説明

変位センサ

【課題】計測や感度調整の精度を保証しながら、対象物の種類や計測目的に応じて受光処理の内容を容易に変更する。
【解決手段】受光部1にCMOSリニアイメージセンサ100が導入された変位センサにおいて、CPU3は、リセット信号RSETによりCMOSリニアイメージセンサ100の各画素部の蓄積電荷をリセットした後に、投光制御信号LDONを出力し、ついで受光制御信号PDSWを出力して各画素部に電荷の蓄積を開始させる。また、投光制御信号LDONの出力を終了するより前に受光制御信号PDSWの出力を終了し、読出制御信号STを用いて画像の出力を指示する。また、CPU3は、投光制御信号LDONとの出力の関係を維持することを条件として、CMOSリニアイメージセンサ100から出力された画像中のピークの値に基づき、受光制御信号PDSWを出力する期間の長さを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CMOSリニアイメージセンサを用いて変位量の計測を行う変位センサに関する。
【背景技術】
【0002】
三角測距の原理を用いた変位センサでは、レーザダイオード等の発光素子を含む投光部から光を出射すると共に、この光に対する対象物からの反射光を撮像素子を含む受光部により受光し、撮像素子により生成された画像中のピークの位置に基づいて変位量(センサからの距離)を求める。
【0003】
上記の受光部に適した撮像素子の1つとして、全ての画素部における電荷の蓄積や放出が同時に実施されるように構成されたCMOSリニアイメージセンサがある。
たとえば非特許文献1には、外部からクロック信号とスタートパルス信号とを入力し、スタートパルス信号の立ち上がりからのクロック数に基づいて、電荷の蓄積の開始および終了や、画像データの読み出しのタイミングをコントロールすることが記載されている。
【0004】
また、特許文献1には、各画素部のフォトダイオードと電荷を蓄積するコンデンサとの間にトランジスタによるスイッチ部を設け、このスイッチ部を各画素部に共通のグローバルシャッタ信号によりオン・オフ制御することにより、全ての画素部における電荷の蓄積の開始や停止がほぼ同時に実施されるように構成されたイメージセンサを、変位センサに導入することが記載されている。
【0005】
つぎに、従来の変位センサでは、反射光の異なる様々な対象物に対応するために、受光量の変動に応じて検出感度を調整することが提案されている。たとえば特許文献2には、画像中に現れた受光量のピーク値について、あらかじめ定めた最適値に対する比率を求め、この比率に基づいて増幅回路のゲイン、投光部の発光時間や発光強度、受光部のシャッタ時間(電荷蓄積時間)を調整することが記載されている。
【0006】
また、先にあげた特許文献1には、各画素部にコンパレータを組み込んで蓄積電荷を所定の基準電圧と比較し、いずれかの画素部における蓄積電荷が基準電圧に達したときに各画素の電荷の蓄積を停止させることによって、受光量の飽和を回避することが記載されている。
【0007】
このほか、別の観点による先行技術文献として、特許文献3には、透光性を有する面とその背後の面(たとえばガラスの表面と裏面)とを個別に計測するために、感度を調整しながら投光処理および受光処理を複数サイクル実施して、各面の計測に適した画像を取得することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−326340号公報
【特許文献2】特開2001−280951号公報
【特許文献3】特開2006−292731号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「CMOSリニアイメージセンサ S9227」カタログ[online]、浜松ホトニクス株式会社発行、インターネット、[平成22年9月24日検索]、<http://jp.hamamatsu.com/resources/products/ssd/pdf/s9227_kmpd1074j03.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
非特許文献1に記載されたCMOSリニアイメージセンサでは、電荷の蓄積時間を表すクロック数が11クロック以上に設定されているため、電荷の蓄積時間を最小のクロック数による時間より短くすることができず、反射率が高い対象物に対する感度調整が困難になるおそれがある。
【0011】
特許文献1に記載された変位センサによれば、受光量が飽和する前に電荷の蓄積を停止することができるが、この変位センサでは、各画素部に蓄積電荷をチェックするための回路(コンパレータなど)を設けているので、構成が複雑でコスト高となる。
【0012】
また、特許文献1に記載された発明では、画素部の蓄積電荷が基準電圧に達したことを撮像部の内部で検出して電荷の蓄積を停止させているが、電荷の蓄積期間を正確に把握することができず、最適感度となるようにゲインや蓄積時間などを撮像部の外部からコントロールすることはできない。このため、ユーザが求める処理時間や計測対象物に応じて撮像動作を定義することができず、利便性に欠ける。また、投光部の投光が開始された直後や終了された直後には強度が不安定な光が照射される可能性があるが、引用文献1に記載された構成では、このような不安定な信号成分による反射光の受光を回避する手段は設けられていない。
【0013】
特許文献3に記載された発明では、計測対象の全ての面につき計測に適した受光量が得られるまで投光および受光を繰り返す必要がある。このため、各面に対する計測値が得られるまでの時間が長くなり、処理を高速にするのが困難である。
【0014】
本発明は上記の問題点に着目し、計測や感度調整の精度を保証しながら、対象物の種類や計測目的に応じて受光処理の内容を容易に変更できるようにすることを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による変位センサは、受光素子と電荷蓄積部とを有する画素部を複数具備し、各画素部の電荷蓄積部に蓄積された電荷による画像が受光素子の配列に沿う順序で出力されるCMOSリニアイメージセンサを含む受光部と、検出用の光を発する投光部と、投光部および受光部の動作およびCMOSリニアイメージセンサからの画像の出力を制御しながら、CMOSリニアイメージセンサから出力された画像を用いて対象物の変位を計測する制御処理部とを具備する。
【0016】
本発明のCMOSリニアイメージセンサでは、各画素部の受光素子と電荷蓄積部とがスイッチ部を介して接続されると共に、このスイッチ部を導通させるための受光制御信号、画像の出力を指示する読出制御信号、および各画素部の電荷蓄積部に蓄積された電荷をリセットするためのリセット信号の各信号の入力端子を備える。また、制御処理部は、CMOSリニアイメージセンサの各入力端子に接続されてそれぞれの端子に対応する信号を出力するように構成されると共に、リセット信号により各画素部の電荷蓄積部がリセットされている状態下において、投光部の投光開始より遅れて受光制御信号の出力を開始して各画素部の電荷蓄積部に電荷を蓄積させる受光制御手段と、投光部の投光期間より早く終了することを条件に受光制御信号を出力する期間の長さを可変設定する設定手段とを具備する。
【0017】
上記の構成によれば、電荷蓄積部における電荷の蓄積処理、および各電荷蓄積部に蓄積された電荷による画像を出力する処理、ならびに電荷蓄積部のリセット処理を、それぞれ個別の制御信号により独立して制御することができるので、CMOSリニアイメージセンサの動作内容の変更にかかる自由度が高められる。たとえば、上記3つの処理を順に実施してもよいし、電荷の蓄積処理と一段階前に蓄積された電荷による画像を出力する処理とを並列で実施してもよい。
【0018】
さらに、CMOSリニアイメージセンサから出力された受光量のピークが飽和したり、反対に適正な振幅より低くなっている場合には、受光制御信号を出力する期間の長さを調整することによって、受光量のピークの強度を速やかに適切にすることができる。よって、感度の調整が容易になる。
【0019】
また各画素部の電荷蓄積部がリセットされている状態下で、投光部の投光が開始された後に電荷の蓄積を開始し、その蓄積処理を投光が終了する前に終了するので、安定した強度の光が投光されている間の反射光を受光することができる。これにより、反射光の受光状態を適切に示した画像を得ることができ、計測や感度の調整の精度を確保することが可能になる。
【0020】
本発明の好ましい実施態様による変位センサは、受光制御信号の出力に対する読出制御信号の出力の回数および各出力のタイミングを可変設定する第2の設定手段と、受光制御信号の出力に対して設定された読出制御信号の出力がすべて終了した後にリセット信号を出力するリセット手段をさらに具備する。また、第2の設定手段は、受光制御信号の出力に対して読出制御信号を複数回出力する場合には、これら複数回のうちの最後の出力を除く各出力が受光制御信号が出力されている期間内に実施されるように各出力のタイミングを設定する。
【0021】
上記の構成によれば、計測の目的や対象物の種類に応じて、1回分の電荷の蓄積に対する画像の出力回数やタイミングを変更することが可能になる。特に、画像の出力を複数回行う場合には、2回目以降の出力では、前回出力された画像が示す受光量にその後に受光した光量を重畳したレベルを示す画像が出力される。したがって、透光性を有する面とその背後の面とを個別に計測する場合には、投光の期間および受光制御信号を出力する期間をやや長めにして、計測対象の面の数に対応する回数分の読出制御信号を出力することにより、1サイクル分の投光および受光により各面の計測に適した画像データを得ることが可能になる。よって、特許文献3に記載された発明よりも短い時間で目的とする計測を実施することが可能になる。
【0022】
上記変位センサの他の好ましい実施態様では、CMOSリニアイメージセンサは、複数の画素部のいずれかの位置を表すアドレスデータを入力するための入力端子を備えると共に、この入力端子から入力されたアドレスデータに対応する画素部に蓄積された電荷による画像を先頭の画素とする画像を出力する。また、制御処理部は、CMOSリニアイメージセンサのアドレスデータの入力端子にいずれかの画素部のアドレスデータを出力することによって、CMOSリニアイメージセンサにおける画像の出力範囲を可変設定する。
【0023】
CMOSリニアイメージセンサを用いた従来の変位センサには、処理を高速にするために画像の読み出し範囲を限定することができるものがあるが、常に1番若いアドレスの画素部により生成された画像が先頭の画素となるため、読み出し範囲を限定する場合に計測ができる範囲に偏りが生じたり、ユーザが計測したい範囲を中心部にした画像を生成するのが困難であった。
【0024】
上記の実施態様はこれらの問題を解消することを課題とするもので、制御処理部からCMOSリニアイメージセンサに、画像の読み出しの開始位置を表すアドレスデータを出力することにより、先頭画素の位置や読み出される画像のサイズを自由に変更することができる。また処理時間を短縮することができる。
さらに、ユーザが計測したい範囲が安定して含まれるように読出の範囲を定めて、この範囲の先頭に対応する画素部のアドレスデータをCMOSリニアイメージセンサに出力することによって、受光量のピークを安定して検出可能な画像を生成することができる。
【0025】
他の実施形態による変位センサでは、CMOSリニアイメージセンサは、画素単位の画像の読み出しのタイミングを定めるクロック信号の入力端子を備えると共に、受光素子の配列の後尾を構成する所定数の受光素子が遮光されている。また制御処理部は、読出制御信号の出力後にクロック信号の出力を続けることによってCMOSリニアイメージセンサの各画素部により生成された画像(画素単位の画像)を順に読み出すと共に、受光素子が遮光されている画素部により生成された画像が読み出されている間にクロック信号の出力を停止する。
【0026】
CMOSリニアイメージセンサから出力される画像は、通常は、増幅されてから計測処理に使用されるが、画素単位の画像の読み出しのタイミングを定めるクロック信号が画素の読み出しが終了した後も出力され続けると、いわゆる空打ち状態となって受光量の最小レベルより低いレベルの信号が出力される。この結果、CMOSリニアイメージセンサからの画像の増幅の基準となる基準電位が変動し、受光量のピークを適切に増幅できなくなるおそれがある。
【0027】
上記の実施態様は、この問題を解消することを課題とするもので、受光素子の配列の後尾を構成する所定数の受光素子を遮光し、これらの受光素子による画素部が生成した画像が読み出されている間にクロック信号の出力を停止することにより、CMOSリニアイメージセンサから出力される信号の基準電位を、最小の受光量を示すレベルに維持することができる。よって、受光量のピークを安定して増幅することが可能になる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、各画素部の電荷蓄積部における蓄積処理のタイミングや蓄積期間の長さを受光制御信号により容易に制御することができ、また常に安定した強度の反射光を受光し、計測や感度調整の精度を確保することができる。また、画像の読み出しを行うタイミングと電荷を蓄積する期間とが、それぞれ独立の制御信号により制御されるので、計測の目的に応じて、CMOSリニアイメージセンサの動作内容を容易に変更することができ、利便性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明が適用される変位センサの外観を示す斜視図である。
【図2】変位センサの電気構成を示すブロック図である。
【図3】CMOSリニアイメージセンサの回路構成を模式的に示す図である。
【図4】投光部および受光部に対する制御手順を示すタイミングチャートである。
【図5】投光される光の不安定な強度変化の影響を除外するための原理を説明するタイミングチャートである。
【図6】バイアス信号およびクロック信号の関係をリセット信号の切り替えのタイミングに対応づけて示すタイミングチャートである。
【図7】複数の面を計測する場合の制御手順を示すタイミングチャートである。
【図8】画像の読み出し範囲を変更した例を説明する図である。
【図9】CMOSリニアイメージセンサから出力される基準電位が空打ちにより変動している例とこの問題を解決した例とを対比して示した図である。
【図10】フォトダイオードの配列に対するマスクの範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明が適用される変位センサの外観および使用状態を示す。
この実施例の変位センサSは、検出対象のワークWに対してレーザビームL1を投光すると共にこのレーザビームL1に対するワークWからの反射光L2を受光し、三角測距の原理に基づき、センサからワークWまでの距離を変位量として計測するものである。
【0031】
センサSの筐体内には、図2に示すように、受光部1,投光部2,CPU3,メモリ4,入出力インターフェース5などが組み込まれる。
投光部2には、発光素子としてレーザダイオード(LD)20が導入され、さらに投光制御回路21や図示しない投光用のレンズなどが設けられる。受光部1は、CMOSリニアイメージセンサ100,可変ゲインアンプ101,A/D変換回路102,および図示しない受光用のレンズなどにより構成される。
【0032】
CPU3は、メモリ4に格納されたプログラムに基づき、投光部2および受光部1の動作を制御しつつ、受光部1から出力された画像データを入力して変位量の計測を実施する。投光部2に対しては、投光制御信号LDONによって投光のタイミングおよび投光時間を制御する。受光部1のCMOSリニアイメージセンサ100に対しては、受光制御信号PDSW,読出制御信号ST,リセット信号RESET,クロック信号CLKの4種類の信号を用いて、各画素部による受光動作や画像の出力を制御する。
【0033】
CMOSリニアイメージセンサ100から出力された画像は可変ゲインアンプ101により増幅された後、A/D変換回路102によりディジタル変換され、CPU3に入力される。CPU3は、入力された画像から受光量のピークを検出し、そのピークの座標からワークWの変位量(変位センサ1からワークWまでの距離)を導出する。なお、CPU3は、必要に応じて可変ゲインアンプ101の増幅率を調整することができる。
【0034】
入出力インターフェース5は図示しない外部機器に接続されて、外部機器から入力された設定データをCPU3に伝送し、また、CPU3から出力された計測結果データを外部機器に出力する。
【0035】
図3は、CMOSリニアイメージセンサ100内の回路構成を示す。
この実施例のCMOSリニアイメージセンサ100は、複数の画素部10、画素部10毎に設けられた複数のホールド回路15、出力用のアンプ16などを有する。各画素部10は、それぞれスイッチ部S1を介して対応するホールド回路15に接続される。各ホールド回路15は、スイッチ部S2を介してアンプ16に接続される。
【0036】
各画素部10は、フォトダイオード11および電荷蓄積部12、ならびに両者を接続するスイッチ部Saなどにより構成される。各画素部10のフォトダイオード11は、CMOSリニアイメージセンサ100の前面の窓部(図示せず。)に、一列に並んだ状態で配備される。
電荷蓄積部12には、コンデンサ13、アンプ14、およびコンデンサ13の充電・放電を切り替えるためのスイッチ部Sbが含まれる。
【0037】
各スイッチ部Sa,Sb,S1,S2の実体は、MOS型トランジスタである。フォトダイオード11と電荷蓄積部12との間のスイッチ部Saは受光制御信号PDSWにより一斉に導通し、これによりフォトダイオード11から出力された電荷が電荷蓄積部12に導かれる。
【0038】
スイッチ部Sbは、リセット信号RESETがローレベルの間はオフ状態となり、この間に、電荷蓄積部12のコンデンサ13に電荷を蓄積することができる。リセット信号RESETがローレベルからハイレベルに切り替えらると、スイッチ部Sbが導通するためコンデンサ13は放電し、蓄積された電荷はリセットされる。
【0039】
画素部10とホールド回路15との間のスイッチ部S1は、読出制御信号STに応じて発生した内部信号により一斉に導通する。スイッチ部S1の導通により、各電荷蓄積部12のコンデンサ13に蓄積された電荷が対応するホールド回路15に伝えられ、保持される。これにより、各画素部10において受光に伴い蓄積された電荷、言い替えると受光量信号が各ホールド回路15に転送されたことになる。この転送が終了すると、クロック信号CLKに応じて各ホールド回路15とアンプ16とを接続するスイッチ部S2が順に導通し、それぞれのホールド回路15で保持されていた受光量信号がシリアル出力される。
【0040】
図4は、投光部2および受光部1に対する制御の手順を、各種制御信号の2周期分のタイミングチャートにより表したものである。なお、この実施例では、クロック信号CLKは常時出力されているが、周期が短いので、図4では図示を省略する。
【0041】
投光制御信号LDONおよび受光制御信号PDSWは、ハイレベルのときが有効(オン状態)となる。読出制御信号STは、通常はハイレベルで、一定の周期で所定時間ローレベルとなるが、ハイレベルからローレベルへの切り替わりが画像データの読出開始のトリガとして機能する。
【0042】
以下、図4中の符号A〜Iを参照して、CPU3により実施される制御の手順を説明する。まず、CPU3は、図4のAからBまでの期間、投光制御信号LDONを立ち上げることにより、投光部2にレーザビームL1を出射させる。また、CPU3は、投光制御信号LDONの立ち上がりに応じて、リセット信号RESETをハイレベルからローレベルに切り替える。この切替により電荷蓄積部10のスイッチ部Sbが開放されて、コンデンサ13は電荷を蓄積できる状態になるが、この時点では、まだフォトダイオード11と電荷接続部12との間のスイッチ部Saが導通していないため、受光量を示す電荷が蓄積されることはない。
【0043】
CPU3は、投光制御信号LDONの立ち上がりから少し遅れて受光制御信号PDSWを立ち上げる(図4のE)。これにより、スイッチ部Saが導通して、フォトダイオード11からその受光量に応じた電荷が電荷蓄積部12に伝送され、コンデンサ13に蓄積される。
【0044】
CPU3は、受光制御信号PDSWを、投光制御信号LDONより先にローレベルに復帰させる(図4のF,B)。これにより受光量を表す電荷はコンデンサ13には伝わらなくなるが、リセット信号RESETのローレベルが維持されているため、それまでにコンデンサ13に蓄積された電荷は保持される。
PDSW,LDONがともにオフ状態になってからしばらくすると、CPU3は、読出制御信号をハイレベルからローレベルに切り替える(図4のG)。この切替に応じてCMOSリニアイメージセンサ100内の各画素部10とホールド回路15とを結ぶスイッチ部S1が導通し、受光量信号がホールド回路15に転送される。転送が終了すると、その後のクロック信号CLKに応じて各ホールド回路15が出力用アンプ16に順に接続され、それぞれのホールド回路15に保持された受光量信号が出力される(図4のI)。
【0045】
読出制御信号STがローレベルに切り替えられ、ホールド回路15に受光量信号を転送するのに必要な時間が経過すると、図4のDに示すように、リセット信号がローレベルからハイレベルに切り替えられる。これにより各電荷蓄積部12のスイッチ部Sbが導通し、コンデンサ13に蓄積された電荷がリセットされる。リセット信号RESETは、次に投光制御信号LDONが立ち上げられるまでハイレベルで維持され(図4のA,C)、この間、スイッチ部Sbの導通状態が維持される。
なお、この例では、画像の出力とほぼ同じタイミングでリセット信号RESETをハイレベルに切り替えているが、これに限定されるものではない。リセット信号RESETのハイレベルへの切り替えは、受光量信号がホールド回路15に転送されてから次に受光制御信号PDSWが立ち上がるまでの間の任意の時点に行うことができる。
【0046】
CPU3は、上記の制御を実行しながら、CMOSリニアイメージセンサ100から出力された画像を処理して受光量のピークを抽出し、そのピークの座標に基づき変位量を導出する。さらに、CPU3は、受光量のピーク値をメモリ4にあらかじめ登録された基準値と比較し、ピーク値と基準値との間に許容値を超える差が生じている場合には、投光制御信号LDONや受光制御信号PDSWの出力期間の長さを変更することによって感度を調整する。この感度調整では、受光量制御信号PDSWの出力を投光制御信号LDONの出力より遅れて開始し、かつ受光量制御信号PDSWの出力を投光制御信号LDONの出力より早く終了する、というルールを維持することを条件とする。その理由を図5を参照して説明する。
【0047】
図5では、図4よりも時間軸(横軸)の倍率を拡大して、クロック信号CLKの変化を示す。また、投光制御信号LDON、リセット信号RESET、受光制御信号PDSWの各信号に、投光部から出射されるレーザビームL1の強度の変化、および電荷蓄積部12に蓄積される電荷の強度の変化を対応づけて示す。
【0048】
図5(1)の例では、図4と同じ手順による制御が実施されている。投光部2からのレーザビームL1は、投光制御信号LDONに従って出射されるが、その強度は制御信号どおりには変化せず、特に立ち上がり時や立ち下がり時の強度の変化は不安定になる。ワークWからの反射光L2の強度もレーザビームL1と同じように変化するので、この実施例では、投光制御信号LDONの出力を開始した後に、レーザビームL1の強度が安定するのに必要な時間をおいて受光制御信号PDSWの出力を開始し、投光制御信号LDONの出力を終了する前に受光制御信号PDSWの出力を終了する。これにより、投光を開始した直後および投光を終了した直後の不安定な信号成分による電荷が蓄積されるのを防止することができる。
【0049】
図5(2)の例は、図5(1)の例と比較するために、受光制御信号PDSWを用いずに、リセット信号RESETとクロック信号CLKのパルス数とにより電荷の蓄積処理を制御した例を示す。この例では、投光制御信号LDONの出力を開始した後に、レーザビームL1の強度が安定するのに必要な時間をおいてリセット信号RESETをハイレベルからローレベルに切り替えることにより、受光量を示す電荷の蓄積を開始する。これにより投光開始直後の不安定な信号成分による電荷が蓄積されるのを回避することができる。しかし、この例ではクロック信号CLKのパルス数によって電荷の蓄積時間を管理しており、投光期間の終了後も電荷の蓄積が行われているので、投光直後の不安定な信号成分による電荷が蓄積されている。この結果、反射光L2の受光強度を適切に示さない受光量信号が生成されるので、変位量の計測や感度の調整の精度が低下するおそれがある。
【0050】
これに対し、図5(1)の例のように、反射光L2を安定した強度で受光できる期間にのみ電荷を蓄積すれば、反射光L2の受光強度を適切に表した受光量信号を生成することができる。よって、変位量の計測や感度の調整を安定して行うことが可能になる。
【0051】
また、上記の制御において、不安定な信号成分の影響を受けないようにするには、投光制御信号LDONのオン期間を十分に長く設定するのが望ましい。このような設定をした場合には、副次的な効果として、計測対象の位置に人が視認することが可能な光を照射することができるので、ユーザは、計測されている位置を容易に把握することが可能になる。
【0052】
つぎに、図5(1)に示すように、この実施例では、リセット信号RESETのハイレベルからローレベルへの切り替えを、クロック信号CLKの立ち上がりと立ち下がりとの中間点付近で実施しているが、この処理も、計測や感度の調整を安定して行うための工夫である。以下、図6を用いて上記の処理の趣旨を説明する。
【0053】
この実施例のCMOSリニアイメージセンサ100には、各ホールド回路15に保持された画素単位での画像を読み出すタイミングをとるために、クロック信号CLKが入力されている。このクロック信号CLKはスイッチ部S1に関係する回路に与えられるため、スイッチ部S1に接続されている電荷蓄積部12のバイアス電圧に影響が及び、図6に示すように、クロック信号CLKの立ち上がり時や立ち下がり時のバイアス電圧を大きく変動させてしまう。
【0054】
電荷蓄積部12のコンデンサ13は、リセット信号RESETがHレベルからLレベルに切り替えたときに電荷を蓄積できる状態となるため、このときの回路内のバイアス電圧による電荷が初期電荷としてコンデンサ13に取り込まれる。このため、クロック信号CLKの立ち上がり又は立ち下がりに同期するタイミングでリセット信号RESETを切り替えると、クロック信号CLKによるノイズ成分がコンデンサ13の初期電荷に設定され、受光量信号の波形に大きな影響を及ぼすおそれがある。
【0055】
そこでこの実施例では、クロック信号CLKの立ち上がりと立ち下がりとの中間点付近でリセット信号RESETを切り替えることにより、バイアス電圧の変動が収まってからコンデンサ13を起動させるようにしている。このようにすれば、コンデンサ13の初期電荷を小さな値にすることができるので、受光量信号の波形に及ぼす影響も小さくなり、受光量のピークを問題なく検出することが可能になる。
【0056】
図4および図5(1)に示した制御の利点をまとめると、受光制御信号PDSWという単一の制御信号によって、各画素部10における電荷の蓄積開始のタイミングおよび蓄積期間の長さを統括して制御することができる。また、受光制御信号PDSWを出力する期間の長さを調整することによって、反射率が異なる様々なワークに対し、受光量のピークが適切な値で現れた画像データを得ることが可能になる。
【0057】
また、この実施例の変位センサでは、投光処理および受光処理を実施しながら、毎回の受光量のピークの値が適切な範囲になるように感度を調整するが、この調整も受光制御信号PDSWの出力期間の長さを調整する処理によって容易に行うことができる。
たとえば、反射率が高いワークに対象が切り替えられて受光量が飽和した場合には、受光制御信号PDSWの出力期間を短縮することによって、受光量の飽和状態を速やかに解消することができる。反射率が低いワークに対象が切り替えられて受光量のピークが微小になった場合にも、受光制御信号PDSWの出力期間を延ばすことによって、受光量のピークのレベルを上げることができる。また、受光制御信号PDSWの出力期間を調整するだけでは足りない場合には、投光制御信号LDONの出力期間を延ばし、これに応じて受光制御信号PDSWの出力期間をより長くすることもできる。このようにして、ワークWの反射率に応じた感度調整を容易に行うことができる。
【0058】
さらに、この実施例では、各画素部10に電荷を蓄積させる処理と、蓄積された電荷による画像を読み出す処理と、蓄積された電荷をリセットする処理とを、それぞれ個別の制御信号によりコントロールしているので、電荷の蓄積処理に対する画像の読出の時期を自由に変更することができる。よって、たとえば、移動するワークWの変位量を密な間隔で計測することが求められる場合には、電荷の蓄積処理を実施しながら、一段階前に蓄積されてホールド回路15に転送された電荷による画像を読み出すことにより、1サイクル分の計測に要する時間を短縮することができ、上記の要望に応えることができる。
【0059】
さらに、受光制御信号PDSWの出力に対する読出制御信号STの出力回数および出力のタイミングを可変設定することにより、1回分の電荷の蓄積処理に対して複数回の画像の読出を行うこともできる。この機能によれば、透光性を有する面とその背後にある面との変位量を計測する場合には、つぎの図7に示すような制御を実施することができる。
【0060】
図7の実施例では、投光制御信号LDONおよび受光制御信号PDSWの出力期間の長さを図4の実施例よりも長く設定している。ただし、受光制御信号PDSWの出力の開始を投光制御信号LDONの出力の開始よりも遅くし(図7のa,e)、受光制御信号PDSWの出力の終了を投光制御信号LDONの出力の終了より早くする(図7のb,f)点は、先の実施例と同様である。
【0061】
さらに、この実施例では、読出制御信号STをローレベルにする期間を、受光制御信号PDSWが出力されている間に2回設定し(図7のg1−h1,g2−h2)、受光制御信号PDSWの出力が終了した後にも、読出制御信号STをローレベルにする期間を1回設定する(図7のg3−h3)。また、リセット信号RESETに関しては、読出制御信号LDONの出力の開始とほぼ同時にリセット信号RESETをハイレベルからローレベルに切り替え(図7のa,c)、読出制御信号STの最後のローレベルへの切り替え(図7のg3)が生じるまでリセット信号RESETのローレベルを維持し、しかる後にリセット信号RESETをハイレベルに復帰させる(図7のd)。
【0062】
各画素部10の電荷蓄積部12に蓄積されている電荷は、読出制御信号STがハイレベルからローレベルに切り替えられる都度、ホールド回路15に転送され、転送された電荷による画像が出力される(図7のi1,i2,i3)。1回目および2回目の転送の際には、リセット信号RESETがローレベルで維持されているため、電荷蓄積部12の蓄積電荷は保持される。よって、2回目および3回目の受光量信号の転送では、前回転送された受光量信号にその後の受光量が重畳された信号が転送される。これにより、出力される画像に現れる受光量のピーク値はしだいに大きくなる。
【0063】
図7では、毎回の画像出力(図7のi1,i2,i3)と当該画像が表す受光量信号の波形の変化とを対応づけて示している。この例に示すように、1回目の転送による画像データでは振幅が微小であったピークも、出力を重ねるにつれて大きな振幅を示すようになる。これを利用して、たとえば、毎回の入力画像からあらかじめ定めた値以上の受光量を示す箇所をピークとして抽出し、これらの抽出結果を統合して各ピークの座標を特定し、各座標を用いて計測対象の各面の変位量を精度良く計測することができる。
【0064】
前出の特許文献3による方法で図7の例と同じ計測処理を行うには、投光処理および受光処理を複数サイクル繰り返す必要があり、計測結果を取得するまでの時間が長くなる、という問題があった。これに対し、図7の実施例によれば、1サイクル分の投光および受光によって計測に必要な画像データを取得することができるので、従来よりも処理時間を大幅に短縮することができる。
【0065】
さらに、図1および図2に示した変位センサSには、以下の(イ)および(ロ)の実施例を適用することができる。
【0066】
(イ)画像の読み出しの開始位置を変更する機能を付加した実施例
この実施例のCMOSリニアイメージセンサ100には、画素のアドレスデータを入力するための入力端子が追加される。アドレスデータは、数ビット構成のパラレル信号としてCPU3から出力される。CMOSリニアイメージセンサ100では、入力されたアドレスデータに対応する画素部10が生成した受光量信号を先頭の画素とする画像を出力する。CPU3は、CMOSリニアイメージセンサ100にアドレスデータを出力するほかは、図4および図5の例と同様の制御を実施する。
【0067】
図8は、各画素部10から読み出されてCPU3に入力された画像が示す受光量の分布を示すグラフを用いて、画像データの読み出し範囲を変更する例を示す。なお、この図のグラフの横軸には、画像中の各画素の配列順序を示すアドレスと共に画像の読み出し時刻を表す時間軸が対応づけられている。計測対象の面がセンサSに対して近づく方向に変位すると、画像中の受光量のピークPは、図中のグラフの左側、すなわちアドレスが若くなる方向に移動する。
【0068】
図8(1)のグラフは、CMOSリニアイメージセンサ100の全ての画素部10(この例では225個)を対象にして、画像を読み出した場合の受光量の波形を示す。この例では、読み出し期間の後半に読み出される画素に受光量のピークPが生じている。
【0069】
図8(2)は、上記のピークPのアドレスが示す位置よりも所定距離分センサSに近い位置を示すアドレスnを、アドレスデータとしてCMOSリニアイメージセンサ100に入力した場合に読み出される画像の波形を示す。図示例によれば、全ての画素を読み出すのに要した時間長さTを、アドレスnの画素を読み出すまでに要した時間tを差し引いた時間(T−t)に短縮することができる。また、計測に不必要な画像を処理する必要がなくなるので、処理時間を大幅に短縮することができる。また、ピークPが現れると考えられる範囲に対して十分に余裕をもってアドレスnを定めることにより、ピークPを安定して抽出することが可能になる。
【0070】
上記の読み出し範囲の限定のために、この実施例の変位センサ1には、ユーザの指定操作に応じて画像の読み出し開始位置を示すアドレスデータを決定する設定モードが設けられる。この設定モードでは、ユーザに計測が必要な変位量の数値範囲を入力させ、この範囲よりやや離れた位置のアドレスnを、CMOSリニアイメージセンサ100に入力するアドレスデータに決定する。
【0071】
なお、ユーザによる指定操作を受け付けるには、外部機器を利用することができる。たとえば、CMOSリニアイメージセンサ100から入力された画像をパーソナルコンピュータなどの外部機器に転送して表示させるようにし、ワークWのモデルを変位センサ1の検出エリアに導入して試験的な投受光を行いながら、表示画面上で計測の対象範囲を指定させることができる。
【0072】
上記の実施例によれば、計測すべき変位量の範囲に応じて画像の読み出し範囲を自由に変更することができ、利便性が高められる。なお、画像データの読み出し範囲の最終位置も、読出制御信号STを早期にハイレベルに戻すことにより変更することができる。または、次の実施例に示すようにクロック信号CLKを停止することによって、最後の読み出し対象の画素を変更することもできる。
【0073】
(ロ)受光量の基準レベルを安定させる機能
先の図4や図7に示した制御では、クロック信号CLKを常時出力するとしたが、このようにすると、CMOSリニアイメージセンサ100は、読み出し対象の画素がなくなっても出力動作を続ける(これを「空打ち」という。)。
【0074】
図9(1)は、CMOSリニアイメージセンサ100からの出力の時系列変化を示すグラフを、画素に対する読出期間および空打ちの期間に対応づけて示したものである。この図9(1)に示すように、空打ちの期間には受光量を表さない低レベルの信号が出力される。この低レベルの信号によって、CMOSリニアイメージセンサ100からの出力の基準電位(ACグランド)が引き下げられるため、信号を増幅すると画素に対する読出期間のベース波形自体が増幅されて、ベースの電位が上がり、画像中の受光量のピークは擬似的に大きな振幅になり、可変ゲインアンプ101による増幅によってピークが飽和するおそれがある。
【0075】
上記の問題を解決するために、この実施例では、図10に示すように、各画素部10のフォトダイオード11の配列のうちの後尾を構成する所定数のフォトダイオードをマスク(受光面を遮光)し、これらマスクされた画素部10に対応する画像が読み出されている間にクロック信号CLKを停止させる。
【0076】
所定の画素に対する読み出し中にクロック信号CLKを停止すると、その後のCMOSリニアイメージセンサ100から出力される信号の電位は、最後に読み出された画素が示す受光量のレベル付近で維持される。このため、最後の読出対象の画素を生成する画素部10に何らかの光が入光すると、その入光レベルによりCMOSリニアイメージセンサ100からの出力の基準電位が不適当に上がってしまい、画像の主要部の増幅処理に支障が生じるおそれがある。しかし、この実施例では、マスクされた画素部10により生成された暗レベル(受光量ゼロ)の受光量信号が最後の読み出し対象となるので、最後の読み出し対象の画素の受光量レベルが高くなることはなく、図9(2)に示すように、クロック信号CLKの停止後も、出力の電位を暗レベル付近で維持することができる。よって、この暗レベルの電位に基づき、受光量のピークを適切に増幅することが可能になる。
【0077】
撮像素子からの出力の基準電位を安定させるためには、一般的にはクランプ回路が用いられることが多いが、上記の実施例によれば、クランプ回路を設けることなく、簡単な構成でCMOSリニアイメージセンサ100からの出力の基準電位を安定させることができる。
なお、この実施例において画像の読み出し中に次のサイクルの投受光処理を実施する場合には、図5に示した制御、すなわちクロック信号CLKにより変動したバイアス電圧がコンデンサ13に取り込まれないタイミングでリセット信号RESETを切り替えるのが望ましい。
【符号の説明】
【0078】
100 CMOSリニアイメージセンサ
1 受光部
2 投光部
3 CPU
10 画素部
11 フォトダイオード
12 電荷蓄積部
13 コンデンサ
14 アンプ
15 ホールド回路
16 出力用アンプ
Sa,Sb,S1,S2 スイッチ部
S 変位センサ
L1 レーザ光
L2 反射光
LDON 投光制御信号
PDSW 受光制御信号
ST 読出制御信号
RESET リセット信号
CLK クロック信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光素子と電荷蓄積部とを有する画素部を複数具備し、各画素部の電荷蓄積部に蓄積された電荷による画像が受光素子の配列に沿う順序で出力されるCMOSリニアイメージセンサを含む受光部と、検出用の光を発する投光部と、前記投光部および受光部の動作および前記CMOSリニアイメージセンサからの画像の出力を制御しながら、CMOSリニアイメージセンサから出力された画像を用いて対象物の変位を計測する制御処理部とを具備する変位センサであって、
前記CMOSリニアイメージセンサでは、各画素部の受光素子と電荷蓄積部とがスイッチ部を介して接続されると共に、前記スイッチ部を導通させるための受光制御信号、画像の出力を指示する読出制御信号、および各画素部の電荷蓄積部に蓄積された電荷をリセットするためのリセット信号の各信号の入力端子を備え、
前記制御処理部は、前記CMOSリニアイメージセンサの各入力端子に接続されてそれぞれの端子に対応する信号を出力するように構成されると共に、前記リセット信号により各画素部の電荷蓄積部がリセットされている状態下において、前記投光部の投光開始より遅れて前記受光制御信号の出力を開始して各画素部の電荷蓄積部に電荷を蓄積させる受光制御手段と、前記投光部の投光期間より早く終了することを条件に前記受光制御信号を出力する期間の長さを可変設定する設定手段とを具備する、変位センサ。
【請求項2】
前記受光制御信号の出力に対する読出制御信号の出力の回数および各出力のタイミングを可変設定する第2の設定手段と、前記受光制御信号の出力に対して設定された読出制御信号の出力がすべて終了した後に前記リセット信号を出力するリセット手段とをさらに備え、
前記第2の設定手段は、受光制御信号の出力に対して読出制御信号を複数回出力する場合には、これら複数回のうちの最後の出力を除く各出力が前記受光制御信号が出力されている期間内に実施されるように各出力のタイミングを設定する、請求項1に記載された変位センサ。
【請求項3】
前記CMOSリニアイメージセンサは、前記複数の画素部のいずれかの位置を表すアドレスデータを入力するための入力端子を備えると共に、この入力端子から入力されたアドレスデータに対応する画素部に蓄積された電荷による画像を先頭の画素とする画像を出力し、
前記制御処理部は、前記CMOSリニアイメージセンサの前記アドレスデータの入力端子にいずれかの画素部のアドレスデータを出力することによって、CMOSリニアイメージセンサにおける画像の出力範囲を可変設定する、請求項1に記載された変位センサ。
【請求項4】
前記CMOSリニアイメージセンサは、画素単位の画像の読み出しのタイミングを定めるクロック信号の入力端子を備えると共に、受光素子の配列の後尾を構成する所定数の受光素子が遮光されており、
前記制御処理部は、前記読出制御信号の出力後に前記クロック信号の出力を続けることによって前記CMOSリニアイメージセンサの各画素部から画像データを順に読み出すと共に、受光素子が遮光されている画素部により生成された画像が読み出されている間に前記クロック信号の出力を停止する、請求項1に記載された変位センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−78141(P2012−78141A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221964(P2010−221964)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】