説明

変倍光学系、光学装置、変倍光学系の製造方法

【課題】収差変動を抑え、ゴーストやフレアをより低減させ、高い光学性能を有する変倍光学系、光学装置、変倍光学系の製造方法の提供。
【解決手段】光軸に沿って物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1と、負屈折力の第2レンズ群G2と、正屈折力の第3レンズ群G3と、負屈折力の第4レンズ群G4と、正屈折力の第5レンズ群G5とを有し、第2レンズ群G2より像側に開口絞りSを有し、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔はそれぞれ変化し、所定の条件式を満足し、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2における光学面のうち少なくとも1面に、ウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含む反射防止膜が設けられている変倍光学系。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変倍光学系とこれを有する光学装置、変倍光学系の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一眼レフカメラ用交換レンズなどに用いられる変倍光学系として、最も物体側のレンズ群が正屈折力を有する光学系が数多く提案されている(例えば、特許文献1参照)。また近年、このような変倍光学系に対しては、収差性能だけではなく、光学性能を損なう要因の一つであるゴーストやフレアに関する要求も厳しさを増しており、そのためレンズ面に施される反射防止膜にもより高い性能が要求され、要求に応えるべく多層膜設計技術や多層膜成膜技術も進歩を続けている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−3195号公報
【特許文献2】特開2000−356704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の変倍光学系をさらに高変倍化しようとすると、収差変動が増大し、十分に高い光学性能を得ることが困難であった。それと同時に、このような変倍光学系における光学面からは、ゴーストやフレアとなる反射光が発生しやすいという課題もあった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、収差変動を抑え、ゴーストやフレアをより低減させ、高い光学性能を有する変倍光学系とこれを有する光学装置、変倍光学系の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、光軸に沿って物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群と、負屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の第3レンズ群と、負屈折力の第4レンズ群と、正屈折力の第5レンズ群とを有し、前記第2レンズ群より像側に開口絞りを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は増大し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔は減少し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔は変化し、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔は変化し、以下の条件式を満足し、前記第1レンズ群および前記第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面に反射防止膜が設けられ、反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含むように構成されていることを特徴とする変倍光学系を提供する。
0.17 < f1/fT < 0.60
1.03 < φT/φW < 1.70
但し、
fT:望遠端状態における全系の焦点距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
φW:広角端状態における前記開口絞りの最大開口径
φT:望遠端状態における前記開口絞りの最大開口径
【0007】
また、本発明は、前記変倍光学系を有することを特徴とする光学装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、光軸に沿って物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群と、負屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の第3レンズ群と、負屈折力の第4レンズ群と、正屈折力の第5レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、開口絞りを前記第2レンズ群より像側に配置し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群と前記第3レンズ群と前記第4レンズ群と前記第5レンズ群とを、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が増大可能、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が減少可能、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化可能、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔が変化可能に配置し、以下の条件式を満足し、前記第1レンズ群および前記第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面に反射防止膜が設けられ、反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含むように構成されていることを特徴とする変倍光学系の製造方法を提供する。
0.17 < f1/fT < 0.60
1.03 < φT/φW < 1.70
但し、
fT:望遠端状態における全系の焦点距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
φW:広角端状態における前記開口絞りの最大開口径
φT:望遠端状態における前記開口絞りの最大開口径
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、収差変動を抑え、ゴーストやフレアをより低減させ、高い光学性能を有する変倍光学系とこれを有する光学装置、変倍光学系の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施例に係る変倍光学系のレンズ構成を示す断面図である。
【図2】第1実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は第1中間焦点距離状態、(c)は第2中間焦点距離状態をそれぞれ示す。
【図3】第1実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は第3中間焦点距離状態、(b)は第4中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。
【図4】第1実施例に係る変倍光学系のレンズ構成を示す断面図であって、入射した光線が第1番目のゴースト発生面と第2番目のゴースト発生面で反射する様子の一例を説明する図である。
【図5】第2実施例に係る変倍光学系のレンズ構成を示す断面図である。
【図6】第2実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は第1中間焦点距離状態、(c)は第2中間焦点距離状態をそれぞれ示す。
【図7】第2実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は第3中間焦点距離状態、(b)は第4中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。
【図8】第3実施例に係る変倍光学系のレンズ構成を示す断面図である。
【図9】第3実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は第1中間焦点距離状態、(c)は第2中間焦点距離状態をそれぞれ示す。
【図10】第3実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は第3中間焦点距離状態、(b)は第4中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。
【図11】第4実施例に係る変倍光学系のレンズ構成を示す断面図である。
【図12】第4実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は第1中間焦点距離状態、(c)は第2中間焦点距離状態をそれぞれ示す。
【図13】第4実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は第3中間焦点距離状態、(b)は第4中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。
【図14】第5実施例に係る変倍光学系のレンズ構成を示す断面図である。
【図15】第5実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は第1中間焦点距離状態、(c)は第2中間焦点距離状態をそれぞれ示す。
【図16】第5実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は第3中間焦点距離状態、(b)は第4中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。
【図17】第1実施例に係る変倍光学系を備えたカメラの構成を示す図である。
【図18】本願の変倍光学系の製造方法を示す図である。
【図19】反射防止膜の層構造の一例を示す説明図である。
【図20】反射防止膜の分光特性を示すグラフである。
【図21】変形例に係る反射防止膜の分光特性を示すグラフである。
【図22】変形例に係る反射防止膜の分光特性の入射角度依存性を示すグラフである。
【図23】従来技術で作成した反射防止膜の、分光特性を示すグラフである。
【図24】従来技術で作成した反射防止膜の、分光特性の入射角度依存性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願の一実施形態に係る変倍光学系について説明する。
【0012】
本実施形態に係る変倍光学系は、光軸に沿って物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群と、負屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の第3レンズ群と、負屈折力の第4レンズ群と、正屈折力の第5レンズ群とを有し、第2レンズ群より像側に開口絞りを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔は増大し、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔は減少し、第3レンズ群と第4レンズ群との間隔は変化し、第4レンズ群と第5レンズ群との間隔は変化する構成とすることで、変倍可能な光学系を実現し、広角端状態から望遠端状態まで適度に歪曲収差を補正している。
【0013】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、以下の条件式(1)、(2)を満足する。
(1) 0.17 < f1/fT < 0.60
(2) 1.03 < φT/φW < 1.70
但し、fTは望遠端状態における全系の焦点距離、f1は第1レンズ群の焦点距離、φWは広角端状態における開口絞りの最大開口径、φTは望遠端状態における開口絞りの最大開口径である。
【0014】
条件式(1)は、変倍光学系で発生する球面収差と像面湾曲を良好に補正し、高い光学性能を得るための条件式である。
【0015】
条件式(1)の下限値を下回った場合、即ち第1レンズ群の屈折力が過度に大きくなると、望遠端状態における負の球面収差と、広角端状態における負の像面湾曲が大きく発生し、高い光学性能を得ることができない。
【0016】
条件式(1)の上限値を上回った場合、即ち第1レンズ群の屈折力が過度に小さくなると、変倍率を維持するためには第1レンズ群を像面に対して大きく移動させる必要があり、望遠端状態における周辺光量の確保が困難となり、また望遠端状態において第2レンズ群で発生する正の球面収差補正が困難となり、高い光学性能を得ることができない。
【0017】
なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(1)の下限値を0.23とすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(1)の下限値を0.25とすることが更に好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(1)の下限値を0.28とすることが更に好ましい。
【0018】
また、実施形態の効果を確実にするために、条件式(1)の上限値を0.53とすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(1)の上限値を0.48とすることが更に好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(1)の上限値を0.43とすることが更に好ましい。
【0019】
条件式(2)は、望遠端状態におけるFナンバーを適度に小さく、球面収差やコマ収差を良好に補正し、高い光学性能を得るための条件式である。条件式(2)を満足することで、広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に変化するFナンバーの変化量を最適化し、変倍範囲全域に亘って球面収差やコマ収差の変動を抑えることが可能になる。
【0020】
条件式(2)の下限値を下回った場合、望遠端状態における開口絞りの最大開口径が小さくなりすぎる。すると、望遠端状態におけるFナンバーが大きくなりすぎ、広角端状態において球面収差やコマ収差が大きく発生し、高い光学性能を実現できない。
【0021】
条件式(2)の上限値を上回った場合、望遠端状態において球面収差やコマ収差が大きく発生し、高い光学性能を実現できない。
【0022】
なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(2)の下限値を1.05とすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(2)の下限値を1.08とすることが更に好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(2)の下限値を1.12とすることが更に好ましい。
【0023】
また、実施形態の効果を確実にするために、条件式(2)の上限値を1.58とすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(2)の上限値を1.45とすることが更に好ましい。
【0024】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、第1レンズ群および第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面に反射防止膜が設けられ、この反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んでいる。このように構成することで、本実施形態にかかる変倍光学系は、物体からの光が光学面で反射されて生じるゴーストやフレアをさらに低減することができ、高い結像性能を達成することができる。
【0025】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、反射防止膜は多層膜であり、ウェットプロセスで形成された層は、多層膜を構成する層のうち最も表面の層であることが好ましい。このようにすれば、空気との屈折率差を小さくすることができるため、光の反射をより小さくすることが可能になり、ゴーストやフレアをさらに低減させることができる。
【0026】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、ウェットプロセスを用いて形成された層の屈折率をndとしたとき、屈折率ndが1.30以下であることが好ましい。このようにすれば、空気との屈折率差を小さくすることができるため、光の反射をより小さくすることが可能になり、ゴーストやフレアをさらに低減させることができる。
【0027】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、第1レンズ群及び第2レンズ群における光学面のうち反射防止膜が設けられた光学面は、開口絞りから見て凹形状のレンズ面であることが好ましい。第1レンズ群及び第2レンズ群における光学面のうち開口絞りから見て凹形状のレンズ面にゴーストが発生し易いため、このようにすれば、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0028】
また、本実施形態に係る変倍光学系では、第1レンズ群及び第2レンズ群において反射防止膜が設けられた、開口絞りから見て凹形状のレンズ面は、像面側のレンズ面であることが好ましい。第1レンズ群及び第2レンズ群における光学面のうち開口絞りから見て凹形状のレンズ面にゴーストが発生し易いため、このような光学面に反射防止膜を形成することでゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0029】
また、本実施形態に係る変倍光学系では、第1レンズ群及び第2レンズ群において反射防止膜が設けられた、開口絞りから見て凹形状のレンズ面は、物体側のレンズ面であることが好ましい。第1レンズ群及び第2レンズ群における光学面のうち開口絞りから見て凹形状のレンズ面にゴーストが発生し易いため、このような光学面に反射防止膜を形成することでゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0030】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、第1レンズ群及び第2レンズ群における光学面のうち反射防止膜が設けられた光学面は、物体から見て凹形状のレンズ面であることが好ましい。このようにすれば、第1レンズ群及び第2レンズ群における光学面のうち物体から見て凹形状のレンズ面にゴーストが発生し易いため、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0031】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、第1レンズ群及び第2レンズ群における光学面のうち反射防止膜が設けられた、物体から見て凹形状のレンズ面は、第1レンズ群の最も物体側のレンズから像面側に2番目のレンズの、像面側レンズ面であることが好ましい。第1レンズ群における光学面のうち物体から見て凹形状のレンズ面にゴーストが発生し易いため、このような光学面に反射防止膜を形成することでゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0032】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、第1レンズ群及び第2レンズ群における光学面のうち反射防止膜が設けられた、物体から見て凹形状のレンズ面は、第2レンズ群の最も物体側のレンズから像面側に2番目のレンズの、物体側レンズ面であることが好ましい。第2レンズ群における光学面のうち物体から見て凹形状のレンズ面にゴーストが発生し易いため、このような光学面に反射防止膜を形成することでゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0033】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、第1レンズ群及び第2レンズ群における光学面のうち反射防止膜が設けられた、物体から見て凹形状のレンズ面は、第2レンズ群の最も物体側のレンズから像面側に3番目のレンズの、像面側レンズ面であることが好ましい。第2レンズ群における光学面のうち物体から見て凹形状のレンズ面にゴーストが発生し易いため、このような光学面に反射防止膜を形成することでゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0034】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、第1レンズ群及び第2レンズ群における光学面のうち反射防止膜が設けられた、物体から見て凹形状のレンズ面は、第2レンズ群の最も物体側のレンズから像面側に4番目のレンズの、物体側レンズ面であることが好ましい。第2レンズ群における光学面のうち物体から見て凹形状のレンズ面にゴーストが発生し易いため、このような光学面に反射防止膜を形成することでゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
【0035】
また、本実施形態に係る変倍光学系では、反射防止膜は、ウェットプロセスに限らず、ドライプロセス等により形成しても良い。この際、反射防止膜は屈折率が1.30以下となる層を少なくとも1層含むようにすることが好ましい。反射防止膜が、屈折率が1.30以下となる層を少なくとも1層含むようにすることで、反射防止膜をドライプロセス等で形成しても、ウェットプロセスを用いた場合と同様の効果を得ることができる。なおこの時、屈折率が1.30以下になる層は、多層膜を構成する層のうち最も表面側の層であることが好ましい。
【0036】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3) 1.02 < φM10/φW < 1.70
但し、φM10は広角端状態における全系の焦点距離をfWとするとき、全系の焦点距離がfWの10倍以上の中間焦点距離状態での開口絞りの最大開口径、φWは広角端状態における前記開口絞りの最大開口径である。
【0037】
条件式(3)は、変倍光学系全系の焦点距離がfWの10倍以上の中間焦点距離状態の変倍領域において、変倍光学系に十分なF値を持たせ、高い光学性能を実現するための条件式である。
【0038】
条件式(3)の下限値を下回った場合、変倍光学系全系の焦点距離がfWの10倍以上の中間焦点距離状態の変倍領域において、開口絞りの最大開口径が小さくなりすぎる。すると、この変倍領域におけるFナンバーが大きくなりすぎ、広角端状態において球面収差やコマ収差が大きく発生し、高い光学性能を実現できない。
【0039】
条件式(3)の上限値を上回った場合、変倍光学系全系の焦点距離がfWの10倍以上の中間焦点距離状態の変倍領域において、球面収差やコマ収差が大きく発生し、高い光学性能を実現できない。
【0040】
なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(3)の下限値を1.03とすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(3)の下限値を1.06とすることが更に好ましい。
【0041】
また、実施形態の効果を確実にするために、条件式(3)の上限値を1.60とすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(3)の上限値を1.55とすることが更に好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(3)の上限値を1.40とすることが更に好ましい。
【0042】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4) 1.02 < φM15/φW < 1.70
但し、φM15は広角端状態における全系の焦点距離をfWとするとき、全系の焦点距離がfWの15倍以上の中間焦点距離状態での開口絞りの最大開口径、φWは広角端状態における開口絞りの最大開口径である。
【0043】
条件式(4)は、変倍光学系全系の焦点距離がfWの15倍以上の中間焦点距離状態の変倍領域において、変倍光学系に十分なF値を持たせ、高い光学性能を実現するための条件式である。
【0044】
条件式(4)の下限値を下回った場合、変倍光学系全系の焦点距離がfWの15倍以上の中間焦点距離状態の変倍領域において、開口絞りの最大開口径が小さくなりすぎる。すると、この変倍領域におけるFナンバーが大きくなりすぎ、広角端状態において球面収差やコマ収差が大きく発生し、高い光学性能を実現できない。
【0045】
条件式(4)の上限値を上回った場合、変倍光学系全系の焦点距離がfWの15倍以上の中間焦点距離状態の変倍領域において、球面収差やコマ収差が大きく発生し、高い光学性能を実現できない。
【0046】
なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(4)の下限値を1.04とすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(4)の下限値を1.07とすることが更に好ましい。
【0047】
また、実施形態の効果を確実にするために、条件式(4)の上限値を1.60とすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(4)の上限値を1.55とすることが更に好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(4)の上限値を1.40とすることが更に好ましい。
【0048】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5) 1.00 ≦ φM5/φW < 1.40
但し、φM5は広角端状態における全系の焦点距離をfWとするとき、全系の焦点距離がfWの5倍以上8倍以下の中間焦点距離状態での開口絞りの最大開口径、φWは広角端状態における開口絞りの最大開口径である。
【0049】
条件式(5)は、全系の焦点距離がfWの5倍以上8倍以下の中間焦点距離の変倍領域において、高い光学性能を実現するための条件式である。
【0050】
条件式(5)の下限値を下回った場合、全系の焦点距離がfWの5倍以上8倍以下の中間焦点距離の変倍領域において、開口絞りの最大開口径が小さくなりすぎる。すると、この変倍領域におけるFナンバーが大きくなりすぎ、広角端状態において球面収差やコマ収差が大きく発生し、高い光学性能を実現できない。
【0051】
条件式(5)の上限値を上回った場合、全系の焦点距離がfWの5倍以上8倍以下の中間焦点距離の変倍領域において、球面収差やコマ収差が大きく発生し、高い光学性能を実現できない。
【0052】
なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(5)の下限値を1.01とすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(5)の下限値を1.03とすることが更に好ましい。
【0053】
また、実施形態の効果を確実にするために、条件式(5)の上限値を1.32とすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(5)の上限値を1.25とすることが更に好ましい。
【0054】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、開口絞りは、広角端状態から全系の焦点距離fMの中間焦点距離状態まで広角端状態の最大開口径を維持し、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
(6) 1.50 < fM/fW < 15.00
但し、fWは広角端状態における全系の焦点距離である。
【0055】
条件式(6)は、任意の中間焦点距離の変倍領域において、高い光学性能を実現するための条件式である。
【0056】
条件式(6)の下限値を下回った場合、任意の中間焦点距離の変倍領域において、球面収差やコマ収差が大きく発生し、高い光学性能を実現できない。
【0057】
条件式(6)の上限値を上回った場合、任意の中間焦点距離の変倍領域において、Fナンバーが大きくなりすぎ、また広角端状態において球面収差やコマ収差が大きく発生し、高い光学性能を実現できない。
【0058】
なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(6)の下限値を1.80とすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(6)の下限値を2.30とすることが更に好ましい。
【0059】
また、実施形態の効果を確実にするために、条件式(6)の上限値を12.00とすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(6)の上限値を8.50とすることが更に好ましい。
【0060】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、全系の焦点距離fMの中間焦点距離状態から望遠端状態への変倍に際し、開口絞りの最大開口径は単調に増大することが望ましい。なお、開口絞りの最大開口径とは、各焦点距離状態における最大の開口絞り径である。
【0061】
この構成とすることで、変倍光学系のメカニカルな構成を簡略化でき、また全系の焦点距離fMの中間焦点距離状態から望遠端状態までの変倍領域において、球面収差の変動を抑えることが可能となり、高い光学性能を実現できる。
【0062】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
(7) 0.032 < −f2/fT < 0.064
但し、f2は第2レンズ群の焦点距離、fTは望遠端状態における全系の焦点距離である。
【0063】
条件式(7)は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第2レンズ群で発生する収差変動を抑え、高い光学性能を実現するための条件式である。
【0064】
条件式(7)の下限値を下回った場合、第2レンズ群の屈折力が過度に大きくなる。すると広角端状態から望遠端状態への変倍時、球面収差や非点収差の変動が大きく発生し、高い光学性能を実現できない。
【0065】
条件式(7)の上限値を上回った場合、第2レンズ群の屈折力が過度に小さくなり、第2レンズ群の移動量が増大する。すると広角端状態から望遠端状態への変倍時、第2レンズ群で発生する球面収差や非点収差変動を抑えることが困難となり、高い光学性能を実現できない。
【0066】
なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(7)の下限値を0.038とすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(7)の下限値を0.042とすることが更に好ましい。
【0067】
また、実施形態の効果を確実にするために、条件式(7)の上限値を0.061とすることが好ましい。また、実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(7)の上限値を0.057とすることが更に好ましい。
【0068】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、全系のFナンバーは単調に増大することが望ましい。
【0069】
この構成とすることで、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、絞り近傍のレンズ群、例えば第3レンズ群などを通る軸上光線高の過度な増大を抑え、これに伴って球面収差などの変動を抑えることが可能となり、高い光学性能を実現できる。
【0070】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群は像面に対して物体側に移動することが望ましい。
【0071】
この構成とすることで、第1レンズ群の径を小型化でき、また広角端状態における第1レンズ群を通過する軸外光束の光軸からの高さを抑えて像面湾曲や非点収差などの変倍時における変動を抑えることができる。
【0072】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、開口絞りは、第3レンズ群の少なくとも一部と一体に移動することが望ましい。
【0073】
この構成とすることで、変倍光学系のメカニカルな構成を簡略化でき、また球面収差の変動を抑えることが可能となり、高い光学性能を実現できる。
【0074】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、開口絞りは、第3レンズ群の物体側に配置されることが望ましい。
【0075】
この構成とすることで、第1レンズ群の径を小型化でき、また広角端状態における第1レンズ群を通過する軸外光束の光軸からの高さを抑えて像面湾曲や非点収差などの変倍時における変動を抑えることができる。
【0076】
また、本実施形態に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第3レンズ群と第5レンズ群は一体で移動することが望ましい。
【0077】
この構成とすることで、第3レンズ群と第5レンズ群は一体で構成できるようになり、製造誤差による第3レンズ群から第5レンズ群間の相互偏心量を抑え、第3レンズ群から第5レンズ群間で発生する偏心コマ収差の発生を抑えることが可能になり高い光学性能を実現できる。
【0078】
(実施例)
以下、本実施形態に係る各実施例について図面を参照しつつ説明する。
【0079】
(第1実施例)
図1は、第1実施例に係る変倍光学系のレンズ構成を示す断面図である。
【0080】
図1に示すように、第1実施例に係る変倍光学系は、光軸に沿って物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1と、負屈折力の第2レンズ群G2と、正屈折力の第3レンズ群G3と、負屈折力の第4レンズ群G4と、正屈折力の第5レンズ群G5とから構成される。
【0081】
広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少するように、像面Iに対して、第1レンズ群G1は単調に物体側へ移動し、第2レンズ群G2は第1中間焦点距離状態M1まで像側へ移動し、第1中間焦点距離状態M1から望遠端状態Tまでは物体側へ移動し、第3レンズ群G3は単調に物体側へ移動する。さらに、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔は増大し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔は減少するように、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5は像面Iに対して単調に物体側へ移動する。また、第3レンズ群G3と第5レンズ群G5は、像面Iに対して一体で移動する。
【0082】
開口絞りSは、第2レンズ群G2の像側にある第3レンズ群G3の最も物体側に配置され、第3レンズ群G3と一体で構成される。また、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、開口絞りSは、広角端状態Wから第2中間焦点距離状態M2まで広角端状態Wの最大開口径を維持し、第2中間焦点距離状態M2から望遠端状態Tまでは最大開口径が単調に増大する。
【0083】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12との接合レンズと、両凸形状の正レンズL13とから構成されている。
【0084】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、両凹形状の負レンズL24と両凸形状の正レンズL25との接合レンズとから構成されている。第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面に樹脂層を設けて非球面を形成した複合型非球面レンズである。
【0085】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、両凸形状の正レンズL32と、両凸形状の正レンズL33と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL34との接合レンズとから構成されている。
【0086】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に、両凹形状の負レンズL41と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL42との接合レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43とから構成されている。第4レンズ群G4の最も物体側に位置する両凹形状の負レンズL41は、物体側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0087】
第5レンズ群G5は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL51と、両凸形状の正レンズL52と、両凹形状の負レンズL53と両凸形状の正レンズL54との接合レンズとから構成されている。第5レンズ群G5の最も物体側に位置する正メニスカスレンズL51は、物体側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。両凸形状の正レンズL54から射出した光線は像面Iに結像する。
【0088】
像面Iは、不図示の撮像素子上に形成され、該撮像素子はCCDやCMOS等から構成されている(以降の実施例についても同様である)。
【0089】
本第1実施例に係る変倍光学系は、第2レンズ群G2の負メニスカスレンズL21の像面側レンズ面と、両凹形状の負レンズL22の物体側レンズ面に、後述する反射防止膜が形成されている。
【0090】
以下の表1に第1実施例に係る変倍光学系の諸元値を掲げる。
【0091】
表中の(面データ)において、物面は物体面、面番号は物体側からのレンズ面の番号、rは曲率半径、dは面間隔、ndはd線(波長λ=587.6nm)における屈折率、νdはd線(波長λ=587.6nm)におけるアッベ数、(可変)は可変面間隔、(絞り)は開口絞りS、像面は像面Iをそれぞれ表している。なお、空気の屈折率nd=1.000000は記載を省略している。また、曲率半径r欄の「∞」は平面を示している。
【0092】
(非球面データ)において、非球面は以下の式で表される。
X(y)=(y/r)/[1+[1−κ(y/r)]1/2
+A4×y+A6×y+A8×y+A10×y10
ここで、光軸に垂直な方向の高さをy、高さyにおける光軸方向の変位量(各非球面の頂点の接平面から各非球面までの光軸に沿った距離)をX(y)、基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)をr、円錐係数をκ、n次の非球面係数をAnとする。なお、「E-n」は「×10−n」を示し、例えば「1.234E-05」は「1.234×10−5」を示す。また、各非球面は、(面データ)において、面番号の右側に「*」を付して示している。
【0093】
(各種データ)において、ズーム比は変倍光学系の変倍比、Wは広角端状態、M1は第1中間焦点距離状態、M2は第2中間焦点距離状態、M3は第3中間焦点距離状態、M4は第4中間焦点距離状態、Tは望遠端状態、fは全系の焦点距離、FNOはFナンバー、ωは半画角(単位:「°」)、Yは像高、TLは無限遠合焦状態における第1レンズ群G1の最も物体側の面から像面Iまでのレンズ系全長、Bfはバックフォーカス、φは最大の開口絞り径、diは面番号iでの可変面間隔値をそれぞれ表している。第4中間焦点距離状態M4は、広角端状態Wの焦点距離の15倍を越えた焦点距離を有している。
【0094】
(ズームレンズ群データ)は、各レンズ群の始面番号とレンズ群の焦点距離をそれぞれ示す。
【0095】
(条件式対応値)は、各条件式の対応値をそれぞれ示す。
【0096】
なお、以下の全ての諸元値において、掲載されている焦点距離f、曲率半径r、面間隔dその他の長さ等は、特記の無い場合一般に「mm」が使われるが、光学系は比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。また、単位は「mm」に限定されること無く他の適当な単位を用いることもできる。さらに、これらの記号の説明は、以降の他の実施例においても同様とし説明を省略する。
【0097】
(表1)第1実施例

(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 205.09180 2.00000 1.882997 40.76
2 67.52420 9.07190 1.456000 91.20
3 -361.42710 0.10000
4 70.10040 6.86700 1.603001 65.46
5 -2470.83790 (可変)

6* 84.76870 0.15000 1.553890 38.09
7 73.93750 1.20000 1.834807 42.72
8 17.03670 6.46970
9 -49.48220 1.00000 1.816000 46.62
10 52.14060 0.15000
11 31.61490 5.45080 1.761820 26.56
12 -44.44820 1.19350
13 -25.13580 1.00000 1.816000 46.62
14 64.50360 2.42190 1.808090 22.79
15 -166.54310 (可変)
16(絞り) ∞ 1.00000
17 63.10220 3.49130 1.593190 67.87
18 -50.22150 0.10000
19 58.68260 2.72200 1.487490 70.41
20 -121.43450 0.10000
21 48.64320 4.10420 1.487490 70.41
22 -34.50080 1.00000 1.808090 22.79
23 -205.15990 (可変)
24* -66.96860 1.00000 1.693501 53.20
25 26.57120 2.15810 1.761820 26.56
26 63.33840 4.78730
27 -24.70410 1.00000 1.729157 54.66
28 -74.86360 (可変)
29* -569.79420 3.96090 1.589130 61.16
30 -23.53500 0.10000
31 37.14850 5.00600 1.487490 70.41
32 -45.19690 1.71640
33 -107.03630 1.00000 1.882997 40.76
34 23.36210 4.50160 1.548141 45.79
35 -637.55850 (Bf)
像面 ∞

(非球面データ)
第6面
κ = 1.0000
A4 = 3.61880E-06
A6 = -6.10680E-09
A8 = -4.67380E-12
A10 = 5.77660E-14
第24面
κ = 1.0000
A4 = 3.81940E-06
A6 = -1.72450E-09
A8 = 0.00000E+00
A10 = 0.00000E+00
第29面
κ = 1.0000
A4 = -1.63630E-05
A6 = 8.94380E-09
A8 = -2.98150E-11
A10 = 2.87630E-14

(各種データ)
ズーム比 15.71
W M1 M2 M3 M4 T
f = 18.56080 27.61236 50.16122 104.15546 280.42469 291.57422
FNO = 3.60018 4.14587 5.56795 5.60084 5.86110 5.87404
ω = 38.95554 26.62942 15.36461 7.45367 2.81770 2.71157
Y = 14.20 14.20 14.20 14.20 14.20 14.20
TL =163.30 170.24 188.45 255.60 252.27 252.97
Bf = 39.15242 46.48061 63.58078 70.61280 82.17689 82.77641
φ = 16.20 16.20 16.20 18.00 19.80 19.90

d5 2.14670 11.21590 21.46790 55.86030 79.96320 80.53690
d15 34.33830 24.88030 15.73730 11.46250 2.46860 2.00000
d23 3.38750 5.60850 9.43760 10.66930 11.77830 11.83690
d28 9.44940 7.22840 3.39920 2.16760 1.05860 1.00000

(ズームレンズ群データ)
群 始面 焦点距離
1 1 122.10406
2 6 −15.86654
3 16 26.56694
4 24 −24.00147
5 29 33.81791

(条件式対応値)
(1) f1/fT=0.419
(2) φT/φW=1.228
(3) φM10/φW=1.222 (φM10は第4中間焦点距離状態M4の値)
(4) φM15/φW=1.222 (φM15は第4中間焦点距離状態M4の値)
(5) φM5/φW=1.111 (φM5は第3中間焦点距離状態M3の値)
(6) fM/fW=2.703 (fMは第2中間焦点距離状態M2の値)
(7) −f2/fT=0.0544
【0098】
図2は、第1実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は第1中間焦点距離状態、(c)は第2中間焦点距離状態をそれぞれ示す。
【0099】
図3は、第1実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は第3中間焦点距離状態、(b)は第4中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。
【0100】
各収差図において、FNOはFナンバー、Aは半画角(単位:「°」)を示す。また、dはd線(波長587.6nm)、gはg線(波長435.8nm)に対する諸収差、記載のないものはd線に対する諸収差をそれぞれ表す。非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面を示す。
【0101】
なお、以降の実施例においても同様の記号を使用し、以降の説明を省略する。
【0102】
各収差図から、第1実施例に係る変倍光学系は、諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有していることがわかる。
【0103】
図4において、物体側からの光線BMが図示のように変倍光学系に入射すると、両凹形状の負レンズL22における物体側のレンズ面(第1番目のゴースト発生面でありその面番号は9)で反射し、その反射光は負メニスカスレンズL21における像側のレンズ面(第2番目のゴースト発生面でありその面番号は8)で再度反射して像面Iに到達し、ゴーストを発生させてしまう。なお、第1番目のゴースト発生面9は、物体から見て凹形状のレンズ面、第2番目のゴースト発生面8は開口絞りから見て凹形状のレンズ面である。このような面に、より広い波長範囲で広入射角に対応した反射防止膜を形成することで、ゴーストを効果的に低減させることができる。
【0104】
(第2実施例)
図5は、第2実施例に係る変倍光学系の構成を示す断面図である。
【0105】
図5に示すように、第2実施例に係る変倍光学系は、光軸に沿って物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1と、負屈折力の第2レンズ群G2と、正屈折力の第3レンズ群G3と、負屈折力の第4レンズ群G4と、正屈折力の第5レンズ群G5とから構成される。
【0106】
広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少するように、像面Iに対して、第1レンズ群G1は単調に物体側へ移動し、第2レンズ群G2は第1中間焦点距離状態M1まで像側へ移動し、第1中間焦点距離状態M1から望遠端状態Tまでは物体側へ移動し、第3レンズ群G3は単調に物体側へ移動する。さらに、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔は増大し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔は減少するように、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5は像面Iに対して単調に物体側へ移動する。また、第3レンズ群G3と第5レンズ群G5は、像面Iに対して一体で移動する。
【0107】
開口絞りSは、第2レンズ群G2の像側にある第3レンズ群G3の最も物体側に配置され、第3レンズ群G3と一体で構成される。また、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、開口絞りSは、広角端状態Wから第2中間焦点距離状態M2まで広角端状態Wの最大開口径を維持し、第2中間焦点距離状態M2から望遠端状態Tまでは最大開口径が単調に増大する。
【0108】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12との接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とから構成されている。
【0109】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、両凹形状の負レンズL24と両凸形状の正レンズL25との接合レンズとから構成されている。第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面に樹脂層を設けて非球面を形成した複合型非球面レンズである。
【0110】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、両凸形状の正レンズL32と、両凸形状の正レンズL33と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL34との接合レンズとから構成されている。
【0111】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に、両凹形状の負レンズL41と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL42との接合レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43とから構成されている。第4レンズ群G4の最も物体側に位置する両凹形状の負レンズL41は、物体側のレンズ面に樹脂層を設けて非球面を形成した複合型非球面レンズである。
【0112】
第5レンズ群G5は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL51と、両凸形状の正レンズL52と、両凹形状の負レンズL53と両凸形状の正レンズL54との接合レンズとから構成されている。第5レンズ群G5の最も物体側に位置する正メニスカスレンズL51は、物体側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。両凸形状の正レンズL54から射出した光線は像面Iに結像する。
【0113】
本第2実施例に係る変倍光学系は、第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL13の物体側レンズ面と、第2レンズ群G2の両凸形状の正レンズL23の像面側レンズ面に、後述する反射防止膜が形成されている。
【0114】
以下の表2に第2実施例に係る変倍光学系の諸元値を掲げる。
【0115】
(表2)第2実施例

(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 186.59960 2.20000 1.834000 37.17
2 69.08900 8.80000 1.497820 82.56
3 -494.44545 0.10000
4 73.40222 6.45000 1.593190 67.87
5 2016.71160 (可変)

6* 84.85000 0.10000 1.553890 38.09
7 74.02192 1.20000 1.834810 42.72
8 17.09747 6.95000
9 -37.97970 1.00000 1.816000 46.63
10 77.67127 0.15000
11 36.26557 5.30000 1.784720 25.68
12 -36.26557 0.80000
13 -25.69642 1.00000 1.816000 46.63
14 66.08300 2.05000 1.808090 22.79
15 -666.70366 (可変)

16(絞り) ∞ 1.00000
17 68.30727 3.40000 1.593190 67.87
18 -47.99596 0.10000
19 68.52367 2.45000 1.487490 70.45
20 -136.98392 0.10000
21 46.52671 4.20000 1.487490 70.45
22 -36.16400 1.00000 1.808090 22.79
23 -202.95328 (可変)

24* -55.09840 0.20000 1.553890 38.09
25 -57.24715 0.90000 1.696800 55.52
26 28.15100 2.15000 1.728250 28.46
27 87.70856 4.35000
28 -26.69877 1.00000 1.729160 54.66
29 -76.47707 (可変)

30* -333.89500 4.65000 1.589130 61.18
31 -24.64395 0.10000
32 31.19625 5.85000 1.487490 70.45
33 -43.38887 1.45000
34 -109.71645 1.00000 1.883000 40.77
35 20.29920 5.30000 1.548140 45.79
36 -808.81321 (Bf)
像面 ∞

(非球面データ)
第6面
κ = 1.0000
A4 = 3.13350E-06
A6 = 4.73080E-10
A8 = -3.40500E-11
A10 = 1.16620E-13
第24面
κ = 1.0000
A4 = 5.24030E-06
A6 = -2.00730E-09
A8 = 0.00000E+00
A10 = 0.00000E+00
第30面
κ = 1.0000
A4 = -1.54020E-05
A6 = 1.69500E-09
A8 = 1.34490E-11
A10 =-2.07220E-13

(各種データ)
ズーム比 15.72
W M1 M2 M3 M4 T
f = 18.52363 27.14081 48.93259 104.52143 279.97293 291.21725
FNO = 3.60558 4.11071 5.47222 5.69344 5.89216 5.89616
ω = 38.89095 26.92688 15.68138 7.41882 2.81880 2.71146
Y = 14.20 14.20 14.20 14.20 14.20 14.20
TL =164.74 171.75 188.90 225.49 250.78 251.39
Bf = 39.44250 46.21988 62.15925 71.57530 82.59962 83.10134
φ = 15.80 15.80 15.80 17.50 19.50 19.60

d5 2.15700 11.18630 21.31960 53.25650 76.35561 76.94960
d15 33.80140 24.99560 16.07940 11.31350 2.48461 2.00000
d23 3.45650 5.73730 9.97480 11.60170 12.99717 13.04330
d29 10.58680 8.30600 4.06850 2.44160 1.04613 1.00000

(ズームレンズ群データ)
群 始面 焦点距離
1 1 118.96910
2 6 −15.62542
3 16 27.17463
4 24 −25.41506
5 30 34.39022

(条件式対応値)
(1) f1/fT=0.409
(2) φT/φW=1.241
(3) φM10/φW=1.234 (φM10は第4中間焦点距離状態M4の値)
(4) φM15/φW=1.234 (φM15は第4中間焦点距離状態M4の値)
(5) φM5/φW=1.108 (φM5は第3中間焦点距離状態M3の値)
(6) fM/fW=2.642 (fMは第2中間焦点距離状態M2の値)
(7) −f2/fT=0.0537
【0116】
図6は、第2実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は第1中間焦点距離状態、(c)は第2中間焦点距離状態をそれぞれ示す。
【0117】
図7は、第2実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は第3中間焦点距離状態、(b)は第4中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。
【0118】
各収差図から、第2実施例に係る変倍光学系は、諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有していることがわかる。
【0119】
(第3実施例)
図8は、第3実施例に係る変倍光学系の構成を示す断面図である。
【0120】
図8に示すように、第3実施例に係る変倍光学系は、光軸に沿って物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1と、負屈折力の第2レンズ群G2と、正屈折力の第3レンズ群G3と、負屈折力の第4レンズ群G4と、正屈折力の第5レンズ群G5とから構成される。
【0121】
広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少するように、像面Iに対して、第1レンズ群G1は単調に物体側へ移動し、第2レンズ群G2は第1中間焦点距離状態M1まで像側へ移動し、第1中間焦点距離状態M1から望遠端状態Tまでは物体側へ移動し、第3レンズ群G3は単調に物体側へ移動する。さらに、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔は増大し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔は減少するように、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5は像面Iに対して単調に物体側へ移動する。また、第3レンズ群G3と第5レンズ群G5は、像面Iに対して一体で移動する。
【0122】
開口絞りSは、第2レンズ群G2の像側にある第3レンズ群G3の最も物体側に配置され、第3レンズ群G3と一体で構成される。また、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、開口絞りSは、広角端状態Wから第3中間焦点距離状態M3まで広角端状態Wの最大開口径を維持し、第3中間焦点距離状態M3から望遠端状態Tまでは最大開口径が単調に増大する。
【0123】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12との接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とから構成されている。
【0124】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、両凹形状の負レンズL24と両凸形状の正レンズL25との接合レンズとから構成されている。第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面に樹脂層を設けて非球面を形成した複合型非球面レンズである。
【0125】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、両凸形状の正レンズL32と、両凸形状の正レンズL33と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL34との接合レンズとから構成されている。
【0126】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に、両凹形状の負レンズL41と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL42との接合レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43とから構成されている。第4レンズ群G4の中央に位置する正メニスカスレンズL42は、像面側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0127】
第5レンズ群G5は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL51と、両凸形状の正レンズL52と、両凹形状の負レンズL53と両凸形状の正レンズL54との接合レンズとから構成されている。第5レンズ群G5の最も物体側に位置する正メニスカスレンズL51は、物体側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。両凸形状の正レンズL54から射出した光線は像面Iに結像する。
【0128】
本第3実施例に係る変倍光学系は、第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL13の物体側レンズ面と、第2レンズ群G2の両凹形状の負レンズL24の物体側レンズ面に、後述する反射防止膜が形成されている。
【0129】
以下の表3に第3実施例に係る変倍光学系の諸元値を掲げる。
【0130】
(表3)第3実施例

(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 192.86460 2.20000 1.834000 37.16
2 71.04740 9.00410 1.497820 82.52
3 -459.57820 0.10000
4 73.87410 6.67930 1.593190 67.87
5 1334.48060 (可変)

6* 84.76870 0.10000 1.553890 38.09
7 73.93750 1.25000 1.834807 42.72
8 16.85860 6.41100
9 -43.47510 1.00000 1.816000 46.62
10 57.52320 0.15000
11 33.20000 5.23710 1.784723 25.68
12 -42.33520 1.08530
13 -25.03850 1.00000 1.816000 46.62
14 74.32200 2.14790 1.808090 22.79
15 -196.76990 (可変)

16(絞り) ∞ 1.00000
17 70.66380 3.23230 1.593190 67.87
18 -52.37330 0.10000
19 73.76600 2.71810 1.487490 70.41
20 -83.31450 0.10000
21 45.54460 4.17150 1.487490 70.41
22 -35.11250 1.00000 1.808090 22.79
23 -188.15270 (可変)

24 -63.85980 1.00000 1.696797 55.52
25 31.67440 1.86210 1.804855 24.73
26* 64.32250 4.66290
27 -26.08000 1.00000 1.729157 54.66
28 -73.30510 (可変)
29*-227.36510 4.17540 1.589130 61.16
30 -24.31080 0.10000
31 31.50890 5.72340 1.487490 70.41
32 -46.90920 1.38940
33 -141.28220 1.00000 1.882997 40.76
34 20.03510 5.37700 1.548141 45.79
35 -602.91670 (Bf)
像面 ∞

(非球面データ)
第6面
κ = 1.0000
A4 = 3.84520E-06
A6 = -3.19400E-09
A8 = -2.44510E-11
A10 = 1.16080E-13
第26面
κ = 1.0000
A4 = -3.46580E-06
A6 = 6.73460E-10
A8 = 0.00000E+00
A10 = 0.00000E+00
第29面
κ = 1.0000
A4 = -1.44010E-05
A6 = 5.94450E-09
A8 = -3.11020E-11
A10 = -4.07130E-14

(各種データ)
ズーム比 15.72
W M1 M2 M3 M4 T
f = 18.53645 27.58219 49.59390 104.29638 280.11936 291.48464
FNO = 3.48547 4.01900 5.38724 5.99810 6.59072 6.59436
ω = 39.03040 26.66707 15.52780 7.42798 2.81545 2.70726
Y = 14.20 14.20 14.20 14.20 14.20 14.20
TL =163.55 170.26 187.72 224.86 250.69 251.38
Bf = 39.23508 46.33384 63.02959 70.07809 81.49952 82.08045
φ = 16.40 16.40 16.40 16.40 17.20 17.30

d5 2.13850 10.94060 20.49340 54.83910 78.05500 78.64320
d15 33.51210 24.32490 15.53470 11.28210 2.48000 2.00000
d23 3.41920 5.91090 10.06530 11.33700 12.63700 12.68280
d28 10.26360 7.77190 3.61750 2.34580 1.04580 1.00000

(ズームレンズ群データ)
群 始面 焦点距離
1 1 120.82876
2 6 −15.52570
3 16 26.72858
4 24 −25.10440
5 29 34.49933

(条件式対応値)
(1) f1/fT=0.415
(2) φT/φW=1.055
(3) φM10/φW=1.049 (φM10は第4中間焦点距離状態M4の値)
(4) φM15/φW=1.049 (φM15は第4中間焦点距離状態M4の値)
(5) φM5/φW=1.000 (φM5は第3中間焦点距離状態M3の値)
(6) fM/fW=5.627 (fMは第3中間焦点距離状態M3の値)
(7) −f2/fT=0.0533
【0131】
図9は、第3実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は第1中間焦点距離状態、(c)は第2中間焦点距離状態をそれぞれ示す。
【0132】
図10は、第3実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は第3中間焦点距離状態、(b)は第4中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。
【0133】
各収差図から、第3実施例に係る変倍光学系は、諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有していることがわかる。
【0134】
(第4実施例)
図11は、第4実施例に係る変倍光学系の構成を示す断面図である。
【0135】
図11に示すように、第4実施例に係る変倍光学系は、光軸に沿って物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1と、負屈折力の第2レンズ群G2と、正屈折力の第3レンズ群G3と、負屈折力の第4レンズ群G4と、正屈折力の第5レンズ群G5とから構成される。
【0136】
広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少するように、像面Iに対して、第1レンズ群G1は単調に物体側へ移動し、第2レンズ群G2は第1中間焦点距離状態M1まで像側へ移動し、第1中間焦点距離状態M1から望遠端状態Tまでは物体側へ移動し、第3レンズ群G3は単調に物体側へ移動する。さらに、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔は増大し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔は減少するように、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5は像面Iに対して単調に物体側へ移動する。また、第3レンズ群G3と第5レンズ群G5は、像面Iに対して一体で移動する。
【0137】
開口絞りSは、第2レンズ群G2の像側にある第3レンズ群G3の最も物体側に配置され、第3レンズ群G3と一体で構成される。また、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、開口絞りSは、広角端状態Wから第1中間焦点距離状態M1まで広角端状態Wの最大開口径を維持し、第1中間焦点距離状態M1から望遠端状態Tまでは最大開口径が単調に増大する。
【0138】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12との接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とから構成されている。
【0139】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、両凹形状の負レンズL24と両凸形状の正レンズL25との接合レンズとから構成されている。第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面に樹脂層を設けて非球面を形成した複合型非球面レンズである。
【0140】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、両凸形状の正レンズL32と、両凸形状の正レンズL33と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL34との接合レンズとから構成されている。
【0141】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に、両凹形状の負レンズL41と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL42との接合レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43とから構成されている。第4レンズ群G4の最も物体側に位置する両凹形状の負レンズL41は、物体側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0142】
第5レンズ群G5は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL51と、両凸形状の正レンズL52と、両凹形状の負レンズL53と両凸形状の正レンズL54との接合レンズとから構成されている。第5レンズ群G5の最も物体側に位置する正メニスカスレンズL51は、物体側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。両凸形状の正レンズL54から射出した光線は像面Iに結像する。
【0143】
本第4実施例に係る変倍光学系は、第1レンズ群G1の両凸形状の正レンズL12の像面側レンズ面と、第2レンズ群G2の負メニスカスレンズL21の像面側レンズ面に、後述する反射防止膜が形成されている。
【0144】
以下の表4に第4実施例に係る変倍光学系の諸元値を掲げる。
【0145】
(表4)第4実施例

(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 185.24410 2.20000 1.834000 37.16
2 68.75480 8.80000 1.497820 82.52
3 -497.29190 0.10000
4 71.28350 6.45000 1.593190 67.87
5 1172.32230 (可変)

6* 84.76870 0.10000 1.553890 38.09
7 73.93750 1.20000 1.834807 42.72
8 16.75000 6.90150
9 -39.27190 1.00000 1.816000 46.62
10 66.81930 0.15000
11 34.96200 5.30000 1.784723 25.68
12 -38.10160 0.85100
13 -25.92810 1.00000 1.816000 46.62
14 73.51020 2.05000 1.808090 22.79
15 -287.76490 (可変)

16(絞り) ∞ 1.00000
17 67.56430 3.40000 1.593190 67.87
18 -48.87440 0.10000
19 67.50290 2.45000 1.487490 70.41
20 -148.37490 0.10000
21 48.80470 4.10000 1.487490 70.41
22 -34.96390 1.00000 1.808090 22.79
23 -151.08370 (可変)

24* -60.11270 1.00000 1.693500 53.31
25 28.34580 2.15000 1.728250 28.46
26 78.30380 4.62360
27 -25.31330 1.00000 1.729157 54.66
28 -74.02640 (可変)

29* -258.20790 4.30000 1.589130 61.18
30 -24.20710 0.10000
31 31.58110 5.85000 1.487490 70.41
32 -43.77790 1.99120
33 -117.57770 1.00000 1.882997 40.76
34 20.29060 5.20000 1.548141 45.79
35 -725.37280 (Bf)
像面 ∞

(非球面データ)
第6面
κ = 1.0000
A4 = 3.04550E-06
A6 = -3.32430E-09
A8 = -1.97490E-11
A10 = 7.65670E-14
第24面
κ = 1.0000
A4 = 3.99640E-06
A6 = -1.46410E-09
A8 = 0.00000E+00
A10 = 0.00000E+00
第29面
κ = 1.0000
A4 = -1.52760E-05
A6 = 3.24870E-09
A8 = -4.79200E-12
A10 = -1.47520E-13

(各種データ)
ズーム比 15.72
W M1 M2 M3 M4 T
f = 18.53407 28.28311 49.61061 104.44333 280.42014 291.31408
FNO = 4.19822 4.84518 5.60962 5.63139 5.64795 5.65065
ω = 39.09871 25.91447 15.52706 7.44054 2.81841 2.71459
Y = 14.20 14.20 14.20 14.20 14.20 14.20
TL =163.83 172.73 188.63 224.05 249.11 249.82
Bf = 39.11654 46.29035 62.64242 69.74259 81.54926 82.19687
φ = 13.60 13.60 15.70 17.60 20.35 20.50

d5 2.15320 13.04850 21.16970 53.87340 76.26610 76.78310
d15 33.72460 24.55710 15.98250 11.59370 2.46300 2.00000
d23 3.38090 5.75490 9.65610 11.06770 12.30820 12.36930
d28 9.98840 7.61440 3.71320 2.30160 1.06110 1.00000

(ズームレンズ群データ)
群 始面 焦点距離
1 1 118.41983
2 6 −15.62139
3 16 27.10600
4 24 −24.65991
5 29 33.56757

(条件式対応値)
(1) f1/fT=0.407
(2) φT/φW=1.507
(3) φM10/φW=1.496 (φM10は第4中間焦点距離状態M4の値)
(4) φM15/φW=1.496 (φM15は第4中間焦点距離状態M4の値)
(5) φM5/φW=1.294 (φM5は第3中間焦点距離状態M3の値)
(6) fM/fW=1.526 (fMは第1中間焦点距離状態M1の値)
(7) −f2/fT=0.0536
【0146】
図12は、第4実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は第1中間焦点距離状態、(c)は第2中間焦点距離状態をそれぞれ示す。
【0147】
図13は、第4実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は第3中間焦点距離状態、(b)は第4中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。
【0148】
各収差図から、第4実施例に係る変倍光学系は、諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有していることがわかる。
【0149】
(第5実施例)
図14は、第5実施例に係る変倍光学系の構成を示す断面図である。
【0150】
図14に示すように、第5実施例に係る変倍光学系は、光軸に沿って物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1と、負屈折力の第2レンズ群G2と、正屈折力の第3レンズ群G3と、負屈折力の第4レンズ群G4と、正屈折力の第5レンズ群G5とから構成される。
【0151】
広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少するように、像面Iに対して、第1レンズ群G1は単調に物体側へ移動し、第2レンズ群G2は第1中間焦点距離状態M1まで像側へ移動し、第1中間焦点距離状態M1から望遠端状態Tまでは物体側へ移動し、第3レンズ群G3は単調に物体側へ移動する。さらに、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔は増大し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔は減少するように、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5は像面Iに対して単調に物体側へ移動する。
【0152】
開口絞りSは、第2レンズ群G2の像側にある第3レンズ群G3の最も物体側に配置され、第3レンズ群G3と一体で構成される。また、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、開口絞りSは、広角端状態Wから第2中間焦点距離状態M2まで広角端状態Wの最大開口径を維持し、第2中間焦点距離状態M2から望遠端状態Tまでは最大開口径が単調に増大する。
【0153】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12との接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とから構成されている。
【0154】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、両凹形状の負レンズL24と両凸形状の正レンズL25との接合レンズとから構成されている。第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面に樹脂層を設けて非球面を形成した複合型非球面レンズである。
【0155】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、両凸形状の正レンズL32と、両凸形状の正レンズL33と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL34との接合レンズとから構成されている。
【0156】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に、両凹形状の負レンズL41と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL42との接合レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43とから構成されている。第4レンズ群G4の最も物体側に位置する両凹形状の負レンズL41は、物体側のレンズ面に樹脂層を設けて非球面を形成した複合型非球面レンズである。
【0157】
第5レンズ群G5は、光軸に沿って物体側から順に、両凸形状の正レンズL51と、両凸形状の正レンズL52と、両凹形状の負レンズL53と両凸形状の正レンズL54との接合レンズとから構成されている。第5レンズ群G5の最も物体側に位置する両凸形状の正レンズL51は、物体側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。両凸形状の正レンズL54から射出した光線は像面Iに結像する。
【0158】
本第5実施例に係る変倍光学系は、第1レンズ群G1の両凸形状の正レンズL12の像面側レンズ面と、第2レンズ群G2の両凸形状の正レンズL23の像面側レンズ面に、後述する反射防止膜が形成されている。
【0159】
以下の表5に第5実施例に係る変倍光学系の諸元値を掲げる。
【0160】
(表5)第5実施例

(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 175.60560 2.20000 1.834000 37.16
2 67.43020 8.80000 1.497820 82.52
3 -587.78480 0.10000
4 72.27100 6.45000 1.593190 67.87
5 1826.13880 (可変)

6* 84.76870 0.10000 1.553890 38.09
7 73.93750 1.20000 1.834807 42.72
8 17.18730 6.95000
9 -36.98220 1.00000 1.816000 46.62
10 77.92630 0.15000
11 36.63460 5.30000 1.784723 25.68
12 -36.63460 0.80000
13 -26.19910 1.00000 1.816000 46.62
14 63.73960 2.05000 1.808090 22.79
15 -643.27060 (可変)

16(絞り) ∞ 1.00000
17 65.83650 3.40000 1.593190 67.87
18 -50.15460 0.10000
19 65.68170 2.45000 1.487490 70.41
20 -154.97430 0.10000
21 46.73330 4.20000 1.487490 70.41
22 -35.78330 1.00000 1.808090 22.79
23 -191.93180 (可変)

24* -57.29660 0.20000 1.553890 38.09
25 -59.72500 0.90000 1.696797 55.52
26 28.51000 2.15000 1.728250 28.46
27 91.99760 4.14020
28 -32.89540 1.00000 1.729157 54.66
29 -144.33150 (可変)

30* 6427.19190 4.65000 1.589130 61.18
31 -27.38180 0.10000
32 31.47760 5.85000 1.487490 70.41
33 -43.75390 1.45000
34 -113.58970 1.00000 1.882997 40.76
35 20.34810 5.30000 1.548141 45.79
36 -709.14530 (Bf)
像面 ∞

(非球面データ)
第6面
κ = 1.0000
A4 = 2.88220E-06
A6 = -2.29350E-11
A8 = -2.35280E-11
A10 = 9.21570E-14
第24面
κ = 1.0000
A4 = 4.32780E-06
A6 = 1.88460E-09
A8 = 0.00000E+00
A10 = 0.00000E+00
第30面
κ = 1.0000
A4 = -1.36170E-05
A6 = -3.55860E-10
A8 = 1.83080E-11
A10 = -1.86790E-13

(各種データ)
ズーム比 15.70
W M1 M2 M3 M4 T
f = 18.56060 27.94799 48.95245 104.65150 280.18763 291.42454
FNO = 3.57565 4.13253 5.36204 5.62482 5.80434 5.81064
ω = 38.80191 26.18802 15.68652 7.44205 2.82863 2.72113
Y = 14.20 14.20 14.20 14.20 14.20 14.20
TL =164.76 171.03 189.45 225.29 249.99 250.61
Bf = 38.84705 44.06807 62.50183 73.57929 86.00428 86.64770
φ = 15.80 15.80 15.80 17.50 19.50 19.60

d5 2.15700 11.13190 22.22690 53.01000 75.67850 76.25220
d15 33.36360 23.94380 15.96870 11.30360 2.48130 2.00000
d23 3.46820 7.42730 8.95240 9.64300 9.67390 9.62460
d29 11.83830 9.36420 4.70680 2.66290 1.06600 1.00000

(ズームレンズ群データ)
群 始面 焦点距離
1 1 117.72937
2 6 −15.60945
3 16 27.35473
4 24 −26.50041
5 30 35.20423

(条件式対応値)
(1) f1/fT=0.404
(2) φT/φW=1.241
(3) φM10/φW=1.234 (φM10は第4中間焦点距離状態M4の値)
(4) φM15/φW=1.234 (φM15は第4中間焦点距離状態M4の値)
(5) φM5/φW=1.108 (φM5は第3中間焦点距離状態M3の値)
(6) fM/fW=2.637 (fMは第2中間焦点距離状態M2の値)
(7) −f2/fT=0.0536
【0161】
図15は、第5実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は広角端状態、(b)は第1中間焦点距離状態、(c)は第2中間焦点距離状態をそれぞれ示す。
【0162】
図16は、第5実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦状態での諸収差図を示し、(a)は第3中間焦点距離状態、(b)は第4中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。
【0163】
各収差図から、第5実施例に係る変倍光学系は、諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有していることがわかる。
【0164】
以上のように、本実施形態によれば、収差変動を抑え、高い光学性能を有する変倍光学系を提供することができる。
【0165】
ここで、本願の変倍光学系に用いられる反射防止膜(多層広帯域反射防止膜とも言う)について説明する。図19は、反射防止膜の膜構成の一例を示す図である。この反射防止膜101は7層からなり、レンズ等の光学部材102の光学面に形成される。第1層101aは真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムで形成されている。また、この第1層101aの上に更に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第2層101bが形成される。さらに、この第2層101bの上に真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムからなる第3層101cが形成され、この第3層101cの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第4層101dが形成される。またさらに、この第4層101dの上に真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムからなる第5層101eが形成され、この第5層101eの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第6層101fが形成される。
【0166】
そして、このようにして形成された第6層101fの上に、ウェットプロセスによりフッ化マグネシウムとシリカの混合物からなる第7層101gが形成されて本実施形態の反射防止膜101が形成される。第7層101gの形成には、ウェットプロセスの一種であるゾルーゲル法を用いている。ゾルーゲル法とは、原料を混合することにより得られたゾルを、加水分解・重縮合反応などにより流動性のないゲルとし、このゲルを加熱・分解して生成物を得る方法であり、光学薄膜の作製においては、光学部材の光学面上に光学薄膜材料ゾルを塗布し、乾燥固化によりゲル膜とすることで膜を生成することができる。なお、ウェットプロセスとして、ゾルーゲル法に限らず、ゲル状態を経ないで固体膜を得る方法を用いるようにしてもよい。
【0167】
このように、この反射防止膜101の第1層101a〜第6層101fまではドライプロセスである電子ビーム蒸着により形成され、最上層である第7層101gは、フッ酸/酢酸マグネシウム法で調製したゾル液を用いるウェットプロセスにより以下の手順で形成されている。まず、予めレンズ成膜面(上述の光学部材102の光学面)に真空蒸着装置を用いて第1層101aとなる酸化アルミニウム層、第2層101bとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層、第3層101cとなる酸化アルミニウム層、第4層101dとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層、第5層101eとなる酸化アルミニウム層、第6層101fとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層を順に形成する。そして、蒸着装置より光学部材102を取り出した後、フッ酸/酢酸マグネシウム法により調製したゾル液にシリコンアルコキシドを加えたものをスピンコート法により塗布することにより、第7層101gとなるフッ化マグネシウムとシリカの混合物からなる層を形成する。フッ酸/酢酸マグネシウム法によって調製される際の反応式を以下の式(a)に示す。
【0168】
(a) 2HF+Mg(CH3COO)2→MgF2+2CH3COOH
【0169】
この成膜に用いたゾル液は、原料混合後、オートクレーブで140℃、24時間高温加圧熟成処理を施した後、成膜に用いられる。この光学部材102は、第7層101gの成膜終了後、大気中で160℃、1時間加熱処理して完成される。このようなゾル−ゲル法を用いることにより、大きさが数nmから数十nmの粒子が空隙を残して堆積することにより第7層101gが形成される。
【0170】
このようにして形成された反射防止膜101を有する光学部材の光学的性能について図20に示す分光特性を用いて説明する。
【0171】
本実施形態に係る反射防止膜を有する光学部材(レンズ)は、以下の表6に示す条件で形成されている。ここで表6は、基準波長をλとし、基板の屈折率(光学部材)が1.62、1.74及び1.85について反射防止膜101の各層101a(第1層)〜101g(第7層)の光学膜厚をそれぞれ求めたものである。なお、表6では、酸化アルミニウムをAl2O3、酸化チタンと酸化ジルコニウム混合物をZrO2+TiO2、フッ化マグネシウムとシリカの混合物をMgF2+SiO2とそれぞれ表している。
【0172】
(表6)
物質 屈折率 光学膜厚 光学膜厚 光学膜厚
媒質 空気 1
第7層 MgF2+SiO2 1.26 0.268λ 0.271λ 0.269λ
第6層 ZrO2+TiO2 2.12 0.057λ 0.054λ 0.059λ
第5層 Al2O3 1.65 0.171λ 0.178λ 0.162λ
第4層 ZrO2+TiO2 2.12 0.127λ 0.13λ 0.158λ
第3層 Al2O3 1.65 0.122λ 0.107λ 0.08λ
第2層 ZrO2+TiO2 2.12 0.059λ 0.075λ 0.105λ
第1層 Al2O3 1.65 0.257λ 0.03λ 0.03λ
基板の屈折率 1.62 1.74 1.85
【0173】
図20は、表6において基準波長λを550nmとして反射防止膜101の各層の光学膜厚を設計した光学部材に光線が垂直入射する時の分光特性を表している。
【0174】
図20から、基準波長λを550nmで設計した反射防止膜101を有する光学部材は、光線の波長が420nm〜720nmの全域で反射率を0.2%以下に抑えられることが判る。また、表6において基準波長λをd線(波長587.6nm)として各光学膜厚を設計した反射防止膜101を有する光学部材でも、その分光特性にはほとんど影響せず、図20に示す基準波長λが550nmの場合とほぼ同等の分光特性を有する。
【0175】
次に、本反射防止膜の変形例について説明する。この反射防止膜は5層からなり、表6と同様、以下の表7で示される条件で基準波長λに対する各層の光学膜厚が設計される。本変形例では、第5層の形成に前述のゾル−ゲル法を用いている。
【0176】
(表7)
物質 屈折率 光学膜厚 光学膜厚
媒質 空気 1
第5層 MgF2+SiO2 1.26 0.275λ 0.269λ
第4層 ZrO2+TiO2 2.12 0.045λ 0.043λ
第3層 Al2O3 1.65 0.212λ 0.217λ
第2層 ZrO2+TiO2 2.12 0.077λ 0.066λ
第1層 Al2O3 1.65 0.288λ 0.290λ
基板の屈折率 1.46 1.52
【0177】
図21は、表7において、基板の屈折率が1.52及び基準波長λを550nmとして各光学膜厚を設計した反射防止膜を有する光学部材に光線が垂直入射する時の分光特性を示している。図21から本変形例の反射防止膜は、光線の波長が420nm〜720nmの全域で反射率が0.2%以下に抑えられることがわかる。なお、表7において基準波長λをd線(波長587.6nm)として各光学膜厚を設計した反射防止膜を有する光学部材でも、その分光特性にはほとんど影響せず、図21に示す分光特性とほぼ同等の特性を有する。
【0178】
図22は、図21に示す分光特性を有する光学部材への光線の入射角が30度、45度、60度の場合の分光特性をそれぞれ示す。なお、図21、図22には表7に示す基板の屈折率が1.46の反射防止膜を有する光学部材の分光特性が図示されていないが、基板の屈折率が1.52とほぼ同等の分光特性を有していることは言うまでもない。
【0179】
また比較のため、図23に、従来の真空蒸着法などのドライプロセスのみで成膜した反射防止膜の一例を示す。図23は、表7と同じ基板の屈折率1.52に以下の表8で示される条件で構成される反射防止膜を設計した光学部材に光線が垂直入射する時の分光特性を示す。また、図24は、図23に示す分光特性を有する光学部材への光線の入射角が30度、45度、60度の場合の分光特性をそれぞれ示す。
【0180】
(表8)
物質 屈折率 光学膜厚
媒質 空気 1
第7層 MgF2 1.39 0.243λ
第6層 ZrO2+TiO2 2.12 0.119λ
第5層 Al2O3 1.65 0.057λ
第4層 ZrO2+TiO2 2.12 0.220λ
第3層 Al2O3 1.65 0.064λ
第2層 ZrO2+TiO2 2.12 0.057λ
第1層 Al2O3 1.65 0.193λ
基板の屈折率 1.52

【0181】
図20〜図22で示される本実施形態に係る反射防止膜を有する光学部材の分光特性を、図23および図24で示される従来例の分光特性と比較すると、本反射防止膜はいずれの入射角においてもより低い反射率を有し、しかもより広い帯域を有することが良くわかる。
【0182】
次に、本願の第1実施例から第5実施例に、上記表6および表7に示す反射防止膜を適用した例について説明する。
【0183】
本第1実施例の変倍光学系において、第2レンズ群G2の負メニスカスレンズL21の屈折率は、表1に示すように、nd=1.834807であり、第2レンズ群G2の両凹形状の負レンズL22の屈折率は、nd=1.816000であるため、負メニスカスレンズL21における像面側のレンズ面に基板の屈折率が1.85に対応する反射防止膜101(表6参照)を用い、両凹形状の負レンズL22の物体側のレンズ面に、基板の屈折率が1.85に対応する反射防止膜(表6参照)を用いることで各レンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
【0184】
本第2実施例の変倍光学系において、第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL13の屈折率は、表2に示すように、nd=1.593190であり、第2レンズ群G2の両凸形状の正レンズL23の屈折率は、nd=1.784720であるため、正メニスカスレンズL13における物体側のレンズ面に基板の屈折率が1.62に対応する反射防止膜101(表6参照)を用い、両凸形状の正レンズL23の像面側のレンズ面に、基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜(表6参照)を用いることで各レンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
【0185】
本第3実施例の変倍光学系において、第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL13の屈折率は、表3に示すように、nd=1.593190であり、第2レンズ群G2の両凹形状の負レンズL24の屈折率は、nd=1.816000であるため、正メニスカスレンズL13における物体側のレンズ面に基板の屈折率が1.62に対応する反射防止膜101(表6参照)を用い、両凹形状の負レンズL24の物体側のレンズ面に、基板の屈折率が1.85に対応する反射防止膜(表6参照)を用いることで各レンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
【0186】
本第4実施例の変倍光学系において、第1レンズ群G1の両凸形状の正レンズL12の屈折率は、表4に示すように、nd=1.497820であり、第2レンズ群G2の負メニスカスレンズL21の屈折率は、nd=1.834807であるため、両凸形状の正レンズL12における像面側のレンズ面に基板の屈折率が1.52に対応する反射防止膜101(表7参照)を用い、負メニスカスレンズL21の像面側のレンズ面に、基板の屈折率が1.85に対応する反射防止膜(表6参照)を用いることで各レンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
【0187】
本第5実施例の変倍光学系において、第1レンズ群G1の両凸形状の正レンズL12の屈折率は、表5に示すように、nd=1.497820であり、第2レンズ群G2の両凸形状の正レンズL23の屈折率は、nd=1.784723であるため、両凸形状の正レンズL12における像面側のレンズ面に基板の屈折率が1.52に対応する反射防止膜101(表7参照)を用い、両凸形状の正レンズL23の像面側のレンズ面に、基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜(表6参照)を用いることで各レンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
【0188】
次に、本実施形態に係る変倍光学系を搭載したカメラについて説明する。なお、第1実施例に係る変倍光学系を搭載した場合について説明するが、他の実施例でも同様である。
【0189】
図17は、第1実施例に係る変倍光学系を備えたカメラの構成を示す図である。
【0190】
図17において、カメラ1は、撮影レンズ2として第1実施例に係る変倍光学系を備えたデジタル一眼レフカメラである。カメラ1において、不図示の物体(被写体)からの光は、撮影レンズ2で集光されて、クイックリターンミラー3を介して焦点板4に結像される。そして焦点板4に結像されたこの光は、ペンタプリズム5中で複数回反射されて接眼レンズ6へ導かれる。これにより撮影者は、被写体像を接眼レンズ6を介して正立像として観察することができる。
【0191】
また、撮影者によって不図示のレリーズボタンが押されると、クイックリターンミラー3が光路外へ退避し、不図示の被写体からの光は撮像素子7へ到達する。これにより被写体からの光は、撮像素子7によって撮像されて、被写体画像として不図示のメモリに記録される。このようにして、撮影者はカメラ1による被写体の撮影を行うことができる。
【0192】
カメラ1に撮影レンズ2として第1実施例に係る変倍光学系を搭載することにより、高い性能を有するカメラを実現することができる。なお、本実施例に係る変倍光学系は、クイックリターンミラーのないミラーレスカメラに使用しても同様の効果を奏することができる。
【0193】
以下、本願の変倍光学系の製造方法の概略を説明する。
【0194】
図18は、本願の変倍光学系の製造方法を示す図である。
【0195】
本願の変倍光学系の製造方法は、光軸に沿って物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群と、負屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の第3レンズ群と、負屈折力の第4レンズ群と、正屈折力の第5レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、図18に示すステップS1,S2,S3を含むものである。
【0196】
ステップS1:開口絞りを第2レンズ群より像側に配置する。
【0197】
ステップS2:第1レンズ群と第2レンズ群と第3レンズ群と第4レンズ群と第5レンズ群とを、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔が増大可能、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔が減少可能、第3レンズ群と第4レンズ群との間隔が変化可能、第4レンズ群と第5レンズ群との間隔が変化可能に配置する。
【0198】
ステップS3:以下の条件式(1)、(2)を満足するようにする。
(1) 0.17 < f1/fT < 0.60
(2) 1.03 < φT/φW < 1.70
但し、fTは望遠端状態における全系の焦点距離、f1は第1レンズ群の焦点距離、φWは広角端状態における開口絞りの最大開口径、φTは望遠端状態における開口絞りの最大開口径である。
【0199】
本願の変倍光学系の製造方法によれば、収差変動を抑え、ゴーストやフレアをより低減させ、高い光学性能を有する変倍光学系を製造することができる。
【0200】
なお、以下に記載の内容は、光学性能を損なわない範囲で適宜採用可能である。
【0201】
実施例では、5群構成を示したが、6群等の他の群構成にも適用可能である。また、最も物体側にレンズまたはレンズ群を追加した構成や、最も像側にレンズまたはレンズ群を追加した構成でも構わない。また、レンズ群とは、変倍時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0202】
単独または複数のレンズ群、または部分レンズ群を光軸方向に移動させて、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う合焦レンズ群としても良い。前記合焦レンズ群は、オートフォーカスにも適用でき、オートフォーカス用の(超音波モータ等を用いた)モータ駆動にも適している。特に、第2レンズ群の少なくとも一部を合焦レンズ群とするのが好ましい。
【0203】
また、レンズ群または部分レンズ群を光軸に垂直な方向の成分を持つように移動させ、または、光軸を含む面内方向に回転移動(揺動)させて、手ブレによって生じる像ブレを補正する防振レンズ群としても良い。特に、第4レンズ群の少なくとも一部を防振レンズ群とするのが好ましい。
【0204】
また、レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。
【0205】
レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防げるので好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないので好ましい。
【0206】
レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも構わない。また、レンズ面は回折面としても良く、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしても良い。
【0207】
また、本実施形態の変倍光学系は、変倍比が7〜25程度である。
【0208】
また、本実施形態の変倍光学系は、第1レンズ群が正のレンズ成分を2つ有するのが好ましい。また、第1レンズ群は、物体側から順に、正正の順番にレンズ成分を、空気間隔を介在させて配置するのが好ましい。
【0209】
また、本実施形態の変倍光学系は、第2レンズ群が正のレンズ成分を1つと負のレンズ成分を3つ有するのが好ましい。また、第2レンズ群は、物体側から順に、負負正負の順番にレンズ成分を、空気間隔を介在させて配置するのが好ましい。
【0210】
また、本実施形態の変倍光学系は、第3レンズ群が正のレンズ成分を3つ有するのが好ましい。
【0211】
また、本実施形態の変倍光学系は、第4レンズ群が負のレンズ成分を2つ有するのが好ましい。
【0212】
また、本実施形態の変倍光学系は、第5レンズ群が正のレンズ成分を2つ有するのが好ましい。また、第5レンズ群は、物体側から順に、正正の順番にレンズ成分を、空気間隔を介在させて配置するのが好ましい。
【0213】
なお、本発明を分かり易く説明するために実施形態の構成要件を付して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0214】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
S 開口絞り
I 像面
1 カメラ
101 反射防止膜
101a 第1層
101b 第2層
101c 第3層
101d 第4層
101e 第5層
101f 第6層
101g 第7層
102 光学部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿って物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群と、負屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の第3レンズ群と、負屈折力の第4レンズ群と、正屈折力の第5レンズ群とを有し、
前記第2レンズ群より像側に開口絞りを有し、
広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は増大し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔は減少し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔は変化し、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔は変化し、
以下の条件式を満足し、
前記第1レンズ群および前記第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面に反射防止膜が設けられ、反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含むように構成されていることを特徴とする変倍光学系。
0.17 < f1/fT < 0.60
1.03 < φT/φW < 1.70
但し、
fT:望遠端状態における全系の焦点距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
φW:広角端状態における前記開口絞りの最大開口径
φT:望遠端状態における前記開口絞りの最大開口径
【請求項2】
前記反射防止膜は多層膜であり、
前記ウェットプロセスで形成された層は、前記多層膜を構成する層のうち最も表面側の層であることを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
【請求項3】
前記ウェットプロセスを用いて形成された層の屈折率をndとしたとき、ndは1.30以下であることを特徴とする請求項1から2に記載の変倍光学系。
【請求項4】
前記反射防止膜が設けられた前記光学面は、開口絞りから見て凹形状のレンズ面であることを特徴とする請求項1から3に記載の変倍光学系。
【請求項5】
前記開口絞りから見て凹形状のレンズ面は、像面側のレンズ面であることを特徴とする請求項4に記載の変倍光学系。
【請求項6】
前記開口絞りから見て凹形状のレンズ面は、物体側のレンズ面であることを特徴とする請求項4に記載の変倍光学系。
【請求項7】
前記反射防止膜が設けられた前記光学面は、物体から見て凹形状のレンズ面であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の変倍光学系。
【請求項8】
前記反射防止膜が設けられた前記凹形状のレンズ面は、前記第1レンズ群の最も物体側のレンズから像面側に2番目のレンズの、像面側レンズ面であることを特徴とする請求項7に記載の変倍光学系。
【請求項9】
前記反射防止膜が設けられた前記凹形状のレンズ面は、前記第2レンズ群の最も物体側のレンズから像面側に2番目のレンズの、物体側レンズ面であることを特徴とする請求項7に記載の変倍光学系。
【請求項10】
前記反射防止膜が設けられた前記凹形状のレンズ面は、前記第2レンズ群の最も物体側のレンズから像面側に3番目のレンズの、像面側レンズ面であることを特徴とする請求項7に記載の変倍光学系。
【請求項11】
前記反射防止膜が設けられた前記凹形状のレンズ面は、前記第2レンズ群の最も物体側のレンズから像面側に4番目のレンズの、物体側レンズ面であることを特徴とする請求項7に記載の変倍光学系。
【請求項12】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の変倍光学系。
1.02 < φM10/φW < 1.70
但し、
φM10:広角端状態における全系の焦点距離をfWとするとき、全系の焦点距離がfWの10倍以上の中間焦点距離状態での前記開口絞りの最大開口径
φW:広角端状態における前記開口絞りの最大開口径
【請求項13】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の変倍光学系。
1.02 < φM15/φW < 1.70
但し、
φM15:広角端状態における全系の焦点距離をfWとするとき、全系の焦点距離がfWの15倍以上の中間焦点距離状態での前記開口絞りの最大開口径
φW:広角端状態における前記開口絞りの最大開口径
【請求項14】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の変倍光学系。
1.00 ≦ φM5/φW < 1.40
但し、
φM5:広角端状態における全系の焦点距離をfWとするとき、全系の焦点距離がfWの5倍以上8倍以下の中間焦点距離状態での前記開口絞りの最大開口径
φW:広角端状態における前記開口絞りの最大開口径
【請求項15】
広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、前記開口絞りは、広角端状態から全系の焦点距離fMの中間焦点距離状態まで広角端状態の最大開口径を維持し、
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の変倍光学系。
1.50 < fM/fW < 15.00
但し、
fW:広角端状態における全系の焦点距離
【請求項16】
前記全系の焦点距離fMの中間焦点距離状態から望遠端状態への変倍に際し、前記開口絞りの最大開口径は単調に増大することを特徴とする請求項15に記載の変倍光学系。
【請求項17】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の変倍光学系。
0.032 < −f2/fT < 0.064
但し、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
fT:望遠端状態における全系の焦点距離
【請求項18】
広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、全系のFナンバーは単調に増大することを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の変倍光学系。
【請求項19】
広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、前記第1レンズ群は像面に対して物体側に移動することを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載の変倍光学系。
【請求項20】
広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、前記開口絞りは、前記第3レンズ群の少なくとも一部と一体に移動することを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の変倍光学系。
【請求項21】
前記開口絞りは、前記第3レンズ群の物体側に配置されることを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載の変倍光学系。
【請求項22】
広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、前記第3レンズ群と前記第5レンズ群は一体で移動することを特徴とする請求項1から21のいずれか1項に記載の変倍光学系。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか1項に記載の変倍光学系を有することを特徴とする光学装置。
【請求項24】
光軸に沿って物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群と、負屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の第3レンズ群と、負屈折力の第4レンズ群と、正屈折力の第5レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、
開口絞りを前記第2レンズ群より像側に配置し、
前記第1レンズ群と前記第2レンズ群と前記第3レンズ群と前記第4レンズ群と前記第5レンズ群とを、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が増大可能、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が減少可能、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化可能、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔が変化可能に配置し、
以下の条件式を満足し、
前記第1レンズ群および前記第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面に反射防止膜が設けられ、反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含むように構成されていることを特徴とする変倍光学系の製造方法。
0.17 < f1/fT < 0.60
1.03 < φT/φW < 1.70
但し、
fT:望遠端状態における全系の焦点距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
φW:広角端状態における前記開口絞りの最大開口径
φT:望遠端状態における前記開口絞りの最大開口径

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−159745(P2012−159745A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20123(P2011−20123)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】