説明

塗布方法及び塗布装置

【課題】2液以上を混合してなる塗布液の塗布性に優れ、高品質の製品を安定的に提供し得る塗布方法及び塗布装置を提供すること。
【解決手段】塗布装置50は、被塗布物10に塗布液を塗布する装置であり、塗布液の塗布前に被塗布物10に切り込み11を設ける切り込み形成手段51と、塗布液の塗布直前に複数種の流体を混合して該塗布液を調製する塗布液調製手段63と、切り込み11が設けられた被塗布物10に塗布液を吐出する複数のノズル65と、を備えている。複数のノズル65は、被塗布物10の複数箇所に塗布液を塗布可能に配列され且つ少なくとも該塗布液の吐出口が格子状に区画されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種の流体を混合してなる塗布液を被塗布物に塗布する塗布方法及び塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数種の流体を混合してなる塗布液を塗布する場合、各流体を予備混合機へ導いて混合し、得られた混合物を吐出ノズル等の塗布具へ導く方法が一般的である。しかし、この方法は、予備混合機を使用することによって塗布作業が煩雑となり、また、予備混合機内に流体が廃物として残存し、装置に悪影響を及ぼすおそれがある。特許文献1には、斯かる課題の解決を図った技術として、接着性シール剤等の2成分からなる流体の撒布用ガンが記載されている。特許文献1に記載の撒布用ガンは、ガン本体の内部に配置された撒布用弁と吐出ノズルとの間に、静止混合機を備えている。この静止混合機は、2種類の流体の流路として機能し且つこれらの流体を混合するための、曲がりくねった通路を備えている。
【0003】
また、特許文献2には、主剤と硬化剤とを所定の割合で無動力で混合する接着剤の注入器が記載されている。特許文献2に記載の注入器は、主剤と硬化剤とを混合して得られる接着剤の吐出用ノズル管の上流側に、両剤の混合機を備えており、該混合機は、多数のねじれ板部材を順次位相をずらして一列に並べ管状のハウジングに内蔵した構成となっている。主剤と硬化剤とは、このねじれ板部材を通過する毎に二分されて次第に均一な混合状態となって先端のノズル管から吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−136460号公報
【特許文献2】特開平5−208158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に記載の技術を利用して塗布液の塗布を行った場合、塗布液の種類によっては、塗布液の被塗布物上での跳ねやこぼれ、ノズルからの塗布液の垂れ落ちが発生し、また、塗布液の被塗布物への浸透性が低く、装置の汚染や製品の品質低下等の不都合を招くおそれがあった。特に、乳化能が低く安定性に乏しい(成分が析出し易い)塗布液の塗布性に関しては、従来技術は改善の余地があった。
【0006】
従って本発明の課題は、2液以上を混合してなる塗布液の塗布性に優れ、高品質の製品を安定的に提供し得る塗布方法及び塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被塗布物に塗布液を塗布する塗布方法であって、前記塗布液の塗布前に前記被塗布物に切り込みを設ける工程と、前記塗布液の塗布直前に複数種の流体を混合して該塗布液を調製する工程と、複数のノズルから前記塗布液を吐出させ、前記切り込みが設けられた前記被塗布物の複数箇所に該塗布液を塗布する工程と、を有し、複数の前記ノズルは、少なくとも前記塗布液の吐出口が格子状に区画されている塗布方法を提供することにより、前記課題を解決したものである。
【0008】
また本発明は、被塗布物に塗布液を塗布する塗布装置であって、前記塗布液の塗布前に前記被塗布物に切り込みを設ける切り込み形成手段と、前記塗布液の塗布直前に複数種の流体を混合して該塗布液を調製する塗布液調製手段と、前記切り込みが設けられた前記被塗布物に前記塗布液を吐出する複数のノズルと、を備え、複数の前記ノズルは、前記被塗布物の複数箇所に前記塗布液を塗布可能に配列され且つ少なくとも該塗布液の吐出口が格子状に区画されている塗布装置を提供することにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、2液以上を混合してなる塗布液の塗布性に優れ、高品質の製品を安定的に提供することができる。特に、本発明によれば、乳化能が低く安定性に乏しい(成分が析出し易い)塗布液であっても、塗布液の被塗布物上での跳ねやこぼれ、塗布用ノズルからの塗布液の垂れ落ちの発生を抑制し、塗布液を被塗布物の所定箇所に高精度で塗布し、比較的短時間で該被塗布物に浸透させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の塗布装置の全体構成を示した図である。
【図2】図2は、図1に示す塗布装置におけるノズルを用いた塗布液の塗布工程を示す概略斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す塗布装置における塗布ユニットの全体構成を示した図である。
【図4】図4(a)は、図1に示す塗布装置におけるノズルの流路方向に沿う縦断面図、図4(b)は、図4(a)のI−I線横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。本実施形態の塗布装置50は、図1及び図2に示すように、帯状の被塗布物10´に切り込みを設けた後、該被塗布物10´を所定長さに切断して複数の枚葉の被塗布物10とし、各該被塗布物10に塗布液を塗布するもので、帯状の被塗布物10´をその長手方向に走行させる公知の走行手段(図示せず)と、帯状の被塗布物10´に切り込みを設ける切り込み形成手段51と、帯状の被塗布物10´を所定長さに切断して複数の枚葉の被塗布物10とするカッターロール52と、一方向に所定間隔を置いて配置された複数の枚葉の被塗布物10を該一方向に走行させる走行手段としての搬送ベルト53と、各被塗布物10に塗布液を塗布する塗布ユニット60とを備えている。
【0012】
塗布装置50は、空気との接触により発熱可能な発熱体を製造する装置である。本実施形態の適用対象である被塗布物10(10´)は、被酸化性金属及び繊維を含有するシート状物であり、空気中の酸素と該被酸化性金属との酸化反応に伴う発熱を利用した、発熱体の中間体である。図1及び図2に示すように、被塗布物10に塗布ユニット60(ノズル65)を用いて特定組成の塗布液を塗布することで、発熱体20となる。
【0013】
塗布装置50は、図1に示すように、ノズル65の下流側に、発熱体20を包装する包装ユニット70を備えており、発熱体20は、該包装ユニット70によって通気性シート31,32で包装され、発熱シート30とされる。発熱シート30は、2枚の通気性シート31,32間に発熱体20が介在配置された扁平なものであり、両シート31,32間が、発熱体20が収容される密閉空間となっている。発熱シート30は、人体の腰部や肩などに装着させて全身の血行を促進させるために好適に用いられる。
【0014】
本発明の主たる特徴の1つとして、塗布液の塗布前に被塗布物に切り込みを設ける点が挙げられる。本実施形態においては、図1に示すように、2枚の帯状の被塗布物10´,10´を、互いに平行にして図中符合X1で示す方向(MD)に走行させ、切り込み形成手段51で各被塗布物10´に切り込みを設ける。
【0015】
切り込み形成手段51は、互いに噛み合う刃溝を有する一対の刃溝ロール51A,51Bを含んで構成されている。即ち、両ロール51A,51Bそれぞれの周面部には、所定の高さを有し且つ各ロールの周方向に延びる複数の刃が、ロール軸線方向(図中、符合Yで示す方向。CD)に所定間隔を置いて配置されており、これにより刃溝が形成されている。両ロール51A,51Bにおける刃溝どうしを互いに噛み合わせると、それらの刃溝が所定の噛み合い深さで噛み合うようになされており、帯状の被塗布物10´を、この刃溝の噛み合い部分を通過させることで、被塗布物10´における、該刃溝を構成する複数の刃と当たる部分が破断し、これにより、被塗布物10´の表面に、MDに延びる直線状の切り込みが複数形成される。図2中、符合11で示した点線が、切り込みである。尚、図2は、切り込みが形成された帯状の被塗布物10´がCDに切断されて、複数の枚葉の被塗布物10となった状態を示している。
【0016】
尚、切り込み形成手段51において、刃溝ロール51A,51Bのどちらか一方を、周面部に刃が形成されていない平滑なアンビルロールに代えても良い。このようなアンビルロールを、刃溝ロール51A又は51Bと組み合わせて用いた場合でも、帯状の被塗布物10'の表面に、MDに伸びる直線状の切り込みを複数形成することができる。
【0017】
このように、塗布液の塗布前に被塗布物に切り込みを設ける理由は、塗布液の被塗布物への浸透性を高め、浸透時間を短縮するためである。塗布液の浸透性が低いと、ノズル65から被塗布物10に対して吐出された塗布液が、該被塗布物10上で跳ねたり、あるいは該被塗布物10からこぼれたりするおそれがあり、所定部位に塗布液を正確に塗布することが困難となり、製品の品質低下を招くおそれがある。また、本実施形態においては、図1に示すように、複数のノズル65を用いて被塗布物10に塗布液を塗布した後、該被塗布物10(発熱体20)上に、発熱シート30の構成部材である、通気性シート32を供給しているところ、ノズル65から吐出された塗布液が被塗布物10の内部に十分に浸透していないうちに、該被塗布物10上に通気性シート32を供給してしまうと、該通気性シート32の微細孔に、該被塗布物10上に存していた塗布液が入り込み、その結果、通気性シート32の通気性が阻害され、延いては、発熱シート30の性能が低下するおそれがある。そこで、本実施形態においては、塗布液の塗布前に被塗布物10(10´)に切り込み11を設けることにより、塗布液の被塗布物への浸透を促進させ、浸透時間の短縮を図っている。
【0018】
切り込み11(図2参照)は、平面視において枚葉の被塗布物10の走行方向X2(MD)に延びる直線状であり、図2に示すように、方向Y(CD)に所定間隔を置いて4本形成されている。1枚の被塗布物10に設けられた切り込み11の数(4本)は、該被塗布物10に対応するノズル65の数と一致している。本実施形態においては、複数のノズル65は、複数の切り込み11に1対1で対応するように配列されており、被塗布物10の複数箇所(複数の切り込み11)に塗布液を同時に塗布可能に配列されている。
【0019】
切り込み11のMDの長さL1と、枚葉の被塗布物10のMDの長さL2との比(L1/L2、図2参照)は、特に制限されず、適宜設定することができる。本実施形態においては、切り込み11は、図2に示すように、被塗布物10のMD(方向X1)の全長に亘っており、L1/L2は1である。
【0020】
尚、本発明に係る切り込みは、被塗布物の構成繊維が切断されて形成された細隙(スリット)であり、前述した切り込み形成手段51により形成される切り込み11のように、被塗布物の表面に刃を押し当て、該刃を所定方向にスライドさせることで形成されるものである。本発明に係る切り込みは、被塗布物を厚み方向に貫通していても良く、あるいは被塗布物を厚み方向に貫通せずに、被塗布物の表層部分のみが切れているものでも良い。後者の場合、切り込みは、被塗布物の片面のみに設けても良く、あるいは両面に設けても良い。但し、被塗布物の構成繊維が切断されておらず、被塗布物の一面側の一部が他面側に向けて凹状に陥没しただけの「凹部」は、本発明に係る切り込みではない。また、本発明に係る切り込みは、連続した1本の直線状の切り込みでも良く、あるいは、直線状で比較的長さの短い切り込みが、その長さ方向に所定間隔を置いて列をなすように配置されて形成され、平面視において点線状又は破線状となっていても良い。
【0021】
また、本発明の主たる特徴の他の1つとして、被塗布物に塗布液を塗布する直前に、複数種の流体を混合(乳化)して該塗布液を調製する点が挙げられる。これを可能にするのが、塗布液調製手段63を含んで構成される、塗布ユニット60である。
【0022】
本実施形態で用いる塗布液は、発熱体20の構成成分を含むもので、複数種の流体を混合して調製される。より具体的には、本実施形態で用いる塗布液は、親水性の異なる複数種の流体を混合して調製され、その複数種の流体のうちの1種は、電解質水溶液であり、他の1種は、メントールを含有する溶剤(メントール油剤)である。これら2種の流体に加えて更に、別の1種の流体として活性剤溶液を用い、これら3種の流体を混合して塗布液を調製しても良い。電解質水溶液は、前述した、発熱体20における空気中の酸素と被酸化性金属との酸化反応の触媒であり、塩化ナトリウム等の電解質及び水を含む。メントールは、主として、発熱体20(発熱シート30)を人体に装着して使用した場合の清涼感を得るために用いられるもので、常温で水に微溶の固体であるため、親水性の低い(親油性の高い)溶剤に分散又は溶解させて用いられる。従って、本実施形態で用いる塗布液は、相互に混じり合わない複数種の流体を混合(乳化)させてなる、塗布液である。
【0023】
塗布ユニット60は、図3に示すように、塗布液を被塗布物10に塗布する直前に複数種の流体を混合して該塗布液を調製する塗布液調製手段63と、塗布液調製手段63で調製された塗布液を被塗布物10に吐出する複数のノズル65とを備えている。塗布ユニット60は、更に、塗布液の原料となる複数種の流体をそれぞれ独立に貯留する貯槽61A,61Bと、該貯槽61A,61Bに貯留されている流体を塗布液調製手段63に送るポンプ62A,62Bと、塗布液調製手段63と複数のノズル65との間に設けられたバッファタンク64とを備えている。塗布ユニット60を構成する前記各部は、フレキシブルチューブ等の管によって流体的に接続されている。尚、塗布ユニット60が置かれている室温によっては、流体(前記メントール油剤)の粘度変化や成分(メントール)の析出が発生する場合があることから、斯かる不都合を防止すべく、塗布ユニット60は、少なくとも貯槽61A,61Bと塗布液調製手段63とを接続する管を加温可能な加熱手段を有していることが好ましい。複数のノズル65は、それぞれ独立に、塗布液調製手段64と管によって流体的に接続されており、ノズル65の群と塗布液調製手段64との間には、ノズル65の数と同数の管が配されている。塗布ユニット60は、非接触式の塗布手段であり、ノズル65は、被塗布物10から上方に所定距離離間した位置に設けられている。
【0024】
塗布ユニット60においては、2種類の流体を混合して塗布液を調製するため、前記貯槽の数は、該流体の種類数と同数の2つ(貯槽61A,61B)となっている。貯槽61Aには前記電解質溶液、貯槽61Bには前記メントール油剤がそれぞれ貯留されている。また、ポンプ62A,62Bとしては、例えばプランジャー型定量ポンプを用いることができ、例えば、株式会社イワキ製の商品名「ハイセラポンプ」を用いることができる。また、2種類以上の流体を混合調製する場合は、貯槽、ポンプを、それぞれ、該流体の種類数と同数用意することで対応することができる。
【0025】
また、塗布ユニット60においては、塗布液調製手段63がスタティックミキサーである。スタティックミキサーは、静止型流体混合装置の一つで、公知の混合装置である。スタティックミキサーは、混合管の内部に複数種の流体を混合する多数の固定分割羽根を軸方向に連設してなる構成を有しており、モーター等の動力源無しで、流体の混合・乳化を行うことができる。スタティックミキサーとしては、例えば市販品として、株式会社ノリタケカンパニーリミテド製のものを用いることができる。塗布液調製手段63としては、静止型流体混合装置が好ましく、スタティックミキサー以外の他の静止型流体混合装置、例えば株式会社フジキン製の商品名「分散君」や「混合君」等を用いても良い。
【0026】
バッファタンク64は、塗布液調製手段63(スタティックミキサー)から流入した塗布液を一時的に貯留し、複数のノズル65それぞれに分配するもので、バッファタンク64から塗布液を受け入れるための注入口(図示せず)と、該注入口から流入した塗布液を一時的に貯留する貯留部(図示せず)と、該貯留部内の塗布液を複数のノズル65それぞれに向けて送液する注出口(図示せず)とを備えている。バッファタンク64において、前記注入口は1つ、前記貯留部は1つ、前記注出口は複数(ノズル65と同数)である。このように、複数のノズル65の上流側に塗布液の一時的な貯留部として機能するバッファタンク64が設けられていることにより、各ノズル65の吐出量のばらつきが抑えられ、被塗布物10に設計通りの塗布量の塗布液を塗布することが可能となる。
【0027】
このような構成の塗布ユニット60において、ポンプ62Aを作動させて貯槽61A内の前記電解質溶液を塗布液調製手段63(スタティックミキサー)に供給すると共に、ポンプ62Bを作動させて貯槽61B内の前記メントール油剤を塗布液調製手段63に供給する。塗布液調製手段63は、その内部においてこれら2種類の流体を通過させつつ、前記固定分割羽根によって順次分割しながら混合(乳化)を進行してゆくことにより、塗布液を速やかに調製すると共に、調製した塗布液を、バッファタンク64に速やかに供給する。バッファタンク64内において、塗布液は、前記貯留部で一時的に貯留された後、複数のノズル65それぞれに速やかに分配され、被塗布物10に向けて吐出される。
【0028】
塗布装置50において、複数種の流体(電解質水溶液、メントール油剤)が塗布液調製手段63(スタティックミキサー)に供給されてから、ノズル65から塗布液として吐出される(即ち、被塗布物に塗布液として塗布される)までに要する時間(以下、塗布前保持時間ともいう)は、概ね0.1〜60秒である。塗布装置50によれば、このような比較的短い塗布前保持時間の実現が可能であり、塗布液の塗布直前に複数種の流体を混合して該塗布液を調製することができる。塗布前保持時間は、塗布液の種類等によって異なるが、好ましくは30秒以内、更に好ましくは10秒以内である。
【0029】
このように、塗布液の塗布直前に複数種の流体を混合(乳化)して該塗布液を調製することにより、例えば、塗布装置50とは装置的に繋がっていない別の装置で別途調製し保存しておいた塗布液を該塗布装置50で使用する場合に比して、塗布液中に含まれる、常温で析出しやすい成分(本実施形態ではメントール)の析出が発生し難く、塗布液の品質が安定し、延いては該塗布液を被塗布物に塗布して得られる製品(本実施形態では発熱体20あるいは発熱シート30)の品質が安定する。また、特に、塗布液調製手段63としてスタティックミキサーを用いた場合には、異なる複数種の流体の混合に従来用いられてきた攪拌槽などを必要としないため、塗布液調製設備の小型化、省スペース化が図られ、また、既存の塗布装置を流用でき、更には、動力源無しで流体の混合が可能なため、製造コストの低廉化が図られる。
【0030】
本発明は、2液以上を混合してなる塗布液全般に適用可能であり、該塗布液の乳化能や安定性の高低(成分の析出し易さ)を問わず、優れた塗布性を発揮し得るものであるが、特に、乳化能の低い塗布液に有効である。即ち、本発明において、「被塗布物に塗布液を塗布する直前に、複数種の流体を混合(乳化)して該塗布液を調製する」ことによる前述した作用効果は、特に、乳化能の低い塗布液を使用する場合に有効である。具体的には、本発明は、複数種の流体を混合(乳化)して得られる、塗布液を使用する場合に特に有効であり、前述した、電解質水溶液とメントール油剤とを混合して得られる塗布液がその代表例である。本発明は、特に、親水性の異なる複数種の流体を混合することが難しい場合に有効である。
【0031】
また、本発明においては、主として塗布液の被塗布物への浸透性を高めて浸透時間を短縮する観点から、ノズルの配列を工夫しており、図2及び図3に示すように、複数のノズル65は、1枚の枚葉の被塗布物10の複数箇所に塗布液を塗布可能に配列されている。尚、図1では、複数の枚葉の被塗布物10のMDに延びる列が2列あり、各列に対応したノズル65の群を記載しているのに対し、図3では、そのうちの一方の列に対応したノズル65の群のみを記載しているが、図3に記載していない他方の列に対応したノズル65の群も、図3に示したノズル65の群と同様に構成されている。
【0032】
本実施形態においては、1枚の枚葉の被塗布物10の異なる4箇所に略同時に塗布液を塗布する工程を、2回実施する。図3中、符合65Aで示したノズル65の群が、1回目の塗布を実施し、符合65Bで示したノズル65の群が、2回目の塗布を実施する。1回目と2回目とで、塗布液を塗布する箇所は同じである。
【0033】
ノズル群65A,65Bは、それぞれ、4本のノズル65から構成されており、1枚の枚葉の被塗布物10に対して合計8本のノズルが対応する。これら複数(8本)のノズル65は、図3に示すように、所定の一方向に少なくとも2列に配列されると共に該2列に属するノズル65どうしが該一方向に関して部分的に重なるようにずれて、千鳥状に配列されている。また、ノズル群65A,65Bそれぞれにおいて、複数(4本)のノズル65の配列は、複数(2本)のノズル65がY方向(CD)に列をなすように配列され且つこのY方向に延びるノズルの列が、X2方向(MD)に所定間隔を置いて配置され且つMDに互いに隣接する2つのノズルの列において、各ノズル65がMDに隣接しないように形成されており、いわゆる千鳥状である。
【0034】
また、各ノズル65は、図3に示すように、被塗布物10に設けられた切り込み11に対して塗布液を吐出可能に配列されている。尚、図3の符合11で示した点線は、被塗布物10に設けられた切り込みの位置を示したもので、図3における該点線は、実際の切り込みの形態とは無関係である。このように、複数のノズルを、被塗布物の切り込みに対して塗布液を塗布(吐出)可能に配列することで、塗布液の被塗布物への浸透性が高められ、また、被塗布物上に塗布された塗布液が該被塗布物からこぼれる不都合が回避される。
【0035】
本実施形態においては、図1及び図2に示すように、MDに所定間隔を置いて配置された複数の枚葉の被塗布物10それぞれに対して複数のノズル65から塗布液を吐出し、少なくともMDに隣接する2枚の被塗布物10,10間に対しては塗布液を吐出しないため、塗布液はノズル65から間欠的に吐出されることになる。このような塗布液の間欠塗布においては、特にノズルからの塗布液の垂れ落ちが懸念される。ノズルからの塗布液の垂れ落ちは、機械汚染の原因となる他、被塗布物における、塗布を予定していない箇所に塗布液が垂れ落ちた場合には、例えばシール不良など、製品の品質低下を招くおそれがある。
【0036】
このような、ノズルからの塗布液の垂れ落ちを防止する観点から、塗布液を塗布(吐出)するノズルとしては、塗布液の吐出口が格子状に区画されているものが好ましい。本実施形態における複数のノズル65は、それぞれ、図4に示すように、塗布液の吐出口65a(被塗布物10と対向する吐出口)のみならず、その内部全体が格子状に区画されている、いわゆるハニカム構造のノズルであり、塗布液の流れ方向に貫通する多数の流路66を格子状に備えている。このようなハニカム構造のノズルは、液切れが良く、塗布液の垂れ落ち防止に有効である。
【0037】
尚、本発明者らの知見によれば、少なくとも塗布液の吐出口が格子状に区画されていれば、塗布液の垂れ落ち防止に有効であり、図4に示す如きハニカム構造のノズルのみならず、例えば、通常のノズル(流路が1つだけのノズル)の吐出口を、多数の貫通孔を有す板状あるいはシート状部材(例えば網)で被覆したものも、本発明で好適に用いられる。
【0038】
以上の構成を有する塗布装置50を用いた塗布方法(発熱体20あるいは発熱シート30の製造方法)について説明する。先ず、公知の湿式抄造法により別途製造した2枚の帯状の被塗布物10´,10´を、図1に示すように、互いに平行にして図中符合X1で示す方向(MD)に走行させ、切り込み形成手段51で各被塗布物10´に切り込み11を設けた後、カッターロール52で帯状の各被塗布物10を所定長さに切断して、複数の枚葉の被塗布物10を得る。
【0039】
切り込み11が設けられた複数の枚葉の被塗布物10は、図2に示すように、搬送ベルト53によって帯状の被塗布物10´の走行方向X1とは逆方向X2(MD)に搬送中の、帯状の通気性シート31上に、該方向X2に所定間隔を置いて列をなすように配置され、通気性シート31と共に、複数のノズル65の下方へ搬送される。
【0040】
一方、塗布ユニット60では、前述したように、貯槽61A内の電解質溶液と貯槽61B内のメントール油剤とが、ポンプ62A,62Bによって塗布液調製手段63(スタティックミキサー)内に供給・混合(乳化)されて塗布液とされる。該塗布液は、バッファタンク64内に速やかに供給されてそこで一時的に貯留された後、複数のノズル65それぞれに速やかに分配され、被塗布物10に向けて吐出される。
【0041】
複数のノズル65による塗布液の被塗布物10への吐出は、前述したように、ノズル群65A,65Bによって2回に分けて実施される。即ち、1枚の被塗布物10に対し、先ず、上流側のノズル群65Aを構成する4本のノズル65それぞれから略同時に塗布液が吐出され、これにより、被塗布物10に設けられた4本の切り込み11それぞれに略同時に塗布液が塗布される。次いで、下流側のノズル群65Bを構成する4本のノズル65それぞれから略同時に塗布液が吐出され、これにより、先にノズル群65Aによって塗布液が塗布された箇所に重ねて、同じ組成の塗布液が塗布される。ノズル65における塗布液の吐出/非吐出は、ポンプ62A,62B(プランジャー型定量ポンプ)によって制御することができる。こうして、2回に亘って塗布液が塗布された枚葉の被塗布物10は、発熱体20となる。尚、必要に応じ、ノズル群65A,65Bによる塗布液の塗布前に、電解質水溶液のみを被塗布物10に塗布しても良い。
【0042】
こうして得られた発熱体20は、包装ユニット70によって包装され、発熱シート30とされる。包装ユニット70では、先ず、発熱体20の塗布液塗布面上に帯状の通気性シート32を供給して、通気性シート31、発熱体20及び通気性シート32を順次積層してなる積層体を得、次いで、この積層体を、一対の加熱ロール71間を通過させ、該積層体における、発熱体20の周縁から延出した両シート31,32の延出部をヒートシールする。更に、カッターロール72で、ヒートシールされた積層体を所定長さに切断することで、目的とする発熱シート30が得られる。
【0043】
本実施形態で用いる各種材について説明すると、被塗布物10(10´)としては、被酸化性金属及び繊維を含有するシート状物を用いることができる。前記被酸化性金属としては、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、銅等が挙げられ、また、前記繊維状物としては、例えば、木材パルプや各種合成繊維等が挙げられる。被塗布物10には、必要に応じ、更に、保水剤(例えば、バーミキュライト、ケイ酸カルシウム、シリカゲル、シリカ系多孔質物質、アルミナ、パルプ、木紛、吸水ポリマー等)、反応促進剤(例えば、活性炭、カーボンブラック、黒鉛等)等を含有させることができる。
【0044】
また、被塗布物10(10´)の形態としては、例えば、湿式抄造により得られたシート状物や、発熱粉体を紙等で挟持してなる積層体等が挙げられる。そのような被塗布物としては、例えば本出願人の先の出願に係る特開2003−102761号公報に記載の湿式抄造法や、ダイコーターを用いたエクストルージョン法を用いて製造することができる。
【0045】
塗布液の原料となる前記電解質水溶液の電解質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属の塩化物、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩化物等が挙げられる。電解質水溶液における電解質の含有率は、好ましくは3〜10質量%である。
【0046】
また、塗布液の原料となる前記メントール油剤において、メントールを分散又は溶解させる溶剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エステル油、ヒマシ油、アルコール等が挙げられる。メントール油剤におけるメントールの含有率は、好ましくは10〜50質量%である。
【0047】
前記メントール油剤には、必要に応じ、メントールの溶解助剤として界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、公知のものを特に制限無く用いることができ、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。メントール油剤における界面活性剤の含有率は、好ましくは2〜50質量%である。
【0048】
塗布液の粘度は、好ましくは1〜100cP、更に好ましくは1〜10cPである。塗布液の粘度は、例えば前記界面活性剤を用いる場合には、該界面活性剤の種類や配合比等によって制御可能であり、例えば、界面活性剤の含有量を増やすことで塗布液を増粘することができる。塗布液の粘度は、JIS K7117−1又はJIS K7117−2に記載の回転粘度計や、JIS Z8803に記載の各種測定方法等により測定される。
【0049】
本実施形態の塗布装置50及びこれを用いた塗布方法は、主として下記1)〜5)の構成を具備していることにより、高い塗布性を発揮し、乳化能が低く安定性に乏しい(成分が析出し易い)塗布液であっても、塗布液の被塗布物上での跳ねやこぼれ、ノズルからの塗布液の垂れ落ちの発生を抑制し、塗布液を被塗布物の所定箇所に高精度で塗布し、比較的短時間で該被塗布物に浸透させることができる。従って、本実施形態によれば、高品質の製品(発熱体20、発熱シート30)が安定的に提供される。
【0050】
1)塗布液の塗布前に被塗布物10(10´)に切り込み11を設ける。
2)複数種の流体を混合(乳化)してなる塗布液を使用するに当たり、各流体を別々に被塗布物10に塗布するのではなく、これらを混合(乳化)させた状態で、被塗布物10に塗布する。
3)塗布液の塗布直前に複数種の流体を混合して該塗布液を調製する。
4)複数のノズル65が、枚葉の被塗布物10の複数箇所に塗布液を同時に塗布可能に配列されている。
5)ノズル65がハニカム構造であり、塗布液の吐出口65aが格子状に区画されている。
【0051】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、前記実施形態では、枚葉の被塗布物10に塗布液を塗布していたが、帯状の被塗布物10´に塗布液を塗布しても良い。また、被塗布物10に設ける切り込み11の形態や本数や位置、ノズル65の数や配列は、適宜変更可能である。
【0052】
また、塗布ユニット60において、バッファタンク64は無くても良い。また、前記実施形態では、塗布ユニット60における塗布液の調製(2液の混合)と該塗布液のノズル65からの吐出とは、連続した1つの工程であり、塗布液の調製と吐出とは略同時に実施されていたが、これに代えて、調製された塗布液を任意のタイミングで吐出するようにしても良い。例えば、静止型流体混合装置63(スタティックミキサー)とバッファタンク64との間にポンプを設ける等して、塗布液のノズル65への供給を制御可能にすることにより、塗布液を任意のタイミングでノズル65から吐出することが可能となる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲は斯かる実施例に制限されるものではない。
【0054】
〔実施例1〕
前述した塗布装置50(図1〜図4参照)と基本構成が同じである、非接触式の塗布装置を用いて、前記実施形態と同様の塗布形態で被塗布物に塗布液を塗布した。被塗布物として、同一組成同一形状の湿式抄造体を3枚重ねて一体としたものを用いた。この被塗布物は、空気との接触により発熱可能な発熱体の中間体である。該湿式抄造体は、鉄粉83質量%、パルプ8質量%及びカーボン9質量%を含有し、坪量450g/m2、寸法49mm×49mmの矩形形状であった。塗布液の塗布前に、被塗布物の表面(被塗布面)に、該被塗布物のMDの全長に亘って延びる直線状で且つ該被塗布物を厚み方向に貫通する切り込みを、CDに一定間隔を置いて7本設けた。被塗布物に対する塗布液の総塗布量は
412.3g/m2であった。
【0055】
前記塗布液は、互いに親水性の異なる電解質水溶液とメントール油剤との2種の流体を、前記塗布装置におけるスタティックミキサー内で混合して調製した。電解質水溶液として、塩化ナトリウムの5質量%水溶液を用い、メントール油剤として、下記組成のメントール油剤1を用いた。前記塗布液を調製する際の電解質水溶液とメントール油剤1との混合質量比(前者:後者)は35:65、前記塗布液の粘度は1cPであった。
メントール油剤1の組成:メントール(高砂香料工業(株)製)26.5質量%、ポリエチレングリコール(三洋化成工業(株)製)40.1質量%、界面活性剤:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(花王(株)製)33.4質量%。
【0056】
〔実施例2〕
メントール油剤として、前記メントール油剤1に代えて、下記メントール油剤2を用いた以外は実施例1と同様にして被塗布物に塗布液を塗布した。実施例2の電解質水溶液とメントール油剤1との混合質量比(前者:後者)は13:87、塗布液の粘度は、70.6cP(液温25℃:常温では結晶析出)であった。
メントール油剤2の組成:メントール(高砂香料工業(株)製)20質量%、ポリエチレングリコール(三洋化成工業(株)製)80質量%。
【0057】
〔比較例1〕
被塗布物に切り込みを設けなかった以外は実施例1と同様にして被塗布物に塗布液を塗布した。
【0058】
〔比較例2〕
実施例1で用いた塗布装置の塗布ユニットを一部改造して、メントール油剤と電解質水溶液とを混合せずに、この順で被塗布物に対して順次吐出・塗布するようにし、且つ被塗布物に切り込みを設けなかった。即ち、切り込みが設けられていない被塗布物に、界面活性剤が含有されていないメントール油剤(前記メントール油剤2)を吐出後、速やかに(メントール油剤の塗布から1秒以内に)メントール油剤が塗布された部分に重ねて電解質水溶液を吐出した。被塗布物に対するメントール油剤及び電解質水溶液の合計塗布量を、実施例1における塗布液の総塗布量と同じにした。以上の点以外は実施例1と同様にして被塗布物に塗布液を塗布した。
【0059】
〔評価〕
実施例及び比較例について、下記方法により塗布液(電解質水溶液、メントール油剤)の浸透時間を評価した。その結果を下記表1に示す。
【0060】
<塗布液の浸透時間の評価方法>
塗布液が被塗布物と接触してから完全に浸透するまでの時間を計測し、その時間を塗布液の浸透時間とした。塗布液が被塗布物に完全に浸透したか否かは、被塗布物の被塗布面の目視観察において、被塗布面に塗布された塗布液の光の反射による光沢が消失したか否かによって判断し、該光沢が消失した時点で、塗布液が被塗布物に完全に浸透したとみなす。また、塗布液の原料となる2液をそれぞれ単独で塗布した、比較例2については、2番目に塗布された液(電解質水溶液)が被塗布物と接触してから完全に浸透するまでの時間を、塗布液の浸透時間とした。この評価方法においては、浸透時間が短いほど、塗布液の浸透性が高く、高評価となる。
【0061】
【表1】

【0062】
表1に示す結果から明らかなように、メントール油剤と電解質水溶液とを混合して塗布した実施例1及び2並びに比較例1は、これら2液を混合せずにそれぞれ単独で塗布した比較例2に比して、浸透時間が短い。また、実施例1と比較例1との対比から明らかなように、塗布液の塗布前に被塗布物に切り込みを設けることで、塗布液の浸透時間が短縮される。実施例1は、このような2液の混合液の塗布と切り込みの形成とを組み合わせたものであり、他の例に比して最も浸透時間が短いことから、斯かる組み合わせを採用することで、塗布液の被塗布物への浸透性を大きく向上できることがわかる。以上のことから、塗布液の浸透性を高める上で、特に、前記1)及び2)が有効であることがわかる。また、実施例1と実施例2との対比から明らかなように、塗布液に界面活性剤を含有させることが、塗布液の浸透時間の短縮に有効であることがわかる。
【符号の説明】
【0063】
10 枚葉の被塗布物
10´帯状の被塗布物
11 切り込み
20 発熱体
30 発熱シート
31,32 通気性シート
50 塗布装置
51 切り込み形成手段
51A,51B 刃溝ロール
52 カッターロール
53 搬送ベルト
60 塗布ユニット
61A,61B 貯槽
62A,62B ポンプ
63 塗布液調製手段
64 バッファタンク
65 ノズル
65a ノズルの吐出口
65A,65B ノズル群
66 流路
70 包装ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗布物に塗布液を塗布する塗布方法であって、
前記塗布液の塗布前に前記被塗布物に切り込みを設ける工程と、
前記塗布液の塗布直前に複数種の流体を混合して該塗布液を調製する工程と、
複数のノズルから前記塗布液を吐出させ、前記切り込みが設けられた前記被塗布物の複数箇所に該塗布液を塗布する工程と、を有し、
複数の前記ノズルは、前記塗布液の吐出口が格子状に区画されている塗布方法。
【請求項2】
複数種の前記流体は、電解質水溶液と、メントールを含有する溶剤との混合液である請求項1記載の塗布方法。
【請求項3】
前記被塗布物は、空気との接触により発熱可能な発熱体の中間体である請求項1又は2記載の塗布方法。
【請求項4】
被塗布物に塗布液を塗布する塗布装置であって、
前記塗布液の塗布前に前記被塗布物に切り込みを設ける切り込み形成手段と、
前記塗布液の塗布直前に複数種の流体を混合して該塗布液を調製する塗布液調製手段と、
前記切り込みが設けられた前記被塗布物に前記塗布液を吐出する複数のノズルと、を備え、
複数の前記ノズルは、前記被塗布物の複数箇所に前記塗布液を塗布可能に配列され且つ少なくとも該塗布液の吐出口が格子状に区画されている塗布装置。
【請求項5】
前記塗布液調製手段が静止型流体混合装置であり、該静止型流体混合装置と複数の前記ノズルとの間に、該静止型流体混合装置から流入した前記塗布液を一時的に貯留し、各該ノズルに分配するバッファタンクが設けられている請求項4記載の塗布装置。
【請求項6】
複数の前記ノズルは、所定の一方向に少なくとも2列に配列されると共に該2列に属するノズルどうしが該一方向に関して部分的に重なるようにずれて、千鳥状に配列されている請求項4又は5記載の塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−136269(P2011−136269A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297034(P2009−297034)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】