説明

基板貼り合わせ装置および基板貼り合わせ方法

【課題】貼り合わせの進行状態を検出することができる基板貼り合わせ装置および基板貼り合わせ方法を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る基板貼り合わせ装置は、第1の基板を載置する載置部と、前記載置部に載置された前記第1の基板と所定の間隔をあけて対峙させた第2の基板の周縁部を支持する基板支持部と、前記第2の基板の貼り合わせ面の一部と、前記第1の基板の貼り合わせ面の一部と、を接触させる接触部と、平面視において、前記第2の基板の貼り合わせ面の一部と、前記第1の基板の貼り合わせ面の一部と、が接触する位置から並べて設けられた複数の受光部と、前記受光部に入射させる光を照射する投光部と、前記受光部からの出力に基づいて貼り合わせの進行状態を演算する演算部と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板貼り合わせ装置および基板貼り合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置などの電子デバイスの製造において、2枚の基板の貼り合わせ面同士を貼り合わせて1枚の基板を形成する技術が知られている。例えば、いわゆるSOI(Silicon on Insulator)ウェーハの製造や、陽極接合法を用いてガラス基板とシリコン基板との接合を行う場合などにおいて、2枚の基板の貼り合わせ面同士を貼り合わせて1枚の基板を形成する技術が知られている。
この様な技術によれば、基板間に接着剤などを介在させることなく基板同士を貼り合わせることができる。そのため、貼り合わせ後の処理(例えば、プラズマ処理、熱処理、化学処理など)におけるプロセス条件の多様化を図ることができる。また、pn接合や絶縁膜の埋め込みなども容易とすることができる。
【0003】
ここで、貼り合わされる基板が部分的に変形するなどすれば、貼り合わされた基板間にボイドなどが発生するおそれがある。そのため、ボイドの発生を検出する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、貼り合わせの進行状態が不均一となると、ボイドの発生に至らなくても貼り合わされた基板に歪みが発生して、貼り合わせ品質が低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−303087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、貼り合わせの進行状態を検出することができる基板貼り合わせ装置および基板貼り合わせ方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る基板貼り合わせ装置は、第1の基板を載置する載置部と、前記載置部に載置された前記第1の基板と所定の間隔をあけて対峙させた第2の基板の周縁部を支持する基板支持部と、前記第2の基板の貼り合わせ面の一部と、前記第1の基板の貼り合わせ面の一部と、を接触させる接触部と、平面視において、前記第2の基板の貼り合わせ面の一部と、前記第1の基板の貼り合わせ面の一部と、が接触する位置から並べて設けられた複数の受光部と、前記受光部に入射させる光を照射する投光部と、前記受光部からの出力に基づいて貼り合わせの進行状態を演算する演算部と、を備えている。
【0007】
また、他の実施形態に係る基板貼り合わせ方法は、載置された第1の基板と所定の間隔をあけて第2の基板を対峙させる工程と、前記第2の基板の貼り合わせ面の一部と、前記第1の基板の貼り合わせ面の一部と、を接触させる工程と、前記第1の基板と前記第2の基板との接合開始位置から並べて設けられた複数の検出位置における状態変化を検出する工程と、前記複数の検出位置における状態変化に基づいて貼り合わせの進行状態を演算する工程と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、貼り合わせの進行状態を検出することができる基板貼り合わせ装置および基板貼り合わせ方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る基板貼り合わせ装置について例示するための模式図である。
【図2】検出部に設けられた投光部と受光部との配設形態を例示するための模式平面図である。
【図3】貼り合わせの進行状態の演算を例示するための模式グラフ図である。
【図4】他の実施形態に係る投光部と受光部との配設形態を例示するための模式図である。(a)は検出部に設けられた投光部と受光部との配設形態を例示するための模式平面図、(b)は(a)におけるB−B矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る基板貼り合わせ装置について例示するための模式図である。
図2は、検出部に設けられた投光部と受光部との配設形態を例示するための模式平面図である。なお、図2は図1におけるA−A矢視図である。
図1に示すように、基板貼り合わせ装置1には、処理容器11、載置部12、基板支持部13、押圧部14、排気部15、検出部17が設けられている。
【0011】
処理容器11は、気密構造となっており大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能となっている。処理容器11の側壁には、基板W1(第1の基板の一例に相当する)や基板W2(第2の基板の一例に相当する)などの搬入搬出を行うための開口部11aが設けられ、開口部11aを気密に開閉可能な開閉扉11bが設けられている。また、処理容器11の底部には、処理容器11内の排気をするための開口部11cが設けられている。
【0012】
処理容器11の内部には、貼り合わされる一方の基板W1を載置する載置部12が設けられている。また、載置部12には、載置面12aに載置された基板W1を保持する静電チャックなどの図示しない保持部を設けるようにすることもできる。その他、基板W1などの受け渡しの際に基板W1を支持するリフトピンなどを設けるようにすることもできる。
【0013】
処理容器11の内部であって、載置部12の周辺には、載置部12に載置された基板W1と所定の間隔をあけて対峙させた基板W2の周縁部を支持する基板支持部13が設けられている。
基板支持部13には、支持爪13a、移動部13b、基部13cが設けられている。
支持爪13aは、基板W2の周縁部を支持する。そして、支持爪13aに基板W2を支持させることで、載置部12に載置された基板W1と対峙する所定の位置に基板W2が支持されるようになっている。
【0014】
移動部13bは、基板W2を支持する位置と、基板W2の外方向に退避した位置との間で支持爪13aを移動させる。移動部13bは、例えば、サーボモータやパルスモータなどの制御モータを有するものとすることができる。
基部13cは、処理容器11の底部から立設され、その端部近傍に支持爪13a、移動部13bが設けられるようになっている。なお、支持爪13a、移動部13b毎に基部13cが設けられる場合を例示したがこれに限定されるわけではない。例えば、1つの基部13cに複数の支持爪13a、移動部13bが設けられるようにすることもできる。
【0015】
また、基板支持部13の配設数には特に限定はないが、基板W2の周縁の3箇所以上に均等に割り付けられるようにすることが好ましい。その様にすれば基板W2の支持状態を安定させることができる。
押圧部14には、移動部14a、移動軸14b、パッド14cが設けられている。
押圧部14は、載置部12の載置面12aと対向させるようにして設けられている。また、押圧部14は、支持爪13aに支持された基板W2の略中央部をパッド14cにより押圧することができる様な位置に設けられている。
押圧部14は、支持爪13aに支持された基板W2の略中央部をパッド14cで押圧することにより基板W2を撓ませて、基板W1の貼り合わせ面の一部と基板W2の貼り合わせ面の一部とを接触させる。
【0016】
移動部14aは、処理容器11の外部であって載置部12の載置面12aと対向する位置に設けられている。移動部14aは、サーボモータやパルスモータなどの制御モータを有するものとすることができる。また、圧力制御された流体により駆動されるもの(例えば、エアシリンダなど)などを有するものとすることもできる。
移動軸14bは、処理容器11の壁面を貫通するようにして設けられ、一方の端部側が移動部14aと接続されている。また、他方の端部側にはパッド14cが取り付けられている。
【0017】
パッド14cの先端部分は、略半球状を呈しその基部は円柱状を呈している。パッド14cは、軟質の弾性体から形成され、押圧時に接触部分を点接触から面接触へと変化させることができるようになっている。そのため、押圧点(接合開始位置)における応力を緩和させることができるので、基板W2の損傷を抑制することができる。また、ボイドの発生、割れや欠けの発生、擦り傷の発生、スリップなどによる位置ずれの発生などを抑制することもできる。パッド14cは、例えば、シリコンゴムやフッ素ゴムなどの軟質樹脂により形成されるものとすることができる。この場合、パッド14cをシリコンゴムあるいはフッ素ゴムから形成するものとすれば、基板W2が汚染されることを抑制することができる。
なお、押圧部14は必ずしも必要ではなく適宜設けられるようにすることができる。
例えば、基板W2を押圧することなく基板W2の自重により、基板W1と基板W2との貼り合わせを行うようにすることもできる。
また、接合開始位置は必ずしも基板の中央である必要はなく、例えば、基板の端部であってもよい。
この場合、基板W2の貼り合わせ面の一部と基板W1の貼り合わせ面の一部とを接触させる接触部が設けられるようにすることができる。
例えば、移動部13bにより所定の支持爪13aの位置を移動させ、所定の支持爪13aから基板W2の一方の端部を外し、基板の一方の端部を接合開始位置として基板W1と基板W2との貼り合わせを基板W2の自重により行うようにすることもできる。
この様な場合には、支持爪13aや移動部13bなどが接触部となり、前述した基板W2の押圧を行う場合には押圧部14が接触部となる。
【0018】
排気部15は、配管15aを介して開口部11cに接続されている。排気部15は、例えば、ドライポンプなどとすることができる。なお、基板W1と基板W2との貼り合わせは、必ずしも減圧雰囲気下で行う必要はなく、例えば、大気圧雰囲気下で行うこともできる。基板W1と基板W2との貼り合わせを減圧雰囲気下で行わない場合には、排気部15を設ける必要はなく、また、処理容器11をパーティクルなどの侵入が抑制される程度の気密構造とすればよい。なお、処理容器11を設けずに載置部12の載置面12aと対向させるように押圧部14を取り付けるための図示しない支持体を設けるようにすることもできる。図示しない支持体としては、例えば、載置部12と基板支持部13とを跨ぐようにして設けられるものを例示することができる。
ただし、基板W1と基板W2との貼り合わせを減圧雰囲気下で行うようにすれば、基板W1と基板W2との間に空気が巻き込まれることによりボイドが発生することをより抑制することができる。
【0019】
検出部17は、貼り合わせの進行状態を検出する。
検出部17には、複数の投光部17aと、複数の受光部17bと、演算部17cとが設けられている。
投光部17aは、受光部17bに入射させる光を照射する。投光部17aは、例えば、基板W1の貼り合わせ面に向けて光を照射するものとすることができる。投光部17aは、例えば、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)などの発光素子を有するものとすることができる。この場合、投光部17aは、波長が1100nm以上の光を照射するものとすることができる。基板W2がSi(シリコン)基板の場合、投光部17aから照射される光の波長を1100nm以上とすれば、基板W2を透過させることが容易となる。
【0020】
受光部17bは、基板W1の貼り合わせ面からの反射光を受光し、受光された光の強度に応じた電気信号を出力する。受光部17bは、例えば、フォトダイオードなどの受光素子を有するものとすることができる。
ここで、一般的には、基板W1は表面に配線パターンなどが形成された製品基板、基板2は表面に配線パターンなどが形成されていない支持基板とされる場合が多い。そのため、後述する貼り合わせの進行状態を透過光を用いて検出するようにすれば、光が基板W1を透過することができず所望の検出を行うことができなくなるおそれがある。
これに対して、本実施の形態においては、基板W1の貼り合わせ面からの反射光を用いて後述する貼り合わせの進行状態を検出するようにしている。そのため、基板W1の表面に金属の配線パターンなどが形成されている場合であっても貼り合わせの進行状態を検出することができる。
【0021】
演算部17cは、受光部17bからの出力に基づいて貼り合わせの進行状態を演算する。また、投光部17aからの光の出射や出射の停止などを制御するようにすることもできる。
【0022】
ここで、図2に示すように、複数の受光部17bは、平面視において、基板W2の貼り合わせ面の一部と、基板W1の貼り合わせ面の一部と、が接触する位置(接合開始位置)から基板W2の外方に向けて並べて設けられている。また、受光部17bは、平面視において、基板W2の貼り合わせ面の一部と、基板W1の貼り合わせ面の一部と、が接触する位置を中心とする同心円上に設けられている。例えば、受光部17bは基板W2の貼り合わせ面の一部と、基板W1の貼り合わせ面の一部と、が接触する平面位置に対応する処理容器11の天井に設けることができる。なお、一般的には、基板W2の貼り合わせ面の一部と、基板W1の貼り合わせ面の一部と、が接触する位置、すなわち接合開始位置は基板W2の略中心となる。
【0023】
また、同心円の径方向に隣接する投光部17a同士、または、受光部17b同士の間の寸法L1が同じとなるようになっている。すなわち、投光部17aと受光部17bとは同心円の径方向に等間隔で設けられている。
【0024】
図3は、貼り合わせの進行状態の演算を例示するための模式グラフ図である。
なお、図3中のVは位置17dの最も近くに設けられた受光部17bからの出力電圧の変化を表し、Vは位置17dの最も近くに設けられた受光部17bと基板W2の外方向において隣接した受光部17bからの出力電圧の変化を表している。すなわち、図3中の右側になるほど位置17dから離れた位置に設けられた受光部17bからの出力電圧の変化を表している。また、所定の電圧Vtに達するまでの時間をT〜Tと表している。
【0025】
ここで、受光部17b同士の間の寸法L1が分かっているので、所定の電圧Vtに達するまでの時間を測定すれば、各受光部における検出位置間の貼り合わせの進行状態を演算することができる。例えば、任意の受光部(第1の受光部の一例に相当する)からの出力が所定の値に達するまでの時間と、任意の受光部に隣接する他の受光部(第2の受光部の一例に相当する)からの出力が所定の値に達するまでの時間と、に基づいて任意の受光部における検出位置と、任意の受光部に隣接する他の受光部における検出位置と、の間における貼り合わせの速度を求めることで貼り合わせの進行状態を演算するようにすることができる。
【0026】
この場合、求められた貼り合わせの速度から貼り合わせの進行状態の様子を知ることができる。
例えば、図2に例示をしたものの場合には受光部17bは同心円の径方向に等間隔で設けられているので、貼り合わせが略一定の速度で進むものとすれば、所定の電圧Vtに達するまでの時間の間隔も略一定となる。
すなわち、所定の電圧Vtに達するまでの時間の間隔を演算すれば貼り合わせの進行状態を知ることができる。
【0027】
例えば、図3の時間T〜T、時間T〜Tの間隔は略一定となっているので、これらに対応する領域においては貼り合わせが略一定の速度で進んでいることが分かる。
一方、時間Tと時間Tとの間は間隔が広くなっているので、これに対応する領域においては貼り合わせの速度が遅くなっていることが分かる。同様に、時間の間隔が狭くなれば、これに対応する領域においては貼り合わせの速度が速くなっていることが分かる。
【0028】
そして、受光部17bが設けられた方向毎に貼り合わせの進行状態を演算すれば、基板W2の面内における貼り合わせの進行状態の様子を知ることができる。
例えば、図2に例示をしたものの場合には、位置17dから4方向に受光部17bを設けるようにしているので4方向における貼り合わせの進行状態、ひいては基板W2の面内における貼り合わせの進行状態の様子を知ることができる。
【0029】
なお、図2に例示をしたものの場合には、90°間隔で位置17dから4方向に受光部17bを設けるようにしたがこれに限定されるわけではない。受光部17bを設ける方向の数は適宜選択することができる。例えば、位置17dから3方向以上に受光部17bを設けるようにすることができる。この場合、受光部17bを設ける方向の数を多くすれば進行状態を検出する精度を向上させることができる。
【0030】
また、受光部17bは同心円の径方向に等間隔で設けられるようにしたが、これに限定されるわけではない。受光部17b同士の間の間隔が異なるものであったとしても、受光部17b同士の間の間隔は予め分かっているので前述した貼り合わせの進行状態の演算を行うことができる。例えば、接合開始位置に対応する位置の近傍の受光部17b同士を密に設ければ、接合開始位置からその近傍までの間の検出精度を向上させることができ、開始から早い段階で修正作業を行うことができる。ただし、受光部17b同士の間の間隔を一定とすれば、進行状態の演算の簡素化を図ることができ、検出精度の安定化を図ることができる。
【0031】
また、投光部17a、受光部17bを同心円上に設ける場合を例示したが、配設形態は適宜変更することができる。例えば、投光部17a、受光部17bをマトリクス状に設けるようにすることもできる。ただし、投光部17a、受光部17bを同心円上に設けるようにすれば、進行状態の演算の簡素化を図ることができ、検出精度の安定化を図ることができる。
また、受光部17bの数は、基板W2の大きさなどに応じて適宜変更することができる。この場合、受光部17bの数を多くすれば進行状態を検出する精度を向上させることができる。
【0032】
また、図2に例示をしたものの場合には、一対の投光部17aと受光部17bとが複数組設けられる場合を例示したがこれに限定されるわけではない。例えば、1つの投光部17aによる反射光を近傍にある複数の受光部17bによりそれぞれ受光するようにしてもよい。
また、基板W2の接合開始位置(一般的には、基板W2の中心)から受光部17bが並んで設けられておればよく、投光部17aはこの様に設けられた受光部17bに反射光を受光させることができるような配置とすればよい。
【0033】
図4は、他の実施形態に係る投光部と受光部との配設形態を例示するための模式図である。なお、図4(a)は検出部に設けられた投光部と受光部との配設形態を例示するための模式平面図、図4(b)は図4(a)におけるB−B矢視図である。
【0034】
図4(a)に示すように、投光部17aと受光部17bとは同心円の径方向において交互に並んで設けられている。
また、図4(b)に示すように、1つの投光部17aによる反射光を隣接する2つの受光部17bによりそれぞれ受光することができるようになっている。
この様にすれば、投光部17aの数を低減させることができるので、基板貼り合わせ装置1の構成の簡素化を図ることができる。
【0035】
次に、基板貼り合わせ装置1の作用について例示をする。
まず、図示しない搬送装置により基板W1を開口部11aから処理容器11の内部に搬入する。なお、開閉扉11bは図示しない駆動部により開かれている。
次に、図示しないリフトピンを用いて基板W1を載置部12に受け渡し、載置する。
そして、図示しない搬送装置を基板貼り合わせ装置1から退避させる。
【0036】
次に、図示しない搬送装置により基板W2を開口部11aから処理容器11の内部に搬入する。
次に、図示しない搬送装置により基板W2を支持爪13aに支持させることで基板W2を基板支持部13に受け渡す。
そして、図示しない搬送装置を基板貼り合わせ装置1から退避させる。
【0037】
次に、基板W1と基板W2とを貼り合わせる。
まず、開閉扉11bが閉じられ処理容器11が密閉される。そして、処理容器11内が排気される。
次に、押圧部14により、支持爪13aに支持された基板W2の略中央部がパッド14cで押圧される。パッド14cで押圧された基板W2は撓むので基板W1の貼り合わせ面の一部と基板W2の貼り合わせ面の一部とが接触する。
【0038】
次に、移動部13bにより支持爪13aを退避方向に徐々に移動させる。支持爪13aを退避方向に移動させると、支持爪13aにより支持される部分が基板W2の周縁部側に移動するので、基板W2の周縁部の高さ方向の位置が下がることになる。そのため、基板W1の貼り合わせ面と基板W2の貼り合わせ面とが接触した部分(貼り合わされた部分)が中央部から周縁部に向けて拡大して行くことになる。
【0039】
この際、検出部17により貼り合わせの進行状態が検出される。
例えば、前述したように、各受光部17bからの出力電圧に基づいて所定の方向における貼り合わせの速度を演算部17cにより演算することで貼り合わせの進行状態を検出するようにすることができる。
そして、各方向における貼り合わせの速度のばらつきが大きくなった場合には、警報を発するようにすることができる。また、移動部13bを制御することで各方向における貼り合わせの速度のばらつきが小さくなるようにすることもできる。
【0040】
次に、基板W2の周縁部が支持爪13aから外れると基板W1の貼り合わせ面と基板W2の貼り合わせ面とが全面において接触することになる。すなわち、基板W1と基板W2とが貼り合わされて基板が形成される。
次に、貼り合わされた基板が図示しない搬送装置により搬出され、図示しない基板格納部などに格納される。
以後、必要に応じて前述の手順を繰り返すことで基板W1、基板W2の貼り合わせを連続的に行うことができる。
【0041】
本実施の形態によれば、検出部17により貼り合わせの進行状態を検出することができるので、ボイドの発生に至らないような不具合(例えば、貼り合わされた基板に発生する歪み)をも抑制することができる。そのため、貼り合わされた基板の品質の向上、生産性の向上などを図ることができる。
【0042】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る基板貼り合わせ方法について例示をする。
第2の実施形態に係る基板貼り合わせ方法は、載置された基板W1と所定の間隔をあけて基板W2を対峙させる工程と、基板W2の貼り合わせ面の一部と、基板W1の貼り合わせ面の一部と、を接触させる工程と、基板W1と基板W2との接合開始位置から並べて設けられた複数の検出位置における状態変化を検出する工程と、複数の検出位置における状態変化に基づいて貼り合わせの進行状態を演算する工程と、を備えたものとすることができる。
【0043】
また、貼り合わせの進行状態を演算する工程において、第1の検出位置において状態変化が所定の値に達するまでの時間と、第2の検出位置において状態変化が所定の値に達するまでの時間と、に基づいて第1の検出位置と第2の検出位置との間における貼り合わせの速度を求めることで貼り合わせの進行状態を演算するようにすることができる。
また、状態変化を検出する工程において、平面視において、接合開始位置を中心とする同心円上に設けられた複数の検出位置における状態変化を検出するようにすることができる。
【0044】
また、状態変化を検出する工程において、基板W1の貼り合わせ面からの反射光に基づいて複数の検出位置における状態変化を検出するようにすることができる。
また、状態変化を検出する工程において、波長が1100nm以上の光を用いて状態変化を検出するようにすることができる。
また、貼り合わせ面の一部を接触させる工程において、基板W2を押圧して、基板W2の貼り合わせ面の一部と、基板W1の貼り合わせ面の一部と、を接触させるようにすることができる。
なお、各工程における内容は、基板貼り合わせ装置1において例示をした内容と同様とすることができるため詳細な説明は省略する。
【0045】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、基板貼り合わせ装置1に設けられた各要素の形状、寸法、材質、配置、数などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0046】
1 基板貼り合わせ装置、11 処理容器、12 載置部、13 基板支持部、14 押圧部、15 排気部、17 検出部、17a 投光部、17b 受光部、17c 演算部、17d 位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板を載置する載置部と、
前記載置部に載置された前記第1の基板と所定の間隔をあけて対峙させた第2の基板の周縁部を支持する基板支持部と、
前記第2の基板の貼り合わせ面の一部と、前記第1の基板の貼り合わせ面の一部と、を接触させる接触部と、
平面視において、前記第2の基板の貼り合わせ面の一部と、前記第1の基板の貼り合わせ面の一部と、が接触する位置から並べて設けられた複数の受光部と、
前記受光部に入射させる光を照射する投光部と、
前記受光部からの出力に基づいて貼り合わせの進行状態を演算する演算部と、
を備えたことを特徴とする基板貼り合わせ装置。
【請求項2】
前記演算部は、第1の受光部からの出力が所定の値に達するまでの時間と、第2の受光部からの出力が所定の値に達するまでの時間と、に基づいて前記第1の受光部における検出位置と、前記第2の受光部における検出位置と、の間における貼り合わせの速度を求めることで前記貼り合わせの進行状態を演算すること、を特徴とする請求項1記載の基板貼り合わせ装置。
【請求項3】
前記受光部は、平面視において、前記第2の基板の貼り合わせ面の一部と、前記第1の基板の貼り合わせ面の一部と、が接触する位置を中心とする同心円上に設けられたこと、を特徴とする請求項1または2に記載の基板貼り合わせ装置。
【請求項4】
前記受光部は、前記第1の基板の貼り合わせ面からの反射光を受光すること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の基板貼り合わせ装置。
【請求項5】
前記投光部は、波長が1100nm以上の光を照射すること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の基板貼り合わせ装置。
【請求項6】
前記接触部は、前記第2の基板を押圧して、前記第2の基板の貼り合わせ面の一部と、前記第1の基板の貼り合わせ面の一部と、を接触させること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の基板貼り合わせ装置。
【請求項7】
載置された第1の基板と所定の間隔をあけて第2の基板を対峙させる工程と、
前記第2の基板の貼り合わせ面の一部と、前記第1の基板の貼り合わせ面の一部と、を接触させる工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板との接合開始位置から並べて設けられた複数の検出位置における状態変化を検出する工程と、
前記複数の検出位置における状態変化に基づいて貼り合わせの進行状態を演算する工程と、
を備えたことを特徴とする基板貼り合わせ方法。
【請求項8】
前記貼り合わせの進行状態を演算する工程において、第1の検出位置において状態変化が所定の値に達するまでの時間と、第2の検出位置において状態変化が所定の値に達するまでの時間と、に基づいて前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との間における貼り合わせの速度を求めることで前記貼り合わせの進行状態を演算すること、を特徴とする請求項7記載の基板貼り合わせ方法。
【請求項9】
前記状態変化を検出する工程において、平面視において、前記接合開始位置を中心とする同心円上に設けられた前記複数の検出位置における状態変化を検出すること、を特徴とする請求項7または8に記載の基板貼り合わせ方法。
【請求項10】
前記状態変化を検出する工程において、前記第1の基板の貼り合わせ面からの反射光に基づいて前記複数の検出位置における状態変化を検出すること、を特徴とする請求項7〜9のいずれか1つに記載の基板貼り合わせ方法。
【請求項11】
前記状態変化を検出する工程において、波長が1100nm以上の光を用いて前記状態変化を検出すること、を特徴とする請求項7〜10のいずれか1つに記載の基板貼り合わせ方法。
【請求項12】
前記貼り合わせ面の一部を接触させる工程において、前記第2の基板を押圧して、前記第2の基板の貼り合わせ面の一部と、前記第1の基板の貼り合わせ面の一部と、を接触させること、を特徴とする請求項7〜11のいずれか1つに記載の基板貼り合わせ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−191037(P2012−191037A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54041(P2011−54041)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】