説明

外観検査装置、外観検査システムおよび外観検査方法

【課題】検査対象の良否を判定する際に欠陥領域を途切れないように検出する。
【解決手段】外観検査システム1において、外観検査装置3の画像処理部321は、濃淡画像を用いて微分2値化画像を作成する。第1の抽出部322は、同一の欠陥候補領域を構成する画素群を抽出する。検出部324は、各ラインごとに、微分絶対値が閾値以上である画素をエッジ画素として検出する。第2の算出部326は、第2の抽出部325で抽出された欠陥領域について水平方向の射影幅と垂直方向の射影幅とを求める。判定部327は、水平方向の射影幅と垂直方向の射影幅との少なくとも一方が基準値より大きい場合に、検査対象Aが不良であると判定する。上記検出部324は、第1の算出部323で求められた欠陥幅が最大となるラインから順に各ラインごとにエッジ画素を検出し、欠陥幅が狭いほど次のラインの閾値が低くなるように次のラインの閾値を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象が撮像された濃淡画像を用いて上記検査対象の良否を検査する外観検査装置、この外観検査装置を用いた外観検査システムおよび外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、検査対象の良否を検査する外観検査装置は、種々開発され市販されている。従来の外観検査装置の一例として、検査対象Aが撮像された濃淡画像(図16(a),(b)参照)に対して各画素の濃度値を2値化する2値化処理を行って欠陥を検出する装置が知られている。上記外観検査装置は、上記2値化処理で作成した濃淡2値化画像(図16(c)参照)の白色の画素を検出することによって、例えば電子部品の端子A1,A1間の短絡不良を引き起こす金属の異物A2などを検出し、検査対象Aの良否を判定する。
【0003】
また、従来の外観検査装置の他の例として、検査対象が撮像された濃淡画像の各画素の濃度値を微分する微分処理を行って欠陥を検出する装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の外観検査装置は、端子が撮像された濃淡画像の各画素の濃度値を微分し、各画素の微分方向に応じて各画素における端子の輪郭の向きを2方向に分類する。その後、特許文献1の外観検査装置は、2方向に分類された輪郭の各方向の個数の比を求め、その比の大きさによって端子間の短絡の有無を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−312730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、検査対象Aの欠陥(金属の異物A2)の各部分の大きさによって各部分ごとに反射光量が変化するため、検査対象Aが撮像された濃淡画像(図16(b)参照)では、欠陥となる領域(欠陥領域)の画素の濃度値が変化する。例えば、欠陥の細い部分では、反射光量が低下して濃度値が低くなる。このため、従来の外観検査装置では、上記濃淡画像に対して2値化処理を行った場合、閾値が一定値(固定値)であるから、濃淡2値化画像において、図16(c)に示す領域C1と領域C2とのように、1つの欠陥が一部途切れた状態で検出される。濃淡画像に対して微分処理を行った場合も、欠陥の細い部分では微分値が小さくなり、1つの欠陥が一部途切れた状態で検出される。
【0006】
上記より、従来の外観検査装置には、欠陥の大きさや長さを正確に検出することができないという問題があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みて為され、本発明の目的は、検査対象の良否を判定する際に欠陥領域を途切れないように検出することができる外観検査装置、この外観検査装置を用いた外観検査システムおよび外観検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る外観検査装置の発明は、検査対象が撮像された濃淡画像を用いて前記検査対象の良否を検査する外観検査装置であって、前記濃淡画像の画素ごとに前記画素と当該画素の周辺の画素との間の濃度変化を表わす微分絶対値を求め各画素の前記微分絶対値を2値化して微分2値化画像を作成する画像処理部と、前記微分2値化画像において同一の欠陥候補領域を構成する画素群を抽出する第1の抽出部と、前記微分2値化画像の水平方向と垂直方向とのうち前記欠陥候補領域の長手方向との角度が小さい方向を第1の方向とし、前記微分2値化画像において前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って所定間隔ごとにラインが設定され各ラインごとに前記欠陥候補領域の前記第2の方向の幅を欠陥幅として求める第1の算出部と、各ラインごとに前記微分絶対値が閾値以上である画素をエッジ画素として検出する検出部と、前記欠陥候補領域を含み各ラインごとの前記エッジ画素が輪郭線となる欠陥領域を抽出する第2の抽出部と、前記欠陥領域について前記第1の方向に沿った線上に投影されたときの第1の射影幅および前記第2の方向に沿った線上に投影されたときの第2の射影幅を求める第2の算出部と、前記第1の射影幅および前記第2の射影幅の少なくとも一方が予め設定された基準値より大きい場合に前記検査対象が不良であると判定する判定部とを備え、前記検出部は、前記欠陥幅が最大となるラインから順に各ラインごとに前記エッジ画素を検出し、各ラインごとに前記エッジ画素を検出する際に、前記欠陥幅が狭いほど次のラインの前記閾値が低くなるように前記次のラインの前記閾値を設定することを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る外観検査装置の発明は、請求項1の発明において、前記第1の抽出部は、前記微分2値化画像において前記欠陥候補領域を構成する画素群を複数抽出し、複数の前記欠陥候補領域の中から前記第1の方向に沿った線上に投影されたときの射影幅が最も大きい欠陥候補領域を最大欠陥候補領域として選択し、前記第1の算出部は、前記微分2値化画像において各ラインごとに前記最大欠陥候補領域の前記欠陥幅を求めることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る外観検査装置の発明は、請求項1または2の発明において、前記第1の算出部は、前記微分2値化画像において、各ラインごとに一方から走査して画素値が変化する境界を第1の画素として検出するとともに他方から走査して画素値が変化する境界を第2の画素として検出し、前記第1の画素と前記第2の画素との間隔を前記欠陥幅として求めることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る外観検査装置の発明は、請求項1〜3のいずれか1項の発明において、前記検出部は、前記第1の算出部で求められた前記欠陥幅が狭いほど前記エッジ画素を検出するための検出範囲が狭くなるように、各ラインごとに前記欠陥幅に応じて前記検出範囲を設定することを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る外観検査装置の発明は、請求項1〜4のいずれか1項の発明において、前記判定部で前記検査対象が不良であると判定された場合に、前記第1の方向の長さが前記第1の射影幅であり前記第2の方向の長さが前記第2の射影幅であって前記欠陥領域に外接する矩形領域の内部に含まれるすべての画素の濃度値の平均値を平均濃度値として求める第3の算出部と、前記平均濃度値が予め設定された第2の基準値より大きい場合に前記欠陥領域に金属の異物が存在すると判定する第2の判定部とを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る外観検査装置の発明は、請求項1〜4のいずれか1項の発明において、前記判定部で前記検査対象が不良であると判定された場合に、各ラインの前記エッジ画素の濃度値の平均値を平均濃度値として求める第4の算出部と、前記平均濃度値が予め設定された第3の基準値より大きい場合に前記欠陥領域に金属の異物が存在すると判定する第3の判定部とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る外観検査システムの発明は、請求項1〜6のいずれか1項の外観検査装置と、検査対象を撮像し前記検査対象が撮像された濃淡画像を前記外観検査装置に出力する撮像装置とを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る外観検査方法の発明は、検査対象が撮像された濃淡画像を用いて前記検査対象の良否を検査する外観検査方法であって、前記濃淡画像の画素ごとに前記画素と当該画素の周辺の画素との間の濃度変化を表わす微分絶対値を求め各画素の前記微分絶対値を2値化して微分2値化画像を作成する第1のステップと、前記微分2値化画像において同一の欠陥候補領域を構成する画素群を抽出する第2のステップと、前記微分2値化画像の水平方向と垂直方向とのうち前記欠陥候補領域の長手方向との角度が小さい方向を第1の方向とし、前記微分2値化画像において前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って所定間隔ごとにラインを設定し各ラインごとに前記欠陥候補領域の前記第2の方向の幅を欠陥幅として求める第3のステップと、各ラインごとに前記微分絶対値が閾値以上である画素をエッジ画素として検出する第4のステップと、前記欠陥候補領域を含み各ラインごとの前記エッジ画素が輪郭線となる欠陥領域を抽出する第5のステップと、前記欠陥領域について前記第1の方向に沿った線上に投影したときの第1の射影幅および前記第2の方向に沿った線上に投影したときの第2の射影幅を求める第6のステップと、前記第1の射影幅および前記第2の射影幅の少なくとも一方が予め設定された基準値より大きい場合に前記検査対象が不良であると判定する第7のステップとを有し、前記第4のステップにおいて、前記欠陥幅が最大となるラインから順に各ラインごとに前記エッジ画素を検出し、各ラインごとに前記エッジ画素を検出する際に、前記欠陥幅が狭いほど次のラインの前記閾値が低くなるように前記次のラインの前記閾値を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1,7,8の発明によれば、欠陥領域に幅の狭い部分があったとしても、欠陥領域の一部を構成する欠陥候補領域の各ラインごとの欠陥幅に応じて次のラインの閾値を変化させながら微分絶対値が閾値以上である画素をエッジ画素として検出部が検出する。これにより、請求項1,7,8の発明では、微分2値化画像において場所ごとに適切な閾値を設定することができるので、欠陥領域を途切れた状態で検出することを防止できる。その結果、請求項1,7,8の発明では、欠陥領域の大きさを高精度で求めることができるので、検査対象の良否判定の精度を高めることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、複数の欠陥候補領域のうち最大欠陥候補領域のみを対象とすることによって、すべての欠陥候補領域を対象とする場合に比べて、演算処理の負荷を低減することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、第1の算出部が欠陥候補領域の欠陥幅を求める際に、常に黒色領域から白色領域に変化する境界となる画素をエッジ画素として検出することによって、エッジ画素を検出するための条件を上記のように指定することができる。これにより、請求項3の発明では、欠陥幅を求める際にノイズなどを誤って検出することを低減でき、欠陥幅を求める精度を向上させることができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、エッジ画素を検出するための検出範囲を検出部が限定することによって、エッジ画素を検出する際にノイズを誤って検出することを低減できる。その結果、請求項4の発明では、検査対象の良否判定の精度をより高めることができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、矩形領域の内部の平均濃度値が第2の基準値より大きい場合に欠陥領域に金属の異物が存在すると第2の判定部が判定することによって、欠陥領域の異物が金属であるか他の物質であるかを識別することができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、欠陥領域のエッジ画素の平均濃度値が第3の基準値より大きい場合に欠陥領域に金属の異物が存在すると第3の判定部が判定することによって、欠陥領域に存在する異物が金属であるか他の物質であるかを識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1に係る外観検査システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同上に係る外観検査システムの動作を説明するための図である。
【図3】同上に係る微分2値化画像において微分フィルタを用いる場合の画素を示す図である。
【図4】同上に係る外観検査システムにおいて欠陥幅と閾値との関係を示す図である。
【図5】同上に係る外観検査システムを用いた外観検査方法を示すフローチャートである。
【図6】実施形態2に係る外観検査システムを用いた外観検査方法を示すフローチャートである。
【図7】実施形態3に係る外観検査システムの動作を説明するための図である。
【図8】同上に係る外観検査システムを用いた外観検査方法を示すフローチャートである。
【図9】実施形態4に係る外観検査システムの構成を示すブロック図である。
【図10】同上に係る外観検査システムの動作を説明するための図である。
【図11】同上に係る外観検査システムを用いた外観検査方法を示すフローチャートである。
【図12】実施形態5に係る外観検査システムの構成を示すブロック図である。
【図13】同上に係る外観検査システムの動作を説明するための図である。
【図14】同上に係る外観検査システムを用いた外観検査方法を示すフローチャートである。
【図15】(a)は金属の異物が付着した検査対象の濃淡画像を示す図、(b)は(a)の濃淡画像から作成された微分2値化画像を示す図、(c)は非金属の異物が付着した検査対象の濃淡画像を示す図、(d)は(c)の濃淡画像から作成された微分2値化画像を示す図である。
【図16】従来の外観検査装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施形態1)
実施形態1に係る外観検査システムは、検査対象の良否を検査するシステムである。図1に示すように、本実施形態の外観検査システム1は、撮像装置2と、外観検査装置3と、表示装置4と、操作入力装置5とを備えている。図1に示す検査対象Aは、複数の端子A1を有する電子部品である。外観検査システム1は、特に検査対象Aである電子部品において端子A1,A1間の短絡の有無を検査する。
【0024】
撮像装置2は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラなどであり、検査対象Aを撮像する。検査対象Aが撮像された濃淡画像6(図2(a)参照)の画像データは、撮像装置2から外観検査装置3に出力される。
【0025】
外観検査装置3は、画像取込部31と、演算部32と、記憶部33と、画像出力部34と、入力インタフェース35とを備えている。外観検査装置3は、濃淡画像6を用いて検査対象Aの良否を検査する。
【0026】
画像取込部31は、撮像装置2の出力側に接続され、撮像装置2で撮像された濃淡画像6を取り込む。
【0027】
演算部32は、画像処理部321と、第1の抽出部322と、第1の算出部323と、検出部324と、第2の抽出部325と、第2の算出部326と、判定部327とを備えている。演算部32は、例えばコンピュータの中央処理装置(CPU)などで構成されている。
【0028】
画像処理部321は、濃淡画像6の画素ごとに、上記画素と周辺画素(上記画素の周辺にある画素)との間の濃度変化を表わす微分絶対値absを求める。具体的には、まず、画像処理部321は、微分フィルタを用いて以下の微分演算を行う。本実施形態の微分フィルタは、3×3フィルタである。微分フィルタとしては、例えばプリューウィットフィルタ(Prewitt filter)やソーベルフィルタ(Sobel filter)などがある。画像処理部321は、図3に示す中心画素P0を着目画素とし、中心画素P0に隣接する8画素(以下「8近傍」という)P1〜P8の濃度値を用いて横方向(X方向)の濃度変化ΔXと縦方向(Y方向)の濃度変化ΔYとを以下の数1と数2とによって求める。数1および数2において、P1〜P8は、対応する画素P1〜P8の濃度値を示す。
【0029】
【数1】

【0030】
【数2】

【0031】
続いて、画像処理部321は、画素P0の微分絶対値abs(P0)を数3によって求める。
【0032】
【数3】

【0033】
数3から明らかなように、微分絶対値abs(P0)は、画素P0の近傍領域における濃度値の変化率を表わす。つまり、微分絶対値absは、濃淡画像6において濃度変化が大きい部位ほど大きくなる。
【0034】
なお、本実施形態の微分フィルタは、3×3フィルタに限定されず、例えば5×5フィルタなどであってもよい。
【0035】
画像処理部321は、各画素の微分絶対値absを所定の閾値で2値化して微分2値化画像7を作成する。図2(b)は微分2値化画像7を示している。図2(b)の微分2値化画像7では、上記閾値以上の微分絶対値absを有する画素を白色とし、上記閾値未満の微分絶対値absを有する画素を黒色として表わしている。微分2値化画像7の白色部分には、各端子A1の輪郭部71とともに、それぞれが欠陥領域Bの候補となる複数の欠陥候補領域72が存在する。
【0036】
図1に示す第1の抽出部322は、微分2値化画像7において同一の欠陥候補領域72を構成する画素群をラベリング処理によって複数抽出する。ラベリング処理とは、白色の画素の集合を図形成分として認識させる処理をいう。第1の抽出部322は、微分2値化画像7の左上から順に各画素が白色であるか黒色であるかを調べていき、白色の画素のうち、つながった画素に同じラベルを付けていく。第1の抽出部322は、微分2値化画像7に存在する複数の欠陥候補領域72のそれぞれに対して、水平方向(図2(b)の横方向)の射影幅と垂直方向(図2(b)の縦方向)の射影幅とを求める。水平方向の射影幅とは、水平方向に沿った線上に投影されたときの幅をいう。垂直方向の射影幅とは、垂直方向に沿った線上に投影されたときの幅をいう。第1の抽出部322は、複数の欠陥候補領域721〜723の中から水平方向の射影幅が最も大きい欠陥候補領域721を最大欠陥候補領域として選択する(図2(c)参照)。本実施形態では、最大欠陥候補領域721の長手方向と水平方向との角度のほうが上記長手方向と垂直方向との角度よりも小さいため、水平方向が第1の方向となり、垂直方向が第2の方向となる。
【0037】
第1の算出部323は、各ラインLごとに、最大欠陥候補領域721の垂直方向の幅を欠陥幅δとして求める(図2(d)参照)。各ラインLは、微分2値化画像7において第1の方向と直交する第2の方向に沿って所定間隔ごとに設定されている。各ラインLの欠陥幅δは、記憶部33に記憶される。
【0038】
検出部324は、各ラインLごとに、微分絶対値absが閾値以上である画素をエッジ画素として検出する。このとき、検出部324は、記憶部33で記憶されている欠陥幅δの中から最大値を抽出し、最大の欠陥幅δとなるラインL1から順に各ラインLごとにエッジ画素を検出する。さらに、検出部324は、各ラインLごとにエッジ画素を検出する際に、欠陥幅δが狭いほど次のラインLの閾値が低くなるように次のラインLの閾値を設定する。つまり、検出部324は、欠陥幅δが狭いほど次のラインLの閾値が低くなるように、各ラインLごとに閾値を変化させ、微分絶対値absが閾値以上である画素をエッジ画素として検出する(図2(e)参照)。
【0039】
なお、最大の欠陥幅δとなるラインLが最大欠陥候補領域721の端部以外のラインとなる場合、検出部324は、最大の欠陥幅δとなるラインLから一の方向(例えば図2(e)の右方向)に順に各ラインLごとにエッジ画素を最初に検出する。その後、検出部324は、最大の欠陥幅δとなるラインLから他の方向(例えば図2(e)の左方向)に順に各ラインLごとにエッジ画素を検出する。検出部324は、一の方向においてエッジ画素を検出する場合も、他の方向においてエッジ画素を検出する場合も、各ラインLの閾値を設定する手法として、上述した手法をそれぞれ用いればよい。
【0040】
欠陥幅δと閾値との関係は、図4に示すように、欠陥幅δが大きいほど閾値も大きいという関係である。例えば図2(e)において、検出部324は、ラインL1のエッジ画素を検出する際に、ラインL1における欠陥幅δ1を用いて、ラインL2における閾値を設定する。なお、ラインL1は最初のラインであるため、ラインL1における閾値は、ラインL1における欠陥幅δ1を用いて設定される。
【0041】
続いて、検出部324は、ラインL2のエッジ画素を検出するときに、ラインL2における欠陥幅δ2を用いて、ラインL3における閾値を設定する。さらに、ラインL3のエッジ画素を検出するときに、検出部324は、ラインL3における欠陥幅δ3を用いて、ラインL4における閾値を設定する。なお、ラインL4〜L11では、欠陥幅δが求められていないため、検出部324は、欠陥幅δが求められているラインL1〜L3のうち直前のラインL3における欠陥幅δ3を用いて、各ラインL4〜L11の閾値を設定する。
【0042】
上記のようにして、検出部324は、各ラインL1〜L11ごとに、閾値を設定してエッジ画素を検出することができる。
【0043】
第2の抽出部325は、最大欠陥候補領域721を含む欠陥領域Bを抽出する(図2(e)参照)。具体的には、第2の抽出部325は、各ラインLごとのエッジ画素が輪郭線となる領域を欠陥領域Bとして抽出する。
【0044】
第2の算出部326は、欠陥領域Bについて水平方向の射影幅W1と垂直方向の射影幅W2とを求める(図2(f)参照)。水平方向の射影幅W1とは、水平方向(図2(f)の横方向)に沿った線上に投影されたときの射影幅をいう。垂直方向の射影幅W2とは、垂直方向(図2(f)の縦方向)に沿った線上に投影されたときの射影幅をいう。水平方向の射影幅W1は、本発明の第1の射影幅に相当する。垂直方向の射影幅W2は、本発明の第2の射影幅に相当する。
【0045】
判定部327は、第2の算出部326で求められた水平方向の射影幅W1と基準値とを比較する。さらに、判定部327は、第2の算出部326で求められた垂直方向の射影幅W2と基準値とを比較する。水平方向の射影幅W1が基準値より大きいという比較結果と垂直方向の射影幅W2が基準値より大きいという比較結果とのうち少なくとも一方の比較結果を得た場合、判定部327は、検査対象Aが不良であると判定する。基準値は、判定部327による判定前に予め記憶部33に設定された値である。なお、水平方向の射影幅W1と比較する基準値と、垂直方向の射影幅W2と比較する基準値とは、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0046】
記憶部33は、画像取込部31で取り込まれた濃淡画像6(図2(a)参照)の画像データを記憶したり、画像処理部321で生成された微分2値化画像7(図2(b)参照)の画像データを記憶したりする。さらに、記憶部33は、各ラインLごとに第1の算出部323で求められた欠陥幅δを記憶する。画像出力部34は、濃淡画像6と微分2値化画像7とを表示装置4に出力する。入力インタフェース35には、操作入力装置5からユーザの指示が入力される。
【0047】
次に、本実施形態に係る外観検査システム1を用いて検査対象Aの良否を判定する外観検査方法について図5を参照しながら説明する。まず、撮像装置2が検査対象Aを撮像する(図5のS1)。続いて、外観検査装置3の画像処理部321が、濃淡画像6(図2(a)参照)の各画素の微分絶対値absを求め、各画素の微分絶対値absを2値化して微分2値化画像7(図2(b)参照)を作成する(S2)。その後、第1の抽出部322が、微分2値化画像7において同一の欠陥候補領域72を構成する画素群を複数抽出する(S3)。さらに、第1の抽出部322は、各欠陥候補領域72の射影幅を求め(S4)、複数の欠陥候補領域72の中から最大欠陥候補領域721を選択する(S5)。
【0048】
その後、第1の算出部323は、微分2値化画像7において垂直方向に沿って所定間隔ごとにラインLを設定する。第1の算出部323は、各ラインLごとに最大欠陥候補領域721の垂直方向の幅を欠陥幅δとして求める(S6)。このとき、第1の算出部323は、複数のラインLから欠陥幅δが最大となるラインL1(図2(d)参照)を選択する(S7)。
【0049】
その後、検出部324は、各ラインLごとにエッジ画素を検出する(S8)。このとき、検出部324は、欠陥幅δが最大となるラインL1から順に各ラインLごとにエッジ画素を検出し、各ラインLのエッジ画素を検出する際に、欠陥幅δが狭いほど次のラインLの閾値が低くなるように次のラインLの閾値を設定する。
【0050】
その後、第2の算出部326は、各ラインLのエッジ画素を線化し(S9)、各ラインLごとのエッジ画素が輪郭線となる欠陥領域Bを抽出する(S10)。その後、第2の算出部326は、欠陥領域Bについて、水平方向の射影幅W1と垂直方向の射影幅W2とを求める(S11)。その後、判定部327は、水平方向の射影幅W1と垂直方向の射影幅W2とが基準値より大きいか否かを判定する(S12)。水平方向の射影幅W1と垂直方向の射影幅W2との少なくとも一方が基準値より大きい場合、判定部327は、検査対象Aが不良であると判定する(S13)。水平方向の射影幅W1と垂直方向の射影幅W2とのいずれもが基準値以下である場合、判定部327は、検査対象Aが良品であると判定する(S14)。
【0051】
以上、本実施形態の外観検査システム1によれば、欠陥領域Bに幅の狭い部分があったとしても、欠陥候補領域72の各ラインLごとの欠陥幅δに応じて次のラインLの閾値を変化させながら微分絶対値absが閾値以上である画素をエッジ画素として検出部324が検出する。これにより、本実施形態の外観検査システム1では、微分2値化画像7において場所ごとに適切な閾値を設定することができるので、欠陥領域Bを途切れた状態で検出することを防止できる。その結果、本実施形態の外観検査システム1では、欠陥領域Bの大きさを高精度で求めることができるので、検査対象Aの良否判定の精度を高めることができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、複数の欠陥候補領域72のうち最大欠陥候補領域721のみを対象とすることによって、すべての欠陥候補領域72を対象とする場合に比べて、外観検査装置3における演算処理の負荷を低減することができる。
【0053】
なお、本実施形態の変形例として、外観検査システム1は、複数の欠陥候補領域72のすべてを対象としてもよい。上記変形例によれば、外観検査装置3における演算処理の負荷が増加するものの、欠陥領域Bの大きさをさらに高精度で求めることができる。
【0054】
(実施形態2)
実施形態2に係る外観検査システム1は、微分2値化画像7において各ラインLごとに両方(上方および下方)から走査して画素値が変化する境界を検出する点で、実施形態1に係る外観検査システム1と相違する。なお、上記以外の点については、本実施形態の外観検査システム1は、実施形態1の外観検査システム1と同様である。本実施形態の外観検査システム1は、実施形態1の外観検査システム1と同様に、図1に示されている。
【0055】
本実施形態の外観検査装置3の第1の算出部323は、微分2値化画像7において、各ラインLごとに一方(図2(d)の上方)から走査して画素値が変化する境界(黒色の画素から白色の画素に変化する境界)を第1の画素として検出する。さらに、第1の算出部323は、他方(図2(d)の下方)から走査して画素値が変化する境界(黒色の画素から白色の画素に変化する境界)を第2の画素として検出する。上記より、本実施形態の第1の算出部323は、常に黒色の画素から白色の画素に変化する境界のみを検出すればよく、白色の画素から黒色の画素に変化する境界を検出する必要はない。その後、第1の算出部323は、各ラインLごとに、第1の画素と第2の画素との間隔を欠陥幅δとして求める。
【0056】
次に、本実施形態に係る外観検査システム1を用いた外観検査方法について図6を参照しながら説明する。まず、本実施形態の外観検査システム1は、実施形態1のステップS1からステップS5までの処理を行う(図6のS21〜S25)。
【0057】
その後、第1の算出部323は、各ラインLごとに、上方から走査して第1の画素を検出するとともに、下方から走査して第2の画素を検出する。その後、第1の算出部323は、第1の画素と第2の画素との間隔を欠陥幅δとして求める(S26)。
【0058】
その後、本実施形態の外観検査システム1は、実施形態1のステップS7からステップS14までの処理を行う(S27〜S34)。
【0059】
以上、本実施形態の外観検査システム1によれば、第1の算出部323が欠陥候補領域72の欠陥幅δを求める際に、常に黒色領域から白色領域に変化する境界となる画素をエッジ画素として検出することによって、エッジ画素を検出するための条件を上記のように指定することができる。これにより、本実施形態の外観検査システム1では、欠陥幅δを求める際にノイズなどを誤って検出することを低減でき、欠陥幅δを求める精度を向上させることができる。
【0060】
(実施形態3)
実施形態3に係る外観検査システム1は、図7に示すようにエッジ画素を検出する際に検出範囲73を限定する点で、実施形態1に係る外観検査システム1と相違する。なお、上記以外の点については、本実施形態の外観検査システム1は、実施形態1の外観検査システム1と同様である。本実施形態の外観検査システム1は、実施形態1の外観検査システム1と同様に、図1に示されている。
【0061】
本実施形態の外観検査装置3の検出部324は、図7に示すように、第1の算出部323で求められた欠陥幅δが狭いほどエッジ画素を検出するための検出範囲73が狭くなるように、各ラインLごとに欠陥幅δに応じて検出範囲73を設定する。
【0062】
次に、本実施形態に係る外観検査システム1を用いた外観検査方法について図8を参照しながら説明する。まず、本実施形態の外観検査システム1は、実施形態1のステップS1からステップS7までの処理を行う(図8のS41〜S47)。
【0063】
その後、検出部324は、各ラインLごとに、第1の算出部323で求められた欠陥幅δが狭いほど検出範囲73が狭くなるように欠陥幅δに応じて検出範囲73を決定する(S48)。検出部324は、上記検出範囲73において、欠陥幅δが狭いほど閾値が低くなるように、各ラインLごとに欠陥幅δに応じて閾値を変化させて、エッジ画素を検出する(S49)。
【0064】
その後、本実施形態の外観検査システム1は、実施形態1のステップS9からステップS14までの処理を行う(S50〜S65)。
【0065】
以上、本実施形態の外観検査システム1によれば、エッジ画素を検出するための検出範囲73を検出部324が限定することによって、エッジ画素を検出する際にノイズを誤って検出することを低減できる。その結果、本実施形態の外観検査システム1では、検査対象Aの良否判定の精度をより高めることができる。
【0066】
なお、本実施形態の変形例として、検出範囲73を実施形態2の外観検査システム1に適用してもよい。
【0067】
(実施形態4)
ところで、図15(a)には、金属の異物(例えば金属片など)A2が付着した検査対象Aの濃淡画像6aが示され、図15(b)には、濃淡画像6aから作成された微分2値化画像7aが示されている。微分2値化画像7aには、金属の異物A2に相当する領域75が存在する。また、図15(c)には、非金属の異物(例えば成形粉など)A3が付着した検査対象Aの濃淡画像6bが示され、図15(d)には、濃淡画像6bから作成された微分2値化画像7bが示されている。微分2値化画像7bには、金属の異物A2に相当する領域76が存在する。図15(b),(d)に示すように、微分2値化処理のみでは、領域75が金属の異物A2に相当する領域であることと、領域76が非金属の異物A3に相当する領域であることとを識別することができない。このため、金属の異物A2の有無のみを検査する場合、非金属の異物A3も検出してしまうため、過検出が発生する。
【0068】
そこで、実施形態4に係る外観検査システム1は、図9に示すように外観検査装置3が第3の算出部361と第2の判定部362とを備えることによって、欠陥領域Bの異物が金属であるのか非金属の物質であるのかを識別することができる。なお、上記以外の点については、本実施形態の外観検査システム1は、実施形態1の外観検査システム1(図1参照)と同様である。
【0069】
第3の算出部361は、判定部327で検査対象Aが不良であると判定された場合に、図10に示すように、欠陥領域Bに外接する矩形領域74の内部(図10の斜線部分)に含まれるすべての画素の濃度値の平均値を平均濃度値として求める。矩形領域74の水平方向の長さは水平方向の射影幅W1であり、矩形領域74の垂直方向の長さは垂直方向の射影幅W2である。
【0070】
図9に示す第2の判定部362は、第3の算出部361で求められた平均濃度値と第2の基準値とを比較する。平均濃度値が第2の基準値より大きい場合、第2の判定部362は、欠陥領域Bに金属の異物が存在すると判定する。平均濃度値が第2の基準値以下である場合、第2の判定部362は、欠陥領域Bに非金属の異物が存在すると判定する。第2の基準値は、第2の判定部362による判定前に予め記憶部33に設定された値である。
【0071】
次に、本実施形態に係る外観検査システム1を用いた外観検査方法について図11を参照しながら説明する。まず、本実施形態の外観検査システム1は、実施形態1のステップS1からステップS14までの処理を行う(図11のS61〜S74)。
【0072】
判定部327で検査対象Aが不良であると判定された場合、第3の算出部361は、矩形領域74の内部に存在する画素の平均濃度値を求める(S75)。その後、第2の判定部362は、上記平均濃度値が第2の基準値より大きいか否かを判定する(S76)。平均濃度値が第2の基準値より大きい場合、第2の判定部362は、欠陥領域Bに金属の異物が存在すると判定する(S77)。平均濃度値が第2の基準値以下である場合、第2の判定部362は、欠陥領域Bに非金属の異物が存在すると判定する(S78)。
【0073】
以上、本実施形態の外観検査システム1によれば、矩形領域74の内部の平均濃度値が第2の基準値より大きい場合に欠陥領域Bに金属の異物が存在すると第2の判定部362が判定することによって、欠陥領域Bの異物が金属であるか他の物質であるかを識別することができる。
【0074】
なお、本実施形態の変形例として、第3の算出部361と第2の判定部362とを実施形態2,3の外観検査システム1に適用してもよい。
【0075】
(実施形態5)
実施形態5に係る外観検査システム1は、図12に示すように外観検査装置3が第4の算出部371と第3の判定部372とを備えることによって、欠陥領域Bの異物が金属であるのか非金属の物質であるのかを識別することができる。なお、上記以外の点については、本実施形態の外観検査システム1は、実施形態1の外観検査システム1(図1参照)と同様である。
【0076】
第4の算出部371は、判定部327で検査対象Aが不良であると判定された場合に、図13に示すように、各ラインLのエッジ画素の濃度値の平均値を平均濃度値として求める。
【0077】
図12に示す第3の判定部372は、上記平均濃度値と第3の基準値とを比較する。平均濃度値が第3の基準値より大きい場合、第3の判定部372は、欠陥領域Bに金属の異物が存在すると判定する。平均濃度値が第3の基準値以下である場合、第3の判定部372は、欠陥領域Bに非金属の異物が存在すると判定する。第3の基準値は、第3の判定部372による比較および判定前に予め記憶部33に設定された値である。
【0078】
次に、本実施形態に係る外観検査システム1を用いた外観検査方法について図14を参照しながら説明する。まず、本実施形態の外観検査システム1は、実施形態1のステップS1からステップS14までの処理を行う(図14のS81〜S94)。
【0079】
判定部327で検査対象Aが不良であると判定された場合、第4の算出部371は、各ラインLのエッジ画素の平均濃度値を求める(S95)。その後、第3の判定部372は、上記平均濃度値が第3の基準値より大きいか否かを判定する(S96)。平均濃度値が第3の基準値より大きい場合、第3の判定部372は、欠陥領域Bに金属の異物が存在すると判定する(S97)。平均濃度値が第3の基準値以下である場合、第3の判定部372は、欠陥領域Bに非金属の異物が存在すると判定する(S98)。
【0080】
以上、本実施形態の外観検査システム1によれば、欠陥領域Bのエッジ画素の平均濃度値が第3の基準値より大きい場合に欠陥領域Bに金属の異物が存在すると第3の判定部372が判定することによって、欠陥領域Bの異物が金属であるか他の物質であるかを識別することができる。
【0081】
なお、本実施形態の変形例として、第4の算出部371と第3の判定部372とを実施形態2,3の外観検査システム1に適用してもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 外観検査システム
2 撮像装置
3 外観検査装置
321 画像処理部
322 第1の抽出部
323 第1の算出部
324 検出部
325 第2の抽出部
326 第2の算出部
327 判定部
361 第3の算出部
362 第2の判定部
371 第4の算出部
372 第3の判定部
6,6a,6b 濃淡画像
7,7a,7b 微分2値化画像
72(721,722,723) 欠陥候補領域
721 最大欠陥候補領域
73 検出範囲
74 矩形領域
A 検査対象
B 欠陥領域
abs 微分絶対値
L(L1〜L11) ライン
δ(δ1〜δ3) 欠陥幅
W1 水平方向の射影幅
W2 垂直方向の射影幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象が撮像された濃淡画像を用いて前記検査対象の良否を検査する外観検査装置であって、
前記濃淡画像の画素ごとに前記画素と当該画素の周辺の画素との間の濃度変化を表わす微分絶対値を求め各画素の前記微分絶対値を2値化して微分2値化画像を作成する画像処理部と、
前記微分2値化画像において同一の欠陥候補領域を構成する画素群を抽出する第1の抽出部と、
前記微分2値化画像の水平方向と垂直方向とのうち前記欠陥候補領域の長手方向との角度が小さい方向を第1の方向とし、前記微分2値化画像において前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って所定間隔ごとにラインが設定され各ラインごとに前記欠陥候補領域の前記第2の方向の幅を欠陥幅として求める第1の算出部と、
各ラインごとに前記微分絶対値が閾値以上である画素をエッジ画素として検出する検出部と、
前記欠陥候補領域を含み各ラインごとの前記エッジ画素が輪郭線となる欠陥領域を抽出する第2の抽出部と、
前記欠陥領域について前記第1の方向に沿った線上に投影されたときの第1の射影幅および前記第2の方向に沿った線上に投影されたときの第2の射影幅を求める第2の算出部と、
前記第1の射影幅および前記第2の射影幅の少なくとも一方が予め設定された基準値より大きい場合に前記検査対象が不良であると判定する判定部とを備え、
前記検出部は、前記欠陥幅が最大となるラインから順に各ラインごとに前記エッジ画素を検出し、各ラインごとに前記エッジ画素を検出する際に、前記欠陥幅が狭いほど次のラインの前記閾値が低くなるように前記次のラインの前記閾値を設定する
ことを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
前記第1の抽出部は、前記微分2値化画像において前記欠陥候補領域を構成する画素群を複数抽出し、複数の前記欠陥候補領域の中から前記第1の方向に沿った線上に投影されたときの射影幅が最も大きい欠陥候補領域を最大欠陥候補領域として選択し、
前記第1の算出部は、前記微分2値化画像において各ラインごとに前記最大欠陥候補領域の前記欠陥幅を求める
ことを特徴とする請求項1記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記第1の算出部は、前記微分2値化画像において、各ラインごとに一方から走査して画素値が変化する境界を第1の画素として検出するとともに他方から走査して画素値が変化する境界を第2の画素として検出し、前記第1の画素と前記第2の画素との間隔を前記欠陥幅として求めることを特徴とする請求項1または2記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記第1の算出部で求められた前記欠陥幅が狭いほど前記エッジ画素を検出するための検出範囲が狭くなるように、各ラインごとに前記欠陥幅に応じて前記検出範囲を設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記判定部で前記検査対象が不良であると判定された場合に、前記第1の方向の長さが前記第1の射影幅であり前記第2の方向の長さが前記第2の射影幅であって前記欠陥領域に外接する矩形領域の内部に含まれるすべての画素の濃度値の平均値を平均濃度値として求める第3の算出部と、
前記平均濃度値が予め設定された第2の基準値より大きい場合に前記欠陥領域に金属の異物が存在すると判定する第2の判定部と
を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記判定部で前記検査対象が不良であると判定された場合に、各ラインの前記エッジ画素の濃度値の平均値を平均濃度値として求める第4の算出部と、
前記平均濃度値が予め設定された第3の基準値より大きい場合に前記欠陥領域に金属の異物が存在すると判定する第3の判定部と
を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の外観検査装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の外観検査装置と、
検査対象を撮像し前記検査対象が撮像された濃淡画像を前記外観検査装置に出力する撮像装置と
を備えることを特徴とする外観検査システム。
【請求項8】
検査対象が撮像された濃淡画像を用いて前記検査対象の良否を検査する外観検査方法であって、
前記濃淡画像の画素ごとに前記画素と当該画素の周辺の画素との間の濃度変化を表わす微分絶対値を求め各画素の前記微分絶対値を2値化して微分2値化画像を作成する第1のステップと、
前記微分2値化画像において同一の欠陥候補領域を構成する画素群を抽出する第2のステップと、
前記微分2値化画像の水平方向と垂直方向とのうち前記欠陥候補領域の長手方向との角度が小さい方向を第1の方向とし、前記微分2値化画像において前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って所定間隔ごとにラインを設定し各ラインごとに前記欠陥候補領域の前記第2の方向の幅を欠陥幅として求める第3のステップと、
各ラインごとに前記微分絶対値が閾値以上である画素をエッジ画素として検出する第4のステップと、
前記欠陥候補領域を含み各ラインごとの前記エッジ画素が輪郭線となる欠陥領域を抽出する第5のステップと、
前記欠陥領域について前記第1の方向に沿った線上に投影したときの第1の射影幅および前記第2の方向に沿った線上に投影したときの第2の射影幅を求める第6のステップと、
前記第1の射影幅および前記第2の射影幅の少なくとも一方が予め設定された基準値より大きい場合に前記検査対象が不良であると判定する第7のステップとを有し、
前記第4のステップにおいて、前記欠陥幅が最大となるラインから順に各ラインごとに前記エッジ画素を検出し、各ラインごとに前記エッジ画素を検出する際に、前記欠陥幅が狭いほど次のラインの前記閾値が低くなるように前記次のラインの前記閾値を設定する
ことを特徴とする外観検査方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図2】
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【図7】
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【図10】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−153874(P2011−153874A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14757(P2010−14757)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】