、処理部40とを有している。処理部40は、複数の処理槽41、42を有しており、処理槽41には処理液として洗浄液が、処理槽42には処理液として薬液が貯留される。搬送ロボット10は、単一の搬送ユニットとして構成されている。搬送ロボット10は、本体部12と、本体部12から離隔して配置された各処理槽41、42に向かって伸びるアーム部13とを有している。ここで、各処理槽41、42は、搬送ロボット10の可動範囲内となるように、複数の基板の搬送空間8に配置されている。これにより、搬送ロボット10は、複数の基板を、各処理槽41、42の配置によらず、任意の順番で、各処理槽41、42に対応して貯留された処理液に、浸漬することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、および太陽電池用パネル等(以下、単に「基板」と称する)に対して処理を施す基板処理装置に関するもので、特に、複数の処理ユニットおよび単一の搬送ロボットの配置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の基板に一括して処理を施すバッチ式の基板処理装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の基板処理装置において、複数の基板は、複数の搬送要素(例えば、リフタヘッドおよび搬送ロボット)によって、一括搬送される。
【0003】
また、特許文献1の基板処理装置において、各処理槽(例えば、薬液槽、水洗槽、および乾燥部)は、リフタヘッドおよび搬送ロボットによる基板の搬送方向(すなわち、水平方向)に沿って、一列に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−207273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、各処理槽への搬送順序は、各処理槽および各搬送要素の位置関係を考慮して決定される。例えば、特許文献1の基板処理装置のように、各処理槽が搬送方向に沿って一列に配置されている場合、搬送時間が増大することを抑制するという観点から、複数の基板は、搬送方向から見て上流側の処理槽から下流側の処理槽に、一括搬送される。
【0006】
その結果、特許文献1の基板処理装置において、各処理槽への搬送順序が、各処理槽および各搬送要素の位置関係によらず、任意に決定されると、場合によっては、搬送時間が増大し、基板処理装置内における処理時間が増大するという問題が生ずる。
【0007】
そこで、本発明では、複数の処理槽のそれぞれに複数の基板を良好に一括搬送することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、複数の処理槽と、複数の基板を各処理槽に一括搬送することによって、各処理槽に対応して貯留された処理液に前記複数の基板を浸漬する単一の搬送ロボットとを備え、前記単一の搬送ロボットは、本体部と、屈伸するとともに、前記本体部に対して回動することによって、前記本体部から離隔して配置された各処理槽に向かって伸びるアーム部とを有し、前記複数の処理槽のそれぞれは、前記単一の搬送ロボットの可動範囲内となるように、前記複数の基板の搬送空間に配置されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の基板処理装置において、前記単一の搬送ロボットは、前記アーム部の先端付近に設けられており、前記アーム部の延伸方向から見て前記本体部と逆側に突出する位置で前記複数の基板を保持するとともに、保持された前記複数の基板を前記処理液に浸漬させる保持部、を有し、前記複数の処理槽のうち、前記単一の搬送ロボットと近接する第1処理槽は、前記処理液として洗浄液を貯留し、前記複数の処理槽のうち、前記単一の搬送ロボットから見て前記第1処理槽より遠方側に配置された第2処理槽は、前記処理液として前記薬液を貯留することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の基板処理装置において、前記複数の処理槽は、格子状に配置されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の基板処理装置において、前記単一の搬送ロボットは、前記アーム部の先端付近に設けられており、前記アーム部の延伸方向から見て前記本体部と逆側に突出する位置で前記複数の基板を保持するとともに、保持された前記複数の基板を前記処理液に浸漬させる保持部、を有し、格子状に配置された前記複数の処理槽のうち、前記単一の搬送ロボットと近接する第1列に配置された第1処理槽は、前記処理液として洗浄液を貯留し、格子状に配置された前記複数の処理槽のうち、前記単一の搬送ロボットから見て前記第1列より遠方の第2列に配置された第2処理槽は、前記処理液として薬液を貯留することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項2または請求項4に記載の基板処理装置において、前記保持部は、前記複数の基板が格納されたキャリアを把持し、前記キャリアは、前記保持部により把持された状態で、搬送され、前記処理液に浸漬されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項2から請求項5のいずれかに記載の基板処理装置において、少なくとも前記第2処理槽が配置された処理チャンバと、前記処理チャンバの上部に形成された開口に沿って設けられるとともに、第1排気口が形成されており、前記開口付近から前記第1排気口を介して吸い込まれた薬液雰囲気が流通する第1排気ダクトとをさらに備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項6に記載の基板処理装置において、前記処理チャンバと連通接続されており、前記処理チャンバ内の薬液雰囲気が、吸い込まれ、かつ、流通する第2排気ダクト、をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項6または請求項7に記載の基板処理装置において、前記開口を閉鎖可能とされた蓋部、をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の基板処理装置において、処理されていない前記複数の基板を収容するとともに、処理済みの前記複数の基板を収容するローダ・アンローダ部、をさらに備え、前記単一の搬送ロボットは、前記複数の処理槽および前記ローダ・アンローダ部のそれぞれの間で、前記複数の基板を受け渡すことを特徴とする。
【0017】
また、請求項10の発明は、処理されていない前記複数の基板を収容するローダ部と、処理済みの前記複数の基板を収容するアンローダ部とをさらに備え、前記単一の搬送ロボットは、前記複数の処理槽、前記ローダ部、および前記アンローダ部のそれぞれの間で、前記複数の基板を受け渡すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1から請求項10に記載の発明によれば、単一の搬送ロボットは、本体部およびアーム部を有しており、各処理槽は、単一の搬送ロボットの可動範囲内となるように、複数の基板の搬送空間に配置されている。これにより、単一の搬送ロボットは、複数の基板を、各処理槽の配置によらず、任意の順番で、各処理槽に対応して貯留された処理液に浸漬することができる。そのため、各処理液によるバッチ式の基板処理が、任意の順番で実行できる。
【0019】
特に、請求項2および請求項4に記載の発明によれば、単一の搬送ロボットの保持部は、アーム部から見て本体部と逆側に突出した位置で、複数の基板を保持する。これにより、薬液に複数の基板が浸漬される場合であっても、アーム部は、薬液を貯留する第2処理槽の直上から離隔して配置される。そのため、アーム部および本体部が、第2処理槽に貯留された薬液に起因して汚染されることを抑制できる。
【0020】
特に、請求項3に記載の発明によれば、複数の処理槽は、格子状に配置されている。これにより、各処理槽を搬送空間に効率的に配置することができる。そのため、基板処理装置のフットプリントが増大することを抑制できる。
【0021】
特に、請求項5に記載の発明によれば、キャリアが処理液に浸漬されることにより、複数の基板に対して処理が実行される。そのため、キャリアを交換するだけで、さまざまな種類の(例えば、直径の異なった)基板に対して処理を実行することができる。
【0022】
特に、請求項6に記載の発明において、薬液に浸漬されてキャリアが、処理チャンバの開口を経由して第2処理槽から離隔する場合、開口付近の薬液雰囲気(例えば、薬液ミストまたは薬液蒸気等)は、第1排気ダクトを介して排気される。これにより、搬送空間に薬液雰囲気が流出することを抑制できる。そのため、搬送空間および搬送空間に搬入された他の基板(例えば、薬液および洗浄処理が完了した処理済み基板、または未処理基板等)が薬液汚染されることを抑制できる。
【0023】
特に、請求項7に記載の発明によれば、第2処理槽から処理チャンバ内に流出する薬液雰囲気は、第2排気ダクトによって処理チャンバ外に排出される。そのため、処理チャンバから搬送空間に薬液雰囲気が流出することを未然に防止できる。
【0024】
特に、請求項8に記載の発明によれば、処理チャンバ上部に形成された開口は、蓋部により閉鎖できる。そのため、開口を介して処理チャンバから搬送空間に薬液雰囲気が流出することを未然に防止できる。
【0025】
特に、請求項9に記載の発明によれば、複数の基板は、単一の搬送ロボットによって、複数の処理槽およびローダ・アンローダ部のそれぞれの間で、受け渡される。すなわち、複数の処理槽と、ローダ・アンローダ部と、の間で複数の基板を受け渡すため、基板処理装置内に別の搬送ロボットを設ける必要がない。そのため、基板処理装置のフットプリントが増大することを抑制できる。
【0026】
特に、請求項10に記載の発明によれば、単一の搬送ロボットによって、複数の処理槽、ローダ部、およびアンローダ部のそれぞれの間で、複数の基板を受け渡すことができる。すなわち、複数の処理槽と、ローダ部およびアンローダ部と、の間で複数の基板を受け渡すため、基板処理装置1内に別の搬送ロボットを設ける必要がない。そのため、基板処理装置のフットプリントが増大することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態における基板処理装置の構成の一例を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態における基板処理装置の構成の一例を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態における基板処理装置の構成の一例を示す側面図である。
【図4】排気部の構成の一例を示す斜視図である。
【図5】図2のV−V線から見た処理部および排気部付近の正面断面図である。
【図6】図2のV−V線から見た処理部および排気部付近の正面断面図である。
【図7】図2のV−V線から見た処理部および排気部付近の正面断面図である。
【図8】保持部の構成の一例を示す側面図である。
【図9】保持部の構成の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0029】
<1.基板処理装置の構成>
図1から図3は、それぞれ本発明の実施の形態における基板処理装置1の構成の一例を示す正面図、平面図、および側面図である。基板処理装置1は、いわゆるバッチ式の装置であり、複数の基板に一括して処理を施す。
【0030】
図1から図3に示すように、基板処理装置1は、主として、ファンフィルタユニット5、6と、搬送ロボット10と、ローダ・アンローダ部30と、処理部40と、排気部60と、を備える。なお、図1および以降の各図には、それらの方向関係を明確にすべく必要に応じて適宜、Z軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系が、付されている。
【0031】
ファンフィルタユニット5、6は、基板処理装置1が配置されているクリーンルーム内の空気を搬送空間8に取り込むとともに、この取り込まれた空気からパーティクルを除去する。また、ファンフィルタユニット5、6は、搬送空間8内にパーティクルが除去された清浄空気のダウンフローを形成する。
【0032】
図1に示すように、ファンフィルタユニット5、6は、それぞれ、ローダ・アンローダ部30および乾燥部70の上方、および処理部40および排気部60の上方に、設けられている。
【0033】
搬送ロボット10は、単一の搬送ユニットとして構成されている。図2に示すように、搬送ロボット10は、基板処理装置1のハウジング1aにより形成される搬送空間8の中心付近に配置されている。そして、搬送ロボット10は、搬送空間8内に配置されたローダ・アンローダ部30、処理部40、および乾燥部70のそれぞれとの間で、キャリアCに格納された複数の基板を受け渡す。なお、搬送ロボット10の詳細な構成については、後述する。
【0034】
ローダ・アンローダ部30は、図2に示すように、搬送ロボット10の本体部12を挟んで、処理部40と逆側に設けられている。また、ローダ・アンローダ部30の載置台32には、複数(本実施の形態では、2つ)のキャリアCが、載置可能とされている。
【0035】
例えば、載置台32には、処理されていない複数の基板が格納されており、基板処理装置1外から搬入されたキャリアCが、載置される。また、処理部40および乾燥部70で処理された複数の基板が格納されており、基板処理装置1外に搬出されるキャリアCが、載置される。すなわち、ローダ・アンローダ部30は、未処理基板および処理済み基板を収容する。
【0036】
処理部40は、図2に示すように、複数の処理槽41a〜41c、42a〜42cを有している。ここで、処理槽41a〜41c、42a〜42cには、薬液または純水(以下、これらを総称して「処理液」とも呼ぶ)が貯留可能とされている。そして、処理液に複数の基板が浸漬されることによって、複数の基板に対して一括して処理が実行される。
【0037】
なお、以下では、処理槽41a〜41cを総称して「処理槽41」と、処理槽42a〜42cを総称して「処理槽42」と、それぞれ呼ぶ。また、処理部40の詳細な構成については、後述する。
【0038】
排気部60は、図2に示すように、主として、複数の分岐ダクト61(61a〜61f)(第1排気ダクト)と、共通ダクト62(第2排気ダクト)と、を有している。排気部60は、処理槽41(41a〜41c)、42(42a〜42c)付近の雰囲気を、基板処理装置1外に排出する。なお、排気部60の詳細な構成については、後述する。
【0039】
乾燥部70は、処理部40で洗浄処理された複数の基板を、一括して乾燥させる。図2に示すように、乾燥部70は、搬送ロボット10の本体部12を挟んで処理部40と逆側に設けられるとともに、ローダ・アンローダ部30に隣接して配置されている。
【0040】
制御部90は、基板処理装置1の各要素の動作制御、およびデータ演算を実現する。図1に示すように、制御部90は、主として、ROM91と、RAM92と、CPU93と、を有している。なお、図2では、図示の都合上、制御部90が省略されている。
【0041】
ROM(Read Only Memory)91は、いわゆる不揮発性の記憶部であり、例えば、プログラム91aが格納されている。なお、ROM91としては、読み書き自在の不揮発性メモリであるフラッシュメモリが使用されてもよい。RAM(Random Access Memory)92は、揮発性の記憶部であり、例えば、CPU93の演算で使用されるデータが格納される。
【0042】
CPU(Central Processing Unit)93は、ROM91のプログラム91aに従った制御(例えば、搬送ロボット10によるキャリアCの搬送動作および蓋部43の開閉動作等の制御)、が実行される。
【0043】
<2.処理部および排気部の構成>
図4は、排気部60の構成の一例を示す斜視図である。図5から図7は、図2のV−V線から見た処理部40および排気部60付近の正面断面図である。ここでは、処理部40および排気部60の詳細な構成について説明する。
【0044】
まず、処理部40について、図2に示すように、処理部40は、主として、複数の処理槽41、42と、蓋部43(43a〜43c)と、を有している。各処理槽41、42は、搬送ロボット10の可動範囲内となるように、複数の基板の搬送空間8に配置されている。なお、以下では、蓋部43a〜43cを総称して「蓋部43」と呼ぶ。
【0045】
ここで、本実施の形態において、各処理槽41、42は、図2に示すように、処理チャンバ40a内に格子状(すなわち、X軸方向に沿って2個、Y軸方向に沿って3個)に配置されている。そして、格子状に配置された各処理槽41、42のうち、搬送ロボット10と近接する第1列に配置された処理槽41(第1処理槽)は、処理液として、薬液が付着した各基板を洗浄する洗浄液(例えば、純水等)を貯留する。
【0046】
一方、格子状に配置された各処理槽41、42のうち、搬送ロボット10から見て処理槽41より遠方側(すなわち、搬送ロボット10から見て第1列より遠方の第2列)に配置された処理槽42(第2処理槽)は、処理液として薬液(例えば、HFやNH4OH等)を貯留する。
【0047】
処理チャンバ40aの上部には、図2に示すように、開口44(44a〜44c)、45(45a〜45c)が形成されている。搬送ロボット10は、開口44aを介して処理槽41aに、開口44b(図示省略)を介して処理槽41bに、開口44cを介して処理槽41cに、キャリアCを供給する。
【0048】
また、搬送ロボット10は、開口45aを介して処理槽42aに、開口45b(図示省略)を介して処理槽42bに、開口45cを介して処理槽42cに、キャリアCを供給する。
【0049】
蓋部43は、対応する処理槽42の上方に形成された開口45を閉鎖可能とされている。これにより、処理槽42に貯留された薬液に起因し、開口45を介して処理チャンバ40aから搬送空間8に薬液雰囲気が流出することを未然に防止できる。
【0050】
続いて、排気部60について、図2に示すように、排気部60は、主として、複数の分岐ダクト61a〜61fと、共通ダクト62と、排気口ダクト68(68a、68b)と、を有している。
【0051】
複数の分岐ダクト61(61a〜61f)(図2参照)は、対応する処理槽41、42の上方に設けられた筒体である。また、分岐ダクト(61a〜61f)の側面には、排気口64、65(第1排気口)が形成されている。
【0052】
例えば、図4および図5に示すように、分岐ダクト61a、61bは、処理チャンバ40aの上部に形成された開口44a、45aに沿って設けられている。また、分岐ダクト61a、61bのそれぞれは、共通ダクト62と隣接して設けられている。
【0053】
また、図2および図4に示すように、分岐ダクト61a、61bの側面のうち、処理槽41aと対向する面には、それぞれ排気口64a、64bが、形成されている。一方、分岐ダクト61a、61bの側面のうち、処理槽41bと対向する面には、それぞれ排気口65a、65bが、形成されている。さらに、図示を省略するが、分岐ダクト61c〜61fの側面にも、排気口64、65と同様なもの(第1排気口)が設けられている。
【0054】
共通ダクト62は、図5に示すように、処理チャンバ40aの上部に設けられており、処理チャンバ40a内、および隣接配置された各分岐ダクト61a〜61fと連通接続されている。
【0055】
また、図4に示すように、共通ダクト62の側面のうち、処理槽42aと対向する面には、排気口66が形成されている。なお、図示を省略するが、処理槽42b、42cと対向する面にも、排気口66と同様なものが設けられてもよい。
【0056】
排気口ダクト68(68a、68b)は、図1および図2に示すように、基板処理装置1のハウジング1a外に配置されている。排気口ダクト68(68a、68b)は、共通ダクト62内と連通接続されている。そして、排気口ダクト68(68a、68b)は、基板処理装置1外の排気ファン(図示省略)と連通接続されている。したがって、排気ファンが回転すると、共通ダクト62および各分岐ダクト61内から排気口ダクト68に向かう気流が生ずる。
【0057】
これにより、開口44、45付近から排気口64、65を介して吸い込まれた雰囲気は、対応する分岐ダクト61および共通ダクト62を流通する。また、開口44付近から排気口66を介して吸い込まれた雰囲気は、共通ダクト62を流通する。さらに、処理チャンバ40a内の雰囲気は、共通ダクト62に吸い込まれ、共通ダクト62を流通する。そのため、処理チャンバ40aの雰囲気、および開口44、45付近の雰囲気は、基板処理装置1外に強制的に排気される。
【0058】
例えば、図6に示すように、搬送ロボット10のアーム部13が昇降することによって、処理槽42aの薬液に浸漬されたキャリアCが、処理チャンバ40aの開口45aを経由して処理槽42aから離隔する場合、開口45a付近の薬液雰囲気(例えば、薬液ミストまたは薬液蒸気等)は、分岐ダクト61a、61bを介して排気される。
【0059】
これにより、搬送空間8に薬液雰囲気が流出することを抑制できる。そのため、搬送空間8および搬送空間8に搬入された他の基板(例えば、薬液および洗浄処理が完了した処理済み基板、または未処理基板等)が薬液汚染されることを抑制できる。
【0060】
また、図7に示すように、処理槽42aに浸漬された複数の基板に対して、一括して薬液処理が実行される場合、処理槽42a上方の蓋部43aは、開口45aを介して薬液雰囲気が流出することを抑制するため、閉鎖される。また、処理槽42aから処理チャンバ40aに流出する薬液雰囲気は、共通ダクト62によって、処理チャンバ40a外に排出される。
【0061】
そのため、処理槽42aで薬液処理が実行される場合において、処理チャンバ40aから搬送空間8に薬液雰囲気が流出することを未然に防止できる。
【0062】
<3.搬送ロボットの保持部の構成>
図8および図9は、保持部20の構成の一例を示す側面図である。ここでは、搬送ロボット10の構成について説明する。
【0063】
搬送ロボット10は、キャリアCに格納された複数の基板を、処理部40の各処理槽41、42に一括搬送する。また、搬送ロボット10は、ローダ・アンローダ部30、複数の処理槽41、42、および乾燥部70のそれぞれの間で、複数の基板を受け渡す。
【0064】
これにより、搬送ロボット10は、各処理槽41、42に対応して貯留された処理液に、複数の基板を浸漬する。また、薬液、洗浄、および乾燥処理、未処理基板をローダ・アンローダ部30から受け取ること、並びに処理済み基板をローダ・アンローダ部30に受け渡すこと、が、1台(単一)の搬送ロボット10により実現される。
【0065】
ここで、本実施の形態の搬送ロボット10としては、例えば、垂直多関節ロボットが採用できる。
【0066】
図2、図3、および図5に示すように、搬送ロボット10は、主として、本体部12と、アーム部13と、回転軸14と、保持部20と、を有している。本体部12は、ハウジング1a内に設けられた搬送ロボット10の基部である。アーム部13は、複数のリンク(図示省略)と、複数のジョイント(図示省略)と、を有している。
【0067】
例えば、アーム部13は、図2に示すように、軸心13aを中心に回転するジョイントを有している。これにより、アーム部13は、屈伸するとともに、本体部12に対して回動する。
【0068】
そのため、各リンクが対応するジョイントを中心に回転することによって、アーム部13は、本体部12から離隔して配置された各処理槽41、42に向かって伸びる。また、アーム部13の先端付近に設けられた保持部20は、アーム部13により昇降させられる。
【0069】
回転軸14は、アーム部13に対して保持部20を回転させる。図5に示すように、回転軸14は、アーム部13の延伸方向(矢印AR1方向)における端部のうち、本体部12と逆側の端部に設けられている。
【0070】
保持部20は、図2に示すように、アーム部13の先端付近に設けられており、複数の基板Wを保持する。図8および図9に示すように、保持部20は、主として、一対のハンド21(21a、21b)と、揺動部22(22a、22b)と、取付部25と、格納部27と、を有している。
【0071】
一対のハンド21(21a、21b)は、キャリアCの両側から挟み込むことによって、キャリアCの鍔部Fを把持する把持部である。図8および図9に示すように、一対のハンド21(21a、21b)の上端は、対応する揺動部22(22a、22b)に固定されている。
【0072】
揺動部22(22a、22b)は、取付部25に対して揺動する。図9に示すように、軸心23(23a、23b)は、取付部25に設けられている。また、軸心23(23a、23b)は、対応する揺動部22に連動連結されている。これにより、軸心23(23a、23b)が回転させられると、対応するハンド21(21a、21b)が揺動し、キャリアCの固定動作および固定解除動作が実現される。
【0073】
格納部27は、図5に示すように、取付部25と隣接して設けられており、軸心23(23a、23b)に回転力を付与する駆動部27aを格納する。駆動部27aとしては、例えば、ロータリーアクチュエータが用いられても良い。また、図5に示すように、格納部27は、回転軸14と連動連結されている。これにより、格納部27は、回転軸14を軸心として回動させられる。
【0074】
ここで、図5に示すように、複数の基板Wが格納されたキャリアCは、アーム部13の延伸方向から見て本体部12と逆側に突出する位置で、把持される。また、キャリアCは、一対ハンド21(21a、21b)により把持された状態で、搬送され、処理槽41、42に貯留された処理液に浸漬される。
【0075】
この場合において、アーム部13が動作させられるとによって、保持部20が下降させられ、キャリアCが処理槽42(第2処理槽)の薬液に貯留されると、搬送ロボット10のアーム部13は、処理槽42の直上でなく、洗浄水が貯留された処理槽41の直上に位置される。すなわち、アーム部13は、処理槽42の直上から離隔して配置される。
【0076】
そのため、処理槽42に貯留された薬液に複数の基板Wが浸漬される場合であっても、搬送ロボット10のアーム部13が、処理槽42の薬液に起因して汚染されることを抑制できる。
【0077】
また、上述のように、キャリアCが処理槽41、42に貯留された処理液に浸漬されることによって、複数の基板Wに対して処理が実行される。そのため、保持部20に把持されるキャリアCを交換するだけで、さまざまな種類の(例えば、直径の異なった)基板に対して処理を実行することができる。
【0078】
また、各処理槽41、42は、図2に示すように、格子状に配置されている。これにより、各処理槽41、42が一列に配置される場合と比較して、各処理槽41、42を搬送空間8に効率的に配置することができる。そのため、基板処理装置1のフットプリント(基板処理装置1が平面的に占有する面積)が増大することを抑制できる。
【0079】
<4.本実施の形態における基板処理装置の利点>
以上のように、本実施の形態における基板処理装置1において、単一の搬送ロボット10は、本体部12およびアーム部13を有しており、各処理槽41、42は、この搬送ロボット10の可動範囲内となるように、複数の基板Wの搬送空間8に配置されている。これにより、搬送ロボット10は、複数の基板Wを、各処理槽41、42の配置によらず、任意の順番で、各処理槽41、42に対応して貯留された処理液に、浸漬することができる。そのため、各処理液によるバッチ式の基板処理が、任意の順番で実行できる。
【0080】
また、本実施の形態において、複数の基板Wは、搬送ロボット10によって、複数の処理槽41、42、およびローダ・アンローダ部30のそれぞれの間で、受け渡される。すなわち、複数の処理槽41、42と、ローダ・アンローダ部30と、の間で複数の基板Wを受け渡すため、基板処理装置1内に別の搬送ロボットを設ける必要がない。そのため、基板処理装置1のフットプリントが増大することを抑制できる。
【0081】
<5.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0082】
(1)本実施の形態において、ローダ・アンローダ部30は、ローダ機能と、アンローダ機能と、を有するもとして説明したが、これに限定されるものでない。基板処理装置1は、ローダ・アンローダ部30でなく、ローダ機能を有するローダ部と、アンローダ機能を有するアンローダ部と、を備えており、複数の基板は、これらローダ部およびアンローダ部と、搬送ロボット10との間で、受け渡しされてもよい。この場合も、基板処理装置1内に別の搬送ロボットを設ける必要がなく、基板処理装置1のフットプリントが増大することを抑制できる。
【0083】
(2)また、本実施の形態において、洗浄液が貯留された処理槽41、および薬液が貯留された処理槽42の両者が、処理チャンバ40aに配置されるものとして説明したが、これに限定されるものでない。例えば、処理チャンバ40aには、少なくとも処理槽42が配置されており、処理槽41は、処理チャンバ40aとは別の処理チャンバに配置されても良い。この場合も、薬液雰囲気が搬送空間8に流出することを抑制できる。
【0084】
(3)また、本実施の形態において、洗浄液を貯留する処理槽41の上方に排気口64が、薬液を貯留する処理槽42の上方に排気口65が、それぞれ形成されているが、これに限定されるものでない。少なくとも排気口65が形成されていれば、薬液雰囲気を排気することができる。
【0085】
(4)さらに、本実施の形態において、排気部60は、薬液雰囲気を排気するものとして説明したが、排気対象は限定されるものでない。排気対象は、例えば、昇温された薬液に起因した熱雰囲気であっても良い。
【符号の説明】
【0086】
1 基板処理装置
1a ハウジング
8 搬送空間
10 搬送ロボット
12 本体部
13 アーム部
13a 軸心
20 保持部
21(21a、21b) ハンド
22(22a、22b) 揺動部
23(23a、23b) 軸心
30 ローダ・アンローダ部
40 処理部
40a 処理チャンバ
41(41a〜41c) 処理槽(第1処理槽)
42(42a〜42c) 処理槽(第2処理槽)
43(43a〜43c) 蓋部
44(44a〜44c)、45(45a〜45c) 開口
60 排気部
61(61a〜61f) 分岐ダクト(第1排気ダクト)
62 共通ダクト(第2排気ダクト)
64(64a、64b)、65(65a、65b) 排気口
66 排気口(第2排気口)
70 乾燥部
90 制御部
C キャリア
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 複数の処理槽と、
(b) 複数の基板を各処理槽に一括搬送することによって、各処理槽に対応して貯留された処理液に前記複数の基板を浸漬する単一の搬送ロボットと、
を備え、
前記単一の搬送ロボットは、
(b-1) 本体部と、
(b-2) 屈伸するとともに、前記本体部に対して回動することによって、前記本体部から離隔して配置された各処理槽に向かって伸びるアーム部と、
を有し、
前記複数の処理槽のそれぞれは、前記単一の搬送ロボットの可動範囲内となるように、前記複数の基板の搬送空間に配置されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記単一の搬送ロボットは、
(b-3) 前記アーム部の先端付近に設けられており、前記アーム部の延伸方向から見て前記本体部と逆側に突出する位置で前記複数の基板を保持するとともに、保持された前記複数の基板を前記処理液に浸漬させる保持部、
を有し、
前記複数の処理槽のうち、前記単一の搬送ロボットと近接する第1処理槽は、前記処理液として洗浄液を貯留し、
前記複数の処理槽のうち、前記単一の搬送ロボットから見て前記第1処理槽より遠方側に配置された第2処理槽は、前記処理液として前記薬液を貯留することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記複数の処理槽は、格子状に配置されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置において、
前記単一の搬送ロボットは、
(b-3) 前記アーム部の先端付近に設けられており、前記アーム部の延伸方向から見て前記本体部と逆側に突出する位置で前記複数の基板を保持するとともに、保持された前記複数の基板を前記処理液に浸漬させる保持部、
を有し、
格子状に配置された前記複数の処理槽のうち、前記単一の搬送ロボットと近接する第1列に配置された第1処理槽は、前記処理液として洗浄液を貯留し、
格子状に配置された前記複数の処理槽のうち、前記単一の搬送ロボットから見て前記第1列より遠方の第2列に配置された第2処理槽は、前記処理液として薬液を貯留することを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項2または請求項4に記載の基板処理装置において、
前記保持部は、前記複数の基板が格納されたキャリアを把持し、
前記キャリアは、前記保持部により把持された状態で、搬送され、前記処理液に浸漬されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれかに記載の基板処理装置において、
(c) 少なくとも前記第2処理槽が配置された処理チャンバと、
(d) 前記処理チャンバの上部に形成された開口に沿って設けられるとともに、第1排気口が形成されており、前記開口付近から前記第1排気口を介して吸い込まれた薬液雰囲気が流通する第1排気ダクトと、
をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の基板処理装置において、
(e) 前記処理チャンバと連通接続されており、前記処理チャンバ内の薬液雰囲気が、吸い込まれ、かつ、流通する第2排気ダクト、
をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の基板処理装置において、
(f) 前記開口を閉鎖可能とされた蓋部、
をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の基板処理装置において、
(g) 処理されていない前記複数の基板を収容するとともに、処理済みの前記複数の基板を収容するローダ・アンローダ部、
をさらに備え、
前記単一の搬送ロボットは、前記複数の処理槽および前記ローダ・アンローダ部のそれぞれの間で、前記複数の基板を受け渡すことを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の基板処理装置において、
(g) 処理されていない前記複数の基板を収容するローダ部と、
(h) 処理済みの前記複数の基板を収容するアンローダ部と、
をさらに備え、
前記単一の搬送ロボットは、前記複数の処理槽、前記ローダ部、および前記アンローダ部のそれぞれの間で、前記複数の基板を受け渡すことを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−186289(P2012−186289A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47852(P2011−47852)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000134028)株式会社テックインテック (9)
【Fターム(参考)】