説明

外付けカーテン開閉装置

【課題】 壁等に電力線を通すための貫通孔を開ける配線工事が不要な外付けカーテン開閉装置を提供すること。
【解決手段】 ガラス窓3の外側に取り付けられてガラス板3aを覆うカーテンを開閉可能な外付けカーテン開閉装置であって、ガラス窓3の外側に設けられカーテンを巻き取って収納可能な巻き取り駆動機構と、該巻き取り駆動機構に電力を供給する電力供給機構6と、を備え、該電力供給機構6が、ガラス板3aの内側に配されて交流磁場を発生させる内側送電コイル7と、ガラス板3aの外側に配されていると共に巻き取り駆動機構に接続され交流磁場による電磁誘導で発生した電力を巻き取り駆動機構に供給する外側受電コイル8と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス戸又はガラス窓の外側に取り付けられてガラス板を覆うカーテンを開閉可能な外付けカーテン開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅等のガラス戸やガラス窓の内側には遮光のため、カーテンが取り付けられているが、近年、手動式に比べて電動式で容易にカーテンの開閉ができる種々の電動カーテンが提案されている。例えば、特許文献1には、カーテンレールに吊り下げられたカーテンを駆動モータ等により電動で開閉できる駆動機構を備えた電動カーテンが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−314389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
ガラス戸やガラス窓の内側、すなわち屋内側にカーテンを設けるとカーテンによって熱が遮断されガラス板とカーテンとの間に熱が籠もってしまうことから、室内空調に無駄が生じてしまう不都合がある。このため、近年、ガラス戸やガラス窓の外側、すなわち屋外側にカーテンを取り付けることが要望されている。しかしながら、ガラス戸やガラス窓の外側にカーテンを取り付けた外付けカーテンの場合、電動でカーテンを開閉しようとすると屋外側に設けたカーテンの駆動機構に電力を供給するため、壁等に貫通孔を開けて屋内の電力線を屋外へ取り出して駆動機構に接続する配線工事が必要になるという不都合があった。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、壁等に電力線を通すための貫通孔を開ける配線工事が不要な外付けカーテン開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明の外付けカーテン開閉装置は、ガラス戸又はガラス窓の外側に取り付けられてガラス板を覆うカーテンを開閉可能な外付けカーテン開閉装置であって、前記ガラス戸又はガラス窓の外側に設けられ前記カーテンを巻き取って収納可能な巻き取り駆動機構と、該巻き取り駆動機構に電力を供給する電力供給機構と、を備え、該電力供給機構が、前記ガラス板の内側に配されて交流磁場を発生させる内側送電コイルと、前記ガラス板の外側に配されていると共に前記巻き取り駆動機構に接続され前記交流磁場による電磁誘導で発生した電力を前記巻き取り駆動機構に供給する外側受電コイルと、を備えていることを特徴とする。
【0007】
この外付けカーテン開閉装置では、電力供給機構が、互いにガラス板を挟んで内側と外側とに別々に配されて電磁誘導で電力伝達する内側送電コイルと外側受電コイルとを備えているので、屋内から非接触で屋外の巻き取り駆動機構に電力伝達を行うことで、壁に貫通孔を開ける等の配線工事を必要とせず、外側の巻き取り駆動機構を駆動してカーテンの開閉を行うことができる。なお、ガラス板を通して交流磁場を発生させるため、金属板等により磁場が遮蔽されずに良好な電力伝達が可能である。
【0008】
また、本発明の外付けカーテン開閉装置は、前記巻き取り駆動機構が、開口部から前記カーテンを出し入れ可能であると共に巻き取った前記カーテンを収納可能な収納部を備え、前記カーテンの先端に、前記巻き取り駆動機構により全て巻き取られた際に前記開口部を閉塞可能な形状とされた閉塞部材が取り付けられていることを特徴とする。すなわち、この外付けカーテン開閉装置では、カーテンの先端に、巻き取り駆動機構により全て巻き取られた際に収納部の開口部を閉塞可能な形状とされた閉塞部材が取り付けられているので、カーテンを巻き取って収納した際に収納部の開口部が閉塞部材で閉塞されることで、雨水等の収納部への侵入を防ぐ密閉防水構造とすることができる。
【0009】
また、本発明の外付けカーテン開閉装置は、前記巻き取り駆動機構が、前記ガラス戸又はガラス窓の上部に回転可能にかつ水平に取り付けられ前記カーテンを巻回可能な巻き取り軸と、該巻き取り軸の端部に連結されて前記巻き取り軸を回転させると共に前記外側受電コイルに電気的に接続されて電力供給を受けるモータと、を備えていることを特徴とする。すなわち、この外付けカーテン開閉装置では、巻き取り駆動機構が、ガラス戸又はガラス窓の上部に取り付けられた巻き取り軸と、これを回転させるモータと、を備えているので、巻き取り軸に吊り下げられたカーテンを巻き取り軸に巻き取ることで、カーテンを上下に開閉可能することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る外付けカーテン開閉装置によれば、電力供給機構が、互いにガラス板を挟んで内側と外側とに別々に配されて電磁誘導で電力伝達する内側送電コイルと外側受電コイルとを備えているので、屋内から非接触で屋外の巻き取り駆動機構に電力伝達を行うことで、壁に貫通孔を開ける等の配線工事を必要とせず、外側の巻き取り駆動機構を駆動してカーテンの開閉を行うことができる。したがって、外付けの電動カーテンとして、特別な配線工事が不要であり、簡易な作業で取り付けできることから、取付コストの低減を図ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る外付けカーテン開閉装置の一実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0012】
本実施形態の外付けカーテン開閉装置1は、図1から図3に示すように、例えば壁2にはめ込まれたガラス窓3の外側に取り付けられてガラス板3aを覆うカーテン4を開閉可能な電動カーテンであって、ガラス窓3の外側に設けられカーテン4を巻き取って収納可能な巻き取り駆動機構5と、該巻き取り駆動機構5に電力を供給する電力供給機構6と、を備えている。
【0013】
上記電力供給機構6は、図2に示すように、ガラス板3aの内側に配されて交流磁場を発生させる内側送電コイル7と、ガラス板3aの外側に配されていると共に巻き取り駆動機構5に接続され交流磁場による電磁誘導で発生した電力を巻き取り駆動機構5に供給する外側受電コイル8と、該外側受電コイル8に接続されコンデンサ等を有した屋外制御回路9と、屋内等において無線通信でカーテン4の開閉を操作可能なリモートコントローラ10と、を備えている。
【0014】
上記内側送電コイル7は、ガラス窓3の上部であって屋内側の壁2に取り付けられた屋内側ユニット12に収納されている。また、内側送電コイル7と外側受電コイル8とは、ガラス板3aを挟んで互いに対向状態に設置されている。
上記屋内側ユニット12内には、屋内のAC100Vの電力線Lに接続され内側送電コイル7に交流電圧を印加する屋内制御回路13と、該屋内制御回路13に接続されリモートコントローラ10からの無線通信を受信する受信部11と、が収納されている。
【0015】
上記リモートコントローラ10は、カーテン4の開閉ボタン10aを有し、開閉ボタン10aを押すことで赤外線通信又は電波通信によって無線で開閉信号を受信部11へ送信可能な機能を有している。
上記屋内制御回路13は、受信部11で受信した開閉信号に基づいて内側送電コイル7に交流電圧を印加して交流磁場を発生させる機能を有している。
【0016】
上記巻き取り駆動機構5は、開口部14aからカーテン4を出し入れ可能であると共に巻き取ったカーテン4を収納可能な収納部14と、該収納部14内に回転可能にかつ水平に取り付けられカーテン4を巻回可能な巻き取り軸15と、該巻き取り軸15の端部に連結されて巻き取り軸15を回転させると共に外側受電コイル8に屋外制御回路9を介して電気的に接続されて電力供給を受けるモータMと、を備えている。
【0017】
上記収納部14は、ガラス窓3の上部の壁2に固定されている。
上記巻き取り軸15の一端は、収納部14内に設けられた軸受け部16に回転可能に支持されている。
上記モータMは、屋外制御回路9により回転量が制御されるサーボモータである。本実施形態では、モータMは巻き取り軸15の他端に直接連結されているが、ギア等を介して連結されていても構わない。
【0018】
なお、モータMの回転方向は、例えばカーテン4が全て巻き取られている状態ではカーテン4を送り出して閉める方向に回転され、逆にカーテン4が全て送り出されて閉まっている状態では回転方向が反転してカーテン4を巻き取る方向に回転されるように設定しても構わない。また、屋内制御回路13による開閉信号に対応した内側送電コイル7からの交流磁場の発生状態に応じて、屋外制御回路9がモータMの回転方向についての正逆を判断し、モータMの回転方向を制御にしても構わない。また、別途、屋内側ユニット12に回転方向の正逆を信号として無線送信する機能を設け、屋外側にその信号を無線受信して屋外制御回路9に送る機能を設けても構わない。
【0019】
上記カーテン4は、樹脂フィルムで形成されており、上端が巻き取り軸15に固定されている。なお、カーテン4は、巻き取り軸15に着脱可能に固定されており、交換可能とされている。
また、上記カーテン4の先端には、巻き取り駆動機構5により全て巻き取られた際に開口部14aを閉塞可能な形状とされた閉塞部材17が取り付けられている。該閉塞部材17は、断面略三角形状とされカーテン4の先端に沿った棒状のおもりである。なお、収納部14の開口部14aには、Oリング14bが設けられて開口部14aを閉塞部材17が閉塞する際には、Oリング14bが閉塞部材17に密接して密閉性を向上させている。
【0020】
この外付けカーテン開閉装置1でカーテン4を開閉するには、例えばカーテン4が全て収納部14から出されてガラス窓3を覆って閉められている場合、屋内からリモートコントローラ10の開閉ボタン10aを押すと、無線通信で開閉信号が送信されると共に屋内側ユニット12の受信部11がこの開閉信号を受信する。受信した開閉信号に基づき、屋内制御回路13は、内側送電コイル7に交流電圧を加えて交流磁場を発生させる。
【0021】
この際、ガラス板3aを挟んで外側の外側受電コイル8では、電磁誘導によって起電力が発生し、この起電力が屋外制御回路9で整流及び蓄電等され、駆動のための電力がモータMに供給される。駆動されたモータMにより巻き取り軸15が回転させられると共にカーテン4が巻き取り軸15に巻き取られ、引き上げられて収納部14内に収納されていく。全てのカーテン4が収納されると先端の閉塞部材17が開口部14aにはめ込まれた状態となり、開口部14aが閉塞される。
【0022】
このように本実施形態の外付けカーテン開閉装置1では、電力供給機構6が、互いにガラス板3aを挟んで内側と外側とに別々に配されて電磁誘導で電力伝達する内側送電コイル7と外側受電コイル8とを備えているので、屋内から非接触で屋外の巻き取り駆動機構5に電力伝達を行うことで、壁2に貫通孔を開ける等の配線工事を必要とせず、外側の巻き取り駆動機構5を駆動してカーテン4の開閉を行うことができる。
【0023】
また、カーテン4の先端に、巻き取り駆動機構5により全て巻き取られた際に、収納部14の開口部14aを閉塞可能な形状とされた閉塞部材17が取り付けられているので、カーテン4を巻き取って収納した際に、収納部14の開口部14aが閉塞部材17で閉塞されることで、雨水等の収納部14への侵入を防ぐ密閉防水構造とすることができる。
【0024】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0025】
本実施形態では、外付けカーテン開閉装置1をガラス窓3に取り付けているが、ガラス戸に適用しても構わない。
無線通信によるリモートコントローラ10を採用しているが、有線で操作可能なリモートコントローラを採用しても構わない。
【0026】
本実施形態では、上下にカーテン4を開閉させるように外付けカーテン開閉装置を設けているが、ガラス窓3の上部にカーテンレールを設けると共にガラス窓3の左右端の少なくとも一方に巻き取り駆動機構を設けることで、左右の水平方向にカーテン4を開閉させるように外付けカーテン開閉装置を取り付けても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る外付けカーテン開閉装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】本実施形態において、内側送電コイルと外側受電コイルとによる電力伝達を説明するための装置の回路構造図である。
【図3】本実施形態において、カーテンが全て出された状態での外付けカーテン開閉装置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0028】
1…外付けカーテン開閉装置、3…ガラス窓、3a…ガラス板、4…カーテン、5…巻き取り駆動機構、6…電力供給機構、7…内側送電コイル、8…外側受電コイル、14…収納部、14a…収納部の開口部、15…巻き取り軸、17…閉塞部材、M…モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス戸又はガラス窓の外側に取り付けられてガラス板を覆うカーテンを開閉可能な外付けカーテン開閉装置であって、
前記ガラス戸又はガラス窓の外側に設けられ前記カーテンを巻き取って収納可能な巻き取り駆動機構と、
該巻き取り駆動機構に電力を供給する電力供給機構と、を備え、
該電力供給機構が、前記ガラス板の内側に配されて交流磁場を発生させる内側送電コイルと、前記ガラス板の外側に配されていると共に前記巻き取り駆動機構に接続され前記交流磁場による電磁誘導で発生した電力を前記巻き取り駆動機構に供給する外側受電コイルと、を備えていることを特徴とする外付けカーテン開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の外付けカーテン開閉装置において、
前記巻き取り駆動機構が、開口部から前記カーテンを出し入れ可能であると共に巻き取った前記カーテンを収納可能な収納部を備え、
前記カーテンの先端に、前記巻き取り駆動機構により全て巻き取られた際に前記開口部を閉塞可能な形状とされた閉塞部材が取り付けられていることを特徴とする外付けカーテン開閉装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の外付けカーテン開閉装置において、
前記巻き取り駆動機構が、前記ガラス戸又はガラス窓の上部に回転可能にかつ水平に取り付けられ前記カーテンを巻回可能な巻き取り軸と、
該巻き取り軸の端部に連結されて前記巻き取り軸を回転させると共に前記外側受電コイルに電気的に接続されて電力供給を受けるモータと、を備えていることを特徴とする外付けカーテン開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−240506(P2009−240506A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90210(P2008−90210)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(508098383)株式会社ユーディーエム (1)
【Fターム(参考)】