説明

基板洗浄ノズルおよび基板洗浄装置

【課題】大型基板を洗浄する場合でも、基板全面に均一に洗浄液を供給でき、しかも洗浄力を上げるために洗浄液の供給圧を高めても膨れなど変形を起こすことなく、噴射開口部の長手方向のどの部位でも、常にほぼ一定の噴射液量を維持することができる基板洗浄ノズルおよびそれを含む基板洗浄装置を提供する。
【解決手段】基板洗浄ノズル2と、基板搬送手段30と、洗浄液供給手段31とを含む基板洗浄装置1において、基板洗浄ノズル2を、凹所が形成される第1の構成部材5と、第1の構成部材5との接合面20が段差を有する第1平面部20aと第2平面部20bとからなる第2の構成部材6との接合体であって、第1平面部20aが第1の構成部材5に当接し、第2平面部20bが第1の構成部材5に当接しないように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板洗浄ノズルおよび基板洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PDP)などのフラットパネルディスプレイに用いられるガラス基板、電子部品などに利用されるシリコン基板などは、それぞれの用途に要求される性能、耐久性および電気絶縁的な信頼性を一層向上させるために、高い清浄度が必要とされる。したがって、フラットパネルディスプレイ、電子部品などの製造工程では、ガラス基板、シリコン基板などを清浄化するための洗浄工程が必要不可欠である。
【0003】
また、ガラス基板、シリコン基板などの製造に際しては、生産性向上のために多面取りが採用され、基板の大型化が進み、対角2mを超えるような大型基板も製造されるので、洗浄工程も基板の大型化に対応し得ることが要求される。さらに、最近においては、フラットパネルディスプレイの表示品位の高密度高精細化への要求は増すばかりであり、前述のように基板の大型化が進む中で、基板の洗浄に際しては、基板を均一に洗浄するだけでなく、洗浄力を高め、サブミクロンレベルのパーティクルをも除去することが必要になっている。
【0004】
ガラス基板、シリコン基板などの洗浄には、主に、洗浄液を満たした洗浄槽に基板を浸漬させるバッチ方式、搬送下にある基板の被洗浄面に洗浄液を噴射する枚葉方式などがある。この中でも、枚葉方式は、基板の清浄度を高めるだけでなく、バッチ式に比べ装置を大型化することなく、基板の大型化に対応でき、コストも低いという利点を持つので、基板洗浄の主流である。枚葉方式による基板の洗浄は、具体的には、搬送路に載置される基板に、搬送路を介して対向配置される少なくとも一対の基板洗浄ノズルから洗浄液を噴射することにより行われる。ここで、基板全面を均一に洗浄するためには、基板洗浄ノズルから基板全面に洗浄液を均一に噴射する必要がある。この時、洗浄液のノズルへの供給圧を高め、洗浄液の基板への噴射圧を高めることによって、サブミクロンレベルのパーティクルを除去しようとしている。
【0005】
従来、枚葉方式に用いられる基板洗浄ノズルとしては、一対の板状部材を所定の間隔を開けて接合し、長手方向にスリット状の開口部が形成されたスリットタイプのものが用いられる。洗浄液は、このノズル内に加圧下に供給され、スリット状の開口部から噴射される。スリットタイプのノズルは、洗浄水の圧力によりノズル両端が狭く中央が広く開口部が変形するため、開口部の両端部から噴射される洗浄液量が、開口部の中央部から噴射される洗浄液量よりも少なくなり、洗浄液を基板全面に均一に供給できないという欠点を有する。この欠点によって、基板が大型化するほど洗浄が不均一になり、洗浄後の基板の品質が著しく低下する。このような欠点は、たとえば、開口部の長手方向の寸法をさらに大きくすれば、ある程度は解決できるけれども、それによってノズルが徒らに大型化し、枚葉方式の利点が損なわれる。
【0006】
上記の問題に徴し、スリット状開口部を有する基板洗浄ノズルにおいて、開口部の長手方向の両端部から噴射される洗浄液量が減少するのを防止した基板洗浄ノズルが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。図5は、特許文献1に開示の基板洗浄ノズル110および該ノズル110を含む基板洗浄装置140の構成を概略的に示す断面図である。基板洗浄装置140は、基板洗浄ノズル110と、洗浄液供給手段120と、基板搬送手段130とを含んで構成される。
【0007】
基板洗浄ノズル110は、該ノズル110の内方に向かう面に凹所116が形成される第1の板状部材111と、第2の板状部材112とを、クシ型スペーサ113,114を介して接合したものである。第1の板状部材111と第2の板状部材112との接合は、第1の板状部材111の厚さ方向に形成される孔にネジ115を挿通し、該ネジ115を第2の板状部材112の厚さ方向に形成される雌ネジ部に螺合させることによって行われる。このノズル110は、図5の紙面に向かって前後方向に長手方向を有して延びるほぼ直方体形状に形成される。また、第2の板状部材112には、第1の板状部材111と第2の板状部材112との接合により、上記凹所116で形成される空間部117に対応するように、洗浄液受入口118がノズル110の長手方向に複数(不図示)形成される。これらの洗浄液受入口118は、空間部117に連通する。また、スペーサ114には、ノズル110の長手方向に所定の間隔を開けて図示しないスリットが形成される。ノズル110は、基板131の被洗浄面131aの上方に、該被洗浄面131aに対向するように配置される。ノズル110は、空間部117を形成し、かつスペーサ114にスリットを形成し、その内部における洗浄液の流れを整流し、洗浄液の流過圧力をほぼ均一にすることによって、洗浄液量を一定化しようとするものである。ノズル110においては、洗浄液受入口118からその内部に供給される洗浄液がこの空間部117およびスペーサ114に形成されるスリットにより整流を受けた後、スリット状開口部である洗浄液噴射孔119から基板131の被洗浄面131aに向けて噴射される。
【0008】
洗浄液供給手段120は、洗浄液を貯留する洗浄液貯留槽121と、洗浄液を基板洗浄ノズル110に供給する洗浄液供給管122と、洗浄液を洗浄液貯留槽121から揚液し、洗浄液を洗浄液供給管122に流過させる高圧ポンプ123とを含んで構成される。なお、洗浄液供給管122は、図示しない接続リング(押圧部材)を介して、ノズル110の洗浄液受入口118に接続される。洗浄液貯留槽121に貯留される洗浄液は、高圧ポンプ123によって洗浄液供給管122を流過し、ノズル110の洗浄液受入口118から空間部117に供給される。
【0009】
基板搬送手段130は、基板131を載置しかつ搬送する基板搬送ローラ132、紙面垂直方向に複数の基板搬送ローラ132が固定された搬送シャフト133と、基板搬送ローラ132を矢符135の方向に回転させるため搬送シャフト133をその軸線回りに回転させる図示しない動力伝達機構および動力装置とを含んで構成される。基板131は、被洗浄面131aを上にして基板搬送ローラ132に載置され、搬送シャフト133の回転ひいては基板搬送ローラ132の回転駆動に伴って、矢符135の方向へ移動し、ノズル110の直下に搬送され、ノズル110からの洗浄液の噴射により、洗浄された後、さらに矢符135の方向に搬送され、次の工程に供される。
【0010】
基板洗浄装置140によれば、洗浄液が洗浄液貯留槽121からノズル110に供給されるのに同期して、基板131がノズル110の直下に搬送され、洗浄液136がノズル110から噴射され、基板131の被洗浄面131aには洗浄液の液流137が発生し、被洗浄面131aが洗浄される。
【0011】
基板洗浄装置140において、基板131上のサブミクロンレベルのパーティクルを除去するためには、ノズル110への洗浄液136の供給圧を上げて噴射流速を高める必要がある。しかしながら、ノズル110は2つの板状部材111,112でクシ型スペーサ113、114を挟んで接合したものであるため、ノズル110の内圧が上がると洗浄液噴射孔119の長手方向中央部が膨らみ、ノズル110の全幅において均一な噴射にならない。また、洗浄液136の使用量を減らすために、スリットのギャップを小さくする必要があるけれども、その場合には、クシ型スペーサ113,114のない部分からのみの噴射となり、やはり全幅における均一な噴射は得られない。したがって、ノズル110は、基板の大型化および基板に対する洗浄力の向上への要求を充分に満足できるものではない。
【0012】
【特許文献1】特開2000−94325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、基板の大型化および洗浄力の向上要求に対応できるスリットタイプの噴射開口部を有する基板洗浄ノズルであって、大型基板を洗浄する場合でも、該基板全面に均一に洗浄液を供給でき、しかも洗浄力を上げるために洗浄液の供給圧を高めても膨れなど変形を起こすことなく、噴射開口部の長手方向のどの部位でも、常にほぼ一定の噴射液量を維持することができる基板洗浄ノズルおよびそれを含む基板洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、
略直方体形状を有し、長手方向の一端部から一端部に対向する他端部に向けて延びる凹所が形成される面を少なくとも1つ有する第1の構成部材と、
略直方体形状を有し、かつ第1の構成部材における凹所が形成される面に対して接合される面を有し、第1の構成部材と接合されることによって、前記凹所を洗浄液が流過する流路と成し、凹所が延びる方向に対して直交する方向の一側端部において、第1の構成部材の一側端部とともに外方に向けて開口する噴射開口部を形成する第2の構成部材と、
第1の構成部材と第2の構成部材との接合体における前記一端部と他端部とにおいて凹所が形成する開口部を閉塞するように設けられる第3の構成部材とを含み、
第1の構成部材における凹所が形成される面に対して接合される第2の構成部材の面は、1つの段差を有して互いに平行に形成される2つの第1平面部と第2平面部とから成り、
第1の構成部材と第2の構成部材とは、第1平面部が第1の構成部材の凹所が形成される面と当接し、第2平面部が第1の構成部材の凹所が形成される面と間隔を有するようにして接合されることを特徴とする基板洗浄ノズルである。
【0015】
また本発明の基板洗浄ノズルは、
第1の構成部材の凹所が、
第2の構成部材に対向する底面が、噴射開口部から噴射される洗浄液噴射方向に対する傾斜角度および/または傾斜長さが異なる2つ以上の傾斜面を有するように形成されることを特徴とする。
【0016】
さらに本発明の基板洗浄ノズルは、
噴射開口部に最も近接する傾斜面が、洗浄液噴射方向に対して傾斜角度15°以下および傾斜長さ10mm以下であることを特徴とする。
【0017】
さらに本発明の基板洗浄ノズルは、
洗浄液を流過させる流路が、
第1の構成部材の凹所底面における傾斜面よりも洗浄液噴射方向の下流側において、第1の構成部材の凹所が形成される面と第2の構成部材の第2平面部とが平行に離隔して形成される洗浄液噴射路と、
洗浄液噴射路の洗浄液噴射方向の先端部において、洗浄液噴射路が外方に向けて開口する噴射開口部とを含むことを特徴とする。
【0018】
さらに本発明の基板洗浄ノズルは、第2の構成部材の第1平面部を洗浄液噴射方向に延長した仮想平面と、洗浄液噴射路を形成する第1の構成部材の凹所が形成される面との洗浄液噴射方向に直交する方向の離隔距離が、
前記仮想平面と、洗浄液噴射路を形成する第2の構成部材の第2平面部との洗浄液噴射方向に直交する方向の離隔距離と同じであることを特徴とする。
【0019】
さらに本発明の基板洗浄ノズルは、
洗浄液噴射路が、洗浄液噴射方向において1mm以上、5mm以下の長さを有することを特徴とする。
【0020】
さらに本発明の基板洗浄ノズルは、
洗浄液噴射路における第1および第2の構成部材の洗浄液との接触面が、表面粗度Rmax 1μm以下であることを特徴とする。
【0021】
さらに本発明の基板洗浄ノズルは、
第1の構成部材には、凹所が延びる方向に予め定める間隔をあけて第2の構成部材の第1平面部または第2平面部まで延びる柱状部が凹所内に複数形成され、
第1の構成部材と第2の構成部材とは、柱状部において接合されることを特徴とする。
【0022】
さらに本発明の基板洗浄ノズルは、
第2の構成部材の第2平面部における噴射開口部から洗浄液噴射方向とは反対方向への長さが、噴射開口部の短辺長さの1000倍以上であることを特徴とする。
【0023】
さらに本発明の基板洗浄ノズルは、噴射開口部の短辺長さが50μm以下であることを特徴とする。
【0024】
また本発明は、
前述のいずれか1つの基板洗浄ノズルと、
基板洗浄ノズルに高圧洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
被洗浄基板を載置して搬送する基板搬送手段とを含み、
基板搬送手段により搬送される被洗浄基板に対して、洗浄液供給手段から供給される高圧洗浄液を基板洗浄ノズルから噴射することによって被洗浄基板を洗浄することを特徴とする基板洗浄装置である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、略直方体形状を有し、長手方向の一端部からそれに対向する他端部に向けて延びる凹所が形成される面(以後特に断らない限り「凹所形成面」と称す)を少なくとも1つ有する第1の構成部材と、第1の構成部材の凹所形成面に接合される面を有し、第1の構成部材と接合することによって洗浄液の流路とスリット状噴射開口部とを形成する第2の構成部材と、第1の構成部材と第2の構成部材との接合体の両端部において凹所が形成する開口部を閉塞する第3の構成部材とを含み、第1の構成部材の凹所形成面に接合される第2の構成部材の面が、段差を有して互いに平行に形成される第1平面部と第2平面部とから成り、第1平面部と凹所形成面とが当接しかつ第2平面部と凹所形成面とが離隔するように第1の構成部材と第2の構成部材とを接合して基板洗浄ノズルを形成することによって、第1の構成部材および第2の構成部材を加工する際に、それぞれの接合面を基準にして主要部の加工を比較的容易に実行でき、加工精度を向上させ得る。したがって、スリット状噴射開口部のギャップ量を所望の値に調整することが容易であり、しかも長手方向において均一にかつ精度良く形成できる。また、前記の構成によって、基板洗浄ノズル内部での流路抵抗を小さくすることができるので、洗浄液の噴射圧を高めても、膨れなどの変形が極めて生じ難く、噴射開口部の長手方向中央部および端部のいずれでも洗浄液噴射量がほぼ等量になる。したがって、洗浄液噴射圧を高め、基板表面における洗浄液の均一な高速せん断流を形成できるので、基板洗浄力が一層向上し、被洗浄面の微細なパーティクルも容易に除去できる。また、洗浄液が被洗浄面に均一に噴射されるので、従来のスリットノズルより洗浄液の噴射量を減らすことも可能であり、洗浄液の消費量を削減できる。
【0026】
したがって、本発明の基板洗浄ノズルは、基板の大型化および洗浄力の向上要求に充分対応可能であり、特に枚葉方式により基板を洗浄する際に、非常に好適に使用できる。
【0027】
本発明によれば、第1の構成部材に形成される凹所の第2の構成部材に対向する底面を、洗浄液噴射方向に対する傾斜角度および/または傾斜長さが異なる2つ以上の傾斜面を有するように形成することによって、スリット状噴射開口部のギャップ量が小さく、そのギャップ量に合わせるために基板洗浄ノズル内で流路のギャップを短い流路長で絞っても、圧力損失を低減させ、高圧洗浄液の円滑な噴射を実現できる。特に、噴射開口部に最も近接する傾斜面を、傾斜角度15°以下および傾斜長さ10mm以下に形成することによって、圧力損失が著しく低減化され、基板洗浄ノズルの洗浄力向上が顕著である。
【0028】
本発明によれば、洗浄液流路が、第1の構成部材の凹所底面における傾斜面よりも洗浄液噴射方向の下流側において、第1の構成部材の凹所形成面と第2の構成部材の第2平面部とが平行に離隔して形成される洗浄液噴射路と、洗浄液噴射路が外方に向けて開口する噴射開口部とを含む構成を採ることによって、洗浄液のノズル外方への噴射方向が一層均一化し、基板の被洗浄面を一層均一に洗浄できる。
【0029】
本発明によれば、洗浄液噴射路において、第2の構成部材の第1平面部を洗浄液噴射方向に延長した仮想平面と、洗浄液噴射路を形成する第1の構成部材の凹所形成面および第2の構成部材の第2平面部との、洗浄液噴射方向に直交する方向のそれぞれの離隔距離が同じになるような構成を採ることによって、第1および第2の構成部材を研削盤で仕上げ加工することが可能になり、これらの構成部材を精度良く作製できる。
【0030】
本発明によれば、洗浄液噴射路の洗浄液噴射方向の長さを1mm以上、5mm以下にすることによって、洗浄液噴射路内で整流効果が高まり、洗浄液を基板洗浄ノズルの長手方向全幅において均一な液膜として噴射でき、膜切れを起こすこともない。
【0031】
本発明によれば、洗浄液噴射路における第1および第2の構成部材の洗浄液との接触面を表面粗度Rmax=1μm以下となるように構成することによって、接触面に1μm以上の突起物が存在しないことになり、突起物が原因になる膜切れが一層起こり難くなる。
【0032】
本発明によれば、第1の構成部材の凹所内に、凹所が延びる方向に適切な間隔をあけて第2の構成部材の第1平面部または第2平面部まで延びる柱状部を複数形成し、この柱状部において第1の構成部材と第2の構成部材とを接合する構成を採ることによって、噴射開口部の近傍にて第1の構成部材と第2の構成部材とが接合されるので、流路内での洗浄液の圧力が高くなっても、噴射開口部の膨れなどの変形、洗浄液漏れなどがさらに起こり難くなり、基板洗浄ノズルの長手方向全幅において噴射開口部のギャップ量を均一に保持できる。
【0033】
本発明によれば、第2の構成部材における第2平面の、噴射開口部から洗浄液噴射方向とは反対方向への長さを、噴射開口部の短辺長さの1000倍以上にする構成を採ることによって、第1平面部と第2平面部との段差による流路抵抗をさらに小さくすることができる。
【0034】
本発明によれば、噴射開口部の短辺長さを50μm以下にする構成を採ることによって、ミクロンオーダーのギャップ量を有する噴射開口部を精度良くかつ容易に形成することができ、液膜の薄い洗浄液膜を噴射することが可能になる。これは、洗浄能力の向上および洗浄液使用量の低減化に寄与する。
【0035】
本発明によれば、前述のいずれか1つの本発明の基板洗浄ノズルと、洗浄液供給手段と、基板搬送手段とを含む基板洗浄装置が提供される。本発明の基板洗浄装置によれば、基板搬送手段によって搬送される基板の被洗浄面全幅に対して均一で高速な洗浄液流を噴射し、その衝突の際の衝撃力で被洗浄面上のパーティクルを浮き上がらせ、被洗浄面上に形成される洗浄液のせん断流でパーティクルを押し流すことによって被洗浄面の全面を均一に洗浄できる。本発明の基板洗浄装置は、被洗浄基板の大型化および洗浄能力の向上要求に容易に応えることができ、特に枚葉式の基板洗浄に好適に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1は、本発明の実施の第1形態である基板洗浄装置1の構成を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示す基板洗浄ノズル2の外観を示す斜視図である。図3(a)、(b)および(c)は、それぞれ、図2に示す切断面線I−I、II−IIおよびIII−IIIから見た断面図である。図4は、図1に示す基板洗浄ノズル2の吐出部周辺を拡大して示す断面図である。
【0037】
基板洗浄装置1は、基板洗浄ノズル2と、基板搬送手段30と、洗浄液供給手段31とを含んで構成される。
【0038】
基板洗浄ノズル2は、スリット状の噴射開口部11が基板3の被洗浄面3aを臨んで基板3の上方に配置され、その長手方向が、被洗浄面3aにおける基板搬送方向34に対して垂直な方向(以後「基板3の幅方向」と称す)に延びる。基板洗浄ノズル2の長手方向の寸法は、基板3の幅方向の寸法よりも長く形成される。
【0039】
基板洗浄ノズル2は、第1の構成部材5と、第2の構成部材6と、ボルト7,8と、第3の構成部材9a,9bと、シール部材10a,10bとを含んで構成される。
【0040】
いずれも略直方体状の第1の構成部材5と第2の構成部材6との接合により、第1の構成部材5の第2構成部材6との接合面(凹所形成面12)に形成される凹所13を洗浄液4が流過する流路19が形成され、さらに、第1の構成部材5および第2の構成部材6の凹所13が延びる方向(第1の構成部材5の長手方向)に直交する方向のそれぞれの一側端部により、流路19が外方に向けて開口する噴射開口部11が形成される。
【0041】
第1の構成部材5は略直方体形状を有し、長手方向の一端部から該一端部に対向する他端部に向けて延びる凹所13が形成され、第2の構成部材6における所定の面と当接される凹所形成面12を有する。
【0042】
凹所13は、噴射開口部11から最も離反し、第2の構成部材6に対向する底面13aが第2の構成部材6の対向面に対して平行に形成される凹所13xと、凹所13xに連続して噴射開口部11から噴射される洗浄液噴射方向(噴射開口部11に近接する方向、以後単に「洗浄液噴射方向」と称す)に、第2の構成部材6に対向する底面13bが第2の構成部材6の対向面に対して平行に形成され、洗浄液噴射方向に垂直な方向における凹所形成面12から底面13bまでの間隔である凹所深さが凹所13xよりも小さい凹所13yと、凹所13yに連続して洗浄液噴射方向に、第2の構成部材6に対向する底面13cが洗浄液噴射方向に対する傾斜角度および/または傾斜長さが異なる2つ以上の傾斜面を有するように形成される凹所13zとを含んで構成される。凹所13zにおいては、その底面13cは、凹所13yに隣接する部分では洗浄液噴射方向に対する傾斜角度(以後単に「傾斜角度」という)が比較的ゆるやかになるように形成され、そこから噴射開口部11に近接するほど傾斜角度が鋭角になり、噴射開口部11に近接するほど、第2の構成部材6の対向面にも近接するように形成される。底面13cの傾斜角度を鋭角にするほど圧力損失を小さくできるけれども、その反面凹所13zの洗浄液噴射方向の長さが大きくなり、それによって後述する洗浄液供給口18から噴射開口部11までの距離が長くなり、基板洗浄ノズル2が大型化するという弊害が発生する。そこで、凹所13zの洗浄液噴射方向の長さを短く保持したまま、圧力損失を小さくするために、底面13cの傾斜角度を鈍角から鋭角まで多段階で変化させる。すなわち、凹所13yに隣接する部分では流路19を急激に絞り、噴射開口部11に近接するほど流路19の絞りが緩やかになるように底面13cの傾斜角度を変化させる。凹所13yに隣接する部分における流路19の絞りは急激であるけれども、洗浄液噴射方向に垂直な方向における流路19の断面積を1/10程度に縮小する絞りであるので、圧力損失は小さい。凹所13zの底面13cの噴射開口部11に最も近接する傾斜面は傾斜角度15°以下および傾斜長さ10mm以下に形成されるのが好ましい。本実施の形態では、底面13cの凹所13yに隣接する傾斜面の傾斜角度を45°、底面13cの噴射開口部11に最も近接する傾斜面の傾斜角度を10°とし、噴射開口部11のギャップ量を0.015mmとすることによって、洗浄液4を60m/sの流速で噴射することができ、基板洗浄を効果的に実施できる。
【0043】
さらに、凹所13xと凹所13yとの境目および凹所13yと凹所13zとの境目には、それぞれ、凹所13が延びる方向に予め定める間隔をあけて、第2の構成部材6の対向面まで延びる支持部14a,14bが形成され、凹所13の高圧洗浄液4に対する耐久性などを向上させる。
【0044】
また、凹所13内には、凹所13が延びる方向に予め定める間隔をあけて第2の構成部材6の対向面(後述する第1平面部20aまたは第2平面部20b)まで延びる柱状部16が形成される。この柱状部16を利用して、第1の構成部材5の凹所形成面12に対向する面5aから柱状部16の第2の構成部材6との当接面に向けて、洗浄液噴射方向に垂直な方向に第1の構成部材5を貫通するようにボルト挿入孔7aが形成される。ボルト挿入孔7aを臨む、柱状部16を含む第1の構成部材5の内壁には、雌ねじが刻設され、第1の構成部材5と第2の構成部材6とを接合するためボルト7が挿入される。
【0045】
また、第1の構成部材5には、第1の構成部材5の長手方向において所定の間隔をあけて、面5aから凹所形成面12に向けて、洗浄液噴射方向に垂直な方向に、第1の構成部材5を貫通するように、第1の構成部材5と第2の構成部材6とを接合するためのボルト8を挿入するボルト挿入孔8aと、第1の構成部材5と第2の構成部材6とを接合する際の位置決め用ピン17を挿入するためのピン挿入孔17aとが形成される。ボルト挿入孔8aを臨む第1の構成部材5の内壁には、雌ねじが刻設される。
【0046】
また、第1の構成部材5は、面5aにおいて長手方向に所定の間隔をあけて外方に開口しかつ凹所13xに連通する洗浄液供給口18が1または2以上形成される。洗浄液供給口18は、洗浄液供給手段31の洗浄液供給管37に接続される。洗浄液供給手段31については後述する。
【0047】
第1の構成部材5は、たとえば、その凹所形成面12において研削加工により凹所13を形成し、仕上げ加工の際に、凹所形成面12における、凹所13以外の部分である面12a,12b,12cを同時加工することにより、これらの面が1つの仮想平面内に含まれるように高い精度で加工される。面12a,12b,12cの加工には、たとえば、研削盤が用いられる。そのためには、第1の構成部材5の短手方向における断面形状を、研削盤による仕上げが可能な形状にしておく必要がある。特に、仕上げが必要な部分に対して、同一の砥石で加工できるように、仕上げが必要な面(ここでは面12a,12b,12c)から突起を設けない断面形状とするのが好ましい。
【0048】
略直方体形状の部材である第2の構成部材6において、第1の構成部材5の凹所形成面12に対して接合される接合面20は、1つの段差を有して互いに平行に形成される第1平面部20aと、第2平面部20bとからなる。第1平面部20aおよび第2平面部20bは第2の構成部材6を加工形成する際に同時に加工されるので、それぞれが高い平面度を有し、かつ2つの面の平行度が高い精度を有するように仕上げられる。
【0049】
第1の構成部材5と第2の構成部材6との接合体において、第1平面部20aは少なくともその一部が凹所形成面12に当接する。また、該接合体において、第2平面部20bと凹所形成面12、特に面12cとは平行に離隔し、これによって、洗浄液噴射路19aと、洗浄液噴射路19aの洗浄液噴射方向の先端部において、洗浄液噴射路19aが外方に向けて開口する噴射開口部11とが形成される。ここで、第1の構成部材5の面12cおよび第2の構成部材6の第2平面部20bは、前述のように、いずれも高い平面度を有し、高い精度で仕上げられるので、面12cと第2平面部20bとの間隔を高精度で管理でき、洗浄液噴射方向に直交する方向の長さが均一な洗浄液噴射路19aを形成できる。洗浄液噴射路19aは流路19の一部を成す。洗浄液噴射路19aの洗浄液噴射方向の長さは1mm以上、5mm以下であることが好ましい。また洗浄液噴射路19aにおいて、第1の構成部材5の面12cおよび第2の構成部材6の第2平面部20bにおける少なくとも洗浄液4と接触する部分は、表面粗度Rmax=1μm以下になるように形成するのが好ましい。面12cおよび第2平面部20bを前記表面粗度になるように形成してもよい。また、洗浄液噴射路19aにおいて、第2の構成部材6の第1平面部20aを洗浄液噴射方向に延長した仮想平面と、面12cおよび第2平面部20bとの洗浄液噴射方向に直交する方向の離隔距離が同じであるように洗浄液噴射路19aが形成されるのが好ましい。
【0050】
また、接合面20には、第1の構成部材5のボルト挿入孔7a,8aおよび位置決め用ピン挿入孔17aに対応する位置に、ボルト挿入孔7b,8bおよび位置決めようピン挿入孔17bが形成される。ボルト挿入孔7b,8bを臨む第2の構成部材6の内壁には、雌ねじが刻設される。また、ボルト挿入孔7b,8bは、接合面19から第2の構成部材6における接合面19に対向する面6aに向けて、洗浄液噴射方向に直交する方向に形成されるけれども、第2の構成部材6を前記の方向に貫通しないように形成される。一方、ピン挿入孔17bは、洗浄液噴射方向に直交する方向において、接合面19から面6aに向けて第2の構成部材6を貫通するように形成される。
【0051】
第1の構成部材5と第2の構成部材6との接合は、たとえば、第1の構成部材5のピン挿入孔17aに凹所形成面12の方から位置決め用ピン17の一部を挿入し、位置決め用ピン17の凹所形成面12から外方に向けて突出する部分を、第2の構成部材6における接合面20の方からピン挿入孔17bに嵌入して第1の構成部材5の凹所形成面12と第2の構成部材6の接合面20とを当接し、さらにボルト7が第1の構成部材5における面5aの方からボルト挿入孔7a,7bに挿入され、ボルト8が第1の構成部材5における面5aの方からボルト挿入孔8a,8bに挿入され、それぞれの雌ねじに螺合されることによって行われる。これにより、第1の構成部材5と第2の構成部材6との接合体が得られる。
【0052】
第3の構成部材9a,9bは、第1の構成部材5と第2の構成部材6との接合体における凹所が延びる方向(長手方向)の一端部と、該一端部に対向する他端部において凹所が外方に向けて開口する開口部を閉塞するための板状部材であり、該接合体の短手方向の断面形状と同一の形状に形成されるのが好ましい。第3の構成部材9a,9bを該接合体に押圧して固定するために、シール材10a,10bが用いられる。シール材10a,10bには、たとえば、パッキンなどが用いられる。
【0053】
基板洗浄ノズル2によれば、洗浄液供給口18から供給される洗浄液4を流路19内に流過させ、スリット状の噴射開口部11から外方に向けて均一な液膜である噴射流21を噴射する。噴射流21は、基板3の搬送方向34の下流側から上流側に向けて(すなわち搬送方向34とは逆方向に)、基板3の被洗浄面3aに噴射される。これにより、被洗浄面3a上で洗浄液4のせん断流22が発生し、被洗浄面3aに付着するパーティクルなどの微粒子、汚れなどを、後続の工程で問題にならない程度またはそれ以下の程度まで除去する。また、噴射流21の噴射によって、基板3の搬送方向34の下流側から上流側に向けてせん断流22が発生するので、被洗浄面3aから除去される微粒子、汚れなどは速やかに基板3の幅方向(被洗浄面3aにおいて搬送方向34に直交する方向)に流過し、洗浄液34とともに被洗浄面3aから下方に落下する。したがって、一旦除去された微粒子、汚れなどの被洗浄面3aへの再付着も防止される。基板洗浄ノズル2から噴射される噴射流21の噴射速度は、被洗浄面3aに付着する微粒子、汚れなどの種類、洗浄後の基板3の用途などに応じて、広い範囲から適宜決定できるので、常に、被洗浄面3aを所望の清浄度に洗浄できる。また、基板洗浄ノズル1から噴射される噴射流21と、基板3の被洗浄面3aとがなす傾斜角度θは、特に制限されないけれども、好ましくは45〜90°である。傾斜角度θの大きさが、たとえば、せん断流22の流速に影響を及ぼすので、被洗浄面3aに付着する微粒子、汚れなどの種類に応じて傾斜角度θを適宜決定してもよい。
【0054】
基板搬送手段30は、基板3を載置し、軸線まわりの回転駆動により基板3を矢符34の方向(搬送方向)に搬送する複数の搬送ローラ32と、搬送ローラ32を回転駆動可能に軸支する複数の搬送シャフト33と、搬送シャフト33をその軸線まわりに回転駆動させる動力を発生させる図示しない駆動手段と、駆動手段からの動力を複数の搬送シャフト33に伝達する図示しない動力伝達手段とを含んで構成される。 基板3は、被洗浄面3aの反対側の面3bが搬送ローラ32に接するように搬送ローラ32上に載置される。
【0055】
複数の搬送シャフト33は、それらの軸線が同一平面内において互いに平行になるように、また該平面が搬送ローラ32上に載置される基板3の被洗浄面3aに対して平行になるように配置される。
【0056】
駆動手段にはたとえば電動機が用いられ、動力伝達手段には無端状に形成されるベルトが用いられる。
【0057】
基板搬送手段30によれば、駆動手段と動力伝達手段とによって、搬送シャフト33が軸線まわりに回転駆動し、搬送ローラ32がその軸線まわりに回転駆動する。搬送ローラ32の回転によって、搬送ローラ32上に載置される基板3が矢符34の方向に搬送される。基板3は、搬送過程において、基板洗浄ノズル2により洗浄液4の噴射流21が噴射される領域を通過する時に、噴射流21によりその被洗浄面3aが洗浄される。
【0058】
洗浄液供給手段31は、洗浄液4を貯留する洗浄液貯留槽35と、洗浄液4を洗浄液貯留槽35から揚液し、加圧する高圧ポンプ36と、高圧ポンプ36によって加圧される洗浄液4を基板洗浄ノズル2に供給する洗浄液供給管37とを含んで構成される。洗浄液供給手段37によれば、洗浄液貯留槽35内の洗浄液4は、高圧ポンプ36により、洗浄液供給管35を介して加圧状態で基板洗浄ノズル2に供給される。
【0059】
基板洗浄装置1においては、洗浄液貯留槽35中の洗浄液4が加圧状態で基板洗浄ノズル2に供給され、該ノズル2の噴射開口部11から噴射流21として噴射される。この噴射流21は、搬送ローラ32の回転駆動により矢符34の方向に搬送されてくる基板3の被洗浄面3aに衝突してせん断方向のせん断流22となり、被洗浄面3aに付着するパーティクルなどの微細粒子、よごれなどを除去し、これらを含んだまま被洗浄面3aから下方に落下する。このようにして被洗浄面3aの全面が洗浄された後、基板3はさらに矢符34の方向に搬送され、次なる工程に供される。
【0060】
本実施の形態では、洗浄液4として純水が用いられるけれども、それに限定されず、水よりも洗浄力が強力なアルカリ水素水、オゾン水、過酸化水素水、アルカリ水などの薬液、これらの2種以上の混合液を使用してもよい。
【0061】
本発明の基板洗浄ノズルおよび基板洗浄装置は、たとえば、液晶表示素子、PDP(プラズマディスプレイパネル)などのフラットパネルディスプレイ、半導体などの製造工程、シリコン基板などの半導体基板、ガラス基板などの洗浄において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の第1形態である基板洗浄装置1の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示す基板洗浄ノズルの外観を示す斜視図である。
【図3】図3(a)は図2に示す基板洗浄ノズルの切断面線I−Iから見た断面図である。図3(b)は図2に示す基板洗浄ノズルの切断面線II−IIから見た断面図である。図3(c)は図2に示す基板洗浄ノズルの切断面線III−IIIから見た断面図である。
【図4】図1に示す基板洗浄ノズルの吐出部周辺を拡大して示す断面図である。
【図5】特許文献1に記載の基板洗浄ノズルおよびそれを含む基板洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 基板洗浄装置
2 基板洗浄ノズル
3 基板
3a 被洗浄面
4 洗浄液
5 第1の構成部材
6 第2の構成部材
7,8 ボルト
7a,7b,8a,8b ボルト挿入孔
9a,9b 第3の構成部材
10a,10b シール部材
11 噴射開口部
12 凹所形成面
13,13x,13y,13z 凹所
13a,13b,13c 底面
14a,14b 支持部
16 柱状部
17 位置決め用ピン
17a,17b 位置決めピン挿入孔
18 洗浄液供給口
19 流路
19a 洗浄液噴射路
20 接合面
20a 第1平面部
20b 第2平面部
21 噴射流
22 せん断流
30 基板搬送手段
31 洗浄液供給手段
32 搬送ローラ
33 搬送シャフト
34 基板搬送方向
35 洗浄液貯留槽
36 高圧ポンプ
37 洗浄液供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直方体形状を有し、長手方向の一端部から一端部に対向する他端部に向けて延びる凹所が形成される面を少なくとも1つ有する第1の構成部材と、
略直方体形状を有し、かつ第1の構成部材における凹所が形成される面に対して接合される面を有し、第1の構成部材と接合されることによって、前記凹所を洗浄液が流過する流路と成し、凹所が延びる方向に対して直交する方向の一側端部において、第1の構成部材の一側端部とともに外方に向けて開口する噴射開口部を形成する第2の構成部材と、
第1の構成部材と第2の構成部材との接合体における前記一端部と他端部とにおいて凹所が形成する開口部を閉塞するように設けられる第3の構成部材とを含み、
第1の構成部材における凹所が形成される面に対して接合される第2の構成部材の面は、1つの段差を有して互いに平行に形成される2つの第1平面部と第2平面部とから成り、
第1の構成部材と第2の構成部材とは、第1平面部が第1の構成部材の凹所が形成される面と当接し、第2平面部が第1の構成部材の凹所が形成される面と間隔を有するようにして接合されることを特徴とする基板洗浄ノズル。
【請求項2】
第1の構成部材の凹所は、
第2の構成部材に対向する底面が、噴射開口部から噴射される洗浄液噴射方向に対する傾斜角度および/または傾斜長さが異なる2つ以上の傾斜面を有するように形成されることを特徴とする請求項1記載の基板洗浄ノズル。
【請求項3】
噴射開口部に最も近接する傾斜面は、
洗浄液噴射方向に対して傾斜角度15°以下および傾斜長さ10mm以下であることを特徴とする請求項2記載の基板洗浄ノズル。
【請求項4】
洗浄液を流過させる流路は、
第1の構成部材の凹所底面における傾斜面よりも洗浄液噴射方向の下流側において、第1の構成部材の凹所が形成される面と第2の構成部材の第2平面部とが平行に離隔して形成される洗浄液噴射路と、
洗浄液噴射路の洗浄液噴射方向の先端部において、洗浄液噴射路が外方に向けて開口する噴射開口部とを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の基板洗浄ノズル。
【請求項5】
第2の構成部材の第1平面部を洗浄液噴射方向に延長した仮想平面と、洗浄液噴射路を形成する第1の構成部材の凹所が形成される面との洗浄液噴射方向に直交する方向の離隔距離は、
前記仮想平面と、洗浄液噴射路を形成する第2の構成部材の第2平面部との洗浄液噴射方向に直交する方向の離隔距離と同じであることを特徴とする請求項4記載の基板洗浄ノズル。
【請求項6】
洗浄液噴射路は、
洗浄液噴射方向において1mm以上、5mm以下の長さを有することを特徴とする請求項4または5記載の基板洗浄ノズル。
【請求項7】
洗浄液噴射路における第1および第2の構成部材の洗浄液との接触面は、
表面粗度Rmax 1μm以下であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1つに記載の基板洗浄ノズル。
【請求項8】
第1の構成部材には、凹所が延びる方向に予め定める間隔をあけて第2の構成部材の第1平面部または第2平面部まで延びる柱状部が凹所内に複数形成され、
第1の構成部材と第2の構成部材とは、柱状部において接合されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の基板洗浄ノズル。
【請求項9】
第2の構成部材の第2平面部は、
噴射開口部から洗浄液噴射方向とは反対方向への長さが、噴射開口部の短辺長さの1000倍以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の基板洗浄ノズル。
【請求項10】
噴射開口部は、
短辺長さが50μm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の基板洗浄ノズル。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1つの基板洗浄ノズルと、
基板洗浄ノズルに高圧洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
被洗浄基板を載置して搬送する基板搬送手段とを含み、
基板搬送手段により搬送される被洗浄基板に対して、洗浄液供給手段から供給される高圧水を基板洗浄ノズルから噴射することによって被洗浄基板を洗浄することを特徴とする基板洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−44633(P2007−44633A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232474(P2005−232474)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】