説明

塗布型膜の形成方法

【課題】塗布法を用いても、塗布膜中に溶媒に由来する有機成分を除去できる塗布型膜の形成方法を提供する。
【解決手段】塗布型膜の形成方法は、半導体基板Wを含む基板の表面に少なくとも有機金属化合物を含む溶液を塗布する第1工程S1と、塗布膜を加熱し溶剤を揮発させる第2工程S2と、塗布膜を加熱処理、オゾン処理、水蒸気処理からなる少なくとも1つを含む処理をすることにより不純物を除去する第3工程S3とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布型膜の形成方法に関し、特に電子デバイスの電極の形成および/または配線形成をする際に印刷や塗布などの低コストプロセスにより低抵抗膜、もしくは絶縁膜を形成する塗布型膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの電極膜もしくは配線パターン、または素子分離膜は、一般的に真空蒸着法やスパッタリング法あるいはCVD(化学的蒸着)法などの真空成膜技術を用いて形成した膜に対してフォトリソグラフイーとエッチングを施すことにより形成している。
【0003】
しかしながら、真空成膜技術による膜形成はスループットが低く、成膜装置が高価なことからコストアップを招く。このため、真空成膜手法に替わる低コストな膜形成方法として塗布型材料を用いた塗布法での膜形成が有効となる。
【0004】
塗布法には、スピン塗布法やダイコート法、スプレー法、印刷法などがあり、いずれの方法も真空を利用した成膜方法に比べて、スループットは高く、塗布装置は安価である。特に、印刷法では、所望のパターンが形成された印刷版を用いて印刷することで直接パターンを形成することが可能となるため、塗布膜の形成後のパターニング工程が省略でき、さらなる低コスト化が図れる。
【0005】
このように、塗布法は低コストで導電膜もしくは絶縁膜が形成できる利点があるが、原子、分子を堆積させることで膜形成する真空成膜法とは異なり、形成された膜の特性は塗布材料加熱焼結条件に大きく左右される。塗料は膜を形成する材料を溶媒に分散させたものであり、溶媒に由来する有機成分を多く含む。塗布膜を単に加熱焼結した場合有機成分は完全には除去しきれず、電極や配線では抵抗値の上昇、絶縁膜ではリークなど不良の原因となる。
【0006】
関連技術としては、特許文献1には、ポリシラザンの塗布膜に含まれるOH基に由来する成分を熱処理により除去することが開示されている。また、特許文献2には、オゾン水による基板上の残留有機物の除去方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005―116706号公報
【特許文献2】特開2007―201070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、スピンコート法やスクリーン印刷に代表される塗布法により形成した塗布膜は真空蒸着法やスパッタリング法に代表される真空成膜法により形成した膜に比べ膜の特性は劣る。この原因は、塗布膜中に溶媒に由来する有機成分が残留しているためであり、塗布膜の特性向上には、塗布膜中の有機成分を除去することが課題となる。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、塗布法を用いても、塗布膜中に溶媒に由来する有機成分を除去できる塗布型膜の形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の塗布型膜の形成方法は、半導体基板を含む基板の表面に少なくとも有機金属化合物を含む溶液を塗布する第1工程と、前記塗布膜を加熱し溶剤を揮発させる第2工程と、前記塗布膜を加熱処理、オゾン処理、水蒸気処理からなる少なくとも1つを含む処理をすることにより不純物を除去する第3工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の塗布型膜の形成方法は、半導体基板を含む基板の表面に少なくとも金属微粒子を含む溶液を塗布する第1工程と、前記塗布膜を加熱し溶剤を揮発させる第2工程と、前記塗布膜を加熱処理、オゾン処理、水蒸気処理からなる少なくとも1つを含む処理をすることにより不純物を除去する第3工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、塗布法を用いても、塗布膜中に溶媒に由来する有機成分を除去できる塗布型膜の形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の塗布型膜の形成方法の実施例1を示す工程図である。
【図2】過水素化ポリシラザンの加熱後のIRスペクトルの例を示す図である。
【図3】図3(A)は、過水素化ポリシラザンの各種処理による不純物除去(室温)を示し、図3(B)は、 過水素化ポリシラザンの各種処理による不純物除去(高温)を示す図である。
【図4】本発明の塗布型膜の形成方法の実施例2を示す工程図である。
【図5】図5(A)は、Cuペーストの各種処理による不純物除去(室温)を示し、図5(B)は、 Cuペーストの各種処理による不純物除去(高温)を示す図である。
【図6】本発明の塗布型膜の形成方法の実施例3を示す工程図である。
【図7】図7(A)は、Agペーストの各種処理による不純物除去(室温)を示し、図7(B)は、Agペーストの各種処理による不純物除去(高温)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0015】
(実施例1)
図1は、本発明の塗布型膜の形成方法の実施例1を示す工程図である。
【0016】
図1に示すように、塗布型膜の形成方法の実施例1は、第1工程S1と、第2工程S2と、第3工程S3と、を含む。
【0017】
まず、第1工程S1では、シリコン基板10上に過水素化シラザン重合体((SiH2 NH))を含む溶液(以下、過水素化シラザン溶液という。)20を、スピン塗布法を用いて塗布した。具体例としては、シリコン基板10の上には、例えば複数の素子11が形成され、隣接の素子11の間には窪み部分12が形成されており、これらの窪み部分12内に、絶縁膜としての過水素化シラザン溶液20が塗布された。シリコン基板10は半導体基板の一例であり、過水素化シラザン溶液20は、有機金属化合物を含む溶液の一例である。
【0018】
次に、第2工程S2では、150℃で3分間程度のベーキング処理を行うことで、過水素化シラザン溶液20から溶媒が揮発して、過水素化ポリシラザン(polysilazane:以下PSZと記す)膜21を形成する。このPSZ膜21に対して、200℃より高く600℃以下の温度、例えば、300℃の水蒸気雰囲気中で30分程度の酸化処理(第1の酸化処理)を行うことで、PSZ膜21は、二酸化シリコン膜に一部変換する。ここでは、PSZ膜21はまだ完全なSiO2膜ではないことが、図2に示す赤外線吸収法(IR)測定の結果から分かっている。また、X線光電子分光分析装置(XPS)による分析から、この時点でPSZ膜21には不純物が36%程度含まれていることが分かっている。
【0019】
さらに、第3工程S3では、以下に示す(1)〜(6)の処理をして、PSZ膜21は、より二酸化シリコン膜22へと改質し、加えて不純物が除去される。
【0020】
(1) 基板を加熱しない場合でのオゾンガスによる処理
PSZ膜を塗布した基板をオゾンガス雰囲気に15分間さらした。
【0021】
(2) 基板を加熱しない場合での過熱水蒸気による処理
PSZ膜を塗布した基板を過熱水蒸気雰囲気に15分間さらした。
【0022】
(3) 基板を加熱しない場合でのオゾンガスと過熱水蒸気による処理
PSZ膜を塗布した基板をオゾンガスと過熱水蒸気の混合雰囲気に15分間さらした。
【0023】
(4) 基板を加熱した場合でのオゾンガスによる処理
PSZ膜を塗布した基板を250℃に加熱し、オゾンガス雰囲気に15分間さらした。
【0024】
(5)基板を加熱した場合での過熱水蒸気による処理
PSZ膜を塗布した基板を250℃に加熱し、過熱水蒸気雰囲気に15分間さらした。
【0025】
(6)基板を加熱した場合でのオゾンガスと水蒸気による処理
PSZ膜を塗布した基板を250℃に加熱し、過熱水蒸気の混合雰囲気に15分間さらした。
【0026】
ここで、図3を参照する。図3は、PSZ膜の組成比を示している。図3(A)は、過水素化ポリシラザンの各種処理による不純物除去(室温)を示し、図3(B)は、 過水素化ポリシラザンの各種処理による不純物除去(高温)を示す図である。
【0027】
図3(A)では、室温における不純物除去例を示しており、参照例Aと、オゾンガスによる処理例Bと、オゾンガスと過熱水蒸気による処理例Cと、過熱水蒸気による処理例Dを示している。第3工程での処理前の参照例Aは、図2に示すようにPSZ膜がまだ完全なSiO2膜ではない場合を示しており、不純物Wが36%含まれている。
【0028】
図3(A)では、オゾンガスによる処理例Bにおける不純物W1と、オゾンガスと過熱水蒸気による処理例Cにおける不純物W2と、過熱水蒸気による処理例Dにおける不純物W3は、参照例Aにおける不純物Wと比較すると、少なくなっており、不純物W1は最大で5%まで減少した。
【0029】
図3(B)では、高温(250℃)における不純物除去例を示しており、250℃での処理例Eと、オゾンガスによる処理例Fと、オゾンガスと過熱水蒸気による処理例Gと、過熱水蒸気による処理例Hを示している。
【0030】
図3(B)では、250℃での処理例Eにおける不純物W4と、オゾンガスによる処理例Bにおける不純物W5と、オゾンガスと過熱水蒸気による処理例Cにおける不純物W6と、過熱水蒸気による処理例Dにおける不純物W7は、図3(A)の参照例Aにおける不純物Wと比較すると、少なくなっている。
【0031】
上述した実施例1の塗布型膜の形成方法は、半導体基板を含む基板の表面に少なくとも有機金属化合物を含む溶液を塗布する第1工程と、塗布膜を加熱し溶剤を揮発させる第2工程と、塗布膜を加熱処理、オゾン処理、水蒸気処理からなる少なくとも1つを含む処理をすることにより不純物を除去する第3工程と、を含んでいる。第2工程では、塗布膜を加熱し溶剤を揮発させる、および/または塗布膜を改質することができる。
【0032】
前記溶液は、銅、銀、インジウム、スズ、亜鉛、およびケイ素、もしくはこれらの酸化物の群から選択された少なくとも1つを含む溶液である。また、前記溶液は、銅、銀、インジウム、スズ、亜鉛、ケイ素、もしくはこれらの有機化合物の群から選択された少なくとも1つを含む溶液である。
【0033】
(実施例2)
図4は、本発明の塗布型膜の形成方法の実施例2を示す工程図である。
【0034】
図4に示すように、塗布型膜の形成方法の実施例2は、第1工程S11と、第2工程S12と、第3工程S13と、を含む。
【0035】
まず、第1工程S11では、シリコン基板上にCuを含むペースト(大研化学工業株式会社製)を、スクリーン印刷を用いて塗布した。具体例としては、シリコン基板30にはスルーホール31が形成されており、スルーホール31内の導電体32は素子33に電気的に接続されている。このシリコン基板30の上には、Cuを含むペースト35が塗布されて導電体32に電気的に接続された。
【0036】
次に、第2工程S12では、150℃で3分程度のベーキング処理を行うことで溶媒が揮発し、Cu導電膜36が形成される。
【0037】
さらに、第3工程S13では、以下に示す(1)〜(6)の処理をそれぞれ行うことで、Cu導電膜36から不純物が除去される。
【0038】
(1) 基板を加熱しない場合でのオゾンガスによる処理
Cu導電膜を塗布した基板をオゾンガス雰囲気に15分間さらした。
【0039】
(2)基板を加熱しない場合での過熱水蒸気による処理
Cu導電膜を塗布した基板を過熱水蒸気雰囲気に15分間さらした。
【0040】
(3)基板を加熱しない場合でのオゾンガスと過熱水蒸気による処理
Cu導電膜を塗布した基板をオゾンガスと過熱水蒸気の混合雰囲気に15分間さらした。
【0041】
(4)基板を加熱した場合でのオゾンガスによる処理
Cu導電膜を塗布した基板を250℃に加熱し、オゾンガス雰囲気に15分間さらした。
【0042】
(5)基板を加熱した場合での過熱水蒸気による処理
Cu導電膜を塗布した基板を250℃に加熱し、過熱水蒸気雰囲気に15分間さらした。
【0043】
(6)基板を加熱した場合でのオゾンガスと水蒸気による処理
Cu導電膜を塗布した基板を250℃に加熱し、過熱水蒸気の混合雰囲気に15分間さらした。
【0044】
ここで、図5には、Cu導電膜の組成比を示す。図5(A)は、Cuペースト(Cu導電膜)の各種処理による不純物除去(室温)を示し、図5(B)は、 Cuペースト(Cu導電膜)の各種処理による不純物除去(高温)を示す図である。この場合には不純物Vは炭素である。
【0045】
図5(A)では、室温における不純物除去例を示しており、参照例Aと、オゾンガスによる処理例Bと、オゾンガスと過熱水蒸気による処理例Cと、過熱水蒸気による処理例Dを示している。第3工程での処理前の参照例Aには、不純物Vが81%含まれている。
【0046】
図5(A)では、オゾンガスによる処理例Bにおける不純物V1と、オゾンガスと過熱水蒸気による処理例Cにおける不純物V2と、過熱水蒸気による処理例Dにおける不純物V3は、参照例Aにおける不純物Vと比較すると、少なくなっており、不純物V5は最大で13.4%まで減少した。
【0047】
図5(B)では、高温(250℃)における不純物除去例を示しており、250℃での処理例Eと、オゾンガスによる処理例Fと、オゾンガスと過熱水蒸気による処理例Gと、過熱水蒸気による処理例Hを示している。
【0048】
図5(B)では、250℃での処理例Eにおける不純物V4と、オゾンガスによる処理例Bにおける不純物V5と、オゾンガスと過熱水蒸気による処理例Cにおける不純物V6と、過熱水蒸気による処理例Dにおける不純物V7は、図5(A)の参照例Aにおける不純物Vと比較すると、かなり少なくなっている。
【0049】
上述した実施例2の塗布型膜の形成方法は、半導体基板を含む基板の表面に少なくとも金属微粒子を含む溶液を塗布する第1工程と、前記塗布膜を加熱し溶剤を揮発させる第2工程と、前記塗布膜を加熱処理、オゾン処理、水蒸気処理からなる少なくとも1つを含む処理をすることにより不純物を除去する第3工程と、を含んでいる。第2工程では、塗布膜を加熱し溶剤を揮発させる、および/または塗布膜を改質することができる。
【0050】
前記溶液は、銅、銀、インジウム、スズ、亜鉛、およびケイ素、もしくはこれらの酸化物の群から選択された少なくとも1つを含む溶液である。また、前記溶液は、銅、銀、インジウム、スズ、亜鉛、ケイ素、もしくはこれらの有機化合物の群から選択された少なくとも1つを含む溶液である。
【0051】
(実施例3)
図6は、本発明の塗布型膜の形成方法の実施例3を示す工程図である。
【0052】
図6に示すように、塗布型膜の形成方法の実施例3は、第1工程S21と、第2工程S22と、第3工程S23と、を含む。
【0053】
まず、第1工程S21では、シリコン基板上にAgを含むペースト(大研化学工業株式会社製)を、スクリーン印刷を用いて塗布した。具体例としては、シリコン基板30にはスルーホール31が形成されており、スルーホール31内の導電体32は素子33に電気的に接続されている。このシリコン基板30の上には、Agを含むペースト45が塗布されて導電体32に電気的に接続された。
【0054】
次に、第2工程S22では、150℃で3分程度のベーキング処理を行うことで溶媒が揮発し、Ag導電膜46が形成される。
【0055】
さらに、第3工程S23では、以下に示す(1)〜(6)の処理をそれぞれ行うことで、Ag導電膜46から不純物が除去される。
【0056】
(1)基板を加熱しない場合でのオゾンガスによる処理
Ag導電膜を塗布した基板をオゾンガス雰囲気に15分間さらした。
【0057】
(2)基板を加熱しない場合での過熱水蒸気による処理
Ag導電膜を塗布した基板を過熱水蒸気雰囲気に15分間さらした。
【0058】
(3)基板を加熱しない場合でのオゾンガスと過熱水蒸気による処理
Ag導電膜を塗布した基板をオゾンガスと過熱水蒸気の混合雰囲気に15分間さらした。
【0059】
(4)基板を加熱した場合でのオゾンガスによる処理
Ag導電膜を塗布した基板を250℃に加熱し、オゾンガス雰囲気に15分間さらした。
【0060】
(5)基板を加熱した場合での過熱水蒸気による処理
Ag導電膜を塗布した基板を250℃に加熱し、過熱水蒸気雰囲気に15分間さらした。
【0061】
(6)基板を加熱した場合でのオゾンガスと水蒸気による処理
Ag導電膜を塗布した基板を250℃に加熱し、過熱水蒸気の混合雰囲気に15分間さらした。
【0062】
ここで、図7には、Ag導電膜の組成比を示す。図7(A)は、Agペースト(Ag導電膜)の各種処理による不純物除去(室温)を示し、図7(B)は、 Agペースト(Ag導電膜)の各種処理による不純物除去(高温)を示す図である。この場合に、不純物Xは炭素である。
【0063】
図7(A)では、室温における不純物除去例を示しており、参照例Aと、オゾンガスによる処理例Bと、オゾンガスと過熱水蒸気による処理例Cと、過熱水蒸気による処理例Dを示している。第3工程での処理前の参照例Aには、不純物Wが65%含まれている。
【0064】
図7(A)では、オゾンガスによる処理例Bにおける不純物X1と、オゾンガスと過熱水蒸気による処理例Cにおける不純物X2と、過熱水蒸気による処理例Dにおける不純物X3は、参照例Aにおける不純物Xと比較すると、少なくなっており、不純物X5では最大で7%まで減少した。
【0065】
図7(B)では、高温(250℃)における不純物除去例を示しており、250℃での処理例Eと、オゾンガスによる処理例Fと、オゾンガスと過熱水蒸気による処理例Gと、過熱水蒸気による処理例Hを示している。
【0066】
図7(B)では、250℃での処理例Eにおける不純物X4と、オゾンガスによる処理例Bにおける不純物X5と、オゾンガスと過熱水蒸気による処理例Cにおける不純物X6と、過熱水蒸気による処理例Dにおける不純物X7は、図7(A)の参照例Aにおける不純物Xと比較すると、少なくなっている。
【0067】
上述した実施例3の塗布型膜の形成方法は、半導体基板を含む基板の表面に少なくとも金属微粒子を含む溶液を塗布する第1工程と、前記塗布膜を加熱し溶剤を揮発させる第2工程と、前記塗布膜を加熱処理、オゾン処理、水蒸気処理からなる少なくとも1つを含む処理をすることにより不純物を除去する第3工程と、を含んでいる。第2工程では、塗布膜を加熱し溶剤を揮発させる、および/または塗布膜を改質することができる。
【0068】
前記溶液は、銅、銀、インジウム、スズ、亜鉛、およびケイ素、もしくはこれらの酸化物の群から選択された少なくとも1つを含む溶液である。また、前記溶液は、銅、銀、インジウム、スズ、亜鉛、ケイ素、もしくはこれらの有機化合物の群から選択された少なくとも1つを含む溶液である。
【0069】
上述した本発明の各実施例では、第1工程は、塗布溶液をスピン塗布、凸版印刷塗布、孔版印刷塗布、平版印刷塗布、凹版印刷塗布、インクジェット塗布のいずれかを用いて塗布することができる。
【0070】
また、第2工程では、50℃から300℃の範囲において加熱処理される。加熱処理温度が50℃よりも低いと、溶媒除去が不十分であり、300℃よりも高いと、下地であるシリコン基板にダメージを与えるので好ましくない。
【0071】
さらに、第3工程では、25℃から400℃の範囲において加熱処理される。加熱処理温度が25℃よりも低いと、室温よりも低くするための設備が必要であり、400℃よりも高いと、下地であるシリコン基板にダメージを与えるので好ましくない。
【0072】
本発明の塗布型膜の形成方法は、半導体基板を含む基板の表面に少なくとも有機金属化合物を含む溶液を塗布する第1工程と、塗布膜を加熱し溶剤を揮発させる第2工程と、塗布膜を加熱処理、オゾン処理、水蒸気処理からなる少なくとも1つを含む処理をすることにより不純物を除去する第3工程と、を含むことを特徴とする。これにより、塗布法を用いても、塗布膜中に溶媒に由来する有機成分を除去できる。電子デバイスの電極の形成および/または配線形成をする際に印刷や塗布などの低コストプロセスにより低抵抗膜、もしくは絶縁膜を形成することができる。
【0073】
また、本発明の塗布型膜の形成方法は、半導体基板を含む基板の表面に少なくとも金属微粒子を含む溶液を塗布する第1工程と、塗布膜を加熱し溶剤を揮発させる第2工程と、塗布膜を加熱処理、オゾン処理、水蒸気処理からなる少なくとも1つを含む処理をすることにより不純物を除去する第3工程と、を含むことを特徴とする。これにより、塗布法を用いても、塗布膜中に溶媒に由来する有機成分を除去できる。電子デバイスの電極の形成および/または配線形成をする際に印刷や塗布などの低コストプロセスにより低抵抗膜、もしくは絶縁膜を形成することができる。
【0074】
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の変更ができる。
【0075】
さらに、本発明の実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、本発明の実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10,30,40 シリコン基板、20 過水素化シラザン溶液、35 Cuを含むペースト、36 Cu導電膜、45 Agを含むペースト、46 Ag導電膜、S1、S2、S3 第1工程、S11、S12、S13 第1工程、S21、S21、S23 第1工程、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を含む基板の表面に少なくとも
有機金属化合物を含む溶液を塗布する第1工程と、
前記塗布膜を加熱し溶剤を揮発させる第2工程と、
前記塗布膜を加熱処理、オゾン処理、水蒸気処理からなる少なくとも1つを含む処理をすることにより不純物を除去する第3工程と、を含むことを特徴とする塗布型膜の形成方法。
【請求項2】
半導体基板を含む基板の表面に少なくとも
金属微粒子を含む溶液を塗布する第1工程と、
前記塗布膜を加熱し溶剤を揮発させる第2工程と、
前記塗布膜を加熱処理、オゾン処理、水蒸気処理からなる少なくとも1つを含む処理をすることにより不純物を除去する第3工程と、を含むことを特徴とする塗布型膜の形成方法。
【請求項3】
前記溶液は、銅、銀、インジウム、スズ、亜鉛、およびケイ素、もしくはこれらの酸化物の群から選択された少なくとも1つを含む溶液であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗布型膜の形成方法。
【請求項4】
前記溶液は、銅、銀、インジウム、スズ、亜鉛、ケイ素、もしくはこれらの有機化合物の群から選択された少なくとも1つを含む溶液であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗布型膜の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−221152(P2010−221152A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72336(P2009−72336)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】