基板吸着方法および基板吸着装置
【課題】有効領域の面付けが異なる基板であっても、有効領域におけるゆがみの発生を抑制することができる基板吸着方法および基板吸着装置を提供する。
【解決手段】ステージ101に複数設けられた吸着穴110,120から、有効領域501を有する基板を吸引し、ステージ101に基板を吸着する方法であって、少なくとも一つの吸着穴110,120を含む吸着穴の群151〜155、161〜165毎に、吸着穴110,120からの吸引動作を互いに独立して制御することにより、有効領域501を避けて基板を吸引し、ステージ101に基板を吸着する工程を備える。
【解決手段】ステージ101に複数設けられた吸着穴110,120から、有効領域501を有する基板を吸引し、ステージ101に基板を吸着する方法であって、少なくとも一つの吸着穴110,120を含む吸着穴の群151〜155、161〜165毎に、吸着穴110,120からの吸引動作を互いに独立して制御することにより、有効領域501を避けて基板を吸引し、ステージ101に基板を吸着する工程を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板吸着方法および基板吸着装置に関し、特に、有効領域を有する基板を吸引し、ステージ上に吸着する基板吸着方法および基板吸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置等に使用される基板にフォトレジスト等の薬液を均一に塗布する方法としては、例えばスピンコート法がある。スピンコート法といった湿式塗布方法では、薬液を基板に塗布した後、薬液に含まれる溶媒を蒸発させるために、ホットプレート等を用いた乾燥工程が後続する。乾燥工程では、高温のホットプレート等に基板を載置するため、基板内に温度勾配が生じ、これによって、基板に反りが生じてしまう。この反りを防ぐため、基板を吸引して、ホットプレート上に吸着し、固定する必要がある。
【0003】
基板が吸着穴から吸引されて、ホットプレート上に吸着されると、吸着穴部分に局所的な基板のゆがみが発生し、塗布むらの原因となる。例えば、特許文献1には、基板内に配置されるパターンの有効領域を避けて、吸着穴の位置を配置する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−81546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法では、吸着穴によるスポット状の吸着むらを避けるために、基板内の有効領域を避けてホットプレートに吸着穴を設けている。しかしながら、この方法では基板の有効領域の面付けが変わる度に、面付けに対応した吸着穴を有するステージ(ホットプレート)に交換することが必要であり、面付けの異なる基板に即時にかつ簡単に対応できない問題があった。
【0006】
また、上述した薬液の塗布むらだけでなく、有効領域を有する基板を吸着穴から吸引し基板を吸着する場合には、吸着によるゆがみが有効領域内に生じるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、有効領域の面付けが異なる基板であっても、有効領域におけるゆがみの発生を抑制することができる基板吸着方法および基板吸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る基板吸着方法は、ステージに設けられた吸着穴から、有効領域を有する基板を吸引し、前記ステージに前記基板を吸着する方法であって、少なくとも一つの前記吸着穴を含む吸着穴群が複数形成された前記ステージの前記吸着穴群毎に、前記吸着穴からの吸引動作を互いに独立して制御することにより、前記有効領域を避けて前記吸着穴から前記基板を吸引し、前記ステージに前記基板を吸着する吸引工程を備える、ことを特徴とする。
【0009】
上記基板吸着方法において、好ましくは、前記吸着穴は、前記ステージにマトリクス状に配置され、前記マトリクス状に配置された吸着穴の行および列毎に前記吸着穴群を形成している。
【0010】
上記基板吸着方法において、前記基板は、予め形成された位置決めマークを有し、前記ステージに載置された基板の位置決めマークを検出する工程をさらに備え、前記吸引工程では、前記位置決めマークの位置と、予め設定された前記吸着穴群の位置と、の比較に基づいて、前記基板を吸引する前記吸着穴群を特定し、前記特定された吸着穴群の前記吸着穴から前記基板を吸引してもよい。
【0011】
上記基板吸着方法において、好ましくは、前記吸引工程では、前記位置決めマークの位置と最も近い前記吸着穴群を特定し、前記特定された吸着穴群の前記吸着穴から前記基板を吸引し、他の前記吸着穴群の前記吸着穴からは前記基板を吸引しない。
【0012】
上記基板吸着方法において、好ましくは、前記基板を吸引するための吸引手段と前記吸着穴とを前記吸着穴群毎に接続する管路に、独立して開閉可能なバルブが配置されており、前記吸引工程では、前記バルブの開閉を個別に制御することにより、前記吸引穴群毎に、前記吸着穴からの吸引動作を互いに独立して制御する。
【0013】
上記基板吸着方法は、前記ステージの平面と前記基板との接触面で、前記基板を加熱する工程をさらに備えてもよい。
【0014】
上記基板吸着方法において、前記基板は、複数の有機EL表示装置が形成されるマザー基板であってもよい。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る基板吸着装置は、有効領域を有する基板を吸着する装置であって、少なくとも一つの吸着穴を含む吸着穴群が複数形成されたステージと、前記基板の有効領域を避けて前記基板を吸引するように、前記吸着穴群毎に前記吸着穴からの吸引動作を互いに独立して制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
上記基板吸着装置において、好ましくは、前記吸着穴が、前記ステージにマトリクス状に配置され、前記マトリクス状に配置された吸着穴の行および列毎に前記吸着穴群を形成している。
【0017】
上記基板吸着装置において、好ましくは、前記基板は、予め形成された位置決めマークを有し、前記ステージに載置された基板の前記位置決めマークを検出する検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記検出手段によって検出された前記位置決めマークの位置と、予め設定された前記吸着穴群の位置と、の比較に基づいて、前記有効領域を避けて前記基板を吸引するように、前記基板を吸引する前記吸着穴群を特定し、前記特定された吸着穴群の前記吸着穴から前記基板を吸引する。
【0018】
上記基板吸着装置において、好ましくは、前記制御手段は、前記位置決めマークの位置と最も近い前記吸着穴群の前記吸着穴から前記基板を吸引し、他の前記吸着穴群の前記吸着穴からは吸引しない。
【0019】
上記基板吸着装置は、好ましくは、前記吸着穴と前記吸着穴から前記基板を吸引するための吸引手段とを前記吸着穴群毎に接続する管路と、前記管路に設置され、独立して開閉可能なバルブと、を備え、前記制御手段は、前記バルブの開閉を個別に制御することにより、前記吸着穴群毎に前記吸着穴からの吸引動作を互いに独立して制御する。
【0020】
上記基板吸着装置において、前記ステージは、前記ステージと前記基板との接触面を加熱するヒータを備えてもよい。
【0021】
上記基板吸着装置において、前記基板は、複数の有機EL表示装置が形成されるマザー基板であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の基板吸着方法および基板吸着装置によれば、有効領域を避けて基板を吸着するように、吸着穴群毎に吸引動作を互いに独立して制御することができるので、有効領域において、吸着穴から基板を吸引することによるゆがみの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板吸着装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る基板吸着装置のステージ部分の斜視概略図である。
【図3】図1に示す基板吸着装置をA−A切断線に沿って切断した断面概略図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る基板吸着装置のバルブ開閉制御テーブルである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る基板吸着方法における基板吸引吸着動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態に係る基板吸着方法を説明するための模式図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る基板吸着方法を説明するための模式図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る基板吸着装置の構成を示す模式図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る、基板を載置された基板吸着装置の構成を示す側面概略図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る基板吸着方法を説明するための模式図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る基板吸着方法における基板吸引吸着動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態に係る基板吸着方法を説明するための模式図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る有機EL表示装置の構成を示す断面概略図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係る有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。
【図16】本発明の第3実施形態に係る有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。
【図17】本発明の第3実施形態に係る有機EL表示装置が用いられる電子機器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係る基板吸着装置および基板吸着方法について、図面を参照しながら説明する。本実施形態においては、一枚に複数のデバイス領域が形成されるマザー基板(以下、基板という)に塗布された薬液を乾燥させるために、基板をホットプレート上に吸着する装置および方法について説明する。
【0025】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る基板吸着装置および基板吸着方法について、図1〜図7を参照しながら説明する。
【0026】
(基板吸着装置)
第1実施形態に係る基板吸着装置10は、図1に模式的に示すように、ホットプレート101と、管路131〜135,141〜145と、バルブVx1〜Vx5,Vy1〜Vy5と、制御部180と、吸引装置190と、を主に備えている。
【0027】
ホットプレート101は、アルミ板から構成され、吸引用の吸着穴110のマトリクスと、吸着穴120のマトリクスが形成されている。ホットプレート101は、図示しないが、複数本のカートリッジヒータと温度センサとを備えている。温度センサによって、ホットプレート101表面の温度を測定し、現在温度と目標温度の差などから、アルミ板表面の温度を制御する。
【0028】
吸着穴110は、図1および図2に示すように、ホットプレート101の平面にマトリクス状に5×5個配置されている。図1においては、区別のため、吸着穴110は、「黒塗り丸印」で示す。また、吸着穴120も、ホットプレート101の平面にマトリクス状に5×5個配置されている。図1においては、区別のため、吸着穴120は、「白抜き丸印」で示す。吸着穴110と120は、隣接して配置されている。また、吸着穴110,120は、直径約1mm〜2cmであることが好ましい。
【0029】
同一列の吸着穴110は、管路131〜135によって相互に接続され、バルブVx1〜Vx5を介して吸引装置190に接続されている。同一行の吸着穴120は、管路141〜145によって相互に接続され、バルブVy1〜Vy5を介して吸引装置190に接続されている。なお、図1では、管路131〜135、141〜145は、理解を容易にするため、破線で示す。また、ここでは、同一列の吸着穴110は、列毎に吸着穴の列(ライン)151〜155、同一行の吸着穴120は、行毎に吸着穴の行(ライン)161〜165と呼ぶ。
【0030】
制御部180は、プロセッサ等から構成され、各バルブVx1〜Vx5,Vy1〜Vy5に制御信号を供給し、個別にバルブVx1〜Vx5、Vy1〜Vy5の開閉を制御する。さらに、制御部180は、吸引装置190の吸引動作を制御する。
【0031】
制御部180には、予め、図4に示すような、基板の種別に対応したバルブ開閉制御テーブル181が記憶されている。詳細は後述するが、バルブ開閉制御テーブル181は、有効領域を避けて基板を吸引するように設定されている。
【0032】
吸引装置190は、例えば真空ポンプから構成され、開いているバルブVx1〜Vx5,Vy1〜Vy5と管路131〜135,141〜145を介して、吸着穴110,120から負圧吸引することにより基板をホットプレート101上に吸着する。
【0033】
さらに吸着穴のライン151を例に挙げて説明すると、吸着穴110は、図3に示すように、アルミ板を貫通している。管路131は、アルミ板の基板載置面と対向する面で、吸着穴のライン151の5つの吸着穴110と接続されている。管路131はバルブVx1を介して吸引装置190と接続されている。他の吸着穴のライン(列および行)152〜155,161〜165についても、吸着穴のライン151と同様の構成である。
【0034】
(基板吸着方法)
次に、本発明の第1実施形態に係る基板吸着方法について、図4〜図7を参照しながら説明する。
【0035】
図5は、本実施形態に係る制御部180の基板吸引吸着動作を示すフローチャートである。以下、図5を参照しながら、基板吸引吸着動作を説明する。
【0036】
まず、基板11が、例えばロボットアーム等により、ホットプレート101上に搬入され、規定の位置に載置される。図示せぬセンサにより、制御部180は、基板11が搬入されたことを検出し、図5のフローを開始する。
【0037】
制御部180は、載置された基板11の種別を特定する(ステップS11)。
制御部180は、図4に示すバルブ開閉制御テーブル181を参照し、ステップS11で特定された基板11の種別に応じて、開く対象のバルブVを特定する(ステップS12)。
制御部180は、バルブVに制御信号を伝送して、ステップS12で特定された開く対象のバルブVを開き、他のバルブVを閉じる(ステップS13)。
制御部180は、吸引装置190を起動して、吸引動作を開始する(ステップS14)。開いたバルブVに接続された管路131〜135,141〜145を介して、管路131〜135,141〜145に接続された吸着穴110,120から基板11が吸引され、ホットプレート101上に吸着される。また、ホットプレート101は、予めヒータによって加熱されており、基板に塗布された薬液が乾燥される。
【0038】
制御部180は、予め設定された終了条件を満たすか否か、例えば、所定の処理時間が経過したか否かを判別する。「終了条件を満たす」と判別した場合(ステップS15;Yes)、制御部180はステップS16に進む。「終了条件を満たさない」と判別した場合(ステップS15;No)、制御部180はステップS15を再度行い、「終了条件を満たす」と判別されるまで、ステップS15を繰り返し行う(ステップS15)。
制御部180は、「終了条件を満たす」と判別した場合、全バルブVを閉じ、管路131〜135,141〜145内の負圧を解放することによって基板11の吸着を解除する(ステップS16)。
吸着を解除された基板11は、例えばロボットアーム等によって搬出され、基板吸引吸着動作が終了する。
上述の工程は、新たな基板が搬入されることにより繰り返し行われる。
【0039】
次に、上述の工程を具体例に基づいて説明する。図6および図7を参照しながら、基板に2つの有効領域が面付けされる場合と4つの有効領域が面付けされる場合についてそれぞれ説明する。2つの有効領域を有する基板を、図4のバルブ開閉制御テーブル181におけるA11とし、4つの有効領域を有する基板を、図4のバルブ開閉テーブル181におけるB11とする。なお、図6および図7では、区別のため、基板の有効領域501,502をハッチングで示す。
【0040】
ここで、有効領域とは、表示装置等のデバイスが形成される領域に加えて、ゆがみ、ひずみ及びむらなどの発生が抑制されることが望ましい領域をいう。
【0041】
まず、2つの有効領域501を有する基板A11をホットプレート101上に吸着する場合について図6を参照しながら説明する。
薬液を乾燥させるため、前工程において薬液を塗布された基板A11が、ロボットアームなどにより搬入されて、ホットプレート101上の規定の位置に載置される。ホットプレート101は、予めヒータによって加熱されていることが好ましい。なお、ホットプレート101の平面上に基板A11を載置する時間および温度は、塗布された薬液に応じて適宜決定される。
【0042】
基板A11がホットプレート101上に載置されると、制御部180は、基板の種別A11を特定し(ステップS11)、バルブ開閉制御テーブル181において、A11に対応付けて記憶されている開く対象のバルブVx1,Vx3,Vx5,Vy1,Vy5を特定する(ステップS12)。制御部180は、バルブVx1〜Vx5,Vy1〜Vy5に制御信号を伝送し、特定されたバルブVx1,Vx3,Vx5,Vy1,Vy5を開き、他のバルブVx2,Vx4,Vy2,Vy3,Vy4を閉じる(ステップS13)。基板の種別は、ユーザが制御部180に対して指定してもよいし、センサ等で判別することによって特定されてもよい。
【0043】
制御部180は、吸引装置190を起動して吸引動作を開始する(ステップS14)。これにより、開いたバルブVx1,Vx3,Vx5,Vy1,Vy5に接続された管路131,133,135,141,145を介して、吸着穴のライン151,153,155,161,165の吸着穴110,120から基板A11が吸引される。
【0044】
基板A11は、図6に示すように、列方向の吸着穴のライン152,154、および行方向の吸着穴のライン162,163,164が、基板A11の有効領域501を横切るように、ホットプレート101上に配置される。一方、吸着穴のライン151,153,155、および161,165は、基板A11の非有効領域のみを通過している。従って、バルブ開閉制御テーブル181に基づいて、バルブVx1〜Vx5,Vy1〜Vy5を開閉することにより、非有効領域上に位置する吸着穴のみで基板A11を吸引することができる。
【0045】
次に、4つの有効領域502を有する基板B11をホットプレート101上に吸着する場合について図7を参照しながら説明する。
【0046】
薬液を乾燥させるため、前工程において薬液を塗布された基板B11がホットプレート101の平面上に載置される。制御部180は、基板の種別B11を特定し(ステップS11)、バルブ開閉制御テーブル181に基づいて、バルブVx1,Vx3,Vx5,Vy1,Vy3,Vy5を開き、他のバルブVx2,Vx4,Vy2,Vy4を閉じる(ステップS12,ステップS13)。
【0047】
制御部180は、吸引装置190を起動して吸引動作を開始する(ステップS14)。これにより、開いたバルブVx1,Vx3,Vx5,Vy1,Vy3,Vy5に接続された管路131,133,135,141,143,145を介して、吸着穴のライン151,153,155,161,163,165の吸着穴110,120から基板B11が吸引される。
【0048】
基板B11は、図7に示すように、列方向の吸着穴のライン152、154、および行方向の吸着穴のライン162,164が有効領域502を横切るように、ホットプレート101上に配置される。一方、吸着穴のライン151,153,155,161,163,165は、基板B11の非有効領域のみを通過する。従って、バルブ開閉制御テーブル181に基づいて、バルブVx1〜Vx5,Vy1〜Vy5を開閉することにより、非有効領域上に位置する吸着穴のみで基板B11を吸引することができる。
【0049】
このように、列および行方向に配置された吸着穴のライン(群)を多数設け、基板を吸引する吸着穴の群を適宜選択することにより、異なる面付けの基板であっても、レジスト等の薬液が塗布される有効領域を避けて基板を吸着することができる。このため、異なる面付けを有する基板であっても、ホットプレート等のステージを交換せずに、有効領域における、塗布むら等のゆがみの発生を防止することが可能となり、面付けの異なる機種に即時にかつ簡単に対応することができる。
【0050】
(第2実施形態)
第1実施形態に係る基板吸着装置および基板吸着方法においては、制御部180は基板の種別とバルブ開閉制御テーブル181とに基づいてバルブの開閉を制御する。そのため、ユーザは予めバルブ開閉制御テーブル181を制御部180に記憶させる必要がある。これに対し、本発明の第2実施形態に係る基板吸着装置および基板吸着方法では、バルブ開閉制御テーブルを必要とせず、どのような面付けの有効領域を有する基板が搬入されても、制御部によって自動的に開閉するバルブが特定される。以下に、本発明の第2実施形態に係る基板吸着装置20および基板吸着方法について、図8〜図12を参照しながら説明する。
【0051】
第2実施形態に係る基板吸着装置20を、図8〜図10に示す。なお、第1実施形態に係る基板吸着装置10と同一部分には、同一符号を付す。
第1実施形態との違いは、図8〜図10に示すように、撮像装置(検出装置)として、基板12に対向配置されたCCDカメラ270をさらに備えている点である。CCDカメラ270は移動装置271に接続されている。また、制御部180は、移動装置271とCCDカメラ270に接続され、移動装置271を制御してCCDカメラ270を基板12に対し相対的に移動させながら、CCDカメラ270に適宜、基板12のスキャン画像を撮像させる。
【0052】
制御部180には、予め、基板の載置予定位置を基準位置として、この基準位置に対する吸着穴のライン(行および列)151〜155,161〜165の位置情報が入力されている。
【0053】
本実施形態において、ホットプレート101の平面上に載置される基板12には、予め位置決めマークとしてスクライブマークMが形成されている。スクライブマークMは、例えば、電子ビームやレーザビームを照射することによって非有効領域に形成される。
【0054】
図11は、本実施形態に係る制御部180の基板吸引吸着動作を示すフローチャートである。以下、図11を参照しながら、基板吸引吸着動作を説明する。
【0055】
まず、基板12が、例えばロボットアーム等により、ホットプレート101上に搬入され、規定の位置に載置される。図示せぬセンサにより、制御部180は、基板12が搬入されたことを検出し、図11のフローを開始する。
【0056】
制御部180は、撮像装置(CCDカメラ)270によりx,y方向に基板面をスキャンする(ステップS21)。
制御部180は、ステップS21におけるスキャン画像に基づいて、基板12に形成されたスクライブマークMを抽出する(ステップS22)。
制御部180は、ステップS22で抽出されたスクライブマークMに最も近い吸着穴のライン(列および行)を特定する(ステップS23)。
制御部180は、ステップS23で特定した列および行の吸着穴に接続されたバルブVを開き、他のバルブVを閉じる(ステップS24)。
制御部180は、吸引装置190を起動して、吸引動作を開始する(ステップS25)。開いたバルブVに接続された管路131〜135,141〜145を介して、管路131〜135,141〜145に接続された吸着穴110,120から基板12が吸引され、ホットプレート101上に吸着される。また、ホットプレート101は、予めヒータによって加熱されており、基板に塗布された薬液が乾燥される。
【0057】
制御部180は、予め設定された終了条件を満たすか否か、例えば、所定の処理時間が経過したか否かを判別する。「終了条件を満たす」と判別した場合(ステップS26;Yes)、ステップS27に進む。「終了条件を満たさない」と判別した場合(ステップS26;No)、制御部180は、ステップS26を再度行い、「終了条件を満たす」と判別されるまで、ステップS26を繰り返し行う(ステップS26)。
制御部180は、「終了条件を満たす」と判別した場合、全バルブVを閉じ、管路131〜135,141〜145内の負圧を解放することによって基板12の吸着を解除する(ステップS27)。
吸着を解除された基板12は、例えばロボットアーム等によって搬出され、基板吸引吸着動作が終了する。
上述の工程は、新たな基板が搬入されることにより繰り返し行われる。
【0058】
次に、上述の工程を具体例に基づいて説明する。4つの有効領域503を有する基板C12をホットプレート101上に吸着する場合について、図10〜図12を参照しながら説明する。なお、図10および図12では、区別のため、基板の有効領域503をハッチングで示す。
【0059】
薬液を乾燥させるため、前工程において薬液を塗布された基板C12が、ロボットアームなどにより搬入されて、ホットプレート101上の規定の位置に載置される。ホットプレート101は、予めヒータによって加熱されていることが好ましい。なお、ホットプレート101の平面上に基板C12を載置する時間および温度は、塗布された薬液に応じて適宜決定される。
【0060】
基板C12がホットプレート101上に載置されると、制御部180は、CCDカメラ270を、図10に矢印で示すように、基板C12のx、y方向に順次移動させて、CCDカメラ270によって画像を取得する(ステップS21)。このようにして、制御部180は基板面をスキャンして、スクライブマークMを抽出する(ステップS22)。次に、制御部180は、スクライブマークMの位置情報と予め入力された吸着穴のライン151〜155,161〜165の位置情報とを比較して、各スクライブマークMに最も近い吸着穴のライン(行および列)を特定する(ステップS23)。図12に示す例では、スクライブマークM11と最も近い吸着穴のラインとして、吸着穴のライン151,161が特定される。同様に、スクライブマークM21に対しては吸着穴のライン153,161、スクライブマークM31に対しては吸着穴のライン155,161、スクライブマークM32に対しては吸着穴のライン155,163、スクライブマークM33に対しては吸着穴のライン155,165が特定される。この場合、制御部180は、これらの吸着穴のライン151,153,155,161,163,165それぞれに接続されたバルブVx1,Vx3,Vx5,Vy1,Vy3,Vy5を開き、他のバルブVx2,Vx4,Vy2,Vy4を閉じる(ステップS24)。これにより、有効領域503を避けて基板C12を吸引することができる。
【0061】
このような構成によれば、基板の面付けが変わった場合に、基板の面付けに合わせて、ユーザがバルブ開閉制御テーブルを設定し直さなくても、基板をホットプレート上に載置するだけで、基板の非有効領域のみを通過する吸着穴ラインに対応するバルブを特定し、開くことができる。これにより、異なる面付けの基板毎に、ユーザがバルブ開閉制御テーブルを設定することなく、自動的に有効領域を避けて基板を吸引し、ホットプレート上に吸着することが可能となる。
【0062】
(第3実施形態)
本発明に係る基板吸着装置および基板吸着方法は、例えば、ボトムエミッション型の有機EL表示装置の製造に適用することができる。有機EL表示装置は、大型のマザー基板に形成された複数の有機EL表示装置をそれぞれ切り出すことによって製造される。以下、有機EL表示装置および有機EL表示装置の製造方法について、図13〜図16を参照しながら説明する。
【0063】
(有機EL表示装置)
有機EL表示装置600は、図13に示されるように、ガラス基板610aと、画素電極(陽極)620と、バンク630と、有機EL発光層640と、正孔注入層690と、層間絶縁膜650と、上部電極(陰極)660と、封止ガラス670と、を有する。
【0064】
ガラス基板610aの上には、ゲート層710が設けられる。さらに、ガラス基板610aの上には、ゲート層710を覆って、絶縁層720も設けられる。絶縁層720の上には画素電極620(陽極)が設けられる。画素電極620は、例えばドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化インジウム(In2O3)等の透明導電材料から形成される。
【0065】
絶縁層720の上には半導体膜760が設けられる。半導体膜760の上には、ソース・ドレイン740が絶縁膜730を挟んで設けられる。ソース・ドレイン740の上には、ドレイン・ライン750が設けられる。ソース・ドレイン740の上に層間絶縁膜650が設けられる。層間絶縁膜650は、隣り合う画素電極620どうしを電気的に絶縁する。
【0066】
層間絶縁膜650の上には隔壁として機能するバンク630が設けられている。層間絶縁膜650とバンク630とで囲まれた開口内の画素電極620の上に、正孔注入層690、有機EL発光層640、上部電極660(陰極)がこの順に積層されている。
【0067】
上部電極660は、電子注入をしやすくするため、例えば、AlLi、FLi、MgIn、Li、Na、Mg、Ca等の金属を単体であるいは合金で用いることができる。
【0068】
上部電極660の上には、パッシベーション膜700が設けられる。パッシベーション膜700の上に接着層680が設けられる。そして、接着層680の上に封止ガラス670が設けられている。
【0069】
(有機EL表示装置の製造方法)
次に、有機EL表示装置600の製造方法について説明する。なお、本実施形態においては、4つの有機EL表示装置が形成されるマザー基板(ガラス基板)610を、第1実施形態に係る基板吸着装置10および基板吸着方法により吸着する場合を例に挙げて説明する。
【0070】
まず、図14(a)に示すように、ガラス基板610の上にゲート層710を設ける。
次に、図14(b)に示すように、ガラス基板610の上に、ゲート層710を覆うように絶縁層720を設け、絶縁層720の上に半導体層761を設け、半導体層761の上には絶縁膜層731を設けることで、3層デポジションを行う。
【0071】
次に、図14(c)に示すように、絶縁膜層731をエッチング処理して、絶縁膜730を形成する。
次に、図14(d)に示すように、半導体層761をエッチング処理して、半導体膜760を形成する。そして、半導体膜760の上にソース・ドレイン740を設ける。
【0072】
次に、絶縁層720の上に、均一的な厚さでスパッタや蒸着等によりITO成膜を形成する。そして、そのITO成膜に、レジストとしてフェノールノボラック樹脂等を使用して、フォトリソグラフィ処理により、図14(e)に示すように、ガラス基板610の上に所定の間隔でストライプ形状に画素電極620を形成する。画素電極620の厚さは30nm〜100nmである。なお、ウエットエッチング処理若しくはドライエッチング処理等を施すことにより画素電極620を形成することも可能である。
【0073】
次に、図15(a)に示すように、ソース・ドレイン740の上に、ドレインライン750を設ける。
【0074】
次に、図15(b)に示すように、ソース・ドレイン740の上に、例えばポリイミド溶液を0.8μmの厚さで均一的にスピンコート法により塗布し、ポリイミドの膜650aを形成する。塗布したポリイミド溶液を乾燥させるため、塗布面を上にしてガラス基板610を基板吸着装置10のホットプレート101上に載置する。基板吸着装置10によりガラス基板610を吸引し、ホットプレート101上に吸着しながら、加熱して溶媒を蒸発させる。なお、基板吸着装置10および基板吸着方法は、第1実施形態に記載の基板吸着装置10および基板吸着方法と同様である。
【0075】
そして設けたポリイミドの膜650aをフォトリソグラフィ処理により、図15(c)に示すように、画素電極620が位置する部分を除去するようにしてパターニングした後にキュアする。このようにして、層間絶縁膜650を形成する。層間絶縁膜650は、画素電極620の間の領域に設けられており、画素電極620の周縁部を覆うことにより、隣接する画素電極620同士の短絡を防止する。層間絶縁膜650は、複数の開口を有する編み目状で、厚さが650nm〜300nmの膜から構成されている。層間絶縁膜650は、例えば窒化珪素または酸化珪素等の硅素化合物から形成される。
【0076】
次に、図15(d)に示すように、バンク630を層間絶縁膜650の上に形成する。バンク630の形成は、例えばポリスチレン等のネガ型の感光性樹脂にフォトマスクを介して光を照射することで形成される。
【0077】
そして、酸素プラズマ処理若しくはUVオゾン処理により画素電極620の親液化を行う。この酸素プラズマ処理若しくはUVオゾン処理をすることで、画素電極620に塗布を行う正孔注入層形成用塗布液が画素電極620全体に広がり、均一な膜厚を形成することができる。
【0078】
次に、正孔注入層形成用塗布液をノズルプリント法にてバンク630で囲まれた画素電極620の上に塗布する。塗布後、正孔注入層形成用塗布液を乾燥させるため、塗布面を上にしてガラス基板610を基板吸着装置10のホットプレート101上に載置する。基板吸着装置10により、載置されたガラス基板610を吸引し、ホットプレート101上に吸着させながら、100℃以上の温度条件で乾燥を行う。これにより図16(a)に示すように、正孔注入層690が形成される。なお、基板吸着装置10および基板吸着方法は、第1実施形態に記載の基板吸着装置10および基板吸着方法と同様である。
【0079】
次に、形成された正孔注入層690の上に、上述した実施形態に係る有機EL発光層形成用塗布液が塗布される。塗布は、ノズルコータから連続的に塗布される。塗布は、窒素ガス雰囲気中で行うことが望ましい。有機EL発光材料は酸素や水蒸気等に接触すると特性変化を生じることがありうる。そのため、窒素ガス雰囲気中で塗布することで、有機EL発光材料の特性変化を起こりにくくすることが可能となる。
【0080】
有機EL発光層形成用塗布液の粘度は4mPa・sである。有機EL発光層形成用塗布液の粘度は1〜20mPa・sであり、好ましくは2〜8mPa・sである。粘度が1mPa・sより少ないと、吐出量の制御が困難になるばかりでなく、固型分濃度が過少となることで十分な膜厚を形成できないおそれがある。一方、有機EL発光層形成用塗布液の粘度が20mPa・sより大きいと、ノズルコータから円滑に吐出させることができないおそれがあり、ノズルコータを大きくする等の装置の仕様を変更する必要が生じうる。
【0081】
有機EL発光層形成用塗布液が塗布された後、ガラス基板610を基板吸着装置10のホットプレート101上に載置する。載置されたガラス基板610を基板吸着装置10により吸引し、ホットプレート101上に吸着しながら、窒素雰囲気中で加熱により有機EL発光層形成用塗布液を乾燥させる。なお、基板吸着装置10および基板吸着方法は、第1実施形態に記載の基板吸着装置10および基板吸着方法と同様である。これにより、図16(b)に示すように、有機EL発光層640が形成される。なお、有機EL発光層形成用塗布液は、真空中でのシーズヒータによって乾燥させてもよい。
【0082】
次に、図16(c)に示すように、有機EL発光層640の上に、膜厚が例えば100nmの上部電極660が設けられる。上部電極660は、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等を用いて形成することができる。
【0083】
次に、図16(d)に示すように、上部電極660の上に絶縁層720が設けられる。そして、絶縁層720の上に接着層680を設け、さらに接着層680の上に封止ガラス670を形成する。具体的には、封止ガラス670の一方の面にディスペンサを用いてエポキシ系紫外線硬化樹脂からなる接着剤を塗布する。そして封止ガラス670の接着剤が塗布された面と接着層680が配置された面とを位置あわせして貼り合わせて、紫外線を照射させて接着剤を硬化させる。これにより封止ガラス670と接着層680が配置された面とが固定される。さらに、封止ガラス670で封止されたガラス基板610から有機EL表示装置をそれぞれ切り出すことによって、図13に示すような有機EL表示装置600が形成される。
【0084】
なお、上記ポリイミド溶液、正孔注入層形成用塗布液、有機EL発光層形成用塗布液それぞれを乾燥する工程において、本発明の第2実施形態に係る基板吸着装置および方法を適用してもよい。
【0085】
上記ポリイミド溶液、正孔注入層形成用塗布液、有機EL発光層形成用塗布液それぞれを乾燥する工程において、本発明に係る基板吸着装置および基板吸着方法を適用することにより、表示領域において、吸着によって発生しうる塗布むらを抑制することが可能となる。これにより、均一性を備える層間絶縁膜、正孔注入層、有機EL発光層を形成することができる。
【0086】
以上のように本発明に係る基板吸着装置および基板吸着方法を用いて製造された有機EL表示装置は、各種電子機器の表示パネルとして用いられる。例えば、図17(a)に示すデジタルカメラ810の表示パネル811や、図17(b)に示すパーソナルコンピュータ820の表示パネル821や、図17(c)に示す携帯電話機830の表示パネル831に、この有機EL表示装置を適用することができる。
【0087】
上記第3実施形態においては、ポリイミド溶液、正孔注入層形成用塗布液、有機EL発光層形成用塗布液それぞれを乾燥する工程において、本発明に係る基板吸着方法および基板吸着装置が適用される場合について説明したが、本発明に係る基板吸着方法および基板吸着装置は、例えば、フォトリソグラフィを行う際のフォトレジスト塗布工程に適用されてもよい。
【0088】
また上記第3実施形態においては、有機EL表示装置に用いられるマザー基板を例に説明したが、本発明に係る基板吸着装置および基板吸着方法は、例えば、有機トランジスタ、液晶ディスプレイ、その他各種電子デバイス用のマザー基板に適用することができる。
【0089】
また、上記第1〜第3実施形態においては、吸着穴がマトリクス状に5×5個並んだ場合について説明したが、より多くの吸着穴を設けることで、より多くの異なる面付けを有する基板に適用することができる。
【0090】
また、上記第1〜第3実施形態においては、吸着穴の列および行毎に吸着穴の群を構成する場合について説明したが、吸着穴の群は、一つの吸着穴から構成されてもよいし、あるいは吸着穴の群毎に含まれる吸着穴の数が異なっていてもよい。これにより、一つの基板上に複数の異なる寸法の有効領域が面付けされている場合でも、有効領域を避けて基板を吸引し、ステージ上に吸着することができる。
【0091】
上記第1〜第3実施形態における吸着穴および管路は、負圧吸引が可能なものであればよく、適宜公知のものによって構成できる。
【0092】
また、上記第1〜第3実施形態におけるバルブは、弁の開閉動作・開度の調整等を行うことができればよく、電磁弁、空気式開閉弁、および電気式開閉弁などから適宜選択することができる。
【0093】
また、上記第1〜第3実施形態における加熱処理のためのホットプレートを構成する各要素は、適宜、公知のものによって構成することができる。
【0094】
また、上記第1〜第3実施形態においては、基板を吸着するステージが、ヒータを備えるホットプレートである場合について説明したが、本発明に係る基板吸着装置および基板吸着方法は、加熱手段を備えないステージ上に基板を吸着させる場合にも適用することができる。
【0095】
また、上記第2実施形態においては、撮像装置がCCDカメラである場合について説明したが、CMOSカメラであってもよい。
【0096】
以上、本発明に係る基板吸着装置および基板吸着方法の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明したが、本発明の技術的範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0097】
10,20…基板吸着装置、101…ステージ(ホットプレート)、110,120…吸着穴、131〜135,141〜145…管路、151〜155,161〜165…吸着穴の群(ライン)、270…撮像装置(CCDカメラ)、271…移動装置、180…制御部、181…バルブ開閉制御テーブル、190…吸引装置、11,A11,B11,12,C12…基板、501,502,503…有効領域、M,M11,M21,M31,M32,M33…位置決めマーク(スクライブマーク)、600…有機EL表示装置、610…マザー基板(ガラス基板)、610a…ガラス基板、620…画素電極(陽極)、630…バンク、640…有機EL発光層、650…層間絶縁膜、660…上部電極(陰極)、670…封止ガラス、680…接着層、690…正孔注入層、700…パッシベーション膜、710…ゲート層、720…絶縁層、730…絶縁膜、740…ソース・ドレイン、750…ドレイン・ライン、760…半導体膜、810…デジタルカメラ、820…パーソナルコンピュータ、830…携帯電話機、811,821,831…表示パネル、V,Vx1〜Vx5,Vy1〜Vy5…バルブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板吸着方法および基板吸着装置に関し、特に、有効領域を有する基板を吸引し、ステージ上に吸着する基板吸着方法および基板吸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置等に使用される基板にフォトレジスト等の薬液を均一に塗布する方法としては、例えばスピンコート法がある。スピンコート法といった湿式塗布方法では、薬液を基板に塗布した後、薬液に含まれる溶媒を蒸発させるために、ホットプレート等を用いた乾燥工程が後続する。乾燥工程では、高温のホットプレート等に基板を載置するため、基板内に温度勾配が生じ、これによって、基板に反りが生じてしまう。この反りを防ぐため、基板を吸引して、ホットプレート上に吸着し、固定する必要がある。
【0003】
基板が吸着穴から吸引されて、ホットプレート上に吸着されると、吸着穴部分に局所的な基板のゆがみが発生し、塗布むらの原因となる。例えば、特許文献1には、基板内に配置されるパターンの有効領域を避けて、吸着穴の位置を配置する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−81546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法では、吸着穴によるスポット状の吸着むらを避けるために、基板内の有効領域を避けてホットプレートに吸着穴を設けている。しかしながら、この方法では基板の有効領域の面付けが変わる度に、面付けに対応した吸着穴を有するステージ(ホットプレート)に交換することが必要であり、面付けの異なる基板に即時にかつ簡単に対応できない問題があった。
【0006】
また、上述した薬液の塗布むらだけでなく、有効領域を有する基板を吸着穴から吸引し基板を吸着する場合には、吸着によるゆがみが有効領域内に生じるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、有効領域の面付けが異なる基板であっても、有効領域におけるゆがみの発生を抑制することができる基板吸着方法および基板吸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る基板吸着方法は、ステージに設けられた吸着穴から、有効領域を有する基板を吸引し、前記ステージに前記基板を吸着する方法であって、少なくとも一つの前記吸着穴を含む吸着穴群が複数形成された前記ステージの前記吸着穴群毎に、前記吸着穴からの吸引動作を互いに独立して制御することにより、前記有効領域を避けて前記吸着穴から前記基板を吸引し、前記ステージに前記基板を吸着する吸引工程を備える、ことを特徴とする。
【0009】
上記基板吸着方法において、好ましくは、前記吸着穴は、前記ステージにマトリクス状に配置され、前記マトリクス状に配置された吸着穴の行および列毎に前記吸着穴群を形成している。
【0010】
上記基板吸着方法において、前記基板は、予め形成された位置決めマークを有し、前記ステージに載置された基板の位置決めマークを検出する工程をさらに備え、前記吸引工程では、前記位置決めマークの位置と、予め設定された前記吸着穴群の位置と、の比較に基づいて、前記基板を吸引する前記吸着穴群を特定し、前記特定された吸着穴群の前記吸着穴から前記基板を吸引してもよい。
【0011】
上記基板吸着方法において、好ましくは、前記吸引工程では、前記位置決めマークの位置と最も近い前記吸着穴群を特定し、前記特定された吸着穴群の前記吸着穴から前記基板を吸引し、他の前記吸着穴群の前記吸着穴からは前記基板を吸引しない。
【0012】
上記基板吸着方法において、好ましくは、前記基板を吸引するための吸引手段と前記吸着穴とを前記吸着穴群毎に接続する管路に、独立して開閉可能なバルブが配置されており、前記吸引工程では、前記バルブの開閉を個別に制御することにより、前記吸引穴群毎に、前記吸着穴からの吸引動作を互いに独立して制御する。
【0013】
上記基板吸着方法は、前記ステージの平面と前記基板との接触面で、前記基板を加熱する工程をさらに備えてもよい。
【0014】
上記基板吸着方法において、前記基板は、複数の有機EL表示装置が形成されるマザー基板であってもよい。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る基板吸着装置は、有効領域を有する基板を吸着する装置であって、少なくとも一つの吸着穴を含む吸着穴群が複数形成されたステージと、前記基板の有効領域を避けて前記基板を吸引するように、前記吸着穴群毎に前記吸着穴からの吸引動作を互いに独立して制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
上記基板吸着装置において、好ましくは、前記吸着穴が、前記ステージにマトリクス状に配置され、前記マトリクス状に配置された吸着穴の行および列毎に前記吸着穴群を形成している。
【0017】
上記基板吸着装置において、好ましくは、前記基板は、予め形成された位置決めマークを有し、前記ステージに載置された基板の前記位置決めマークを検出する検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記検出手段によって検出された前記位置決めマークの位置と、予め設定された前記吸着穴群の位置と、の比較に基づいて、前記有効領域を避けて前記基板を吸引するように、前記基板を吸引する前記吸着穴群を特定し、前記特定された吸着穴群の前記吸着穴から前記基板を吸引する。
【0018】
上記基板吸着装置において、好ましくは、前記制御手段は、前記位置決めマークの位置と最も近い前記吸着穴群の前記吸着穴から前記基板を吸引し、他の前記吸着穴群の前記吸着穴からは吸引しない。
【0019】
上記基板吸着装置は、好ましくは、前記吸着穴と前記吸着穴から前記基板を吸引するための吸引手段とを前記吸着穴群毎に接続する管路と、前記管路に設置され、独立して開閉可能なバルブと、を備え、前記制御手段は、前記バルブの開閉を個別に制御することにより、前記吸着穴群毎に前記吸着穴からの吸引動作を互いに独立して制御する。
【0020】
上記基板吸着装置において、前記ステージは、前記ステージと前記基板との接触面を加熱するヒータを備えてもよい。
【0021】
上記基板吸着装置において、前記基板は、複数の有機EL表示装置が形成されるマザー基板であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の基板吸着方法および基板吸着装置によれば、有効領域を避けて基板を吸着するように、吸着穴群毎に吸引動作を互いに独立して制御することができるので、有効領域において、吸着穴から基板を吸引することによるゆがみの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板吸着装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る基板吸着装置のステージ部分の斜視概略図である。
【図3】図1に示す基板吸着装置をA−A切断線に沿って切断した断面概略図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る基板吸着装置のバルブ開閉制御テーブルである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る基板吸着方法における基板吸引吸着動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態に係る基板吸着方法を説明するための模式図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る基板吸着方法を説明するための模式図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る基板吸着装置の構成を示す模式図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る、基板を載置された基板吸着装置の構成を示す側面概略図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る基板吸着方法を説明するための模式図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る基板吸着方法における基板吸引吸着動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態に係る基板吸着方法を説明するための模式図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る有機EL表示装置の構成を示す断面概略図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係る有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。
【図16】本発明の第3実施形態に係る有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。
【図17】本発明の第3実施形態に係る有機EL表示装置が用いられる電子機器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係る基板吸着装置および基板吸着方法について、図面を参照しながら説明する。本実施形態においては、一枚に複数のデバイス領域が形成されるマザー基板(以下、基板という)に塗布された薬液を乾燥させるために、基板をホットプレート上に吸着する装置および方法について説明する。
【0025】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る基板吸着装置および基板吸着方法について、図1〜図7を参照しながら説明する。
【0026】
(基板吸着装置)
第1実施形態に係る基板吸着装置10は、図1に模式的に示すように、ホットプレート101と、管路131〜135,141〜145と、バルブVx1〜Vx5,Vy1〜Vy5と、制御部180と、吸引装置190と、を主に備えている。
【0027】
ホットプレート101は、アルミ板から構成され、吸引用の吸着穴110のマトリクスと、吸着穴120のマトリクスが形成されている。ホットプレート101は、図示しないが、複数本のカートリッジヒータと温度センサとを備えている。温度センサによって、ホットプレート101表面の温度を測定し、現在温度と目標温度の差などから、アルミ板表面の温度を制御する。
【0028】
吸着穴110は、図1および図2に示すように、ホットプレート101の平面にマトリクス状に5×5個配置されている。図1においては、区別のため、吸着穴110は、「黒塗り丸印」で示す。また、吸着穴120も、ホットプレート101の平面にマトリクス状に5×5個配置されている。図1においては、区別のため、吸着穴120は、「白抜き丸印」で示す。吸着穴110と120は、隣接して配置されている。また、吸着穴110,120は、直径約1mm〜2cmであることが好ましい。
【0029】
同一列の吸着穴110は、管路131〜135によって相互に接続され、バルブVx1〜Vx5を介して吸引装置190に接続されている。同一行の吸着穴120は、管路141〜145によって相互に接続され、バルブVy1〜Vy5を介して吸引装置190に接続されている。なお、図1では、管路131〜135、141〜145は、理解を容易にするため、破線で示す。また、ここでは、同一列の吸着穴110は、列毎に吸着穴の列(ライン)151〜155、同一行の吸着穴120は、行毎に吸着穴の行(ライン)161〜165と呼ぶ。
【0030】
制御部180は、プロセッサ等から構成され、各バルブVx1〜Vx5,Vy1〜Vy5に制御信号を供給し、個別にバルブVx1〜Vx5、Vy1〜Vy5の開閉を制御する。さらに、制御部180は、吸引装置190の吸引動作を制御する。
【0031】
制御部180には、予め、図4に示すような、基板の種別に対応したバルブ開閉制御テーブル181が記憶されている。詳細は後述するが、バルブ開閉制御テーブル181は、有効領域を避けて基板を吸引するように設定されている。
【0032】
吸引装置190は、例えば真空ポンプから構成され、開いているバルブVx1〜Vx5,Vy1〜Vy5と管路131〜135,141〜145を介して、吸着穴110,120から負圧吸引することにより基板をホットプレート101上に吸着する。
【0033】
さらに吸着穴のライン151を例に挙げて説明すると、吸着穴110は、図3に示すように、アルミ板を貫通している。管路131は、アルミ板の基板載置面と対向する面で、吸着穴のライン151の5つの吸着穴110と接続されている。管路131はバルブVx1を介して吸引装置190と接続されている。他の吸着穴のライン(列および行)152〜155,161〜165についても、吸着穴のライン151と同様の構成である。
【0034】
(基板吸着方法)
次に、本発明の第1実施形態に係る基板吸着方法について、図4〜図7を参照しながら説明する。
【0035】
図5は、本実施形態に係る制御部180の基板吸引吸着動作を示すフローチャートである。以下、図5を参照しながら、基板吸引吸着動作を説明する。
【0036】
まず、基板11が、例えばロボットアーム等により、ホットプレート101上に搬入され、規定の位置に載置される。図示せぬセンサにより、制御部180は、基板11が搬入されたことを検出し、図5のフローを開始する。
【0037】
制御部180は、載置された基板11の種別を特定する(ステップS11)。
制御部180は、図4に示すバルブ開閉制御テーブル181を参照し、ステップS11で特定された基板11の種別に応じて、開く対象のバルブVを特定する(ステップS12)。
制御部180は、バルブVに制御信号を伝送して、ステップS12で特定された開く対象のバルブVを開き、他のバルブVを閉じる(ステップS13)。
制御部180は、吸引装置190を起動して、吸引動作を開始する(ステップS14)。開いたバルブVに接続された管路131〜135,141〜145を介して、管路131〜135,141〜145に接続された吸着穴110,120から基板11が吸引され、ホットプレート101上に吸着される。また、ホットプレート101は、予めヒータによって加熱されており、基板に塗布された薬液が乾燥される。
【0038】
制御部180は、予め設定された終了条件を満たすか否か、例えば、所定の処理時間が経過したか否かを判別する。「終了条件を満たす」と判別した場合(ステップS15;Yes)、制御部180はステップS16に進む。「終了条件を満たさない」と判別した場合(ステップS15;No)、制御部180はステップS15を再度行い、「終了条件を満たす」と判別されるまで、ステップS15を繰り返し行う(ステップS15)。
制御部180は、「終了条件を満たす」と判別した場合、全バルブVを閉じ、管路131〜135,141〜145内の負圧を解放することによって基板11の吸着を解除する(ステップS16)。
吸着を解除された基板11は、例えばロボットアーム等によって搬出され、基板吸引吸着動作が終了する。
上述の工程は、新たな基板が搬入されることにより繰り返し行われる。
【0039】
次に、上述の工程を具体例に基づいて説明する。図6および図7を参照しながら、基板に2つの有効領域が面付けされる場合と4つの有効領域が面付けされる場合についてそれぞれ説明する。2つの有効領域を有する基板を、図4のバルブ開閉制御テーブル181におけるA11とし、4つの有効領域を有する基板を、図4のバルブ開閉テーブル181におけるB11とする。なお、図6および図7では、区別のため、基板の有効領域501,502をハッチングで示す。
【0040】
ここで、有効領域とは、表示装置等のデバイスが形成される領域に加えて、ゆがみ、ひずみ及びむらなどの発生が抑制されることが望ましい領域をいう。
【0041】
まず、2つの有効領域501を有する基板A11をホットプレート101上に吸着する場合について図6を参照しながら説明する。
薬液を乾燥させるため、前工程において薬液を塗布された基板A11が、ロボットアームなどにより搬入されて、ホットプレート101上の規定の位置に載置される。ホットプレート101は、予めヒータによって加熱されていることが好ましい。なお、ホットプレート101の平面上に基板A11を載置する時間および温度は、塗布された薬液に応じて適宜決定される。
【0042】
基板A11がホットプレート101上に載置されると、制御部180は、基板の種別A11を特定し(ステップS11)、バルブ開閉制御テーブル181において、A11に対応付けて記憶されている開く対象のバルブVx1,Vx3,Vx5,Vy1,Vy5を特定する(ステップS12)。制御部180は、バルブVx1〜Vx5,Vy1〜Vy5に制御信号を伝送し、特定されたバルブVx1,Vx3,Vx5,Vy1,Vy5を開き、他のバルブVx2,Vx4,Vy2,Vy3,Vy4を閉じる(ステップS13)。基板の種別は、ユーザが制御部180に対して指定してもよいし、センサ等で判別することによって特定されてもよい。
【0043】
制御部180は、吸引装置190を起動して吸引動作を開始する(ステップS14)。これにより、開いたバルブVx1,Vx3,Vx5,Vy1,Vy5に接続された管路131,133,135,141,145を介して、吸着穴のライン151,153,155,161,165の吸着穴110,120から基板A11が吸引される。
【0044】
基板A11は、図6に示すように、列方向の吸着穴のライン152,154、および行方向の吸着穴のライン162,163,164が、基板A11の有効領域501を横切るように、ホットプレート101上に配置される。一方、吸着穴のライン151,153,155、および161,165は、基板A11の非有効領域のみを通過している。従って、バルブ開閉制御テーブル181に基づいて、バルブVx1〜Vx5,Vy1〜Vy5を開閉することにより、非有効領域上に位置する吸着穴のみで基板A11を吸引することができる。
【0045】
次に、4つの有効領域502を有する基板B11をホットプレート101上に吸着する場合について図7を参照しながら説明する。
【0046】
薬液を乾燥させるため、前工程において薬液を塗布された基板B11がホットプレート101の平面上に載置される。制御部180は、基板の種別B11を特定し(ステップS11)、バルブ開閉制御テーブル181に基づいて、バルブVx1,Vx3,Vx5,Vy1,Vy3,Vy5を開き、他のバルブVx2,Vx4,Vy2,Vy4を閉じる(ステップS12,ステップS13)。
【0047】
制御部180は、吸引装置190を起動して吸引動作を開始する(ステップS14)。これにより、開いたバルブVx1,Vx3,Vx5,Vy1,Vy3,Vy5に接続された管路131,133,135,141,143,145を介して、吸着穴のライン151,153,155,161,163,165の吸着穴110,120から基板B11が吸引される。
【0048】
基板B11は、図7に示すように、列方向の吸着穴のライン152、154、および行方向の吸着穴のライン162,164が有効領域502を横切るように、ホットプレート101上に配置される。一方、吸着穴のライン151,153,155,161,163,165は、基板B11の非有効領域のみを通過する。従って、バルブ開閉制御テーブル181に基づいて、バルブVx1〜Vx5,Vy1〜Vy5を開閉することにより、非有効領域上に位置する吸着穴のみで基板B11を吸引することができる。
【0049】
このように、列および行方向に配置された吸着穴のライン(群)を多数設け、基板を吸引する吸着穴の群を適宜選択することにより、異なる面付けの基板であっても、レジスト等の薬液が塗布される有効領域を避けて基板を吸着することができる。このため、異なる面付けを有する基板であっても、ホットプレート等のステージを交換せずに、有効領域における、塗布むら等のゆがみの発生を防止することが可能となり、面付けの異なる機種に即時にかつ簡単に対応することができる。
【0050】
(第2実施形態)
第1実施形態に係る基板吸着装置および基板吸着方法においては、制御部180は基板の種別とバルブ開閉制御テーブル181とに基づいてバルブの開閉を制御する。そのため、ユーザは予めバルブ開閉制御テーブル181を制御部180に記憶させる必要がある。これに対し、本発明の第2実施形態に係る基板吸着装置および基板吸着方法では、バルブ開閉制御テーブルを必要とせず、どのような面付けの有効領域を有する基板が搬入されても、制御部によって自動的に開閉するバルブが特定される。以下に、本発明の第2実施形態に係る基板吸着装置20および基板吸着方法について、図8〜図12を参照しながら説明する。
【0051】
第2実施形態に係る基板吸着装置20を、図8〜図10に示す。なお、第1実施形態に係る基板吸着装置10と同一部分には、同一符号を付す。
第1実施形態との違いは、図8〜図10に示すように、撮像装置(検出装置)として、基板12に対向配置されたCCDカメラ270をさらに備えている点である。CCDカメラ270は移動装置271に接続されている。また、制御部180は、移動装置271とCCDカメラ270に接続され、移動装置271を制御してCCDカメラ270を基板12に対し相対的に移動させながら、CCDカメラ270に適宜、基板12のスキャン画像を撮像させる。
【0052】
制御部180には、予め、基板の載置予定位置を基準位置として、この基準位置に対する吸着穴のライン(行および列)151〜155,161〜165の位置情報が入力されている。
【0053】
本実施形態において、ホットプレート101の平面上に載置される基板12には、予め位置決めマークとしてスクライブマークMが形成されている。スクライブマークMは、例えば、電子ビームやレーザビームを照射することによって非有効領域に形成される。
【0054】
図11は、本実施形態に係る制御部180の基板吸引吸着動作を示すフローチャートである。以下、図11を参照しながら、基板吸引吸着動作を説明する。
【0055】
まず、基板12が、例えばロボットアーム等により、ホットプレート101上に搬入され、規定の位置に載置される。図示せぬセンサにより、制御部180は、基板12が搬入されたことを検出し、図11のフローを開始する。
【0056】
制御部180は、撮像装置(CCDカメラ)270によりx,y方向に基板面をスキャンする(ステップS21)。
制御部180は、ステップS21におけるスキャン画像に基づいて、基板12に形成されたスクライブマークMを抽出する(ステップS22)。
制御部180は、ステップS22で抽出されたスクライブマークMに最も近い吸着穴のライン(列および行)を特定する(ステップS23)。
制御部180は、ステップS23で特定した列および行の吸着穴に接続されたバルブVを開き、他のバルブVを閉じる(ステップS24)。
制御部180は、吸引装置190を起動して、吸引動作を開始する(ステップS25)。開いたバルブVに接続された管路131〜135,141〜145を介して、管路131〜135,141〜145に接続された吸着穴110,120から基板12が吸引され、ホットプレート101上に吸着される。また、ホットプレート101は、予めヒータによって加熱されており、基板に塗布された薬液が乾燥される。
【0057】
制御部180は、予め設定された終了条件を満たすか否か、例えば、所定の処理時間が経過したか否かを判別する。「終了条件を満たす」と判別した場合(ステップS26;Yes)、ステップS27に進む。「終了条件を満たさない」と判別した場合(ステップS26;No)、制御部180は、ステップS26を再度行い、「終了条件を満たす」と判別されるまで、ステップS26を繰り返し行う(ステップS26)。
制御部180は、「終了条件を満たす」と判別した場合、全バルブVを閉じ、管路131〜135,141〜145内の負圧を解放することによって基板12の吸着を解除する(ステップS27)。
吸着を解除された基板12は、例えばロボットアーム等によって搬出され、基板吸引吸着動作が終了する。
上述の工程は、新たな基板が搬入されることにより繰り返し行われる。
【0058】
次に、上述の工程を具体例に基づいて説明する。4つの有効領域503を有する基板C12をホットプレート101上に吸着する場合について、図10〜図12を参照しながら説明する。なお、図10および図12では、区別のため、基板の有効領域503をハッチングで示す。
【0059】
薬液を乾燥させるため、前工程において薬液を塗布された基板C12が、ロボットアームなどにより搬入されて、ホットプレート101上の規定の位置に載置される。ホットプレート101は、予めヒータによって加熱されていることが好ましい。なお、ホットプレート101の平面上に基板C12を載置する時間および温度は、塗布された薬液に応じて適宜決定される。
【0060】
基板C12がホットプレート101上に載置されると、制御部180は、CCDカメラ270を、図10に矢印で示すように、基板C12のx、y方向に順次移動させて、CCDカメラ270によって画像を取得する(ステップS21)。このようにして、制御部180は基板面をスキャンして、スクライブマークMを抽出する(ステップS22)。次に、制御部180は、スクライブマークMの位置情報と予め入力された吸着穴のライン151〜155,161〜165の位置情報とを比較して、各スクライブマークMに最も近い吸着穴のライン(行および列)を特定する(ステップS23)。図12に示す例では、スクライブマークM11と最も近い吸着穴のラインとして、吸着穴のライン151,161が特定される。同様に、スクライブマークM21に対しては吸着穴のライン153,161、スクライブマークM31に対しては吸着穴のライン155,161、スクライブマークM32に対しては吸着穴のライン155,163、スクライブマークM33に対しては吸着穴のライン155,165が特定される。この場合、制御部180は、これらの吸着穴のライン151,153,155,161,163,165それぞれに接続されたバルブVx1,Vx3,Vx5,Vy1,Vy3,Vy5を開き、他のバルブVx2,Vx4,Vy2,Vy4を閉じる(ステップS24)。これにより、有効領域503を避けて基板C12を吸引することができる。
【0061】
このような構成によれば、基板の面付けが変わった場合に、基板の面付けに合わせて、ユーザがバルブ開閉制御テーブルを設定し直さなくても、基板をホットプレート上に載置するだけで、基板の非有効領域のみを通過する吸着穴ラインに対応するバルブを特定し、開くことができる。これにより、異なる面付けの基板毎に、ユーザがバルブ開閉制御テーブルを設定することなく、自動的に有効領域を避けて基板を吸引し、ホットプレート上に吸着することが可能となる。
【0062】
(第3実施形態)
本発明に係る基板吸着装置および基板吸着方法は、例えば、ボトムエミッション型の有機EL表示装置の製造に適用することができる。有機EL表示装置は、大型のマザー基板に形成された複数の有機EL表示装置をそれぞれ切り出すことによって製造される。以下、有機EL表示装置および有機EL表示装置の製造方法について、図13〜図16を参照しながら説明する。
【0063】
(有機EL表示装置)
有機EL表示装置600は、図13に示されるように、ガラス基板610aと、画素電極(陽極)620と、バンク630と、有機EL発光層640と、正孔注入層690と、層間絶縁膜650と、上部電極(陰極)660と、封止ガラス670と、を有する。
【0064】
ガラス基板610aの上には、ゲート層710が設けられる。さらに、ガラス基板610aの上には、ゲート層710を覆って、絶縁層720も設けられる。絶縁層720の上には画素電極620(陽極)が設けられる。画素電極620は、例えばドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化インジウム(In2O3)等の透明導電材料から形成される。
【0065】
絶縁層720の上には半導体膜760が設けられる。半導体膜760の上には、ソース・ドレイン740が絶縁膜730を挟んで設けられる。ソース・ドレイン740の上には、ドレイン・ライン750が設けられる。ソース・ドレイン740の上に層間絶縁膜650が設けられる。層間絶縁膜650は、隣り合う画素電極620どうしを電気的に絶縁する。
【0066】
層間絶縁膜650の上には隔壁として機能するバンク630が設けられている。層間絶縁膜650とバンク630とで囲まれた開口内の画素電極620の上に、正孔注入層690、有機EL発光層640、上部電極660(陰極)がこの順に積層されている。
【0067】
上部電極660は、電子注入をしやすくするため、例えば、AlLi、FLi、MgIn、Li、Na、Mg、Ca等の金属を単体であるいは合金で用いることができる。
【0068】
上部電極660の上には、パッシベーション膜700が設けられる。パッシベーション膜700の上に接着層680が設けられる。そして、接着層680の上に封止ガラス670が設けられている。
【0069】
(有機EL表示装置の製造方法)
次に、有機EL表示装置600の製造方法について説明する。なお、本実施形態においては、4つの有機EL表示装置が形成されるマザー基板(ガラス基板)610を、第1実施形態に係る基板吸着装置10および基板吸着方法により吸着する場合を例に挙げて説明する。
【0070】
まず、図14(a)に示すように、ガラス基板610の上にゲート層710を設ける。
次に、図14(b)に示すように、ガラス基板610の上に、ゲート層710を覆うように絶縁層720を設け、絶縁層720の上に半導体層761を設け、半導体層761の上には絶縁膜層731を設けることで、3層デポジションを行う。
【0071】
次に、図14(c)に示すように、絶縁膜層731をエッチング処理して、絶縁膜730を形成する。
次に、図14(d)に示すように、半導体層761をエッチング処理して、半導体膜760を形成する。そして、半導体膜760の上にソース・ドレイン740を設ける。
【0072】
次に、絶縁層720の上に、均一的な厚さでスパッタや蒸着等によりITO成膜を形成する。そして、そのITO成膜に、レジストとしてフェノールノボラック樹脂等を使用して、フォトリソグラフィ処理により、図14(e)に示すように、ガラス基板610の上に所定の間隔でストライプ形状に画素電極620を形成する。画素電極620の厚さは30nm〜100nmである。なお、ウエットエッチング処理若しくはドライエッチング処理等を施すことにより画素電極620を形成することも可能である。
【0073】
次に、図15(a)に示すように、ソース・ドレイン740の上に、ドレインライン750を設ける。
【0074】
次に、図15(b)に示すように、ソース・ドレイン740の上に、例えばポリイミド溶液を0.8μmの厚さで均一的にスピンコート法により塗布し、ポリイミドの膜650aを形成する。塗布したポリイミド溶液を乾燥させるため、塗布面を上にしてガラス基板610を基板吸着装置10のホットプレート101上に載置する。基板吸着装置10によりガラス基板610を吸引し、ホットプレート101上に吸着しながら、加熱して溶媒を蒸発させる。なお、基板吸着装置10および基板吸着方法は、第1実施形態に記載の基板吸着装置10および基板吸着方法と同様である。
【0075】
そして設けたポリイミドの膜650aをフォトリソグラフィ処理により、図15(c)に示すように、画素電極620が位置する部分を除去するようにしてパターニングした後にキュアする。このようにして、層間絶縁膜650を形成する。層間絶縁膜650は、画素電極620の間の領域に設けられており、画素電極620の周縁部を覆うことにより、隣接する画素電極620同士の短絡を防止する。層間絶縁膜650は、複数の開口を有する編み目状で、厚さが650nm〜300nmの膜から構成されている。層間絶縁膜650は、例えば窒化珪素または酸化珪素等の硅素化合物から形成される。
【0076】
次に、図15(d)に示すように、バンク630を層間絶縁膜650の上に形成する。バンク630の形成は、例えばポリスチレン等のネガ型の感光性樹脂にフォトマスクを介して光を照射することで形成される。
【0077】
そして、酸素プラズマ処理若しくはUVオゾン処理により画素電極620の親液化を行う。この酸素プラズマ処理若しくはUVオゾン処理をすることで、画素電極620に塗布を行う正孔注入層形成用塗布液が画素電極620全体に広がり、均一な膜厚を形成することができる。
【0078】
次に、正孔注入層形成用塗布液をノズルプリント法にてバンク630で囲まれた画素電極620の上に塗布する。塗布後、正孔注入層形成用塗布液を乾燥させるため、塗布面を上にしてガラス基板610を基板吸着装置10のホットプレート101上に載置する。基板吸着装置10により、載置されたガラス基板610を吸引し、ホットプレート101上に吸着させながら、100℃以上の温度条件で乾燥を行う。これにより図16(a)に示すように、正孔注入層690が形成される。なお、基板吸着装置10および基板吸着方法は、第1実施形態に記載の基板吸着装置10および基板吸着方法と同様である。
【0079】
次に、形成された正孔注入層690の上に、上述した実施形態に係る有機EL発光層形成用塗布液が塗布される。塗布は、ノズルコータから連続的に塗布される。塗布は、窒素ガス雰囲気中で行うことが望ましい。有機EL発光材料は酸素や水蒸気等に接触すると特性変化を生じることがありうる。そのため、窒素ガス雰囲気中で塗布することで、有機EL発光材料の特性変化を起こりにくくすることが可能となる。
【0080】
有機EL発光層形成用塗布液の粘度は4mPa・sである。有機EL発光層形成用塗布液の粘度は1〜20mPa・sであり、好ましくは2〜8mPa・sである。粘度が1mPa・sより少ないと、吐出量の制御が困難になるばかりでなく、固型分濃度が過少となることで十分な膜厚を形成できないおそれがある。一方、有機EL発光層形成用塗布液の粘度が20mPa・sより大きいと、ノズルコータから円滑に吐出させることができないおそれがあり、ノズルコータを大きくする等の装置の仕様を変更する必要が生じうる。
【0081】
有機EL発光層形成用塗布液が塗布された後、ガラス基板610を基板吸着装置10のホットプレート101上に載置する。載置されたガラス基板610を基板吸着装置10により吸引し、ホットプレート101上に吸着しながら、窒素雰囲気中で加熱により有機EL発光層形成用塗布液を乾燥させる。なお、基板吸着装置10および基板吸着方法は、第1実施形態に記載の基板吸着装置10および基板吸着方法と同様である。これにより、図16(b)に示すように、有機EL発光層640が形成される。なお、有機EL発光層形成用塗布液は、真空中でのシーズヒータによって乾燥させてもよい。
【0082】
次に、図16(c)に示すように、有機EL発光層640の上に、膜厚が例えば100nmの上部電極660が設けられる。上部電極660は、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等を用いて形成することができる。
【0083】
次に、図16(d)に示すように、上部電極660の上に絶縁層720が設けられる。そして、絶縁層720の上に接着層680を設け、さらに接着層680の上に封止ガラス670を形成する。具体的には、封止ガラス670の一方の面にディスペンサを用いてエポキシ系紫外線硬化樹脂からなる接着剤を塗布する。そして封止ガラス670の接着剤が塗布された面と接着層680が配置された面とを位置あわせして貼り合わせて、紫外線を照射させて接着剤を硬化させる。これにより封止ガラス670と接着層680が配置された面とが固定される。さらに、封止ガラス670で封止されたガラス基板610から有機EL表示装置をそれぞれ切り出すことによって、図13に示すような有機EL表示装置600が形成される。
【0084】
なお、上記ポリイミド溶液、正孔注入層形成用塗布液、有機EL発光層形成用塗布液それぞれを乾燥する工程において、本発明の第2実施形態に係る基板吸着装置および方法を適用してもよい。
【0085】
上記ポリイミド溶液、正孔注入層形成用塗布液、有機EL発光層形成用塗布液それぞれを乾燥する工程において、本発明に係る基板吸着装置および基板吸着方法を適用することにより、表示領域において、吸着によって発生しうる塗布むらを抑制することが可能となる。これにより、均一性を備える層間絶縁膜、正孔注入層、有機EL発光層を形成することができる。
【0086】
以上のように本発明に係る基板吸着装置および基板吸着方法を用いて製造された有機EL表示装置は、各種電子機器の表示パネルとして用いられる。例えば、図17(a)に示すデジタルカメラ810の表示パネル811や、図17(b)に示すパーソナルコンピュータ820の表示パネル821や、図17(c)に示す携帯電話機830の表示パネル831に、この有機EL表示装置を適用することができる。
【0087】
上記第3実施形態においては、ポリイミド溶液、正孔注入層形成用塗布液、有機EL発光層形成用塗布液それぞれを乾燥する工程において、本発明に係る基板吸着方法および基板吸着装置が適用される場合について説明したが、本発明に係る基板吸着方法および基板吸着装置は、例えば、フォトリソグラフィを行う際のフォトレジスト塗布工程に適用されてもよい。
【0088】
また上記第3実施形態においては、有機EL表示装置に用いられるマザー基板を例に説明したが、本発明に係る基板吸着装置および基板吸着方法は、例えば、有機トランジスタ、液晶ディスプレイ、その他各種電子デバイス用のマザー基板に適用することができる。
【0089】
また、上記第1〜第3実施形態においては、吸着穴がマトリクス状に5×5個並んだ場合について説明したが、より多くの吸着穴を設けることで、より多くの異なる面付けを有する基板に適用することができる。
【0090】
また、上記第1〜第3実施形態においては、吸着穴の列および行毎に吸着穴の群を構成する場合について説明したが、吸着穴の群は、一つの吸着穴から構成されてもよいし、あるいは吸着穴の群毎に含まれる吸着穴の数が異なっていてもよい。これにより、一つの基板上に複数の異なる寸法の有効領域が面付けされている場合でも、有効領域を避けて基板を吸引し、ステージ上に吸着することができる。
【0091】
上記第1〜第3実施形態における吸着穴および管路は、負圧吸引が可能なものであればよく、適宜公知のものによって構成できる。
【0092】
また、上記第1〜第3実施形態におけるバルブは、弁の開閉動作・開度の調整等を行うことができればよく、電磁弁、空気式開閉弁、および電気式開閉弁などから適宜選択することができる。
【0093】
また、上記第1〜第3実施形態における加熱処理のためのホットプレートを構成する各要素は、適宜、公知のものによって構成することができる。
【0094】
また、上記第1〜第3実施形態においては、基板を吸着するステージが、ヒータを備えるホットプレートである場合について説明したが、本発明に係る基板吸着装置および基板吸着方法は、加熱手段を備えないステージ上に基板を吸着させる場合にも適用することができる。
【0095】
また、上記第2実施形態においては、撮像装置がCCDカメラである場合について説明したが、CMOSカメラであってもよい。
【0096】
以上、本発明に係る基板吸着装置および基板吸着方法の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明したが、本発明の技術的範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0097】
10,20…基板吸着装置、101…ステージ(ホットプレート)、110,120…吸着穴、131〜135,141〜145…管路、151〜155,161〜165…吸着穴の群(ライン)、270…撮像装置(CCDカメラ)、271…移動装置、180…制御部、181…バルブ開閉制御テーブル、190…吸引装置、11,A11,B11,12,C12…基板、501,502,503…有効領域、M,M11,M21,M31,M32,M33…位置決めマーク(スクライブマーク)、600…有機EL表示装置、610…マザー基板(ガラス基板)、610a…ガラス基板、620…画素電極(陽極)、630…バンク、640…有機EL発光層、650…層間絶縁膜、660…上部電極(陰極)、670…封止ガラス、680…接着層、690…正孔注入層、700…パッシベーション膜、710…ゲート層、720…絶縁層、730…絶縁膜、740…ソース・ドレイン、750…ドレイン・ライン、760…半導体膜、810…デジタルカメラ、820…パーソナルコンピュータ、830…携帯電話機、811,821,831…表示パネル、V,Vx1〜Vx5,Vy1〜Vy5…バルブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージに設けられた吸着穴から、有効領域を有する基板を吸引し、前記ステージに前記基板を吸着する方法であって、
少なくとも一つの前記吸着穴を含む吸着穴群が複数形成された前記ステージの前記吸着穴群毎に、前記吸着穴からの吸引動作を互いに独立して制御することにより、前記有効領域を避けて前記吸着穴から前記基板を吸引し、前記ステージに前記基板を吸着する吸引工程を備える、ことを特徴とする基板吸着方法。
【請求項2】
前記吸着穴は、前記ステージにマトリクス状に配置され、前記マトリクス状に配置された吸着穴の行および列毎に前記吸着穴群を形成している、
ことを特徴とする請求項1に記載の基板吸着方法。
【請求項3】
前記基板は、予め形成された位置決めマークを有し、
前記ステージに載置された基板の位置決めマークを検出する工程をさらに備え、
前記吸引工程では、前記位置決めマークの位置と、予め設定された前記吸着穴群の位置と、の比較に基づいて、前記基板を吸引する前記吸着穴群を特定し、前記特定された吸着穴群の前記吸着穴から前記基板を吸引する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の基板吸着方法。
【請求項4】
前記吸引工程では、前記位置決めマークの位置と最も近い前記吸着穴群を特定し、前記特定された吸着穴群の前記吸着穴から前記基板を吸引し、他の前記吸着穴群の前記吸着穴からは前記基板を吸引しない、
ことを特徴とする請求項3に記載の基板吸着方法。
【請求項5】
前記基板を吸引するための吸引手段と前記吸着穴とを前記吸着穴群毎に接続する管路に、独立して開閉可能なバルブが配置されており、
前記吸引工程では、前記バルブの開閉を個別に制御することにより、前記吸引穴群毎に、前記吸着穴からの吸引動作を互いに独立して制御する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板吸着方法。
【請求項6】
前記ステージの平面と前記基板との接触面で、前記基板を加熱する工程をさらに備える、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板吸着方法。
【請求項7】
前記基板は、複数の有機EL表示装置が形成されるマザー基板である、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の基板吸着方法。
【請求項8】
有効領域を有する基板を吸着する装置であって、
少なくとも一つの吸着穴を含む吸着穴群が複数形成されたステージと、
前記基板の有効領域を避けて前記基板を吸引するように、前記吸着穴群毎に前記吸着穴からの吸引動作を互いに独立して制御する制御手段と、
を備える、ことを特徴とする基板吸着装置。
【請求項9】
前記吸着穴が、前記ステージにマトリクス状に配置され、
前記マトリクス状に配置された吸着穴の行および列毎に前記吸着穴群を形成している、ことを特徴とする請求項8に記載の基板吸着装置。
【請求項10】
前記基板は、予め形成された位置決めマークを有し、
前記ステージに載置された基板の前記位置決めマークを検出する検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記検出手段によって検出された前記位置決めマークの位置と、予め設定された前記吸着穴群の位置と、の比較に基づいて、前記有効領域を避けて前記基板を吸引するように、前記基板を吸引する前記吸着穴群を特定し、前記特定された吸着穴群の前記吸着穴から前記基板を吸引する、
ことを特徴とする請求項8または9に記載の基板吸着装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記位置決めマークの位置と最も近い前記吸着穴群の前記吸着穴から前記基板を吸引し、他の前記吸着穴群の前記吸着穴からは吸引しない、
ことを特徴とする請求項10に記載の基板吸着装置。
【請求項12】
前記吸着穴と前記吸着穴から前記基板を吸引するための吸引手段とを前記吸着穴群毎に接続する管路と、前記管路に設置され、独立して開閉可能なバルブと、を備え、
前記制御手段は、前記バルブの開閉を個別に制御することにより、前記吸着穴群毎に前記吸着穴からの吸引動作を互いに独立して制御する、ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の基板吸着装置。
【請求項13】
前記ステージは、前記ステージと前記基板との接触面を加熱するヒータを備える、ことを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の基板吸着装置。
【請求項14】
前記基板は、複数の有機EL表示装置が形成されるマザー基板である、ことを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載の基板吸着装置。
【請求項1】
ステージに設けられた吸着穴から、有効領域を有する基板を吸引し、前記ステージに前記基板を吸着する方法であって、
少なくとも一つの前記吸着穴を含む吸着穴群が複数形成された前記ステージの前記吸着穴群毎に、前記吸着穴からの吸引動作を互いに独立して制御することにより、前記有効領域を避けて前記吸着穴から前記基板を吸引し、前記ステージに前記基板を吸着する吸引工程を備える、ことを特徴とする基板吸着方法。
【請求項2】
前記吸着穴は、前記ステージにマトリクス状に配置され、前記マトリクス状に配置された吸着穴の行および列毎に前記吸着穴群を形成している、
ことを特徴とする請求項1に記載の基板吸着方法。
【請求項3】
前記基板は、予め形成された位置決めマークを有し、
前記ステージに載置された基板の位置決めマークを検出する工程をさらに備え、
前記吸引工程では、前記位置決めマークの位置と、予め設定された前記吸着穴群の位置と、の比較に基づいて、前記基板を吸引する前記吸着穴群を特定し、前記特定された吸着穴群の前記吸着穴から前記基板を吸引する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の基板吸着方法。
【請求項4】
前記吸引工程では、前記位置決めマークの位置と最も近い前記吸着穴群を特定し、前記特定された吸着穴群の前記吸着穴から前記基板を吸引し、他の前記吸着穴群の前記吸着穴からは前記基板を吸引しない、
ことを特徴とする請求項3に記載の基板吸着方法。
【請求項5】
前記基板を吸引するための吸引手段と前記吸着穴とを前記吸着穴群毎に接続する管路に、独立して開閉可能なバルブが配置されており、
前記吸引工程では、前記バルブの開閉を個別に制御することにより、前記吸引穴群毎に、前記吸着穴からの吸引動作を互いに独立して制御する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板吸着方法。
【請求項6】
前記ステージの平面と前記基板との接触面で、前記基板を加熱する工程をさらに備える、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板吸着方法。
【請求項7】
前記基板は、複数の有機EL表示装置が形成されるマザー基板である、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の基板吸着方法。
【請求項8】
有効領域を有する基板を吸着する装置であって、
少なくとも一つの吸着穴を含む吸着穴群が複数形成されたステージと、
前記基板の有効領域を避けて前記基板を吸引するように、前記吸着穴群毎に前記吸着穴からの吸引動作を互いに独立して制御する制御手段と、
を備える、ことを特徴とする基板吸着装置。
【請求項9】
前記吸着穴が、前記ステージにマトリクス状に配置され、
前記マトリクス状に配置された吸着穴の行および列毎に前記吸着穴群を形成している、ことを特徴とする請求項8に記載の基板吸着装置。
【請求項10】
前記基板は、予め形成された位置決めマークを有し、
前記ステージに載置された基板の前記位置決めマークを検出する検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記検出手段によって検出された前記位置決めマークの位置と、予め設定された前記吸着穴群の位置と、の比較に基づいて、前記有効領域を避けて前記基板を吸引するように、前記基板を吸引する前記吸着穴群を特定し、前記特定された吸着穴群の前記吸着穴から前記基板を吸引する、
ことを特徴とする請求項8または9に記載の基板吸着装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記位置決めマークの位置と最も近い前記吸着穴群の前記吸着穴から前記基板を吸引し、他の前記吸着穴群の前記吸着穴からは吸引しない、
ことを特徴とする請求項10に記載の基板吸着装置。
【請求項12】
前記吸着穴と前記吸着穴から前記基板を吸引するための吸引手段とを前記吸着穴群毎に接続する管路と、前記管路に設置され、独立して開閉可能なバルブと、を備え、
前記制御手段は、前記バルブの開閉を個別に制御することにより、前記吸着穴群毎に前記吸着穴からの吸引動作を互いに独立して制御する、ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の基板吸着装置。
【請求項13】
前記ステージは、前記ステージと前記基板との接触面を加熱するヒータを備える、ことを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の基板吸着装置。
【請求項14】
前記基板は、複数の有機EL表示装置が形成されるマザー基板である、ことを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載の基板吸着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−176241(P2011−176241A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41041(P2010−41041)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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