説明

孔形成用ドリル

【課題】研削孔が形成された硬脆材料板を把持して移動する等の取扱いを行っても、硬脆材料板が割れ難い形状の研削孔を形成できる孔形成用ドリルを提供すること。
【解決手段】回転軸として作用するシャンク13の周面に軸方向に沿って砥石部12を備え、砥石部12をシャンク13の軸心を中心として軸回転させ、研削対象となる硬脆材料板に研削孔を形成する孔形成用ドリル11であって、砥石部12に、回転軸の軸方向に沿って接線の傾きが連続する曲面を備えた曲面研削部15が設けられており、曲面研削部15と研削孔との間に偏心運動を与えることにより、研削孔の内面において接線の傾きが連続する曲面を形成可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス等の硬脆材料板に孔開け加工を施すための孔形成用ドリルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、硬脆材料板に孔を開ける工具としては、鋼製のシャンクの先端にダイヤモンド等からなる砥石を取り付けた砥石部を回転させながら、硬脆材料板に接触させることで孔を開ける孔形成用ドリルがあり、このような孔形成用ドリルを用いて研削作業をする際に、砥石部をシャンクの軸心を中心として軸回転させながら硬脆材料板に接触させて、硬脆材料板に穿孔を形成するようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−144859号公報(第3頁、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、孔形成用ドリルにより硬脆材料板に形成された孔の内周面が、孔形成用ドリルの軸方向に直線状に形成されているため、孔が形成された硬脆材料板の移動等の取扱い時に、曲げ荷重による応力が孔の内周面に集中して、硬脆材料板が破損してしまい易く、硬脆材料板の取扱いが困難であった。
【0005】
例えば、貫通孔を有する硬脆材料板を、移動機能を備えた把持手段により、板面を床面に対し略平行に配置して把持した場合に、硬脆材料板全体に、その自重による曲げ荷重が生じることになる。この曲げ荷重による応力は、平面方向に拡がる硬脆材料板の所定箇所にて板面の表裏面を貫通する貫通孔において作用しやすく、例えば、前記把持手段により硬脆材料板を把持した状態で移動しようとした場合に、わずかな衝撃によっても、貫通孔の内周面において亀裂が生じ硬脆材料板が破損する虞があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、研削孔が形成された硬脆材料板を把持して移動する等の取扱いを行っても、硬脆材料板が割れ難い形状の研削孔を形成できる孔形成用ドリルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の孔形成用ドリルは、
回転軸として作用するシャンクの周面に軸方向に沿って砥石部を備え、該砥石部を前記シャンクの軸心を中心として軸回転させ、研削対象となる硬脆材料板に研削孔を形成する孔形成用ドリルであって、
前記砥石部に、回転軸の軸方向に沿って接線の傾きが連続する曲面を備えた曲面研削部が設けられており、該曲面研削部と前記研削孔との間に偏心運動を与えることにより、前記研削孔の内面において接線の傾きが連続する曲面を形成可能となっていることを特徴としている。
この特徴によれば、孔形成用ドリルの砥石部に形成された曲面研削部により、研削対象となる硬脆材料板に接線の傾きが連続した曲面を形成することができるため、この硬脆材料板に曲げ荷重がかかっても、曲げ荷重による応力が研削孔の内面における曲面の接線方向に連続して分散されることで、硬脆材料板が割れ難い形状の研削孔を形成できる。
【0008】
本発明の請求項2に記載の孔形成用ドリルは、請求項1に記載の孔形成用ドリルであって、
前記曲面研削部は、回転軸の径方向に膨出した曲面であることを特徴としている。
この特徴によれば、回転軸の径方向に膨出した曲面である曲面研削部と、硬脆材料板の研削孔との間に偏心運動を与えることにより、研削孔の内面を更に大径の曲面に形成できる。
【0009】
本発明の請求項3に記載の孔形成用ドリルは、請求項2に記載の孔形成用ドリルであって、
前記曲面研削部は、回転軸の径方向に膨出した曲面に加えて、回転軸の径方向に縮径した形状の面取凹部を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、回転軸の径方向に膨出した曲面に加えて、回転軸の径方向に縮径した形状の面取凹部を有している曲面研削部と、硬脆材料板の研削孔との間に偏心運動を与えることにより、研削孔の内面に、面取凹部を利用した面取り部を形成できる。
【0010】
本発明の請求項4に記載の孔形成用ドリルは、請求項1に記載の孔形成用ドリルであって、
前記曲面研削部は、回転軸の径方向に縮径した曲面であることを特徴としている。
この特徴によれば、回転軸の径方向に縮径した曲面である曲面研削部と、硬脆材料板の研削孔との間に偏心運動を与えることにより、硬脆材料板に、この曲面研削部に沿った形状の曲面を形成できる。
【0011】
本発明の請求項5に記載の孔形成用ドリルは、請求項1ないし4のいずれかに記載の孔形成用ドリルであって、
前記砥石部は、先端側において設けられ硬脆材料板を貫通する貫通砥石部と、該貫通砥石部よりも後方側において設けられた前記曲面研削部と、から構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、砥石部の先端側の貫通砥石部により硬脆材料板に貫通孔を形成した後に、曲面研削部と硬脆材料板の研削孔との間に偏心運動を与えて研削することで、一つの孔形成用ドリルで一貫して、内周面に曲面を有する貫通孔を形成できる。
【0012】
本発明の請求項6に記載の孔形成用ドリルは、請求項5に記載の孔形成用ドリルであって、
前記曲面研削部の外径が、前記貫通砥石部の外径と略同径若しくは小径に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、曲面研削部の外径が、貫通砥石部の外径と略同径若しくは小径に形成されているため、砥石部の先端側の貫通砥石部による硬脆材料板の貫通の際に、この貫通砥石部と硬脆材料板との偏心運動を0若しくは僅かにして貫通孔を形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1を図1〜図9及び図18に基づいて説明する。先ず図1は、本発明に係る硬脆材料板の適用例を示す概略斜視図である。図2は、本発明の実施例1における孔形成用ドリルを示す斜視図である。図3は、図2と同じく正面図である。図4は、図2と同じく側面図である。図5は、図2と同じく断側面図である。図6は、図2と同じく板ガラスを穿孔する状況を示す断面図である。図7は、図6のA−A断面図である。図8(a)は、図2と同じく板ガラスを貫通した状況を示す断面図であり、(b)は、中間砥石部で研削する状況を示す断面図である。図9(a)は、図2と同じく研削後の板ガラスの研削孔を示す断面図であり、(b)は、板ガラスに曲げ荷重が掛った状況を示す断面図である。図18(a)は、実施例1において研削孔の貫通方向の位置における接線の傾き角度を例示した図であり、(b)は、研削孔の貫通方向の位置における接線の傾き角度を示すグラフである。
【0015】
まず、図1に示されるように、表裏面に貫通した貫通孔を備えた硬脆材料板の適用例を説明する。プラズマディスプレイパネル1は、互いに組み合わされてケースを構成するフロントケース部2及びバックケース部8と、該ケース内に収容される内部ユニット10と、を備えている。
【0016】
内部ユニット10は、放熱用保持板としてのシャーシ部材7と、該シャーシ部材7の前面に支持される表示パネル9と、シャーシ部材7と表示パネル9との間に介在させた接着部材としての熱伝導シート6と、帯電防止、色調・輝度補正、電磁波遮蔽等の機能を有し、表示パネル9の前面に配置される光学機能フィルタ3と、からなる。
【0017】
表示パネル9は、前面側に設けた板ガラス4と、背面側に設けた硬脆材料板としての板ガラス5とから構成されており、板ガラス4は板ガラス5に比べて長辺方向が長く、短辺方向が短く形成されている。これにより板ガラス4と板ガラス5とは互いに重合しない領域が存在し、その非重合領域には表示パネル9内に設けられた電極(図示略)に接続された端子(図示略)が形成されている。この端子には、先端にコネクタ(図示略)を有する複数のフィルム状配線(図示略)が圧着され、前記コネクタがシャーシ部材7の背面に配置される回路基板(図示略)に設けられたコネクタ(図示略)と連結されることにより、該回路基板と表示パネル9とが電気的に接続されている。
【0018】
前面側の板ガラス4と背面側の板ガラス5との周縁部は、ガス放電用空間を形成するために低融点ガラスからなるシール材(図示略)により接着されてシールされ、密封されたガス放電用空間内には所定圧の希ガス(ネオン及びキセノンの混合ガス等)が封入されている。
【0019】
そして、板ガラス5の角部近傍の所定箇所に、前記したガス放電用空間の内部に封入する希ガスを流通させるための貫通孔が、板ガラス5の表裏面を貫通して形成されている。以下に、孔形成用ドリルによる貫通孔の形成工程について説明する。
【0020】
図2の符号11は、本実施例における孔形成用ドリルとしてのダイヤモンドドリルであり、このダイヤモンドドリル11は、先端面と外周面にダイヤモンドを着装した砥石部としてのダイヤモンド砥石部12と、回転軸として作用する鋼製のシャンク13とで構成されている。尚、ダイヤモンド砥石部12は、ダイヤモンド砥粒を用いてメタルボンド砥石あるいは電着砥石として製作される。
【0021】
また、図2ないし図4に示されるように、ダイヤモンド砥石部12は、先端側に形成された小径をなす貫通砥石部としての先端砥石部14と、中間部に形成されて先端砥石部14よりも大径をなす曲面研削部としての後方砥石部15と、で構成されている。
【0022】
先端砥石部14には、粒径が大きな粗いダイヤモンド砥粒が付着されるとともに、後方砥石部15には、先端砥石部14に付着されたダイヤモンド砥粒よりも粒径が小さい細かいダイヤモンド砥粒が付着されている。
【0023】
また、先端砥石部14は、軸方向に沿って略同径に形成された略円筒形状をなし、先端砥石部14の側周には、円筒面14aが形成されるとともに、先端砥石部14の先端側には、先端に向かって直径が小さくなるように形成された円錐面14bが形成されている。尚、図2の部分拡大斜視図に示すように、先端砥石部14の先端部には、円錐面14bによって形成される円錐体の先端が切り欠かれて平坦面に形成された先端面14cが設けられ、すなわち先端砥石部14の先端部の形状が切頭円錐形状となっている。
【0024】
また、後方砥石部15は、先端砥石部14よりもダイヤモンドドリル11の軸方向後方側において設けられているとともに、回転軸の径方向に膨出した曲面を備えている。より具体的には、後方砥石部15は、回転軸の軸方向に沿って接線の傾きが連続する曲面であって、硬脆材料板の表面における開口部を研削する開口部研削面15aと、同様に硬脆材料板の裏面における開口部を研削する開口部研削面15cと、この開口部研削面15a、15cよりも漸次拡径して形成され硬脆材料板の軸方向に内方側を研削する内方部研削面15bと、から成る曲面を有している。また、後方砥石部15は、回転軸の軸方向において内方部研削面15bの中間に位置する中心部を中心として、軸方向に略対称の連続した曲面を備えている。
【0025】
先端砥石部14の先端面14cの中央部には、略半球形状に刳り貫かれて形成された微小な凹部14dが形成されている。また、図3に示すように、先端砥石部14の先端面14cは、ダイヤモンドドリル11の正面視において略円形状をなすとともに、先端面14cに形成された凹部14dは、先端面14cの同心円として形成されている。
【0026】
次に、ダイヤモンドドリル11を用いて硬脆材料板としての板ガラス5が研削される工程について図5から図8を用いて詳述する。図5に示すように、ダイヤモンドドリル11を用いて硬脆材料板である板ガラス5を研削する際には、先ずダイヤモンドドリル11をシャンク13の軸心αを中心に軸回転させつつ、先端砥石部14の先端面14cを板ガラス5の表面に当接させる。このとき先端砥石部14の先端が切頭円錐形状をなしていることで、押圧力が先端面14cに集中するようになり、板ガラス5が研削され易くなっている。
【0027】
また、図6に示すように、ダイヤモンドドリル11のダイヤモンド砥石部12が、シャンク13の軸心αを中心に軸回転しつつ、ダイヤモンド砥石部12と板ガラス5との間に相対的な偏心運動が与えられるようになっている。
【0028】
ダイヤモンドドリル11の偏心運動について詳述すると、図7に示すように、ダイヤモンドドリル11の先端砥石部14の円筒面14aを、板ガラス5に形成された被研削面である略円形状の研削孔17の内周面に当接させ、ダイヤモンドドリル11を軸心α周りにa方向に軸回転させながら、先端砥石部14の円筒面14aが研削孔17の内周面の全周に渡って当接するように、ダイヤモンドドリル11の軸回転の軸心αを偏心軸βの周りにb方向に回転させ、すなわちダイヤモンドドリル11を偏心軸βを中心として遊星回転運動させる。尚、偏心軸βが円形状をなす研削孔17の中心軸となっている。
【0029】
ダイヤモンドドリル11と板ガラス5との間に相対的な偏心運動を与える手段としては、板ガラス5を静止させた状態で固定し、ダイヤモンドドリル11を軸心α周りに軸回転させる第1モータ(図示略)を設けるとともに、ダイヤモンドドリル11及び前記第1モータを研削孔17の中心軸である偏心軸β周りに回転させるための第2モータ(図示略)を設け、これら第1モータ及び第2モータの両方を駆動させることで、ダイヤモンドドリル11と板ガラス5との間に相対的な偏心運動を与える方法がある。
【0030】
また、ダイヤモンドドリル11に偏心運動を与えることによって、板ガラス5に形成される研削孔17の直径は、先端砥石部14の外径よりも大きく、更に後述するように、後方砥石部15の外径よりも大きくなるように形成される。尚、研削孔17の直径は、ダイヤモンドドリル11の回転軸の軸心αと偏心運動の偏心軸βとの離間距離eによって変化するようになっており、軸心αと偏心軸βとの離間距離eが大きければ研削孔17の直径が大きく形成される。
【0031】
更に、本実施例におけるダイヤモンドドリル11では、ダイヤモンド砥石部12をシャンク13の軸心αを中心として軸回転させるとともに、少なくとも研削孔17の中心点(偏心軸β)を先端面14cが通過するように、ダイヤモンド砥石部12と板ガラス5との間に偏心運動を与えて板ガラス5の研削を行うようになっている。そのためダイヤモンド砥石部12が軸回転されたときに、凹部14dに対応した位置や研削孔17の中心点(偏心軸β)に生じる板ガラス5の残存部位を、偏心運動されるダイヤモンド砥石部12の先端面14cによって研削して無くすことができる。
【0032】
また、凹部14dが、板ガラス5が研削されることで発生する切粉を一時的に収容できるようになっている。そのため切粉がダイヤモンド砥石部12の先端面14cと板ガラス5との間に介在することで生じるダイヤモンドドリル11の研削効率の低下を防止できる。尚、ダイヤモンドドリル11を用いた研削の際に、研削孔17と先端砥石部14との間隙に洗浄水を流し込むこともでき、研削によって生じた切粉等をこの洗浄水で洗い流しながら研削できるようになっている。
【0033】
また、凹部14dは、その奥部に行く従って狭くなる形状となっており、このようにすることで、板ガラス5の研削の際に発生する切粉等が凹部14d内から排除され易くなり、切粉等が凹部14d内に詰まり難くなるため、使用後のダイヤモンドドリル11の手入れが容易になる。また、ダイヤモンドドリル11の回転軸の軸心α近傍は、回転径が略0であって回転運動がほとんど無い箇所となるため、先端面14cにおける軸心α近傍を凹部14dとすることで、回転運動がほとんど無い箇所を切粉の収容空間として利用できる。更に、硬脆材料の研削により欠損等が最も生じやすい先端面14cの一部を凹部14dとすることで、欠損の発生を防止できる。
【0034】
先端砥石部14が板ガラス5を貫通した後、ダイヤモンドドリル11の軸回転の軸心αと偏心運動の偏心軸βとの離間距離eを徐々に大きくすることで、先端砥石部14の円筒面14aにより研削孔17の内周面を研削して研削孔17の直径が大きくなるように研削孔17を拡大させる。
【0035】
そして、図8(a)に示されるように、先端砥石部14による上述した偏心運動で、研削孔17の直径L2を後方砥石部15の内方部研削面15bの外径L1よりも大きく形成した後に、ダイヤモンド砥石部12を軸方向に研削孔17に更に挿入させ、後方砥石部15を研削孔17の内周面に当接させる。そして、図8(b)に示されるように、ダイヤモンドドリル11を軸心α周りに軸回転させつつ、後方砥石部15の周面が研削孔17の内周面の全周に及ぶように、ダイヤモンドドリル11を偏心運動させる。
【0036】
また、このように、先端砥石部14により板ガラス5を貫通した研削孔17を形成した後に、ダイヤモンドドリル11の軸方向にダイヤモンド砥石部12と板ガラス5との相対位置を移動させ、先端砥石部14よりも後方側において形成された回転軸の径方向に膨出した曲面である後方砥石部15と、板ガラス5との間に偏心運動を与えて研削することで、一つのダイヤモンドドリル11で一貫して、板ガラス5に、この後方砥石部15に沿った形状の曲面を有する研削孔17を形成できる。すなわち、図9(a)に示されるように、貫通孔としての研削孔17は、後方砥石部15の径方向外方に膨出した曲面に沿って、径方向外方に拡径した曲面に形成される。具体的には板ガラス5の表面5a近傍と裏面5b近傍においては直径L2に形成されるとともに、中間面5cに向けて漸次拡径し、中間面5cにおいては直径L2よりも大径の直径L3に形成される。尚、後方砥石部15は、先端砥石部14よりも大径に形成されているため、本実施例のダイヤモンドドリル11は、比較的大径の研削孔17を形成する用途に適している。すなわち、回転軸の径方向に膨出した曲面である後方砥石部15と、板ガラス5の研削孔17との間に偏心運動を与えることにより、研削孔17の内面を更に大径の曲面に形成できる。
【0037】
また、後方砥石部15には、先端砥石部14に付着されたダイヤモンド砥粒よりも細かいダイヤモンド砥粒が付着されているため、後方砥石部15によって研削孔17の内周面の面取りができるようになっている。尚、ダイヤモンド砥石部12に別段に円錐面を設け、該円錐面を用いて研削孔17周縁の面取りを行うこともできる。
【0038】
このように、始めに粗いダイヤモンド砥粒が付着された先端砥石部14を用いて板ガラス5を貫通させて研削孔17を形成した後、細かいダイヤモンド砥粒が付着された後方砥石部15により研削孔17の面取りを行うことで、板ガラス5に研削孔17を形成する研削時間を短縮できるばかりか、貫通用のドリルとその他の面取り用の器具との交換作業が必要なくなり、研削孔17形成のための作業時間を短縮できるようになっている。
【0039】
次に、図18(a)に示されるように、本実施例の板ガラス5に形成された研削孔17における接線の傾きについて説明すると、板ガラス5の表面5aに平行の仮想の基準面Kに対する接線の傾き角度θは、図18(a)で例示されるθ1ないしθ6のように連続して変化している。図18(b)に示されるように、板ガラス5に形成された研削孔17の貫通方向の位置t(横軸)における接線の傾き角度θ(縦軸)は、板ガラス5の表面5a(t=0)から裏面5b(t=T)に向かって連続して増加している。具体的には、板ガラス5の表面5aと裏面5bとの仮想の中間面5c(t=T/2)において、傾き角度θ4はπ/2を示し、この中間面5cを中心として板ガラス5の表裏面に向かって、傾き角度θは略対称に変化している。
【0040】
次に、図9(b)に示されるように、上述したようにダイヤモンドドリル11により形成された研削孔17を有する板ガラス5に作用する曲げ荷重について説明すると、例えば板ガラス5の表面5aを上面として図示しない把持手段により把持すると、図示白抜き矢印方向に曲げ荷重が掛る。具体的には板ガラス5の中間面5cを中心として、表面5a側に引張り力が発生し、この引張り力は、表面5aにおいて最も大きい力として作用する。同様に、中間面5cの裏面5b側に圧縮力が発生し、この圧縮力は、裏面5bにおいて最も大きい力として作用する。
【0041】
次に、板ガラス5の表裏面に貫通した研削孔17の内周面において作用する曲げ荷重について説明すると、曲げ荷重による応力は、研削孔17の内周面の貫通方向における接線方向に向けて作用する。上述したように、ダイヤモンドドリル11のダイヤモンド砥石部12に形成された後方砥石部15により、板ガラス5に接線の傾きが連続した曲面からなる研削孔17を形成することができるため、この板ガラス5に曲げ荷重がかかっても、曲げ荷重による応力が研削孔17の内面における曲面の接線方向に連続して分散されることで、板ガラス5が割れ難い形状の研削孔17を形成できる。
【0042】
特に、本実施例のように、ダイヤモンドドリル11の後方砥石部15が、板ガラス5の表面5a及び裏面5bにおける開口部を研削する開口部研削面15a、15cから、板ガラス5の開口部よりも内方側を研削する内方部研削面15bに向かって漸次拡径する曲面を有していることで、図9(a)に示されるように、開口部研削面15a、15cにより研削される開口部の孔径L2を、内方部研削面15bにより研削される孔径L3と比べて小径に形成できるため、板ガラス5に掛る曲げ荷重が最も大きく作用する板ガラス5の表面5a及び裏面5bにおいて、曲げ荷重に対し割れ難さを向上させることができる。また、板ガラス5に掛る曲げ荷重による応力を分散させる方向が、研削孔17から径方向に離間する方向に形成できるため、研削孔17に集中する曲げ荷重を、板ガラス5における研削孔17の周辺部で受け持たせることができ、板ガラス5が割れ難くなる。
【0043】
また、内方部研削面15bの中心部を中心として軸方向に略対称の連続した曲面を有した後方砥石部15により、板ガラス5に、この後方砥石部15に沿った曲面を形成できるため、板ガラス5の表面5aを上方に向けて把持した場合に生じる、板ガラス5の表面5aに引張り力が掛り裏面5bに圧縮力が掛る方向の曲げ荷重と、この方向と反対に、板ガラス5の裏面5bを上方に向けて把持した場合に生じる、板ガラス5の裏面5bに引張り力が掛り表面5aに引張り力が掛る曲げ荷重とに対し、同様の割れ難さを生じさせることができる。
【0044】
更に、後方砥石部15は、貫通方向に沿って均一の曲率のみを有する曲面に形成されており、この後方砥石部15により形成された板ガラス5の研削孔17の内周面において接線の傾きが均一に連続しているため、曲げ荷重による応力を均等に分散させることができる。
【実施例2】
【0045】
次に、実施例2に係る孔形成用ドリルにつき、図10及び図11に基づいて説明する。図10は、本発明の実施例2における孔形成用ドリルを示す側視図である。図11(a)は、図10と同じく中間砥石部で研削する状況を示す断面図であり、(b)は、研削後の板ガラスの研削孔を示す断面図である。なお、上記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0046】
図10は、実施例2における孔形成用ドリルとしてのダイヤモンドドリル21であって、曲面研削部としての後方砥石部25は、回転軸の径方向に膨出した曲面である内方部研削面25bと、この内方部研削面25bの軸方向の上下両方に、回転軸の径方向に縮径した形状の面取凹部としての開口部研削面25a、25cと、を有する曲面を備えている。より具体的には、後方砥石部25の曲面形状が、板ガラス5の表面5aにおける開口部を研削する開口部研削面25a、並びに板ガラス5の裏面5bにおける開口部を研削する開口部研削面25cから、板ガラス5の開口部よりも内方側を研削する内方部研削面25bに向かって漸次拡径する曲面を有しており、また、開口部研削面25a、25cが、内方部研削面25bに接線の傾きが連続して、且つ縮径する曲面の面取凹部に形成されている。更に、後方砥石部25は、シャンク23の軸方向における内方部研削面25bの中心部を中心として、軸方向に略対称の連続した曲面に形成されている。
【0047】
図11(a)に示されるように、内方部研削面25bの軸方向の上下両方に面取凹部としての開口部研削面25a、25cを有している曲面研削部と、板ガラス5との間に偏心運動を与え、研削孔27の内周面を研削することにより、図11(b)に示されるように、板ガラス5に、内方部研削面25bに沿った内周面と、開口部研削面25a、25cを利用した面取り部27a、27bとを有する研削孔27を形成できる。また、研削孔27の内周面は、板ガラス5の表面5a連続する面取り部27a、及び板ガラス5の裏面5b連続する面取り部27bを有することとなるため、曲げ荷重による応力を面取り部27a、27bの接線方向に逃がすことができるばかりか、面取りがされているため、板ガラス5の取扱い時に欠損が生じ難い。尚、後方砥石部25は、先端砥石部24よりも大径に形成されているため、本実施例のダイヤモンドドリル21は、比較的大径の研削孔27を形成する用途に適している。すなわち、回転軸の径方向に膨出した曲面である後方砥石部25と、板ガラス5の研削孔27との間に偏心運動を与えることにより、研削孔27の内面を更に大径の曲面に形成できる。更に尚、面取凹部は、必ずしも回転軸の径方向に膨出した曲面である内方部研削面25bの軸方向の上下両方に形成される必要はなく、内方部研削面25bの軸方向の上下少なくとも何れか一方に形成されていてもよい。
【実施例3】
【0048】
次に、実施例3に係る孔形成用ドリルにつき、図12に基づいて説明する。図12は、本発明の実施例3における孔形成用ドリルを示す側視図である。なお、上記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0049】
図12は、実施例3における孔形成用ドリルとしてのダイヤモンドドリル31であって、曲面研削部としての後方砥石部35の曲面は、上述した実施例1における後方砥石部15の曲面と同じ曲率の曲面に形成されており、このダイヤモンドドリル31による穿孔で、図9(a)に示される研削孔17と同形状の曲面を有する研削孔が形成される。また、後方砥石部35の外径が、貫通砥石部としての先端砥石部34の外径よりも小径に形成されている。このようにすることで、先端砥石部34による板ガラス5の貫通の際に、実施例1のような偏心量の偏心運動を行わなくても、この先端砥石部34と板ガラス5との偏心運動を0若しくは僅かにして研削孔37を形成できる。そして、この研削孔37の内周面に当接させることなく、後方砥石部35を軸方向に相対移動させ易いばかりか、わずかの偏心運動で板ガラス5に曲面部を形成できる。
【0050】
尚、後方砥石部35は、先端砥石部34よりも小径に形成されているため、本実施例のダイヤモンドドリル31は、比較的小径の研削孔を形成する用途に適している。更に尚、後方砥石部35の外径は、先端砥石部34の外径よりも小径に限られず、先端砥石部34の外径と略同径に形成されていてもよい。
【実施例4】
【0051】
次に、実施例4に係る孔形成用ドリルにつき、図13に基づいて説明する。図13は、本発明の実施例4における孔形成用ドリルを示す側視図である。なお、上記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0052】
図13は、実施例4における孔形成用ドリルとしてのダイヤモンドドリル41であって、曲面研削部としての後方砥石部45の曲面は、上述した実施例2における後方砥石部25の曲面と同じ曲率の曲面に形成されるており、このダイヤモンドドリル41による穿孔で、図11(b)に示される研削孔27と同形状の曲面を有する研削孔が形成される。また、後方砥石部45の外径が、貫通砥石部としての先端砥石部44の外径よりも若干小径に形成されている。このようにすることで、先端砥石部44により、実施例1のような偏心量の偏心運動を行わなくても、板ガラスに先端砥石部44の外径と同径の内径を有する研削孔を形成するだけで、この研削孔の内周面に当接させることなく、後方砥石部45を軸方向に相対移動させ易いばかりか、わずかの偏心運動で板ガラス5に曲面部を形成できる。
【0053】
尚、後方砥石部45は、先端砥石部44よりも小径に形成されているため、本実施例のダイヤモンドドリル41は、比較的小径の研削孔を形成する用途に適している。更に尚、後方砥石部45の外径は、先端砥石部44の外径よりも小径に限られず、先端砥石部44の外径と略同径に形成されていてもよい。
【実施例5】
【0054】
次に、実施例5に係る孔形成用ドリルにつき、図14、図15及び図19に基づいて説明する。図14は、本発明の実施例5における孔形成用ドリルを示す側視図である。図15(a)は、図14と同じく中間砥石部で研削する状況を示す断面図であり、(b)は、研削後の板ガラスの研削孔を示す断面図である。図19は、実施例5において研削孔の貫通方向の位置における接線の傾き角度を示すグラフである。なお、上記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0055】
図14は、実施例5における孔形成用ドリルとしてのダイヤモンドドリル51であって、後方砥石部55の研削面は、板ガラス5の表面5a側から内方に向かって表面5aと裏面5bとの略中間まで研削する軸方向に直線状に延びる研削面55aと、この研削面55aに連続して軸方向先方に向かって漸次縮径した曲面に形成された曲面研削部としての研削面55bと、この研削面55bの最も縮径した縮径箇所55b’に連続して板ガラス5の裏面5bまで研削する軸方向に直線状に延びる研削面55cと、から形成されている。
【0056】
図15(a)、(b)に示されるように、このように形成された後方砥石部55と、板ガラス5との間に偏心運動を与えることにより、板ガラス5に、後方砥石部55の研削面55a、55b、55cに沿った形状の内周面を有する研削孔57が形成される。
【0057】
図19に示されるように、本実施例の板ガラス5に形成された研削孔57の接線の傾きについて説明すると、接線の傾き角度θは、研削面55aで研削される板ガラス5の表面5a(t=0)から中間面5c(t=T/2)に向かって、一定のπ/2であり、傾き角度θは、研削面55bで研削される板ガラス5の裏面5b(t=T)側に向かって連続して増加する。更に、接線の傾き角度θは、縮径箇所55b’で研削される被研削部(t=T1)において不連続に変化し、この被研削部(t=T1)から裏面5b(t=T)まで一定のπ/2である。
【実施例6】
【0058】
次に、実施例6に係る孔形成用ドリルにつき、図16及び図17に基づいて説明する。図16は、本発明の実施例6における孔形成用ドリルを示す側視図である。図17(a)は、図16と同じく中間砥石部で研削する状況を示す断面図であり、(b)は、研削後の板ガラスの研削孔を示す断面図である。なお、上記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0059】
図16は、実施例6における孔形成用ドリルとしてのダイヤモンドドリル61であって、曲面研削部としての後方砥石部65は、貫通砥石部としての先端砥石部64よりも回転軸の径方向に縮径した曲面である。より具体的には、後方砥石部65は、シャンク63の軸方向に沿って接線の傾きが連続する曲面であって、板ガラス5の表面5aを研削する開口部研削面65a及び板ガラス5の裏面5bを研削する開口部研削面65cよりも、軸方向に板ガラス5の内方側を研削する内方部研削面65bに向かって漸次縮径する曲面であり、且つ、シャンク63の軸方向において研削面65bの中間に位置する中心部を中心として、軸方向に略対称の連続した曲面を備えている。
【0060】
図17(a)、(b)に示されるように、回転軸の径方向に縮径した曲面である後方砥石部65と、板ガラス5との間に偏心運動を与えることにより、板ガラス5に、この内方部研削面65bに沿った形状の研削孔67を形成できる。尚、後方砥石部65は、先端砥石部64よりも小径に形成されているため、本実施例のダイヤモンドドリル61は、比較的小径の研削孔を形成する用途に適している。
【0061】
更に、後方砥石部65は、貫通方向に沿って均一の曲率のみを有する曲面に形成されており、この後方砥石部65により形成された板ガラス5の研削孔67の内周面において接線の傾きが均一に連続しているため、曲げ荷重による応力を均等に分散させることができる。
【0062】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0063】
例えば、上記実施例では、後方砥石部により硬脆材料板に接線の傾きが連続する内周面を形成可能となっているが、接線の傾きが連続するとは、実施例1における図18(a)、(b)に示されるように、硬脆材料板の貫通方向に亘って連続して変化するものであってもよいし、実施例5における図15(b)、図19に示されるように、硬脆材料板の貫通方向に沿った一部のみに、連続して変化する部分を有するものであってもよい。また、内周面の曲面の断面視形状については、必ずしも本実施例に限られず、例えば断面視略正弦曲線であってもよいし、また例えば曲面の形状が断面視略二次曲線であって、図20に示されるように、接線の傾きが直線状に増減する、すなわち接線の傾きが一次式で表せるものであってもよい。すなわち、接線の傾きが連続する曲面とは、接線の傾きが一定である面を除外した面のことである。ここで接線の傾きが一定である面とは、例えば、図21(a)に示されるように、板ガラス5の内周面としての研削孔87の内周面が、板ガラス5の表裏面に直交する方向に形成された内周面87bと、この内周面87bの板ガラス表面5a側に形成された面取り部87aと、内周面87bの板ガラス裏面5b側に形成された面取り部87cと、から成る断面視連続した直線状に形成されており、図21(b)に示されるように、接線の傾き角度θ(縦軸)が、研削孔87の貫通方向の位置t(横軸)に対し、平行に示される。
【0064】
また、上記実施例では、貫通孔を備えた硬脆材料板の適用例としてプラズマディスプレイパネル1における板ガラス5が示され、前記貫通孔として内部に封入する希ガスを流通させるための研削孔が示されているが、例えば、硬脆材料板の材料は樹脂材等であってもよいし、また例えば、硬脆材料板に備えた貫通孔の用途はネジ部材挿通用の挿通孔等であってもよい。
【0065】
また、上記実施例では、孔形成用ドリルとしてのダイヤモンドドリルが、貫通砥石部としての先端砥石部と、曲面研削部としての後方砥石部とを備え、このダイヤモンドドリルの先端砥石部を用いて硬脆材料板に貫通孔を開けるとともに、曲面研削部を用いて貫通孔の内周面に曲面を形成しているが、例えば、貫通方向に直線状の内周面が形成された貫通孔を既に有する硬脆材料が存在しており、曲面研削部のみを備えるダイヤモンドドリルを用いて、前記硬脆材料の貫通孔の内周面を曲面に形成して仕上げ加工を行ってもよい。また例えば、貫通砥石部のみを備えるドリルを用いて硬脆材料に貫通孔を形成し、このドリルとは別体に曲面研削部のみを備えるダイヤモンドドリルを用いて、前記貫通孔の内周面を曲面に形成して仕上げ加工を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る硬脆材料板の適用例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の実施例1における孔形成用ドリルを示す斜視図である。
【図3】図2と同じく正面図である。
【図4】図2と同じく側面図である。
【図5】図2と同じく断側面図である。
【図6】図2と同じく板ガラスを穿孔する状況を示す断面図である。
【図7】図6のA−A断面図である。
【図8】(a)は、図2と同じく板ガラスを貫通した状況を示す断面図であり、(b)は、中間砥石部で研削する状況を示す断面図である。
【図9】(a)は、図2と同じく研削後の板ガラスの研削孔を示す断面図であり、(b)は、板ガラスに曲げ荷重が掛った状況を示す断面図である。
【図10】本発明の実施例2における孔形成用ドリルを示す側視図である。
【図11】(a)は、図10と同じく中間砥石部で研削する状況を示す断面図であり、(b)は、研削後の板ガラスの研削孔を示す断面図である。
【図12】本発明の実施例3における孔形成用ドリルを示す側視図である。
【図13】本発明の実施例4における孔形成用ドリルを示す側視図である。
【図14】本発明の実施例5における孔形成用ドリルを示す側視図である。
【図15】(a)は、図14と同じく中間砥石部で研削する状況を示す断面図であり、(b)は、研削後の板ガラスの研削孔を示す断面図である。
【図16】本発明の実施例6における孔形成用ドリルを示す側視図である。
【図17】(a)は、図16と同じく中間砥石部で研削する状況を示す断面図であり、(b)は、研削後の板ガラスの研削孔を示す断面図である。
【図18】(a)は、実施例1において研削孔の貫通方向の位置における接線の傾き角度を例示した図であり、(b)は、研削孔の貫通方向の位置における接線の傾き角度を示すグラフである。
【図19】実施例5において研削孔の貫通方向の位置における接線の傾き角度を示すグラフである。
【図20】断面視略二次曲線に形成される研削孔の貫通方向の位置における接線の傾き角度を示すグラフである。
【図21】(a)は、板ガラスの断面視連続した直線状に形成された研削孔を示す断面図である。(b)は、研削孔の貫通方向の位置における接線の傾き角度を示すグラフである。
【符号の説明】
【0067】
1 プラズマディスプレイパネル
5 板ガラス(硬脆材料板)
5a 表面
5b 裏面
5c 中間面
11 ダイヤモンドドリル(孔形成用ドリル)
12 ダイヤモンド砥石部(砥石部)
13 シャンク
14 先端砥石部(貫通砥石部)
14c 先端面
15 後方砥石部(曲面研削部)
15a 開口部研削面
15b 内方部研削面
15c 開口部研削面
17 研削孔
21 ダイヤモンドドリル
25 後方砥石部(曲面研削部)
25a 開口部研削面(面取凹部)
25b 内方部研削面
25c 開口部研削面(面取凹部)
27 研削孔
31 ダイヤモンドドリル
34 先端砥石部(貫通砥石部)
35 後方砥石部(曲面研削部)
41 ダイヤモンドドリル
44 先端砥石部(貫通砥石部)
45 後方砥石部(曲面研削部)
51 ダイヤモンドドリル
55 後方砥石部
55b 研削面(曲面研削部)
57 研削孔
61 ダイヤモンドドリル
65 後方砥石部(曲面研削部)
65b 内方部研削面
67 研削孔
71 ダイヤモンドドリル
75 後方砥石部
75a、75c 面取部研削面(曲面研削部)
77 研削孔
87 研削孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸として作用するシャンクの周面に軸方向に沿って砥石部を備え、該砥石部を前記シャンクの軸心を中心として軸回転させ、研削対象となる硬脆材料板に研削孔を形成する孔形成用ドリルであって、
前記砥石部に、回転軸の軸方向に沿って接線の傾きが連続する曲面を備えた曲面研削部が設けられており、該曲面研削部と前記研削孔との間に偏心運動を与えることにより、前記研削孔の内面において接線の傾きが連続する曲面を形成可能となっていることを特徴とする孔形成用ドリル。
【請求項2】
前記曲面研削部は、回転軸の径方向に膨出した曲面であることを特徴とする請求項1に記載の孔形成用ドリル。
【請求項3】
前記曲面研削部は、回転軸の径方向に膨出した曲面に加えて、回転軸の径方向に縮径した形状の面取凹部を有していることを特徴とする請求項2に記載の孔形成用ドリル。
【請求項4】
前記曲面研削部は、回転軸の径方向に縮径した曲面であることを特徴とする請求項1に記載の孔形成用ドリル。
【請求項5】
前記砥石部は、先端側において設けられ硬脆材料板を貫通する貫通砥石部と、該貫通砥石部よりも後方側において設けられた前記曲面研削部と、から構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の孔形成用ドリル。
【請求項6】
前記曲面研削部の外径が、前記貫通砥石部の外径と略同径若しくは小径に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の孔形成用ドリル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−265017(P2008−265017A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−107151(P2007−107151)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(390001535)旭栄研磨加工株式会社 (9)
【Fターム(参考)】