塑性エネルギー管理ビーム
エネルギー吸収システムは、連続した高分子の材料から成る筒を有する。筒は、中間筒部によって接続される第1リング部及び第2リング部を有する。この構造により、バンパシステムが長手方向に衝撃を受けたときに、第1リング部及び第2リング部が、予測可能な一定のロール潰れにより入れ子式に圧壊する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[背景]
本発明は、衝撃ストローク中、一定の且つ予測可能な方法で著しい衝撃エネルギーを吸収するように構成されている、高分子材料から成るエネルギーアブソーバを含むエネルギー管理システムに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、「PLASTIC ENERGY MANAGEMENT BEAM」と題する、2004年9月7日付けで出願された米国仮出願番号60/607,677(その全内容は本明細書に参照により援用される)の利益を主張する。
【0003】
本願は、「TUBULAR ENERGY MANAGEMENT SYSTEM FOR ABSORBING IMPACT ENERGY」と題する米国出願番号10/997,332の一部継続出願であり、この米国出願番号10/997,332は、「TUBULAR ENERGY MANAGEMENT SYSTEM FOR ABSORBING IMPACT ENERGY」と題する、2003年8月26日付けで出願された米国出願番号10/648,757の継続出願であり、この米国出願番号10/648,757は、「CRUSH TOWER WITH RINGS OF VARIED STRENGTH」と題する、2001年9月27日付けで出願された米国出願番号09/964,914(現在、米国特許第6,648,384号)(その全内容は参照により本明細書中に援用される)の一部継続出願である。本願はまた、「ENERGY MAMAGEMENT BEAM」と題する、2003年8月26日付けで出願された米国出願番号10/808,127(その全内容は参照により本明細書中に援用される)の一部継続出願である。最後に、本願は、「BUMPER SYSTEM INCORPORATING THERMOFORMED ENERGY ABSORBER」と題する、米国出願番号60/484,712に対する、優先権を主張する、2003年12月15日付けで出願された国際出願番号PCT/US03/39803(その双方の全内容は参照により本明細書中に援用される)の一部継続出願である。
【0004】
連邦政府、保険会社、並びに車両安全に関わる代理店、協会及び会社は、車両バンパシステムが合格しなければならない標準化された衝撃試験を規定している。バンパマウント及びクラッシュタワーは通常、バンパバーを車両フレーム上に支持するために使用されており、車両が衝撃を受けている間にエネルギーを吸収するのに使用されることが多い。いくつかの特徴が、バンパマウント及びクラッシュタワーを「効果的な」ものにするために役立っている。既知の狭い範囲内の一定且つ予測可能な衝撃強度を与え、それにより、個々の車両のバンパシステムがすべて、試験に確実に合格するようにする、バンパマウント及びクラッシュタワーを製造することが望ましい。これにより、製造者はより安全な車両を製造することができ、また、余分な重量を削減するとともに低コストの材料を使用するために、バンパシステムをより正確に最適化することができる。さらに詳しくは、一定の力対撓み曲線を提供する、バンパマウント及びクラッシュタワーを製造し、一定のエネルギー吸収対時間曲線を提供し、一定且つ予測可能な圧壊パターンを提供することが望ましい。これにより、車両製造者は、或る特定の衝撃力でどれだけの撓みが発生するか、また、衝撃、すなわち、車両が衝突を受けている間の任意の時点でどれだけのエネルギーが吸収されるかを確実に知ることができる。次に、これにより、車両製造者は、製品のばらつきを補償するとともに車両フレーム上にバンパシステムを十分に支持するための空間を無駄に使うことなく、衝撃の被害がないことを可能にするのに十分な空間(room)をバンパシステムの周囲に設計することができる。力対撓み曲線には、クラッシュタワーが弾性変形から永久変形に変化して、完全に圧壊して底づくまで(bottoming out)のいくつかの重要な範囲がある。これらの様々な圧壊点が予測可能であり、それにより、圧壊の前及びその最中に相当量のエネルギーを確実に吸収するようにするだけでなく、過度の負荷がバンパシステムを介して車両及びその乗員に伝達される前に、圧壊が確実に起きるようにすることが重要である。
【0005】
以上に加えて、バンパ開発プログラムには長いリードタイムが必要であり、また、いずれのクラッシュタワーも、バンパ開発プログラムの遅い段階で特定の車両モデル用に最適化するために予測して変更及び調整することができるように、融通性、適応性及び「可調整性」を有することが重要である。また、様々なバンパビームに、且つ様々なバンパシステムで、また、車両要件が大きく変化するにもかかわらず様々な車両モデルで使用することができ、それにより、各新しいバンパシステムが、新しいにもかかわらず、全てが未試験で且つ「未知」のシステムではないようにすることができるクラッシュタワー設計を提供することが望ましい。
【0006】
バンパビームをバンパシステム内に支持するためのいくつかの筒状クラッシュタワーが既知である。1つのタイプでは、2つの打ち抜き半割シェルを合わせて溶接する。しかし、この工程によって、原材料のスクラップが発生する。また、溶接工程は、製造間接費に追加される二次作業である。さらに、溶接されたクラッシュタワーは、製品における大きなばらつきや、製品の衝撃強度、力対撓み曲線、エネルギー吸収曲線及びクラッシュ破壊点(crush failure point)における大きなばらつきを受けやすい。
【0007】
クラッシュタワーによっては、他のクラッシュタワーよりも強度の高い材料を用いるものもある。しかしながら、クラッシュタワーの強度が増すにつれ、より高い負荷がバンパビームから車両フレームに直接伝達される傾向がある。このことは望ましくない場合が多い。代わりに、タワー自体が予測可能に圧壊(crush and collapse)するとともに、分布時間にわたって最大エネルギーを吸収することが望ましい。特に、強度が非常に高いクラッシュタワーは、望ましくない程高い負荷スパイクをバンパビームから車両フレームに伝達する傾向が強い。その後に、エネルギーがごくわずかしか吸収されず、且つエネルギー吸収が車両ごとに一定ではないか又は予測不可能であるクラッシュタワーの破滅的な圧壊が続いて起こる場合が多い。また、その結果、車両フレームに、時期的に早い段階での被害がもたらされる。車両の衝突の間にクラッシュタワーが示す圧壊ストローク全体にわたって、連続的且つ予測可能に材料を撓ませて曲げるようにクラッシュタワーが設計されることが特に重要である。同時に、高強度低合金(HSLA)鋼、又は強度対重量比が非常に高い超高強度鋼等の超高強度材料の使用を可能にする設計が望まれる。バンパ製造分野の熟練者(当業者)には既知のように、単に、より強度の材料からクラッシュタワーを製造するという着想は不十分な着想である場合が多く、実際、車両フレームに対して高い衝撃負荷及び負荷スパイクが伝達されることに起因してバンパシステムの故障につながるとともに、不十分なエネルギー吸収に付随する問題につながる場合が多い。
【0008】
車両フレームは、バンパマウント及びクラッシュタワーと同様に、エネルギー吸収及びエネルギー消散の双方に関して衝撃エネルギーを管理するように設計されることが好ましい。これには、車両部品に対する被害を最小限に抑える必要があり、また、車両乗員に対する傷害を最小限に抑える必要がある。バンパマウント及びクラッシュタワーと同様に、車両フレームは、長期の開発時間を有し、さらに、開発の遅い段階で調整及び調節を必要とする場合が多い。車両フレーム(及びフレームマウント部品)は、当然のことながら、バンパマウント及びクラッシュタワー(及びその他の車両部品)が取り付けられる車両フレームであるため、バンパマウント及びクラッシュタワーと同じ多くの懸念を有する。
【0009】
さらに広範には、融通性があるとともに広範の状況及び用途で使用することができるエネルギー吸収システムが望まれる。かかるエネルギー吸収システムは、バンパシステムにおいてだけでなく、車両フレーム(縦方向/クロスカー)、及び他の用途、並びに非車両用途のいずれにおいても有用であることが好ましい。特に、高分子材料から成る部品においてさえもエネルギー吸収を制御することが重要である。例えば、射出成形及び熱成形されたエネルギーアブソーバは多くの場合、筒状金属補強ビームの一面に高分子エネルギーアブソーバを配置すること等により、車両バンパシステムにおいて使用される。
【発明の開示】
【0010】
したがって、上記問題を解決するとともに上記利点を有するエネルギー管理システムが望ましい。特に、一定の衝撃強度、一定の力対撓み曲線、一定のエネルギー吸収(弾性変形及び永久変形について)、及び、一定の圧壊点及び圧壊パターンを与え、これらのすべてが製品及び特性のばらつきにおいて厳格な/狭い範囲に入る、エネルギー管理システムが望ましい。また、二次作業の必要性を減じるとともに、手作業の必要性を減少させて製造することができるが、それでもなお融通性があり調整可能なコスト競争力があるエネルギー管理システムが望ましい。
【0011】
[発明の概要]
本発明の一態様は、長手方向に衝撃を受けたときに相当な衝撃エネルギーを確実且つ予測可能に吸収するようになっているエネルギー管理筒を提供することである。当該エネルギー管理筒は、高分子の第1筒部と、第1筒部と整合する高分子の第2筒部と、第1筒部と第2筒部とをそれぞれ一体接続する第1端部及び第2端部を有する、高分子の中間筒部とを備える。第1筒部及び第2筒部はサイズが寸法的に異なり、中間筒部は、第1筒部から第2筒部に移行する形状を有する。第1筒部は、第2筒部よりもサイズが大きく、且つ筒境目を画定する外面を有する。第1端部は、長手方向に衝撃を受けたときに第1筒部のコラム強度を支持及び維持するように作用する材料のひと続きのバンドを有し、第2端部は、衝撃を受けている間、第1筒部はそのコラム強度を維持するが、それとは対照的に、第2筒部の入れ子状の丸め込み(a telescoping rolling)を開始するように構成される。
【0012】
本発明の別の態様は、長手方向に衝撃を受けたときに相当な衝撃エネルギーを確実且つ予測可能に吸収するようになっているエネルギー管理筒を提供することである。当該エネルギー管理筒は、第1耐変形性を有する、高分子の第1筒部と、第1耐変形性よりも大きい第2耐変形性を有する、高分子の第2筒部と、第1筒部を第2筒部に接続する、高分子の中間筒部とを備える。長手方向に衝撃を受けると、中間筒部及び第1筒部が予測可能に、且つ中間筒部が長手方向の衝撃から力を受ける際の第2筒部よりも迅速に丸め込む。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、長手方向に衝撃を受けたときに相当な衝撃エネルギーを確実且つ予測可能に吸収するようになっているエネルギー管理筒を製造する方法を提供することである。当該方法は、高分子の第1筒部を成形すること、高分子の第2筒部を成形すること、第2の筒部を第1筒部と整合させること、及び第1筒部と第2筒部とをそれぞれ一体接続する第1端部及び第2端部を有する、高分子の中間筒部を成形することを含む。第1筒部及び第2筒部はサイズが寸法的に異なり、中間筒部は、第1筒部から第2筒部に移行する形状を有する。第1筒部は、第2筒部よりもサイズが大きく、且つ筒境目を画定する外面を有する。第1端部は、長手方向に衝撃を受けたときに第1筒部のコラム強度を支持及び維持するように作用する材料のひと続きのバンドを有し、第2端部は、衝撃を受けている間、第1筒部はそのコラム強度を維持するが、それとは対照的に、第2筒部の入れ子状の丸め込みを開始するように構成される。
【0014】
本発明の上記及び他の態様、目的及び特徴は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲及び添付図面を精査すれば、当業者には理解され認識されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[好適な実施形態の詳細な説明]
本明細書での説明のため、用語「上方」「下方」、「右」、「左」、「後」「前」、「垂直」、「水平」、及びそれらの派生語は、本発明の図1における向きに関する。しかしながら、そうではない旨を明記している場合を除き、本発明は様々な代替的な向きを考慮し得ることを理解されたい。また、添付の図面に示すと共に以下の明細書に説明する特定の装置及びプロセスは、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の概念の例示的な実施形態にすぎないことを理解されたい。したがって、本明細書に開示される実施形態に関する特定の寸法及び他の物理的特徴は、特許請求の範囲で明確に別記されていない限り、限定するものと見なされるべきではない。
【0016】
本発明は、充填材及び補強材料、例えばタルク、ガラス繊維等を用いる又は用いない、熱可塑性高分子材料及び熱硬化性高分子材料でのエネルギー管理技術(EMT)の利用を含むことに留意されたい。
【0017】
車両バンパシステム10(図1)は、取り付けブラケットを有する車両前バンパビーム11と、レール取り付けプレート12を含む車両フレームと、ブラケットとプレート12との間に取り付けられたクラッシュタワー13とを備える。クラッシュタワー13は、高強度熱処理可能鋼等のひと続きの連続した(continuous contiguous)材料でできた筒を有する。筒は、中間接続部16によって接続された第1リング部14及び第2リング部15を有する。中間接続部16は、漏斗形ランプを形成する円錐台形部分17を有する。一つの態様では、第1リング部14は、熱処理されて高い材料強度、例えば、約140KSIの引張り強度になっており、これは、約60KSIの引張り強度に保持される第2リング部15より相当に高い。第1リング部14の引張り強度は、第2リング部15の引張り強度より相当に高く、例えば、約10%高くするべきであるが、好ましくは第2リング部15の引張り強度の約2倍の引張り強度、すなわち、約60KSIだけ高くするべきであると考えられる。この構造によって、リング部14がリング部15の上に入れ子状に丸め込んで、中間接続部16の円錐台形部分17において塊状になるために必要な剛性が与えられる。
【0018】
この構造により、バンパシステム10がクラッシュタワー13の長さに対して平行な端部衝撃を受けたとき、第1リング部14及び第2リング部15は、予測可能且つ一定の多段階変形順序で互いに入れ子式に圧壊し、第3リングすなわち小径挟持部18(図2)が第1リング部14と第2リング部15との間に形成され始め、やがて実際に形成される(図3)。中間接続部16の長さによって制限されながら第3リング18が完全に形成されると、部分22によって形成された「フック」の下側の位置20で材料が座屈して塊状になり始める。車両モデルに十分な空間があるとともに、クラッシュタワーが最終的に底づく前に追加のエネルギー吸収が望まれる場合、追加リング部及び中間接続部を設けることができると考えられる。
【0019】
図示のバンパビーム11は、筒状ビームであって、当該技術分野では既知である。例えば、Sturrusの特許第5,092,512号及び第5,813,594号を参照されたい。しかしながら、ビームはまた、開端した非筒状ビームとすることができると考えられる。また、バンパビームは、直線的又は曲線的にすることができる。それらの形状に応じて、取り付けブラケット又はプレートを使用して、クラッシュタワーに取り付けるようになっている比較的平坦な取り付け面をバンパに設けることができる。(特許第5,092,512号の図14及び特許第5,813,594号の図4を参照されたい。)同様に、クラッシュタワーの車両接続端部に様々な異なる手段を使用して、クラッシュタワーを車両フレームに固定するための取り付け点を設けることができる。
【0020】
本発明のクラッシュタワー13は、単一の筒状形材(tubular shape)から形成することができる。最初に、筒状形材はロール成形及び溶接をして、一定の円形断面を有し、一定の厚さの均一壁を有する永久筒(permanent tube)にすることが考えられる。しかしながら、本発明では、非円形筒を使用することもできると考えられる。
【0021】
筒を形成して所望の長さに切断した後、中間接続部16をロール成形又はスタンピング加工して、筒の中心線21に対して小さい角度を成す内向き変形した円錐台形部分17(漏斗状の形状)と、中心線21に対してより大きい角度を成す内向き変形した丸み付き「急開き」(quick-out)部分22とを形成する。図示の円錐台形部分17は、衝撃を受けている間にリング部15をリング部14内へ誘導する剛直ランプを形成するようにに、比較的直線状の漏斗形状区域を有する。また、急開き部分22は、丸みが付けられて傾斜しており、それにより、曲げ力を受けて、丸められて内向きに変形したフック形状になる(図2を参照のこと)。内向きに変形した材料は、筒部15のコラム強度を維持する部分15の均一なコラム支持体を形成する。これは、後述するように、衝撃を受けている間の部分14及び15の入れ子作用に役立つ。
【0022】
クラッシュタワー13内の内部キャビティ25は、開放状態にあり、衝撃を受けている間も開放したままである。その結果、クラッシュタワー13の性能に悪影響を与えることなく、部品をキャビティ25内に配置することができる。所望ならば、例えば、牽引フックブッシュをキャビティ25内に配置することができる。
【0023】
作用を説明すると、クラッシュタワー13は、ロール成形等によって筒を形成し、次にその筒に縮径の中間接続部をロール成形又は変形し、次にリング部14(及び/又は部分15、17及び22)を熱処理することによって製造される。次に、1対のクラッシュタワー13を、互いに水平方向及び横方向に間隔を置いた状態で、バンパビーム11に取り付けることによって、バンパシステム10に組み付ける。次に、バンパシステム10を車両フレームに取り付ける。
【0024】
衝撃を受けている間に、中間接続部16は、中心線21に沿ったリング部14及び15の直線的強度(linear strength)に起因して、座屈し始める。特に、急開き部分22が折り返されて二重になるとき、円錐台形部分17が急開き部分22の下側に押し進められ、その急開き部分22は、部分17を把持する内向きに変形したフック状リングを形成する。部分17の材料の残部に比して、部分22の半径は、このような成果を生じさせるのに役立つ。これは、第1(低)エネルギー吸収レベルの第1圧壊段階を提供する。クラッシュタワー13が車両衝撃による長いストローク中にさらなる入れ子作用を受けると、中間接続部16の端部が曲がって、リング部14の残りの材料の下側に引き寄せられる。リング部15の端部が曲がって筒部15の外面に丸め込む際、リング部14とリング部15との間に第3リング部18が形成される。様々な部分14〜16のこの順次の圧壊及び変形、特に、筒部14の材料の丸め込みは、非常に予測可能な方法で、且つ比較的狭い変動範囲で相当なエネルギーを吸収する。
【0025】
本発明のクラッシュタワーは、ロール成形機で高強度低合金(HSLA)鋼から成るロールから製造されることができることが考えられる。さらに、鋼のロールは、高強度鋼(例えば70KSI引張り強度)又は超高強度鋼(例えば80KSI以上の引張り強度)とすることができることが考えられる。必要に応じて、これらの材料を選択領域でアニールして、延伸特性を高めるか、又は降伏強度(例えば60KSI以下の引張り強度)を下げるか、且つ/又は選択領域を熱処理して強度を高めることができる。例えば、一端に60KSI引張り強度の領域を有するとともに、対向端に120KSI強度の領域を有するクラッシュタワーを、いずれかの方法で製造することができる。中間リング部は、良好な圧壊順序をより確実にするために、約60KSIであり、強度がより低い強度のリング部と同様であることが好ましい。本開示では、「熱処理(heat treat)」という用語は、用語「アニール」よりも広範であると考えられること、また、熱及び熱手段を用いることにより材料特性を増減させることを含むことに留意されたい。熱処理及び/又はアニールは、ロール成形装置でインラインで行われるとともに連続工程としてロール成形と同時に行うことができることも考えられる。アニールのステップが、装置でインラインで行われるとともにロール成形工程と同時に行われる場合、隣接するクラッシュタワーが反対方向を向くように、ロール成形された筒状形状が作られることが有用である。例えば、リング15(すなわちバンパビームに取り付けられるべき端)が高強度から低強度にアニールされる場合、単一のアニール熱がより広い領域にわたって加えられることができるように、互いに隣り合った(すなわち分離した筒部に分離される前に)隣接するクラッシュタワーの2つのリング部15を互いに隣り合わせることが有用である。これにより、ロール成形工程及びアニール工程に対する効率、制御、及びライン速度が加味される。
【0026】
[変更例]
以下の説明では、同様の部品、特徴、及び態様は、同一の識別符号で識別されるが、ただし、文字「A」、「B」等が付記されている。これは、冗長な説明を減らすためになされている。
【0027】
長手方向に衝撃を受けたときに相当な衝撃エネルギーを確実且つ予測可能に吸収するようになっている、変更形のエネルギー管理筒13A(図4)が提供される。エネルギー管理筒13Aは、第1筒部14Aと、第1筒部14Aと整合する第2筒部15Aと、第1端部30及び第2端部31をそれぞれ有する中間筒部16Aとを有する。端部30及び31は、第1筒部14Aと第2筒部15Aとをそれぞれ一体接続する。第1筒部14Aは、第2筒部15Aよりもサイズが寸法的に大きいが、同様のシリンダ状断面形状を有する。しかしながら、第1筒部14A及び第2筒部15Aは、例えば矩形、四角形、楕円、円形、又は他の幾何学的形状の種々の形状とすることができることに留意されたい(図5を参照のこと)。さらに、筒部14A及び15Aは、各自の長さに沿って、特に、中間筒部16Aから離間した、筒部14A及び15Aが例えば車両フレーム部品等の種々の構造に接続されるようになっていなければならない場所で異なる断面形状を有し得ることが考えられる(図19〜図22を参照のこと)。中間筒部16Aは、第1筒部14Aから第2筒部15Aに移行する形状を有し、さらに、第1端部30及び第2端部31は、以下に示すように形状が異なる(図9〜図12)。
【0028】
本発明のエネルギー管理筒13A(図4)は、アニール可能な鋼材料のシートから成るものとして開示され、ユニットとして合わせて一体形成される筒部14A、15A、及び16Aのそれぞれが、ユニットとして合わせて一体形成される。壁厚は、機能上の設計要件を満たすよう必要に応じて変えることができる。例えば、バンパクラッシュタワー及び/又は車両フレーム用としては、材料強度及び特定の用途の使用要件に応じて、厚みは約1.5mm〜4mmとすることができる。シートは最初に、ロール成形機により連続した長い筒になるように製造され、その後、所定の長さの筒状ブランク60(図6)になるようにカットされることが考えられる。次いで、筒状ブランクは筒部15A及び16Aの領域をアニールされ、次いで形状61(図7)に形成され、ここでは、第2筒部15Aは、縮径を有するよう圧縮され、中間部16Aは一時的な円錐台形状を一時的にとる。エネルギー管理筒13Aを固定し且つ事前設定状態(図8)になるように長手方向に変形することが有用であることがわかっている。それにより、中間部16Aは、以下に示すように、初期の衝撃を受けている間、高い負荷スパイクを回避する特定の形状をとる。自動バンパシステム及びフレーム部品の場合、材料シートは、構造用鋼等の良好で信頼性の高いグレードの鋼であることが好ましい。約35KSIを上回る降伏強度を有する鋼が非常によく機能する。構造用鋼、又は高強度低合金鋼(HSLAS)又は超高強度鋼(UHSS)等の、最適な降伏特性及び延伸特性を選択領域に達成するように熱処理又はアニールすることができる鋼もまた優れた候補である。
【0029】
材料についての具体的な記載は好適なものである。選択材料がより強度を増し且つより硬くなるほど、降伏強度が高く、引張り強度が高く、且つ延伸値が低くなるため、半径のきつい部分でより影響を受けやすくなり、丸め込みに抗する傾向が高くなる場合が多い。その代わり、半径のきつい部分での破損、キンク、せん断、亀裂、及び/又は破損の傾向が強くなる。この破損問題は、半径が材料の厚さ寸法に近づくにつれ悪化することになる。本発明は、外向き及び内向きのフレア状の拡がり、クリアランス、及びこの問題を対処するのに特に選択された半径を用いる。種々のグレートの鋼は、当該技術分野において既知であるとともに当業者により理解される。標準化された工業規格としてのASTM A1008/A及びA1008M−01a、並びにASTM A1011A及びA1011M−01aに留意する必要がある。約25KSI以上を有する鋼等の構造用鋼は、上述した品質上の問題が生じ始める強度特性を有する。構造用鋼は一般に、冷間圧延された商用品質の鋼又は熱間圧延された商用品質の鋼よりも若干良好なグレードである。それにもかかわらず、特に、構造用鋼は25〜35KSI引張り強度に近づくにつれて、問題を呈する傾向が強くなる。本発明は、上記に示したエネルギー管理筒13(及び筒13A及び13B)では、約25KSI以上の引張り強度を有する鋼等の構造用鋼を用いて十分に機能することが特に考えられる。本発明はまた、80KSI以上のより強度な材料、及び超高強度鋼(UHSS)の場合に十分に適合するとともに十分に機能する。機能性及び材料の高度な圧延が望まれる場合、これらの鋼は、エネルギー管理筒に沿った目的にかなう(strategic)領域にて最適な特性を達成するように熱処理又はアニールを行うことができる。
【0030】
本明細書中で説明した種々の鋼は、鋼材料分野及びロール成形分野における熟練者(当業者)により十分に理解されることが意図されているとともにそのように考えられていることを理解されたい。読み手の利便性のため、付加的な情報はアメリカ材料試験協会(ASTM)から入手することができるということを特記しておく。本明細書中で用いられている鋼についての用語は、ASTMの規格及び定義に準拠していることが意図されている。それにもかかわらず、本発明の技術は、非常に融通性があり、広範な材料とともに機能するように適合可能であるということを強調しておく。したがって、種々の用語は、合理的に解釈されるものの、広範に解釈されることが意図される。
【0031】
本発明の概念は、HSLA鋼、及び二相鋼(dual phase plate)、三相(TRIP)鋼、又はマルテンサイト材料等の超高強度鋼(UHSS)にとって特に有用であると考えられている。本発明の概念はまた、アルミニウム及びさらにはより軟質の材料等の他のエンジニアリンググレードの材料にとっても有用である。本発明の概念は、高強度材料により、壁厚が薄くなること(すなわちゲージの低減)によって重量を低減させる場合に特に有用である。熱処理可能であることにより、材料は本質的に機能しやすくなるとともに流動しやすくなり、且つ/又は選択領域にてより機能しやすくなるとともに流動しやすくすることができる。例えば、これにより、小径を有するものの、微細亀裂及び/又は巨大亀裂及び/又は分裂が生じるおそれが少なく、せん断の問題及びシェルビング(shelving)等の材料分離のおそれが少なく、且つ小径曲げの領域の材料強度を低減させる他の品質上の欠陥のおそれが少ない状態の事前設定を中間筒部16Aに与えることができる。また、アニール特性により、せん断、引き割り(ripping)、又は引裂き(tearing)を生じることなく材料を丸め込ませることが可能となり、このことは、衝撃及び長手方向に圧壊を受けている間、最大のエネルギー吸収を達成するのに重要である(図13を参照のこと)。
【0032】
特に、本発明のエネルギー管理筒の性能は、以下の変数:材料厚、材料タイプ、材料硬度、及び降伏率、アニール温度及びその状態、筒の直径及びその形状、特にロール半径構造(design)、並びに事前設定の程度、筒部内(又は筒部外)に位置する圧壊可能なインサートの使用、並びに材料を丸め込ませるのに影響を与える他の因子、コラム強度、エネルギー吸収、並びに長手方向に圧壊する衝撃を受けている間の応力の分配、を調節することを含めた多数の方法により、特定の基準を満たすように調節及び調整することができる。
【0033】
図9〜図12に示すように、第1筒部14Aは、第2筒部15Aよりも寸法が大きい。第1筒部14Aは、筒境目32を画定する外面を有する。筒境目32は、第1筒部14Aの第1端部30付近の領域の断面形状に合致する。第1端部30は、約25°の最小角度等で、境目32を越えて半径方向外向きにフレア状に拡がっているきつく変形した材料34の周方向に連続したバンドを有する。このきつく変形した材料34は、材料の丸め込みに抗する「挟持(pinched)」領域を効果的に形成する小さい半径を画定する。また、小半径にある材料を硬化する機能がいくらかある。(その凹状面に関して)小半径は、第1端部30の材料厚の約0.5倍以上であることが好ましい。したがって、せん断又は亀裂傾向に対し十分に耐性がある。変形材料34が丸め込みに抗する理由は多数あるが、些細なものである。フレア状とともに厳格な「小」半径が、第1筒部14Aの均一なリング状の支持体を形成し、この支持体は、長手方向に衝撃を受けたときに第1筒部のコラム強度を支持及び維持するように作用すると考えられる。長手方向に応力がかかると、厳格な変形材料34は、第1端部30と第1筒部14Aの材料との丸め込みに抗する。
【0034】
対照的に、第2端部31(図12)は、第2端部31の材料厚の少なくとも約1.0倍等、(その凹状面に関して)比較的より大きな半径を画定する変形材料35を有する。第2端部31の変形部分35は、その半径がより大きいことに起因して、第2筒部15Aの材料の丸め込みに対する耐性が低く、且つ第2筒部15Aのコラム強度の支持性が低い。実際、第2端部31は、衝撃を受けている最中に第1筒部14Aがそのコラム強度を維持している間、第2筒部15Aの入れ子状の丸め込みを開始するように構成される。筒部15A及び16Aはアニールされ、第1筒部14Aはアニールされないことにより、このような成果を得やすくするとともにこのような成果を生じさせる(ただし、材料が丸め込み傾向を有するのにアニールは必要とされない)。丸め込むのに必要なほどの材料流動のためにクリアランスが与えられる。潜在的に、筒部14A及び15Aは、衝撃を受けている間の材料の丸め込みの際に互いに支持を行うような寸法にすることができる。中間筒部16Aの事前設定状態もまた、初期の急激な高い負荷ピークを避けることに役立ち、それにより、負荷が所定の初期レベルに達したとき急激にレベルが下がり、次いで、衝撃ストロークの間そのレベルのままとなるので、重要である(図17を参照のこと)。
【0035】
第2エネルギー管理筒13B(図14〜図16)は、第1筒部14B、第2筒部15B、及び筒部14Bと15Bとを相互接続する中間筒部16Bを有する。しかしながら、筒13Bは筒13Aとは異なる。筒13Bでは、大径を有する第1筒部14Bの端部30Bは、より大きな半径を画定する変形材料34Bを有する。さらに、変形材料34Bは外向きにフレア状に拡がっていないが、代わりに、第1筒部14Bの外面によって画定される境界内に概ねとどまる。同時に、第2筒部15Bの端部31Bは、より小さな半径を画定する変形材料35Bを有する。変形材料35Bは、約12°の最小角度等で、筒境目32Bの内側で内向きにフレア状に拡がっている。
【0036】
図13は、筒13Bの第1筒部14Bから材料36の部分が丸め込んでいる部分的なストローク衝撃を示す(筒13Aでは、より小さい第2筒部15Aは、同様の方法で丸め込む際、衝撃を受けている間に丸め込む部分である)。
【0037】
図17は、筒13A及び14Aの典型的な負荷対撓み曲線を示す。衝撃ストロークを受けている間、負荷に一部ばらつきが見られるが、バンパ及びフレーム等についてのエネルギー管理システムを設計する分野の熟練者(当業者)には、負荷が急激に所定レベルに達し、衝撃ストローク全体を通して選択されたレベルで比較的一定のままであることは明らかであろう。負荷撓み曲線の下側の領域は、衝撃ストロークを受けている間の実際のエネルギー吸収(「AEA」)を示す。完全なエネルギー吸収(「PEA」)は、衝撃(D1)を受けている間に達成される最大負荷を完全な衝撃ストローク(D2)に乗算することで計算されるであろう。本発明のエネルギー管理システムは、非常に高い効率定格(すなわち「PEA」で除算した「AEA」)を提供する。具体的には、本発明のエネルギー管理筒技術は、比較的急激な初期の負荷、及び衝撃ストローク全体を通して継続する比較的良好に維持された一定レベルの負荷により、既知のバンパクラッシュタワーよりもはるかに高く、より一定のエネルギー吸収効率定格となる。具体的には、本発明の概念は、驚くべき想定外の、負荷対撓み曲線の一定性及び信頼性を提供し、また、一定且つ確実なエネルギー吸収及び圧壊ストロークを提供する。
【0038】
図18は、例えば図17の結果を得るために用いられ得る典型的なアニールされた筒を示すチャートであり、図18Aは、図18の筒に用いられる材料に対するアニールの影響を示すグラフである。一連のアニール温度線A〜Jは、アニール温度の上昇に基づく降伏強度の漸次的な低減、引張り強度の低減、並びに歪み及び成形性の全体的な増加、及び成形性を示す。また、引張り強度と降伏強度との概略的な関係、及びこれらの特性と歪みとの関係も示す。
【0039】
図19は、図11及び図15の本発明のエネルギー管理筒の概念を、筒状側部材に取り込んだ筒状車両フレームの斜視図である。それぞれ本発明のエネルギー管理システム技術を用いることができる場所を示す4つの特定の領域が、4つの領域付近に拡大して示されている。しかしながら、本発明の技術は付加的な領域に用いることもできることに留意されたい。さらに、「実際の」フレームでは、使用位置は、フレーム上ではより対称的な位置にある可能性が高いであろう。
【0040】
図示の筒40(図19)は、車両フレーム39の前端付近に、前部フレーム側部フレーム部材の長手方向部分の前部クロスカービームのすぐ前方に位置する。筒40は、断面が矩形であり、入れ子式に衝撃を受けている間、筒の一方(14C又は15C)の材料の丸め込みを開始するように構成されている単一の中間筒部(16C)(図11を参照のこと)を有する。エネルギー管理筒40は、車両フレームの同様な前方位置に位置する。筒40は、断面が円形であり、入れ子式に衝撃を受けている間に材料の丸め込みを開始するために単一の中間筒部(16D)を有する。筒40はまた、円形断面が車両フレーム部材の前端(又は後端)に係合する正方形部に移行する一端に移行ゾーン42を有する。筒40は例えば、車両バンパを支持するのに用いることができる。
【0041】
2つの端部を有する、2端筒43は、図示の車両フレームの側部の中間部に位置する。筒43は、断面が円形であり、筒部46の中心に位置する小径の対向端の対向方向に向いた2つの中間筒部44及び45を有する。2端筒43はさらに、中間筒部44及び45の各外端に2つの大径筒部47及び48を有する。さらに、大径筒部は、外端で正方形断面に移行する。別のエネルギー管理筒49は、筒40と同様であり、車両フレームの1つの側部材の一端に位置する。しかしながら、最も近いクロスビームの前にあるのではなく、溶接等によりエネルギー管理筒49の大径筒部にクロスビーム50が直接取り付けられている。
【0042】
図20は、2つのクロスカービームの斜視図であり、一方が車両フレームと同じ平面内に用いられるクロスカービーム52である。ビームすなわちエネルギー管理筒52は、上述するように2端筒43と同様である。ビームすなわちエネルギー管理筒52は、中間位置に位置する小径筒部53を有し、2つの大径筒部54及び55が車両フレームの側部材に取り付けられている。特に、フレームレールの幾何学形状により良好に合致するように改良しやすくするために、筒13A(又は13B)の両端をアニールすることができる。
【0043】
図20の他のエネルギー管理システムは、一対の筒部55を有する。その一対の筒部55は、車両のクロスカービームとして配置されるが、車両のフロアパンの上方に用いられるか、又は、少なくとも、シートが一対の筒部55に固定され得る、フロアパンに関連した位置に、位置する。各筒55は、その対向する両端が車両の側部に固定されるという点で筒52と同様である。各筒55は、より小さな中間筒部56及びより大きな2つの外側の筒部57及び58を有する。車両は、より大きな筒部57及び58に取り付けられる前部及び後部の外側脚部61、及びより小さな筒部56に取り付けられる前部及び後部の内側脚部62を有するシート59及び60’を有する。
【0044】
図21は、バンパ補強ビーム64、及び車両フレームにバンパビーム64を支持するエネルギー管理筒65を組み込んでいるバンパシステムの斜視図である。クラッシュタワー65は、筒40と同様のエネルギー管理筒であるため、詳細には説明する必要がない。
【0045】
図22は、インストルメントパネル68を支持するのに用いられるクロスカービーム67の斜視図である。ビーム67は、単一の長い小径筒部69を有し、各端には、2つの大径筒部70を含む。大径筒部70は、前部の乗員ドアのすぐ前の車両「A」ピラー等における車両構造に取り付けられる。いくつかのカラー71が、ブラケット72及び開口した取り付けフランジ73を支持するために、小径筒部69に位置付けられる。ブラケット72は、インストルメントパネル68等の種々のアイテム、種々の部品、及びインストルメントパネル68内及びその周りの付属品を固定するのに用いられる。
【0046】
図23は、エネルギー管理筒76の外端に配置されるとともに、その内部に軸方向に設置されようとしている、圧壊可能なインサート75を示す斜視図である。筒76は、小径筒部77、大径筒部78、及びそれらを相互接続する中間筒部79を有し、この中間筒部は、小径筒部77が長手方向に衝撃を受けたときに大径筒部78に丸め込み可能に移動する際に、小径筒部77の材料の所定の丸め込みを行うように設計されている。圧壊可能なインサート75は、周方向に強度を有するとともに大径筒部78を半径方向に支持するようになっている構造リング80を有する。構造リング80は、構造リング80を長手方向に離間させる薄肉リング81により相互接続される。しかしながら、薄肉リング81は、所定の長手方向強度を有し、それにより、長手方向に力を受け取ったときに所定の力で圧壊するようになっている。したがって、圧壊可能なインサート75は、エネルギー管理筒76内に配置される際(図24)、がたつきを防止するように、最初に大径筒部78にぴったりと嵌まる。しかしながら、長手方向に衝撃を受けている間、小径筒部77が大径筒部78に向かって移動する際、小径筒部77の材料が、丸め込みを開始し、移動して圧壊可能なインサート75の端と係合する。小径筒部77が丸め込み、圧壊可能なインサート75の薄肉リング81が圧壊することで、材料をより多く丸め込ませるための追加的な空間が形成される。圧壊可能なインサート75が完全に圧壊するまで、このシーケンスが続く。衝撃ストロークを受けている間、圧壊可能なインサート75は、丸め込み中の材料に係合してその制御に役立つ。例えば、一試験では、圧壊可能なインサート75は、長手方向の負荷が10,000重量ポンドだけ増えた。また、負荷がより一定となり、そのため、エネルギー管理システムの効率定格(すなわち、上述したように「PEA」で除算した「AGA」)が増し得ることが、試験により潜在的に示されている。
【0047】
したがって、圧壊可能なインサートは、筒部77の丸め込みに対して付加的な耐性を与え、エネルギー管理筒の性能を調整するのに用いることができる。図22及び図23の図示の圧壊可能なインサート75は、エラストマー材料から成り、長手方向に負荷を受けたときに中間筒部79のロール半径付近で衝突して圧壊する。凸状円形リング81は、より厚肉の境界リング80間に位置する。圧壊可能なインサートが負荷を受けると、リング80は負荷を受けたときに圧壊を開始する凸状領域に負荷を伝達する。凸状領域81の外方への圧壊は、筒部78の内面によって妨げられる。同様な性能は、筒部78が丸め込み、筒部77がコラム強度を維持する場合に達成することができる。圧壊可能なインサートは、種々の材料から成ることができ、エネルギー管理筒の性能を調整するのに異なる(幾何学)形状を使用してもよい。圧壊可能なインサートは、筒径又は材料厚を増大させる代わりに、筒の性能を調整するのに用いることができる。いくつかの標準的な調整方法では、材料厚を増大させるか又は筒径を増大させることによって筒の性能を達成することができるものもある。圧壊可能なインサートの使用により、著しいコストの追加がなく、また、重量的な損もなく、性能を調整する代替的方法が提供される。
【0048】
[さらなる変更例]
参照符号113(図25A)は、塑性エネルギー管理筒を有する本発明の別の実施形態を全体として示す。塑性エネルギー管理筒113は、前述したエネルギー管理筒13Aと同様である。塑性エネルギー管理筒113は、第1筒部114と、第1筒部114と整合する第2筒部115と、第1筒部114及び第2筒部115を接続する中間筒部116とを有する。第1筒部114は、第2筒部115よりもサイズが寸法的に大きいが、好ましくは同様の断面形状を有する。しかしながら、第1筒部114及び第2筒部115は、例えば六角形、八角形、長円形、レーストラック状(race-track shaped)、円筒形、矩形、正方形、楕円形、円形、又は他の幾何学的形状の種々の形状とすることができることに留意されたい。さらに、筒部114及び115は、各自の長さに沿って、特に、中間筒部116から離間した、筒部114及び115が例えば車両フレーム部品等の種々の構造部に接続されるようになっていなければならない場所で種々の異なる断面形状を有し得ることが考えられる。中間筒部116は、第1筒部114から第2筒部115に移行する形状を有する。
【0049】
図示の塑性エネルギー管理筒113は好ましくは、エネルギーを吸収するための部品に用いられることが多い、PC、PBT、PC/PBT、PC/ABS、及び他の組み合わせプラスチック等の熱可塑性プラスチックから成り、筒部114、115、及び116のそれぞれは、一体形成されるか又は1つのユニットとして一緒に成形される。塑性エネルギー管理筒113は射出成形で作製されることが好ましいが、塑性エネルギー管理筒113を他の方法で作製してもよいと考えられる。肉厚は機能設計要件を満たすように必要に応じて様々とすることができる。また、塑性エネルギー管理筒113は内部に成形される金属部インサートを有し、これにより、塑性エネルギー管理筒113の補強強度が確立され、且つ/又は塑性エネルギー管理筒113を他の部品に組み付ける際に役立つ。
【0050】
図25A〜図25Cに示すように、第1筒部114は第2筒部115よりもサイズが大きい。中間筒部116は、第1筒部114の上部につながった第1端部130と、第2筒部115の下部につながった第2端部131とを有する。図示の第1端部130は逆L字状部を有し、第2端部131は「U」又は「J」字状部を有し、第1の端部130につながっている。図25B及び図25Cに示すように、第1端部130は「L」字状部の2つの脚部間に延びるさらなる材料133を有することが好ましい。塑性エネルギー管理筒113が圧壊を受けている間に、第2筒部115は中間筒部116の第2端部131にて入れ子状の丸め込みを開始して、図25Cに示すように塑性エネルギー管理筒113を圧壊する。第1筒部114及び第1端部130は第2筒部115の圧壊中は不動状態のままであることが好ましい。さらなる材料133が第1端部130を補強するのに役立つ。したがって、第2端部131は、衝撃を受けている間、第1筒部114はそのコラム強度を維持するが、第2筒部115の入れ子状の丸め込みを開始するように構成される。丸め込むのに必要なほどの材料流動のためにクリアランスが設けられる。潜在的に、筒部114及び115は、衝撃を受けている間の材料の丸め込みの際に互いに支持を行うような寸法にすることができる。第2端部131(すなわち中間筒部116の事前設定状態)もまた、初期の急激な高い負荷ピークを避けることに役立ち、それにより、負荷が所定の初期レベルに達したとき急激にレベルが下がり、次いで、衝撃ストロークの間そのレベルのままとなるため、重要である。塑性エネルギー管理筒113は材料の丸め込みを用いて、ピーク/バレー(peaks and valleys)がなく、その代わり、図25Dに示すような平坦な応答性(flat response)をもたらすように設計することができる負荷対撓み応答をもたらす。方形波応答は最も効率的なエネルギー吸収を表す。負荷がかかると、負荷は、構造部のコラム強度が達成されて丸め込みが開始するまで増大する。エネルギーが全て吸収されるまで均一な丸め込みが或るレベル負荷で行われることになる
【0051】
参照符号113a(図26A)は、第2の実施形態の塑性エネルギー管理筒を有する、本発明の別の実施形態を全体として示す。塑性エネルギー管理筒113aは前述した塑性エネルギー管理筒113と同様であるため、図25A〜図25C及び図26Aそれぞれに見られる同様の部品は同一の対応する参照符号で示すが、ただし、図26Aの符号には「a」を添えている。第2の実施形態の塑性エネルギー管理筒113aは、中間筒部116aの第2端部131aからテーパ状になっている内壁134を有する第2筒部115aを有する。内壁134がテーパ状になっていることにより、図26Bの負荷対撓みのグラフに示すように負荷が上がる。
【0052】
参照符号113b(図27A〜図27D)は、第3の実施形態の塑性エネルギー管理筒を有する、本発明の別の実施形態を全体として示す。塑性エネルギー管理筒113bは前述した塑性エネルギー管理筒113と同様であるため、図25A〜図25C及び図27A〜図27Dそれぞれに見られる同様の部品は同一の対応する参照符号で示すが、ただし、図27A〜図27Dの符号には「b」を添えている。第3の実施形態の塑性エネルギー管理筒113bは内側エネルギー管理筒部140を有する。内側エネルギー管理筒部140は第1の実施形態の塑性エネルギー管理筒113のほぼ逆の形態であり、中間筒部116bの第2端部131bの遠位の、第2筒部115bの端に、スパン部141によってつながっている。そのため、内側エネルギー管理筒部140は、第1筒部114b’と、第2筒部115b’と、中間筒部116b’とを有する。
【0053】
図27Bに示すように、第3の実施形態の塑性エネルギー管理筒113bは、第1の実施形態の塑性エネルギー管理筒113と同じようにして圧壊する。したがって、第2筒部115bは中間筒部116bの第2端部131bにて入れ子状に丸め込みを開始して、図27Bに示すように塑性エネルギー管理筒113bの外側部を圧壊する。第1筒部114b及び第1端部130bは第2筒部115bの圧壊中は不動状態のままであることが好ましい。ここでもまた、さらなる材料133bが第1端部130bを補強するのに役立つ。したがって、第2端部131bは、衝撃を受けている間、第1筒部114bはそのコラム強度を維持するが、第2筒部115bの入れ子状の丸め込みを開始するように構成される。丸め込むのに必要なほどの材料流動のためにクリアランスが設けられる。潜在的に、筒部114b及び115bは、衝撃を受けている間の材料の丸め込みの際に互いに支持を行うような寸法にすることができる。第2端部131b(すなわち中間筒部116bの事前設定状態)もまた、初期の急激な高い負荷ピークを避けることに役立ち、それにより、負荷が所定の初期レベルに達したとき急激にレベルが下がり、次いで、衝撃ストロークの間そのレベルのままとなるため、重要である。
【0054】
図27Bに示すように第3の実施形態の塑性エネルギー管理筒113bの外側部が圧壊した後、内側エネルギー管理筒部140が第3の実施形態の塑性エネルギー管理筒113bの外側部の圧壊に引き続いて圧壊することになる。したがって、第1筒部114b’が中間筒部116b’の第1端部131b’にて入れ子状の丸め込みを開始して、図27Cに示すように内側エネルギー管理筒部140を圧壊する。第2筒部115b’及び第2端部130b’は第2筒部115bの圧壊中は不動状態のままであることが好ましい。ここでもまた、さらなる材料133b’は第2端部130b’を補強するのに役立つ。したがって、第1端部131b’は、衝撃を受けている間、第2筒部115b’はそのコラム強度を維持するが、第1筒部115b’の入れ子状の丸め込みを開始するように構成される。丸め込むのに必要なほどの材料流動のためにクリアランスが設けられる。潜在的に、筒部114b’及び115b’は、衝撃を受けている間の材料の丸め込みの際に互いに支持を行うような寸法にすることができる。第1端部131b’(すなわち中間筒部116b’の事前設定状態)もまた、初期の急激な高い負荷ピークを避けることに役立ち、それにより、負荷が所定の初期レベルに達したとき急激にレベルが下がり、次いで、衝撃ストロークの間そのレベルのままとなるため、重要である。
【0055】
塑性エネルギー管理筒113bは材料の丸め込みを用いて、ピーク/バレーがなく、その代わり、図27Dにおける地点145及び150間に示すような、第3の実施形態のエネルギー管理筒113bの外側部が圧壊を受けている間に平坦な応答性を、また、(図27Dにおける地点150及び160間に示すような、第3の実施形態のエネルギー管理筒113bの外側部及び内側エネルギー筒部140の双方が圧壊を受けている間により高い別の平坦な応答性をもたらすように設計することができる負荷対撓み応答をもたらす。
【0056】
上述した塑性エネルギー管理筒113、113a、及び113bでは、塑性エネルギー管理筒113、113a、及び113bを逆にすることができるように第1筒部114又は第2筒部115のいずれかを支持構造体に接続することができる。さらに、第3の実施形態の塑性エネルギー管理筒113bの内側エネルギー管理筒部140を、第2筒部115b’がスパン部141につながるように逆方向に位置付けすることができる。さらに、塑性エネルギー管理筒113、113a、及び113bは段階的に小さくなっている複数部から成ることもできるであろう(図28C)。さらに、筒部のいずれかは第2の実施形態の塑性エネルギー管理筒113aにおいて上述したようにテーパ壁を有することができる。さらに、塑性エネルギー管理筒113、113a、及び113bのいずれかは、図27Fに示すようなサイン波エネルギー曲線をもたらす、図27Eに示すような圧壊開始溝177を有することができる。溝177は、第2筒部115にあるように示されているが筒部のどこにあってもよい。
【0057】
塑性エネルギー管理筒113、113a、及び113bの応用形態は、スタンドアロン型の圧壊可能な構造体、及び/又は、成形されてより大きな塑性成形部分になる圧壊可能な特徴部を含み、その塑性成形部にアンカット及びブラインド面を与える、ツーリング作業や、ツーリングの可動部を、必要とすることがない。成形部のサイズは任意の所望のサイズに成形することができ、複数の塑性EMTの組み合わせを成形して同時に又は順次に作動するように成形するか、又は大表面積を含むように構成することができる。単一の塑性EMT113、113a、及び113bは、図28Aに示すように車両内の運転者の膝202の正面にニーボルスター200として、図27Bに示すようにバンパシステム210の正面且つフェイシア212の後ろに塑性EMT113、113a、及び113bのような別の構造体の正面に圧壊部材として、図28Cに示すように車両の支持フレーム220とファイシア222とのバンパブラケットとして、車両のAピラー及びBピラーへの内部部品として(図示せず)、図27Dに示すようにブリッジ242用の保護支持体240に対する道路盛土として、又は他の方法で用いることができる。さらに、一群の塑性EMTを、図29に示すエネルギーアブソーバとしてバンパ300の一面にわたって、又は図30A〜図30Cに示すようにビーム400(例えば「ENERGY MANAGEMENT BEAM」と題する米国特許出願番号10/808,127(その全内容は参照により本明細書中に援用される)に開示されているビーム)内に用いることができるか、又は図31A及び図31Bに示されるように頭部保護用の車両ヘッドライナ内に用いることができる。さらに、塑性エネルギー管理筒113、113a、又は113bを昇降路500の底部に用いて、図32に示すように下降中のエレベータ(dropping elevator)502のエネルギーを吸収することができる。基本的に、スタンドアロン型構造体として、又はエネルギー吸収を行うのに或る面積が要されるいくつかのより大きな面積に対して、エネルギー吸収が必要とされるどこにでも、塑性EMT技術を用いることができる。
【0058】
部品を製作するのにプラスチックを使用することの利点としては、複雑な形状を成形すると共に、本発明の性能を調整するのに用いることができる複雑な特徴部になるように成形することができる融通性が挙げられる。塑性EMTは、成形プロセスにおいて厚みを変更することができることにより、外側がフレヤ状に拡がった大径部を有するより大きな筒を必要とせず、そのため、小径部を大径部に入れ子状にするのを促進する。塑性成形プロセスは非常に融通性がある。単純な単一の又は複数のEMT構造部は、単純なインダイ/アウトダイで容易に成形される。内側剛性用リブ及びベーンを含むより複雑な構造は、動作を内包するダイを必要とし得る。プラスチックを成形する融通性により、必要とされる材料厚の仕様を可能にする。厚みの変更を用いて、コラム強度及び所望の丸め込み負荷を与えることができる。成形プロセスによって与えられるプラスチックの厚さを変更できること、及び成形プロセスによる融通性は、プラスチックの使用に関連する利点を示す。EMTはまた、他のEMT内に成形されると共に入れ子状にして、さらなる負荷調整能力をもたらすようにすることができる(図28Bを参照)。
【0059】
本発明の概念から逸脱することなく、上記構造に変形及び変更を加えることができることは理解されるであろうし、また、そのような概念は、そうでないことが明言されていない限り、添付の特許請求の範囲に包含されるものとすることも理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】車両フレームに取り付けられる取り付けプレートと、バンパビームと、対向する両端部が取り付けプレート及びバンパビームに取り付けられているクラッシュタワーとを備えるバンパシステムの横断面図である。
【図2】図1と同様であるが、クラッシュタワーが第1(比較的短い)距離だけ圧壊した状態にある図である。
【図3】図2と同様であるが、クラッシュタワーが第2(より長い)距離だけ圧壊した状態にある図である。
【図4】本発明を具現化するエネルギー管理筒の側面図である。
【図5】エネルギー管理筒が有することができるさらなる断面形状の斜視図でる。
【図6】第1直径を有する筒状ブランクの側面図である。
【図7】筒状ブランクの一端が縮径に圧縮されている様子を示す側面図である。
【図8】予め設定されたS形状を有するように中間筒部が長手方向に変形されている様子を示す側面図であり、本発明のエネルギー管理筒を示す図である。
【図9】大径筒部に隣接する中間筒部の外向きにフレア状に拡がった端部を有する、図8の筒の側面図である。
【図10】大径筒部に隣接する中間筒部の外向きにフレア状に拡がった端部を有する、図8の筒の底面図である。
【図11】大径筒部に隣接する中間筒部の外向きにフレア状に拡がった端部を有する、図8の筒の長手方向断面図である。
【図12】図10の丸で囲んだ領域XIIの拡大図である。
【図13】一部が入れ子式に圧壊し、大径筒部側に丸め込んだ材料を有する、図14に示す筒の斜視図である。
【図14】小径筒部に隣接する中間筒部の内向きにフレア状に拡がった端部を有する、変更例のエネルギー管理筒の側面図である。
【図15】小径筒部に隣接する中間筒部の内向きにフレア状に拡がった端部を有する、変更例のエネルギー管理筒の長手方向断面図である。
【図16】図15の丸で囲んだ領域XVIの拡大図である。
【図17】図10に示した筒の長手方向に衝撃を受けた場合の負荷対撓み曲線を示すグラフである。
【図18】筒が直立しており、中間部(約75mm〜約95mmの範囲)及び第2筒部がアニールされている状態の、図10の筒の底面からの距離における硬度及び引張り強度に関してアニール効果を示すチャートである。
【図18A】図18の筒に用いられる材料に関してアニール効果を示すグラフであり、一連のアニール温度線A〜Jは、アニール温度の上昇に基づく降伏強度の漸次的低減、引張り強度の低減、並びに歪み及び成形性の全体的な増加を示すグラフである。
【図19】本発明のエネルギー管理システムが用いられている4つの特定の領域の拡大図を含む、図10の本発明のエネルギー管理筒を組み込んでいる車両フレームの斜視図である。
【図20】2つのクロスカービームの斜視図であり、一方は車両のフロアパン下に位置する車両フレームに用いられるクロスカービームであり、他方は車両のフロアパンの上方に用いられるとともに車両シートを支持するのに用いられるクロスカービームである。
【図21】バンパ補強ビーム、及び車両フレームにバンパビームを支持するクラッシュタワーを組み込んでいるバンパシステムの斜視図である。
【図22】インストルメントパネルを支持するのに用いられるクロスカービームの斜視図である。
【図23】エネルギー管理筒から分解された圧壊可能な支持部材を示す斜視図である。
【図24】筒内に位置している圧壊可能な支持部材を示す斜視図である。
【図25A】本発明の塑性エネルギー管理筒(EMT)の前面斜視図である。
【図25B】初期位置の本発明の塑性EMTの断面図である。
【図25C】衝撃後の本発明の塑性EMTの断面図である。
【図25D】本発明の塑性EMTについての負荷対変位のチャートを示すグラフである。
【図26A】本発明の第2の実施形態の塑性EMTの断面図である。
【図26B】本発明の第2の実施形態の塑性EMTについての負荷対変位のチャートを示すグラフである。
【図27A】初期位置の本発明の第3の実施形態の塑性EMTの断面図である。
【図27B】第1の圧壊位置の本発明の第3の実施形態の塑性EMTの断面図である。
【図27C】第2の圧壊位置の本発明の第3の実施形態の塑性EMTの断面図である。
【図27D】本発明の第3の実施形態の塑性EMTの負荷対変位のチャートを示すグラフである。
【図27E】本発明の塑性EMTの変形例の正面図である。
【図27F】本発明の変更した塑性EMTについての負荷対変位のチャートを示すグラフである。
【図28A】本発明の塑性EMTの第1の使用を示す図である。
【図28B】本発明の塑性EMTの第2の使用を示す図である。
【図28C】本発明の塑性EMTの第3の使用を示す図である。
【図28D】本発明の塑性EMTの第4の使用を示す図である。
【図29】本発明の塑性EMTを採用する、第1の実施形態のバンパビームの斜視図である。
【図30A】本発明の塑性EMTを採用する、第2の実施形態のバンパビームの斜視図である。
【図30B】本発明の塑性EMTを採用する、第2の実施形態のバンパビームの一部を切り取った斜視図である。
【図30C】本発明の塑性EMTを採用する、第2の実施形態のバンパビームの断面図である。
【図31A】本発明の塑性EMTを採用するヘッドライナの斜視図である。
【図31B】図31Aの線A−Aに沿った本発明の塑性EMTを採用するヘッドライナの断面図である。
【図32】本発明の塑性EMTを採用するエレベータ昇降路を表す図である。
【技術分野】
【0001】
[背景]
本発明は、衝撃ストローク中、一定の且つ予測可能な方法で著しい衝撃エネルギーを吸収するように構成されている、高分子材料から成るエネルギーアブソーバを含むエネルギー管理システムに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、「PLASTIC ENERGY MANAGEMENT BEAM」と題する、2004年9月7日付けで出願された米国仮出願番号60/607,677(その全内容は本明細書に参照により援用される)の利益を主張する。
【0003】
本願は、「TUBULAR ENERGY MANAGEMENT SYSTEM FOR ABSORBING IMPACT ENERGY」と題する米国出願番号10/997,332の一部継続出願であり、この米国出願番号10/997,332は、「TUBULAR ENERGY MANAGEMENT SYSTEM FOR ABSORBING IMPACT ENERGY」と題する、2003年8月26日付けで出願された米国出願番号10/648,757の継続出願であり、この米国出願番号10/648,757は、「CRUSH TOWER WITH RINGS OF VARIED STRENGTH」と題する、2001年9月27日付けで出願された米国出願番号09/964,914(現在、米国特許第6,648,384号)(その全内容は参照により本明細書中に援用される)の一部継続出願である。本願はまた、「ENERGY MAMAGEMENT BEAM」と題する、2003年8月26日付けで出願された米国出願番号10/808,127(その全内容は参照により本明細書中に援用される)の一部継続出願である。最後に、本願は、「BUMPER SYSTEM INCORPORATING THERMOFORMED ENERGY ABSORBER」と題する、米国出願番号60/484,712に対する、優先権を主張する、2003年12月15日付けで出願された国際出願番号PCT/US03/39803(その双方の全内容は参照により本明細書中に援用される)の一部継続出願である。
【0004】
連邦政府、保険会社、並びに車両安全に関わる代理店、協会及び会社は、車両バンパシステムが合格しなければならない標準化された衝撃試験を規定している。バンパマウント及びクラッシュタワーは通常、バンパバーを車両フレーム上に支持するために使用されており、車両が衝撃を受けている間にエネルギーを吸収するのに使用されることが多い。いくつかの特徴が、バンパマウント及びクラッシュタワーを「効果的な」ものにするために役立っている。既知の狭い範囲内の一定且つ予測可能な衝撃強度を与え、それにより、個々の車両のバンパシステムがすべて、試験に確実に合格するようにする、バンパマウント及びクラッシュタワーを製造することが望ましい。これにより、製造者はより安全な車両を製造することができ、また、余分な重量を削減するとともに低コストの材料を使用するために、バンパシステムをより正確に最適化することができる。さらに詳しくは、一定の力対撓み曲線を提供する、バンパマウント及びクラッシュタワーを製造し、一定のエネルギー吸収対時間曲線を提供し、一定且つ予測可能な圧壊パターンを提供することが望ましい。これにより、車両製造者は、或る特定の衝撃力でどれだけの撓みが発生するか、また、衝撃、すなわち、車両が衝突を受けている間の任意の時点でどれだけのエネルギーが吸収されるかを確実に知ることができる。次に、これにより、車両製造者は、製品のばらつきを補償するとともに車両フレーム上にバンパシステムを十分に支持するための空間を無駄に使うことなく、衝撃の被害がないことを可能にするのに十分な空間(room)をバンパシステムの周囲に設計することができる。力対撓み曲線には、クラッシュタワーが弾性変形から永久変形に変化して、完全に圧壊して底づくまで(bottoming out)のいくつかの重要な範囲がある。これらの様々な圧壊点が予測可能であり、それにより、圧壊の前及びその最中に相当量のエネルギーを確実に吸収するようにするだけでなく、過度の負荷がバンパシステムを介して車両及びその乗員に伝達される前に、圧壊が確実に起きるようにすることが重要である。
【0005】
以上に加えて、バンパ開発プログラムには長いリードタイムが必要であり、また、いずれのクラッシュタワーも、バンパ開発プログラムの遅い段階で特定の車両モデル用に最適化するために予測して変更及び調整することができるように、融通性、適応性及び「可調整性」を有することが重要である。また、様々なバンパビームに、且つ様々なバンパシステムで、また、車両要件が大きく変化するにもかかわらず様々な車両モデルで使用することができ、それにより、各新しいバンパシステムが、新しいにもかかわらず、全てが未試験で且つ「未知」のシステムではないようにすることができるクラッシュタワー設計を提供することが望ましい。
【0006】
バンパビームをバンパシステム内に支持するためのいくつかの筒状クラッシュタワーが既知である。1つのタイプでは、2つの打ち抜き半割シェルを合わせて溶接する。しかし、この工程によって、原材料のスクラップが発生する。また、溶接工程は、製造間接費に追加される二次作業である。さらに、溶接されたクラッシュタワーは、製品における大きなばらつきや、製品の衝撃強度、力対撓み曲線、エネルギー吸収曲線及びクラッシュ破壊点(crush failure point)における大きなばらつきを受けやすい。
【0007】
クラッシュタワーによっては、他のクラッシュタワーよりも強度の高い材料を用いるものもある。しかしながら、クラッシュタワーの強度が増すにつれ、より高い負荷がバンパビームから車両フレームに直接伝達される傾向がある。このことは望ましくない場合が多い。代わりに、タワー自体が予測可能に圧壊(crush and collapse)するとともに、分布時間にわたって最大エネルギーを吸収することが望ましい。特に、強度が非常に高いクラッシュタワーは、望ましくない程高い負荷スパイクをバンパビームから車両フレームに伝達する傾向が強い。その後に、エネルギーがごくわずかしか吸収されず、且つエネルギー吸収が車両ごとに一定ではないか又は予測不可能であるクラッシュタワーの破滅的な圧壊が続いて起こる場合が多い。また、その結果、車両フレームに、時期的に早い段階での被害がもたらされる。車両の衝突の間にクラッシュタワーが示す圧壊ストローク全体にわたって、連続的且つ予測可能に材料を撓ませて曲げるようにクラッシュタワーが設計されることが特に重要である。同時に、高強度低合金(HSLA)鋼、又は強度対重量比が非常に高い超高強度鋼等の超高強度材料の使用を可能にする設計が望まれる。バンパ製造分野の熟練者(当業者)には既知のように、単に、より強度の材料からクラッシュタワーを製造するという着想は不十分な着想である場合が多く、実際、車両フレームに対して高い衝撃負荷及び負荷スパイクが伝達されることに起因してバンパシステムの故障につながるとともに、不十分なエネルギー吸収に付随する問題につながる場合が多い。
【0008】
車両フレームは、バンパマウント及びクラッシュタワーと同様に、エネルギー吸収及びエネルギー消散の双方に関して衝撃エネルギーを管理するように設計されることが好ましい。これには、車両部品に対する被害を最小限に抑える必要があり、また、車両乗員に対する傷害を最小限に抑える必要がある。バンパマウント及びクラッシュタワーと同様に、車両フレームは、長期の開発時間を有し、さらに、開発の遅い段階で調整及び調節を必要とする場合が多い。車両フレーム(及びフレームマウント部品)は、当然のことながら、バンパマウント及びクラッシュタワー(及びその他の車両部品)が取り付けられる車両フレームであるため、バンパマウント及びクラッシュタワーと同じ多くの懸念を有する。
【0009】
さらに広範には、融通性があるとともに広範の状況及び用途で使用することができるエネルギー吸収システムが望まれる。かかるエネルギー吸収システムは、バンパシステムにおいてだけでなく、車両フレーム(縦方向/クロスカー)、及び他の用途、並びに非車両用途のいずれにおいても有用であることが好ましい。特に、高分子材料から成る部品においてさえもエネルギー吸収を制御することが重要である。例えば、射出成形及び熱成形されたエネルギーアブソーバは多くの場合、筒状金属補強ビームの一面に高分子エネルギーアブソーバを配置すること等により、車両バンパシステムにおいて使用される。
【発明の開示】
【0010】
したがって、上記問題を解決するとともに上記利点を有するエネルギー管理システムが望ましい。特に、一定の衝撃強度、一定の力対撓み曲線、一定のエネルギー吸収(弾性変形及び永久変形について)、及び、一定の圧壊点及び圧壊パターンを与え、これらのすべてが製品及び特性のばらつきにおいて厳格な/狭い範囲に入る、エネルギー管理システムが望ましい。また、二次作業の必要性を減じるとともに、手作業の必要性を減少させて製造することができるが、それでもなお融通性があり調整可能なコスト競争力があるエネルギー管理システムが望ましい。
【0011】
[発明の概要]
本発明の一態様は、長手方向に衝撃を受けたときに相当な衝撃エネルギーを確実且つ予測可能に吸収するようになっているエネルギー管理筒を提供することである。当該エネルギー管理筒は、高分子の第1筒部と、第1筒部と整合する高分子の第2筒部と、第1筒部と第2筒部とをそれぞれ一体接続する第1端部及び第2端部を有する、高分子の中間筒部とを備える。第1筒部及び第2筒部はサイズが寸法的に異なり、中間筒部は、第1筒部から第2筒部に移行する形状を有する。第1筒部は、第2筒部よりもサイズが大きく、且つ筒境目を画定する外面を有する。第1端部は、長手方向に衝撃を受けたときに第1筒部のコラム強度を支持及び維持するように作用する材料のひと続きのバンドを有し、第2端部は、衝撃を受けている間、第1筒部はそのコラム強度を維持するが、それとは対照的に、第2筒部の入れ子状の丸め込み(a telescoping rolling)を開始するように構成される。
【0012】
本発明の別の態様は、長手方向に衝撃を受けたときに相当な衝撃エネルギーを確実且つ予測可能に吸収するようになっているエネルギー管理筒を提供することである。当該エネルギー管理筒は、第1耐変形性を有する、高分子の第1筒部と、第1耐変形性よりも大きい第2耐変形性を有する、高分子の第2筒部と、第1筒部を第2筒部に接続する、高分子の中間筒部とを備える。長手方向に衝撃を受けると、中間筒部及び第1筒部が予測可能に、且つ中間筒部が長手方向の衝撃から力を受ける際の第2筒部よりも迅速に丸め込む。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、長手方向に衝撃を受けたときに相当な衝撃エネルギーを確実且つ予測可能に吸収するようになっているエネルギー管理筒を製造する方法を提供することである。当該方法は、高分子の第1筒部を成形すること、高分子の第2筒部を成形すること、第2の筒部を第1筒部と整合させること、及び第1筒部と第2筒部とをそれぞれ一体接続する第1端部及び第2端部を有する、高分子の中間筒部を成形することを含む。第1筒部及び第2筒部はサイズが寸法的に異なり、中間筒部は、第1筒部から第2筒部に移行する形状を有する。第1筒部は、第2筒部よりもサイズが大きく、且つ筒境目を画定する外面を有する。第1端部は、長手方向に衝撃を受けたときに第1筒部のコラム強度を支持及び維持するように作用する材料のひと続きのバンドを有し、第2端部は、衝撃を受けている間、第1筒部はそのコラム強度を維持するが、それとは対照的に、第2筒部の入れ子状の丸め込みを開始するように構成される。
【0014】
本発明の上記及び他の態様、目的及び特徴は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲及び添付図面を精査すれば、当業者には理解され認識されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[好適な実施形態の詳細な説明]
本明細書での説明のため、用語「上方」「下方」、「右」、「左」、「後」「前」、「垂直」、「水平」、及びそれらの派生語は、本発明の図1における向きに関する。しかしながら、そうではない旨を明記している場合を除き、本発明は様々な代替的な向きを考慮し得ることを理解されたい。また、添付の図面に示すと共に以下の明細書に説明する特定の装置及びプロセスは、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の概念の例示的な実施形態にすぎないことを理解されたい。したがって、本明細書に開示される実施形態に関する特定の寸法及び他の物理的特徴は、特許請求の範囲で明確に別記されていない限り、限定するものと見なされるべきではない。
【0016】
本発明は、充填材及び補強材料、例えばタルク、ガラス繊維等を用いる又は用いない、熱可塑性高分子材料及び熱硬化性高分子材料でのエネルギー管理技術(EMT)の利用を含むことに留意されたい。
【0017】
車両バンパシステム10(図1)は、取り付けブラケットを有する車両前バンパビーム11と、レール取り付けプレート12を含む車両フレームと、ブラケットとプレート12との間に取り付けられたクラッシュタワー13とを備える。クラッシュタワー13は、高強度熱処理可能鋼等のひと続きの連続した(continuous contiguous)材料でできた筒を有する。筒は、中間接続部16によって接続された第1リング部14及び第2リング部15を有する。中間接続部16は、漏斗形ランプを形成する円錐台形部分17を有する。一つの態様では、第1リング部14は、熱処理されて高い材料強度、例えば、約140KSIの引張り強度になっており、これは、約60KSIの引張り強度に保持される第2リング部15より相当に高い。第1リング部14の引張り強度は、第2リング部15の引張り強度より相当に高く、例えば、約10%高くするべきであるが、好ましくは第2リング部15の引張り強度の約2倍の引張り強度、すなわち、約60KSIだけ高くするべきであると考えられる。この構造によって、リング部14がリング部15の上に入れ子状に丸め込んで、中間接続部16の円錐台形部分17において塊状になるために必要な剛性が与えられる。
【0018】
この構造により、バンパシステム10がクラッシュタワー13の長さに対して平行な端部衝撃を受けたとき、第1リング部14及び第2リング部15は、予測可能且つ一定の多段階変形順序で互いに入れ子式に圧壊し、第3リングすなわち小径挟持部18(図2)が第1リング部14と第2リング部15との間に形成され始め、やがて実際に形成される(図3)。中間接続部16の長さによって制限されながら第3リング18が完全に形成されると、部分22によって形成された「フック」の下側の位置20で材料が座屈して塊状になり始める。車両モデルに十分な空間があるとともに、クラッシュタワーが最終的に底づく前に追加のエネルギー吸収が望まれる場合、追加リング部及び中間接続部を設けることができると考えられる。
【0019】
図示のバンパビーム11は、筒状ビームであって、当該技術分野では既知である。例えば、Sturrusの特許第5,092,512号及び第5,813,594号を参照されたい。しかしながら、ビームはまた、開端した非筒状ビームとすることができると考えられる。また、バンパビームは、直線的又は曲線的にすることができる。それらの形状に応じて、取り付けブラケット又はプレートを使用して、クラッシュタワーに取り付けるようになっている比較的平坦な取り付け面をバンパに設けることができる。(特許第5,092,512号の図14及び特許第5,813,594号の図4を参照されたい。)同様に、クラッシュタワーの車両接続端部に様々な異なる手段を使用して、クラッシュタワーを車両フレームに固定するための取り付け点を設けることができる。
【0020】
本発明のクラッシュタワー13は、単一の筒状形材(tubular shape)から形成することができる。最初に、筒状形材はロール成形及び溶接をして、一定の円形断面を有し、一定の厚さの均一壁を有する永久筒(permanent tube)にすることが考えられる。しかしながら、本発明では、非円形筒を使用することもできると考えられる。
【0021】
筒を形成して所望の長さに切断した後、中間接続部16をロール成形又はスタンピング加工して、筒の中心線21に対して小さい角度を成す内向き変形した円錐台形部分17(漏斗状の形状)と、中心線21に対してより大きい角度を成す内向き変形した丸み付き「急開き」(quick-out)部分22とを形成する。図示の円錐台形部分17は、衝撃を受けている間にリング部15をリング部14内へ誘導する剛直ランプを形成するようにに、比較的直線状の漏斗形状区域を有する。また、急開き部分22は、丸みが付けられて傾斜しており、それにより、曲げ力を受けて、丸められて内向きに変形したフック形状になる(図2を参照のこと)。内向きに変形した材料は、筒部15のコラム強度を維持する部分15の均一なコラム支持体を形成する。これは、後述するように、衝撃を受けている間の部分14及び15の入れ子作用に役立つ。
【0022】
クラッシュタワー13内の内部キャビティ25は、開放状態にあり、衝撃を受けている間も開放したままである。その結果、クラッシュタワー13の性能に悪影響を与えることなく、部品をキャビティ25内に配置することができる。所望ならば、例えば、牽引フックブッシュをキャビティ25内に配置することができる。
【0023】
作用を説明すると、クラッシュタワー13は、ロール成形等によって筒を形成し、次にその筒に縮径の中間接続部をロール成形又は変形し、次にリング部14(及び/又は部分15、17及び22)を熱処理することによって製造される。次に、1対のクラッシュタワー13を、互いに水平方向及び横方向に間隔を置いた状態で、バンパビーム11に取り付けることによって、バンパシステム10に組み付ける。次に、バンパシステム10を車両フレームに取り付ける。
【0024】
衝撃を受けている間に、中間接続部16は、中心線21に沿ったリング部14及び15の直線的強度(linear strength)に起因して、座屈し始める。特に、急開き部分22が折り返されて二重になるとき、円錐台形部分17が急開き部分22の下側に押し進められ、その急開き部分22は、部分17を把持する内向きに変形したフック状リングを形成する。部分17の材料の残部に比して、部分22の半径は、このような成果を生じさせるのに役立つ。これは、第1(低)エネルギー吸収レベルの第1圧壊段階を提供する。クラッシュタワー13が車両衝撃による長いストローク中にさらなる入れ子作用を受けると、中間接続部16の端部が曲がって、リング部14の残りの材料の下側に引き寄せられる。リング部15の端部が曲がって筒部15の外面に丸め込む際、リング部14とリング部15との間に第3リング部18が形成される。様々な部分14〜16のこの順次の圧壊及び変形、特に、筒部14の材料の丸め込みは、非常に予測可能な方法で、且つ比較的狭い変動範囲で相当なエネルギーを吸収する。
【0025】
本発明のクラッシュタワーは、ロール成形機で高強度低合金(HSLA)鋼から成るロールから製造されることができることが考えられる。さらに、鋼のロールは、高強度鋼(例えば70KSI引張り強度)又は超高強度鋼(例えば80KSI以上の引張り強度)とすることができることが考えられる。必要に応じて、これらの材料を選択領域でアニールして、延伸特性を高めるか、又は降伏強度(例えば60KSI以下の引張り強度)を下げるか、且つ/又は選択領域を熱処理して強度を高めることができる。例えば、一端に60KSI引張り強度の領域を有するとともに、対向端に120KSI強度の領域を有するクラッシュタワーを、いずれかの方法で製造することができる。中間リング部は、良好な圧壊順序をより確実にするために、約60KSIであり、強度がより低い強度のリング部と同様であることが好ましい。本開示では、「熱処理(heat treat)」という用語は、用語「アニール」よりも広範であると考えられること、また、熱及び熱手段を用いることにより材料特性を増減させることを含むことに留意されたい。熱処理及び/又はアニールは、ロール成形装置でインラインで行われるとともに連続工程としてロール成形と同時に行うことができることも考えられる。アニールのステップが、装置でインラインで行われるとともにロール成形工程と同時に行われる場合、隣接するクラッシュタワーが反対方向を向くように、ロール成形された筒状形状が作られることが有用である。例えば、リング15(すなわちバンパビームに取り付けられるべき端)が高強度から低強度にアニールされる場合、単一のアニール熱がより広い領域にわたって加えられることができるように、互いに隣り合った(すなわち分離した筒部に分離される前に)隣接するクラッシュタワーの2つのリング部15を互いに隣り合わせることが有用である。これにより、ロール成形工程及びアニール工程に対する効率、制御、及びライン速度が加味される。
【0026】
[変更例]
以下の説明では、同様の部品、特徴、及び態様は、同一の識別符号で識別されるが、ただし、文字「A」、「B」等が付記されている。これは、冗長な説明を減らすためになされている。
【0027】
長手方向に衝撃を受けたときに相当な衝撃エネルギーを確実且つ予測可能に吸収するようになっている、変更形のエネルギー管理筒13A(図4)が提供される。エネルギー管理筒13Aは、第1筒部14Aと、第1筒部14Aと整合する第2筒部15Aと、第1端部30及び第2端部31をそれぞれ有する中間筒部16Aとを有する。端部30及び31は、第1筒部14Aと第2筒部15Aとをそれぞれ一体接続する。第1筒部14Aは、第2筒部15Aよりもサイズが寸法的に大きいが、同様のシリンダ状断面形状を有する。しかしながら、第1筒部14A及び第2筒部15Aは、例えば矩形、四角形、楕円、円形、又は他の幾何学的形状の種々の形状とすることができることに留意されたい(図5を参照のこと)。さらに、筒部14A及び15Aは、各自の長さに沿って、特に、中間筒部16Aから離間した、筒部14A及び15Aが例えば車両フレーム部品等の種々の構造に接続されるようになっていなければならない場所で異なる断面形状を有し得ることが考えられる(図19〜図22を参照のこと)。中間筒部16Aは、第1筒部14Aから第2筒部15Aに移行する形状を有し、さらに、第1端部30及び第2端部31は、以下に示すように形状が異なる(図9〜図12)。
【0028】
本発明のエネルギー管理筒13A(図4)は、アニール可能な鋼材料のシートから成るものとして開示され、ユニットとして合わせて一体形成される筒部14A、15A、及び16Aのそれぞれが、ユニットとして合わせて一体形成される。壁厚は、機能上の設計要件を満たすよう必要に応じて変えることができる。例えば、バンパクラッシュタワー及び/又は車両フレーム用としては、材料強度及び特定の用途の使用要件に応じて、厚みは約1.5mm〜4mmとすることができる。シートは最初に、ロール成形機により連続した長い筒になるように製造され、その後、所定の長さの筒状ブランク60(図6)になるようにカットされることが考えられる。次いで、筒状ブランクは筒部15A及び16Aの領域をアニールされ、次いで形状61(図7)に形成され、ここでは、第2筒部15Aは、縮径を有するよう圧縮され、中間部16Aは一時的な円錐台形状を一時的にとる。エネルギー管理筒13Aを固定し且つ事前設定状態(図8)になるように長手方向に変形することが有用であることがわかっている。それにより、中間部16Aは、以下に示すように、初期の衝撃を受けている間、高い負荷スパイクを回避する特定の形状をとる。自動バンパシステム及びフレーム部品の場合、材料シートは、構造用鋼等の良好で信頼性の高いグレードの鋼であることが好ましい。約35KSIを上回る降伏強度を有する鋼が非常によく機能する。構造用鋼、又は高強度低合金鋼(HSLAS)又は超高強度鋼(UHSS)等の、最適な降伏特性及び延伸特性を選択領域に達成するように熱処理又はアニールすることができる鋼もまた優れた候補である。
【0029】
材料についての具体的な記載は好適なものである。選択材料がより強度を増し且つより硬くなるほど、降伏強度が高く、引張り強度が高く、且つ延伸値が低くなるため、半径のきつい部分でより影響を受けやすくなり、丸め込みに抗する傾向が高くなる場合が多い。その代わり、半径のきつい部分での破損、キンク、せん断、亀裂、及び/又は破損の傾向が強くなる。この破損問題は、半径が材料の厚さ寸法に近づくにつれ悪化することになる。本発明は、外向き及び内向きのフレア状の拡がり、クリアランス、及びこの問題を対処するのに特に選択された半径を用いる。種々のグレートの鋼は、当該技術分野において既知であるとともに当業者により理解される。標準化された工業規格としてのASTM A1008/A及びA1008M−01a、並びにASTM A1011A及びA1011M−01aに留意する必要がある。約25KSI以上を有する鋼等の構造用鋼は、上述した品質上の問題が生じ始める強度特性を有する。構造用鋼は一般に、冷間圧延された商用品質の鋼又は熱間圧延された商用品質の鋼よりも若干良好なグレードである。それにもかかわらず、特に、構造用鋼は25〜35KSI引張り強度に近づくにつれて、問題を呈する傾向が強くなる。本発明は、上記に示したエネルギー管理筒13(及び筒13A及び13B)では、約25KSI以上の引張り強度を有する鋼等の構造用鋼を用いて十分に機能することが特に考えられる。本発明はまた、80KSI以上のより強度な材料、及び超高強度鋼(UHSS)の場合に十分に適合するとともに十分に機能する。機能性及び材料の高度な圧延が望まれる場合、これらの鋼は、エネルギー管理筒に沿った目的にかなう(strategic)領域にて最適な特性を達成するように熱処理又はアニールを行うことができる。
【0030】
本明細書中で説明した種々の鋼は、鋼材料分野及びロール成形分野における熟練者(当業者)により十分に理解されることが意図されているとともにそのように考えられていることを理解されたい。読み手の利便性のため、付加的な情報はアメリカ材料試験協会(ASTM)から入手することができるということを特記しておく。本明細書中で用いられている鋼についての用語は、ASTMの規格及び定義に準拠していることが意図されている。それにもかかわらず、本発明の技術は、非常に融通性があり、広範な材料とともに機能するように適合可能であるということを強調しておく。したがって、種々の用語は、合理的に解釈されるものの、広範に解釈されることが意図される。
【0031】
本発明の概念は、HSLA鋼、及び二相鋼(dual phase plate)、三相(TRIP)鋼、又はマルテンサイト材料等の超高強度鋼(UHSS)にとって特に有用であると考えられている。本発明の概念はまた、アルミニウム及びさらにはより軟質の材料等の他のエンジニアリンググレードの材料にとっても有用である。本発明の概念は、高強度材料により、壁厚が薄くなること(すなわちゲージの低減)によって重量を低減させる場合に特に有用である。熱処理可能であることにより、材料は本質的に機能しやすくなるとともに流動しやすくなり、且つ/又は選択領域にてより機能しやすくなるとともに流動しやすくすることができる。例えば、これにより、小径を有するものの、微細亀裂及び/又は巨大亀裂及び/又は分裂が生じるおそれが少なく、せん断の問題及びシェルビング(shelving)等の材料分離のおそれが少なく、且つ小径曲げの領域の材料強度を低減させる他の品質上の欠陥のおそれが少ない状態の事前設定を中間筒部16Aに与えることができる。また、アニール特性により、せん断、引き割り(ripping)、又は引裂き(tearing)を生じることなく材料を丸め込ませることが可能となり、このことは、衝撃及び長手方向に圧壊を受けている間、最大のエネルギー吸収を達成するのに重要である(図13を参照のこと)。
【0032】
特に、本発明のエネルギー管理筒の性能は、以下の変数:材料厚、材料タイプ、材料硬度、及び降伏率、アニール温度及びその状態、筒の直径及びその形状、特にロール半径構造(design)、並びに事前設定の程度、筒部内(又は筒部外)に位置する圧壊可能なインサートの使用、並びに材料を丸め込ませるのに影響を与える他の因子、コラム強度、エネルギー吸収、並びに長手方向に圧壊する衝撃を受けている間の応力の分配、を調節することを含めた多数の方法により、特定の基準を満たすように調節及び調整することができる。
【0033】
図9〜図12に示すように、第1筒部14Aは、第2筒部15Aよりも寸法が大きい。第1筒部14Aは、筒境目32を画定する外面を有する。筒境目32は、第1筒部14Aの第1端部30付近の領域の断面形状に合致する。第1端部30は、約25°の最小角度等で、境目32を越えて半径方向外向きにフレア状に拡がっているきつく変形した材料34の周方向に連続したバンドを有する。このきつく変形した材料34は、材料の丸め込みに抗する「挟持(pinched)」領域を効果的に形成する小さい半径を画定する。また、小半径にある材料を硬化する機能がいくらかある。(その凹状面に関して)小半径は、第1端部30の材料厚の約0.5倍以上であることが好ましい。したがって、せん断又は亀裂傾向に対し十分に耐性がある。変形材料34が丸め込みに抗する理由は多数あるが、些細なものである。フレア状とともに厳格な「小」半径が、第1筒部14Aの均一なリング状の支持体を形成し、この支持体は、長手方向に衝撃を受けたときに第1筒部のコラム強度を支持及び維持するように作用すると考えられる。長手方向に応力がかかると、厳格な変形材料34は、第1端部30と第1筒部14Aの材料との丸め込みに抗する。
【0034】
対照的に、第2端部31(図12)は、第2端部31の材料厚の少なくとも約1.0倍等、(その凹状面に関して)比較的より大きな半径を画定する変形材料35を有する。第2端部31の変形部分35は、その半径がより大きいことに起因して、第2筒部15Aの材料の丸め込みに対する耐性が低く、且つ第2筒部15Aのコラム強度の支持性が低い。実際、第2端部31は、衝撃を受けている最中に第1筒部14Aがそのコラム強度を維持している間、第2筒部15Aの入れ子状の丸め込みを開始するように構成される。筒部15A及び16Aはアニールされ、第1筒部14Aはアニールされないことにより、このような成果を得やすくするとともにこのような成果を生じさせる(ただし、材料が丸め込み傾向を有するのにアニールは必要とされない)。丸め込むのに必要なほどの材料流動のためにクリアランスが与えられる。潜在的に、筒部14A及び15Aは、衝撃を受けている間の材料の丸め込みの際に互いに支持を行うような寸法にすることができる。中間筒部16Aの事前設定状態もまた、初期の急激な高い負荷ピークを避けることに役立ち、それにより、負荷が所定の初期レベルに達したとき急激にレベルが下がり、次いで、衝撃ストロークの間そのレベルのままとなるので、重要である(図17を参照のこと)。
【0035】
第2エネルギー管理筒13B(図14〜図16)は、第1筒部14B、第2筒部15B、及び筒部14Bと15Bとを相互接続する中間筒部16Bを有する。しかしながら、筒13Bは筒13Aとは異なる。筒13Bでは、大径を有する第1筒部14Bの端部30Bは、より大きな半径を画定する変形材料34Bを有する。さらに、変形材料34Bは外向きにフレア状に拡がっていないが、代わりに、第1筒部14Bの外面によって画定される境界内に概ねとどまる。同時に、第2筒部15Bの端部31Bは、より小さな半径を画定する変形材料35Bを有する。変形材料35Bは、約12°の最小角度等で、筒境目32Bの内側で内向きにフレア状に拡がっている。
【0036】
図13は、筒13Bの第1筒部14Bから材料36の部分が丸め込んでいる部分的なストローク衝撃を示す(筒13Aでは、より小さい第2筒部15Aは、同様の方法で丸め込む際、衝撃を受けている間に丸め込む部分である)。
【0037】
図17は、筒13A及び14Aの典型的な負荷対撓み曲線を示す。衝撃ストロークを受けている間、負荷に一部ばらつきが見られるが、バンパ及びフレーム等についてのエネルギー管理システムを設計する分野の熟練者(当業者)には、負荷が急激に所定レベルに達し、衝撃ストローク全体を通して選択されたレベルで比較的一定のままであることは明らかであろう。負荷撓み曲線の下側の領域は、衝撃ストロークを受けている間の実際のエネルギー吸収(「AEA」)を示す。完全なエネルギー吸収(「PEA」)は、衝撃(D1)を受けている間に達成される最大負荷を完全な衝撃ストローク(D2)に乗算することで計算されるであろう。本発明のエネルギー管理システムは、非常に高い効率定格(すなわち「PEA」で除算した「AEA」)を提供する。具体的には、本発明のエネルギー管理筒技術は、比較的急激な初期の負荷、及び衝撃ストローク全体を通して継続する比較的良好に維持された一定レベルの負荷により、既知のバンパクラッシュタワーよりもはるかに高く、より一定のエネルギー吸収効率定格となる。具体的には、本発明の概念は、驚くべき想定外の、負荷対撓み曲線の一定性及び信頼性を提供し、また、一定且つ確実なエネルギー吸収及び圧壊ストロークを提供する。
【0038】
図18は、例えば図17の結果を得るために用いられ得る典型的なアニールされた筒を示すチャートであり、図18Aは、図18の筒に用いられる材料に対するアニールの影響を示すグラフである。一連のアニール温度線A〜Jは、アニール温度の上昇に基づく降伏強度の漸次的な低減、引張り強度の低減、並びに歪み及び成形性の全体的な増加、及び成形性を示す。また、引張り強度と降伏強度との概略的な関係、及びこれらの特性と歪みとの関係も示す。
【0039】
図19は、図11及び図15の本発明のエネルギー管理筒の概念を、筒状側部材に取り込んだ筒状車両フレームの斜視図である。それぞれ本発明のエネルギー管理システム技術を用いることができる場所を示す4つの特定の領域が、4つの領域付近に拡大して示されている。しかしながら、本発明の技術は付加的な領域に用いることもできることに留意されたい。さらに、「実際の」フレームでは、使用位置は、フレーム上ではより対称的な位置にある可能性が高いであろう。
【0040】
図示の筒40(図19)は、車両フレーム39の前端付近に、前部フレーム側部フレーム部材の長手方向部分の前部クロスカービームのすぐ前方に位置する。筒40は、断面が矩形であり、入れ子式に衝撃を受けている間、筒の一方(14C又は15C)の材料の丸め込みを開始するように構成されている単一の中間筒部(16C)(図11を参照のこと)を有する。エネルギー管理筒40は、車両フレームの同様な前方位置に位置する。筒40は、断面が円形であり、入れ子式に衝撃を受けている間に材料の丸め込みを開始するために単一の中間筒部(16D)を有する。筒40はまた、円形断面が車両フレーム部材の前端(又は後端)に係合する正方形部に移行する一端に移行ゾーン42を有する。筒40は例えば、車両バンパを支持するのに用いることができる。
【0041】
2つの端部を有する、2端筒43は、図示の車両フレームの側部の中間部に位置する。筒43は、断面が円形であり、筒部46の中心に位置する小径の対向端の対向方向に向いた2つの中間筒部44及び45を有する。2端筒43はさらに、中間筒部44及び45の各外端に2つの大径筒部47及び48を有する。さらに、大径筒部は、外端で正方形断面に移行する。別のエネルギー管理筒49は、筒40と同様であり、車両フレームの1つの側部材の一端に位置する。しかしながら、最も近いクロスビームの前にあるのではなく、溶接等によりエネルギー管理筒49の大径筒部にクロスビーム50が直接取り付けられている。
【0042】
図20は、2つのクロスカービームの斜視図であり、一方が車両フレームと同じ平面内に用いられるクロスカービーム52である。ビームすなわちエネルギー管理筒52は、上述するように2端筒43と同様である。ビームすなわちエネルギー管理筒52は、中間位置に位置する小径筒部53を有し、2つの大径筒部54及び55が車両フレームの側部材に取り付けられている。特に、フレームレールの幾何学形状により良好に合致するように改良しやすくするために、筒13A(又は13B)の両端をアニールすることができる。
【0043】
図20の他のエネルギー管理システムは、一対の筒部55を有する。その一対の筒部55は、車両のクロスカービームとして配置されるが、車両のフロアパンの上方に用いられるか、又は、少なくとも、シートが一対の筒部55に固定され得る、フロアパンに関連した位置に、位置する。各筒55は、その対向する両端が車両の側部に固定されるという点で筒52と同様である。各筒55は、より小さな中間筒部56及びより大きな2つの外側の筒部57及び58を有する。車両は、より大きな筒部57及び58に取り付けられる前部及び後部の外側脚部61、及びより小さな筒部56に取り付けられる前部及び後部の内側脚部62を有するシート59及び60’を有する。
【0044】
図21は、バンパ補強ビーム64、及び車両フレームにバンパビーム64を支持するエネルギー管理筒65を組み込んでいるバンパシステムの斜視図である。クラッシュタワー65は、筒40と同様のエネルギー管理筒であるため、詳細には説明する必要がない。
【0045】
図22は、インストルメントパネル68を支持するのに用いられるクロスカービーム67の斜視図である。ビーム67は、単一の長い小径筒部69を有し、各端には、2つの大径筒部70を含む。大径筒部70は、前部の乗員ドアのすぐ前の車両「A」ピラー等における車両構造に取り付けられる。いくつかのカラー71が、ブラケット72及び開口した取り付けフランジ73を支持するために、小径筒部69に位置付けられる。ブラケット72は、インストルメントパネル68等の種々のアイテム、種々の部品、及びインストルメントパネル68内及びその周りの付属品を固定するのに用いられる。
【0046】
図23は、エネルギー管理筒76の外端に配置されるとともに、その内部に軸方向に設置されようとしている、圧壊可能なインサート75を示す斜視図である。筒76は、小径筒部77、大径筒部78、及びそれらを相互接続する中間筒部79を有し、この中間筒部は、小径筒部77が長手方向に衝撃を受けたときに大径筒部78に丸め込み可能に移動する際に、小径筒部77の材料の所定の丸め込みを行うように設計されている。圧壊可能なインサート75は、周方向に強度を有するとともに大径筒部78を半径方向に支持するようになっている構造リング80を有する。構造リング80は、構造リング80を長手方向に離間させる薄肉リング81により相互接続される。しかしながら、薄肉リング81は、所定の長手方向強度を有し、それにより、長手方向に力を受け取ったときに所定の力で圧壊するようになっている。したがって、圧壊可能なインサート75は、エネルギー管理筒76内に配置される際(図24)、がたつきを防止するように、最初に大径筒部78にぴったりと嵌まる。しかしながら、長手方向に衝撃を受けている間、小径筒部77が大径筒部78に向かって移動する際、小径筒部77の材料が、丸め込みを開始し、移動して圧壊可能なインサート75の端と係合する。小径筒部77が丸め込み、圧壊可能なインサート75の薄肉リング81が圧壊することで、材料をより多く丸め込ませるための追加的な空間が形成される。圧壊可能なインサート75が完全に圧壊するまで、このシーケンスが続く。衝撃ストロークを受けている間、圧壊可能なインサート75は、丸め込み中の材料に係合してその制御に役立つ。例えば、一試験では、圧壊可能なインサート75は、長手方向の負荷が10,000重量ポンドだけ増えた。また、負荷がより一定となり、そのため、エネルギー管理システムの効率定格(すなわち、上述したように「PEA」で除算した「AGA」)が増し得ることが、試験により潜在的に示されている。
【0047】
したがって、圧壊可能なインサートは、筒部77の丸め込みに対して付加的な耐性を与え、エネルギー管理筒の性能を調整するのに用いることができる。図22及び図23の図示の圧壊可能なインサート75は、エラストマー材料から成り、長手方向に負荷を受けたときに中間筒部79のロール半径付近で衝突して圧壊する。凸状円形リング81は、より厚肉の境界リング80間に位置する。圧壊可能なインサートが負荷を受けると、リング80は負荷を受けたときに圧壊を開始する凸状領域に負荷を伝達する。凸状領域81の外方への圧壊は、筒部78の内面によって妨げられる。同様な性能は、筒部78が丸め込み、筒部77がコラム強度を維持する場合に達成することができる。圧壊可能なインサートは、種々の材料から成ることができ、エネルギー管理筒の性能を調整するのに異なる(幾何学)形状を使用してもよい。圧壊可能なインサートは、筒径又は材料厚を増大させる代わりに、筒の性能を調整するのに用いることができる。いくつかの標準的な調整方法では、材料厚を増大させるか又は筒径を増大させることによって筒の性能を達成することができるものもある。圧壊可能なインサートの使用により、著しいコストの追加がなく、また、重量的な損もなく、性能を調整する代替的方法が提供される。
【0048】
[さらなる変更例]
参照符号113(図25A)は、塑性エネルギー管理筒を有する本発明の別の実施形態を全体として示す。塑性エネルギー管理筒113は、前述したエネルギー管理筒13Aと同様である。塑性エネルギー管理筒113は、第1筒部114と、第1筒部114と整合する第2筒部115と、第1筒部114及び第2筒部115を接続する中間筒部116とを有する。第1筒部114は、第2筒部115よりもサイズが寸法的に大きいが、好ましくは同様の断面形状を有する。しかしながら、第1筒部114及び第2筒部115は、例えば六角形、八角形、長円形、レーストラック状(race-track shaped)、円筒形、矩形、正方形、楕円形、円形、又は他の幾何学的形状の種々の形状とすることができることに留意されたい。さらに、筒部114及び115は、各自の長さに沿って、特に、中間筒部116から離間した、筒部114及び115が例えば車両フレーム部品等の種々の構造部に接続されるようになっていなければならない場所で種々の異なる断面形状を有し得ることが考えられる。中間筒部116は、第1筒部114から第2筒部115に移行する形状を有する。
【0049】
図示の塑性エネルギー管理筒113は好ましくは、エネルギーを吸収するための部品に用いられることが多い、PC、PBT、PC/PBT、PC/ABS、及び他の組み合わせプラスチック等の熱可塑性プラスチックから成り、筒部114、115、及び116のそれぞれは、一体形成されるか又は1つのユニットとして一緒に成形される。塑性エネルギー管理筒113は射出成形で作製されることが好ましいが、塑性エネルギー管理筒113を他の方法で作製してもよいと考えられる。肉厚は機能設計要件を満たすように必要に応じて様々とすることができる。また、塑性エネルギー管理筒113は内部に成形される金属部インサートを有し、これにより、塑性エネルギー管理筒113の補強強度が確立され、且つ/又は塑性エネルギー管理筒113を他の部品に組み付ける際に役立つ。
【0050】
図25A〜図25Cに示すように、第1筒部114は第2筒部115よりもサイズが大きい。中間筒部116は、第1筒部114の上部につながった第1端部130と、第2筒部115の下部につながった第2端部131とを有する。図示の第1端部130は逆L字状部を有し、第2端部131は「U」又は「J」字状部を有し、第1の端部130につながっている。図25B及び図25Cに示すように、第1端部130は「L」字状部の2つの脚部間に延びるさらなる材料133を有することが好ましい。塑性エネルギー管理筒113が圧壊を受けている間に、第2筒部115は中間筒部116の第2端部131にて入れ子状の丸め込みを開始して、図25Cに示すように塑性エネルギー管理筒113を圧壊する。第1筒部114及び第1端部130は第2筒部115の圧壊中は不動状態のままであることが好ましい。さらなる材料133が第1端部130を補強するのに役立つ。したがって、第2端部131は、衝撃を受けている間、第1筒部114はそのコラム強度を維持するが、第2筒部115の入れ子状の丸め込みを開始するように構成される。丸め込むのに必要なほどの材料流動のためにクリアランスが設けられる。潜在的に、筒部114及び115は、衝撃を受けている間の材料の丸め込みの際に互いに支持を行うような寸法にすることができる。第2端部131(すなわち中間筒部116の事前設定状態)もまた、初期の急激な高い負荷ピークを避けることに役立ち、それにより、負荷が所定の初期レベルに達したとき急激にレベルが下がり、次いで、衝撃ストロークの間そのレベルのままとなるため、重要である。塑性エネルギー管理筒113は材料の丸め込みを用いて、ピーク/バレー(peaks and valleys)がなく、その代わり、図25Dに示すような平坦な応答性(flat response)をもたらすように設計することができる負荷対撓み応答をもたらす。方形波応答は最も効率的なエネルギー吸収を表す。負荷がかかると、負荷は、構造部のコラム強度が達成されて丸め込みが開始するまで増大する。エネルギーが全て吸収されるまで均一な丸め込みが或るレベル負荷で行われることになる
【0051】
参照符号113a(図26A)は、第2の実施形態の塑性エネルギー管理筒を有する、本発明の別の実施形態を全体として示す。塑性エネルギー管理筒113aは前述した塑性エネルギー管理筒113と同様であるため、図25A〜図25C及び図26Aそれぞれに見られる同様の部品は同一の対応する参照符号で示すが、ただし、図26Aの符号には「a」を添えている。第2の実施形態の塑性エネルギー管理筒113aは、中間筒部116aの第2端部131aからテーパ状になっている内壁134を有する第2筒部115aを有する。内壁134がテーパ状になっていることにより、図26Bの負荷対撓みのグラフに示すように負荷が上がる。
【0052】
参照符号113b(図27A〜図27D)は、第3の実施形態の塑性エネルギー管理筒を有する、本発明の別の実施形態を全体として示す。塑性エネルギー管理筒113bは前述した塑性エネルギー管理筒113と同様であるため、図25A〜図25C及び図27A〜図27Dそれぞれに見られる同様の部品は同一の対応する参照符号で示すが、ただし、図27A〜図27Dの符号には「b」を添えている。第3の実施形態の塑性エネルギー管理筒113bは内側エネルギー管理筒部140を有する。内側エネルギー管理筒部140は第1の実施形態の塑性エネルギー管理筒113のほぼ逆の形態であり、中間筒部116bの第2端部131bの遠位の、第2筒部115bの端に、スパン部141によってつながっている。そのため、内側エネルギー管理筒部140は、第1筒部114b’と、第2筒部115b’と、中間筒部116b’とを有する。
【0053】
図27Bに示すように、第3の実施形態の塑性エネルギー管理筒113bは、第1の実施形態の塑性エネルギー管理筒113と同じようにして圧壊する。したがって、第2筒部115bは中間筒部116bの第2端部131bにて入れ子状に丸め込みを開始して、図27Bに示すように塑性エネルギー管理筒113bの外側部を圧壊する。第1筒部114b及び第1端部130bは第2筒部115bの圧壊中は不動状態のままであることが好ましい。ここでもまた、さらなる材料133bが第1端部130bを補強するのに役立つ。したがって、第2端部131bは、衝撃を受けている間、第1筒部114bはそのコラム強度を維持するが、第2筒部115bの入れ子状の丸め込みを開始するように構成される。丸め込むのに必要なほどの材料流動のためにクリアランスが設けられる。潜在的に、筒部114b及び115bは、衝撃を受けている間の材料の丸め込みの際に互いに支持を行うような寸法にすることができる。第2端部131b(すなわち中間筒部116bの事前設定状態)もまた、初期の急激な高い負荷ピークを避けることに役立ち、それにより、負荷が所定の初期レベルに達したとき急激にレベルが下がり、次いで、衝撃ストロークの間そのレベルのままとなるため、重要である。
【0054】
図27Bに示すように第3の実施形態の塑性エネルギー管理筒113bの外側部が圧壊した後、内側エネルギー管理筒部140が第3の実施形態の塑性エネルギー管理筒113bの外側部の圧壊に引き続いて圧壊することになる。したがって、第1筒部114b’が中間筒部116b’の第1端部131b’にて入れ子状の丸め込みを開始して、図27Cに示すように内側エネルギー管理筒部140を圧壊する。第2筒部115b’及び第2端部130b’は第2筒部115bの圧壊中は不動状態のままであることが好ましい。ここでもまた、さらなる材料133b’は第2端部130b’を補強するのに役立つ。したがって、第1端部131b’は、衝撃を受けている間、第2筒部115b’はそのコラム強度を維持するが、第1筒部115b’の入れ子状の丸め込みを開始するように構成される。丸め込むのに必要なほどの材料流動のためにクリアランスが設けられる。潜在的に、筒部114b’及び115b’は、衝撃を受けている間の材料の丸め込みの際に互いに支持を行うような寸法にすることができる。第1端部131b’(すなわち中間筒部116b’の事前設定状態)もまた、初期の急激な高い負荷ピークを避けることに役立ち、それにより、負荷が所定の初期レベルに達したとき急激にレベルが下がり、次いで、衝撃ストロークの間そのレベルのままとなるため、重要である。
【0055】
塑性エネルギー管理筒113bは材料の丸め込みを用いて、ピーク/バレーがなく、その代わり、図27Dにおける地点145及び150間に示すような、第3の実施形態のエネルギー管理筒113bの外側部が圧壊を受けている間に平坦な応答性を、また、(図27Dにおける地点150及び160間に示すような、第3の実施形態のエネルギー管理筒113bの外側部及び内側エネルギー筒部140の双方が圧壊を受けている間により高い別の平坦な応答性をもたらすように設計することができる負荷対撓み応答をもたらす。
【0056】
上述した塑性エネルギー管理筒113、113a、及び113bでは、塑性エネルギー管理筒113、113a、及び113bを逆にすることができるように第1筒部114又は第2筒部115のいずれかを支持構造体に接続することができる。さらに、第3の実施形態の塑性エネルギー管理筒113bの内側エネルギー管理筒部140を、第2筒部115b’がスパン部141につながるように逆方向に位置付けすることができる。さらに、塑性エネルギー管理筒113、113a、及び113bは段階的に小さくなっている複数部から成ることもできるであろう(図28C)。さらに、筒部のいずれかは第2の実施形態の塑性エネルギー管理筒113aにおいて上述したようにテーパ壁を有することができる。さらに、塑性エネルギー管理筒113、113a、及び113bのいずれかは、図27Fに示すようなサイン波エネルギー曲線をもたらす、図27Eに示すような圧壊開始溝177を有することができる。溝177は、第2筒部115にあるように示されているが筒部のどこにあってもよい。
【0057】
塑性エネルギー管理筒113、113a、及び113bの応用形態は、スタンドアロン型の圧壊可能な構造体、及び/又は、成形されてより大きな塑性成形部分になる圧壊可能な特徴部を含み、その塑性成形部にアンカット及びブラインド面を与える、ツーリング作業や、ツーリングの可動部を、必要とすることがない。成形部のサイズは任意の所望のサイズに成形することができ、複数の塑性EMTの組み合わせを成形して同時に又は順次に作動するように成形するか、又は大表面積を含むように構成することができる。単一の塑性EMT113、113a、及び113bは、図28Aに示すように車両内の運転者の膝202の正面にニーボルスター200として、図27Bに示すようにバンパシステム210の正面且つフェイシア212の後ろに塑性EMT113、113a、及び113bのような別の構造体の正面に圧壊部材として、図28Cに示すように車両の支持フレーム220とファイシア222とのバンパブラケットとして、車両のAピラー及びBピラーへの内部部品として(図示せず)、図27Dに示すようにブリッジ242用の保護支持体240に対する道路盛土として、又は他の方法で用いることができる。さらに、一群の塑性EMTを、図29に示すエネルギーアブソーバとしてバンパ300の一面にわたって、又は図30A〜図30Cに示すようにビーム400(例えば「ENERGY MANAGEMENT BEAM」と題する米国特許出願番号10/808,127(その全内容は参照により本明細書中に援用される)に開示されているビーム)内に用いることができるか、又は図31A及び図31Bに示されるように頭部保護用の車両ヘッドライナ内に用いることができる。さらに、塑性エネルギー管理筒113、113a、又は113bを昇降路500の底部に用いて、図32に示すように下降中のエレベータ(dropping elevator)502のエネルギーを吸収することができる。基本的に、スタンドアロン型構造体として、又はエネルギー吸収を行うのに或る面積が要されるいくつかのより大きな面積に対して、エネルギー吸収が必要とされるどこにでも、塑性EMT技術を用いることができる。
【0058】
部品を製作するのにプラスチックを使用することの利点としては、複雑な形状を成形すると共に、本発明の性能を調整するのに用いることができる複雑な特徴部になるように成形することができる融通性が挙げられる。塑性EMTは、成形プロセスにおいて厚みを変更することができることにより、外側がフレヤ状に拡がった大径部を有するより大きな筒を必要とせず、そのため、小径部を大径部に入れ子状にするのを促進する。塑性成形プロセスは非常に融通性がある。単純な単一の又は複数のEMT構造部は、単純なインダイ/アウトダイで容易に成形される。内側剛性用リブ及びベーンを含むより複雑な構造は、動作を内包するダイを必要とし得る。プラスチックを成形する融通性により、必要とされる材料厚の仕様を可能にする。厚みの変更を用いて、コラム強度及び所望の丸め込み負荷を与えることができる。成形プロセスによって与えられるプラスチックの厚さを変更できること、及び成形プロセスによる融通性は、プラスチックの使用に関連する利点を示す。EMTはまた、他のEMT内に成形されると共に入れ子状にして、さらなる負荷調整能力をもたらすようにすることができる(図28Bを参照)。
【0059】
本発明の概念から逸脱することなく、上記構造に変形及び変更を加えることができることは理解されるであろうし、また、そのような概念は、そうでないことが明言されていない限り、添付の特許請求の範囲に包含されるものとすることも理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】車両フレームに取り付けられる取り付けプレートと、バンパビームと、対向する両端部が取り付けプレート及びバンパビームに取り付けられているクラッシュタワーとを備えるバンパシステムの横断面図である。
【図2】図1と同様であるが、クラッシュタワーが第1(比較的短い)距離だけ圧壊した状態にある図である。
【図3】図2と同様であるが、クラッシュタワーが第2(より長い)距離だけ圧壊した状態にある図である。
【図4】本発明を具現化するエネルギー管理筒の側面図である。
【図5】エネルギー管理筒が有することができるさらなる断面形状の斜視図でる。
【図6】第1直径を有する筒状ブランクの側面図である。
【図7】筒状ブランクの一端が縮径に圧縮されている様子を示す側面図である。
【図8】予め設定されたS形状を有するように中間筒部が長手方向に変形されている様子を示す側面図であり、本発明のエネルギー管理筒を示す図である。
【図9】大径筒部に隣接する中間筒部の外向きにフレア状に拡がった端部を有する、図8の筒の側面図である。
【図10】大径筒部に隣接する中間筒部の外向きにフレア状に拡がった端部を有する、図8の筒の底面図である。
【図11】大径筒部に隣接する中間筒部の外向きにフレア状に拡がった端部を有する、図8の筒の長手方向断面図である。
【図12】図10の丸で囲んだ領域XIIの拡大図である。
【図13】一部が入れ子式に圧壊し、大径筒部側に丸め込んだ材料を有する、図14に示す筒の斜視図である。
【図14】小径筒部に隣接する中間筒部の内向きにフレア状に拡がった端部を有する、変更例のエネルギー管理筒の側面図である。
【図15】小径筒部に隣接する中間筒部の内向きにフレア状に拡がった端部を有する、変更例のエネルギー管理筒の長手方向断面図である。
【図16】図15の丸で囲んだ領域XVIの拡大図である。
【図17】図10に示した筒の長手方向に衝撃を受けた場合の負荷対撓み曲線を示すグラフである。
【図18】筒が直立しており、中間部(約75mm〜約95mmの範囲)及び第2筒部がアニールされている状態の、図10の筒の底面からの距離における硬度及び引張り強度に関してアニール効果を示すチャートである。
【図18A】図18の筒に用いられる材料に関してアニール効果を示すグラフであり、一連のアニール温度線A〜Jは、アニール温度の上昇に基づく降伏強度の漸次的低減、引張り強度の低減、並びに歪み及び成形性の全体的な増加を示すグラフである。
【図19】本発明のエネルギー管理システムが用いられている4つの特定の領域の拡大図を含む、図10の本発明のエネルギー管理筒を組み込んでいる車両フレームの斜視図である。
【図20】2つのクロスカービームの斜視図であり、一方は車両のフロアパン下に位置する車両フレームに用いられるクロスカービームであり、他方は車両のフロアパンの上方に用いられるとともに車両シートを支持するのに用いられるクロスカービームである。
【図21】バンパ補強ビーム、及び車両フレームにバンパビームを支持するクラッシュタワーを組み込んでいるバンパシステムの斜視図である。
【図22】インストルメントパネルを支持するのに用いられるクロスカービームの斜視図である。
【図23】エネルギー管理筒から分解された圧壊可能な支持部材を示す斜視図である。
【図24】筒内に位置している圧壊可能な支持部材を示す斜視図である。
【図25A】本発明の塑性エネルギー管理筒(EMT)の前面斜視図である。
【図25B】初期位置の本発明の塑性EMTの断面図である。
【図25C】衝撃後の本発明の塑性EMTの断面図である。
【図25D】本発明の塑性EMTについての負荷対変位のチャートを示すグラフである。
【図26A】本発明の第2の実施形態の塑性EMTの断面図である。
【図26B】本発明の第2の実施形態の塑性EMTについての負荷対変位のチャートを示すグラフである。
【図27A】初期位置の本発明の第3の実施形態の塑性EMTの断面図である。
【図27B】第1の圧壊位置の本発明の第3の実施形態の塑性EMTの断面図である。
【図27C】第2の圧壊位置の本発明の第3の実施形態の塑性EMTの断面図である。
【図27D】本発明の第3の実施形態の塑性EMTの負荷対変位のチャートを示すグラフである。
【図27E】本発明の塑性EMTの変形例の正面図である。
【図27F】本発明の変更した塑性EMTについての負荷対変位のチャートを示すグラフである。
【図28A】本発明の塑性EMTの第1の使用を示す図である。
【図28B】本発明の塑性EMTの第2の使用を示す図である。
【図28C】本発明の塑性EMTの第3の使用を示す図である。
【図28D】本発明の塑性EMTの第4の使用を示す図である。
【図29】本発明の塑性EMTを採用する、第1の実施形態のバンパビームの斜視図である。
【図30A】本発明の塑性EMTを採用する、第2の実施形態のバンパビームの斜視図である。
【図30B】本発明の塑性EMTを採用する、第2の実施形態のバンパビームの一部を切り取った斜視図である。
【図30C】本発明の塑性EMTを採用する、第2の実施形態のバンパビームの断面図である。
【図31A】本発明の塑性EMTを採用するヘッドライナの斜視図である。
【図31B】図31Aの線A−Aに沿った本発明の塑性EMTを採用するヘッドライナの断面図である。
【図32】本発明の塑性EMTを採用するエレベータ昇降路を表す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に衝撃を受けたときに相当な衝撃エネルギーを確実且つ予測可能に吸収するようになっているエネルギー管理筒であって、
高分子の第1筒部と、
該第1筒部と整合する高分子の第2筒部と、
前記第1筒部と前記第2筒部とをそれぞれ一体接続する第1端部及び第2端部を有する、高分子の中間筒部と
を備え、
前記第1筒部及び前記第2筒部はサイズが寸法的に異なり、
前記中間筒部は、前記第1筒部から前記第2筒部に移行する形状を有し、
前記第1筒部は、前記第2筒部よりもサイズが大きく、且つ筒境目を画定する外面を有し、
前記第1端部は、長手方向に衝撃を受けたときに前記第1筒部のコラム強度を支持及び維持するように作用する材料のひと続きのバンドを有し、
衝撃を受けている間、前記第1筒部はそのコラム強度を維持するが、それとは対照的に、前記第2端部は、前記第2筒部の入れ子状の丸め込みを開始するように構成される、エネルギー管理筒。
【請求項2】
長手方向に衝撃を受けたときに相当な衝撃エネルギーを確実且つ予測可能に吸収するようになっているエネルギー管理筒であって、
第1の耐変形性を有する、高分子の第1筒部と、
該第1の耐変形性よりも大きい第2の耐変形性を有する、高分子の第2筒部と、
前記第1筒部を前記第2筒部に接続する、高分子の中間筒部と
を備え、
それによって、長手方向に衝撃を受けると、前記中間筒部及び前記第1筒部が予測可能に、且つ前記中間筒部が長手方向の衝撃から力を受ける際に、前記第2筒部よりも迅速に丸め込む、エネルギー管理筒。
【請求項3】
前記第1筒部及び前記第2筒部の一方の自由端に取り付けられるバンパビームを有する、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒。
【請求項4】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方に取り付けられる車両フレームを有する、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒。
【請求項5】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方に取り付けられるクロスカーフレーム部材を有する、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒。
【請求項6】
前記第1筒部及び前記第2筒部は、同様の幾何学的形状の断面形状を有するが、断面積サイズは異なる、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒。
【請求項7】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方は、円形の断面を有する、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒。
【請求項8】
底面を有する昇降路と、該昇降路の内部に位置する請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒とを有する、エレベータシステム。
【請求項9】
ブリッジピラーを備え、
該ブリッジピラーは、該ブリッジピラーの前に配置される、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒を有する運転者保護システム。
【請求項10】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方は、様々な厚みを有する壁を含む、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒。
【請求項11】
前記筒部の少なくとも1つに成形される少なくとも1つの金属部品をさらに含む、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒。
【請求項12】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方は、少なくとも1つの圧壊開始溝を含む、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の複数のエネルギー管理筒を備える、エネルギー管理マット。
【請求項14】
長手方向に衝撃を受けたときに相当な衝撃エネルギーを確実且つ予測可能に吸収するようになっているエネルギー管理筒を製造する方法であって、
高分子の第1筒部を成形すること、
高分子の第2筒部を成形すること、
該第2の筒部を前記第1筒部と整合させること、及び
前記第1筒部と前記第2筒部とをそれぞれ一体接続する第1端部及び第2端部を有する、高分子の中間筒部を成形すること
を含み、
前記第1筒部及び前記第2筒部はサイズが寸法的に異なり、
前記中間筒部は、前記第1筒部から前記第2筒部に移行する形状を有し、
前記第1筒部は、前記第2筒部よりもサイズが大きく、且つ筒境目を画定する外面を有し、
前記第1端部は、長手方向に衝撃を受けたときに前記第1筒部のコラム強度を支持及び維持するように作用する材料のひと続きのバンドを有し、
衝撃を受けている間、前記第1筒部はそのコラム強度を維持するが、それとは対照的に、前記第2端部は、前記第2筒部の入れ子状の丸め込みを開始するように構成される、エネルギー管理筒を製造する方法。
【請求項15】
前記第1筒部及び前記第2筒部の一方の自由端にバンパビームを取り付けることを含む、請求項14に記載のエネルギー管理筒を製造する方法。
【請求項16】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方に車両フレームを取り付けることを含む、請求項14に記載のエネルギー管理筒を製造する方法。
【請求項17】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方にクロスカーフレーム部材を取り付けることを含む、請求項14に記載のエネルギー管理筒を製造する方法。
【請求項18】
前記第1筒部及び前記第2筒部は、同様の幾何学的形状の断面形状を有するが、断面積サイズは異なる、請求項14に記載のエネルギー管理筒を製造する方法。
【請求項19】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方は、円形の断面を有する、請求項14に記載のエネルギー管理筒を製造する方法。
【請求項20】
前記筒部の少なくとも1つに少なくとも1つの金属部品を成形することをさらに含む、請求項14に記載のエネルギー管理筒を製造する方法。
【請求項21】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方は、少なくとも1つの圧壊開始溝を含む、請求項14に記載のエネルギー管理筒を製造する方法。
【請求項1】
長手方向に衝撃を受けたときに相当な衝撃エネルギーを確実且つ予測可能に吸収するようになっているエネルギー管理筒であって、
高分子の第1筒部と、
該第1筒部と整合する高分子の第2筒部と、
前記第1筒部と前記第2筒部とをそれぞれ一体接続する第1端部及び第2端部を有する、高分子の中間筒部と
を備え、
前記第1筒部及び前記第2筒部はサイズが寸法的に異なり、
前記中間筒部は、前記第1筒部から前記第2筒部に移行する形状を有し、
前記第1筒部は、前記第2筒部よりもサイズが大きく、且つ筒境目を画定する外面を有し、
前記第1端部は、長手方向に衝撃を受けたときに前記第1筒部のコラム強度を支持及び維持するように作用する材料のひと続きのバンドを有し、
衝撃を受けている間、前記第1筒部はそのコラム強度を維持するが、それとは対照的に、前記第2端部は、前記第2筒部の入れ子状の丸め込みを開始するように構成される、エネルギー管理筒。
【請求項2】
長手方向に衝撃を受けたときに相当な衝撃エネルギーを確実且つ予測可能に吸収するようになっているエネルギー管理筒であって、
第1の耐変形性を有する、高分子の第1筒部と、
該第1の耐変形性よりも大きい第2の耐変形性を有する、高分子の第2筒部と、
前記第1筒部を前記第2筒部に接続する、高分子の中間筒部と
を備え、
それによって、長手方向に衝撃を受けると、前記中間筒部及び前記第1筒部が予測可能に、且つ前記中間筒部が長手方向の衝撃から力を受ける際に、前記第2筒部よりも迅速に丸め込む、エネルギー管理筒。
【請求項3】
前記第1筒部及び前記第2筒部の一方の自由端に取り付けられるバンパビームを有する、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒。
【請求項4】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方に取り付けられる車両フレームを有する、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒。
【請求項5】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方に取り付けられるクロスカーフレーム部材を有する、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒。
【請求項6】
前記第1筒部及び前記第2筒部は、同様の幾何学的形状の断面形状を有するが、断面積サイズは異なる、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒。
【請求項7】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方は、円形の断面を有する、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒。
【請求項8】
底面を有する昇降路と、該昇降路の内部に位置する請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒とを有する、エレベータシステム。
【請求項9】
ブリッジピラーを備え、
該ブリッジピラーは、該ブリッジピラーの前に配置される、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒を有する運転者保護システム。
【請求項10】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方は、様々な厚みを有する壁を含む、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒。
【請求項11】
前記筒部の少なくとも1つに成形される少なくとも1つの金属部品をさらに含む、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒。
【請求項12】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方は、少なくとも1つの圧壊開始溝を含む、請求項1又は2に記載のエネルギー管理筒。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の複数のエネルギー管理筒を備える、エネルギー管理マット。
【請求項14】
長手方向に衝撃を受けたときに相当な衝撃エネルギーを確実且つ予測可能に吸収するようになっているエネルギー管理筒を製造する方法であって、
高分子の第1筒部を成形すること、
高分子の第2筒部を成形すること、
該第2の筒部を前記第1筒部と整合させること、及び
前記第1筒部と前記第2筒部とをそれぞれ一体接続する第1端部及び第2端部を有する、高分子の中間筒部を成形すること
を含み、
前記第1筒部及び前記第2筒部はサイズが寸法的に異なり、
前記中間筒部は、前記第1筒部から前記第2筒部に移行する形状を有し、
前記第1筒部は、前記第2筒部よりもサイズが大きく、且つ筒境目を画定する外面を有し、
前記第1端部は、長手方向に衝撃を受けたときに前記第1筒部のコラム強度を支持及び維持するように作用する材料のひと続きのバンドを有し、
衝撃を受けている間、前記第1筒部はそのコラム強度を維持するが、それとは対照的に、前記第2端部は、前記第2筒部の入れ子状の丸め込みを開始するように構成される、エネルギー管理筒を製造する方法。
【請求項15】
前記第1筒部及び前記第2筒部の一方の自由端にバンパビームを取り付けることを含む、請求項14に記載のエネルギー管理筒を製造する方法。
【請求項16】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方に車両フレームを取り付けることを含む、請求項14に記載のエネルギー管理筒を製造する方法。
【請求項17】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方にクロスカーフレーム部材を取り付けることを含む、請求項14に記載のエネルギー管理筒を製造する方法。
【請求項18】
前記第1筒部及び前記第2筒部は、同様の幾何学的形状の断面形状を有するが、断面積サイズは異なる、請求項14に記載のエネルギー管理筒を製造する方法。
【請求項19】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方は、円形の断面を有する、請求項14に記載のエネルギー管理筒を製造する方法。
【請求項20】
前記筒部の少なくとも1つに少なくとも1つの金属部品を成形することをさらに含む、請求項14に記載のエネルギー管理筒を製造する方法。
【請求項21】
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方は、少なくとも1つの圧壊開始溝を含む、請求項14に記載のエネルギー管理筒を製造する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図18A】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図26A】
【図26B】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図27D】
【図27E】
【図27F】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図28D】
【図29】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【図31A】
【図31B】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図18A】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図26A】
【図26B】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図27D】
【図27E】
【図27F】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図28D】
【図29】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【図31A】
【図31B】
【図32】
【公表番号】特表2008−512627(P2008−512627A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531251(P2007−531251)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/031631
【国際公開番号】WO2006/029119
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(591187162)シエイプ コーポレイション (25)
【氏名又は名称原語表記】SHAPE CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/031631
【国際公開番号】WO2006/029119
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(591187162)シエイプ コーポレイション (25)
【氏名又は名称原語表記】SHAPE CORPORATION
【Fターム(参考)】
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