説明

塗工装置、塗工方法、電池の製造方法

【課題】2層塗工などの多層塗工において目視などで確認できない層の品質を検査することができる塗工装置、塗工方法、電池の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様は、搬送される銅泊30に対しダイ10からバインダ液26と負極ペースト28を排出することにより銅泊30にバインダ層32と負極ペースト層34を積層した電極36を製造する塗工装置1において、バインダ液26と負極ペースト28の間に温度差を設定する温度設定部14と、バインダ層32と負極ペースト層34の積層方向に対して垂直な方向についての電極36の温度分布を検出するサーモグラフィ18と、を有し、温度設定部14によりバインダ液26と負極ペースト28の間に温度差を設定しておき、サーモグラフィ18により検出した電極36の温度分布をもとにバインダ層32の塗布状態を検査すること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、リチウムイオン電池等で用いられる活物質ペーストを集電体上に塗布形成する塗工装置、塗工方法、電池の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基材上において下層に導電層を形成し上層に活物質層を形成した電極の製造方法が開示されている。この特許文献1の電極の製造方法においては、排出口を2つ備えるダイにより基材に対し導電液と活物質液を排出して、導電層と活物質層の2層を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−345096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、接着テープ等のような多層塗工品における各塗工層の品質検査は、各塗工層に放射線や赤外線を透過させて行うことが一般的である。しかしながら、特許文献1に示すような導電層と活物質層の2層を基材上に形成する2層塗工を行って電極を製造するときには、上層の活物質層は透過性がないので、上層の活物質層に覆われる下層の導電層の塗布の状態を検査することが困難である。
【0005】
また、集電体である銅泊に対し下層に結着剤であるバインダを塗布し上層に活物質を塗布して電極を製造する場合において、活物質や銅泊の透過性は低いので、目視などで下層のバインダの塗布状態を検査することが困難となる。
【0006】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、2層塗工などの多層塗工において目視などで確認できない層の品質を検査することができる塗工装置、塗工方法、電池の製造方法を提供すること、を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、搬送される基材に対しダイから複数の液体を排出することにより前記基材に複数の層を積層した塗工物を製造する塗工装置において、前記複数の液体の各液体間に温度差を設定する温度設定部と、前記複数の層の積層方向に対して垂直な方向についての前記塗工物の温度分布を検出する温度検出手段と、を有し、前記温度設定部により前記各液体間に温度差を設定しておき、前記温度検出手段により検出した前記温度分布をもとに前記複数の層のうちの所定の層の塗布状態を検査すること、を特徴とする。
【0008】
この態様によれば、各液体間に温度差を設定しているので、複数の層のうちの所定の層において塗布スケや塗布ムラなどが存在する場合には、塗工物において複数の層の間の熱の移動による温度変化にバラつきが生じる。そのため、温度検出手段による塗工物の温度分布の検出結果をもとに、複数の層のうちの所定の層の塗布状態を検査することができる。したがって、2層塗工などの多層塗工において、目視などで確認できない所定の層の品質を検査することができる。ここで、塗布スケとは層が欠けた部分をいい、塗布ムラとは塗布量にバラつきが生じている部分をいう。
【0009】
上記態様においては、前記塗布状態を検査した結果をもとに前記ダイと前記基材との間の距離を制御するギャップ制御部を有すること、が好ましい。
【0010】
この態様によれば、塗布ムラを抑制することができる。
【0011】
上記態様においては、前記温度検出手段は、前記塗工物の前記複数の層を積層した側の面に対向する位置に設けられていること、が好ましい。
【0012】
この態様によれば、基材に積層した複数の層における温度分布を直接的に検出することができるので、複数の層のうちの所定の層の塗布状態の検査精度が向上する。
【0013】
上記態様においては、前記温度検出手段は、前記塗工物の前記基材が設けられた側の面に対向する位置に設けられていること、が好ましい。
【0014】
この態様によれば、塗工物の基材が設けられた側の空間を有効利用できるので、塗工装置の小型化を図ることができる。
【0015】
上記態様においては、前記温度検出手段は、サーモグラフィであること、が好ましい。
【0016】
この態様によれば、塗工物に接触することなく温度分布を検出することができるので、塗工物における塗布状態に影響を与えることなく、複数の層のうちの所定の層の塗布状態を検査できる。
【0017】
上記課題を解決するためになされた本発明の他の態様は、搬送される基材に対しダイから複数の液体を排出することにより前記基材に複数の層を積層した塗工物を製造する塗工方法において、前記複数の液体の各液体間に温度差を設定しておき、前記複数の層の積層方向に対して垂直な方向についての前記塗工物の温度分布を検出し、検出した前記温度分布をもとに前記複数の層のうちの所定の層の塗布状態を検査すること、を特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するためになされた本発明の他の態様は、搬送される集電体に対しダイからバインダ液と活物質液とを排出することにより前記集電体に前記バインダ液により形成されるバインダ層と前記活物質液により形成される活物質層を積層した電極を有する電池の製造方法において、前記バインダ液と前記活物質液の間に温度差を設定しておき、前記バインダ層と前記活物質層の積層方向に対して垂直な方向についての前記電極の温度分布を検出し、検出した前記温度分布をもとに前記バインダ層の塗布状態を検査すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る塗工装置、塗工方法、電池の製造方法によれば、2層塗工などの多層塗工において目視などで確認できない層の品質を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1の塗工装置の外観斜視図である。
【図2】塗工装置のブロック構成図である。
【図3】ダイの排出口周辺の拡大図である。
【図4】バインダ層の塗布状態の検査結果をもとに行う制御のフローチャート図である。
【図5】評価実験における温度分布の検出結果を示す図である。
【図6】実施例2の塗工装置の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施例においては本発明における「塗工物」の一例として、リチウムイオン電池等で用いられる電極36(図1参照)を例に挙げて説明する。
【0022】
<実施例1>
〔塗工装置の説明〕
図1と図2に示すように、本実施例の塗工装置1は、ダイ10、塗工制御部12、温度設定部14、搬送ローラ16、サーモグラフィ18、ギャップ制御部20などを有する。なお、図1は塗工装置1の外観斜視図であり、図2は塗工装置1のブロック構成図である。
【0023】
ダイ10は、図3に示すように、搬送ローラ16側の面に、第1排出口22と第2排出口24の2つの排出口を備える。本実施例では、一例として、第1排出口22から結着剤であるバインダ液26を排出し、第2排出口24から電極活物質を含む負極ペースト28を排出する。なお、図3は、ダイ10の排出口周辺の拡大図である。
【0024】
塗工制御部12(図2参照)は、塗工装置1による塗工の全般を制御する手段であり、ダイ10や温度設定部14や搬送ローラ16などを制御する。また、温度設定部14は、塗工制御部12からの指令に基づいてバインダ液26(図3参照)と負極ペースト28(図3参照)の温度を調整して、バインダ液26と負極ペースト28との間に所定の温度差を設定する。
【0025】
搬送ローラ16は、集電体である銅泊30を搬送する。また、搬送ローラ16は、銅泊30に対してバインダ液26と負極ペースト28とを塗布することによりバインダ層32と負極ペースト層34とを形成した電極36を搬送する。なお、銅泊30は、本発明における「基材」の一例である。
【0026】
サーモグラフィ18は、サーモカメラ38を備えている。サーモカメラ38は、図1に示すように、搬送ローラ16により搬送される電極36の負極ペースト層34に対向する位置に設けられている。そして、サーモカメラ38は、電極36における搬送方向の所定範囲と搬送方向に垂直な方向の全幅を含めた領域Aにおいて、電極36の面方向(バインダ層32と負極ペースト層34の積層方向に対し垂直な方向)の温度分布を検出する。なお、サーモグラフィ18は、本発明における「温度検出手段」の一例である。
【0027】
また、サーモカメラ38は、電極36に形成されたバインダ層32と負極ペースト層34とが乾燥する前の位置に設けておく。一例として、サーモカメラ38は、ダイ10による塗工位置からの距離L=1mの位置であって、電極36の上面からの高さH=15cmの位置に設ける。また、サーモカメラ38は、広角レンズ(不図示)により焦点距離を11mmに設定し、視野範囲を16cm×12cmとする。
【0028】
ギャップ制御部20(図2参照)は、サーモグラフィ18により検出した電極36の温度分布に基づくバインダ層32の塗布状態の検査情報をもとに、ダイ10の塗工をフィードバック制御する。
【0029】
このような構成を有する本実施例の塗工装置1は、搬送ローラ16により搬送される銅泊30に対して、第1排出口22からバインダ液26を排出してバインダ層32を形成し、第2排出口24から負極ペースト28を排出してバインダ層32に重ねて負極ペースト層34を積層する。これにより、銅泊30の塗工面に対してバインダ層32と負極ペースト層34の2層を積層した電極36を製造することができ、このように製造した電極36を使って電池を製造することができる。
【0030】
〔検査方法の説明〕
本実施例では、前記のように電極36を製造しながら、バインダ層32の塗布状態の検査(インライン検査)を行う。そこで、バインダ層32の塗布状態の検査方法について説明する。本実施例では、サーモグラフィ18を使用してバインダ層32の塗布状態を検査する。なお、負極ペースト層34の塗布状態は、目視などで別途検査済みであり、塗布スケや塗布ムラなどがなく安定しているとする。
【0031】
まず、温度設定部14によりバインダ液26と負極ペースト28の温度を調整して、バインダ液26と負極ペースト28との間に温度差を設定する。バインダ液26と負極ペースト28との間の温度差は、サーモグラフィ18の検出可能な温度(分解能、一例として±2℃)よりも大きくなるように設定する。そして、搬送される銅泊30に対して、第1排出口22からバインダ液26を排出し、第2排出口24から負極ペースト28を排出して、銅泊30にバインダ層32と負極ペースト層34を積層した電極36を製造する。なお、バインダ液26と負極ペースト28の温度はいずれも100℃未満とする。
【0032】
このとき、前記のようにバインダ液26と負極ペースト28との間に温度差を設定したので、電極36において、バインダ層32と負極ペースト層34の間で熱の移動が生じる。移動する熱量は、バインダ層32の厚みによって異なるため、バインダ層32において厚みが異なる部分が存在すると、バインダ層32と負極ペースト層34の間で移動する熱量が他の部分と異なり、当該部分では他の部分と温度が異なる。そこで、サーモグラフィ18により検出した電極36の温度分布の結果より、バインダ層32の厚みを求めて、バインダ層32の塗布状態を検査する。なお、一例として、バインダ層32と負極ペースト層34の温度差が0.05℃以上あれば、バインダ層32の塗布状態を検査することができる。また、バインダ層32の比熱と負極ペースト層34の比熱との間に所定の差を設定しておくことにより、バインダ層32と負極ペースト層34の間の熱の移動時間を調整して、バインダ層32の塗布状態を確実に検査することができる。
【0033】
そして、このようなバインダ層32の塗布状態の検査結果をもとに、ギャップ制御部20により、図4に示すような制御を行う。なお、図4は、バインダ層32の塗布状態の検査結果をもとに行う制御のフローチャート図である。
【0034】
まず、サーモグラフィ18により検出した電極36の温度分布のデータを取り込む(ステップS1)。次に、予め作成したサーモグラフィ18により検出した温度とバインダ層32の厚さの相関グラフ(検量線)をもとに、取り込んだ電極36の温度分布のデータから、ダイ10の左右方向(長手方向)のライン上におけるバインダ層32の厚さのデータを算出する(ステップS2)。
【0035】
次に、算出したバインダ層32の厚さのデータをもとに、バインダ層32に塗布スケが存在するか否かを判断する(ステップS3)。ここで、塗布スケとは、バインダ層32が欠けた部分をいう。そして、バインダ層32に塗布スケが存在すると判断した場合には、電極36における当該検査領域に塗布スケが存在する旨の目印を付ける(ステップS4)。
【0036】
一方、バインダ層32に塗布スケが存在しない判断と判断した場合には、バインダ層32に塗布ムラが存在するか否かを判断する(ステップS5)。ここで、塗布ムラとは、バインダ液26の塗布量に所定量以上のバラつきが生じている部分をいう。
【0037】
そして、バインダ層32に塗布ムラが存在すると判断した場合には、電極36における当該検査領域に塗布ムラが存在する旨の目印を付けて(ステップS6)、バインダ層32に塗布ムラが存在しないようにするためのダイ10の適正なギャップG(図3参照)を算出する(ステップS7)。ここで、ギャップGとは、図3に示すように、ダイ10と銅泊30の間の距離(クリアランス)をいう。そして、不図示のギャップ調整手段により、算出した適正なギャップGになるように例えばダイ10における左右方向(長手方向、図3の紙面垂直方向)のギャップGのバランスを調整する(ステップS8)。
【0038】
一方、ステップS5において画像データにおいてバインダ層32に塗布ムラが存在しないと判断した場合には、ダイ10のギャップGをそのまま維持する(ステップS9)。以上のように、バインダ層32の塗布状態の検査情報をもとに、ダイ10の塗工に対しフィードバック制御を行うことができる。
【0039】
なお、バインダ層32における塗布スケと塗布ムラとの判別は、サーモグラフィ18により検出した電極36の温度分布のデータを画像処理して、電極36の搬送方向における画像の濃淡の微分値(変化量)をもとに行うこと、が考えられる。例えば、ダイ10の左右方向のライン上におけるバインダ層32の厚さが一定でないときに、前記の電極36の搬送方向における画像の濃淡の微分値が所定値以上の部分は塗布スケが存在する部分であると判断し、当該微分値が所定値未満の場合には塗布ムラが存在する部分であると判断する。
【0040】
ここで、実際にサーモグラフィ18を使用してバインダ層32の塗布状態の検査の評価実験を行った。検査条件は、ダイ10の材質をSUS304とし、サーモグラフィ18は赤外線サーモグラフィを使用し、高純度ゲルマニウムレンズを使用して、分解能を0.05℃、解像度を320×240画素とした。そして、バインダ層32を形成するバインダ液26(スチレン・ブタジエンゴム、SBR)の温度を25℃とし、負極ペースト層34を形成する負極ペースト28(炭素材料と増粘材を混合したもの)の温度を5℃とした。なお、集電体として銅泊30を使用した。
【0041】
すると、図5に示すような電極36の温度分布を検出することができた。図5に示すように、バインダ層32に塗工ムラが生じてバインダ層32の厚みが所定の厚みよりも小さくなっている領域は、負極ペースト層34との間における熱交換により、他の領域よりも温度が低くなっている。このようにして、バインダ層32の塗工ムラが生じている領域を検出することができた。なお、バインダ層32と負極ペースト層34の温度差が0.05℃以上あれば、バインダ層32の塗工ムラが生じている領域を検出することができた。
【0042】
なお、本実施例ではバインダ液26と負極ペースト28との間に温度差を設定している。そこで、別途設けたサーモグラフィでダイ10における第1排出口22と第2排出口24の周辺の領域B(図3参照)の部分の温度分布を検出して、第1排出口22と第2排出口24の周辺におけるダイ10のリップ構造(排出口構造)の変化を検査し、この検査結果をもとに2層の排出流量をフィードバック制御してもよい。これにより、バインダ液26と負極ペースト28の排出量の変動を抑制することができる。
【0043】
〔本実施例の効果〕
本実施例によれば、バインダ液26と負極ペースト28との間に温度差を設定しているので、バインダ層32において塗布スケや塗布ムラなどが存在する場合には、電極36においてバインダ層32と負極ペースト層34との間の熱の移動による温度変化にバラつきが生じる。そのため、サーモグラフィ18による電極36の温度分布の検出結果をもとに、バインダ層32の塗布状態を検査することができる。したがって、バインダ層32と負極ペースト層34の2層塗工において、目視などで確認できないバインダ層32の品質を検査することができる。ここで、塗布スケとは層が欠けた部分をいい、塗布ムラとは塗布量にバラつきが生じている部分をいう。なお、一例として、バインダ層32と負極ペースト層34の温度差が0.05℃以上あれば、バインダ層32の塗布状態を検査することができる。
【0044】
また、バインダ層32の塗布状態を検査した結果をもとにダイ10と銅泊30との間のギャップGを制御するので、バインダ層32についての塗布ムラを抑制することができる。
【0045】
また、サーモグラフィ18のサーモカメラ38は、電極36のバインダ層32と負極ペースト層34を積層した側の面に対向する位置に設けられているので、バインダ層32と負極ペースト層34における温度分布を直接的に検出することができる。そのため、バインダ層32の塗布状態の検査精度が向上する。
【0046】
<実施例2>
次に、実施例2について説明する。以下の説明では、実施例1と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に述べる。実施例2の塗工装置2においては、図6に示すように、サーモカメラ38は銅泊30の下面に対向する位置に設けられている。そして、実施例1と同様にバインダ液26と負極ペースト28との間に温度差を設定する。ここで、銅泊30は熱伝導率が高いので、銅泊30には前記の電極36における温度分布と同様な温度分布が再現される。そこで、サーモカメラ38により電極36(銅泊30)の温度分布を検出して、この検出結果をもとにバインダ層32の塗布状態を検査することができる。
【0047】
本実施例によれば、前記の実施例1の効果に加えて、電極36の銅泊30が設けられた側の空間を有効利用できるので、塗工装置2の小型化を図ることができる。
【0048】
〔その他の実施例〕
前記の実施例においては、負極の電極における塗工について説明したが、正極の電極における塗工においても適用することができる。例えば、下層に導電助剤を塗布し、上層に正極活物質を塗布する実施例においても、前記の実施例1と実施例2を適用することができる。
【0049】
また、前記の実施例においては2層塗工を例に挙げたが、これに限定されず、ダイ10から3つ以上の液体を排出して、3つ以上の層を積層した塗布部を形成した塗工物を製造する複数塗工の例においても、本発明は適用できる。
【0050】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0051】
1 塗工装置
2 塗工装置
10 ダイ
14 温度設定部
18 サーモグラフィ
20 ギャップ制御部
22 第1排出口
24 第2排出口
26 バインダ液
28 負極ペースト
30 銅泊
32 バインダ層
34 負極ペースト層
36 電極
38 サーモカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される基材に対しダイから複数の液体を排出することにより前記基材に複数の層を積層した塗工物を製造する塗工装置において、
前記複数の液体の各液体間に温度差を設定する温度設定部と、
前記複数の層の積層方向に対して垂直な方向についての前記塗工物の温度分布を検出する温度検出手段と、を有し、
前記温度設定部により前記各液体間に温度差を設定しておき、前記温度検出手段により検出した前記温度分布をもとに前記複数の層のうちの所定の層の塗布状態を検査すること、
を特徴とする塗工装置。
【請求項2】
請求項1の塗工装置において、
前記塗布状態を検査した結果をもとに前記ダイと前記基材との間の距離を制御するギャップ制御部を有すること、
を特徴とする塗工装置。
【請求項3】
請求項1または2の塗工装置において、
前記温度検出手段は、前記塗工物の前記複数の層を積層した側の面に対向する位置に設けられていること、
を特徴とする塗工装置。
【請求項4】
請求項1または2の塗工装置において、
前記温度検出手段は、前記塗工物の前記基材が設けられた側の面に対向する位置に設けられていること、
を特徴とする塗工装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つの塗工装置において、
前記温度検出手段は、サーモグラフィであること、
を特徴とする塗工装置。
【請求項6】
搬送される基材に対しダイから複数の液体を排出することにより前記基材に複数の層を積層した塗工物を製造する塗工方法において、
前記複数の液体の各液体間に温度差を設定しておき、前記複数の層の積層方向に対して垂直な方向についての前記塗工物の温度分布を検出し、検出した前記温度分布をもとに前記複数の層のうちの所定の層の塗布状態を検査すること、
を特徴とする塗工方法。
【請求項7】
搬送される集電体に対しダイからバインダ液と活物質液とを排出することにより前記集電体に前記バインダ液により形成されるバインダ層と前記活物質液により形成される活物質層を積層した電極を有する電池の製造方法において、
前記バインダ液と前記活物質液の間に温度差を設定しておき、前記バインダ層と前記活物質層の積層方向に対して垂直な方向についての前記電極の温度分布を検出し、検出した前記温度分布をもとに前記バインダ層の塗布状態を検査すること、
を特徴とする電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−138302(P2012−138302A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291019(P2010−291019)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】