説明

大型平面部材研磨・洗浄装置

【課題】本発明は、大型平面部材の上面および下面を同時に研磨および/または洗浄を行うことができる自動研磨・洗浄装置に関するものである。
【解決手段】本発明の大型平面部材研磨・洗浄装置は、複数組のブラシ組立体により、前記大型平面部材の移動中に、上面および下面を同時に研磨および/または洗浄することができる。前記複数のブラシ組立体は、大型平面部材の研磨および/または洗浄に合った、異なる種類のブラシ毛および構造の異なるブラシから構成されている。また、前記大型平面部材研磨・洗浄装置は、前記異なる複数組みのブラシに対する駆動速度をそれぞれ別々に制御することができる。本発明の大型平面部材研磨・洗浄装置は、大型平面部材に合った素材から構成されている複数組のブラシ組立により、上下同時に研磨および/または洗浄を行うことができるようになっているため、前記大型平面部材を一方向に流すのみで、上下両面の研磨および/または洗浄を終了させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型平面部材の上面および下面を同時に研磨および/または洗浄を行うことができる大型平面部材研磨・洗浄装置に関するものである。また、本発明は、大型平面部材の上面および下面を同時に、紙、布、合成樹脂製、動植物製、不織布、バフ、スポンジの中の少なくとも一種類からなるブラシ毛で構成された複数のブラシ組立体によって、研磨および/または洗浄を行うことができる大型平面部材研磨・洗浄装置に関するものである。さらに、本発明は、大型平面部材の上面および下面に傷を付けることなく、研磨・洗浄が可能な大型平面部材研磨・洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2000−316634号公報に記載されているブラシは、柔らかいブラシ面を有すると共に、腰が適度に強く、さらに、毛材の脱落を改良している。前記ブラシの毛材は、太さが10〜70ミクロンの合成繊維単糸を集束した太さ100〜500ミクロンの集束糸に50〜300ターン/メートルの下撚りをかけ、さらにこの集束糸を合糸した太さ200〜1200ミクロンの繊維束に50〜300ターン/メートルの上撚りをかけたものに、接着剤を付与することにより、前記合成繊維単糸間を接合している。
【0003】
また、特開2006−184388号公報に記載されているブラシ組立体は、異なる形状をした直線ブラシ、ロールブラシ、カップブラシから構成され、それぞれのブラシが異なる速度で駆動制御されている。前記直線ブラシは、前記基板表面上を直交する方向に往復移動を行なうものである。前記ロールブラシは、前記基板表面上を転がり摩擦が発生する方向に回転する。前記カップブラシは、前記基板表面と、ブラシの回転面とが同じである。そして、基板表面を洗浄するブラシ組立体は、前記直線ブラシ、ロールブラシ、カップブラシの内の少なくとも二つを組み合わせることにより、異なる形状と異なる駆動速度により相乗効果を発揮して、液晶表示装置の基板表面の隅々までを均等に、かつ、効率良く洗浄することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−316634号公報
【特許文献2】特開2006−184388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特開2000−316634号公報に記載されているブラシは、柔らかいブラシ面を有するように、毛材の太さ、撚りのかけかたを工夫したブラシ毛素材である。しかし、大型部材の研磨・洗浄は、ブラシ毛素材を細くすれば良いというものでもない。また、大型部材の研磨・洗浄は、表と裏を別々に研磨・洗浄するための手間が非常にかかるため、両面研磨・洗浄装置の開発が望まれる。
【0006】
前記特開2006−184388号公報に記載されているブラシ組立体は、大型部材の研磨・洗浄を効率良く、かつ、綺麗に行うことができるが、上面および下面を同時に処理するという発想がなされていなかった。
【0007】
以上のような課題を解決するために、本発明は、ブラシの素材とともに、異なる構造のブラシ組立体を複数使用することにより、大型部材の両面を同時に研磨・洗浄することができる大型平面部材研磨・洗浄装置を提供することを目的とする。本発明は、異なる性質と構造のブラシ組立体の配置を工夫するとともに、それぞれのブラシ組立体の回転速度を制御することにより、大型平板部材の上下両面を同時に研磨・洗浄することができる大型平面部材研磨・洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(第1発明)
第1発明の大型平面部材研磨・洗浄装置は、大型平面部材の上面および下面を同時に研磨および/または洗浄をすることができるものであり、前記大型平面部材の両端部を支持するとともに、前記両端部が溝内を水平に移動することができるコ字型摺動溝と、前記大型平面部材の移動中に、上面および下面を同時に研磨および/または洗浄できる、異なる種類のブラシ毛および構造の異なるブラシからなる複数組みのブラシ組立体と、前記異なる複数組みのブラシに対する駆動速度をそれぞれ制御することができる制御装置とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0009】
(第2発明)
第2発明の大型平面部材研磨・洗浄装置において、前記ブラシ組立体は、左右方向に移動する直線ブラシ、ロールブラシ、一方向または互いに異なる方向に回転する複数個からなるカップブラシ、回転バフの内の少なくとも複数個からなることを特徴とする。
【0010】
(第3発明)
第3発明の大型平面部材研磨・洗浄装置において、前記同じタイプのブラシ組立体は、上下同じ位置に配置したことを特徴とする。
【0011】
(第4発明)
第4発明の大型平面部材研磨・洗浄装置において、前記同じブラシ組立体は、上下において、異なる位置に配置したことを特徴とする。
【0012】
(第5発明)
第5発明の大型平面部材研磨・洗浄装置において、前記ブラシ素材は、紙、布、合成樹脂製、動植物製、不織布、バフ、スポンジの中の少なくとも一種類であることを特徴とする。
【0013】
(第6発明)
第6発明の大型平面部材研磨・洗浄装置において、前記ブラシ素材は、紙が丸められた棒状体を捻じり、縒ったものからなる紐状態を基にして作製されることを特徴とする。
【0014】
(第7発明)
第7発明の大型平面部材研磨・洗浄装置において、前記ブラシ素材は、紙、布、不織布が所定の大きさに裂かれ、または切断され、接着剤および/または砥粒が加えられた紐状態を基にして作製されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、大型平面部材の表面を研磨・洗浄するブラシ組立体を直線ブラシ、ロールブラシ、カップブラシの内の少なくとも二つを組み合わせることにより、異なる複数の形状からなるブラシと、これらのブラシの異なる駆動速度により相乗効果を発揮して、大型平面部材の上下表面の隅々までを均等に、かつ、効率良く研磨・洗浄することができる。
【0016】
本発明によれば、直線ブラシ、ロールブラシ、カップブラシを上面と下面とで同じまたは異なる位置に配置し、駆動装置により、同じ速度、あるいは異なる速度、同じ方向の回転、異なる方向の回転等で制御することにより、大型平面部材の表面に合った研磨・洗浄が効率良く、かつ、前記上下面の隅々まで均等に行なうことができるだけでなく、大型平面部材の表面に歪みができないようにすることができる。
【0017】
本発明によれば、紙材および/または不織布を所定の大きさに切り裂き、接着剤および/または砥粒を染み込ませ、あるいはシート状紙とし、これらを丸め、捩じり、縒った紙製ブラシ毛とし、必要に応じて、周囲をカバーリングして紙製ブラシ素材を構成し、前記大型平面部材研磨・洗浄装置の上下面に設けているため、紙の性質、捻じり、縒り独特の柔らかさ、弾性、バネ性、あるいクッション性が向上し、腰部分の強度も強い紙製ブラシ毛を作製することができる。特に、本発明のブラシ素材として、紙製および/または不織布とした場合、前記紙材および/または不織布独特の柔らかさを利用することができる。
【0018】
本発明によれば、接着剤および/または砥粒が染み込んだ紙シートを丸める際に、紙製素材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛を芯線として巻き込むことにより、ブラシ素材の腰の強度を調整することができ、使用目的に合った紙製ブラシ素材を作製することができる。
【0019】
本発明によれば、大型平面部材の表面に多少の凸凹または湾曲があっても、上下両面における隅々までの研磨・洗浄が行き届く。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例であり、異なるブラシ組立体が大型平面部材の上下において、同じ位置に配置されている例を説明するための模式図である。(実施例1)
【図2】本発明の実施例で、ブラシ組立体のそれぞれを制御するためのブロック構成図である。
【図3】(イ)および(ロ)は本発明の実施例であり、異なるブラシ組立体が上下において、異なる位置に配置されている例を説明するための模式図である。(実施例2)
【図4】本発明の実施例であり、異なるブラシ組立体のグループが大型平面部材の上下において、異なる位置に配置されている例を説明するための模式図である。(実施例3)
【図5】本発明の実施例であり、シート状紙部材を丸めた棒状体を、捩じり、縒ってブラシ素材とした実施例を説明するための模式図である。(実施例4)
【図6】本発明の実施例であり、紙製のチャンネルブラシ、植え込みブラシ、およびホイールブラシを説明するための図である。
【図7】(イ)および(ロ)は本発明の実施例であり、ロールブラシの例を説明するための図である。
【図8】(イ)から(ニ)は本発明の実施例であり、紙を切り裂いた作製された棒状体を成形してブラシ素材とした実施例を説明するための模式図である。
【図9】(イ)から(ニ)は本発明の実施例であり、紙を裁断して作製された棒状体を成形してブラシ素材とした実施例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1発明)
第1発明の大型平面部材研磨・洗浄装置は、たとえば、大型太陽電池あるいは大型液晶画面等の大型平面部材の上面および下面を同時に研磨および/または洗浄をすることができる。大型平面部材は、進行方向に対して、横方向の両端部が支持される。前記大型平面部材の両端部は、コ字型摺動溝が連続して設けられ、前記コ字型摺動溝により支持するとともに、前記コ字型摺動溝内を水平に移動することができる構造になっている。
【0022】
大型平面部材研磨・洗浄装置は、複数組のブラシ組立体により、前記大型平面部材の移動中に、上面および下面を同時に研磨および/または洗浄することができる。前記複数のブラシ組立体は、大型平面部材の研磨および/または洗浄に合った、異なる種類のブラシ毛および構造の異なるブラシから構成されている。また、前記大型平面部材研磨・洗浄装置は、前記異なる複数組みのブラシに対する駆動速度をそれぞれ別々に制御することができる。本発明の大型平面部材研磨・洗浄装置は、大型平面部材に合った素材から構成されている複数組のブラシ組立により、上下同時に研磨および/または洗浄を行うことができるようになっているため、前記大型平面部材を一方向に流すのみで、上下両面の研磨および/または洗浄を終了させることができる。
【0023】
(第2発明)
第2発明の大型平面部材研磨・洗浄装置に設けられているブラシ組立体は、直線ブラシ、ロールブラシ、カップブラシ、回転バフの内の少なくとも複数個が上下面に設けられている。直線ブラシは、左右方向に移動させ、ロールブラシは、上下面に沿って回転させ、複数個のカップブラシは、隣り合ったカップブラシの回転方向を、一方向または互いに異なる方向に回転させ、回転バフは、ロールまたはカップ状にすることができる。
【0024】
前記大型平面部材研磨・洗浄装置は、必要に応じて、必要な場所に、研磨剤および/または水を上から流し、あるいは下方から噴射させることにより研磨および/または洗浄が可能になる。前記上下面に設けられた直線ブラシ、ロールブラシ、カップブラシ、回転バフは、上下面において、逆の運動となるようにして、大型平面部材が一方向に偏るのを防止することができる。
【0025】
(第3発明)
第3発明の大型平面部材研磨・洗浄装置は、同じタイプのブラシ組立体を上面および下面において、同じ位置に配置する。同じタイプのブラシ組立体は、同じ場所において、上面および下面から大型平面部材を挟持するため、前記大型平面部材を強く研磨および/または洗浄するのに適している。
【0026】
(第4発明)
第4発明の大型平面部材研磨・洗浄装置は、第3発明と異なり、同じブラシ組立体の位置を上面および下面において、異なる位置に配置している。前記ブラシ組立体の配置は、ブラシ組立体が比較的軽い場合、荷重を平面部材に対して平均してかけることができ、前記大型平面部材の一部分に荷重の負担がかからないようになっている。すなわち、第3発明および第4発明は、大型平面部材の厚さ、大きさ等を考慮して、いずれか一番良い方を選択することができる。
【0027】
(第5発明)
第5発明の大型平面部材研磨・洗浄装置は、ブラシ素材として、紙、布、合成樹脂製、動植物製、不織布、バフ、スポンジの中の少なくとも一種類が使用されている。前記ブラシ素材は、研磨、洗浄、あるいは研磨および洗浄中であっても、最初と仕上げにより、前記異なる種類のブラシ素材を使用することにより、所望の表面を持った大型平面部材を得ることができる。
【0028】
(第6発明)
第6発明の大型平面部材研磨・洗浄装置は、ブラシ素材を紙製にしている。前記紙ブラシは、シート状の紙を丸めた棒状体とする。前記棒状体は、捻じられ、その後、複数本を縒り、紐状態とする。前記紐状態は、チャンネルブラシ、ロールブラシ、カップブラシ等に組み立てることができる。
【0029】
(第7発明)
第7発明の大型平面部材研磨・洗浄装置は、ブラシ素材が紙、布、不織布製である。前記紙、布、不織布は、所定の大きさに裂かれ、または切断され、接着剤および/または砥粒が加えられた紐状態になる。前記紐状態は、編まれ、あるいは接着剤により固定されてブラシに組み立てられる。
【実施例1】
【0030】
図1は本発明の実施例であり、異なるブラシ組立体が大型平面部材の上下において、同じ位置に配置されている例を説明するための模式図である。図2は本発明の実施例で、ブラシ組立体のそれぞれを制御するためのブロック構成図である。図1において、大型平面部材11は、直線ブラシ131、131′、ロールブラシ132、132′、カップブラシ133n、133n′の少なくとも3組が上面および下面にそれぞれ設けられている。大型平面部材11は、後述する支持装置(たとえば、コ字型溝)により支持されながら一方から他方に移動する。研磨・洗浄に先立ち、大型平面部材研磨・洗浄装置は、純水のような洗浄液151、151′を水槽15、15′から前記大型平面部材11の表面の上面および下面に吹き付け、および噴射する。
【0031】
図示されていない駆動装置によって駆動される大型平面部材11は、駆動方向と直交する方向に往復運動する直線ブラシ(第1ブラシ)131、131′と、前記直線ブラシ131、131′と平行に配置されたロールブラシ(第2ブラシ)132、132′と、前記大型平面部材11上下面を回転しながら研磨・洗浄する複数個のカップブラシ(第3ブラシ)133、133nとにより両面が同時に研磨・洗浄される。モータ13は、ベルト等により、カップブラシ133nを回転させる。モータ16、16′は、ベルトを介してロールブラシ14、14′を回転させる。モータおよび往復運動機構14は、直線ブラシ131、131′を直線運動させる。
【0032】
前記大型平面部材11は、図示されていないコ字型溝が両端部に設けられている。前記コ字型溝は、前記大型平面部材11をクランプした状態で移動できる機構とすることができる。また、前記大型平面部材11は、前記コ字型溝内をスライド移動できるようにすることもできる。前記スライド移動は、前記大型平面部材11の他端を押し出すような装置が必要である。また、前記コ字型溝は、クランプまたはスライド移動の場合であっても、図示されていない支持機構が必要である。前記支持機構は、公知のものを適用できるため、詳細を省略する。
【0033】
図2において、第1駆動部141は、前記大型平面部材11を一方向に移動させるものであり、第1電源スイッチ161および第1制御部171を備えている。前記直線ブラシ131、131′は、第2駆動部142により前記大型平面部材11と直交する方向に往復運動が行なわれる。前記ロールブラシ132、132′は、前記直線ブラシ131と平行に配置されるとともに、前記大型平面部材11の両表面を擦るように回転する。前記カップブラシ133、133′は、複数個が前記直線ブラシ131、131′およびロールブラシ132、132′と平行に配置され、前記大型平面部材11の上面と下面の両面でそれぞれが同じ方向または別方向に回転するように制御される。
【0034】
前記大型平面部材11は、大きさおよび材質等によって、図2に示す設定記憶部20に予め設定されている情報を基にして、各制御部の制御信号により、各スイッチを通り、各駆動を駆動させることにより、上面および下面の前面をムラなく研磨・洗浄ができる。また、各制御部は、必要に応じて、回転速度、移動速度等を上面と下面において、変えるようにして、前記大型平面部材11の偏り、表面の磨きの偏り等を修正または変更することができる。
【0035】
前記大型平面部材11は、両端部が図示されていないコ字型溝を摺動しながら移動する。図2に示す第1駆動部は、前記コ字型溝(図示されていない)に両端が支持されながら一方に駆動されるように制御される。第2駆動部142は、シリンダとピストンによる往復運動、または回転をピストンに伝達する往復運動に変換するように前記直線ブラシ131、131′を駆動させる。第3駆動部143は、図示のごとく、回転ベルト等によりロールブラシ132、132′を回転駆動する。前記カップブラシ133、133′は、図示のように、一つの第4駆動部144とベルトまたはチェーン等により複数個が同時に駆動される。
【0036】
前記直線ブラシ131、131′ロールブラシ132、132′、カップブラシ133、133′は、所望の太さと長さの紙部材、不織布、合成樹脂部材あるいは天然部材からなり、所望の長さ、または大きさのデッキに植毛されている。前記ブラシ毛の長さ、柔らかさ、植毛密度は、大型平面部材11の種類、大きさ、形状(平面または湾曲面)によって、任意に選択することができる。
【0037】
図2は本発明の第1実施例で、複数のブラシおよび基板の制御を説明するためのブロック構成図である。図2において、制御装置は、駆動部14と、電源供給部16と、電源制御部17と、設定部19と、設定記憶部20とから構成されている。前記駆動部14は、第1駆動装置141から第5駆動装置145とから構成されている。第1駆動装置141は、移動ベルト12上の基板11を一方向に駆動するものである。第2駆動装置142は、直線ブラシ131を前記基板11の移動方向と直交する方向に駆動させるものである。
【0038】
前記第3駆動装置143は、前記ロールブラシ132が前記基板11の表面を進行方向または逆方向に擦りながら摩擦するように駆動するものである。前記第4駆動装置144は、カップブラシ1331から133nを個別またはベルトまたはチェーン等に連動するようにして駆動される。前記第5駆動装置145は、洗浄装置15の洗浄液151の吹き付け状態を基板11の種類、大きさ、形状等により制御する。
【0039】
図2における電源供給部16は、第1電源スイッチ161から第5電源スイッチ165とから構成されており、それぞれの駆動部14におけるブラシの駆動を制御するための電源スイッチから構成されている。電源制御部17は、第1制御部171から第5制御部175とから構成されており、前記各スイッチに所定の電力を供給できるように制御する。設定部19は、予め決められた基板11の種類、大きさ、形状に合った移動または回転速度を設定することができる。前記設定記憶部20は、前記設定部19によって設定された基板11の種類、大きさ、形状に合った移動または回転速度が記憶される。
【0040】
したがって、大型平面部材研磨・洗浄装置は、大型平面部材11の種類、大きさ、形状に合った移動または回転速度が設定されているので、前記大型平面部材11の種類、大きさ、形状を指定するだけで、予め記憶されている所望の移動速度および回転速度で複数の異なった形状のブラシによって大型平面部材11を研磨・洗浄することができる。
【実施例2】
【0041】
図3は(イ)および(ロ)は本発明の実施例であり、異なるブラシ組立体が上下において、異なる位置に配置されている例を説明するための模式図である。図3(イ)および(ロ)において、大型平面部材研磨・洗浄装置は、直線ブラシ131、131′、ロールブラシ132、132′、カップブラシ133n、133n′の少なくとも3組が上面および下面にそれぞれ設けられている。前記上下6組のブラシは、それぞれが上下で異なる位置に配置されている点で、第1実施例の発明と異なっている。
【0042】
前記それぞれのブラシは、同じ位置に同じものが上下対向して設けられた方が良い場合と、それぞれのブラシを異なる位置に配置し、全体でバランスをとって設け方が良い場合がある。また、前記それぞれのブラシは、一部のものが対向して設け、他のものをずらして設けることもできる。本発明の大型平面部材研磨・洗浄装置は、大きさ、厚さ、両面の硬さ等により、ブラシの配置を工夫することにより、大型平面部材の隅々まで、目的に合った表面を得ることができる。また、前記各種ブラシは、上面と下面において、摺動速度または回転速度を異なるようにすることもできる。前記制御は、上面と下面、大型平面部材11の大きさ、厚さ、凹凸(基板が大きいため完全にフラットになっていない)等により変えることができる。
【実施例3】
【0043】
図4は本発明の実施例であり、異なるブラシ組立体のグループが大型平面部材の上下において、異なる位置に配置されている例を説明するための模式図である。図4において、大型平面部材研磨・洗浄装置は、大型平面部材11の上面に端部からシャワー放水部41、直線ブラシ42、ロールブラシ43、カップブラシ44、バフまたはスポンジ45を配置し、前記大型平面部材11の下面にバフまたはスポンジ46、カップブラシ47、ロールブラシ48、直線ブラシ49、シャワー噴出部50が設けられた例である。進行方向に対する各ブラシの順は、前記大型平面部材11の大きさ、厚さ、硬さ、使用目的等によって多少変更することができる。
【実施例4】
【0044】
図5(イ)から(ヘ)は本発明の実施例であり、シート状紙部材を丸めた棒状体を、捩じり、縒ってブラシ素材とした実施例を説明するための模式図である。図5(イ)から(ニ)は本発明の捻じり縒り紙製ブラシ毛を説明するための模式図である。本実施例の紙製ブラシは、図5(イ)に示されたような薄い紙製シート11から作製される。前記紙製シート51は、一端から丸められ、丸い棒状体52となる。前記棒状体52は、図5(ハ)に示されているように、捻じられられた状態53となる。
【0045】
前記薄い紙製シートを丸めた棒状体52は、捻じられた後、さらに、複数本を縒ることにより、捻じり縒り紙製ブラシ毛54が作製される。前記紙製シート51は、和紙の場合、濃淡のある(透けて見える所がある)ものとなる。また、前記紙製シートは、和紙、洋紙、厚紙、リサイクル用紙等、被研磨面、あるいは研磨目的によって、種々の品種のものを選択することができる。前記紙製シートは、古紙、牛乳パック、段ボール等を基にしたものを使用することもできる。
【0046】
図5(ホ)は、捻じり縒り紙製ブラシ毛の他の例で、前記捻じり縒り紙製ブラシ毛の少なくとも一本を編み機(公知の編み機)により網状に編み込んだ状態にしたもの55を巻回55′する。前記合成樹脂製ブラシ毛より、研磨面および腰が柔らかい、紙独特の性質を得ることができる。前記紙の種類は、多数あり、紙製ブラシ毛として使用する際の用途により、目的に合った紙の種類を選択することができる。前記各種紙製シートは、薄いシートを丸めて棒状体とした後、捻じられる。
【0047】
前記捻じられた棒状体は、縒ることにより、紙の種類から生じる独特の柔らかさ、および紙の捩じりおよび縒りから生じる隙間により、摩擦力および腰の強さに独特の強度を持ち、かつ、柔軟性の優れた紙製ブラシ毛となる。前記捩じりおよび縒られた棒状体は、少なくとも1本または複数本が集合されて紙製ブラシ毛となる。前記柔軟性の高い紙製ブラシ毛は、植え込み部材に植え込まれる。
【0048】
前記捻じり縒り紙製ブラシ毛は、さらに、図5(ホ)に示されているように、公知の編み機によって編まれ(符号55)、巻回された状態55′になる。前記捻じり縒り紙製ブラシ毛の編み方は、図示以外に、公知の各種方法を採用することができる。前記網状に編まれた紙製ブラシ毛は、先端、側端、側面をブラシ面として使用できる。前記網の編み方は、紙の材質以外に、交差部、結び目、編み目の大小、編み目の密度等によって研磨具合を変えることができる。前記網状に編まれた紙製ブラシ毛は、捩じり縒りだけの場合と比較して、より多くの隙間を有するため、柔らかい研磨以外に、振動を吸収しながらの研磨ができる。
【0049】
前記捻じり縒り紙製ブラシ毛は、編まれた状態55′を巻回することにより、図5(ヘ)に示す棒状ブラシ551ができる。前記棒状ブラシ551は、把持部552を付けることにより、大型平面部材の研磨ブラシとすることがでる。
【0050】
図6(イ)から(ニ)は本発明に使用する捻じり縒り紙製ブラシ毛から紙製ブラシを作製する状態を説明するための模式図である。図6(イ)において、作製された捻じり縒り紙製ブラシ毛61は、たとえば、少なくとも1本が半分に折られ、その中間部に芯線62を挟み、コ字状チャンネル部材63に挟むことにより植設される。その後、前記コ字状チャンネル部材63は、両側から押され、紙製ブラシが完成する。前記コ字状チャンネル部材63は、金属製または合成樹脂製とすることができる。前記合成樹脂製チャンネルは、熱等を加えることにより、前記紙製ブラシを強く挟み込む。
【0051】
また、図6(ロ)に示す捻じり縒り紙製ブラシ毛64は、半分に折るか、あるいは長さを一定にして、コ字状チャンネル部材65に植設される。その後、前記捻じり縒り紙製ブラシ毛64は、前記コ字状チャンネル部材65に接着剤66を入れることにより、紙製ブラシとなる。さらに、図6(ハ)に示す紙製ブラシは、通常の方法により、捻じり縒り紙製ブラシ毛68をデッキ67の孔に植設する。前記紙製ブラシは、いろいろな形状のものとすることができるだけでなく、紙の種類、捩じりおよび縒りによって生じる独特のものを作製することができる。前記チャンネル部材は、断面コ字状以外に、断面C型、断面U型、あるいは変形した形状にすることができる。
【0052】
図6(ニ)において、図6(イ)および(ロ)によって作製された紙製チャンネルブラシを円形からなるホイールブラシとした例である。また、前記ホイールブラシは、同心的に重ねることにより、ロールブラシとすることもできる。図7(イ)および(ロ)は、本発明の実施例であり、ロールブラシの例を説明するための図である。前記チャンネルブラシを連続して一つの軸72に設けて、ロールブラシ73としている。基台74上には、たとえば、被研磨部材が置かれており、その上をロールブラシ73が回転しながら研磨・洗浄を行う。
【実施例5】
【0053】
図8(イ)から(ニ)は本発明の実施例であり、紙を切り裂いた作製された棒状体を成形してブラシ素材とした実施例を説明するための模式図である。図8(イ)において、紙81は、細かに切り裂かれる。次に、前記切り裂かれた紙81は、たとえば、図8(ロ)に示す容器82に収容される。図8(ハ)において、前記容器82は、前記切り裂かれた紙81に接着剤811および/または砥粒812が入れられる。その後、図8(ニ)において、金型(図示されていない)に入れられ、棒状体83、石鹸状体84、およびシート状体85が成形される。前記棒状体83等に成形された後、前記接着剤811は、自然に蒸発するもの、乾燥により蒸発するもの等がある。
【実施例6】
【0054】
図9(イ)から(ニ)は本発明の実施例であり、裁断した紙からブラシ素材を作製し、成形した例を説明するための模式図である。図9において、紙は、所望の大きさに裁断91される。次に、前記裁断91された紙は、たとえば、図9(ロ)に示す容器92に収容される。図9(ハ)において、前記容器92は、前記裁断された紙に接着剤911および/または砥粒912が入れられる。その後、図9(ニ)において、金型(図示されていない)に入れられ、棒状体93、石鹸状体94、およびシート状体95が成形される。なお、前記図9(イ)に示す紙の裁断91は、一例であり、同じ形に整然とするもの、または大きさの異なる形が混じったもの等が考えられる。
【0055】
前記紙は、和紙の場合、濃淡のある(透けて見える所がある)ものとなる。また、前記紙は、和紙、洋紙、厚紙、リサイクル用紙等、被研磨面、あるいは研磨目的によって、種々の品種のものを選択することができる。前記紙は、古紙、牛乳パック、段ボール等を基にしたものを使用することもできる。図1から図3に示された棒状体13、23、33は、必要に応じて、捻じり縒られたブラシ素材となる(図示されていない)。
【0056】
前記捻じり縒り棒状体からなるブラシ素材は、縒ることにより、紙の種類から生じる独特の柔らかさ、および紙の捩じりおよび縒りから生じる隙間により、摩擦力および腰の強さに独特の強度を持ち、かつ、柔軟性の優れた紙製ブラシ毛となる。前記捩じりおよび縒られた棒状体は、少なくとも1本または複数本が集合されて紙製ブラシ毛となる。前記柔軟性の高い紙製ブラシ毛は、植え込み部材に植え込まれる。
【0057】
また、前記捻じり縒り紙製ブラシ毛は、公知の編み機によって網状に編まれる。前記捻じり縒り紙製ブラシ毛の編み方は、図示以外に、公知の各種方法を採用することができる。前記網状に編まれた紙製ブラシ毛は、先端、側端、側面をブラシ面として使用できる。前記網の編み方は、紙の材質以外に、交差部、結び目、編み目の大小、編み目の密度等によって研磨具合を変えることができる。前記網状に編まれた紙製ブラシ毛は、捩じり縒りだけの場合と比較して、より多くの隙間を有するため、柔らかい研磨以外に、振動を吸収しながらの研磨することができる。
【0058】
本発明のブラシ素材に使用する接着剤は、使用目的等により、種類を選択し、濃度を調整することにより、形状以外に固さも調整することができる。前記接着剤が染み込んだ捻じり縒り紙製ブラシ毛は、接着剤の種類および濃度、紙の種類、捩じり、および縒りから生じる独特の柔らかさおよび軽さを持たせることができる。前記接着剤は、水性接着剤、無機系接着剤、有機系接着剤、天然ゴム系接着剤、ニカワを主原料とする天然接着剤、ニカワと木質セルローズを含む接着剤、壁紙用天然接着剤等が使用される。
【0059】
また、紙製ブラシ素材の中心には、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物製ブラシ毛を入れることができる。また、砥粒は、たとえば、シリコンカーバイト、アルミナ、ジルコニア、ダイアモンド、エメリー、酸化セリウム、金属等のうちの少なくとも一つの砥粒が接着剤により、所定量だけ取り付けることができる。前記砥粒の種類、大きさ、および接着剤の量は、紙製ブラシの使用目的および紙製ブラシで拭く対象物によって任意に選択できる。さらに、前記砥粒およびペースト状接着剤の入れる場所は、前記同様に、紙製ブラシの使用目的および紙製ブラシで拭く(磨く)対象物によって、先端部の一部、先端部から中間部まで、あるいは全体といったように任意に選択できる。
【0060】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明は、性質の異なるブラシ毛素材、ブラシの構造、複数の異なるブラシの使用、複数のブラシに対する異なる制御により、大型平面部材の隅々までを効率良く、かつ、綺麗に研磨・洗浄することができる。特に、ブラシ素材は、紙の種類、厚さ、透きかた、形状、密度、捩じり方、縒り方等の選択により、大型液晶画面、あるいは大型太陽電池等の表面を研磨・洗浄を行うことができる。
【符号の説明】
【0061】
11・・・大型平面部材
13・・・モータ
131・・・直線ブラシ
132・・・ロールブラシ
133n・・・カップブラシ
14・・・回転往復運動機構
15・・・水槽
151・・・洗浄液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型平面部材の上面および下面を同時に研磨および/または洗浄をすることができる自動研磨・洗浄装置において、
前記大型平面部材の両端部を支持するとともに、前記両端部が溝内を水平に移動することができるコ字型摺動溝と、
前記大型平面部材の移動中に、上面および下面を同時に研磨および/または洗浄できる、異なる種類のブラシ毛および構造の異なるブラシからなる複数組みのブラシ組立体と、
前記異なる複数組みのブラシに対する駆動速度をそれぞれ制御することができる制御装置と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする大型平面部材研磨・洗浄装置。
【請求項2】
前記ブラシ組立体は、左右方向に移動する直線ブラシ、ロールブラシ、一方向または互いに異なる方向に回転する複数個からなるカップブラシ、回転バフの内の少なくとも複数個からなることを特徴とする請求項1に記載されている大型平面部材研磨・洗浄装置。
【請求項3】
前記同じタイプのブラシ組立体は、上下同じ位置に配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された大型平面部材研磨・洗浄装置。
【請求項4】
前記同じブラシ組立体は、上下において、異なる位置に配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された大型平面部材研磨・洗浄装置。
【請求項5】
前記ブラシ素材は、紙、布、合成樹脂製、動植物製、不織布、バフ、スポンジの中の少なくとも一種類であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された大型平面部材研磨・洗浄装置。
【請求項6】
前記ブラシ素材は、紙が丸められた棒状体を捻じり、縒ったものからなる紐状態を基にして作製されることを特徴とする請求項請求項5に記載された大型平面部材研磨・洗浄装置。
【請求項7】
前記ブラシ素材は、紙、布、不織布が所定の大きさに裂かれ、または切断され、接着剤および/または砥粒が加えられた紐状態を基にして作製されることを特徴とする請求項5に記載された大型平面部材研磨・洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−121095(P2012−121095A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273411(P2010−273411)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(398029234)
【出願人】(506324806)
【Fターム(参考)】