説明

基板洗浄装置および基板洗浄装置を備えた基板供給装置

【課題】基板の表面がその一部または全体にわたって静電気を帯びていたとしても、基板の表面に付着した種々のごみや埃などを容易に洗浄することができる基板洗浄装置を提供する。
【解決手段】本発明の基板洗浄装置は、基板を移動自在に支持するフレームと該フレームに対して回転自在に取り付けられたロールブラシとが備えられ、前記基板の表面が前記ロールブラシで擦られて洗浄される基板洗浄装置であって、前記ロールブラシが導電性ブラシからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板洗浄装置および基板洗浄装置を備えた基板供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板の表面を洗浄する装置として、以下の特許文献1に記載のクリーニングマシンが提案されている。
このクリーニングマシンは、基板のエッジ部分を搭載して基板を搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトにより搬送される基板に、回転しながら加圧接触する吸着ローラーと、吸着ローラーに、回転しながら加圧接触する粘着ローラーと、吸着ローラーを基板に接触する位置から離れた位置へ移動させる手段とを備えている。
【0003】
このクリーニングマシンにおいて、搬送ベルトで搬送される基板は、その表面に吸着ローラーが加圧接触される。吸着ローラーは、シリコンゴム系の樹脂で形成され、濡れ性により基板表面のごみや埃を吸着することにより、基板がクリーニングされる。吸着ローラーはその表面に粘着材等を有しないので、ローラーから粘着材が基板に付着するような事故を防止することができる。吸着ローラーに吸着されたごみ等は、吸着ローラーが更に粘着ローラーに加圧接触することにより、吸着ローラーから粘着ローラーへ転写される。したがって、吸着ローラーは、長時間に渡ってクリーニング効果を持続することができる。このクリーニングマシンにおいては、基板はエッジ部分が搬送ベルトに保持され、搬送ベルトの反対側の片面のみがクリーニングされる。したがって、電子部品を搭載済みの基板の裏面をクリーニングする場合でも、電子部品を下面に、裏面を上面に配置して搬送ベルトに載せることにより、クリーニング処理をすることができる。また、クリーニングマシンにより処理を行わない、或いは処理ができない基板が投入された場合、吸着ローラーは基板に接触する位置から離れた位置へ移動する。これにより、このクリーニングマシンは、種々の形式の基板に対応することができるので、プリント基板の製造ラインに組み込むことが可能となる。このようにクリーニングマシンをインライン化することにより、基板をクリーニングした後、すぐに印刷工程に移行することができるので、再度基板にごみ等が付くことを防止し、クリーニング効果を更に向上することできる。
【0004】
ところで、プリント基板の表面には種々のごみや埃などが付着しているとともに、プリント基板の表面の一部または全体にわたって静電気を帯びていることがある。プリント基板の表面が静電気を帯びている場合には、上記のごみや埃などがより強固にプリント基板に付着しており、吸着ローラーによって基板の表面を洗浄しようとしても、ごみや埃などを十分に取り除くことができないという虞があった。
【特許文献1】特開2002−353598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、基板の表面がその一部または全体にわたって静電気を帯びていたとしても、基板の表面に付着した種々のごみや埃などを容易に洗浄することができる基板洗浄装置を提供することを目的とする。また、基板洗浄装置を備えた基板供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の基板洗浄装置は、基板を移動自在に支持するフレームと該フレームに対して回転自在に取り付けられたロールブラシとが備えられ、前記基板の表面が前記ロールブラシで擦られて洗浄される基板洗浄装置であって、前記ロールブラシが導電性ブラシであることを特徴とする。
また、前記フレームに支持されて移動される前記基板を望む位置には、帯電された流体を噴出させるノズルが設けられていることが好ましい。
かかる構成によれば、導電性ブラシを用いることにより、基板を容易に洗浄することができる。さらに、基板に向けて帯電された流体を噴出させることにより基板が除電されるので、ロールブラシによってより容易に基板を洗浄することができる。
【0007】
また本発明の基板洗浄装置においては、前記ノズルが、前記ロールブラシに対して前記基板の搬送方向上流側または下流側のいずれか一方または両方に配置されていることが好ましい。
かかる構成によれば、上記と同様の効果が得られる。
【0008】
また本発明の基板洗浄装置においては、前記フレームが、前記基板を搬送する搬送レールを備えた本体部と、前記本体部の上部に取り付けられて内部に前記ロールブラシが備えられた箱形の洗浄部とから構成され、前記洗浄部が前記本体部に対して上下方向に可動自在とされていることが好ましい。
この構成によれば、洗浄部が本体部に対して上下方向に可動自在とされているので、基板の厚みに合わせて搬送レールとロールブラシとの間隔を調整することができ、これにより基板に対するロールブラシの押圧量を適度に合わせることが可能になる。
【0009】
また本発明の基板洗浄装置においては、前記フレームが、前記基板を搬送する搬送レールを備えた本体部と、前記本体部の上部に取り付けられて内部に前記ロールブラシが備えられた箱形の洗浄部とから構成され、前記洗浄部には前記ロールブラシを洗浄するための集塵排出用ノズルが設けられ、前記フレームには、前記洗浄部と前記ロールブラシとの間を流通する気流を遮断する遮断部材が備えられ、前記遮断部材は前記搬送レールと連動して前記ロールブラシの長手方向に沿って移動自在とされていることが好ましい。
この構成によれば、洗浄部に集塵排出用ノズルが設けられているので、集塵排出用ノズルから前記洗浄部内の空気を吸引して前記ロールブラシに付いた汚れを除去できる。
また、フレームには、搬送レールと連動して移動自在とされた遮断部材が備えられており、この搬送部材は、基板の大きさに対応して洗浄部内において位置決めされる。一方、ロールブラシは、基板の大きさに対応して基板に接触する接触部と非接触部とに分けられ、接触部のみに汚れが付着する。気流を遮断する遮断部材は、このロールブラシの接触部と非接触部の境界に配置されるので、集塵排出用ノズルの吸引によって生じる気流をロールブラシの接触部のみに流通させ、非接触部への気流の流通を防止できる。これにより、集塵排出用ノズルの吸引によるロールブラシの洗浄効率を向上させることができる。
【0010】
次に、本発明の基板供給装置は、基板を収納する収納ラックと、該収納ラックを昇降させる昇降装置と、前記基板を搬送する搬送装置とを具備してなり、更に先のいずれかに記載の基板洗浄装置が取り付けられていることを特徴とする。
かかる構成によれば、基板を基板洗浄装置に搬送でき、搬送された基板に向けて帯電された流体を噴出させることにより基板が除電されるので、ロールブラシによって容易に基板を洗浄することができ、洗浄された基板を後工程装置に供給することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上に説明したように、本発明の基板洗浄装置よれば、導電性ブラシを用いることにより、基板の表面がその一部または全体にわたって静電気を帯びていたとしても、基板の表面に付着した種々のごみや埃などを容易に洗浄することができる。
また、基板の表面が静電気を帯びていたとしても、基板に向けて帯電された流体を噴出させることによって、この静電気を除電させることができ、これによりロールブラシによる基板洗浄をより効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態である基板洗浄装置および基板供給装置について図面を用いて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
尚、図1は基板供給装置の一例を示す正面図であり、図2は基板洗浄装置の斜視図であり、図3は基板洗浄装置の要部拡大図であり、図4は基板洗浄装置の分解斜視図である。
【0013】
図1に示す本実施形態の基板供給装置1は、昇降装置2と、昇降装置2に収納ラック4を供給および排出する搬送装置3と、プリント基板(以下、単に基板と記す。)を洗浄する基板洗浄装置5と、基板Pを基板洗浄装置5に押し出す押出シリンダ6とを備えている。昇降装置2には、ボールネジ7、ガイドシャフト8,8に沿って昇降するテーブル9が設けられ、このテーブル9上に収納ラック4を載置するようになっている。搬送装置3は、上下二段に構成されており、下段が収納ラック4を昇降装置2に向けて搬送してこれを供給する供給コンベア10となり、上段が収納ラック4を昇降装置2から受け取りこれを排出する排出コンベア11となっている。また、昇降装置2のテーブル9には、収納ラック4をテーブル上の所定位置まで完全に移動させるためのコンベア12が設置されている。
【0014】
このような構成の基板供給装置1では、供給コンベア10で搬送されてきた収納ラック4をテーブル9に載置した後、テーブル9を上昇させて、収納ラック内の最上段の基板Pと基板供給装置1の前方に設けられた基板洗浄装置5の搬送レール13との高さを合わせる。その後、水平方向に往復運動する押出シリンダ6によって、収納ラック4の後端面4b側から基板洗浄装置5の下方に配置された搬送レール上に基板Pを押し出すようになっている。
【0015】
次に図2に示すように、基板洗浄装置5は、搬送された基板Pの表面を洗浄するものであって、基板Pを移動自在に支持するフレーム29とフレーム29に対して回転自在に取り付けられたロールブラシ17とから概略構成されている。
フレーム29は、搬送レール13を有する本体部29aと、本体部29aの上部に取り付けられる洗浄部29bとから構成されている。
洗浄部29bには、図2に示すように、洗浄ユニットAが内蔵されている。洗浄ユニットAは、図3に示すように、筐体15と、筐体15に取り付けられた2つの除電装置16と、2つの除電装置16の間に配置されるとともに筐体15に回転自在に取り付けられたロールブラシ17と、ロールブラシ17を回転駆動する回転用モータ18と、除電装置16を制御するコントローラー19とが取り付けられて構成されている。
次に本体部29aには、基板供給装置1から押し出された基板Pを案内する一対の搬送レール13がロールブラシ17の下方に取り付けられている。この搬送レール13に案内された基板Pがロールブラシ17の下方を通過する際に、基板表面がロールブラシ17に接触するように搬送レール13がロールブラシ17に対して位置決めされている。
【0016】
図4に示すように、除電装置16は、流体供給部20と供給管21とを有しており、供給管21には、図示略の複数のノズルが供給管21の長手方向に沿って形成されている。また、ノズルは、基板Pの表面側に向けて開口されている。流体供給部20には、図示略の放電機構を有する流路が設けられており、流路を通過する空気等の流体に対してコロナ放電等を行い、空気等の流体を帯電させることができるようになっている。また、供給管21は、搬送レール13に沿って搬送される基板Pを望む位置に取り付けられており、更に供給管21には図示略のノズルが搬送される基板側に設けられている。この構成によって、図示略の複数のノズルから帯電させた空気等の流体を搬送途中の基板表面に対して吹き付けられるようになっている。一方の除電装置16の一端には、軸受22を有する軸受部23が設けられている。ロールブラシ17は、ナイロン、馬毛等から選ばれる材質で構成されており、ブラシ軸23を有している。また、ロールブラシ17は導電性ブラシを用いてもよい。導電性ブラシは、ブラシ毛に銅、カーボン等の導電性材料を用いたものである。
【0017】
基板洗浄装置5を組み立てる場合には、筐体15の支持具24と側壁部26,27を接続し、2つの除電装置16を支持具24および側壁部26に取り付ける。次に、除電装置16の軸受22にロールブラシ17のロール軸28の一端を取り付け、支持具25でロール軸28の他端を固定する。最後に、コントローラー19を筐体15に取り付け、回転用モータ18を一方の除電装置16の軸受部23に取り付けることによって、洗浄ユニットAを完成させる。そして、洗浄ユニットAを洗浄部29bに組み込み、更に洗浄部29aを、搬送レール13を有する本体部29の上部に取り付ける。このようにして基板洗浄装置5を組み立てる。
【0018】
次に図1及び図2を参照して、本実施形態の基板洗浄装置5における基板Pの表面の洗浄工程について説明する。シリンダ6により押し出された基板Pは、基板洗浄装置5の下方に設けられた搬送レール13を移動して基板洗浄装置5の下方に搬送される。搬送された基板Pには、一方の除電装置16aから帯電された空気等の流体が矢印Bに示す方向に沿って吹きつけられ、これにより基板Pの表面が除電される。次に、除電された基板Pは、600rpmで回転しているロールブラシ17の下を基板Pがロールブラシ17に接触されたまま通過する。基板表面が予め除電されているので、ロールブラシ17で基板表面を擦るだけで基板表面に付着している埃等の汚れが容易に除去される。その後、他方の除電装置16bによって、基板Pの表面が再び除電される。こうして除電・洗浄された基板Pは、後工程装置30に搬送される。
【0019】
以上に説明したように、本実施形態の基板洗浄装置よれば、導電性ブラシを用いることにより、基板を容易に洗浄することができる。さらに、除電装置によって帯電した空気を基板に吹きつけることにより基板の表面を除電させるので、基板表面に付着している埃等の除去対象物の基板に対する静電気的な吸着力を弱めることができる。このように吸着力が弱まった埃等の除去対象物は、ロールブラシによって基板表面を擦ることで容易に除去することができる。これにより、基板の清浄度を飛躍的に高めることができる。
【0020】
次に、図5〜図7には、本実施形態の基板洗浄装置51の別の例を示す。
この図5〜図7に示す基板洗浄装置51と、図1〜図4に示した基板洗浄装置1との相違点は、基板洗浄装置51において除電装置を省略するとともに、導電性ブラシの上方に集塵排出ノズルを設け、更に搬送レールを短くした点である。
【0021】
図5〜図7に示すように、基板洗浄装置51は、基板Pを移動自在に支持するフレーム79とフレーム79に対して回転自在に取り付けられたロールブラシ67とから概略構成されている。ロールブラシ67は、ブラシ毛に銅、カーボン等の導電性材料を用いてなる導電性ブラシである。
フレーム79は、搬送レール63を有する本体部79aと、本体部79aの上部に取り付けられる洗浄部79bとから構成されている。
【0022】
洗浄部79bは、図5〜図7に示すように、下側に開口部79cを設けたフード状(箱形)の部材であって、上側には集塵排出用ノズル80が取り付けられている。この集塵排出用ノズル80の先には、図示しない集塵機が取り付けられている。また、この洗浄部79bには、洗浄部79bに回転自在に支持されたロールブラシ67と、ロールブラシ67を回転駆動させるモータが内蔵されたモータハウジング68が取り付けられている。ロールブラシ67は、集塵排出用ノズル80の直下に取り付けられている。
【0023】
次に本体部79aは、一片79a及び他片79aとからなる略L字形状の金具であって、一片79aが基板供給装置1にボルトで接合されており、また他片79aが洗浄部79bに接合されている。このようにして本体部79aは、基板供給装置1と洗浄部79bとを連結している。
また、本体部79aには、基板供給装置1から押し出された基板Pを案内する一対の搬送レール63が取り付けられている。この搬送レール63に案内された基板Pがロールブラシ67の下方を通過する際に、基板表面がロールブラシ67に接触するように搬送レール63がロールブラシ67に対して位置決めされている。
【0024】
また図6に示すように、本体部79aには、搬送レール63の間隔調整機構が備えられている。この幅調整機構Mは、本体部79aの他片79a、79a同士の間に掛け渡されたスライドレール81,81と、スライドレール81、81に固定されたストッパ82と、スライドレール81、81に対して可動自在に取り付けられた調整スライダ83とから構成されている。ストッパ82及び調整スライダ83には先の搬送レール63,63が取り付けられている。調整スライダ83の位置を調整することで、搬送レール63,63の間隔を基板Pの幅に合わせられるようになっている。
【0025】
基板洗浄装置51における基板Pの表面の洗浄工程について説明すると、基板供給装置からシリンダ6によって押し出された基板Pは、基板洗浄装置51の下方に設けられた搬送レール63を移動して基板洗浄装置51の下方に搬送される。搬送された基板Pは、600rpmで回転しているロールブラシ67の下を通過する。このときに基板表面がロールブラシ67によって擦られて、基板表面に付着している埃等の汚れが容易に除去される。その後、ロールブラシ67に付着された汚れは、集塵排出用ノズル80を通じて図示しない集塵機に吸引される。このようにしてロールブラシ67から汚れが取り除かれ、再び基板表面の汚れの除去に用いられる。こうして洗浄された基板Pは、後工程装置に搬送される。
【0026】
上記の基板洗浄装置51によれば、基板供給装置1と洗浄部79bとが本体部79aによって連結されているので、基板供給装置1からロールブラシ67間での距離が近くなり、またこれに伴って搬送レール63を短くすることができ、基板洗浄装置51の小型化を図ることができる。
また、ロールブラシ67がフード状の洗浄部69bの内部に配置されているので、外部の集塵機を洗浄部69bの集塵排出用ノズル80に取り付けて吸引することによって、ロールブラシ67に付着した汚れを容易に取り除くことができる。これにより、ロールブラシ67を常に綺麗な状態に保つことができ、ロールブラシ67のメンテナンスの頻度が少なくなり、基板洗浄装置51を長時間に渡って連続して稼働させることができる。
【0027】
次に図8には、本実施形態の基板洗浄装置の更に別の例を示す。図8に示す基板洗浄装置101は、フレームの洗浄部が本体部に対して上下方向に可動自在とされた装置である。この基板洗浄装置101は、上記の基板洗浄装置51と同様に、基板Pを移動自在に支持するフレーム179とフレーム179に対して回転自在に取り付けられた図示略のロールブラシとから概略構成されている。フレーム179は、搬送レール163を有する本体部179aと、本体部179aの上部に取り付けられた洗浄部179bとから構成されている。
【0028】
洗浄部179bは、下側に開口部179cを設けたフード状(箱形)の部材であって、上側には集塵排出用ノズル180が取り付けられている。この集塵排出用ノズル180の先には、図示しない集塵機が取り付けられている。また、この洗浄部179bには、洗浄部179bに回転自在に支持された図示略のロールブラシと、ロールブラシを回転駆動させるモータが内蔵されたモータハウジング168が取り付けられている。ロールブラシは、集塵排出用ノズル180の直下に取り付けられている。
【0029】
本体部179aは、一片179a及び他片179aとからなる略L字形状の金具であって、一片179aが基板供給装置1にボルトで接合されており、また他片179aが洗浄部79bに連結されている。他片179aには洗浄部179b側に突出する突片179aが設けられており、この突片179aがボルト179a等の固定部材を介して洗浄部179bに連結されている。このようにして洗浄部179bは、ボルト179a等の固定部材を軸にして本体部179aに回転自在に軸支されている。
また、他片179aのボルト179aから離れた位置には突起179aが設けられており、この突起179aは洗浄部179に設けられた長孔179bに挿入されている。突起179aが長孔179bに挿入されることによって、洗浄部179bの回転範囲が規制されている。また、長孔179bの長手方向が、搬送レール163上の基板Pの基板面に対して略斜め方向若しくは略垂直方向に向けられている。
以上の構成によって、洗浄部179bが本体部179aに対して上下方向に可動自在とされている。
尚、突起179aには雄ネジ部が設けられていても良く、更にこの雄ネジ部に対してナット等を装着しても良い。突起179aに設けられた雄ネジ部にナット等を装着することにより、本体部179aに対して洗浄部179bを適当な位置に固定することができる。
【0030】
図8に示した基板洗浄装置101によれば、洗浄部179bが本体部179aに対して上下方向に可動自在とされているので、基板Pの厚みに合わせて搬送レール163とロールブラシとの間隔を調整することができ、これにより基板Pに対するロールブラシの押圧量を適度に合わせることができる。また、搬送レール163とロールブラシとの間隔を調整は、例えば、突起179aの雄ネジ部に装着されたナット等をゆるめることで容易に調整できる。
【0031】
次に図9には、本実施形態の基板洗浄装置の他の例を示す。図9に示す基板洗浄装置201は、洗浄部と前記ロールブラシとの間を流通する気流を遮断する遮断部材が備えられた装置である。この基板洗浄装置201は、上記の基板洗浄装置51と同様に、基板Pを移動自在に支持するフレーム279とフレーム279に対して回転自在に取り付けられたロールブラシ267とから概略構成されている。フレーム279は、搬送レール263を有する本体部279aと、本体部279aの上部に取り付けられた洗浄部279bとから構成されている。
【0032】
洗浄部279bは、下側に開口部279cを設けたフード状(箱形)の部材であって、上側には集塵排出用ノズル280が取り付けられている。この集塵排出用ノズル280の先には、図示しない集塵機が取り付けられている。また、この洗浄部279bには、洗浄部279bに回転自在に支持されたロールブラシ267と、ロールブラシ267を回転駆動させるモータが内蔵されたモータハウジング268が取り付けられている。ロールブラシ267は、集塵排出用ノズル280の直下に取り付けられている。
【0033】
また図9に示すように、本体部279aには、搬送レール263の間隔調整機構Mが備えられている。この幅調整機構Mは、先の基板洗浄装置51と同様に、スライドレール81,81と、スライドレール81、81に固定されたストッパ282と、スライドレール81、81に対して可動自在に取り付けられた調整スライダ283とから構成されている。ストッパ282及び調整スライダ283には先の搬送レール263,263が取り付けられている。調整スライダ283の位置を調整することで、搬送レール263,263の間隔を基板Pの幅に合わせられるようになっている。
【0034】
また、洗浄部279の内部には遮断部材290が備えられている。この遮断部材290は、一方の搬送レール263に接合されており、これにより遮断部材290は搬送レール263と連動してロールブラシ267の長手方向に沿って移動自在とされている。
遮断部材290は、図9及び図10に示すように、ロールブラシ267の通過部291aが設けられた遮断板291と、遮断板291からロールブラシ267の長手方向に沿って突出する複数のガイド部材292とから構成されている。ガイド部材292は、フレーム279の洗浄部279bの内面に対して摺動自在とされている。また、遮蔽板291は、ロールブラシ267の長手方向に対してほぼ垂直に設置されている。なお遮蔽板291の設置角度はロールブラシ267の長手方向に対して傾斜していても良い。以上の構成により、洗浄部279bとロールブラシ267との間を流通する気流を遮蔽板291によって遮断できるようになっている。
【0035】
フレーム279の洗浄部279bには、搬送レール263と連動して移動自在とされた遮断部材290が備えられており、この搬送部材290は、基板Pの大きさに対応して洗浄部279b内において位置決めされる。一方、ロールブラシ267は、図9に示すように基板Pの大きさに対応して基板Pに接触する接触部Cと非接触部Nとに分けられ、接触部Cのみに汚れが付着する。気流を遮断する遮断部材290は、このロールブラシ267の接触部Cと非接触部Nの境界に配置されるので、集塵排出用ノズル280の吸引によって生じる気流をロールブラシ267の接触部Cのみに流通させ、非接触部Nへの気流の流通を防止できる。これにより、集塵排出用ノズル280の吸引によるロールブラシ267の洗浄効率を向上させることができる。
【0036】
尚、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、本実施形態においては、2つの除電装置を用いたが、ロールブラシの上流側にのみ除電装置を設けて構成してもよい。また、本実施形態では洗浄装置によってプリント基板を洗浄する形態を示したが、プリント基板以外の他の基板であってもよい。
また、本発明の基板洗浄装置は、基板供給装置に限らず、印刷機、捺印機、検査機等基板実装用機器、その他基板を供給して各種処理を行う装置の全てに取り付け可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明にかかる基板洗浄装置および基板供給装置の一例を示す正面図である。
【図2】図1に示す基板洗浄装置の斜視図である。
【図3】図1に示す基板洗浄装置の要部拡大図である。
【図4】図1に示す基板洗浄装置の分解斜視図である。
【図5】基板洗浄装置の別の例を示す斜視図である。
【図6】図5に示す基板洗浄装置の正面図である。
【図7】図5に示す基板洗浄装置の側面図である。
【図8】基板洗浄装置の更に別の例を示す斜視図である。
【図9】基板洗浄装置の他の例を示す正面図である。
【図10】図9に示す基板洗浄装置の要部を示す側面図である。
【符号の説明】
【0038】
1…基板供給装置、2…昇降装置、3…搬送装置、4…収納ラック、5、51、101、201…基板洗浄装置、13、63、163、263…搬送レール、17、67、267…ロールブラシ、29、79、179、279…フレーム、29a,79a、179a、279a…本体部、29b、79b、179b、279b…洗浄部、280…集塵排出用ノズル、290…遮断部材、A…洗浄ユニット、P…プリント基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を移動自在に支持するフレームと該フレームに対して回転自在に取り付けられたロールブラシとが備えられ、前記基板の表面が前記ロールブラシで擦られて洗浄される基板洗浄装置であって、前記ロールブラシが導電性ブラシであることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項2】
前記フレームに支持されて移動される前記基板を望む位置に、帯電された流体を噴出させるノズルが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記ノズルが、前記ロールブラシに対して前記基板の搬送方向上流側または下流側のいずれか一方または両方に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
前記フレームが、前記基板を搬送する搬送レールを備えた本体部と、前記本体部の上部に取り付けられて内部に前記ロールブラシが備えられた箱形の洗浄部とから構成され、前記洗浄部が前記本体部に対して上下方向に可動自在とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
前記フレームが、前記基板を搬送する搬送レールを備えた本体部と、前記本体部の上部に取り付けられて内部に前記ロールブラシが備えられた箱形の洗浄部とから構成され、前記洗浄部には前記ロールブラシを洗浄するための集塵排出用ノズルが設けられ、前記フレームには、前記洗浄部と前記ロールブラシとの間を流通する気流を遮断する遮断部材が備えられ、前記遮断部材は前記搬送レールと連動して前記ロールブラシの長手方向に沿って移動自在とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の基板洗浄装置。
【請求項6】
基板を収納する収納ラックと、該収納ラックを昇降させる昇降装置と、前記基板を搬送する搬送装置とを具備してなり、更に請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の基板洗浄装置が取り付けられていることを特徴とする基板供給装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−295112(P2006−295112A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286469(P2005−286469)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(593164158)小松電子株式会社 (11)
【Fターム(参考)】