説明

変倍光学系及びそれを用いた撮像装置

【課題】 低背化、高性能化した変倍光学系を提供する。
【解決手段】 少なくとも3つのレンズ群からなり、各レンズ群の間隔を変化させて変倍を行う変倍光学系において、絞りよりも像面側に、複数枚のレンズからなる全体として正の屈折力を有するレンズ群を有し、前記正の屈折力を有するレンズ群内に、空気両凸レンズを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型で良好な光学性能を有する変倍光学系及びそれを用いた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型で駆動機構の少ない変倍撮像レンズとして、2焦点切り替え型結像レンズが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された光学系は、負正正の3群よりなり、第2レンズ群のみを光軸方向に移動させることで変倍を行うものである。そして、通常のズームレンズと異なり、広角端、望遠端の2焦点の結像性能を満足すればよいため、変倍時にだい1レンズ群と第3レンズ群とを固定することができ、機構を簡素化することが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−93961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された光学系は、変倍比が2.5倍以下であって、全長も長く、大型であった。
【0005】
本発明は、このような状況を鑑み発明されたものであって、近年の薄く小型化した携帯モバイル等に搭載する撮影レンズに適合するような低背化、高性能化した変倍光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る変倍光学系は、少なくとも3つのレンズ群からなり、各レンズ群の間隔を変化させて変倍を行う変倍光学系において、
絞りよりも像面側に、複数枚のレンズからなる全体として正の屈折力を有するレンズ群を有し、
前記正の屈折力を有するレンズ群内に、空気両凸レンズを有することを特徴とする。
【0007】
以下、このような構成をとった理由と作用を説明する。
【0008】
本発明に係る変倍光学系は、撮像レンズを構成する正の屈折力を有する変倍群に両凸形状の空気レンズ、ずなわち、像面側に凹面を向けたレンズと物体側に凹面を向けたレンズの凹面同士を向かい合わせて配置することで、変倍レンズ群の前側主点位置を物体側へ移動することができると共に、変倍レンズ群の後側主点位置との間隔いわゆる主点間隔を広げることができる。
【0009】
すなわち、変倍レンズ群の光軸方向への大きな移動を伴わずに物体像を像面へ伝達することが可能となる。したがって、光軸方向への小さいレンズ群の移動により、大きな倍率を確保することができる。つまりは、レンズの全長方向への小型化と、高変倍比の両立が可能となる。
【0010】
さらには、変倍レンズ群の主点間隔が広がることで、その前後に配置されるレンズ群の焦点距離を大きくすることができるため、パワーが少なくて済みレンズ厚を小さくでき、小型化や屈折率の低い硝材で構成できるため、低コスト化につながり好ましい。また、偏心感度も小さくなり好ましい。
【0011】
また、前記空気両凸レンズは、以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
−0.5 ≦(Ra1+Ra2)/(Ra1−Ra2)≦ 0.5 (1)
ただし、Ra1は空気レンズの物体側の面の曲率半径、Ra2は空気レンズの像面側の面の曲率半径である。
【0012】
条件式(1)は、第2レンズ群内に形成される両凸空気レンズのシェーピングファクターを示している。
【0013】
条件式(1)の上限を上回ると、空気レンズの物体面の曲率半径が大きくなりすぎ、前側主点位置をより物体側へ配置できなくなる。また、条件式(1)の下限を下回ると、空気レンズの像面の曲率半径が大きくなりすぎ、後側主点位置がより物体側へ配置される。いずれの場合も変倍レンズ群の主点間隔が狭くなり全長短縮化と高変倍化の両立が困難となる。条件式(1)の範囲内を保つことで、球面収差、コマ収差の変動を良好に補正できるため好ましい。
【0014】
また、条件式(1)は、以下の条件式(1−1)であればより良好な性能を保ったまま全長短縮が可能となる。
−0.2 ≦(Ra1+Ra2)/(Ra1−Ra2)≦ 0.2 (1−1)
【0015】
また、前記第2レンズ群は、以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
0.2 ≦ |f 2|/{(fw・ft)1/2} ≦ 1.0 (2)
ただし、f 2は第1レンズ群の焦点距離、fw広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。
【0016】
条件式(2)は、第2レンズ群の焦点距離を示している。
【0017】
一般的に、第2レンズ群の屈折力が十分強いことで変倍時の移動量を少なくすることが可能であり、光学系の全長を短縮することができる。しかし、屈折力が大きくなると、一般的に収差の補正が困難になる。
【0018】
条件式(2)の下限を下回ると、球面収差とコマ収差の悪化を招くため望ましくない。条件式(2)の上限を上回ると、変倍時の移動量の増大を招き望ましくない。
【0019】
また、条件式(2)は、以下の条件式(2−1)であれば、より良好な性能を保ったまま全長短縮が可能となる。
0.3 ≦ |f 2|/{(fw・ft)1/2} ≦ 0.6 (2−1)
【0020】
また、前記第3レンズ群が以下の条件を満足することが好ましい。
0.2 ≦(R4a+R4b)/(R4a−R4b)≦ 5.0 (3)
但し、R4aは第3レンズ群の物体側の面の曲率半径、R4bは第3レンズ群の像面側の面の曲率半径である。
【0021】
条件式(3)は、第3レンズ群の正レンズのシェーピングファクターを示している。
【0022】
条件式(3)は、上限を上回る、又は下限を下回ると、ディストーション、像面湾曲の悪化を招くため好ましくない。条件式(3)の範囲内を保つことで、収差変動を良好に保ったまま第3レンズ群の主点の位置を像側へ移動できるため全長短縮が可能となる。
【0023】
また、条件式(3)は、以下の条件式(3−1)であればより良好な性能を保ったまま全長短縮が可能となる。
1.0 ≦(R4a+R4b)/(R4a−R4b)≦ 2.5 (3)
【0024】
また、前記第2レンズ群は、連続した2つの負の屈折力を有するレンズを有することが好ましい。
【0025】
変倍レンズ群に連続した2枚の負レンズが配置されることにより、合成凹レンズで見たときの主点間隔が広がると共に、変倍レンズ群の前側主点位置をより物体側へ配置することが可能となる。
【0026】
また、前記第2レンズ群は、少なくとも4つのレンズからなり、物体側から順に正・正・負・負の屈折力を有するレンズで構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の変倍光学系。
【0027】
変倍レンズ群を物体側より順に正正負負の屈折力を有するレンズで構成することで、少ないレンズ枚数で、変倍レンズ群の主点位置を最も物体側へ配置することが可能となる。
【0028】
また、前記第1レンズ群は、広角端から望遠端への変倍時や無限撮影から至近撮影に至る撮影時に固定であることが好ましい。
【0029】
変倍時に全長固定であることで鏡枠の強度を容易に確保することが可能であり、鏡枠の構成を簡素にすることができ、小型化が可能である。
【0030】
変倍光学系の像側に配置され光学像を電気信号に変換する撮像面を持つ撮像素子を有する撮像装置において、その撮像装置の変倍光学系は、上記いずれかの変倍光学系とすることが好ましい。
【0031】
また、上述の各発明は任意に複数を同時に満足することがより好ましい。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明の変倍光学系によれば、レンズの全長方向への小型化と、高変倍比の両立が可能となる。また、パワーが少なくて済みレンズ厚を小さくでき、小型化や屈折率の低い硝材で構成できるため、低コスト化することが可能となる。また、偏心感度も小さくなり好ましい。さらに、このような変倍光学系を用いた撮像装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例1の光学系の断面図である。
【図2】実施例1の光学系の断面図である。
【図3】実施例2の光学系の断面図である。
【図4】実施例2の光学系の断面図である。
【図5】実施例1の光学系の収差図である。
【図6】実施例1の光学系の収差図である。
【図7】実施例2の光学系の収差図である。
【図8】実施例2の光学系の収差図である。
【図9】デジタルカメラの外観を示す前方斜視図である。
【図10】デジタルカメラの外観を示す後方斜視図である。
【図11】デジタルカメラの構成を示す断面図である。
【図12】パソコンのカバーを開いた前方斜視図である。
【図13】パソコンの撮影光学系の断面図である。
【図14】図12の状態の側面図である。
【図15】携帯電話の正面図である。
【図16】携帯電話の側面図である。
【図17】携帯電話の撮影光学系の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施例1及び実施例2の光学系について説明する。
【0035】
図1は実施例1の光学系の広角端及び広角端至近の時の断面図、図2は実施例1の光学系の望遠端及び望遠端至近の時の断面図である。図1(a)は実施例1の光学系の広角端の時の断面図、図1(b)は光学系の広角端至近の時の断面図、図2(a)は実施例1の光学系の望遠端の時の断面図、図2(b)は実施例1の光学系の望遠端至近の時の断面図である。
【0036】
実施例1の光学系は、図1及び図2に示すように、物体側より順に負の屈折力の第1レンズ群G1、正の屈折力の第2レンズ群G2、正の屈折力の第3レンズ群G3とを有している。
【0037】
第1レンズ群G1は、物体側より順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL2を接合した接合レンズで構成されており、全体で負の屈折力を有している。第1レンズ群G1は変倍時に固定である。
【0038】
第2レンズ群G2は、物体側より順に、両凸正レンズL3、両凸正レンズL4と両凹負レンズL5を接合した接合レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL6から構成されており、全体で正の屈折力を有している。
【0039】
第3レンズ群G3は、物体面に凹面を向けた正メニスカスレンズL7の1枚で構成されている。第3レンズ群G3は変倍時に固定である。
【0040】
また、CGはカバーガラス、Iは像面である。
【0041】
図1(a)に示す広角端の状態から、図2(a)に示す望遠端の状態へは、第2レンズ群G2を物体側へ移動する。広角端から望遠端への変倍比は2.55倍であり、光学全長は変倍時に一定であり8.9mmである。
【0042】
広角端における至近物点の撮影時には、図1(b)に示すように、第2レンズ群G2を物体側へ移動することで合焦を行う。
【0043】
望遠端における至近物点の撮影時には、図2(b)に示すように、第2レンズ群G2を像側へ移動することで合焦を行う。
【0044】
非球面は、第1レンズ群G1の負メニスカスレンズL1の物体側の面及び正メニスカスレンズL2の像側の面、第2レンズ群G2の最も物体側に配置された両凸正レンズL3の両面、両凹負レンズL5の像側の面及び負メニスカスレンズL6の両面、並びに第3レンズ群G3の正メニスカスレンズL7の両面の9面に用いている。
【0045】
図3は実施例2の光学系の広角端及び広角端至近の時の断面図、図4は実施例2の光学系の望遠端及び望遠端至近の時の断面図である。図3(a)は実施例2の光学系の広角端の時の断面図、図3(b)は実施例2の光学系の広角端至近の時の断面図、図4(a)は実施例2の光学系の望遠端の時の断面図、図4(b)は実施例2の光学系の望遠端至近の時の断面図である。
【0046】
実施例2の光学系は、図3及び図4に示すように、物体側より順に負の屈折力の第1レンズ群G1、正の屈折力の第2レンズ群G2、正の屈折力の第3レンズ群G3とを有している。
【0047】
第1レンズ群G1は、物体側より順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL2を接合した接合レンズで構成されており、全体で負の屈折力を有している。
【0048】
第2レンズ群G2は、物体側より順に、両凸正レンズL3、両凸正レンズL4と両凹負レンズL5を接合した接合レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL6から構成されており、全体で正の屈折力を有している。
【0049】
第3レンズ群G3は、物体面に凹面を向けた正メニスカスレンズL7の1枚で構成されている。第3レンズ群G3は変倍時に固定である。
【0050】
また、CGはカバーガラス、Iは像面である。
【0051】
図3(a)に示す広角端の状態から、図4(a)に示す望遠端の状態へは、第1レンズ群G1を物体側へ移動し、第2レンズ群G2を物体側へ移動する。また、カバーガラスCも物体側へ移動する。広角端から望遠端への変倍比は2.8倍である。
【0052】
広角端における至近物点の撮影時には、図3(b)に示すように、第2レンズ群G2を物体側へ移動することで合焦を行う。
【0053】
望遠端における至近物点の撮影時には、図4(b)に示すように、第2レンズ群G2を像側へ移動することで合焦を行う。
【0054】
非球面は、第1レンズ群G1の負メニスカスレンズL1の物体側の面及び正メニスカスレンズL2の像側の面、第2レンズ群G2の最も物体側に配置された両凸正レンズL3の両面、両凹負レンズL5の像側の面及び負メニスカスレンズL6の両面、並びに第3レンズ群G3の正メニスカスレンズL7の両面の9面に用いている。
【0055】
以下に、実施例1及び実施例2の数値データを示す。実施例1及び実施例2の数値データにおいて、rはレンズ面の曲率半径,dはレンズ肉厚および空気間隔,Ndおよびνdはd線(λ=587.6nm)における屈折率およびアッべ数、ERは有効径を示す。またFnoはFナンバー、ωは半画角(°)である。
【0056】
実施例の説明の諸元表中、(非球面)を付した面は非球面形状の面である。非球面形状を表す式は、光軸に垂直な高さをH,面頂を原点としたときの高さHにおける光軸方向の変位量をX(H),近軸曲率半径をr,円錐係数をK,2次,4次,6次,8次,10次,12次の非球面係数をそれぞれA2,A4,A6,A8,A10,A12としたとき次の(9)式で表される。
X(H)=(H2/r)/{1+[1−(1+K)・(H2/r2)]1/2
+A4H4+A6H6+A8H8+A10H10+A12H12
【0057】
数値実施例 1
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd ER
1(非球面) 284.077 0.30 1.69350 53.20 1.81
2 3.822 0.28 1.63387 23.38 1.61
3(非球面) 3.814 D3 1.00000 1.58
4(絞り) ∞ 0.00 1.00000 1.58
5(非球面) 2.077 0.76 1.59201 67.02 0.95
6(非球面) -24.100 0.10 1.00000 1.04
7 2.224 0.56 1.83400 37.16 1.05
8 -9.331 0.21 1.61000 25.60 1.00
9(非球面) 1.619 D9 1.00000 0.90
10(非球面) -2.350 0.27 1.54454 55.90 0.88
11(非球面) -17868.043 D11 1.00000 1.05
12(非球面) -5.803 1.42 1.54454 55.90 2.00
13(非球面) -1.777 D13 1.00000 2.22
14 ∞ 0.30 1.51633 64.14 2.50
15 ∞ D15 1.00000 2.50
像面 ∞

非球面データ
第1面
K=-1.000,A4=-3.27261E-02,A6=7.59290E-03,A8=-4.42538E-04,A10=-6.84510E-05
第3面
K=-1.000,A4=-4.03320E-02,A6=1.10490E-02,A8=-3.36010E-04,A10=-3.26020E-04
第5面
K=0.000,A4=-2.68318E-02,A6=-2.49567E-02,A8=7.31686E-03,A10=-1.52062E-02
第6面
K=0.000,A4=-4.27094E-02,A6=-2.02273E-02,A8=1.03398E-03,A10=-7.25287E-03
第9面
K=0.000,A4=7.35129E-02,A6=8.47754E-04,A8=7.68574E-02
第10面
K=0.000,A4=-1.44219E-01,A6=8.68545E-03,A8=1.08777E-01,A10=-1.08300E-01
第11面
K=-1.000,A4=-6.99290E-02,A6=8.61586E-02,A8=-1.22815E-02,A10=-6.73050E-03
第12面
K=0.000,A4=-2.97803E-02,A6=9.93186E-03,A8=-1.40598E-03,A10=-4.49689E-07
第13面
K=-0.491,A4=5.60354E-03,A6=1.33571E-03,A8=3.98382E-04,A10=-7.33348E-05


ズームデータ

ズーム比 2.55

広角端 広角端至近 望遠端 望遠端至近
焦点距離 3.12 3.40 7.96 7.74
Fno 2.81 2.98 4.97 4.92
画角2ω 75.33 68.32 31.85 32.74
像高 2.25 2.25 2.25 2.25
レンズ全長 8.90 8.90 8.90 8.90
BF 0.90 0.90 0.90 0.90
入射瞳位置 2.22 2.11 0.54 0.64
射出瞳位置A(レンズ最終面からの射出瞳位置)
-10.39 -14.16 16.52 17.42
射出瞳位置B(像面からの射出瞳位置)
-11.19 -14.96 15.72 16.62

前側主点位置 4.47 4.74 12.53 11.96
後側主点位置 -2.82 -3.21 -7.65 -7.56


D3 2.83 2.60 0.20 0.30
D9 0.78 0.78 0.78 0.78
D11 0.48 0.72 3.12 3.01
D13 0.30 0.30 0.30 0.30
D15 0.30 0.30 0.30 0.30


レンズ単体データ

レンズ 始面 焦点距離
L1 1 -5.59
L2 2 227.80
L3 5 3.27
L4 7 2.20
L5 8 -2.25
L6 10 -4.32
L7 12 4.18


ズームレンズ群データ

群 始面 焦点距離 レンズ構成長
G1 1 -5.5661 0.5800
G2 4 2.3649 1.6274
G3 10 -4.3153 0.2726
G4 12 4.1830 2.0245

群 前側主点位置 後側主点位置 広角倍率 中間倍率 望遠倍率
G1 0.3382 -0.0101 0.0000 0.0000 0.0526
G2 -0.2279 -1.0366 -0.4065 -0.7426 -0.4472
G3 -0.0000 -0.1765 1.5404 2.1504 1.5951
G4 1.1820 -0.1358 0.8952 0.8951 0.8952

【0058】
数値実施例 2
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd ER
1(非球面) 275.896 0.30 1.69350 53.20 1.83
2 3.904 0.28 1.63387 23.38 1.64
3(非球面) 3.625 D3 1.00000 1.61
4(絞り) ∞ -0.10 1.00000 0.85
5(非球面) 2.082 0.77 1.59201 67.02 0.88
6(非球面) -24.177 0.10 1.00000 0.98
7 2.237 0.56 1.83400 37.16 1.00
8 -9.389 0.21 1.61000 25.60 0.94
9(非球面) 1.627 D9 1.00000 0.90
10(非球面) -2.333 0.27 1.54454 55.90 0.94
11(非球面) -13612.925 D11 1.00000 1.09
12(非球面) -6.222 1.42 1.54454 55.90 2.00
13(非球面) -1.750 D13 1.00000 2.22
14 ∞ 0.30 1.51633 64.14 2.50
15 ∞ D15 1.00000 2.50
像面 ∞

非球面データ
第1面
K=-1.000,A4=-3.61788E-02,A6=9.84129E-03,A8=-9.01148E-04,A10=-4.87278E-05
第3面
K=-1.000,A4=-4.39300E-02,A6=1.27250E-02,A8=-9.19580E-05,A10=-5.33170E-04
第5面
K=0.000,A4=-3.42899E-02,A6=-4.60442E-02,A8=2.41371E-02,A10=-3.36031E-02
第6面
K=0.000,A4=-7.20113E-02,A6=-2.65029E-02,A8=-1.13623E-03,A10=-5.51827E-03
第9面
K=0.000,A4=1.34179E-01,A6=2.12632E-02,A8=1.91144E-01
第10面
K=0.000,A4=-7.40533E-02,A6=7.78628E-02,A8=1.07051E-01,A10=-5.08971E-02
第11面
K=-1.000,A4=-3.31306E-02,A6=8.65468E-02,A8=8.12362E-04,A10=-1.95356E-02
第12面
K=0.000,A4=-2.56061E-02,A6=6.27279E-03,A8=-9.11807E-04,A10=3.62897E-06
第13面
K=-0.515,A4=9.31569E-03,A6=8.69481E-04,A8=3.44678E-05,A10=-1.09508E-05




ズームデータ

ズーム比 2.77

広角端 広角端至近 望遠端 望遠端至近
焦点距離 3.10 3.43 8.57 8.47
Fno 2.84 3.04 5.43 5.43
画角2ω 75.28 67.39 29.48 30.10
像高 2.25 2.25 2.25 2.25
レンズ全長 9.01 9.01 9.66 9.66
BF 0.92 0.92 1.04 1.04
入射瞳位置 2.25 2.13 0.63 0.70
射出瞳位置A(レンズ最終面からの射出瞳位置)
-11.23 -16.89 11.82 12.10
射出瞳位置B(像面からの射出瞳位置)
-12.05 -17.71 10.89 11.17

前側主点位置 4.55 4.89 15.95 15.50
後側主点位置 -2.77 -3.22 -8.13 -8.17


D3 2.96 2.69 0.30 0.38
D9 0.80 0.80 0.80 0.80
D11 0.51 0.79 3.71 3.63
D13 0.30 0.30 0.30 0.30
D15 0.32 0.32 0.44 0.44


レンズ単体データ

レンズ 始面 焦点距離
L1 1 -5.71
L2 2 -131.48
L3 5 3.27
L4 7 2.21
L5 8 -2.26
L6 10 -4.29
L7 12 4.02


ズームレンズ群データ

群 始面 焦点距離 レンズ構成長
G1 1 -5.3218 0.5800
G2 4 2.3761 1.5412
G3 10 -4.2857 0.2726
G4 12 4.0193 2.0223

群 前側主点位置 後側主点位置 広角倍率 中間倍率 望遠倍率
G1 0.3391 -0.0093 0.0000 0.0000 0.0504
G2 -0.3259 -1.0430 -0.4249 -0.8112 -0.4707
G3 -0.0000 -0.1765 1.5608 2.3444 1.6253
G4 1.1519 -0.1740 0.8769 0.8470 0.8769
【0059】
図5〜図8は実施例1及び実施例2の光学系の無限遠合焦状態の諸収差図である。図5(a)は実施例1の広角端における収差図、図5(b)は実施例1の広角端至近における収差図である。図6(a)は実施例1の望遠端における収差図、図6(b)は実施例1の望遠端至近における収差図である。また、図7(a)は実施例2の広角端における収差図、図7(b)は実施例2の広角端至近における収差図である。図8(a)は実施例2の望遠端における収差図、図8(b)は実施例2の望遠端至近における収差図である。
【0060】
球面収差と倍率色収差は、486.1nm(F線:一点鎖線),587.6nm(d線:破線),656.3nm(C線:実線)の各波長における数値を示してある。また、非点収差は、実線がサジタル像面、点線がメリジオナル像面を示している。なお、FNOはFナンバー、FIYは像高を示す。
【0061】
次に、上記各実施例における条件式の要素値及び条件式(1)〜(3)の値を示す。
【0062】
条件式 実施例1 実施例2
(1) -0.18 -0.18
(2) 0.47 0.67
(3) 1.88 1.78
【0063】
さて、以上のような本発明の撮像装置は、変倍光学系で物体像を形成しその像をCCD等の撮像素子に受光させて撮影を行う撮影装置、とりわけデジタルカメラやビデオカメラ、情報処理装置の例であるパソコン、電話、特に持ち運びに便利な携帯電話等に用いることができる。以下に、その実施形態を例示する。
【0064】
図9〜図11は、本発明にかかる変倍光学系をデジタルカメラの撮影光学系41に組み込んだ構成の概念図を示す。図9はデジタルカメラ40の外観を示す前方斜視図、図10は同後方斜視図、図11はデジタルカメラ40の構成を示す断面図である。デジタルカメラ40は、この例の場合、撮影用光路42を有する撮影光学系41、ファインダー用光路44を有するファインダー光学系43、シャッター45、フラッシュ46、液晶表示モニター47等を含み、カメラ40の上部に配置されたシャッター45を押圧すると、それに連動して撮影光学系41、例えば実施例1の変倍光学系を通して撮影が行われる。撮影光学系41によって形成された物体像が、近赤外カットコートを設けローパスフィルター作用を持たせたカバーガラスCGを介してCCD49の撮像面上に形成される。このCCD49で受光された物体像は、処理手段51を介し、電子画像としてカメラ背面に設けられた液晶表示モニター47に表示される。また、この処理手段51には記録手段52が接続され、撮影された電子画像を記録することもできる。なお、この記録手段52は処理手段51と別体に設けてもよいし、メモリーカード、MO等の記録媒体により電子的に記録書込を行うように構成してもよい。また、CCD49に代わって銀塩フィルムを配置した銀塩カメラとして構成してもよい。
【0065】
さらに、ファインダー用光路44上にはファインダー用対物光学系53が配置してある。このファインダー用対物光学系53によって形成された物体像は、像正立部材であるポロプリズム55の視野枠57上に形成される。このポリプリズム55の後方には、正立正像にされた像を観察者眼球Eに導く接眼光学系59が配置されている。なお、撮影光学系41及びファインダー用対物光学系53の入射側、接眼光学系59の射出側にそれぞれカバー部材50が配置されている。
【0066】
このように構成されたデジタルカメラ40は、撮影光学系41が高性能で小型であるので、高性能・小型化が実現できる。
【0067】
なお、図11の例では、カバー部材50として平行平面板を配置しているが、パワーを持ったレンズを用いてもよい。
【0068】
次に、本発明にかかる変倍光学系が対物光学系として内蔵された情報処理装置の1例であるパソコンが図12〜図14に示される。図12はパソコン300のカバーを開いた前方斜視図、図13はパソコン300の撮影光学系303の断面図、図14は図12の状態の側面図である。図12〜図14に示されるように、パソコン300は、外部から繰作者が情報を入力するためのキーボード301と、図示を省略した情報処理手段や記録手段と、情報を操作者に表示するモニター302と、操作者自身や周辺の像を撮影するための撮影光学系303とを有している。ここで、モニター302は、図示しないバックライトにより背面から照明する透過型液晶表示素子や、前面からの光を反射して表示する反射型液晶表示素子や、CRTディスプレイ等であってよい。また、図中、撮影光学系303は、モニター302の右上に内蔵されているが、その場所に限らず、モニター302の周囲や、キーボード301の周囲のどこであってもよい。
【0069】
この撮影光学系303は、撮影光路304上に、本発明にかかる変倍光学系(図では略記)からなる対物レンズ112と、像を受光する撮像素子チップ162とを有している。これらはパソコン300に内蔵されている。
【0070】
ここで、撮像素子チップ162上にはローパスフィルター作用を持たせたカバーガラスCGが付加的に貼り付けられて撮像ユニット160として一体に形成され、対物レンズ112の鏡枠113の後端にワンタッチで嵌め込まれて取り付け可能になっているため、対物レンズ112と撮像素子チップ162の中心合わせや面間隔の調整が不要であり、組立が簡単となっている。また、鏡枠113の先端には、対物レンズ112を保護するためのカバーガラス114が配置されている。
【0071】
撮像素子チップ162で受光された物体像は、端子166を介して、パソコン300の処理手段に入力され、電子画像としてモニター302に表示される、図12には、その1例として、操作者の撮影された画像305が示されている。また、この画像305は、処理手段を介し、インターネットや電話を介して、遠隔地から通信相手のパソコンに表示されることも可能である。
【0072】
次に、本発明にかかる変倍光学系が撮影光学系として内蔵された情報処理装置の1例である電話、特に持ち運びに便利な携帯電話が図15に示される。図15は携帯電話400の正面図、図16は側面図、図17は撮影光学系405の断面図である。図15〜図17に示されるように、携帯電話400は、操作者の声を情報として入力するマイク部401と、通話相手の声を出力するスピーカ部402と、操作者が情報を入力する入力ダイアル403と、操作者自身や通話相手等の撮影像と電話番号等の情報を表示するモニター404と、撮影光学系405と、通信電波の送信と受信を行うアンテナ406と、画像情報や通信情報、入力信号等の処理を行う処理手段(図示せず)とを有している。ここで、モニター404は液晶表示素子である。また、図中、各構成の配置位置は、特にこれらに限られない。この撮影光学系405は、撮影光路407上に配置された本発明による結像光学系(図では略記)からなる対物レンズ112と、物体像を受光する撮像素子チップ162とを有している。これらは、携帯電話400に内蔵されている。
【0073】
ここで、撮像素子チップ162上にはローパスフィルター作用を持たせたカバーガラスCGが付加的に貼り付けられて撮像ユニット160として一体に形成され、対物レンズ112の鏡枠113の後端にワンタッチで嵌め込まれて取り付け可能になっているため、対物レンズ112と撮像素子チップ162の中心合わせや面間隔の調整が不要であり、組立が簡単となっている。また、鏡枠113の先端には、対物レンズ112を保護するためのカバーガラス114が配置されている。
【0074】
撮影素子チップ162で受光された物体像は、端子166を介して、図示していない処理手段に入力され、電子画像としてモニター404に、又は、通信相手のモニターに、又は、両方に表示される。また、通信相手に画像を送信する場合、撮像素子チップ162で受光された物体像の情報を、送信可能な信号へと変換する信号処理機能が処理手段には含まれている。
【0075】
以上の各実施例は、特許請求の範囲の構成に合わせて種々変更することができる。
【符号の説明】
【0076】
S …明るさ絞り
L1…第1正レンズ
L2…第2負レンズ
L3…第3正レンズ
CG…カバーガラス
I …像面
40…デジタルカメラ
41…撮影光学系
42…撮影用光路
43…ファインダー光学系
44…ファインダー用光路
45…シャッター
46…フラッシュ
47…液晶表示モニター
49…CCD
50…カバー部材
51…処理手段
52…記録手段
53…ファインダー用対物光学系
55…ポロプリズム
57…視野枠
59…接眼光学系
112…対物レンズ
113…鏡枠
114…カバーガラス
160…撮像ユニット
162…撮像素子チップ
166…端子
300…パソコン
301…キーボード
302…モニター
303…撮影光学系
304…撮影光路
305…画像
400…携帯電話
401…マイク部
402…スピーカ部
403…入力ダイアル
404…モニター
405…撮影光学系
406…アンテナ
407…撮影光路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つのレンズ群からなり、各レンズ群の間隔を変化させて変倍を行う変倍光学系において、
絞りよりも像面側に、複数枚のレンズからなる全体として正の屈折力を有するレンズ群を有し、
前記正の屈折力を有するレンズ群内に、空気両凸レンズを有することを特徴とする変倍光学系。
【請求項2】
前記空気両凸レンズは、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
−0.5 ≦(Ra1+Ra2)/(Ra1−Ra2)≦ 0.5 (1)
ただし、
Ra1は空気レンズの物体側の面の曲率半径、
Ra2は空気レンズの像面側の面の曲率半径、
である。
【請求項3】
前記第2レンズ群は、以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
0.2 ≦ |f 2|/{(fw・ft)1/2} ≦ 1.0 (2)
ただし、
f2は第1レンズ群の焦点距離、
fw広角端における光学系の焦点距離、
ftは望遠端における光学系の焦点距離、
である。
【請求項4】
前記第3レンズ群は、以下の条件式(3)を満足することを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
0.2 ≦(R4a+R4b)/(R4a−R4b)≦ 5.0 (3)
ただし、
R4aは第3レンズ群の物体側の面の曲率半径、
R4bは第3レンズ群の像面側の面の曲率半径、
である。
【請求項5】
前記第2レンズ群は、連続した2つの負の屈折力を有するレンズを有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の変倍光学系。
【請求項6】
前記第2レンズ群は、少なくとも4つのレンズからなり、物体側から順に正・正・負・負の屈折力を有するレンズで構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の変倍光学系。
【請求項7】
前記第1レンズ群は、広角端から望遠端への変倍時や無限撮影から至近撮影に至る撮影時に固定であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の変倍光学系。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の変倍光学系、
及び前記変倍光学系の像側に配置され光学像を電気信号に変換する撮像面を持つ撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2011−257465(P2011−257465A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129617(P2010−129617)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】