説明

多層導波管、及びその製造方法

【課題】複数の導波管が重ね合わされ、各導波管の内部が誘電体で充填された構成において、高集積化及び軽量化を図ることができるとともに、信頼性を向上させることができる多層導波管、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基礎導波管形成部101と積層導波管形成部102とは、絶縁性の第1の接着剤50により互いに接着されている。基礎導波管形成部101は、互いに間隔をおいて対向配置された板状の第1及び第2の主導体1a,1bと、それらの間に充填された第1の誘電体2とを有している。積層導波管形成部102は、第3の主導体21と、第3の主導体層21の主面に層状に形成された第2の誘電体22とを有している。第2の誘電体22の主面における第2の貫通導体23aの接着剤50に接する側には、第2の誘電体22の主面から突出するように、ランド24が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロ波帯やミリ波帯等の高周波信号を伝達するための誘電体で充填された導波管(導波管線路)に関し、特に、複数の誘電体で充填された導波管が積層されてなる、高密度・軽量誘電体で充填された多層導波管、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の誘電体で充填された導波管では、例えば特許文献1に示すように、二層以上の導体層を有する誘電体基板に、互いに隣り合う導体層同士を結ぶ複数の貫通孔を2列設けて、この各列の貫通孔同士の間の間隔を遮断波長よりも小さな間隔としている。また、この列同士の間の間隔を所定の導波管幅としている。これらは、プリント配線板製造技術を用いて製造され、実装性や、量産性に優れた導波管が得られる。
【0003】
さらに、小型化・高集積化のために、上下に導波管を配置することも考えられている。例えば、導波管の分岐を目的とした特許文献2に示すように、一対の主導体層と側壁用の貫通導体群とからなる2つの導波管の主導体層に結合用穴をそれぞれ形成し、それらを重ね合わせることにより、誘電体で充填された導波管線路を電磁的に結合して接続している。具体的な製造方法としては、グリーンシートに空けた貫通孔に金属ペーストを埋め込み、また、主導体層を印刷し、重ね合わせて焼成することにより形成された多層ガラスセラミック基板を紹介している。
【0004】
一般的な多層ガラスセラミック基板では、各誘電体層に予め金属ペーストによるビアホールが設けてられているため、隣接する任意の層間のみ電気的に接続することができる。また、ビアホール全てを金属ペーストで充填するため、フィルドビア構造と呼ばれ、ビアの上にビアを重ねるスタックビアが容易に実現でき、導波管の側壁用の貫通導体群の長さ寸法を任意に設定できる。これにより、不必要な部分にビアホールや、スルーホールを形成する必要がないため、高周波回路の信号を伝送する導波管を多層に形成することが容易である。
【0005】
より安価な樹脂系の多層プリント配線板においても、スタックビアを形成する方法がある。例えば、特許文献3に示すように、導電性ペーストにより導体バンプ群を導電層となる支持基体上に形成し、それ自体の剛性により接着性誘電層を貫挿させ、さらに他の導電層となる支持基体に先端の塑性変形により接続する方法がある。
【0006】
また、特許文献4に示すように、主導体層に側壁用金属を、めっきとリソグラフィ法によるエッチングとにより形成し、その主導体層と側壁用金属とを樹脂で埋めた後、樹脂を研削し、側壁用金属の上部を露出させた後に、対となる主導体層を形成する方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−53711号公報
【特許文献2】特開2000−77912号公報
【特許文献3】特開平8−78845号公報
【特許文献4】特開2001−326433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、誘電体で充填された導波管の誘電体として、樹脂を用いると、ガラスセラミックと比較して、比較的低温で製造することが可能であり、また、靭性が高く比較的大きなサイズで製造できるため、量産性に富む。しかしながら、誘電率が比較的低いため、導波管の断面サイズは大きくなる。
【0009】
また、導波管用の誘電体は、誘電損失の低さと誘電率の安定性とが求められるが、それらを満足するプリント配線板に使用される樹脂系の誘電体の誘電率は、ガラスセラミックの誘電率と比較して非常に小さく、2から5程度である。この結果、波長短縮効果があまり得られず、マイクロ波、ミリ波領域における誘電体で充填された導波管内部の長辺方向の長さ寸法aは、例えばTE10モード伝送を考えると、遮断周波数と、高次モードの発生の抑制を考慮し、使用周波数をf、光速をc、誘電率をεrとすると、a≒0.6c・(εr)-0.5/f程度を選択する。例えば、εr=3の場合、f=10GHzで約10mmであり、100GHzで約1mmであり、一般的に、f=10〜100GHzの場合、数mm必要である。
【0010】
これに対して、短辺方向の長さ寸法bは、特性インピーダンスや、高次モードの発生に影響し、長辺長/短辺長は、通常、2から4とされる。この結果、樹脂系誘電体で充填された導波管における貫通導体の長さ寸法は、1つの導波管当り、上記の100GHzの場合には、0.25mm以上、一般的には数百マイクロメートルが必要となる。
【0011】
ここで、特許文献2に示すような従来技術のように、グリーンシートに空けた貫通孔に金属ペーストを埋め込み、重ね合わせて焼成する場合、上述のような長さ寸法の貫通導体を誘電体に形成すると、厚み寸法と穴径とのアスペクト比が1を超す場合には、ボイドなく導電性ペーストを埋められないといった問題がある。また、穴径を大きくして、ボイドなく埋められたとしても、誘電体が積層時に流動してしまい、ビアホールが変形してしまう。この結果、ビアホールの側壁に無視できないぐらいの凹凸が形成されてしまうといった問題がある。
【0012】
さらに、ビアの上にビアを重ねるスタックビアにより、所定の長さ寸法の貫通導体を形成することはできるが、工程が煩雑であるといった問題に加え、各誘電体層の伸縮により、重ね合わせたビアにずれが生じてしまう。この結果、導波管の貫通導体が主導体に対して垂直方向に形成されず、損失の大きい導波管となってしまう。なお、グリーンシートの代わりに樹脂シートを用いた場合でも同様の問題が生じる。
【0013】
また、特許文献3に示すような従来技術のように、導体バンプ群で貫通導体を形成する場合には、バンプの剛性により所定の厚みの接着性誘電層を貫挿させ、さらに他の導電層となる支持基体に先端の塑性変形により接続するためには、剛性確保のため錐形としつつ、大口径とする必要があり、同様の問題がある。
【0014】
さらに、特許文献4に示すような従来技術のように、リソグラフィ法によるエッチングにより貫通導体を形成しても、樹脂の研削等の工程が煩雑であり、基板の反りも懸念され、さらには、エッチングの深さ方向の進行量に対し、横方向のエッチング、即ちサイドエッチングの進行量は無視できず、特許文献3に示す従来技術のように、錐形としつつ、大口径とする必要があり、同様の問題がある。
【0015】
一方、予め配線を形成した特許文献1に示すような基板を貼り合わせ、基板全体を貫通する孔(スルーホール)を形成し、その内側にめっきなどの手法で導体層を形成すると、アスペクト比が高く、ずれのない貫通導体を形成することができる。しかしながら、隣接する導体層間のみの接続が困難である。また、特許文献2に示すように、結合する部分のみ2つの導波管が重なり、かつ重なった部分の貫通導体が同じ位置で共有できる場合には、問題がないが、結合する部分以外での重ね合わせの自由度は低く、十分な小型化、高集積化を図ることができない。さらに、1つの導波管に対して、必ず2つの主導体層を有するため、金属層を余分に形成する必要があり、軽量化を図ることができない。
【0016】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、複数の導波管が重ね合わされ、各導波管の内部が誘電体で充填された構成において、高集積化及び軽量化を図ることができるとともに、信頼性を向上させることができる多層導波管、及びその製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
ここで、本願発明者は、上記の問題点に対して、検討を重ねた結果、従来の誘電体で充填された導波管やプリント配線板のように、主導体と貫通導体とが物理的に接触している必要はなく、誘電体で充填された導波管の主導体層と貫通導体との間に誘電体が形成されていても、主導体層と貫通導体との間に、一定以上の容量性リアクタンスがあれば、誘電体で充填された導波管として、信号損失が特段増加することがないことを見出した。
【0018】
この発明に係る多層導波管は、互いに対向配置された第1及び第2の主導体層と、前記第1及び第2の主導体層間に設けられた第1の誘電体とを有し、前記第1及び第2の主導体層を結ぶように前記第1の誘電体に複数の第1の貫通孔が2列以上設けられ、積層の基礎となる基礎導波管を形成する基礎導波管形成部と、第3の主導体層と、前記第3の主導体層の一方の主面に設けられた第2の誘電体とを有し、前記第2の誘電体における前記第3の主導体層の反対側の主面と前記第3の主導体層とを結ぶように前記第2の誘電体に複数の第2の貫通孔が2列以上設けられ、前記基礎導波管に積層されて前記基礎導波管とは異なる積層導波管を形成する積層導波管形成部とを備え、前記複数の第1の貫通孔のうち同一の列に属し、かつ互いに隣り合う第1の貫通孔同士の間隔は、遮断波長の1/2以下とされ、前記複数の第2の貫通孔のうち同一の列に属し、かつ互いに隣り合う第2の貫通孔同士の間隔は、遮断波長の1/2以下とされ、前記複数の第1の貫通孔の互いに隣り合う列同士の間隔は、所定の導波管幅とされ、前記複数の第2の貫通孔の互いに隣り合う列同士の間隔は、所定の導波管幅とされ、前記複数の第1の貫通孔には、外壁面が一つの面からなる複数の第1の貫通導体が形成され、前記複数の第2の貫通孔には、外壁面が一つの面からなる複数の第2の貫通導体が形成され、前記積層導波管形成部における前記第2の誘電体の前記第3の主導体層の反対側の主面には、その主面から前記第3の主導体層の反対側へ突出するように配置され、かつ前記複数の第2の貫通導体の端部と繋がる複数のランドが設けられ、前記積層導波管形成部における前記第2の誘電体の前記第3の主導体層の反対側の主面と、前記基礎導波管形成部における第2の主導体層とは、絶縁性の接着剤によって、互いに接着され、前記複数のランドは、前記基礎導波管形成部における前記第2の主導体層との間で間隔を空けて前記接着剤に埋められ、前記複数のランドのうちの1つのランドと、前記第2の主導体層との間の信号周波数における容量性リアクタンスが30Ω以下である。
【0019】
この発明に係る多層導波管の製造方法は、互いに対向配置された第1及び第2の主導体層と、前記第1及び第2の主導体層間に設けられた第1の誘電体とを有し、前記第1及び第2の主導体層を結ぶように前記第1の誘電体に複数の第1の貫通孔が2列以上設けられ、積層の基礎となる基礎導波管を形成する基礎導波管形成部と、第3の主導体層と、前記第3の主導体層の一方の主面に設けられた第2の誘電体とを有し、前記第2の誘電体における前記第3の主導体層の反対側の主面から前記第3の主導体層の反対側へ突出するように配置された複数のランドと、前記複数のランド及び前記第3の主導体層を結ぶように配置された複数の第2の貫通孔とが前記第2の誘電体に2列以上設けられ、前記基礎導波管に積層されて前記基礎導波管とは異なる積層導波管を形成する積層導波管形成部とを備える多層導波管の製造方法であって、前記基礎導波管形成部の前記第2の主導体層における前記第1の主導体層の反対側の主面と、前記積層導波管形成部の前記第2の誘電体における前記第3の主導体層の反対側の主面とを、接着時に流動性をもつ接着剤を介して圧着する工程を含む。
【発明の効果】
【0020】
この発明の多層導波管、及びその製造方法によれば、積層導波管形成部には、主導体層が片面だけに形成されており、第2の誘電体の主面から突出するランドが、圧着時にランド近傍の接着剤を押し除けて、他の主導体層に近接して配置される。この結果、誘電体で充填された導波管の主導体層と貫通導体との間には、大きな直流抵抗があるものの、使用周波数帯域において、ランドと主導体とは電磁的に結合され、信号損失が特段増加することがない。これにより、基礎導波管の貫通導体を、それに積層される積層導波管の位置によらずに形成することができ、設計の自由度が高まるとともに、1つの主導体層を、2つの導波管に利用できるため、高集積化及び軽量化を図ることができる。これとともに、基礎導波管と積層導波管との間が密着されることから、剥離が発生しにくく、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態1による多層導波管を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1による多層導波管の他の例を示す斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1による多層導波管の他の例を示す斜視図である。
【図4】図1の多層導波管の製造工程の一工程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による多層導波管を示す斜視図である。
図1において、実施の形態1の多層導波管100は、積層の基礎となる基礎導波管(第1の導波管)10を形成する基礎導波管形成部101と、積層導波管(第2の導波管)20を形成する積層導波管形成部(導波管構成要素)102とを有している。基礎導波管形成部101と積層導波管形成部102とは、絶縁性の第1の接着剤50により互いに接着されている。
【0023】
基礎導波管形成部101は、互いに間隔をおいて対向配置された板状の第1及び第2の主導体(主導体層)1a,1bと、それらの間に充填(挟持)された第1の誘電体2とを有している。また、基礎導波管形成部101には、第1及び第2の主導体層1a,1bを結び、かつ第1の誘電体2を貫通する第1の貫通孔(導通孔)3が2列以上設けられている(図では2列の場合を示す)。同一の列に属し互いに隣り合う第1の貫通孔3同士の間の間隔は、遮断波長の1/2以下とされ、2列の第1の貫通孔3の列の間隔が所定の導波管幅に設定されている。第1の貫通孔3の内部には、外壁面(側部外周面)が一つの面からなる第1の貫通導体3aが形成されている。
【0024】
積層導波管形成部102は、第3の主導体(主導体層)21と、第3の主導体層21の主面に層状に形成された第2の誘電体22とを有している。また、積層導波管形成部102には、第2の誘電体22を貫通する第2の貫通孔23が2列以上設けられている(図では2列の場合を示す)。同一の列に属し互いに隣り合う第2の貫通孔23同士の間の間隔は、遮断波長の1/2以下とされ、2列の第2の貫通孔23の列の間隔が所定の導波管幅に設定されている。
【0025】
第2の貫通孔23の内部には、外壁面(側部外周面)が一つの面からなる第2の貫通導体23aが形成されている。第2の誘電体22の主面における第2の貫通導体23aの接着剤50に接する側(図1の下側)には、第2の誘電体22の主面(図1の下面)から突出するように、ランド24が設けられている。
【0026】
ランド24の主面の形状は、円形状である。また、ランド24は、第2の主導体層1bと非接触状態で、絶縁性の接着剤50に埋め込まれている。さらに、1つのランド24と第2の主導体層1bとの間の信号周波数における容量性リアクタンスは、30Ω以下となっている。
【0027】
ここで、スタックビアのように、貫通孔を積層し、1つの導波管形成部の誘電体の厚み方向に貫通導体を形成する場合には、貫通導体の外壁面が複数の面となり、位置ずれや損失増加等の問題が発生する。これに対して、1つの貫通導体3a,23aを形成するにあたり、例えばレーザやドリルにより、各導波管形成部を構成する誘電体2,22の厚み方向に貫通孔を形成し、その貫通孔をメタライズすれば、導波管形成部毎の貫通導体3a,23aの外壁面を一面とすることができ、位置ずれを抑制することができるとともに、安定した形状の貫通導体3a,23aを形成することができる。
【0028】
また、開口された貫通孔の壁面のメタライズは、めっきにて行うことが、ランド24の厚みの制御が容易であるため好ましい。特許文献2〜4に示す従来技術の場合とは異なり、いずれの方法で開口しても、1つの導波管の貫通導体3a,23aの位置ずれは発生しない。さらに、貫通導体3a,23aがテーパ状となりにくく、安定した導波管形状を確保できるため、特にドリルによる開口の形成加工がより好ましい。
【0029】
また、図1に示すように、第2の貫通導体23aの内部空間に孔埋め材51を充填したのち、孔埋め材51の上下面をめっきにて導体で覆う蓋めっきを行い、ランド24の主面方向の形状を円形状としてもよい。あるいは、図2に示すように、ランド24の主面の形状をドーナツ状とし、第2の貫通導体23aの内部空間23bを形成して、その内部空間23bの一部もしくは全部に、接着剤50からなる接着剤層52が形成されていてもよい。
【0030】
ここで、図1に示すような構成の場合には、同じランド径でも1つのランド24の主面の面積が比較的大きくなり、第2の主導体層1bとの間での容量性リアクタンスをより小さくすることができる。
【0031】
一方、図2に示すような構成の場合には、ランド24の主面の形状は、ドーナツ状であり、第2の貫通導体23aの内部空間23bの分だけランド24の主面の面積が小さくなるが、余分な接着剤50が、第2の貫通導体23aの内部空間23bに流入するため、ランド24と第2の主導体層1bの距離が安定し、第2の主導体層1bとの容量性リアクタンスをより安定化させることができる。この結果、多層導波管100で高品質な信号伝送を行うことができる。ここで、第2の貫通導体23aの構造を、図1,2のいずれかの構造にするかは、容量性リアクタンスを鑑み適宜決定することができる。
【0032】
なお、第2の主導体層1bに適当な大きさの開口部を形成することにより、基礎導波管10及び積層導波管20を結合させることができる。また、第3の主導体層21に適当な大きさの開口部を形成することにより、アンテナとすることもできる。
【0033】
ここで、図3に示すように、概略として積層導波管形成部102と同一構造(貫通孔33及び貫通導体33aの位置が異なる)の積層導波管形成部103を、積層導波管形成部102の第3の主導体層21に積層して、接着剤53により接着してもよい。これにより、基礎導波管10及び2つの積層導波管20,30を第1〜第3の導波管として有する3層の多層導波管100が形成される。また、積層導波管形成部を任意の数準備することにより、任意の数の導波管を積層させた多層導波管を形成することができる。
【0034】
次に、容量性リアクタンスの限定理由について説明する。1つのランド24と第2の主導体層1bとの間の信号周波数における容量性リアクタンスXcは、信号周波数の角速度ω、及び1つのランド24と第2の主導体層1bとの間の静電容量Cを用いて、以下のように定義される。
【0035】
【数1】

【0036】
ランド24と第2の主導体層1bとの電磁結合は、ランド24の主面と第2の主導体層1bの主面との間の間隙αに集中しており、ランド24の主面の面積、間隙αを充填する接着剤50の誘電率、及び信号周波数によって、容量性リアクタンスが求められる。例えば、ランド径0.5mm、比誘電率3、10GHzの信号周波数の場合、1つのランド24と第2の主導体層1bとの間の信号周波数における容量性リアクタンスは、ほぼ30Ωとなる。また、ランド径0.16mm、比誘電率3、100GHzの信号周波数の場合、1つのランド24と第2の主導体層1bとの間の信号周波数における容量性リアクタンスが30Ωとなる。
【0037】
上記のように定義された1つのランド24と第2の主導体層1bとの間の信号周波数における容量性リアクタンスXcが30Ω以下の場合、2つの対向する主導体を貫通導体により完全に直流抵抗がほぼ0となるように接続された特許文献1記載のような基礎導波管と比較して、伝送損失は測定ばらつきの範囲内で同じであった。しかしながら、接着剤50の厚みを増加させたり、積層導波管20の2列の第2の貫通導体23a間の外の第2の主導体層1b上にスペーサを配置し、間隙αを空気とすることにより間隙αの誘電率を低下させたりすることにより、参考例として30Ωを超えるリアクタンスとした場合、特許文献1記載のような導波管と比べて、伝送損失が5%以上大きくなった。これは、間隙αが導波管中に伝送される信号にとって無視できなくなり、電磁波漏洩を引き起こしたためであると考えられる。
【0038】
次に、間隙αが形成されることによる構造上のメリットについて説明する。接着剤50が充填された間隙αが形成されることにより、多層導波管100の信頼性を向上させることができる。即ち、多層導波管100に他の部品を実装する場合などに適用されるハンダ付け工程において、高温下に多層導波管100が晒されるが、間隙αに接着剤50が充填されているため、温度変化による応力を緩和できるとともに、吸湿した水分の濃縮を防止できる。この結果、基礎及び積層導波管10,20間での剥離の発生を抑えることができる。また、多層導波管100の使用環境下で、ヒートサイクルが加わった場合の剥離の発生の抑えることができる。
【0039】
次に、間隙αが形成されることによる製造上のメリットについて説明する。間隙αが形成されていると、接着時に流動可能な成分のみで接着剤50を構成する必要がなく、適当な大きさの電気的絶縁性のフィラーを接着剤50に添加し、接着剤50の誘電率、熱膨張率、粘度特性の調整などを行うことができる。このため、接着剤50の材料選択の幅が広がり、量産性の向上に寄与できる。
【0040】
次に、好ましいランド24の主面の形状について説明する。ランド24の主面の形状は、特に限定しないが、円形状である方が、第2の貫通導体23aとの位置ずれのクリアランスを設定しやすく、また、接着時のランド24付近の接着剤50が均一に流動しやすいため、好ましい。従って、ランド24の主面の形状を円形状とすることにより、ランド24と第2の主導体1bとの間の容量性リアクタンスをより安定化させることができる。この結果、多層導波管100で高品質な信号伝送を行うことができる。
【0041】
ここで、ランド24の主面の形状が大きすぎると、多層導波管100の重量が重くなるだけでなく、厳密な矩形導波管とすることができないため、伝送損失の増大を招くとともに、接着時のランド24付近の接着剤50が均一に流動しにくくなり、ランド24と第2の主導体層1bとの間の安定した電磁結合を得ることができない。
【0042】
また、ランド24の主面の形状が小さすぎると、容量性リアクタンスを十分大きくすることができないだけでなく、第2の貫通導体23aとの位置ずれのクリアランスをとることができず、ランド24と第2の主導体層1bとの間の安定した電磁結合を得ることができない。
【0043】
これらの制約を考慮すると、ランド24の主面の形状は、外径が1.0mm以下の円形状であることが好ましく、さらには、一般的なプリント配線板製造技術で多層導波管100を製造する場合のクリアランスを考慮すると、外径が0.1mm以上であることが好ましい。従って、ランド24の外径を1.0mmから0.1mmまでとすることにより、伝送損失を抑制できるとともに、接着時のランド24付近の接着剤が均一に流動しやすく、ランド24と第2の主導体1bとの間の距離が安定し、ランド24と第2の主導体1bとの間の容量性リアクタンスをより安定化させることができる。この結果、多層導波管100で高品質な信号伝送を行うことができる。
【0044】
次に、ランド24の厚みは、適宜決定してよいが、厚すぎるとランド24の主面の形状が大きすぎる場合と同様の懸念点が挙げられる。このため、ランド24の厚みの上限値は、ランド24の主面の形状や積層導波管20の断面形状の大きさにより異なるため、一義的に決められない。
【0045】
また、ランド24の厚みが薄すぎると、容量性リアクタンスを確保するため接着剤50の厚みを薄くする必要があるが、接着剤50の厚みが、薄すぎると、接着前の第1及び第2の誘電体2,22の反りや、第2の主導体層1bと第2の誘電体22との熱膨張率の差から生じる応力を緩和できず、基礎及び積層導波管形成部101,102間で剥離が生じやすくなってしまう。従って、ランド24の必要な厚みは、誘電体2や、第2の主導体層1bや、接着剤50の厚さ、広さ、弾性率、熱膨張率、使用温度等によって異なるため、一義に決めることは困難である。
【0046】
次に、第1及び第2の誘電体2,22の材質について説明する。第1及び第2の誘電体2,22の材質としては、貫通導体3a,23aを位置ずれなく形成できる樹脂系のものが好ましい。また、第1及び第2の誘電体2,22の材質としては、伝送損失を抑制するため誘電損失が低いことが好ましい。さらに、第1及び第2の誘電体2,22の材質としては、貫通導体3a,23aの電気伝導層形成を考慮するとめっきが可能であることが好ましい。
【0047】
さらに、基礎及び積層導波管形成部101,102間で導波管の結合を行う場合には、基礎及び積層導波管形成部101,102間での位置ずれを抑制する必要があるので、第1及び第2の誘電体2,22の材質としては、熱収縮の小さなものが好ましく、さらには、同じ素材であることが好ましい。また、接着剤50にランド24を埋める際に、第2の誘電体22側にランド24が埋設されないように、第2の誘電体22の弾性率が接着剤50の接着時の溶融状態の弾性率よりも十分に高い必要がある。
【0048】
ここで、誘電率は、特に選択される必要はないが、実施の形態1の特性上、導波管厚さbが厚くなっても、貫通導体3a,23aには位置ずれが起きないため、誘電率は適宜決定してよい。また、長距離の信号伝送時に特に顕著であるが、誘電体2,22が低誘電率である場合には、伝送損失を低下させるので、第1及び第2の誘電体2,22の材質としては、ガラスセラミックよりも誘電率の低い樹脂を主成分とする誘電体が好ましく、樹脂を主成分とした時の一般的な比誘電率である2.5〜5でよい。
【0049】
また、第1及び第2の誘電体2,22には、通常のプリント配線板で使用される基材を用いてもよく、特に誘電損失が低い、ポリテトラフルオロエチレンや、ポリエステル液晶ポリマーや、ポリエーテルエーテルケトンや、ポリフェニレンエーテルや、変性ポリフェニレンオキサイドや、ポリオレフィンや、エポキシ樹脂を主成分とした基材が挙げられ、それらに特性調整用のガラスクロスや、不織布や、粉体のフィラーや、難燃剤等を含めてもよい。
【0050】
次に、接着剤50の材質について説明する。接着剤50の誘電損失は、導波管の伝送損失に影響を与えるため、低い方が望ましい。また、接着剤50の誘電率は、容量性リアクタンスの制約により、適宜決定することができるが、第1及び第2の誘電体2,22の誘電率に近い方が、電磁界の乱れを抑制し、伝送損失を抑制できるため好ましく、比誘電率が、2.5〜5であることが好ましい。
【0051】
次に、実施の形態1の多層導波管100の製造方法について説明する。図4は、図1の多層導波管100の製造工程の一工程を示す斜視図である。実施の形態1の多層導波管100の製造方法は、第1の主導体層1aと、第2の主導体層1bと、それらで挟持された第1の誘電体2と、第1及び第2の主導体層1a,1bを結ぶ複数の第1の貫通孔3を2列以上設け、この各列の第1の貫通孔3の間隔を遮断波長の1/2以下とし、2列の第1の貫通孔3の列の間隔を所定の導波管幅とした基礎導波管形成部101を製造する第1の工程と、第2の誘電体22の片側の主面に形成された第3の主導体層21と、第2の誘電体22の他方の主面に形成された複数の2列以上のランド24と、第3の主導体層21と各ランド24とを結ぶ、複数の2列以上の第2の貫通孔23とからなる、少なくとも1つの積層導波管形成部102を製造する第2の工程と、基礎導波管形成部101及び積層導波管形成部102の主面同士、又は一対の積層導波管形成部102の主面同士を、接着剤50を介して圧着する第3の工程とを含む。
【0052】
ここで、基礎及び積層導波管形成部101,102は、一般的な両面プリント配線板の製造技術を用いて製造することができる。この一例を挙げると、まず、板状の誘電体、もしくは誘電体が銅箔で挟持されてなる両面銅張板に、ドリル加工又はレーザ加工により、所定の位置に貫通孔を形成する。そして、必要に応じて銅箔の加工端面に付着したスミアを除去するため、及びめっきの付着性の向上のため、過マンガン酸水溶液処理や、プラズマ処理や、ナトリウム還元処理等を行った後、全面に銅のパネルめっきを行い、主導体や貫通導体を形成する。
【0053】
その後、孔埋め樹脂を貫通孔に充填し、乾燥、研磨、硬化を行い、貫通孔を孔埋め樹脂で埋め、さらに全面に銅のパネルめっきを行い、貫通導体に蓋めっきを行う。さらに、表層の導体層をパターニングすることにより、形成できる。なお、図2のような多層導波管100を形成する場合には、蓋めっきを省略してもよい。
【0054】
以上のように、基礎及び積層導波管形成部101,102の製造方法を例示したが、本例以外の製造方法により基礎及び積層導波管形成部101,102を製造してもよい。また、ランド24の厚みを制御するため、いずれかの工程の前に、ランド24が形成される導体層をハーフエッチングしてもよい。
【0055】
続いて、基礎導波管形成部101と積層導波管形成部102との間に接着剤50を挿入し、圧着させる。この場合には、適宜、基礎導波管形成部101と積層導波管形成部102との位置ずれを最小とすべく、従来の多層プリント配線板の製造技術で用いられている手法を用いてもよく、例えば、それぞれの導波管形成部の製品外の決められた位置に、位置決め用の穴を開けておき、基礎導波管形成部101、接着剤50、積層導波管形成部102を、その穴に金属製のピンを挿入しながら重ね合わせることにより、位置ずれを解消することができる。
【0056】
また、接着剤50の接着前の厚みは、容量性リアクタンスの制約により適宜決められる。ただし、第2の誘電体22の主面(接着面)上に形成されている凸部はランド24のみであり、第2の誘電体22の主面の面積に対して、ランド24の主面の面積は非常に小さいため、ランド24の厚みよりも接着剤50の接着前の厚みが薄いと、基礎導波管形成部101と積層導波管形成部102との間にボイドが発生することになるため、ランド24の厚みよりも接着剤50の接着前の厚みが厚いことが好ましい。
【0057】
接着剤50は、基礎導波管形成部101と積層導波管形成部102との間の接着時に、ランド24を埋め込む必要があるので、接着時に流動性をもたせる必要がある。ただし、接着剤50の粘度が高すぎると、基礎導波管形成部101と積層導波管形成部102との間に接着剤50を充填するために、埋め込み時に基礎導波管形成部101と積層導波管形成部102とを高圧で積層する必要があり、接着後残留応力が発生しやすくなる。この結果、信頼性に影響するだけでなく、所定の容量性リアクタンスを面内で均一に得ることができない可能性がある。
【0058】
一方、接着剤50の溶融時の粘度が低すぎると、間隙αが形成されなくなり、信頼性に悪影響を及ぼす。これらの粘度は、接着時の接着剤50の熱履歴中での粘度特性、特に最低溶融粘度が大きく関係している。具体的には、接着剤50として熱硬化性の樹脂を用いた場合に、接着時の昇温速度及び最高到達温度を調整することにより、様々な接着時の最低溶融粘度を再現することができ、最低溶融粘度が少なくとも1000〜10000Pa・sであれば問題がないことが確認された。
【0059】
また、接着剤50に電気的絶縁性の粉体のフィラーを添加することにより、間隙αの厚みを制御することが可能である。例えば、所定の外径(直径)をもつ球状のフィラーを適量接着剤に添加して分散させることによって、球状のフィラーがスペーサとなり、間隙αの厚みを球状のフィラーの外径と概同等とすることができる。即ち、接着時にランド24に加わる圧力が、第2の誘電体22の反りや厚みばらつき、ランド24の厚みばらつきがあっても、これらが均一化される。この結果、間隙αの厚みが面内で均一化され、より安定した導波管断面形状を得ることができ、伝送損失を抑制することができる。
【0060】
フィラーの形状は、均一なものであればよいが、特に球状であると、スペーサとして特に有用である。フィラーの形状が球状であれば、接着時にランド24によって接着剤が押し出された場合にも、フィラーのみが押し出されたり、逆に、接着剤の樹脂成分のみが押し出されたりすることがなく、間隙αにフィラーが均一に残留しやすいため好ましい。
【0061】
また、このような効果がある以上、フィラーの一辺の大きさあるいは直径は、容量性リアクタンスの制約を満足する間隙αの厚さよりも小さい必要がある。具体的には、樹脂を主成分とする誘電体の誘電率2.5〜5とそれに近い誘電率をもつ接着剤種を選択し、ランド24の主面の外径を導波管内部の電磁界を乱さない程度の1mm程度とすると、フィラーにおける多層導波管100の短辺方向の大きさは、20μm以下であることが望ましい。
【0062】
なお、圧着工程には、真空プレスや、大気圧プレスや、オートクレーブや、ラミネートを用いることができる。静水圧で圧力を加えられるオートクレーブや、ダイヤフラムを用いたラミネーターによるラミネートでは、特に誘電体2,22の剛性が低い場合に、ランド24近辺の接着剤50の流動を抑制するので、誘電体2,22の剛性を補助するような板材、例えば熱伝導性の高い金属板で、基礎導波管形成部101と積層導波管形成部102とを挟んだ状態で圧着することが好ましい。
【0063】
また、図2に示すような蓋めっきを形成せず、積層導波管形成部102の第2の貫通導体23aに内部空間23bが形成されている場合には、第2の貫通導体23aの内部にボイドが残らないように、真空プレス等を用いて真空状態で圧着することが好ましい。
【0064】
ここで、図3に示すような3層以上の多層導波管100を製造する場合には、基礎導波管形成部101と複数の積層導波管形成部102とを一度のプレスで圧着することができ、製造工程の簡略化を図ることができる。また、実施の形態1の製造方法を用いることにより、容易に多層導波管100を製造することができ、量産性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0065】
1a 第1の主導体層、1b 第2の主導体層、2 第1の誘電体、3 第1の貫通孔、3a 第1の貫通導体、10 基礎導波管、20,30 積層導波管、21 第3の主導体、22 第2の誘電体、23 第2の貫通孔、23a 第2の貫通導体、23b 第2の貫通導体の内部空間、24 ランド、33 第3の貫通孔、33a 第3の貫通導体、50 接着剤、51 孔埋め材、52 接着剤層、53 接着剤、100 多層導波管、101 基礎導波管形成部、102,103 積層導波管形成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向配置された第1及び第2の主導体層と、前記第1及び第2の主導体層間に設けられた第1の誘電体とを有し、前記第1及び第2の主導体層を結ぶように前記第1の誘電体に複数の第1の貫通孔が2列以上設けられ、積層の基礎となる基礎導波管を形成する基礎導波管形成部と、
第3の主導体層と、前記第3の主導体層の一方の主面に設けられた第2の誘電体とを有し、前記第2の誘電体における前記第3の主導体層の反対側の主面と前記第3の主導体層とを結ぶように前記第2の誘電体に複数の第2の貫通孔が2列以上設けられ、前記基礎導波管に積層されて前記基礎導波管とは異なる積層導波管を形成する積層導波管形成部と
を備え、
前記複数の第1の貫通孔のうち同一の列に属し、かつ互いに隣り合う第1の貫通孔同士の間隔は、遮断波長の1/2以下とされ、
前記複数の第2の貫通孔のうち同一の列に属し、かつ互いに隣り合う第2の貫通孔同士の間隔は、遮断波長の1/2以下とされ、
前記複数の第1の貫通孔の互いに隣り合う列同士の間隔は、所定の導波管幅とされ、
前記複数の第2の貫通孔の互いに隣り合う列同士の間隔は、所定の導波管幅とされ、
前記複数の第1の貫通孔には、外壁面が一つの面からなる複数の第1の貫通導体が形成され、
前記複数の第2の貫通孔には、外壁面が一つの面からなる複数の第2の貫通導体が形成され、
前記積層導波管形成部における前記第2の誘電体の前記第3の主導体層の反対側の主面には、その主面から前記第3の主導体層の反対側へ突出するように配置され、かつ前記複数の第2の貫通導体の端部と繋がる複数のランドが設けられ、
前記積層導波管形成部における前記第2の誘電体の前記第3の主導体層の反対側の主面と、前記基礎導波管形成部における第2の主導体層とは、絶縁性の接着剤によって、互いに接着され、
前記複数のランドは、前記基礎導波管形成部における前記第2の主導体層との間で間隔を空けて前記接着剤に埋められ、
前記複数のランドのうちの1つのランドと、前記第2の主導体層との間の信号周波数における容量性リアクタンスが30Ω以下である
ことを特徴とする多層導波管。
【請求項2】
前記積層導波管形成部は、複数であり、
複数の前記積層導波管形成部は、相互に積層されて、それぞれ前記積層導波管を形成する
ことを特徴とする請求項1記載の多層導波管。
【請求項3】
前記第1及び第2の貫通導体の少なくともいずれか一方には、内部空間が形成され、
前記内部空間の一部又は全部には、浸入した前記接着剤が硬化してなる接着剤層が形成されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多層導波管。
【請求項4】
前記接着剤には、一辺の長さあるいは直径が20μm以下の電気的絶縁性のフィラーが添加されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれ1項に記載の多層導波管。
【請求項5】
前記ランドの主面の形状が円形状である
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれ1項に記載の多層導波管。
【請求項6】
ランドの主面の外径は、0.1mmから1.0mmである
ことを特徴とする請求項5記載の多層導波管。
【請求項7】
互いに対向配置された第1及び第2の主導体層と、前記第1及び第2の主導体層間に設けられた第1の誘電体とを有し、前記第1及び第2の主導体層を結ぶように前記第1の誘電体に複数の第1の貫通孔が2列以上設けられ、積層の基礎となる基礎導波管を形成する基礎導波管形成部と、
第3の主導体層と、前記第3の主導体層の一方の主面に設けられた第2の誘電体とを有し、前記第2の誘電体における前記第3の主導体層の反対側の主面から前記第3の主導体層の反対側へ突出するように配置された複数のランドと、前記複数のランド及び前記第3の主導体層を結ぶように配置された複数の第2の貫通孔とが前記第2の誘電体に2列以上設けられ、前記基礎導波管に積層されて前記基礎導波管とは異なる積層導波管を形成する積層導波管形成部と
を備える多層導波管の製造方法であって、
前記基礎導波管形成部の前記第2の主導体層における前記第1の主導体層の反対側の主面と、前記積層導波管形成部の前記第2の誘電体における前記第3の主導体層の反対側の主面とを、接着時に流動性をもつ接着剤を介して圧着する工程
を含むことを特徴とする多層導波管の製造方法。
【請求項8】
前記積層導波管形成部は、複数であり、
前記圧着する工程で、複数の前記積層導波管形成部のうち、いずれかの前記積層導波管形成部の前記第3の主導体層における前記第2の誘電体の反対側の主面と、他の前記積層導波管形成部の前記第2の誘電体における前記第3の主導体層の反対側の主面とを、接着時に流動性をもつ接着剤を介して圧着する
ことを特徴とする請求項7記載の多層導波管の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−209655(P2012−209655A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72094(P2011−72094)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】