説明

基板搬送システム及び方法

【課題】搬送時間、真空ポンピング時間及び処理時間を同期させるのに時間がかかり、システム全体のスループットを低下させる。
【解決手段】真空環境への基板の搬入は、清浄な排気環境の発展につれて同時に移送する基板の数を徐々に減少さることによって達成される。カセットは清浄な大気環境内に維持され、真空環境内に浸入させない。次第に高いレベルの真空環境を導入するようにいくつかの真空ロックを直線的にスタガ配置する。この配置を経て搬送される基板の数は各カセットに存在する基板の数の一部分とする。スタガ配置の真空ロックは一連の処理チャンバにつながり、これらのチャンバ内を更に少数の基板、例えば1つ又は2つの基板が搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2008年6月30日及び2009年7月29日にそれぞれ出願された米国仮出願第61/077,067号及び第61/084,600号に関連し、その優先権の恩恵を主張するものであり、参考としてここに付記する。
【0002】
本発明は、真空処理環境内での処理のための基板の搬送技術に関する。
【背景技術】
【0003】
真空処理システムが、半導体ウェハ、ガラス、ステンレススチール等の材料からなる基板から、ハードドライブディスク、半導体コンピュータチップ、太陽電池パネル等を作るために使用されている。一般に、真空処理システムは、基板を変更する種々のプロセス、例えば堆積、洗浄、エッチング、加熱/冷却等を実行するいくつかの基板チャンバを含む。基板は清浄な大気環境内では一般にいくつかの基板を保持するカセットに入れて処理システムへ搬送され、次に基板はカセットから1つづつロードロックを経てシステムの真空環境内に搬送される。
【0004】
図1は、所定数の基板166を含むカセット162を搬送するトラック164を含む従来のシステムを示す。トラック164は清浄な大気環境内に維持され、真空に維持されたローディングチャンバ170に至る。カセット162がローディングチャンバ170の真空環境に入ると、ナイフブレード168がカセット162から基板166を1つづつ取り出し、ローディングモジュールに移送し、このローディングモジュールは各基板をシングル基板キャリア156にロードする。別の実施例では、このキャリアはダブル基板キャリアであり、この場合にはローディングモジュールは一度に2つの基板をロードする。その後、キャリア156及び基板166は昇降機160に移送され、2階へ上昇され、複数の処理チャンバ140の横断が開始される。各処理チャンバは真空環境内で動作し、処理中他の処理チャンバから分離される。キャリア156の動きは矢印で示されている。処理が終了すると、基板166はキャリア156から除去され、ナイフブレード168によりカセット162に収容される。この際カセット162はローディングチャンバ170の反対側からの第2のトラック上に存在する。このようなシステムの一例は特許文献1に開示され、例えばハードディスクドライブ用ハードディスクの製造用に、登録商標200 Leanとして市販されている。
【0005】
ディスク製造用の別のシステムは、カセットを真空環境内に搬入する。このようなシステムにおいては、フロントエンドモジュールが真空に維持され、ロードロックによって例えば25枚の基板を保持するカセットを真空環境内に搬送することができる。二次真空チャンバを設け、このチャンバ内に25枚の基板を支持するバッファステーションを2つのロボット間に配置することができる。第1のロボットがカセットから25枚の基板をバッファステーションに移送し、第2のロボットが基板をキャリアに移送する。キャリアはシングル又はダブル基板キャリアとすることができる。明らかなように、カセットを真空環境内へ搬入するにはかなり大きなゲートバルブと、大きなポンプ又は長いポンピング期間が必要とされ、システムが低速になる。また、カセットがトラック上を移動するため、粒子が生成され、カセットが真空チャンバに侵入する際にこれらの粒子が真空環境内に持ち込まれる可能性がある。また、カセットは大気環境内を移動するため、カセット及び基板は多量の水蒸気を吸収し、真空環境内に持ち込む傾向があり、排気する必要がある。これは、特にプラスチック材料からなるカセットに対して真である。更に、2つのロボット及びバッファステーションを覆う二次チャンバはかなり大きく構成しなければならず、真空環境を維持するために長いポンピング時間を必要とする。このようなシステムの一例は特許文献2に示されている。
【0006】
図2は、フロントエンドシステム260が複数の基板266を含むカセット262を支持する手段を有する従来のシステムを示す。フロントエンド260はその内部を清浄な大気環境に維持する。ロボットアーム268がカセット262から基板266を1つづつ取り出し、ロードロック270内に移送する。メインフレームシステム272はその内部を真空環境に維持し、その内部に真空環境内で動作する移送ロボットアーム274を含む。ロボットアーム274はロードロック270から基板266を1つづつ取り出し、各基板266を処理チャンバ276a〜276eのうちの一つに移送する。特に、最初にメインフレーム272を経由することなく基板266を一つの処理チャンバから別の処理チャンバへ移送することはできず、これによりこのようなアーキテクチャでは処理スループットが大幅に低下する。処理が終了したら、基板166は処理チャンバからアーム274によって取り出され、ロードロック270に戻され、ロボットアーム268によって取り出されカセット262に収容される。このようなアーキテクチャのいくつかの例が特許文献3に開示され、この特許文献は2つのウェハをタンデムに支持するシステムも開示している。
【0007】
これらの従来のシステムは、搬送時間、真空ポンピング時間及び処理時間を同期させる問題がある。即ち、基板が大気状態から真空状態内へ転送されるとき、ロードロック又は移送チャンバは、基板の移送中にチャンバに入力する空気を排気するために、真空ポンプと一緒に使用される。しかし、基板の移送及びチャンバの真空環境へのポンピングはかなりの時間を要するため、システム全体のスループットが低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,919,001号明細書
【特許文献2】米国特許第6,319,373号明細書
【特許文献3】米国特許第5,844,195号明細書
【発明の概要】
【0009】
以下に記載する本発明の概要は、本発明のいくつかの態様及び特徴の基本的な理解を提供するために記載されている。この概要は本発明の広範な概説ではなく、特に本発明の主要な又は重要な要素を特定するものでなく、また本発明の範囲を限定するものではない。その唯一の目的は、本発明のいくつかの概念を後に提示される詳細な説明の前置きとして簡略化された形で提示することにある。
【0010】
本発明の目的は従来技術に存在する問題を解決することにある。本発明の態様によれば、真空環境への基板の搬入は、清浄な排気環境の進展につれて同時に移送する基板の数を徐々に減少さることによって達成される。本発明の一実施例では、カセットは清浄な大気環境内に維持され、真空環境内に浸入させない。次第に高いレベルの真空環境を導入するようにいくつかの真空ロックを直線的にスタガ配置する。この配置を経て搬送される基板の数は各カセットに存在する基板の数の一部分とする。スタガ配置の真空ロックは一連の処理チャンバにつながり、これらのチャンバ内を更に少数の基板、例えば1〜2枚の基板が搬送される。
【0011】
本発明の一つの態様によれば、大気環境内において複数の基板を搬送するために慣例のカセットを用いる。大気環境内のカセットから基板の一部分(サブセット)、例えば5〜6枚の基板、を真空環境内に搬入するためにマルチ基板キャリアを用いる。次に1〜2枚の基板を処理チャンバ間で搬送するためにシングル又はデュアル基板キャリアを用いる。逆のプロセスを行い、即ちマルチ基板キャリアを用いて基板の一部分(サブセット)を真空環境から大気環境に搬送し、次に数個のサブセットを1つのカセットに一緒に収容する。大気環境から真空環境へ減少数の基板を一度に搬送するためにマルチ基板キャリアを用いることによって、比較的小さな真空ロックチャンバを構成することが可能になり、排気すべきスペースがかなり小さくなるために真空ロックのベント及びポンプをかなり低速にすることができる。加えて、比較的低速動作のロードロックバルブの使用が可能になり、これは粒子を減少し、故障の間隔及びサービスの間隔を増大することができる。更に、マルチ基板キャリアは大気環境内に比較的短時間存在するだけであるから、蒸気を吸収する時間がわずかであるため、ロードロックシステムに入る蒸気の量が極めてわずかになり、容易に排気することができる。
【0012】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は本発明の実施例を例示し、明細書の記載と一緒に、本発明の原理を説明し図解する働きをする。図面は模範的実施例の主要な特徴を図式的に示している。図面は実際の実施例の全ての特徴を描くことも、また描かれた要素の相対的寸法も示すことも意図されておらず、一定の寸法比で描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来技術によるシステムを示す。
【図2】従来技術による別のシステムを示す。
【図3】本発明の一実施例による処理システムを示す簡略図である。
【図4】本発明の一実施例によるフロントエンドモジュール及びバッファモジュールの上面図である。
【図5】ローディングステーションの一実施例を示す。
【図6】ローディングステーションの別の実施例を示す。
【図7】本発明の一実施例によるマルチ基板キャリアを示す。
【図8】本発明の一実施例によるローディングプロセスのフローチャートである。
【図9】2つの基板を同時に処理する図3のシステムに使用できる処理キャリアを示す。
【図10】本発明の一実施例によるシステムの別の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
基板処理システムの真空環境内に基板を挿入する本発明の実施例の詳細な説明を以下に記載する。図3は、本発明の一実施例による処理システムを示す簡略図である。図3のシステムは、上下2列に積み重ねて直線的に配列された複数の処理チャンバ340を含む。積み重ねられた処理チャンバの後端に、キャリア昇降機380が配置される。積み重ねられたチャンバの前端に、フロントエンドモジュール360及び基板ローディングモジュール370が配置される。フロントエンドモジュール360はトラック364を有し、基板366をシステムに供給するためにこのトラック上をカセット362が大気環境内で搬送される。しかし、図1の従来のシステムと異なり、この実施例はバッファモジュール390を更に含む。バッファモジュール390は一連の真空ロック(ここでは2つの真空ロック392及び394みが示されている)を含むが、真空ロックの数は必要に応じて変えることができる。マルチ基板キャリア396が真空ロック内、真空ロック間及びフロントエンドユニット360の大気環境内で基板を搬送する。
【0015】
動作状態において、カセット362の各々が複数の基板366、例えば1カセット当たり25枚の基板をフロントエンドユニット360へ/から搬入/搬出する。各サイクルにおいて、ロボットアーム368がカセット362から基板366のサブセット(一部分)をマルチ基板キャリア396の一つに移送する。例えば、マルチ基板キャリアの各々は4、5又は6枚の基板を搬送しうるのみである。次にマルチ基板キャリア396は、基板を真空環境内に挿入するために、基板のサブセットを真空ロック392,394を経て搬送する。この実施例では、連続する真空ロッ392,394の各々は高い真空環境を導入するため、基板は大気環境から高い真空環境へ徐々に段階的に移動する。真空ロック392,394はマイスナートラップのような蒸気除去システムを含むことができる。
【0016】
次に、キャリア396は基板ローディングステーション370に移動し、ここで各基板がシングル基板キャリアに個別にロードされる。次に、このキャリアは処理のために基板を上列の処理チャンバ340内を搬送し、昇降機380を経て下列に移動し、次に下列の処理チャンバ340を通過する。次にこのキャリアは基板ローディングモジュール370に戻り、ここで基板がこのキャリアから取り出され、いくつかの他の基板と一緒にマルチ基板キャリア396に収容される。次に、マルチ基板キャリア396は、基板を真空環境から取り出しフロントエンドユニット360の大気環境内に戻すために、別の一連の真空ロックを通して移送される。
【0017】
図4は、本発明の一実施例によるフロントエンドモジュール及びバッファモジュールの上面図である。カセット462A−Cは清浄な大気環境内においてコンベヤ464上を移動する。ローディングアーム468Aが接近するカセット462A内の基板のサブセット(一部分)を取り出す。例えば、接近するカセット462Aは25枚の基板を保持しうるが、ローディングアーム468Aは25枚の基板のサブセット(一部分)、例えばたった3枚,4枚,5枚など、を取り出す。ターンテーブル498上に位置する空のマルチ基板キャリア496Aはローディングアーム468Aから基板のサブセットを受け取る。次に、ロードされたマルチ基板搬送キャリア496Aはゲート452Aを通過して第1の真空ロック492Aに入る。この実施例では、段階的な真空ロックシステムを形成するために3つのローディング真空ロック492A−Cを使用している。真空ロック492A−Cの各々又はいずれかはマイスナートラップのような蒸気除去システムを含むことができる。また、この実施例では真空ロック492A−Cの各々はマルチ基板キャリア496を搬送するためにリニアモータを含むことができる。また、真空ロックを環境から及び互いから分離するためにゲートバルブ452A−Dが設けられる。
【0018】
マリと基板キャリア496Aは真空ロック492Cから出たら、ローディングステーション470に入る。ローディングステーション470において、マルチ基板キャリア496Aから基板が除去され、マルチ基板キャリア496Aと同じ容量を有するウェイティングステーション472にロードされる。このとき、キャリア496Aは処理済み基板がウェイティングステーション473に置かれているアンロードステーション471に移動する。次に、ウェイティングステーション473からの処理済基板が空のキャリア496Aにロードされ、このときキャリアは処理済基板を大気環境内に徐々に段階的に導出するためにアンローディング真空ロック494A−Cの横断を開始する。次にキャリアは真空ロック494Aからターンテーブル498上に出る。このキャリアは図4に496Bとして示されている。次にアンローディングアーム468Bが一群のウェハを一度にカセット462Cに移す。次にターンテーブル498が回転して今空になったキャリア496Bをローディング位置(496A)に位置させてカセット462Aから新しい基板を受け取る。
【0019】
その間、ウェイティングステーション472からの基板がローディングステーション470において1つづつシングル基板プロセスキャリアにロードされる。図4にはシングル基板プロセスキャリアが示されているが、ダブル基板キャリアを使用することもできる点に注意されたい。しかし、プロセスキャリアにロードし得る基板の数は搬送キャリアにロードし得る基板の数より少ない。各プロセスキャリアはその基板を全ての処理ステーションを経て搬送し、アンロードステーション471へ退出し、ここで基板は処理キャリアからアンロードされ、マルチ基板ウェイティングステーション473に置かれる。
【0020】
図5は、図4のローディングステーション470のようなローディングステーションの一実施例を示す。ターンテーブル599上に置かれた、4つの基板566を保持するマルチ基板搬送キャリア552が示されている。昇降機502が下方へ移動してキャリア522から基板566を取り出し、上方に移動してこれらの基板をプリロード機構512に供給する(ここでは説明のために3つの基板を保持しているところが示めされているが、昇降機502が基板をプリロード512に供給するとき、プリロード512は空である)。プリロード機構512は基板を1つづつローディングチャンバ522内に位置するシングル基板処理キャリア596に移送する。処理システムは、プリロード機構512がシングル基板キャリア596から処理済基板を除去することを除いて、図5に示すローディングステーションと同一に構成され動作するミラー配置のアンロードステーションを含むことができる。プリロード機構512が十分な数の基板を収集したとき、昇降機502はこれらの基板を取り出しマルチ基板搬送キャリア552にロードする。
【0021】
図6はローディングステーションの別の実施例を示す。この実施例は、昇降機602がキャリア652から基板を除去しない点を除いて、図5の実施例に類似する。その代わりに、キャリア652は2つの部分、即ち車輪と駆動素子を有する基部と基板を支持する取り外し可能な部分とからなる。昇降機602は、キャリア652の取り外し可能な部分と係合してこの部分を除去し、プリロード機構まで運ぶように構成されたフォーク機構604を含み、ここで基板はプリロード機構に移送され、その後昇降機は取り外し可能部分を降下して基部上の元の位置に戻す。
【0022】
図7は本発明によるマルチ基板搬送キャリアを示す。この実施例は、図5及び図6のローディングステーションに有利に使用することができるが、図6の実施例に最も好適である。マルチ基板搬送キャリア752は、基部710と取り外し可能な基板支持部720とからなる。基板支持部720はクリップなどの機械的手段又は磁石により搬送基部710に取り付けることができる。基板支持部720を基部710上に正確に位置合わせするためにアライメントピン(図7では隠れている)を用いることができる。基部710は種々のチャンバ及びターンテーブル内に配置されたトラックに乗る車輪730を有する。スリップを避けるために車輪を磁化させてもよい。この実施例では、駆動手段はリニアモータであり、このために磁石750が基部710上に配置され、リニアモータの残部が種々のチャンバ及びターンテーブル内にトラックと一緒に配置される。基板支持部720は先端に支持シリンダ742が取り付けられた支持アーム740を有する。支持シリンダ742は、粒子汚染を避けるために、DuPon Vespel(登録商標)からなるシリンダに溝を設けることによって形成することもできる。第3の支持シリンダを支持部720の底部に配置することができる。支持部720はリフトフォーク604を係合するための孔760を含むこともできる。更に、安定性のために、磁力を用いて取り外し可能な基板支持部720をリフトフォーク604上に保持することもできる。即ち、支持部720を基部710上に安定化させるために使用する磁石を、支持部720をリフトフォーク604上で安定化させるために使用することもできる。あるいはまた、磁石をリフトフォーク604に含めることができ、この場合には強磁性材料を支持部720に含める必要がある。
【0023】
図8は本発明の一実施例によるローディングプロセスのフローチャートである。ステップ800において、ローディングアームがロードカセットからいくつかの基板を取り出す。例えば、ロードカセットは25枚の新しい基板を有し、ロードアームはそのうちの5枚を取り出すことができる。アンロードアームは処理済基板を有するマルチ基板キャリアから基板を取り出す。ステップ810において、ロードアームが回転し、その基板を空のロードキャリアに収める。アンロードアームが回転し、処理済基板をアンロードカセットに収容する。ステップ820において、ロードされたキャリアは第1のシャッタを経て第1の低真空チャンバに移動する。ここから、このフローチャートのプロセスと独立に、キャリアはシステムの反対側のターンテーブルに到達するまで一連の真空ロックを経て進み、ここでそのウェハがアンロードされ、これと同時にこのキャリアは真空チャンバを反対方向に横断して空のキャリアとして戻る。その間に、ステップ830において、ターンテーブルが回転して新しい空のキャリアをローディング位置に置く。次いでこのプロセスが繰り返される。
【0024】
図3のシステムでは、処理キャリアは両面を処理することができる単一基板を支持するものとして示されている。例えば、このシステムをハードディスク用のディスクを製造するために使用するとき、ディスクの両面がデータ記憶のために使用されるため、ディスクの両面に処理が実行される。他方、このシステムは他の基板、例えば太陽電池を処理するために使用することもできる。このような場合には、基板の片面を処理するだけでよい。図9は、図3のシステムに使用して2つの基板の各々の片面を同時に処理してシステムのスループットを2倍にすることができる処理キャリアを示す。
【0025】
図9は、特許文献1の図4Aに示される処理キャリアに類似の処理キャリアを示す。キャリア952は車輪930及び磁石950を有する基部910を有する。基板は円弧部940で支持され、この円弧部は基板をその周縁でのみ保持するクリップ942を有する。このように、基板の全表面が処理のために露出される。図9に示されるように、2つの基板966A及び966Bがクリップ942により背中合わせに保持される。こうして、キャリアが処理チャンバに入ると、両基板の前面が同時に処理される。
【0026】
図10は、2つの基板の各々の両面を同時に処理できる本発明によるシステムの別の実施例を示す。また、このシステムは基板を図9の実施例のように背中合わせに支持することによって、4つの基板の各々の片面を同時に処理するために使用することもできる。図10において、この処理システムは特許文献2に示されているものと同一であるので、この処理システム自体は仮想線で示唆するのみとした。他方、フロントローディング部は本発明の一実施例に従って実施され、本例では搬送される基板の数が真空レベルの増大につれて減少される。
【0027】
図10に示されるように、コンベヤ1064が清浄な大気環境内におけるカセットの搬送に使用されている。本システムはローディングモジュール1005及びアンローディングモジュール1010を有し、これらは類似するが、互いに反対方向に動作する。ローディングモジュール1005は、3つの真空チャンバ1092A−C及び対応するゲート1052A−Dを有する3段のスタガ配置の真空ロックを有する。キャリア1096A−Dの搬送を可能にするためにトラック及びリニアモータ1020が各真空チャンバ内に設けられる。ロードすべきキャリア、即ち1096A及び1096Bはローディングステーション1098Aに位置し、アンロードすべきキャリアはアンローディングステーション1098Bに位置する。ローディングステーションはターンテーブル(破線で示されている)を含んでも含まなくてもよく、アンローディングステーションもターンテーブルを含んでも含まなくてもよい。
【0028】
カセット1062A及び1062Bで到着する新しい基板はアーム1068A及び1068Bにより搬送キャリア1096A及び1096Bにロードされる。ロードされる基板の数は各カセットに保持される基板の総数より少ない。例えば、各カセットは25枚の基板を保持することができ、各搬送キャリアは5枚の基板を保持することができる。搬送キャリア1096A及び1096Bに基板がロードされると、これらのキャリアはトラック1020上を移送され、スタガ配置の真空ロックを次々に通過してローディングターンテーブル1030に到達する。ターンテーブル1030において、ロボットアーム1040が各搬送キャリア1096A及び1096Bから1つの基板を取り出し、この2つの基板を処理キャリア1050に、前後にタンデムにロードする。処理キャリアのこのローディングが、すべての基板が搬送キャリア1096A及び1096Bから除去されるまで繰り返される。
【0029】
すべての基板が搬送キャリア1096A及び1096Bから取り出されると、キャリア1096A及び1096Bはアンロードターンテーブル1035に移される。ロボットアーム1045がタンデム基板キャリア1055から基板を取り出し、これらの基板を搬送キャリア1096A及び1096Bに置く。搬送キャリア1096A及び1096Bが完全にロードされると、ターンテーブル1035がトラック1020と整列するように回転して、キャリア1096A及び1096Bは連続的に減少した真空状態内を移送され、アンロードステーション1098Bに到達する。アンロードステーション1098Bにおいて、アーム1068C及び1068Dがキャリア1096A及び1096Bから基板を取り出し、これらの基板をカセットに収容する。すべての基板が搬送キャリア1096A及び1096Bから取り出されたら、これらのキャリアは洗浄のためにシステムから除去することができ、又はロードステーション1098Aに移送することができる。キャリアをアンロードステーション1098Bからロードステーション1098Aへ移送するために、アンロードステーションにターンテーブルを設け、リニアモータ付トラックを2つのステーション間に設けることができる。
【0030】
ここに記載されたプロセス及び技術は任意の特定の装置に本質的に関連するものではなく、構成要素の任意の適切な組み合わせにより実現することができるものである。更に、ここに記載された教えに従って、種々のタイプの汎用デバイスを使用することができる。本発明は特定の例に関連して記載されているが、これらの例はあらゆる面で限定のためというより解説のためである。当業者であれば、多くの異なる組み合わせが本発明を実施するために好適であることを理解されよう。
【0031】
本発明は特定の例に関連して記載されているが、これらの例はあらゆる面で限定のためというより解説のためである。当業者であれば、多くの異なる組み合わせが本発明を実施するために好適であることを理解されよう。更に、ここに開示する本発明の詳細な説明及び実施の形態を考察すれば、本発明の他の実施が当業者に明らかであろう。記載された実施例の種々の特徴及び/又は構成要素は単独で又は任意の組み合わせで使用することができる。詳細な説明及び実施例は模範例とみなされ、本発明の範囲及び精神は後記の請求項によって決定されるものと理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が第1の所定数の基板を保持するカセットを搬送するためのトラックを有するフロントエンドモジュールと、
各々が前記第1の所定数より少ない第2の所定数の基板を支持することができる搬送キャリアを搬送するトラックを有する、前記フロントエンドモジュールに結合されたスタガード配置の真空ロックモジュールと、
各々が前記第2の所定数より少ない第3の所定数の基板を支持できる処理キャリアを搬送するトラックを有する、前記真空ロックに結合された複数の処理チャンバと、
を備えることを特徴とする基板処理システム。
【請求項2】
前記スタガ配置の真空ロックモールドは、ロードモジュールとアンロードモジュールを備えることを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
【請求項3】
前記フロントエンドモジュールは、ローディングロボットアーム、アンロードロボットアーム及び前記ローディングアームと前記運ローディングアームとの間に位置するターンテーブルを更に備えることを特徴とする請求項2記載の基板処理システム。
【請求項4】
前記スタガ配置の真空ロックモジュールと前記複数の処理チャンバとの間に位置するバッファステーションを更に備えることを特徴とする請求項3記載の基板処理システム。
【請求項5】
前記バッファステーションは真空に維持され、前記ロードモジュールから前記アンロードモジュールへ搬送キャリアを搬送する第2のターンテーブルを備えることを特徴とする請求項4記載の基板処理システム。
【請求項6】
前記バッファステーションは、前記搬送キャリアから基板を取り出す昇降機を更に備えることを特徴とする請求項5記載の基板処理システム。
【請求項7】
前記搬送キャリアは基部と基板支持部を備え、前記昇降機が前記支持部と係合してこれを基部から持ち上げるように構成されていることを特徴とする請求項6記載の基板処理システム。
【請求項8】
前記処理キャリアの各々は、2つの基板を背中合わせに支持して各基板の一つの表面のみが処理のために露出されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
【請求項9】
前記処理キャリアの各々は、2つの基板をタンデムに支持して各基板の両面が処理のために露出されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
【請求項10】
前記フロントエンドモジュールは大気環境に維持されることを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
【請求項11】
前記第1の所定数は15〜25であり、前記第2の所定数は3〜6であり、前記第3の所定数は1〜4であることを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
【請求項12】
所定数の基板をカセットにロードするステップと、
前記カセットを大気環境内にて搬送するステップと、
前記カセットから前記所定数より少数の基板の群を繰り返し取り出し、各基板の群を大気環境内から真空環境内へ搬送するステップと、
前記各基板の群から該群の基板の数より少数の基板のサブセットを繰り返し処理キャリアにロードし、該キャリアを複数の処理チャンバを通して搬送するステップと、
を備えることを特徴とする基板処理方法。
【請求項13】
前記各群を大気環境内から真空環境内へ搬送するステップは、各群を搬送キャリアにロードし、該搬送キャリアを各々が高い真空レベルを維持する複数の真空チャンバを経て搬送することを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
基板のサブセットを繰り返しロードする前に、前記搬送キャリアから前記基板の群を取り出し、該基板の群をバッファステーションに置くステップを更に備えることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記基板の群を取り出した後に、前記搬送キャリアを前記真空環境から大気環境内へ取り出すことを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
各々が処理キャリアを搬送するトラックを有する複数の処理チャンバのアレイと、
前記アレイに結合され且つ真空環境下に維持されているバッファステーションと、
前記バッファステーションに結合され且つ搬送キャリアを大気環境から前記バッファステーション内へ搬送するトラックを有するローディング真空ロックモジュールと、
前記バッファステーションに結合され且つ搬送キャリアを前記バッファステーションから大気環境へ搬出するアンローディング真空ロックモジュールと、
各々が所定数の基板を保持するカセットを大気環境内にて搬送するトラックを有するフロントエンドモジュールと、
を備えることを特徴とする基板処理システム。
【請求項17】
前記アンローディング真空ロックモジュールから搬送キャリアを受け取り、前記ローディング真空ロックモジュールに搬入するように配置されたターンテーブルを更に備えることを特徴とする請求項16記載の基板処理システム。
【請求項18】
前記搬送キャリアは前記カセット内の基板の数より少数の基板を支持するように構成され、前記処理キャリアは前記搬送キャリア内の基板の数より少数の基板を支持するように構成されていることを特徴とする請求項16記載の基板処理システム。
【請求項19】
前記カセットから基板を取り出し、それらを前記搬送キャリア上に置くように構成されたローディングアームと、前記搬送キャリアから基板を取り出し、それらを前記カセットに収用するアンローディングアームとを更に備えることを特徴とする請求項16記載の基板処理システム。
【請求項20】
前記ローディング真空ロックモジュールと前記アンロード真空ロックモジュールとの間で搬送キャリアを中継するように構成された搬送機構を更に備えることを特徴とする請求項16記載の基板処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−62534(P2010−62534A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−156127(P2009−156127)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(507310307)インテヴァック インコーポレイテッド (14)
【Fターム(参考)】