説明

基板搬送装置、基板処理装置及び平面表示装置

【課題】 低コスト化を図る。
【解決手段】 基板搬送装置13は、マザーガラスBの搬送方向に沿って延出する取付板17と、取付板17に対し長さ方向に沿って並んだ状態で取り付けられる複数のホルダ18と、各ホルダ18に対してベアリング19を介して回転可能に支持されるとともにマザーガラスBを搬送可能なローラ21を備えたシャフト20とを備える。取付板17と各ホルダ18との間には、スペーサ25を介在させることが可能とされており、このスペーサ25によりホルダ18の取り付け高さを調整することで、マザーガラスBを傾斜した姿勢で搬送することが可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板搬送装置、基板処理装置及び平面表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、平面表示装置の一種である液晶パネルを製造する際には、ガラス基板の表面にフォトリソグラフィにより各種処理(レジスト塗布処理、レジスト剥離処理、エッチング処理、洗浄処理など)を施すべく、各種処理装置が用いられる。処理装置は、ガラス基板を搬送するための基板搬送装置を備えるとともに、この基板搬送装置によりガラス基板を搬送しつつその表面に対して処理液を供給するようにしている。基板搬送装置は、大まかには、モータなどの動力源に接続されたシャフトと、ベアリングを介してシャフトの両端部を支持するホルダと、シャフトに取り付けられた多数個のローラとを備え、モータの駆動によってシャフトを回転させることでローラ上に載せたガラス基板を搬送するようにしている。
【0003】
ところで、近年では取り扱うガラス基板が大型化する傾向にあり、そのような大型のガラス基板を搬送しようとすると以下の問題が生じるおそれがある。すなわち、シャフトは、ベアリングにより支持されるのが両端部のみであるため、大型のガラス基板に対応した長さになると、ガラス基板の重みによって両端部を支点として中央部分が下がるようにして撓むことがある。それに伴ってガラス基板自身にも同様の撓みが生じると、その撓んだ部位に供給された処理液が滞留してしまうという問題が生じていた。
【0004】
そこで、上記したような処理液の滞留の問題を解消するものとして、下記特許文献1,2に記載されたものが知られている。このうち、特許文献1に記載のものは、シャフトに設けられたローラのうち、幅方向両端寄りのローラよりも幅方向中央のローラを高い位置に設けることで、基板を反らせた状態で搬送するようにしたものである。一方、特許文献2に記載のものは、基板搬送装置全体を幅方向について傾けるようにしたものである。このように基板を傾斜した状態で搬送するようにすれば、処理液を傾斜方向へ流し落とすことができるので、処理液が基板の表面に滞留するのを防止することができる。
【特許文献1】特開平11−130249号公報
【特許文献2】特開平11−186210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これら特許文献1,2に記載のものは、既存の設備をそのまま使用することができず、傾斜搬送専用の設備を新規に導入する必要があった。つまり、既存の設備との入れ替えを図る必要があるため、投資すべき設備費が高額になってしまうという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、低コスト化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明に係る基板搬送装置は、平板状をなす基板を搬送するためのものであって、前記基板の搬送方向に沿って延出する基部と、この基部に対し長さ方向に沿って並んだ状態で取り付けられる複数のホルダと、各ホルダに対してベアリングを介して回転可能に支持されるとともに前記基板を搬送可能な搬送シャフトとを備え、前記基部に対する前記各ホルダの取り付け高さを調整可能な高さ調整機構が備えられ、この高さ調整機構により前記基板を傾けた状態で搬送するようにした構成としたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記高さ調整機構は、前記基部と前記各ホルダとの間に介在可能なスペーサにより構成されているところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記スペーサとして同一形状のものが用いられるとともに、前記基部と前記各ホルダとの間に介在させる前記スペーサの数を設定することで、前記各ホルダの取り付け高さを調整するようにしたところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記高さ調整機構により、前記各ホルダの取付位置が前記基板の搬送方向前方に行くに従って次第に高くなるように設定されているところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記高さ調整機構により、前記各ホルダの取付位置が前記基板の搬送方向前方に行くに従って次第に高くなった後、途中から次第に低くなるように設定されているところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明に係る基板処理装置は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載された基板搬送装置を用いたところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明に係る平面表示装置は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載された基板搬送装置または基板処理装置を用いて製造したところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明に係る基板搬送装置及びこれを用いた基板処理装置によれば、既存の基板搬送装置に対し、各ホルダの取り付け高さを調整可能な高さ調整機構を追加することで、基板を傾けた状態で搬送することができる。従って、従来のような傾斜搬送用の装置を新規に導入した場合と比較すると、低コストで基板の傾斜搬送を実現することができる。
【0014】
請求項2の発明に係る基板搬送装置及びこれを用いた基板処理装置によれば、各ホルダの高さ位置を簡単に調整することができる。
【0015】
請求項3の発明に係る基板搬送装置及びこれを用いた基板処理装置によれば、スペーサを同一形状としたので、仮に各ホルダの取り付け高さに合わせた大きさのスペーサを多品種製造した場合と比較すると、低コストとなる。
【0016】
請求項4の発明に係る基板搬送装置及びこれを用いた基板処理装置によれば、基板の搬送方向を上り勾配とすることができるので、基板の表面に処理液が供給されたとき、その処理液を基板の搬送方向後側へ流し落とすことができる。
【0017】
請求項5の発明に係る基板搬送装置及びこれを用いた基板処理装置によれば、搬送過程では、基板が各ホルダの取付位置に応じて山なりに反ることになる。この状態で基板の表面に処理液を供給した場合、処理液は、基板の搬送方向前側と後側との双方に分かれて流れ落ちることになる。これにより、基板の表面に形成される処理液の層の厚さが薄くなるので、処理液が基板の表面に対して届き易くなる。
【0018】
請求項7の発明に係る平面表示装置によれば、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載された基板搬送装置または基板処理装置を用いて製造されているから、製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4によって説明する。本実施形態では、平面表示装置の一種である液晶表示装置を製造する過程において、液晶表示装置を構成するガラス基板の元となるマザーガラスBを洗浄するのに用いる基板洗浄装置10を例示する。なお以下では、図1の左方(マザーガラスBの進行方向、各図面の矢線方向)を前方、その反対方向である図1の右方を後方とし、また上下方向については図1や図3などを基準とする。
【0020】
まず液晶表示装置について簡単に説明する。液晶表示装置は、図示はしないが大まかには所定のギャップを確保しつつ互いに向き合わせた一対のガラス基板間に液晶を封入するとともに、一方のガラス基板の内面にスイッチング素子(例えばTFT)や透明電極などを設け、他方のガラス基板の内面にカラーフィルタや透明電極などを設けるようにした構成とされる。
【0021】
この液晶表示装置を製造する際には、大型の平板状のマザーガラスBの表面にスイッチング素子などを形成した後、マザーガラスBを所定サイズにカットするようにしている。この製造工程では、マザーガラスBの表面に例えばフォトリソグラフィによって各種処理(レジスト塗布処理、レジスト剥離処理、エッチング処理、洗浄処理など)を施すのであるが、その処理工程には、マザーガラスBを処理液である洗浄液L(例えば純水)により洗浄する洗浄処理が含まれており、そのために次述する基板洗浄装置10(基板処理装置)が用いられている。なおマザーガラスBの大きさは、例えば長さ寸法が1800mm、幅寸法が1500mm程度とされ、その板厚寸法は、例えば0.7mm程度とされる。
【0022】
続いて基板洗浄装置10について説明する。基板洗浄装置10は、図1に示すように、マザーガラスBを洗浄するための槽本体11と、マザーガラスBの表面に洗浄液Lを噴射可能な基板洗浄手段12(基板処理手段)と、槽本体11内にてマザーガラスBを寝かせた姿勢でほぼ水平に搬送可能な基板搬送装置13とを備えている。
【0023】
基板洗浄手段12は、洗浄液LをマザーガラスBに向けて所定の圧力で噴射可能なノズル部14を備えるとともに、このノズル部14には、ポンプ15を介してタンク16が接続されており、ポンプ15を駆動させることでタンク16からノズル部14に対して洗浄液Lが供給されるようになっている。ノズル部14は、マザーガラスBを挟んで上方位置と下方位置とに対向して設けられることで、マザーガラスBの上面と下面を同時に洗浄できるようになっている。上下のノズル部14は、共に幅方向に沿って複数個ずつ並んで設けられており、搬送されるマザーガラスBを全幅領域にわたってむらなく洗浄できるようになっている。また洗浄液Lは、マザーガラスBを洗浄した後に槽本体11から回収されるとともに、フィルタなどを通して浄化されたものが上記タンク16内に貯蔵され、つまり循環使用されるようになっている。
【0024】
基板搬送装置13は、大まかには、図1及び図2に示すように、槽本体11内にて所定の高さ位置に固定される一対の取付板17と、各取付板17に対して着脱可能に取り付けられる複数個のホルダ18と、各ホルダ18内に保持されるベアリング19と、ベアリング19を介して各ホルダ18に支持されるシャフト20と、各シャフト20に設けられるとともにマザーガラスBを搬送可能なローラ21とを備える。
【0025】
一対の取付板17は、マザーガラスBの幅寸法よりも大きな間隔を空けた位置にて互いに平行な状態で対向して配されている。取付板17は、金属製とされ、マザーガラスBの搬送方向に沿って延出する細長い板状に形成されている。取付板17の上面側には、各ホルダ18が取り付けられる取付部22が上方及び側方へ開放する形態で凹設されている。この取付部22は、取付板17の長さ方向(マザーガラスBの搬送方向)に沿って前後に複数個、所定の間隔を空けた位置に並んで配設されており、これにより取付板17は、全体として櫛歯状に形成されている。取付部22の底面、つまりホルダ18に対する受け面は、水平に形成されている。また前後の取付部22間のピッチは、例えば10cm程度に設定されている。
【0026】
ホルダ18は、金属製とされ、全体が略ブロック状に形成されている。ホルダ18には、ベアリング19が収容される収容部23が上方及び側方へ開放する形態で凹み形成されており、ベアリング19の外輪が保持されるようになっている。ホルダ18は、取付板17よりも大きな幅寸法に形成されるとともに、ホルダ18の外面のうち前面及び後面には、取付部22の周縁部に対して嵌合可能な嵌合溝24がそれぞれ形成されている。各嵌合溝24の両側縁部24aが取付部22の周縁部に外側から係止することで、ホルダ18が取付板17に対して幅方向に位置ずれすることなく保持可能とされる。またホルダ18の上面は、取付状態で取付板17の上面とほぼ面一状に配される。
【0027】
シャフト20は、金属製とされ、取付板17の長さ方向と略直交する方向に延びるとともにその長さ寸法が両取付板17間の間隔よりも大きな中空の円棒状に形成されている。シャフト20は、両端部よりも少し内寄りの位置にそれぞれベアリング19の内輪が嵌合されることで、ホルダ18に対して回転自在に軸支される。シャフト20は、軸支された両ベアリング19が両ホルダ18内に収容され、そのホルダ18が両取付板17における取付部22に取り付けられることで、両取付板17間を架け渡して配されるとともにその両端部が取付板17よりも外側に突出して配される。前後に並んだ各シャフト20は、各ホルダ18の取り付け高さに応じてほぼ同じ高さ位置に配されるので、マザーガラスBをほぼ水平に搬送できるようになっている。シャフト20の両端部の少なくともいずれか一方には、図示しない受動カムローラが設けられるとともに、この受動カムローラには、モータなどの動力源に接続した駆動シャフトの駆動カムローラ(いずれも図示せず)が係合されることで、モータの駆動力がシャフト20に対して回転力として伝達されるようになっている。
【0028】
ローラ21は、合成樹脂製とされており、シャフト20のうち両ベアリング19の被着部位よりも内寄りの部分において、複数個(図2では9個)、幅方向に所定の間隔を空けた位置に配設されている。ローラ21は、外径寸法がベアリング19よりも大きく設定されており、その外周端部が取付板17やホルダ18よりも上方へ突出可能とされる。ローラ21は、シャフト20の回転に伴って回転されるとともに、その上側に載せられたマザーガラスBを各図面の矢線方向へ向けて搬送できるようになっている。
【0029】
ところで、上記した基板搬送装置13では、寝かせた姿勢のマザーガラスBをほぼ水平に搬送するようになっている。このため、マザーガラスBを搬送する際にその重さによりシャフト20に撓みが生じると、マザーガラスBにも同様の撓みが生じてそこに洗浄液Lが滞留することが懸念される。そこで、本実施形態では、上記した基板搬送装置13に対し、各ホルダ18の取り付け高さを調整するためのスペーサ25を追加することにより、マザーガラスBを傾斜した姿勢で搬送することが可能となっている。
【0030】
詳しくは、スペーサ25は、図3及び図4に示すように、金属製の平らな板材により構成されており、取付板17における各取付部22の底面と、そこに取り付けられる各ホルダ18の下面との間に挟まれた状態で保持されるようになっている。各取付部22と各ホルダ18との間では、スペーサ25を複数枚積層することも可能とされており、介在させたスペーサ25の枚数分だけホルダ18の取付位置を高くできるようになっている。またこのスペーサ25は、板厚寸法が例えば1mmに設定されている。なお図3及び図4では、傾斜搬送の説明のためスペーサ25の板厚を誇張して図示している。また図3では上下のノズル部14の図示を、図4では下側のノズル部14の図示を省略している。
【0031】
そして、本実施形態では、前後方向に沿って多数個並んだホルダ18のうち、ノズル部14を挟んだ前後12個のホルダ18について取り付け高さを調整するようにしている。これらのホルダ18と対応する各取付部22との間に介在されるスペーサ25は、後側から前側に行くに従って次第に枚数が増加する設定とされ、具体的には、最後位置の取付部22にはスペーサ25を介在させず、その前の取付部22には1枚のスペーサ25を、さらにその前の取付部22には2枚のスペーサ25を介在させ、前に行く度に1枚ずつスペーサ25を増やすようにして、12番目の取付部22には11枚のスペーサ25を積み重ねるようにしている。
【0032】
これにより、各ホルダ18と対応する各シャフト20及び各ローラ21の取付位置は、後側から前側に行くに従って次第に高くなっており、各シャフト20や各ローラ21の中心位置(回転軸の軸心位置)を結んだ仮想線I1が上り勾配をなす緩やかな傾斜を有することになる。従って、マザーガラスBは、上記仮想線I1とほぼ平行に搬送され、その搬送姿勢は前端側を持ち上げ、後端側を下げた傾斜姿勢とされる。なお、取り付け高さを調整するホルダ18の数については12個以外にも任意に変更可能である。
【0033】
本実施形態は以上のような構造であり、続いてその作用を説明する。まず、水平搬送用の基板搬送装置13によりマザーガラスBを傾斜搬送するには、取付板17と各ホルダ18との間にスペーサ25を介在させるようにする。図3に示すように、最後位置の取付部22にはスペーサ25を配さず、後側から2番目の取付部22にスペーサ25を1枚配し、そこから前の取付部22に行く度に1枚ずつスペーサ25を増やすようにし、12番目のの取付部22には、11枚のスペーサ25を積み重ねた状態で配する。そして、図4に示すように、各取付部22に対して各ホルダ18を取り付けると、各ホルダ18の取付位置がスペーサ25を介在させた分だけそれぞれ高くなる。
【0034】
その後、基板洗浄装置10によりマザーガラスBを洗浄する作業を行う。基板洗浄装置10に投入されたマザーガラスBは、基板搬送装置13のシャフト20及びローラ21が回転されるのに伴って前方へ搬送されるとともに、搬送途中で上下のノズル部14から噴射される洗浄液Lによって上面及び下面が同時に洗浄される。
【0035】
この搬送過程においてマザーガラスBが上下のノズル部14を通過する際には、マザーガラスBは、前端側が高く後端側が低い上り勾配の傾斜姿勢とされている。従って、マザーガラスB上に供給された洗浄液Lは、その勾配に沿ってマザーガラスBの後側へ流され、その後端部から槽本体11へと流し落とされる。これにより、マザーガラスB上に供給される洗浄液Lを確実に流し落とすことができるから、洗浄液LがマザーガラスB上に滞留するような事態が防がれる。
【0036】
以上説明したように本実施形態によれば、既存の水平搬送用の基板搬送装置13に各ホルダ18の取り付け高さを調整するためのスペーサ25を追加することで、マザーガラスBの搬送方向を傾斜させるようにしたから、従来のように傾斜搬送専用の装置を新規に導入した場合と比較すると、低コストでマザーガラスBの傾斜搬送を実現することができる。
【0037】
また、取付板17と各ホルダ18との間に介在させるスペーサ25によりホルダ18の取り付け高さを調整するようにしたから、各ホルダ18の高さ位置を簡単に調整することができる。
【0038】
また、スペーサ25として同一形状のものを用いるとともに、取付板17と各ホルダ18との間に介在させるスペーサ25の数を設定することで、各ホルダ18の取り付け高さを調整するようにしたから、仮に各ホルダの取り付け高さに合わせた大きさのスペーサを多品種製造した場合と比較すると、低コストとなる。
【0039】
また、各ホルダ18の取付位置がマザーガラスBの搬送方向前方に行くに従って次第に高くなるように設定されているから、供給される洗浄液LをマザーガラスBの搬送方向後側に流し落とすことができる。従って、仮に従来のようにマザーガラスを幅方向について傾けて搬送した場合には、その傾斜に沿って上面を流れる洗浄液が幅方向に並んだ隣りのノズル部による洗浄箇所を通過することになるため、洗浄液がマザーガラスの上面に届き難くなっており、そのためにノズル部による洗浄液の噴射圧を高める必要があるものの、本実施形態によればそのような事態が回避されるので、ノズル部14の噴射圧が低くても十分な洗浄効果を得ることができ、低コスト化に寄与できる。
【0040】
また、上記した基板洗浄装置10及び基板搬送装置13を用いて液晶表示装置を製造することにより、液晶表示装置の製造コストを低減することができる。
【0041】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図5または図6によって説明する。この実施形態2では、各ホルダ18の取り付け高さを変更したものを示す。なおこの実施形態2では、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0042】
本実施形態では、前後方向に沿って多数個並んだホルダ18のうち、ノズル部14を挟んだ前後11個のホルダ18について取り付け高さを調整することで、マザーガラスBの傾斜搬送を行うようにしている。これらのホルダ18と対応する各取付部22との間に介在されるスペーサ25は、図5に示すように、後端から前側に行く度に1枚ずつ増加され、途中から前側に行く度に1枚ずつ減少する設定とされる。具体的には、後から6番目の取付部22(ノズル部14と対応する取付部22)には最大の5枚のスペーサ25が配され、そこから前後に行く度に1枚ずつスペーサ25が減少するように設定されている。従って、各ホルダ18の取付位置は、後端側から前方に行くに従って次第に高くなった後、途中から次第に低くなる。これにより、各シャフト20や各ローラ21の中心位置を結んだ仮想線I2は、緩やかな逆V字型となり、マザーガラスBの搬送方向の傾斜は、当初は上り勾配とされるものの、途中から下り勾配とされる。なお、取り付け高さを調整するホルダ18の数については11個以外にも任意に変更可能である。
【0043】
取付板17と各ホルダ18との間に上記したようにスペーサ25を介在させた基板搬送装置13によりマザーガラスBを搬送すると、図6に示すように、途中まで上り勾配で搬送された後、下り勾配で搬送される。従って、搬送過程においてマザーガラスBは、前端部と後端部とを共に下げるとともに前後方向中央部分が最も高くなるよう、緩やかな逆V字型(アーチ型)に反った姿勢でローラ21により支持される。
【0044】
この状態では、マザーガラスBの頂点部分が前後方向についてノズル部14の位置とほぼ一致している。従って、ノズル部14からマザーガラスBの上面側に供給された洗浄液Lは、マザーガラスBの頂点部分を境に前方と後方とに二手に分かれて流れ落ちることになる。これにより、マザーガラスB上を流される洗浄液Lの層の厚みは、実施形態1のように後方へのみ流される場合と比較すると、ほぼ半分になるので、洗浄液LがマザーガラスBの上面に対して届き易くなっている。従って、洗浄液Lの噴射圧を低くしても、十分な洗浄効果を得ることができ、使用する洗浄液Lの量が少なくて済み、また洗浄液Lを供給するポンプ15についても噴射圧の低い安価なものを使用できるなど、低コスト化を図ることができる。
【0045】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0046】
(1)上記した各実施形態では、高さ調整機構としてスペーサ25を用いた場合を示したが、他の手段により代用してもよい。例えば、取付部22の底面に下方へ貫通するねじ孔を設けるとともに、このねじ孔に対して下方からねじを螺合され、このねじの先端をホルダ18の下面に当接させつつねじを上下に進退させることでホルダ18の高さ位置を調整するようにしてもよい。
【0047】
(2)上記した各実施形態では、ホルダ18がホルダ18自身とシャフト20とローラ21との重さによって取付板17に保持されるものを示したが、取付部22に取り付けたホルダ18を押さえ部材により上方から押さえ付けるようにしてもよい。
【0048】
(3)スペーサ25の形状、素材などは任意に変更可能である。またスペーサ25は同一形状のものに限らず、各ホルダ18の取り付け高さに対応した大きさのスペーサをそれぞれ製造するようにしてもよい。
【0049】
(4)上記した各実施形態では、マザーガラスBの搬送方向を上り勾配としたものや、上り勾配と下り勾配を組み合わせたものを例示したが、例えば、マザーガラスBの搬送方向が下り勾配となるよう各ホルダ18の取り付け高さを調整したものも本発明に含まれる。
【0050】
(5)上記した各実施形態では、洗浄処理に用いる基板洗浄装置10及びその基板搬送装置13を例示したが、他の種類の基板処理装置、例えばレジスト剥離装置やエッチング装置及びその基板搬送装置にも本発明は適用可能である。またこれらの基板処理装置や基板搬送装置を用いて製造した液晶表示装置、及びプラズマディスプレイなど液晶表示装置の以外の平面表示装置も本発明に含まれる。
【0051】
(6)上記した各実施形態では、液晶表示装置を製造するのに用いる基板洗浄装置10及びその基板搬送装置13を例示したが、プラズマディスプレイなど他の種類の平面表示装置、半導体及びプリント基板などを製造する際に用いる基板処理装置及びその基板搬送装置にも本発明は適用可能である。またこれらの基板処理装置や基板搬送装置を用いて製造した液晶表示装置、及びプラズマディスプレイなど液晶表示装置の以外の平面表示装置も本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態1に係る基板洗浄装置の概略を表す側面図
【図2】基板搬送装置の概略を表す平面図
【図3】ホルダ及びスペーサを取付板に取り付ける前の状態を示す側面図
【図4】ホルダと取付板との間にスペーサを介在させた状態でマザーガラスを搬送する途中の状態を表す側断面図
【図5】本発明の実施形態2に係る基板洗浄装置の分解側面図
【図6】ホルダと取付板との間にスペーサを介在させた状態でマザーガラスを搬送する途中の状態を表す側断面図
【符号の説明】
【0053】
10…基板洗浄装置(基板処理装置)
13…基板搬送装置
17…取付板(基部)
18…ホルダ
19…ベアリング
20…シャフト(搬送シャフト)
21…ローラ(搬送シャフト)
25…スペーサ(高さ調整機構)
B…マザーガラス(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状をなす基板を搬送するためのものであって、
前記基板の搬送方向に沿って延出する基部と、この基部に対し長さ方向に沿って並んだ状態で取り付けられる複数のホルダと、各ホルダに対してベアリングを介して回転可能に支持されるとともに前記基板を搬送可能な搬送シャフトとを備え、
前記基部に対する前記各ホルダの取り付け高さを調整可能な高さ調整機構が備えられ、この高さ調整機構により前記基板を傾けた状態で搬送するようにしたことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記高さ調整機構は、前記基部と前記各ホルダとの間に介在可能なスペーサにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記スペーサとして同一形状のものが用いられるとともに、前記基部と前記各ホルダとの間に介在させる前記スペーサの数を設定することで、前記各ホルダの取り付け高さを調整するようにしたことを特徴とする請求項2記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記高さ調整機構により、前記各ホルダの取付位置が前記基板の搬送方向前方に行くに従って次第に高くなるように設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記高さ調整機構により、前記各ホルダの取付位置が前記基板の搬送方向前方に行くに従って次第に高くなった後、途中から次第に低くなるように設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載された基板搬送装置を用いたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載された基板搬送装置または基板処理装置を用いて製造したことを特徴とする平面表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−256768(P2006−256768A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−75585(P2005−75585)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】